2018年3月31日土曜日

トランプ氏、次は米韓同盟破棄か 「反米・親中・従北」の文在寅政権への強い不信感 接近する中朝韓に対抗し「日米台連携」も―【私の論評】韓国より台湾のほうが日米のシーパワー強化拡張に有利(゚д゚)!

トランプ氏、次は米韓同盟破棄か 「反米・親中・従北」の文在寅政権への強い不信感 接近する中朝韓に対抗し「日米台連携」も

トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領は、衝撃の「外交カード」を切るのか-。5月に見込まれる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談で、恒久的な「朝鮮半島の非核化」を条件に、「米韓同盟破棄」を容認する可能性が指摘されている。背景に「反米・親中・従北」という韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権への強い不信感がある。26日の中朝首脳会談や、4月27日の南北首脳会談を横目に、米国は台湾への「軍事的プレゼンス」を高めるとの観測もある。「完全な非核化」のハードルは高いなか、接近する中朝韓に対抗し、「日米台連携」による東アジアの安全保障体制が構築される可能性もある。

 「北朝鮮が、完全で検証可能かつ不可逆的な方法で核放棄をすることと引き換えに、トランプ氏が在韓米軍の撤退に応じることはあり得る。その場合、日本が朝鮮半島と対峙(たいじ)する最前線となり、日米同盟の一層の強化が求められる」

 国際政治学者の藤井厳喜氏は、衝撃の予測事態を提示した。

 トランプ氏の文政権に対する不信は根強い。

 昨年9月の日米韓首脳会談直前、文政権は突然、北朝鮮に800万ドル(約8億9000万円)相当の人道支援目的の拠出を決定した。平昌(ピョンチャン)冬季五輪に際しては、米国が制裁対象としている正恩氏の妹、与正(ヨジョン)氏の開会式出席を容認したほか、期間中の米韓合同軍事演習の見送りも強く主張した。

 藤井氏は「米韓同盟の破棄は、日本にとって、必ずしも悪いことではない」と指摘し、続けた。

 「米国は、『従北』の韓国に配慮する必要がなくなり、日本との同盟関係を一層重視する。今後は、軍事的膨張を続ける中国に対抗し、日米両国が台湾の安全保障に協力する方向に進むだろう」

 日本と台湾の交流を進める「日本李登輝友の会」の柚原正敬事務局長によると、同会は近く、「日米の安全保障に関する共同訓練に台湾を参加させるべきだ」と、日本政界に提言するという。

 実は、米国と台湾は最近、急接近している。

 米台高官らの相互訪問を促す「台湾旅行法」が16日、米国で成立した。すでに、アレックス・ウォン米国務次官補代理(東アジア・太平洋担当)や、イアン・ステフ米商務次官補代理が訪台し、エド・ロイス米下院外交委員長(共和党)も27日、台湾の蔡英文総統と総統府で会談した。

 米台関係の強化を図る取り組みは、軍事レベルでも進んでいる。

 新しい大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に内定したジョン・ボルトン元国連大使は昨年1月、米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿した論文で「台湾への米軍駐留」を提言した。

 もし実現すれば、中国が軍事拠点化を進める南シナ海や、中国海軍が沖縄県・尖閣諸島周辺への進出を繰り返す東シナ海での有事に、迅速に対応することが可能になる。

 現在、台湾の米国大使館に相当する「米国在台湾協会」(AIT)台北事務所が建て替え工事中だが、完成後、世界各国の大使館、領事館の警備を担当している海兵隊が警備を担当するとの情報もある。

 前出の柚原氏は「これが実現すれば、台湾も、主権国家並みの位置づけになる。AITの新たな台北事務所は今年6月に開所式が開かれるが、海兵隊は数百人規模になるともいわれている。米国の『台湾重視の象徴』となり、軍事や経済で脅威を増す中国への揺さぶりになるだろう」と話す。

 当然、米台の接近に、中国は神経をとがらせている。

 中国情勢に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏は「習近平国家主席は『台湾統一』を成し遂げたい。正恩氏と会談したのも、『北朝鮮との関係悪化を解消し、台湾問題にシフトしたい』という意志のあらわれではないか」と分析し、続けた。

 「中朝首脳会談で『非核化』が議題になったと伝えられるが、そう単純ではない。習氏は、北朝鮮に『核・ミサイル』を開発させ、台湾牽制(けんせい)の拠点にすると伝えられた江沢民元国家主席時代の再来を狙っている可能性がある。日本は米国を通じて台湾と緊密に連携していく必要があるが、台湾の軍部には中国系スパイがはびこり、情報漏洩(ろうえい)のリスクがある。慎重な対応が必要だ」

 台湾は、日本と東アジアの平和と安定を確保するための「生命線」(藤井氏)だ。東アジア情勢は、さらなる変化を遂げそうだ。

【私の論評】韓国より台湾のほうが日米のシーパワー強化拡張に有利(゚д゚)!

米国が第二次大戦後、太平洋西部に配置した防衛線は、かつて「アチソンライン」と呼ばれました。アチソンラインはハリー・トルーマン大統領のもと、国務長官に就任したディーン・アチソンが共産主義を封じ込めるために考案したもので、アリューシャン列島から宗谷海峡、日本海を経て、対馬海峡から台湾東部、フィリピンからグアムにいたる海上に設定されました。

アチソン国務長官は、この防衛線を「不後退防衛線」と呼び、もし、共産主義勢力がこのラインを越えて東に進出すれば、米国は軍事力でこれを阻止すると表明しました。当時はランドパワーのソビエトが海洋進出を推し進めようとしていた時期であり、これを阻止するための米国の地政戦略がアチソンラインでした。

ただ、このアチソンラインには重大な欠陥がありました。朝鮮半島の韓国の防衛や台湾の防衛が明確にされておらず、むしろこれらの地域を避けるように東側に防衛線が設定されていたため、誤ったメッセージを発信してしまったのです。北朝鮮が、このアチソンラインの意味を読み誤り、米国が朝鮮半島に介入しないと解釈したことが朝鮮戦争の引き金をひくことになったというのが定説です。

このように、はなはだ評判の悪い防衛線ではありましたが、現代でも米国は海軍の艦艇をこのアチソンラインに沿った海域に定期的に展開させており、海上の防衛線と言う意味では、アチソンラインはいまだに米国の安全保障戦略の中に息づいていると言ってよいです。

ただ、現代では、韓国と台湾はいずれも米国の防衛の対象とされていますから、現代の「新アチソンライン」は、アリューシャン列島から宗谷海峡、朝鮮半島の中央を突き抜けて、東シナ海から台湾海峡を通り、南シナ海へ抜けるルートであると解釈すべきでしょう。実際、米国の海軍艦艇は、現代でも、この線の東側で活動するのが一般的であり、西側に進出することはほとんどないです。



一方、これに対抗して中国が1990年代に設置した防衛線が、第一列島線と第二列島線であす。第一列島線は、九州を起点として南西諸島、台湾、フィリピン、ボルネオ島に至る防衛線であり、中国は有事の際、第一列島線より西側は中国が支配することを狙っているといわれています。一方、第二列島線は、伊豆諸島から小笠原諸島、グアム、サイパン、パプアニューギニアに至る防衛線であり、中国は有事の際、第二列島線より西側に、米国の空母攻撃部隊を接近させない方針だといわれています。

つまり、米国の防衛線、新アチソンラインよりはるか東側に中国は二重の防衛線を設置していることになる。この米国の新アチソンラインと中国の2つの列島線に挟まれた海域こそ、日米と中国の利害が真っ向から衝突する海域ということになります。

そうして、この海域には、日本の生命線であるシーレーンが集中しています。シーレーンは中東方面から物資を日本に輸送する船が航行する海上交通路であり、日本の輸入する原油の90パーセント近くが、中東からシーレーンを通って運ばれてきています。

シーレーンは、インドネシア周辺のマラッカ海峡から南シナ海を経由して、バシー海峡から太平洋に入り、南西諸島の東側に至り、日本本土に達するルートか、もしくは、インドネシアのロンボク海峡から、フィリピンの東側の太平洋を北上して、南西諸島に通じる遠回りのルートの2つがあるが、いずれも南西諸島の東沖で合流し、日本本土へ達します。つまり、南西諸島の東側の海域は、日本のシーレーンが集中する海域であり、日本の死活的利益がここにあります。

そして、まさにその海域で米国の防衛線と中国の防衛線が向かい合っています。米国の新アチソンラインは南西諸島のすぐ西側を台湾海峡に向かって南下し、これに対する中国の第一列島線は、まさに南西諸島そのものに設置されています。

南西諸島は、日本の九州から台湾にかけて連なるおよそ1200キロに及ぶ長大な島嶼群ですが、そのほぼ中央に沖縄本島が位置し、そこに米軍基地が集中しているのです。つまり、日本の生命線の中心に米軍は駐留していることになります。

