2022年7月20日水曜日

アベノミクス認めなければ…立憲民主党は決して立て直せない 金融政策を中心に「雇用確保」が左派の生きる道―【私の論評】「雇用≒日銀」を理解しないから、立憲民主党はまともな雇用論議ができない(゚д゚)!

日本の解き方

TIME誌の表紙に掲載された安倍晋三氏

 野党第1党の立憲民主党は参院選で改選前から議席を減らした。次の参院選や衆院選に向けて党勢を回復させるには何が必要なのか。

 第2次安倍晋三政権での国政選挙は政権奪還時を含めて6回あった。いずれも安倍政権が勝利した最大の要因について、筆者は雇用の確保が功を奏したからだと思う。

 雇用の確保は、失業率の低下と就業者数の増加で見ることができる。戦後の統計でみると、歴代政権の中で、安倍政権は失業率の低下1・5%で第1位、就業者数の増加400万人で第2位と、トップの実績だ。

 生前の安倍さんに筆者が話すと喜んだのは、学生の就職率が安倍政権になってから良くなったことだ。一流大学では、景気動向にかかわらず就職率は高いが、下位大学では、民主党政権時代の就職率は60%台のところもあった。それが安倍政権になると100%近くにまでなった。

 これが安倍政権のおかげであることを学生自身がよく分かっていた。というのは、その間、学生の学力が向上したわけでもなく、ただ政権が変わったことだけが違ったからだ。

 雇用市場では、既に就職している人が影響を受けることはよほどのことであるが、新卒者の就職市場は外部環境にかなり敏感に反応する。

 では、雇用を確保するための国際標準政策は何かといえば金融政策だ。金融政策は、インフレ率の管理を目的とするが、インフレ率と失業率は逆相関の関係なので、失業率を管理するともいえる。インフレ目標は、失業率を下げたいが、あまり過度なインフレになるのを防止する仕組みだ。

 要するに、金融政策は雇用政策なのである。安倍さんは、この金融政策にいち早く着目した政治家だった。そこで、アベノミクスの第1に金融政策を据え、実際に雇用の確保の実績を示した。

 立民は参院選の中でも、「円安是正のために利上げせよ」とか、政策の方向性が全く間違っていた。左派系マスコミでは、いまだにアベノミクスを「負の遺産」というところもある。要するに、本来雇用を守るべき左派の立民や左派系マスコミが、真逆な政策を主張しているのが日本の現状だ。

 世界的にみると、金融政策は雇用政策なので、まず左派政党がそれを主張し、正しい政策なので保守政党がそれに追随する。なので、筆者が保守政治家の安倍さんに金融政策を説明するのは少し躊躇(ちゅうちょ)があった。しかし、リアリストでもある安倍さんからは「気にする必要はない」と言われた。

 左派の立民が、アベノミクス批判を展開し、雇用を守らない政策を今でも公言している以上、党勢を回復するのは不可能であろう。少なくとも、アベノミクスを認めて、金融政策を中心として雇用の確保に努める覚悟を示さないとダメだ。

 雇用を守るという点について、もっと真剣に考えないと、誰も立民に政権を任せられないだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「雇用≒日銀」を理解しないから、立憲民主党はまともな雇用論議ができない(゚д゚)!

私は、安倍政権によって雇用が改善したことを実体験で経験したことを一昨日に述べたばかりです。
日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ―【私の論評】しっかりと実体験できた、安倍総理の功績、雇用の劇的改善(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものして、この記事では書いていなかったことを以下に掲載します。

私は、民主党政権の時に会社で人事を担当していましたので、民主党政権時に雇用がかなり悪いことを実感しました。これは、当時大学側であろうが、企業側であろうが、採用に関わった人なら誰でも知っていることでしよう。

そうして、 就職をする学生たち本人が一番みにつまされて骨の髄まで染み込むように理解したことでしょう。

しかし、安倍政権になってから、みるみる状況が変わっていきました。その当時には、私は人事は担当してはいませんでしたが、採用された新人とも話す機会はありましたので、かなり良くなっていることを実感できました。

そもそも、民主党政権のときには、いわゆる一流大学の学生も結構採用できたのですが、安倍政権になってからは、一流大学の学生はあまり採用できず、他の大学からの採用が増えました。

これは、上の高橋洋一氏の記事の「下位大学では、民主党政権時代の就職率は60%台のところもあった。それが安倍政権になると100%近くにまでなった」というところと符号します。

そうして、採用ということになると、思い出すのが、会社の近くにあるハローワークの所長の話でした。

採用ということになると、新人ばかりではなく、再雇用の場合も結構あります。特に現場は、再雇用の人も多数雇用していました。

ある日サイトで、あるハローワークの所長のことが掲載されていました。これはそのハローワークの女性職員の方のツイートが元になっていましたが、「うちの所長は、実は自分、雇用というものが全くわからない」と呟いていたのを聴いて「びっくりした」というのです。これは、当時結構話題になりました。

その話を会社の近くのハローワークの所長に何かの機会してみたのですが、その所長自身も「私も同じだ、雇用については良くわからない」と語っていました。

日本では、雇用というと厚生労働省の管轄であると思われているようです。しかし、それは大きな間違いてす。厚生労働省は雇用に関する統計を記録したり、それを配布したりする官庁ではありますが、雇用そのものに直接関わる官庁ではないのです。無論、雇用関係や労働環境に関しては関与していますが、いわゆる雇用が良いとか悪いということには直接関係がありません。

では、マクロ経済上の雇用はどこの官庁が直接関わっているかということになれば、それは上の記事にあるように「日銀」です。しかし、日本ではそのことが良く認識されていないようです。雇用というと多くの人が思い浮かべるのが、厚生労働省のようです。

それは、おそらく職業を紹介するハローワークが傘下にあり、しかも厚生労働省は雇用統計を扱っているのでそう思われてしまうのでしょう。

ハローワーク

しかし、厚生労働省が雇用に関わるのは、統計とすでに存在している仕事を仕事を探す人に斡旋すことです。そのほかできることといえば、雇用のミスマッチを是正することくらいです。

雇用そのものを増やすことができるのは、日銀です。日銀が金融緩和をすれば、雇用が増えます。日銀がインフレ率を2〜3%あげれば、 他に何もしなくても、自動的に一夜にして数百万の雇用がたちどころに生まれます。これはマクロ経済学上の常識です。

これを否定する人は、エビデンスをあげた上で論文を書くべきです。本当に否定できたら、ノーベル経済学賞を受賞できると思います。

そうして、これは世界の常識です。私は、このことを先の会社の近くのハローワークの所長にしました。

「金融緩和≒雇用]というと、所長は驚いていました。雇用の主管官庁はいずれの国でも中央銀行(日本では日銀)であり、それは世界の常識であり、日本以外の国では、雇用が悪くなると真っ先に批判されのは中央銀行であり、雇用が良ければ、まともに働いていると評価されるのが、中央銀行なのだという話をするとますます驚いていました。

私は、ハローワークの所長が、「自分は雇用というものがわからない」というのは正直な感想だと思います。実際ハローワークは雇用そのものに関わっているわけでないのですから。

そうして良くわからないのが当然のハローワークや、厚生労働省が雇用の責任を担う官庁であると考えるのは全くの間違いです。

私自身は、雇用≒日銀ということを前から知っていましたが、それは知識として知っていたというだけで、実際に自分が採用にかかわり、安倍総理の登場によって、雇用が劇的に良くなったことを直接体験したことにより、この知識が本当に身についたと感じました。

残念ながら、立憲民主党の幹部などは、雇用≒日銀ということを理解していないのでしょう。こうしたことが理解できなければ、雇用に関しては全く何も理解できないのではないかと思います。

ところで立憲民主党で雇用というと「立憲民主党は、雇用、仕事、職場、労働におけるジェンダー平等をすすめ、男女ともワーク・ライフ・バランスの実現が可能な職場・地域・社会の環境整備を目指します」などと主張し、雇用そのものについて語ることはありません。

立憲民主党の「ニュース」より

無論これらのことも大事でしょうが、まずは働きたい人が働ける世の中をつくって、その後にこのようなことに取り組むというのなら理解できますが、これではコアな支持者以外は誰も振り向かないでしょう。

立憲民主党はいい加減「雇用≒日銀」ということを認識すべきです。そうしない限り、立民は閉塞感に苛まされるだけで、今後もどんどう党勢を弱めていくだけになるでしょう。

それから、一般の人も、諸外国のように「雇用≒日銀」という世界標準の社会常識を常識として認識すべきでしょう。そうでないと、雇用が極端に悪化した場合でも、日銀を批判することもなく、見当違いの批判をすることになります。

やれ、企業が「内部留保」をため過ぎだからとか、日本企業の生産性が落ちているからとか、見当違いの論議になります。こんなことを論議していても、雇用は良くなりません。

そうして、マクロ経済政策では、雇用が最も重要であり、統計指標の中で雇用が良ければ、経済政策は合格であること、雇用が悪ければ、他の指標が良くても落第であることを認識すべきです。その観点からも日銀の金融政策は非常に重要なのです。それも自らの生活に直接関わっているのです。

しかし、日本では多くの人が日銀というと、金融だけであり、雇用と結びつかないのが実情です。

立憲民主党など野党は、これを理解していないため、日銀が金融緩和をして、雇用がよくなり始めると、まずは賃金が比較的低い若年層から良くなり始めるので、賃金は下がる傾向にありますが、それは当然なのですが、わけもわからず「賃金がー」と叫んでいました。

このような間違った言説に騙されないためにも、多くの人が「雇用≒日銀」を理解すべきです。

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2022年7月19日火曜日

巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ―【私の論評】中国は民主化しなければ、閉塞感に苛まされるだけになる(゚д゚)!

巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ

スリランカ大統領を辞したゴダバヤ・ラジャパクサ氏(右)。すでに妻のアヨマ氏(左)とボディガードを連れてモルディブに脱出している(写真は2019年11月撮影のもの)

 先週7月13日未明に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がモルディブに脱出し、大統領職を辞すという驚愕の展開を見せたスリランカ。日本では、「中国が借金漬けにした結果、『債務の罠』にハマって国家破綻した」という「中国悪者論」が主流になっている。

 だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。

 同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。

 威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。
 
「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが

 7月14日には、威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた。参加したのは、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。

 会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。

そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。

途上国への投資をストップできない中国の立場

 それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。

 だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。

 昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。

 その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。

中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も

 そこで、この報告書を改めて読み込んで、中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。

 それを「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。

              (GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス          64.8%  122
2.コンゴ          53.4%  62
3.ギニア          49.7%  52
4.アンゴラ         49.5%  523
5.ジプチ          48.5%  15
6.モルディブ        40.3%  15
7.トンガ          35.4%  1.6
8.スリナム         34.0%  9
9.ザンビア         32.5%  79
10.キルギス         31.6%  23
11.モザンビーク       31.5%  41
12.サモア          29.9%  2.5
13.スーダン         28.3%  118
14.タジキスタン       27.0%  23
15.トルクメニスタン     24.7%  89
16.バヌアツ         22.5%  1.9
17.ベネズエラ        21.5%  910
18.ジンバブエ        21.0%  30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7%  68
19.カンボジア        19.7%  48
19.シエラレオネ       19.7%  7.7
22.モンテネグロ       18.7%  10
23.モンゴル         17.9%  21
24.カザフスタン       17.5%  304
25.コンゴ民主共和国     17.4%  46
26.パプアニューギニア    17.2%  39
27.エリトリア        16.9%  9
28.エチオピア        15.5%  154
29.エクアドル        15.4%  150
30.ベラルーシ        14.6%  79
30.南スーダン        14.6%  21
32.ナミビア         14.5%  17
33.ガボン          14.4%  23
34.カメルーン        13.9%  54
35.ドミニカ         13.7%  0.6
36.ブルネイ         13.5%  17
36.イラン          13.5%  134
38.トーゴ          13.2%  9.8
39.ミャンマー        12.1%  81
39.スリランカ        12.1%  107
41.ウズベキスタン      11.6%  75
42.ジャマイカ        11.2%  15
42.ニジェール        11.2%  14
44.モーリタニア       11.0%  7.5
45.ケニア          10.7%  93
46.カーボベルデ       10.3%  1.7
47.セネガル         10.2%  24

 以上である。47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円! 

 特に、中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。

 重ねて言うが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕している。だが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである。

【私の論評】中国は民主化しなければ、閉塞感に苛まされるだけになる(゚д゚)!

さらに、中国の貸し倒れリスクは上の記事の結論部分にもあるようにロシアとウクライナの戦争により深刻な障害にぶつかることがすでに予想されています。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
スリランカが「破産」宣言“燃料輸入”プーチン氏に支援要請―【私の論評】スリランカ危機の背景にある、一帯一路の終焉が世界にもたらす危機(゚д゚)!

この記事より、少し長いですが、一部を引用します。
セバスチャン・ホーン、カーメン・ラインハート、クリストフ・トレベシュは、Centre for Economic Policy Researchのオピニオンサイト、VoxEU.orgに寄稿した論考で、一帯一路に代表される中国の海外投資ブームが、ロシアとウクライナの戦争により深刻な障害にぶつかるだろうと述べています。

その根拠となるのは、中国の政府系金融機関がロシアとウクライナ、およびベラルーシに対して行っている融資額の大きさです。ホーンらによれば、中国の国有銀行は2000年以降、ロシアに対しエネルギー関連の国有企業を中心に累積1250億ドル以上、融資してきました。

中国はまた、ウクライナに対しても主に農業とインフラストラクチャー分野のプロジェクトを中心に70億ドル程度、さらに、ベラルーシに対しても80億ドル程度、融資してきました。この3カ国を合わせると、過去20年間の中国の海外向け融資の20%近くを占めるといいます。

もともと、近年急激に増加しつつある中国の対新興国への資金貸付は、どのような基準に基づいて行われているのかが明確ではなく、債務不履行などのリスクを生じやすいものであることが指摘されてきました。スリランカはまさにその一つの例です。ホーンらは、中国の対外貸付のうち、債務危機にある借入国に対する比率は10年の約5%から現在では60%にまで増加したと指摘しています。

世界銀行のデータによれば、中国から新興国の政府部門への資金の純移転は、16年をピークに減少し、19年と20年にはマイナスに転じています。ホーンらはこのデータをもって、中国の国有銀行はすでに成長のための資金提供者から債務の回収者へと転じている可能性があるとしています。ウクライナ危機およびその後の経済制裁によってロシアおよびその同盟国の経済が直面することになったリスクは、その傾向をさらに増幅させることになるでしょう。

中国の政府系金融機関は、今後ロシアなどに対する融資が不良債権化するリスクを、よりリスクの高い債務国への新規融資の停止あるいは債権回収によって埋め合わせるかもしれないです。このことが持つインパクトは、おそらくこれまで西側諸国によって喧伝されてきた「一帯一路が『債務の罠』をもたらす」という問題よりもはるかに大きなものになると考えられます。
ウクライナのような国であれば、国土面積も広く、人口も比較的大きく、ある程度産業基盤が整っているため、ロシアとの戦争が終了すれば、西欧諸国から支援を受けて経済発展する可能性が高いです。しかもEU加入を目指しているので、民主化しなければならず、民主化できれば、かなり発展する可能性があります。

ここで、キーワードは民主化です。民主化しない国は経済発展しません。などとというと、中国はどうなんだという疑問を投げかける人もいるでしょうし民主化しなくても金儲けはできるのではないかと考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。実際中国は経済大国ではありません。

中国の一人あたりのGDPは未だに10000ドルを若干超えた程度にすぎません。これは、ロシアとさほど変わりません。ただ、中国が経済大国といわれるのは、人口が14億人もいるからに過ぎません。中国のGDPはロシアの10倍ですが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎず、人口が1/10なので、GDPも国単位では中国の1/10なのです。

バルト三国や、スウェーデン、フィンランド、台湾や、韓国よりも、中露の一人あたりのGDPは、はるかに低いのです。一人あたりのGDPは一人あたりの年収に近似できます。10000ドルというと、日本円に換算すると、ざっくりと100万円です。これでは、日本では生活できません。

これが中国人や、ロシア人の平均年収なのです。日本は貧乏になったなどといわれることもありますが、中露よりははるかに裕福です。

中露には富裕層もいますが、一般国民が貧乏であり、貧富の差が激しいです。

民主化しない国は、経済発展しても一人あたりGDPが10000ドル前後を上限として、そこから伸びないということが経験的に知られており、これを中進国の罠と呼ばれています。

クリックすると拡大します 内閣府資料より

民主化するつもりのない中露はこれから、経済発展する見込みはありません。そうして、今一度中国の投資先をご覧になってください。スリランカをはじめ、どうみてもこれから民主化して、経済発展するような国はありません。


この中で一応民主化したといわれているのは、インドネシアではありますが、近年はそれが後退しているともいわれています。ガーナは、民主化していて、世界の政治民主化度をみてみると
74位です。ただ、経済的には未だ恵まていません。それ以外の国は全部100位以下です。

ちなみにウクライナは101位ですが、EUに加入するためには、様々な改革が迫られることになるでしょう。

こうしてみると中国自身もこれから経済発展する見込みはなく、中国による諸外国への投資も、うまく行きそうにはありません。

中国の最近の経済発展は、民主化により、国民一人ひとりがが豊かになった結果によるものではなく、政府が国内に大規模なインフラ投資をすることによってもたらされてきました。ただし、インフラ投資にも限界があり、中国国内では投資が一巡してしまい、大規模は投資案件がなくなってしまいました。

中国は過去の栄光を再現するために、「一帯一路」などのスローガンを掲げ、海外投資に踏み切ったのでしょうが、海外投資のノウハウに乏しい中国は、まともな海外投資もできず、結局その多くが貸し倒れで終わることになるでしょう。

日米欧などが、このような投資をしないというか、できないのは、結果がこうなることが予め予想できるからしないのです。

中国はいい加減気づくべきです。すぐに欧米レベルとまではいかなくても、ある程度の民主化を進めるべきなのです。そうしなけば、何をしても八方塞がりとなり、閉塞感に苛まされるだけになります。

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2022年7月18日月曜日

日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ―【私の論評】しっかりと実体験できた、安倍総理の功績、雇用の劇的改善(゚д゚)!

日本の左派やリベラルが、安倍元首相に完全に敗北したワケ

安倍元総理

左派を震撼させたその実績を検証すると

 7月14日、岸田首相は、暗殺された安倍元首相について今年秋に国葬を行う方針を明らかにした。これに対し、公明はコメントせず、共産、れいわ、社民は反対した。

 安倍元首相の功績については世界的には称賛されているが、国内の左派やリベラルを中心に「アベ政治を許さない」と露骨に嫌う人も目立った。安倍氏に反発するメディアも少なくなかったが、安倍氏はそうした人たちのどこを刺激したのだろうか。

 本コラムで何度も紹介したが、安倍元首相は、経済政策で雇用の確保の実績はピカイチだった。安全保障では、西側政治家の中で誰よりも早く専制国家中国の脅威に気づき、民主主義のクワッド(日米豪印)に動き、同盟(集団的自衛権)の重要性から安保法制を作った。

 これらの経済政策や外交安全保障政策は、世界標準の政策であり、世界からの評価を得るのも当然だった。経済政策は、複数のノーベル賞受賞者や世界的に著名な経済学者から評価されたし、外交安全保障も各国首脳からも支持を受けている。

 だが、それらの実績は左派を震撼させた。雇用の確保は左派の根幹思想であるが、保守の安倍元首相はその「お株」を奪った。雇用確保ができたのは左派政権ではなかったことで、左派を圧倒した。

 実際、雇用の確保について、民主党政権と安倍政権をみると、比較にならないほどに安倍政権の方が優れた業績を示している。

 外交安全保障でも、安倍元首相は第1次政権の2000年中頃、西側民主主義国のリーダーがまだ気付かない時期に、中国の野望を分かりやすく世界に暴いていた。

 その頃から、対中包囲網であるTPP(環太平洋パートナーシップ)や今でのクワッド(日米豪印)の構想に向けて動いていた。中国は左派の「心の拠りどころ」ともいえるから、左派は必死になって安倍元首相を攻撃した。

 さらに、安倍元首相は、左派の「お花畑論」も安保法制で崩し、今回のウクライナ危機ではその「お花畑論」の欺瞞が皆に知れてしまった。

 要するに、安倍元首相は、左派が信じて築き上げた戦後の虚像を、実績により見事に打ち砕いたのだ。

 左派は安倍元首相に、経済でも安全保障でも完膚なきまで打ちのめされた。左派がいくら言い訳しても、安倍政権下での左派の国政選挙6連敗は否定できない。国民は左派より安倍元首相を選んだ。雇用を守るのも国を守るのも左派でなく、安倍元首相だったのだ。

国葬は「弔問外交」の舞台になる

 雇用と外交安全保障という政策で完敗した左派は、「モリカケサクラ」というスキャンダルで安倍元首相を攻めるしかなかった。しかし、その結果は左派にとって無残だ。

 モリカケでは安倍元首相への嫌疑はまったく出なかった。財務省による公文書改竄があったが、元財務官僚の佐川氏が自らの国会答弁ミスを糊塗する保身によって生じたものであり、安倍元首相には無関係だ。

