2020年5月8日金曜日

どうやらアメリカは「中国を本気で許さない」つもりだ―【私の論評】米国は、ソ連崩壊後のロシアのように中国を弱体化させる(゚д゚)!

コロナで激化する米中対立の現在地


トランプは意外に慎重だが…

新型コロナウイルスの発生源について、米国のドナルド・トランプ大統領やマイク・ポンペオ国務長官が5月3日、相次いで「武漢ウイルス研究所からの流出説」を唱えた。だが、肝心の証拠は示されていない。真実は明らかになるのか。

日本では、大統領や国務長官が「研究所からの流出」を断定的に語ったかのように報じられた。だが、2人の発言内容を詳しく検証してみると、必ずしもそうと言い切れない部分もある。そこで、発言をあらためて紹介しよう。まず、トランプ氏からだ。


大統領の発言は、ホワイトハウスのホームページに全文が掲載されている(https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-fox-news-virtual-town-hall/)。トランプ氏は「FOXニュース」の視聴者と語る番組で、次のように語っていた。問題の部分は、以下の通りである(一部略)。
質問者:あなたは「ウイルスが武漢ウイルス研究所から来た」と信じるに足る証拠を見たのでしょうか。 
大統領:そこで何が起きたのか、を正確に示す報告書が出てくるだろう。それは、非常に決定的なものになる、と思う。 
質問者:何か邪悪なことがあったのか、それとも単なる間違いだったのか。それを示唆する材料はありますか?
大統領:私は個人的に「彼らはとんでもない間違いを犯した」と思う。彼らはそれを認めたくないのだ。我々はそこ(注・武漢ウイルス研究所)に行きたかったし、世界保健機関(WHO)も行きたかった。彼ら(注・WHO)は認められたが、ずっと後になってからだ。すぐではなかった。私の意見では、彼らは間違いを犯した。彼らは火事のように消しにかかった。だが、消せなかった。……言い換えれば、彼らは問題が生じたことを知っている。彼らは問題に当惑した、と思う。ものすごく当惑したのだ。
これを見る限り、トランプ氏は「研究所からの流出を裏付ける証拠がある」とは言っていない。ただ「そこで何が起きたのか、を示す報告書が出てくる」、それは「決定的なものだ」と言ったにすぎない。流出が意図的だったのか、事故だったのかについても、慎重に断定を避けている。

大統領は「彼らはとんでもない間違いを犯した」と言ったが、わざわざ「個人的に(personally)そう思っている」とか「私の意見では(my opinion)」というように、留保条件を付けている。

つまり、研究所から流出したかどうかについて、自分の考えを述べたのであって、調査の結果を基に語ったのではない。大統領は「証拠を見た」とか「流出を裏付ける決定的な報告書が出てくる」とは言っていないのである。これが1点。

ポンペオ国務長官は踏み込んだ

次に、ポンペオ氏はどうだったか。彼は同じ3日の米「ABC」テレビのニュース番組に出演し、次のように語っていた。以下は、番組ホームページにある発言全文からの抜粋である(一部略、https://abcnews.go.com/ThisWeek/video/secretary-state-mike-pompeo-70478299)。
キャスター:情報機関の人たちは「中国政府は1月初めの時点で医療用品を買い占める一方、新型コロナウイルスの深刻さを国際社会に隠していた」と言っている。「自分たちがマスクをかき集めるために、意図的に隠蔽していた」のだと思うが、報復する考えはありますか? 
国務長官:あなたは事実を正しく認識している。中国共産党は、まさに世界が適切なタイミングで問題を認識できないように、そうしていたのです。彼らはジャーナリストを追い出し(注・ニューヨーク・タイムズなど米国3紙の特派員を国外退去させた)、中国国内で医療プロフェッショナルたちを沈黙させた。報道も黙らせた。これは全体主義国がやる手口だ。古典的な共産主義国の情報統制です。それが途方もないリスクを招いた。米国では数万人もの人々が被害を受けた。トランプ大統領は「彼らに説明責任を果たさせる」という点を明確にしています。 
〈新型コロナウイルスの起源については、国家情報長官室(DNI)が今週、プレスリリースを出して「ウイルスは中国で発生した。人工でも、遺伝子操作でもない点では科学的な同意がある。動物から感染が広がったのか、それとも実験室での事故の結果なのかについては、引き続き調査を続ける」と言っている(https://www.dni.gov/index.php/newsroom/press-releases/item/2112-intelligence-community-statement-on-origins-of-covid-19)〉
キャスター:あなたは「ウイルスが武漢の実験室から発生した」と確信させるような何か、を見たのですか。 
国務長官:感染はそこから始まった、という多くの証拠がある。我々は最初から「ウイルスは武漢に起源がある」と言ってきた。世界中が知っているように、中国は世界に感染を広げ、基準に満たないお粗末な実験室を運営してきた歴史がある。中国の実験室における失敗の結果として、世界がウイルスにさらされたのは、今回が初めてではない。私はあなたに「これ(ウイルス)が武漢の実験室から来たことを示す膨大な証拠がある」と言うことができる。最高の専門家は「これは人工物だ」と考えているようだ。私には現時点で、それを信じない理由はない。 
キャスター:では、彼らは意図的にウイルスをばらまいたのか、それとも実験室の事故だったのか。 
国務長官:それについて、言うべきことは何もない。言えるのは、そうしたすべての疑問に答えるために、我々は調査チームを派遣しようとしてきた、ということです。WHOも派遣しようとした。だが、武漢の研究所にも、他の中国の研究所にも派遣は認められなかった。これは現在進行中の問題だ。我々は行く必要があるし、ウイルスのサンプルが必要です。中国共産党は西側世界にアクセスしているが、私はあなたの質問に答えられない。中国共産党が世界の専門家たちに協力するのを拒んでいるからです。
これを読むと、ポンペオ氏は大統領よりも、さらに一歩踏み込んで「研究所からの流出を示す膨大な証拠がある」と断言したことが分かる。だが、証拠そのものは示していない。

これに対して、中国外務省の報道局長は5月6日の会見で「証拠があるというなら、示してほしい。それを出せないなら、そもそも証拠がないからだ」と反論した。WHOも会見で「さらなる国際調査団の派遣について、中国側と協議している」と語った(https://digital.asahi.com/articles/ASN5735XDN57UHBI00G.html)。

続々と報じられる「隠蔽」
この問題を報じる米メディアの受け止め方もさまざまだ。

たとえば「ニューヨーク・タイムズ」は4月30日付で「トランプ政権の高官たちが情報機関に『武漢ウイルス研究所からウイルスが流出した』という見方を裏付ける証拠を発見するように、圧力をかけている」と報じた(https://www.nytimes.com/2020/04/30/us/politics/trump-administration-intelligence-coronavirus-china.html)。

大統領らの発言が報じられると、5月3日付の記事は2003年のイラク戦争にも言及して、トランプ政権の前のめり姿勢を批判した(https://www.nytimes.com/2020/05/03/us/politics/coronavirus-pompeo-wuhan-china-lab.html?searchResultPosition=2)。

当時「米国の情報機関は『サダム・フセインが大量破壊兵器を作っている』という見方を公表するよう、ブッシュ(ジュニア)政権に迫られた。だが、それは結局、間違いだった」「異議を唱えた情報機関は無視されたか、はねつけられた」。新型コロナウイルスをめぐる圧力も、それと同じではないか、というのだ。

ニューヨーク・タイムズはトランプ政権に批判的なので、そこは割り引いて読む必要がある。だからといって、中国に甘いわけでもない。同じ記事は、中国当局が上海の研究所を突然、閉鎖した件に言及している。

この1件は、中国政府が情報を隠蔽し、感染を世界に広げた責任問題に関わっているので、詳しく紹介しよう。研究所の閉鎖を最初に報じたのは、香港の有力紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」である。同紙は2月28日付で次のように報じていた(https://www.scmp.com/news/china/society/article/3052966/chinese-laboratory-first-shared-coronavirus-genome-world-ordered)。

上海公衆衛生医療センターの研究チームは1月5日、当時は未知のウイルスだった新型コロナウイルスの遺伝子配列情報を突き止めるのに成功した。チームは同日、中国国家衛生健康委員会に分析結果を報告するとともに、公共の場所では適切な感染予防と管理をするよう提言した。この時点で、重篤な患者が出ていたからだ。

にもかかわらず、当局がなんの警告も出さなかったので、チームは1月11日、自分たちの発見を、遺伝子情報を扱う公開のプラットフォーム(複数)で公表した。感染は拡大していたが、当局は「ヒトからヒトへの感染を示す証拠はなく、1月3日以来、新たな感染者もいない」と発表していた。

すると、翌12日に突然、上海衛生健康委員会が研究所の閉鎖を命じたのである。理由は「改善するため」の一言だった。何を改善するのかは、不明のままだ。

研究所の関係者は匿名で「我々は研究所の再開を求める報告書を4回、提出したが、なんの返事もなかった。科学者たちが新型コロナウイルスに対応する方法を見つけるために、一刻を争って努力しているのに、研究所を閉鎖するのは大変な影響がある」と同紙に語っている。

この「1月初めから半ば」という時期は、重要な局面だった。武漢市は1月6日から10日まで、湖北省は11日から17日まで、それぞれ人民代表大会(議会)と政治協商会議(諮問会議)という最重要のイベントを控えていた。

2つのイベントを成功させるために、現地の責任者は感染拡大を放置しただけでなく、武漢当局は「新規症例が大幅に減少した」と嘘の情報まで流していた。上海の研究所をめぐる動きも、これと「軌を一にしていた」とみていい。この間、隠蔽工作は全国規模で展開されていたのである。

上海の研究チームは発見を論文にまとめ、世界的に権威ある科学誌「ネイチャー」に投稿し、2月3日付で掲載された。論文が世界の医師や科学者に参照され、ワクチン開発などに生かされたのは、言うまでもない。中国当局は、そんな研究を圧殺していた。

もしも「武漢ウイルス研究所からの流出」が、トランプ氏やポンペオ氏が言うような「決定的証拠」で裏付けられなかったとしても、中国政府による事実の隠蔽と、医師や市民など告発者を弾圧した事実は消せない。

トランプ政権は方針を固めた

中国の許しがたい行動は、ほかにもある。たとえば、「ABC」のキャスターが指摘した医療用品の買い占め問題である。

米「AP通信」は5月4日、米国土安全保障省が「中国は1月段階で、マスクや防護服など医療用品を世界的に買い占めるために、世界保健機関(WHO)に対して、新型コロナウイルスが感染拡大している事実を報告しなかった」という内容の報告書をまとめた、と報じた(https://apnews.com/bf685dcf52125be54e030834ab7062a8)。

この「買い占め作戦」は、カナダの有力メディア「グローバル・ニュース」も長文の調査報道記事にして報じている(https://globalnews.ca/news/6858818/coronavirus-china-united-front-canada-protective-equipment-shortage/)。カナダでは、在カナダ中国人を動員して、買い占めが組織的に繰り広げられていた。

ホワイトハウスは米紙「ワシントン・イグザミナー」の記事を引用して、中国による買い占め作戦を公式に発表している(https://www.whitehouse.gov/westwingreads/)。この1件をみても、トランプ政権が本気で中国と対決する方針を固めたのは、間違いない。

【私の論評】米国は、ソ連崩壊後のロシアのように中国を弱体化させる(゚д゚)!

