2016年10月28日金曜日

蓮舫氏を東京地検に告発 二重国籍問題で市民団体代表ら―【私の論評】危機管理能力のない個人も政党も存在価値なし!政界から消えたほうが国民のため(゚д゚)!


蓮舫氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 民進党の蓮舫代表の日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題で、市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表らが28日、国籍を選択する義務を怠り、参院選で虚偽の事実を公表したとして、国籍法違反と公職選挙法違反の罪で蓮舫氏に対する告発状を東京地検に提出した。

 民進党役員室は「事実関係がわからないのでコメントは控えたい」とした。

 告発状によると、蓮舫氏は17歳だった昭和60年1月に日本国籍を取得。国籍法に基づき、22歳になった平成元年11月28日までに日本国籍か台湾籍のいずれかを選択する義務があったにもかかわらず、今月7日に選択の宣言をするまで義務を怠った。また、16年7月の参院選(東京選挙区)に立候補する際、国籍選択の義務を果たしていないにもかかわらず、選挙公報に「1985年、台湾籍から帰化」と記載して虚偽の事実を公表したとしている。

市民団体「愛国女性のつどい花時計」の岡真樹子代表
 岡氏らは告発状で「本来であればこの事実(蓮舫氏の二重国籍)を知った有権者の投票による当選はなかった可能性が十分あり、当時の選挙管理委員会と有権者を欺いた」と主張している。

【私の論評】危機管理能力のない個人も政党も存在価値なし!政界から消えたほうが国民のため(゚д゚)!

まず今回の二重国籍問題の経緯を以下にまとめます。今まで、様々なことが断片的に言われてきました。そのため、全体像がはっきりしない人も多いと思います。私もその一人です。これを解消するため、以下に経緯をまとめます。
蓮舫氏は台湾人の父と日本人の母から生まれ、当時は旧国籍法だったため父の国籍が優先され、台湾人として生まれた。 
国籍法が改正され母の国籍である日本国籍を取得できるようになったため、18歳の時に日本国籍の取得を行った。 
それと同時に台湾国籍の離脱も行った。しかし父に手続きしてもらったため、本当に国籍離脱できているかはわからない。
このような経緯から蓮舫氏は二重国籍ではないかという疑惑が出てきたわけです。そうして、以下にも掲載するように、上記の発言は虚偽であったことが後にわかります。

国籍法の問題
さてまずこの問題を法的見地から考えます。関連する法律は国籍法14条及び16条です。

第十四条 
外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによってします。

第十六条
選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
今月15日、日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題について蓮舫氏は、都内の区役所に提出した台湾籍の離脱証明書が受理されなかったことを明らかにし、戸籍法に基づき「(日本国籍の)選択宣言をした」と都内で記者団の取材に答えています。

蓮舫氏は記者団に「(台湾籍の離脱証明書が)不受理なのでどうすればいいかと相談したら、強く(日本国籍の選択の宣言をするよう行政指導されたので選択宣言をした」と述べました。

蓮舫氏は9月23日に台湾当局から台湾籍の離脱証明書を受け取り、区役所に提出。後に、蓮舫氏は日本国籍の選択宣言を行ったのは10月7日と語っていました。ということは、つい最近まで日本国籍の選択宣言を行っていなかったということです。さらに、日本国籍を選択した時点で外国籍の離脱に努める義務があるのですが、それもつい最近のことです。

結局、台湾籍の離脱したにしても、それを都内の区役所に提出したのは、今年の9月23日であり、しかも台湾籍の離脱証明書は受理されなかったということです。これでは、どう考えても第十四条、第十六条違反です。

第十六条は罰則がない努力規定ですから一般人であれば特に問題とされることもないのでしょうが、国会議員という身分でありながら国籍法に違反している疑いがあるということは、問題です。

公職選挙法の問題
日本国の国会議員になる以上は国籍に関しては、出馬前にあらかじめ確認しておくべきであり、確認の上日本国籍の選択を宣言し、台湾籍を離脱してから、出馬すべきでした。もし、出馬までにこれができないというのなら、出馬すべきではなかったのです。

それをせずつい最近まで、放置してきたというのは蓮舫氏の怠慢です。蓮舫氏は民進党の代表有力候補と言われており、政権を取ることを目標にしているわけですから蓮舫氏が総理大臣になる可能性もあるわけです。

仮に日本と台湾の二重国籍の問題がある人間が総理大臣になった場合、日本と台湾の外交問題が生じた時日本と台湾の間には利益相反であることがもあります。二重国籍の問題のある総理大臣が日本の国益に沿った外交はしない可能性があります。

今のところ、蓮舫氏の二重国籍問題に関する経緯は以上のような内容です。しかし、これも発言が一転、二転しているため、おそらくこれが正しいであろうという類推に過ぎません。

国籍法の問題に関しては、罰則規定などがないので、特に裁判になっても、国籍法に基づき蓮舫氏が罰せられるということはないでしょう。

しかし、国会議員、そうして野党第一党の代表としては、道義的責任は免れないはずです。さらに、野党第一党の代表として、たとえいかなる理由があるとしても、自身の国籍に関して明白な虚偽である内容を述べ、国民を惑わした責任はまぬがれるものではありません。

このあたりについて、マスコミははっきりと報道しません。さらに、自民党側も徹底追求という構えは示していません。このことに、憤りを覚える人もいるかもしれません。

国会の場を「お白洲」として、この問題を公開の場で追求しはっきりさせるべきであると考える人も多いでしょう。

確かに、「お白洲」方式は効果があります。しかし、昨日もこのブログに掲載したように、「お白洲」方式には、それを効果的にするためには、それなりの原則と順番というものです。以下に、昨日の記事のリンクを掲載します。
豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解―【私の論評】お白洲方式を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、豊洲問題の議論過程を公開(お白洲方式)にしたことで、現状の豊洲市場には構造上の問題はないということで、解決しそうであること掲載しました。そうして、このお白洲方式を成功させるためには、原則と順番があることを掲載しました。

以下に、結論部分のみ引用します。
「お白洲」方式を成功させるためには、まずは「何が正しいか、何が間違いか」を議論すること、そうして議論する人の人選を間違えないこと。これが絶対原則です。

この原則を忘れて、都議会が、小池知事が、都の役人が、挙げ句の果てに元石原都知事が正しいとか、間違いかという議論をしていても議論が不毛になるだけです。そんなことよりも、まずは何が正しくて、何が間違いかを議論し、それがはっきりした次の段階で、必要があれば、誰に責任があるかを明確にするべきです。順番を間違えた論議は、不毛です。

今後「お白洲」方式を他の場面でも多く採用していただきたいのは、やまやまですが、この原則を忘れたものは無意味です。
今回の、蓮舫氏の二重国籍問題に関しては、国会や、国会の委員会でガチンコ対決をやらせるという「お白洲方式」も考えられます。

しかし、国会での追求となれば、互いに利害が複雑に絡みあった同士が、ガチンコ対決をするということになり、人選はかなり難しいです。さらに、「何が正しいか、何が間違いか」を議論することも難しいです。なぜなら、特に民進党や自民党も党利党略がどうしても絡んでしまうからです。

このよう状況では、なかなか結論が出ないでしょう、それに結論が出たとしても、結論がどのようなものになっても、なかなか納得しない人も大勢でることでしょう。

であれば、裁判にしたほうが良いです。裁判を「お白洲」にすれば良いのです。法律に照らして、二重国籍問題を明らかにし、蓮舫氏の二重国籍問題の何が間違いかを明らかにすることができます。

たとえ、結論がでなくても、十分な議論をつくすことにより、蓮舫氏の道義的責任ならびに、法律に照らした上での間違いも明らかになることでしょう。これが明らかになれば、政治的決着もつけやすいです。その意味では、今回の告発は有意義なものと思います。

テレビなど、あまり報道しないので、二重国籍問題に関してあまり深刻に考えない人も多いようですが、結論からいうともう、民進党は蓮舫氏の二重国籍で泥船状態です。いつ沈むかわかりません。にもかかわらず、蓮舫氏は、24日にとんでもない発言をしています。
蓮舫代表、小池知事の政治塾「我々の仲間も参加したい」 
 民進党の蓮舫代表は、TBS番組「時事放談」の収録で、東京都の小池知事が 近く立ち上げる政治塾について、「我々の仲間も機会があれば参加したい」と述べました。  
「豊洲の問題をはじめ、これは東京都政なんだという認識を前面に出した小池知事は すばらしい。政治は国政だけじゃない、都政のための都民ファーストの政治塾という考え方は 極めて合理的だし、我々の仲間も勉強させていただける機会があれば参加したいと思う」
(民進党 蓮舫代表)  
 一方、自民党の石破前地方創生担当大臣も小池都知事の動きについて、「新しい政治の流れが 出てきたことは間違いない事実」と評価しました。(24日10:50)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2876110.html
この記事、すでに削除されています。民進党をサポートするTBSとしても、この発言さすがにまずいと判断したのでしょう。 蓮舫氏が語るように小池知事の政治塾に「我々の仲間も参加したい」ということになれば、泥船「民進党」を見限って、他党に鞍替えしたいと考える民進党議員にお墨付きを与えることになります。

そうなれば、小池氏の政治塾に多数民進党議員が参加し、将来の新党に鞍替えするようなことが生じる可能性が大です。

それにしても、蓮舫氏は自分の頭のハエも追えないような状況の中で、この発言とおなじように国会でもあいかわず、舌鋒は鋭いものの空虚は発言を繰り返しています。このような発言をするのですから、余程危機管理能力がないというか、危機管理に関しての関心が希薄なのでしょう。

結局、この危機管理に関する関心の希薄さが、今回の二重国籍問題を招いたのだと思います。

危機管理関する関心が希薄な人間は、本来政治家になるべきではないです。民進党は本来は、蓮舫氏の二重国籍問題が明るみに出た時に、最低限、民進党代表選に出馬させないとか、少なくとも民主党の党籍を剥奪するとか、場合によっては蓮舫氏の議員資格に対して疑義をはさむというようなことをすべきでした。まるで何事もなかったかのように、罰することも何もしなかったのは明らかな間違いです。

今のままだと、次の選挙ではかつてないほどの大敗を喫することでしょう。その後は、かつての社会党のように消え去る運命です。それも、組織としての危機管理能力がないということで致し方ないのかもしれません。

危機管理能力のない個人も政党も、そもそも存在価値はありません。消えたほうが国民のためです。

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2016年10月27日木曜日

豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解―【私の論評】お白洲方式を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!

豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解

豊洲市場の問題は徐々に進展している。構造上の安全性と衛生上の安全性の二つが指摘されていたが、2016年10月25日の都の「市場問題プロジェクトチーム」で、構造上の安全性は問題なしという意見がでた。

この議論の様子は、ネット上(都政改革本部HPの動画)で確認することができる。多少専門的な議論であるが、流れは誰でも把握できるだろう。この会議が面白いのは、構造上の問題があると批判してきた人と、実際の設計担当者がガチンコで議論していることだ。


 小泉政権時の「お白洲」

批判者は、森山高至氏と高野一樹氏だ(会議の座席表もネットで確認できる)。いずれも、テレビ出演やブログで構造上の安全性を批判してきた。

ところが、会議では、実際に設計を担当した日建設計の人にかなりやり込められていた。今後も、専門的な議論を続ける模様だが、構造上の安全性は問題なしという方向で結論が出るのではないか。

この会議を見て、かつての経済財政諮問会議の「お白州」を思い出した。筆者は、小泉政権時、財務官僚であったが、当時内閣府に出向し竹中平蔵大臣直轄の経済財政諮問会議特命室参事官であった。それまでの役所の慣例であれば、そこは経済財政諮問会議の事務局なので、同会議を意のままに操っていただろう。しかし、竹中大臣は違った。

筆者が、いろいろな政策案を竹中大臣に相談すると、答えはいつもおなじで「面白そうだね。今度の経済財政諮問会議で議論しよう」だ。けっして、筆者の意見をその場で採用することはなかった。

そして、経済財政諮問会議が「お白州」になる。「お白州」というのは、竹中大臣自身が言っていた言葉である。経済財政諮問会議は、資料も議論も直ぐ公開される。会議では民間議員、閣僚同士のガチンコ議論が当時は行われていた。筆者の提案したものは民間議員ペーパーになり、閣僚からの反対意見を招いた。ある時、財務大臣と経産大臣が猛烈な反対をしたが、そのロジックは論旨不明だった。そうした閣僚の反対意見を聞いていた小泉総理が、両大臣に対し「役人の言いなりなるな」と机を大きく叩いて、会議を終わりにしてしまった。それは総理が意図したものだが、その場は険悪な雰囲気だった。

 一方的な意見を垂れ流したマスコミは情けない

その後、物騒なペーパーを書いた筆者は怒られるのを覚悟していたが、竹中大臣は論点が明確で結論の方向性が出たと評価してくれた。もちろん、筆者の提案がすべて「お白州」で賛同を得たわけではなく、ボツになったものもあった。

「お白州」では、提案する方もそれを批判する方も、公開の場で対等である。これは裁判みたいなものだ。

豊洲市場の構造上の安全性についても、森山氏と高野氏の批判だけを聞いているともっともに聞こえるが、その反対意見の日建設計の担当者と議論すると、どちらがよりまともかが、素人にもだいたい分かる。

小池都知事は、議論の公開を重視している。少なくとも、都庁内での議論を透明化し、いわゆる御用審議会を「お白州」状態にしたことは評価していい。為政者は、良い意見をとればいいのであって、その意味で公開の場を設定するのは正しい。

森山・高野氏と実際の設計担当者の間で「市場問題プロジェクトチーム」という「お白州」で議論すれば、どちらかが「公開処刑」になるが、小池都知事としてはいい結論を選べる。

それにしても、森山氏らを使い続けて、豊洲市場は構造上の安全性に問題ありとの一方的な意見を垂れ流したマスコミは情けない。

++ 高橋洋一

【私の論評】お白洲を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!

メディア、特にテレビは、豊洲問題の報道の仕方を徹底検証して、反省していただきたいものです。この件では、テレビは豊洲の危険性を煽っていた森山氏らをフル稼働させました。外野だけじゃなく、現実の当事者を参加させないとこうなります。やはり、日建設計の担当者も稼働させるべきでした。

森山高至氏
フジテレビは10月2日放送の「新報道2001」で、築地市場の豊洲移転を取り上げ、豊洲市場加工パッケージ棟の柱が傾いているのではないか、と指摘しました。

根拠としたのは、東京都中央区の渡部恵子区議が提供した1枚の写真。ネット上では、この報道に対し、「柱の傾きはカメラの性質によるもの」だという指摘がありました。

写真を撮る時にレンズを傾けると、周辺が歪んで見える効果があるからです。

VTRでは、提供写真を使った。だが、柱が傾いていると強調するために、写真を回転させ、右側の柱が垂直、左側が大きく左に傾いているように見せているのではないか、との声も出ました。

番組は、プロカメラマンや建築の専門家などの意見を紹介し、豊洲市場やその周辺の地盤沈下の影響による柱の傾きが疑われるとの方向で報じました。「柱の歪みはカメラレンズによるものだ」とする都の職員の話も取り上げましたが、全体としては、柱が傾いていると印象づける内容で、そこに批判が集まりました。

「報道2001」で報道された豊洲市場の柱
結局、この柱の湾曲の件ついて以下の様な事実上の謝罪をしています
今月2日の『新報道2001』で、豊洲市場内の柱の一部が傾いて見える写真があると放送しました。柱が傾いたように見えるのは、カメラのレンズによる可能性があるという点は放送中、VTRやスタジオで説明していますが、東京都は否定しており、番組であらためて事実関係を検証したいと考えております。 
これに限らず、豊洲新市場問題については、かなり白熱した場面が多数見受けられました。日々のテレビ番組の制作に追われている現場からすると、豊洲新市場等のホットな話題について「語れる専門家」を探したとしても、日中のビジネスタイムのテレビ出演できるような「あまりパッとしない専門家」ぐらいしか出演に応じてもらえないことになります。大規模構造物について現役で事実を専門的にまともに語れる人は、事務所等に所属して守秘義務があり日中は働いて番組出演など不可能です。

その結果、検証されない“トンデモ”ない内容が報じられることになり、事情を知らない視聴者は「そういうことなのか、豊洲はけしからん」という認識になったのでしょう。そもそも、ターレー(運搬車)程度の荷重で床が抜けるはずもなく、当然ガセネタや言いがかりのレベルの放送内容になってしまったのですが、これの検証ができないことは本当にテレビ局や制作会社の責任にだけ帰していて良いのでしょうか。

このような問題は、過去に幾度となく繰り返されています。たとえば、STAP細胞騒動などもそうです。結局のところ、すべてが小保方氏の倫理問題にすり替えられ矮小化され、理研や文部省の危機管理の問題や、統治の問題がなおざりにされたままです。

本来は、業界団体なり本当の専門家なり施工・設計の当事者なりがしっかりと声を上げ、訂正報道を求めるなり、問題のある発言をした自称専門家の出演自粛を要請したり、明確な風説の流布には営業妨害で訴訟を起こすといった話さなければならなかったはずです。


私自身は、東京都の資料や他の資料から、豊洲は少なくと築地よりは、はるかに安全であると思っていました。そのため、豊洲の建物を下の盛り土せずに、コンクリート製のピットとしたことについては、安全性には問題はないものの、誰がどのような意思決定をしたのかはっきりせず、この点は問題であるとは思っていました。

そのため、築地から豊洲への移転と、意思決定の問題に関しては切り離し、移転はなるべく速くするようにして、意思決定の問題は徹底追求すべきであると考えていました。

しかし、今から考えてみると、安全に問題があるかもしれないとされるなかで、豊洲移転を当初の予定通りにするなどのことをしていれば、風評被害が深刻な悪影響を及ぼしたかもしれません。

しかし、高橋洋一氏の説明するように、小池知事が"経済財政諮問会議の「お白州」"方式として、豊洲の安全性を誰にでも理解できるようにしたことにより、この風評被害は完璧に防ぐことができたと思います。これによって、豊洲移転は意外は早まるかもしれません。

今後、今回のような専門性を要する事柄に関しては、テレビ等のメディアは白州の場の提供や、提供された白洲の場の報道に徹するべきかもしれません。何しろ、現状のメディアでは、専門性を持った人材があまり存在しないので、結局のところ今回の『新報道2001』のような報道になってしまいがちです。

「お白洲」式であれば、「一方だけの意見を述べる人を出すのではなく、反対意見の人もでせばいいだけです。そうして、できればたかだか数時間の議論ではなく、時間を十分とって議論させるようにするのが良いです。しかし、時間の限られた放送枠ではここが難しいのかもしれません。しかし、そうはいっても、テレビ、メディアは公開ですから「公開処刑」もありうることになります。

