2020年4月20日月曜日

コロナ危機、日本は本気で「中国からの撤退と北朝鮮崩壊」に準備せよ―【私の論評】中国人民解放軍にも中国ウイルスの感染者が存在する可能性が大(゚д゚)!

コロナ危機、日本は本気で「中国からの撤退と北朝鮮崩壊」に準備せよ
お人好しではコロナ後を生き抜けない
大量難民は日本にとって対岸の火事ではない

世界はエデンの園の皮を被ったゴッサムシティだ

柔道・レスリングなどのスポーツの国際試合で、ケガをしてサポーターを巻いた部分を執拗に攻撃する外国人選手がいる。日本人にとっては「卑怯」な行為である。しかし、実のところ「水に落ちた犬はたたけ」は、世界共通のコンセンサスなのだ。

(自称)儒教国では「強いものが権力を握る」のが当然だから、ケガをした弱者をいたぶるのは別に悪いこととされてはいない。先進国と呼ばれる国々でも、建て前では弱者保護を唱えながら結局本音は「強いものが勝つ」なのだ。

象徴的なのは「ルールの解釈」だ。多くの日本人は「ルールを破らないように(ルールの)内側で行動する」が、日本以外の国の人々は「ルールを多少はみ出しても、ペナルティの笛が鳴らなければOK」という考えが主流である。つまり、明確に「反則」と判定されるまでは「有効」なのである。

最近、第2次冷戦、ウイルス戦争、第3次世界大戦という言葉をしばしば聞く。そのような騒然とした環境の中で、日本だけが武士道の精神にのっとって「ルールの内側」だけで考えていては、国家の破滅を招きかねない。

1274年と1281年の2度の元寇の際、武士たちは正々堂々と名乗りをあげてから、集団戦法の並み居る大軍に一騎打ちを挑んだ。たぶん「生きては帰らぬ覚悟」で数千、数万の軍団に単身で向かった武士たちは、攻める側にとっては特攻隊の飛行機のように恐ろしかったに違いない。

日本の勝利に彼ら勇敢な武士が貢献したことは確かだが、神風が吹かなければ日本が勝ったとは思えない。

戦争に負ける悲惨さは、第2次世界大戦における敗戦で多くの日本人が味わったが、GHQが占領してくれたおかげでかなりマイルドなものになった(対共産主義の前線基地になったという幸運もあったが……)。

もしもソ連が占領(少なくとも日本の北半分はそうなる可能性がかなりあった)していたら、まさに日本はスターリンの「収容所群島」(アレクサンドル・ソルジェニーツィン作)ならぬ「収容所列島」になっていたであろう。

また、東日本大震災に続いて、今回も執拗に尖閣諸島近辺などでの侵犯行為を繰り返す火事場泥棒の共産主義中国が日本を侵略し、ウイグルやチベットのような統治を行う可能性を考えるとぞっとする。

戦後75年間日本の平和が続き、オールドメディアによって偏向させられた情報があふれていたために、(グローバル)世界は、まるでエデンの園のような世界だと思わされてきたが、実はゴッサムシティ(アメリカンコミック『バットマン』に登場する米国の架空の都市)のような場所であることが明らかになってきている。

むしろエデンの園は「日本」であり、我々はゴッサムシティの侵略と闘わなければならないのだ。

敵に塩を贈るのは日本人だけだ……

オールドメディアが「大変だ」と大騒ぎして多くの国民の不安やイライラを増幅させ、国民同士の関係をぎすぎすしたものにしている。もちろん大変な状況なのは間違いないが、だからこそ政府を含めた国民が一丸となって困難に立ち向かわなければならないのだ。

そもそも中共(武漢)肺炎の火元は、共産主義中国であり、米国では中国に対して損害賠償を求める動きが活発化している。

また、4月17日公開の「マスク不足の真犯人は誰だ! 中国共産党政権の火事場泥棒を許すな」で述べたように、実質的に日本から奪ったマスクで、他の国の足元を見る不当な取引を行っている。

4月14日に、大阪市の松井一郎市長は、大阪府内の医療現場で防護服が不足していると訴え、「使用していない雨合羽があれば、ぜひ大阪府・市に連絡してほしい」と提供を呼びかけている。それほど切羽詰まっているのである。

思い出されるのが、2月4日に自民党の二階俊博幹事長の要請を受け、東京都の小池百合子知事が、共産主義中国に贈呈するため、追加で日本政府に防護服を提供する意向を伝えた「事件」である。

小池氏によれば、都はこれまでに防護服2万着を提供し、さらに5万から10万着を贈る用意があると発言したが、結果的に合計33.6万着も送付したと伝えられる。

前述の大阪のような事態が東京も含めた全国で生じている中での行為だ。都民(国民)の血税で備蓄された防護服を尖閣への「火事場泥棒」的な侵犯を繰り返す国に贈呈した罪をオールドメディアが取り上げないのはどのように考えてもおかしい。

さらに、日本のテドロス(WHO事務局長)と呼ぶべき二階氏の罪は重い。共産主義中国からの入国禁止が遅れ水際作戦が危機に陥ったのも、自民党内で権力を持つ媚中派の二階氏が暗躍したためと言われる。

安倍首相の中共(武漢)肺炎対策を批判する声が多いが、オールドメディアが「アベ憎し」の一念から、モリ・カケ、さくらに続いてウイルスまで持ち出して政権打倒をはかっているだけではない。自民党内の二階氏をはじめとする媚中派なども足を引っ張る中でかなり健闘していると思う。

「有事」の現在我々が行うべきことは、日本侵略を虎視眈々と狙っている共産主義中国と対峙するだけではなく、日本を内側から侵食する「媚中派」を一掃することである。

本当の有事になる前に撤退すべし

日本政府は、中共(武漢)肺炎の感染拡大で製造業のサプライチェーンが寸断したことを受け、生産拠点が集中する中国などから日本への国内回帰や第三国への移転を支援する。緊急経済対策の一環として総額2435億円が2020年度補正予算案に盛り込まれた。

オールドメディアから、額が少ない云々の話が聞こえてくるが、どちらにせよ中国大陸からの撤退は緊急かつ必然なのだから、政府の支援を有り難く頂戴すべきだ。

そもそも、共産主義中国に最初に進出した時の日本企業の考えが甘い。米国とイランあるいはキューバとは犬猿の仲だが、その大きな理由に過去両政府が行った米企業の資産接収がある。

1978年のイラン革命で、パーレビ政権と蜜月関係を維持していた米企業の資産は、イスラム革命で権力を握った新政府に接収された。もちろんイラン大使館人質事件で世界に恥をかかされた恨みもある。

キューバでは、1959年に親米バティスタ政権を倒したカストロ氏が主導権を握り、サトウキビ農園(多くの地主は米国系)の解放を行った後、1960年に米国企業を接収して国有化している。

この資産接収を行ったキューバへの恨みは深く、トランプ政権になってからキューバ自由民主連帯法(通称:ヘルムズ・バートン法)第3章の適用除外を2019年5月2日に廃止。当時接収された資産を利用して、直接または間接的(第三者経由)に利潤を得る商業行為をする企業に対して、当該資産の米国人所有者が米国の裁判所に損害賠償訴訟を起こすことを可能とした。

つまり、60年ほど前に接収した資産が第三者の手にわたっている場合でも損害賠償を可能としたのだ。

世界一の軍事大国でさえ、共産主義(イスラム)国家に煮え湯を飲まされるのだから、軍隊を持たない(自衛隊はあるが……)日本という国の企業資産がどのように蹂躙されるのかは、想像するだけでも恐ろしい……

さらに、製油所を始め外国企業の資産の国有化を行うのは多くの(共産主義)独裁国家で日常茶飯事といえる。

北朝鮮もイランも

イランは中共(武漢)肺炎の直撃で困難な時期を迎えている。米国にたてつく余力などない。

北朝鮮政府の発表によれば「中共ウイルスの感染者はゼロ」だが、これは大本営発表よりもさらにひどい「共産党発表」だと考えて間違いないだろう。もっとも、感染の疑いのある人間をすべて処刑すれば「感染者ゼロというのはまんざら嘘ではない」というのも事実だが……

苦し紛れにミサイルを打ち上げ花火のように乱発しているが、世界はそのようなことにかまっている暇はなく、ほぼ「無観客試合」だ。

イランも北朝鮮も、結局自滅するしか道がないように思えるが、北朝鮮の自滅は日本にとって脅威だ。

まず、日本海防衛

つまり、北朝鮮が崩壊してウイルスに感染した難民が大挙して日本海を超えてきたらどうする? ということだ。しかも、指揮系統が乱れた「元軍人」が武装したままやってくることも十分考えられる。

共産主義中国は、すでにウイルスを抑え込んだような顔をしているが、すべてが隠ぺいされる国家では何が本当かわからないし、再流行の可能性はかなり高い。

北朝鮮と地続きの中国大陸の混乱がひどければ「エデンの園」である日本へ海を渡るというリスクをとってやってくる人々が増えるであろう。

日本海側に居住する方々は、夜も眠れない日々が続くかもしれない・・・・

本来であれば、今回の中共(武漢)肺炎騒動までに、憲法改正を含む国防問題を解決しておくべきであった。詳しくは、12月12日の記事「日本は侵略されて初めて『憲法改正』を行うつもりなのか…?」を参照いただきたい。

しかし、今からでも遅くはない。緊急時に憲法改正など……という声もあると思うが、ウイルスで弱体化した日本に対する海外からの侵略の脅威が目の前にあるからこそ、憲法改正を含む防衛問題の改善を急ぐべきなのだ。

「エデンの園」である日本は、世界中の野獣から狙われている。世界ルールは「水に落ちた国はたたけ」ならぬ「ウイルスで弱った国は侵略しろ」なのだ。

いつまでもお人好しでいれば、日本人はアダムとイブのようにエデンの園を追われることになる。

【私の論評】中国人民解放軍にも中国ウイルスの感染者が存在する可能性が大(゚д゚)!

