2015年12月18日金曜日

貧困寸前!急増「女性の生活苦」知られざる実態―【私の論評】痩せ細る若い女性を増やさないためにも、今後緊縮路線は絶対廃棄(゚д゚)!

貧困寸前!急増する「女性の生活苦」知られざる実態

「女性の貧困」というフレーズをよく聞くようになった。今の日本において、貧困に苦しむのは女性だけではないが、賃金格差や非正規雇用者の数、ひとり親になったときの貧困率などを見ると、若い女性が置かれている状況は確かに厳しいと感じる。そして、今貧困を感じていない女性でも、いつ貧困に陥るかわからないという恐さを感じている。20~30代女性の生の声を通じて、彼女たちの生活苦の実態に迫る。(取材・文/蒲田和歌 編集協力/プレスラボ)

日本はもはや豊かな国ではない?
女性たちが喘ぐ「生活苦」の実態

若い世代を中心に、生活苦の女性が急増して
いるという。その実態はどうなっているのか

「最貧困女子」「失職女子」「高学歴女子の貧困」――。数年前から書店では「女子」と「貧困」を組み合わせたフレーズをよく見かけるようになった。とはいえもちろん、貧困は女子にだけ襲いかかっている現象ではない。今年の流行語大賞にノミネートされた「下流老人」「子どもの貧困」など、今や日本列島はどの年代、性別を見ても「貧困」から切り離せない状況となっている。

それでもまだ「貧困」と何らかのフレーズを組み合わせた言葉にインパクトがあるのは、「日本が豊かな国だ」というイメージを多くの人が持っているからかもしれない。しかし、貧困は我々の私生活に確実に忍び寄っている。

色々な指標を見ると、そうした現状が見て取れる。たとえば、日本は子どもの6人に1人が貧困と言われ、OECDの発表によれば子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34ヵ国中10番目に高い。また、ひとり親世帯の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国中最も高い。ひとり親家庭の貧困率は50%を超える。そして、日本の平均世帯所得は1994年の664.2万円をピークに下がり続けており、2013年は528.9万円となっている。

なかでも前述したように、若年層を中心とする女性の貧困は深刻だ。昨年1月にNHKで放送された「深刻化する“若年女性”の貧困」では、働く世代の単身女性のうち3分の1が年収114万円未満と報じられた。非正規職にしかつけず、仕事をかけ持ちしても充分な収入が得られないという状況だ。

しかし、我々にしてみると、周囲の女性たちから生活に関する深刻な苦労話を直接聞く機会は滅多にない。自分の生活苦を他人に相談することに対して「恥ずかしい」「プライドが許さない」と感じる女性が多いためだろう。こうした状況では、周囲が彼女たちの声にならないSOSに気づいて力になってあげることや、社会が抜本的な対策を講じることは難しい。

そこで今回、ダイヤモンド・オンラインでは、アンケート調査会社「リビジェン」の協力のもと、女性の「生活苦」に関する意識調査を行った。その調査結果を基に、彼女たちが抱える不安の裏側を考察したい。むろん限られた範囲での調査にはなるが、社会の一断面をのぞく上で参考になるはずだ。

本調査の対象は、全国の一般女性200人。世代の区分が難しいところだが、ここでは現在、貧困の増加が指摘されている若い女性のトレンドを重点的に見るために、企業の職場などで若手~中堅手前と見なされることが多い20代、30代を調査対象とした(回答者は20代98人、30代102人)。また、後述する調査結果のエピソードからもわかる通り、結婚をきっかけに生活苦に陥いる女性も少なくないと思われたことから、既婚・未婚の双方を調査対象にした。

まず、「あなたは使えるお金が少なく、日々の生活が苦しいと感じていますか?」という質問に対して「はい」と答えたのは、調査対象200人の半数を超える114人(57%)に上った(下のグラフ参照)。

回答者の中には、「毎日ランチを食べている友人を見て羨ましく感じる自分を生活苦だと思う」(大阪府/28歳・会社員(事務系)、「節約のためにマスカラをやめた」(愛知県/35歳・専業主婦)といった軽めのエピソードもある。バブルと呼ばれる時代だって給料日前は節約モードだったと思われるかもしれないが、今どきの若い女性の多くはバブル時代のように派手に遊んでいるわけではないことを考えると、些細なエピソードからも時代の変化を感じとれるのではないだろうか。

自分を「貧困女子」よりは困っていないと考えている女性でも、何かのきっかけで「貧困」「最貧困」に転落する恐さが現代にはあるのだ。

生活が苦しい理由は
「非正規社員だから」が最多


次に、「日々の生活が苦しい」と答えた約6割の女性たちは、具体的にどれくらいくらい生活が苦しいのか。「現在のあなたの年収(配偶者がいる場合は世帯年収)はどれくらいですか」という質問に対する回答は、200万円台が24人、300万円台が同じく24人(ともに21.1%)で最も多かった。一方、「なし(あるいは限りなくゼロに近い)」と答えた人も、15人(13.2%)と高い水準にあった。これに「100万円未満」が13人(11.4%)、「400万円台」が11人(9.6%)、「100万円台」が10人(8.8%)と続く。「500万円以上」と答えた人は全体のわずか17人(5.3%)だ(下のグラフ参照)。これを見ると、年収のボリュームゾーンは200~300万円台であり、日本における2013年の世帯所得の平均528.9万円を大きく下回っていることがわかる。



では、彼女たちは年収がどれくらいあれば生活が楽になると考えているのか。「今の生活が楽になるためには、『最低で』どれくらいの年収(配偶者がいる場合は世帯年収)が欲しいですか」という質問に対して、最も多かった回答は400万円以上(25人、21.9%)。他は200万円以上(10人、8.8%)、300万円以上(20人、17.5%)など、約半数にあたる58人は400万円までの年収帯に集中していた(下のグラフ参照)。前述のように「生活が苦しい」と感じる女性の年収のボリュームゾーンは200~300万円台であることから、理想と現実の年収の間には大きなギャップがあることがわかる。一部では、「女性は結婚相手に600万円以上の年収を求める」などと言われるが、それが夢見事ではない女性はごく一部ということだろう。


彼女たちは、なぜこれほど生活が苦しいのだろうか。「生活苦の理由は何ですか?(複数回答可)」という問いを投げかけると、やはりというべきか、「非正規社員(パート、アルバイト、派遣社員など)として働いており、年収が少ない」(36人)が最多となった。この他、「子どもの養育・教育にお金がかかる」(30人)、「ローンや借金があり、月々の返済が多い」(28人)、「夫が低収入(あるいは無収入)で家計のやりくりが厳しい」(26人)、「仕事に就いておらず、決まった収入がない」(24人)などを挙げた人が多かった(下のグラフ参照/総回答数264に対する割合)。いずれも、すぐに生活苦の原因を解消するのが難しそうなケースばかりだ。

ただ一方で「趣味や自己啓発に使う」「貯金する」「浪費してしまう」などの回答も一定割合存在することから、自己責任で生活苦に陥っている人もいることがわかる。女性の生活苦の背景には、実に様々な理由があるのだ。


「2日間水しか飲んでいない」
女性たちが明かす仰天の生活苦


それではここから、女性たちが語ってくれた、生々しい「生活苦」のエピソードを紹介していこう。「あなた自身が『私は生活苦だな』と感じた体験談、あるいはあなたが(女性の)同僚や友人などを見ていて『あの人は生活が苦しそうだな』と感じたエピソードを教えてください」という質問に対して、まず目立ったのが、食費の節約に関する回答である(回答の原文ママ)。

「給料日前には食べるものがもやしや豆腐といったやすくて腹持ちのいい食材になるとそう感じる」(神奈川県・24歳専業主婦)

「友人がお金がなくて2日間水しか飲んでいないと言われたとき苦しそうだと思った」(東京都・31歳会社員)

「パン屋で100円以上のパンを買うのに抵抗があること」(東京都/35歳・専業主婦)

「毎日パスタ(調味ナシ)しか食べてない」(東京都/34歳・自営業)

「カップラーメン生活になった時」(東京都/24歳・専業主婦)

「お腹が空いたら醤油を舐める」(大阪府/25歳・会社員(技術系))

「買い物はもっぱら人参ジャガイモ玉ねぎが基本。季節の野菜など楽しむ余裕なし。肉もササミが主。魚なんかは買えない。常になるべく消費期限が長めの物をえらぶ」(山口県/28歳・専業主婦)

給料日前などの数日間ならまだしも、日常的に食費をギリギリまで制限しなければならないことは、心身を疲労させるだろう。今は安価でも食材が手に入るものの、栄養が偏り、「貧困層にこそ肥満が多い」ことも指摘されている。エピソードの中に「パスタ」や「カップラーメン」という言葉が散見されたが、簡単に安く食事をしようとすると炭水化物に偏りがちだ。食材の選択肢が少ないことが貧困を感じさせる。