5月3日に続き、7日にはトランプ大統領は以下のような発言をしています。

トランプ米大統領は7日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は中国から始まったと強調した上で「発生源で簡単に止められたはずだった。無能あるいは愚かな者がいたんだろう」と述べ、改めて中国を批判しました。ホワイトハウスで記者団に語りました。

トランプ氏はこれまで、ウイルスが中国湖北省武漢の研究所から流出した説に自信があるとの立場を示してましたが、この日も詳細には触れませんでした。近くまとまるとしていた米情報機関による調査報告書についても時期の明言は避け「公表するかどうか分からない」と述べました。

ただ、中国について「やるべきことを怠った」と指摘し、引き続き感染拡大の責任を追及する姿勢をにじませました。

私自身は、このブログで「ウイルスが中国湖北省武漢の研究所から流出した説」を立証するのは困難であり、特に中国の協力なしには不可能という立場をとってきました。それは今もかわらないです。

そもそも、これにあまり固執しすぎると、サダム・フセインが大量破壊兵器を作っているとの情報に踊らされた、ブッシュ政権のようなことになりかねません。

   2006年12月30日、イラクバグダッドイラク国営テレビ局は、
   イラク前大統領サダムの首に(袋の上から?)縄をかけて、まさに
   処刑するところを報道した。

そうして、このような立証が不確かなことを追求するよりも、情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるべきではないし、米国はこれに関する情報をさらに収集すべきであると主張しました。

実際米国は、その方向に舵を切ったようです。米国の情報能力を駆使して、これに関するを収集し、中国に対して、有無を言わせないほどの情報をつきつけるべきです。

香港の有力紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」による、上海衛生健康委員会が研究所の閉鎖については、米国側も詳細を調査すべきでしょう。

とにかく、米国側としては、情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れを徹底的に調査し、それが組織的ものなのか、あるいは体系的に行われたのか、中国共産党はどのように関わっていたのか、習近平はどこまで関わっていたのか、あるいは関わりのないところで行われたのかを明らかにすべきでしょう。

仮に習近平の関わりのないところで行われていたとしても、これは中国の体制に大問題があることになります。だとすれば、これからも習近平の預かり知らないところで、これからも世界にも大きな影響を及ぼすことが起こり続けることになります。これに対する結論は、中共一党独裁には根本的な問題があるということで、中共解体です。

習近平が関わっているとすれば、すくなくとも、習近平を失脚させるべきです。米国は、これを中共にやらせるべきです。やらないというのなら、これまた、中共解体しかないです。

いずれにしても、中国がまともになるためには、どのみち中共は解体するしかないようです。

さて、これを中国共産党はどのように捉えているのでしょうか。米国としては、中国が中共の一党独裁などの体制変換を自ら行わない場合は、中国が姿を消しても、米国や他の国々が悪影響を受けないように準備をしつつ、中国に対する制裁をどんどん強めていくことになるでしょう。

この場合どのくらいまで、制裁を続けるかについては、すでにモデルがあります。それは、ソ連の崩潰です。ソ連の崩潰により、ソ連後継は、ロシアとなりましたが、そのロシアは未だに世界第2の軍隊をもってはいますが、経済は他の国でいえば、韓国なみです。日本の都市でいえば、東京都なみです。ただし、面積は今でも中国より広いです。

ソ連(USSR)は崩潰した

米国は、このくらいまで、中国を経済的に衰退させることになるでしょう。東京都がいくら世界第2の軍隊を持ったとしても、世界の警察官になることはおろか、EUとも単独ではまともに渡り合うことすら不可能です。

ロシアはそれでも、今でも中等にロシア太平洋艦隊を派遣したりしていますが、これは最早象徴的な意味しかありません。米海軍と本格的に対峙すれば、5分ともたないでしょう。中国の南シナ海の基地も、象徴的な意味しかなく、これも米軍が本気で攻撃すれば、5分で吹き飛ばすことができます。

さらに、中国とロシアが同じくらいの経済になれば、長い国境を説していますから、互いに他を牽制し、険悪な関係となるのは目に見えています。そうなると、中露は放置しておいても、互いに牽制しあって、今後世界の脅威になることはなくなるでしょう。

それを米国は最終的に目指しているものと思います。無論、冷戦が長く続いたように、米中冷戦も結構長い間にわたって続き、中国はソ連のように弱体化していき、いずれ崩潰することになるでしょう。

全体国家や、独裁国家は、このように弱体化することが、世界の安定に寄与します。中露がそのような目にあえば、独裁国家を大きくしようとたり、比較的大きな国を全体主義化しようという試みも、割りに合わないものとして、誰もそれに取り組むことはないでしょう。

そうして、何よりも良いのは、全体主義国家、独裁国家の情報隠蔽等により、世界が大きな危機に至ることを未然に防ぐことができることです。

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2020年5月7日木曜日

西村担当相vs吉村大阪知事、コロナで対立も解消「絆深まった」―【私の論評】今後、様々な政治家や、都道府県知事の本質・地金がコロナであぶり出されることになる(゚д゚)!


新型コロナ緊急事態宣言

記者会見する西村経済再生相=6日午後、内閣府

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言をめぐり、西村康稔経済再生担当相と大阪府の吉村洋文知事が一時対立したが、解消した。

 吉村氏は5日、外出自粛や休業要請を解除する独自の基準「大阪モデル」を公表し、「本来ならば国に示してほしかった」と批判した。西村氏は6日の記者会見で「勘違いしているのではないか。強い違和感を覚える。解除は知事の権限だ」と述べていた。

 緊急事態宣言の根拠となる改正新型インフルエンザ等対策特別措置法では、都道府県知事が外出自粛要請や店舗を含む施設の使用制限の要請、指示、公表ができる。解除の判断も知事の裁量だ。

 西村氏は7日の記者会見で、6日に吉村氏と電話で協議したことを明らかにした上で「お互いのちょっとした言葉のあやというか誤解があったので、解いた」と説明した。「府知事として指標を考えるのは、説明責任を果たすということで非常によいことだ」と述べた。

 一方で、緊急事態宣言の解除の基準に関しては「国全体として対象地域をどう考えるかというのは国の責任なので、私が説明責任を負う。しっかり示したい」と語った。吉村氏との「わだかまり」の有無を問われると「むしろこれで絆が深まったと思う。連携して収束に向けて全力で取り組んでいきたい」と強調した。

【私の論評】今後、様々な政治家や、都道府県知事の本質・地金がコロナであぶり出されることになる(゚д゚)!

大阪府の吉村知事が、5日外出自粛や休業要請を解除する独自の基準「大阪モデル」を発表しましたが、これは一体どういうものなのでしょうか。以下に大阪モデルの概要を掲載します。


大阪モデルは、「客観的なモニタリング指標の設定」「指標の見える化により府民の行動変容を促す」「基準に基づく自粛要請・解除などの対策を段階的に実施」「陽性者数等を踏まえた必要な感染拡大防止策の実施」を柱にするもので、自粛を解除する指針をが具体的に示したものです。


感染拡大状況を判断するため、府独自に指標を設定し、日々モニタリング・見える化した事が最大の特徴。各指標について、「感染爆発の兆候」と「感染の収束状況」を判断するための警戒基準を設定した。今月、中旬に国で検討される判断基準を踏まえて最終決定する。

モニタリングの分析事項は、「市中での感染拡大状況」「新規陽性患者の発生状況、検査体制のひっ迫状況」「病床のひっ迫状況」の3つ。

新規陽性者におけるリンク不明者数が10人未満、確定診断検査における陽性率が7%未満、患者受入重症病床使用率60%未満を7日間連続達成すれば、自粛を段階的に解除するとしている。


特に、基準が示されていということは、良いことです。これだと、誰もがこの基準に照らして、現状を把握して、これは基準に合致している、合致していないということが確かめられます。

これによって、「自粛要請が遅すぎる」とか「自粛要請がはやすぎる」などの無駄な論議を避けることができます。

大阪府が前もってこのような基準を発表しておけば、これに反対の人はその根拠を示してそれに反対すればよいわけです。それが妥当なものであれば、大阪府は基準を変える可能性もあります。

基準が一度定まってしまえば、それに向けて各方面が努力すれば良いので、無駄な議論もさけることができます。

このようなことは、コロナ感染対策でなくても、あらゆる組織のマネジメントにいえることです。特に優先順位をつけるという事が重要です。

経営学の大家であるドラッカー氏は、優先順位と劣後順位について以下のようなものを述べています。

「いかに単純化し組織化しても、なすべきことは利用しうる資源よりも多く残る。機会は実現のための手段よりも多い。したがって優先順位を決定しなければ何事も行えない」(『創造する経営者』)

誰にとっても優先順位の決定は難しくないです。難しいのは劣後順位の決定です。つまり、なすべきでないことの決定です。一度延期したものを復活させることは、いかにそれが望ましく見えても失敗というべきでなのです。このことが劣後順位の決定をためらわせるのです。

優先順位の分析については多くのことがいえます。しかしドラッカーは、優先順位と劣後順位に関して重要なことは、分析ではなく勇気だといいます。彼は優先順位の決定についていくつかの原則を挙げています。そしてそのいずれもが、分析ではなく勇気にかかわる原則です。

 第一が、「過去ではなく未来を選ぶこと」である。 

 第二が、「問題ではなく機会に焦点を合わせること」である。

 第三が、「横並びでなく独自性を持つこと」である。

 第四が、「無難なものではなく変革をもたらすものに照準を当てること」である。

「容易に成功しそうなものを選ぶようでは大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、自らの名を冠した法則や思想を生み出すことはできない。大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく制約要因にすぎないと見る」(『経営者の条件』)

大阪モデルでも、警戒基準からみて、優先順位はやはり(1)市中の感染拡大を少なくする、(2)新規陽性患者の発生を少なくすること、(3)病状の逼迫状況を少なくすること、なのでしょう。

これは、非常に納得しやすい、事項です。他にもPCR検査がどうのとか、ガウン、マスクがどうのこうのという細かなこともありますが、これは目的を達成するための手段であり、PCR検査をすること自体や、医療器具・機器など自体を増やす事自体が大問題であるわけではありません。

無論、検査体制や機器がなければ、基準を達成することはできないですが、これは基準を満たすための制約要因であって、それ自体が目標ではないわけです。このようなことは、言われればわかることですが、優先順位をつけたり、基準を設けなければ、混乱してしまうことが多いものです。

ドラッカー氏は、大阪府や政府、省庁などの公的機関には、6つの規律が重要だとしています。

「あらゆる公的機関が、六つの規律を自らに課す必要がある。事業の定義、目標の設定、活動の優先順位、成果の尺度、成果の評価、活動の廃棄である」(ドラッカー名著集(13)『マネジメント──課題、責任、実践』[上])

