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2020年6月6日土曜日

香港デモ同様の手口か。全米に広がる暴動の裏に中国「関与」の噂―【私の論評】米国人の中共に対する憤りは、コロナ禍も相まってますます激烈になる(゚д゚)!

香港デモ同様の手口か。全米に広がる暴動の裏に中国「関与」の噂

米国の暴動

燎原の火のごとく全米中に広がり、収集がつかない状況となっている大規模な暴動。各地で放火や略奪が多発していますが、その裏に「あの国」の関与が囁かれ始めているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、「デモ隊のなかに中国からの指示を受けた工作員が紛れ込んでいてもなんら不思議ではない」としてそう判断する理由を記すとともに、日本に対しても尖閣海域でも不穏な動きを見せる中国への警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年6月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】中国のアメリカ暴動への関与疑惑が出はじめた

トランプ大統領SNS投稿 暴動起こしている人たち「急進左派」

ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が偽札使用の容疑で拘束した男性の首を圧迫し死亡させた事件をきっかけに、全米で大きな暴動が発生しています。抗議デモに便乗して店を襲撃、略奪を行う輩や破壊活動を行うアナーキストなども入り混じって、アメリカは大変な混乱状態にあります。

これほどまでに騒動が大きくなった一因には、新型コロナウイルスによる失業拡大で、貧困層のフラストレーションがたまり、人種差別による事件をきっかけにそれが一気に爆発したと言われています。

発展途上国など、コロナ災禍により多くの被害が生じた地域や国では、これから経済的なダメージが本格化すると見られており、このアメリカの混乱が他国へと広がれば、感染と同じくらい、あるいはそれ以上に世界情勢は大きなショック状態に陥ることが懸念されます。中国発の新型コロナの怖さは、負の連鎖がどこまでも続くことです。

この状況に、トランプ大統領はツイッターで、暴動を起こしている者を「アナーキスト」として、「野党・民主党が主導する都市や州は、ミネアポリスの州兵の鎮圧を参考にすべきだ」と述べました。

このようなアメリカの状況について、中国は積極的に国内で報道しています。香港での人権弾圧をアメリカから批判されているだけに、「アメリカも人のことをいえるのか」ということを、国内にアピールする狙いがあるのでしょう。

以前、アメリカがウイグルでの人権弾圧を批判し、人権侵害に関わった当局者に制裁発動をするための「ウイグル人権法案」を可決した際には、中国政府は「アメリカは先住民を虐殺したではないか、こんな法案をつくる資格があるのか」と反発しました。

ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を虐殺した」と言い始めた中国

とはいえ、150~400年前の先住民弾圧と、現在の少数民族弾圧を同一に語るのは、明らかに欺瞞です。それならば清末のイスラム教大虐殺の洗回を中国はどのように考えているのか。そもそも中華歴代王朝は周辺民族をすべて野蛮な夷狄として扱ってきました。夷狄とは、その文字を見てもわかるように、禽獣のことです。

米中の民族問題は、それぞれまったく異なるものです。中国のほうは非漢族の言語を潰して漢化させる同化主義であり、民族浄化でもあります。

それはともかく、中国は自らの正当性を主張するために、とにかく屁理屈をこねて、相手の不当性を訴えます。

中国南部広東省の省都広州にある「リトルアフリカ」の路上に集まる人々(2018年3月2日)

以前のメルマガで、中国ではアフリカ系の黒人が新型コロナ感染の第2波の元凶であるかのように目され、入店拒否や住居からの退避、さらには集団隔離が行われているということをお伝えしました。こうした黒人差別によって、中国はアフリカ諸国から抗議を受けています。

「銃殺してしまえ」…コロナ禍の中国で深刻な黒人差別が始まった

そうした批判を交わすため、さかんにアメリカでの黒人差別の様子や、それによって大きな暴動が起こっていることを報じているわけです。

こうしたやり方は、中国の「三戦」という戦術に基づいたものです。これは、2003年に修正された「中国人民解放軍政治工作条例」のなかに盛り込まれた、人民解放軍の戦術です。

この三戦とは、世論戦、心理戦、法律戦の3つのことです。世論線とは国内および国際世論に影響を及ぼし、自分たちへの支持を築くこと、心理戦は威嚇や脅迫、恫喝などによって相手の士気を低下させること、そして法律戦は国際法や国内法を利用して、相手の不当性に非を鳴らすとともに、自らの絶対的な正当性を主張することです。そのためにはどんな屁理屈も厭わない。

たとえば、南シナ海の領有権については、「古文書に書いてある」などという不確かな情報を根拠に、とにかく「漢の時代から管理していた」などと主張し、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所から「中国の主張に根拠なし」という判決が下されれば、西側諸国が勝手に決めた国際法に従う必要はないとし、「そんな判決は紙くずだ」と吐き捨て、まったく判決を守ろうとしません。

言い換えれば、あくまで自己中心的で、自分の都合いいように何でも解釈するということです。

今回のアメリカでの暴動についても、中国はアメリカの黒人差別を人権問題だとして、ウイグルや香港問題に口を挟むなと牽制するつもりなのでしょう。

ところで、この全米での暴動について、中国が裏で関与しているのではないか、という噂があちらこちらから出てきています。

私もよく知る元中国人の石平氏は自身のツイートで「アメリカの『抗議者』、どういうわけか中国共産党党旗、中国の国旗を掲げている。暴動の背後に中共の暗影があるのではないかとの疑惑が深まっている」と述べ、ジャーナリストの門田隆将氏もこの投稿をリツイートしながら、「やはりというべきか“中国の関与”が取沙汰されてきた。SNS上の映像では中国語が飛び交い、抗議者の掲げる旗に中国国旗も」と指摘しています。

ジャーナリスト・門田隆将氏 米国全土の暴動で「“中国の関与”が取沙汰されてきた」

以前、香港デモでは変装した香港警察や中国軍がデモ隊に潜り込ませ、過激な暴動を演出したことがありました。香港人は英語が話せるのに、彼らはまったく英語を話せなかったことから、大陸の中国人だということがバレたことがありました。

こうしたことも、世論戦の一環なのです。そのため、アメリカでのデモ隊のなかに中国からの指示を受けた工作員が紛れ込んでいても、なんら不思議ではありません。

台湾も、中国から多くのフェイクニュースを流されており、蔡英文政権も中国発のフェイクニュースによって扇動されないよう注意を呼びかけています。

武漢発のパンデミックを利用して、中国は南シナ海だけでなく、尖閣海域にも手を伸ばしているという、不穏な動きがあります。日本は中国の火事場泥棒への警戒を緩めてはいけません。

【私の論評】米国人の中共に対する憤りは、コロナ禍も相まってますます激烈になる(゚д゚)!

上の黄文雄氏の記事では、香港デモでは変装した香港警察や中国軍がデモ隊に潜り込ませ、過激な暴動を演出したことがあったとしています。これは、いかにもありそうな話で、中国が、そのようなことをしていたとしても驚くには、値しません。

しかし、現実の中国はそれ以上のことをしていました。デモが10週目に入ろうとしていた、昨年の8月10日に、中国政府は米国が香港の抗議デモを扇動しているとして非難を強めました。

同9日には全身黒ずくめの数百人の参加者が市内の国際空港に集まり、3日間の座り込みを始めました。週末に予定されていたいくつかのデモが地元警察によって禁止されたことで、さらなる衝突につながる可能性がありました。中国政府は数日前、香港警察が騒動を沈静化できなければ直接介入に踏み切る用意があると警告しました。

中国本土と香港の中国政府系メディアは同8日と9日、香港の米総領事館員ジュリー・イーデー氏がホテルのロビーで反対派の主要人物らと面会した写真を公開しました。5年前に香港を揺るがした抗議デモの主導者、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(22)の姿もありました。

中国の国営英字紙チャイナデイリーなど本土のメディアはこの面会を、米国の「黒い手」が抗議活動の背後にある証拠だと論じました。一部のメディアはイーデー氏の経歴や子供の名前も公表しました。

国営の中国中央テレビ(CCTV)は同9日、米中央情報局(CIA)は2000年代に旧ソ連諸国で起きた抗議活動「カラー革命」を扇動したことで知られると伝えました。中国政府は今週、香港の騒乱はカラー革命の様相を呈しているとの見方を示しました。

香港の米総領事館員の報道官は、イーデー氏はコメント要請に応じられないと述べました。

黄氏は9日、自身も自身の団体も全米民主主義基金や米政府から資金を受け取っておらず、また米総領事館からも物資や助言を受けていないと述べました。

昨年の香港デモで星条旗を掲げる参加者達

確に香港のデモでは、デモ隊の中には米国の星条旗を掲げる人たちもいましたが、それは米国に煽られたということではなく、米国の支援も期待していることを表明したものであると思われます。実際その後米国では11月に香港人権・民主主義法が成立しました。

この法律に対しても、中国は「内政干渉」だと強く抗議をしました。しかし、国際法においては、人権に関わるものに関して、内政干渉には当たらないとされています。

ここで、国際法の適用などの可否などの判断はしませんが、それにしても確かなことがあります。中国が米国が香港のデモを煽ったとか、内政干渉であると主張するなら、国際司法裁判所などに提訴すれば良いと思うのですが、なぜかそのようなことはしないですし、国際法という言葉も用いることはありません。

そもそも、中国は南シナ海の領有に関して、上の記事にもあるように国際司法裁判所に提訴され、「中国の南シナ海領有に関しては、全く根拠がない」との裁定を下されています。にも関わらず、中国はその裁定を守るどころか、最近でも南シナ海の実効支配地域の軍事化を強化している有様です。

それに、中国は未だに、米国が香港デモを煽ったと言う証拠をあげていません。もしあげていたとすれば、これをもとに、米国を徹底的に叩いていたでしょう。


中国が米国の暴動を裏で煽っているとすれば、その理由は明らかです。上で、黄文雄氏が述べている理由もありますが、そのほかにもトランプ大統領の再選阻止という目的もあるでしょう。

ただし、次の大統領が仮にトランプ氏以外の、バイデン氏やその他の人になったとしても、今後の米国の対中国政策はあまり変わらず、中国に対して厳しいものになるでしょう。なぜなら、米国では既に議会が上下院ともに、中国に対して厳しい見方をしているからです。

それよりも何よりも、米国人の多くが、今や中国に対して、厳しい見方をしているからです。今回の米国内の暴動が、中共によって煽られたことが、今後の調査などで明らかになれば、米国人の中国に対する憤りは、中共がもたらしたコロナ禍も相まってますます激烈になるでしょう。