主婦たちからの意見で目立ったのは、「子どもへのしわ寄せがある」という意見。

「苦しいけど、苦しいとか貧乏とかいう言葉は子供の前では使いたくなくて、無理して頑張ってる子供たちにはある程度お金をかけてあげたいので、自分のことはとりあえず後回し食べること、着るもの、趣味など」(埼玉県/39歳・専業主婦)

「子供の誕生日を祝ってあげられないと聞いた時」(宮城県/36歳・専業主婦)


「子供達にまで必要な物を我慢させています。必要な物なのに不憫でならない」(北海道/38歳・専業主婦)

「子供に好きなことをさせてあげられない。情けないと思う」(三重県/36歳・専業主婦)

自分たちの我慢は仕方ないと思えても、子どもにまで「貧困」を感じさせたくないという心情。今の20代、30代は、子どもの頃に貧困を感じず、不自由なく育った人も多い。生活水準が下がり、親からしてもらったことを自分の子どもにはしてあげられないという悔しさもあるだろう。

また、「今はいいけど、将来が不安で子供はもう産めない」(宮城県・34歳会社員(営業系))、「妊娠して出産費がかかるのに自分は働けず、さらに夫の給料が下がった時」(東京都・35歳専業主婦)という声もあった。少子化が大きな社会問題となっているが、産んだ後のセーフティーネットは少なく、自己責任論が強い日本。金銭的な余裕がなく子どもを諦めるという声、さらには「子どもは贅沢品」という声すら聞こえてくる。
コミュニティからの疎外が
さらなる貧困を招く

生活苦のため、付き合いを制限しているという声もある。

「飲み会や結婚式の招待をキャンセルしていたこと」(東京都/30歳・会社員(事務系))

「週一である飲み会に行けなくなった時」(三重県/28歳・会社員(営業系))

「遊びに誘ってもお金がなくて遊びにいけないと断ってきた友達がいて生活苦だなと思いました」(東京都/24歳・会社員(技術系))

「周りの人がみんな買っている物を買えない時」(北海道/21歳・大学生)

人付き合いよりも節約の方が大事、お金がないなら付き合いは二の次でいい……という意見もあるだろうが、コミュニティからの孤立は、心理的な負担となる。また、近所同士で子どもを預かったり、必要な情報を交換したりといったつながりから疎外されることは、さらなる生活苦を招きかねない。鈴木大介氏の『最貧困女子』(幻冬舎)では、友人同士でガソリン代を出し合って買い出しに行く地方の20代が取材されているが、こういったつながりを持てないことは、ライフラインの1つを断たれることだとも指摘されている。

「車がない」(福岡県/35歳・会社員(営業系))という回答もあった。交通手段が多い都会に住んでいるとその感覚はわからなくなりがちだが、地方で自家用車は贅沢品ではなく、生活必需品だ。それどころか、「交通費の160円なども高く感じた時」(東京都/22歳・大学生)という回答さえあった。

「貧困」に陥る可能性は
もはや誰にでもあるという現実

アンケートの中には、「毎日お金で悩む。我慢ばかりで辛い。ストレス」(東京都/28歳・会社員(技術系))という回答もあった。貧困は精神をも蝕む。

また、「持病がある為、収入の殆どが医療費になってしまう事」(東京都/30歳・会社員〈事務系など〉)、「結婚当初は共働きでしたが、私が体調を崩し退職したため、世帯収入が半分になりました」(東京都/35歳・会社員〈事務系など〉)といった回答もあった。誰でも、急に病に倒れる可能性はある。先日、高額療養費の見直しが報じられたが、医療費の負担で家計が危ぶまれる事態を「人ごと」と割り切れる人はどのくらいいるのだろう。

【私の論評】痩せ細る若い女性を増やさないためにも、今後緊縮路線は絶対廃棄(゚д゚)!

上の実態、皆さんはどうお感じになりましたか、私は凄まじいと感じました。そうして、怒りも感じました。なぜなら、この記事では、若い女性の貧困の状況については詳しく解決するのに、その原因や、これに対する対策に関しては何も論じていないからです。

これでは、本当にバランスを欠いています。この記事に限らず、日本のマスコミの報道は、貧困の原因や、対策に関して、一部を除いてほとんど報道しません。

私は、これも日本の貧困の根本原因の一つにさえなっているのではないかと思います。

さて、ブログ冒頭の記事を読んでいて、気になったことがあります。日本人の体格で、最近特に言われているのが、20歳台女性がやせ細っているということです。これに関しては、よくマスコミでは、ダイエットのためなどといわれています。

上の記事など読んでいると、本当にダイエットだけなのかと思ってしまいます。実は、貧困も大きく影響しているのではないかと思ってしまいます。

■痩せ細る女性

以下に日本人の体格の変化(BMIの変化)のグラフを掲載します。(資料)国民健康・栄養調査(厚生労働省、1974年調査なし)、学校保健統計(文部科学省、17歳)

BMIは体格指数で、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったもの。25以上は「肥満」とされる。


戦後70年間の体格の変化は男女によって大きく異なっています。

男は、各年齢とも、太っていった。40歳代が先行していましたが、現在では30歳以上の各年齢ともBMIが23の後半あるいは24以上となっており、太りすぎが懸念されます。唯一、17歳、20歳代は体格はよくなったが太りすぎというほどではありません。

戦後日本の文明の姿を特徴的に示しているのは女の年齢別の動きです。

まず、戦後直後には、20歳代の若い女性がもっとも体格がよく、60歳代の高齢者層はもっともやせていた点を確認しておきましょう。中高年が若年層に優先的に栄養を分けていたとも考えられます。

現在では、まったく逆であり、20歳代はどんどん痩せていきもっとも痩せた年齢となり、60歳代はどんどん太っていったためもっとも太った年齢となりBMIで3以上の差が生じています。吉行淳之介のエッセイに「若い女性は決まって可愛いのに、我々の女房達はいったいどこから来たんだろう」というセリフがありましたが、この体格の大きな差は驚異的です。

女性20歳代の痩せへの転換は高度成長期にはじまっており、その後も一貫して痩せの方向へ進みました。これは、いわゆるダイエット・ブームによるもののようです。17歳(高校3年生)の体格は痩せでないので、20歳代にかけて痩せていくのです。

30歳代、40歳代も10年、あるいは20年遅れて、痩せへの方向に転じています。40歳前後(35~44歳)の女性を意味するアラフォー世代という言葉が2007年から使われるようになりましたが、40歳代女性の痩身志向が最近特に目立ちます。あたかも30歳代と同じ体型を維持しようとしているようにも見えます。さらに40歳代ばかりでなく50~60歳代でも痩身化への反転が起こっているようにみえます。


若い女性がこれだけ痩せてきている背景には従来は、精神的な要因を想定するしかななかったようです。いいわるいは別にして、精神が肉体にこれだけの影響を及ぼしうると解釈されていました。しかし、上の記事を読んだ後で、これはひよっとすると、最近の女性が痩せる原因としては、従来のダイエット・ブームによるものだけではなく、女性の貧困にも原因があるのではないかと思いました。

17歳の女性の体格が、あまり変わらないのは、やはり親の庇護の元にあるため、食事に関してはそれなりに、摂取しているのでしょうが、20歳台になると親の元を離れ、独立している女性が増え、その女性の多くが貧困状況に陥っていて、十分食事をとれていないことと、さらにいわゆる痩せ願望を持つ女性も多く、それが特に20歳台の女性の大きな痩せにつながっているのではないかと思います。

特に1988年あたりは、日本は完璧にデフレに突入しています。このあたりが20歳台女性の体格の底のようです。そうして、2012年には、若干体格が良くなりつつありますが、この年から経済が少しですが、回復基調にありました。

以上、特に男が、太り続けているのとは、対照的です。確かに貧困問題は、男女に関係なく発生することですが、若い女性の貧困のほうがより深刻なのだと思います。その貧困が食事にまで影響を及ぼしているのかもしれません。

男性の場合は、貧困に陥っても、食事代はなんとかできる程度の貧困ですんでいるということも十分考えられます。

だとしたら、とんでもないことです。やはり、男性よりも女性のほうが弱い立場にあるため、最も悪影響を受けやすいことを示しているのかもしれません。

以上女性の体格、特に20歳台女性に関しては、「痩せ願望」だけで片付けるのではなくて、女性の貧困も考慮に入れる必要があるのではないかと思います。

■女性の貧困の原因

さて、貧困が女性が痩せ細る原因になっているかもしれないということですが、ではその痩せの原因にもなっているかもしれない、女性の貧困の原因は何かといえば、それはすでに上の文章にも、ヒントがありますが、それは長期にわたって続いたデフレです。

デフレ長期化の原因は、本来デフレのときには、日銀は金融緩和策をとり、政府は、積極財政をするべきだったのに、両者ともその逆の金融引き締め策、緊縮財政をしてしまったことです。

