11月25日単冠(ヒトカップ)湾に集合した、日本の機動部隊。この時点では、まだ外交交渉により、戦争を避けうる可能性はあった。この機動部隊の規模は、最初の船が港から出て最後の船が出終わるまでにゆうに数時間以上かかるという壮大なものである。
昭和16(1941)年12月7日午後1時30分(現地時間 日本の日付では12月8日)、択捉(エトロフ)島・単冠(ヒトカップ)湾を出撃、長駆6千キロもの大航海をしてきた日本海軍の機動部隊から発進した航空兵力と、特殊潜航艇「甲標的」が、アメリカ太平洋艦隊の基地であるハワイ・オアフ島南岸の真珠湾(パール・ハーバー)を攻撃しました(真珠湾攻撃)。ここに、史上例を見ない程、広大な大洋を戦場とした日米両国による最大の戦争 ── 「大東亜戦争」(太平洋戦争)が幕を切って落とされたのです。日本国内では、大東亜戦争の期間中は、12月8日を開戦記念日として祝いました。しかし、この日本軍による攻撃を、アメリカは「真珠湾奇襲」(騙し討ち)と呼び、
"Remember Pearl Harbor!!" (真珠湾を忘れるな!!)
と言っては、軍を鼓舞してきました。しかし、日本軍による「真珠湾攻撃」は、果たして、本当にアメリカが主張する様な「奇襲」だったのでしょうか? 実は、「奇襲」を掛けてきたのは、むしろ、アメリカの方だったのです。と言う訳で、今回は、アメリカによる「奇襲」 ── 対日先制攻撃を通して、「騙し討ち」の汚名を払拭したいと思います。
上は、アメリカの航空ショーでの、真珠湾攻撃の再現の一シーン。20ミリ機関砲を装備して、当時としては世界で最も破壊力があり、航続距離の長い戦闘機だった。
何故、「真珠湾攻撃」は、アメリカから「真珠湾奇襲」 ── 「騙し討ち」と言われなくてはならないのか? 実は、開戦当日、ワシントンの日本大使館が「大失態」を犯したからなのです。日本が真珠湾を攻撃したのが、12月7日の午後1時30分(現地時間)。しかし、ワシントンの日本大使館がアメリカ側に「国交断絶通告」 ── 「宣戦布告」を届けたのは、何と真珠湾攻撃から30分後の午後2時(現地時間)だったのです。つまり、「真珠湾攻撃」が先で「宣戦布告」が後となってしまった訳で、これが後々迄、「騙し討ち」と言われる事となった所以(ゆえん)だったのです。(ちなみに、「大失態」を犯して日本の名に泥を塗った「国賊」大使館員達は、何の裁きも受けず、戦後、高級外務官僚となった) つまり、昭和天皇・日本政府・大本営・連合艦隊司令長官(山本五十六)共に、アメリカに対して「騙し討ち」をしよう等とは、露とも思ってはいなかったのです。
本来、「国交断絶通告」は、12月7日午後1時(現地時間)に届けられる筈でした。日本から無電で送られた暗号電報を解読し、成文化した上で、アメリカ側に届ける。この重要な任務を、ワシントンの大使館員達は、赴任する同僚の送別会を優先した結果、処理に遅れを来たし、攻撃よりも後に届ける羽目となったのです。致命的です。これでは、アメリカから「騙し討ち」と言われても仕方がありません。し・か・し、敢えて言います。「騙し討ち」を掛けてきたのは、アメリカの方だと。
12月7日午後0時10分(現地時間)、アメリカ海軍司令部に一つの暗号電報が入電しました。
「ワレ、日本潜水艦ヲ撃沈セリ。」
それは米軍艦が、公海上 ── アメリカの領海外において、日本海軍の潜水艦を宣戦布告なしに攻撃、撃沈した事を報告する暗号電報だったのです。(米国海軍ヒューウィット調査機関提出書類75(1945年6月7日),みすず書房『現代史資料 35巻』)
つまり、アメリカは、日本による「真珠湾攻撃」の1時間20分も前に、「宣戦布告」もなしに、日本の潜水艦を攻撃、撃沈した事になる訳で、これこそ、正に「騙し討ち」と言えるのです。それにしても、日本の「真珠湾攻撃」をもって「騙し討ち」と言わしめたのですから、ローズヴェルトも相当の極悪人です。
12月8日 「日米開戦」をめぐる時間の流れ(現地の日付では12月7日)
12:10 米軍、「宣戦布告」無きまま、日本潜水艦を公海で攻撃し撃沈(対日開戦)
13:00 本来、日本側が「国交断絶通告」をアメリカ側に通達すべきだった時間
13:30 日本軍、ハワイ・真珠湾を攻撃(対米開戦)
14:00 在ワシントン日本大使館、「国交断絶通告」をアメリカ側に通達