今ようやく日本でも、公的機関の見直しが急ピッチで進められています。しかしドラッカーは、すでに3分の1世紀前に、公的機関に成果を上げさせるための規律を明らかにしています。
第一に、自らの事業を定義することである。「事業は何か」「何であるべきか」を定義する。ありうる定義をすべて公にし、それらを徹底的に検討する。 
第二に、その定義に従い、明確な目標を設定することである。成果を上げるには、活動に直結する目標が必要である。目標がなければ活動のしようがない。 
第三に、活動に優先順位をつけることである。同時に、期限を明らかにし、担当する部署を決めることである。 
第四に、成果の尺度を明らかにすることである。尺度がなくては、せっかくの事業の定義や目標も、絵空事に終わる。 
第五に、その尺度を使って成果のフィードバックを行なうことである。全組織が成果による自己目標管理を行なわなければならない。 
第六に、事業の定義に合わなくなった目標、無効になった優先順位、意味の失われた尺度を廃棄することである。不十分な成果に資金とエネルギーを投入し続けることのないよう、非生産的なものすべてを廃棄するシステムを持つ。
これらのステップのうち最も重要なものは、事業の定義だと誰もが思います。ところがドラッカーは、最も重要なものは、第六のステップだといいます。企業には、非生産的な活動を廃棄しなければ倒産するというメカニズムが組み込まれている。ところが、公的機関にはそのようなメカニズムがありません。

公的機関が必要としているのは、人の入れ替えの類いではないというてのです。わずか六つの規律を守ることだというのです。

「公的機関に必要なことは、企業のまねではない。成果をあげることである。病院は病院として、大学は大学として、行政機関は行政機関として成果をあげることである。つまり、自らに特有の目的、ミッション、機能を徹底的に検討して、求められる成果をあげることである」(『マネジメント』)

大阪府は、現在当面している最も重要な問題である、自粛や休業要請の解除に関して、明確な基準を打ち出しました。これは、大阪府が上の6つの規律のうちのいくつかを確実に実行していることを示しています。

対して政府は、基準や目標を定めずに、自粛の延長を決めてしまったわけで、これは明らかにドラッカーの示す、6つの規律に反していると思います。

本来であれば、国もこのような基準を示し、各都道府県はその基準を参考にしつつも、さらに各都道府県の特性にあわせて独自の細かい基準を策定するというのが筋だと思います。

そうして、こうした国の基準をクリアした都道府県から最初に、自粛を段階的に解除していくという方式が望ましかったと思います。

“大阪モデル”の発表に際して吉村知事は「大事なのはまず数値で示すということなので、まず数値で出口戦略をする」「本来は国で示して頂きたかったが、それが示されないということになったので、府としてのモデルを決定したいと思う」と説明していました。

大阪府の吉村洋文知事

この件に関する受け止めを聞かれた西村大臣は「報道で承知している」とした上で、「何か勘違いをされているのではないかと、強い違和感を覚える。各都道府県の裁量で休業要請なり解除なりを行っていただくわけなので、その説明責任を果たすのは当然。都道府県の知事の権限・裁量を増やしてほしいと要請や主張をされながら、『休業要請を解除する要件の基準は国が示してくれないから』というのは大きな矛盾だと思う」と反論していました。

それを踏まえ、国の考えとして「緊急事態宣言の対象区域、解除の基準をどう考えていくか。先般少し指標についてお示ししたように、今後の出口について責任をもって数値・基準をお示したいと考えている」と述べました。

西村大臣の言っていることは形式的には間違いでないようにもみえますが、霞ヶ関の官僚がいうような縄張り争いのようであり、政治家の発言としては器の小さなものだと思います。それを批判されたので、

吉村大阪府知事は、大阪府下の経済状況を把握した上で、どのように被害を最小限に留めるべきなのか、考察をし続けているのでしょう。

実は新型コロナウイルス感染拡大で発生する死者よりも、その影響による経済的な死者の方がはるかに上回るのではないかと、私は考えています。その根拠として、このブログでも年間自殺者数が、平成時代(この機関はほぼデフレ)には3万人台を超えていました。昨年は2万人を切ったことを掲載したことがあります。

西村経済再生相と吉村大阪府知事を単純比較はできないですが、明らかに当事者の立場に近いのは吉村大阪府知事です。

緊急事態宣言が延長されて経済活動が止まり続ければ、自殺者が多く出ることは誰でも理解できる状況です。

経済活動を止め続けることで死者が出ることに対し、政治家は真摯に責任を持たなければならないはずです。

これ以上の経済危機による死者、生活困窮者がでないように、政府は真摯に地方経済を把握している首長の発言、提案くらい最初から真摯に耳を傾ける度量くらい持つべきでしょう。

以前このブログで、コロナ感染拡大の危急存亡のときには、人や組織の本質や地金がみえてくると主張しましたが、今回もそれがはっきりしたと思います。

西村経済再生相は、政治家としては器が小さいです。吉村大阪府知事は、真摯に府政に向き合っているようです。

これは、大阪モデル発表と同時期に記者会見を行った東京都の小池知事にいえます。小池知事の会見は、吉村知事とは対照的であり、自粛解除の基準も示さず、それを示さなかった政府に対して苦言を呈するでもなく、終始精神論ばかりを語っていました。

今後、様々な政治家や、都道府県知事の本質・地金がでてくるでしょう。本質・地金を見るにつけても、感情論に流されたり、非論理的な見方をすれば、正しい見方はできないと思います。

そのようなときにこそ、ドラッカー氏のいう優先順位、劣後順位に関する主張や、公的機関の守るべき6つの規律などを参照するべきものと思います。

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2020年5月6日水曜日

「金正恩氏重病」に振り回され……たまにある北朝鮮の「とびきり情報」には虚偽も―【私の論評】北朝鮮に限らず、世界中て観測気球が上げられるている事実に目覚めよ(゚д゚)!

「金正恩氏重病」に振り回され……たまにある北朝鮮の「とびきり情報」には虚偽も

中朝国境の様子。手前は中国吉林省集安、対岸は北朝鮮慈江道満浦(筆者撮影)

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の「重病説」に同調していた北朝鮮出身の韓国政治家2人が4日、謝罪の気持ちを表明し、今後の言行には慎重を期すとの考えを示した。一方で「重病説」を報じた米CNNテレビは自社報道に対する検証結果などは伝えず、釈明するにとどめた。北朝鮮をめぐっては裏付けの取れない“機密情報”が少なくなく、外部メディアはそれに振り回される。ただ、北朝鮮で厳しい情報統制が続く限り、その状況が変わるのは難しい。

◇脱北の韓国政治家とCNNのけじめ

 韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」が先月20日に「金委員長が手術を受けた」と報じ、CNNも「重体」と続けた。これに北朝鮮出身の韓国野党政治家である池成浩氏(未来韓国党)と太永浩氏(未来統合党)が反応し、それぞれ「99%死亡を確信」「自ら立ち上がれない状態」などと発言していた。

 北朝鮮国営メディアが今月2日、金委員長の健在ぶりを伝えたことから、韓国国内で2人に対する批判がわき上がり、2人は4日、謝罪表明に追い込まれた。

 太永浩氏は「この2日間、多くの叱責を受け、自分のひとことが及ぼす影響について、切実に実感しています。理由に関わらず、国民のみなさまにおわび申し上げます」と述べた。そのうえで「今度のことを契機に、より慎重で、謙虚な議員活動を展開してまいることを約束いたします」と誓った。

 池成浩氏は「国民のみなさまに深くおわび申し上げます」と謝罪。「過去数日間じっくり私自身を振り返ってみた」と明かしたうえ、先の韓国総選挙での当選と重ね合わせて「(国会議員という)ポストの重さを深く感じました。これから公人として慎重に行動します」と反省の弁を述べた。

 一方、CNNは、北朝鮮メディアが金委員長の動静を伝えた2日の時点では「写真の真偽と撮影日は確認されていない」と慎重な態度を見せてきた。だが、写真が捏造ではないことを確認すると、「北朝鮮には言論の自由がなく、国の最高指導者に関する情報はしばしば『光が目に届かない黒い穴』になる」と表現するだけだった。

◇北朝鮮「韓国で虚偽ニュース横行」

 北朝鮮側は、韓国政治家2人の発言を念頭に、対外宣伝媒体である「メアリ」が5日、「南朝鮮(韓国)で日増しに勢いを増す『虚偽ニュース』が、人々を混沌とした状態に陥らせている」と伝えた。

 メアリはこの「虚偽ニュース」を「一定の政治的・経済的目的により、特定の対象・集団に対する虚偽事実を意図的に捏造して流す世論操作行為」と定義している。

 ただし、メアリはこの報道の中で、金委員長の「重病説」には一切触れていない。「金委員長に健康問題に関連してデマが流された」と伝えるだけでも、住民らに動揺が生じる恐れがあるためだ。

◇“国境情報”

 北朝鮮情勢を取材していると、時々“国境情報”といわれるものに出くわすことがある。これは中国に潜伏する脱北者支援組織のメンバーらが、北朝鮮側にいる協力者と連絡を取り合うなかでやり取りされるものだ。

 北朝鮮の咸鏡北道や慈江道など、中国との国境付近では中国の携帯電話の電波が入るため、双方が中国のスマホを持っていれば、国境を隔てて文字情報や動画・写真などのやり取りが可能だ。

 またこのルートは「双方向」になっているため、北朝鮮側の協力者は国外の情報に触れることができる。ここから公式メディアが伝えない「重病説」などが逆流している可能性もある。

 北朝鮮の治安当局は時に、情報漏洩ルートをあぶり出すため、疑わしい複数の人物に、個別にそれっぽい話を握らせて、情報の流れを点検するとされる。たとえば、ある人物には「金委員長は3日前に死んだ」、別の人物には「金委員長の叔父が権力を握った」、残るひとりには「金与正氏が監禁された」といった、メディアが欲しがるような「故意の誤報」をあえて流し、どの人物に流した情報がどのようなルートを経て外部で報じられるようになるのかを確認するというものだ。こうした情報は絶妙なタイミングで流され、筆者もだまされて情報源を遮断された経験をもつ。


【私の論評】北朝鮮に限らず、世界中で観測気球が上げられるている事実に目覚めよ(゚д゚)!

