2023年3月31日金曜日

多くのナゾ残し「捜査終結」安倍元首相の暗殺事件 山上被告を追起訴も…消えた銃弾、遺体の所見に食い違い、動機など不可解な点―【私の論評】岸田首相は、政府主導で委員会を設置し安倍元首相暗殺事件の検証・報告にあたらせるべき(゚д゚)!

多くのナゾ残し「捜査終結」安倍元首相の暗殺事件 山上被告を追起訴も…消えた銃弾、遺体の所見に食い違い、動機など不可解な点

事件直前、奈良市で街頭演説する自民党の安倍晋三元首相。右奥は山上徹也容疑者=昨年7月8日午前

安倍晋三元首相暗殺事件で、奈良地検は30日、山上徹也被告(42)=殺人罪などで起訴=を建造物損壊のほか、銃刀法、武器等製造法、火薬類取締法の各違反の罪で追起訴した。一連の捜査は、発生から8カ月超を経て終結したというが、事件にはまだ、多くの謎が残っている。来年以降の初公判とみられる裁判で事実関係がどう認定されるのか。


安倍氏は昨年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の応援演説中、山上被告に手製のパイプ銃で銃撃されて死亡した。

奈良地検は、約半年間の鑑定留置の結果、山上被告の刑事責任を問えると判断し、今年1月、殺人と銃刀法違反の罪で起訴していた。

山上哲也被告

事件の謎の1つは、「消えた銃弾」だ。

安倍氏には銃弾2発が当たったが、致命傷を与えた1発が行方不明なのだ。「事実関係の立証に支障はない」(奈良県警)とするが、重要な物証が消えたことは確かだ。

「遺体の所見」にも食い違いがある。

安倍氏が緊急搬送された奈良県立医科大学付属病院は、直後の記者会見で、死因は失血死とみられると説明した。弾は首から入り心臓や胸の大血管を損傷、左肩にも、弾が貫通したとみられる傷が1つあったという。

これに対し、県警は司法解剖の結果、死因は左上腕部を撃たれて動脈を損傷したことによる失血死だと発表しているのだ。

このほか、「動機」や「背景」「第三者の関与」「手製銃の威力」など不可解な点は多々ある。裁判員裁判で、検察側が提出する証拠をもとに、どのような事実認定がされるのか注目される。

【私の論評】岸田首相は、政府主導で委員会を設置し安倍元首相暗殺事件の検証・報告にあたらせるべき(゚д゚)!

安倍元首相暗殺事件は、日本にとって未曾有の大事件であり、国民の不安や衝撃は非常に大きいです。警察の捜査に加えて、政府主導で事件の検証・報告が必要かどうかは、検討すべき問題です。

ケネディ暗殺事件のときには米国では当時リンドン・ジョンソン大統領によってウォーレン委員会が設置され、その背景や事情が異なるため、単純に比較することはできません。ただし、過去において政府主導で事件の検証・報告が行われた例もあります。例えば、1995年に発生したオウム真理教の一連の事件について、政府は「オウム真理教事件等に係る内閣調査委員会」を設置して、事件の検証・報告を行いました。

下は、1964年9月24日ウォーレン委員会報告書をジョンソン大統領に提出する委員たちのものです。左から右へ ジョン・ジェイ・マックロイ 、 ジェイ・リー・ランキン、 リチャード・ラッセル、 ジェラルド・フォード、委員長アール・ウォーレン、 大統領リンドン・ジョンソン、 アレン・ダレス, ジョン・シャーマン・クーパー, ヘイル・ボッグス。


ウォーレン委員会は、独自調査として延べ552人の証人喚問を行い、やがて1964年9月に全文約296,000語、全888ページに全26巻(20000ページ以上)、委員会文書1553の膨大な関連資料が付いた報告書がまとめられました。そして 1964年9月24日に調査の結果を報告書(Warren Commission report)としてジョンソン大統領へ提出され、その3日後に一般公開されました。

報告書の結論

1.ケネディ大統領を殺害し、コナリー知事を負傷させた銃弾(複数)は、テキサス教科書倉庫の南東角にある6階の窓から発射されたものである。

2.ケネディ大統領は、最初に首の後ろから入って首の前の下の部分から出た弾丸に撃たれたが、必ずしも致命傷にはならなかっただろう。 大統領は、頭の右後部に当たった2発目の弾丸で、致命的な大怪我を負った。

3.コナリー知事は、背中の右側から入った弾丸が胸の右側を通り、右の乳首の下から出て、右手首に当たった。この弾丸はその後、彼の右手首を通り、左大腿部に入り、表面的な傷を負わせた。

4.発砲がトリプル地下道や、車列の前方から、又はその他の場所から行われたという信頼できる証拠はない。

5.証拠の重みからみて、発砲は3発であった。

6.どの発砲がコナリー知事に命中したかを決定することは、委員会の本質的調査には必要ではないが、大統領の喉を貫いたのと同じ弾丸がコナリー知事の傷の原因となったことを示す、専門家の非常に説得力のある証拠が存在する。しかし、コナリー知事の証言やその他の要因によって、この可能性については意見が分かれている。しかし、委員会のどのメンバーにとっても、大統領とコナリー知事の傷の原因となったすべての銃弾がテキサス教科書倉庫の6階の窓から発射されたことは疑いのないことである。

7.ケネディ大統領を殺害し、コナリー知事を負傷させた銃弾(複数)はリー・ハーヴェイ・オズワルドによって発射されたものである。

8.オズワルドは、暗殺の約45分後にダラス警察のJ.D.ティピット巡査を殺害した。

9.ジャック・ルビーは1963年11月24日午前11時17分過ぎにダラス警察署の地下に入り、午前11時21分にリー・ハーヴェイ・オズワルドを殺害した。ルビーの侵入手段に関する証拠は決定的ではないが、証拠の重みから、ルビーはメイン通りから警察署の地下に通じるスロープを歩いたと考えられる。ルビーがオズワルド殺害に際してダラス警察の職員に助けられたのではないかという噂を支持する証拠はない。
10.委員会は、リー・ハーヴェイ・オズワルドまたはジャック・ルビーのいずれもが、ケネディ大統領を暗殺するための国内外の何らかの陰謀に加わっていたという証拠を発見していない。 
11.委員会の全調査において、連邦、州、地方のいかなる役人による、米国政府に対する陰謀、転覆、背信の証拠も見つかっていない。

12.委員会は、オズワルドの動機について決定的な判断を下すことはできなかった。 
13.委員会は、今回の調査で明らかになった事実によって、大統領警護の改善を勧告せざるを得ないと考えている。

ただ、この結論には今なお多くの米国民が納得しておらず、未だケネディ暗殺に関しては、様々ななところで議論されている状況です。最近でも、SNSなどで活発に議論されています。 

ケネディ大統領は1963年11月22日、テキサス州ダラスを訪問中に狙撃された

安倍元首相暗殺事件についても、政府主導での事件の検証・報告が必要かどうかは、慎重に検討する必要があるでしょう。政府主導での検証・報告には、警察や検察などとは異なる視点から事件を見ることができるというメリットがあります。一方で、政府主導での検証・報告が、事件の真相を隠蔽する可能性や、事件を政治利用する可能性があるというリスクもあります。

安倍元首相暗殺事件について、政府主導での検証・報告が必要かどうかは、今後の裁判などの状況を踏まえながら、慎重に判断する必要があると言えます。

ただ、上の記事でも指摘されたようなたとえば「消えた弾丸の行方」「遺体の所見」の食い違いなど初歩的ともいえるような疑問点は、少なくとも払拭すべきでしょう。できれば、裁判に明らかにすべきです。しかし、これすら明らかにならなければ、政府主導で、米国のように委員会を構成し、検証・報告させるべきです。

政府主導で事件の検証・報告を行う場合、以下の留意点が考慮されるべきです。

1.独立性の確保:政府主導での検証・報告が、事件の真相を隠蔽したり、政治的利用がなされることを防ぐために、独立した調査委員会を設置する必要があります。調査委員会のメンバーは、事件に関係のない第三者や専門家で構成されることが望ましいです。

2.透明性の確保:調査委員会の報告書は、公開されることが望ましいです。また、報告書作成のプロセスも公開されることで、報告書の信頼性が高まります。

3.時限の設定:調査委員会には、期限が設定され、その期限内に報告書を作成する必要があります。期限を守ることで、無限に検証・報告が続くことを防ぎます。

4.資金の確保:調査委員会には、必要な資金を充当することが必要です。資金不足が原因で、調査・報告が不十分なものになってしまうことを防ぐために、十分な予算を確保する必要があります。

ケネディ暗殺事件のように、事件の真相が解明されない場合には、調査委員会は、不十分な点を明確にし、後の調査方針や検証方法を示す必要があります。さらに、調査委員会の報告書には、真相解明に向けた新たな情報提供を呼びかけることで、事件の解明に向けた展開を期待することができます。

私自身は、裁判の結果などにかかわらず、国民の不安や疑問を払拭するためにも、岸田政権は委員会を設置し、この問題の解明にあたらせるべきと思います。

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2023年3月30日木曜日

英のTPP加盟、31日にも合意 発足11カ国以外で初―【私の論評】岸田首相は、TPPの拡大とそのルールをWTOのルールにすることで、世界でリーダーシップを発揮すべき(゚д゚)!

英のTPP加盟、31日にも合意 発足11カ国以外で初

2018年3月8日、日本やカナダを含む11カ国は、環太平洋連携協定(TPP)に修正を加えた「包括的および先進的環太平洋連携協定(CPTPP)」に署名した

 環太平洋連携協定(TPP)に参加する日本など11カ国が31日にもオンライン形式で閣僚会合を開き、英国の加盟に大筋合意する見通しであることが分かった。複数の日本政府関係者が29日、明らかにした。発足時のメンバー以外では初となる。年内に、各国の閣僚がルールや新規加盟を議論する最高意思決定機関「TPP委員会」で正式に承認する見込みだ。


 TPPは、関税撤廃や知的財産などの統一的ルールにより自由貿易を推進する枠組み。今後は、英国と同様に加盟申請している中国や台湾の扱いが焦点となる。

 中国がアジア太平洋地域で影響力を拡大し、ルールの順守にも懸念があることから、日本は中国の加盟に慎重な立場を取っている。中国は台湾の加盟に反対している。一方、日本は英参加を足掛かりに、トランプ政権時代に離脱した米国の復帰に向けて機運を高めたい考えだ。

 英国は2021年2月にTPPへの加盟を正式に申請し、中国と台湾のほかウルグアイなどが続いた。英国の審査はこうした国々に対しての試金石となるため、加盟国が慎重に協議していた。

【私の論評】岸田首相は、TPPの拡大とそのルールをWTOのルールにすることで世界でリーダーシップを発揮すべき(゚д゚)!