特に黒田体制になる前の、白川総裁までの日銀は、まともに金融緩和をしたことはありません。政府は、積極財政どころか、何度も緊縮財政の一つの手法である、増税を繰り返し、これでは、日本が長期デフレに至ったのは当然のことです。

デフレを素早く脱却するには、本来は速やかに金融緩和政策と、積極財政(減税、経済対策、給付金)などを実施すべきでしたが、なぜか過去20年近くもこれが実行されず、日本のデフレは放置されました。

ただし、これも、2013年の黒田体制の日銀からは、金融緩和に転じて、経済の統計数値もどんどん良くなっていたのですが、 2014年4月からご存知の8%増税が実施されて、せっかくの金融緩和の効果が削がれた形になりました。

今の日本は、言葉の厳密な意味では、もはやデフレではなくなりましたが、それでも、長年続いたデフレの影響は色濃く残っています。

その事例を企業サイドからみてみます。

現在、名目賃金の上昇率の伸び悩みが話題になっています。これに対して、企業の利益が過去最高水準まで増えているのに、人件費や設備投資になかなか回らない企業行動を問題視する見方があります。

企業が蓄積した内部留保を人件費等に使うのが望ましいとの考えで、政府から大企業に対する働きかけが続いています。

しかし、実際には政府からの要請があっても、民間企業の行動(=お金の使い方)に大きな影響を及ぼすには至らないのが実情でしょう。厳しい競争にさらされる民間企業の行動は、さまざまな要因が影響するので、法的拘束力がない声掛けにはおのずと限界があります。

2015年に期待された賃金上昇が遅れている一因を考えると、2014年に消費増税によって実質GDP成長率が停滞したことがあげられます。現段階で判明している2014年度の実質GDP成長率はマイナス0.9%と大きな落ち込みで、個人消費が失速して急ブレーキがかかり需給ギャップの縮小が止まってしまいました。

企業利益は円安効果で増益になったのですが、前政権の「負の遺産」である尚早な消費増税の後遺症は大きく、脱デフレと相反する政策を採用した政策への不信から、企業は賃上げに慎重にならざるをえなかった考えられます。

この状況では、社会的に弱い立場にある女性にそのしわ寄せがいき続け、女性の貧困問題はまだまだ解消されるには時間がかかりそうです。

特に、需給ギャップが残ってしまったというのが痛いです。この需給ギャップは、10 兆円とされています。にもかかわらず、政府は昨年も、今年も補正予算は3兆円台のものにとどまっています。

こんなことを書くと、中にはそんなことよりも、貧困女性に対する直接の支援が必要と訴える人もいると思います。確かにそうでは、私もそれは否定しません。しかし、需給ギャップを放置しておいて、貧困女性をセーフティーネットで救ったとしても、それは一時しのぎに過ぎません。

デフレを放置しておけば、何かに対策を打ち、何かが良くなっても、結局それがどこかにしわ寄せが行きます。しわ寄せが行きやすいのは、社会的に立場の弱い層です。そうなると、やはり女性にしわ寄せが行くという構図は変わりありません。まずは、何がなんでも、なるべくはやく、需給ギャップをなくすことが必要不可欠です。

このような最中に、自民、公明両党は2017年4月の消費税率の10%への引き上げに合わせて、加工食品を含む食料品への軽減税率の導入を決めました。さらに月ぎめ購読の新聞にも適用するといいます。と聞くと、税負担が軽くなるような気がするかもしれませんが、だまされてはいけません。消費税率2%分の年5・4兆円の消費者負担が1兆円程度少なくなるだけの話で、れっきとした増税であり、「緊縮財政」路線に変わりないです。

14年度の実質経済成長率はマイナスに落ち込み、さらに15年度も4~6月期がマイナス、7~9月期は改定値が何とかプラスになりましたが、10~12月期の足取りは重いです。原因はまさに緊縮財政です。

日銀は異次元金融政策を堅持しているし、場合によっては追加緩和にも踏み切るとの期待は株式など市場関係者に多いです。この緩和策は日銀が民間金融機関保有の国債を買い上げて、日銀資金を年間80兆円程度新規供給するのものですが、国際通貨基金(IMF)は民間の売却可能な国債保有額は約220兆円で、今後2~3年以内に日銀政策は限界にくるというリポートをまとめています。日銀緩和偏重の現状のままのアベノミクスは持続不可能です。

加えて、海外からのリスクもあります。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切ると、新興国などから資金の逃避が加速します。中国は特に危ないです。安倍晋三首相は、名目国内総生産(GDP)をあと5年で600兆円、14年度比で110兆円増やそうと大号令をかけています。そうなれば、女性の貧困問題も解消されるかもしれません。しかし、そのためには何よりもまず緊縮路線の廃棄が必要です。

緊縮路線の廃棄の筆頭は、10%増税をやめることです、やめるだけではなく、減税や、給付などをすることが、緊縮財政の反対の積極財政をするということです。

これを実現しない限り、痩せ細る女性が増え続けることになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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以下に、最近の貧困女子の驚くべき実態をあらわした書籍をセレクトしました。ただし、これらの書籍も、貧困女子が発生する真の要因については述べていません。

貧困女子が生まれる原因は、デフレであることを念頭に置いて読まれることを希望します。


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2015年12月17日木曜日

「ダブル選」大予測 自公の圧勝、野党は壊滅…おおさか維新協力なら憲法改正も ―【私の論評】与党圧勝の真の背景はこれだ(゚д゚)!


安倍首相(左)は、憲政史上3度目の衆参ダブル選挙に踏み切るのか。
民主党の岡田克也代表(右)は、「一強自民」にどう立ち向かうのか

 来年夏の参院選が、衆院選との「ダブル選」になる可能性が出てきた。実現すれば1986年以来、30年ぶりとなるが、注目の結果はどうなりそうか。選挙予測に定評のある政治評論家の浅川博忠氏にシミュレーションを依頼したところ、自民、公明与党が衆院で3分の2以上を確保し、参院でも3分の2に迫るという結果が出た。安倍晋三政権と気脈を通じる「おおさか維新の会」が自公両党に協力すれば、参院でも3分の2を超え、いよいよ憲法改正も視野に入ってきそうだ。

 「参院選では32の1人区が主戦場で、必然的に『与党』対『野党』の構図となる。参院選が単独で行われれば、野党共闘が進みやすい。だが、小選挙区が295と数が多く、各党が激しく戦う衆院選とのダブルとなれば、野党は共闘しづらい。ダブル選は構造的に与党に有利となる」

 浅川氏は、参院選単独とダブル選の違いについて、こう語った。

 衆参ダブル選の環境が整いつつある。

 自公両党は2017年4月の消費税10%への引き上げの際、食料品全般を軽減税率の対象にすることで合意した。安倍首相は自民党内の反対論を封じ込め、公明党の主張を受け入れた。ダブル選に否定的な友党を懐柔する狙いを感じさせる。

 一方の野党共闘は、ほぼ足踏みしている。共産党主導の「国民連合政府」構想も、民主党と維新の党の新党構想も、党内外の抵抗感が根強い。

 浅川氏も「安倍首相が、ダブル選を仕掛ける可能性が高まっている。政党支持率でも『自民党1強』、自民党内でも『安倍1強』というダブル1強体制で選挙に臨むのではないか」という。

 注目のシミュレーションは別表の通りだ。


政権を選択する衆院選では、自民党が現有議席(衆院議長含む)を15議席も上回る圧勝となった。2014年の前回選挙で取りこぼした選挙区で巻き返し、比例代表でも堅調な伸びを見せた。

 支持母体が強固な公明党は現有維持で、与党で342議席に達し、3分の2を優に超えた。

 浅川氏は「自公圧勝の流れは明白だ。ダブル選後、安倍首相は中曽根康弘元首相のように総裁任期の延長を勝ち取り、20年東京五輪を首相として迎えるだろう」と語った。

 対照的に野党は壊滅状態だ。岡田克也代表率いる民主党は現有議席より8議席減となり、維新の党も3議席減となった。

 浅川氏は「民主党と維新の党が合併したとしても、効果は限定的だ。両党は野党でありながら、『いかに議席を減らさないようにするか』という守りの選挙を強いられる。展望がない」との見方を示す。

 野党で唯一、気を吐くのは共産党で、「地方選の結果が軒並み好調だ。安倍政権に対するブレーキ役とみられている」(浅川氏)。




 「良識の府」を選ぶ、参院選はどうか。

 自民党は改選議席を大きく上回る69議席で、公明党は1議席上乗せした。非改選を含めれば、自民、公明両党だけで155議席を確保し、3分の2(162議席)に限りなく近づいた。

 野党は厳しい。

 民主党は、改選議席の半分も確保できない。浅川氏は「1人区で全敗し、複数区でも取りこぼしが出てくる。連合もかつてのようには動かない」と分析する。

 自公両党の議席に、安倍首相と波長が合う大阪市の橋下徹市長が立ち上げた、おおさか維新の会(10議席)を加えれば、参院でも3分の2を上回り、憲法改正が目前に迫ってくる。

