2011年2月25日金曜日

<中国人が見た日本>日本のドラマが教える「大国の国民」の精神(レコード・チャイナ)―【私の論評】中国人は、本当の意味で「坂の上の雲」を理解することはできない。できるとすれば、中国が分裂したときだ!

<中国人が見た日本>日本のドラマが教える「大国の国民」の精神


2011年2月23日、中国誌「週末画報」の編集者、孫驍驥(スン・シャオジー)氏が「日本民族の個性とメロドラマ」と題した記事を中国のブログサイト・鳳凰博報に掲載した。以下はその内容。

その民族の個性を知るためにはどこを見れば良いか?それは、庶民が1 日の仕事を終えて帰宅した後に見る、いわゆるゴールデンタイムのメロドラマだ。例えば、筆者も疲れた身体をドカッとソファに投げ出し、気分転換しようとテレビをつけることがある。だが、ここで疲れは一気に倍増だ。画面に映し出されるのは「三国志」や「西遊記」といった類の人形劇か、主婦が好きそうな「惚れたはれた」系の恋愛ドラマばかりだからである。

さらに、インターネットでは官製メディアが「2010年の国産テレビの総まとめ:民族精神と想像力の相乗効果」を特集していた。そこにはこう書かれている。「2010年は影響力のある『紅色経典』(共産主義の模範的な)のドラマが数多く放送された。それは時を超え、革命のためなら命をも投げ出す覚悟を持つ当時の共産党員たちを現代の若者たちの目の前に蘇らせた―」。筆者は一瞬、わが中国外交部の馬朝旭(マー・チャオシュー)報道官の発言かと目を疑った。

ところが、驚いたことに対岸の隣人―1日中「馬鹿野郎」と叫ぶ野郎の方々も集団で自分たちの国の「革命テレビドラマ」を観ていることが分かった。ドラマの題名は「坂の上の雲」。近代国家へと歩み始めた明治時代を舞台にした話で、NHK「スペシャルドラマ」として2009年から断続的に放送されている。最初は軟弱な主人公が切磋琢磨して力をつけ頭角を表し、やがてかなわないと思っていた強敵を倒す。いかにも日本人が好きそうなドラマだ。

要するに日露戦争の話なのだが、興味深いのはこのドラマが「その国が近代国家の仲間入りを果たしたかどうか、最も重要な基準になるのは人々が『国民』意識を持っているかどうかだ」と訴えている点だ。では、「国民」とはなにか?このドラマの解釈によると、「国のために命を投げ捨てる覚悟がある人」を指す。

中国人が火鍋を食べながら連続ドラマ「毛岸英」(毛沢東の長男、朝鮮戦争で戦死)を観ている時、対岸の日本人は笑っている。何がそんなに可笑しいのか?100年前は「外国の技術を学び、外国を制する」と崇高な理念を掲げていた民族が、100年後には「父親が権力者でないこと」を嘆くようになっていることだ。これは人類の文明史上、最大の冗談としか言いようがない。父親に権力がないことを嘆くような国に「国民」意識は育たないだろう。

「前をのみ見つめながら歩く。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて坂をのぼってゆくであろう」―。これは「坂の上の雲」の冒頭文だ。これは明治時代の日本人の精神を表わしているだけでなく、大国の国民はどんな精神を持つべきかを我々に教えている。

たとえ小さな島国でも国民全体が強い向上心を持っていれば、どんなに苦しい山道でも一歩一歩、登り続けていける。だが、反対に国土が大きいことにあぐらをかき、少しも向上しようと思わない民族はいつまでも谷底に沈んだままだということだ。(レコード・チャイナ)

【私の論評】中国人は、本当の意味で「坂の上の雲」を理解することはできない。できるとすれば、中国が分裂したときだ!


上の動画は、日本海海戦の勝利を高らかに歌った『日本海海戦』という軍歌です。海戦の模様を詳しく描写した内容です。『坂の上の雲』は、もう皆さんご存じですね。特に、1部、2部に関しては、もう説明するまでもないですが、今年の11月放映予定の第三部では、いよいよこのドラマのクライマックスともいえるロシア海軍と、日本海軍による日本海海戦が放映されます。

この戦争は、大日本帝国とロシア帝国との間で朝鮮半島と満洲南部を主戦場として発生した戦争です。結局日本が一方的ともいわれる大勝利を収め、両国はアメリカ合衆国の仲介の下で終戦交渉に臨み、1905年9月5日に締結されたポーツマス条約により講和しました。

これによって、日本は、当時懸念された、ロシアのアジアへの南下を完璧に封鎖してしまいました。そして、ご存じのその後のロシアの革命にも大きな影響を与えたといえます。日露戦争がなければ、帝政ロシアはもう少し長く続いたかもしれません。

この戦いは、大きな歴史の流れの文脈からは、ウエストファリア条約締結以来、複数の大国の力の均衡(パワー・オブ・バランス)で平和が成り立ってきたものが、その均衡が崩れて、新たな秩序をつくりだすまでの間の戦争の初戦の一部という位置づけということができると思います。

ただし、それまでの力の均衡は、ヨーロッパ列強によるもののみを意味したのですが、新たな、アメリカや、日本が加わったということです。

この戦いは、アジアへの列強の進出を踏みとどまらせ、遅らせるという役割もしました。その後、世界は、第一次世界大戦、第二次世界大戦と進みその後の冷戦構造ができあがり、ここにアメリカとソビエトという二国間による力の均衡が成立しました。

しかし、これも、ソビエト崩壊により崩れ、世界は今に至っています。アメリカは、ソビエト崩壊後においては、本来は、いくつかの国による力の均衡を模索すべきだったのですが、どうやら、一極支配を目論んだようで、現在世界の警察官を自認したようですが、その試みは失敗しつつあります。

そうして、ロシアと東欧は少なくとも、ソビエト崩壊前からは、随分変化しました。少なくとも、東欧諸国は、随分変わり、民主的な政権ができあがりました。しかし、アジアは、何の変化もなく、北朝鮮、中国は、そのまま継続し、冷戦構造のときのままの体制が残っています。

さらに、この流れのなかで、ヨーロッパ列強の力の均衡が最初に崩れたあたりから、多くの知識人が、国民国家の終焉を予言しました。最初に言い出したのは、カントです。その後、アメリカの知識人もそのようなことを言い出しました。本当に一部、そのような国もでてきました。それが、ソビエトであり、中華人民共和国であり、いまはなきユーゴスラビアです。これらの国、多くの民族からなる多民族国家であり、実際に、ソビエトは、多くの国々が集まるソビエト連邦であったことは、多くの人が覚えておられるでしょう。

ソビエトが存在したときには、国連には、ソビエトの代表とともに、ソビエト内のロシア共和国など国々の代表も参加していたことは多くの人が覚えていらっしゃることでしょう。

しかし、国民国家がなくなるという知識層の予想は、ことごとく外れてしまったというのが、今日の世界です。そうです。冷戦崩壊後、ソビエトも、ユーゴスラビアも、なくなり民族国家あるいは、比較的少数の民族からなる国民国家が成立しました。今でも、この流れは変わっていません。最近、中東の騒ぎの中にも、いわゆる国民国家への流れというものが感じられると思います。

こうした歴史の流れからみてみると、今の大陸中国に関しては、実は、こうした本来の国民国家設立に自ら尽力して、海外と勢力と戦争をしたということは一度もありません。そんなばかな、という方もいらっしゃるかもしれません。実際に日中戦争があったではないかという方もいらっしゃると思います。

しかし、現在の共産主義中国である、中華人民共和国と、日本国とは一度も正式に戦争をしたことはありません。無論散発的に小競り合い程度のことはあったとは思います。そもそも、中国での争いは、中華民国と、大日本帝国との争いでした。しかし、これとても、本来の戦争の定義からすれば、戦争ではなく、事変というほうが正しいです。そうして、現在の中華人民共和国は、中華民国との戦争というより、内乱により、中華民国を台湾に追いだして建国しました。

以下に、この話を分かりやすくするために、以下に戦争の定義を掲載しておきます。
(1)主権国家
(2)軍事力
(3)規模
戦争の定義では、上記の3点がポイントとなるという。

(1)に関しては、戦争は主として、主権国家の行為であるということです。
(2)に関しては、
軍事的対立といっても、それは、攻撃・防御・砲撃・爆撃というような、流血を伴う軍事力による直接的戦闘行為だけにはかぎりません。軍事力による封鎖、示威、脅威、護衛などという間接的な軍事行動も含まれます。
(3)に関しては、
a.参加兵力、b.継続期間、c.戦闘行為による損害
からなる諸要素の規模であることが条件です。

これを簡単にまとめると、軍事力による軍事行為を伴う、主として主権国家間の相互作用であって、ある程度の規模を有するものということになります。
さて、上の中国人の「坂の上の雲」に関する憧憬ともみられる、記述ですが、彼らが、国民国家として、一度も海外の敵と戦ったことがなく、本当に、国民国家の独立を本来の意味で勝ち取ったり守ったりしたことがないということとも関係していると思います。

それに、大局的な見地からすれば、日本がロシアと戦争をしたとか、大東亜戦争でイギリス、オランダ、アメリカなど戦争したということは、時代背景を考えれば、日本がアジアの自主独立をその当時のやり方で行ない、アジアの国々を守ったということになります。もし、日本があの当時戦争をしなければ、アジアは、アフリカのように列強の植民地となったままで、独立も随分遅れたに違いありません。

無論私は、単純な戦争肯定論者ではありません。しかし、あの当時日本が戦争をしなかったとしても、中国や韓国など、結局はソビエトを含むヨーロッパの列強や、アメリカなどにより統治されていたことでしょう。いずれ独立はしたものの、今日の中華人民共和国とは随分異なったものとなっていたことでしょう。そういう意味では、日本は現在の中華人民共和国成立の立役者であった側面は否めません。