TPPは、域内の関税撤廃・削減や投資の共通ルール策定などを行う協定。最終的な関税撤廃率は95~100%と高いうえ、知的財産の保護など広い範囲をカバー。例えばデジタル分野でソフトウエアの「ソースコード(設計図)」の開示を求めることを禁止し、巨大ITなど多国籍企業の活動への進出先の政府の介入を防ぐ内容を含みます。

日中韓豪や東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加する自由貿易圏「地域的な包括的経済連携(RCEP)」の関税撤廃率が平均91%にとどまるのに比べ、「TPPは通商・投資ルールとしての水準が高い」(経産省筋)です。

TPPはもともと、シンガポールやニュージーランドなど4か国の協定をベースに交渉国を拡大し、日米豪、カナダ、マレーシアなどアジア太平洋地域の12か国で15年10月に合意した。しかし、米トランプ政権が「米国第一」を掲げて17年1月に離脱したため、18年末に11か国の「TPP11」として発効しました。

現在のTPP加盟国

英国が加われば、TPP加盟国の国内総生産(GDP)が世界のGDPに占める比率は現状の13%から16%超に高まります。

規模拡大効果は限定的ですが、欧州からの参加は高いレベルの国際貿易・投資ルールを、アジア太平洋を越えて広げる第一歩であり、日本としては、トランプ政権時代に世界的に後退した自由貿易の機運を再び盛り上げるきっかけとなります。さらに、米国の復帰に向けた呼び水にもなる可能性があります。

英国にとっては、欧州連合(EU)から2020年末に完全に離脱し、EU外と自由に通商交渉できるようになったばかりで、21年1月に発効した日英包括的経済連携協定(EPA)とともに、EU離脱のメリットを国民に分かりやすく示す目玉政策となります。

同時に、中国をにらんだ思惑も指摘されます。

そもそも、TPPは米オバマ政権時代、日米を中心に、高い自由化を掲げ、計画経済、統制経済が色濃く残る中国を牽制することも狙って合意した経緯がある。

関税引き下げや、外国企業の活動への介入の規制など高い目標を中国に突き付けることで、中国が受け入れれば中国の経済改革を進められるし、受け入れなければASEANなど他のアジア諸国との関係で中国に対して日米が優位に立てる――という狙いだった。

ところが、その後、状況は一変しました。2国間協議による「取引」を重視したトランプ政権がTPPを離脱し、後を継いだバイデン政権も、「自由貿易で国内の雇用が奪われた」という声が国内で根強いことから、TPP復帰には当面、消極的です。

他方、米国の混乱のスキを突くように、中国が動きました。20年11月、習近平主席がTPPへの参加を「積極的に考える」と表明しました。中国がにわかにTPPの厳しい条件を受け入れるのはこんなんですが、米国の方針が定まる前に手を挙げ、加入交渉で有利な条件を引き出したいとの思惑との見方が一般的です。

そのほか、韓国、台湾、タイも参加に関心を示すなど、英国の加入申請を含め、動きがあわただしくなっていました。

中国など1か国のためにTPPのルールを変えることは、ありえず、資本の自由な移動が制限されている中国は現在のままだと加入できる見込みは全くありません。

一方台湾については、TPPに加入することについて反対する国はありません。呉釗燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)は昨年11月21日、台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入を推進する過程で、公開または非公開の場で台湾を支持しないと表明した国は「今のところない」と明らかにしました。立法院(国会)外交・国防委員会での答弁。

呉釗燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)

台湾のTPP加入申請を巡り、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席したオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が同年同月18日、台湾のTPP加入を支持するか取材陣に聞かれ、「承認された国家しかTPPに加入できない」と発言。これを受け、野党や無所属の立法委員(国会議員)から関心が寄せられました。

最大野党・国民党の温玉霞立法委員から、台湾のTPP加入に対して支持を表明した国の数について聞かれた呉氏は、具体的な数字は挙げられないとしつつ、今のところ、ほぼ全ての参加国が台湾との非正式協議に応じていると説明。当初は台湾のことを理解していなかった国や台湾の加入に比較的冷ややかな態度を示していた国も、台湾側の努力によって支持する姿勢を見せるようになったとしました。

呉氏は、台湾の加入審査が進められるのは、英国の加入審査が完了した後になるとの見方を示しました。

外交部(外務省)は同年同月18日、アルバニージー氏の発言の直後にオーストラリア政府から「台湾のTPP加入に対する立場に変更はなく、台湾を含め、TPPの高いレベルを満たす全てのエコノミーの加入を歓迎する」との弁明を受けたことを明らかにしていました。

台湾がTPPに加盟することで日本と世界には、以下のようなメリットがあります。

まずは台湾市場の拡大です。台湾のTPP加盟によって、TPP加盟国との間で関税が撤廃され、自由貿易が促進されることで、日本企業や世界の企業が台湾市場にアクセスしやすくなります。

また、台湾のTPP加盟によって、日本と台湾の企業間で技術的な相乗効果が期待できます。両国の企業が協力し、製品開発や生産技術の向上に取り組むことで、世界の製造業にとってもプラスの影響を与えることができます。特に、半導体の分野では、それが期待できます。

以前このブログでも指摘したように、米国が中国に対して懸念していることの全てはTPP協定がカバーしています。これは、当然米国も理解しているでしょう。だから、TPPから脱退したトランプも、良い条件が得られるならという留保を付けたにせよ、TPPに復帰してもよいという発言をしたのでしょう。

英国、台湾に続き、タイ、インドネシア、コロンビア等を加入させてTPPが拡大し、また、米国がTPPに復帰して来るなら、TPPは巨大な自由貿易圏を形成することになります。

最悪、米国がTPPに参加しない場合でも、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。

TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国もあからさまに反対できないでしょう。

この段階まで来ると、中国は中共を解体してもTPP協定を含むWTOに入るか、中共を解体せず新WTOにも入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国が待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPP「拡大」は、米国と中国を牽制するだけではなく、混沌とする世界に新たな秩序をもたらし、世界を救うことにつながることになります。

このTPPを日本という軍事的・経済的覇権によらない国が旗振り役を務めたということが大きいです。

最早世界は、軍事・経済的覇権によって振り回され続けることに随分前から倦んでいるのだと思います。ここに、日本が世界でリーダーシップを発揮できる好機が訪れたともいえます。

TPP協定発効記念式典で各国の関係者と談笑する安倍晋三首相(中央右 当時)と茂木敏充経済再生担当相(同左)

安倍元総理は、米国が加入しなくてもTPPを発効させることに成功しました。しかし、安倍元首相には、この方面で積み残したことがたくさんあります。

TPPの参加国を増やして、拡大すること。TPPの規定をWTO、すなわち世界の貿易ルールにすることなどです。私は、故安倍元総理は、この両方が成就することを望んていたと思います。

岸田政権は、こうした安倍政権の積み残しを実現して、世界でリーダーシップを発揮していただきたいです。


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2023年3月29日水曜日

〝G7明け解散説〟浮上、岸田首相は決断するのか 「ウクライナ電撃訪問」など内閣支持率回復の兆し 与野党に思惑、駆け引き―【私の論評】岸田首相解散総選挙で支持率拡大の可能性は高まったが、長期安定政権にするにはまだ実行すべきことが(゚д゚)!

〝G7明け解散説〟浮上、岸田首相は決断するのか 「ウクライナ電撃訪問」など内閣支持率回復の兆し 与野党に思惑、駆け引き


 自民党内で「早期解散論」が浮上している。統一地方選を含めた4月決戦に勝利すれば、今国会会期末(6月21日)までに衆院を解散し、総選挙に踏み切るのが得策という見方だ。岸田文雄首相のウクライナ電撃訪問などで内閣支持率が回復している一方、立憲民主党などの支持率が低迷している背景もある。岸田首相は決断するのか。


 「間違いなく取り組んでいかなければいけない課題は統一地方選と衆参の補欠選挙だ。先送りできない課題に取り組む。今はそれしか考えていない」「支持率に一喜一憂することなく、やるべきことをやっていく」

 2023年度予算が成立した28日、岸田首相は記者団に解散総選挙の可能性を問われ、こう明言を避けた。

 岸田内閣の支持率が好調だ。

 日経新聞とテレビ東京の共同世論調査(24~26日)では、内閣支持率は2月の前回調査から5ポイント増の48%となり、7カ月ぶりに支持率が不支持率(44%)を上回った。岸田首相が直前に断行したウクライナ電撃訪問(21日)や、日韓首脳会談(16日)が支持率を押し上げたとみられる。

 一方、この1カ月、放送法文書問題を追及し続けてきた立憲民主党の支持率は8%と、前回比1ポイント減だった。候補選定も道半ばという。

 これらを受け、自民党内で「早期解散論」が高まっている。

 4月の衆参補選や統一地方選に勝利し、5月に岸田首相の地元・広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議の成功を追い風に、国会会期末までに解散するとの算段だ。

 ただ、連立を組む公明党は慎重だ。

 山口那津男代表は28日、予算成立後のあいさつ回りで、国会の公明党控室に訪れた岸田首相に対し、「いよいよ統一選ですね。解散じゃありませんね?」と、あえて記者団の面前で〝ジャブ〟を放った。

 岸田首相は「統一選です。補選もあります」と答えた。

 衆院の任期満了は25年10月で、岸田首相は来年(24年)秋の自民総裁選も念頭に解散時期を検討するとみられる。

 高まる早期解散論をどう見るか。

 政治評論家の有馬晴海氏は「内閣支持率が回復し、統一地方選、広島サミットの成功を踏まえれば、岸田首相が6月以降に解散に踏み切る可能性がある。予算が着実に成立するなか、野党への支持は拡大せず、次期首相候補も見当たらないことは、岸田首相の自信になる。年末に向けて、国防強化や少子化対策の財源問題が焦点になれば厳しい局面を迎える。時間が経てば、新たな不祥事などのリスクもある」と語った。

【私の論評】岸田首相解散総選挙で支持率拡大の可能性は高まったが、長期安定政権にするにはまだ実行すべきことが(゚д゚)!

