2025年3月15日土曜日

もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」―【私の論評】トランプの危機感と日本の誤読:5年後の台湾有事を米海軍の現実から考える

もう海軍力で中国にはかなわない…!危機感を募らせるトランプが、プーチンにおもねってでもウクライナ和平を急ぐ「深刻な理由」

まとめ
  • 中国の海軍力増強とトランプの危機感:中国の造船業が世界シェア7割を占め、2030年までに艦船460隻を目指す中、米海軍は260隻に減少し、東シナ海・南シナ海での中国の優位性にトランプが危機感を抱いている。
  • トランプの造船業復活策:MAGA戦略に基づき、造船局新設や中国製船舶への高額入港料(1回100万ドル)を提案し、アメリカの製造業・国防基盤の強化を目指す。
  • ウクライナ戦争と米国防力の衰退:西側がロシアを抑えきれず、バイデン政権下で国防予算が実質削減され、アメリカはウクライナ支援と中国抑止の両立能力を失いつつある。
  • コルビーのリアリスト戦略:トランプ政権はエルブリッジ・コルビーを起用し、ウクライナ支援を欧州に委ね、中国の台湾侵略阻止を優先。日本には対中強化を求める。
  • ロシアの疲弊と停戦可能性:ロシアは戦争で経済・軍事的に疲弊し、トランプは「マッドマン戦略」で停戦を誘導しつつ、国力を中国対応に集中させる狙い。
トランプはマッドマンなのか?

近年、中国の海軍力が急速に増強される中、トランプ前大統領はその軍事戦略において、独特の「マッドマン戦略」を展開している。この戦略は一見狂気を装うような大胆な動きに見えるが、その裏には中国との軍事バランスが崩れつつある現状への強い危機感がある。とりわけ、米中の製造業や造船業における力の差が、トランプの懸念の中心にある。

中国は現在、世界の造船業のシェアの約7割を握り、その圧倒的な生産能力を背景に、中国海軍の艦船数を2030年までに460隻にまで増強する計画が予測されている。一方、アメリカ海軍は現状のままでは艦船数が260隻にまで減少する見込みであり、しかも米軍の艦船が世界各地に分散しているのに対し、中国は東シナ海や南シナ海にほぼ集中的に展開している。この限られた地域での優位性が中国に傾きつつあり、その傾向は今後もさらに強まると考えられる。老朽化した米軍艦船が退役する一方で、中国の艦船が充実していくのは想像に難くない現実だ。

この危機感から、トランプはMAGA(Make America Great Again)戦略の一環として、アメリカの製造業復活を強く掲げ、特に国防を支える造船業の強化に注力している。例えば、ホワイトハウス内に造船局を新設する計画を発表し、民間と軍用の造船能力を再構築する方針を示した。さらに驚くべきことに、米通商代表部(USTR)は中国製の船舶がアメリカの港を利用する際に、1回あたり100万ドル(約1.5億円)の入港料を課す案を公表した。

ここで注目すべきは、対象が「中国籍の船」ではなく「中国製の船」である点だ。これは極めて異例かつ大胆な政策で、船舶が長期間使用される性質を考えると、中国製船舶の所有者にとって事実上の入港禁止とも言える打撃となる。中国製船舶は世界中に所有者が存在するため、この政策は国際的な反発を招く可能性が高い。それでもトランプ政権は、中国に造船業が集中する現状を打破する必要性を真剣に捉えているのだ。

一方、ウクライナ戦争の状況も、トランプの戦略に影響を与えている。西側諸国はロシアの軍事侵攻を阻止できず、核の脅しに怯えながらウクライナへの支援を中途半端に留めた結果、戦争を長引かせ、ウクライナを疲弊させるだけに終わった。さらにバイデン政権下では、アメリカの国防力が大幅に削減された。