中共による、個人財産の接収はすでに始まっています。中国広東省の広州市と深セン市において、緊急時に個人資産を没収できるような法律制定されました。

中国共産党という組織のことを理解している人間からすれば驚くべきことではないですが、他の地域では、既に法的な手続きを踏まないで、個人資産を強制的に没収しているようです。

現在の中国では、地方政府が法律を制定したり、個人資産を没収したりしていますが、没収した資産は、各地の中国人民解放軍の管理下に入っているようです。そのうち、中国全土の個人財産が軍の管理下に入れるという可能性も否定できません。
中国では、中国ウイルス感染前から経済が悪化しており、社債の債務不履行が増えていました。直近でも、巨大企業の海航集団(ドイツ銀行の筆頭株主)などが相次いで経営破綻したりするなど、中国の経済状況は思わしありません。そこに、中国ウイルスが追い打ちをかけました。

さらに、中央政府は、ここ数年、一帯一路などで諸外国を取り込むために、海外に金をばら撒いているため、実際には国庫が空になりかけていて、新型コロナウイルスの感染拡大を口実にして、個人資産の没収や企業に対して生活必需品の提供を要求することもも十分あり得るでしょう。

さらには、外国騎乗の資産接収ということも十分あり得るでしょう。そのようなことになる前に、日本企業は中国から脱却すべきでしょう。

上の記事では、日本海防衛の重要性が述べられていました。特に、北朝鮮が崩壊してウイルスに感染した難民が大挙して日本海を超えてきた場合の脅威について強調されてしました。これは確かに大いにありそうなことです。

一方人民解放軍の脅威については述べられてはいません。これは、どうしてなのかということで、少し調べてみました。

結論からいうと、以前このブログの記事でも述べたように、米軍のみならず、中国海軍にも中国ウイルスの罹患者が存在するからです。

そうして、日本の自衛隊には、感染者はほとんどいないという事実もあります。日本では、感染率や死者が海外に比較すると少ないですが、それにしても自衛隊員で感染した事例は、海外からの帰国者や公務以外で感染であり、自衛隊の部隊で公務中に感染者が蔓延しているという話はきいたことがありません。

防衛省は1月下旬以降、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」や、政府のチャーター機で中国から帰国した人たちの一時滞在先などで支援活動を実施しています。延べ約1万3300人(19日現在)の自衛隊員が、PCR検査の検体採取や食事の配膳などに携わりました。厳重な防護態勢で臨み、活動に伴う感染者は一人も出していません。

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」における自衛隊の防疫活動
これだけの活動をしながら、一人の感染者も出さなかったのは、自衛隊の防疫体制が優れていることを物語っています。一方、中国の人民解放軍も防疫活動に携わっていますが、これによる感染者は報告されていませんが、私自身はこれは信用していません。実際には、感染者が出ていると考えるのが妥当でしょう。隠蔽しているだけだと思います。

香港(CNN) 中国の国営メディアは16日までに、同国海軍の空母「遼寧」とその随伴艦船が太平洋海域に出動したと報じています。

遼寧らの出動は、中国海軍が兵士の新型コロナウイルス感染を封じ込めている証拠と見せ付ける狙いとの見方もあります。中国共産党の中央軍事委員会の後方支援部局で健康問題担当幹部の少将は先月の会見で、中国軍兵士の間に感染者は皆無と主張してもいました。

環球時報は遼寧らの今回の展開を受け、外国の多くの空母は新型コロナの被害で出動態勢にないとし、感染者が出ている米国とフランスの空母を皮肉りもした。中国軍部隊は常に力強い戦闘即応態勢を維持しており、駐留場所にかかわらずいかなる時でも派遣が可能とも誇示しました。

ただ、中国軍が新型肺炎の影響を受けていないとの主張を疑問視する指摘もあります。米海軍の元大佐でハワイ太平洋大学の講師は中国軍艦船が自国の沿岸部近くで活動し洋上の時間が限られるのなら新型コロナによる影響は隠せると説明しています。

20日間以下の短期派遣なら疾病による作戦遂行への影響を排除出来ると分析。母港へ戻れば疾病拡大の証拠が公にさらされることを防げるとも説きました。私自身は、中国は感染を隠蔽するために、遼寧などを出港させ、そのついでに挑発行為をさせていると睨んでいます。

中国海軍では、ある艦艇で中国ウイルスの感染があったことも報道されています。中国紙・環球時報(電子版)によると、上海の造船所で11日、昨年進水した中国海軍初の強襲揚陸艦「075型」の船体で火災が起きたそうです。電気工事のミスなどが原因として推定されるといいます。中国のSNSに船体から黒煙が立ち上る複数の写真が投稿されました。

昨年進水した中国海軍初の強襲揚陸艦「075型」
075型は全長約250メートルと中国軍では空母に次ぐ大型艦で、台湾侵攻などを想定しているとされます。昨年9月に進水し、試験航海の準備中でした。この火災で就役が遅れる可能性が高いです。

このような事故がおこるのは、中国海軍の士気が落ちていることの証左であり、そうしてその原因は中国ウイルスの感染であることは十分に考えられます。

私としては、中国海軍の艦艇では、当たり前に感染が起こっており、それを軍部はひた隠しに隠している可能性は十分にあると思います。今後中国の艦艇の行動を注視すべきです。一回あたりの航海が短期であれば、館内で中国ウイルスが蔓延している可能性が大です。

それを隠蔽するために、中国海軍の艦艇は、出港し、短期で港引き返し、感染者を下ろし、感染していない交代要員を載せて、また航海に出ているという可能性があります。

感染は、潜水艦の中でも起こっているのではないかと考えられます。潜水艦だと、居住区は狭いですし、まさにいわゆる三密空間であり、感染が広まるとあっという間に乗組員全員に感染が広まることになります。もし、中国がこれも隠蔽していたとしたら、とんでもないことになりそうです。そのうち、行方不明になったり、他国に救助を求める潜水艦もでてくるかもしれません。

中国潜水艦内部(潜望鏡に付けられているカメラに注目! どうみてもCANNON)

中国海軍の実力に関しては、日本の海上自衛隊よりは能力的には下です。とくに、対潜哨戒能力では、日本にはかなり遅れを取っています。それに加えて、中国ウイルスに汚染されその隠蔽のために、出港しているというのであれば、これはまさに戦力外です。

尖閣にあいかわらず、出没する中国の艦艇の中でも、感染者がでている可能性があります。彼らの本当の任務は、感染者がでていることを隠蔽することであり、尖閣で示威行動をするのは、あくまでサブの任務ということもありえます。

中国人民解放軍が19016名「武漢肺炎ウイルス」(倍可親網)に感染したと報道しています。これは、真偽の程にのはわかりませんが、人民解放軍にはかなり感染者が出ているとみるべきでしょう。

そのようなことを考えると、日本が今一番に考えるべきは、北朝鮮や中国からの難民のようです。その中には、感染者や、武装した者もいる可能性が高いということです。

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2020年4月19日日曜日

中国が言い張るコロナ「市場起原説」は覆されるのか―【私の論評】中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中共がこれを隠蔽したことが後にパンデミックを招いたことこそ詳細に調査するべき(゚д゚)!

中国が言い張るコロナ「市場起原説」は覆されるのか

米国人医療専門官が警告していた研究所からウイルス流出の危険性

武漢にある中国政府のウイルス研究機関(手前)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 全世界に広がった新型コロナウイルスがどこで発生したのかはいまだ不明のままであるが、真相に迫る動きが米国で進んでいる。

 まず4月14日、米国政府専門官が2年前に武漢にある中国政府のウイルス研究機関を訪れ、コウモリ由来のコロナウイルスの研究を視察して、「安全性に問題があり、流出の危険もある」と警告を発していたことが明らかとなった。また、米国の大手テレビは4月15日、「米国政府は、今回のコロナウイルスが武漢の中国政府研究機関から流出したことを確信するに至った」と報道した。

 新型コロナウイルスが武漢の市場ではなく研究機関から流出したという説は、これまで根拠のない「陰謀説」とみなす向きが多かった。だが、こうした新情報により、新型ウイルスが市場で発生したという説が揺らぎ、陰謀説の真偽が問い直されようとしている。

武漢の研究所を訪れた米国の医療専門家の警告

 ワシントン・ポストは4月14日、国際問題専門のジョシュ・ローギン記者による「コウモリのコロナウイルスを研究する武漢の研究所の安全性について国務省が警告していた」と題するコラムを掲載した。

 同報道によると、米国政府国務省は2018年1月から3月の間に数回、北京の米国大使館の科学・医療担当専門官2人を、武漢の国立武漢ウイルス研究所(WIV、中国の公式名称は「中国科学院武漢病毒研究所」)に派遣して、同研究所内でのコロナウイルス関連の研究や実験を視察させた。

 中国では2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生し感染を国際的に広げたが、2018年1月当時、同研究所ではSARSコロナウイルスに似たコロナウイルスに関する研究や実験が行われていた。その研究にあたっていたのはウイルス研究の著名な学者として知られる石正麗氏だ。石氏らは、コウモリから発生したコロナウイルスも調査していたという。

 北京の米国大使館の同専門官2人は、この視察の結果に基づき、国務省本省あてに懸念や警告を表明する公電を送ったという。ローギン記者はその公電を入手したとして、その内容の骨子を以下のように記していた。

・この研究所では、コウモリ由来のコロナウイルスの発生とそのウイルスの人間への感染について研究をしている。その目的は人間への感染を防ぐことだとされているが、研究所でのウイルスの扱い方は安全性や管理方法に問題があり、ウイルス流出の危険性がある。

 ローギン記者によると、以上の公電を書いた米側2人の専門家の最後の来訪は2018年3月18日で、同研究所側の記録サイトにもその来訪が詳しく記されていたが、その記述は2020年4月上旬に削除されたという。

 同記者は「今回の新型コロナウイルスが同研究所から発生したと断定する証拠はない」と述べながらも、「同研究所からではないと断ずる根拠もない」と総括していた。

トランプ大統領は「全力で調査中」
 このワシントン・ポストの報道に歩調を合わせる形で、FOXテレビは4月15日、「米国政府国務省は、新型コロナウイルスが中国・武漢の研究所から発生したと確信するに至った」という内容のニュースを放映した。

 同ニュースは、複数の政府筋からの情報として「米国政府が『同ウイルスが武漢ウイルス研究所(WIV)で生まれ、外部へ流出した』と断定するようになった」と伝えていた。

 そのウイルスは生物兵器として作られたわけではない。危険なウイルスの拡散防止や管理に関して中国のほうが米国よりも優れていることを証する目的で研究が進められた。ところが、コウモリから人間への感染を研究したその後にウイルスが外部へ流出したという。

 こうして米国では、「研究所発生源説」がにわかに注目されつつある。中国政府は武漢市内の海鮮市場で新型コロナウイルスが発生したと主張しているが、いまだにその明確な証拠は示されていない。当初、武漢でのウイルス拡散を隠ぺいしたこともあり、中国政府が唱える「市場起源説」に改めて疑惑の目が向けられている。

 この研究所発生源説について、4月15日の記者会見で記者から質問されたトランプ大統領は「政府はいま全力で調査中だ」と答えた。

 いまや全世界を揺るがす新型コロナウイルスの発生源をめぐって、中国政府の当初の発表がいよいよ疑われる状況となってきた。

【私の論評】中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中共がこれを隠蔽したことが後にパンデミックを招いたことこそ詳細に調査するべき(゚д゚)!
中国ウイルスの世界的大流行をめぐり、エマニュエル・マクロン大統領率いるフランスが、米国に続いて「中国・武漢の生物研究所から流出」「中国政府による情報隠蔽」といった疑惑の検証・追及に乗り出す可能性が出てきました。自国内で感染者や死者が多発しているからです。フランスが誇る原子力空母「シャルル・ドゴール」の艦隊でも多数の感染者が確認されています。