 サクラでは、安倍元首相の秘書に対する政治資金規正法不記載のみで安倍元首相は不起訴に終わった。これらがモリカケサクラの司法による結果のすべてである。

 安倍元首相については、国内では、左派メディアの影響でモリカケサクラのマイナスイメージが強かったが、海外では経済・外交安全保障での成果により高い評価を得ている。今回、この好対照が露わになった。

 これは、安倍元首相を嫌った人がどういう方々であったのかも、明らかにしてしまった。これまで、ネットを中心としたいわゆる「ネトウヨ」が安倍元首相を支持しているとされてきたが、銃殺事件の後の事件現場や増上寺、自民党への献花の状況を見ると、国内でも安倍元首相を慕う人は多い。一部左派メディアの報道に影響を受けなかった人が少なくなかったことは明白だ。

 その上、海外からの弔問も凄い。エリザベス女王、ローマ法王をはじめ、トランプ前大統領、バイデン大統領、そしてプーチン大統領と世界各国の要人から追悼の言葉が寄せられた。さらにブリンケン国務長官や台湾の頼清徳副総統が来日し、弔問に訪れた。弔意の数は、259ヵ国・地域や機関などから計1700以上にのぼっている。オーストラリアでは各都市の建物をライトアップし、インドは全土で喪に服した。米上院では安倍元首相の功績をたたえる決議案が提出された。

 これだけ内外から慕われたのだから、安倍元首相の国葬は当然だろう。

 国葬では費用を全額国が負担するので、これが問題とも言われる。2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬では約2億円かかったといわれる。今回の国葬ではその倍としても4億円。官房・外務機密費の1割程度なので、大きな支出とは言えない。

 国葬となれば、各国要人の出席にもなるだろうから、日本が「弔問外交」の舞台になることもあり得る。葬儀は故人を偲ぶものであるが、安倍元首相なら世界平和のきっかけになると許してくれるだろう。日本が外交舞台になる恰好の機会と考えれば、国葬は決して意味のないことではない。むしろ、国際的に名が知れた安倍元首相の葬儀としてふさわしいものになるだろう。

 なお、石平氏が「安倍元首相の国葬に一番困っているのは中国の習近平」という興味深いツイートをしていた。これに対して、筆者は「習氏の困ることを反対するのは当然のことか。わかりやすい」とツイートした。

 石平氏の見立ては、国葬に反対している国内勢力の立ち位置をわかりやすく解説している。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】しっかりと実体験できた、安倍総理の功績、雇用の劇的改善(゚д゚)!

安倍元首相は、経済政策で雇用の確保の実績はピカイチだったこと、これは数字でも確かめられますし、私には実体験もあります。

数字といえば、以下のグラフをご覧いただくと一目瞭然です。これは、高橋洋一氏の作成したグラブなのですが、これを民主党の議員にみせたところ「グラフが違う」と言われたそうです。しかし、労働力調査をみれば、このグラフが正しいことを確認できます。


民主党政権の頃には、私は人事を担当していました。採用の仕事もしていましたが、まずは民主党政権のときには、採用がかなりやりやすくなったことを覚えています。企業によっては、採用を手控えるところも結構あり、あまり苦労することもなく、思い通りに新卒を採用できたのを覚えています。

そうして、衝撃的だったのは、このブログも過去に掲載したように、当時の新人たちの悲惨な学生生活でした。自分たちの頃とは随分異なると思いました。

まずは、大学も大学院も一流の国立大学を卒業した新卒の女性ですが、なんと教育ローン(名前は、奨学金だが実体はローン)の返済を100万円以上も抱えているというのです。大学でも院でも、バイトはしていたそうなのですが、理系で時間の都合がつかず、十分にバイトができず、結局教育ローンに頼らざるを得なかったそうです。

国立大学といえば、学費が比較的安いというイメージが多いようですが、最近では国立大学もかなり学費があがっています。私立程ではないのですが、それにしても驚くほど高いです。国立大学でも、学部でも大学院でも年間で50万以上というのが普通です。もっと高いところもあります。


これは、大変だと思いました。さらに、バイトの実体も聞いたのですが、一流大学の学生でも、飲食店でバイトしたという人も多く、なぜそのように割の良くないバイトをするのだと聞いてみたところ、割の良いバイトはすぐに埋まってなかなか回って来ないのが実情だったようです。

自分が大学生だった頃には、家庭教師や塾講師などいくつか掛け持ちして、さらにシンクタンクで、ブログラミングなどすると、月の収入が多い時には、三十万を超えることもありました。自分の少し前の世代だと、大手熟で夏期講習をすると、夏期講習終了時には、熟全員で「ハワイ旅行」などという景気の良い話を聞いたことがあるくらいです。そのため、遊びに金がなくて不自由することはありませんでした。

そのようなこともあり、自分の若い頃とは明らかに当時の若者が置かれている状況は異なることが認識できました。

ちょうどこの頃でしょうか、早稲田大学出身の老人が、「自分は学生だった頃は、学費など全部自分で稼いだ、大学なんてなんとでもなるはずだ。今の学生は根性がない」等という話を新聞でしていて、かなり批判を浴びいたことを思い出しました。このような老人は、残念ながら、その当時日本がデフレスパイラルのどん底に沈んでいたことを理解しておらず、自分の若い頃と環境は変わっていないと考えていたのでしょう。

さらに、私学出身の私立大学の男性の新卒ですが、何と大学時代には、一度も外で飲んだことはないというのです。飲む時は全部うち飲みだというのです。この学生札幌出身ですが、一度もすすき野に行ったことがないと語っていました。

その新人は学生時代にはバイトもしていたのですが、何とそれで遊ぶということもなく、車は持たず、贅沢もせず、卒業まで数百万円貯金したと語っていました。彼の家は比較的裕福なので、学費には困らなかったようでずが、比較的裕福な家の子息がこの有様です。

ある大学の先生は、このような状況を懸念しておられて「優秀な学生に対しても、大学院に進学しろなどと、安易にすすめることができなくなった」と嘆いておられました。

このような話は他の新卒でも多く聴かれました。明らかに、世の中はデフレであり、特に若者は悲惨で、希望の持てない世の中になったのだと認識することができました。

そうして、このブログに過去にも掲載したことがあるのですが、デフレで不景気なると、企業の採用基準で「コミュニケーション能力」が重視される傾向にあるようです。それは以下のグラフをみてもわかります。


採用基準としてのコミュニケーション能力は2001年には、チャレンジ精神より低かったものが、2011年には、断トツの80%台になりました。これについて、どうしてなのかと思い、当時面接会場において、他者の採用担当者と話をする機会もあったので、いくつかの会社の採用担当者に「御社は採用において、コミュニケーション能力を重視するとされていますが、具体的にはどういうことなのですか」と質問してみたことがあります。

私としては、このブログも時々掲載するドラッカーの「コミュニケーションの原則」などことや、あるいは各社独自の何かがあるのかと期待したのですが、そのような答えはありませんでした。各社とも「コミュニケーション」という言葉の意味を深くは考えてはいないようで、いわゆる「コミュ障」でない人くらいの感じでした。

結局デフレ不況で、チャレンジ精神に溢れた人に入社されても困るというのが実情だったのでしょう。どうも話を聴いていると、調整能力に長けていることと、和を重視する人ということに思えました。

私は、これは世の中をみるときの目印にもなるように思います。多くの企業が採用基準で「コミュニケーション能力重視」ということを言い出すと、世の中かなり不況であるか、企業が先行きに不安を感じるているという目印になるのではないかと思います。そうして、現在でも「コミュニケーション能力重視」としている、企業がまだ結構多いのが気になります。

そうして、その頃から高橋洋一氏や他のまともなエコノミストらの、財政・金融政策の記事を読み、雇用=金融政策であることを知っていた私は、若者の惨状から救うためにも、財政・金融政策の本質を理解する政治家がでてきて活躍してもらいたいと願うようになりました。

そこに颯爽と登場してきたのが安倍総理であり、その安倍総理が上の髙橋洋一氏の記事にもあるように、優れた雇用政策を実行して、雇用が劇的に良くなりました。

その頃には、私はすでに人事を担当していませんでしたが、それでも劇的に変わったことを感じました。まずは、採用が従来よりは難しくなったことです。

そうして、人事を仕事を引き継ぐときに、新たな人事担当者と一緒に、大学や高校をまわったときに、大きな変化に気づきました。

無論、大卒も高卒もかなり就職率が劇的に高くなりました。それは、各学校の就職担当の先生方が口を揃えて語っておられました。

ただ、ある先生は「確かに良くなっている。卒業生の98%が就職している。ただ、学生にはこの状況はいつまで続くかわからないので、選り好みをせず、年内中に決めてしまいなさい」と指導していると語っていました。やはり、ひどい時代のことが脳裏に焼き付いているのでしょう。

若者自身を含め、就職に企業側であれ、学校側であれ、関わった人ならば、この劇的変化は誰もが認めるところだと思います。

そうして、最後に安保について述べますが、上の記事の通り安保でも安倍総理はかなり大きな貢献をしました。

これは、上の記事と同じことを書いてもつまらないので、別のことを書きます。

海上自衛隊の新型潜水艦「たいげい」が今年3月9日、就役しました。中国の海洋進出を念頭にした防衛力強化のため、政府が目標として掲げてきた潜水艦を16隻から22隻に増強する計画が完了しました。これは計画よりもはやく達成されています。

海自によると、たいげいは基準排水量3千トンで全長84メートル、全幅9.1メートル。乗員は約70人。建造費は約800億円。「大きな鯨」が名称の由来となっています。

この22隻体制の意味をあまりマスコミは報道しませんが、これによって日本の専守防衛は完成の域にたっしたといえます。

この体制だと、日本の近海を交代制で24時間日本近海を監視することができ、中国やロシアあるいは、北朝鮮などの艦艇や潜水艦などが日本に侵攻しようとした場合、これを防ぐことができます。

中露北よりは、日本は対潜哨戒能力が凌駕している上に、日本の潜水艦の静寂性(ステルス性)に優れており、中露北にはこれを発見することはかなり難しいです。

いずれの国の潜水艦も動力源をとめて、海に潜っていれば、発見するのは難しいのですが、魚雷やミサイルを発射すると、それはすぐに発見され、そこから離脱しようとして、動力源を入れて動けば、その音で敵に発見されてしまうのですが、日本の潜水艦はステル性に優れているため、動いていても発見するのは難しいです。

この22隻の潜水艦隊により、日本の専守防衛の体制はかなりの水準まて達成されたといえるでしよう。日本を侵略しようとして、艦艇や吸収揚陸艦を派遣したとしても、そのほとんどが日本に辿り着く前に撃沈されることになります。とても恐ろしくて、日本を武力で直接侵略する国などないと思います。そうして、それは無論憲法9条があるからではなく、日本は無音の潜水艦隊があるからです。

この計画も安倍総理在任中にたてられたものであり、この功績も大きいです。これによって日本の独立は保たれることになります。ただ、日本の通常型潜水艦による防衛では、専守防衛には十分ですが、それだけでは敵にミサイルを打ち込まれたりすれば、国民の生命財産を守ることはできません。それが今後の課題となりますが、それにしても専守防衛に一区切りつけた安倍総理の功績は大きいです。

安保に関しては、実体験ではないですが、雇用面においては実体験ではっきりと、安倍総理の功績を捉えることができました。このようにはっきりと実体験できた、総理大臣は安倍総理以外にいません。

私も実体験できているわけですが、他にもそのような人は大勢いると思います。そういう人にとって、野党やマスコミの垂れ流す「安倍批判」は、全く何も意味を持たないと思います。


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2022年7月17日日曜日

安倍元首相「国葬」が前代未聞の弔問外交に プーチン氏やバイデン氏、トランプ氏も参列!?「ロシアとウクライナの停戦、きっかけ担える可能性」―【私の論評】国葬は当然!国会中央広間の例の空いている台座に安倍晋三氏の銅像を設置すべき(゚д゚)!