さて、最後に新唐人テレビの動画を掲載します。


この動画では、ホワイトハウス付近の放火現場で飛び交う中国語をはじめ、 暴動の背後に中共の鬼影があることが示されています。

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2020年5月1日金曜日

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ ―【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ 
高橋洋一 日本の解き方

安倍首相

安倍晋三首相はこれまで、消費増税を見送る条件として、「リーマン・ショック級の危機」を挙げてきた。今回のコロナ・ショックは、まさにリーマン級危機ではないのか。

消費税については、長い経緯がある。1989年4月、当時の竹下登内閣が税率3%として初めて導入した。その後、村山富市政権時の94年11月に税制改革法案が成立し、橋本龍太郎政権の97年4月に税率は5%に引き上げられた。

その後、消費税率は5%のままであったが、2012年8月の民主党の野田佳彦政権時、14年4月に8%、15年10月に10%にそれぞれ引き上げる消費増税関連法が成立した。

安倍政権になって14年4月に予定通りに8%に引き上げられた。ただし、その後経済が低迷したために、安倍政権は14年11月、10%への引き上げ開始時期を17年4月まで1年半延長。さらに16年6月には、19年10月まで2年半延長した。1回目の延長の際には、その直後総選挙を行った。2回目の延長は北海道・洞爺湖サミットにおいて表明された。

19年10月の10%への引き上げは実施されたが、その際、安倍首相は「リーマン・ショック級の危機があれば見送るが、そうでなければ予定通り」としてきた。

10%への増税後、19年10~12月期国内総生産(GDP)は年率7・1%減だった。これだけでもかなりの経済ショックであるが、その上、2月下旬からはコロナウイルスによる内外での経済ショックがあり、さらに急速に景気が落ち込んでいる。

政府の景気判断は、月例経済報告を読めばわかる。2月まで「緩やかに回復」としていたが、3月にはさすがに「大幅に下押しされている」に引き下げた。4月は、「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」とさらに引き下げた。

リーマン・ショック後の09年2~4月においてすら「急速な悪化が続いており、厳しい状況」という表現であり、今回の景気判断は、その当時よりも厳しい認識となっている。西村康稔経済再生相も「家計や企業の経済活動が急速に縮小する過去に例を見ない、極めて厳しい状況だ」と述べた。

これで、政府としても、今回のコロナ・ショックは、「リーマン・ショック級以上」と言わざるを得ない状況だ。

内需の過半を占める個人消費は、判断を2カ月続けて引き下げ、「急速に減少している」とした。20年1~3月期GDPは年率5%程度減、4~6月期も年率10%程度減となると国内エコノミストは見込んでいる。

世界経済も大変だ。米議会予算局が24日公表した経済見通しでは、1~3月期GDPは年率3・5%減、4~6月期は年率39・6%減だ。

まさに、日本も世界もリーマン・ショック級の事態になっている。この未曾有の危機は、当然、消費税減税を行う立派な大義名分になる。消費税よりも国民の命と経済を優先すべきである。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

16人の民間エコノミストの予測平均から、日本の2020年4-6月期における実質国内総生産(GDP)が、年率換算で前期比21.7%減となる見込みであることが分かりました。日経新聞が報じました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出の自粛や店舗の休業が続き、GDPの60%以上を占める個人消費が前期比6.9%減となると予想。戦後最悪のマイナス成長となる見込みです。

内閣府は今月18日に1-3月期のGDPの一次速報を発表する予定。この期間は5.2%減と見込まれており、昨年10月の消費税増税後から3期連続のマイナス成長率となる見通しです。増税後の落ち込みから回復しつつあった流れが、コロナウイルスによって完全に途切れました。

予測通りになれば、4-6月期はリーマンショック後の2009年1-3月期に記録した17.8%の減少を超えることになります。また3期連続のマイナスは、東日本大震災前後の10年10-12月期から11年4-6月期以来となります。

民間の経済予測、7〜9月期はコロナ禍が終息したものとして予想している

米議会予算局は、米国の実質GDPは4-6月期に年率40%のマイナス成長になると予測。日本の4-6月期の輸出は17%減となっており、これはリーマン危機以来の大幅な減少で、内需も外需も厳しさを増している状況です。

12年前のリーマン・ショックの際、国際標準は、積極財政政策と金融緩和政策の同時発動でした。実際にほとんどの先進国で行われたのですが、日本では財政支出の規模が足りず、金融緩和も行われませんでした。

その結果、リーマン・ショックの震源地からほど遠いにもかかわらず、日本経済への打撃が大きく、震源地の米国やその悪影響をモロにかぶった英国が、いちはやく回復したにもかかわらず、世界で日本だけが、回復が遅れ、ひとりまけの状態になりました。

特に白川方明(まさあき)総裁当時の日銀で金融緩和が行われなかったため、円は他通貨に対し希少性が出て猛烈な円高となり、日本経済を痛め付けたことは多くの人の記憶に残ったことでしょう。

日本の貧乏神と揶揄された日銀元支店長白川方明士

東日本大震災の際の処方箋も、同様に財政政策と金融政策の同時発動だった。しかし、これも十分に行われなかったどころか、復興増税という古今東西にない愚策が行われた。

日本政府は全国に発令された緊急事態宣言の延長を表明しています。延長期間などの詳細はこれから発表される予定ですが、今回の予測は延長による下振れは織り込み済みです。

国際通貨基金(IMF)は今年の後半から世界経済が回復に向かうとみており、エコノミストも7-9月期は平均で年率9.9%の成長を見込んでいます。しかし経済活動再開後に第二波が到来することを危惧するなど、今後もコロナウイルスの影響が長引けば、回復にはさらに時間がかかるとみられます。

新型コロナウイルスの感染拡大に対応する、注目の「国民1人当たり一律10万円給付」を盛り込んだ2020年度補正予算が30日、成立しました。「世界恐慌以来の景気悪化」(国際通貨基金)から日本経済を再生させ、国民生活を守るため、今後のさらなる経済対策が期待されます。自民党内から「消費税減税」を求める声が上がってきました。

「一律10万円給付では、政治主導で財務省のくびきを外し、『政治の力』を証明できた。次は消費税減税だ」

自民党若手有志の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区=は語りました。

「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区

補正予算(25兆6914億円)の成立を受け、総額117兆円という緊急経済対策が本格的にスタートしました。

未曾有の危機から国民生活を守るため、財務省主導で国民に「不評」だった「減収世帯に30万円給付」に代わり、「国民1人当たり10万円給付」が実現しました。大型連休明けには、全国の自治体で給付も始まります。ほかに、減収となった中小企業に最大で200万円を支給する「持続化給付金」なども盛り込まれました。

ただ、今回の予算措置だけでは、経済再生は困難です。政府が4月23日発表した4月の月例経済報告では、国内景気の判断について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」と下方修正した。「悪化」の表現は、リーマン・ショック後の09年5月以来。新型コロナウイルスの影響はあまりに甚大です。

冒頭の議連「日本の未来を考える勉強会」は3月、「景気の致命的下降や恐慌を食い止めるには『消費税の減税』が欠かせない」という緊急声明を出しています。財務省が「一律10万円給付」で折れたことを受け、政府に対して、さらに積極的な財政出動を求めます。

安藤氏は「補正予算は今後、第2次、第3次が必要になるのは間違いない。政府・与党は、国民の生活を守り、企業の倒産を出さない決意を示し続けるべきだ。政治の力で、財務省の厚い壁を打ち破って、国民が熱望する『消費税減税』も実現しなければならない」と語りました。

現在の安倍政権は政権末期によくみられる現象で、官邸内の指揮命令系統がうまく機能していないようです。しかし、コロナ・ショックを受けたマクロ経済政策としては、大規模な財政支出と無制限金融緩和という先進国の定番政策に近いところまできています。細かい点にはまだ不満がありますが、自民党の一部には、上記のように財政問題がほぼないことを正確に理解し、正しい政策を模索する向きもあります。

こうした危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくるものです。もう、緊縮大好きで、財務省の省益しか考えない、財務官僚の本質が顕になりつつあります。

コロナ禍はこれからもしばらく続くはずであり、これに対する政府の対応に対して、財務省は結局国民経済や命など無視して、とにかく緊縮財政の立場から反対し続けるでしょう。この財務省の抵抗は、これからも多くの国民に知られるところとなるでしょう。

そうして、多くの国民は、財務省の省益とは一体何なのかと、財務官僚に疑問を抱くようになるでしょう。しかし、その質問に当の財務官僚すら答えられないという事態になると思います。

ましてや、その答えが、単に退官後に天下りして、超リッチなハッピー・ライフを贈りたいからなどと答えれば、単なる馬鹿と多くの国民に認識されるだけです。

漿液優先の財務省などのキャンペーンとは一線を画した多くの政治家によるまともなマクロ経済政策への理解も10年前の民主党政権当時よりはるかに高まっているはずです。それこそが、これまでの10年の成果であり、日本経済復活への一縷の希望でもあります。

私自身としては、もうすでに制度疲労を起こした財務省の絶頂の時代は終わりつつあり、すでに財務省は表舞台から退場しつつあると思っています。

財務省「ピンチはチャンスだ、コロナのあとで増税・緊縮」を画策しているようです。実際、テレビで財務官僚がそのような発言をしています。今回こそは、復興増税の過ちを繰り返してはならないです



今回のコロナ禍で、コロナ復興税などで、復興を賄うなどのことを財務省が画策して動き出せば、さすがに今回ばかりは、政治家も国民も黙ってはいないでしょう。何しろ、今回は東日本大震災のときとは、規模が全く異なります。財務省は、全国民と全政治家を敵に回すことになります。

現在、コロナ禍を自分にとって有利になるように、中国共産党が画策しています。しかし、東アジアは、日本、香港、台湾ともに被害が少なく、被害のひどかったEUの国々に対して、マスク外交をしたり、医療団を送ったりしています。

その他コロナウイルスの発生源を米国だとしてみたり、東シナ海や南シナ海での挑発をゆるめるどころか、強化しています。

しかし、この中国の試みが成功するとはとても思えません。実際、香港経済日報の29日付報道では、現在、米国、英国、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリアの8カ国の政府や民間機関が、新型コロナウイルスの感染拡大を招き、自国に大きな被害をもたらしたとして、中国政府に賠償を求める訴訟を起こしていると紹介しています。

「外国による中国への賠償請求を『100国連合』と形容する人もいるが、あながち言い過ぎではないだろう」と伝えました。

そして、8カ国が中国政府に対して求めている賠償額の合計は約49兆5000億米ドル(約5300兆円)となり、これに米ミズーリ州の推定賠償請求額を加えると100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国のGDP(国内総生産)7年分に相当する額に達すると伝えました。

中国ウイルスで酷い目にあった国々は、この恨みを決して忘れることはないでしょう。今後の中国は、米国や多くの国々から体制の転換を求められるでしょう。

中共がそれを拒否すれば、米国などの国々が、中共幹部や家族の個人資産を凍結したり、ドルと人民元の交換を停止したり、中国のドル使用を禁止するなどの措置を課するかもしれません。そうなれば、このブログにも以前掲載したように、中国は石器時代に舞い戻ることになります。

財務省も、今後国民生活や、国の経済を考えず、省益だけを追求すれば、中共と同じような運命をたどることになるでしょう。

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2020年4月19日日曜日

中国が言い張るコロナ「市場起原説」は覆されるのか―【私の論評】中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中共がこれを隠蔽したことが後にパンデミックを招いたことこそ詳細に調査するべき(゚д゚)!