米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は18日、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が「多大なる関心を持って情報当局が調査を実施することに、驚きは全くないはずだ」と記者団に語ったと報じました。

フランスは科学技術で中国と協力関係にあったとされます。もし、米国主導の疑惑検証に加われば、「中国の闇」が明らかになるかもしれないです。

武漢にある中国政府のウイルス研究機関の正式名称は、「中国科学院武漢ウイルス研究所」のことで、ここでは、危険性が最も高い、バイオセイフティーレベル4のウイルスや病原体が研究されており、コロナウイルス研究の中心的な研究所としても知られています。

この研究所で感染した科学者が“感染者第1号”となって、地域に感染を広めたという“武漢研究所起源説”は“中国ウイルス生物兵器説”とともに、“トンデモ説”として、科学者たちに否定されていますが、今、トランプ政権は、この説の検証を進めています。

私自身は、生物兵器説は、当初からあり得ないと考えていました。なぜなら、世界のいくつかの国々が長い間、生物兵器を開発してきたのですが、現在に至るまで様々な障害があったために、未だに生物兵器が実用化の段階に入ったという報告はありません。ただし、原始的な方法で最近やウイルス等をばら撒くことまで、生物兵器の範疇に含めるというなら、そのような兵器は作成可能だと思います。

ただし、「中国科学院武漢ウイルス研究所」で保存してあったウイルスが、外部に何らかの形で外に漏れたということは十分にあり得ることだとは思っていました。そのウイルスに人為的に何か手を加えたものなのか、あるいは天然のウィルスが、漏れてしまっただけなのかは、現状では何らのエビデンスもないので、それは新たな情報を待つしかないと考えます。

一方、検証を進めているトランプ政権にとっては、好ましくない情報も流れています。英米メディアが、武漢研究所のコロナウイルスの研究に、米政府が莫大な研究資金を援助していたことを報じているからです。

つまり、もし、この研究所から新型コロナが流出していたことが証明された場合、新型コロナの感染拡大には、間接的ではありますが、米政府も関与していたということになるからです。米の議員は、米国民の税金が中国の危険な研究に使われた可能性があるとして、怒りの声をあげているそうです。

トランプ政権の国家安全保障担当の高官らは、武漢研究所から中国ウイルスが流出した可能性と、中国ウイルスが人工的に開発された生物兵器であるという可能性を考えていました。しかし、このブログでも指摘したように、後者の可能性はゲノム解析の結果、人工的に作られたものではないとわかり、否定されました。

そして、2ヶ月前から、2年前の公電がトランプ政権内を駆け巡り始め、安全運営に問題があったと指摘されていた武漢研究所から新型コロナが流出した可能性が議論され始めたといいます。

2年前の公電とは、北京のアメリカ大使館の外交官が、武漢研究所を数度訪問、その際、研究所の安全性に問題があることに気づかされた外交官は、米政府に「コウモリのコロナウイルスに関する危険な研究を行なっている研究所の安全性が不十分である」と警告する公電を2回送っていたというのです。

2018年1月19日付の公電は、

「この研究所には、高度に密閉された研究室の安全運営に必要な、訓練された技術者や調査員が非常に不足している」

と安全運営の問題を指摘していました。

では、どうやって新型コロナは流出したのでしょうか。

英紙デイリーメールは、新型コロナを含んだ血を浴びた武漢研究所の科学者が感染者第1号となり、その科学者が地域に感染が広めた可能性があると報じています。

公電はまた、コウモリのコロナウイルス研究は重要かつ危険であることから、米政府は武漢研究所を支援するよう訴えていますが、実際、米政府は研究所に研究資金を援助をしていたと英米のメディアは指摘しています。

英デイリーメールが入手した書類によると、米国は武漢研究所のコロナウイルス研究に370万ドルの資金援助を行なっていたといいます。

武漢研究所は、研究所から1千マイル以上離れた雲南省の洞窟に住むコウモリをコロナウイルスの実験に使っていたのですが、同紙によれば、その実験には、米国立衛生研究所(NIH)が出した370万ドルの研究資金が投じられていたというのです。

また、フォックスニュースも、武漢研究所は、米国立衛生研究所から710万ドル相当の研究資金を得ていたと報じています。うち、370万ドルが前述のコウモリのコロナウイルス研究に関する研究資金で、340万ドルがウイルスをねずみの脳に注入する研究資金だったといいます。

ちなみに、中国は、コロナウイルス研究を通して、中国は米国並みか米国以上に、コロナウイルスの発見に取り組んでいることを示したかったようです。

また、武漢研究所の主任研究員で「コウモリ女」というニックネームを持つジェンリー・シー氏は、1年前に発表した論文で、コウモリに由来するSARSのようなコロナウイルスの感染爆発が中国で起きることを、以下のように警告していたといいます。

「将来起きるSARSやMERSのようなコロナウイルスによる感染爆発はコウモリに由来する可能性が非常に高い。そして、感染爆発は中国で起きる可能性が高まっている」

コロナ研究を行なっている武漢研究所

米政府の資金援助で行われたコロナウイルス研究の過程で新型コロナが流出し、感染が世界に拡大した可能性があることに対し、米国の議員たちは怒りを抑えきれません。

「米国立衛生研究所は370万ドルの研究資金を武漢研究所に提供し、研究所はそのお金でコロナウイルスの研究者を募集、その後に、武漢で新型コロナ感染が発生した。アメリカ政府が何年間も、武漢研究所の危険で残酷な動物実験に資金提供を行い、それが、新型コロナ感染の世界拡大を引き起こした可能性があることを知り、むかついている」(共和党下院議員のマット・ガエズ氏)

「米国人が死んでいるのは中国共産党政府の責任であることに疑いの余地はない。彼らは、新型コロナの起源を隠蔽することで、米国人の命を危険にさらしている。米国立衛生研究所はすぐに米国人の税金を中国の危険な研究に投じるのをやめなければならない」(共和党上院議員のマーサ・マクサリー氏)

ところで、武漢研究所に資金提供していたのは米国だけではありませんでした。

カナダも、直近では、先月、この研究所に資金提供していたことを、カナダのレベルニュースが伝えています。カナダの研究機関は、3月初め、新型コロナと闘うための研究開発資金を同研究所に提供すると発表したといいます。

信憑性を帯びてきた、武漢研究所起源説ですが、武漢研究所も中国政府も感染爆発は研究所とは無関係と主張しており、多くの専門家も関係性を否定しています。

一方で、新型コロナが武漢の海鮮市場に由来するという中国政府の主張はおかしいという指摘もあります。

ランセットに出された中国人研究者の論文によると、昨年12月1日に確認された最初の感染者や、最初の感染者集団の3分の1以上の人々は海鮮市場と繋がりがなく、また、市場ではコウモリが売られていなかったからです。

また、中国政府は新型コロナの感染源に関する情報を完全に封じ込め、米国人専門家に、初期の患者から採取した新型コロナの検体をまだ提供していないといいます。

1月11日に新型コロナのゲノムを発表した上海の研究所はすぐに閉鎖され、医者や初期に感染拡大を報じたジャーナリストは姿を消してしまったとも言われています。

トランプ政権がこの研究所から新型コロナが流出したという証拠を突き止めるのは難しいという声もありまうが、今後の行方が注目されるところです。

上記のように様々な情報が錯綜してますが、このブログでも以前指摘したように一つだけ確かなことがあります。

それは、このブログでも掲載した2010年にノーベル文学賞を受賞したペルーのリョサ氏の発言です。その発言を掲載した記事のリンクを以下に掲載します。
ノーベル賞作家、中国が「独裁国家」でなければ事態は違った 新型コロナ―【私の論評】中国に対する怨嗟の声が世界中から沸き上がり世界は大きく変わる(゚д゚)!
2010年ノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス・リョサ氏
この記事より、一部を引用します。
 リョサ氏は最近スペイン紙パイスとペルー紙レプブリカに執筆した論説で「もしも中国が独裁国家ではなく自由な民主国家だったら、今世界で起きているようなことはどれも起きていなかったかもしれない、とは誰も指摘していないようだ」と記しました。 
 一党独裁国家で反体制派に容赦ない弾圧を加えていると人権団体などから広く批判されている中国は、このリョサ氏の言及に激怒し、在ペルー中国大使館が抗議声明を発表。 
 「わが国は表現の自由を尊重しているが、そのことは恣意(しい)的な中傷や汚名を受け入れることを意味するものではない」と述べた。 
 また中国大使館はリョサ氏に対し、「著名人として、無益で無責任、偏見に満ちた意見を広めないよう」求めると述べた。 
 リョサ氏は同じ論説の中で、「少なくとも一人、あるいは複数の高名な医師が、十分に時間がある段階でこのウイルスを突き止めたにもかかわらず、中国政府は対応する措置を取る代わりに情報の隠蔽(いんぺい)を試み、そうした声、良識ある声を黙殺し、情報を抑え込もうとした。すべての独裁国家がそうするようにだ」とも述べている。 
 リョサ氏はまた新型コロナウイルスは「中国が発生源」とも表現しているが、中国大使館はこれを「不正確」だと指摘。「世界保健機関(WHO)は現段階まで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生源を特定できていない」と反論した。
中国ウイルスの発生源がいずれであろうと、それが生物兵器であろうとなかろうと、それに米国などが資金援助をしていたかどうかなどとは、別にして、 少なくとも一人、あるいは複数の高名な医師が、十分に世界が、そうして当の中国が、中国ウイルスに対応できる時間がある段階でこのウイルスを突き止めたにもかかわらず、中国政府は対応する措置を取る代わりに情報の隠蔽を試み、そうした声、良識ある声を黙殺し、情報を抑え込んだことは事実です。

米国やフランスも、「中国・武漢の生物研究所から流出」「中国政府による発生源の情報隠蔽」などを追求することも実施できるならすべきですが、中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中国政府がこれを隠蔽、それが後のパンデミックにつながったことこそ、時系列的に整理し、詳細を調査するべきです。

それなしに、他の調査を詳細に行ったところで、それが今後中共がパンデミックスを起こすことを防ぐための端緒にはならないどころか、中国に格好の隠れ蓑を与える結果になってしまいかねません。