安倍元首相「国葬」が前代未聞の弔問外交に プーチン氏やバイデン氏、トランプ氏も参列!?「ロシアとウクライナの停戦、きっかけ担える可能性」

安倍晋三氏

 参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の政府主導による葬儀について、岸田文雄首相は秋に日本武道館で「国葬」(国葬儀)として実施すると明らかにした。国葬は各国から特使が送られることで外交の舞台にもなる。専門家は「海外での影響力が非常に強い安倍氏の国葬は、過去最大級の弔問外交の舞台となる可能性もある」と語る。

 首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来2回目。吉田氏の国葬を手掛けた帝都典礼のホームページによると、日本武道館で実施され、推定3万5000人が参列した。費用は当時の金額で約1800万円だが、2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党の合同葬では約2億円の費用が計上された。安倍氏の国葬も同程度の費用が予想される。

 海外でも首脳経験者が国葬で見送られるケースは多い。米国では辞退したニクソン元大統領らを除き、大統領経験者には基本的に国葬が実施される。英国の国葬は王室関係者が対象だが、チャーチル元首相ら特段の功労者には例外的に執り行われてきた。

 国葬には諸外国から要人が弔問に訪れる。今年5月には、亡くなったアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ前大統領に弔意を示すため、ジョンソン英首相やフランスのマクロン大統領、ハリス米副大統領らが駆けつけた。長期にわたり外交分野で存在感を見せてきた安倍氏には、すでに世界中の要人から弔問を希望する連絡が寄せられ外務省が対応に追われている。

 世界中から要人が集結すれば、日本は大規模な弔問外交の舞台になる。国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一氏は「岸田首相はG7(先進7カ国)首脳会議に続き、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議にも参加した。自由主義圏という輪のもとで欧米諸国とアジア諸国が軍事的にも連携を強めており、その舞台が日本での弔問外交となるという見方もできる」と解説する。

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領も安倍氏との親交が知られる。プーチン氏は安倍氏が死去した8日のうちに弔電を送っている。島田氏は「一部では安倍氏の国葬を機にロシアとウクライナの停戦を日本が仲介できるという予想もあるが、戦況次第だろう。両国にとって停戦に移ってもいいタイミングであれば1つのきっかけを担える可能性はある」とみる。

 米国からはバイデン大統領の弔問が予想されるほか、海外メディアによると安倍氏と関係が深いトランプ前大統領も葬儀への参列を検討しているという。

 島田氏は「安倍氏はオバマ政権、トランプ政権と長期にわたり首相として関係を持ち、超党派で人脈を築き上げた。バイデン氏とトランプ氏がそろって弔問する可能性は十分あるが、両者への待遇に差がつけば関係に亀裂が生じかねない。難しい判断が求められる」との見方を示した。

【私の論評】国葬は当然!国会中央広間の例の空いている台座に安倍晋三氏の銅像を設置すべき(゚д゚)!

 安倍晋三氏の国葬が決められたのは、安倍晋三氏が 歴代最長となる8年8ヶ月に渡り総理を務め、200以上の国と地域から国家元首や元国家元首などの弔問希望があり、数多の国民から国葬を希望する声があったからです。

これで国葬にしなかった場合、日本の国益というか、国内で政府の存在感が、世界では日本国の存在感が薄れるどころか、毀損されることになりかねません。

現在安倍元首相の国葬に一番困っているのは中国の習近平氏かもしれません。なぜかといえば、自由世界の各国首脳が集まる国葬の場は、安倍首相が提唱し尽力した中国包囲網を構築した国々の世界的な再結集大会になるからです。

このことからも、日本国内の一部政治家や新聞が国葬に反対する本当の思惑が分かります。

国葬に反対する自由もありますが、特に国会議員は国葬に反対するなら、反対する野党で国会の4分の1以上で国会を召集、議員の過半数を固め内閣不信任を成立させ、解散に追い込み、政権交代を果たして、中止の閣議決定をすればできます。どこまでも反対するというのなら、それなりの行動をしてください。ネットで騒いでも意味はありません。

韓国では、安倍元首相の国葬が決まり、日本で賛否あることを韓国紙が取り上げ「国葬には法的根拠がない」と批判を正当化しました。しかし岸田首相は会見で「内閣府設置法」を法的根拠と説明しました。

安倍晋三元首相の死去を1面トップで大々的に報じる9日付の韓国主要紙

岸田首相は7月14日の記者会見で、内閣府設置法において、内閣府の所掌事務として定められている「国の儀式」として、閣議決定をすれば実施可能との見解を示しました。法的根拠については、事前に内閣法制局と検討したことも強調しました。

たしかに、内閣府設置法には、所掌事務を定めた第4条第3項第33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)」との規定があります。

賛否は尊重しますが、虚偽の流布はいけないです。特に安倍晋三氏国葬は、韓国には関係ないことです。

そうして、岸田政権にはこの機会に国葬の基準も決めていただきたいものです。そうすれば安倍晋三支持者が感情的に国葬を希望しているというだけではないことが、はっきりしますし、安倍晋三氏の偉業を多くの国民にも知ってもらえることになると思います。

国会議事堂中央広間にある、左から順に板垣退助、大隈重信、伊藤博文の銅像

さらに、国会議事堂内の四隅のうちの一つの空いてる例の台座の上に安倍晋三氏の銅像を建てるべきと思います。氏の功績を鑑みれば伊藤博文、大隈重信、板垣退助三傑に決して引けを取らない、と思いますので、是非内閣府には検討していただきたいです。

一つ空いている台座

これらは、1938年(明治13年)に、大日本帝国憲法発布50年を記念して設置されたものです。

しかしながら、何故か4つ目の台座には銅像が置かれていません。これは、何故なのでしょうか?

その理由については、実はよく分かっていません。4人目を人選(じんせん)できず将来に持ち越されたとも、「政治に完成はない、未完の象徴」という意味が込められているともいわれます。

また、将来この台座に収められるのにふさわしい人物が出たときのために開けてあるともいわれます。

ただ、これらの説はいずれもそれを裏付ける資料が存在しないのです。ここには、安倍晋三氏の銅像が設置されるべきものと思います。もちろん、今すぐとは、いいませんが、憲法改正がされるときがきたら、新憲法発布の日を記念して、ここに安倍晋三氏の銅像をたてていただきたいものです。

今思うと、安倍総理の銅像は、最初からここに立つ運命だったのかもしれません。

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2022年7月16日土曜日

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記帳するエマニュエル駐日大使

 安倍晋三元首相を悼む動きが広がるなか、ラーム・エマニュエル駐日米国大使の姿勢が際立っている。弔意を示すため、安倍氏の私邸や自民党本部を訪れたうえ、東京・芝公園の増上寺で行われた通夜にも参列し、ツイッターでの発信も繰り返している。日米同盟を基軸に国際社会の安定を目指した「安倍路線」を評価し、岸田文雄政権にも継承を求めているのか。

 《日本を率いる卓越した政治家、世界的なリーダー、そして米国の友人。安倍氏が語る明解な見解は、永遠に惜しまれることでしょう》《日米が共有する理念の強力な擁護者を失ってしまいました。さようなら、友よ。寂しい思いで胸がいっぱいです》

 エマニュエル氏は、安倍氏が凶弾に倒れた8日、ツイッターでこう発信した。

 10日には、都内の安倍邸を訪れ、昭恵夫人らにお悔やみの言葉を伝えた。11日には、日米財務相会談のため来日したジャネット・イエレン財務長官と増上寺での通夜に参列した。14日は自民党本部を訪れて記帳し、記者団に「見識と実行力があるリーダーだった。悲しい」と思いを語った。

 連日のように続く、弔意表明をどう見るか。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「米国はアントニー・ブリンケン国務長官も急遽(きゅうきょ)訪日させるなど、最大級の弔意を示した。安倍氏は、共和党と民主党、それぞれの米政権を経験した。特に安全保障法制の整備で日米連携を強め、地域の安定に貢献したとして、米国内の超党派が極めて高く評価している。岸田首相にも安全保障面で、安倍氏の築いた礎を継承、発展させることが求められるのではないか」と語った。

【私の論評】岸田政権には、米国の強力な報復に抗って親中派路線を貫く意思も胆力も覚悟もない(゚д゚)!