無論ここでいう「公開処刑」とは北朝鮮などの本当のそれではなく、動画において特定の人物の恥ずかしい部分がさらされてしまっていたりする、大勢の前で辱めを受ける状態を公開処刑と例えているものです。

このかつての経済財政諮問会議や、「市場問題プロジェクトチーム」など「お白洲」方式は、他の場面でもどんどん採用すべきです。

ただし、「お白洲」方式をするにしても、やり方があります。これに似たようなものとして、かつての民主党政権下で行われた「事業仕分け」があります。しかしこれは「お白洲」に見えて全く「お白洲」ではありません。

そもそも、「事業仕分け」は財務省の書いたシナリオを下に民主党の政治家が役者を演じただけのものです。

そもそも人選が間違えていました。たとえば、あの有名な蓮舫氏によるコンピュータ開発における「一番でなければいけないのですか」という発言が示すように、そもそも技術関連の専門家でもなんでもない政治家と、これまた専門家でもない官僚を対決させるという図式は全くの間違いで、あれは当然のことながら、コンピュータ開発の専門家同士を対決させるべきでした。それもできれば、直接ブロジェクトに関わっていない意見の異なる専門家同士を対決させるべきでした。


そうすれば、そもそも専門家同士の対決で今回の「市場問題ブロジェクトチーム」のように結論がでたかもしれません。

結論がでなくても、双方で議論をつくした上で、最終的には政治的判断をするのであれば、「事業仕分け」も受け入れられたかもしれません。この「お白洲」方式も人選を間違えれば、何も決まらないし、議論がまともにつくされることもありません。

国会でも公聴会などもありますが、公聴人が意見を述べるというだけで、ガチンコ対決をさせるというわけではありません。それに公聴会でも人選が間違っている場合もあります。

改憲議論をする際などは、現在日本で主流の憲法学者のみでなく、「憲法9条は、日本が自国を防衛をするための戦力を保持したり、行使したりすることを禁止しているわけではない」という解釈の京都学派の学者も参加させ、十二分に時間をとったガチンコ対決をさせるような「お白洲」を開催すべきです。

「お白洲」で結論が出れば、それはそれで良しとして、最終結論が出なかった場合には、最終的に政治判断をするということで良いと思います。

このような形で国会でも「お白洲」で調整した上で、政治判断をするという具合にすれば、憲法問題に限らず、経済でも、エネルギー問題でも何度も多くの国民が納得するまともな意思決定となるのではないかと思います。

現状の国会などみていると、まるで野党は「国会とは政府を追求する場である」と心得ているように思えてなりません。もちろん、そういう面を全く否定するとはいいませんが、このような側面だけが強調される現状では、時間と労力ばかりがかかって、まともな意思決定などできるはずはありません。何か意思決定が行われても、すっきりせず多くの国民が「消化不良」になったような感触を受けると思います。

結局、誰が正しくて、誰が間違いであるとか、与党が間違いで、野党が正しいなどという考え方をしていては、まともな論議など永遠にできるはずはありません。

「何が正しいか、何が間違いか」という考え方をすべきなのです。国会の論議は、この原則を忘れているから不毛になるのです。そうして、今回の「市場問題ブロジェクトチーム」がうまくいったのは、「豊洲は安全か、安全でないか」を徹底的に議論したので、うまくいったのです。

「お白洲」方式を成功させるためには、まずは「何が正しいか、何が間違いか」を議論すること、そうして議論する人の人選を間違えないこと。これが絶対原則です。

この原則を忘れて、都議会が、小池知事が、都の役人が、挙げ句の果てに元石原都知事が正しいとか、間違いかという議論をしていても議論が不毛になるだけです。そんなことよりも、まずは何が正しくて、何が間違いかを議論し、それがはっきりした次の段階で、必要があれば、誰に責任があるかを明確にするべきです。順番を間違えた論議は、不毛です。

今後「お白洲」方式を他の場面でも多く採用していただきたいのは、やまやまですが、この原則を忘れたものは無意味です。

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2016年10月26日水曜日

【スクープ最前線】ドゥテルテ比大統領、米国憎悪の真相 CIAによる暗殺計画の噂まで浮上―【私の論評】歴史を振り返えらなければ、米国への暴言の背景を理解できない(゚д゚)!

【スクープ最前線】ドゥテルテ比大統領、米国憎悪の真相 CIAによる暗殺計画の噂まで浮上

握手するドゥテルテ比大統領と、安倍首相
「暴言王」こと、フィリピンのドゥテルテ大統領が25日午後、来日した。26日に安倍晋三首相との首脳会談に臨み、27日に天皇陛下に拝謁する予定だ。ただ、ドゥテルテ氏は先週の中国訪問で、「対中接近」「米国離反」の姿勢をあらわにし、東アジアの平和と安定を危機的状況に追い込んだ。ドゥテルテ氏の過剰な反米感情の背景と、中国とロシアによる狡猾な情報戦とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

「日比首脳会談がどうなるか。南シナ海だけでなく、東アジアの行方が決まりかねない。米国をはじめ、世界各国が注視している」

旧知の米政府関係者はこう語った。その懸念は当然だ。

ドゥテルテ氏は18日から21日まで訪中し、習近平国家主席と20日、首脳会談を行った。同日のビジネス会合での演説では、「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と、同盟国である米国が驚愕する宣言を行った。一番喜んだのはもちろん習氏、中国だ。

翌21日、共同声明が発表された。ご存じのように、中国は南シナ海で軍事的覇権を拡大し、世界各国から「無法国家」と批判されている。だが、ドゥテルテ氏は南シナ海問題で大幅に譲歩し、総額240億ドル(約2兆5000億円)相当の経済協力を得る見通しとなった。破格の大盤振る舞いである。

中国外務省の華春螢報道官は同日の定例記者会見で、「南シナ海問題は2国間対話の正しい軌道に戻った」と勝利宣言した。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報も同日の社説で「中国とフィリピンは再び抱擁した」「(日米など諸外国)外部は南シナ海を放棄しろ」とまで書いた。

何たることか! これでは、「ドゥテルテ氏が米国を裏切り、中国の札束攻撃の前に屈した」と思われても仕方ないではないか。

日本の外務省関係者はこう説明する。

「現在、ドゥテルテ氏の真意について、日米両国は情報収集と分析を急いでいる。日米や世界各国はこれまで、中国の南シナ海での暴挙に対して『国際法の順守』と『航行の自由』を求めてきた。だが、当事国のフィリピンが寝返ったとなれば、すべての戦略を見直さなければならない」

実は、とんでもない情報がある。なぜ、ドゥテルテ氏が米国を憎悪するのか。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報だ。

「ドゥテルテ氏は容赦のない『麻薬撲滅運動』を展開しており、麻薬密売人など数千人が殺害されている。オバマ米大統領がこれを『人権問題だ』として非難したことが、関係悪化を深めた。加えて、混乱の中で『ドゥテルテ氏が自分の政敵を殺害した』というデマが流された。発信地は中華街のようだが、ドゥテルテ氏は『米国が流した』と思い込んだ」

「中国は、南シナ海の島々を軍事基地化しながら、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に、裏ですさまじい圧力をかけた。米国はそれを知りながら、島の近くに駆逐艦を航行させるぐらいしか手を打たなかった。『米国は頼りにならない』『中国についた方が得ではないか』と考える国が増えた」

決定的なのは、ドゥテルテ氏の暗殺計画情報だ。

ドゥテルテ氏は今月7日、地元・ダバオで就任100日目の演説を行った。CIA(米中央情報局)が画策する失脚工作や暗殺計画の噂に触れ、オバマ氏を罵倒して、「やれるならやってみろ!」と挑発した。衝撃情報はこう続く。

「CIAによる暗殺計画の噂は9月に流された。発信地はロシアに近い情報筋とみられている。今年7月にトルコでクーデター未遂が起きたときも、ロシアはいち早く、トルコのエルドアン大統領に暗殺危機を知らせ、同国を『反米親露国』に劇的に変えた。構図はそっくりだ」

フィリピンの事情に詳しい大使経験者がいう。

「ドゥテルテ氏は大の親日家だ。『最初の外国訪問は日本に』と固く決めていた。それを中国にひっくり返された。日本外務省の大失態だ。日本が先なら、こんな事態にはなっていない。だが、『ドゥテルテ氏が中国に寝返った』とみるのは、早計で失礼だ。彼は愛国者で戦略家、そして策士だ。だから、(中国嫌いが多い)国民の90%前後が支持している」

ドゥテルテ氏は22日、ダバオでの記者会見で、記者から外交政策について聞かれ、「米国との決別とは、外交関係を断ち切る断交ではない」「(ただ)外交政策は米国と完全に一致する必要はない」と説明した。

安倍首相との首脳会談について聞かれると、「協議の多くは経済協力についてだ」といいながら、南シナ海問題についても「平和的に話をし、課題を解決して、良い方策を考え出すことで合意できる」と語った。

世界が日比首脳会談を注目している。フィリピンを自由主義陣営に引き留めなければならない。安倍外交の神髄を見せてほしい。

加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】歴史を振り返えらなければ、米国への暴言の背景を理解できない(゚д゚)!