最近、労働参加率の落ち込みについて、日経新聞が意味不明の記事を書いています。下の動画は、高橋洋一氏がその記事について説明したものです。

この動画をご覧いただくと、日本は他国に比較すると、コロナ禍においても、労働参加率が他国のように大幅に落ちることなく、コロナ後も力強く回復しており、日本は他の先進国においては、雇用に関しては大成功といえることを説明しています。


日本の、雇用調整助成金制度は、日本独自のものであり、欧米にはありません。この仕組は、失業率があらかじめめ上がりそうなことが予想された場合、労働者にではなく、雇用主に補助金を支給し、労働者を解雇させないようにします。

欧米では、解雇された労働者に補助金を提供するという形式が多いですが、このやり方だと、景気が回復したときに、企業はまた人を雇用し始めるのですが、解雇してしまった労働者と同水準の労働者を雇うことは難しく、一定期間の教育や訓練が必要となり、労働力が回復するには時間がかかります。労働参加率はすくに高まりません。

日本のような方式だと、景気が悪くなった場合、雇用主に補助金を提供するため、景気が悪くても、雇用が維持されたままの状態なので、労働参加率は不況時にも下がることもなく、景気が回復した場合、企業はそれにすぐに対応して、増産などがすぐにできます。

安倍・菅両政権においては、増税することなく、100兆円の国債を発行し、日銀がそれを買い取る形で、補正予算を組みコロナ対策を実行しました。さらに、雇用調整助成金制度をフル活用したため、世界の先進国の中でも日本だけが、労働参加率を落とすことなく、コロナ禍収束後の景気の回復にもスムーズに対応できました。

両政権において、失敗とみられるのは、医療村などの執拗な抵抗にあって、コロナ病床の確保がなかなか進まなかったことですが、それでも、結果的には大規模な医療崩壊を起こすこともなく、失業率が他国のように急激に高まることもなく、推移しました。

これは、このブログでは何度か力説したように、安倍・菅両政権のコロナ対策が大成功したことを意味します。しかし、上の動画にも高橋洋一氏も触れているように、日本ではこの大偉業を日経新聞をはじめとするマスコミは報道しません。

さらに、失業率は典型的な遅行資料であり、現在の政府の雇用対策は、半年後以降にその成果が現れます。

安倍・菅政権による雇用対策は、功を奏し、さらに岸田政権においても、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置は継続されました。令和4年11月30日まで特例措置 及び 令和4年12月1日~令和5年3月31日まで経過措置が措置が取られています。雇用調整助成金の特例措置は3月31日をもって終了します。

菅義偉前首相(右)が新総裁に選ばれた自民党総裁選で手を取り合う安倍晋三元首相(中)と岸田文雄首相(2020年9月)

今後の雇用がどうなるかは、半年後にはっきりします。経済指標の中で、失業率は一番重要な指標です。マクロ経済的には、何をさておいても雇用が良ければ、政府の経済対策は合格といえます。雇用が悪ければ、他の指標がいくら良くても、政府の経済対策は失敗です。

雇用が遅行指標であることから、今後岸田政権がどのような経済政策をとろうとも、4月1日から半年後あたりまでは、雇用は良い状況が継続されるのは確実です。

私自身は、岸田政権が様々に批判されてきたにも関わらず、結局党内政局などになかなか結びつかないのは、結局のところ雇用状況の良さが続いているからであると考えています。雇用が悪ければ、政権の基盤も弱まります。

岸田政権が防衛費の倍増や、異次元の少子化対策などを打ち出しています。問題は、その財源を増税によって賄うか否かです。消費税などの増税で賄うとすれば、また、経済も落ち込み、さらにデフレが進行することになりかねません。そうなれば、雇用はいずれ再び悪化することになります。

このようなことをすれば、岸田政権は長期政権にはなり得ません。上の記事にもあるように、岸田首相はウクライナ電撃訪問(今月21日)や、日韓首脳会談(今月17日)、中国大使の離任の挨拶を断る(2月)、新日英同盟の締結(1月)などの目覚ましい外交により、特に日中関係を構造的に変えてしまったことにより、支持率をあげています。G7開催後にはさらに支持率を上げる可能性も大です。そうして、今後半年くらいは雇用が悪くなる可能性もありません。

そうなると、「G7明け解散説」が浮上するのは、当然の流れですし、これについては、以前にもあり得ることをこのブログで示しています。

そうなると、岸田首相は長期政権の切符を手にすることになるでしょう。ただ、それを確実なものにするには、やはり失業率をあげないようにするため、デフレを回避するため、当面増税・緊縮財政などはせず、日銀にも金融緩和政策を継続させるべきです。

ここを間違えれば、たとえ今年早期衆院解散を断行して、一時的に支持率が上がったにしても、それは一時的であり、岸田政権は長期にはなり得ません。

一番良いのは、先日も示したように、増税延期の時期を何年何月までとか、今後何年間などと時間で区切ることなく、たとえば物価上昇率が継続的に半年くらい4%くらいまで上がっても失業率が下がらなくなたときに検討するなどとして、増税延期を公約として、解散総選挙に臨むべきです。

上記の日経新聞のように安倍・菅政権の経済政策を認めないマスコミなどは、全くの問題外であり、ただのマクロ経済音痴としか言いようがありません。なぜアベノミクスを否定する人たちは、この雇用改善をみないのか不思議でなりません。いったいマクロ経済政策になにを求めているのでしょうか。岸田首相は、これを認めた上で、その積み残しを実行すべきです。


現在でも、失業率は高くはありませんが、GDPギャップは厳然と存在しているのですから、それを是正して、デフレからの完全脱却と、ゆるやかな賃金の上昇からしっかりとした上昇を目指し、アベノミクスのさらなる改善・改革を目指すべきです。金融緩和の継続と、積極財政は必要不可欠です。間違っても、増税などすべきではありません。これを実行できれば、岸田政権は長期政権となるでしょう。

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2023年3月28日火曜日

日本人向けアニメの最大級海賊版サイト・B9GOODの運営者ら4人を刑事摘発―【私の論評】中国内での合法的な日本アニメのさらなる規制も強まる予感(゚д゚)!

日本人向けアニメの最大級海賊版サイト・B9GOODの運営者ら4人を刑事摘発

かつてのB9GOODのサイト画面 現在はサムネイル等もみれません

日本人向けアニメの海賊版サイトとして最大の規模を誇るB9GOODの運営者ら4人が、中国江蘇省の公安局により刑事摘発された。

アニメを中心にドラマや映画が配信され、日本からのアクセスが約95%を占めていたというB9GOOD。2月14日に重慶市在住の33歳無職男性Aの身柄が拘束されるともに取り調べが行われ、2月18日から3月21日にかけて成都市在住の30歳会社員女性B、上海市在住の38歳無職男性C、福建省福州市在住の34歳自営業女性Dに対して家宅捜索と在宅での取り調べが実施された。

刑事事件化を一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)に要請したのは、アニプレックス、テレビ東京、東映アニメーション、東宝、日本放送協会、バンダイナムコフィルムワークスの計6社。そのほか複数のCODA会員社も、同サイトに掲載されていた作品の被害確認で調査協力を行った。CODAからの刑事告発で中国の海賊版サイトの運営者やアップローダーが刑事摘発されたのは今回が初となる。

主要関係者の刑事摘発とサーバーの解析捜査が行われたのち、同サイトは3月27日に完全に閉鎖。男性Aは保釈保証金を納付し、3月19日に保釈された。公安の調べによると、男性Aはサイトの運営およびアップロードを認めているという。男性Aが同サイトの広告から得た収入の一部で購入していた400万元相当(約8000万円)の住宅はすでに差し押さえられているが、公安は男性Aがこれまでに600万から700万元(約1億2000万円から1億4000万円)を得ていたと見て裏付け捜査を進めている。

また男性Aは女性B、Dと面識があり、報酬を支払ってアップロードさせていたと供述。女性Bは3万元(約60万円)、女性Dは8万元(160万円)の報酬を得ていた。男性Cはほかのストレージサイトに違法コンテンツをアップロードし、B9GOODからのリンクで誘導、独自の広告を表示する方法で広告費を稼ぎ、これまでに30万元(約600万円)の収入を獲得していたとされる。今後被疑者らは起訴され、刑事裁判手続きに入る予定だ。

CODA代表理事・後藤健郎氏コメント                

この度、B9GOODの運営者やアップローダーが中国で刑事摘発されました。

日本人向けアニメの海賊版サイトとして最大規模のB9GOODがついに刑事摘発されたことの意義は大きく、今後の国際的な海賊版対策や国際連携・国際執行の強化に資する大きな成果であると考えます。著作権侵害行為は中国で行われていましたが、サイトへのアクセスは約95%が日本からのものでした。運営者は日本から集まる膨大なアクセスで広告費を稼いでいたのです。日本から海賊版サイトを大量視聴することで、海外の犯罪者に多額のお金が流れています。そして日本の権利者には1円も還元されることはありません。著作権を保護することの大切さを再認識していただくとともに、どうか海賊版サイトではなく、正規のコンテンツを視聴してください。

【私の論評】中国内での合法的な日本アニメのさらなる規制も強まる予感(゚д゚)!