ウォール・ストリート・ジャーナルの2024年3月13日の社説によれば、バイデン大統領が2025会計年度に提案した国防予算8500億ドルは、前年度比わずか1%増に過ぎず、インフレ調整後では実質マイナスとなる。これが4年連続で続き、軍事予算の縮小と武器在庫の枯渇が進んだ。この結果、アメリカはウクライナ支援を続ける一方で、中国の台湾侵略を抑止する力を失いつつある。

トランプ政権の国防戦略を理論的に支えるのは、リアリストとして知られる戦略家エルブリッジ・コルビーだ。彼は、アメリカの現在の国防力では中国の台湾侵略を抑止するのも困難だと見ており、台湾にGDPの10%、日本に3%の国防費を求めるなど、現実的な危機意識を示している。コルビーは、ウクライナ支援に注力するよりも、中国への対抗を優先すべきだと主張し、「アメリカはすでにウクライナに1700億ドルと大量の武器を提供した。今後は欧州が負担すべきだ」と述べている。また、日本に対しては、ウクライナ支援に集中するのではなく、中国の長期的な脅威に備えるべきだと批判的な見解を示す。

ロシア側もウクライナ戦争で疲弊しており、装甲車両の損失や経済的な歪みから、停戦に応じる可能性がある。トランプはこれを見越し、停戦を最優先事項に掲げ、ロシアを交渉のテーブルに引き込むための「ロシア寄り」の発言を戦略的に用いたとされる。しかし、ウクライナが求める主権と独立を守る条件と、ロシアの要求が一致する保証はない。

それでもトランプの最終目標は、アメリカの国力を中国対応に集中させることであり、そのためには欧州がウクライナ支援の負担を引き受ける意識変革が必要だ。こうした状況下で、トランプのマッドマン戦略は、欧州を揺さぶりつつ現実的な力の再配分を目指すものだ。

朝香 豊(経済評論家)

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】トランプの危機感と日本の誤読:5年後の台湾有事を米海軍の現実から考える

上の浅香氏の見解に近い話を、このブログで既にぶち上げている。そのリンクを以下に掲載する。
詳しい話はこの記事を読んでいただくものとして、結論部分だけをここに掲載する。
現在のアメリカ海軍の戦闘艦艇数は中国の半分以下だ。トランプはこれを変えようとしたが、バイデンでは動かなかった。でも、単純に数だけ比べても意味はない。中国は小型艦艇を大量に抱え、アメリカは持たない。それに海戦の主役は潜水艦だ。水上艦はミサイルや魚雷の的でしかない。対潜戦の力が勝負を決める。中国の対潜戦能力はアメリカに遠く及ばない。アメリカは攻撃型原潜を50隻、中国は6~7隻だ。さらに、攻撃能力でも米国には及ばない。
オハイオ型原潜のミサイル発射ハッチを全開した写真 人との対比でみるとその巨大さがわかる
だが、アメリカには弱点もある。太平洋と大西洋に戦力を割かねばならない。2023年10月、ハマスとイスラエルの衝突で、USSジェラルド・R・フォードが東地中海へ飛び、2024年初頭にUSSアイゼンハワーが紅海へ、2025年2月にはUSSトルーマンがフーシー派を睨んでジェッダ沖に現れた。中国が世界中で動けば、アメリカは全てに対応できない。中国が台湾を「ハイブリッド戦争」と武力で押し潰そうとするなら、台湾は核を持つしかなくなる。核がない今、中国の物量と核戦力に最後の切り札がないからだ。 
結局、台湾問題は理念では動かない。現実の力が動かす。アメリカ以外の国が軍事力を強化し、中国が世界で暴れても対抗できるようにしないと、台湾は飲み込まれ、世界は中国の都合に塗り替えられるかもしれない。