現在の中華人民共和国も、国民国家とはいえる状況ではないと思います。民族も言葉も全く異なる人々が人為的に、それも、軍事力を背景にまとまったというだけで、一つにすること自体にかなり無理があります。だからこそ、中国では、建国以来毎年平均、2万件に及ぶ暴動が繰り返し起こっています。いずれ、中国も現在中東でおこっているような、騒乱に巻き込まれるときがくるでしょう。そうして、いずれ、いくつかに分裂して、国民国家ができあがるに違いありません。その時になって、はじめて、中国人(このようなものは存在していないだろうが)は、国民国家の意味を理解し、日本の「坂の上の雲」を真に理解することでしょう。

そうして、日本国の国民は、上記のような正しい歴史観(少なくとも、日本や中国、韓国以外の海外で認められるまともな歴史観)ではなく、誤った自虐的史観にとらわれていますが、さすがに、国民国家の象徴的な、日露戦争に関しては、それを客観的に理解出来るのだと思います。だからこそ、このドラマも人気が高いのだと思います。

今の世界は、大きな流れとして新秩序を求めて、まだ胎動中であるとみるべきです。尖閣の問題も、現在の中東の騒乱もそうした文脈から理解すべきことと思います。そういう意味では、「坂の上の雲」は本当は終わっておらず、まだ続いているし、これかもしばらく続くことと思います。

しかし、いずれ、誤った自虐史観など捨て去らなければ、日本の国民国家自体も危うくなります。早く、多くの人々が誤った歴史観の呪縛から解かれる日がくることを願ってやみません。

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2011年2月24日木曜日

ヒット商品のキーワードは「シンプル&多機能」 単純かつ多機能なアイテムが続々ヒット中!―【私の論評】今のヒット商品は、シンブル高機能だが、従来の多機能とは一線を画している?!

ヒット商品のキーワードは「シンプル&多機能」 単純かつ多機能なアイテムが続々ヒット中!

最近のヒット商品は、シンプルかつ多機能な物ばかりだという。とくに家具・家電、調理器具などは、多機能ながらも単純に扱える、誰でも使いこなせるものが好まれるようだ。新生活を迎えるに当たって、これらを新たに購入するという人も多いのではないだろうか。そこで、現在ブレイク中の人気商品は必ず「このような傾向がある」という事例についてお伝えしたい。

例えばスイスに拠点を置く「USM」という家具メーカーをご存知だろうか。このメーカーは、1960年にスイスの建築家フリッツ・ハラー教授が提唱した「ビルディング・システム」という概念を基礎にして、「USM Haller(ユー・エス・エム・ハラー)」を開発した。これは、限られたスペースを最大限に活用するために、部材を組み替えて自由自在に室内をレイアウトすることができる。シンプルかつ多機能な収納システムだ。2009年に日本に初上陸して以来、じわじわとその支持層を拡大しているという。



そして調理器具でも、食材を入れて電子レンジでチンするだけで調理可能な「ルクエ スチームケース」が人気を博している。発売以来、100万個の大ヒット商品になっているのだ。ケースは調理できるだけでなく、そのままお皿としても使え、盛り付けの手間が省けて重宝されている。



更にシンプル多機能を代表する調理家電と言えば、三洋電機が2010年11月に発売しいまだに品薄状態が続いている「GOPAN」。家庭にある米を入れてスイッチを押すだけで、今流行りの米粉パンが作れる画期的な逸品だ。

GOPAN

パソコンでは、エプソンダイレクトが他のPCと一線を画す製品を昨年11月に発表している。この「Endeavor NY2000」は余計な機能を排除し、必要なものだけを搭載しており、55230円という低価格ながら、14型ワイド液晶を搭載するなどのハイパフォーマンスで注目されている。


そしてITの分野で、にわかに注目されているのが、「世界をもっと、シンプルに。Smart for Simpleキャンペーン」を開催しているメーカー、ファーウェイから販売されているイー・モバイルの「Pocket WiFi S(S31HW)」だ。これはWi-Fiルータとしてだけではなく、Android2.2を搭載したスマートフォンとしても利用が可能。もちろん音声通話もでき、さらにデジカメとして持ち歩けるのである。

poket wifi2

これらすべての商品に共通しているのが、シンプル&多機能だ。購入しやすい価格帯で、操作は単純明快。更に多機能を実現しているのである。シンプルであるからこそ、老若男女を問わずあらゆる年代に受け入れているのではないだろうか。

現代でヒットする商品はどれも「シンプル&多機能」。今後も各社の商品開発レースにより誰も想像出来なかった、素晴らしいアイテムたちが生まれていく事だろう。

【私の論評】今のヒット商品は、シンブル高機能だが、従来の多機能とは一線を画している?!
上記の記事では、今のヒット商品は、シンプル多機能としていますが、私はそうとは思いません。シンプルという点では、同意しますが、多機能というのはいかがなものかと思います。

最初の家具についいては、収納システム以外の用途はないですが、そのかわり、変幻自在に自由に組み立てられるという意味で高機能です。

ルクエスチームケースに関しても、調理器具で、出来ることといえば、蒸すことだけです。ただし、今までと違うのは、ポリマーでできいて陶器のように割れることはないし、電子レンジで調理できるという点です。これに関しては、電子レンジの所有率が90%以上ですから、かなり重宝だと思います。特に、独身の男性など電子レンジで手軽に温野菜などできて、手軽で便利だと思います。

これも、たとえば、他調理器具などと比較すれば、できるのは、電子レンジやオーブンで蒸し料理が手軽にできるという機能だけです。ただし、この蒸すということでは、かなりのことができます。ご飯や温野菜やいままであまり蒸し料理をしたことのない人にとっては驚くほどの料理のレパートリーがあります。それが、一人分から手軽にできるというのが、なんといってもこの製品の魅力です。

Gopanに関しては、本当にパンをつくるだけの単機能です。ただし、米を入れるだけで、米粉パンができるという代物で、高機能ですが、多機能とはいえないです。この位の高機能なものなら、多の機能もいろいろつけられるでしょうが、ついてはいません。

「Endeavor NY2000」に関しては、シンプルですが、価格に比較して、高機能のという事だと思います。これに、関して、実際に触ってみたこともないので、それ以上は良くわかりません。

「Pocket WiFi S(S31HW)」に関しては、一見多機能ともみえますが、実はそうではありません。wifiルーターができるアンドロイド携帯ということで、従来の携帯電話のような多機能というわけではありません。

これに関しては、いろいろと考えさせられるところがあります。私は、iPhoneを持っていますが、これをテザリングするということが非公式に行われています。テザリングとは、iPhone では通常できないようになっているのですが、それを無理やりiPhoneの通信機能をパソコンなど多のデバイスからもできるようにすることです。

これができたら、本当に便利です。実は、従来の携帯電話だと、パソコンと携帯電話をUSBでつないで、通信機能を使えるのが普通でした。私も、以前、病院に入院したとき、この方式でパソコンでインターネットを使っていました。

しかし、最近の携帯電ではできません。iPhoneでも通常できないようになってますが、アップルが認めていない方法で、非公式にできるようにしててしまうということです。これは、面倒ですし、それに、ソフトバンクが認めていないことなので、実際に実行すれば、通信料などどうなるのかわからないので、私自身はやったことはないですが、これを実施している人の話をよく聞きます。しかも、使用するときは、iPhoneとパソコンをUSBで接続するのが普通のようです。

多くの人が、無理やりそのようなことをするのですから、そういう需要は多いのだと思います。私自身は、実は、iPhoneの他に、いわゆる電話機能のついていないPoketwifiのようなもの(他社製なので、speedwifiという名称です)を持っています。そうして、iPhoneやパソコンや、その他のデバイスでデーター通信のときは、wifiルーターを用い、電話として用いる場合は、iPhoneの3G回線を用いています。

このように使っていると、両方を持って携帯して歩く必要があり、iPhoneとルーターとは、結局通信機能として同じようなものだし、iPhoneにも、ルーターにも、両方とも通信料金を支払っているいるのは非常に勿体無いような気がして、これが一体化すれば良いと思いました。一体化すれば、携帯電話としても使えるし、他のパソコンやゲーム機とも接続できて良いし、通信料金も安くなるなと思い、そんな製品が出てこないかと漠然として思ってましたが、そう思って間もなくこの製品が発表されました。

この電話というか、これからも、この種の電話がでてくると思いますが、それも含めてかなり売れると思います。なにせ、引越しなどして、インターネットをするということになると、新たなにプロバイダー契約などする必要があります。これは、結構面倒です。社会人ならともかく、学生などは固定電話回線は持っていない人がほとんどですから、そういう人、最初からこのような電話を持つようになると思います。いや、それどころか、一人暮らしの人は最初からこのような電話を持ち、引越しがあろうが、転勤があろうが、何があろうが、この電話があれば、電話は無論のこと、どこでも、バソコンでもゲーム機でも、使えるわけです。

上記でこの新型wifi機能つき電話は、決して従来の携帯電話のような多機能とは全く意味が異なります。やはり、高機能と言ったほうが良いと思います。

それから、最近の、iPhone、iPad、アンドロイド・フォン、アンドロイド・タブレットPCも、かなりのヒット商品ですが、これらの製品も、少し前の携帯電話や、パソコンのような多機能とは異なり高機能ということができると思います。

これらの製品について、共通にいえることは、最初購入したときには、平均的な機能がついており、決して多機能とはいえないと思います。従来の携帯電話など、あまりにも多機能で、多くの人がほとんど使いもしない機能が盛りだくさんということを言っていました。

しかし、iPhoneなどは、最初購入したときに入っているアプリなどは、本当に基本的なものしか入っていません。だから、最初使うときも、直感的にシンプルに使うことができます。従来の携帯電話などだと、最初から多機能でいろいろな機能がついてはいるのですが、確かに、多くの人向けて作っているので、使わない機能も盛りだくさんです。しかし、iPhoneなどでは、後から、自分の気に入ったアプリを入れて、機能を付加することができます。そのようにして、アプリを追加してけば、自分にとって必要なアプリだけをいれる事により、高機能にすることができます。だから、従来の携帯電話に見られる、多機能とは根本的に異なると思います。

iPhoneなどに限らず、上記の記事で紹介されている製品は、すべて、高機能であり、従来の日本ノ製品に良くみられた、高機能とは全く異なると思います。

だから、上記の記事のように、多機能と捉えると、このトレンドを見誤ると思います。

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2011年2月23日水曜日

冬の半袖・ノースリーブは絶滅したのか―【私の論評】冬には、冬のフアッション、北国には北国のフアッションがあるはずだ!!函館にカツ!!