このように、地政学的に見た場合、沖縄を中心とした南西諸島周辺は、日本にとってシーレーンが集中する戦略的要衝であると同時に、米国と日本という太平洋の二大海洋国家・シーパワーと、中国という新興の内陸国家・ランドパワーのせめぎ合いの場であり、その中心に位置する沖縄がいかに日本や米国にとって重要な戦略拠点であるかはこれ以上の論を俟たないでしょう。

そうして、台湾も沖縄本島近くでありながら、第一列島線よりも左側にあり、より大陸中国に近い位置にあります。

韓国と台湾の違いは何かといえば、韓国は半島とはいいながら、大陸と陸続きです。大陸に属する国は、ランドパワーを蓄積することになります。台湾、沖縄、日本は島嶼です。島嶼に位置する国は、シーパワーを蓄積することになります。



ランドパワーとシーパワーのいずれが強いかということは、単純に比較することはできませんが、過去においては、欧州の大陸国家に長期間優位を保ち続けてきたイギリスをみれば、シーパワーのほうが強そうです。

そうして、それは現在でもそうです。明らかにシーパワーです。世界の勢力図を見れば明らかです。

そもそも、シーパワーはランドパワーの上位互換の概念です。米国は本来陸軍国でしたし、過去の日本もそうでした。ランドパワー国家が資本を蓄積して海軍を充実させ得た状態がシーパワーであって、シーパワーは、地理的要因によるものだけではありません。

シーパワー国家は海軍より先に、他国に比し突出した資本が存在していたのです。要するにもともと強い国。

ただ、島国の場合は、昔からシーパワーを蓄積してきた歴史があるということです。現在は中国がそれを目指して努力しています。ただし、シーパワーは資本を蓄積したからといってすぐに蓄積されるものではなく、長い間の経験とノウハウの積み上げが必要不可欠です。

シーパワー国家は自身が地域ナンバー1の強者なので、自分と同等に近い、大陸ナンバー1を仮想敵に据えます。すると何が起こるかというと、大陸ナンバー1の一国を相手にするだけで、周辺国をすべて味方にできます。その方が安全保障上も、通商上も都合が良いし、孤立せず常に大陸に影響力を発揮できるからです。

さて、このあたりを考慮すると、韓国のシーパワーは確かに脆弱です。そもそも、総合的な軍事力で脆弱なのですが、その中でも海軍力は脆弱です。とはいいながら、大陸に地続きであるといことから、ランドパワーをおろそかにすることはできません。となると、どうしてもシーパワーは中途半端にならざるを得ません。北朝鮮には核があるだけで、シーパワーは無きに等しいです。

台湾も、現状では軍事力が脆弱ですが、それでもボルトン氏が提唱するように、米軍が駐留するようになれば、話は違ってきますし、それに経済的にも大陸中国よりは一人あたりGDPも大きいわけですから、これからシーパワーを蓄積することも可能です。

台湾海軍

シーパワー国である、日米が韓国と台湾を比較した場合、どちらの同盟関係を強化したほうが良いかといえば、明らかに台湾のほうが、シーパワーを総合的に拡張するという面では有利です。

ただし、韓国はやはり、中国陣営と直接接するのでなく、緩衝地帯としての価値はあります。だから、すぐに韓国から米軍を撤退させるべきではないと思います。緩衝地帯があるとないとでは、かなり安全保証面での考え方が異なります。特に、日本にとっては、韓国という緩衝地帯があるということは重要でありなおざりにはできません。

ただし、台湾と韓国を比較すれば、明らかに日本にとっても、台湾のほうが価値が高いです。台湾を中国領にされることは、日米にとって、シーパワーの拡張の機会を失うことになります。

日米が、台湾との同盟を強化すれば、未だ脆弱な中国のシーパワーを封じ込めることにかなり有利になります。

やはり台湾は大陸中国から守り抜き、日米台の同盟を強化すべきでしょう。そうして、ブログ冒頭の記事に掲載されているように、"「完全な非核化」のハードルは高いなか、接近する中朝韓に対抗し、「日米台連携」による東アジアの安全保障体制が構築される可能性"も十分にあり得ます。

米国は、韓国から米軍を引き上げ、日米台の同盟を強化し、台湾には米海兵隊を駐留させるとともに、日米艦船が台湾に頻繁に寄港したり、駐留させることにより、中国のシーパワーを封じ込めることには、余程大きく寄与するかもしれません。

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2018年3月30日金曜日

中朝“血の同盟”にトランプ氏激怒 軍事オプションに障害…「核・ミサイル開発」時間稼ぎ許す恐れも―【私の論評】米による北核関連施設爆撃の可能性は捨てきれない(゚д゚)!

中朝“血の同盟”にトランプ氏激怒 軍事オプションに障害…「核・ミサイル開発」時間稼ぎ許す恐れも

急接近した習氏と正恩氏に、トランプ氏(写真)は警戒を強めている

 ドナルド・トランプ米政権が、中国と北朝鮮に冷徹な目を注いでいる。習近平国家主席と、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による電撃的な中朝首脳会談で「朝鮮半島の非核化」が話し合われたが、北朝鮮には「核・ミサイル開発」を放棄する兆候がまったくないからだ。「中朝軍事同盟復活」と「在韓米軍撤退」の謀略とは。米国は、北朝鮮への不信感を高めており、さらに対北圧力を強化するとの見方もある。

金正恩夫妻と習近平夫妻 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 「昨晩、習氏から『正恩氏との会談は非常にうまくいき、正恩氏が私との会談を楽しみにしている』というメッセージを受け取った。ただ、残念ながら、それまでの間、最大限の制裁と圧力(maximum sanctions and pressure)は、何としても維持され続けなければならない!」

 トランプ氏は28日、自身のツイッターにこう書き込んだ。

マイク・ポンペオ氏

 中国と北朝鮮が急接近した背景には、米国主導の対北制裁が効果を発揮していることに加え、トランプ大統領が、次期国務長官にマイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官を指名し、大統領補佐官(国家安全保障担当)にジョン・ボルトン元国連大使を内定するなど、軍事的選択肢を排除しない対北強硬派を抜擢(ばってき)したことが大きそうだ。

ジョン・ボルトン氏

 トランプ氏の投稿は、それを裏付けている。ツイッターでは「会談が楽しみだ!」と、対話による北朝鮮の「核・ミサイル開発」放棄にも期待を寄せたが、「最大限の圧力維持」という表現には、中朝の急接近への「警戒感」もうかがえる。

 現に、中国国営・新華社通信の記事で、習氏は「われわれ双方は『中朝の伝統的友誼』を絶えず伝承していくべきだと何度も表明している」といい、正恩氏は「金日成(キム・イルソン)主席と、金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺訓に従って、『朝鮮半島の非核化』実現のために尽力することは、われわれの変わらない立場だ」と語ったと伝えられた。

 これは極めて危険だ。

 「中朝の伝統的友誼」とは、朝鮮戦争を通じて血で固められた「血の友誼(ゆうぎ)」を意味するとみられる。正恩氏の最高指導者就任後、中朝関係は冷却化した。中国では中朝友好協力相互援助条約の「参戦条項」の無効を主張する声もあったが、復活した可能性が高い。米国が軍事オプションを選択する際の大きな障害となるのは確実だ。中朝接近を示すかのように、会談では習氏の訪朝も決まった。

 「朝鮮半島の非核化」には、北朝鮮の「核・ミサイル開発」の放棄だけではなく、その延長上に「在韓米軍の撤退」も視野に入っている。正恩氏が5月の米朝首脳会議でこれを持ち出し、「従北」といえる韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が支持しかねないのだ。

 「北朝鮮主導の朝鮮統一」もあり得る展開だが、正恩氏の発言は簡単には信用はできない。

 北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信は中朝首脳会談は伝えたが、正恩氏の「『朝鮮半島の非核化』実現のために尽力する」という発言には、まったく触れていない。

 そもそも、正恩氏は2012年に修正した憲法に「核保有国」と明記している。北朝鮮にとって核保有は「国是」である。国際社会との取引材料も「核」しかない同国にとって、核は体制維持の生命線なのだ。

 北朝鮮の核開発継続を示す動きもある。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は27日、北朝鮮・寧辺(ニョンビョン)の核施設にある実験用軽水炉(ELWR)の試験運用が始まった兆候が確認されたとする、商業衛星写真(写真下)に基づく分析を伝えた。



 中朝首脳会談をめぐる、北朝鮮と中国の思惑も、実に疑わしい。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「北朝鮮としては、南北首脳会談や米朝首脳会談に向けて、中国という『虎の威』を借りて自らの立場を強くする狙いだろう。中国は、米中貿易戦争の兆しもみえるなか、北朝鮮との太い関係を見せつけることで、『われわれ中国を敵に回せば、米朝首脳会談も思い通りにならない』という米国へのメッセージを示したのではないか」と話す。

 「対米けん制」で利害が一致した両国だが、北朝鮮に「核・ミサイル開発」の時間稼ぎを許す恐れもありそうだ。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「中国は、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の議長国だ。中朝韓で『6カ国協議を再開するから、制裁を一部解除してほしい』と言い出す恐れも考えられる。ただ、(新しい米大統領補佐官の)ボルトン氏は『(北朝鮮の)非核化はリビア方式以外にはない』と公言している。リビア方式とは、情報機関の人間が入って核査察を実施することだ。これでリビアは核物質だけでなく、ミサイルと化学兵器物質も出した。対北強硬派がトランプ氏の側近に就くので、米国がだまされる可能性は減るだろう」と語っている。

【私の論評】米による北核関連施設爆撃の可能性は捨てきれない(゚д゚)!