ラーム・エマニュエル駐日大使が弔意を示すため、安倍氏の私邸や自民党本部を訪れたうえ、東京・芝公園の増上寺で行われた通夜にも参列という行動も際立っていますしアントニー・ブリンケン国務長官の急遽訪日も際立っています。


これらの行動を、安倍総理が偉大だったとか、善意によるものだけと考えることは、私にはできません。無論そういう側面はあります。しかし、元総理大臣の暗殺に対してここまでするにはそれなりの理由があると思います。

それはやはり、上の記事にもある通り、安倍元総理大臣の対米外交姿勢や、安全保障面など、安倍元総理の姿勢を継承してもらいたいという強い意思を示すためでしょう。

米国は岸田総理が所属する宏池会が、親中的であることを当然のことながら知っているでしょう。だから、日本が親中的にならないように牽制したという面は否めないでしょう。米国国務長官がわざわざ来日するということはそういうことです。そうでなければ、代理の人を派遣したと思います。

こうしたことからも、すでに昨日のブログで、「岸田家の台湾との古くからの関係や、外交では米英豪印やEU等相手があることから、いくら出身派閥に親中派が多いからといって岸田政権が大きく親中にふれることはないでしょう」と述べたように、岸田政権が極端に中国側に振れる心配はないといえるでしゃう。

そのような行動をさせないためにこそ、エマニュエル大使やブリンケン国務長官が先に述べたような行動をしたのです。

このブログではしばしば述べているように、米国と中国の真の戦場は、軍事力ではなく、経済とテクノロジーの領域であり地政学的な戦いになるのです。

地経学的な戦いとは、兵士によって他国を侵略する代わりに、投資を通じて相手国の産業を征服するというものです。経済を武器として使用するやり方は、過去においてもしばしば行われてきました。

ところが中国が特殊なのはそれを公式に宣言していることです。その典型が「中国製造2025」です。これは単なる産業育成ではなく、たとえばAIの分野に国家が莫大な投資を行うことで、他国の企業を打倒すること、そして、それによって中国政府の影響力を強めることが真の狙いなのです。

その意味で、中国は国営企業、民間企業を問わず、「地経学的戦争における国家の尖兵(せんぺい)」なのです。たとえばイギリスがアジアを侵略する際の東インド会社のような存在なのです。

中国企業がスパイ行為などにより技術の窃盗を繰り返したり、貿易のルールを平然と破ったりするのは、それがビジネスであると同時に、国家による戦争だからです。

トランプ政権になって、米国がそうした行為を厳しく咎(とが)め、制裁を行うようになったのも、それを正しく「地経学的戦争」だと認識したからであり、だからこそ政権が交代しても、対中政策は変わらなかったのです。

そうして、トランプ氏にそれをしっかりと認識させたのは安倍元総理なのです。

中国は、以前は日本を見下していました。実際に、1994 年中国の当時の李鵬首相が、オーストラリアを訪問した時に、当時の オーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって 「い まの日本の繁栄は一時的なものであだ花です。 その繁栄を創ってきた世代の日本人がもう すぐこの世からいなくなりますから、20 年もしたら国として存在していないのではないで しょうか。 中国か韓国、 あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれません」 という 発言をしました。

李鵬首相のオーストラリアでの発言

自民党がその頃のままであれば、本当にそうなったかもしれません。ところが安倍政権が誕生して以降、気がつけば日本が中国包囲網の中心になっていたのです。 安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の場で提唱してから5年以上が経過し、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきています。

トランプ大統領の任期は2017年から始まっています。トランプ大統領は選挙選の最中から中国に対峙すべきことを主張してきましたが、安倍総理と会ってからは、中国の卑劣な行いが、「地経学的戦争」だとはっきりと認識したとみられます。

日本では安倍・トランプというとゴルフぎかりが強調されるが、それだけではなかった・・・・

当時の安倍首相がこの構想を出したとき、中国はほとんど気にしていませんでした。しかし、その枠組みが目の前にでき上がってしまったということが、彼らの誤算でした。しかも「AUKUS(オーカス)」、「ファイブ・アイズ」という2つ枠組みがあり、アジアのなかでは日本だけが枠組みの一部に入るような事態も招いたともいえます。

安倍元総理は、いわば今日の対中国の世界の枠組みを構築したのであり、現在の日米英印豪、EUもその枠組の中で対中国戦略を考え実行しているのであり、その本家本元の日本が親中に傾けば、世界の枠組みが毀損されかねないわけです。それは、米国としてはとても許容できないのです。

今後も、バイデン政権は、岸田政権に対して親中に振れないように、牽制してくるでしょう。また、日本の国民も、自民党内の多くの政治家も、牽制することでしょう。こうした牽制に抗い、親中派路線を貫く意思も胆力も覚悟も、岸田政権にはありません。林外務大臣にもないでしょう。

そもそも、なぜ親中派なのかと問われても、安倍元総理のようなビジョンがあるわけでもなく、ただ宏池会の先輩がそうだったからとか、財界からの要望があるからくらいしか答えようがないし、自分が儲かるからなどとは口が裂けても言えないというのが実情だと思います。

もし、宏池会の方々に親中派としてのビジョンがあるなら公表すべきです。ただ、岸田総理が現在の世界の枠組みを崩そうとすれば、米国の強力な報復にあうことになることを肝に銘じるべきです。

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安倍晋三元首相

 安倍晋三元首相の大きな功績の一つがアベノミクスだ。

 (1)金融政策(2)財政政策(3)成長戦略という構成で、(1)と(2)がマクロ経済政策、(3)はミクロ経済政策といずれも世界標準である。特に、(1)を筆頭に掲げたのは日本史上初めてで、世界からも認知された。日本のマスコミではあまり報じられなかったが、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン氏らも高く評価していた。

 その実績も、国民にとって最も重要な雇用の確保において、歴代政権の中でも断トツの成績だ。マクロ経済は雇用の確保のためにあると言ってもいい。

 雇用の確保は、失業率の低下と就業者数の増加で見ることができる。戦後の統計でみると、歴代政権の中で、安倍政権は失業率の低下が1・5%で第1位、就業者数の増加が400万人で第2位の実績だ。

 雇用については就業者数、正規・非正規雇用の増加、名目賃金で、民主党政権とは段違いに実績がいい。実質賃金では多少見劣りがするが、これは雇用回復期に見られる現象であり、もう少し時間があれば、雇用回復のペースから考えてもいい成績になっただろう。政策の方向性は正しかったと評価できる。

 外交・安全保障でも安倍政策は傑出していた。1次政権のころから温めていた日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による戦略的枠組み「クアッド」や「自由で開かれたインド太平洋」という言葉は、これからも国際政治で色あせることはないだろう。

 筆者は、財務省が財政データに基づかずに財政危機をあおってきたことを長年主張してきたが、最近これに賛同する政治家が増えつつある。いつかは、安倍元首相のように財務省をも説得できる政治家が出てくることを期待したい。

 現下の経済情勢で、円安是正のために金融引き締めすべきだとの意見も出始めている。出所の多くは市場変動でひと山当てたい市場関係者で、日本経済を考えたものとはいえない。

 もし金融引き締めすれば、たしかに円高になるだろう。しかし、円安で日本の国内総生産(GDP)が増大するというメリットが失われる。それは、GDPを減少させ、いま30兆円程度あるGDPギャップ(総需要と総供給の差)をさらに拡大させ、雇用を失わせるだろう。いまデフレから脱却しつつあるが、再びデフレに逆戻りしかねない。

 さらに、財務省がひそかにたくらむ「コロナ増税」もGDP減少要因となる。コロナ対策は、安倍元首相のいう「政府・日銀の連合軍」で実行された。発行された100兆円は最終的には日銀が保有しているので、償還負担も利払い負担もない。これを安倍元首相は、「日銀は子会社のようなもの」と比喩したが、その部分だけがマスコミで批判され、安倍元首相が言いたかった肝心要の「債務負担も利払い負担もない」はすり替えられた。安倍元首相の発言を否定したのは財務省であり、コロナ増税の思惑が見え隠れしている。

 1990年代以降、日本のGDP(および給料)が増えなかったのは、日本全体のマネー不足だ。これは、世界の中でも日本のマネー伸び率は極端に低いためで、マネー伸び率と経済成長率との間に一定の相関があることからもわかる。

 その原因は、日銀の金融引き締めすぎと財務省の財政引き締めすぎである。アベノミクスを継承しないと、金融と財政の引き締めが復活して、日本は新たに失われた時代になるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】真の安倍晋三の後継者が成し遂げるべき困難な仕事とは(゚д゚)!

上の髙橋洋一氏のアベノミックスは、(1)金融政策(2)財政政策(3)成長戦略という構成で、(1)と(2)がマクロ経済政策、(3)はミクロ経済政策といずれも世界標準であるという指摘は全く正しいです。

そうして経済対策としては、景気が悪ければ、金融緩和と積極財政を行い、景気が加熱すれば、金融引締と、緊縮財政を行うというのは世界標準である上に、すでに原理原則と言って良いです。これ以外のことを実行して成功した国は古今東西にありません。高校の政治経済の教科書にもこの原理原則は述べらています。

また、世界中の標準的なマクロ経済の教科書にも、私が知る限りではそう書かれています。そうではない教科書があるのをご存知の方は是非教えて下さい。

それについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
金融緩和への奇妙な反対論 マスコミではいまだ「日銀理論」の信奉者、デフレの責任回避の背景も―【私の論評】財政・金融政策は意見ではなく、原理原則を実体経済に適用することで実行されるべきもの(゚д゚)!

日銀

原理原則とは誰もが単純に理解できるものでなければ、原理原則になり得ません。ただし、原理原則が成立するまでには、科学的検証はもとより、様々な経験や失敗があり、その上に原理原則が成立し、高校や大学の教科書などにも記載されているのです。

そうして、財政政策の原理原則も簡単です。景気が悪ければ、積極財政と金融緩和を、景気が良ければ、緊縮財政と金融引締をするというものです。

そうして、景気の状況を見分ける原理原則も簡単です。一番重要なのは、失業率です。たとえば、景気が悪い時には失業率があがります。そうなれば、積極財政や金融緩和を行います。それで失業率が下がり始めますが、ある時点になれば、積極財政や金融緩和をしても、物価は上がるものの、失業率は下がらなくなります。その時点になったことが、はっきりすれば、積極財政や金融緩和をやめれば良いのです。

反対に景気が過熱してはっきりとしたインフレ状況の場合は、緊縮財政、金融引締を行います。そうすると、物価が下がり始めます、しかしこれも継続していると、やかで物価は下がらず、失業率が上がっていく状況になります。そうなれば、緊縮財政、金融引締をやめます。
現在では、これは誰にでも理解できると思います。 ただ世界恐慌(1929年に始まり、1930年代後半まで)の時にはこれが理解されていなかったようです。1990年代の研究で、世界恐慌の原因はデフレであったことが明らかになっています。

その後世界では、ケインズをはじめ様々な経済学者により、先程述べたような経済対策の原理原則を樹立して今日に至っています。

その意味では、アベノミックスは原理原則に基づいた経済政策であり、何も新しいことはありません。ただし、失われた30年のさなかにあった日本でそれを実行したことが素晴らしいと評価されているのです。


そうして、安倍元総理があげた(2)財政政策は、当然のことなが積極財政を貫くつもりであったでしょう。しかし、実際には総理在籍中に2度の消費税増税見送りはしたものの、結局2度も消費税増税をして、現在消費税率は10%です。これは、計算が楽で、計算が得意な日本人なら、100円のものを買うなら消費税は10円であるとすぐに計算できてしまいます。

このような消費増税を安倍元総理は決してしたくはなかったでしょう。1回目の消費増税のときも、大勢のエコノミストと呼ばれるような人たちは「増税しても大丈夫だ、影響は軽微だ」と言っていました。

上の記事を書いた高橋洋一氏が、当時の安倍総理に「あれは嘘だったでしょう」と言ったら、「そうだったね」と語っていたそうです。それでも2回目の消費税増税を実施したわけですが。「三党合意があってどうしようもないのだ」ということを言っていたそうです。それと、「自民党のなかには増税派がたくさんいるので大変なのだ」ということも言っていたそうです。