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の健康状態について韓国の情報機関は6日、異常はなく、手術も受けていないと判断していることを明らかにしました。

北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長をめぐっては、先月、アメリカのCNNテレビが、「手術のあと重篤な状態になっているという情報がある」と伝え、健康状態に関心が集まっていました。

北朝鮮の国営メディアは今月2日になって、キム委員長が肥料工場のしゅんこう式に出席したと報じ、20日ぶりに公の場に姿を現したことが確認されました。

これについて韓国の情報機関、国家情報院は6日、国会の情報委員会に対し非公開で報告を行いました。出席した議員によりますと、この中で国家情報院は、キム委員長の健康状態に異常はなく、手術も受けていないと判断していることを明らかにしました。

その理由としては、手術を受けた場合、4週間から5週間程度は療養しなければならないと、専門家が指摘していることを挙げ、動静が伝えられていなかった間も、正常に国政運営を行っていたとする見方を示しています。

また、国家情報院は、ことしに入って公開されたキム委員長の活動が17回と、例年の同じ時期に比べておよそ3分の1にとどまっているとしたうえで、その背景には新型コロナウイルスの影響もあると指摘しました。

以上から、今のところ金正男氏は健康かどうかはわかりませんが、少なくとも生存しているのは明らかなようです。

では、死亡の噂が駆け巡ったのはどうしてなのでしょうか。北朝鮮をめぐるうわさは、今回だけではなく常に起きてきたし、30年前からの歴史的記録も残っています。北朝鮮国内にはいくつか、うわさの出どころとみられる場所もあります。

過去には、北朝鮮国内の外国貿易部門として知られる場所が、同国指導部に関する一部のうわさの出どころだと考えられてきました。資金やぜいたく品を調達して指導部へと送る朝鮮労働党39号室には、北朝鮮と海外を行き来する海外工作員が配置されています。

指導部とこの部門との間ではある程度のやりとりが交わされることから、大規模な工作員ネットワークの一部から発生したうわさもあると、長らく考えられてきました。こうした工作員ネットワークが存在するのは、私たちがみな知っていることです。

かつてそこで働いていた脱北者が証言しています。うわさの一部はやがて、日本や韓国のメディアへと流れていきます。

しかし、だからといって情報の性質はさほど変わりません。ゴシップに過ぎないわけです。

朝鮮労働党中央委員会の施設で働いていれば、井戸端会議もあるでしょう。金一族の生活には強い関心が向けられていると、かつて働いていた人たちが証言しています。ある話の3分の1がもととなった井戸端会議程度の話は、人々が思うより簡単に、北朝鮮国外へと伝わっていきます。

うわさやゴシップは北朝鮮のような全体主義体制の中でかなりはびこっています。1つの例が、2017年に殺害された金氏の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏の母方の伯母、成恵琅(ソン・ヘラン)氏の回顧録「藤の家」に記されています。

この中で成氏は、金一族に仕えるスタッフの1人から、金正恩氏の一家が有利な立場にあると聞かされた時のことを明かしています。特筆すべき点は、成氏が自分の情報源は「信頼できる」とわざわざ書いていることです。

繰り返しになりますが、情報のブラックホールの中では手に入るものを手に入れる、それが北朝鮮の仕組みです。戦場の霧(不透明な状況)の中ではそれほど多くの選択肢はありません。つまり、北朝鮮に関するゴシップに正当性を与えるのは不相応と言えます。

世界中の諜報機関もまた、オープンソースの情報を確認し、自分たちの手法で仮説を検証しようとするでしょう。

韓国には北朝鮮を監視する独自の方法があります。時には衛星を使うこともあります。そして韓国統一省は先週、北朝鮮の状況を頻繁に監視しているが特異な動向はみられないと明かしました。

米国が複数の偵察機を飛行させたことは、世界のメディアが報じたため公然の秘密となっています。偵察機で北朝鮮の状況を確認していたというわけです。

では、北朝鮮をめぐる話がうわさによるものなら、なぜ北朝鮮側はこうしたうわさを取り締まらないのでしょうか。この逆は違いますが、北朝鮮から韓国側へ連絡を入れるのは非常に簡単なのですから。

2008年ごろは、金氏に関する会話は密室で行われていたでしょうが、今日では携帯電話技術がその状況を一変させています。北朝鮮の指導者のうわさ話をする市民は、確実に追跡されるでしょう。

しかし、新たにそういう機会が生じるまでは取り締まりを受けることはないかもしれないです。金氏はこうした情報のまん延を制御できそうにはないです。ただし、金氏と近しいあるいは結びつきのある人物に関連したうわさをすれば、どうなるかは想像がつきます。

ごく一般的な北朝鮮国民は何も知らないということを留意しておくのは重要です。2016年に脱北した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は、2017年の米議会公聴会で、ほとんどの北朝鮮国民は自分たちの指導者がスイスで教育を受けていたことすら知らないだろうと証言しています。

脱北した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使
太氏は、北朝鮮の一般市民が情報にアクセスできるよう、衛星の使用とマイクロチップの密輸を提唱していました。

実際には、金氏の健康状態に関する正確な情報にアクセスできる人はほんの一握りしかいないでしょう。だからといって、うわさが漏れないわけではないし、うわさが正しくない可能性もあります。

これまでも常にそうだった。1986年に金日成(キム・イルソン)主席が心臓発作を起こしたといううわさが流れました。当時、そう報じられていたにも関わらず、これはでたらめでした。

1990年から1992年には、金日成主席と金正日総書記が鉄道駅のプラットホームで軍によって銃殺されたとのうわさが流れましたが、全くそうではありませんでした。

咸鏡北道で朝鮮人民軍第6軍団によるクーデターが起きたとする証言が3つ存在します。第6軍団はその後解体されたままです。何かがあったということ以外、詳細はわかりません。金正日氏は2003年にすでに死亡していて、影武者が国を指揮していたといったうわさもあります。

世界のどこでもそうであるように、今でもゴシップは生まれ、うわさは広まっています。そしてほかのどんな場所とも異なっているのは、北朝鮮が望む通りにうわさを認めたり否定したりするという、その気まぐれさを、私たちはどうすることもできずにいることです。

ただ、私たちはこうしたことが、北朝鮮にだけ限ったことではないことを認識すべきです。たとえば、我が国においても、政府や、官僚、政治家などが、観測気球をあげることがしばしばあります。

たとえば、産経新聞には以下のような記事が掲載されました。
政府、緊急事態宣言に伴い首都圏での鉄道減便要請を検討 新幹線も対象
2020.4.6 13:23
 政府が7日にも発令する緊急事態宣言に伴い、首都圏などの対象区域で鉄道各社に対する減便の要請を検討していることが6日、分かった。対象は新幹線にも及ぶ見通し。不要不急の外出を抑制する狙いがあり、宣言が出れば来週以降、減便が始まる可能性がある。 政府がJR東日本などと検討しているのは、7日にも緊急事態宣言が出た場合、来週から当面の間、平日にも土日・祝日のダイヤを運用し、終電も繰り上げる。その後、通常の最大5割程度に列車の運行本数を間引きした臨時ダイヤに移行。新幹線は5割以上の減便も検討する。
鉄道減便は未だに実行されていません。これは、おそらく政府もしくは、国土交通省の官僚などによる、観測桔梗であると考えられます。ようする、何かの施策を実行するにしても、それが国民などに受け入れられやすいものなのかを確認するためのものです。

この記事に関しては、かなり批判的な意見が多く、ツイッターでは以下のような意見がみられました。
・おいおい、マジでこんなこと考えてるの? ニューヨークはそうやって感染拡大したんじゃなかったっけ?「通勤制限」「一部企業活動停止」せずに5割減便したら、朝から晩まで満員。感染爆発を引き起こすぞ
・現実を知らない政治家たちの愚かさに呆れる。朝夕の電車内は間違いなく3蜜
この他にも、困窮世帯に限った30万円の支給とか、減税に関するものなど、日本でも様々な観測気球がながれています。

新聞の記事や、テレビの報道など、ただ単純にながめていただけでは、それが観測気球であるかどうかすらわからないでしょう。

財務省なども、増税の前などには、観測気球を良くあげます。世論を読んで、その時時で増税できそうかどうかを確かめるのでしょう。日経新聞などには、良く財務官僚のものとおぼしき観測気球記事がみられます。

観測気球をあげるのは簡単です、さも重要な情報であるかのように、記者やその周辺にほのめかしたり、政府の発表や省庁による発表に尾ヒレ葉ヒレをつけることでできます。

北朝鮮の金正恩氏死亡説に関しては、最初からこのような観測気球なのかどうかは、わかりませんが、途中からは観測気球に変わった可能性が濃厚です。

金正恩もしくは、北の高官は、もっともらしい金正恩死亡説をすぐに取り消さなかったのは、これが一種の観測気球になると考えたからでしょう。

金正恩氏が、死亡した場合、たとえば中国はどのような出方をするのか、韓国はどうするのか、あるいは日米は、そうしてロシアはどうでるのか。あるいは、金正恩氏死亡の情報がどこから漏れて、どこに伝わったのか。

それに付随して、北朝鮮内部に金正恩氏の反対勢力は存在するのか、存在したとして、それは誰なのか、あるいはそれに協力する敵対勢力は外国勢力は存在するのか、等々です。

実際北朝鮮は、日米の確かな意思を明らかにすることができたかもしれません。これにつついては、先日このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
金正恩氏、新型コロナ感染!? 中国医療団が北朝鮮へ「ECMO」「アビガン」持ち込み情報 感染者は「国内にいない」としているが―【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!
金正恩氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日米の北有事の際の意思に関わる部分を以下に引用します。

言うまでもなく、文在寅大統領および与党「共に民主党」は、反日、反米、従北、親中を鮮明にする左翼革新政権です。 
今般の選挙結果を受けて、さらにその路線への傾斜を強めるのではないかと懸念され、日韓関係の改善は期待できないばかりか、「米韓相互防衛条約」を締結している同盟国・米国との関係にも亀裂拡大の恐れが指摘されています。

韓国総選挙で当選した与党「共に民主党」の李洛淵前首相(左)=ソウルで15日
このようなことを前提に考えると、米空軍と空自が22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施したことの意味がまた別の方向からみえてきます。 
まずは、この種の訓練には、従来なら韓国空軍も参加していましたが、今回は参加していません。これは、最早米国は、韓国を信用しておらず、朝鮮半島に危機があった場合は、日米が共同で事に臨むことはあっても、親中・従北の韓国は外すという明確な意思表示であることがうかがえます。 
そうして、この演習は、北朝鮮に向けての演習でもあるのでしょうが、それはサブの扱いくらいにすぎず、どこに向けての演習かといえば、それは中国でしょう。 
もし、中国が軍事的な意図を持って、北を脅かそうとした場合、米国としては何らかの軍事行動をし、中国の意図を挫く意思があることをみせつけ、牽制したとみるのが妥当です。それも、韓国抜きでそれを実行するという意思をみせつけたのでしょう。
金正恩氏もしくは、北朝鮮としては、日米の意思表示を確認することができたといえます。

このように観測気球は、日本でも、北朝鮮でも、そうして世界中の国々で様々な手段を用いて実施されているとみるべきです。

日本国内でも、新聞を読んだり、テレビの報道をみるときには、報道内容の中には、こうした観測気球が紛れ込んでいることを認識すべきです。

そうでないと、私たちは単に他人に操られる存在になるだけです。主体的にものを考えていくときには、観測気球の有無、観測気球をあげる人は誰なのか、その目的は何なのかをつねに主体的に考えていくべきなのです。

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2020年5月5日火曜日

トランプ大統領、中国を罰する選択肢を検討中-ムニューシン財務長官―【私の論評】追加関税は当然どころか、さらに厳しい措置も予想される(゚д゚)!