上の記事では、フイリピンの過去の歴史については全く触れられていません。無論、この記事を書いた加賀孝英氏は、それについて熟知していると思います。しかし、この記事の中に歴史まで含めてしまうと、記事が長大になってしまうため、敢えてそうしなかったのでしょう。

現在の日本人の多くは、フイリピンの歴史を知らないのではないでしょうか。そうして、日本マスコミもこれに関してはほとんど報道しません。しかし、これを知ればなぜドゥテルテ大統領がアメリカのオバマ大統領にあのような暴言を吐いたのか、かなりの程度理解できます。

そうして、かつてフイリピンがアメリカ軍を国内から撤退させたのかも理解できると思います。無論この完全撤退は中国の南シナ海への進出を促したという点では失敗であったことにはかわりはありません。おそらく、フイリピンの左翼系が、フイリピンの歴史を利用して、この撤退を促したのだと思います。

しかし、フイリピンの過去の歴史を知れば、なぜこのようなことになったのか、そこにはそれなりの背景があるということに気づくはずです。

以下に、大雑把にフイリピンの歴史を振り返っておきます。関心のある方は、もっと詳しい資料にあたって頂きたいと思います。

■フイリピンの歴史概要■

まだ、フィリピンが大陸と陸続きであった時代、フィリピンにはネグリト族などが住んでいたといわれています。どれくらい昔から住んでいたのかは正確にはわからないのですが2万年くらい前からではないかといわれています。

その後、島々が大陸から離れてからは新石器の技術を持った原始マレー人が住み、紀元前2000年~紀元前1500年頃には水田農耕文化を持った古マレー人が、紀元前500年頃からは新マレー人が移住して定住を始めるようになりました。

14世紀頃になると中国、東南アジア、インド、中東を繋ぐ航路上で海上貿易を行っていたイスラム商人たちが盛んに訪れるようになり、フィリピンにもイスラム教が広まりました。また、スールー諸島からミンダナオ島西部にはスールー王国やマギンダナオ王国といったイスラム教国の王であるスルタンが支配する国家も成立しました。

■スペイン植民地時代

1521年。フィリピンにフェルディナンド・マゼランという人物がスペイン船団を率いてやってきました。彼らは、現地の人々にキリスト教への改宗やスペイン王国への忠誠を要求し部族長を次々に服従させていきました。しかし、イスラムの部族長ラプ・ラプはこれを拒絶。スペインと住民の間で争いが起きました。この争いに勝利したのはラプ・ラプ。スペイン船員らは戦いに敗れてマゼランも戦死してしまいました。

しかし、その後もスペインはフィリピンに向け攻撃を仕掛け続けました。1542年に艦隊で襲撃。しかし、これも失敗。1565年にはミゲル・ロペス・デ・レガスがセブ島を落とすことにやっと成功。1570年には彼の孫がマニラを制圧。翌年、フィリピンはスペイン領であることを宣言するとこの地はスペインの副王領であるメキシコ政府の統治下に入ることになりました。

17世紀に入ると政治的にスペインと対立していたオランダの攻撃や華人の反乱が起き、1762年にはフィリピンとの間で密輸を続けてたイギリス東インド会社によりマニラが占領されました。このイギリスによるマニラ占領は2年間でイギリスは撤退したのですが、当時勢力を拡大していたイギリスは1809年にマニラに商館を建設。ところが、イギリスが清の攻略に乗り出していたこともありフィリピンを領有することはありませんでした。

スペインは、1821年にメキシコ独立戦争に敗北。副王領が廃止されるとフィリピンはスペイン本国の直接統治下に置かれることになりました。

1565年からフィリピンはスペインの植民地となっていたのですが、それは1898年まで続きました。1898年の米西戦争(アメリカとスペインがキューバを舞台に戦争)が始まるまで続きました。

アメリカ海軍の巡洋艦「U.S.S.ローリー」現在はペンシルベニア州フィラデルフィアのインディペンデンス・シーポート・ミュージアムで、現存する唯一の米西戦争を経験した艦として公開されている。
■アメリカ植民地時代

当時は、フィリピン国内にて独立を目指し運動を起こす人が大勢いました。アメリカはそこに目をつけ、フィリピンに独立の支援を約束し、見返りに戦争に協力をしてくれるように要請しました。フィリピンの革命家たちは軍を組織してフィリピンに駐留しているスペイン軍と戦い勝利。1898年6月12日にフィリピンは独立を宣言し国歌と国旗を定めました。

これで長かったスペインからの支配に終止符を打ったと、思いきや、フィリピンはアメリカに見事裏切られてしまいました。

アメリカはスペインとの間で2千万ドルを支払うことでフィリピンを譲り受けることになったのです。これに怒ったフィリピン側はアメリカとの戦争を決意しました。アメリカが初代総督として派遣したのは、あの有名なダグラス・マッカサーの父、アーサー・マッカーサーでした。

この戦いでは、フイリピン人の犠牲者が多く発生しました。たとえば、1901年9月28日、サマール島でバランギガの虐殺が発生。小さな村でパトロール中の米軍二個小隊が待ち伏せされ、半数の38人が殺されました。アーサー・マッカーサーは報復にサマール島とレイテ島の島民の皆殺しを命じました。少なくとも10万人は殺されたと推定されています。

マッカーサーはアギナルド軍兵士の出身者が多いマニラ南部のバタンガスの掃討を命じ、家も畑も家畜も焼き払い、餓死する者多数と報告されました。アメリカ軍は、フィリピン軍を次々に撃破すると1901年にフィリピンの英雄アギナルドを捕らえアメリカに忠誠を誓わせ休戦となりました。
アーサー・マッカサー(左)とダグラス・マッカーサー(右)
1915年にはスペインからの統治からはまぬがれていた南部のイスラム・スルタン国家にもアメリカは支配の手を伸ばしました。フィリピン諸島を完全に支配下に取り込んだのでした。

しかし、その後フィリピンを統制する上でアメリカは柔軟な政策も見せるようになりました。将来的にはフイリピンを独立させることを約束したのです。

1916年には、フイリピンをフィリピン人が統治するアメリカの自治区にするという、フィリピン自治法が制定されました。フィリピン人の閣僚なども登用されました。この頃には公教育で英語が教えられ1934年にはフィリピン独立法が可決され、ついに1946年までにフイリピンを独立させることがアメリカによって約束されました。

1935年には現地生まれのマニュエル・ケソンが大統領に就任しました。

■日本によるマニラ制圧

しかし、フィリピンの苦難は続きます。太平洋戦争の勃発です。1942年に日本軍はマニラを制圧。すると日本はフィリピンの人々の心を掴むために1943年ホセ・ラウレルを大統領とするフィリピン第二共和国の独立を認めました。

マニュエル・ケソン氏は日本がマニラを制圧したときにアメリカに亡命していました。そして、日本は日本よりのホセ・ラウレル氏を大統領に据えたのです。


大東亜会議に出席したホセ・ラウレル大統領(右から二人目)(1943年東京)
しかし、この政権は長く続きませんでした。ラウレルと日本はフイリピンをめぐる政策で仲違いしたことと、ラウレル自身も、民衆の支持を広く得ることはできなかったのです。さらに、ラウレル政権は戦前からの地主支配の継続を認めたためにフィリピン親日勢力の離反を招き、ラウレル政権側も日本との協力を拒否する姿勢をとったため、日本は1944年12月にベニグノ・ラモスとアルテミオ・リカルテをはじめとするフィリピン独立運動家達によって設立されたフィリピン愛国連盟(マカピリ)を新たな協力者としました。

1945年には、マニラの戦いが行われました。これは、第二次世界大戦末期の1945年2月3日から同年3月3日までフィリピンの首都のマニラで行われた日本軍と連合軍の市街戦のことを指します。日本軍は敗れ、三年間に及んだ日本のフィリピン支配は幕を閉じました。

このマニラの戦いでは、市民70万人が残っており、10万人もの死者をだしたとされています。市民の犠牲者について、単に市街戦の巻き添えになっただけでなく日本軍によって抗日ゲリラと疑われた市民が虐殺されたとされています。山下大将は市民虐殺についての責任を問われてマニラ軍事裁判で裁かれ、絞首刑となりました。ただし、大岡昇平氏の『レイテ戦記(下)』20版 中央公論新社〈中公文庫〉、1999年、309頁によれば、「米軍の行ったマニラ破壊を日本軍に転嫁するため」との見方をしています。
マニラの戦いで崩壊した市内
1945年には日本が太平洋戦争に敗戦。日本がフィリピンから撤退すると1946年に選挙が行われマニュエル・ロハスが大統領となりフィリピンは共和国(第三共和国)として独立を果たすことになりました。
■マルコス大統領の登場

1965年に大統領に就任したのがフィルディナンド・マルコス大統領。イメルダ夫人も有名です。高級ブランドの靴を3000足も持っていたといわれています。

マルコス大統領は、当初失業率の減少などに貢献したのですが、やがて独裁政権を打ちたて国家資産を横領したりしました。1983年には、アメリカに亡命していたベニグノ・アキノ上院議員が民主化推進の為、帰国を決意。しかし、彼は到着し飛行機を降りた途端に射殺されてしまいました。

この様子はテレビでも報道されたのですが、本当に飛行機を降りた直後でした。飛行機を降りるときにタラップが渡されますが、この階段を降りきったか、もしくは階段を下りている途中に射殺されてしまいました。この様子は世界中に報道されマルコス政権に大打撃を与えました。


ベニグノ・アキノ氏


その後、1986年の選挙では、暗殺されたアキノ上院議員の妻であったコラソン・アキノが出馬。彼女が勝利したように思えたのですが、なぜか発表ではマルコスの圧勝しました。しかし民衆は猛反発し、やがてマルコスはハワイへ亡命せざるをえなくなります。