そうして、詳細を調査し、さらに具体的な改善点を指摘し、それを中共に実施させるべきです。そうして、実施したか否かを模擬的に試験などをして、調査すべきです。

そうして、もし中国がそうした要請に応じないというのなら、世界の国々は、中国を自分たちの社会から隔離すべきです。これは、厳しい措置にみえるかもしれませんが、曖昧にしたまま、中国を隔離しなければ、次に何か中国発でウイルスとなども含めて、危険なことが発生した場合、また危機が世界に及ぶこと可能性は否定できないどころか、かなりの高い確率で発生しうるからです。

当然、陸上の国境はすべて封鎖、海上は機雷などで封鎖し、人的交流はなし。そのために、世界の国々の軍事力を総動員することになるでしょう。貿易もしません。それを実行するため、中国による対外的なドル使用は禁止とします。ただし、定期的にオブザーバーを受け入れるなら、定期的に調査をして、中国人民が窮乏して危険なレベルになったときは、援助をするということにするべきです。

もし、そのようなことに反対する国々が多かったとすれば、それらの国々と、中国とを、自由世界から隔離するしかないでしょう。無論これらの国々では、ドル使用はできないようにすべきです。要するに、世界は東西冷戦の時代のようになるかもしれません。ただし、東側陣営はかなり少なくなることが予想されます。

こんなことを言うと、ヘイトだなどという方もいらっしゃるかもしれませんが、中共が自らを変える、すなわちそれは、自ら崩潰することを意味しますが、それを決心しない限り、中国発の危機を食い止めるにはこれしか方法はありません。それが現実です。そうしなければ、世界はいつまでも中国発のパンデミックなどの脅威に悩まされることになります。

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2020年4月18日土曜日

政策スピード不足 官僚の壁 一律給付に財務省反対―【私の論評】中国ウイルスで死者が出る今、政治がまともに機能していれば、起こらないはずの悲劇が起こることだけは真っ平御免(゚д゚)!

政策スピード不足 官僚の壁 一律給付に財務省反対

安倍晋三首相は17日の記者会見で
安倍晋三首相は17日の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大の阻止に向け「国民皆でこの状況を連帯し、乗り越える」と訴えた。2月29日以降、記者会見の回数は5回に上る。だが、都市部を中心に感染者数は増え続け、緊急経済対策に盛り込んだ現金給付では減収世帯への30万円の給付から国民1人当たり現金10万円の一律給付に方針転換するなど迷走を重ねた。首相の思惑とは逆に、政権への批判は強まっている。

 首相官邸の政策決定にスピード感が欠けるのは、前例踏襲を常とする官僚が壁になっているためだ。

 感染の有無を調べるPCR検査について、首相は再三、1日当たりの検査能力の引き上げを指示したが、厚生労働省は軽症者の入院が増えて重症者支援が遅れれば医療崩壊を起こすと難色を示してきた。新型コロナは感染しても軽症か無症状の人が多い。検査ができないままでは、国民の不安が強まるのは当然だ。

 新型コロナ感染症に治療効果が期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の承認手続きやオンライン診療でも、副作用への懸念から、医師免許を持つ幹部職員らが「立ちはだかった」(政府関係者)とされる。

 現金給付をめぐっては、財務省が国民全員を対象にすれば、「大企業や年金生活者など打撃のない人にも配るのは不公平だ」と主張した。官邸は一律給付が膨大な財源を必要とすることも考慮し、対象を減収世帯に限り、1世帯当たり30万円の給付に傾いた。

 だが、首相が要請した全国の小中高校などの休校や外出自粛による在宅勤務で、家庭では食費など想定外の支出がかさんでいる。企業は先行きへの不安から今後の賃上げに慎重になるのは必至だ。消費税率10%も家計の重しになるだろう。首相はこうした国民感情を重視し、緊急事態宣言の対象区域を全国に拡大したのを機に10万円の一律給付に転じた。17日の記者会見で首相は「もっと判断を早くしておけばよかった」と率直に語った。

 「私たちにはもっとできることがある。目の前の現実に立ち向かうだけではなく、未来を変えることだ」。首相は会見でこう協力を呼びかけた。ただ、5月の大型連休を過ぎても感染者数が高止まりし続ければ、首相が要請した国民の努力も巨額の経済対策も水泡に帰する。来年7月に延期した東京五輪・パラリンピックの開催も危ぶまれる。首相は自らの判断が国家の命運を握る覚悟を持ち、果敢に対応すべきだ。(小川真由美)

【私の論評】中国ウイルスで死者が出る今、政治がまともに機能していれば、起こらないはずの悲劇が起こることだけは真っ平御免(゚д゚)!

10万円一律給付を決定する件で公明党がかなり強く出た事で、安倍総理が実現にこぎ着けることができたところがあるのは、事実ではあるのですが、朝日新聞は相変わらずこの件についても印象操作をしています。

「一律給付に反対の安倍首相が折れた」などと報道しています。

【世論の不満、折れた首相 与党に転換迫られ 10万円給付へ 新型コロナ】
(2020/4/17 朝日新聞)

そしてこれ、時事通信も全く同じような報道をしています。

【公明、「連立離脱」論で押し切る 官邸主導の政治手法に影―現金給付1人10万円】
 新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済対策で、焦点の現金給付は国民1人当たり10万円とすることが決まった。連立解消まで持ち出した公明党の強硬な要求に安倍晋三首相が折れた形で、2020年度補正予算案を組み替える異例の展開となった。第2次政権発足以降貫いてきた官邸主導の政治手法が今回ははね返され、首相の求心力低下も印象付けた。~以下省略~(2020/4/17 時事通信)
一律給付はむしろ安倍総理は実施したい側でした。それを特に強固に反対していたのは麻生太郎でした。

麻生は「2009年の定額給付は叩かれまくったから絶対にダメだ」と国会でも個人的にも根に持っているのを隠さない答弁ぶりでした。

そこで安倍総理は岸田政調会長に指示を出したわけですが、財務省のポチで緊縮財政派の岸田政調会長は一律給付の声を無視して「1世帯あたり30万円給付します!」と、総理に話を持っていって了承を取り付けました。

岸田政調会長

しかも、蓋を開けてみたらおもいっきり所得制限がついてよくてもせいぜい5世帯に1世帯程度しか対象にならない中身でした。財務官僚としてはまんまとしてやったりと言ったところでしょう。

そこにでてきたのが、公明党です。総理としては、公明党と根回しをした上でこれを利用したのでしょう。

一律給付に連立離脱も辞さないと主張したものの、それでも岸田ら財務省派の連中が一歩も譲歩せず、4時間もの交渉の末に結局結論は先送りとなりました。そこに安倍総理の一押しでようやく一律給付実現にこぎ着けました。
消費税増税についても財務省のポチで国民の利益より財務省を守る個人的政治信念を優先する老害麻生太郎と岸田文雄という財務省の代弁者により、上げざるを得なくなったというのが事実です。

自民党内の若い議員達、特に今回の一律給付と消費税減税を求めた100人になる議員達に言いたいのですが、政府に文句を言うのではなく自分たちの派閥のボス、岸田、麻生にこそそのエネルギーをぶつけるべきだったと思います。

特に麻生は国民の利益より財務省を守るという事に関しては従来から全くブレたことがありません。過去には、消費税増税が間違っている事を講演などで語りつつも、必ず財務省の省益最優で動いてきました。

麻生財務大臣

その麻生の強い影響力の土台になっているのは、麻生に直接文句を言わないくせに麻生派に所属して党内第二派閥の領袖という麻生の権力を支えている議員達です。そこを自覚すべきです。

麻生派の議員がやるべきだったのは、定額給付に対しての個人的な恨みまで持ち出して一律給付断固拒否で抵抗した老害麻生を説得することであったはずです。

なんでもかんでも総理だけを悪者にするのは、「僕は派閥のボスに目を付けられたくないので総理を批判してポーズだけ取ります」という風に見られても致し方ありません。

朝日新聞や時事通信、読売新聞など第一次安倍内閣の倒閣に動いた記者クラブ談合メディアの一部は隙を見ては現在も第一次安倍内閣の時から全く同じ書き方を使っています。

「首相が折れた形だ」、「折れた首相」、「求心力の低下を印象づけた」

意思を通しきれない頼りないリーダー、安倍晋三。これが朝日新聞が第一次安倍内閣のときからずっと繰り返し使ってきたイメージです。そのための「折れた首相」という書き方です。

先のも述べたように、今回は安倍総理は公明党を利用したというのが真相でしょう。

今回公明党が切ってきた「連立離脱」カードは強固な基盤を持っていない議員にとっては
本当にあるかどうかわからない創価票が減る事で落選してしまうという危機を抱くことになります。

特に二階派はそういう有象無象が集まっていますし、岸田派、麻生派もそうした議員は少なくありません。

安倍総理のように地元に圧倒的な地盤を築いている議員ならいざ知らず、当落ギリギリのところにいる議員達にとっては次の選挙で落ちるかもしれないぞという脅しになります。

安倍総理が菅官房長官を切れないのも管-公明党ラインがあるからなのでしょう。

また、今回のことで公明党内の支持基盤層の不満もかなり抑えられるでしょう。公明、山口なつお氏に花を持たせた形ですからね。

自民党内では、一つの派閥ばかり強くさせるとパワーバランスを調整できなくなってしまうのです。面倒な話ですがこれが議院内閣制です。

安倍総理は、国会で反日野党にひたすら嫌がらせされながら空いた時間で政策を進めつつ、こんな水面下のバランス調整を7年以上も続けているのです。

これまでも何かある度にマスコミが「首相の求心力低下を印象づけた」「優柔不断な首相」という印象操作を行ってきました。

こんな事を書きながら同時に「第2次政権発足以降貫いてきた官邸主導の政治手法」などと報道しているのですから噴飯ものです。

朝日新聞や時事通信、読売新聞などの記事のとおりなら、<今までずっと党を無視して官邸で決定し押し切ってきた優柔不断で求心力低下を繰り返してきた安倍総理は8年も政権を続けてきた。>

という矛盾したことになるのですが、彼らはそれに気づいているのでしょうか。

今回のことで改めてはっきりしたのは、麻生太郎や岸田文雄らが国民生活より財務省のポチであろうとする事を選ぶ連中だということです。

岸田派としては岸田がせっかく総理に「1世帯あたり30万円給付します(ほとんど対象にならない)」と報告して了承を得た案が総理と公明党によってはっきりひっくり返されたわけですから、岸田派としてはメンツが丸つぶれということです。しかし、これは国民のことを全く考えずひたすら財務省ポチであり続けたことの代償です。

そうして、それ以上に、岸田があてにならないので切り捨てる事になってもかまわないという判断を安倍総理が行ったことになります。

長い時間外務大臣をやって次期総裁候補の一角にも名前が出るようになった岸田は、総裁選への備えのためにも大臣交代を直訴。そして今のポジションにいたわけですが、肝心な所で財務官僚が書いた台本で総理を騙して「ほとんど真水を出させない経済対策」を押し通そうとして大やけどをした形です。むしろ求心力低下は安倍総理よりも、岸田の方がよほど大きいです。