この2回の増税は、安倍総理の最大の心残りだったと思います。

岸田首相

岸田首相は(自民党総裁)は10日夜の報道番組で以下のような発言をしています。

 安倍元首相に改めて哀悼の誠をささげたい。民主主義の基盤である選挙の有りようが問われている。多くの皆さんに協力をいただき、選挙を完結できたことは、大きな意味がある。民主主義を守るためにも引き続き努力を続けていきたい。

 新型コロナウイルス、価格高騰対策など大きな課題に取り組んだ上で、経済再生に向けて努力をしていく。

 新規感染者の数は増えているが、病床使用率は低水準で推移している。医療提供体制は維持したまま、一歩一歩、経済・社会活動を動かしていく。平時への移行を進めていく。新たな行動制限は今、考えていない。

 多くの国民が物価高騰に大きな関心を持っている。政府が責任を持って、エネルギー価格と食料価格の高騰に対してピンポイントで政策を用意する。賃金の引き上げも進めていく。この二つをセットで行う。

 憲法改正について、自民党が提案するたたき台素案は、現代的な喫緊の課題だ。国民の理解を得るため、国会で議論を深め、発議できる案をまとめる努力に集中したい。(憲法改正の国会発議に必要な)3分の2を集約できるよう努力したい。

 防衛費に関しては、対GDP(国内総生産)比2%という数字を念頭に置きながら、5年間で充実していく。まずは国民の命や暮らしを守るために何が必要なのかを明らかにし、積み上げていく。年末にかけて必要な予算を確保する。
岸田首相は14日の記者会見で、原発の再稼働について、萩生田光一経済産業相に対し、最大9基の稼働を進め、国内の電力消費量の約1割に相当する分を確保するよう指示したことを明らかにした。また、今夏の節電については「全国で10以上の火力発電所の運転が次々と再開し、電力の安定供給を確保する見通しが立った。熱中症も懸念されるこの夏は、無理な節電をせず、クーラーを上手に使いながら、乗り越えていただきたい」と呼びかけました。

演説中に銃で撃たれて亡くなった安倍元総理大臣について、岸田総理大臣は、歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残したなどとして、ことしの秋に国葬を行う方針を表明しました。

さらに、外交や安全保障については、宏池会が親中派が多いということで、心配する方も多いですが、台湾の地元メディア「聯合新聞網」によると、岸田氏の曽祖父・岸田幾太郎氏は1895年から1899年にかけて基隆市を開発。「信二路義二路口で『岸田呉服店』と『岸田喫茶部』を経営し、ビクトリア調の優雅な外観が幸いにも保存され、基隆の発展の一端を担った」といいます。また当時の地図には「岸田呉服店」「岸田喫茶部」と掲載されていました。

このような岸田家と台湾の関係や、外交では米英豪印やEU等相手があることから、いくら出身派閥に親中派が多いからといって岸田政権が大きく親中にふれることはないでしょう。

ただ、岸田家は財務省との関係も深いです。

検討使と揶揄されていた、岸田首相なのですが、覚醒しつつあるのでしょうか。岸田総理も安倍総理のように財務省の意向を跳ね返すことは難しいでしょう。

安倍元総理の最大の心残りを解消するためには、財務省と対峙するだけではなく、財務省の力を削ぐしかありません。それには妙案があります。それは以前このブログにも掲載したことがあります。これは髙橋洋一氏が提唱していた方式です。それを以下に再掲します。
海外には政府の各省庁の分掌を設置法で決めているところはなく、概ね束ね政令方式が普通です。財務省(官僚全般)の大弱点は、いまやってる仕事をほかの役所に割り振られることです。そうなると、省益の追求はかなりしにくくなります。

たとえば税部門の仕事を歳入庁をつくって、歳入庁は内閣府の下にするとか。主計局の仕事でも、それを内閣府の下にするという方式です。

ただ、それで固定するというのではなく、その時々で、政令でそれを実行する方式です。

これは、非常に良い考え方だと思います。ただ、財務省はこれに当然反対し、恐ろしい勢いで、政治家を殺す(もちろん本当に殺すわけではなく実質的に政治生命を絶つなどのこと)勢いで挑んでくるのは間違いないので、すぐにできることではないですが、髙橋洋一氏は、今ではないもののいずれ政治家が挑んでも良いのではないかと語っています。
これに誰か挑戦していただきたいものです。そうして、それが本当の安倍氏への弔い合戦になると思います。参院選を安倍氏の弔い合戦とした人たちもいますが、これは弔い合戦とはいえないと思います。

故人がなそうとしてもできなかったことを実施することこそが、本当の弔い合戦になると思います。

そうして、これは壮絶な戦いになるはずです。財務省はありとあらゆるやり方で、妨害してくるでしょう。これをやりはじめた政治家の政治生命を絶つように動くでしょう。あの前川喜平が文部次官だったときの抵抗よりも、100倍、1000倍の抵抗にあうでしょう。多くの自民党の政治家も、マスコミも、識者をも敵にまわすことになるかもしれません。防衛費を、対GDP(国内総生産)比2%にすることがその前哨戦になるかもしれません。

私は、この最も難しい仕事にチャレンジし、やり遂げる人こそ、真の安倍晋三の後継者になるだろうと思います。ただ、これをいずれ誰かがやり遂げなければ、いずれ日本経済はかなり低迷し、日本人の賃金はいずれ名目賃金でも韓国・台湾以下になり、安全保障、外交どころではなくなりますし、憲法を改正したとしても無意味になると思います。

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2022年7月14日木曜日

政府はなぜ減税しないのか!? 官僚が好む「補助金型」で恩を着せるも 予算の未消化が起きやすい―【私の論評】何もしなくてもすぐできる減税を日本でも早急に実施すべき(゚д゚)!

日本の解き方




 2021年度一般会計決算は、税収が前年度比10・2%増の67兆379億円と過去最高になった。一方、歳出では22兆円余りの予算執行を22年度に繰り越すと報じられている。国は予算の出し惜しみをしているのか。適切な使い道はないのか。

 予算は、原則として年度内に使い切ることとなっている。使い切れなかったものは、予算を計上したものの結果的に使う必要のなくなった「不用」となるか、一定の手続きにより次年度への「繰越」となる。

 財務省が5日発表した21年度の一般会計の決算概要によると、不用額は6兆3028億円と過去最高となった。これとは別に、特別会計などで22兆4272億円が22年度に繰り越された。

 21年度の予算総額は補正予算を含め過去2番目に大きい142・5兆円だった。20年度からの繰越もあり、結果として不用額が増えた。不用額について、20年度は3・9兆円、21年度はさらに6割増え6・3兆円だった。21年度不用の内訳は、資金繰り支援で経済産業省1・4兆円、財務省0・6兆円、「Go To トラベル」0・9兆円などだ。

 繰越については、20年度が30兆円強だったが、21年度の22・4兆円は過去2番目の大きさだった。公共事業費4兆円、地方創生臨時交付金の5・7兆円、中小支援事業復活支援金2・3兆円などだ。

 予算はもともと歳出権の上限を決めるものだ。コロナで経済の状況が読めない以上、多めに予算を組むのは当然である。もし足りなかったら、それこそ大問題だ。多めの予算でも別に無駄になるわけではない。不用や繰越を避けるために、年度内で無理矢理に予算消化する方が無駄であろう。いずれにしても、本件は必要以上に予算を組んで、財務省が勝手に怒っているだけともいえる。

 予算の使い方として、補助金型と減税型がある。補助金型とは、節電ポイントや、ガソリン補助金などの給付の方法のことだ。補助金型は、事前申請が必要で手間がかかるため、予算の未消化が起きやすい。

 事前申請の必要のないプッシュ形の給付金もあり、欧米先進国では主流になりつつあるが、日本ではマイナンバーと銀行口座のリンクが一部しかなされていないのでまだまだ実施されていない。一方、減税型は申請がいらないので原則的に100%予算を消化できる。

 減税型でも補助金型と同様の経済効果が出るのに、なぜか政府は減税をやらない。補助金型が多いのは先進国で日本だけの特色だ。例えば、ガソリン価格の安定のために、ガソリン税減税は行わないが、補助金を出すのはその典型だ。減税は直接消費者に恩恵が行くので明快だが、補助金は業者に行くので消費者から見ればその効果が分かりにくい。しかし、官僚から見れば、減税では自分に頭を下げないが、補助金は恩を着せられると考えるだろう。

 官僚主導の日本では、官僚の存在感が増すように補助金型の予算が多いのが問題であり、予算を余らせずに使うには減税が簡単で効果的だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】何もしなくてもすぐできる減税を日本でも早急に実施すべき(゚д゚)!

上の記事を書いた髙橋洋一氏は、動画で繰越自体は全く問題がないことを力説していましたか。特にコロナ禍があった昨年は、もしものことがあった場合に足りなければ大変なことになったはずであり、余剰が出る事自体はほとんど問題でははないとしています。


ただ、強いて問題があるとすれば、使い切れなくなるのは、日本では減税ではなく給付金による支援が突出して多いことが問題であるとしています。そうして、それを記事にせず、財務省の言い分をそのまま垂れ流している日経新聞の記事を批判しています。以下にその記事のリンクを掲載します。

税収、最高の60.8兆円 剰余金4.5兆円も最多 20年度決算

給付金と減税は、手元のお金が増える点で似ていても、その意味や使い勝手は大きく違います。補助金や助成金は原則、特定の目的に限って支給され、それ以外の目的に使うことはできません。

これに対し、減税で手元に残ったお金は自分のお金ですから、何に使おうと自由です。飲食店の店主であれば、生活費の足しにしても良いですし、新しい商売の準備に使っても良いです。用途を縛られたお金より、自由に使えるお金のほうが使い勝手は遥かに良いです。

また、政府から支給されるお金は、手元に届くまでに時間がかかりがちです。1次補正で計上した1人10万円の給付金は届くのが遅かったことを記憶している人も多いでしょう。厚生労働省の雇調金のオンライン申請システムは初日にトラブルが発生し、停止してしまいました。何ともお粗末ですが、減税なら、さほど時間はかかりません。

財政出動には様々な手法があるが、日本では給付金が突出している

欧州では、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済を立て直すための経済復興策として、各国で減税措置が実施されました。「2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査」によると、ドイツでは2020年7月から12月末まで付加価値税(VAT)が19%から16%に引き下げられ、軽減税率は7%から5%となりました。

詳細をご覧になりたい方は、以下を御覧ください。

2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査(概要・分析) (998KB)
2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査(都市別データ) (338KB)

英国でも同年7月15日から2021年3月末まで、飲食や宿泊、娯楽産業に対して、VATを20%から5%に引き下げている。今回の調査対象ではないですが、ベルギーやオーストリアでも、飲食業界などに限ってVATの減税に踏み切りました。