冬の半袖・ノースリーブは絶滅したのか

少し前までは、このような風景も珍しくはなかった

今年の冬、半袖やノースリーブのニットを着ましたか。

思えば数年前は、冬にノースリーブや半袖のワンピース・ニットの上に、直接コートを羽織るような女性がけっこういた。

「会社の中やお店の中、電車の中などは暑いから、コートが温かければ薄着で平気」なんて言い分が当たり前に聞かれたものだった。

しかし、最近は、テレビの中のタレントさんなどを除いて、冬の半袖・ノースリーブの人をほとんど見かけなくなったように思う。

自分自身、当時は冬でも半袖ニットなどを平気で着ていたけれど、いま思えば「なぜあんなに寒いカッコで平気だったんだろう」と想像するだけで鳥肌が立ってしまうほど。

実際、1月〜2月初旬に、百貨店やファッションビルなど何軒かをチェックしてみたが、半袖やノースリーブのニットはほとんど見つからなかった。

某ファッション通販サイトで調べてみたら、ノースリーブニットはゼロ件! 半袖ニットも、コットン素材の夏物ばかり。

もちろん今でもアンサンブルの半袖ニットや、下にタートルなどをあわせて着る半袖ワンピ・キャミソールワンピなどはたくさんあるけれど……。なぜなのか。

身のまわりの女性たちに聞くと、「寒いから!」という答えがほとんどである。

また、ショップの店員さんたちに聞いてみると、口々に以下のような答えがあった。

「やっぱり寒いですから、メーカーでも半袖やノースリーブはほとんど作ってないです」

「いまはエコなどの観点から、暖房設定が以前ほど高くないので、半袖やノースリーブでは寒いですよね」

「以前は冬でも女性は頑張って露出してましたが、今はそういうのがあまり流行らないですよね。かつて『ババシャツ』なんて言われた下着も、ヒートテックのような高機能下着が次々に出たことで変わってますし、レギンスなども主流となって、レイヤード(重ね着)を楽しむスタイルが人気になっていることはありますよね」

さらに、百貨店関係者はこんなコメントをくれた。

「ファッション的な流行じゃないかと。昔は タートルニットの半袖にミニスカート、ナチュラルストッキングか生足にロングブーツみたいなスタイルが流行ったから、見た目的に寒そうだったかも?」

そういえば、最近は「森ガール」などという流行りもあって、足元ももこもこのムートンブーツとか、あったかもこもこテイストのものがたくさんある。薄着はもう流行らない? と聞くと、こんな答えが。

「でも、今でも薄着は健在ですよ。ツルンとした薄手のミニのワンピースに革ジャン、ニーハイブーツとか。ギャルも半ケツ短パンにフリンジブーツ、もこもこコートとか。確かにレギンスの流行によって、足の肌見せ面積は減ったけど、女子の肌見せ願望はあんまり変わらない気がします。あとはエコにともなって、体を大切にする女子力、女子磨きとかいう流行りのおかげで、腹巻きやあったか〇〇商品が売れてることもあるかと思います」

「体温を1度上げると健康になる」的な本が大ヒットし、ショウガなどの冷え解消商品も多数作られ、「カラダをあたためる」ことを真剣に考え始めた人が多いのは事実。

半袖やノースリーブニット需要は確かに減っているけれど、ファッションの流行の移ろいとともに、再びノースリーブや半袖ニットが復活する日もいつかまたくるのかも。

(田幸和歌子)【ネタりかより


【私の論評】冬には、冬のフアッション、北国には北国のフアッションがあるはずだ!!
私は、函館に来たばかりの頃、特に冬には度肝を抜かれた光景をみたことがあります。それは、マイナス10度のときに、女子高生が市内を歩いている光景をみたときです。何と、その女子高生、超低温なのに、着ているものといえば、普通のセーラー服で、マフラーくらいはしていたかもしれませが、靴も普通の靴で、しかも、脚は生足で、寒さのために脚全体が真っ赤になっていました。

最初みたとき「この娘は少し頭がおかしいのか?」と思い、1~2分くらいその場に立ちすくんでしまいました。ところが、それからもっと驚いたのは、その後、5人~6人くらいの女子高生が、これも最初の娘と変わらず、本当に薄着状態で通り過ぎて行き、さらに驚愕しました。その後、10人くらいの、男子高校生の集団も通りかかりましたが、それも、学生服のみで、びっくりしました。

マイナス9度の朝。まだ、ムートン?ブーツはいてるだけまし?
何と、マイナス10度近くてても、函館では、こうした薄着で登下校するのが、当たり前のようです。2~3年前から、時々フィットネス・クラブに行くこともあるのですが、この風潮は、60歳台の男性にまで普及しているようで、零下9度くらいの本当に寒い日でも、老年男性でも、半袖、ももひきも、タイツもはかないというのが、函館の通常の感覚のようです。全く、非常識だと思います。

これには、本当に驚いてしまいます。いくら、函館が北海道では、温暖な気候の部類にはいる気候だったとしても、北海道には変わりありません。真冬はどんなに天気が良くても、かなり寒いことにはかわりありません。この寒さは、とてもじゃないですが、いくら東京のように湿度が低くないとはいっても、かなりの寒さです。骨身にこたえると思います。

北海道の場合、確かに、家の構造が二重窓になっていたり、断熱材がしっかりしたものを入れているとか、暖房設備が整っといるということはあります。さらに、函館あたりだと、公共の交通機関があまり発達していないので、車で通勤する人が多いというのも事実です。それにしても、高校生は車で通勤することはないので、これは、本当に一体どうしたことかと思わざるをえません。

学校では、おそらく、先生も、そんなスタイルで登校してくるのかもしれません。先生がそうであれば、生徒に注意を促さないとか、親もそうなのかもしれません。

それに、ここ数年では、最新フアッションでも、冬にこんな薄着はしないし、最近はひところのように、エコ・エコなどとは言わないですが、省エネという考え方は今でも、普及しています。それなのに、未だに昔のフアッションが良いと思い込んでいる函館市民の感性は少し理解できないところがあります。

函館市民には、そんな考えなどないのだと思います。学校でも、職場でも、家庭でも、温度を25度くらいにして、薄着で過ごし、外に出るときでも、それを押し通し、我慢し通しているのだと思います。そうして、それを異常とも思わないのだと思います。まあ、皆が皆そうだということはないでしょうが、とにかく、今でさえ薄着が格好が良いという観念は、老若男女に関わらずあるようです。困ったものです。

函館などの気温が下がるところで、寒い時期にこのような薄着は本来禁忌であるものと思います。それに、体にも良くないし、いくら室内や、屋内を暖かくしたところで、気温差が激しく人体に悪影響を及ぼします。

こんな環境では、真冬には、まともにモノも考えることができなくなるのではないかと思います。函館の小中学生、高校生などの学力など、全国的にもかなり低いレベルにあります。また、函館はお世辞にも景気が良いとはいえません。どちらかといえば、衰退し、斜陽した地方都市です。意外と、このようなズボラともいえる習慣を変えることから、学力の向上や地域の活性化が始まるのかもしれません。

それに、フアッション業界の方にも、もう、冬には、薄着のフアッションを強調することはやめて頂きたいと思います。冬の寒い時期には、冬のフアッションがあり、北国には、北国のフアッションがあってしかるべきです。普段着る、ファションに関しては、フアッション性も大切ではありますが、まずは、機能性が重視されるべきと思います。冬や北国の衣料ということで、まずは、機能性を十分満たしてから、フアッション性を強調すべきと思います。人の健康を損なうようなフアッションはいずれ淘汰されると思います。だからこそ、最近のフアッションでは、冬、半袖やノースリーブのニットが姿を消したのだと思います。

それに、良く考えてみてください。アパレル産業側としても、明確に寒い日用のフアッションと、そうでない日用にフアッションを提供するようにしたほうが、より商品を売ることができるのではありませんか。こうしたことに成功している企業もあります。それは、前に、このブログにも掲載したことがありますが、最近のフアスト・フアッションでは欠くことができないアイテムである、あの暖かくて、軽くて、低価格な人工皮革のムートンブーツです。

これは、旭川の中小企業が最初に開発したものですが、その社長さん曰く「女子高生が真冬に寒そうで、特に、足元がとんでもなく寒そうなので、それを何とかしてあげたいと思い、比較的低価格でフアッショナブルなものをということで開発した」ということです。今は全国から注文が入って、地元への供給が滞るような状況だそうです。

考えてみれば、いわゆる薄着フアッションが徐々に影をひそめた時期と、このムートン・ブーツの開発の時期とは重なるような気がします。

寒いから厚着はしたい、暖かくしたいけれど、格好良くも着こなしたいというニーズは、まさに、函館にも転がっていたわけです。いわゆる、現在の冬のフアッションなど、函館から生まれてきてしかるべきだったと思います。しかし、函館市民は、そんなことにも目を向けず、今でも、薄着をしています。こんなことでは、地域が良くなるはずはないですね。考え方一つで、良くも悪くもなるという格好の事例だと思います。

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2011年2月22日火曜日

日本でも茶会党運動が台頭?―【私の論評】今はデフレ退治が最優先課題!!それから、離れたことを言う政治家は、資格を剥奪すべきだ!!!