だからトランプは各国に軍事費を増やせと叫ぶ。ウクライナはEUに任せろと言うのも同理屈だ。アメリカの現実を見れば、これは単なる「アメリカ第一主義」ではない。しかし、現状では中国が今すぐ台湾に侵攻するのは難しい。だから両者とも理念を振りかざす。理念が薄れ、力が静かに動き出す時が真の危機だ。
これが米海軍の今だ。台湾有事を騒ぐ識者が多いが、私は数年はないと見ている。米海軍が圧倒的で、台湾は天然の要塞だ。ルトワックの語る軍事的なパラドックス「大国は小国に勝てない」も効いている。ルトワックは、台湾有事には米国は強力な攻撃型原潜を2、3隻派遣すれば対処できると断言している。が、5年後はどうだ。
米国の最も代表的といえるイージス艦、アーレイ・バーク級は起工から進水まで2~3年、進水から就役まで1~2年、合計3~5年だ。これも米国の潜水艦として最も代表的といえる攻撃型原潜のバージニア級は起工から進水まで3~4年、進水から就役まで2~3年、合計5~7年だ。今すぐ作り始めても、就役は5年後だ。造船所や予算でブレるが、これが現実だ。アーレイ・バーク級はバス鉄工所やインガルス造船所で効率よく進む。だが、バージニア級は原子炉のせいで時間がかかる。ジェネラル・ダイナミクス社でも5年未満は無理だ。無論バイデン時代の計画も続行されているが、十分ではない。

フィリピン東方海域での日米仏共同訓練「パシフィック・ステラー」

米海軍は今でも二正面作戦はキツい。5年後、中露北イランがどこかで大暴れし、中国がアジアで大規模に動いたら、おそらく米国海軍の強さ自体は継続されているだろうが、それでもこれにすべて対応するのは困難で、アメリカの圧倒的優位は怪しい。おそらく、どこかで手を抜いたり、無視せざるを得ない場合もでてくる。
日本ではトランプ叩きがうるさいが、2024年11月の選挙で米国民がトランプを選んだ事実を無視している。激戦州を制した勝利を「予想外」と片付ける。要するに支持者を舐めているのだ。
朝日新聞やNHKは「過激」と連呼し、イメージで殴りつける。アメリカのメディアは民主党寄りだ。CNNやニューヨーク・タイムズはトランプの関税を「保護主義」と叩く。2024年の世論調査は保守派の声が埋もれる構造だ。それでも日本は丸呑み。トランプ支持者の声は届かない。読売とギャラップの2024年11月調査で、日本人の63%が「不安」と言った。だが、アメリカでは55%が「期待」だ。このズレを誰も突かない。テレビでは外国人タレントがトランプを叩く。TBSで米国人コメンテーターが「時代遅れ」と吐いたが、根拠はゼロだ。 
トランプ批判で、批判されたバックン(右の人物)

日本メディアや識者はトランプの主要なブレインともいわれるアメリカ第一主義研究所(AFPI)を無視だ。取材もしない。2025年1月、AFPIは「貿易不均衡是正と産業保護」を掲げたが、日本では、「暴走」としか報じない。トランプ政策の誤読は、文脈を捨て、反トランプ派の声を大きくくし、CNNやワシントン・ポストにすがるからだ。日本では、特に2025年2月のワシントン・ポスト記事がそのまま引用されている。

日本では、トランプの関税を無根拠に叩くが、日本の米(コメ)の関税はかつて778%だたし、現在でも米国から輸入するコメにかかる関税率は、ミニマムアクセス枠内では0%、枠外ではおおよそ200~340%だ。日本はコメに対して高関税、生産調整、政府買い取りなどの保護政策を実施しており、国内農業と食料自給率を守る姿勢を堅持している。これに比較するとアメリカの25%案など可愛いものだ。

AFPIは対中不正、歳入、外交の狙いを明示している。2025年2月の首脳会談でトランプは「日米同盟は揺るぎない」とぶち上げた。なのに朝日は「圧力」と歪める。世界各地で大規模紛争が同時的に起こって、それに対処するためには各国は戦争経済に移行しなけれならなくなるかもしれない、そうなれば、米国の関税がどうのこうのという次元ではなくなる。各国は、それを想定しているのか。
 