VAT減税の影響により、2020年8月のユーロ圏のインフレ率は前年同月比でマイナス0.2%となり、2016年5月以来のマイナスに転じました。9月から12月まではマイナス0.3%で横ばいでしたが、2021年1月に6カ月ぶりに0.9%のプラスとなりました。ドイツのVAT減税措置が12月末に終了したことが要因の1つとみられます。

中・東欧でも新型コロナウイルス感染拡大による厳しい経済状況を考慮した税制改正が行われまし。チェコでは、一連の税法改正が1月1日に発効し、個人所得税の課税ベースが見直された(2021年1月7日記事参照)。ハンガリーは、2021年の新たな税の導入や地方事業税を含む地方税の増税を禁じました(2020年12月10日記事参照)。さらに、遅くとも2022年1月1日までに25歳未満の若者に対する個人所得税が現在の一律15%から免除されます(2021年1月22日記事参照)。


自民党の若手議員約15人は2022年3月30日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気減速を受け消費税率を6月に10%から5%に下げるよう求める声明を出しました。食料品などに対象を限定している8%の軽減税率を当分の間0%とし全品目に適用する案も示しました。財源は国債の発行などで賄うとしました。政府が同年4月にまとめる過去最大規模の緊急経済対策に反映するよう求めていました。

対象はこの際、消費税に限らす何でも良いです。苦しむ市民に素早く手当ができ、現在日本経済に存在する巨大な需給ギャップ30兆円超の需給ギャップを埋めるのにも役立ちます。減税は、昔から善政として称えられてきました。試みる価値はあるはずです。

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2022年7月13日水曜日

バイデンは左派との「対決」で活路を見出せ―【私の論評】インフレが収拾し経済が良くならなければ、トランプ氏の大統領再選は絶対にないとは言い切れない(゚д゚)!

バイデンは左派との「対決」で活路を見出せ

岡崎研究所

 6月23日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのザカリアが、国内支持率が低迷するバイデンは文化の闘いでもっと得点すべきだと述べている。


 ザカリアは、バイデンの支持率が上がらない理由について次の二点を指摘する。

 第一に、民主党左派は、常に現職大統領に不満を持ち、大統領に反乱してきた。ザカリアは、左派は民主党内で常に大きい勢力だった(ジョンソン時代のハンフリー、1970~80年代のテッド・ケネディ等)、それが民主党の歴史だと言いたいのだろう。納得できる。

 第二に、「国民は、経済の先行きが不確実であっても、経済について左傾化することはせず反対に文化について右傾化する」、国民に語る時「左派は、先ずそれは文化的に革命的でないことをはっきりさせねばならない」、「民主党左派は社会問題を語る時「ラティンクス」や「有色人社会」等といった言葉を使い多くの国民を疎外する」、「民主党は屡々最も左の支持者に応えようとするので、町の平均的な人々を疎外する」と指摘する。

 その上で、バイデンは左派の過激な社会政策や文化政策につき「クリントンやブレアのように党内の人々と対決したこともない。更にバイデンはこれらの問題に関する自分の立場を伝えようと意図したこともない」と指摘する。党内左派のカルチャーやバイデンの「対決」欠如の指摘は当たっていると思う。

 「対決」の必要性の指摘はよく分かる。特に貿易について左派や議会と対決すべきだった。問題を避けていては、前途は開けない。

 バイデンは、議会人なるが故に対決よりも取引をやりたいのかもしれないが、やはり一度はきちっと対決すべきだ。大統領になった以上、国民を相手にし、党内左派よりも国民を恐れるべきだ。そうすることによって彼のアジェンダや理想が一層明確になる。

乗り越えるべきトランプ再選阻止の代償

 米国人はそのような大統領を尊敬し、好むだろう。米国の大統領には本来それだけの威厳がある。大統領らしい大統領への国民的願望は依然として残っているのではないか。

 しかし、バイデンに同情するのは、民主党予備選の段階で、左派の協力に大きく依存しなければならず、左派に人事などで譲歩せねばならなかったことだ。現政権にとり、人事や政策で左派の影響は避けられないことになった。それが現政権の制度に埋め込まれてしまっている。

2020年2月のテレビ討論会で激論を交わす、バーニー・サンダース氏とジョー・バイデン氏

 このことはトランプ再選を阻むためのやむを得ない代償だったかもしれない。しかしそれでも大統領になった以上、バイデンは自己を変え、もう少し変革型な大統領に変わり、主導して欲しいものだ。

 ギャラップ調査によれば、6月のバイデン支持率は41%だった。最高は政権発足前後で、それでも57%である。

 11月の中間選挙まで後4カ月を残すのみとなった。有権者の間には、外交に加え、経済が大きなイシューになっていると思われる。外交での果敢な努力と同じように、経済についてもう少し果敢にやる方が良いのではないか。大統領が努力していることを国民に見せつけることが重要ではないかと思われる。

【私の論評】インフレが収拾し経済が良くならなければ、トランプ氏の大統領再選は絶対にないとは言い切れない(゚д゚)!

2024年大統領選にジョー・バイデン大統領よりもドナルド・トランプ前大統領に出馬して欲しいと思う米国人が多いですが、どちらの候補も選挙運動で広い支持が見込めていないことがポリティコの最新世論調査でわかりました。

登録済み有権者全体の中で、バイデンが「間違いなく」または「おそらく」出馬すべきとしたのが29パーセントだったのに対し、トランプに対しては同じ回答が35パーセントだったことが調査でわかりました。しかしながら調査ではすべてがトランプに肯定的というわけではなく、どちらの人物も2024年の出馬見込みに対する強い反対があり、約半分がどちらの出馬にも反対しています。

世論調査によるとトランプについては米国人の48パーセントが「決して」出馬すべきでないと答え、46パーセントがバイデンの出馬に対して同様に「決してすべきでない」と答えました。

トランプ前大統領に対するもう1つの懸念は、彼が2020年大統領選挙結果について「嘘をついた」と考える共和党が増えているということです。

調査を受けた登録済みの共和党のうち44パーセントは、トランプが選挙について嘘をついたと感じており、6月から7パーセント増加したことが調査でわかりました。これは1月6日委員会の公聴会―それぞれの調査の間に実施されました―によるものである可能性もあり、それがあの日の襲撃についての国民の理解を再形成したとポリティコのニュースレターは推測を述べました。

全有権者の中で66パーセントは、トランプが「選挙は不正だったと証拠なしに述べた」と感じたことが調査でわかりました。

しかしながら依然としてトランプは共和党の大統領予備選挙の予測では先頭に立っており、今選挙を行えばトランプが登録済みの共和党の52パーセントの票を集めることが調査でわかりました。フロリダ州のロン・デサンティス知事は共和党予備選挙で21パーセントの票を得て2位となるという結果です。

世論調査は7月8日から10日までに実施され、サンプルサイズは有権者2005人だった。誤差の範囲は2パーセント。

米国の「ニューヨーク・タイムズ」紙とニューヨーク州のシエナ大学が7月11日、2024年大統領選挙などに関する世論調査結果を発表しました。

それによると、2024年の大統領選挙が今日行われたら、誰に投票するかという問いに対して、ジョー・バイデン大統領が44%、ドナルド・トランプ前大統領が41%で、バイデン氏が3ポイント上回りました。

一方で、民主党は候補者としてバイデン氏を再指名すべきか、もしくは別の候補者にすべきかという問いには、「バイデン氏以外の候補者」が64%と大多数を占め、「バイデン氏」は26%と3割を下回りました。

その理由として、「年齢」33%、「仕事ぶり」32%、「誰か新しい候補者を望む」12%、「進歩が十分でない」10%などが挙がった。バイデン氏の大統領としての仕事ぶりに対する支持率は33%(「強く賛同する」13%、「やや賛同する」20%)にとどまりました。

米国が現在直面する最も重要な問題としては、「経済」20%、「インフレ・生活費」15%、「民主主義の状況・政治的分断」11%、「銃に関する政策」10%、「中絶・女性の権利」5%が上位を占めました。

米紙ニューヨーク・タイムズが12日公表した世論調査結果によると、共和党支持層で2024年の大統領選候補としてトランプ前大統領がふさわしいと回答した人が49%に上り、2位以下を圧倒した。党内でトランプ氏の人気が依然として高いことを裏付けました。

5~7日に共和党支持者350人を対象に行われた調査では、過激な言動で知られ「ミニ・トランプ」ともあだ名される南部フロリダ州のデサンティス知事が25%で2位。クルーズ上院議員が7%、ペンス前副大統領とヘイリー元国連大使がそれぞれ6%、ポンペオ前国務長官が2%で続きました。

一方、共和党支持層の中でも若者や高学歴の人には「トランプ離れ」の傾向も見られた。トランプ氏と回答した人を年齢別に見ると、45~64歳で53%だったのに対し、18~29歳では41%。最終学歴が大卒未満の人では58%に上ったが、大卒以上では28%にとどまりました。

次の米大統領選挙は2024年ですから、どうなるかは今のところ未知数ですが、現時点ではトランプ氏が再選される可能性もあるということです。そうして、トランプ、バイデンの再対決ということになれば、トランプのほうが若干有利なようです。

ただ、やはり中間選挙の結果をみないとなんともいないところがあります。

中間選挙は、議会や各候補への評価だけでなく、現職大統領の2年間の政策への「信任投票」の意味合いがあるからです。任期2年の下院は全435議席、任期が6年の上院は全100議席のうち3分の1が改選の対象となります。


上院選で争う35議席のうち民主党の現有議席は14、共和党は21です。上院は両党の議席が50ずつで拮抗しており、民主党が1議席でも減らせばバイデン政権は法案や意中の人事案を通すのに共和党の協力が欠かせなくなります。中間選挙は政権与党に厳しい目が向けられ、大統領選で勝った政党が議席を減らす場合が多いです。オバマ元大統領の民主党は2010年、14年に上下院とも議席を減らしました。

大統領選と同時に実施される議会選挙に比べ、有権者の関心が低いため大統領選よりも低投票率になりやすいです。一方、2年後の大統領選に向けて各州の有権者の動向を探る試金石として注目されています。

ギャラップが5月2日から22日にかけて米国の成人1007人を対象に行った世論調査で、バイデン大統領の支持率は41%でした。また、議会の支持率は18%、経済を前向きに評価する人の割合はわずか14%でしたた。

これらの数値はすべて、1974年以降の中間選挙の年の平均を10ポイント以上下回っていました。バイデン大統領の支持率(41%)は、2018年のトランプ前大統領と同率で、2006年のジョージ・W・ブッシュ前大統領(38%)をわずかに上回りました。