昨日の衆議院厚生労働委員会で、山井和則(京都6区比例復活)、岡本充功(愛知9区比例復活)らが安倍総理の揚げ足取りだけを目的に質問に立ちましたが、今回総理が10万円給付に変更したことに関連して以下のようなやりとりがありました。



山井
「総理は一律給付には3ヶ月以上かかると当初言っていた!嘘をついていたな」

安倍総理
「3ヶ月以上かかると言っていたので新たな方法を検討するように指示したら期間短縮ができるとなったから一律給付に決めた」

山井
「総理は虚偽の説明をしていたんだな!総理の言う事は信用できない!緊急事態宣言もろくに精査せず発表したんだな!」「総理の言う事は信用できない」

山井としては、「総理は一律給付をしたくなくて嘘をついていた。責任を取って辞任しろ!」ということにするために質問に立ったのがよくわかる質疑でした。

山井の不毛な質疑でしたが、こんな質疑でも山井の意図とは全く別の角度で安倍総理の役に立ちました。

山井の質問に対する安倍総理の答えは以下のようなものでした。

安倍総理
「これまで一律給付は3ヶ月以上かかると説明されてきた。新たな方法を検討するように見直しをさせたら住基台帳を使うアイデアが出てきた、これで5~6月頃から配布が可能と言われた」

自民党内で一律給付と消費税減税を求めた100人以上の議員が党内で議論を開いた時に政調会長らは「一律給付の場合は3ヶ月以上かかってかえって時間がかかるから所得制限」という話で押し切っています。

この件は小野田紀美議員がぶち切れしてツイッターで愚痴っていたのでご存じの方もいらっしゃると思います。

要するに麻生も岸田も一律給付反対、緊縮財政派なので一律給付に対して財務省サイドは「できない理由」を作ってそれしか方法がないかのように説明をしてきたわけです。

なので麻生大臣に至っては「一律にしたら金がくばられるのは8月以降になる」とまで言っていました。麻生は良くも悪くも自分の部下の説明は疑わないようにしているので財務官僚にまんまと嘘をすり込まれていたのかもしれません。

財務官僚はその説明で総理まで騙していた形になります。

財務省の岡本薫明事務次官

ところが一律給付を実現させたい総理が見直しをさせたら住基台帳やネットなどを使う事で早く配れるようにできる、という話が出てきたわけです。出てきたのは総務省サイドからのアプローチのようです。財務省ってほんとに国民の邪魔しているだけです。

本当ならマイナンバーカードが全国民に普及していたらそれに基づいて振り込めばいいだけなのでもっと短縮できたはずです。日本のマスコミと反社会勢力(共産党と旧社会党系)にとっては口座の名寄せが行われるといろいろ都合が悪いので長い間邪魔をしてきたおかげで歴代政権は、彼らに足を引っ張られ放題です。

先にもあげたように、総理に対してすら「一律給付は3ヶ月以上かかる」と「できない理由」を作って説明してきた財務省は嘘つきであり、やはり解体すべきだと思います。

対象を絞って30万円支給するのと、10万円一律給付とでは、どう考えても10万円一律給付のほうが、はるかに簡単で、早いはずです。対象を絞った場合は、対象であるかどうかを確認するのにかなり手間取るはずですし、役所に人が大勢集まりコロナ感染を誘発しかねません。

さらには、支給金詐欺も横行しそうです。何しろも対象を絞っての給付金は、給付資格を何らかの形で証明しなければならなくなりますから、複雑だし、不正受給の温床にもなります。

今回のような、緊急時には財務省と財務大臣は対策会議等に参加できないようにするという措置が必要かもしれません。何しろ緊急時であっても国民の命よりも省としての方針、緊縮財政を重視するのですから、これからも国難のたびに足を引っ張られることになるのは間違いないでしょう。

そもそも、復興税などという、自然対策に税金を用いるなど古今東西に全く例のない(疑うなら調べてください)奇妙奇天烈な税制をつくったのですから、これくらいのことはされても仕方ありません。多くのサラリーマンは未だにこの税金を天引きで支払い続けているということを忘れるべきではありません。

安倍総理は党内のバランスを取りながら今回は公明党まで使ってきたやっと実現できた形です。政策実現のためにそこかしこに根回しをしているのでしょう。緊急事態宣言についても反対する閣僚を説得して回っていたのが総理という実態だったようですし、五輪延期についてもしっかり関係各所とIOCなどと調整がついてから発表しました。

今回自民党内で一律給付を求めた若手議員達はこういう実態を踏まえて発言と行動をより磨くべきです。

中国ウィルス終息後、いかに中国の影響力を削いでいくか、むしろ本番はそこからになると見ておかなければなりません。党内で強力に議論を進められるだけの実力を付けてもらいたいです。

議院内閣制の総理大臣は独裁などできず、なかなか前に話が進んでいかないもどかしさがどうしてもあります。ですが面倒であっても手続きこそが民主主義でありますし、利害が対立するところを調整するのですから時間がかかるのは当然とも言えます。
これからの課題は、国益と利害対立する、財務省の「省益」をいかに取り除いていくかということです。

世論調査では、10万円の一律給付のほうが圧倒的な支持がありました。結局私たち国民の世論の後押しもあって今回の10万円一律給付は実現したわけですが、次のステージは消費税減税でしょう。

総理の負担を考えれば、国会で反日4野党のゴミ質疑に毎日何時間も付き合わされているのだけでも辞めさせるべきと思います。

日本のマスコミの大半は総理を潰すことしか考えてませんので、これからも実態を無視した記事を書き続けるのでしょう。また、テレビのワイドショーも右に倣えです。

私たち国民が冷静に状況を分析し続けていくしかありません。ワイドーショーだけが、情報のソースのワイドシー民は、情弱であり、ワイドーショーをみて「対策が遅すぎる」「首相は公明党に折れた」とか挙句の果てに「もりとも桜」の話題も出るような始末です。実際、私もワイドショー民のそうした反応に時々遭遇することがあります。

馬鹿な情弱は、馬鹿の壁を高く築いてどうしようもないのかもしれませんが、それにしても、それが自分の親族、おじいちゃん、おばあちゃんなら、子供や孫なら、本当に残念なことだと思います。幸いなことに、我が家ではそのようなことはなく、ワイドショー民にあうのは家以外であり、その点では私は本当に恵まれていると思います。

ワイドショー民には、ネットの報道番組等をテレビでみられるようにしてあげて、財務省やそのポチたちからの情報操作、印象操作を受けないようにして、緊縮病を解いてあげるべきです。

このブログでは、『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』という書籍を哨戒したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【正論】「欲ない、夢ない、やる気ない」……現代日本の最大の危機はこの「3Y」にある 作家・堺屋太一―【私の論評】団塊の世代以上の世代には想像もつかない現代の若者の窮状(゚д゚)!
経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下のこの本の著者たちの言葉を引用します。
民主的な選択は、裏づけのある政策とそうでない政策を見分けることから始まる。特に国民の生死にかかわるようなリスクの高い政策選択においては、判断をイデオロギーや信念に委ねてはいけない。…正しくかつわかりやすいデータや証拠が国民に示されていないなら、予算編成にしても経済政策にしても、国民は政治家に判断を委ねることができない。その意味で、わたしたちはこの本が民主化への第一歩となることを願っている。
「経済政策はどんな薬、手術、医療保険よりも命に関係する」という著者たちの言葉の重みを感じます。この記事は、最近もこのブログで紹介させていただきました。

中国ウイルスが終息したとしても、その後の経済対策が悪ければ、中国ウイルスの死者を上回る死者を出すおそれもあるのです。

この記事を書いたのは、2016年3月4日です。この記事を読んだ私の知人の中に、「経済政策が人を殺すこともあるということは、絶対に信じることができない」という人がいました。

私は、これは私一人だけの意見ではなく、多くの経済学者などが指摘するところだと、言っても彼は考えを翻しませんでした。そうして、結局この書籍も読まなかったようです。

その彼に、最近「経済政策が悪ければ人を殺すこともある」と思うかと、再度聴いてみました。そうすると、今の彼は、中国ウイルスのこともあってか、考えを翻したようでした。そうして、この書籍も読んでいました。

世の中彼のような人ばかりだと良いのですが、ワイドショー民はそうではないです。彼らは、可愛そうなだけでなく、緊縮政策支持で自分で意識せず、意図せず、若い人たちを間接的に殺すことにもなりかねません。それが、自分の子供や孫だったらどうなるのでしょうか。今はただでさえ、中国ウイルスで死者が出る時期です。本来政治がまともに機能していれば、起こらないはずの、悲劇が起こることだけは真っ平御免です。


2020年4月17日金曜日

国が「休業補償」を実施しても財政破綻の心配などない カネケチらず国民の命守れ! ―【私の論評】財務省の緊縮病に愛想よく付き合っていれば、日本経済は確実に破壊される(゚д゚)!

国が「休業補償」を実施しても財政破綻の心配などない カネケチらず国民の命守れ! 
高橋洋一 日本の解き方

新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う休業要請の補償について、東京都は独自に行う方針だが、国は実施に消極的だ。東京以外の道府県は必ずしも財政事情が良くないので、国が出てきてくれないと大規模な補償は難しいのが実情だ。

 これについて安倍晋三政権で首相補佐官をしていた磯崎陽輔参院議員は、ツイッターで「全額休業補償をすれば、国は、財政破綻します。国名を挙げれば失礼ですが、イタリアと同じような状況になります。それは、医療崩壊へとつながるのです」と書いていた。


 これに対し、筆者は「もしこのような間違った財政破綻論にとりつかれていたら確実に『Z(財務省)緊縮病』患者。全額休業補償に必要なのはせいぜい数兆円レベル。これで財政破綻といいきるのは、1、2、…9、10、『たくさん』という人笑笑。その程度の財源作りなら教えますよ笑」と書いた。

 一般論だが、事業が厳しくなると、事業主は経費を減らそうとする。これが人件費にまで及ぶと休業や従業員の解雇となる。解雇の場合、労働者には失業保険が手当てされ、休業の場合には事業主には手当てに要した費用が雇用調整助成金として支給される。ともに、雇用を守るためのセーフティーネットだ。どちらも不正受給はいけないが、法律に基づくものは大いに活用すべきだ。

 国は、休業補償には及び腰であるが、雇用調整助成金の枠組みの中ではある程度の対応をしようとしている。

 ということは、経費のうち人件費以外の固定費などについては補償したくないという意思表示がうかがえる。ここでも、「Z緊縮病」のケチケチ根性丸出しなのだ。

 一体どれくらいの金額が必要なのか。大ざっぱな計算であるが、緊急事態宣言の区域である7都府県の国内総生産(GDP)合計はほぼ250兆円。休業要請するのは、経済活動別分類でいえば、宿泊・飲食サービス業、教育、その他のサービスが中心だ。それらの付加価値額は全体の10%程度として、経費と利益を全て補償したとすれば年間ベースで25兆円となる。

 仮に補償期間を3カ月(0・25年)として経費率8割とすれば、経費全てを補償する場合、25×0・25×0・8=5兆円。補償期間1カ月で全額でなく8割補償とすれば、必要金額は1・3兆円にしかならない。この程度であれば、国債を発行し、日銀が買いオペ対象にするだけで、インフレを起こすこともなく、簡単に捻出できる。

 一方、地方公共団体には、日銀の通貨発行益という奥の手はない。財政余裕度を示す財政調整基金(2018年度末)について、東京都は8428億円だが、大阪府は1489億円、神奈川県が591億円、千葉県が465億円という状況で、1兆円を超す支出を地方公共団体に求めることはできない。

 新型コロナウイルスに対しては、人と人との接触率を減らすのが当面の課題だ。早く打ち勝つためにもカネをケチってはいけない。国民の命を守るのは国の責務だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省の緊縮病に愛想よく付き合っていれば、日本経済は確実に破壊される(゚д゚)!