中国が言い張るコロナ「市場起原説」は覆されるのか

米国人医療専門官が警告していた研究所からウイルス流出の危険性

武漢にある中国政府のウイルス研究機関(手前)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 全世界に広がった新型コロナウイルスがどこで発生したのかはいまだ不明のままであるが、真相に迫る動きが米国で進んでいる。

 まず4月14日、米国政府専門官が2年前に武漢にある中国政府のウイルス研究機関を訪れ、コウモリ由来のコロナウイルスの研究を視察して、「安全性に問題があり、流出の危険もある」と警告を発していたことが明らかとなった。また、米国の大手テレビは4月15日、「米国政府は、今回のコロナウイルスが武漢の中国政府研究機関から流出したことを確信するに至った」と報道した。

 新型コロナウイルスが武漢の市場ではなく研究機関から流出したという説は、これまで根拠のない「陰謀説」とみなす向きが多かった。だが、こうした新情報により、新型ウイルスが市場で発生したという説が揺らぎ、陰謀説の真偽が問い直されようとしている。

武漢の研究所を訪れた米国の医療専門家の警告

 ワシントン・ポストは4月14日、国際問題専門のジョシュ・ローギン記者による「コウモリのコロナウイルスを研究する武漢の研究所の安全性について国務省が警告していた」と題するコラムを掲載した。

 同報道によると、米国政府国務省は2018年1月から3月の間に数回、北京の米国大使館の科学・医療担当専門官2人を、武漢の国立武漢ウイルス研究所(WIV、中国の公式名称は「中国科学院武漢病毒研究所」)に派遣して、同研究所内でのコロナウイルス関連の研究や実験を視察させた。

 中国では2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生し感染を国際的に広げたが、2018年1月当時、同研究所ではSARSコロナウイルスに似たコロナウイルスに関する研究や実験が行われていた。その研究にあたっていたのはウイルス研究の著名な学者として知られる石正麗氏だ。石氏らは、コウモリから発生したコロナウイルスも調査していたという。

 北京の米国大使館の同専門官2人は、この視察の結果に基づき、国務省本省あてに懸念や警告を表明する公電を送ったという。ローギン記者はその公電を入手したとして、その内容の骨子を以下のように記していた。

・この研究所では、コウモリ由来のコロナウイルスの発生とそのウイルスの人間への感染について研究をしている。その目的は人間への感染を防ぐことだとされているが、研究所でのウイルスの扱い方は安全性や管理方法に問題があり、ウイルス流出の危険性がある。

 ローギン記者によると、以上の公電を書いた米側2人の専門家の最後の来訪は2018年3月18日で、同研究所側の記録サイトにもその来訪が詳しく記されていたが、その記述は2020年4月上旬に削除されたという。

 同記者は「今回の新型コロナウイルスが同研究所から発生したと断定する証拠はない」と述べながらも、「同研究所からではないと断ずる根拠もない」と総括していた。

トランプ大統領は「全力で調査中」
 このワシントン・ポストの報道に歩調を合わせる形で、FOXテレビは4月15日、「米国政府国務省は、新型コロナウイルスが中国・武漢の研究所から発生したと確信するに至った」という内容のニュースを放映した。

 同ニュースは、複数の政府筋からの情報として「米国政府が『同ウイルスが武漢ウイルス研究所(WIV)で生まれ、外部へ流出した』と断定するようになった」と伝えていた。

 そのウイルスは生物兵器として作られたわけではない。危険なウイルスの拡散防止や管理に関して中国のほうが米国よりも優れていることを証する目的で研究が進められた。ところが、コウモリから人間への感染を研究したその後にウイルスが外部へ流出したという。

 こうして米国では、「研究所発生源説」がにわかに注目されつつある。中国政府は武漢市内の海鮮市場で新型コロナウイルスが発生したと主張しているが、いまだにその明確な証拠は示されていない。当初、武漢でのウイルス拡散を隠ぺいしたこともあり、中国政府が唱える「市場起源説」に改めて疑惑の目が向けられている。

 この研究所発生源説について、4月15日の記者会見で記者から質問されたトランプ大統領は「政府はいま全力で調査中だ」と答えた。

 いまや全世界を揺るがす新型コロナウイルスの発生源をめぐって、中国政府の当初の発表がいよいよ疑われる状況となってきた。

【私の論評】中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中共がこれを隠蔽したことが後にパンデミックを招いたことこそ詳細に調査するべき(゚д゚)!
中国ウイルスの世界的大流行をめぐり、エマニュエル・マクロン大統領率いるフランスが、米国に続いて「中国・武漢の生物研究所から流出」「中国政府による情報隠蔽」といった疑惑の検証・追及に乗り出す可能性が出てきました。自国内で感染者や死者が多発しているからです。フランスが誇る原子力空母「シャルル・ドゴール」の艦隊でも多数の感染者が確認されています。



米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は18日、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が「多大なる関心を持って情報当局が調査を実施することに、驚きは全くないはずだ」と記者団に語ったと報じました。

フランスは科学技術で中国と協力関係にあったとされます。もし、米国主導の疑惑検証に加われば、「中国の闇」が明らかになるかもしれないです。

武漢にある中国政府のウイルス研究機関の正式名称は、「中国科学院武漢ウイルス研究所」のことで、ここでは、危険性が最も高い、バイオセイフティーレベル4のウイルスや病原体が研究されており、コロナウイルス研究の中心的な研究所としても知られています。

この研究所で感染した科学者が“感染者第1号”となって、地域に感染を広めたという“武漢研究所起源説”は“中国ウイルス生物兵器説”とともに、“トンデモ説”として、科学者たちに否定されていますが、今、トランプ政権は、この説の検証を進めています。

私自身は、生物兵器説は、当初からあり得ないと考えていました。なぜなら、世界のいくつかの国々が長い間、生物兵器を開発してきたのですが、現在に至るまで様々な障害があったために、未だに生物兵器が実用化の段階に入ったという報告はありません。ただし、原始的な方法で最近やウイルス等をばら撒くことまで、生物兵器の範疇に含めるというなら、そのような兵器は作成可能だと思います。

ただし、「中国科学院武漢ウイルス研究所」で保存してあったウイルスが、外部に何らかの形で外に漏れたということは十分にあり得ることだとは思っていました。そのウイルスに人為的に何か手を加えたものなのか、あるいは天然のウィルスが、漏れてしまっただけなのかは、現状では何らのエビデンスもないので、それは新たな情報を待つしかないと考えます。

一方、検証を進めているトランプ政権にとっては、好ましくない情報も流れています。英米メディアが、武漢研究所のコロナウイルスの研究に、米政府が莫大な研究資金を援助していたことを報じているからです。

つまり、もし、この研究所から新型コロナが流出していたことが証明された場合、新型コロナの感染拡大には、間接的ではありますが、米政府も関与していたということになるからです。米の議員は、米国民の税金が中国の危険な研究に使われた可能性があるとして、怒りの声をあげているそうです。

トランプ政権の国家安全保障担当の高官らは、武漢研究所から中国ウイルスが流出した可能性と、中国ウイルスが人工的に開発された生物兵器であるという可能性を考えていました。しかし、このブログでも指摘したように、後者の可能性はゲノム解析の結果、人工的に作られたものではないとわかり、否定されました。

そして、2ヶ月前から、2年前の公電がトランプ政権内を駆け巡り始め、安全運営に問題があったと指摘されていた武漢研究所から新型コロナが流出した可能性が議論され始めたといいます。

2年前の公電とは、北京のアメリカ大使館の外交官が、武漢研究所を数度訪問、その際、研究所の安全性に問題があることに気づかされた外交官は、米政府に「コウモリのコロナウイルスに関する危険な研究を行なっている研究所の安全性が不十分である」と警告する公電を2回送っていたというのです。

2018年1月19日付の公電は、

「この研究所には、高度に密閉された研究室の安全運営に必要な、訓練された技術者や調査員が非常に不足している」

と安全運営の問題を指摘していました。

では、どうやって新型コロナは流出したのでしょうか。

英紙デイリーメールは、新型コロナを含んだ血を浴びた武漢研究所の科学者が感染者第1号となり、その科学者が地域に感染が広めた可能性があると報じています。

公電はまた、コウモリのコロナウイルス研究は重要かつ危険であることから、米政府は武漢研究所を支援するよう訴えていますが、実際、米政府は研究所に研究資金を援助をしていたと英米のメディアは指摘しています。

英デイリーメールが入手した書類によると、米国は武漢研究所のコロナウイルス研究に370万ドルの資金援助を行なっていたといいます。

武漢研究所は、研究所から1千マイル以上離れた雲南省の洞窟に住むコウモリをコロナウイルスの実験に使っていたのですが、同紙によれば、その実験には、米国立衛生研究所(NIH)が出した370万ドルの研究資金が投じられていたというのです。

また、フォックスニュースも、武漢研究所は、米国立衛生研究所から710万ドル相当の研究資金を得ていたと報じています。うち、370万ドルが前述のコウモリのコロナウイルス研究に関する研究資金で、340万ドルがウイルスをねずみの脳に注入する研究資金だったといいます。

ちなみに、中国は、コロナウイルス研究を通して、中国は米国並みか米国以上に、コロナウイルスの発見に取り組んでいることを示したかったようです。

また、武漢研究所の主任研究員で「コウモリ女」というニックネームを持つジェンリー・シー氏は、1年前に発表した論文で、コウモリに由来するSARSのようなコロナウイルスの感染爆発が中国で起きることを、以下のように警告していたといいます。