日本でも茶会党運動が台頭?(ウォールストリート・ジャーナル・サイト Japan Real Time より要約)

名古屋市長選で再選を果たした河村たかし氏
 本日は、WSJに日本での、減税の動きに関して、興味深い記事が掲載されていたので、それを話題にしようと思います。原文は、サイトでみていただくこととして、下には、その要約を掲載させていただきます。
日本全国各地で見られる政治的騒乱は、あるうねりが徐々に勢いをつけていることを示唆するものだ。米国での茶会党ブームを思い起こさせる、静かな、既存の政治体制への軽蔑を込めた政治的うねりだ。 
鹿児島県阿久根市は依然、竹原信一前市長の解任劇に揺れている。竹原氏は昨年12月、解散請求(リコール)による住民投票で市長の座を追われた。そして今度は議会の解散の是非を問う住民投票が20日に行われ、解散請求が成立した。2008年に竹原氏が市長に当選して以来、迷走を続けていた阿久根市議会にとって大きな転機となる出来事だ。 
一カ月後に行われた出直し市長選で、竹原氏はわずか800票ほどの僅差で、対立候補の西原良将氏に敗れる。西原氏は、竹原氏のリコール活動を指揮した市民団体の元監事で、養鶏業を営む新人候補。だが、20日の投票結果は、竹原氏にとって多少救いとなるものかもしれない。有権者が(僅差ではあるが)竹原氏を失職に追いやったことは、同氏のやり方自体に不満を持っていたことを示すものかもしれない。しかし、官民セクターの賃金格差の縮小をはじめ、竹原氏が推進していた政策自体には必ずしも反対していたわけではないようだ。 
こうした動きは阿久根市に限ったことではない。もう一つの顕著な例が名古屋市だ。名古屋市でもリコール、住民投票、再選という同様のサイクルが繰り返された。ただし、こちらの場合、河村たかし市長は、議論を呼んでいる自らの政策について住民の意思を問うため辞任し、今月初めに70%という圧倒的得票率で再選を果たした。また、同日行われた市議会解散の是非を問う住民投票では、賛成が過半数に達し、解散が決定した。出直し選は3月13日に行われる。河村市長が議会と対立する原因となった主な政策は、市民税の10%削減と市議報酬の800万円への半減案だった。 
河村氏と共に勝利を祝ったのが、同日行われた任期満了に伴う愛知県知事選で、やはり住民税減税を公約に掲げて当選を果たした大村秀章氏だ。両氏の勝利は、米国の茶会党に似た、既存体制を敬遠する新たな地域政党の台頭を示すものだ。元民主党議員の河村氏は、昨年4月、太平洋の向こう側で興隆していた茶会党の動きに呼応するかのように、自ら地域政党「減税日本」を立ち上げ、選挙に臨んだ。元自民党議員の大村氏も、選挙にあたって自らの政党「日本一愛知の会」を結成した。 
河村氏は、自身の主要政策の議会通過に向け、出直し市議選(定数75)では、減税日本から40名の候補者を擁立する意向だ。河村氏は、減税運動の全国規模への拡大を目指すとし、次の衆議院選挙では、減税日本から少なくとも5名の候補者を立てる予定だとした。次期衆院選は早ければ4月に実施される可能性がある。 
河村氏は17日、共同通信のインタビューに応じ、「市や愛知県の減税を成就するため、国政で勢力を拡大する」と述べた。 
最近のこうした選挙結果は、4月の統一地方選挙を前に、民主党にとって決して明るい予兆とはいえない。
【私の論評】今はデフレ退治が最優先課題!!それから、離れたことを言う政治家は、資格を剥奪すべきだ!!!
減税に関しては、最近ようやっとその正当性を多くの人に認められつつあるようですが、少なくとも、昨年の参院選の前までは、自民党も、そうして民主党も増税が当たり前であるような論調で、世論も、「増税いたしかたなし」という論調が高まりつつあったように思います。

このブロクでは、参院選の直前に、

【参院選序盤情勢】民主失速 民主目標「54」下回る可能性―スウェーデンよりも国民負担の重い日本でもボストン・ティー・パーティーを開こう!!


という、タイトルで増税には、何が何でも反対であること。さらには、実は、税金の還付まで含めれば、国民負担という面では、日本は、スウェーデンよりもはるかに重いことを徹底的に強調し、増税を安易に主張した民主党を指弾しました。このブログでは、昨年の2月には、当時の菅財務大臣が増税論議をしたときにも、大反対しました。このときは、菅さんがそのわずか2年前の野党時代に増税に大反対している動画も掲載しました。結局は、菅さんは、何も経済についてわかっていないということです。

このブログでは、特に、増税の根拠になっている財政に関しても、再三にわたって掲載してきました。日本は、財政危機にあるというのは、一面的見方にすぎず、経済の癌である、デフレの解消のほうが先であることも強調してきました。

そうして、現在の日本は、本来マクロ経済学でいうところの、デフレ克服ためにすべきことを過去20年にわたって実施してこなかったことを強調してきました。そのなかに、デフレの時期においては、増税するか、減税するかいえば、減税すべきであって、増税など、とんでもないということも強調してきました。そうして、私だけの意見では、信ぴょう性が低いと思ったので、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏の日本の政策に関する意見も掲載するなどして、私の論点を強化することにも努めて来ました。

特に、マスコミや、中途半端な経済学者たちがいうことなどは、あてにはならず、日本でも、マクロ経済で教えるところの、対処法の王道を実施していくべきことを掲載してきました。特に、日本では、これをやってもみないうちから、駄目だとか、増税などの反対などのことをいう、マスコミや、政治家や、政党など厳しく糾弾してきました。

お陰さまで、様々の方々から、賛同意見の多くコメントをいただくことがきました。そうして、今日私がそのことを強調するまでもなく、減税が当たり前であることを一流紙のウォールストリートジャーナルがはっきりと新聞記事に掲載するようになってきたことは誠に喜ばしいことです。

私の主張してきたことは、理屈としては難しい物でも何でもなく、誰もが理解できることだと思います。しかし、まだまだ油断はならないと思います。日本でも、これから、アメリカのような、茶会運動が根付き、実際に政治を動かす原動力になり、当たり前のことが、当たり前に行われるようになることを希望してやみません。私は、アメリカよりも、日本のほうが、はるかに茶会運動が重要であり、また、実際にこの運動が高まれば、はるかに効果があると思います。

とにかく20年以上も継続するデフレに対処するどころか、財政再建を優先させるとか、そのために、増税をするなどという愚かな既存政治勢力には、さっさと表舞台から姿を消してもらい、さっさとまともな勢力に肩代わりしてもらいたいものです。有権者は、すべからく、デフレを退治する気が全くない、政治家の資格を剥奪する方向で投票すべきです。上の記事の動きが、全く普通のことであり、今までが異常であったことを、さらに多くの人々に認識していただきたいものです。

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2011年2月21日月曜日

マクドナルドが絶対に発売しないハンバーガー―【私の論評】観察力の鋭い人ならすぐにわかるはず!!日本マクドナルドが絶対に販売しないのは、中華バーガーと韓流バーガー!!

マクドナルドが絶対に発売しないハンバーガー


マクドナルドの目玉商品といえば、ビッグアメリカシリーズだ。テキサスバーガー、ニューヨークバーガー、ハワイアンバーガー、カリフォルニアバーガー、アイダホバーガー、マイアミバーガーなど、アメリカの州をモチーフとしたハンバーガーである(マイアミだけ都市の名前)。

しかし! マクドナルドが絶対に出さない州がある。きっと、この州のハンバーガーは絶対に出さないはずだ。それはどこの州のハンバーガーか? 

ケンタッキー州のケンタッキーバーガーである。

とにかく名称がヤバイ。このケンタッキー州をモチーフとしたハンバーガーは、決してマクドナルドから発売されないだろう。ケンタッキー州は馬、牛、乳製品、豚、大豆、トウモロコシが特産品となっているが、やはりケンタッキー・フライドチキンのイメージが強いうえ、ケンタッキー・フライドチキンの本社もケンタッキー州にある。

そもそも、他社を宣伝するかのようなハンバーガーは出せない。

しかしだ! もしマクドナルドがケンタッキーバーガーを作ったならば、企業の考えとは逆に「マクドナルドすげえなあ!」という声があがるのは間違いなく、そのマクドナルドの勇気に敬意を表する人が多くなるだろう。……まあ、出ないと思うけど。


【私の論評】観察力の鋭い人ならすぐにわかるはず!!日本マクドナルドが絶対に販売しないのは、中華バーガーと韓流バーガー!!
さて、上の記事、がっかりですね。ケンタッキーバーガーは、確かに出さないでしょうが、これは、競争相手を想起させるので、あまりにも当たり前といえば、当たり前と思います。というよりも、何よりも、マクドナルドが出さないハンバーガーという言い方もおかしいと思います。もともと、ビッグアメリカシリーズは、日本でしか販売されていないものです。それに、このキャンペーン、日本人向けのものであり、日本人の特性を知り抜いて実施したキャンペーンであることは、このブログにも以前掲載しました。だから、本来は日本マクドナルドが絶対に販売しないバーガーなどと銘打つべきだったでしょう。しかし、これくらいのことしかいえないのであれば、ギャグとしても、あまり意味がないですし、芸人だったら、これでは笑いは取れないでしょう。

それよりも、何よりも、上の文章を書いた人、観察力がなさすぎると思います。今まで、絶対に出さなかったメニュー、これからも出しそうもないメニューがあります。

それは、他のハンバーガー屋であれば、少なくとも、それを想起させるような商品を販売しているところもありますが、日本マクドナルドでは出していなメニューです。それは、日本、アメリカ以外の国を素材としたものです。たとえば、中華バーガー、韓国風バーガーあるいは、タイ風バーガーなどのエスニック系バーガーなど、あっても良さそうなのに、一切ないですね。