トランプ大統領、中国を罰する選択肢を検討中-ムニューシン財務長官

トランプ大統領

トランプ米大統領は情報機関とともに中国と新型コロナウイルスに関するデータを精査していると、ムニューシン財務長官が語った。トランプ氏は中国を罰するための選択肢を検討しているとも、同長官は述べた。

ムニューシン氏は、中国が第1段階の貿易合意に基づく義務を果たすだろうとの見解を示し、「十分な根拠に基づき、この合意を中国が守ると想定している。守らない場合は中国企業との経済活動について、米中関係や世界経済に極めて重大な影響が及ぶことになる」と警告した。
原題:
Mnuchin: Trump Is Reviewing Options To Penalize China(抜粋)

【私の論評】追加関税は当然どころか、さらに厳しい措置も予想される(゚д゚)!

日本では、ほとんど報道されおらず、そのためか日本国内では、ほとんど知られていませんか、トランプ大統領は、昨年12月に米中貿易「第1段階合意」を中国の完敗に終わられせたことを、今でも明確に意識しているようです。

昨年12月13日に発表された米中貿易協議「第1段階」合意は、中国側による全面的な敗北の結果でした。そのことは、合意に関する中国側の声明文からは簡単に読み取ることができるものでした。

13日深夜に発表された中国側の公式声明によると、米中間の合意項目は(1)知的財産権(2)技術移転(3)食品と農産物(4)金融サービス(5)為替とその透明度(6)貿易拡大(7)双方による査定・評価と紛争処理の7項目に及びました。

7項目合意の具体的内容について中国側の声明は直接に触れていませんでした。しかし、今までの米中貿易協議の経過と内容からすれば、この7項目合意の内容は概ね推察することができます。要するに、7項目合意の内容は全て、中国側がアメリカ側からの要求を飲んでアメリカ側に譲歩した結果なのです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中貿易「第1段階合意」が中国の完敗である理由―【私の論評】米国の一方的な完勝、中共は米国の要求に応ずることができず、やがて破滅する(゚д゚)!
       13日に北京で会見する財政相副大臣の廖岷。重要な会見の
       はずなのに出席者はいずれも副大臣級ばかりだった
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
(1)から(6)までの米中間合意の概要であるが、そこには1つの共通点があることにすぐ気がつく。この共通点とは要するに、(1)から(6)までの合意項目の全ては、中国側がアメリカ側の要求に応じて何かを約束したのであってその逆ではない、ということである。 
そうすると、合意項目(7)の「双方による査定・評価と紛争処理」の意味は自ずと分かってくる。要するに今後において、中国側が自らの約束したことをきちんと実行しているかどうかを「査定・評価」し、それに関して双方で「紛争」が起きた場合はいかにそれを「処理」するかのことであろう。中国側の発表では一応「双方による査定・評価」となっているが、実際はむしろ、アメリカ側が一方的に中国側の約束履行を「査定・評価」することとなろう。
この(7)は、要するに(1)〜(6)までについて、米国が監査をするという意味です。そうして、合意が守られていなければ、米国はさらに制裁を課すと、米国側が表明したということです。

中国側が、従来のようなつもりで、これを上辺だけ実行したようにみせかけても、米国は納得しないでしょう。そんなことは、中国のWTO加盟後の中国の不誠実な対応で懲りています。

であれば、もうすでに3ヶ月後(今年3月以降)には、米国から報復されることはほぼ確定だったのです。これは、バブル崩壊中の中国を追い詰めることになったはずです。これによって、中共崩壊へまっしぐらということにもなりかねませんでした。

ところが、そこに降って湧いたのが、中国ウイルス問題です。当初はあまり酷くなかった感染が3月には米国でもかなり悪化しました。

そのため、この米中貿易「第1段階合意」に関しては、一時棚上げ状態のようになってしまいました。そのため、中国は命拾いをしていたようなところがありました。

ムニューシン財務長官

しかし、米国側からすれば、この合意は生きているものとみています。本日上の記事にもあるとおり、トランプ米大統領は情報機関とともに中国と新型コロナウイルスに関するデータを精査していると、ムニューシン財務長官が語りました。トランプ氏は中国を罰するための選択肢を検討しているとも、同長官は述べたのです。

米中貿易「第1段階合意」は簡単に言うと中国が米国から農産品やエネルギー商品、工業品の輸入を増やす見返りに、米国が対中関税の一部を引き下げるという内容でした。

関係筋2人によると、中国への制裁発動や、新たな関税またはその他の貿易制限のほか、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」を中国に対し認めない措置などが検討されているといいます。

ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)らNSC関係者から報復措置を求める声が強い一方、財務省当局者は慎重な対応を促しているもようです。

ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)

関係筋らは、議論はきわめて予備的な段階にあり、近く大きな措置が講じられるとはみられていないと話しました。

米紙ワシントン・ポストは30日、関係筋の情報として、米政府高官が中国保有の米国債の一部を帳消しにすることを協議していると報じました。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は「全くの誤り」として報道内容を否定しました。

トランプ氏は、中国に制裁を加える措置として債務支払い停止を検討するかどうか問われ「異なるやり方がある。関税発動によって同じ制裁でも金額が増やせる。そうすれば(債務支払い停止の)必要はなくなる」と応じたとされています。

いずれにせよ、新たな関税発動は十分にありそうです。それに、今回が追加関税に終わったにしても、中国が合意を守らなかったことが明らかになったり、これからも守らないようであれば、より厳しい措置が課せられる可能性は十分にあります。

米国にある中国関連や、中国の幹部の資産の凍結や、中国保有の米国債の一部を帳消しにするなどのこともあり得ます。これを実行されると、中国はたまったものではありません。それこそ、以前このブログに掲載したように、中国が石器時代に戻るということも考えられます。

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2020年5月4日月曜日

情報機関分析:中国は物資買いだめのためにコロナウイルスの重大度を隠した―【私の論評】情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるな(゚д゚)!


ドラナルド・トランプ米大統領

<引用元:ブライトバート・ニュース 2020.5.3

ワシントン(AP)―中国がコロナウイルス発生の範囲―そしてその感染性の強さ―を隠蔽したのは、対応に必要な医療用品をため込んでおくためだったと米国当局者が考えていることが、情報機関の文書から明らかになっている。

AP通信社が入手した5月1日付の4ページからなる国土安全保障省の報告書によると、中国指導部は1月初めに、世界からパンデミックの「重大度を意図的に隠蔽」したとされる。トランプ政権が中国に対する批判を強める中での発覚であり、マイク・ポンペオ国務長官は3日、中国に疾病拡大の責任がありその責任を果たさなければならないと述べていた。

中国に対する論調の厳しさが強まるのと同時に、政府のウイルス対応は不適切で遅いという政権批判が出ている。ドナルド・トランプ大統領の政治的敵対者は、大統領と政権が国内での批判をかわそうとして、地政学な敵でありながら米国の重要な貿易相手でもある中国を厳しく批判しているのだと訴えている。

分析では、中国はコロナウイルスの重大度を軽視しながら、医療用品の輸入を拡大して輸出を縮小させたとされている。「輸出規制があることを否定し、貿易データの提供を分かりにくくして遅らせることで」そうした行動を隠蔽しようと試みた、と分析にはある。

また報告書は、中国はコロナウイルスが「(人から人への)伝染病である」ことをWHOに知らせることを遅らせたので、海外の医療用品を注文できた―そしてマスクと手術着の輸入が急激に増加していた、としている。

報告書によると、そうした結論は、95パーセントの確率で中国の輸出入のパターンの変化が通常の範囲に収まらないとされる点に基づいている。

トランプは、中国が何らかの恐ろしい「過ち」のせいでコロナウイルスを流出させてしまった可能性があるのではないかと考えている。情報機関は、パンデミックが中国の研究所での事故の結果かもしれないという、大統領と側近の見解をまだ検証中だとしている。

ポンペオ長官は3日、ABCの「This Week」に出演し、ウイルスが意図的に拡散されたと信じるだけの根拠はないと述べた。が、こう付け加えた。「忘れないで欲しいが、中国は世界に感染を広げた歴史を持っており、基準を満たしていない研究所を運営していた歴史を持っている」

【私の論評】情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるな(゚д゚)!

中国共産党が、医療用品をため込んでおくため、コロナウイルス発生の範囲―そしてその感染性の強さ―を隠蔽したというなら、本当に中共はクズです。

たとえそうでなかったにしても、隠蔽の事実は、消えません。中国ウイルスによる感染症が確認された初期の段階で、何が理由だったかは、別にしても中国の当局は情報を隠し、告発者を「デマの発信源」と名指しで批判しました。そして武漢から情報発信したジャーナリストは姿を消しました。

こうした情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスの感染拡大を招いたことを忘れてはならないです。以下に1月から2月の中国におけるウイルスに関する出来事をふりかえっておきます。

春節休みの時期だった中国において、超過勤務を続けていたのは病院職員だけではありませんでした。警察も体制を強化する必要性が生じていたのです。

1月24日、ひとりの警察官が湖南省の省都である長沙市へと飛んだ。彼はそこから封鎖を通り抜け、隔離されていた湖北省へと移動し、中国ウイルス大流行の中心地となった武漢へと入りました。この警察官は、武漢にある刑務所の警備強化のために派遣されたのです。

新型ウイルスが爆発的に広がって以降、刑務所ではテレビの電源が切られ、親類の訪問も禁止されていました。中国政府は現在、主なテレビチャンネルでマスクの着用方法を説明するアニメを流していますが、服役囚の暴動は望んでいません。情報の流れは刑務所の入り口で止まっています。


武漢市の当局は、すべてが統制下にあると考えていました。市の公安当局は1カ月前、SARS(重症急性呼吸器症候群)に似た疾患についてチャットアプリのWeChat(微信)で友人に警告を発していた眼科医の李文亮(リー・ウェンリアン)が、デマを流していたと誇らしげに発表しました。

武漢が封鎖される2日前、省の指導部は武漢市のホールで民族舞踊を鑑賞していました。中国は権威主義の国としてよく知られていますが、地方政府は自らの管轄域において、ほぼ独立した統治権を有しています。

省の指導部が武漢市のホールで鑑賞していたとされる民族舞踊

当局の職員はウイルスについて上層部に報告したでしょうが、その重大性を甘く考えていたようにも見えます。叱責を受けたり、対応能力がないとみなされたりすることを恐れていたのでしょう。口をつぐんで静かにしているというのが、その基本的な姿勢でした。

このため旧正月を前に、国営メディアは年に一度の伝統行事をいつも通りに祝い、40,000人が武漢の街中に料理を持ち寄って宴を繰り広げていました。中国全土で企業が祝賀行事を催していたが、中止を考えるほど新型コロナウイルスが深刻であるとは思っていませんでした。

このころSNSで最もシェアされていた医療用品の写真は、飲みすぎた社員が回復するための点滴やベッドの様子でした。これはスマートフォンメーカーのOPPO(広東欧珀移動通信)から“流出”したものです。

飲みすぎた社員が回復するためとそれた点滴やベッドの様子

それから数日、医療体制の不足を嘆く投稿がソーシャルメディアに広がりました。医師たちは、防護服をいったん脱いでしまうと着替えがないかもしれないことから、怖くて食事すらできないと報告しました。手を休めれば職務に忠実ではないと思われる可能性があるため、休みなく働いたあとに倒れる看護師の映像もあります。