日米メディアはトランプは「女性軽視だ」と騒ぐが、トランプはサラ・サンダースやニッキー・ヘイリーを初代政権で使い、2025年政権でも複数の女性を閣僚に据えている。日本は大東亜戦争、日米安保、ベトナム戦争で米国を見誤ってきた。今、またトランプを見誤っている。ウクライナやロシアに気を取られる連中は、米国の現実とトランプの焦りを見ていない。

浅香氏は「マッドマン戦略」と言うが、私は本音で動いていると見る。5年後の危機に備え、各国が軍事力を強化しないと、台湾も世界も中国に蹂躙される危険はリアルだ。トランプへの見方を正し、国際情勢をしっかり掴む。それが日本の急務だ。

【関連記事】

モスクワに過去最大の無人機攻撃、3人死亡 航空機の運航一時停止―【私の論評】ウクライナのモスクワ攻撃が停戦交渉を揺さぶる!核の影と日本の覚悟 2025年3月12日

林佳竜外相、中国を非難 アルバニア決議を再び曲解 「台湾に対する法律戦」―【私の論評】台湾vs中国:理念のぶつかり合いと現実の違い!林外相の正しさと核の影 2025年3月9日

トランプ大統領が「日本の消費税廃止」を要求? JEEP以外のアメ車が日本で売れない理由は「そこじゃない」―【私の論評】トランプの圧力で変わるか?都内の頑丈な鉄橋の歴史が物語る日本の財政政策の間違い 2025年3月6日

海自の護衛艦が台湾海峡を通過 単独での通過は初 中国をけん制か―【私の論評】あきづき、パシフィック・ステラー、トランプ談話が一本の糸で共鳴!インド太平洋地域の団結を誇示
2025年3月3日

「硫黄島の戦い」から80年 トランプ大統領が談話「日米同盟は平和と繁栄の礎となった」―【私の論評】トランプのゼレンスキー塩対応と硫黄島80周年談話の驚くべき連動を解き明かす
2025年2月20日

2025年3月14日金曜日

石破首相、商品券配布「初めてではない」 法に抵触しない認識―【私の論評】石破首相、1000万円商品券問題で政権崩壊の危機?法的・倫理的問題が浮上

石破首相、商品券配布「初めてではない」 法に抵触しない認識

まとめ
  • 石破茂首相、自民党衆院1期生に10万円分の商品券を配布したが、会食のお土産として、自身のポケットマネーで用意政治活動とは異なる次元のものと強調、過去にも同様の行為あったとした。
  • 謝罪の意を表明しつつも、法的な問題はなしとの認識を示し、政治資金規正法や公職選挙法に抵触しないと主張した。


 石破茂首相は13日夜、自民党衆院1期生との会食に際し、自身の事務所が1期生側に1人10万円分の商品券を配っていたことを認めたうえで、「会食のお土産代わりに、ご家族へのねぎらいなどの観点から、私自身のポケットマネーで用意したものだ」と述べた。政治資金規正法や公職選挙法には抵触しないとの認識を示した。「大勢の皆様方にいろいろとご心配をおかけして、いろんな思いを持たせていることについては大変申し訳ないと思っている」とも述べた。首相公邸で記者団に語った。

 また首相は、過去にも会食に際し、今回と同様に商品券を配布したことがあると認めた。記者団に「ありがとうという趣旨でお渡ししたことはある。(初めて)ではない」と述べた。

 首相は今回の商品券配布について、自らの指示で行ったと認めたうえで、「自民党総裁としてご苦労様、ありがとうということ(趣旨)だ。政治活動とは次元の異なる」と述べた。政治資金規正法は政治家の政治活動に関して個人が寄付することを禁じているが、政治活動には当たらないと強調した。