「将来起きるSARSやMERSのようなコロナウイルスによる感染爆発はコウモリに由来する可能性が非常に高い。そして、感染爆発は中国で起きる可能性が高まっている」

コロナ研究を行なっている武漢研究所

米政府の資金援助で行われたコロナウイルス研究の過程で新型コロナが流出し、感染が世界に拡大した可能性があることに対し、米国の議員たちは怒りを抑えきれません。

「米国立衛生研究所は370万ドルの研究資金を武漢研究所に提供し、研究所はそのお金でコロナウイルスの研究者を募集、その後に、武漢で新型コロナ感染が発生した。アメリカ政府が何年間も、武漢研究所の危険で残酷な動物実験に資金提供を行い、それが、新型コロナ感染の世界拡大を引き起こした可能性があることを知り、むかついている」(共和党下院議員のマット・ガエズ氏)

「米国人が死んでいるのは中国共産党政府の責任であることに疑いの余地はない。彼らは、新型コロナの起源を隠蔽することで、米国人の命を危険にさらしている。米国立衛生研究所はすぐに米国人の税金を中国の危険な研究に投じるのをやめなければならない」(共和党上院議員のマーサ・マクサリー氏)

ところで、武漢研究所に資金提供していたのは米国だけではありませんでした。

カナダも、直近では、先月、この研究所に資金提供していたことを、カナダのレベルニュースが伝えています。カナダの研究機関は、3月初め、新型コロナと闘うための研究開発資金を同研究所に提供すると発表したといいます。

信憑性を帯びてきた、武漢研究所起源説ですが、武漢研究所も中国政府も感染爆発は研究所とは無関係と主張しており、多くの専門家も関係性を否定しています。

一方で、新型コロナが武漢の海鮮市場に由来するという中国政府の主張はおかしいという指摘もあります。

ランセットに出された中国人研究者の論文によると、昨年12月1日に確認された最初の感染者や、最初の感染者集団の3分の1以上の人々は海鮮市場と繋がりがなく、また、市場ではコウモリが売られていなかったからです。

また、中国政府は新型コロナの感染源に関する情報を完全に封じ込め、米国人専門家に、初期の患者から採取した新型コロナの検体をまだ提供していないといいます。

1月11日に新型コロナのゲノムを発表した上海の研究所はすぐに閉鎖され、医者や初期に感染拡大を報じたジャーナリストは姿を消してしまったとも言われています。

トランプ政権がこの研究所から新型コロナが流出したという証拠を突き止めるのは難しいという声もありまうが、今後の行方が注目されるところです。

上記のように様々な情報が錯綜してますが、このブログでも以前指摘したように一つだけ確かなことがあります。

それは、このブログでも掲載した2010年にノーベル文学賞を受賞したペルーのリョサ氏の発言です。その発言を掲載した記事のリンクを以下に掲載します。
ノーベル賞作家、中国が「独裁国家」でなければ事態は違った 新型コロナ―【私の論評】中国に対する怨嗟の声が世界中から沸き上がり世界は大きく変わる(゚д゚)!
2010年ノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス・リョサ氏
この記事より、一部を引用します。
 リョサ氏は最近スペイン紙パイスとペルー紙レプブリカに執筆した論説で「もしも中国が独裁国家ではなく自由な民主国家だったら、今世界で起きているようなことはどれも起きていなかったかもしれない、とは誰も指摘していないようだ」と記しました。 
 一党独裁国家で反体制派に容赦ない弾圧を加えていると人権団体などから広く批判されている中国は、このリョサ氏の言及に激怒し、在ペルー中国大使館が抗議声明を発表。 
 「わが国は表現の自由を尊重しているが、そのことは恣意(しい)的な中傷や汚名を受け入れることを意味するものではない」と述べた。 
 また中国大使館はリョサ氏に対し、「著名人として、無益で無責任、偏見に満ちた意見を広めないよう」求めると述べた。 
 リョサ氏は同じ論説の中で、「少なくとも一人、あるいは複数の高名な医師が、十分に時間がある段階でこのウイルスを突き止めたにもかかわらず、中国政府は対応する措置を取る代わりに情報の隠蔽(いんぺい)を試み、そうした声、良識ある声を黙殺し、情報を抑え込もうとした。すべての独裁国家がそうするようにだ」とも述べている。 
 リョサ氏はまた新型コロナウイルスは「中国が発生源」とも表現しているが、中国大使館はこれを「不正確」だと指摘。「世界保健機関(WHO)は現段階まで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生源を特定できていない」と反論した。
中国ウイルスの発生源がいずれであろうと、それが生物兵器であろうとなかろうと、それに米国などが資金援助をしていたかどうかなどとは、別にして、 少なくとも一人、あるいは複数の高名な医師が、十分に世界が、そうして当の中国が、中国ウイルスに対応できる時間がある段階でこのウイルスを突き止めたにもかかわらず、中国政府は対応する措置を取る代わりに情報の隠蔽を試み、そうした声、良識ある声を黙殺し、情報を抑え込んだことは事実です。

米国やフランスも、「中国・武漢の生物研究所から流出」「中国政府による発生源の情報隠蔽」などを追求することも実施できるならすべきですが、中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中国政府がこれを隠蔽、それが後のパンデミックにつながったことこそ、時系列的に整理し、詳細を調査するべきです。

それなしに、他の調査を詳細に行ったところで、それが今後中共がパンデミックスを起こすことを防ぐための端緒にはならないどころか、中国に格好の隠れ蓑を与える結果になってしまいかねません。

そうして、詳細を調査し、さらに具体的な改善点を指摘し、それを中共に実施させるべきです。そうして、実施したか否かを模擬的に試験などをして、調査すべきです。

そうして、もし中国がそうした要請に応じないというのなら、世界の国々は、中国を自分たちの社会から隔離すべきです。これは、厳しい措置にみえるかもしれませんが、曖昧にしたまま、中国を隔離しなければ、次に何か中国発でウイルスとなども含めて、危険なことが発生した場合、また危機が世界に及ぶこと可能性は否定できないどころか、かなりの高い確率で発生しうるからです。

当然、陸上の国境はすべて封鎖、海上は機雷などで封鎖し、人的交流はなし。そのために、世界の国々の軍事力を総動員することになるでしょう。貿易もしません。それを実行するため、中国による対外的なドル使用は禁止とします。ただし、定期的にオブザーバーを受け入れるなら、定期的に調査をして、中国人民が窮乏して危険なレベルになったときは、援助をするということにするべきです。

もし、そのようなことに反対する国々が多かったとすれば、それらの国々と、中国とを、自由世界から隔離するしかないでしょう。無論これらの国々では、ドル使用はできないようにすべきです。要するに、世界は東西冷戦の時代のようになるかもしれません。ただし、東側陣営はかなり少なくなることが予想されます。

こんなことを言うと、ヘイトだなどという方もいらっしゃるかもしれませんが、中共が自らを変える、すなわちそれは、自ら崩潰することを意味しますが、それを決心しない限り、中国発の危機を食い止めるにはこれしか方法はありません。それが現実です。そうしなければ、世界はいつまでも中国発のパンデミックなどの脅威に悩まされることになります。

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2020年3月5日木曜日

<独自>事実上、中国人と韓国人の入国を制限 イランも新たに対象―【私の論評】台湾の動きに注目!日本の親中派は今のままだと中共の道連れに(゚д゚)!


新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、関西国際空港の検疫検査場では、
サーモグラフィーで入国者の体温を確認していた=1月23日午前(須谷友郁撮影)

政府は5日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染を防ぐ水際対策として、中国と韓国に所在する日本大使館で発行した査証(ビザ)の効力を停止する方針を固めた。香港・マカオ・韓国はビザなし入国の特例も停止する。

 中国と韓国には、観光客の来日を自粛するよう要請する。これにより、事実上中国人と韓国人の入国を制限することになる。

 韓国に対しては、滞在歴のある外国人の入国を拒否する地域を大幅に拡大する。具体的には、慶尚北道慶山市、安東市、永川市、漆谷郡、義城郡、星州郡、軍威郡が新たに対象となる。これまでは、大邱と慶尚北道の一部が入国制限の対象だった。

 イランも新たに入国の制限対象とし、コム州、テヘラン州、ギーラーン州を対象地域にあげた。

 5日夕の国家安全保障会議(NSC)の会合で確認する。

 中国と韓国からの入国者は、検疫法に基づく「停留」措置を取り、政府指定の施設などで2週間隔離したうえで、入国許可を出す。

 また、中国と韓国からの航空便の到着空港を成田空港と関西空港に限定する。船舶は、中国と韓国からの旅客運送を停止するよう要請する。

【私の論評】台湾の動きに注目!日本の親中派は今のままだと中共の道連れに(゚д゚)!

私自身は、上記の措置を待ち望んでいました。特に中国からの入国制限は、一ヶ月前から実行すべきと思っていました。

何やら、様々な理由で、中国全域からの入国制限には意味はないとする人々もいましたが、たとえそれが正しかろうと、間違いであろうと、まずは中国からの入国は最初制限すべきだったと思います。

最初の時点で、中国からの入国者はを検疫法に基づく「停留」措置を取り、政府指定の施設などで2週間隔離したうえで、入国許可を出すようにしていれば、そもそも中国全域の入国制限に意味がないか、あるかは実際に検査できたはずです。

その時に、中国全域からの入国制限が無意味とわかれば、入国制限を解除すれば良いですし、意味があるなら継続ということで良かったと思います。

しかし、一ヶ月遅れたとはいえ、実施されたことは非常に良かったです。

本日は、この他菅義偉官房長官が午後の記者会見で、日中両政府が4月上旬で調整してきた中国の習近平国家主席の国賓としての来日について、時期を再調整すると発表しました。

菅官房長官

これに関しては、首相は2月28日、首相官邸で中国の外交担当トップである楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)共産党政治局員と面会した際、「十分な(習氏来日の)成果を挙げるために入念な準備を行わなければならない」と述べ、来日時期よりも成果を重視する考えを強調し、延期を示唆していました。事実上この時で延期は決まっていたのですが、今日正式に発表したということです。

今日まで、発表が遅れたのは、やはり党内の親中派に対して懐柔する必要があったのかもしれません。私自身は、もうとっくに延期は決まったものと断定していたので、本日の発表には驚きました。そういわれてみれば、正式の発表は今日までなかったことに気づきました。