私達は今、二つの危機に直面しています。一つは、新型コロナウイルス感染拡大の危機です。この危機に対して安倍首相は4月7日、7都府県を対象に「緊急事態」を宣言し、外出自粛によって感染拡大を抑制する方針を示しました。経済的損失を覚悟のうえで国民の大半は「政府の要請」に協力するでしょう。

もう一つは、「日本経済は戦後最大の危機に直面している」(安倍首相)ことです。この危機を乗り切るため、同じ日に、安倍首相はGDPの2割に相当する「108兆円」の緊急経済対策を発表しました。


それでなくとも昨年10月の消費増税で景気は悪化していました。そこに新型コロナの影響で日本経済は本年度GDPでマイナス10%、実に55兆円もマイナスになるのではないかと言われています。

その穴埋めを政府の財政出動でしておかないと、国民経済は致命的な打撃を受ける。このため政府は今回、108兆円もの緊急経済対策(補正予算)を打ち出したのです。

ただしこの数字はこのブログでも以前述べたように、「事業規模」です。多くの経済学者が指摘しているように「真水」、つまりGDPを押し上げる効果がある政府の財政支出がいくらかが重要なのです。

実はこの108兆円には昨年12月に閣議決定された26兆円の経済対策の未執行分が入っています。よって、新規対策は82兆円。しかも中小企業向けに実施する納税や、社会保険料の支払い猶予のための26兆円は「財政支出」ではありません。

実際の「真水」に相当するのは「大変困難な状況に直面している家庭(一世帯30万円)、児童手当の上乗せ、中小・小規模事業者に対する現金給付と地方税減免」8兆円、「医療体制の整備と治療薬の開発」2.5兆円、「観光や農林水産業への補助金」8.5兆円などで、総計で20兆円に満たないと言われています。

現に、この補正予算に伴う新規国債発行額は16.8兆円です。量としては不十分です。この財政出動の出し渋りをした事務方のトップは、財務省の岡本薫明事務次官です。

財務省の岡本薫明事務次官

しかもこの財政出動の恩恵を直に受けることができるのは、一部の人に限られます。今回の2つの危機は、国民すべてに襲いかかってきています。よって、「給付金を一律10万円配布すべきだ」という案が与党や野党の一部からも出されていたのだが、これを否定したのが麻生太郎財務大臣でした。

公明党代表山口氏の要請もあり、政府・与党は4月16日、減収世帯限定の30万円給付を取り下げ、「国民1人あたり一律10万円給付」という異例の決定をしました。これは、当然といえば当然です。

緊急経済対策をめぐって、公明党は来週から審議予定の今年度の補正予算案を組み替えて現金10万円を一律に給付するよう求め、15日に自民党幹部と協議し、また山口代表が16日朝、安倍総理に電話で実現を改めて求めました。

これを受け安倍総理は、麻生副総理兼財務大臣と会談したほか、自民党の二階幹事長、岸田政調会長らを呼び、公明党との協議内容の報告を受けた上で、引き続き調整に努めるよう指示しました。山口氏としては、減額世帯限定の30万円給付だけでは、与党支持者の不興を買うのは必至であるとみたのでしょう。正しい判断でした。

一方、「日本の尊厳と国益を護る会」など自民党の若手議員約100人が消費税を一時的に減税すべきだと主張しましたが、これを却下したのが甘利明・自民党税制調査会会長でした。

甘利明・自民党税制調査会会長

ところが、今回の危機は簡単に収まりそうもないです。よって改めて真水の追加、つまり「一律給付」だけではなく、「消費減税」に踏み切ることで、国民一丸となって2つの危機に立ち向かう態勢を整えるべきではないでしょうか。自民党若手と野党の一部の奮闘を期待したいです。

一律給付が実現したのですが、消費税減税もしくは撤廃も実現すべきです。復興税もやめるべきです。コロナ禍は長期戦なので、給付金は必要とあれば何度でも実施すべきです。消費税減税も絶対必要です。一度の給付金では低所得層が持ち堪えられません。今後必要があれば、何度か実施すべきです。

財務省の緊縮に愛想よく付き合っていれば、日本経済は確実に破壊されることになります。

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2020年4月16日木曜日

米軍コロナ禍、その隙に台湾を恫喝する中国の卑劣さ―【私の論評】東アジアで失敗続きの中国は、今後軍事的挑発をエスカレートし、台湾武力奪取の可能性大(゚д゚)!

米軍コロナ禍、その隙に台湾を恫喝する中国の卑劣さ
日本にも迫る中国海洋戦力による危機

台湾海峡を通過中の米海軍イージス駆逐艦「バリー」(写真:米海軍)

(北村 淳:軍事社会学者)

前回の本コラム(「米空母『コロナ感染』でチャンス到来の中国海軍」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60070)で取り上げたように、南シナ海で対中牽制作戦を実施していた米海軍空母「セオドア・ルーズベルト」は艦内で新型コロナウイルス感染が発生したため急遽グアム島の米海軍基地に撤収した。

 作戦中断ならびに乗組員上陸措置を巡ってセオドア・ルーズベルト艦長のブレット・クロージャー大佐とトーマス・モドリー海軍長官代理をはじめとする海軍指導部が衝突し、クロージャー大佐は艦長を解任されてしまった。しかし、モドリー海軍長官代理に対する批判が湧き起こり、モドリー氏は辞職に追い込まれた。

 現時点(4月13日)で、およそ5000名のセオドア・ルーズベルト乗組員のうち感染が確認されたのはクロージャー大佐を含めて600名(全乗組員に対するPCR検査は現在も継続中)に上る。70機の航空機を積載した空母セオドア・ルーズベルトは完全に戦列を離脱してしまった。

 新型コロナウイルス感染のために緊急出動が不可能となってしまっている米海軍空母はセオドア・ルーズベルトだけではない。横須賀を母港としている「ロナルド・レーガン」、シアトル郊外のブラマートンで出動調整中であった「カール・ビンソン」と「ニミッツ」の3隻の乗組員にも感染者が発生している。

 このように大平洋艦隊の空母が4隻も新型コロナウイルス感染に見舞われたため、当面の間は東アジア海域に米海軍空母打撃群が緊急出動することは不可能な状況となっている。そのため米海軍などでは、「中国軍が米海軍空母戦力の不在につけ込んで、台湾を武力恫喝したり軍事攻撃するようような事態が起こらなければ良いのだが」と真剣に危惧している。

台湾東岸沖に中国の空母艦隊が接近

 米海軍がそうした危機感を抱くことはけっして杞憂ではない。実際に中国軍は台湾周辺で活動を活発化させている。

 4月10日午前、中国本土からH-6爆撃機、KJ-500早期警戒管制機、それに4機のJ-11戦闘機という計6機の中国空軍機編隊が、バシー海峡上空を台湾南端沖から台湾東岸沖へ抜けて、西太平洋上空での遠距離機動訓練を実施した。台湾空軍機が緊急発進し、監視活動を行ったところ、往路と同じくバシー海峡上空を経て中国大陸へ戻っていった。

中国福建省と台湾の間が台湾海峡。台湾とフィリピン(正確にはマヴディス島)の間がバシー海峡

 中国空軍機が中国へ取って返したのと入れ替わりに、アメリカ空軍EP-3E電子偵察機が台湾南端の南シナ海沖上空で情報収集活動を実施した。また、その日の夕方、アメリカ海軍第7艦隊に所属し、横須賀を母港としている米海軍イージス駆逐艦「バリー」が、中国軍による台湾周辺上空や海域における威嚇的行動を牽制するために、台湾海峡に北側から進入し南下を開始した。すると中国海軍はミサイルフリゲート「南通」を派遣して、バリーの追尾を開始した。

 バリー(および南通)が台湾海峡を南下中の4月10日夜7時頃、長崎南西沖東シナ海を南下する中国海軍の空母艦隊を海上自衛隊駆逐艦「あきづき」とP-1哨戒機が確認した。空母艦隊は空母「遼寧」、052D型ミサイル駆逐艦2隻、054A型ミサイルフリゲート2隻、そして901型高速戦闘支援艦「呼倫湖」の6隻で編成されていた。

中国海軍「遼寧」(写真:統合幕僚監部)

 4月11日、東シナ海を南下してきたその空母艦隊は沖縄本島と宮古島の間のいわゆる宮古海峡を西太平洋に抜けた。南下してきた中国艦隊は南西方向へ転進し、バシー海峡方面へと向かった。

 台湾東岸沖に中国空母艦隊が接近してきたため、台湾海軍では厳戒態勢が発令され、軍艦が出撃準備を開始した。それとともに台湾軍当局は台湾市民に向けて、「わが軍は台湾周辺の空域と海域に対する警戒態勢を固めている。台湾市民は安心してください」とのメッセージを発した。

 台湾東岸沖をゆっくりと南下した中国空母艦隊はバシー海峡を抜けて南シナ海へと抜ける模様である(4月13日時点で公式確認は取れていない)。

東アジア「唯一」の空母で台湾を恫喝

 東シナ海を南下し南西諸島島嶼線を抜けて台湾東岸を回り込んでバシー海峡を南シナ海へと向かった中国海軍空母「遼寧」は、現時点において東アジア海域で作戦行動を実施中の「唯一」の航空母艦である。

 上記のように東アジア海域に展開している米海軍空母セオドア・ルーズベルトとロナルド・レーガンはともに新型コロナウイルス感染のために緊急出動ができず、このほかの米大平洋艦隊空母も台湾・日本周辺海域に急行できる状態ではない。