北朝鮮は、これまで何度も核放棄をするといいつつ、騙してきたことは、先日もこのブログに掲載しました。以下に、北朝鮮による騙しの歴史をこの記事から引用します。

1994年:米朝協議
アメリカが軽水炉2基の建設を支持し、重油も提供。その代わりに、北朝鮮が核開発を凍結することで合意。ところが、北朝鮮は裏で核開発を続け、後に核兵器の保有を表明
2005年:6か国協議で北朝鮮が全ての核兵器を放棄することを約束
しかし、2006年10月に北朝鮮は初の核実験を実施
2007年:6か国協議で寧辺(ニョンピョン)核施設の閉鎖・封印を約束
しかし、北朝鮮は核実験・ミサイル発射など挑発行為を継続
2012年:米朝合意 ウラン濃縮や核実験の一時停止
しかし、2013年に北朝鮮は核実験を実施
北朝鮮は過去4回も、騙しています。2005年には、6カ国協議で寧辺核施設の閉鎖・封鎖を約束したにもかかわらず、北朝鮮は核実験・ミサイル発射の挑発行為を継続しました。そうして、ブログ冒頭の記事にもあるように、寧辺の核施設にある実験用軽水炉(ELWR)の試験運用が始まった兆候が確認されています。



このような状況で、米国がまた騙されるということは考えにくいです。そこで金正恩としては、今度は中国の保証を取り付けて米朝首脳会談に臨む作戦でしょう。

しかし、米朝首脳会談には間違いなく、ボルトン氏も随行するでしょう。

米国のラジオ自由アジア電子版は3月23日、ボルトン次期大統領補佐官( 国家安全保障問題担当)がインタビューで、米朝首脳会談を提案した北朝鮮について「非核化に真剣ではなく(核・ミサイル技術向上のための)時間稼ぎをしていると思う」と語ったと報じました。

ボルトン氏は「北朝鮮が非核化に向けた真剣な話し合いをする用意がないなら、首脳会談は短時間で終わるだろう」と述べ、核放棄を要求しました。インタビューはボルトン氏の補佐官起用発表前の19日に実施されました。北朝鮮への軍事攻撃について「誰も求めていない」とする一方で「北朝鮮に核兵器を持たせるのも誤りだ」と訴えました。

元米国国連大使で、超タカ派のネオコン(Neoconservatism、新保守主義〕ジョン・ボルトン氏は2年前、トルーマン元大統領の原爆投下について「トルーマンがしたことは、私からしてみれば、軍事的に正しかっただけではなく、道徳的にも正しかったのです」と明言し、波紋を呼んでいました。

ネオコンとは直訳すると、新保守主義者という意味ですが、これまでの保守主義が経済政策は産業保護、社会政策は伝統主義だったのに対して、経済政策は自由主義、社会政策は伝統主義というのが新保守主義と言われています。

ボルトン氏はイランや北朝鮮に対する軍事力行使を支持したタカ派で、ロシアに対しても強硬路線を主張しました。昨年は、在沖縄米軍の台湾への一部移転を提案しています。
69歳のボルトン氏がジョージ・W・ブッシュ政権時代に国務次官(軍備管理担当)を務めた際には、2003年のイラク侵攻を主唱。ここ数年は保守派の論客として北朝鮮の核問題に対して強硬姿勢をとるよう主張しているほか、15年のイラン核合意の破棄も訴えています。

ボルトン氏はワシントンでは乱暴な人物として知られ、官僚時代は内部闘争を繰り広げました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代、国務省の彼の机の上には、信管を外した手投げ弾が置かれていました。


2007年に出版した回顧録のタイトルは、「Surrender Is Not An Option(降伏は選択肢にあらず)」。最も好む批判対象には、イランや北朝鮮、国連や欧州の各国政府、国際条約などが含まれます。

このネオコンは軍産複合体と結託して、攻撃的・好戦的なタカ派を形成しています。この新保守主義は、トランプの支持層でもある保守主義とは異なります。米保守主義では、米国がソ連と対峙していた日本を攻撃したのは間違いであり、だからこそその後ソ連の台頭をまねき、今日北朝鮮の核の脅威にさらされることになったり、中国の台頭を招いたとしています。

米朝首脳会談を伝える韓国メデイア

ボルトン氏の日本の見方はどのようなものなのか、気になるところです。ただし、中国に対しては強硬派であることは間違いないです。
米朝会談で、トランプ大統領に「核武装を放棄しろ」と言われれば「そうする」と金正恩委員長は答えることでしょう。しかし、横からボルトン大統領補佐官)が「証拠を見せろ」と迫れば「核関連施設に中国の査察を受け入れる。中国なら信用できるだろう」と言い返すことになるでしょう。

トランプ政権はそれで納得することはないでしょう。ただし、時間稼ぎにはなる可能性はあります。

しかし、新たに大統領補佐官に就任したボルトン氏も、国務長官に指名されたポンペオ氏も北朝鮮の手口は知りつくしています。容易には騙されることはないでしょう。

そもそも北朝鮮が時間稼ぎに利用してきた6カ国協議も、中国が主導しました。中国も「時間稼ぎ」の共犯者なのです。

中国を巻き込んだ「朝鮮半島の非核化」で米国を騙せるとの自信は北朝鮮にもないでしょう。軍事的な圧迫と経済制裁が強化される中で、金正恩はワラにもすがる気持ちで、最後のカードを切ったということだと考えられます。

この状況が変わらない限り、米朝首脳会談を開催したとしても、米国の北朝鮮への軍事攻撃、特に核関連施設に対する爆撃は大いにあり得るものと見ておくべきです。

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2018年3月29日木曜日

トランプ氏に面子つぶされた習氏 中国は過剰債務と高インフレの懸念、日本は漁夫の利得る可能性も―【私の論評】貿易赤字自体は問題ではない!問題の本質は別にある(゚д゚)!

トランプ氏に面子つぶされた習氏 中国は過剰債務と高インフレの懸念、日本は漁夫の利得る可能性も 高橋洋一  日本の解き方

トランプと習近平

 トランプ米大統領は、中国が米国の知的財産権を侵害しているとして、通商法301条に基づき追加関税やWTOへの提訴、中国企業の米国投資制限などを打ち出した。中国も対抗措置を打ち出すとして一時、株価下落を招いたが、米中間の本格的な貿易戦争となるのか、ディール(取引)の一種なのか。

 トランプ大統領がディールの一種だと考えていたとしても、中国は面子(メンツ)の国である。特に、習近平国家主席の「独裁皇帝化」のスタート時にトランプ氏が仕掛けてきたわけで、習氏としても売り言葉に買い言葉ですぐに報復措置を打ち出した。当面は、米中間の貿易戦争の様相である。

 この貿易戦争の損得を考えてみると、経済的には中国の方が分が悪い。米国の対中輸入額は対中輸出額の4倍なので、米中の貿易が仮にゼロになったとすれば、中国経済への打撃は米国より大きいだろう。特にそれぞれの雇用に与える影響を考えると、中国の方が米国より雇用喪失の可能性が大きい。

 米国が中国から輸入しているものは、他国からの輸入で代替可能なものが多いが、中国が米国から輸入しているものは自国生産や他国からの輸入で代替できないものが多いので、この点からも中国への打撃は小さいとはいえない。

 この場合、日本は漁夫の利を得る可能性すらある。鉄鋼では当面米国の制裁対象となっているが、その他の製品では、米中が互いに貿易制裁すると、米中は日本との交易で米中間の貿易の減少を補おうとするからだ。

 しかも、政治的な観点でも、米国の方が中国よりメリットがある。というのは、トランプ氏は、大統領選の際の公約を実施しただけであり、公約を守る大統領としてトランプ支持層をしっかり捉えることで再選への道も開けるからだ。

 それに対して中国は習氏の新体制の出ばなをくじかれた格好となった。現在の中国の最大の懸念は、本コラムで紹介したように過剰債務問題である。これをうまく処理するには、生産の拡大が持続することが必要である。そのために、輸出によって国内の余剰生産を海外でさばくことが必須だ。それなのに、輸出の道を閉ざされたら、中国での過剰債務問題がいつ爆発しても不思議ではなくなる。