日本における新型コロナウイルスの流行はもはや危機的状況であり、これを抑えるためには、できることは何でもしなければいけない段階にきていると見るべきであると、台湾と比較して、そういう人も多いです。しかし、これは本当に正しいのかどうかは、なんともいえないことをこのブログで以前掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
五輪延期では済まぬ。韓国式「新型肺炎」検査が日本経済を潰す―【私の論評】武漢肺炎も、数値で見て客観的に物事を判断しないとフェイクに煽られる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

今後、このようなデマが多く出回ることでしょう。以下はデマとまでいえるかどうかわかりませんが、日本での感染者数はかなり多いと認識されているようですが、そうともいえないデータがあります。それを以下に掲載します。

以下の表は、武漢肺炎感染者数の人口比率(2020/03/03)です。

感染に限らず統計は、客観的に見ないと理解できませんし、見方を誤ってしまいます。上の表は、感染者➗人口の比率で比較した表です。 
この表でみると、現在では韓国が世界で一番感染率が高いです。少なくとも、韓国の防疫体制が優れているとはいえないことがわかります。それと、中国の統計は単純に信じることはできないと思います。中国の経済統計はデタラメです。コロナウイルスの感染者数だけが、正しいということはできないと思います。 
この表によれば、日本は16位ということで、19位の台湾とあまり変わりません。現時点では、特に日本が台湾などの他国と比較して、格段に防疫体制が格段に劣っているとは思えません。
台湾の人口は、約2千3百万人です。日本の人口は、1億2千万人 です。日本の人口は、台湾の5倍以上です。これでは、単純比較はできないわけで、やはり感染者者数の人口比でみるのが正しいです。

そうすると、台湾と日本とでは、感染比にさほど大きな差異があるとはいえないことがわかります。しかし、若干の違いはあります。この差異が当初に中国からの入国を制限したものによるかどうかは今後の経過をみていけばわかるでしょう。

さて、日本と台湾では感染比ではさほど違いはないのですが、それでも日本は台湾に見習うべきところがあります。

とにかく、台湾の反応は素早かったです。まず中国大陸との各種往来をいったん絶ちました。また、中国の意向を汲んで台湾の出席を拒み続けてきたWHOに対して、「台湾人の健康と命の安全」という人道上の問題として訴えることで国際会議への台湾のオブザーバー参加を認めさせました。

1月早々に専門家を交えた緊急対応会議を開き、2月2日から空港などの検疫体制を強化。台湾での感染者が出ていない1月20日の段階で「国家感染症指揮センター」を立ち上げて、水際作戦の体制を整えました。

1月23日には蘇貞昌行政院長の「マスク輸出制限指示」があり、2月6日にはマスク購入実名制度を導入し、オンラインマップでマスク在庫状況を公開しました。さらには政府補填による民間企業へのマスク増産指示、医療機関への優先的配布といったと素早い対応で、各国で起きているマスクの買い占めによる不足や高額転売問題を回避しました。

台湾がこれほど果断に素早く政策を打ち出せたのは、蔡英文政権がここにきて台湾の親中派財界や大陸世論を考慮しなくてよいほど、台湾社会の反中感情が高まったせいもあります。

蔡英文台湾総統

こうした台湾の動きと対照的なのが、日本の中国政府への配慮からくる新型肺炎対応の鈍さです。

どうして日本がこういうことになったかといえば、主に以下に3つの点があると思います。
①WHOの機能不全と厚労省のリスク管理部門が杜撰
②二階幹事長を初め多数の親中媚中派がいて中国に支援すべきと動いたこと。そのため、菅官房長官と総理の関係が現在最悪の状態になっていること  
③日本企業は中国で利益を得ても持って帰れない。撤退すればBSが一気に壊れ 倒産する企業も出てくる可能性が高いという現実がある。
このような複合的な要因が重なり、日本政府は中国に配慮して、なかなか思い切った措置がとれなかったようです。

しかし、かつての台湾も中国との結びつきが強く、中国への配慮は欠かせなかったのですが、最近の台湾はそうではなくなっています。

蔡英文政権2期目のテーマは台湾の国際社会における国家承認の推進です。こうした方向性は中国側から武力恫喝と経済制裁を伴う強い圧力を受けると想像されていました。

武力に関しては、さすがの中国側もなかなか実際の行動はとらないとしても、台湾と中国の長年の経済緊密化のせいで、中国からの経済制裁はかなり台湾経済に強い打撃を与えると予想されていました。

ところが幸か不幸か、新型肺炎という突然の疫病蔓延で、台湾だけでなく世界各国で中国との人的交流、物流の制限が否応なくかけられることになったのです。

2月10日は中国が全国の工場再稼働を宣言した日ですが、台湾はこれに合わせて、中国との直行便を北京、上海など5空港をのぞき全面一時停止措置をとり、海運交通なども大幅に制限をかけました。

中国に工場をもつ台湾企業社員や、中国工場で働く台湾人労働者に足止めを食らわせた格好です。台湾企業としては早々に中国に戻って工場を再稼働させたいところでしょうが、「両岸の人民に感染を拡大させていいのか」と問われればイエスとは言えずにいます。

武漢封鎖当初、武漢市に残っていた1140人余りの台湾人の帰国問題も、2月3日に第1チャーター便で戻った247人の中に感染者が出たことから、台湾政府としては受け入れが整っていないとして、依然900人が台湾に戻れないままだ。

一方、総統選挙の動きの中で、完全に中国共産党の代理政党に落ちぶれていることが発覚した国民党は、親中路線からの脱却を図ろうとしている。中国共産党の言いなりだった呉敦義が選挙惨敗の責任をとって党主席を辞任したあと、元台北市長の郝竜斌と立法委員の江啓臣が主席の座を争うことになったが、ともに台湾ファースト、脱中国イメージを訴えています。

中国全域からの入国禁止の措置に関しては、政府の小中高校などのほぼ全面休日など国民に対して厳しい措置をしていながら、中国人は日本に自由に入り我が者顔で、町を闊歩するようなことにでもなれば、国民の反発は必至ということで、さすがに親中派もいつまでも、全域からの入国禁止を拒むことはできなかったのでしょう。

安倍総理は、元々セキュリティダイヤモンド構想で中国封じ込め政策を主張していました。これは、オーストラリア、インド、アメリカ合衆国(ハワイ)の3か国と日本を四角形に結ぶことで4つの海洋民主主義国家の間で、インド洋と太平洋における貿易ルートと法の支配を守るために設計されたものです。

中国の東シナ海、南シナ海進出を抑止することを狙いとします。日本政府としては尖閣諸島の領有問題や中東からの石油輸出において重要なシーレーンの安全確保のため、重要な外交・安全保障政策となっています。インド太平洋、Free and Open Indo- Pacific Strategyの概念の確立、アメリカの対アジア戦略に「Indo-Pacific economic vision」(インド太平洋構想)として採用されました。

その安倍首相が、二階氏など自民党内で重要なポストについている議員などのため、党内政治を円滑にするため、中国に配慮せざるを得なくなっているので、新コロナウイルス対策においても、なかなか思い切った手が打てなかったのでしょう。

しかし、安倍首相も、中国全域から入国制限に踏み切ることを決意したのです。台湾では、すでに国内世論は反中国に大きく傾いています。この世論には、さすがの国民党も逆らえなくなっているのです。

台湾にできたことは、日本にもできるはずです。日本も、今回の新コロナウィルスを奇貨として、自民党内はもとより政治家の親中派、マスコミの親中派、財界の親中派などの力を弱めていくべきです。

台湾もそうですが、わずか数年前までの米国も親中派が幅をきかせていて、その状況はどうにもらないように見えていました。トランプ氏など絶対に大統領にならないだろうと見られていました。しかし、そうではありませんでした。

米台にできて日本にできないはずがありません。現在の中国はもともと経済がかなり弱っていたことに加えて、現状はコロナ肺炎で大変なことになっています。しかも、経済もコロナ肺炎も中国共産党の自業自得である部分がほとんどです。

それに、米国からかなり厳しい対中国冷戦を挑まれています。これは、どう考えても、中国に勝ち目はありません。

米国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化などするつもりのない中国共産党に見切りをつけ、かつてのソ連に対してそうしたように、中国の経済がかなり弱体化するまで冷戦を継続します。

日本の親中派も、かつての米国のパンダハガー(親中派)のように中国に配慮しても無意味であることを理解すべきです。そうでないといずれ中共の道連れになるでしょう。

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2019年11月21日木曜日

米中冷戦、そろそろ「詰みつつある」といえる理由―【私の論評】中共は少子高齢化に対応可能な制度設計や、産業構造に転換できなければ、やがて倒れる(゚д゚)!

米中冷戦、そろそろ「詰みつつある」といえる理由
中国当局はどう出るつもりか


制裁関税撤廃」のメリット

世界の株式市場を混乱させている米中問題だが、現状は米中ともに制裁関税の緩和、ないしは撤廃に向けて妥協点を探る展開のようだ。もっとも、「交渉ゲーム」は騙し合いの側面もあるので、両国がすんなりと妥協点をみいだすわけではないだろうが。

確かに、この「制裁関税の撤廃」は米中双方にメリットがある。

米国側からみれば、中国は農産物等の一次産品の輸出先として無視できないくらい大きな国である。日米貿易協定によって日本が米国からの農産物の輸入を多少増やしたところで中国向け輸出の減少はカバーできない。

なによりトランプ大統領にとっては、来年の大統領選に向けて、農産物の輸出を回復させなければ、共和党の支持基盤である中西部、南部の得票を落とすことにもなりかねない。



一方、中国にとっても米国が重要な輸出相手であることは言うまでもない。だが、より深刻なのは、米国からの輸入の激減である。

現在、中国では、生産者物価の低下と消費者物価の上昇という「インフレ率の分断」が発生している。9月時点で中国の生産者物価は前年比で1.2%の低下となっている。中国の生産者物価は月を追う毎に低下幅が拡大しているが、この生産者物価の低下は主に製品輸出の減少による製造業部門の需要低迷によるものである。

一方、消費者物価は9月時点で前年比3%の上昇となっており、上昇幅はじりじりと拡大している。この消費者物価の上昇は食品価格の高騰によるものである(食品価各は9月時点で前年比11.2%の上昇)。

豚コレラの影響で豚肉の供給が激減していることに加え、代替品需要として鶏肉等の価格が高騰していることが主因とされているが、米国からの輸入依存度が高い飼料の高騰も影響を与えている可能性が高い。

中国には雇用統計が存在しないため推測の域を出ないが、生産者物価の低下は企業のマージンの減少へと波及し、これは、最終的に雇用調整から中国国民の所得環境を悪化させるだろう。