 佐世保を母港としている米海軍強襲揚陸艦「アメリカ」は、軽空母としての運用は可能であるが、現在までのところ運用可能な艦載機F-35Bは最大で13機といわれている。したがって、練習空母の域を出ていないとみなせる「遼寧」に対してすら“空母”といえる状態ではない。

 もちろん中国海軍が空母艦隊を台湾東海岸沖に展開させて台湾を軍事攻撃するような愚劣な作戦を実施することはほとんどあり得ないが、現時点において東アジアで「唯一」の航空母艦を台湾周辺海域で航行させるということは、明らかに台湾に対する恫喝ということになる。

 実戦における航空母艦の威力に関しては、アメリカ海軍内においても疑義が生じてきている。だが、航空母艦という強力で巨大な軍艦を派遣することの政治的意義は、依然として強いのである。

 実際、中国軍当局者たちは、「中国軍航空機や艦艇による台湾周辺での各種機動訓練は、台湾分離独立分子に対する斬首作戦ならびに台湾独立分子を援助しようとする外国勢力の介入を阻止するための抑止効果を期待してのものである」と繰り返し述べている。

 そして「このような各種訓練を繰り返すことにより、台湾独立分子は自らの企てが無謀であることと、もはや外国勢力による効果的な支援は期待できないことを悟るであろう。そして、そのように独立分子が目を覚ますまで、この種の訓練は繰り返されるし、さらに強化されることになる」と警告している。

危機感を共有しなければならない日本

 確かに中国側が宣伝しているように、少なくとも現時点においては、アメリカ海軍による強力な台湾支援は極めて厳しい状況にある。また、かつてはアメリカ軍や台湾軍が僅かながらも期待していた日本による何らかの支援も、新型コロナウイルスに対する日本政府の危機感のなさや無為無策から判断すると、そもそも期待することが誤っていたと考えざるをえない状況に陥っている。

 とはいっても、台湾に対する軍事的危機は日本にとっても全く同様の危機である。日本にはCOVID-19だけでなく中国海洋戦力による危機も差し迫っていることを、日本政府・国会は直視しなければならない。

【私の論評】東アジアで失敗続きの中国は、今後軍事的挑発をエスカレートし、台湾武力奪取の可能性大(゚д゚)!

米軍もコロナ感染で深刻なダメージを受けています。しかし、中国の人民解放軍もダメージを受けているはずです。

中国ウイルスは相手を選びません。中国人民解放軍内にも感染が広がっている気配があります。護衛艦や国産空母を備え、世界に海洋覇権を打ち立てようという解放軍も、ウイルス相手では勝手が違うのかもしれないです。

湖北省孝感市の解放軍空軍降兵軍保障部の軍官に新型肺炎感染が確認されたのは1月25日、すぐさま同じ部隊の200人が隔離されたと1月27日に香港蘋果日報が報じています。孝感市は武漢から70キロ離れた小都市です。

湖北省は解放軍唯一の空軍降兵軍(空降兵15軍)が配置され、武漢全体で5000人以上の兵士を有する。感染の恐れのある兵士たちは軍用機倉庫に隔離されたといいますが、そこは暖房設備もなく外と気温がそう変わらず、劣悪な環境であると、香港に拠点のある中国人権民主化運動情報センターが指摘していました。

その後、軍内の感染状況についてはほとんど情報がありませんでしたが、解放軍報が2月17日に、東部戦区の多くの軍官兵士が隔離監察を受けており、その中には新型ミサイル護衛艦「常州」艦長・余松秋も含まれていると報じていました。

小さな記事ではありますが、解放軍内で新型コロナウイルス感染が起きていることを公式に認めた記事です。過去、エイズやSARSの感染が軍内で発生したときも、解放軍内の感染状況は国家安全にかかわる問題として公表してこなかったことを考えると、この新型コロナウイルス感染はかなり大規模なものではないか、という憶測も流れています。

「常州」は、解放軍艦艇として初めて紅海での船舶救援オペレーションを成功させ、映画「オペレーション:レッド・シー」のモデルともなった解放軍・東海艦隊のエース艦です。感染が発生してからは厳格な管理、体温測定と消毒、隔離措置などを行い、今年の訓練、任務においての影響はない、としています。また余松秋艦長は招待所で1月30日から隔離監察を受けており、隔離先で訓練の難題を研究していたとされています。

また、中国人権民主化運動情報センターによれば、国産空母「山東」からも1人の軍人の感染が確認され100人が隔離中といいます。山東は大連港でメンテナンス中であり、3月に海南島の三亜軍港に戻る予定でしたが、帰港は遅れるといいます。

ちなみにCCTV4(国際チャンネル)で放送された最近の山東の様子は乗員全員がマスクをつけ、密閉式の完璧管理で防疫対策を実施しており、「死角なし、感染者ゼロである」と報じています。

このほか、武漢にある海軍工程大学が1月初め封鎖されたという情報が一部で流れています。

中国人民解放軍とて、中国ウイルスには相当を手を焼いているようです。では、中国人民解放軍もコロナ禍で手を焼いている最中に、東アジアで「唯一」の航空母艦を台湾周辺海域で航行させてまで、台湾に対する恫喝するのでしょうか。

その理由は以前もこのブログに述べた、台湾が独力で中国ウイルス封じ込めに成功したことにあると思います。当該記事のリンクを以下に掲載します。
新型コロナが証明した「独立国家」台湾―【私の論評】台湾が独力で中国ウイルス封じ込めに成功したことは、その後の世界に大きな影響を与える(゚д゚)!
flickerより Robin Huang 台湾国旗柄のビキニの女性 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
今回の中国ウイルス禍で、台湾がウイルスの封じ込めに成功したことは、台湾国内のみではなく、世界に対して大きな貢献になりました。
もし、台湾が封じ込めに失敗し、中国に助けられるような事態になっていれば、そうして日本も大失敗していれば、何しろ、現状では米国が深刻な感染に悩まされている状況ですから、中国はアジアで大攻勢にでて、中国ウイルス後の新たな世界秩序は大きく中国側に有利なものに傾く可能性がありました。
中国としては、台湾が中国ウイルス封じ込めに失敗していれば、中国がイタリアなどのEU諸国に対して実施している、マスクや医療機器の提供や、医療チームの派遣などで微笑外交を台湾に対しても実行したことでしょう。

これにより、中国は今年1月の台湾総統選での蔡英文氏の再選により、失った台湾での失地回復を行うことができたかもしれません。

そうして、中国ウイルスが終息した後には、甚大な被害を受けた台湾に対して、莫大な経済的援助をすることになったと思います。

そうなると、台湾独立派が台頭した台湾を馬英九政権時代のように、親中派を増やすことができたかもしれません。

考えてみると、中国は昨年11月には、香港区議会議員選挙で親中派が敗北しています。今年1月には、台湾選挙で蔡英文総統が再選されています。いわば連敗続きでした。

中国ウイルスに関しては、韓国は当初は対策に失敗しましたが、最近では収束に向かっています。日本も、感染者が増えつつはありますが、それでも死者は相対的に少なく、中国や米国、EU諸国に比較すれば、中国ウイルス封じ込めには成功しています。

香港の対応も素早いものでこれも封じ込めに成功しています。中国国内で武漢における感染発生がまだ隠され、警鐘を鳴らした医者が警察に処分されていた1月1日前後、一国二制度のおかげで報道の自由がある香港メディアは問題を大きく報道し、市民に注意を呼び掛けました。

中国官僚のごまかしをよく知っている香港人が、2003 年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓をしっかりと心に刻み、徹底的な対策をしたことも効果的でした。

中国は、中国ウイルスで、台湾、香港、日本がかなり痛めつけられていれば、得意の微笑外交で、台湾、香港、日本に対して存在感を高めることができたかもしれません。

しかし、台湾は世界的にみても、最高水準で中国ウイルスの封じ込めに独力で成功し、独立国としての意地をみせました。

今の中国が、台湾統一のためにできることといえば、軍事的な脅威をみせつけて、存在感を強調することです。

だからこそ、本当は中国人民解放軍の中にも感染者がいるにもかかわらず、遼寧で台湾を恫喝しているのです。

おそらく、遼寧にも欠員ででいるかもしれません。欠員が出て、未熟な交代要員を乗鑑させて急場をしのいでいるかもしれません。

それにしても、今後中国ウイルスが終息するにつれて、中国による台湾への恫喝はさらに度合いを強めていくかもしれません。

香港も中国ウイルスで中国に頼ることなく、収束をみせています。

そうなると、中国に残されている道は、もう軍事的な示威行動による恫喝でしか、存在感を発揮できなくなります。

米軍が中国ウイルスから早期に立ち直れば、今後も中国は軍事的な恐喝どまりで終わらせるかもしれませんが、そうでなければ、台湾を武力で統一してしまおうと考えるかもしれません。

本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点で台湾統一が実現できれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となるからです。

ウイルスの封じ込めと、台湾統一に成功すれば、これは、習近平が成し遂げた大偉業ということになります。今まで、際立った業績のが一切なかった習近平にとって大きな手柄となり、習近平体制が定着することになります。

この脅威は日本にとっても他人事ではありません。台湾の次は、尖閣、尖閣の次は、沖縄、その次は日本ということになるかもしれません。

こうした脅威があることを前提に、日本は現行の憲法、法律内でこれに対処できることは実行し、さらに将来に備えて、憲法改正も急ぐべきです。特に、緊急事態条項は、中国ウイルスなどへの脅威への対処や、今後予想される中国による軍事的脅威に備えるためにも、必要不可欠であると考えます。

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2020年4月15日水曜日

コロナ禍で「増税」主張する学者…GDP減らして失業を増やす 東日本大震災でも失敗の“悪手” ―【私の論評】中国ウイルス恐慌で地獄が始まるのに、それでも安倍政権は消費減税だけはしたくないのか(゚д゚)!