B9GOODは2008年に「B9DM」というサイト名で開設。その後サイト名とドメインを「b9good.com」に変更し、Web解析ツールの「SimilarWeb」によると21年3月から23年2月までの2年間で3億回以上のアクセスを集めていました。

閲覧者を違法コンテンツへ誘導する、いわゆるリーチサイトの“リンク元”としても機能していました。22年9月に北海道警が摘発した「全話一気に視聴するならココ!!(アニメ)」もB9GOODにアップロードされた動画へ誘導していたことが分かっています。

B9GOODの刑事摘発は、間違いなく日本にとっては良いことなのですが、私には素直には喜べないところがあります。

中国ではテレビの普及とともに1980年代以降、日本からさまざまなアニメ番組が輸入されました。「一休さん」、「ドラえもん」、「ドラゴンボール」、「聖闘士聖矢」など日本国内でもおなじみの作品を中国の子供たちは観て育ち、その作品は今はすっかり大人となった中国人の脳裏に刻み込まれています。

2000年以降はインターネットで作品の配信も行われるようになり、日本のアニメやゲームは中国社会に大きな影響を与えています。

中国社会の中に日本のアニメやゲームの文化がすっかり根付いてしまっているのは確かですが、こうしたなか習近平政権は日本のアニメやゲームなどを狙い撃ちし始めていました。

2015年6月に上海で開かれ国際映画祭に合わせて日本の作品が紹介されましたが、日本国内でも人気が高い「進撃の巨人」は上映できませんでした。この時は、その理由が明らかにされませんでしたが、中国文化省は映画祭に先立って、「進撃の巨人」や「寄生獣」など38作品のリストを公表。インターネットでの配信を禁止する措置を取っており、この影響を受けたとみられています。

38作品をリスト化した表向きの理由は「未成年者の犯罪や暴力、ポルノ、テロ活動をあおる内容が含まれる」というものですが、中国政府や共産党の見解を額面通りに受け取るような人はよほどのお人好しでしょう。

人間を捕食する「巨人」が支配する世界で、築いた壁の内側で戦きながら暮らす人類がやがて「巨人」との戦いを決意する「進撃の巨人」は、中国共産党の支配力が着実に浸透している香港に重ね合わせることもできます。巨人=中国共産党であり、人類=香港の人々という具合に。「進撃の巨人」は世界中でファンを獲得したが、香港でも大きな反響を呼びました。

2015年春には北京テレビが「名探偵コナン」を取り上げ、「アニメ作品の旗を掲げた、あからさまな犯罪の教科書だ」と批判。また、2014年9月には成都市共産党委員会機関紙の成都日報が「ドラえもん」にかみつきました。成都日報は「ドラえもん」が2020年東京五輪招致の際に招致スペシャルアンバサダー(特別大使)に就任したことなどに触れ、「ドラえもんは国家としての価値観を輸出し、日本の文化戦略で重要な役割を果たす」と主張。むやみに親しみを持たないように呼びかけました。

これだけ中国政府や共産党が日本のアニメやゲームの文化に対して警戒感と敵愾心を示すのは「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識している明らかな証拠でしょう。

このあたりのことは、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

この記事は、2016年5月1日のものです。この記事より、以下に一部を引用します。
幼少の頃に文化大革命に遭遇し、後に日本に帰化した石平氏は、「この結果、中国では論語の心や儒教の精神は無残に破壊され、世界で屈指の拝金主義が跋扈するようになった」と批判しています。

中国では、文化財などの保存もいい加減であり、とても、過去の先達の知恵を継承しようなどという考えがあるとは思えません。

古代中国の知恵を自分たちの血とし、肉として、それを現代に至るまで継承してきたということでは、日本のほうが現代中国よりも、古代中国の知恵の継承者として、数段上にあると言っても良いくらいです。誰でも、一度は漢文に接したことがあることでしょうし、習字をしたこともあると思います。さらに、私達の生活習慣の中にも、古代中国の知恵や文化が息づいています。

これに関しては、上の写真を見ても理解できます。上は、日本の安倍総理による習字と、習近平のものを対比したものです。

これを見ても、どちらが古代中国の文化や知恵、徳の継承者であるか良く理解できます。そうは、言っても、日本でもとても古代中国の文化を継承しているとは思えない人もいます。それは、以下の写真をご覧いただければ、おわかりいただけるものと思います。

このような例外は、除いて、普通の日本人なら、古代中国の徳や、知恵が体に染み付いています。日本のアニメや、ゲームも作者は意識していなくてもそうなので、それが意識しなくても、作品に現れてしまうのです。それを中国共産党は、自分たちの統治の正当性を脅かすものとして、警戒感と敵愾心を示すのです。 

その後もアニメなどに対する中国の締め付けは継続されています。中国の放送規制当局、国家広播電視総局(広電総局)は2021年9月24日遅くに公表した通知文で、オンラインで配信するアニメーション動画の制作者に対し、「健全な」作品をつくるよう求め、暴力的だったり、低俗で性的だったりするコンテンツを排斥するよう促すと表明しました。

広電総局は、アニメ動画は子どもや若者が主な視聴者だと指摘。各適格機関は「真善美を発揚する」コンテンツを放送する必要があるとしました。

中国共産党は当時から、エンタテインメント業界に対する締め付けを強化していました。

それまで、中国ではテレビやネットでのアイドル育成番組が人気で、歌やダンスを披露するアイドルの卵に若者らが投票したり、審査員がアドバイスする番組が複数ありました。

しかし政府は、2021年から芸能人の「人気ランキング」や「投票行為」や未成年の「投げ銭」を禁じた上、これらの放送をすべて禁止としました。

芸能人の「人気ランキング」や「投票行為」は民主的な選挙を連想させ、政府の統制が行き届かないところで大きな集団が形成され、中国共産党に対する批判が行われることを警戒してのことのようです。

さらに中国共産党は、テレビ局に対しても強い規制をかけ、主要BS放送4社に「娯楽性を求めるな」と是正命令を出し、過度のエンターテイメント性を追い求めず、ファン文化を助長せず、「高い政治的意識をもって」(中国語:政治家辦報)番組の制作にあたるように命じ、中国共産党に対して従順でない芸能人の起用も禁じました。

「政治家辦報」とは、毛沢東が1956年にメディアのあり方について述べたときに使用した言葉です。

これらの規制に対して、ファンや有識者からは「まるで文化大革命だ。国は一つの声しか許さない」「中国社会はとっくに終わっている。だれも庶民の声を聞かない」「毛沢東の独裁時代に戻り、洗脳を強めていく」との批判が相次いでいました。

これらの規制の煽りを受け、有名タレントの脱税の摘発も強化され、自主廃業に追い込まれている芸能プロダクションは、2021年8月末時点で700社以上に及びました。

また、中国当局は2021年8月30日、ネットゲーム運営企業に、未成年のプレイ時間を「金、土、日の各20~21時の1時間」、つまり週に3時間までに限定するよう命じ、他にもネットゲームアカウントの実名登録制の徹底も要求しました。

中国共産党は、6年前からネットゲームを「毒物」扱いし、敵視してきました。

理由については「若者のゲーム依存を防ぐため」などと説明していますが、ここにも政府の統制の及ばないところで、不特定多数の人が集まることへの警戒があると見られています。

このように中国共産党は、政府に反発する集団が形成されることを極端に恐れており、様々な産業に対する取り締まりを強化していますが、これでは中国経済はますます衰退の一途を辿っていくばかりです。

こうした、背景のもとに、「B9GOOD」のサイトも閉鎖されたと考えられます。無論このサイトは、違法サイトであり、いずれの国においても閉鎖されて当然です。

ただ、このサイトが開始された時期を考えると、15年近くも放置したことになり、中国共産党は、日本から海賊版サイトを大量視聴することで、中国の犯罪者に多額のお金が流れていたことを長期にわたって許容していたともいえます。

これは、2010年あたりまでは、中国当局が、反日デモや反日サイトを放置していたのと似ています。これらは、2012年あたりには、完全消滅しています。なぜそのようなことになったかといえば、中国政府は当初は「愛国無罪」などとして、反日デモ・サイトを放任していたのですが、これらの大半は放置しておくと後に、反政府デモ・サイトになってしまったので、これを規制するようなったです。

現在では、中国には反日デモ・サイトはみられません。それが発生しそうになれば、中国当局がそれをすぐに排除するからです。

これと同じように中国共産党は、このサイトを放置し続ければ古代中国の徳や、知恵」を含む日本のアニメの流布を無制限に広めることになりかねず、そうなれば中国共産党の統治の正当性を脅かしかねないと判断してこれを閉鎖したのでしょう。

今後、中国共産党の日本のアニメなどに対する規制は、合法のものまでさらに厳しくなると予想されます。だからこそ、先に示したように、私はB9GOODの閉鎖を素直に手放しでは、喜べないのです。

ただし、日本では言論の自由があり、政府等に反対する言論等を特に封じることなどしなくても、さほど大きな混乱を招くことはありませんが、それに比べて中国共産党の基盤はそれだけ弱いということです。

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2023年3月27日月曜日

【速報】岸田総理、物流「2024年問題」で近く関係閣僚会議開催へ―【私の論評】外交で覚醒した岸田首相は、経済でも覚醒すれば、長期政権を手に(゚д゚)!

【速報】岸田総理、物流「2024年問題」で近く関係閣僚会議開催へ

岸田総理は、「2024年問題」を受け、近日中に新たな関係閣僚会議を設置し、緊急に取り組む施策を取りまとめる考えを明らかにした

 岸田総理は、物流業界のいわゆる「2024年問題」を受け、近日中に新たな関係閣僚会議を設置し、緊急に取り組む施策を取りまとめる考えを明らかにしました。

 物流業界では来年4月に改正労働基準法が施行され、トラックドライバーの拘束時間が現状の1日最大16時間以内から15時間以内に制限されます。

 労働環境が改善される一方、1人が運べる荷物の量が減るほか、運送事業者の売り上げの減少、ドライバーの収入減などによって輸送量が減ることが懸念されています。

 これらの問題は「2024年問題」と呼ばれ、これまで当たり前に届いていた荷物が遅延してしまう、届ける手段がなくなるなど大きな影響が出かねないことから対策が急務となっています。

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「2024年問題」に関して、以下に問題点と、それに対する対処法をあげておきます。この内容をすでにご存知の方は、この部分は読み飛ばしてくだい。

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2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称のことです。

これまでトラックドライバーの労働環境は、長時間労働の慢性化という課題を抱えていました。

若手不足と高齢化による労働力不足の中、EC市場の急成長による宅配便の取り扱い個数の増加により長時間労働が常態化していたのです。

2024年の法施行では自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を設定することでトラックドライバーの労働環境を良くしようという狙いがあります。