橋下徹氏

橋下氏は、軽減税率をめぐる与党合意が確実となった10日、安倍政権を「凄すぎる」と絶賛し、「これで完全に憲法改正のプロセスは詰んだ」とツイッターに書き込んだ。12日の会合でも「来夏の参院選が勝負。自民、公明、おおさか維新で3分の2を獲得して憲法改正を目指す」と語ったと報じられた。後任代表となった大阪府の松井一郎知事も、参院選の争点に憲法改正を掲げるという。

 浅川氏は「安倍首相は『憲法改正のために政治家になった』と言っても過言ではない。男子の本懐を実現するため、安倍首相はダブル選後、おおさか維新の会を連立政権入りさせ、橋下氏を閣僚に起用する選択肢もある」と予想した。

 過去2回のダブル選でもみられた「自民党圧勝」「野党惨敗」だが、安倍首相の決断のカギは何か。野党に逆転の秘策はないのか。

 浅川氏は「決断の前提は、直前の景気の状態と、50%前後の内閣支持率だろう」「このシミュレーションに『消費増税の先送り』『橋下氏の衆院選出馬』という要素が加われば、与党とおおさか維新の会がさらに議席を伸ばす可能性がある」といい、「野党としては、来年の通常国会でメリハリの効いた経済政策の『対案』を示し、政権担当能力をアピールすれば流れは少しは変わる」と語った。

【私の論評】与党圧勝の真の背景はこれだ(゚д゚)!

選挙予測に定評のある政治評論家の浅川博忠氏
上記の淺川氏のシミレーション、残念ながら結果だけが示され、どうして上記のようなものになったのか、説明がないのが残念です。

そこで、どうして淺川氏がこのような結果を出したのか、私なりに推理してみたいと思います。

まずは、民主党をはじめとする野党の大部分が、安保法制に大反対したことがあげられます。ここで過去を振り返ると、60年代安保、70年代安保で国会前でデモをした人々は、確かにかなりの人数でしたが、それでも国民のごく一部ということには変わりありませんでした。

特に学生のデモなどは、当時は大学生の数は少なく、 同世代の人々のうち大学生は30%未満であり、今から比較すると、エリート層であるこことは間違いなく、それらのデモを同世代の大多数の人は、苦々しく見ていたという記録が残っているくらいです。

そうして、これらの熱狂的デモは結局実を結ぶことはなく、安保法案は成立しました。そうして、自民党政権も継続しました。

その後、1990年代には、PKO法案が国会で審議されたときは、すでに学生の数も従来よりはかなり増えて、もはやエリート層ともいえなくなっていましたが、学生も含めた大きなデモが繰り返されました。

ところが、その直後の選挙では、社会党が凋落して、その後解党の憂き目を見ました。2000年代当初には、安保は大きな争点とはなりませんでした。

その間隙を縫うように、民主党が政権交代をし、三年間民主党政権が続きましたが、その後安倍自民党にとって変わられました。

安保が大きな論点となっていないとき、まさに民主党政権が成立しました。その後、2012年の選挙で安倍自民党が大勝利して、また自民党政権に戻りました。

以上のように、安保関連で与野党が悶着を起こした直後の選挙では、野党は衰退する傾向がみられます。

ご存知のように、今年の夏は、安保法案をめぐって、与野党が国会で長期間にわたり大バトルを繰り広げました。野党は、「戦争法案」などとレッテル貼りをし、それに新聞や、テレビなどが尻馬にのって、連日「戦争法案反対」のデモなどが報道されました。

テレビ・新聞の大攻勢により、多くの人がこれに引きずられ、いっとき安倍政権の支持率は落ちましたが、現在安倍政権の支持率はまたあがりはじめています。これは、テレビや新聞の報道により、安倍政権不支持になった人たちが、安保法案反対の熱狂が冷めたあと、今回の安保法案のが決して戦争法案ではないこと、ほとんど全部の野党は単に反対するだけで、対案出すこともなく、無責任であったことに気づきつつあるのだと思います。

上記のように国会で安保が大きな争点になったあとには、かつて社会党が解党の憂き目にあったのは、実は日本では安保は非常に安易に争点にしやすいということがあると思います。野党に能力がないため、社会や経済を良くするための政策論議をすることができないため、自分たちの正当性を主張するため、安易な安保に安易な姿勢で取り組み、その安易な姿勢を見透かされ、その後選挙で大敗するというのが、過去の図式だったのではないかと思います。

そうして、来年の選挙でも、それが繰り返されるのだと思います。実際、最大野党の民主党は、何らまともな政策を打ち出していません。こんなことは、すぐに国民に見透かされてしまいます。だからこそ、選挙になれば大敗することになると、淺川氏は踏んでいるのだと思います。

もう一つ、大きいのは、安倍総理が最近二回も財務省に大勝しているという事実があります。その前に、財務省のあり方を振り返っておきます。財務省は旧大蔵省のときから、役所の中の役所として、大きな権力を持ち、まるで政治集団でもあるかのような振る舞いをしてきました。

結局、予算が当たらなければ、いくら良い政策を提案をしても、政府も、政治家も、財務省以外の省庁も何もできません。その予算の大元を握っていたのが、旧大蔵省であり、現在の財務省です。ご存知のように、旧大蔵省は、日銀と財務省に分離されましたが、それでも財務省は何かと日銀に対して権力を振るっていました。

そうして、その絶大な権力は、大蔵省から財務省にも引き継がれ、本来財務省は、政府の一下部機関に過ぎないにもかかわらず、税金の配賦に大きな影響力持っているため、政治家や他省庁に対しても大きな圧力で権勢をふるってきました。

そうして、財務省益再優先で、政治に深く関与してきました。一番最近では、平成13年度における8%大増税キャンペーンです。このとき、財務省は、多くの政治家はもとより、他省庁、有識者、マスコミに対してあたかも政治集団のように振る舞い、あるゆる手段を講じて圧力をかけ、安倍総理の本意を翻して、8%増税を決めざるを得ない状況に追い込み、とうとう8%増税が実行されてしまいしまた。

その後8%増税が導入され、多くの識者が語っていたように、その影響は軽微なものではなく、昨年はマイナス成長になり、今年も第一四半期はマイナス、第二四半期も速報値でマイナス、実測値でかろうじてわずかのプラスという状況で推移しています。

8%増税が大失敗なのは明らかなのに、財務省は10%増税を最初の予定どおり実施するため、再度増税大キャンペーンをはじめました。そうして、日本においては、過去においてはあからさまに旧大蔵省や、財務省に逆らった総理大臣はかつていなかったので、財務省はそのまま、増税に踏み切れると踏んでいました。

しかし、見事に番狂わせか生じました。そうです。昨年の暮れ近くになって、安倍総理は、衆院の解散総選挙を決断し、「1 0%増税の見送り」も公約として、総選挙を実施し、大勝利を収めました。

安倍総理の解散表明に対してマスコミは「大義なき解散」と
ネガティブキャンペーンを張った。青山繁晴氏はこのマスコミの動きに注意を促したし

安倍総理は、初めて財務省の意向に従わず、財務省の目論見を粉砕した日本初の総理大臣になったのです。これは、財務省にとっては、青天の霹靂であり、財務省の初めての大敗北です。

安倍総理の財務省に対する戦いはこれだけではありません、つい最近では、軽減税率を巡るバトルで、財務省を完膚なきまでに打ち負かしてしまいました。

これについては、最近このブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
軽減税率をめぐる攻防ではっきりした財務省主税局の「没落」―【私の論評】財務省の大惨敗によって、さらに10%増税は遠のいた(゚д゚)!
攻防の第1幕は安倍官邸の「谷垣」不信から始まった
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、軽減税率をめぐる政府・与党内の攻防が、首相・安倍晋三、官房長官・菅義偉による官邸の勝利に終わったことを掲載しました。そうして、それは財務省の完膚なきまでの大惨敗であることを検証しました。

これで、安倍総理は財務省に対して、二勝一敗という勝率になったということです。しかも、今回の軽減税率のバトルでは、選挙という伝家の宝刀を使わなくても完勝しました。

この意味するところは、安倍総理に対して財務省が束になって、挑んだにしても負けるかもしれないということです。今回の軽減税率も日本の政治においては、画期的な意味があると思います。

本来、政治主導であれば、財務省などが政治グループのように各方面に圧力をかけるのは間違いですが、日本では財務省の官僚の力が強く、官僚主導になっていたのですが、その一角が崩れたということです。

次の選挙では、安倍総理が、10%増税見送りを公約にして、衆参両院同時選挙に挑み、大勝利すれば、財務省を完膚なきまでに、打ち負かすことができます。

財務省に打ち勝つことができるということは、日本では政治の世界では、敵なしということです。現状の無能な野党では、財務省にはほとんど歯が立ちません。野党に全く歯がたたない野党に、打ち勝つことができる安倍総理は、次の選挙で衆参同時選挙で、大勝するのは間違いないと思います。