つまり、このままでは、中国経済は、所得環境の悪化と同時に生活コストの上昇に見舞われる懸念がある。そして、これは、消費の減速を通じて、さらなる景気悪化につながると考えられる。

2019年7-9月期の中国の実質GDP成長率は前年比で6.0%まで減速している。「6%成長」といえば、一見、高成長のように思えるが、1人当たりGDPの水準が低い新興国がこの程度の成長率を実現するのはむしろ当たり前のことだ。

逆に新興国の段階で成長率があまりに低い国では社会不安の増大から治安が悪化し、政治体制も不安定化する。中国の政策当局は、長年7%成長を「死守すべき最低限の防衛ライン」とみなしてきたといわれているが、これは、実質経済成長率が7%を下回ってくると国民が日々の生活に不満を持ち、治安悪化などの社会不安が高まる懸念が増大するという意味である。

中国は当局による情報統制が強固なので、社会不安や暴動などが中国全土でどの程度発生しているか、実態は定かではないが、中国事情に詳しい論者の中には各地でかなりの数の暴動が起こっているとする人も少なからず存在する。

それが事実であれば、このまま中国の経済成長率の減速が止まらなければ、中国経済の先行きが心配という話どころか、統治システムの維持も難しくなってしまうかもしれない。その意味でも、制裁関税の撤廃は、むしろ中国側にこそ大きなメリットがあると考える。


米国の経済政策が大きく変わった

だが、この動きは必ずしも、「米中融和」を意味するものではないと思われる。

10月4日にワシントンで行われたペンス副大統領の演説は、『米国は貿易などの経済に限らず安全保障分野においても中国に対して「断固として立ち向かう」』と対中強硬姿勢を維持する内容であった。

これは、米中問題が、これまでの「通商問題」から「安全保障問題」へと、より次元の高いレベルに引き上げられたことを意味する。

政府間の交渉には通常、法的な根拠があるが、米中問題は、「通商法(スーパー301条がその代表例)」から「国防権限法」へその根拠が変わったのかもしれない。

「国防権限法(NDAA)」とは、米国防省の年間予算を規定するために年度毎に策定される法律である。名称が示す通り、「国防」という観点から制定される法律だが、2019年の国防権限法では、その中で「輸出管理改革法(ECRA)」が新たに制定され、AI、量子コンピューター、次世代暗号技術等の最先端の情報技術を「新興技術」、もしくは「基盤的技術」と定義し、他国との取引(輸出)に規制が課せられることとなった。

ECRAは既存の技術の輸出に関する規制であるが、これに加え、同時に制定された「外国投資審査現代化法(FIRRMA)」では、この「新興技術」「基盤的技術」に対する他国からの対米投資規制も強化された。

これは、外国による、米国国内で現在開発中の技術への規制である。いいかえれば、米国(ベンチャー)企業への出資、もしくは、M&Aを通じた最先端技術の獲得を事実上停止させる法律である。

今後、少子高齢化がこれまで経験しなかったスピードで進む可能性が高いといわれている中国において、先端技術の取り込みによって産業構造を転換させると同時に生産性を引き上げることは必須事項ともいえる。当然、技術の取り込み先として米国を想定していた中国だが、それが「国防権限法」によってほぼ不可能となった。

このように、「国防権限法」は中国を意識して制定されたことは明らかであるが、重要なのは、輸出や投資といった経済政策に属する案件が「国防法」という安全保障政策に関わる法律によって規定された点である。

これは、経済政策という枠組みからみた場合、大きな変化である。


「中国製造2025」失敗の可能性も

トランプ政権が成立して以降、トランプ政権を支持する軍関係者らの間では「DIME」という言葉が使われている。

「DIME」とは、「Diplomacy(外交)、Intelligence(防諜)、Military(軍事)、and Economy(経済)」の略語であり、経済政策を外交、情報収集活動、安全保障政策と一体化して考える政策アプローチのことである。

これまで経済政策といえば、金融政策や財政政策(公共投資や減税)を用いた景気対策や規制緩和が主で、国防や安全保障政策とは独立していた。そのため、学界での経済政策の国際協調の議論も、お互いの国の「経済厚生」を如何に高めることができるかという観点から議論されてきた。

そして、その結論は、変動相場制の下では、各国が独立して自由に経済政策を実施することが経済厚生上、最適であるという結論になっていた(この分野で世界的な業績を上げられているのが内閣府参与の浜田宏一イェール大学名誉教授である)。

だが、「DIME」のアプローチでは、輸出規制や投資規制によって、自国経済の将来の成長にとって重要な産業や国益上、重要な産業は積極的に保護育成していこうという考え方が採用される。そして、さらに、そこに「安全保障」という観点が加味される。

この「DIME」だが、まだほとんど研究対象として議論されていないように思われるし、筆者が検索する限り、該当するような論文もない(もっとも国防や安全保障が絡んでくると論文の良し悪しで評価すべきものではないかもしれないが)。

以上より、今後、米国は、この「国防権限法」の対象外である品目については、制裁関税を撤廃していくことになるだろう。そして、これによって、現在の中国経済の窮状は、少しは緩和されるかもしれない。

だが、それは目先の、ごく短期的な観点での議論である。むしろ、中長期的にみれば、「国防権限法」が機能するということは、そのまま「中国製造2025」の失敗の可能性が高まることを意味する。中国にとって「中国製造2025」の失敗は、将来の低成長局面入りを意味する。下手をすると、「低所得国の罠」に陥ることになる懸念もある。

筆者の個人的な見解をいわせてもらえば、中国は覇権を取るといった野望を捨て、思い切って対外開放路線に転換することで、国内に外資企業を多く取り込んだほうが、サービス業を中心に雇用の確保と所得の安定的増加につながるため、将来の安定成長に寄与するように思える。

中国当局の出方が注目される。


【私の論評】中共は少子高齢化に対応可能な制度設計や、産業構造に転換できなければ、やがて倒れる(゚д゚)!

冒頭の記事では、中国の将来に関して、主に経済について語られています。少子高齢化についても一部は語られていますが、「今後、少子高齢化がこれまで経験しなかったスピードで進む可能性が高いといわれてい」と語られているのみです。

そのため、以下には中国の少子高齢化の実体について掲載しようと思います。

中国の人口は年内に14億人に達する見込みです。当面は人口増が続きますが、国連の推計によると、2027年ごろにはインドに逆転され、世界一の座を明け渡すことになります。2028年の14億4200万人をピークに減少に転じる見通しで、そこからは「苦難の時代」に直面すると予想されています。




中国は古くから「人口統計マニア」の国です。最初に全国的な戸籍が作られたのは前漢の末期、西暦2年にさかのぼります。「人口5959万4978人、戸数1223万3062戸」と一桁まで記録されています。人口の増減は税収に直結し、政治の善しあしを表す指標とみられていたため、歴代王朝は常に人口を調査したのです。


それから長い間、人口が1億人を超えることはなかったのですが、近世の清王朝になると爆発的に増えました。歴代王朝の中でも領土が広大で、トウモロコシやサツマイモなどの外来作物の普及などが影響したようで、1840年のアヘン戦争時には人口4億人に達しました。

そして中華人民共和国が誕生した1949年では5億4000万人。その後の70年間でさらに8億人以上も増えたのですが、それでも1979年から始めた「一人っ子政策」により人口を抑制しました。


この「一人っ子政策」が中国政府は「4億人以上の人口抑制効果があった」と説明しています。一昨日には、このブログでこの「一人っ子政策」は、民衆レベルでどのように実行されたのかをドキュメントした映画「一人っ子の国」を紹介させていただきました。この映画「一人っ子の国」で中国は自国国民に対して、想像を絶する、人権侵害をしていたという戦慄の事実が明らかにされています。

その一人っ子政策も2015年に廃止され、翌年からすべての夫婦に2人までの出産を認めました。社会の中核を担う生産年齢人口(15-65歳)が減少に転じたためです。高齢化も急速に進み、2017年の65歳以上の高齢者は1億5847万人となり、人口の11%に達しました。

それでも出生率が急激に向上するという見方は少ないです。一人っ子政策が浸透し、各家庭は1人の子どもに小さい頃から家庭教師をつけ、多くの習い事をさせ、大学生になれば海外留学させるなど、高学歴で良い就職先を手に入れるため、収入のほとんどを子どもにつぎ込んでいます。苛烈な競争社会の中、2人目、3人目の出産は難しい状況です。

また、社会の都市化が進み、若者の高学歴化が進む中、先進国と同じように男女とも結婚年齢が上がってきています。初婚年齢は男性が28歳近く、女性が26歳近くになり、今後も晩婚化が進みます。結婚しない若者も増え、離婚率も高まっています。

「男余り」も深刻です。出生人口の性別割合は人種に関係なく、自然な状態では女を100とすると男は105前後となります。男の若年死亡率が高いため、成人したときに男女の数が対等になるよう「神の見えざる手」がはたらいているともいわれます。しかし、中国では一人っ子政策を始めてから男児の出産が異常に増えました。

労働力や老後の生活保障の担い手として男子を求め、妊娠しても女児と分かると中絶したり、遺棄する家庭が続出しました。中国の産婦人科では赤ちゃんの性別を出産するまで原則教えないのですが、違法な超音波検査が横行しており、妊娠中に性別を調べることは難しくないです。

男女の性別比率は女が100に対し、男は120にまで増えました。最近は100対110ほどになったのですが、結婚適齢期の男性はすでに女性より数千万人多いです。経済力で劣る農村部にしわ寄せが来ることになります。

国連の人口予測では、2035年に中国の65歳以上の高齢化率は21%を超え、「超高齢化社会」が到来します。「未富先老」(豊かになる前に老いを迎えること)が懸念されています。

中国政府はこうした問題を指摘されるまでもなく理解しています。中国メディアによると、早ければ2020年には「二人っ子政策」も廃止し、産児制限を完全撤廃するとみられています。今後もさまざまな出産奨励策を打ち出していくでしょう。

ただし、冒頭の安達 誠司氏の記事にもあるとおり、少子高齢化が進む中国では、先端技術の取り込みによって産業構造を転換させると同時に生産性を引き上げることは必須事項ともいえるわけですが、技術の取り込み先(はっきりいえばコピー先)として米国を想定していた中国ですが、それが「国防権限法」によってほぼ不可能となったわけです。

2049年10月1日、中国は建国100周年を迎えます。

ところが、その頃の中国が祝賀ムード一色に染まっているとは思えません。なぜなら、中国の人口学者たちも警鐘を鳴らしていることですが、このまま進めば中国は2050年頃、人類が体験したことのない未曾有の高齢化社会を迎えるからです。