一見、物流業界がホワイト化する良いきっかけとなるように思われますが、この法施行によってどのような問題が生じるのでしょうか。

一つ目は、運送・物流業者の売上、利益が減少する問題です。規制により、1日に運べる荷物の量が減るため、運賃を上げなければ収入が減少してしまいます。

しかし、運賃を上げることは容易ではありません。6万社を超える運送業者の過当競争の中、荷主企業はより運賃の安い業者へ依頼するため、運送業者が荷主と価格交渉しにくい現状があります。

また、中小企業で月60時間の時間外労働が発生した場合には、2023年の法施行により割増賃金率が25%から50%へ引き上げられることから人件費が増加し、利益の減少に繋がります。

二つ目は、労働時間の減少によりドライバーの収入が減少するという問題です。トラックドライバーは走行距離に応じて運行手当が支給されるため、本来であれば走れば走るほど収入が増えるのですが、労働時間の規制により走れる距離が短くなれば収入が減少してしまいます。収入が低いとなれば離職に繋がる可能性もあり、労働力不足に拍車がかかる恐れもあります。

この問題への対処法は以下があります。

1.労働環境・条件の改善、働き方の柔軟化
時間外労働時間に上限が設定されることで、1人あたりの売上は減少すると想定されます。したがって、会社全体の売上や利益を減らさないためには、より多くのトラックドライバーを確保することが大切です。

働き手を確保するためには、「労働環境・条件の改善」や「働き方の柔軟化」などに取り組み、求職者が働きたいと思うような会社作りを行うことが効果的です。 
具体的には、低賃金や長時間労働といった問題の解決、時短勤務制度をはじめとした多様な働き方の導入、住宅補助をはじめとした福利厚生制度の充実などが挙げられます。
2.ITの活用
2024年問題への対処には、積極的なITの活用が効果的です。

たとえば、トラックの予約受付システムを導入すれば「荷待ち時間の短縮」、車両管理システムを導入すれば「トラックの稼働率向上」の効果が期待できます。こうした効果が発揮されれば、労働時間の削減や生産性の向上につながるでしょう。

より簡単なものでいえば、遠隔地にいても打ち合わせや点呼を行えるコミュニケーションツールを導入することで、労働時間の短縮や生産性向上などの効果を期待できます。
3.M&A(合併、売却・買収)の実施
2024年問題の解決には、M&A(合併売却買収)の実施も効果的です。M&A(Merger And Acquisition)とは、会社や事業を1つの会社に統合したり、会社同士で事業や株式を売買したりすることです。

他の運送・物流会社を買収すれば、トラックドライバーを一度にまとめて獲得し、人材不足の問題を解消できます。

また、事業規模・領域の拡大やITシステムの獲得などにより、売上や生産性を高めることも期待できるでしょう。

一方で売り手としてM&Aを行う場合、大手企業の傘下に入ることで、「採用力の強化」や「より良い労働条件への変更」、「売上増加」、「顧客獲得」などの効果を期待できます。

また、一部の事業だけを売却することで、獲得した資金を労働環境・条件の改善やITシステムの導入などに充てることが可能です。

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岸田首相、このブログにも掲載したように、最近ではウクライナ電撃訪問などにより、まさに面目躍如ともいえる状況です。

このブログにも掲載したように、岸田首相は、日中関係を構造的に変えてしまいました。もう、中国が先狼外交をしようが、親・媚中議員が騒いでも、どんな行動をしても、日中関係が元に戻ることはないでしょう。

キーウを電撃訪問した岸田首相

岸田首相は、外交においては安倍路線を継承し、発展させる覚悟を見せたといえます。3月16日の日韓首脳会談、20日の日印首脳会談、21日の日・ウクライナ首脳会談と一連の首脳会談は見事でした。

最近の岸田首相は、最近自信に溢れ、何か吹っ切れたように見えます。24日の参院予算委員会において、立憲民主党の石垣のりこ氏の高市大臣罷免要求に対し、「文書の正確性は確認できなかったという結果が出ている」と指摘し「いきなり更迭というのはあまりにも論理が飛躍していると思う」と一蹴しました。

ただ、外交や安保では、吹っ切れて、党内外の雑音も気にせずに、わが道をいくことを決めた岸田総理のようですが、残念ながら経済問題ではそうではありません。

物流「2024年問題」で近く関係閣僚会議開催をして検討をするのは結構なことですが、それにしても対策を打つとなると先立つものは資金です。

これを増税で賄うとか、そこまでいかなくても、みすぼらしい予算で、ほとんど意味を持たない対策をしてしまえば、せっかく外交で得たプラス評価もかすんでしまいかねません。

そもそも、財務省のいうように、経済対策をなんでも増税で賄うのが正しいかのような考えは、完全に間違いです。

有効需要を作るために、政府は財政出動する必要があります。そのために政府は国債を発行し、同時にカネを増やすために中央銀行が国債購入します。これが、安倍首相の言う政府日銀の連合軍です。歴代政権では安倍・菅首相のみ理解しました。実際に安倍・菅両政権のときには、両政権合わせて政府日銀連合軍方式で100兆円の資金を調達し、コロナ対策を実行しました。

こうした大胆な政策を実行したため、日本は他国と比較すれば、失業率が高まることもなく、経済に落ち込みもあまりありませんでした。現在は、その余波が未だ続いていると言っても良い状況です。岸田政権になってからも、失業率の低さは続いています。

「有効需要」とは実際の貨幣支出をともなう需要のことです。ケインズによれば、生産水準の大きさは有効需要の大きさで決まるとされます。さらに、有効需要=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入) という式であらわすことができます。

「需要」とは何かが欲しい・必要というものですが、単なる消費の欲求や潜在需要とは異なる貨幣支出をともなうものが「有効需要」です。つまり需要として有効なもの、実際に実現されるものということになります。

マクロ経済学では、失業をなくし完全雇用を実現するための理論が最重要です。ケインズの理論によれば、雇用水準や生産水準は国全体の有効需要の大きさで決まるので、政府が積極的に経済に介入し、公共投資により有効需要を増やすことが完全雇用につながり、生産規模も拡大するとしています。

つまり、公共投資等を増大することなどで有効需要を作り出し、不況を克服するなどの景気調整を行い、完全雇用を目指す政策をとるようにすることは、国の経済を拡大し国民にとっても有効な経済政策になるというものです。

このように政府が介入する資本主義を「修正資本主義」といいます。自由放任主義の経済学を批判し、積極的に政府が経済に介入すべきであるという考え方です。この考え方は、特に不況やデフレあるいは、インフレのときには今でも当てはまる重要な考え方です。

有効需要というと、多くの人は、「何に投資すべき、あれに投資すべき、これに投資しても貯蓄にまわるだけだ」などと言う人もいますが、有効需要を作り出すには、政府が量的支出をすれば良いのです。対象は何であっても良いのです。ただ、すみやかに支出をすべきです。

実際、昨年ノーベル経済学賞を受賞した元FRB議長バーナンキ氏は、「日銀はケチャップだろうが何だろうが買えばいい」と語ったことがあります。

バーナンキ氏

このあたりを理解したのが、安倍氏であり、菅氏だったのです。ただ惜しむらくは、日本の場合経済対策のほとんどが、補助・助成金によって行われることです。本来は減税を主体にしたほうが良いです。なぜなら、補助・助成金となると、審査等が必要であり、事務が滞りごちになり、支給が遅れたり、せっかく予算が割り当てられているのに、未消化という事態を招きがちだからです。

岸田首相には、このあたりのことを理解し、財務省や財政再建派の議員の雑音など、跳ね除けてていただき、外交で行った対中外交構造改革を経済の面でも成し遂げ、減税主体の経済対策に切り替えて、実行していただきたいものです。

そうすれば、岸田首相は内外から、安倍元首相の正当な後継者であるとみなされるようになり、政権も安定し、長期政権になることでしょう。長期政権が見えてきた後になってから、岸田カラーを出すこともできるでしょう。ただ、今のままだと、政権がなかなか安定しないです。

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2023年3月26日日曜日

中国で拘束男性はアステラス社員 国内法違反か―【私の論評】中共による邦人拘束等では牽制できなくなった、岸田政権による日本の対中国構造変化(゚д゚)!

中国で拘束男性はアステラス社員 国内法違反か


 中国の国内法に違反したとして北京市で今月、当局に拘束された日本企業幹部の50代の日本人男性が、アステラス製薬の社員であることが26日、分かった。アステラスの広報担当者が共同通信の取材に「拘束されたのは当社の社員で間違いない」と明らかにした。

 男性の肩書や年齢、拘束に至る経緯といった詳しい内容は「個人情報の観点に加えて、分かっていないことも多い」として明らかにしなかった。アステラスは「外務省を通じて情報収集をしていく」と説明している。

 男性は反スパイ法などの疑いをかけられた可能性もある。日本政府は早期解放を中国政府に求めている。

【私の論評】中共による邦人拘束等では牽制できなくなった、岸田政権による日本の対中国構造変化(゚д゚)!