和風と、アメリカンは出しても、その他の国のものや、それを想起させるものは一切だしていません。

これは、何でなんでしょう。考え方としては、理解しやすいです。やはり商品が消費者の意識から、外れるというか、訴求力が弱まるということを懸念としての事だと思います。

もともと、ハンバーガーは、アメリカのものです。しかも、日本に上陸したのは、他の食品などから比較すれば、本当にごく最近のことです。ちなみに、日本マクドナルドの一号店は、1971年(昭和46年)7月20日、銀座三越内にオープンされました。

ハンバーガーなど、日本人はほとんど馴染みがなかったものです。だからこそ、アメリカというイメージを大切にし、定着させていったのだと思います。しかし、そけだけだと、商品に幅もでないし、顧客にも飽きられてしまうので、後から、和風もだしてみたところ、あたったので、定番メニュー化したというのが真相だと思います。

しかし、ただでさえ、外国起源の食べ物で、馴染みが少なく、そこで、さらに、カレー味とか、キムチ味とかのものを出してしまえば、顧客の意識の中で、ハンバーガーそのものが希薄化するのは必定だと思います。だからこそ、過去にもだしていなかったし、これからも出さないことでしょう。日本人には、日本人特有の食生活があります。もともとのハンバーガーという食習慣ですら、根付けるのに長時間かかりました。それを、さらにに変えるということは、多くの人が思っている以上に難しいことなのだと思います。食習慣の殻を破るということは、それほど難しいことなのだと思います。

カレーライスなどは、日本では、海軍に取り入れられ、毎週土曜日がカレーの日とされ、すべての将兵が食べていた時期があります。この規模で、取り入れられれば、外国起源のものでも、急速に普及するでしょうが、一民間企業では、なかなか難しいことなのだと思います。

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2011年2月20日日曜日

日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果―【私の論評】日本人が日本の良さを分からなくなった?!

日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果


 海外の日本酒ブームが続いている。財務省の貿易統計(速報値)によると、2010年の日本酒(清酒)の輸出は1万3770キロリットル、約85億円となり、過去最高を記録した。

   輸出先(数量ベース)は米国が最も多く3705キロリットル。次いで韓国の2587キロリットル。台湾の1639キロリットルで、香港、中国と続く。最近はカナダやオーストラリア、シンガポールなどにも広がりをみせる。

   これまでの記録は2008年の1万2151キロリットル、約76億円だった。09年はやや減ったものの、日本食ブームの波に乗って輸出は再び右肩上がりに転じたようだ。

ドバイでは1万円の吟醸酒が10数万円
   米国では富裕層を中心に純米酒などの高級酒が好まれ、またドバイでは1万円弱の吟醸酒が10数万円にものぼることもあるという。香港などでは辛口の純米酒が人気で、冷酒タイプも売れているそうだ。

   国内からの輸出は、「大吟醸のような高い技術のいる日本酒で、米国などに向けて輸出している」という。

   同社によると、「最近、輸出が好調なのは韓国向け」という。韓国酒の「マッコリ」が日本で人気なように、韓国では日本酒がちょっとしたブームだそうで、「食の交流が進んだことが好調な原因ではないか」とみている。

国内市場では苦戦、95年度の半分に落ち込む
   海外での「日本酒」をブームに終わらせないため、ある蔵元では日本酒と合う料理や「カクテル」の研究に乗り出した。日本酒造組合中央会は、「日本酒スクールの開催など、わたしたちも世界に向けて日本酒の情報を発信していきます」と力を込める。

   そんな一方で、国内市場では苦戦が続いている。国税庁のデータをもとに日本酒造組合中央会がまとめた資料によると、日本酒の国内消費量は08年度で63万キロリットル。年々減少を続け、1995年度の126万キロリットルの半分にまで減った。

   月桂冠では、「ハイボールのようにお酒の種類が増えたり、食材も豊富で欧米風の料理が増えたり、飲み方が変わったことが大きい」とみている。

   また、老舗の蔵元が多い伏見酒造組合は「若者のアルコール離れに加えて、健康志向の高まりで年配の人も(お酒を)飲まなくなったことが伸び悩みの原因」と指摘。輸出は増えているものの、国内の落ち込みをカバーしきれていない、厳しい状況にある。

   国内市場の掘り起こし、なかでも若者に飲んでもらおうと、伏見酒造組合では京都のホテルと協力して宴会やパーティーでの乾杯に日本酒の無料サービスを実施するなどの策を講じている。

【私の論評】日本人が日本の良さを分からなくなった?!
外国では、日本の酒が人気なのに、日本では、あまり飲まれなくなっているとは皮肉なことだと思います。これは、日本酒に限らず、多くの日本人が、日本の伝統文化には疎くなり、外国では逆に日本を認めつつあるという最近の風潮にも符号する動きではないかと思います。


最近では、お酒の飲み方や、つぎかたもわからない人が増えてきたように思います。というより、何より、まずは、日本酒を飲まないニッポン人が増えてきたのは、残念なことです。映画など見ていても、あのブルース・ウィリスが映画の一場面で、日本酒を飲んでいるような風景は珍しくなくなりました。

実は何年か前のこのブログにも、日本酒の輸出が伸びているということを掲載したことがあります。このときは、二つの事例を出して、フランス人も驚く日本酒の実力をあげました。ひとつは、フランス人がいかに頑張ろうと、フランス産最高級白ワインをもってこようとも、生牡蠣を食べる際には、日本酒が最も良いということでした。日本酒は見事に生牡蠣の生臭さを消して、牡蠣のうまみを最大限にひきだします。これにまさる、白ワインなど存在しません。それと、ワインは、生産してから、数年は保管しないと飲み頃にならないのに、日本酒の場合は、つくりたてが最も美味しいということです。

さらに、フランス人をびっくりさせるなら、フランス料理は、すでに江戸時代に日本料理の影響を受けているということです。これは、最近では、結構年配のシェフでも、あまりに当たり前でかえって知らない人がいるくらいです。

こんな、日本酒の実力もわからないニッポン人が増えてきていることが残念でなりません。私自身は、昔から、そうして今に至るまで、一番好きなのは、日本酒です。日本料理の場合は、何がなくても、やはり日本酒だと思います。ビールを飲みながら、日本料理を食する味音痴の輩の感性は未だにわかりません。

最近のニッポン人は、日本酒が昔から神事にもつかわれてきて、日本人とは切っても切れない関係にあることもわからない人が増えているのだと思います。最近では、会席料理の基本的なマナーも、割り箸の使い方や、座布団の使い方、懐紙の使い方など理解しないニッポン人が増えています。

私は、はっきりいって、こういう日本の伝統文化を知らないニッポン人に、日本はどうだなどと語ってほしくありません。こういう、ニッポン人に限って、日本の過去の歴史は無論のこと、日本の現状をほとんど理解していないことが多いものです。

かえって、あのアップルのCEOである、スティーブ・ジョブスのほうが、日本人らしい考え方を持っているくらいです。今のニッポン人に「武士道というは死ぬことと見つけたり」という葉隠の考え方を言っても、何のことかわからない人も多いでしょうが、実はスティーブ・ジョブスがこれに近い考え方を持っていることは以前にもこのブログに書いたことがあります。

これは、若い人だけに限りません。グローバル企業などといって、結局、中国などの新興国の遅れた社会に向けたような、商品開発ばかりしている企業の経営者には、こうした考えを理解できない人も増えているようです。政治家でも同じことです。

少し前の経営者なら、こうした考えを理解していたし、少なくとも、共感できたと思います。しかし、日本の文化も理解しないような人が海外でうまくやっていけるでしょうか?無駄ですね。日本酒に関して、その飲み方や、たしなみかたを少しでも語れれば、フランス人をも惹きつけることができますが、それができない人は、フランス人に軽く見られるだけです。

今の時代何か間違っていると思います。まずは、語学などを学ぶ学ばないなどの前に、日本文化の素養を身につけていなければ、国際人とは成り得ません。どこの国に行っても、軽く見られるだけです。逆に、日本文化を身につけていれば、多少外国語がへただろうが、場合によっては、できなくても、どこの国に行っても、尊敬されこそはすれ、馬鹿にされることはありません。言葉だけわかっても、こうしたバックボーンのない人は、結局、海外でも、まともに相手にされることはありません。まともに、交渉事もできないことでしょう。

なぜなら、最近では、コンテクストなどといわれ、アメリカなどでも、実施されている交渉にも必要な腹芸もできないからです。アメリカ人が腹芸ができなくて、なんでもかんでも言葉で表現するものと思っていたら大間違いです。一般の人でもそんなことはないですし。上のレベルになれば、なおさらです。なんでもかんでも、言葉で言うような人は、交渉相手でも、地位の低い、現場レベルの話にすぎません。上のレベルでは、コンテクストを背景に話をすすめることは言うまでもありません。低層な馬鹿なアメリカ人ばかり相手にするなら、それでも構わないでしょうが、それだけでは、まともな人とは付き合っていけません。もう、アメリカ人でも、いわゆるデカルトの悪魔的な考えのみで生きているのは、馬鹿な、賭博師や、金融馬鹿くらいなものだと思います。

人が、人としてまともに扱われるということは、どういうことなのでしょうか?それは、その人が育った文化的背景を背負っているということを相手にさとってもらえか否かで決まるものです。背負っていることを認めてもらうことができれば、その人は世界中のどんな人からも、うとんじられることはありません。なぜなら、その人は、その人だけの存在ではなくなるからです、その人が、その文化を担っているというということは、もうすでに、その人だけのことではなく、その文化を背負っている人の文化圏に属する人全体を代表するものとして、相手に受け取られるからです。それどころか、すでになくなったご先祖様の考えをも代表するものとして受け取られからです。

そんな文化的背景のない人間に関しては、そのような背景を持たないサル同様の扱いしかされないのは当然のことです。

私は、菅さんが海外の会議に行っても、先進主要国のリーダーたちからまともに相手にされないのは、決して言葉だけの問題ではないと思います。いくら、お遍路に行ったとしても、彼は、おそらく、日本の伝統文化の背景からは程遠い存在なのだと思います。こうしたことは、いくら、外見を整えてみても、すぐに相手に悟られるものです。それは、思想や、イデオロギーなどとは無縁なものです。どんなイデオロギーがあったにしても、自分の属する文化を知らないものは、そうではない人々には、見透かされてしまいます。フランスや、イタリアの共産主義者たちは、少なくとも自国の伝統文化を背負って話をします。だから、妥協点もみいだしやすいです。

これはとりもなおさず、日本人であれば、日本の伝統文化を背負った人間と、他の国の人から認められない限り、まともな扱いはされないということです。今は、こんな簡単な理屈のわからない人があまりにも増えていると思います。

日本の伝統文化など知らない、ニッポン人の皆様、これを機会に日本酒などから、日本の伝統文化をみ直してみてはいかがでしょうか?