 米国以外への輸出増のためにも、中国は人民元の切り下げをしてくるだろう。まさに貿易戦争の兆しである。

 他の先進国では変動相場制でインフレ目標があるので、際限のない通貨の切り下げにはならない。しかし、中国は事実上固定相場であり、政府が通貨価値を管理する。しかも、インフレ目標もないので、通貨切り下げは結果として中国国内のインフレ率を高めるだろう。

 そうなると、過剰債務問題のはけ口としての外需拡大がどこまでできるか、インフレ率の上昇に国民がどこまで耐えられるか、中国政府にとってはギリギリのところだ。当分の間、世界経済は米中貿易戦争の混乱に巻き込まれざるを得ない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】貿易赤字自体は問題ではない!問題の本質は別にある(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にも、米中の貿易戦争が、米国に有利なことを数字をもって、示されいましたが、その他にもこれを如実に占める数字があります。GDPに占める輸出の割合をみると、米国は数%すぎませんが、中国は30%を超えています。米国からみれば、そもそも輸出そのものが少ないわけですから、その中の対中国ということになれば、ほんとうにわずかな数字でしかありません。

さらに、中国の輸出先は香港が一位であり、米国は二位ですが、香港は統計上は中国とは別ですが、中国の一部のようなものであり、実質的には米国が第一位です。

これは、どう考えても、米中が本格的に貿易戦争に突入したとすると、中国には圧倒的に不利です。

さて、米国内では、2018年1月の米国の貿易収支統計がかつてないほどの注目を集めました。それは、トランプ大統領が、危険なほど断固とした口調で、鉄鋼とアルミニウムを対象とした輸入関税引き上げを表明した直後に発表されたからです。

2018年1月の米国の貿易赤字は、2008年10月以来、単月ベースでは過去最高の566億ドルに達しました。

米国の対中国輸出入金額(過去12ヵ月間合計)
出所:ピクテグループ、米国国勢調査局

また、「政策の争点」とも言えそうな対中国貿易赤字(季節要因調整前)は、2015年9月以来の水準である360億ドル、2018年1月までの12ヵ月間でも3,799億ドルとなりました。

問題は、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税引き上げに関するトランプ大統領の突然の表明がや、その他通商法301条に基づき追加関税やWTOへの提訴、中国企業の米国投資制限を打ち出したことなどが、秋の中間選挙を意識した、支持層の歓心を買うための政治的駆け引きに過ぎないのか、それとも、追加輸入課税(ならびに全面的な貿易戦争に発展するリスク)措置を伴う米国の通商政策の「本物の」レジーム・シフト(体制の急激な変化)を意味するものなのか、ということです。

トランプ大統領の助言役(経済政策の司令塔)だったコーン国家経済会議(NEC)委員長の辞任を含め、足元で政策のより大きなシフトが起こるリスクは増しつつありますが、大統領の表明は、選挙前の政治的駆け引きに過ぎないとも考えられます。

トランプ大統領は、貿易収支が重要だと信じ込んでおり、中国など、一部の国が貿易のルールを守らないのだから、赤字をなくすには輸入品からの保護が必要だと言って譲らないようです。

問題なのはトランプ大統領の見解が正しいか否かは別としても、増加の一途を辿る中国からの輸入は、大統領に輸入制限発動の更なる口実を与えるリスクにもなりかねないことです。

貿易赤字そのものは、このブログに掲載してきたように、家計の赤字のようにみなして、赤字そのものが悪いことのように言うのは間違いです。たとえば、通常景気が良いと輸入は増えます。

ある年の輸出総額が1000億だったとして、輸入総額が900億なら100億の貿易黒字です。次の年輸出が900億に落ち込み、輸入は1000億に伸びたので貿易収支は100億の赤字になったとします。

あるいは、次の年輸出が仮に1100億に伸びたとして、輸入も1200億に伸びていたら貿易収支は100億の赤字になります。

さて、貿易赤字は良いことでしょうか、悪いことでしょうか。正解は、「貿易収支だけを見ても分からない」です。

輸出が増えれば輸出企業が儲かります。輸入が増えれば輸入企業が儲かります。輸入エネルギーや輸入食料の高騰が貿易赤字の原因なら確かに貿易赤字は悪いことといえそうですが、それ以外の場合は、「貿易赤字=悪」とはいえません。一国の経済にとって、貿易赤字などよりも、重要なのは、景気が良いか悪いかということです。

貿易黒字が大幅に出ていても、景気が悪いとか、貿易赤字が大幅に出ていても景気が良いということはおうおうにしてあります。そのときどきで、良いか悪いかを判断すべきものであって、赤字だから悪い、黒字だから良いと単純に判断することはできません。

このことをトランプ氏は良く理解していないようです。このような基本的なことを理解していなければ、TPPなどの自由貿易協定も良くは理解できないでしょう。



そのためでしょうか、トランプ大統領は大統領選挙のときから、TPPを脱退すること公約にしていました。そうして、実際に大統領に就任すると、脱退しました。ところが、TPPに復帰する可能性があることを公表しました。

しかし、貿易赤字についてのトランプ大統領の認識からすると、TPPへの理解など覚束ないようではあります。中国は社会構造的にみてもとうていTPPに加入することはできないですし、結果として中国封じ込めにもなることに気づいたということだけかもしれません。

中国は知財を軽視する傾向にあることは確かですし、そもそも中国自体が、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が十分なされておらず、労働者の権利など守らていないという現実があります。

そのため、労働者を不当な低賃金や、条件で働かせて、その結果他国の労働者の権利を守っている他の国々に比較すると、不当に低い価格で輸出する傾向があるのは否めないです。

たとえば、アップルの中国での生産現場がひどい環境にあることは以前から報じられていましたが、マイクロソフトも例外ではありません。

National Labor Committee(NLC)のレポートではマウス、ウェブカム、Xboxの周辺機器を製造する会社KYEでの劣悪な労働環境を告発しています。KYE社はマイクロソフトを筆頭にHP、ベストバイ、サムソン、Foxconn、エイサー、ロジテックにアスースなど名だたるメーカーへの納入実績があり、K-Martでは自社ブランドGeniusとして販売しています。

劣悪な労働環境で働く中国の労働者

上の写真は、KYE社のものですが、これを見るだけでも異様な雰囲気ですが、実態はさらに深刻でした。

工員は16歳くらいの勤労女子高生が多く、午前7:45から午後10:55までの長時間労働に加え、時給0.65ドル。食事代は天引きされて実質時給0.52ドルという凄まじいものでした。

これらは、米国の製品を組み立てる工場なので、明るみに出たものと考えられますが、中国の企業や、地方などでは、さらに酷い事例もあります。

トランプ大統領は、貿易赤字そのものが悪いなどというトンデモ理論は捨て去り、中国を批判するなら、このようなことで批判し、批判しても是正されないというのなら、これらを是正する方向で制裁を課すべきです。

貿易赤字だからといつて、それだけで相手を批判したり、制裁を課すのは、自由貿易を阻害するだけです。特に、中国よりははるかに労働者の権利を守ってる国々に対して、制裁をするのは間違いです。そのようなことをすれば、自由貿易を阻害するだけです。

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2018年3月28日水曜日

叩きたいあまり、反安倍以外のコメントはボツ 官僚を上げたり下げたり…ご都合主義なメディアの人々―【私の論評】政治とは政党と官僚との化かし合いという現実を忘れるな(゚д゚)!

叩きたいあまり、反安倍以外のコメントはボツ 官僚を上げたり下げたり…ご都合主義なメディアの人々  高橋洋一 日本の解き方



 左派系メディアでは、天下り問題で文部科学省の事務次官を引責辞任した前川喜平氏が正義のヒーローのように扱われている。今回の決裁文書の改竄(かいざん)問題でも、佐川宣寿前国税庁長官を官邸の圧力の被害者のように印象づける動きや、デモで「官僚がんばれ」という人までいる。結論ありきのコメントを求めるメディアも含め、そこにはご都合主義があるように筆者には思えるのだが、いかがなものだろうか。

 ちょうど1年前であるが、文科省による組織的な天下り斡旋(あっせん)が問題になっていた。天下り斡旋は、国家公務員法違反である。これは文科省の調査報告書にも書かれているが、その法律は第1次安倍晋三政権時に成立したものだ。筆者はその企画に関わったが、当時、安倍首相が国会を延長してまでも成立に執念を燃やしたものだ。当然のことながら、天下りの主要路を断たれた官僚からは怨嗟(えんさ)の声があがった。

 実は、筆者はそこで退官したが、この流れをくむ公務員改革は続き、自民党政権末期に、自公と民主が歩み寄って、内閣人事庁などの公務員改革基本法の骨子ができ、第2次安倍政権になって、内閣人事局創設に至った。これらの公務員改革を当時のマスコミは絶賛し、天下りを批判した。1年前の文科省による天下り斡旋についても、マスコミは非難し、その首謀者である前川氏も批判されていた。