その後、コラソン・アキノ氏が大統領に就任。フィリピンを民主化へと導いていくことになりました。

以上フイリピンの歴史をざっと振り返りました。この歴史を振り返れば、ドゥテルテ氏がオバマ大統領に対して悪態をつくというのもわかるような気がします。

私の知人であるフィリピン人は、「フィリピンの不幸は、日本じゃなくて、アメリカの植民地になった事だ」と語っていました。ことわっておきますが、彼は決してドゥテルテ氏のようなタイプではなく、大学院を卒業し英語も流暢な知的なタイプです。

彼の考えを以下に簡単にまとめます。
マッカーサーは搾取しか考えていなかった。しかし日本に比較的長い間統治されたインドネシアやマレーシアは、あのように発展している。韓国や台湾などは、日本が本格的なインフラ整備と産業拠点を置いたために、今や先進国の仲間入りをしたような状況である。

18世紀に、フィリピンよりも劣等国だった韓国が、日本のインフラと教育で、あれだけ発展できた。今やインドネシアやマレーシアは、既に先進国に見える。タイはまがりなりにも、日本に独立を認められ日本の統治はなかった。だからそれ以下の発展しかしていない。

日本がフィリピンに対し、インフラや教育を十分行える位の期間フイリピンが日本に統治されていたら、今頃どれだけ素晴らしくなっていただろう。絶対にインドネシアやマレーシア以上だったに違いない。
非常に筋の通った論理です。このような考えをする、知識層もフイリピンでは多いのではないかと思います。

日本国内では、フイリピンは、マニラの市街戦による死傷者が多かったことや、バターンの死の行軍などで、フイリピン人は反日との思い込みもあるようですが、これは戦後のアメリカのプロパガンダによるものもかなり影響しているものと思います。

ドゥテルテ氏は、戦後日本の経済協力やイスラム武装勢力との和平協議支援などを高く評価し、親日家とされています。東日本大震災では、海外の自治体の中でいち早く被災者受け入れを表明しました。日本の戦没者供養などにもよく顔を出し、13年には日本人墓地に記念碑を建立。家族旅行で来日していいます。(産経ニュース「ドゥテルテ比大統領、「親中」「反米」そして「親日」」10/24)

さて、ドゥテルテ氏、米国離反、中国接近の姿勢をみせていますが、フイリピンの中国接近は、日本にとっても脅威ですし、フイリピンが完璧に中国の傘下に入ってしまうことになれば、安倍総理の日本の安全保障政策、そうしてアメリカのそれも根本から見直しを迫られることになります。それだけではありません。両国とも、この戦略見直しには莫大な経費と労力と時間を強いられることになります。

まさに、今回のドゥテルテ比大統領との会談は、安倍総理の外交手腕が問われるものとなります。

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2016年10月25日火曜日

総裁任期「3期9年」に延長=26日に全体会合へ提示―自民―【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)!


自民党役員連絡会であいさつする高村正彦副総裁
(中央右)。同左は下村博文幹事長代行=25日午前、国会内
自民党は25日、党総裁任期を現行の連続2期6年から連続3期9年に延長する方針を固めた。

総裁任期延長「なぜ今なのか」=自民・小泉氏が疑義

 党・政治制度改革実行本部(本部長・高村正彦副総裁)では、「期数制限撤廃案」も検討されたが、高村氏は26日に、党所属国会議員全員が参加できる全体会合に「3期9年」案のみを諮る方針だ。

 高村氏は25日の党役員連絡会で、「あした私の考えを伝えて、全体会合に諮る」と述べた。これに関し、党幹部は記者団に「期数撤廃はない」と指摘し、3期9年の方が「国民に受け入れられやすい」との認識を示した。

 現行の党則は、総裁任期を1期3年と定め、連続3選を禁止している。任期延長はこれを改正するもので、安倍晋三首相(総裁)に限定しない。実行本部で了承が得られれば、総務会などを経て、来年3月の党大会で正式決定する運びだ。

 安倍総裁は2018年9月に任期満了を迎えるが、党則改正後は次期総裁選に出馬できる。当選すれば、自ら招致に当たった20年東京五輪・パラリンピックに首相として臨む可能性も出てくる。

【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)! 

上の記事を読んでまず思ったのは、財務省と渡り合い時には死んだふりや、やるとき衆院を解散しても増税を阻止した安倍総理のような総裁候補が出てこない限りは、安倍総裁であるべきということです。

先日行われた民進党の代表戦では、候補者の3人が3人とも増税論者であり、経済に関してはまるで擦り切れたテープのように財務省のパンフレットのような経済論を繰り返すばかりでした。

そうして、代表は蓮舫氏になったのですが、蓮舫氏の人選によって、幹事長に決まったのは野田氏であり、これも消費税狂の馬鹿でした。

野田元総理の増税狂発言。おまけ、安住元財務省の増税狂発言。
最近野田氏は、最近北方領土の2島返還「馬鹿も休み休み言え」 と語っています。本当に消費税増税狂のバカにこのようなことは言われたくはないです。最近、偽装右翼などといわれていますが、野田氏こそまさに偽装右翼の名にふさわしい人物かもしれません。

民進党のほとんどは、増税狂であり、例外はほんの一部です。金子洋一元参議院議員は、増税狂ではないのですが、残念ながら今年の夏の参院選で落選してしまいました。あと増税狂でないのは、馬渕氏くらいなものです。

他の議員はことごとく幹部も含めて、増税狂です。そうして、かつての民主党政権は単なる財務省に使い捨て政党でした。これについては、このブログにも以前掲載したことがあります。
臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!
参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、民進党が民主党として政権を担っていたときに、財務省の使い捨て政党であったことを示す内容を以下に引用します。


"
民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。

民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。 
"  
現在の民進党の議員のほとんどは、増税推進派で、経済や財政について語るときは、まるで財務省のスポークスマンのようです。民主党政権だったときの、民主党は上記の事実でもわかるように、財務省の使い捨て政党です。その性質は昔から変わらず、現在もそうであり、将来も継承続けていくことでしょう。

一方自民党はどうかというと、これも民進党と同じように、財務省の影響下にあったのは間違いないです。というより、自民党でも安倍総理が、衆院を解散してまで、財務省に反旗を翻して増税を阻止して、真正面からわたりあった最初の総裁ということになります。

自民党も民進党の財務省の使い捨て政党というところまではいかないものの、同じように財務省の影響下にあって、財務省にはなかなか正面切って逆らえなかったというのが実体です。

ただし、今の自民党は、安倍総理と一部の安倍総理に近いブレーンが財務省と渡り合っているだけであって、他の自民党議員はなかなか財務省に諜略されているか、諜略されないまでも正面切って逆らえないというのが実体です。

例えばかって小泉純一郎元首相は在任時に「景気が回復すると構造改革ができなくなる」と明言していました。これは、平たくいうと、構造改革をするためには、金融緩和や積極財政はしてはならないということです。これでは、まるで財務省のスポークスマンのようです。

そのためでしょうか、財務省がかつての日銀を含む大蔵省であったときから、日本では本来金融緩和をすべきときに、金融緩和どころか、金融引き締めを行い、積極財政をすべきところを緊縮財政を行なうといことで、失われた20年という不毛の時代を招いてしまいました。

大蔵省が、財務省と日銀に分離された後も、この政策はしばらく温存され、日銀が金融緩和に転じたのは、2013年のことです。そのため雇用は最近に至るまで、一環して良くなって今います。ところが、財務省は、積極財政をするどころか、結局のところ8%増税をするという失策を行い、経済は低迷しました。

実際に8%増税は、大失敗だったことは統計数値をみれば明らかなのに、民進党は先ほど述べたように、ほとんどが増税狂です。

しかし、自民党でも安倍総理とこれに近いブレーンは別として、ほとんどの議員は金融政策の意味や、財政政策の正しい運用の仕方を理解してないか、理解していたとしても、財務省に正面切って逆らえないでいるようです。

財務省にとって消費増税が自己目的化していますから、それに貢献する政治家たちもすべて消費増税のための手段でしかないのです。なんといっても財務省的な経済政策観をもつ政治家やそうでなくても、財務省に逆らえない政治家が今の日本の政治家のほとんど占めているといのが実情なのです。

ちなみに自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち、たとえば、稲田朋美防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑的であったり批判的であることが明瞭です。


稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、そもそも消費増税を経済が低迷しているときになぜ増税にそこまでこだわるのか、その背景についての説明は全くありませんでした。最初から消費引き上げ自体を目的とした発言としか思えません。

そうして、小泉議員はより深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか、とにかく社会保障の見直しなどで、倹約という視点しかありません。景気循環的な発想が全くありません。増税延期が決まった直後の、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言にはほんとうに驚いてしまいました。これでは、まるで財務省のスポークスマンであり、経済・財政などに関しては、民主党議員とほとんど変わりありません。


むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのですが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり皆無です。石破議員は、デフレ脱却を金融政策中心で行うと高いインフレに帰結するなど副作用の可能性を指摘してきました。

石破茂氏
いずれも財務省の消費増税路線やその背景にある財政再建主義や税と社会保障の一体改革という考え方に親和的です。とりあえず代表的な三者をあげたのですが、さきほど指摘したように他の政治家もごく少数を抜かして同じ考えです。

今の日本では、安倍総理自身と、その身近な一部のブレーンたちのみが、政治家の中では、財務省と渡り合えるだけの、力量を持っているだけです。そうして、稲田朋美氏のように、安倍総理の身近な一部のブレーンと目される人ですから、この有様なのですから、本当に自民党内に安倍総理の経済に関する考え方を理解しつつ、財務省と対等に渡り合える人材が自民党総裁になれるまで成長を待たなければ、ポスト安倍の後は、安倍としか言いようがありません。

もし、そうしなければ、日本経済はまたデフレ・スパイラルのどん底に沈み、せっかくの金融政策の効果も台無しになり、雇用はずたずたになり、若者はまた異様な就活で苦しむことになります。自殺者も増えることでしょう。

今回の総裁任期の延長は、経済や財政などとは関係なく、おそらく政治的駆け引きや、派閥の均衡などでそのように決まったのでしょうが、いずれにしても当面の日本経済のことを考えた場合、良い選択であったと言わざるを得ません。

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2016年10月24日月曜日

電通東大卒女性社員自殺 一般家庭出身社員へのしわ寄せ―【私の論評】日本人を駄目にする悪魔企業電通は使うな、入るな、入れさせるな(゚д゚)!