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2011年2月19日土曜日

菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も―【私の論評】今月の22日は分水嶺!!代表選の頃から、今の事態は予想できた、なぜそれが民主党員には読めないのか?!!

菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も

お遍路の旅の途中の菅さん。この時、彼が見ていたのは坂の上の雲か?
民主党内で、菅直人首相(64)の退陣論が急速に広がっている。小沢一郎元代表(68)を慕う衆院比例単独議員16人の反乱に端を発し、菅首相の盾となってきた「影の総理」仙谷由人代表代行(65)も菅首相を見限り、公明党幹部に首相退陣と引き換えに2011年度予算関連法案の成立に協力するよう打診したとの情報が駆けめぐった。菅首相は退陣を拒否し、衆院解散・総選挙をチラつかせて退陣論に対抗するが、“孤独死”は迫っている。

「『変わりやすい愛情』というのも、このランの花言葉の中に入っているようでして、そこは気をつけなきゃいけないなと…」

菅首相は18日、東京ドームで開かれた世界らん展で、こうあいさつした。そもそも党内で菅首相に対する「愛情」が支配的だったとは思えないが、16人が会派離脱を表明したことで、関連法案の成立は絶望的。党内の空気が「菅降ろし」へと一変したことは確かだ。

小沢氏に近い民主党参院幹部は同日、「鳩山由紀夫前首相が退陣した時よりもひどくなった。もう(政権行き詰まりの)流れは止められない」と指摘。中堅議員も「首相が辞めなければ、野党が予算関連法案を通してくれない」と退陣を求めた。

致命的なのは、小沢系だけでなく、菅首相寄りの議員からも同様の声が出始めていることだ。衝撃的だったのが、同日に広まった「仙谷氏が15日、公明党幹部と会談した際、首相退陣を条件に関連法案成立に協力できないか打診したが、拒否された」という情報だ。

仙谷氏に近い議員はあわてて否定。前原誠司外相は記者会見で「私の感覚では、そのような取引をするはずがないと思っている」と述べた。

しかし、民主党関係者は「茶飲み話程度だ」と矮小化に躍起だが、事実関係は認めた。仙谷氏は官房長官として菅政権を支えたが、野党時代に「菅代表」降ろしに動いたこともある。

前原グループの若手議員は「仙谷氏には、最初から菅首相への愛情なんてない。小沢切りをやらせて、前原氏に政権をつなぐための道具としか見ていない。最後は鈴をつけに行くのは自分しかいない、と思っているはずだ」と話した。

菅首相以外の政権中枢にも、ほころびが見え始めた。

18日夜、菅首相は公邸に岡田克也幹事長、枝野幸男官房長官、仙谷氏ら幹部を集め、今後の国会運営で意見交換した。

出席者によると岡田氏は一度も口を開かなかったといい、「3月にどうなる、4月にどうなると説明していたら、みんな寝てしまった。首相だけが聞いていた」(出席者)という。もはや、あきらめの境地なのか。

仙谷氏率いる前原グループとともに、菅首相の党内基盤の一翼を担う野田佳彦財務相のグループ内にも、「総辞職しかない」(中堅議員)との声が出始めている。

中間派も攻勢をかける。22日には、桜井充財務副大臣や北神圭朗衆院議員が中心となり、首相が昨年9月の代表選で訴えた公約を検証するが、「政権批判の場になる」(中心メンバー)公算が大だ。

地方の乱も続いている。執行部は19日に地方代表を集めて全国政調会長会議を、3月5日には全国幹事長会議を開く。4月の統一地方選では、候補者が民主党公認を辞退し無所属や他党に流れる現象が続いているだけに、「菅降ろし」で紛糾する可能性もある。
菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も

自民党政権時代、地方から不人気の森喜朗首相を降ろす動きに火がついたこともあるだけに、執行部は警戒している。

これに対し首相は18日、首相官邸で記者団に「首を替えたら賛成するとかしないとか、そういう古い政治に戻る気はさらさらない」と述べ、予算関連法案成立と引き換えの退陣を否定。

記者団が衆院解散の可能性をただしたのに対しては「国民にとって何が一番重要か、そのことを考えて行動する」と否定しなかった。

民主党内では親菅、反菅を問わず、「支持率が低い菅首相の下で衆院選を戦いたくない」(若手)が合言葉になっている。それだけに菅首相はこれを逆手に取って、瀬戸際外交ならぬ瀬戸際内政を展開しているのだ。

官邸筋によると首相の精神安定剤になっている伸子夫人は「支持率がマイナスになることはないから、続けなさい」と励ましているといい、これも大きな心の支えだという。予算関連法案が成立せず国民生活が混乱しても、野党に責任をなすりつけるチキンレースを仕掛けるとの見方もある。

政治評論家の浅川博忠氏は「通常国会会期末に解散・総選挙をするという約束と引き換えに関連法案を通してもらうという線が有力だ。民主党は4月の統一地方選に惨敗すれば菅首相を降ろして新代表を選び、新しい顔で衆院選に臨むことになるのでは」と話している。

大政局は、待ったなしで訪れそうだ。

【私の論評】今月の22日は分水嶺!!代表選の頃から、今の事態は予想できた、なぜそれが民主党員には読めないのか?!!
来週の2月22日には、国政、党内情勢、政治とカネの3点について、今後の流れを決める“行事”が集中しています。この日が民主党の崩壊記念日になってしまうかもしれません。

党内の16人が2011年度予算関連法案への反対も辞さない姿勢を示したことで、法案成立が難しくなっています。民主党幹部は今後、造反回避を図るが、造反がなかったとしても、衆院の3分の2議席による再議決を行うためには、社民党の協力は不可欠です。

しかし、社民党は22日に、関連法案の柱となる特例公債法案に反対することを決めることでしょう。そうなると、この日に実質的に菅政権が終わる日になることになるでしょう。

さらに、22日には、桜井充財務副大臣や北神圭朗氏ら党内の、いわゆる中間派が集会を開き、菅首相が昨年9月の党代表選で訴えた公約を検証することになっています。

さらに同日午後には、党常任幹事会が小沢一郎元代表の処分について、最終決定する見通しとなっています。

まあ、この日を境にして、菅政権は終わりを告げることでしょう。すぐに、終わらないにしても、実質上終わりが決定された日になることでしょう。今からどういうことになるか、22日は要注意です!!

それにしても、民主党員の皆さん、菅さんに関しては、こういうことになるのは最初から判っていたことです。ちなみに、このブログでは、代表選の頃から今日のこの事態を予測していました。下に、その部分を引用しておきます。
今のところは、この代表戦をめぐって以下のようなことが考えられます。 
小沢氏が勝てば、菅さんは、民主党の代表ではなくても総理大臣です。総理大臣はには、衆議院を解散することができます。 
菅さんが勝てば、小沢さんは民主党を飛び出るということも考えられますが、おそらく、そのまま残り、3月を目指すのではないかと思います。3月とは、どういうことかといえば、おそらく、総理としては全く無能であることが明らかになった菅さんでは、おそらく、3月まで持たないということで、何か新しい動きが必ずでてくるということです。 
それに、菅さん、小沢さんのいずれが勝とうが、参院がネジレ国会であることにはかわりがありません。 
いずれにせよ、近いうちに、今までのように政局ということではなく、本格的に政界編成が起こることは間違いないと思います。
この時点で予測したように、菅さんの能力不足は、今では誰にでも周知のことです。財務大臣の頃から、馬鹿さ加減をおもいっきり晒していまし。でも、そんなことは、最初からわかってしかるべきことです。下の動画の内容など、多くの人が最初から判っていたことです。



経歴をみれば、単なる市民運動家の域を出ていない人が総理大臣など最初から勤まるはずはないですし、上のような情報もあったわけですから、能力不足は明らかなのであり、そうであれば、まわりの取り巻き連中が是がひても、馬鹿さ加減が表にでないように努力すべきだったのでしょうが、そのようなこともなかったようです。

3月か、4月で、菅内閣はおしまいですね。4月で、統一地方選で惨敗するのも必定でしょう。かといって、自民党が返り咲えたとしても、状況は変わらないと思います。日本では、もうそろそろ、本格的に政治システム改革が必要だということです。

国民も、もうそろそろ、この事実に気づくべきでしょう。私としては、今喫緊の課題である、デフレ克服、政治システム改革の二つを大きな政策課題としてマニフェストに掲げる政党があらわれ、この二点に真摯に取り組んでくれれば良いと思います。

新しい政権では、まずは、真面目にデフレ対策に取り組むこと、そうして、総理大臣がコロコロ変わらないだけで良いと思います。その他のこと、いろいろ言ってもどうせできやしません。なにせ、今はデフレという異常かつ、緊急事態が発生している最中なのですから!!ただし、20年もその状態が続き、多くの人がこの事態に慣れてしまたというだけです。ただし、民主党のように日本国解体法案を導入しようとする政党は全く論外ですが・・・・・・。

それに、皆さん、今の日本の当面の問題、デフレ克服が本当にできたら、ほとんどが成就しますよ!!これ、本当です。まずは、雇用問題は解消するし、景気は良くなるし、財政のプライマリーバランスの問題、とにかく大抵の問題は解消するか、解消の糸口はつかめます。

デフレ克服なしに、何を行なっても、言っても無駄ですから!!そうして、デフレ克服は、少なくとも、数年のことなら確実にできます。そんなに難しいことではないですから!!そりゃ、10年、20年絶対デフレは嫌だということになれば、難しいですが、5~6年のことなら、日本であれば、本当はさほど難しいことではないです。事実今までの歴代の日本政府は、デフレのときに、マクロ経済がこうしなさいと教えていることをほとんど実施してきませんでした。例外は、小渕、麻生内閣くらいのものです。彼らだけが、デフレに克服のため大規模な財政政策という王道の政策を打ち出しました、それ以外はなんだかんだといって、緊縮財政ばかりです。その典型が、小泉政権ですね。あの政権のおかけで、地方はかなり疲弊しました。実際に、デフレを克服して、景気をよくして、その間に次の一手を打つ余裕を持つべきと思うのは私だけなのでしょうか?増税、その他の変革は、絶対にやるべきものもその後にすべきです!!順序をたがえるべきではありません!!