昨日は、このブログで、岸田政権が中国に対峙する姿勢をとってきたことを述べました。

岸田首相は、昨年9月安倍元総理の国葬の時に、台湾は献花の際、国名や国際機関名などを読み上げる「指名献花」の対象とし、今年1月には新日英同盟を締結、2月には岸田文雄首相に対する孔鉉佑(こう・げんゆう)中国大使の離任あいさつの申請を断り、その後今月は丁度習近平がロシアを訪問していた時の、インド訪問直後にウクライナ訪問をしていました。

日本人が中国で拘束されたニュースは今月25日ですが、実際に拘束したのは、ウクライナ訪問の前であったと考えられます。絶好のタイミングの岸田首相のウクライナ訪問で、中国はメンツを潰された形になりました。

中国としては、中国大使の離任挨拶を断った日本に対して、意趣返し、もしくは牽制のため、日本人を拘束した可能性があります。こうした圧力にも屈せず、岸田首相はウクライナ電撃訪問を果たしたと見られます。

ただし、日本政府関係者は「首相と大使は対等ではない。外交儀礼上は何ら問題ない」と説明。日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため日本側には「相互主義の対応を取る必要がある」との判断もあったといいます。

令和元年(2019年)6月11日、当時の安倍総理は、総理大臣官邸で中華人民共和国の着任したばかりの孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使による表敬を受けました。孔鉉佑大使の大使着任目的の一つには、2020年春に予定されていた中国の習近平国家主席の国賓としての日本訪問を実現させることがあったと考えられます。

孔鉉佑駐日大使の表敬訪問を受けた安倍総理(当時)

2019年7月2日、孔鉉佑大使夫妻は東京のホテルニューオータニで盛大に着任パーティーを開催しました。日本の福田康夫、鳩山由紀夫両元首相、世耕弘成経済産業大臣、吉川貴盛農林水産大臣、西村康稔官房副長官、阿部俊子外務副大臣、和泉洋人首相補佐官ら政府高官、自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男党首、日本維新の会の片山虎之助共同代表ら与野党の首脳および衆参両院の百名近い国会議員、友好団体、経済界、主要メディア、シンクタンクの学者ら各界の人々、各国駐日使節および在日華僑華人、留学生、中国系企業の代表ら1000人余りが出席しました。

しかし、2020年3月に安倍政権は、コロナ感染症の拡大などを理由にし、習近平来日を断っていました。それ以来、日本政府は未だ、習近平の国賓待遇での来日を実現させていません。

習近平の国賓待遇での日本への招待が実現していれば、中国の国際社会の復帰への拍車がかかった可能性があります。さらに、この後に天皇陛下が中国訪問ということになれば、1996年の天皇(元上皇)中国訪問の再来になりかねませんでした。

当時は、1989年6月4日の天安門事件に対する西側諸国による厳しい対中経済制裁が行われていましたが、天皇訪中を皮切りに、西側諸国は制裁を解除したのです。

ところが、安倍元総理の国葬が執り行われた、9月27日のわずか2日後の9月29日、日中国交正常化50周年記念レセプションが、都内のホテルで開催され、林外相をはじめ、二階俊博元自民党幹事長(日中国交正常化50周年交流促進実行委員会最高顧問)、福田康夫元総理(同委員会最高顧問)、河野洋平・元衆院議長など、自民党の「親中勇士」たちが顔を揃えたのです。

いずれも日中友好を讃え、「中国なくして日本の経済は成立しない」というトーンの中で祝い合ったのです。

以下の写真は、日中国国交正常化50周年レセプションで乾杯する(右から)林芳正外務大臣、二階俊博衆議院議員、河野洋平日本国際貿易協会会長、福田康夫元内閣総理大臣、十倉雅和・日中国交正50周年交流促進実行委員長、孔鉉佑・中国駐日大使です。


当然のことながら、これには多くの保守派が憤り、林外務大臣の参加を放置したともみられた岸田政権にも批判が集まりました。

しかし、今回の一連の岸田総理の動きで、これらの動きはことごとく葬り去られたといえます、中共はもとより自民党内の親中派議員も、ことごとく梯子を外され、地面に叩きつけられたと言って良い状況になりました。

中国で邦人がスパイ容疑で逮捕された場合、日本が普通の国であれば、国内の中国人スパイをスパイ容疑で逮捕、身柄交換をします。ただし日本でまともなスパイ防止法がないので、今後は、これをまともに整備すべきです。

特定秘密保護法やセキュリティクリアランスはそのための前提です。このような制度改革が行われたとしても、普通に生活している人には、何の関係もありません。にもかかわらず、これに反対する人はどういう人なのか、誰にもでも理解できます。


岸田文雄首相は24日の参院予算委員会で、放送法の「政治的公平」を巡る総務省の行政文書を「捏造(ねつぞう)だ」と主張した高市早苗経済安全保障担当相について、野党から要求された罷免を拒否しました。立憲民主党の石垣のりこ氏への答弁において「いきなり更迭うんぬんはあまりに論理が飛躍している」と述べました。

セキュリティー・クリアランスを推進している高市大臣がこのような扱いを受けたことに対して、岸田首相がこのような発言をするのは当然のことだと思います。

先日このブログでは、岸田首相がキーウを訪問した2023年3月21日は、21世紀の世界において、日本と中国が真逆の立場を鮮明にして、別の道を進み始めた「運命の日」として記憶されることになり、 これから、日中関係が大きく変わることになると記しました。

しかし、説明が足りなかったので、何のことかご理解いただけない部分もあったと思います。本日は中国での邦人拘束を題材としながらも、この補足説明もさせていただきました。

もうこの方向性は、岸田首相によって誰も変えられない次元にまで変えられてしまい、構造変化を起こし、親中・媚中派議員が、今後何をしても、騒いでもほとんど意味を持たなくなりました。中国も日本人拘束などで、日本に牽制をしたとしても、尖閣で暴れても、その他の戦狼外交等を仕掛けたとしても、この流れは変えられなくなりました。

来るG7サミットにおいても、岸田首相はこの路線を固辞し、G7広島サミットに臨み、中国への対峙の姿勢を明確にし、日本はかつての安倍政権の時のように、世界をリードする可能性が高まったといえます。

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2023年3月25日土曜日

首相が中国大使の離任面会断る 世論硬化に配慮―【私の論評】安倍元総理逝去により、懸念された日本外交の後退が、また元の軌道に戻ることを予感させる一連の出来事(゚д゚)!

首相が中国大使の離任面会断る 世論硬化に配慮


 日本政府が2月末に帰国した中国の孔鉉佑前駐日大使からの岸田文雄首相に対する離任あいさつの申請を断っていたことが25日、分かった。歴代大使の大半は離任時に首相面会を受けており、岸田政権の対応は異例。慎重な対中姿勢が浮き彫りになった。硬化する国内の対中世論に配慮したという。複数の日中関係筋が明らかにした。

 関係筋によると、日本政府は1月ごろに中国側から孔氏の離任に際した首相面会の希望を打診された。その後に「日程上の都合」を理由に受けられないと中国側に回答。林芳正外相が代わりに孔氏と面会したが、外務省は公表を見送った。

 日本政府関係者は「首相と大使は対等ではない。外交儀礼上は何ら問題ない」と説明。日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため日本側には「相互主義の対応を取る必要がある」との判断もあったという。

【私の論評】安倍元総理逝去により、懸念された日本外交の後退が、また元の軌道に戻ることを予感させる一連の出来事(゚д゚)!

日中関係は、岸田首相のキーウ訪問以降確実に変わるであろうことをこのブログでも先日力説したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
岸田氏訪問、ウクライナに大きな意義 「タフな首相」との声も―【私の論評】ベストタイミングの岸田首相キーウ訪問でかすむ中露首脳会談(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみを掲載します。
2023年3月21日は、21世紀の世界において、日本と中国が真逆の立場を鮮明にして、別の道を進み始めた「運命の日」として記憶されることになるでしょう。 これから、日中関係が大きく変わることになります。

習近平がロシアを訪問しているときに、意図して意識してこの日焦点合わせて、岸田総理がキーウを訪問しているわけですから、これは、間違いないです。 

ただ、上の記事をよく読むと、中国の孔鉉佑前駐日大使が離任したのは、2月末ですから、岸田首相は中国に対して厳しい態度を取ることこの時点ですでに決めていたとみることができます。

だからこそ、習近平がロシアを訪問する日付がわかった直後に、ウクライナ行きを決めたものと思われます。

岸田首相が安倍外交を継続し、発展させようと考えていたとみられることは、すでにその兆候が、みられていました。たとえば、安倍元総理の国葬の時に、台湾は献花の際、国名や国際機関名などを読み上げる「指名献花」の対象とされました。

さらに、実質的な新日英同盟の締結でさらに確かなものとなりました。これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

「日英同盟」復活! 岸田首相が〝安倍レガシー〟継承 共産中国の脅威が目前、協定署名にこぎつけた「グッドジョブ」―【私の論評】地政学的にもともと関係を強化することが運命づけられている日英(゚д゚)!
「円滑化協定」の署名を終えて握手をする岸田首相とスナク英首相

これは、1月14日の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
やはり、日英というシーパワー国が、ランドパワー国のロシア、中国を間に挟んで、両側から対峙しているという構図のほうが英国にとっても良かったし、これかもそうだといえると思います。

先の日英同盟を結んでいた100年前と、時代は変わりましたが、この構図は変わらないどころか、中国の海洋進出、ロシアのウクライナな侵攻等により、増々顕著になってきたといえます。

ユーラシア大陸があり、そこにランドバワー国が存在し、シーパワー国日英が、それを挟む形になっていることから、日英は、地政学的にもともと関係を強化することが運命づけられているともいえます。

とはいえ、100年間も途切れた日英同盟を復活されることに貢献された、安倍元総理と、実際に「円滑化協定(RAA)」に署名し事実上の同盟関係を築いた岸田総理には敬意を表したいです。

 旧日英同盟は、当時のロシアというランドパワー国に対する牽制ですし、新日英同盟は、現在の中国というランドパワー国に対する牽制です。

少し前までの英国は、ランドパワー国中国が自国から離れていることもあり、あまり警戒していませんでしたが、横暴な中国の振る舞いに警戒感を強め、英国との協定を破り一国二制度を捨て去り香港を手中に収めたことにより、その警戒感は頂点に達しました。

現在の英国は、ユーラシア大陸に位置する中露を警戒するようになり、特に中国の脅威に目覚めました。だからこそ、日英同盟を復活させたのです。

日英同盟の復活は、岸田総理が安倍元総理の外交方針を踏襲することの意思表示であったと考えられます。

その岸田首相が、2月には中国大使の離任あいさつの申請を断り、さらに習近平中国主席が、ロシアを訪問している時期に、ウクライナに訪問したのです。

これは、岸田首相が完璧に安倍元首相の外交の継承し発展させることを内外に示したものです。

ゼレンスキー大統領との首脳会談で「法の支配に基づく国際秩序」を訴え、「民主主義対専制主義」のようなグローバルサウス(発展途上国)が嫌がるような概念を持ち出さなかったことは注目すべきです。

直前のインドでのモディ首相との首脳会談では、1月にグローバルサウスサミットを主催した同首相と、グローバルサウスへの支援への連携に合意したばかりです。岸田政権の外交メッセージの一貫性が見て取れます。

その岸田首相は、G7においても、安倍外交の継承を明確化させ、特に中国に対峙することを明確に示すでしょう。岸田総理のキーウ訪問等の一連の出来事は、安倍元総理大臣の逝去により、懸念された日本外交の後退が、また元の軌道に戻ることを予感させるものであったと思います。

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2023年3月24日金曜日

対話型AIの影響受ける職業 国会質疑もかなり対応可能か 知識切り売りは大変な時代に―【私の論評】AIの普及で、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアに(゚д゚)!