フリージャーナリストで弁護士の陳秋実(チェン・チウシー)は、武漢の病院の廊下に遺体が放置されていると報告した。彼はそれ以来、姿を消している


陳秋実(チェン・チウシー)

「いま国は、人民を怖がらせるという仕事をとてもうまくやっています」と、北京在住の学生チャン・チン(仮名)は言います。「最初の数週間の対応が大きな怒りを買っているのです」

その最初の時期、中国の高齢者のほとんどは警戒を怠っていました。古い世代の多くは社会主義的な生産組織で育ち、生活のすべての面で政府に面倒を見てもらっていました。高齢者たちは、自分の子供の言葉よりも政府の言うことのほうを、はるかに信じているのです。

春節に故郷の浙江省に帰省したサム・ガオ(24歳,仮名)は、家に帰ると両親がマスクもしないで歩き回っている様子に気づいた。彼はすぐに通販サイト「京東商城(JD.com)」でマスクを注文したが、その後すぐに売り切れてしまいました。

地元の政府で働いている親にマスクをするよう促したのですが、彼の心配は軽くあしらわれました。「両親が新型ウイルスの存在を信じ始めたのは、武漢が封鎖された あとのことでした」とガオは言います。

そして彼の両親が住む集合住宅で症例が報告され、国営の中国中央電視台(CCTV)が公衆衛生の啓蒙活動を強化し始めてから、ようやく新型コロナウイルスを本当に真剣に捉え始めました。WeChatや中国版Twitterの「微博(ウェイボ)」といったSNSでは、親に警戒するよう説得することがいかに難しかったか、若者たちが経験を共有しています。


政府による情報統制のために、デマが広がる余地が生まれました。検閲機関は政府の情報統制に対する批判を集中的に取り締まり、李文亮の死に捧げられた投稿を削除しています。

「ほかの街も封鎖される」「野菜の値段が急騰している」といった噂が氾濫してパニックや買いだめにつながり、政府の情報源にも圧力がかかっています。国営メディアは「双黄連口服液」という薬を推奨しており、ウイルスの症状に効果があると報道しました。薬は売り切れましたが、虚偽のニュースだとする医師もいます。人々はほかの情報源に頼るのみならず、発表があるたびに過剰反応しています。

双黄連口服液

武漢は新型コロナウイルスに対してまったく体制が整っていませんでした。「医療資源は全国的に厳しい状況です」と、武漢の大学に通っていたシン・ヤーチァン(仮名)は語っています。

まだ彼女が大学に行っていたころ、のどに腫瘍があることに気づきました。病院のベッドで3日間を過ごしたあと、腫瘍が取り除かれて体調が回復すると、医師は彼女を追い払い、ほかの患者のためのスペースを確保しました。

彼女は手術まで3週間も待たされました。ウイルスのせいではなく、基本的な治療が不足していることから多くの人が亡くなっています。「李文亮の言葉に耳を傾けていれば感染者は少なくて済んだはずです」と、シンは言います。

公衆衛生の専門家は状況の全貌を把握していませんでした。「医師と公衆衛生の専門家が連携していなかったことで、市民は大きく混乱しました」と、匿名を希望する北京在住の公衆衛生専門家は指摘します。

中国では医師に対する信頼が一般的に低いです。このため今回の公衆衛生の危機がさらに深まっていました。多くの中国人は、本当の必要性を感じない限り病院へ行くことはないです。人々は医者が自分たちをだましていると感じているからです。

長い間、中国の医療制度では過剰な処方や検査が奨励されていました。正当性を高めるため中央政府は、SARSと戦った鍾南山(チョン・ナンシャン)氏に、コロナウイルスの大流行について調査している衛生健康委員会を率いるよう要請せざるをえませんでした。

鍾南山(チョン・ナンシャン)氏
当時中国では、中国ウイルスに対する勝利を宣言しようと躍起になっていました。地方政府は症例をできる限りゼロに近づけ、退院した患者数を増やすよう大きな圧力をかけられていました。

調査報道メディア「南方週末」の2月6日の報道によると、患者が新型コロナウイルスに感染したかどうかを判断するうえで広く使用されているPCR検査で、偽陽性になる例がありました。杭州の病院で、7回の試験後にようやく陽性と判明した患者がいたというのです。

病院において「感染源ではない」と判断された患者が外を歩き回り、他人をリスクにさらしている可能性もあります。今回のウイルスで最も胸が痛む特徴のひとつは、家族間での感染が見られるという点でした。

北京の中央政府が事態解決に乗り出してから、途方もない仕事をやってのけました。それぞれが1,000床以上もある2つの病院が、わずか1週間で建設されたのです。さらに人口が5,850万人の湖北省を封鎖し、経済の中心地のひとつを切り離しました。低賃金労働者の多くはいまだに家族と過ごしており、ほかの街での仕事に戻れないでいます。

その後中国が全力を尽くしたことに疑いの余地はないでしょう。しかし、もし春節の行事の前の段階で、人々が新型コロナウイルスを家族や恋人のもとに持ち帰る前に周知されていれば、どうだったでしょうか。

いま中国の徹底的な対応を称賛している人々は、初期の決定的な遅れが死者や感染をもたらしたことを忘れるべきではないです。こんなはずではなかったのです。そうして、これは中国国内のみならず、他国でもそうなのです。

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2020年5月3日日曜日

においで新型ウイルス感染者を特定? 消防隊が検知犬を訓練―【私の論評】犬の嗅覚に頼らなくても良い日本の底力(゚д゚)!

においで新型ウイルス感染者を特定? 消防隊が検知犬を訓練



新型コロナウイルスのにおいを、犬が嗅ぎ分けられるかもしれない。犬には、乳がんや前立腺がんといった別の病気を嗅ぎ分けられる能力があるからだ。

フランス・コルシカ島では、消防士たちが新型ウイルスの嗅ぎ分け方を犬に教え込もうとしている。

ロックダウンが解除された後に、空港などで新型ウイルス感染者を特定するのに役立つかもしれないと期待されている。

この取り組みは、イギリスやアメリカなど複数の国で行われている大規模実験の一部だ。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/video-52518774

【私の論評】犬の嗅覚に頼らなくても良い日本の底力(゚д゚)!

この試み、無謀なものとはいえません。なぜなら、このような事例はもうすでに存在するからです。

英国の研究チームは、2018年10月29日、犬を訓練してマラリアに感染した患者を見つけ出す実験に成功したと発表しました。犬に靴下の臭いをかがせるだけで、その人がマラリアに感染しているかどうかを診断できるといいます。

マラリア探知犬

一部のがんや糖尿病の臭いをかぎ分ける探知犬の訓練は既に行われています。英ダラム大学などの研究チームは、マラリア原虫に感染している患者が特徴的な臭いを発することに着目。医療用探知犬の推進団体と協力して、2頭の犬にマラリアの原虫をかぎ分けさせる訓練を実施しました。

研究チームは、アフリカのガンビアで5~13歳の子ども600人に提供した靴下を回収し、その靴下を使って英国で4カ月かけて犬を訓練しました。使用したのは回収した靴下のうち175足で、30足はマラリアに感染した子どもの靴下、145足は感染していない子どもの靴下でした。

訓練の結果、レトリバー犬の「レクシー」と「サリー」は靴下の臭いを嗅ぐだけで、マラリアに感染した子どもの70%、感染していない子どもの90%を正確に検知できるようになりました。

今回の研究により、犬を使ってマラリアを発見できる可能性があることが分かったと研究チームは解説しました。

ただしこの研究はまだ初期の実験段階にあり、実用化する前にほかの国のサンプルも試す必要があるとしました。

世界保健機関(WHO)によると、2016年のマラリア患者は世界で2億1600万人と推定され、うち44万5000人が死亡している。治療は可能だが、予防のためのワクチンは存在しません。

もしも発症前の患者を発見できれば、特にマラリアを根絶した国では、他国から持ち込まれるマラリア感染の拡大を防止でき、早期の治療を受ける助けにもなると研究チームは説明しました。

ここで、もう一つ心配なのは、犬は中国ウイルスに感染するかどうかという問題です。犬が中国ウイルスに感染し、さら感染した犬から人に感染するというのであれば、これは問題です。

結論からいうと、新型コロナウイルスが人から一部の動物にうつる可能性があることがわかったのですが、現時点では、動物から人間に感染する証拠は見つかっていません。さらなる研究が求められるところです。当面は、ペットについても人間と同様の予防措置を講ずるにこしたことはないです。

メイン州の獣医診断研究所が最近行った研究で、数千匹のイヌとネコから採取した試料を検査した結果、感染は一例も見つかりませんでした。また、中国ウイルスがネコ同士でうつるかを調べた小規模な実験では、実際に感染しうることがわかったと初期のレポートで述べられているものの、ネコがこの病気を人間に広める媒介となることは示されていません。

犬に関しても、犬同士で感染するとか、中国ウイルスを人間に広める媒介となることは示されてないようです。

であれば、犬の嗅覚を中国ウイルス発見に利用できる見込みはあるわけで、実際そうなれば、かなり有用です。

以前にもこのブログに掲載したように、日本ではCTの普及率が世界一であり、これが中国ウイルス感染発見の救世主となっている可能性かあります。他国では、CTといえば、それぞれの地区の拠点病院等にしか設置していないのが普通ですが、日本だと診療所レベルの医療施設にも設置されるのが珍しくありません。


無論、中国ウイルスに感染していることを断定することはできませんが、その可能性を素早く確認できるというのが、素晴らしいです。ご存知のように、これは癌などの病気の早期発見にも相当役立っています。

日本では、PCR検査を万能とみるむきも多いですが、以前このブログにも示したように、誤判断の確率はだいたい3~5割です。簡易検査だとこれをさらに上回ります。であれば、現時点でも、PCR検査は現状のように限定的でも良いのではないかと思います。

日本ではCTが他国に比較してかなり普及している

そのかわり、CT検査等を実施し肺炎などの症状がない場合は、自宅待機やホテル滞在などとして、肺炎が深刻なレベルに達していれば、入院治療とPCR検査を実行するというので良いと思います。実際現場ではそのように対処しているものと思います。

イギリスなどの他国では、CTが普及しておらず、犬の嗅覚にも頼らざるを得ないところがありますが、日本では、CTがかなり普及しているわけですから、この資産を最大限に活用すべきです。

私自身は、犬が大好きで、犬が中国ウイルス感染者の発見に活躍すること自体は、大歓迎なのですが、残念ながら日本では、CTがかなり普及していることから、犬たちの出番はないのでないかと思っています。ただし、空港や港などの水際などでは、CTを使うということはできないので、有効だと思います。

特に他国からの入国制限が、なくなったときに、水際での発見に威力を発揮することが考えられます。その意味では、犬の臭覚利用も、日本でも検討すべきと思います。

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2020年5月2日土曜日

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」―【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」