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2011年2月18日金曜日

「ウサギも苛立ちゃ噛みつくぞ」 中国の庶民、もはや我慢の限界=中国人がみる中国―【私の論評】中国分裂の日は必ずやってくる!!

「ウサギも苛立ちゃ噛みつくぞ」 中国の庶民、もはや我慢の限界=中国人がみる中国



【大紀元日本2月17日】虎年が過ぎ、ウサギ年に入った中国では最近、「クワンクワン(クワンクワン)」というウサギのキャラクターが人気を博している。インターネットの動画サイトに流れていた風刺アニメの主人公で、虎の高圧的な統制に耐え切れずに「革命」を起こし、虎を噛み殺したウサギたちだという。虎ミルク(メラミン混入の「三鹿」粉ミルクを暗示する)を飲んで子ウサギが死んでしまったり、強制立ち退きにより家屋が破壊されて抗議の焼身自殺をしたり、トラックの下敷きにされて殺されたりと、アニメに描かれたこれらの悲惨なストーリーは、いずれも中国社会の実像を生々しく想像させる。

もちろんこのアニメは、当局によってすでにネット上から削除された。しかし、そのテーマソング「俺をこれ以上虐めるな。苛立ったら俺だって噛みつくぞ」は、すでに視聴者の記憶に焼きつけられている。

このアニメが広く支持された背景について、ある中国人読者が中国語版BBCへ文章を投稿している。それによると、「現在、中国社会には不安が蔓延しており、庶民は我慢の限界に来ている。アニメの広がりは、まさにそのシグナルである」という。

以下は、その投稿の抄訳である。

*************************************

最近「小兔子(クワンクワン)」」という短編アニメが全国で流行っている。このアニメには、中国で起きたいくつかの大事件を暗喩する内容が盛り込まれている。多くの幼児が被害を蒙ったメラミン混入粉ミルク事件、政府の幹部たちを先に逃がしたために小・中学生約300人が犠牲となった新疆カラマイの大火事、河北大学キャンパスで起きたひき逃げ死亡事故で犯人が「俺のおやじは李剛だ」と公安局局長の親の威光を借りて居直った事件、土地の不正取得をした官僚を告発した元村長・銭雲会さんが事故死に見せかけ殺害された事件などだ。各事件を忠実に表現するために、かわいいキャラクターのウサギが、耐えがたい暴力によって血まみれになる場面もたくさんあるが、いずれも現在の中国社会の実状を露わにしたものとして受けとめられている。

アニメの最後の場面には、「俺をこれ以上虐めるな。苛立って咬み返したら、取り返しがつかないことになるぞ」というセリフと、非常に恐ろしい光景が現れる。これは、我慢の限界を超えた民衆の爆発を予期させるものであろうか。

このアニメの流行から帰納的に言えることは、現在、中国社会には不安の空気が蔓延しているということである。ここ数年、中国で発生した多くの集団事件は、最終的に政府当局に制圧されるか、または政府に一方的に断罪されてきた。そのため民衆の間には、政府への不信感と不満が募っているからだ。

近年発生した多くの社会事件に対する政府の対処は、一定のパターンに則っている。事件発生当初、政府は積極的にかかわるが、一たび事件内容が政府の意に反すると判れば、政府はその事件を避け、一切触れないようにする。さらに、民衆の側が自発的に真相を調査しようとすると、政府はそれを妨害したり、調査活動を発起した民間人に対して無実の罪を着せる。例えば、四川大地震で多くの子供たちが犠牲になった「おから工事」を調査し、当局の責任を指摘した譚作人氏や、メラミン汚染粉ミルクの被害者らを支援する趙連海氏など、社会的影響力が強いと見なされた人物は、「国家転覆扇動罪」や「社会秩序を破壊した罪」で有罪判決を言い渡されているのだ。

これらの事件を通して、民衆は政府を全く信じなくなり、政府もまた私利私欲のため民衆と対立してきたことで、民衆のうっ憤は募る一方であった。その限界を超えれば、エジプトで起きたことは、中国でも同様に発生しうるだろう。

【私の論評】中国分裂の日は必ずやってくる!!
それにしても、上の実物の動画、かなりグロテスクですね。しかし、これが中国の現実なのです。決して大げさではありません。中国では、建国以来今にいたるまで、年間で2万件ほどの暴動があります。

現実は、上の動画よりももっと酷いことになっているのです。虎の高圧的な統制に耐え切れずに「革命」を起こし、虎を噛み殺したウサギたちは、現実に多数存在しているのです。残念ながら、いくら虎に噛み付いて虎を殺したとしても、それは、現実世界では、下部組織の役人にすぎず、そのもっと上の上部組織である中国共産党は人民の軍隊ではない、共産党の私兵である、人民解放軍をもっていますから、弾圧されるだけなのです。弾圧だけならまだましです、最後の最後には命を奪われてしまうということです。

中国当局は、世界で最も厳しい検閲と「万里の長城(The Great Wall)」をもじって「グレート・ファイアウオール」と呼ばれるインターネットアクセス制限を通じ、ツイッターから法輪功までさまざまなウェブサイトを何年にもわたって遮断してきました。しかし、最近これを突破する方法が開発されています。

こういう人々は、はウルトラリーチ・インターネット社の無料の仮想プライベートネットワーク(VPN)「ウルトラサーフ」を利用しています。VPNは中国ネット市場での検閲回避に利用されるサービスで、現在増え続けています。2009年から中国で遮断されている米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェースブックは、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の中国訪問後、同国での利用者が70万人超と、この1カ月間に2倍強に膨らみました。

VPNは、従業員による企業内ネットワークへのアクセス保護を目的に企業が主に活用しますが、データを暗号化する「代理の」サーバーが使用されるため個人が匿名でウェブを見て回ることが可能になります。

多くの人がこれを利用するようになれば、中国でも多くの人がFaceBookを活用できるようになるでしょう。政府が、これに規制をかけたとしても、また、何らかの新しい方法が開発されるでしょう。結局、イタチごっこや、モグラたたきのようになるわけです。

現在の中国は、特に食料品がかなり高騰しています。日本でいえば、米とか、卵、肉などが、インフレで上昇しつつあります。 

中国国家統計局が昨年11月11日に発表した10月の消費者物価指数は、前年同月比で4.4%の上昇という高い伸びとなりました。

中でも食品が10.1%と高い伸びを示しました。食品の中でも、野菜は31%、果物は17.7%も上昇しました。農産品や食品など市民生活と密接に関わる分野が高騰しています。

その止まらない物価の上昇に、上海市民は目を白黒させています。主婦らの井戸端会議の話題は「物価速報」で持ちきりです。

そうして、大昔のローマや、中国でも、食料品の値上がりは、国民の生活を不安定させ、政権の交代に結びついた例は多いです。いきつく先は、今回のエジプトのようになるわけです。中国の場合は、もっと大掛かりになる可能性があります。少なくとも、中国共産党一党独裁は不可能になることでしょう。それよりも、何よりも、少なくとも、5つくらいに分裂するのは必定でしょう。

現実には、省単位で分裂することは十分考えられます。私は、おそらく、事実上、省単位で分裂してしまいますが、それではエネルギー供給や、軍事面でも、いろいろと不都合なこともおこるので、後からいくつかの省が合同して、最終的に五つくらいの国にまとまるのではないかと思います。

このブログでは、過去に中国分裂シリーズなど掲載してきましたが、その後の中国を見ていても、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は進まず、どちらかといえば後退しているような有様です。

このような、ことは、どの時代のどの国でも長続きはしません。ドラッカー氏は、1980年代の終わりころに、すでに、ソビエト連邦の崩壊を予言していました。わたしは、これと同じように、中国も、今後10年以内に間違いなく崩壊すると思います。

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2011年2月17日木曜日

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 観てきました―【私の論評】確かに物足りないところもあるが、戦争について今一度考え得る機会を与えてくれた?!