こんなことを掲載すると、「安倍一強」などと批判をする人もいるかもしれません。しかし、それは見立て違いです。まずは、時の政権が財務省よりも権力が強いのは、政治主導という立場からいえば、当然のことです。今までがおかしかったのです。

それに、財務省に全く歯が立たない野党も情けないです。特に、民主党などは、政権与党だったとき、財務省に歯が立たないどころか、手のひらで弄ばれただけです。他の野党も、そうです。財務省に正面きつて、意義を唱えるようでなければ、安倍政権にも歯がたたないのは当然のことです。安倍自民党が強いのではなく、野党が弱すぎるのです。

その後に、安倍総理は、財務省解体に挑むことになると思います。さらに、日銀法改正に挑むことでしょう。その後に、憲法改正にも挑戦すると思います。

まずは、経済をどうにかしなければ、国民は納得しないと思います。経済がまともになれば、憲法改正はかなりやりやすくなると思います。

まさに、財務省を完膚なきまでの敗北に追い込んだ、安倍総理に怖いものなしということで、来年の衆参同時選挙に安倍総理は間違いなく大勝利を収めることでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月16日水曜日

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断―【私の論評】「ゆとり教育」と同じく周回遅れの「選択的夫婦別姓」だが(゚д゚)!

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断

再婚禁止期間」訴訟、最高裁で違憲判決が出され、「違憲判決」
と書かれた紙を掲げる原告側の人たち=16日午後、最高裁
民法で定めた「夫婦別姓を認めない」とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、「規定は合憲」とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。原告は「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」などと主張したが、「夫婦や親子など家族のあり方が損なわれる」との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗(きっこう)してきた。

一方、「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする規定をめぐる訴訟で、大法廷は「規定は違憲」と初判断。100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。

夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。

両規定をめぐっては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

【私の論評】「ゆとり教育」と同じく周回遅れの「選択的夫婦別姓」だが(゚д゚)!

本日の最高裁の判決は、妥当なものだったと思います。わざわざ、夫婦別姓を法制化してまで実行する必要性などありません。「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」との判決は当然のことであると、私は思います。時代遅れの気べ接位

一方、「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする規定をめぐる訴訟で、大法廷は「規定は違憲」と初判断も妥当なものだと思います。この規定が制定された時代には、誰の子供かわからなくなるという理由もあったので、ある程度は妥当性もあったと思いますが、現在ではDNA鑑定が可能なのでその妥当性も希薄なものになったと思います。

選択的夫婦別姓に関しては、これを現時点で声高に主張するのは、いささか時代遅れの感があります。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
選択的夫婦別姓を明記 第3次男女共同参画基本計画策定に向け答申―日本解体始動!!ゆとり教育の二番煎じになるか?
旧姓で北京五輪に出場した女子マラソンの土佐礼子選手「通称使用」は職場など
でも可能になってきたが、不便さはまだ残るとする声もあるのだが・・・・
(2009年03月10日午後、国立競技場で)

この記事は民主党政権時代であった、2010年7月23日のものです。この記事では、「選択的夫婦別姓の導入」は、「ゆとり教育」と同じく、時代錯誤であることを掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に時代錯誤であると断定した部分を引用させていただきます。
選択的別姓の真実
さて、男女共同参画会議パブリックコメントを募集。約1万3000件寄せられた意見では、夫婦別姓に関する反対意見が多数あったというにもかかわらず、学識者らで構成する同会議傘下の専門調査会で「男女共同参画の実現には選択的夫婦別姓の導入が必要」ということで、あくまで、導入するつもりのようです。夫婦別姓に関して、少し考えただけでも非常にまずいことがおこることがわかります。 
そのうえ、民主党が推進している選択的夫婦別姓制度には以下のような欠陥があります。
●選択的夫婦別姓法案の最大の問題点。それは、夫婦別姓が親子別姓だということです。何人子供がいても子供の姓は皆どちらかひとつに統一されます。いったん決めてしまえば、後で後悔しても同姓に戻すことは許されないのです。 
これでは、"選択的"という接頭辞は、単なる見せかけのものにすぎず、子供にとっては、ものごころがつかないころに決められてしまえば、強制的で決して選択的ではありません。
●夫婦別姓の改正民法には「非嫡出子差別の禁止」として不倫で生まれた子供も非嫡出子として財産を平等に与えるよう定めています。
これに関しては、たとえば、中小企業の社長がなくなったりした場合、不倫で生まれた子供に関してはまったく蓄財に寄与しないどころか、養育費や生活費を与えていたとしても、不倫の子供にも平等に財産を与えなければならないことを意味しています。 
これも、少し考えればどんなことになるかすぐに判ることです。この二つの点に関しては何が何でも、無条件で決定させては絶対にならないことであると思います。
さて、この選択的夫婦別姓に関しては、米国では、現在の日本と同様、結婚によって夫婦は同じ姓になりますが、婚前の姓をミドルネームと言う形で残すのは、普通のことのようです。「私のパパの名前をミドルネームにして使っているの」という女性も多いです。米国では、法律では夫婦別姓に関して決まりはありません。
ところが、米国では1960年代からいわゆるリベラリスト(自由主義者)らによるフェミニズムの影響で、男性からの経済的自立で女性は自由を得るという生き方が吹聴され、夫婦別姓や事実婚を推奨する運動が盛んでした。
だから、アメリカでは働く女性が自分の旧姓を名乗り続けるなどのことが、珍しくないことになっていました。あるいは、実質的には夫婦関係にあるにもかかわらず、結婚せずに、夫婦別姓で、いわゆる事実婚という形をとるカップルも増えました。ところが、この法律にもとづかない実質的な夫婦別姓制度が大きな不幸をもたらしました。
夫婦別姓、女性の社会進出、子育ての外注化という流れの中で米国では多くの男性が妻と子供を扶養する責任を感じなくなっていきました。離婚や未婚の母が増加し、家族という生活の基礎的な基盤を失って苦しむ子供たちが急増しました。皆さんご存知でしょうが、現在アメリカで結婚したカップルのうち、半数以上が離婚します。半数以上ですよ!米国では、離婚は当たり前のことになってしまいました。近いところでは、あのおしどり夫婦で有名だったアル・ゴア氏の離婚が有名ですね。
ペンシルベニア州立大学ポール・アマト教授は「安定的な結婚を1980年の水準まで上昇させれば、停学になる子供を50万人、非行、暴力行為に走る子供を20万人、心理療法を受ける子供を25万人、喫煙する子供を25万人、自殺志向の子供を8万人、自殺未遂の子供を2万8千人、それぞれ減らせる」と警鐘を鳴らしました。
「家族の絆(きずな)」よりも「個人の意向」を優先する社会-。これが何をもたらしたか。米国の女性たちは既に教訓を得ました。「(米国女性は)過去25年間で初めて女性の就労率が下降し、女性の86%が『仕事よりも家庭が大事だ』と思っている」(2002年3月12日付『USAトゥデー』)
日本は米国の過ちを繰り返すのでしょうか?米国でのこうした、法律で定められていない、ライフスタイルにもとづく夫婦別姓がこれだけ社会に大弊害をもたらしているのです。日本が法律に基づく夫婦別姓を導入したら一体どういうことになるのでしょうか? 
米国での、法律に基づかないライフスタイルとしての夫婦別姓が、このような結果を生んでしまったということを、先の学識者らで構成する男女共同参画会議傘下の専門調査会は知らないのでしょうか?一体専門家とはどういう人達なのでしょうか?
選択的夫婦別姓もゆとり教育の二番煎じになるか? 
米国での失敗を学ばないということ、以前にもありましたね、昨日のテレビで「ゆとりの教育」の失敗ということで、結局は「ゆとりの教育」はやめるということが報道されていました。「ゆとりの教育」の導入に当時尽力した中曽根さんがテレビのインタビューを受けていて、「ゆとりの教育」が失敗したことを率直に認めていました。 
ゆとりの教育に関しては、日本が導入の検討をし始めたときには、アメリカではもうとっくに導入されていたどころか、完全に失敗したことが明らかになったため、とりやめて、逆に「若いうちに詰め込めるだけ詰め込め」が合言葉になっていました。
ゆとり教育に関しては、私自身がその酷さに直面したことがありました。工学部志望の東京大学1年生と話をしていて、ファラディーの右手の法則、左手の法則など当然のこととして話をしたら、何と彼女はこの法則を知りませんでした。良く話しを聴くと、高校では物理は選択制となっており、物理は履修していなかったそうです。現在の入試制度では、将来工学部に進むことができる理Ⅰ類でも、物理の試験は受けなくとも良いということを聴いて驚いてしまいました。
要するに、ゆとりの教育という名の下で、受験に必要のない科目は勉強しなくなても良いということが平気で行われていたということです。だから、世界史など全く知らない東大生もたくさんいます。
アメリカのゆとり教育の時代には、高校ではほとんど勉強せず、基礎学力が落に落ちていました。大学の教養の講座でも、得体のしれない今日ではとっくに消滅した講座がたくさんありました。 
個性豊かにというキャッチフレーズのもの、たとえば、「結婚式の講座」とか、「カメラの講座(映像美術などとは異なる)」とか、「ポップミュージック講座(音楽史などではない)」「映画鑑賞講座(これも純粋な意味で学問とはとても呼べないしろもの)」とか、学問とは無関係のものが大真面目で大学で教えられていたものでした。その結果、大学生でも、世界地図で、アメリカを指せないとか、アメリカの地図でニューヨークを指すことのできない人が大勢いました。
日本の大学では、さすがにそこまで乱れなかったのは、幸いなことだったと思います。ただし、日本ではあまりに学生の学力が低いので、大学教育などできる水準ではなく、何と、数学や英語など中学の内容を補講するというところもあるそうです。 
実際、私も函館大学の英語のテキストなどみて驚いたことがあります。水準として、中学の復習ならびに高校1~2年くらいの内容だったと思います。あれでは、とても大学教育など無理と感じてしまいました。さらに、北海道大学の学生など、昔では考えられないくらい読書をしないということがわかってびっくりしたことがあります。 
要するに、学校でも、受験には関係ないことは全くさせないとか、本人も受験に関係ないものは見向きもしないということが、ゆとり教育という名の下に繰り広げられてきたということだと思います。ある程度まとまった、書籍を素早く読んで概略をつかむということは、創造性を育むのに必要不可欠なことだと思います。 
ゆとり教育時代のアメリカの大学生を見て、誤解した日本人の中には、「アメリカの学生はものすごく勉強する」などと評している人もいましたが、事実は違いました。その当時の日本人のまともな学生なら、別に勉強しなくても知っているような常識的な事柄を高校でまったく学んでこなかったので、大学でまともなレポートを書くように要求されると、ひがな一日図書館などに閉じこもり、常識を調べていたというのが実情です。 
日本でも、もっと酷い誤解としては、アメリカの大学全般は入るのがやさしくて、卒業するのが難しいというまことしやかな神話などもありました。しかし、これは、日本でもアメリカでも同じことです。 
昔からアメリカでも、誰でも入れて、だいたい誰もが卒業できる大学がある一方で、誰もが簡単には入れないし、卒業も難しい大学もあります。これは、ゆとり教育が実施されているときでも同じ事だったと思います。 
アメリカの私学の有名校はそれなりに伝統があるので、ゆとり教育などとは無縁のところもありました。ただし、この時代の誰でも入れる大学や中程度の大学での乱れようや、バカバカしさは筆舌につくしがたいところがあったと思います。 
こうした神話が、日本のゆとり教育の導入を助長した面は否めないと思います。アメリカの名門校など、わざわざ調査員を派遣して受験生個々人の素行調査(学力だけでなく、社会貢献なども調べる)まで行なうのと、寄付金(たとえば親が同じ大学卒で経済的に余裕があるにもかかわらず寄付金をはらっていなかったら、合格は望み薄)もからんできますから、場合によっては、日本の大学に入るより難しい場合があります。 
まあ、日本でまともな大学に入れない人がアメリカに行っても、かえって駄目ですね。日本のまともな大学を卒業して、アメリカの大学院に行くなどとか、あるいは日本でまともな大学に入れる人がアメリカの大学に行くというのなら良いでしょうが・・・・・・・。
アメリカで大失敗した「ゆとり教育」なぜ、日本であまり考えもせずに、導入されてしまったのか、今から考えると不思議でなりません。
さて、上記のアメリカの例をみても、選択的夫婦別姓など時代錯誤もはなはだしいことが良く理解できると思います。