日本の解き方


 IT各社が「対話型AI(人工知能)」に力を入れている。将来どのようなことに使われる可能性があるか。政策の決定にも活用されることはあるだろうか。

 対話型AIは大ざっぱに言えば、質問に対する答えをインターネット上から探してくれるものだ。これまでは検索で用語を書き込むと、それに関連したネット上の情報の一覧が出てくる。それをどのように取捨選択し、どの部分をコピー・アンド・ペーストするかは検索者の判断に委ねられ、回答文の作成も検索者がやっていた。しかし、対話型AIではその部分を人ではなくAIが行い、しかも回答文にするまでをやってくれる。

 筆者は、ネット上で番組を持っていて、その中で視聴者からの質問を受け付けている。従来は、スタッフが視聴者の質問をコピペして筆者に渡してくれた。正直いって、質問になっていない文の場合も多く、視聴者の意図を読み取りかねることがしばしばだった。そこで、今では視聴者の質問をコピペしたものを対話型AIにかけるようにしている。そうすると、対話型AIは質問になっていないものを的確に指摘してくれる。さらに、質問になっている場合、ネット上での情報を網羅的に検索してくれるので、その範囲であれば、無難な回答をすることもできる。

 もちろん、筆者はネット上に転がっている無難な回答では面白くないので、それに付加価値をつけるようにしている。ネット上の情報としてウィキペディアがあるが、「本当の専門家かどうかはウィキペディアの間違いを指摘できるかどうかだ」とすら言われているので、ここでは差別化できるチャンスとも考えている。

 筆者のネット上の番組を書籍化している人もいるのだが、単に筆者の話をコピペしているだけだ。その後のデータのアップデートはできないので、今後は対話型AIを活用して、文字起こしや書籍化を考えてみようと思う。

 筆者の身近な例でも予想されるが、対話型AIが発展すると影響を受けやすい職業は定型的な対応をするもの、とりわけ教師だろう。

 米プリンストン大学の研究チームは、影響を受ける職業ベスト20を発表している。それによれば、電話勧誘業者、英語と英文学の教師、外国語と外国文学の教師、歴史の教師、法律の教師、哲学と宗教の教師、社会学の教師、政治学の教師、刑事司法と法執行機関の教師、社会学者、ソーシャルワークの教師、心理学の教師、コミュニケーションの教師、政治学者、文化研究の教師、仲裁人・調停者、裁判官、地理の教師、図書館学の教師、臨床心理医・カウンセリング・学校心理学者だ。

 日本の国会質疑なども過去の質問と回答で、かなりの程度、対話型AIで対応できるのではないか。便利な時代になったが、知識のみの切り売りの人には大変な時代だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】AIの普及で、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアに(゚д゚)!

ChatGPTに以下のような質問をしてみました。
ChatGPTの登場により、影響を受ける職業は何だと思いますか。将来なくなってしまう職業もありますか。
この質問の答えは、以下です。

"
ChatGPTの登場により、以下の職業に影響を受ける可能性があります。

  1. カスタマーサポート: ChatGPTの登場により、多くのカスタマーサポートの業務は自動化される可能性があります。顧客が自分で問題を解決できるように、ChatGPTが提供する情報や支援によって、カスタマーサポートの需要が減少する可能性があります。
  2. 翻訳者: ChatGPTは多言語翻訳にも利用されるため、翻訳者にも影響を与える可能性があります。簡単な翻訳業務はChatGPTによって代替される可能性がありますが、専門的な翻訳や文化的なニュアンスを伝える翻訳業務は、人間による翻訳に引き続き需要があると思われます。
  3. ニュース記事の作成: ChatGPTは自動的に記事を書くことができるため、ニュース記事の作成に影響を与える可能性があります。しかし、ChatGPTによって生成された記事は、人間によって作成された記事とは異なるクオリティになる可能性があるため、ニュース記事の作成にはまだ人間の関与が必要となるでしょう。
将来的になくなってしまう職業は存在するかもしれませんが、全ての職業がChatGPTによって代替されるわけではありません。技術の進化に伴い、新しい職業も生まれることがあります。ただし、将来的にChatGPTのような自動化技術が発展し続けることで、特定の職業が不要になる可能性があることは否定できません。

"

確かにいずれ、こうなるでしょう。高橋洋一氏も知識のみの切り売りの人には大変な時代になるだろうと指摘していましたが、本当にそうです。

国会での質問なども、ChatGPTが使われるようになる可能性もあります。そうなると、下らない質問ばかりしている国会議員は無用の長物になります。

このような時代には、なんでもAIにまかせてしまえば、良いのでしょうか。そんなことはないと思います。

以前このブログにも掲載したように、人間の思考方法には三種類あります。その記事のリンクを以下に掲載します。

成田悠輔「高齢者は集団自決した方がいい」NYタイムズが発言報じて世界的大炎上「この上ないほど過激」―【私の論評】成田悠輔氏のような学者に、徹底的に欠ける統合的な思考方法とは(゚д゚)!

成田悠輔氏


この記事より、一部を引用します。

"
ロジカル・シンキング(理論的思考)
物事を広く深く考え、分析し、相手にわかりやすく伝えるために、問題を構造化する思考法のこと。これは、ビジネスの基本です。最低限、この思考法ができない人は、ビジネス・マンとはいえません。特に、新人では、こうした思考法ができない人が多いです。 しかし、こうした思考方法ばかりして、そこから、一歩もはみ出さない人は、発展性がないですし、人間的魅力も感じられませんね。

しかし、まずは、こうした思考法を身につけるべきです。また、ロジカル・シンキングは、より上位の思考法である、水平思考や、統合思考の基礎なるものです。これができない人に、より上の思考をすることはできません。
ラテラル・シンキング(水平的思考)
ある問題に対し、今まで行われてきた理論や枠にとらわれずに、全く異なった角度から新しいアイデアを生もうとする思考法のこと。英国のデボノが1967年ころ唱えたものです。ロジカル・シンキングだけでは、出てくるアイディアは、確実にできるものではあるものの、どうしても月並みなものになってしまいがちです。
 
そんなときに、全く見方を変えて、新たなアィデアを出すのがこの考え方です。会社であれば、部長までのクラスの人は、この考え方ができなければ、今の時代は務まりません。
インテグレーティブ・シンキング(統合的思考)
相克するアイデアや問題事項の対立点を解消することにより、より高次の第三の解答を見つけ出す思考法のこと。理論的思考や、水平思考によって、いろいろなアイディアが浮かんできます。ただし、アイディアがたくさんあるだけでは、実行に移すことはできません。

それどころか、混乱するだけです。ここで、数多くのアイデアを取捨選択、統合するとともに、実施すべき順番を考える必要があります。また、数多くのアイデアを束ねるだけではなく、一言で言い表したりして、誰にも理解できるようにして、さらに高次元にする必要があります。それが、統合的思考です。経営者クラスはここまでできなければなりません。
理論的思考については、役人や学者に優れた人が多いです。そうして、彼らの職責からいって、彼らは理論的思考一本槍で十分につとまります。

民間企業となると、理論的思考一本槍では、月並みなイノベーションしかできませんから、水平的思考も必要になります。

ただ、理論的思考と水平的思考だけでは、いかなる組織でも、混乱を招くことになります。そこで、統合的な思考が必要になってくるのです。 安倍元首相を例にすると、第一次安倍政権までの安倍氏の思考方法は、論理的思考と、水平的思考にとどまっていたものと思います。しかし、総理を辞任し、自民党が下野していた期間を安倍氏は無駄にしませんでした。

様々な情報を吸収し勉強しただけではなく、思考法を変化させ、統合的思考を身につけたようです。そうして、これこそが政治家にとって、一番重要な思考方法です。政治家の中には、現場が重要などと語って現場を重視する政治家もいます。確かに現場を見なければなりませんが、統合的な思考ができることが、その前提です。それができずに、ただ現場ばかりみている政治家は、無意味どころか害をなします。政治家などやめて、社会事業活動などして、直接困った人たちを助けるべきです。
"

以上は、政治家の事例を出したのですが、本来の政治家は、統合的な思考方法をすべきでしょう。一方、現在の官僚は、理論的な思考だけでも良いでしょう。民間企業においても、中間管理職までは、理論的思考と、水平思考だけでよいでしょうが、上級管理職、役員ともなれば、統合的な思考方法も必要になってきます。

先日、産経新聞社の阿比留瑠比氏の公演を聴いたのですが、その中で阿比留氏は、安倍総理のことを常に戦略的に物事を考える人だったと評していました。一般的には、戦略的に物事を考えることが、統合的に思考と呼ばれるものと考えても差し支えはないと思います。

ChatGPTのようなAIに得意なのは、論理的な思考や、水平的思考の一部までだと思います。

ただ、ChatGPTのようなAIが普及してくれば、多くの人が、統合的な思考方法をするように促されるような社会になるでしょう。なぜなら、かつて機械が肉体労働にとって変わったように、論理的思考や水平的思考の大きな部分がやがて、AIにとって変わられるからです。

ただ、意思決定そのものはAIの助けを受けながらも、人間が行うことになるでしょう。

意思決定とは何かといえば、経営学大家ドラッカーは以下のように言っています。
意思決定が意思決定たるためには、次の4つのことを決める必要があります。

(1)実行の責任者

(2)日程

(3)影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人

(4)影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人

組織で行われている意思決定のうちあまりに多くが、これらのことを決めていなかったために失敗している。

意思決定とは、上記4つを決めなければ、意思決定とはなりません。これをAIの力を借りながら、実行することもできるでしょうが、最終的に意思決定するのは人間です。

ドラッカー氏

ただ、ルーチンで行われること、あるいはルーチンに近い事柄に関しては、日々の業務で、AIが決定したものを、人間が追認する形で行われるようになるでしょう。

ただ、戦略的な意思決定に関しては、AIや社員から情報を得つつ、経営者が統合的思考を行い決定することになるでしょう。

ただし、論理的思考ができない、水平的な思考もできない人が、いきなり統合的な思考ができるようにはなりません。やはり、論理的思考や水平的な思考の教育や訓練は、教育現場においても、企業などの組織においてもこれからも必要になるでしょう。

AIの力を借りつつもこのようなことは、これからも行われていくでしょう。それにしても、統合的思考こそ、人間に残された最後のフロンティアとなるかもしれません。今ままでの社会では、統合的思考が要求されたのは、企業であれば、取締役以上、学校法人などでは、理事・理事長であり、他の人はそれをさほど要求されませんでした。

これから、もっと現場に近い人たちにも、それが要求されるようになるでしょう。学校や企業でも、そのような訓練や教育がなされるようになるでしょう。

そうして、これからさらに少子高齢化が予想される日本においては、AIの活用やロボット化の進展などによって、少子高齢化による弊害を乗り越えていくことが可能になるでしょう。


これら、経済学でいうところの「装置化」をすすめることは、日本が新しい次元の社会に突入ることを意味しており、その意味では「少子化」は決して悪いことばかりではないと思いますし、少子化の原因がはっきりわかっていない以上、少子化対策を実施したからといって、人口が増大する確証はありません。

であれば、AIの活用やロボット化を推進し、少子高齢化が進んでも、豊な社会を築くことが、我が国が進むべき道だと思います。

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2023年3月23日木曜日

岸田首相の早期衆院解散、観測強まる ウクライナ電撃訪問で政権内に追い風期待―【私の論評】防衛増税見送りを大義名分として岸田首相が衆院解散に踏み切る可能性が高まってきた(゚д゚)!