『世界人口予測2017年版』によれば、2049年の中国の人口は13億7096億人で、2050年は13億6445億人。これは、2011年の中国の人口13億6748万人、及び2012年の13億7519万人と同水準です。

ところが、2010年代の現在と、2050年頃とでは、中国の人口構成はまったく異なるのです。

『世界人口予測2015年版』によれば、2015年時点での中国の人口構成は、0歳から14歳までが17.2%、15歳から59歳までが67.6%、60歳以上が15.2%、そして80歳以上が1.6%です。

それが2050年になると、激変するのです。

0歳から14歳までが13.5%、15歳から59歳までが50.0%、60歳以上が36.5%、80歳以上が8.9%なのです。

これを人数で表せば、2050年の中国の60歳以上の人口は、4億9802万人です。そうして80歳以上の人口は、1億2143万人です。



私が中国で、こうした未来図を初めて想い描いたのは、2011年の5月のことでした。このとき、私はこのブログではじめて中国の少子高齢化について掲載しました。
この記事では、ユニセフの「2009年中国人口サンプル調査」によると、中国の青少年人口は00年の2億2800万人から09年には1億8000万人と大きく減少したこと、全人口に占める比率は00年の18%から13%へと急落していることを掲載しました。

その後もいくつも中国の少子高齢化についての記事をこのブログに掲載しました。これにより、日本が直面している少子高齢化の波が、やがて中国をも襲うのだということが理解できました。

しかも、日本の10倍以上の規模をもってです。

そうして、中国社会の高齢化が、日本社会の高齢化と決定的に異なる点が、二つあります。

まずは、高齢化社会を迎えた時の「社会の状態」です。日本の場合は、先進国になってから高齢社会を迎えました。

日本の65歳人口が14%を超えたのは1995年ですが、それから5年後の2000年には、介護保険法を施行しました。また、日本の2000年の一人当たりGDPは、3万8533ドルもありました。

いわば高齢社会を迎えるにあたって、社会的なインフラが整備できていたのです。

ところが、中国の一人当たりのGDPは、2018年にようやく約1万ドルとなる程度です。65歳以上人口が14%を超える2028年まで、残り10年を切りました。

中国で流行語になっている「未富先老」(豊かにならないうちに先に高齢化を迎える)、もしくは「未備先老」(制度が整備されないうちに先に高齢化を迎える)の状況が、近未来に確実に起こってくるのです。

日本とのもう一つの違いは、中国の高齢社会の規模が、日本とは比較にならないほど巨大なことです。

中国がこれまで6回行った全国人口調査によれば、特に21世紀に入ってから、65歳以上の人口が、人数、比率ともに、着実に増え続けていることが分かります。

そして、2050年には、総人口の23.3%、3億1791万人が65歳以上となります。

23.3%という数字は、日本の2010年の65歳以上人口の割合23.1%と、ほぼ同じです。

2050年の中国は、80歳以上の人口も総人口の8.9%にあたる1億2143万人と、現在の日本の総人口に匹敵する数に上るのです。


にもかかわらず、中国では日本の「介護保険法」あたるような法律が、いまだ施行されていないのです。
2050年頃に、60歳以上の人口が5億人に達する中国は、大きな困難を強いられることは間違いないです。
製造業やサービス業の人手不足、税収不足、投資不足……。それらはまさに、現在の日本が直面している問題です。
経済統計学が専門の陳暁毅広西財経学院副教授は、『人口年齢構造の変動が市民の消費に与える影響の研究』(中国社会科学出版社刊、2017年)で、今後、中国が持続的な経済発展をしていくには、「老年市場」を開拓していくしかないと結論づけています。
政府は、子供が親の面倒を見ないのは中国の伝統に反するという価値観をもとに、高齢者扶養の問題のほとんどすべてを家族に負わせる一方で、長年かけて中国の最大のセーフティネットである大家族制を破壊しました。

ここに生じる矛盾のつけを払うのは本来、政府、共産党政権であるはずが、地方政府の財政は破たん寸前。高齢者への社会保障整備が充実されていくという期待も少ないです。

戦慄のドキュメンタリー「一人っ子の国」のポスター

先日も、このブログに掲載した「一人子政策」における、中国共産党の人権蹂躙はまた繰り返されるかもしれません。一部都市では2人以上の子供を産んだ夫婦に対して奨励金を出す人口増加政策をすでに実施していますが、これがやがて、子供を産まない女性や1人しか産まない女性に対する罰金に代わっていくことの懸念。あるいは老人の迫害が容認されるような時代の到来の懸念があります。

すでに中共は、民族弾圧、宗教弾圧、言論弾圧など党主導の組織的な深刻な人権問題を起こしていますが、そこに最近の香港弾圧が加わり、将来そこに老人や女性の尊厳をさらに無視するような政策的管理が加わる懸念があるのです。
 
その時、中国人民は、どんな行動を起こすのでしょうか。高度経済成長のなかで隠れていた課題が、成長率が鈍化するにつれ、顕在化していきます。

平等を建前とするのが本来の共産主義です。今の中国は、国家資本主義とも呼べるいびつな体制です。かつて貧しい時代には等しく貧しかった社会が、経済成長が進むにつれ、格差を内包してきたのですが、それなりに全体が成長していて格差は表面的ではありませんでした。

ただし、建国以来毎年2万件暴動がおこってきたといわれ、2010年あたりからは、毎年10万人ともいわれていますので、表面にはっきり出てこなかっただけで、人民の格差等に関する中共する憤怒のマグマは大爆発の寸前にあっものとみられます。

ただし、中共はこれらを、城管、公安警察(日本の警察にあたる)、人民解放軍等で弾圧して鎮圧するとともに、日本を悪者にしたて、人民の憤怒のマグマを自分たちに向けてではなく、日本に向けて噴出させようとしました。

ところが、この官製反日ですら、できない状況になりました。2012年頃から、反日デモを官製で実行させたり、あるいは放置しておくと、必ず後で反政府デモになるという事態が頻発したのです。そのため、2012年あたりから、中共は、反日デモを実行させないように、方針を変更しました。そのため、あれだけ隆盛を誇った、反日デモが中国ではみられなくなりました。

この間、社会保障制度を充実させねばならなかった共産主義ですが、中国共産党は未達のまま今日を迎え、しかもいまだ制度化は進まず、個人の義務として人民に押し付けています。

毛沢東の独裁政治への回帰を目指す習近平。習近平は、毛沢東独裁体制の崩壊を繰り返すのでしょうか。
しかも、習近平には、政敵の不正を暴き追放した実績はあるものの、それは、誰の眼にもあきらかな権力闘争に過ぎません。

習近平には、毛沢東や、鄧小平の様な、はっきりとした功績はありません。強権で弾圧する方向の今の習近平独裁政治体制が、低成長時代に移行する中で、しかも少子高齢化に対応できない状況をいつまでも続けられるとは考えられません。

今後、習近平政権が倒れるのは、時間の問題として、中国共産党も、少子高齢化に対応できるような、まともな制度設計や、高齢化社会に適応した産業構造に転換できなければ、倒れることになるでしょう。

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2019年11月12日火曜日

実弾発砲、催涙ガス…香港騒乱さらに泥沼化 中国武装警察も本格介入―【私の論評】香港擾乱は「死のハイウェイ」のインパクトに匹敵!中共は「潮時」をわきまえないと滅びの道を歩むことに(゚д゚)!

実弾発砲、催涙ガス…香港騒乱さらに泥沼化 中国武装警察も本格介入


香港のデモが泥沼化している。「逃亡犯条例」改正案を発端に抗議活動が続くなか、警官が実弾を発砲、21歳の男子学生が重体となった。金融街にも催涙弾の白煙が立ちこめ、香港株は暴落した。専門家は中国の習近平政権の鎮圧が一段と強化されると指摘、武装警察に加え、人民解放軍が介入する恐れもあると警告する。

香港島東部・西湾河の地下鉄駅前で11日、道路に障害物を置くなど抗議活動を行っていた若者と黄色いベストを着用した警官がもみ合いとなり、そこに近づいた黒シャツ、マスク姿の男子学生が、1メートルも満たないような至近距離で警官から発砲を受けた。

撃たれた男性は腹部から流血したが警官は手当てをする様子もなく、荒々しくうつぶせに拘束。別の若者が近づいた際にも2発撃った。

報道によると、男子学生は集中治療室(ICU)に入り、緊急手術を受けた。銃弾は脊髄付近に届き、肝臓や腎臓の一部が傷ついたため切除したという。

発砲による負傷者は10月の2人に続き3人目だが、香港警察は「脅威を感じたため発砲した。事前に警告する時間はなかった」と正当性を主張。林鄭月娥行政長官も「暴力行為を社会全体が厳しく非難すべきだ」と同調し、今後も厳しく取り締まる方針を表明した。

評論家の石平氏は「今月に入って林鄭長官は、習主席と面会し、長官への“信頼”という名の圧力をかけられた。そのため香港に戻った後、鎮圧がエスカレートしている。もはや市民と政府との関係は修復できないだろう」と解説する。

自由経済都市としての香港も失われつつある。銀行や証券会社が集まる金融街セントラル(中環)では白い催涙ガスが立ちこめ、スーツ姿の会社員ら大勢の市民が逃げ惑った。

■香港株は暴落

11日の香港株式市場でハンセン指数は2・62%下落。1日当たりの下げ幅としては過去3カ月で最大となった。

ネット上には、1人の市民を4人ほどの警官が取り囲み、警棒で袋だたきにする様子や、バイクに乗った警官が市民を意図的にはねようとする映像も投稿されている。



前出の石平氏は「習政権の体制維持のために、市民と香港そのものが二重の意味で“殺されている”。中国の武装した公安警察が香港警察に入り込んでおり、今後、鎮圧の規模を拡大させるだろう。それでも国際社会が無視し続けるのならば、最後は人民解放軍が市民を襲う恐れもある」と指摘した。

第二の天安門事件の現実味が日に日に強まっている。

【私の論評】香港擾乱は「死のハイウェイ」のインパクトに匹敵!中共は「潮時」をわきまえないと滅びの道を歩むことに(゚д゚)!