「攻撃を受けた場合を除いて、国民を戦場に送る事は決してあり得ない。」 こう公約していたローズヴェルトでしたが、内心は戦争がしたくて、戦争がしたくて、堪らなかったのです。そんなローズヴェルトでしたから、日本に先制攻撃をさせる事に腐心したのは言う迄もありません。ラニカイ号を含む老朽船3隻に星条旗を掲揚させた上で、日本軍艦に接近させ、日本軍艦から先に砲撃してくるよう、挑発をしたりもしています。しかし、攻撃命令を受けていない日本軍艦は静観するに留まり、遂に先制攻撃を掛けなかったのです。(米国アナポリス海軍研究所『ラニカイ号の巡洋航海 ── 戦争への挑発』)
「いかに日本を操り、我々の損害は少なくし、いかにして最初の一発を撃たせる様にし向けるかが問題だ、とローズヴェルト大統領は語った。」(スチムソン・米国陸軍長官の日記より)
そんなローズヴェルトでしたから、「真珠湾攻撃」の一報が入った時には、さぞかし狂喜乱舞した事でしょう。しかし、それは「糠(ぬか)喜び」でした。「真珠湾攻撃」の1時間20分も前に、「宣戦布告」無きまま、米軍が日本潜水艦に対して「先制攻撃」をしていたのですから・・・。それに、実際に蓋を開けてみたら、甚大な艦船と人的被害を受けたことに、ショックを受けたことでしょう。チャーチルもプリンス・オブ・ウェールズが日本軍によって撃沈されたときは、顔面蒼白になったようです。その頃の世界の常識では、日本がたとえ攻撃してきたとして、どうせまともな航空機もつくれない後進国のやることだから、軽微だろうというのが定説だったと思います。まさか、その後自国の軍隊も甚大な被害を受けつつ何年間も戦い続けなければならなくなるとは思っていなかったでしょう。上は、Google Earthで見たパールハーバーの様子。
しかし、この史実日本の外交ベタおよび情報戦ベタを現しているような気がしてなりません。潜水艦を撃沈されたとき、日本は、全世界に向けて、「大日本帝国ノ海軍潜水艦ガ公海上ニテ、アメリカノ駆逐艦ニヨリ撃沈サレタリ」という第一報を打電すべきだったでしょう。また、戦線布告のタイミングも、文書が間に合わなければ、口頭で伝えて、文書を後回しにすれば良かったのです。さらに日本内外に「日本帝国海軍は、〇〇時、アメリカ海軍駆逐艦ノ攻撃ヲ受ケ、コレヲ防御スベク、戦闘状態ニイレリ」などの情報を流すべきだったでしょう。情報戦による失敗です。外交と情報戦で失敗したために、未だに日本は、先制攻撃を仕掛けたなどという間違った歴史が定着してしまったのです。イラクが核兵器を持っているなどという、ブッシュ現大統領の狂言と同じです。
当時世界最大級の空母赤城から、発艦した99式艦上爆撃機から撮影した赤城の写真。
いずれにせよ、過去の歴史に「タラ、ネバ」はないので、しょうがないことですが、中国、北朝鮮、アメリカ、ヨーロッパ諸国、ロシア等の国々は、日本がなぜ大東亜戦争という一見無謀な戦争に踏み切ったかをもう一度良く考えてみる必要があると思います。
それと、中国や北朝鮮のような国は、先進国を本当に怒らせるとどのようなことになるのか、もう一度冷静に客観的に考える時期に来ていると思います。イギリスのフォークランド紛争への対処を見てください。軍事的には、落ち目のはずのイギリスですら、アルゼンチンに対してはあのような厳しい態度をとったのです。
あの戦争あまり報道はされてはいなかったですが、実際の戦闘はすさまじかったそうです。最前線で戦ったのはネパールのグルカ兵です(wikipediaでフォークランド紛争を調べてもグルカ兵のことは一行も触れていない)。彼らは、勇猛果敢で知られていますが、あの独特のⅤ字型の刀で、アルゼンチン兵の首を相当落としたそうです。降参する大隊に対しても、艦砲射撃や、ハリアー艦上爆撃機(垂直離着陸機(V/STOL機))による容赦のない攻撃を行い、完膚なきまでに打ちのめし、その後で戦意を失って降伏しようとする兵隊まで降伏させずに戦わせて首をそぎ落とし、さらにその有様を本国に伝えるために、生き証人を用意して、アルゼンチン本国に送り返したそうです。実体はアルゼンチン側にとっては、断末魔の地獄といっていい有様だったようです。帰国した生き証人の話を聴いたアルゼンチンの人々は、その話を聴いて凍りついたそうです。少なくとも今世紀中には、もう二度とアルゼンチンは、イギリスに対して反旗を翻すことはないでしょう。上はグルカ兵の刀
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