アメリカでは、夫婦別姓が法制化されているわけではありません。規定する法律は特に無ありません。慣習法によれば、婚姻時に夫の姓を称するのは慣習によるもので、制定法によるものではありません。女性は、コモン・ロー、制定法及び規則により婚姻時に夫の姓名を称することを要求されません。ただし、要求されないというだけで、現実には夫の姓名を称することが多いです。ただし、これは市場定めのある州においては、その州の定めに従っているようです。

これと、他国の別姓の状況については、以下のリンクをご覧になってください。



選択的夫婦別姓の法制化は、法律によって、"「家族の絆(きずな)」よりも「個人の意向」を優先する社会"を目指すことを意味します。そうしてこれは、上で述べたように、アメリカでは1980年代以降、法律的裏付けはないものの、ライフスタイルとして実行して、惨憺たる結果を招いたわけです。

そのため、今日アメリカでは、声高に選択的夫婦別姓を叫ぶような風潮はなくなりました。日本では、バブル期までには、「個人の権利」をどこまでも追求する傾向がありました。

しかし、バブルの崩壊、崩壊に続く日銀の金融政策の大失敗、政府による財務政策の大失敗などにより、日本経済は長期のデフレに見舞われ、「個の権利」をどこまでも追求できるような時代ではなくなりました。「個」によって分断されている人々にはかなり、生きにくい世の中になりました。

そのような最中に、1000年に一度ともたとえられる、東日本大震災が発生し、その直後から社会に絆を重視する風潮が強まりました。このような風潮を考えると、「選択的夫婦別姓」をわざわざ法制化する必要性は薄れたと思います。

アメリカで「ゆとり教育」で大失敗した後に、日本では周回遅れでこれを導入して、やはり大失敗して、廃止しました。「選択的夫婦別姓」も周回遅れの感を否めません。しかし、選択的夫婦別姓が合憲とされて、法制化などされてしまえば、「ゆとり教育」のように廃止するのは簡単なことではありません。

以上のことから、今回の、最高裁の判断は妥当なものだったと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月15日火曜日

軽減税率をめぐる攻防ではっきりした財務省主税局の「没落」―【私の論評】財務省の大惨敗によって、さらに10%増税は遠のいた(゚д゚)!

軽減税率をめぐる攻防ではっきりした財務省主税局の「没落」

攻防の第1幕は安倍官邸の「谷垣」不信から始まった
軽減税率をめぐる政府・与党内の攻防はやはり、首相・安倍晋三、官房長官・菅義偉による官邸の勝利に終わった。

浮き彫りになったのは、これまで税の決定権限を握ってきた自民党税制調査会と財務省主税局の没落である。財務事務次官の有力候補だった主税局長・佐藤慎一は官邸の意向に逆らい、自ら次官の目をつぶした。
■官邸の「谷垣」不信

軽減税率をめぐる攻防で大きなヤマが3つあった。第1幕は11月24日午前9時から30分間、自民党本部で行われた安倍と、幹事長・谷垣禎一、税調会長・宮沢洋一との会談だ。

安倍は谷垣と2人で会うつもりでいた。ところが、宮沢が同席し、さらに財務省主税局の幹部が10人近くぞろぞろと入ってきた。安倍はこの異様さに強い警戒感を抱き、慎重に言葉を選んで発言した。
幹事長・谷垣禎一(左)と税調会長・宮沢洋一(左)
谷垣、宮沢の説明を聞いた後、安倍が話したのは、①国民の理解が得られるような内容にする、②事業者の混乱を招かないように配慮する、③安定財源を確保する、の3点のみだった。

ところが、谷垣は会談後の記者会見で、安倍の発言として「いわゆる税と社会保障の枠内で議論してほしい」「ない袖は振れない」と語ったーーと紹介した。また、記者団から「4000億円という指示があったのか」と質問され、「首相もそうお考えだと思う」と答えた。

これに対し、菅は同日午前の記者会見で「社会保障と税一体改革の枠内ということは聞いていない。具体的な指示はしていないと思う」と、谷垣の会見内容を否定した。菅は翌25日の記者会見で「(首相は)具体的な数字は言っていない。首相に確認した」と重ねて否定した。

このころ、官邸の「谷垣不信」が一気に強まった。ある官邸関係者はこう言った。

「谷垣さんは軽減税率の問題を、財務大臣経験者としてしか考えていないのか。公明党、創価学会を含む政権全体の問題として考えてほしい」
■谷垣の方針転換

第2幕は今月9日正午から首相官邸で約1時間20分間行われた、安倍、菅、谷垣3人の会談だ。

この会談を経て、谷垣は財務省寄りの姿勢を一気に転換し、公明党の意向を尊重してまとめる方向にカジを切った。軽減税率の対象品目を「生鮮食料品のみ」から「加工食料品を含む」に拡大し、その額は3400億円から「8000億円~1兆円」になった。

安倍と菅は谷垣に、公明党、なかんずく公明党の母体である創価学会の窮状を詳しく説明した。公明党・創価学会は最近の選挙を「軽減税率実現」に絞って戦っており、軽減税率が導入されてもコンビニに行って適用されるのはバナナだけというのでは「選挙マシンが動かなくなる」と説明した。