 ところが、左派系メディアは、加計学園問題で「総理の意向」と書かれた文科省文書の存在を認めた前川氏が安倍政権批判を始めると、手のひらを返したように持ち上げ始めた。ちなみに前川氏は、メディアで問題とされた新国立競技場の高額発注の責任者でもあった。


 今回の財務省による決裁文書の改竄も、公文書改竄という刑法にも触れうる問題である。それなのに、「佐川氏が忖度(そんたく)せざるをえなくなった」「内閣人事局があるから官僚が萎縮していた」など問題の本質からずれるコメントが目立った。

 政治家から指示があれば、それは刑法違反の共犯にもなりかねないので問題だ。しかし、政治家で決裁文書のことを知っている人はまずおらず、知らなければ指示はできないだろう。

 そこで、忖度とか内閣人事局の問題とかで、なんとか官邸が問題だということに持っていこうとしているのだろう。

 筆者は元財務キャリアで、官邸勤務経験もあるので、官邸への忖度があったのではないかというコメントをしばしばメディアから求められる。しかし、本コラムで書いているように、「財務キャリアが官邸に忖度することはまず考えられない」と言うと、メディアでは使えないコメントして扱われる。メディアはまず結論ありきで、それに合った人のコメントしか扱わないと思った方がいいだろう。

 安倍政権を叩きたいあまり、「反安倍」の人には手のひら返しでも無条件に賛同する一方、エビデンスに基づく客観的な話でも、「反安倍に使えない」と断定して無視するのは、おかしいと思う。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】政治とは政党と官僚との化かし合いという現実を忘れるな(゚д゚)!

官僚の果たしている役割とは何かといえば、政府の仕事を実行する事です。また、それを実行するための専門技術・能力を持っているのが官僚です。官僚制と言った場合は、政府全体の体型を指します。

官僚は、執行する側の人間ですから法律通りに前例通りに運営する事が至上命題です。これを、国民に代わり、「シビリアンコントロール」したり、官僚の命題である「法律」を新規に作ったり、改正したりするのが国民の負託と、立法権を持つ「政治家」です。

政治家は官僚をコントロールする為に官僚組織の長として君臨しますが、官僚のもう一つの指名「素人である政治家を補佐する」というものがあります。

素人であ政治家が国家百年の計を乱さないように、補佐するのも官僚の仕事なんですが、政治家が馬鹿だと、いわゆる官僚のレクチャーにより、官僚の都合の良いように政治家は洗脳されてしまいます。管理監督するはずの政治家が管理監督される側の官僚に管理監督されてしまうということがしばしば行われています。ただし、この方は政治家は楽であることはいうまでもありません。

この一番酷い事例は、財務省による増税路線でしょう。復興税、税と社会保障の一体改革による消費税の目的税化など、これらは理論的には破綻しています。

まずは、東日本大震災のような大きな自然災害があったときに、復興税で復興事業を実施するなどということは、古今東西に例をみません。

通常は、償還期間が100年程度の復興債で実施します。なぜなら、復興による工事により再建されたり新たなつくられるインフラなどは、震災を受けた世代だけではなく、後々の世代も使用するものだからです。負担を世代間で平等にわかちあうという趣旨で復興債を用いるのが普通です。

しかし、財務官僚は、ご説明資料などを用いて、政治家にレクチャーし、あたかも復興税がまともな政策であるかのように洗脳し、結局復興税を導入してしまいました。

税と社会保障の一体化による消費税の目的税化なども同じです。そもそも、税の目的税化など不可能です。たとえば、自衛隊が、税を払った人は防衛し、そうでない人は防衛しないとか、税を多めに払った人を優先的に防衛するなどということはできません。社会保険制度も同じことです。

こんなわかりきったことを曲げて財務省は、消費税を増税するために、これを正当化するご説明資料を作成し、政治家にレクチャーし洗脳しました。そのため、現状では、消費税を上げる必要性など全くないのですが、増税はしなければいけないと思い込む政治家がほとんどです。

証人喚問された元財務相理財局長だった佐川氏

ブログ冒頭の記事で高橋氏が批判している前川氏には、他にも多くの問題がありました。たとえば、前川氏は、平成27年9月に安保法制に反対した学生団体「SEALDs(シールズ)」などが国会前で行った集会に参加していたことを明かしていました。

前川氏は2時間近くに及ぶ講演の終盤近くになって、「ここだけ内緒の話ですけど」と前置きして「2年前の9月18日、国会前にいたんです」と切り出した。

前川氏は「集団的自衛権を認めるという解釈は成り立たない。立憲主義に反する」と主張。デモに参加した動機について「今日行かなきゃ、もうないと思ったんですね。その日は安保法制が参議院で成立した日ですから」と語りました。

当時、前川氏は文科省の審議官で翌年の6月、事務次官に就任した。公務員で、しかも省庁事務方のトップを担い、加計学園問題でも参考人招致を受け、今も積極的に発言している前川氏が、従来から安倍政権に批判的だったことを自ら認めた形です。人事院規則では国家公務員は政治的行為ができない事になっています。

一般職国家公務員の政治的行為の制限について

このようなことをして、平気の平左で、しかも自分から告白するような人物である、前川氏など、全く信用できないことはこのことだけでも、明らかです。

官僚は法律・体制の維持、その中での仕事の迅速制を追求します。政治家は法律の改正と、政策を実行するために官僚が立てた計画の変更することが仕事の本筋です。そのため、ある意味で政治家と官僚は、利益は相反する事ところがあります。

余程、政治家が自覚を持ち、勉強して動かないと良い意味でも悪い意味でも、官僚の専横を許してしまうことがあります。

また官僚は各省庁の組織の一員なので、政府の利益より、組織の利益を優先させたり、さらに悪い官僚の場合は、個人の利益を優先させたりすることになります。

これをシビリアンコントロールで排除するのが政治家の仕事なのですが、これができないと、全体的には政府全体が悪い方向へ行く場合もあります。

特に、三権分立の補完や監視が上手く行っていないとそうなります。ただし、官僚制そのものは民間でも広く使われている制度であるため、一概に官僚制度だけが悪いとはいえません。

では、日本の政治のどこが間違いなのでしょうか。それは、いくつもあるかもしれませんが、その中でも最大のものは立憲主義に基づいてた運営が行われていないということでしょう。

立憲主義の前提となるのが、政党の近代化です。それについては、以前このブログにも何度か掲載したことがあります。その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
立民、「首相の解散権制約」の不毛 民進“分裂騒動”の責任押し付けたいだけ 宇佐美典也氏緊急寄稿―【私の論評】立憲主義の立場からも首相の解散権は正しい(゚д゚)!
立憲民主党の枝野代表、実は彼こそ立憲主義とは何かを最も知らない人物かもしれません

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、近代政党に関する部分のみを以下に引用します。
近代政党には、三つの要素があります。 
綱領、組織、議員です。
明確な理念をまとめた綱領がある。綱領に基づいて全国組織が形成されます。全国の政党支部が議員を当選させます。その議員たちは政策の内容で競い合い、自由で民主的な議論で党首を決めます。選ばれた党首は直属のシンクタンクとスタッフを有し、全国組織に指令を下します。この条件に当てはめると、自民党は近代政党ではありません。無論、他の野党も、近代政党とは言い難い状況にあります。
自民党が有する最大のシンクタンクは官僚機構(実体は財務省主計局)ですが、ヨーロッパの政党は官僚機構に対抗できるシンクタンクを自前で揃えています。 
イギリスなどでは、自前でブレーンを用意して勉強した政治家だけが、党の出世階段を上ります。政治の世界の実体は、政党と官僚は化かし合いです。
イギリスの政党は、近代政党ですが、それでも失敗することもあります。たとえば、過去のイギリスでは、付加価値税(日本の消費税にあたる)を増税したのですが、その後若者雇用を忠信に雇用情勢がかなり悪化したため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)が大規模な金融緩和を実施したのですが、景気はなかなか回復しませんでした。

そのような失敗もあることはあるのですが、時々NHKBSのワールドニュースを見ている限りにおいては、日本の国会よりもはかにまともな国会運営がなされています。

政党が近代化されていれば、日本でも政治家が官僚に恒常的に化かされるということはないかもしれません。

それにしても、日本でいますぐまともな政策を立案できるシンクタンクを機能させることは無理かもしれません。いまのところ、やはり政治家には官僚に化かされない程度の知識を身につけることが最優先課題だと思います。

私達、有権者はそのような政治家を選ぶべきです。そのために、官僚にいつも化かされてばかりの、政治家は選挙で投票しないことです。

特に、増税を手放しで賛成するような政治家には絶対に投票すべきではありません。しかし、そうなると、今の日本ではほとんど投票すべき政治がいなくなってしまうという恐ろしい現実もあります。

ただし、政治はそもそもが、「政党と官僚」の化かしあいということを理解すべきです。これを理解していないと、そもそも政治の本質がわからなくなります。

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2018年3月27日火曜日

北京訪問の要人は金正恩氏―【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!