【私の論評】石破首相、1000万円商品券問題で政権崩壊の危機?法的・倫理的問題が浮上

まとめ
  • この問題が政治資金規正法に抵触する可能性があると指摘されており、特に党内関係強化のための支出が政治活動と見なされるかどうかの解釈が曖昧で、法的な線引きが明確でない状況が議論を複雑にしている
  • 石破首相の年収が約2200万円であるのに対し、1000万円を私費で賄うのは貯蓄があれば可能かもしれないが、国民からはその金額が巨額に映り、ポケットマネーで対応することへの不信感や、資金源の透明性に対する疑念が広がっている。
  • 政治の場では高い透明性が求められるにもかかわらず、商品券という贈り物が公衆の信頼を損なう行為と見なされ、過去の政治家による類似の事例を振り返っても、倫理的な批判が強まるのは避けられない状況だ。
  • 国会での野党による追及や第三者機関による調査が進めば、支持率の低下のみならず党内結束の弱体化を引き起こし、石破政権の安定性が大きく揺らぐ危険性が高まり、政権運営に深刻な打撃を与える可能性がある。 現時点で法的な違反が明確でないとしても、倫理的な批判と国民の信頼喪失が重なり、政権のイメージが著しく悪化する中で、石破政権が崩壊寸前に追い込まれる可能性が高く、今後の政局にも大きな波紋を広げるだろう。


石破茂首相が自民党衆院1期生に10万円分の商品券を配った話が、いま世間を騒がせている。首相は「個人的なねぎらいだ」と言い張り、自分のポケットマネーで賄ったと主張する。だが、この説明に納得する国民は少ない。政治資金規正法に引っかかるのか、1000万円もの大金を私費で出せるのか、倫理的にどうなのか、政治にどんな影響を及ぼすのか。疑問は尽きない。

この一件は、石破政権が終わりを迎えつつあることを示しているのではないか。そう考える向きも多い。問題の核心はシンプルだ。商品券を配った行為が、ルール違反ではないとしても、国民の信頼を裏切り、政権の足元を揺るがしている。ここから、その真相を法的な面、財政的な面、倫理的な面、政治的な面から切り込んでいく。

まず、法的な話をしよう。政治資金規正法は、政治活動に関わる寄付を規制している。政治活動とは、選挙への影響や党の支援、政策の推進のことだ。石破首相は商品券を「会食のお土産」や「家族への感謝」と言い訳する。政治とは無関係だと強調したいらしい。だが、党内の結束を強める意図があったと見られれば、法に触れる可能性が出てくる。法律の解釈は曖昧で、専門家の間でも意見が割れている。


過去の例を見てみよう。2019年、ある閣僚が有権者にメロンやカニを贈って公職選挙法違反で辞任した。今回は受け取ったのが同僚議員だから、前例がない分、判断が難しい。違法か合法か、はっきりしないグレーゾーンだ。

次に、金の話だ。石破首相の年収は約2200万円と言われている。100人分の商品券で総額1000万円。年収の半分近くを一気に使う計算になる。長年の議員活動や本の収入で貯金があれば、不可能ではない。日本の政治家は資産公開で数千万円を持っているケースも珍しくない。首相ともなれば生活費の負担も少ないから、なおさらだ。だが、国民からすれば、「ポケットマネーで1000万円」と聞いてピンとこない。なぜ公的資金を使わず私費にこだわったのか。その裏に何があるのか。疑いの目が向けられているのは当然だ。

倫理の観点はどうか。日本では贈り物が社交の習慣としてある。だが、政治の場では透明性が何より大事だ。2014年、自民党議員が派閥の若手に現金を配ったことがあった。法的には罰せられなかったが、国民の信頼を失った。石破首相の行為も、違法でなくてもイメージは悪くなる。特に、いま政治資金の透明性を求める声が強い中で、こんな行動は火に油を注ぐ。倫理的にグレーな行為が、政治家としての評価を下げる危険がある。

大量の札束を持っている石破首相 AI生成画像

政治的な影響も見逃せない。2025年3月14日時点で、この問題は大注目されている。国会で追及されたり、第三者機関が調査に乗り出したりするかもしれない。過去のスキャンダルが政権を揺るがした例はいくらでもある。石破首相の低い支持率がさらに落ちたり、党内がバラバラになったりする恐れは十分だ。政権の安定が崩れれば、終わりは近い。この一件がどう転ぶか。今後の焦点になる。