高橋洋一 日本の解き方

復興税は未だに徴収され続けている

 2011年の東日本大震災の後、復興増税が行われた。今回のコロナ・ショックの際にも増税を主張している経済学者がいるが、危機の際に増税するというのは世界標準の経済政策なのか。

 経済政策を考える際、標準的なフレームワークは、総供給と総需要がどのように変化するかを考える。総需要は、民間消費、民間投資、政府需要、純輸出で構成される。総供給は、基本的には生産関数であり、人口、総資本、技術などが構成要素である。

 1973年と79年のオイル・ショックでは、生産基盤の一つであるエネルギー価格が外的要因で一気に上昇した。これは生産関数での価格上昇になるので「供給ショック」であり、国内総生産(GDP)の下落と一般物価の上昇という形になる。その場合、総需要を増加させる景気刺激策ではなく、供給に働きかける政策が主体となる。

 2008年のリーマン・ショックでは、不良債権問題に端を発する金融機関の倒産によって需要が一気に飛んだ。日本では金融機関の痛手は少なかったが、海外の需要減により輸出減少となった。これは「需要ショック」で、同時に一般価格の低下、失業の増加があった。

 こうしたショックに対しては、総需要を増加させるような財政政策と金融政策の一体発動が世界各国で行われた。ただし、日本では、十分な財政出動・減税が行われず、金融緩和も不十分だった。日本だけが金融緩和されなかったので、一方的な円高が進み、輸出が減少、内需増加の効果を外需減少で相殺してしまった。

11年の東日本大震災では、東日本の一部の生産設備に打撃があった。電力などの供給がネックになり、供給力は落ちると一部の経済学者は考え、供給ショックであるとした。供給ショックだと考えると、復興政策は、総需要を増加させる政策では適切ではないという結論になる。

 しかし実際には、東日本大震災は、供給政策にはほとんど影響を与えず、生産収縮を見越した需要減少が一気に生じた。要するに、供給減とともにそれを上回る需要減があったのだ。

 ここで必要だったのは、積極財政と金融緩和だったのだが、それと真逆な復興増税が行われた。

 さて、今回のコロナ・ショックも、世界的なサプライチェーンの分断という供給ショックの様相もあるが、やはり人の行動制限に伴う経済活動の縮小を通じて需要が一気に消滅したことの影響が大きい。要するに、供給ショックとともにそれを上回る需要ショックがあったと考えるべきだ。

 特に、日本ではコロナ・ショックの他に、消費増税ショックと東京五輪1年延期ショックがある。これらは需要ショックである。この点で増税を選択する余地はない。

 仮に供給ショックであったとしても、ほとんどの場合、増税は悪手であり、一般物価を上げない代わりにGDPを大きく減少させ、失業をさらに増加させる。そもそも経済ショックの際に増税することはありえないのだ。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中国ウイルス恐慌で地獄が始まるのに、それでも安倍政権は消費減税だけはしたくないのか(゚д゚)!

東日本大震災で、復興税を推進した財務省とそのとりまきの経済学者らなど、中国ウイルス禍が収まった後に、またコロナ復興税などの名称で新たな増税を目論むかもしれません。これは、完璧に間違いです。今回は、何としてでも阻止すべきでしょう。

新型中国ウイルス問題が深刻化・長期化しつつある中、その経済的影響が強く懸念されています。世界中で都市封鎖が実施されており、各国の生産活動が一時的に停止することにより、株価は数年前に逆戻りして雇用は信じられない規模で失われました。

具体的には、世界経済の中心地である米国が3月26日公表した雇用統計において失業者数は跳ね上がり、ムニューチン財務長官が1929年の大恐慌以来初めて20%を超えるかもしれない、と警告する事態となっています。つまり、これは世界的に未曽有の経済危機がやってきたということを意味します。

ただし、米国は当面は深刻な事態であるものの、中長期的な視点に立つと底堅く回復していく見通しがあります。ホワイトハウス・上下両院は約220兆円に及ぶ緊急経済対策を既に可決しており、両者は更なる経済対策も視野に協議を行う構えを見せています。


また、トランプ政権が実現してきた減税と規制廃止は、米国の産業競争力を向上させて経済の底力を高めてきています。そのため、経済状況が一度上昇軌道に戻り始めればFRBの金融政策との相乗効果を発揮して、米国経済は劇的に復活する可能性があります。米国の現在の景気悪化は深い谷の中でも将来的な希望の光を見出すことできるものだと言えます。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月に「ゼロ金利」への回帰などを決めた際の議事要旨が8日、公表された。一気に大規模な金融緩和を進めることへの異論も出たが、「米経済の見通しが急激に悪化し、著しく不確かになった」との認識のもと、空前の緩和策を決めていました。

しかし、将来的な見通しについて全く光明が見えない国が存在しています。それは我が国日本です。日本の直近の景気状況は2019年10~12月期GDP改定値は年率7.1%減となっています。

政府はGDP減少の理由について様々な屁理屈を述べていましたが、誰がどうみても10月1日から始まった消費増税が影響していることは明らかです。アベノミクスの第二の矢であった機動的な財政政策は逆方向に砕け散った上に、第三の矢である規制改革に至ってはまともに飛んだ形跡すら見当たりません。

第一の矢である金融緩和も、当初は異次元の量的緩和を実行し、かなりの成果をあげ、特に雇用は劇的に改善しました。しかし、日銀は緩和はしてはいるものの、イールドカーブ・コントロールを実施しはじめてから、緩和には抑制的です。いまのままでは、アベノミクスの唯一の成功事例である、雇用にも陰りが見えてくるのは必定です。

したがって、米国経済と違って日本経済はその足腰が弱った状態で新型コロナウイルスに伴う経済危機に直面していることになります。日本政府は自ら転んで骨折したところで、更に交通事故にあったくらい悲惨な状況です。

4月7日に示された危機意識の欠落した補正予算だけでなく、その陰で3月17日に政府から衆参議員運営委員会理事会で示された日本銀行政策委員会の審議委員人事案も注目すべきです。

退任する布野幸利氏に代わって消費税増税容認派と目される中村豊明氏が政府から人事案として示されたのです。同氏は日立製作所取締役を務めた人物であり、産業枠として経済界の代表として送り込まれる人物です。

中村豊明氏

日本銀行政策委員会の審議委員は金融政策決定会合の結果を左右し、一度任命された後は5年間の任期中にそのポストを追われることはありません。当然ながら、日本経済に与える影響は極めて重要なポストです。

米国ではFRB理事の承認プロセスでは連邦議会によって徹底的な振るいにかけられます。過去の金融政策に関する発言はもちろん、その素行についても細かく審査されます。

直近でもトランプ大統領が指名した人事案は人選の問題が指摘されて首尾良く運んでいません。現在の承認プロセスにある人物も過去の金融政策に関する発言と現在の金融政策に関する方針に関しての整合性について連邦議員から問題視されています。

日本のように産業枠などの割り当てではなく、理事候補者の見識・人物が公開の場で問われるのです。その影響力の大きさから行われるべき当たり前のプロセスが踏襲されているのです。

中村豊明氏は12年社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会において、日本経済団体連合会税制委員会企画部会長として出席しています。その際、消費税率の引き上げが伴う三党合意について、消費税増税派である経団連の税制改革の責任者として増税賛成の見解を述べた人物です。

20年3月24日参議院財政金融委員会において、浜田聡参議院議員が上記の公聴会での発言について問題視すると、政府は「経団連の立場を述べただけで中村氏の意見では必ずしもない」という趣旨の回答をしましたが、これほどふざけた回答はないでしょう。

同氏は経団連の税制委員会の責任ある立場にあったことは明らかだからです。百歩譲って立場に応じて財政金融政策の見識が左右される人物を国会に推薦すること自体があり得ないことでしょう。

日銀政策委員会の審議委員は政府の税財政政策に関して直接権限を持つわけではないですが、日銀の決定が日本政府の税財政政策に影響を与えることは自明です。

つまり、新型コロナウイルスに伴う経済危機が顕在化していた3月17日、日本政府はこの期に及んで増税派と見られても仕方がない人物を経済政策の重責を担うポストに推薦したのです。

昨年の消費増税はコロナウイルス問題と同様に日本経済に深刻なダメージを与えており、この政府人事案は示す行為は危機感がないというよりも社会常識が欠落した所業だと言えます。

また、政府与党の経済危機への対策案としての補正予算も極めてインパクトに欠けるものでした。政府は補正予算を取りまとめる過程において、その内容について何度も観測気球の報道記事を垂れ流してきました。

その際、未曽有の経済危機に際して、自民党農林部会や水産部会からは和牛商品券などの業界利権丸出しの主張が行われる姿は国民の眼からは極めて奇異なものに映りました。無論これは、立ち消えになりましたが、自民党の議員の中にも緊張感に欠けた愚かな連中がいるのか、白日のもとに晒された形となりました。

なぜ和牛券?

新型中国ウイルス問題が表面化した1月段階で準備を始めるべき経済対策について4月に入ってもまだ議論していることにも驚かされますが、日銀人事に示された程度の税財政策に対する問題意識なのですから、政府与党と国民の意識との乖離は著しいものだと想定するべきでしょう

自民党若手有志による消費減税を柱とする政策要望の記者会見も開催されましたが、執行部は与党案として消費増税減税並みの給付を行うことで応じただけでした。むしろ、政府与党として断固たる消費減税の拒否の姿勢を見せつけた状況となっています。

実際、これらの若手議員は消費税減税へのゼロ回答はもとより、今回の問題だらけの補正予算に賛成票を入れるだけの事実上マシーンでしかありません。実際、消費減税法案の作成を参議院法制局に依頼するという具体的な行動を起こしたのは、100人超存在するとされる自民党若手有志ではなく、僅か2名の会派でしかない前述のN国の浜田聡参議院議員だったことは何とも皮肉です。

仮に今回減税に失敗した場合、今後、消費減税は未曽有の経済危機の時ですら選択できなかった政治的な禁忌として扱われていくことになるはずです。緊急時ですら手も足もでなかったことは平時では尚更難しいものとして記憶されてしまうことになります。

むしろ、それが狙いで一連の与党内でのプロセスが行われているのではないかと穿った見方をしたくもなるくらいです。

せめて与党・野党を問わず減税を主張している国会議員は、政府が示した日銀人事に反対票を入れることくらいの筋を通すべきでした。この人事は目先の経済対策だけでなく、今後5年間の金融政策の方向性を左右するものです。



党議拘束を理由に減税派の国会議員らは過去に増税を支持した人物に対して賛成票を入れるなら、表面上は減税派だけれども本音は増税派とみなされても仕方ないてしょう。

世論調査では国民が経済対策として求める政策は消費税減税が圧倒的です。今、試されていることは、国会議員が消費減税を求める国民の真の代表であるか否かということです。誰のため・何のための政治なのか、明確になる瞬間だと言えるでしょう。

もし、与党・野党を問わず減税を主張している国会議員が、政府が示した日銀人事に反対票を入れることくらいの筋を通していれば、事態は変わる可能性もありました。

いずれ中国ウイルスは終息でしょう。終息したまさにその時、財務省とその取り巻きは、またコロナ復興税などを画策しはじることでしょう。その時、安倍総理は、コロナ復興税の見送りと復興税の廃止、消費減税、追加経済対策ならびに、憲法改正を公約として、衆院解散・総選挙に打ってでるべきです。

おそらく、現時点ではこれだけが、安倍総理の唯一の起死回生策と思われます。そうでないと、安倍総理は念願の憲法改正もかなわず、歴史には、消費税を二度あげ、コロナ復興税で日本経済を悪化させた総理大臣として歴史に名を刻まれることになるでしょう。

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