北京訪問の要人は金正恩氏

本日の産経新聞号外
【産経新聞号外】金正恩氏が訪中[PDF]

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が26日から北京を訪問し、27日までに複数の中国共産党の指導者と会談したことがわかった。中国共産党当局者が明らかにした。

 同当局者によれば、中朝双方は今年初めから金正恩氏の訪中時期などについて交渉していた。中国側は、北朝鮮が核放棄に向けて取り組む姿勢を示すことを金氏訪中の条件にしていたという。今回、訪中が実現したことは、北朝鮮から前向きな回答を得た可能性がある。

 朝鮮半島情勢をめぐり、4月に南北首脳会談、5月までに米朝首脳会談が行われる予定で、金氏は今回の訪中で、最大の保護国である中国の指導者と事前協議を行うものとみられる。

 北朝鮮の最高指導者の訪中は、2011年5月の金正日総書記以来、7年ぶり。金正恩氏の訪中は最高指導者として初めて。

【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!

この動きは、当然のことながら、4月末に開催される南北首脳会談、ならびにその後に控える米朝首脳会談にあわせて様々な調整をするためのものでしょう。

南北首脳会談が、核放棄につながるかどうかは疑わしいです。ただし、この会談自体は前向きにとらえていいでしょう。これまで安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の核放棄に向けて経済制裁を行った一定の成果だといえます。

北朝鮮は南北対話が続く限り、新たな核・ミサイル実験を行わないとも表明し、非核化の意思も示していますが、これも日米の要求に沿ったものでしょう。

しかし、制裁の解除については慎重にすべきです。北朝鮮が本当に核開発を放棄するかどうか分からない中では、核放棄が目に見えて初めて制裁を解除するという姿勢をとるべきです。

この姿勢を続けるには政治の安定が必要となります。野党は森友問題を持ち出し、安倍政権の倒閣運動をしているが、いまはそんな時ではありません。朝鮮半島の安定のためにも安倍政権を退陣させるべきではありません。

本日佐川氏の証人喚問が行われたが、予想通り何の新しい事実も出てこなかった

さて、文政権は北との連邦制を目指して動いていくことになるとみられています。文氏自身は表向きは北に非核化を訴えていますが、連邦制が実現すれば、北の核を手に入れ、自衛に使えるようになります。そうなれば2~3年で在韓米軍が撤退するという話にもなってくるかもしれません。

ただし、それは文在寅が描くシナリオです。もし、そういうことになれば、このブログで以前から述べているように、日米は無論、中露からも、核武装した南北統一朝鮮が朝鮮半島に出来上がることはかなりの脅威です。

韓国には、他の先進国よりは遅れ気味ながら、それなりに科学技術力があります。さらに経済的にもGDPはロシアなみです。この韓国が、核武装した北朝鮮と統一されることになれば、朝鮮半島にロシアの経済力を超えた核武装した軍事独裁政権ができあがるかもしれません。

その独裁者が、金正恩であったにしても、まかり間違って文在寅であっても、日米中露やアジアの他の諸国にとってもかなりの脅威です。

今回、金正恩氏が中国を訪問したのは、金正恩氏にはそのような気はないことを習近平に伝えるためであると考えられます。

習近平

金正恩は、自分は習近平政権と決別するつもりであると、習近平に見られているかもしれないとの危惧があったと思われます。

南北閣僚級会談が開かれた今年1月9日は、北朝鮮が中国に設立した合弁企業や全額出資企業を閉鎖するデッドラインでした。さらに、正恩は朝鮮半島についてはわれわれが決めるという気持ちで南北会談をはじめたと習近平に受け取られたかもしれないと懸念を抱いたと思います。

実際金正恩は、そのように考えたとしても、無理からぬところもありました。1年前にマレーシアで北朝鮮のキム・ジョンナム(金正男)氏が暗殺された事件について、中国政府関係者は、北朝鮮のナンバー2とされたチャン・ソンテク氏が以前、中国を訪問した際、当時の胡錦涛国家主席に対し、ジョンナム氏を北朝鮮の最高指導者にしたいという意向を明らかにし、この情報が金正恩朝鮮労働党委員長に伝えられたことが事件の引き金になったという見方を示していました。

これに加えて、習氏は政権内で北に近い人間を排除してきましたし、北にとってはイランなど親しい国がいくつもあります。そのため、習近平は、金正恩は金王朝にとって中国はもはや不要であると考えているのではないかとの懸念を抱いているということは十分考えられることです。

そうして、その金正恩が、南北統一朝鮮の独裁者なれば、中国と国境を接する朝鮮半島に、核武装をした先進国なみの工業力と経済力を持った独裁国南北統一朝鮮ができあがることになり、中国にとっては脅威です。

無論、ロシアのプーチンにとっても脅威です。北朝鮮は貧乏な国ですが、南北統一朝鮮ともなれば、GDPは確実にロシアを上回ることになります。日米中露ともに脅威を感じる南北統一朝鮮は出来上がる前に、潰されて、半島に北朝鮮でも韓国でもないいくつかの中立的な国々をつくられてしまう可能性も多いにあります。

双眼鏡をのぞくプーチン

しかも、北朝鮮は元々はソ連が建国した国です。ソ連と親和的な南北統一朝鮮が出来上がることも、習近平は懸念しているかもしれません。

今回の金正恩の中国訪問は、そのような習近平の懸念を払拭するためであると考えるべきです。

南北会談、米朝会談が行われたにしても、中国が北朝鮮の敵にまわってしまえば、すべてなし崩しになってしまう可能性もあります。これだけ、周到に南北会談、米朝会談に対して、準備をするのですから、やはり日米、さらには中国の北への制裁は、かなり効き目があったとみるべきです。

それにしても、以下に示すように、北朝鮮は何度も約束を反故にして裏切りを続けています。

1994年:米朝協議
アメリカが軽水炉2基の建設を支持し、重油も提供。その代わりに、北朝鮮が核開発を凍結することで合意。ところが、北朝鮮は裏で核開発を続け、後に核兵器の保有を表明
2005年:6か国協議で北朝鮮が全ての核兵器を放棄することを約束
しかし、2006年10月に北朝鮮は初の核実験を実施
2007年:6か国協議で寧辺(ニョンピョン)核施設の閉鎖・封印を約束
しかし、北朝鮮は核実験・ミサイル発射など挑発行為を継続
2012年:米朝合意 ウラン濃縮や核実験の一時停止
しかし、2013年に北朝鮮は核実験を実施
これだけ、過去に裏切ってきたのですから、南北首脳会談でも、米朝会談でも、核関連施設の査察の方法なども詳細に定めて、それに違反することがあれば、日米中露はすぐにも制裁や武力攻撃できるようにすべきです。

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2018年3月26日月曜日

【森友文書】近畿財務局は「安倍昭恵」名を知る前から森友に国有地売却方針 決裁文書改竄―【私の論評】ポスト安倍政権で、日本は再び無間地獄に落ちる(゚д゚)!




 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題で、森友学園の籠池泰典前理事長が近畿財務局職員に対し、安倍昭恵首相夫人について言及する7カ月前から、近畿財務局が、売却を前提に森友側に土地を貸し付ける方針を固めていたことが25日、決裁文書の記載から分かった。野党は取引や文書改竄の背景に昭恵氏への「忖度(そんたく)」があったとして、27日の証人喚問で佐川宣寿前国税庁長官を追及する構えだが、その根拠は希薄だと言わざるを得ない。(沢田大典)

 「時系列を見ると、すべて決まった後に昭恵さんが動いた形になっている。それを見ないで『昭恵さんが…』と言うのは政治が取るべき姿ではない」

 自民党の竹下亘総務会長は25日、都内で記者団にこう語った。

竹下亘総務会長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 近畿財務局の決裁文書などによると、籠池氏は平成25年6月、小学校新設のため、国土交通省大阪航空局が所有する大阪府豊中市の国有地購入を検討していることを近畿財務局に伝えた。籠池氏は、購入を前提にした貸し付けを希望したが、小学校の認可権を持つ大阪府は、借地での認可に難色を示していた。

 近畿財務局は、森友学園に土地を10年間貸し付けるため、27年2月4日と27年4月30日に「特例承認の決裁文書」を作成し、財務省理財局に提出。この中に経緯が詳述されている。

 文書には「本件は、平成25年8月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿局への陳情案件」と記載。近畿財務局側が25年9月12日に「大阪府私学・大学課に訪問し、今後の連携について要請」、25年10月30日に「認可の状況について照会」と記されていた。

鴻池祥肇議員

 一方、鴻池事務所の「陳情整理報告書」とされる別のメモには、25年9月9日付で鴻池事務所が籠池氏に「小学校用地の件、先週、財務局より、7~8年賃借後の購入でもOKの方向。本省および大阪府と話し合ってくれる」と伝えたと記載していた。