電通東大卒女性社員自殺 一般家庭出身社員へのしわ寄せ

電通本社ビル

 《男性上司から女子力がないだのなんだの言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である》--。そうツイートした5日後、彼女は社員寮4階から身を投げた。

大手広告代理店「電通」社員の高橋まつりさん(当時24才)が昨年12月25日に自殺。9か月後の9月30日、労災が認定された。

以下《》内は、彼女が残したLINEやツイッターの一部だ。

《神様、会社行きたくないです》(10月4日)

《土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい》(11月5日)

《今から帰宅だが、どう見積もっても時間が足りないぞ?》(12月9日午前4時)

過重労働が極限状態に達していたことがうかがえる。

「遺族の弁護士の集計によれば、残業時間は昨年10月が130時間、11月が99時間。ただし、“70時間を超えてはいけない”という上司の指導で、会社へは10月は69.9時間、11月は69.5時間と過少に申告させられていた」(大手紙社会部記者)

高橋さんを追い込んだのは残業だけではなかった。

《部長(中略)「髪ボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「今の残業量で辛いのはキャパがなさすぎる」わたし「充血もダメなの?」》(10月31日)

前出の《女子力がない》もそうだが、疲れ切った体に追い打ちをかけるパワハラに、高橋さんの心も悲鳴を上げていた。

《死にたいと思いながらこんなストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか》(12月16日)

高橋さんが所属していたのはインターネット関連の広告を扱う部署で、人手不足のうえに厳しいノルマが課されていた。加えて、電通では社員同士の酒宴の準備も新入社員が担当し、司会や余興に先輩社員がダメ出しをしていたという。

「それらは高橋さんにとってとても“嫌な仕事”だった」(代理人弁護士)

実際、自殺した12月25日には年納めの飲み会が予定されていた。この問題に詳しいノンフィクションライターの窪田順生氏は、電通の“体育会系ノリ”の企業風土が高橋さんを追い込んだ可能性が高いと話す。

「先輩社員たちには“オレができたことをお前ら若い連中はなぜできないんだ”という思想が蔓延している。電通マンにとって“朝まで接待で飲んで吐いて、そのまま会社でプレゼン”が日常風景で、そんな地獄の日々を生き残った一部の社員が上司になり、下にもそれを強要する。“オレが新入社員の頃はもっと酷かった”と言って、さらに追い込むのです」

しかも高橋さんは、こうした過重労働やパワハラの“被害”を受けやすい立場にあったという。

「電通には大手企業幹部の子息や中堅オーナー企業の跡継ぎが多い。それはその企業から広告を取りやすくするためで、有力者の子供を入社させること自体が“営業活動の一環”といえる。親の七光りで入ったボンボンたちは仕事ができないことが多い」(社員)

上司たちが彼らに過酷な残業をさせたり、パワハラで追いこんだりすることはほとんどないという。

「親に告げ口されると大変なことになるので、働かせすぎないし、厳しく指導もしない。でも、誰かが仕事をしなければいけないから、そのしわ寄せは“有力者の家柄”ではなく、実力で厳しい採用試験を通ってきた一般家庭出身の社員にいく。結局、一部の人が何倍も働くことになるんです」(別の社員)

高橋さんは彼女が中学の時に両親が離婚し、母親に女手ひとつで育てられた。

「彼女は“お母さんを楽にしてあげたい”という一心で勉強に励み、東大に進学しました。東大でも成績は優秀で、すごくできる人だった」(知人)

※女性セブン2016年11月3日号

【私の論評】日本人を駄目にする悪魔企業電通は使うな、入るな、入れさせるな(゚д゚)!

上の記事、高橋まつりさんのことや、電通という会社の体質を伝えていますが、これは本当に電通という企業のほんの一面を伝えているに過ぎません。

では、現実の電通はどのような会社かといえば、一言でいえば、「悪魔企業」とでも形容したくなるようなおぞましい姿です。

悪魔のイラスト
電通は、単体では世界最大の約1兆4千億円の年間売上高を誇る広告代理店です。(株)電通は、社員約5700人を抱えるメディア・政財界に巨大な影響力をもつ企業です。日本ではトヨタも日産もマツダも電通、家庭電器でも東芝、松下、日立、サンヨー、ソニーが、揃って電通に広告を任せています。

電通は、広告面を買い取るのではなく、上半期や下半期という単位で紙面を買い切り、それを広告主に売り捌くやり方で、完全におおもとから利権を掌握しています。さらにこの事自体が広告で経営が成り立つマスコミからはタブー視され、電通に関しては表立った報道がされることはありません。

これが日本のマスメディアの異常な状況の現況となっています。まずは、マスメディア、特にTV報道の質が低いという事実厳然たる事実があります。これは世界的にも言える事なのですが、特に日本のマスメディアの質は諸外国と比較してこの上なく低いです。

その理由として、先ずはマスメディアの支配構造に目を向けることが必要不可欠です。以下に、現状の電通によるメデイア支配の図式を掲載します。


すでに知っている方にとっては取るに足らないあまりにも当たり前の話ですが、マスメディアを下支えしているのは所謂「スポンサー」と呼ばれる企業群で、TV関連事業は視聴者の視聴料では無く、このスポンサーの広告料を得ることで成立しています。

スポンサーが番組の合間に出す広告が「CM」であり、番組の視聴者に自社の商品/サービスの認知を図り、購買意欲を喚起することが目的です。

そしてその「CM」の製作を請け負っている企業が「電通」です。そうして、現在のマスメディアはこの「電通」によって支配されているのです。

この事実を知らない方が、このようなことをを聞くと、CM制作会社ふぜいがマスメディアを支配することなど出来る訳が無いだろう、思われるかもしれません。

しかし、マスコミ業界の全体の構造を見れば、そのような構造になっていることが誰にでも理解できると思います。

そうして、電通は日米政府の世論形成をするため、日本国内で権力を振るうとてつもない、怪物のような存在にすらなっています。以下にその図式を掲載します。


では、電通がなぜそしてどのようにそれを実現するための「権力」を得るに至ったかをそ

その前に、そもそも「権力」とは何かということを掲載します。

人間は誰しもが、まずは自らの生命を維持すること、できることを前提としてさまざまな活動をしています。まずは、これが保障されなければ、人は誰でもその他のまともな活動はできません。この前提は、人類に共通する行動基盤であり、国や人種を問いません。

そして人間はこの「生命維持」を脅かす可能性のある存在に畏怖の念を抱き、これに本能的に従おうとします。私は、この従属行動を呼び起こす存在が「権力」であると考えています。

生命維持を脅かすモノとは、古くは「暴力」でした。力の強いものが弱いものを自分の通りに動かす、自分の思う通り動かなれば、生命を奪うってしまう。このような単純な原理から物理的な「強さ」を持つ人間に、殺されまいとする恐怖心から、これに屈服せざるを得ないという状況に追い込まれました。

しかし、現代社会においてはその形を変え「カネ」がその役回りを演じています。

文明が進み法が整備されるにつれて、暴力は悪であるという社会通念が形成され、暴力による直接的な生命の奪取という危険性は、一部を除き大幅に減少したようにもみえます。しかし、本質的には今も暴力が支配しているのかもしれません。しかし、今の社会では多くの人々がその本質に気づかいように巧妙にその事実は隠蔽されています。

現代社会においては、衣食住が生命維持の基盤であり、これを実現するには「カネ」が必要不可欠です。現代人が「カネ」への影響力を持つ個人、或いは集団を、イコール「権力を持つモノ」と考えるのは至極当然のことです。

またその権力を形成する要因として、別の視点から見ると、もう一つ大切な要素があります。それは「情報」です。

例えば会社組織のような比較的小規模なヒエラルキーの中でさえ、一般社員<管理職<役員<社長という順に取得できる情報は増加します。

情報を他者よりも多く持つ人間は様々な場面において、自らが得た情報を駆使し、的確な判断が出来るようになります。ところが、情報を持たない人間はそれが出来ず、様々な場面で誤った判断をしてしまい、場合によっては「死」に繋がる事もあります。

以上の事を考えると、権力とはすなわち「カネと情報」この双方を持つ個人、或いは集団に与えられる「見得ざる力」であるといえます。

では、次に、電通が何故マスメディアを支配可能なほどの権力(カネと情報)を手中に収める事が出来たのでしょうかこの点について考えてみます。

これを考えるにあたって以下の2点について掘り下げる必要があります。
電通の収益源とは 
電通の歴史とは
最初に電通の収益源について説明します。彼らの収益源は、先に記した「CM制作」のみにとどまりません。