香港の様子は、サイトの動画等で今何が起こっているのかがよくわかります。これらの、動画は世界中に拡散されています。

これによってどのようなことが起こるのか、考えてみたいと思います。これらの動画が与えるインパクトは相当なものです。

私が、これらの動画を見ていて思い出したのは、28年前、戦争史上最悪の大虐殺のひとつと言われた、クウェートの町から32キロ西にあるイラクのハイウェイ80で起きた奇襲攻撃のことです。

多国籍軍が数キロの長さに渡って渋滞に掴まった車両を軍民問わずに爆撃したこの道路は後に「死のハイウェイ」称されました。下にショッキングな写真を掲載します。

死のハイウェイで撮影されたイラク兵の焼死体


この写真は、最初は多くの人々から公表するのは、残酷すぎると見なされていましたが、後に最初の湾岸戦争の最も有名な画像の1つになりました。この写真はケン・ジャレックにより撮影されました。

おそらく、爆撃で焼死したイラク兵だと思われます。非常に残酷で恐ろしい写真ですが、この一枚が湾岸戦争の実体を物語っていると思います。

当時はまだ、サイトや動画などは一般的ではありませんでしたが、それでも多くのテレビ局が連日のように、報道したので、多くの人々が「死のハイウェイ」を視聴したと思います。私が一番印象に残ったのは、この「死のハイウェイ」に、お人形が放置されていた画像でした。その画像を探してみたのですか、みつかりませんでした。あまりに衝撃的だったので、削除されてしまったか、最初からサイトには掲載されていないのだと思います。

湾岸戦争中の1991年2月26日~27日(シリア2月27日午前0時)にかけての夜、一時停戦を受けて多くのイラク兵や民間人がバグダットへ向けて引き揚げていました。ところが、ジョージ・H・W・ブッシュ(父)大統領が撤退中のイラク軍を徹底的に一掃するよう米軍に命令したのです。

多国籍軍の戦闘機が非武装の車の列を襲撃し、先頭と最後尾を破壊して身動きがとれないようにしました。そこへ長時間にわたって次から次へと空から攻撃を繰り返し、この大虐殺が終わったときは、徹底的に破壊しつくされた2000台の車両と、数万のイラク兵の無残な黒焦げ遺体が何マイルにもわたって残されていました。

死のハイウェイ

のちにここは「死のハイウェイ」として知られるようになりました。バスラに続く別のハイウェイ8号にもさらに数百の残骸が累々としていて、このふたつの道路の惨状は、湾岸戦争のもっとも象徴的なイメージとなりました。

この前日、バグダッドはイラクの外相がロシアの停戦提案を受け入れ、国連の議決案に従って、すべてのイラク軍にクウェートから撤退するよう命令したとラジオで伝えました。

ところが、ブッシュはこれを信じず、イラク軍が撤退している証拠はないと返答し、彼らはまだ戦いを続けているので、戦争を続行するとしました。翌日、イラクのフセイン大統領は自ら、ラジオを通してふたつのハイウェイで撤退は始まっており、この日のうちに完了すると伝えました。それでもブッシュは、フセインのこの声明をまったくのでっちあげだと決めつけました。

イラクの降伏と戦場からの撤退を受け入れるどころか、米国にとって不利になりかねない危険な決定を下しました。ブッシュと米軍は、ただひたすらできるだけ多くのイラク人を殺すという暴挙に出たのです。

爆撃は真夜中近くに始まり、まず、米軍とカナダ軍の戦闘機がイラク軍の車の列の先頭と最後尾を攻撃し、隊列が進むことも引くこともできなくさせておいて、集中的に爆撃を繰り返しました。米中央軍の最高司令官は、ブッシュ陣営からひとりもクウェートから出すなという命令を受けていました。

ハイウェイから逃げ出した車両は、一台残らず執拗に追いかけられて破壊されました。降参して非武装のイラク兵たちですら、砲火を浴び、生き延びることができた者はひとりもいなかったと言われています。

「トラックの運転席は激しい爆撃で地面にめりこんでいた。運転手がいたのかどうかすらわからない。フロントガラスは溶けて、大きな戦車がただの破片と化していた」レバノン系アメリカ人ジャーナリスト、ジョイス・チェディアックは書いています。

「撤退しているイラク軍兵士たちを虐殺したことは、民間人および戦闘行為から離脱した戦闘員や捕虜の保護するために結ばれた1949年のジュネーブ条約に違反している。イラク軍は米軍にクウェートを追い出されたわけではなく、再び武装して戦うために退却していたわけでもない。ただ撤退して、家に帰ろうとしていただけだ。このような状況で、ただ国に帰ろうとしている兵士を攻撃するのは戦争犯罪だ」

「ベトナムでさえ、こんなことは起こらなかった。あまりにもひどい」と言うのは、軍諜報部のボブ・ニュージェント少佐。

「この事件でもっとも醜い面は、これが隠蔽されていたことだ」マルコム・ラガーチェは書いています。このことが『ニュースデイ』(ニューヨークの新聞)にすっぱ抜かれたとき、誰もが驚きました。米上下両院軍事委員会によると、ペンタゴンはこの攻撃の詳細を委員会に秘密にしていたといいます。

ノーマン・シュワルツコフ将軍

メディアにもまったく違う話が伝えられていました。米指揮官はイラク軍は自発的に撤退したのではなく、多国籍軍によって戦場から追い出されたと思わせようとしたのです。4年後、ノーマン・シュワルツコフ将軍は、死のハイウェイで起こったことを正当化しようとしました。

「クウェートから北へ延びるハイウェイを爆撃した第一の理由は、ハイウェイ上に大量の軍装備品があったからだ。わたしはすべての指揮官に、イラクの軍装備をできる限り破壊するよう命令を下した。第二の理由は、この集団は一般庶民が国境を越えてイラクに戻ろうとしていたわけではなく、クウェート市内で暴行や略奪を繰り返していた凶悪犯、殺人者たちだったからだ。彼らは捕まる前に国外へ逃げ出そうとしていたのだ」

しかし、どんな言い訳をしたところで写真に残されたこの惨劇は当時の何がおきたかを赤裸々に物語っています。この爆撃は複数の国連監視団員によって、逃亡中かつ非戦闘中のイラク兵が激しい渋滞に掴っていたハイウェイで広範囲に渡って行われた計画的な爆撃であり、戦争犯罪であるとして引き合いに出されました。

 

ブッシュ(父)大統領は、この「死のハイウエイ」の画像を見て、湾岸戦争を終了させることを決定したと言われています。ブッシュ政権の中には、イラクに侵攻して、フセイン政権を打倒すべきと主張する人々もいましたが、あまりに凄惨な画像に「今が潮時」であると考え、停戦を決めたようです。

もし、米軍が「死のハイウエイ」の後も、戦争を継続していれば、米国に対する他国の非難もかなり高まったことでしょう。ブッシュも、湾岸戦争を遂行した人々も、責任を問われることになっていたかもしれません。

無論、現在の香港の出来事は、湾岸戦争よりは規模が小さく、爆撃や砲撃などが行われているわけでもありません。おびただしい死者がでているわけでもありません。

ただし、一ついえることは、その衝撃性においては、香港の暴動は、湾岸戦争に匹敵するということです。なぜなら、湾岸戦争のときは、ネットも手軽に動画を撮影できるスマホなどが発達していなかったため、今日の香港のようにリアルタイムに近いくらいに、現場を見ることができなかっからです。

「死のハイウェイ」に関しては、たしかに米軍の記録などに残ってはいますが、攻撃を受ける側のものではなく、攻撃する側のものであり、ネットなどで公開されているものも、薄ぼんやりしていて、あまりはっきりしていません。

ところが、今日の香港では、スマホなどでリアルに見ることができます。実際、先の動画にもあるように、若者が撃たれ倒れました。それを立たせようとする警察官の姿がはっきりと写っています。

このような生々しい画像は、湾岸戦争でもあまり見られませんでした。当時のカメラは、フィルム式でしたので、撮影した直後にそれを配信することはできませんでした。しかも、カメラ自体が高価であり、多くの人がそれを所有することはできませんでした。

そのため、当時は「死のハイウェイ」は、爆撃が終了した後ではじめて見ることができるものであり、爆撃を受けている側の視点で、爆撃を受けているまさにその時などは、見ることなどおよびもつきませんでした。

しかし、現在の香港では、多くの人が鮮明な画像・動画を撮影できるスマホを持っています。これらが、どこの現場でも、現場の香港警察の動向を写し、すぐに世界中に配信できるのです。

習近平も、林鄭 月娥(りんてい げつが、キャリー・ラム)も、このことを軽く見ていたかも知れません。

林鄭 月娥(りんてい げつが、キャリー・ラム)(左)と習近平

今までも、香港デモは生々しく全世界に配信されてきましたし、これからも配信され続けるでしょう。そうして今日の、青年を銃で撃ち、それだけではなく、その瀕死の青年を無理やり立たせようした警察官の姿は、多くの人々の心に、焼き付くでしょう。

香港の騒動は本来はもう、ブッシュ(父)が湾岸戦争を終結させるのを決意したときと同じく、「潮時」なのです。しかし、林鄭と習は、そのことに気づいていないようです。

習近平は、中国では建国以来、毎年2万件以上の暴動が発生していましたし、2010年移行は10万件以上も発生しているといわれていて、これらを鎮圧してきた実績があるので、香港もどうにでもなると考えているのでしょう。香港での暴動にも鈍感なのだと思います。それが、習近平や中共の命取りになるかもしれません。

香港には、多数の英国籍の人や外国人が存在します。さらに、表面上は香港人にしかみえず、実は外国籍という人も大勢います。これらの人々が、逐一香港の現在の状況を把握しているのです。そうして、それは無論海外にも拡散されていきます。このあたりが中国本土とは異なるところです。それを習近平はあまり理解していないようです。

林鄭は、習近平と会談して、結果として習近平にプレッシャーをかけられたため、なんとかしなければいけないと考えているのでしょう。

このまま、中国がさらに鎮圧を強化していけば、世界中からますます批判されていき、孤立することになるでしょうし、米国の対中国冷戦を正当化させ、冷戦は中国にとってますます過酷なものになっていくことでょう。

日本の安倍総理も、来年は習近平を国賓として招くとしていますが、これも「潮時」とみて、中止もしくは延期することになるでしょう。安倍総理も、ブッシュ氏と同等以上に「潮時」を心得ているものと私は思います。

ポンペオ米国務長官は8日、ドイツのベルリンで演説を行い、米中の対立について「米国と中国共産党政権の対立であり、平和を望む世界各国と中国共産党政権による全体主義の戦いである」と強調しました。

米国は冷戦の方向を単なる「貿易戦争」ではなく、中国共産党政権に矛先を向け、早期に共産党政権を崩壊させるかもしれません。現在の香港の問題は、それを正当化させるものとなるかもしれません。

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