岸田首相の早期衆院解散、観測強まる ウクライナ電撃訪問で政権内に追い風期待

握手する岸田首相(左)とゼレンスキー大統領

 岸田文雄首相によるウクライナの首都キーウへの電撃訪問を受け、今国会会期中(6月21日まで)の衆院解散の観測が与党内で強まった。関係正常化で合意した16日の日韓首脳会談後に内閣支持率が上昇し、ウクライナ訪問がさらなる追い風になるとの期待感が政権内にあるからだ。

世論調査で支持率向上

 「ロシアによる侵略を一刻も早く止めなければならない。G7(先進7カ国)議長国のわが国はリーダーシップを発揮しなければならない」。23日に帰国した首相は同日の参院予算委員会に出席し、ウクライナ訪問の成果と決意を強調した。

 首相は16日に日韓首脳会談に臨み、17日には記者会見で子育て世帯への支援強化策を打ち出した。直後の18、19両日の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では内閣支持率は45・9%。2月の前回調査から5・3ポイント増えた。

 ウクライナ電撃訪問の翌22日、自民党幹部の一人は「支持率はもっと上がるんじゃないか。選挙に勝てるかどうかだけを考えれば、こんなチャンスはない」と反応した。想定可能な衆院選日程で最も早いのは、3月下旬の令和5年度予算成立後に解散し、衆参5選挙区補欠選挙などと同じ4月23日投開票となる。

6月中旬「可能性高まってきた」

 ただ、首相周辺は「まだやることがある」と否定的だ。政府は3月末に少子化対策のたたき台を取りまとめ、4月1日にこども家庭庁を発足させる。広島市で5月19~21日に開くG7首脳会議(サミット)の準備も大詰めを迎える。

 6月中旬になれば、すでに広島サミットは閉幕し、具体的な少子化対策を盛り込む経済財政運営の指針「骨太の方針」も閣議決定できそうだ。このため、国会会期末間際の解散は「可能性が高まってきた」(閣僚経験者)との声が出ている。ある政府高官も、今年後半は国内経済や国際金融市場の不透明感が増す可能性があると指摘し、「今年前半に衆院選に打って出た方がよいという判断になるかもしれない」と語る。

 野党が会期末間際に内閣不信任決議案を提出し、岸田政権にノーを突き付ければ、首相が「国民の信を問う」と解散に踏み切る引き金になりうる。

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今後、岸田内閣の支持率低下が止まらず、仮に支持をしないが40%前後を維持することになれば、党内政局などにより内閣総辞職に至る可能性が出てくると考えられます。福田政権から野田政権まで、いずれも支持しないが40%を超えて退陣となっています。当時はそのほとんどの期間がねじれ国会であったため、単純比較はできないものの、一応の目安となりそうです。

2023年中に総辞職があるとすれば、支持率の低下があとサミットが終了してもほど止まらないケースでしょう。その場合、岸田首相の悲願とも言える5月のG7広島サミットを「花道」とした、辞職となるでしょう。


ただし、上のグラフをご覧いただいてもわかるように、ウクライナ訪問前より、支持率は上げ調子となっています。これで、ウクライナ電撃訪問で支持率があがり、さらにG7後に支持率があがることになれば、解散総選挙は可能になります。

早期の衆院解散は岸田政権にとってメリットはあるが、デメリットも相当に大きいです。

メリットとしては、野党の衆院選への共闘態勢が整っていない点を挙げることができます。立憲民主党と日本維新の会は、臨時国会の運営や審議にあたって共闘態勢を構築しました。ただ、両党の関係が、立候補者調整など選挙協力に発展するかはまだ不透明です。

これまでの国政選挙で構築されてきた野党共闘の枠組みの先行きも不透明で、早期に衆院解散に踏み切れば、野党が分断した状態で与党は選挙に臨むことができます。

一方、デメリットとしては、政権の安定を目指して衆院解散に踏み切っても、議席を大きく減らせば、その責任を問われるなどかえって政権が不安定化しかねない点が挙げられます。

2021年秋の衆院選において、総裁選が盛り上がった余韻が残る中、感染収束や野党共闘失敗にも助けられ、自民党は単独で絶対安定多数を獲得する大勝を飾ることができました。今後どのタイミングで衆院解散に踏み切っても、現状の議席を維持するハードルは高いのではないでしょうか。

もし今の状況で衆院解散に踏み切れば、有権者の支持を得られるか疑問符がつきます。

岸田首相が長期政権を志向する場合、最も望ましい衆院解散時期は、やはり自民党総裁選の直前となる2024年夏頃でしょう。衆院選で勝利すれば、総裁選を無投票再選で乗り切る可能性が高まるためです。

では、2023年中の可能性はどうでしょうか。もし行われるとすれば、やはりG7広島サミットを終えた後の年央以降でしょう。内閣支持率が持ち直し、勝てそうな、もしくは負けを抑えられそうなタイミングがあれば、衆院解散はあり得るといったところでしょう。

広島サミットの主会場に決まったグランドプリンスホテル広島


2023年の経済政策はどうなるでしょうか。これも、解散総選挙があるか否かの目安になります。

まず、岸田政権は20日付で氷見野、内田両氏を副総裁、4月9日付で植田氏を総裁に任命します。

植田氏は国際経済学が専門。金融緩和に積極的だった現職の黒田 東彦はるひこ 総裁に比べ、金融緩和による効果とともに悪影響にも配慮するとみられています。2月の衆参両院における所信聴取で、植田氏は金融緩和を継続する意向を示しつつ、「政策には効果と副作用が常にある。冷静に比較考慮し、適切な政策を実施していく」と語りました。

日銀との関係では、1998~2005年、金融政策の決定に関わる審議委員を務めた。ノーベル経済学賞を受賞した元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏らとも交流があり、国際人脈が豊富です。

副総裁となる氷見野氏と内田氏も、当面は金融緩和を続ける考えを示しています。氷見野氏は金融庁時代、主要各国が集まる国際的な金融規制の協議体でとりまとめ役を務めました。内田氏は日銀理事などとして現在の金融緩和策の大半の立案・設計に携わりました。

植田氏は、このブログでも以前に述べたように、どちらかというと金融システム重視派であり、国民経済や失業率などよりも、金融システムを重要視する傾向があります。しかしながら、現状の日本経済は、金融システムにとっても、緩和をすすめるほうが良い状況にあります。

金融緩和をやめて、引き締めに転じたほうが良いと考えるのは、金融機関のなかでも特殊ないわゆる債権村と呼ばれる人たちだけであり、金融システム重視であっても現状ですぐに金融引締に転じるべきとは、植田新総裁でも考えないでしょう。

副総裁となる氷見野氏と内田氏も当面は金融緩和を続ける考えを示していることを考えると、日銀がすぐに禁輸引き締めに走るなどのことは考えられません。すぐに、本格的な利上げを図ることもないとみられます。

財政を巡る自民党内の積極財政派と、財政再建派の路線対立は続いていますが、どちらかと言えば数的には、財政再建派のほうが多く、財政規律は緩む方向にあります。

防衛増税の実施時期決定が先送りされたように、内閣支持率が低迷する中、積極財政派の主張が通りやすくなっています。党内政局を引き起こさないよう、岸田政権は積極財政派の主張に配慮しています。仮に国民民主党が連立入りするなどのことがあれば、積極財政派の主張は勢いを増すでしょう。

積極財政派は増税反対で一枚岩ではなく、賛否が分かれているため、防衛増税が正式決定される可能性もあります。ただ、仮に景気が悪化すれば、防衛増税が見送りとなる可能性が出てきます。その場合、防衛増税見送りの信を問うため衆院解散に至るというシナリオは考え得ます。


過去を振り返れば、安倍政権は消費増税延期や軽減税率導入を大義名分として3度国政選挙に臨み、いずれも勝利しました。2014年12月の衆院選では、10%への消費増税延期の信を問うことを大義名分としました。2016年7月の参院選では、増税再延期を掲げました。2017年10月の衆院選では、軽減税率導入を掲げました。

あくまでも以上は、リスクシナリオにもとづく見立てですが、防衛増税見送りを大義名分として岸田政権が衆院解散に踏み切る可能性を頭の片隅に入れたほうが良いでしょう。

防衛増税の時期も、何年何月からということではなく、失業率やその他の経済指標などをもとに、指標を作成し、それを超えた場合に増税するなどのことをすれば、自民党内の積極財政派も納得するでしょうし、有権者も納得するベストシナリオになるかもしれません。

その次の段階では、防衛増税だけではなく、すべての増税に関して、これを適用するようにすれば、岸田政権は長期政権になるかもしれません。ウクライナ外交で大成功した現在、G7サミットでも大成功すれば、このシナリオは十分あり得るものとなってきました。

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