 このような経緯を追うと、近畿財務局は、籠池氏や鴻池氏側の意向を受け、土地貸し付けに積極的に協力していたとみられる。


 昭恵氏に関する記述は、半年後の26年4月28日に近畿財務局側が籠池氏と面談した際の記録として登場する。「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」という籠池氏の発言を紹介した上で、籠池氏が籠池夫妻と昭恵氏の写真を提示したことが記されていた。

 近畿財務局は26年4月15日、小学校設置認可前の土地貸し付けを求める森友学園側に対し、「答申前の契約はできない」としていたが、同年6月2日には「売り払いを前提とした貸し付けについては協力させていただく」と返答していた。

 昭恵氏の名が登場するのは、この交渉の最中だったが、近畿財務局は6月以降も大阪府に審査基準を照会するなど働きかけを続けており、昭恵氏の存在を知って方針を急変させた様子はうかがえない。

 近畿財務局は27年5月に森友学園と貸し付け契約を結んだ。昭恵氏が小学校の名誉校長に就任したのは同年9月、昭恵氏付政府職員が財務省に問い合わせを行ったのは10~11月だが、2つの「特例承認」以降の決裁文書に、昭恵氏に関する記載はなかった。

【私の論評】ポスト安倍政権で、日本は再び無間地獄に落ちる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の核心部分のみをまとめると、"近畿財務局は 「安倍昭恵」名を知る前から森友に売却方針 籠池泰典前理事長が 首相夫人の名前を持ち出す7カ月前から ”売却を前提に”森友側に土地を貸し付ける方針を 固めていたことが25日、決裁文書の記載から分かった"ということです。

これでは、安倍昭恵夫人が、売買にかかわっていたということを主張するにはかなりの無理があります。

それにしても、こんなことは、先に公開されていた決裁文書書き換え前と、書き換え後の文書を比較対象しても、理解できることです。

なぜなら、昭恵夫人が文書にでてくるところは、すべて篭池氏の伝聞であり、昭恵夫人が近畿財務局に対して何かを直接働きかけた内容などは掲載されていませんでした。そうして、篭池氏の伝聞をそのまま真に受けるわけいにはいきません。

何しろ篭池氏は、詐欺師であり、今までにもわかっているだけで、とてつもない内容と、回数の嘘をついています。以下のその内容をまとめた一覧を掲載します。


これだけ、嘘をついている人のことは全く信用できません。特に、昭和天皇が森友学園に来たなどという森友学園のサイトでの嘘はとてつもないことで、この時点で私はこの方の発言を全く信用していません。

このような嘘つきの伝聞は、ほとんど信じられません。昭恵夫人の発言は、篭池氏の伝聞でしか決裁文書に出てこないですし、しかも出ていたにしても、直接近畿財務局への働きかけなどを示すものは何もありません。

このようなことで、昭恵夫人が疑われたり、それによって安倍政権が頓挫してしまったりして良いはずがありません。

2012年末に誕生した安倍政権によって日銀の政策が金融緩和に変わってからの5年間では、2%のインフレ目標はまだ達成されていないですが、インフレ率はプラスが定着し、GDP成長率も高まり、株価や労働市場などは1990年代初頭のバブル期以来の状況まで回復しています。

安倍政権誕生から5年が経過し、金融政策の実行の責任を負う日銀執行部は黒田総裁の続投となり、目標実現に向けた取り組みには変わりありません。一方、財政政策の司令塔である安倍政権については、この3月に森友学園問題が再燃して、政局は再び混沌としています。

はたして、安倍政権の経済政策には変更が迫られるのでしょうか。私は、そんなことはないと思います。なぜなら、特定の政治勢力に直結するメディア報道を見極めるリテラシーを備えた国民が増えていることがあるからです。今後の安倍政権の経済政策の持続性について、過度に悲観する必要はないと思います。

ただし、ポスト安倍は、今のままだと確実に安倍政権が実施してきたものとは異なるものになることでしょう。

なぜなら、現在のポスト安倍と目されるひとたちは、ことごとく緊縮派であり、金融政策についての理解も欠いているからです。

そうして、その結果どうなるかは今から予測できます。ポスト安倍政権は、財務省に籠絡されて、増税、緊縮財政に走り、日本は再びデフレスパイラルのどん底に沈み、強烈な円高にみまわれることになります。

デフレ・スパイラルどん底に沈んだ時に、日銀も、金融引き締めに転じて雇用が悪化して、自殺者が現在の2万人台から、3万人台に増え、若者は再び就職氷河期にみまわれ、とんでもないことになります。

経済は、政策が変わったとたんに変わるものではないですが、ポスト安倍政権になってからすぐにではなく、1年くらいしてから顕著にかわることになります。

しばらくたつと、韓国や中国の経済が回復します。超円高のため、日本の製造業は日本国内で製造して組み立てて、日本国内で販売するよりも、部品を韓国や中国に輸出し、そこで組み立てて、日本に輸入したほうが、コストを抑えられることになります。そのため、多くの企業が中国や韓国に進出しまた産業の空洞化が加速することになります。

中国、韓国は経済的に余裕ができるので、中国は尖閣で大きな冒険をすることになります。韓国の反日はさらに、資金を得てエスカレートします。それに対して、日本は防戦一方にまわることになります。北朝鮮もこの機会を逃すことないでしょう。

ポスト安倍政権は、どの政権も短命で終わります。ただし、野党があまりにもだらしないのと、民主党政権で多くの人が懲りたので、すぐに政権交代ということにはなりません。

しかし、自民党内が分裂状態になり、時々の首相おろしが恒常化し、半年とか一年とかの期間で新政権ができてはまたすぐに変わるということが続くようになります。あまりにも頻繁に政権が交代するので、諸外国からも信頼されなくなります。

数年したころに、民主党とは全く異なるタイプの政党が、自民党政権を批判して、多くの国民から支持を受けます。そうして、その政党が政権の座につくかもしれません。

しかし、その政権もまともな金融財政政策ができなければ、同じことの繰り返しになります。そうして、日本は無間地獄に落ちることになります。

無間地獄図

もうこんなことは過去にいやというほど経験してきたので、繰り返すべきではないと思うのですが、現状の馬鹿な野党や、多数の金融財政政策を理解できない自民党の議員らや、マスコミや識者等の愚かさなどみているとまた同じことの繰り返しになってしまうのではないかと思ってしまいます。

そうならないためには、特定の政治勢力に直結するメディア報道を見極める能力だけではなく、ある程度財政政策や金融政策に明るい人が増えてくることが必須ではないかと思います。とはいいながら、専門知識を学ぶというよりは、少なくとも雇用そのものの主務官庁が厚生労働省ではなく、日銀であることを多くの国民が理解しなければならないと思います。

これが理解出来ない人、理解をするつもりもない人には、財政金融政策の細かいことや専門的なことはいざしらず、その時々での正しい方向性を理解できず、過去のように財務省や日銀の官僚に騙され続けることになると思います。そういう人の多い社会は、やはり無間地獄をみるしかないのかもしれません。

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2018年3月25日日曜日

震災7年でも徴収される「復興増税」のおかしさに気づいてますか―【私の論評】公文書書き換え以前にも、復興税、消費税の目的税化で嘘をついていた財務省(゚д゚)!

震災7年でも徴収される「復興増税」のおかしさに気づいてますか

ちゃんと被災地に還元されているのか

ドクターZ

毎年1000円の増税

東日本大震災から7年が経過した。震災の傷は決して忘れてはいけないものだが、もうひとつ忘れてはいけないものがある。それは震災後に決定し、現在も続いている復興増税についてだ。

復興特別税は所得税や住民税に上乗せする形で徴収されていて、たとえば個人住民税は2014年から10年間にわたって毎年1000円上乗せされている。増税当初はニュースになったので国民の関心もあったが、いまではこの増税の存在を忘れている人も多いかもしれない。

今でも徴収されている復興税

復興のために予算がかかるのは仕方のないことだが、果たしてこの増税はきちんと被災地に還元されているのか。

復興庁のウェブサイトを見ると、復興施策の工程表が出ている。'16年のものには各分野において詳細な工程表が出ていたが、いまは道路修繕と福島12市町村における公共インフラ復旧の簡単な工程表などが掲載されているだけになった。

2年前の工程表にはほとんどの項目に「2018年度以降完了予定」と書いてあったが、今後どのようなスケジュールで進んでいくかは明らかになっていない。ウェブサイトには復興施策や進捗状況が書かれているが、期待される効果や達成すべき目標については明らかになっておらず、客観的な検証もほとんど行われていない。

そもそも、国民が知りたいのはこれまで政府が挙げてきた成果よりも、これからの復興計画にどれほどの時間と予算が費やされるかである。

当初、復興予算は、'11~'20年度において32兆円投入される予定だったが、はじめの5年間で25・5兆円が使われた。予算としては十分な金額だが、原発事故の影響なども考えればこのままでは'20年度までに復興を達成することはきわめて難しい。