ギャラップのデータは、今年の中間選挙で民主党が議席を減らす可能性が高く、このような低い評価が続けば通常より多くの議席を失うことを示唆しました。

1974年以降のデータで、中間選挙で大統領の所属政党が失う議席数の平均は23議席とされています。この数字は、大統領や議会の支持率に応じて変動し、共和党はトランプ前大統領の支持率が41%だった2018年に40議席を失いました。一方、民主党は、オバマ前大統領の支持率が45%だった2010年に63議席を失いました。オバマの支持率は現状のバイデンよりも高かったのですが、議会の支持率は21%で、31%が経済を否定的に捉えていました。

ここで気になるのは、中間選挙における民主党の動向です。共和党は下院で5議席、拮抗状態にある上院では1議席を獲得すれば議会の支配権を獲得できます。ギャラップは、現在の傾向から中間選挙が共和党に勝利をもたらす可能性があると予測しています。

民主党が11月までにどのように巻き返しを図れるかを考えた場合、例えば、最高裁は今後の数週間で「ロー対ウェイド判決」(1973年に下された妊娠中絶の権利を認める判決)を覆し、各州に中絶を禁止させる判決を出しましたが、この動きは人々の投票を促し、民主党の追い風になるでしょう。また、ギャラップによると、一連の銃乱射事件をきっかけに高まった銃規制をめぐる議論も、中間選挙に重要な役割を果たす可能性があります。

連邦最高裁前で抗議する中絶反対派と女性の選択権支持派(6月23日、米ワシントン)

ただ、いまのところ民主党に有利な動きはこれくらいなものです。私自身は、バイデンが上の記事で主張しているように、左派との「対決」姿勢を見せたからといってそれだけでは情勢は変わらないと思います。

よほどのことがない限り、民主党は中間選挙で大敗するでしょう。そうすると、トランプの大統領再選への目がでてくることにはなりますが、これも今の時点では、まだ見えないことが多すぎです。

ただ一つ言えるのは、トランプ氏の大統領再選は絶対にないとは言い切れないということです。

特に、今後インフレが収束せずに、中間選挙になれば民主党はボロ負けして、共和党が躍進するでしょう。そうして、これはサマーズ氏も予告しているのですが、2024年の大統領選挙の頃に、インフレが継続していれば、トランプ氏が再選される可能性が高まります。

私としては、2024年にインフレが収拾するだけではなく、経済がある程度回復していなければ、トランプ再選の可能性は高まるものと思います。

特に日々利用する、ガソリン価格をはじめとするエネルギー価格に対して米国人は敏感です。他に成果があったにしても、エネルギー価格が高騰している限り、民主党は中間選挙で敗北し、バイデンの大統領再選の道は険しく、トランプ再選の可能性は高まることになるでしょう。

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2022年7月12日火曜日

安倍氏死去/頼副総統、安倍元首相の葬儀に参列 今夜帰国/台湾―【私の論評】安倍元首相がなぜ世界から称賛されるのか、その本質を理解する人こそ安倍晋三氏の遺志を引き継ぐ人(゚д゚)!

安倍氏死去/頼副総統、安倍元首相の葬儀に参列 今夜帰国/台湾

安倍元首相の葬儀への参列を終え、会場の増上寺を後にする頼副総統

 安倍晋三元首相の弔問のために訪日している頼清徳(らいせいとく)副総統は12日、東京・港区の増上寺で営まれた葬儀に参列した。頼氏は同日夜に台湾に戻る予定。

 頼氏を乗せた車は12日午後0時34分ごろ、増上寺に到着した。葬儀は安倍氏の近親者らで執り行われた。頼氏は葬儀への参列を終えた後、同午後に帰国の途に就くとみられる。

【私の論評】安倍元首相がなぜ世界から称賛されるのか、その本質を理解する人こそ安倍晋三氏の遺志を引き継ぐ人(゚д゚)!

安倍元総理を悼み 台湾・蔡英文総統が台北市内の特設会場に弔問

蔡英文総統は11日朝、日本台湾交流協会台北事務所(台北市松山区。台湾における日本大使館に相当)を弔問に訪れ、亡くなった安倍晋三元首相の遺影に花を手向けました。

蔡総統は日本台湾交流協会に到着後、安倍元首相の遺影前で献花を行い、深々とお辞儀をした。また、色紙(写真下)に「台湾の永遠の良き友へ。台日友好と世界の民主主義、自由、人権、平和のために尽くしたあなたの貢献に感謝します」としたためました。


現在時代が動き、世界の秩序が変わろとしています。そうして、この現在を作ったのは米国でも英国でもロシアでも独仏でも中国でもありません。「アジアの民主的安全保障ダイヤモンド」を10年前に英語で発表した、安倍晋三氏という傑出した政治家に他ならないのです。

「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」は、2012年の第2次安倍政権発足直後、首相名で発表されたチェコ・プラハに所在地がある言論サイト「ブロジェクト・シンジケート」の英文の論文「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想が最初でした。中国の台頭に対抗することを念頭に置いて、インド、ASEAN、オーストラリア、アメリカ、それに英国、フランスまでが加わる日本発の安全保障構想です。


米国はこの構想に基づいて、ハワイに本拠を多く太平洋軍の名称を「インド太平洋軍」と改称し、インド軍、自衛隊、オーストラリア軍などが加わる軍事訓練を重ねています。

これが2012年暮れに公開されているということに注目していただきたいです。この時点で中国に対してここまで懸念を抱いていた世界のリーダーは、先進国中では当時の安倍総裁(当時は総理大臣になる直前)のみだったと思います。

そうして、これを念頭に当時の安倍総理は、外交、安全保障、経済でも改革をしようとし、実際にできたもの、積み残したものもありますが、インド太平洋戦略を現実のものにしたことは、大きな功績です。優れた構想をだすだけ、あるはすでに確立された構想を実現する人は過去にも多数いたと思いますが、その両方を実現した人は稀です。

中国は、以前は日本を見下していました。実際に、1994 年中国の当時の李鵬首相が、オーストラリアを訪問した時に、当時の オーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって 「い まの日本の繁栄は一時的なものであだ花です。 その繁栄を創ってきた世代の日本人がもう すぐこの世からいなくなりますから、20 年もしたら国として存在していないのではないで しょうか。 中国か韓国、 あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれません」 という 発言をしました。

ところが安倍政権が誕生して以降、気がつけば日本が中国包囲網の中心になっていたのです。 安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の場で提唱してから5年以上が経過し、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきています。

当時の安倍首相がこの構想を出したとき、中国はほとんど気にしていませんでした。しかし、その枠組みが目の前にでき上がってしまったということが、彼らの誤算でした。しかも「AUKUS(オーカス)」、「ファイブ・アイズ」という2つ枠組みがあり、アジアのなかでは日本だけが枠組みの一部に入るような事態も招いたともいえます。

しかし、習近平政権がこの数年間、戦狼外交や覇権主義戦略を進めた結果、このようなことを招いてしまったということに彼らは気が付いていなようです。

ジョー・バイデン米大統領は5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、「台湾防衛への軍事的関与」を明言しました。この発言は失言なのか、それとも意図的なものなのか、現在でも論争の的になっています。

これには、この直前に公表された安倍論文が関係しているのではないかと言う有力な説があります。

これについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事より以下に一部を引用します。

米国においては、もはや中国に対峙する姿勢は、上下左右から支持され、米国の意思となったといって過言ではありません。現在米国では中国に融和的発言をすれば、米国に対する裏切り行為だと指弾されかねません。

台湾を巡っても、中国に融和的な発言をすれば、ウクライナ侵攻直前にロシアのウクライナ侵攻に米軍を派遣することはないと名言したときのように、大反発をくらい、それこそ中間選挙では大敗確実になるのでしょう。

そうしてこれには、4月12日にチェコ・プラハに所在地がある言論サイト「ブロジェクト・シンジケート」に安倍元総理が発表した、米国は台湾防衛に曖昧戦略はやめよと主張した英語論文の影響もあることでしょう。


同論文は瞬く間に反響を呼び、「ロサンゼルス・タイムズ」や仏紙「ルモンド」など、米国をはじめ30カ国・地域近くのメディアで掲載されました。

同論文では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を台湾有事と重ねたうえで、米国がこれまで続けてきた「曖昧戦略」を改め、中国が台湾を侵攻した場合に防衛の意思を明確にすべきだと主張しています。

1979年、米国は中国と国交を結んで台湾と断交し、台湾に防御兵器を提供することを定めた「台湾関係法」を制定しました。しかし、中国が台湾へ軍事侵攻した場合、米国が軍事介入するかどうかについては明らかになっていません。安倍氏は、この「曖昧戦略」を見直すべきだと主張しています。

まさに、この論文は、世界中の様々なメディアに共有され、SNSで拡散されました。なぜそこのようなことになったのかといえば、 「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想 は、その後の世界に大きな影響を与え、まさに現在の世界はこの構想の通り動いているからです。

そのような論文を書いた、安倍氏がまた論文を掲載して、 米国は台湾防衛に曖昧戦略はやめよと主張しているわけですから、バイデン大統領も「米国はこれからも曖昧戦略を継続する」と、はっきりとは言いづらかったのだと思います。

そうして、世界の多くの人は、また安倍氏の論文が世界のスタンダートになっていくだろうと見ていると思います。

ところが、日本ではこうした現在世界のスタンダードとなっている考え方を記した安倍論文のことをマスコミはほとんど報道しませんでした。 また、それに向かって国内外で着々と努力を積み重ねていったこともほとんど報道しませんでした。

林外相は閣議後の記者会見で、これまで259の国や地域、機関から1700件以上寄せられていることを明らかにしました。

林外相は「多数のメッセージが寄せられていることを受けて、改めて外交に残された大きな足跡を感じている」と語りました。

また、林外相は「安倍元首相は地球儀を俯瞰する外交を実践し、多大なる功績を残された。積極的な首脳外交を展開し、各国地域と良好な関係を築かれた」と述べた上で、哀悼の意を表しました。

林外相は残念ながら、安倍元首相の本当の外交の成果をしっかりと認識していません。安倍首相は地球儀外交をして、各国地域と良好な関係を築いたから、称賛されているのではありません。

「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想を公表し、公表しただけでなく、本当に世界がこの構想通りになるように国内外で行動し、今日インド太平洋地域の構造を作り上げたからこそ、称賛されているのです。これを一言も語らないというか語れないのが、認識していない証拠です。

この本質を理解する人こそ、政治家であろうがなかろうが、どのような立場や地位にいようが、年齢や性別に関わらず、安倍晋三氏の遺志を引き継ぐ人であると私は思います。安倍元総理の論文がマスコミに報道されず、日本国内ではほとんど目立たかなかったのと同じく、こういう人たちも今は目立たないでしょうが、しかしこういう人たちが、さらにこれを理解する人たちを増やし、日本を変える原動力になっていくのは間違いないと思います。

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