4月30日、モスクワ郊外の公邸に滞在中のプーチン・ロシア大統領(左)に新型コロナウイルス
感染をオンラインで報告するミシュスチン首相(画面)=ロシア大統領府提供

ロシアの新型コロナウイルス感染者数が急速に拡大している。一日には十一万四千人余に達し、対策で陣頭指揮を執っていたミシュスチン首相(54)の陽性も確認された。早期に中国との国境を封鎖するなど厳しい予防措置にもかかわらず、ここ数日、五千~八千人の感染者が出る日が続き、世界ワースト八位に。地方でもデモが相次ぐなど、市民は不満を募らせている。

ミシュスチン氏から陽性の報告を受けたプーチン大統領は三十日夜、「あなた抜きで重要な政策決定は行われない」と述べ、今後もテレワークで会議に参加するよう指示した。だが一部報道ではミシュスチン氏は医療施設で自主隔離後、高熱に見舞われているという。首相代行にはベロウソフ第一副首相が就いた。

ミシュスチン氏は一月に内閣総辞職したメドベージェフ前首相の後任で、コロナ対策本部を指揮。感染がまん延していた中国からの入国を西欧諸国より早く、二月二十日から禁止し、三月からは外国人の入国を止めた。外出禁止や商店の強制休業などでも徹底した隔離措置を断行してきた。

ロシアは検査を積極的に行い、累計で三百七十万件と米国に次ぐ規模。死者も約1%の千百人超と他国と比べると少ない。感染者の洗い出しと隔離による「封じ込め作戦」が進んでいるとの見方もあるが、拡大に歯止めがかかっていない。プーチン氏も四月二十八日、「ピークはこれからで危険な状態だ」と指摘した。

これに対し、モスクワなど都市部ではネット上で政権批判をしたり、シベリアでは鉱山労働者らによるデモが発生。独立系世論調査機関「レバダ・センター」が三十日に公表した調査では、市民の48%が政権に対してコロナ対策で不満を表明した。

このため、二〇二四年に任期が満了するプーチン氏の続投を可能にする憲法改正の全国投票についても、政権批判票を封じるため、コロナ禍が落ち着くと予想される冬まで先延ばしにするとの報道も出ている。政権は経済活動の維持と感染食い止めを巡り、難しいかじ取りを求められている状態だ。


【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシアでは、各地の軍施設や医療機関にも広がっています。1日から連休が始まり、外出の増加が予想されることから、当局は警戒を強めています。

ロシアは、中国ウイルス禍の最中他国に対して、フェイクニュースを流すなどの工作活動を行ってきました。

ガーディアン(3月18日)はEEASが3月に出したレポートをもとに、ロシア政府系メディアが西側諸国の中国ウイルス危機を悪化させる目的でデマを拡散していたと指摘しています。

同紙によると、1月半ばから3月半ばまでの2カ月間に、ロシアが発信源のデマが80件確認されたといいます。内容は「新型ウイルスは中国、アメリカ、イギリスの生物兵器」「感染の発生源は移民」「製薬会社の陰謀」「中国ウイルス自体がデマ」などでした。

ガーディアンが指摘するフェイク情報の拡散は、ロシア政府系メディアのスプートニク、RIA-FAN通信、レン・テレビ(REN TV)などでみられたましたが、その多くは米国の陰謀論サイトや中国、イランのネット上にある陰謀論的書き込みをシェアする形で行われました。

「リトアニアで米軍兵士が感染した」とのデマもSNS経由で拡散されましたが、その引用元として多かったのは、ロシア政府系メディアのRT(ロシア・トゥデイ)スペイン語版でした。

このように政府系メディアとSNSの相互引用で情報発信源を隠しつつ、信ぴょう性を持たせてデマを拡散する手法はロシア情報機関の得意技で「メディア・ミラージュ」と呼ばれます。イランでも同様の手法で「アメリカの生物兵器」「イスラエルの生物兵器」といったデマが拡散されました。

ニューヨーク・タイムズ(3月28日)は、ロシアと中国とイランのデマ拡散工作が互いに連動して、アメリカ社会の分断と弱体化が促されていると指摘しています。

同記事によれば、今回はとりわけ中国が積極的だといいます。これまで中国は、台湾や香港、チベット問題などに関する政治的プロパガンダには積極的に資金を投入してきましたが、陰謀論の拡散にはあまり関与してきませんでした。

にもかかわらず、今回は「ウイルスの発生源は米国」「ウイルス封じ込めに成功した中国共産党のシステムは優れている」といった言説を、発信源を隠して拡散しています。中国ウイルス問題で責任の矢面に立つきわめて不利な立場に追い込まれたことで、ロシアの情報戦略の有効性を認識し、模倣を始めたということでしょう。

そのためか、中国がデマ情報拡散に活用しているサイトは、カナダの親ロシア系陰謀論サイト「グローバル・リサーチ」や、親イラン・ロシア反米系の陰謀論サイト「ベテランズ・トゥデイ」など、もともとロシアが陰謀論を拡散するのに利用してきたところが多いようです。

最後に、ロシアや中国が意図的に拡散したフェイク情報を、EEASレポートから紹介しておきます。

▽「牛乳がCOVID-19に効く」説(presentnews.biz.ua、ウクライナ語)

▽「そもそも中国ウイルス感染は起きていない」説(Der Fehlende Part、ドイツ語、動画)



▽「大手製薬会社の金儲けが目的のアメリカ製人工ウイルス」説(NewsFront、スペイン語)

▽「ビル・ゲイツとロックフェラーによる人口削減の陰謀」説(Journal of New Eastern Outlook、英語)

▽「手洗いは効かない」説(RT、ドイツ語)

▽「亜鉛が中国ウイルスに効く」説(RT、アラビア語)

▽「大手製薬会社と手を組んだ欧米メディアは、中国でビタミンCによる治療に成功したことを無視している」(South Front、英語)

▽「パンデミックは誇張された陰謀。ファシスト国家を作るのが目的」(スプートニク、ドイツ語版)

また、中国の一連のデマ拡散工作について、各所からの分析報告を紹介しておきます。

▽「中国の国営メディアが新型中国ウイルスのパンデミックに関して、国際的な認識に影響を与えようとしている」(Recorded Future)

▽「中国はどのようにツイッターによるプロパガンダの仕組みを構築し、中国ウイルスを解き放ったか」(プロパブリカ)

▽「中国がトランプ非難のプロパガンダ広告~国営メディアは中国のパンデミックへの対応を称賛し、アメリカの過ちを攻撃する広告を多数購入」(テレグラフ)

中露は、世界の中国ウイルス危機に乗じて、これだけの工作を実施しているのです。日本国内でも当然様々な工作を行っているでしょう。日本のマスコミにもいろいろ、直接的間接的に働きかけているでしょうし、政治家などにも働きかけているでしょう。当然SNSでも工作をしているとみるべきです。

彼らの目的は、日本国内を分断させること、アジア内の分断、日豪分断、日欧分断、日米同盟の分断など様々です。私達は、これらに騙されないように中国ウイルス報道や、SNSなどの内容には十分気をつける必要があります。

日本では、脳内がお花畑的な人が多く、こうした中露の工作があるなどとはつゆほども疑わない人も多いようで、特にマスコミで中露の「メディアミラージュ」を取り上げているところはありません。

ロシアがこのような「メディア・ミラージュ」をチャンス到来として、各国に対して工作しているうちに、ロシア自体の感染者が増え、抜き差しならぬ状態になったのは皮肉です。

感染したとされる、ミシュスチン首相といえば、今年の1月に、就任したばかりです。これについては、このブログでも掲載しています。この記事では、プーチンがミシュスチンを首相に据えたのには、それなりの背景があることを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。 
だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。 
しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。
プーチン(左)と習近平(右)
そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。 
中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。 
こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。 
だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。 
さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。 
その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。
今回の中国ウイルス禍では、ロシアは中国ウイルス感染そのもので相当疲弊するはずです。特に、ロシアの最大の主要産業は、 鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等)であり、これらは、中国ウイルス禍によってかなり価格が下がっています。

中国ウイルス禍で、経済が疲弊するのは確実ですが、それによる失業や生活困窮などに、対処するのは今日のロシアにとっては困難です。

そもそも、ロシアの人口は1億4千万人で、日本より、2千万人多いのですが、GDPは国でいえば、韓国と同等、日本国内の都市でいえば、東京都なみです。ロシアと日本は人口は大差はないですが、中国ウイルス感染者数5月1日現在では、ロシアは12.4万人です。死者は、1,222人です。日本は同時で、感染者数1.4万人、死者数は493人です。ロシアの被害が酷いことがわかります。

日本全体の経済が東京都なみだとしたら、どうなるか想像してみてください。現在政府は、国民一人あたり10万円の給付を決めました、休業補償については財務省が渋ってはいますが、日本の経済力(そもそも財務省の言う、国民一人当たりの借金が1000万円であるとは、財務省の大嘘)であれば、やろうと思えば実行可能です。

しかし、ロシアは違います。日本の東京都と同等の経済のロシアの軍事力は米国に次いで、世界第二位です。宇宙開発も手広く行っています。そうなると、国民の雇用や、困窮者に対する補助するための資金を捻出するのはかなり難しいです。

そうなると、プーチン政権の求心力はかなり落ちることになります。そうなると、プーチンの夢でもある、ロシアが中国の属国的地位から脱するという目論見は水疱に帰し、ロシアはますます中国の属国的な立場から逃れなくなります。

それは、プーチンとしては潔しとしないでしょう。これを解決するには、日本に北方領土を返還し、手厚い経済協力を得るしか方法はないかもしれません。

かつて、丸山穂高衆院議員は、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言してトラブルになりました。

しかし、戦争で取られたものは、戦争で取り返すしかないというのは、厳然たる事実です。これが、国際社会の現実です。

ところが、現在ロシアで起こっている中国ウイルス禍はまさに、戦争と匹敵するほどの非常事態です。

今のロシアは、どこまでも疲弊し、これも沈みつつある中国の属国的地位から、真の属国に成り下がるか、あるいは、日本の支援を受けてロシアが中国の属国的地位から脱するかのいずれか一つです。

このような大きな取引は、残念なが米国とはできないでしょう。米露には、北方領土のような大きな懸案事項はないからです。日本としては、素早く中国ウイルス禍から脱却して、世界情勢も国内情勢も疎く、省益のためだけに突っ走る財務省の干渉を押さえつけて、経済を急速に回復して、ロシアに見せつけるときです。

その時こそ、北方領土交渉は今まで一番やりやすくなります。このようなことを言うと、嫌がる人もいるかもしれませんが、かつてのソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破り、日本領に侵攻して、北方領土を掠め取ったのです。それどころか、何の法的根拠もないのに、シベリアに多数の日本人を抑留し、多数の死亡者がでました。占守島の戦いで、日本軍が奮戦しなければ、北海道もソ連領になっていたかもしれません。

検索結果

ウェブ検索結果占守島の戦い

我々日本人は、それを忘れるべきではありません。日本としては、中国ウイルスが終息すれば、すぐにでも北方領土交渉を再開すべきです。そうして、北方領土を返還させるだけでなく、ロシアを中国に対峙する日米側に取り込むべきです。