結局、石破茂首相の商品券配布は、法的に白黒つけにくい問題だ。政治活動と個人的な行為の線引きが曖昧で、国民の目には怪しく映る。金銭的には出せなくもないが、なぜそうしたのか説明が足りない。

倫理的には批判を浴びやすく、政治的には政権の弱体化を招く恐れがある。この騒動は、日本の政治に求められる透明性と慣習のぶつかり合いを浮き彫りにした。石破政権の支持率が下がり、党内での信頼が崩れれば、終わりは見えている。過去のスキャンダルがそうだったように、この問題も政権に大きな影を落とす。危機は増すばかりだ。石破茂は、この難局を乗り切れるのか。それとも、ここで終わるのか。答えは時間だけが知っている。

【関連記事】

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前―【私の論評】政治家が操られた背景:不倶戴天の敵財務省には党派を超えた協働を! 2025年3月10日

海自の護衛艦が台湾海峡を通過 単独での通過は初 中国をけん制か―【私の論評】あきづき、パシフィック・ステラー、トランプ談話が一本の糸で共鳴!インド太平洋地域の団結を誇示 2025年3月3日

能動的サイバー防御、台湾有事も念頭に「官民連携」など3本柱 首相命令で自衛隊が対処も―【私の論評】安倍政権のサイバー防衛戦略は継承したが、アベノミックス・憲法改正推進の継承できない石破政権 2025年2月23日

夫婦別姓、党議拘束は必要 自民幹事長、法案採決時―【私の論評】党議拘束が引き起こす自民党内の激震と保守派が採用すべき反撃戦術 2025年1月23日

石破氏、自民党内でこれだけ嫌われるワケ 「後ろから鉄砲を撃つ」「裏切り者」「言行不一致」―【私の論評】石破氏だけは、絶対に日本の総理大臣にしてはいけないその理由 2020年9月1日

2025年3月13日木曜日

多様性尊重へ 札幌市「共生条例案」 賛否の声 市長が条例化の意義述べる 来月施行目指し採決へ―【私の論評】札幌市共生条例は時代遅れ!多様性の幻想を捨て去り真の誇りを取り戻せ

多様性尊重へ 札幌市「共生条例案」 賛否の声 市長が条例化の意義述べる 来月施行目指し採決へ

まとめ
  • 札幌市が「共生のまちづくり条例」を制定し、多様性を尊重する共生社会を目指している。
  • 市民や市議からは賛否両論があり、外国人受け入れへの懸念や条例の必要性に疑問の声が上がっている。
  • 秋元市長は人権尊重と議論の基盤づくりを強調し、4月1日施行、3月28日採決を予定している。

札幌市が「共生のまちづくり条例」の制定を進めている。この条例は、年齢、障害の有無、性的指向、国籍など、さまざまな違いを尊重し、多様性を認め合う共生社会の実現を目指すものだ。市議会では賛成と反対の意見がぶつかり合い、議論が白熱している。市民からは「誰もが個性や能力を認め合い、支え合う社会を目指すなら、わざわざ条例が必要なのか」「すべての人が尊重し合い、差別や偏見のない共生社会を築いてほしい」といった声が寄せられている。

市のパブリックコメントでは、外国人受け入れによる治安悪化を心配する意見や、条例そのものに反対する声が目立った。自民党会派などの一部市議も、条例の必要性に疑問を投げかけている。3月11日の予算特別委員会で、秋元市長は「互いの立場を理解し、基本的な人権を尊重することが条例の根幹だ。議論を進める基盤をつくることが重要」と意義を強調した。条例は4月1日の施行を目標に掲げており、3月28日の市議会定例会最終日で採決される予定だ。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】札幌市共生条例は時代遅れ!多様性の幻想を捨て去り真の誇りを取り戻せ