TV番組側が提供する広告枠についても、電通が仲介役となりスポンサー企業に対しその枠が売り渡されます。今の日本ではこの仲介の殆どを電通が取り仕切っているのです。TV側はスポンサー企業からの広告収入で成り立っています。

そのため、お客様であるスポンサー企業の不祥事等をTVで流すことは、ビジネスの性質上困難です。

震災後、東電の問題体質をTVニュースがほとんど言及しかったのも、これらの図式から考えれば当然の事であり、「ジャーナリズムはカネの力で圧殺される」という事態に陥るのも必然なのです。

そして、電通が仲介役を独占しているという事実から、実はスポンサー側もTV側も電通に頭が上がらない状況となっているのです。

本来単なる広告代理店に過ぎなかった電通は、は広告代理市場の独占するような企業に随分前からなっていました。そうなると、電通に嫌われると企業は広告を出しづらくなりますし、そうなればTV側も収益源が絶たれてしまうといった図式を作り上げることに成功したのです。

このように、スポンサー/TV側のそれぞれの生命維持活動に必要な「カネ」の流れを、この電通が握るという図式を作り上げ、事実上電通こそがこの3角関形のトップに君臨する存在(権力者)となったのです。

そして、電通はスポンサー企業とTVメディアそれぞれの情報を握る立場にあり、まさに「カネと情報」からメディアを支配しているのです。今回の、電通東大卒女性社員自殺のような不祥事は以前からあったのですが、これがTVニュースで過去にはほとんど見る機会がなかったのも、このような図式によるものです。

この図式では、例えば電通が知り得た情報を自由に操って、彼らにとってデメリットとなる報道内容の規制や、スポンサー企業のプロパガンダをTV番組に流させる、という事さえも可能なのです。

彼らの商売の本質であるビジネスモデルが理解いただけただけたでしょうか。

では電通のビジネルモデルをご理解いただいたところで、次は歴史的観点から、電通が権力を握るに至った経緯について考えてみます。以下に電通の歴史を掲載します。


電通の歴史は古く、それは明治時代にまで遡ります。

日本電報通信社は、1907年に日本広告株式会社を併合して誕生しました。誕生当初は、「広告業と通信業をセットで」行っていました。これは、世界史における通信社の歴史と同じです。

世界初の通信社は、フランスのアヴァス(後のAFP通信)だと言われています。ロスチャイルドが情報を操作して、資産を大きく膨らませていた時代に誕生しました。このアヴァスからロイター通信などが生まれました。ロイター通信は、後のイギリス諜報部(MI6)の母体となりました。

アヴァスは、同時期に登場していた新聞社に、情報を売っていくようになりました。新聞社はアヴァスがもたらす情報によって、紙面を生めることが可能になったのです。

しかし、新聞社が通信社を頼る度合いが強まると、通信社に払う金が嵩み、通信料を払えないという事態が頻発しました。そこでアヴァスは、通信料の換わりに、広告枠を引き受け、広告を出そうとするスポンサーからカネを取るという手法を編み出したのです。
これを初期の電通も踏襲しました。このことは、紙面のほとんど全てを電通が握ってしまったことを意味します。新聞社(メディア)に絶大な権力を持ったのも当然でした。

以下に電通の歴史をたどります。

●通信社の一本化
満州事変の際には、国策によって国内の通信社が一本化されました。これは、政府・軍部が国内の情報統制をやりやすくするためでした。この結果新聞総合社の広告部門が電通に、電通の通信部門が新聞総合社(→同盟通信)に吸収されました。
●戦時中
同盟通信は南方の通信機器の独占使用や対外謀略放送の任務を軍部から託され、事実上軍部の国策の手足となって大本営発表を流し続けていました。一方で、日本電報通信社(電通)は、広告のノウハウを生かして占領地で特務機関まがいの活動を行っていたとされ、軍部と密接な動きを見せていました。
●分かれてはいるが、根っこは一緒の電通・共同通信・時事通信
戦後の財閥解体の流れを受けて、同盟通信社が共同通信と時事通信に分割現在の、電通、共同通信、時事通信になりました。これらの会社は3つの会社に分かれているのですが、起源は一緒で、しかも、電通、共同通信、時事通信は、互いの株を持ち合っているのです。
●日本中に張り巡らされた電通人脈
一方で、日本電報通信社は戦前の準特務機関としての性格を生かし、政府・GHQに食い込むことに成功しました。1947年、新社長に「鬼十則」で有名な吉田秀雄が就任すると、この動きはさらに加速しました。
吉田は満州や上海から引き上げてきた、旧軍人・満鉄関係者を電通に大量に採用しました。彼らは広告のノウハウを持っていたわけではなく、電通で実質的にフィクサーとしての活動を行っていました。大陸人脈や政財界との近さ、そしてCIAとの関係など、彼らはミニ児玉・ミニ笹川の集団だったと表現しても過言ではありません。 
1951年に公職追放が緩和・解除されると、電通の旧軍人・満鉄関係者が続々と政財界に復帰していきます。このようにして、電通人脈が日本中に張り巡らされていったのです。 
1952年に、自民党・吉田茂から政党PRを依頼されてから、政府筋と電通との癒着は、決定的となりました。
●アメリカのプロパガンダ手法を取り入れた電通
この社長吉田秀雄は、戦後の「大電通」を確立させた功労者だと言われます。電通の「フィクサー化」だけに留まらず、アメリカ式広告法(プロパガンダ手法)の導入などの、電通近代化を推し進めました。
●テレビ放送を巡る暗闘 電通vs正力
1951年には民放ラジオ放送局が続々と発足し、発信し始める。ウラで糸を引いていたのが、電通・吉田秀雄だった。彼は、未経験の領域への進出を渋る新聞社を説得して、ラジオ局を設立させた。現在でも先発放送局に電通の所有株が残っています。 
その一方で、CIAのエージェントとして読売新聞を全国紙に押し上げた正力松太郎が「民間テレビ放送」作りに奔走しました。電通・吉田にとっては、これは自らの主導権に他する重大な挑戦でした。そこで、新聞社、電電公社などを使って猛烈な反対攻撃を浴びせました。 
しかし、1953年にテレビ放送が開始され、正力松太郎の日本テレビが民間テレビ放送第一号となりました。 
ラジオ防衛線に失敗した電通・吉田は、次の手としてTBSとそのネットワークを使って、日本テレビのイニシアティブを退ける試みに挑戦しました。この結果、日本テレビと東京放送(TBS)の競争が激化していきました。 
こうして、アメリカ発日本弱体化のための世論支配は
CIA→正力→読売・日本テレビ
アメリカ政府→アメリカ広告業界→電通→TBS
という形でスタートしました。
しかし、電通のメディア支配力が強まり、今や読売・日テレでさえ逆らえない状況にあります。 
「アメリカによる日本のマスコミ支配」を考える際に、その中核にいるのが『電通』という一企業だということになります。
ただし、アメリカによる日本マスコミの支配という図式の中のアメリカとは何を指すのでしょうか。実は、このように日本を弱体化しようという勢力がアメリカの全部ではないのです。それは大きな部分を占めています。

しかし、他方別のアメリカもあります。それはアメリカの保守層です。アメリカ保守層は、日米が戦争したのは間違いであるし、その決断をしたルーズベルト大統領が当時のソ連と組んだことが、歴史上の大きな間違いだったとしています。

実は、このような保守層は、アメリカの半分くらいはいると推測できるのですが、アメリカのマスコミの実に90%がリベラル・左派に押さえられてしまっているので、アメリカ保守メディアは10%程度に過ぎません。米国の保守の声は圧殺されいてます。

この状況は酷いもので、 日本では電通がメディアを支配していることもあって、日本人の多くはアメリカの現実の半分しか知らないし、その半分をアメリカの全体だと思ってしまっています。そうして、電通電通を介して行われる日米による世論形成における、米国とはこの保守層ではなく、アメリカのメディアで大勢を占めるリベラル・左派ということです。

この文脈で電通や、アメリカを見なければ、事実を見誤ります。

しかし、現在は、従来と異なり、電通による情報力とカネによる優勢性は下がっています。何しろインターネットが台頭してきています。このメディアに関しては、さすがに電通はもとより、他のどんな巨大組織であっても、いかなる権力をもってしても、制御したり操作することはできません。例外中国ですが、その中国だって現在でも、完璧に制御しきれてはいないですし、いずれ機能不全に至るのは目に見えています。

電通東大卒女性社員自殺が、10ヶ月程遅れたとはいえ、テレビでも報道されるようになり、しかも、電通に対する強制捜査が行われたということは従来なら考えられないことです。

これは、アメリカのリベラル・左派による戦後体制がほころびつつあることの証左であるものと思います。

今は権勢を誇り、驕り高ぶっている電通ですが、この状況はこれから未来永劫にわたって続くことはないです。

なお、電通の実体を掲載している動画を以下に貼り付けておきます。



今回の記事と併せてご覧いただけますと、電通に対する理解がさらに深まります。この動画でも、述べていますが、電通には極端に働く社員層と、極端に働かない社員層があります。