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 観てきました


太平洋戦争末期のサイパン島を舞台に、大場栄大尉(竹野内豊)率いる陸軍歩兵連隊と絶大な兵力を誇る米軍との熾烈な戦いを描く実話の映画化である。この知られざる玉砕戦の一部始終を日米双方の視点から描くという試みはあらかじめ、ややハードルが高過ぎたのではないだろうか。

英語が飛び交う米軍のパートはチェリン・グラック監督が担当し、日本人側のパートは平山秀幸監督が演出しているが、本来ならクリント・イーストウッドの「硫黄島」2部作のような截然(さいぜん)たる構成にしない限り、どうしても日米の描写のバランスをとることに腐心してしまいがちなのだ。




迫力ある戦闘シーンも含め、全体の色調を極力アンダーに抑え、亜熱帯の鬱蒼としたむせかえるような暑さではなく、どこか寒々とした印象を与えるのは効果的である。この沈んだ静謐さを強調したルックは「硫黄島」2部作のトーンを引き継いでいるようだ。

平山監督は、大場大尉を悲壮な皇軍精神に殉じる堅物ではなく、巧緻な戦略によって米軍の裏をかくしたたかな抵抗者として造型しているが、恐らく<小隊もの>の傑作「最前線物語」を参照したと思われる。気が触れてしまった兵士(柄本時生)や出産した赤ん坊に<希望>を託すエピソードに顕著だが、サミュエル・フラーが提唱した<戦争の栄光は生き残ること>というモラルが通奏低音となっているのだ。惜しむらくは、竹野内豊にリー・マービンのような強烈な父性と敗残の果ての屈折した傷つきやすさ、複雑な陰翳が感じられないことである。(映画.com)


【私の論評】確かに物足りないところもあるが、戦争について今一度考え得る機会を与えてくれた?!
この映画、見終わって、感じたのは何か物足りなさでした。上に書かれてあるように、確かに、硫黄島の二部作を見てしまって目からは、この映画は2時間という時間もあいまって、物足りなさを感じるのも仕方ないのかもしれません。せめて、3時間超の映画にして、日米両方の姿を描ききって欲しかったものです。

ただし、竹之内豊のキャストは、それなりに良かったと思います。リーマービンのような父性溢れて、年上の指揮官にしてしまえば、現実離れするような気がします。竹之内はより身近な感じがして、かえって良かったのではないかと思います。

サイパン島の戦いについては、wikipediaを参照してもらうものとして、そのなかから気になる記述をみつけましたので、以下にその部分を引用しておきます。
ただし、サイパンの戦いに従軍した田中徳祐(陸軍予備士官少尉・独立混成第47旅団)は以下のような米軍による残虐行為を目撃したと主張している。 
「米軍は虐待しません」の呼びかけを信じて洞窟から出てきた婦女子全員が素っ裸にされ、数台のトラックに積み込まれた。「殺して!」「殺して!」の絶叫を残してトラックは走り去った。 
滑走路に集った老人と子供の周りにガソリンがまかれ、火がつけられた。忽ち阿鼻叫喚の巷と化した滑走路。我慢ならず我兵が小銃射撃をしたが、米軍は全く無頓着に蛮行を続けた。 
火から逃れようとする老人や子供を、米兵はゲラゲラ笑いながら火の中へ蹴り飛ばしたり、銃で突き飛ばして火の中へ投げ入れた。二人の米兵は、草むらで泣いていた赤ん坊を見つけると、両足を持ってまっ二つに引き裂いて火中に投げ込んだ。「ギャッ!」といふ悲鳴を残して蛙のように股裂きにされた日本の赤ん坊とそれを見て笑う米兵士。 
こんなに優勢な戦闘にも拘らず、米軍は毒ガス弾(赤筒弾)攻撃まで仕掛けてきた。 
マッピ岬では、岩の間に一本の青竹を渡し、それに串さしにされた婦人を見た。 更に自分と同じ洞窟に居た兵士や住民が五体をバラバラに切り刻まれて倒れているのを眼前に見た。 
米軍の残忍非道から名誉と身を守るために「天皇陛下万歳」を奉唱してマッピ岬から太平洋に身を躍らせた老人、婦女子や、左腕に注射針を刺し、君が代と従軍歌「砲筒の響遠ざかる・・・」を斉唱しつつ自らの命を断った十余名の従軍看護婦達の最期を田中は見たという。 
但し、田中徳祐の証言は上述の自著の1983年版に記述されているもので1956年版には記述されていないとされている。また、自身の階級を大尉としているが、大場大尉が監修した「タッポーチョ」では大場栄大尉の指揮下で少尉となっており、「丸・別冊 太平洋戦争証言シリーズ(6)」では自身の階級を中尉と記している。
硫黄島からの手紙では、投降した抵抗もしない日本人の捕虜をアメリカ兵がさしたる理由もなく、殺してしまう残虐行為が描写されてしいましたが、この映画ではアメリカ兵によるものも、日本兵によるものも皆無でした。戦争は、特殊な状況なので、通常では起こりえないことなどが、起こってしまうようです。実際、現在ですら、イラク戦争のときの捕虜の虐待についても、報道されたことがあります。

このへんも含めて、もっといろいろと描写して欲しかったものです。世の中では、アメリカ軍は正義の味方で、日本軍は、悪の権化のような考え方で描写するものが多いようですが、そのようなことはないと思います。これは、戦争に勝った国による、いわゆる勝てば官軍的なものの見方に過ぎないと思います。

それから、ここでは、詳細を書くつもりはないですが、当時の日本がアメリカに対して挑んだのは、無謀以外の何ものでもなく、愚かな戦争であったことばかりが強調されているようですが、そうとばかりとは限らないということも日本人として知っておく必要があると思います。

たとえば、ハル・ノートという有名な外交文書があります。これは、、太平洋戦争開戦直前の日米交渉において、1941年11月26日にアメリカ側から日本側に提示された交渉文書です。正式にはアメリカ合衆国と日本国の間の協定で提案された基礎の概要(Outline of Proposed Basis for Agreement Between the United States and Japan、日米協定基礎概要案)と称するものです。

日米交渉のアメリカ側の当事者であったコーデル・ハル国務長官の名前からこのように呼ばれていいます。ハル・ノートに関しては、「(事実上の)最後通牒であった」とする解釈と、「最後通牒ではない」とする解釈とがあります。

私自身は、このハル・ノートは事実上の最後通牒であり、最後通牒をつきつけられた後の真珠湾攻撃は決して、だまし討ちではないです。そうして、現実には、もう随分前に、公表されたアメリカの公文書で、当時のルーズベルト大統領は、真珠湾攻撃を予め知っていたことを明らかにしています。知っていて、放置したというのであれば、これは大きな犯罪と言わざるをえません。

また、日本がアメリカに戦争を挑んだ事自体を全く無謀なことと、受け止めている人も多いようですが、これも全く正しいかといえば、そうともいえないところがあります。これを主張するアメリカの学者が書籍を書いてそれを主張しています。

これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。そのときにも掲載したのが下の動画です。


この動画を見ていると、大東亜戦争に関しては、決して無謀な戦ではなかったと思えてきます。それから、この、映画「太平洋の奇跡」のに関しては、戦争秘話などとされて、さもさも、今になって発見された話のような触れ込みで紹介されているようですが、そんなことは、ありません。戦争や戦記などの興味のある人には良く知られているいる話です。

実際、上のウィキペディアの引用した文章の中でも、『大場大尉が監修した「タッポーチョ」では大場栄大尉の指揮下で少尉となっており、「丸・別冊 太平洋戦争証言シリーズ(6)」では自身の階級を中尉と記している』などと記載されています。おそらく、かなりの人が知っている話なのではないかと思います。

しかし、マスコミで多く報道されていないから、多くの人に知られていないのだと思います。多くの日本人は、このような話は知らずに、日本軍や日本兵といえば、最初から大義もなく、無理で、無駄な戦争を行ない、すぐに切腹し、万歳突撃した愚かな軍隊のような考えが流布されているのだと思います。

しかし、この映画に出てくる日本兵を見てください。あるいは、硫黄島からの手紙の日本兵を見てください。いくら時代背景があるとはいえ、全く無駄で、大義も何もない戦争にあれほど、勇敢であったり、忍耐強く戦いを続けられるなどのことが考えられるでしょうか。

日本が戦争をしたときの、大義名分は、アジアの独立でした。その頃は、アジアの大部分は、ヨーロッパやアメリカ、ソビエトなどの列強の植民地でした。

日本が戦争をしたことにより、これら植民地の開放が早まったことは間違いありません。インドなどでは、日本が戦争をしたことによって、少なくともインドの独立が40年は早まったとする論調が大勢を占めています。とすれば、日本は確かに戦争には負けましたが、戦争をするための大義は、成就したといえるのではないでしょうか?

真珠湾攻撃に関しては、例外的に「トラ・トラ・トラ」のように両方から描いた映画もありますが、それ以外の映画では、日米両方のの視点から描かれたものは皆無といっても良かったと思います。しかし、硫黄島の二部作や、太平洋の奇跡に関しては、それまでとはうってかわって、日本側からも丁寧に描写される映画のつくりとなっています。もう、戦争が終わってから、70年です。そろそろ、あの戦争をもう一度、その時代背景も含めて、客観的に見つめる時代が着ているのではないかと思います。

特に、日本人は、第二次世界大戦中のみを切って捨てるようなことはできません。明治時代の日本が、第二次世界大戦の時代も含めて、今の時代に続いていることは否定できません。

そういった意味で、今のこの時期にこの映画、大変意義深いものだったと思います。

最後に、この映画の終わりのほうで、大場栄大尉が、日本兵を率いて、アメリカ軍に投降するため、山を降りて整然と行進していくシーンがあります。その時に、「歩兵の本領」という軍歌を歌いながら、行進していました。その歌を下の動画に歌詞付きで掲載します。


この唄、なかなか良い唄と思います。万朶の桜の万朶は、垂れさがるという意味です。「花は吉野に嵐吹く」の吉野は無論、桜の名所の奈良の吉野山のことでしょう。この出だし、とても軍歌とは思えません。無論、桜は、潔く散るという意味もありますから、それを想起させるものとして導入部につかわたのでしょうが、それにしても、日本人の自然を愛でる気持ちが現れた良い唄だと思います。

この唄、私の祖父は、良くをお酒を飲んで酔うと歌っていました。本人は、海軍だというのに、海軍の軍歌よりも、この唄が好きだとみえて、良くこの唄を歌っていました。

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