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2020年5月1日金曜日

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ ―【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ 
高橋洋一 日本の解き方

安倍首相

安倍晋三首相はこれまで、消費増税を見送る条件として、「リーマン・ショック級の危機」を挙げてきた。今回のコロナ・ショックは、まさにリーマン級危機ではないのか。

消費税については、長い経緯がある。1989年4月、当時の竹下登内閣が税率3%として初めて導入した。その後、村山富市政権時の94年11月に税制改革法案が成立し、橋本龍太郎政権の97年4月に税率は5%に引き上げられた。

その後、消費税率は5%のままであったが、2012年8月の民主党の野田佳彦政権時、14年4月に8%、15年10月に10%にそれぞれ引き上げる消費増税関連法が成立した。

安倍政権になって14年4月に予定通りに8%に引き上げられた。ただし、その後経済が低迷したために、安倍政権は14年11月、10%への引き上げ開始時期を17年4月まで1年半延長。さらに16年6月には、19年10月まで2年半延長した。1回目の延長の際には、その直後総選挙を行った。2回目の延長は北海道・洞爺湖サミットにおいて表明された。

19年10月の10%への引き上げは実施されたが、その際、安倍首相は「リーマン・ショック級の危機があれば見送るが、そうでなければ予定通り」としてきた。

10%への増税後、19年10~12月期国内総生産(GDP)は年率7・1%減だった。これだけでもかなりの経済ショックであるが、その上、2月下旬からはコロナウイルスによる内外での経済ショックがあり、さらに急速に景気が落ち込んでいる。

政府の景気判断は、月例経済報告を読めばわかる。2月まで「緩やかに回復」としていたが、3月にはさすがに「大幅に下押しされている」に引き下げた。4月は、「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」とさらに引き下げた。

リーマン・ショック後の09年2~4月においてすら「急速な悪化が続いており、厳しい状況」という表現であり、今回の景気判断は、その当時よりも厳しい認識となっている。西村康稔経済再生相も「家計や企業の経済活動が急速に縮小する過去に例を見ない、極めて厳しい状況だ」と述べた。

これで、政府としても、今回のコロナ・ショックは、「リーマン・ショック級以上」と言わざるを得ない状況だ。

内需の過半を占める個人消費は、判断を2カ月続けて引き下げ、「急速に減少している」とした。20年1~3月期GDPは年率5%程度減、4~6月期も年率10%程度減となると国内エコノミストは見込んでいる。

世界経済も大変だ。米議会予算局が24日公表した経済見通しでは、1~3月期GDPは年率3・5%減、4~6月期は年率39・6%減だ。

まさに、日本も世界もリーマン・ショック級の事態になっている。この未曾有の危機は、当然、消費税減税を行う立派な大義名分になる。消費税よりも国民の命と経済を優先すべきである。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

16人の民間エコノミストの予測平均から、日本の2020年4-6月期における実質国内総生産(GDP)が、年率換算で前期比21.7%減となる見込みであることが分かりました。日経新聞が報じました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出の自粛や店舗の休業が続き、GDPの60%以上を占める個人消費が前期比6.9%減となると予想。戦後最悪のマイナス成長となる見込みです。

内閣府は今月18日に1-3月期のGDPの一次速報を発表する予定。この期間は5.2%減と見込まれており、昨年10月の消費税増税後から3期連続のマイナス成長率となる見通しです。増税後の落ち込みから回復しつつあった流れが、コロナウイルスによって完全に途切れました。

予測通りになれば、4-6月期はリーマンショック後の2009年1-3月期に記録した17.8%の減少を超えることになります。また3期連続のマイナスは、東日本大震災前後の10年10-12月期から11年4-6月期以来となります。

民間の経済予測、7〜9月期はコロナ禍が終息したものとして予想している

米議会予算局は、米国の実質GDPは4-6月期に年率40%のマイナス成長になると予測。日本の4-6月期の輸出は17%減となっており、これはリーマン危機以来の大幅な減少で、内需も外需も厳しさを増している状況です。

12年前のリーマン・ショックの際、国際標準は、積極財政政策と金融緩和政策の同時発動でした。実際にほとんどの先進国で行われたのですが、日本では財政支出の規模が足りず、金融緩和も行われませんでした。

その結果、リーマン・ショックの震源地からほど遠いにもかかわらず、日本経済への打撃が大きく、震源地の米国やその悪影響をモロにかぶった英国が、いちはやく回復したにもかかわらず、世界で日本だけが、回復が遅れ、ひとりまけの状態になりました。

特に白川方明(まさあき)総裁当時の日銀で金融緩和が行われなかったため、円は他通貨に対し希少性が出て猛烈な円高となり、日本経済を痛め付けたことは多くの人の記憶に残ったことでしょう。

日本の貧乏神と揶揄された日銀元支店長白川方明士

東日本大震災の際の処方箋も、同様に財政政策と金融政策の同時発動だった。しかし、これも十分に行われなかったどころか、復興増税という古今東西にない愚策が行われた。

日本政府は全国に発令された緊急事態宣言の延長を表明しています。延長期間などの詳細はこれから発表される予定ですが、今回の予測は延長による下振れは織り込み済みです。

国際通貨基金(IMF)は今年の後半から世界経済が回復に向かうとみており、エコノミストも7-9月期は平均で年率9.9%の成長を見込んでいます。しかし経済活動再開後に第二波が到来することを危惧するなど、今後もコロナウイルスの影響が長引けば、回復にはさらに時間がかかるとみられます。

新型コロナウイルスの感染拡大に対応する、注目の「国民1人当たり一律10万円給付」を盛り込んだ2020年度補正予算が30日、成立しました。「世界恐慌以来の景気悪化」(国際通貨基金)から日本経済を再生させ、国民生活を守るため、今後のさらなる経済対策が期待されます。自民党内から「消費税減税」を求める声が上がってきました。

「一律10万円給付では、政治主導で財務省のくびきを外し、『政治の力』を証明できた。次は消費税減税だ」

自民党若手有志の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区=は語りました。

「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区

補正予算(25兆6914億円)の成立を受け、総額117兆円という緊急経済対策が本格的にスタートしました。

未曾有の危機から国民生活を守るため、財務省主導で国民に「不評」だった「減収世帯に30万円給付」に代わり、「国民1人当たり10万円給付」が実現しました。大型連休明けには、全国の自治体で給付も始まります。ほかに、減収となった中小企業に最大で200万円を支給する「持続化給付金」なども盛り込まれました。

ただ、今回の予算措置だけでは、経済再生は困難です。政府が4月23日発表した4月の月例経済報告では、国内景気の判断について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」と下方修正した。「悪化」の表現は、リーマン・ショック後の09年5月以来。新型コロナウイルスの影響はあまりに甚大です。

冒頭の議連「日本の未来を考える勉強会」は3月、「景気の致命的下降や恐慌を食い止めるには『消費税の減税』が欠かせない」という緊急声明を出しています。財務省が「一律10万円給付」で折れたことを受け、政府に対して、さらに積極的な財政出動を求めます。

安藤氏は「補正予算は今後、第2次、第3次が必要になるのは間違いない。政府・与党は、国民の生活を守り、企業の倒産を出さない決意を示し続けるべきだ。政治の力で、財務省の厚い壁を打ち破って、国民が熱望する『消費税減税』も実現しなければならない」と語りました。

現在の安倍政権は政権末期によくみられる現象で、官邸内の指揮命令系統がうまく機能していないようです。しかし、コロナ・ショックを受けたマクロ経済政策としては、大規模な財政支出と無制限金融緩和という先進国の定番政策に近いところまできています。細かい点にはまだ不満がありますが、自民党の一部には、上記のように財政問題がほぼないことを正確に理解し、正しい政策を模索する向きもあります。

こうした危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくるものです。もう、緊縮大好きで、財務省の省益しか考えない、財務官僚の本質が顕になりつつあります。

コロナ禍はこれからもしばらく続くはずであり、これに対する政府の対応に対して、財務省は結局国民経済や命など無視して、とにかく緊縮財政の立場から反対し続けるでしょう。この財務省の抵抗は、これからも多くの国民に知られるところとなるでしょう。

そうして、多くの国民は、財務省の省益とは一体何なのかと、財務官僚に疑問を抱くようになるでしょう。しかし、その質問に当の財務官僚すら答えられないという事態になると思います。

ましてや、その答えが、単に退官後に天下りして、超リッチなハッピー・ライフを贈りたいからなどと答えれば、単なる馬鹿と多くの国民に認識されるだけです。

漿液優先の財務省などのキャンペーンとは一線を画した多くの政治家によるまともなマクロ経済政策への理解も10年前の民主党政権当時よりはるかに高まっているはずです。それこそが、これまでの10年の成果であり、日本経済復活への一縷の希望でもあります。

私自身としては、もうすでに制度疲労を起こした財務省の絶頂の時代は終わりつつあり、すでに財務省は表舞台から退場しつつあると思っています。

財務省「ピンチはチャンスだ、コロナのあとで増税・緊縮」を画策しているようです。実際、テレビで財務官僚がそのような発言をしています。今回こそは、復興増税の過ちを繰り返してはならないです



今回のコロナ禍で、コロナ復興税などで、復興を賄うなどのことを財務省が画策して動き出せば、さすがに今回ばかりは、政治家も国民も黙ってはいないでしょう。何しろ、今回は東日本大震災のときとは、規模が全く異なります。財務省は、全国民と全政治家を敵に回すことになります。

現在、コロナ禍を自分にとって有利になるように、中国共産党が画策しています。しかし、東アジアは、日本、香港、台湾ともに被害が少なく、被害のひどかったEUの国々に対して、マスク外交をしたり、医療団を送ったりしています。

その他コロナウイルスの発生源を米国だとしてみたり、東シナ海や南シナ海での挑発をゆるめるどころか、強化しています。

しかし、この中国の試みが成功するとはとても思えません。実際、香港経済日報の29日付報道では、現在、米国、英国、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリアの8カ国の政府や民間機関が、新型コロナウイルスの感染拡大を招き、自国に大きな被害をもたらしたとして、中国政府に賠償を求める訴訟を起こしていると紹介しています。

「外国による中国への賠償請求を『100国連合』と形容する人もいるが、あながち言い過ぎではないだろう」と伝えました。

そして、8カ国が中国政府に対して求めている賠償額の合計は約49兆5000億米ドル(約5300兆円)となり、これに米ミズーリ州の推定賠償請求額を加えると100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国のGDP(国内総生産)7年分に相当する額に達すると伝えました。

中国ウイルスで酷い目にあった国々は、この恨みを決して忘れることはないでしょう。今後の中国は、米国や多くの国々から体制の転換を求められるでしょう。

中共がそれを拒否すれば、米国などの国々が、中共幹部や家族の個人資産を凍結したり、ドルと人民元の交換を停止したり、中国のドル使用を禁止するなどの措置を課するかもしれません。そうなれば、このブログにも以前掲載したように、中国は石器時代に舞い戻ることになります。

財務省も、今後国民生活や、国の経済を考えず、省益だけを追求すれば、中共と同じような運命をたどることになるでしょう。

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