そう考えると、本格復興に向けた長期的なスキームで予算を組みなおしていく必要がある。だがそれにもかかわらず、いま組まれている復興財源フレームは奇妙だ。

なにが奇妙かといえば、復興予算の財源確保が増税ありきで進んでしまったことだ。というのも、大災害における復興財源は、増税ではなく国債によってまかなうというのが経済学のセオリーである。

経済理論では、数百年に一度レベルの震災に際しては、たとえば100年など超長期の復興債を発行すれば、経済に対する悪影響を最小限に抑えることができる。この手法を取らなかった日本経済は、大災害と増税というダブルパンチを受けてきたといえる。

古今東西、災害後に増税をしたなどという話は聞いたことがない。いまからでも遅くないから、復興増税をやめて、長期国債を発行するべきだと筆者は考えている。特に、いまは長期国債の金利がほぼゼロで調達できるので、復興予算もそのメリットを享受するべきだ。もっと言えば、これまでの復興増税が帳消しになるように、その分の減税をしてもいいくらいだ。

なぜこのような復興増税がまかり通ってしまったのかといえば、ほかでもない財務省の差し金だろう。震災時に政権を担っていたのは民主党だが、復興対応に動揺する政権に財務省は増税を仕掛けたのだ。これは「火事場泥棒」と揶揄されても仕方ないレベルの話なのだ。

【私の論評】公文書書き換え以前にも、復興税、消費税の目的税化で嘘をついていた財務省(゚д゚)!

復興税に関しては、一般のサラリーマンの場合は、自分で税金の計算をしないので、今でも徴収されているということを気づかない人も多いようですが、自営業者などの場合は今月15日締め切りだった確定申告のため、自分で計算するので、徴収されているということに気づいているというか、毎年この時期になると、その事実を今更ながらいやでも思い知らされることになります。

改めて、復興税増税とはどういうものだったのか、以下に纏めた表を掲載します。


復興増税の法人税に関してはもうすでに徴収されていません。にもかかわらず、所得税や住民税では未だに復興税増税がなされているということです。

住民税は+1000円×10年間と決まっていますが、所得税の方はと言うと、大多数の一般サラリーマン家庭で2000〜4000円の増税年収1000万円世帯で約2万円の増税です。これが25年間です。しかも、税金ですから、一部控除される人もいるとはいいながら、被災地の人も課税されます。

この復興税の使い道に関しては以前から疑義が提示されていました。たとえば、三陸に送られた義援金が「チャグチャグ馬コ観光誘致」という名目の「公務員限定海外旅行」に全部使われたなどと言う話もありました。

三陸に送られた義援金が盛岡で集約され、なぜか「チャグチャグ馬コを国際的に広めて観光誘致」という名目の「海外旅行」にすべてつぎ込まれたのです。

チャグチャグ馬コ
しかも、その参加者が(チャグチャグ関係者除くと)、盛岡市職員とその家族・友人でほとんどを占められていたというのです。

要するに、盛岡市職員の慰安旅行に義援金が使われたということなのです。 これは当時オンブズマンが抗議しましたが、結局盛岡市は謝罪も返金もしませんでした。

その他、野田政権のときなどは、復興税が他の目的のため使わていたことなどが、報道されていました。2011年度には復興予算が6兆円余り、1兆円が復興特別会計へくりいれていました。

この特別会計からなんと、武器購入、被災地と関係のない東京都清瀬市の日本社会事業大学の改装費用や沖縄の教育振興費に拠出されていました。この頃からすでに復興予算にシロアリがたかっていたのです。

最近ではこのようなこともほとんど報道されなくなりました。それをいいことに、財務省は何をしてもやりたい放題でした。

だからこそ、ブログ冒頭の記事では、「本格復興に向けた長期的なスキームで予算を組みなおしていく必要がある。だがそれにもかかわらず、いま組まれている復興財源フレームは奇妙だ」と疑問が提示されているのです。

それよりも何よりも、復興税に関しては上の記事にも述べられているように「経済理論では、数百年に一度レベルの震災に際しては、たとえば100年など超長期の復興債を発行すれば、経済に対する悪影響を最小限に抑えることができる。この手法を取らなかった日本経済は、大災害と増税というダブルパンチを受けてきたといえる」ということになるのは、最初からわかりきっているのに、導入され、しかもそれが未だに続いているということです。

そもそも、地震などの大災害では、「ガレキなどの処分」とか「すぐに必要な仮設」とかの費用と、「学校や橋、水道・電気など何十年も使うインフラ」の費用がかかりますが、これらのうちほとんどは、被災した世代だけではなく、その後の世代も使いその便益を享受ものです。

だから、復興を税で賄うなどのことをしてしまえば、被災した世代だけが負担をすることになってしまい、世代間で不公平が生じてしまいます。

だからこそ、100年など超長期の復興債を発行したり、60年などの建設国債などを発行して、世代間の不公平をなくすのです。

しかし、なぜか現在では、国債を発行することは将来世代につけをまわすことなどとされてしまい、国債を発行することが悪いことのように言われています。これは、全く逆の話です。そのようなことを言う人は、そもそも国債がなんのためにあるのか、全く理解していません。

特に東日本大震災のような規模の大きな災害の場合は、古今東西どこでも復興を税で賄うなどという話は聴いたことがありません。日本の過去の関東大震災のときもそうですし、諸外国でも全く例がありません。日本の復興税だけが、全く例をみない特異な事例です。

上の記事では、「震災時に政権を担っていたのは民主党だが、復興対応に動揺する政権に財務省は増税を仕掛けたのだ。これは「火事場泥棒」と揶揄されても仕方ないレベルの話なのだ」と締めくくっています。

これは、全くその通りです。大規模災害に直接対応した経験を持たない当時の民主党政権は復興対応に動揺していたため、財務省にそこを付け込まれたのです。財務省はとにかく、何でも増税をしたがります。それによって、予算の配賦権を強化し、省益を拡張したいというのが彼ら魂胆です。

その当時の自民党も増税派が大勢を占めていたので、復興税に反対するどころか、賛成しました。彼らにとっては、復興税はその後の消費税増税の露払いとなるとの考えで、導入に賛成したのでしょう。

2014年4月からの消費税増税

復興税に成功した財務省は、その後8%増税にも成功しました。消費税率が4年前の2014年4月1日、5%から8%に上がりました。税率の引き上げは17年ぶりのことでした。

財務省にいわせると、高齢化で増え続ける年金や医療などの社会保障費を賄う狙いがあるされました。国民負担は年間で約8兆円重くなりました。第一生命経済研究所によると、年収500万~550万円の4人世帯の場合、年間の負担額が7万1千円増えることになりました。

多くの識者らは、8%増税による日本経済に対する影響は軽微としていましたが、そうではありませんでした。復興税と消費税によるダブルパンチで、個人消費が落ち込み、GDPの60%以上を個人消費が占めている日本経済への悪影響は甚大でした。

この消費税増税でも、財務省は嘘をつきました。そもそも、その根拠となった税と社会保障の一体改革として、消費税を目的税化することは、古今東西いずれでも実行されてはいません。日本のそれが、全く例をみない特異な事例です。

 社会保障の観点から見ると、その財源は社会保険方式なので保険料が基本です。税方式は少なく、しかも社会保険料方式から税方式に移行した国はありません。

そもそも、消費税に限らず、税の目的税化ということ自体が不可能です。公共財については、 代 金を支払った人だけがそのものを消費するようなこと はできません。 例えば、 自衛隊が税金を支払わない人 を守らないなどというということはできません。こんな初歩的な常識ですら、財務省はとんでもない理論でくつがえしているのです。

財務省は、最近では文書書き換えで嘘をついていたことが暴露されましたが、それ以前に復興税で嘘をつき、消費税の目的税化で嘘をついていたのです。

私自身は、決裁文書の書き換えなどというとんでもないことをしでかした背景には、復興税や消費税の目的税化で明らかに嘘であるとんでも理論をぶちあげても、政治家やマスコミのほとんどが誰も反対しないどころか、財務省を後押しする様をみて、もともと財務省最強という意識があったものが、さらに助長され根拠のない全能感を抱いたことがあると思います。

文書を書き換えても、政治家やマスコミはそれに反対するどころか、自分たちを後押しをするだろうし、結局何をやっても自分たちは許されるのだという誤った認識をもってしまったと思います。

そうして、実際、そのような政治家やマスコミも現れつつあります。しかし、今回は復興税や、消費税の目的税化のときのように、財務省にされるがままになっているべきではありません。やはり、財務省は完全解体すべきです。すぐに解体できないにしても、国民は厳しい目で財務省や財務省を擁護する政治家やマスコミを監視していくべきです。

そうして、まずは復興税は即刻中止すべきです。国会では、文書書き換えだけではなく、このような論議もなされるべきです。

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