極端に働く社員層とは、たとえば、高橋まつりさんのような一般家庭の出身者です。極端に働かない社員層とは、著名・有名人・社会的地位の高い人達の師弟です。

高橋まつりさんは、極端に働かない社員たちの犠牲になったのです。このあたりは、厚生労働省あたりもしっかりと調査をして、明るみにだしていただきたいものです。

そうして、悪魔企業電通を弱体化するために、私達としては、日本人を駄目にする悪魔企業電通は、広告媒体としてなるべく使うな、雇用先として最悪の電通には入るな、入れさせるなという方針を貫くべきでしょう。

広告媒体として使わないということは、現在では大企業には無理なのかもしれません。しかし、大企業の日本に占める割合は数%にすぎません。その他多くの星の数ほどある中堅企業や中小企業などは電通など直接にも間接的にもつかわずに、新興インターネット媒体などを使うべきです。

就職を考える学生やその親たちも、絶対に電通を就職先に選ぶべきでもないし、選ばせるべきではありません。一般家庭出身の人であれば、電通に入ってしまえば、奴隷のように働かされるだけです。

電通に師弟を入れた著名有名人・社会的地位の高い人達は、来高畑淳子のように公開の臍を噛むかも
著名・有名人・社会的地位の高い人達の師弟も、電通に入るべきではありません。入って、10年もすれば、他社では使いものにならなくなってしまいます。単なる馬鹿に成り果てて、社会に不適応な人間になるだけです。

自分たちの子どもや孫を電通に入れるべきではありません。電通に子どもを人質にとられると、自分の仕事や事業に支障がでるかもしれません。何よりも、自分たちのこどもが、いわゆるバカ息子、バカ娘になる可能性が高まり、バカ息子にはバカ嫁が、バカ娘にはバカ婿が来ることになり将来に大きな禍根を残すことになります。

このようなことを地道に続けていけば、電通はやがて姿を消すか、姿を消さないまでも、悪魔ではなくなり、普通の企業になることでしょう。電通が普通の企業になり、まともにイノベーションできる組織になれば、それはそれで良いことです。しかし、今のままでは日本人にとって良いことは一つもありません。

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2016年10月23日日曜日

【衆院ダブル補選】東京10区は小池百合子氏支援の自民・若狭勝氏が勝利 福岡6区は鳩山邦夫氏の次男が分裂選挙を制す―【私の論評】知事選等で野党勝利でも国政レベルでは何も変わらない(゚д゚)!

【衆院ダブル補選】東京10区は小池百合子氏支援の自民・若狭勝氏が勝利 福岡6区は鳩山邦夫氏の次男が分裂選挙を制す

 7月の参院選後、初めての国政選挙となる衆院東京10区と福岡6区の補欠選挙は23日、投開票が行われた。東京10区は自民党前職の若狭勝氏(59)=公明推薦、福岡6区は無所属新人で前大川市長の鳩山二郎氏(37)の当選が確実となった。

 補選は8月に発足した第3次安倍再改造内閣、9月に就任した民進党の蓮舫代表にとっても初の国政選挙。16日投開票の新潟県知事選で与党系候補が敗れ、いったんは遠のいたとみられた衆院解散だが、今回の2補選での勝利で再び「解散風」が強まり、首相の背中を押す可能性もある。

東京10区補選候補者
 東京10区補選は、7月の東京都知事選で転身した小池百合子知事の議員失職に伴って行われた。都知事選で自民党の方針に反して小池氏を支援した若狭氏だったが公募の結果、党公認として出馬。民進党新人の鈴木庸介氏(40)との事実上の一騎打ちとなった。若狭陣営は、小池氏が頻繁に応援に入ったほか、安倍晋三首相や公明党の山口那津男代表も応援に駆け付け、終始優位に選挙戦を進めた。


 福岡6区補選は、鳩山邦夫元総務相の死去に伴い実施。自民党からは、邦夫氏の次男の二郎氏に加え、県連が推す蔵内謙氏(35)も出馬。党本部は候補者の一本化を図ったが、不調に終わって両氏の公認を見送った。二郎氏が当選したことで、党本部は追加公認する方針だ。民進党は新人の新井富美子氏(49)を擁立したが及ばなかった。

 野党は両補選とも民進党候補に一本化し、共産、自由、社民各党が支援。共産党は野党共闘を進めるためとして、擁立する予定だった公認候補を取り下げていた。


【私の論評】知事選等で野党勝利でも国政レベルでは何も変わらない(゚д゚)!

上の記事では、「16日投開票の新潟県知事選で与党系候補が敗れ、いったんは遠のいたとみられた衆院解散だが、今回の2補選での勝利で再び「解散風」が強まり、首相の背中を押す可能性もある」とありますが私は新潟知事選挙に関しては国政選挙である衆院選には最初から影響は全くなかったと思います。
それも、安倍晋三首相の解散戦略だけでなく、今後のエネルギー政策についても、ともに国の政策なので、地方選で左右されるものでは全くありません。

エネルギー政策に関しては、新潟県知事選では、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題が争点となり、県民の過半が再稼働に慎重だったので、米山氏に風が一気に吹いたのでしょう。

原子力行政について、実は与党と野党との政策の差はあまりありません。ほとんどの政党は脱原発という方向性は同じで、そのスピードに差があるという程度に過ぎません。

エネルギー政策は、原発即ゼムというのでなければ、現状の政府と方向性は同じ
先の参院選での公約を見ても、自民党は原発依存度を下げ、安全性の確保を前提として原子力規制委員会に認められたものを立地自治体の理解を得て再稼働を進めるという立場です。

民進党は「脱原発」ですが「原発即ゼロ」とは言ってはいません。

公明党は原発新設を認めず、原発ゼロを目指すとしていますが再稼働については自民と同じです。日本維新の会は「原発フェードアウト」、共産党や生活の党などは「原発即ゼロ」という具合です。

では、米山氏はどういう考え方だったのでしょう。米山氏は10年ほど前に政界に入ったのですが、当初は自民党でした。その後、維新に移り、維新が民進党に吸収され、今回は無所属での出馬でした。維新は脱原発の方向ですが、原発即ゼロという立場ではなく、民進も原発即ゼロではありません。

原発即ゼロでない限り、再稼働は、安全確保の上で原子力規制委員会が認めたものを地元自治体の理解を得て行うという政府方針と大差がありません。

新潟県の場合、前任の泉田裕彦氏は再稼働に慎重で、県の「技術委員会」もあり、福島第1原発事故を独自に検証しています。泉田氏は「福島事故の検証と総括なしには再稼働の議論はしない」という立場で、米山氏もそれを踏襲すると考えられます。

そうした科学的見地からの意見が出てくるのは県民のために望ましいことです。それらが県の見解となって、政府判断における「地元の理解」を形成することになるのでしょう。

衆院解散は、安倍首相の専権事項です。安倍首相自身が国会において「ない」と否定しました。そもそも地方固有の話と国政は別物です。そして米山氏が原発即ゼロでない限り、再稼働に慎重という意味では与党方針と大差はないのです。

新潟県知事選で勝利し、万歳する米山隆一氏(右)=16日夜、新潟市
新潟県知事選で与党候補は、こうした「慎重判断」の流れを理解しないまま、県民に支持されていた泉田県政を批判したことで、昔ながらの行政をすると見切られて敗北したのでしょう。

いずれにせよ、新潟知事選挙は地元の事情を反映したものに過ぎず、国政レベルでは元々何も変わらなかったとみるべきです。

これについては、公明党の斉藤鉄夫選対委員長も同じようなことを語っています。16日夜、同日投開票された新潟県知事選で自民、公明両党が推薦する前長岡市長、森民夫氏の敗北が確実となったことを受け、斉藤委員長は「県民生活向上に向けた森候補の訴えが十分に浸透せず残念だ。支援くださった皆様に心から御礼申し上げる。国政への影響はないと考えている」との談話を発表していました。

これに関しては、沖縄も同じことです。野党も沖縄を即独立させよなどと言っているわけではありません。民進党等が沖縄独立を主張するというのなら別にして、そうでない限り、結局のところ沖縄の基地問題など、「地元の理解」を得ながら、辺野古への基地移転をはかるということですから、沖縄の知事やその他の自治体の首長がいかに反対しようとも、野党も結局「地元民の理解」を得ながら基地移転するなどの選択肢しかありません。

沖縄県民で独立賛成派は1%に過ぎない
沖縄の防衛に関する県民意識調査
そもそも地方自治体レベルで、安全保障を考えるなどということは、それこそ江戸時代の幕藩体制に戻るということであり、それはどう考えても成り立ちません。単なるアナクロニズムであり、どんな理屈を持ってしても、これを沖縄県が考えるようにするとしたら、沖縄が独立して一つの国となり、その国において考えるということでなければ、成り立ちません。

これは、あの鳩山由紀夫氏の「勉強すれば勉強するほど、沖縄の米海兵隊の重要性がわかってきた」という発言からみても、明らかです。いくら地元の自治体等が騒いだにしても、野党も政府とは全く異なった見解を持っているように装ったにしても、結局国政レベルでは安全保障の責任は政府が持つものであり、地方自治体が担うものではないという原則は、動かすことはできず、結局政府と同じようなやり方になるし、もし野党が沖縄独立を主張したりすれば、それこそ、国政選挙では大きなマイナスになるだけです。

結局、仮に野党が政権をとった場合、現政府と同じようなやり方しかできません。そのようなことはわかりきっているのに、野党はエネルギー問題でも、沖縄基地問題、安全保障でも、政府と全く異なった見解を持っているように装っているだけです。

このあたりに目覚めず、沖縄問題をことさら大きく扱う野党は、共産党のように万年野党になるか、選挙で負け続けるだけになり、いずれ社会党のように消えてなくなります。

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