そして安倍は「この交渉は決裂させてはならない。なんとかまとめてほしい」と頼んだ。安倍は命令・指示はしておらず、谷垣が納得して自ら動くように仕向けた。会談の最後は次のような会話で終わっている。

谷垣「もう一回やらせてほしい」

安倍「よろしくお願いします」

党総裁、幹事長の立場なら、安倍が指示・命令してもおかしくない。しかし、谷垣本人がその気にならなければうまく運ばず、しこりを残すことになる。かつ、谷垣が理解しなければ、党が官邸主導に反対することにつながる。

谷垣が自分自身でやらなければと思うようになるのに、安倍は1時間20分もの時間をかけたのだった。

■麻生が外食案をつぶす

第3の幕は自公が「加工品を含む1兆円規模」で決着したあと、11日に上がった。自民党から谷垣、宮沢ら、公明党から幹事長・井上義久、税調会長・斉藤鉄夫らが出席した幹部協議で、自民党側が「外食を含む飲食料品全般」を提案した。もし、実現すれば、必要財源がさらに3000億円膨らんで1兆3000億円に上る案だった。

提案は谷垣が行った。出席者によると、これは立場上のことで、必要性を熱心に説いたのは宮沢。宮沢を主税局が支え、「宮沢さんと主税局が一緒になって作った案」(出席者の一人)だった。

外食を含める理由は、①線引きが難しい、②財務相・麻生太郎が答弁で立ち往生しかねない、の2点だった。テークアウト、コンビニのイートイン、出前などに軽減税率を適用するかどうかなど、線引きは難しい。

この提案は麻生がつぶした。12日午後、谷垣と会談した際、「手当済みの4000億円を除き、6000億円の財源を探すのでさえ大変なのに、9000億円もの財源を探すのはもっと大変になる。外食を除くことはヨーロッパでも行っているんだから説明できる」と言って反対した。

もちろん、麻生は安倍、菅と連絡を取っていた。安倍や菅も、かつ公明党・創価学会も外食を含むことを望んではいなかった。財務省では主計局が抑えに回った。

繰り返すが、外食を含む案を主導したのは、軽減税率導入決定で敗北した自民税調と主税局だった。とくに、主税局は財務相が反対する案を懸命に根回ししていたことになる。

官邸主導の決定に対して、反乱を起こしたと見られてもやむを得ない。主税局長である佐藤に対する官邸の視線は厳しい。(敬称略)

田崎 史郎

【私の論評】財務省の大惨敗によって、さらに10%増税は遠のいた(゚д゚)!

上の記事で、軽減税率の対象品目と、必要な財源について、文章だけでは理解しにくいと思いますので、以下に図を掲載します。



今回の、バトルは上記の田崎氏の記事にもあったように、公明党+官邸vs.自民党税調+財務省です。田崎氏自身は、財務省主計局としてますが、無論、これは財務省とみて間違いないです。今回は公明党+官邸が大勝利を収めました。

ただし、上の田崎氏の記事では、このバトルの背後に何があるのか、明確に伝えていません。これが理解できなければ、上記のバトルの意味が全く見えません。

■バトルの背後にあるもの

この背後にあるのは、公明党サイドとしては、来年の参議院議員選挙に向けての選挙対策です。

官邸サイドとしては、なぜ軽減税率対象を広くしたいかといえば、もし消費増税を実施せざるを得なくなった場合でも、できるだけその悪影響を薄めたいという思惑があるからでしょう。おそらく官邸としては、2014年4月からの8%への消費増税に懲りているので、できることなら、2017年4月からの10%への消費増税も避けたいという思惑があるのだと思います。

ただし、安倍首相は、リーマンショックのようなことがない限り増税するともいっているので、増税回避6割、増税4割の二つのシナリオを用意していると思われます。

増税回避へのシナリオは、財務省やその関係者の押さえ込みです。そのため、今回の大勝利は、財務省抑えこみの最初の大勝利になったといえます。

一方、増税実施への対応プランは、ダメージコントロールとしての軽減税率です。このブログでは、つい最近も、7%増税を予定通りに実施すれば、平成18年あたりには、そのとき政権が誰のものであったにしても崩壊の危機に見舞われることを掲載しました。

この崩壊の危機を少しでも低減する一つの方策が、軽減税率対象を広くとることなのです。

自民党税調・財務省が、最後になって外食まで含む案を出してきたのは、低所得者対策という公明党のウリを奪うとともに、加工食品と外食との境界を決める作業が難しいので、事務作業を優先し、何が何でも2017年4月からの消費増税を成し遂げたい、という財務省事務方の希望の合作であろう。

■財務省は、最初からつまづき通しだった

それにしても、今回のバトルでは財務省は最初から大きなつまづきを繰り返してしていました。9月上旬、海外で麻生財務相に、軽減税率の代わりに給付金で対応すると言わせたのだ。大臣が発言するからには、最終決着点でなければならないはずです。

まだ予算編成が始まったばかりの時期に大臣発言でしたが、やはり詰めが甘く、給付案は完全に頓挫してしまいました。そもそも、制度が出来上がっておらず、うまくスタートできるかどうかすらわからないマイナンバーを前提とたのは、誰にでもわかる初歩的ミスとしかいいようがありません。

それでも、軽減税率はできないと財務省は踏んでたようです。軽減税率の導入には、商品ごとに税率や税額を明記した請求書(インボイス)が必要になるのですが、これに経済界は事務が煩瑣になるとして反対すると読んでいたようです。

インボイスは、売り買いする商品それぞれの価格と消費税率、税額を記入するものです。現在は消費税率が一律8%のため請求書に基づいて税額の計算が可能ですが、消費税が複数税率になると対応しきれず、インボイスは不可欠とされていました。

世界の中でも、インボイスがないのは日本の消費税だけです。これが、消費税脱税や益税(消費者が事業者へ支払った消費税のうち事業者から国庫に納入されず、事業者の手元に残る租税利益)の温床ともされ、問題視されていました。

そうした声から、世界と同様にインボイス導入する運びとなり、軽減税率の技術的な障壁が取り除かれました。

それでも、財務省は、学者・エコノミストを使って、高所得者に便益が及び真の弱者対策ではない、弱者対策を行うのであれば給付金、という原則論から軽減税率に反対し続けました。

確かに、この意見は、消費税部分だけを見れば正しいです。ただし、約6000万人いる日本の納税者のうち、申告納税と源泉徴収の比率は1:2くらいで、申告納税は海外と比べて少ないです。このため、給付金を申告と合わせてやりにくいのが実情であり、しかも今回救済すべきは非納税者なので、給付金措置が実際には軽減税率よりも実施しにくいです。

給付金とインボイスに関しては、財務省は完全に読み誤りました。

ただし、安倍首相は、リーマンショックのようなことがない限り増税するといっているので、回避6割、増税4割の二つのシナリオに対応したプランをもっているはずだ。

増税回避への対応プランは、財務省やその関係者の押さえ込みである。一方、増税実施への対応プランは、一つにはダメージコントロールであり、軽減税率対象を広くとるのはそのためす。

自民党税調・財務省が、最後になって外食まで含む案を出してきたのは、低所得者対策という公明党のウリを奪うとともに、加工食品と外食との境界を決める作業が難しいので、事務作業を優先し、何が何でも2017年4月からの消費増税を成し遂げたい、という財務省事務方の希望の合作であろう。

■10%増税は遠のいた

さて、軽減税率を導入したうえで、10%増税をしたとしたらどういうことになるでしょうか。

昨年は、経済対策として3兆円の補正予算が組まれました。その結果がどうなったかといえば、今年の第一四半期はご存知のようにマイナス成長になりました。第二四半期は、速報値ではマイナス、修正値でもほんのわずかのプラスで、とても順調であるとはいえません。

これからみても、1兆円規模の、軽減税率だけではどうにもならないことが、十分予想できます。仮に、経済対策として3兆円上乗せしたとして、4兆円クラスの対策としたらどうなるでしょう。

現状の日本では、10兆円程度のデフレ・ギャップがあるといわれています。これを改善するためには、10兆円以上の対策を実施しなければ焼け石に水です。4兆や、5兆くらいでは、やるなとはいいませんが、あまり効果は期待できません。

この10兆円のデフレ・ギャップが、10%増税のときまで解消されているとはとても思えません。

昨年か、少なくとも今年あたり10兆円くらいの補正予算が実行されていたというなら、軽減税率を織り込んだ10%増税をすれば、なんとかなるかもしれません。しかし、現実はそうではありません。

であれば、やはり、10%増税は見送るべきです。そうして、このようなことは、安倍総理は良く理解されていると思います。

そうして、安倍総理は14日、2017年4月の消費税再引き上げ時に導入する軽減税率をめぐり、国民的な納得が得られるものでなければ、再増税によって「経済に大きなブレーキがかかる可能性がある」との見方を示した上で、自民・公明両党が合意した内容は「最善の結果」と評価しています。

この言葉から、私は安倍総理は、10%増税スキップをやる気満々であると見ています。

やる気まんのんの安倍総理

そうして、ここにきて、民主党が増税反対の狼煙をあげました。民主党の枝野幸男幹事長は9日の記者会見で、消費税増税時に導入する軽減税率制度に関し、社会保障の財源を充てるならば消費税率10%への引き上げに反対する考えを示唆しました。「社会保障と税の一体改革に関する3党合意違反だ。税率引き上げを認められなくなる可能性は高い」と述べました。

枝野氏がなぜこのような批判をするかといえば、財務省が消費税を社会保障目的税化(社会保障財源化)しているからです。しかし、今回、官邸は、財務省の財源論を完全に破りました。

本日、麻生太郎財務相は本日の閣議後記者会見で、酒類・外食を除く食料品に適用する消費税の軽減税率制度の財源が1兆円に上ることについて「(与党で)1年かけて検討していく。安定的な恒久財源確保が必須だ」と述べました。これで、財務省は完膚なきまでに、敗北したと見て間違いありません。枝野氏もびっくり仰天しているかもしれません。

民主党が増税に反対するというのは、10%増税見送りに拍車をかけるものと思います。来年の参議院選挙(衆参両院同時選挙になる可能性も大)で、もし安倍総理が10%増税見送りを公約の中にいれたとしたら、これは選挙の争点ではなくります。

仮に、民主党が増税反対をやめたとて、安倍総理が10%増税見送りを公約にしたとしたら、安倍自民党はさらに有利になります。

今回のは新聞にも軽減税率が適用されるのが決まったようですが、今回の誰の目からみても、財務省の敗北からみて、これは財務省が新聞に飴玉与えたというよりは、官邸側が、あえてリスクを冒さず、新聞を官邸に向ける作戦であると思います。官邸は、自民党税調・財務省の連合軍に完膚なきまでに圧勝しました。新聞はパワーのあるところに、ネタを求めてくるので、官邸は軽減税率のアメ玉を与えたと見るべきでしょう。

今後新聞は、増税に対してどうのような報道をするのか、楽しみです。

いずれにせよ、政治の世界は一寸先は闇ともいわれますから、まだ完璧とは言いがたいですが、予定どおりの10%増税は相当遠のいたとみて、間違いないようです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月14日月曜日

中朝国境“緊迫状態” 中国、即応部隊2千人を増派 正恩氏発言が影響か―【私の論評】南北から挟み撃ちされる中国は、海洋進出どころではなくなる!しかし、日本にとっても深刻な問題だ(゚д゚)!




中国と北朝鮮の関係が緊迫している。習近平国家主席率いる中国人民解放軍の即応部隊2000人が中朝国境に緊急増派されたという情報がある。北朝鮮の美女音楽グループ「牡丹峰(モランボン)楽団」は北京公演をドタキャンし、緊急帰国した。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記による「水爆保有発言」が影響しているようだ。

香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、中国が北朝鮮に対し石油支援を中止する可能性があることを伝達し、12日夜に中国軍の即応部隊2000人を国境に緊急増派したと伝えた。

中朝関係はこれまでも何度か悪化したが、中国はパイプラインを通じて北朝鮮に石油支援を続けてきた。支援中止は北朝鮮体制の崩壊に直結しかねず、中朝関係の断絶を意味するからだ。

真偽は不明だが、同センターは、この決定に金第1書記が激怒し、北京で12日から3日連続で行われる予定だった「牡丹峰楽団」の公演が中止されたとしている。

「牡丹峰楽団」は金第1書記が2012年に結成した。ミニスカート姿の派手な衣装で、北朝鮮版「少女時代」とも称される。

今回の中朝緊張のきっかけは、金第1書記による「水爆保有発言」とみられている。

朝鮮中央通信は10日、金第1書記が平壌の視察先で、北朝鮮が「自衛の核爆弾、水素爆弾の巨大な爆音をとどろかせることのできる強大な核保有国」になったと述べた-と報じたのだ。

中国はこれに猛反発した。習主席がこれまで何度も「北朝鮮による核開発は容認しない」と表明してきたためだ。当初、「牡丹峰楽団」の公演を、中国共産党の政治局員1人が観覧する予定だったが、観覧者の格を次官級に引き下げた。

習主席は、親中派だった張成沢(チャン・ソンテク)氏を粛清し、核開発で従わない金第1書記を嫌っているとされる。

【私の論評】南北から挟み撃ちされる中国は、海洋進出どころではなくなる!しかし、日本にとっても深刻な問題だ(゚д゚)!

北朝鮮の少女時代ともいわれているモランボン楽団ですが、日本では彼女らのテレビなど一切放映されることもないので、どのような楽団なのかご存知ない方々がほとんどだと思いますので、以下にその動画を掲載します。

牡丹峰楽団 学ぼう 
모란봉악단 배우자




それにしても、中国にしてみれば、確かに北朝鮮に水爆など開発されれば、大変なことになりそうです。北朝鮮は各弾道ミサイルも開発中ですから、もし水爆でも開発され、ミサイルに搭載されて、中国に向けて発射されることにでもなれば大変なことです。

弾道ミサイルの開発がうまくいかなくても、爆撃機に搭載して、核爆弾で攻撃されれば大変なことです。トラックか何かで秘密裏に持ち込まれ、爆発させるなどのことも考えられなくもありません。

いずれにせよ、中国にとっては、かなりの脅威です。それに中国には従来はなかった、新たな脅威が迫っています。それについては、このブログにも何度か掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
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ISは中国を新たな標的に定めたのか
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、東トルキスタンと言われる、現在は中国領である新疆ウィグル自治区、その他キルギスさらに、カザフスタンの東部を含む地域には、すでにイスラム国の影響が及んでいることを掲載しました。
 
中央アジアに第二イスラム国ができるあがるのは、時間の問題のようです。現状は、イスラム国から随分とテロリスト・グループが入っており、キルギスあたりでは統治不能の状態になっています。そうして、新疆ウィグル地区にも相当過激派が入っている状態になっています。

これらは、様々な筋から判断して間違いないようです。近いうちに、中国はISの脅威にさらされ、そうして、上記で述べたように、北朝鮮の脅威もあるわけですから、南北から挟み撃ちされている状況です。

このような状況が深刻化すれば、中国は海洋進出などは断念せざるを得なくなることでしょう。おそらく、尖閣問題も沈静化するかもしれません。沖縄の脅威も軽減されるかもしれません。
モランボン楽団の演奏
とはいいながら、これは日本にとっても深刻な問題です。日本のすぐ近くの2つの国が、核兵器を保有し、その2つの国が悪化、さらに一方の国には、ISの脅威が間近に迫っているという状況です。

日本を取り巻く環境は、安全や安定からは、ほど遠い状況です。北朝鮮が、水爆開発でもしようものなら、拉致問題など永遠に解決できなくなるかもしれません。

日本も、安全保障を本気で考える時期になったのだと思います。日本では、安全保障の問題を考えるうえで、様々なタブーが存在します。核の問題もその一つです。

ISや、中朝の対立が深刻化する前に、日本もタブーは棚上げにして、安全保証の問題を議論すべきです。

日本は核兵器を開発するための技術は十分保有していると思います。日本も、核保有も視野に入れるべきか否かという、真摯な議論がなされるべきです。

また、それを実現するためにも、京都学派の憲法解釈を広く日本国内に流布して、自衛のための武装は可能であるとの見方もあることを周知徹底すべきです。それが、戦争に関する論議のタブーを破るかもしれません。

日本では、多くの人それも保守派と目される人でも、憲法9条の解釈は、東大を頂点とする、日本の主流派の憲法学者らの解釈に従っています。要するに、憲法9条は、自衛のための武装や、戦争もはっきりと否定しているという解釈です。

しかし、同じ憲法学者でも、京都学派の憲法解釈によれば、日本国憲法9条は、日本が自衛のための武装をしたり、自衛のための戦争まで禁じてはいないという解釈をしています。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
京都学派の重鎮 佐々木惣一氏

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、確かに、憲法9条を隅から隅まで読んでも、国際紛争を解決するための手段として、武力を用いてはならないとの明確な規定は存在しますが、自衛のための戦争をはっきりと否定はしていません。そんなことは、どこにも書かれていません。

このようなことを書くと、日本の主流派の憲法学者の解釈が正しいと認識している人たちは、それは詭弁であると考えるかもしれません。しかし、自衛のための戦争に関しては、国連憲章でも禁じていませんし、他国の憲法典をみると、自らの国が自衛のための戦争ができるなどと明記しているものはほとんどありません。

なぜなら、自衛のための戦争は、人権と同じく自然権であり、自然権とは、人が生まれなら我に持っている固有の権利とみなされているからです。

中朝の対立の激化、煮え切らない韓国、さらに中国に迫る第二イスラム国の脅威を考えると、日本も様々なタブーという呪縛から解き放たれ、まともに安全保障論議をすべきときに迎えたと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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