まとめ
  • 日本国憲法や法律で人権は保障されているが、札幌市は共生条例で特定の集団(アイヌ、LGBTQ+、外国人)を強調し、アイデンティティ政治の一環ともみられる条例をせいていしようとしている。
  • 市民意見募集では97%が反対「不公平」「分断を助長」と批判された。秋元市長は五輪招致のため「多様性ある国際都市」を目指し、「普遍的な共生が目標だ」とも主張する
  • 米国や欧州では多様性推進(DEI)に反発が強まり、2023年の米最高裁判決や企業の方針後退、2024年の欧州右派躍進が例。SDGsや多様性は「オワコン」とされる。
  • 札幌の誇りは豪雪に耐える精神や開拓の歴史、市民の結束力であり、多様性より現実的課題(雪対策、インフラ、過疎化)が優先されるべきだ。
  • 多様性を推すと市民や国際社会から敬遠され、オリンピック開催が遠のくリスクがある。札幌は多様性の旗振りではなく、札幌市民の真の誇りを打ち出し、他自治体の手本となるべきだ。
憲法で定められた基本的人権

日本国憲法では基本的人権が保障されている。第11条で基本的人権の享有、第13条で幸福追求権、第14条で法の下の平等が定められている。民法や刑法、労働基準法などでも差別や人権侵害に対処する仕組みがある。

それでも札幌市が共生条例をつくるのは、地域の実情に合わせた具体策が必要だからというのが建前だ。だが、これはアイデンティティ政治と結びついている可能性がある。

アイデンティティ政治とは、特定の集団のアイデンティティを強調し、その権利や利益を主張する動きだ。民族、性別、性的指向、障害などが対象になる。アメリカの後期公民権運動や後期フェミニズムが起源だ。これらの運動も初期には、個々の集団の権利ではなく普遍的平等を目指していた。日本では明確ではないが、マイノリティ向けの政策が増えている。札幌市の共生条例はアイヌ民族、LGBTQ+、外国人に焦点を当てている。普遍的な人権保障を超えた主張と見られる理由だ。

札幌市の条例案では特定の集団が繰り返し出てくる。「アイヌ文化の振興」や「性的少数者の理解促進」が具体策としてある。憲法が「すべての人」を対象にするのに対し、特定の集団に特化している。

2024年11月の市民意見募集では2,000件以上の意見が寄せられた。97%が反対だった。「特定のグループを優遇するのは不公平だ」「分断を助長する」との声が多い。アイヌ政策は国の「アイヌ施策推進法」と連動している。アイヌを先住民族と認め、文化支援を強化する。

2023年の説明会では「なぜアイヌだけ特別なのか」との質問が出た。市の回答が曖昧だった。LGBTQ+支援も目立つ。2017年にパートナーシップ宣誓制度を導入した。「異性愛者への配慮が薄い」「性的指向を政治化している」と批判もある。Xでは「LGBTQ+を特別扱いしすぎ」との投稿が見られる。

政治的意図もあるかもしれない。秋元市長は2030年冬季オリンピック招致を進めている。「多様性を尊重する国際都市」を打ち出している。共生条例はその戦略の一環だ。グローバルな潮流も影響している。SDGsやESGでは多様性が求められている。「進歩的」と評価される狙いがあるようだ。

一方で札幌市は「普遍的な共生が目標だ」と主張する。条例案には「すべての人が尊重し合う」とある。特定集団への優遇ではないと言う。現行法ではカバーしきれない地域課題への対応が必要だ。アイヌ文化の衰退や外国人住民の増加が例だ。だが、反対意見や特定集団への焦点が多いため、アイデンティティ政治的な印象を与えている。2025年3月時点で審議中だ。

札幌市共生条例がアイデンティティ政治の一環である可能性は高い。特定の集団を強調する内容、市民の反応、政治的背景が根拠だ。パブリックコメントの反対多数、アイヌやLGBTQ+への特化、説明会での議論、X上の批判が証拠だ。

昨年札幌で開催されたレインボー・プライドのイベント

最近の米国やヨーロッパの傾向を見ると、「多様性を尊重する国際都市」というコンセプトが周回遅れになる可能性が高い。米国では2020年代に入り、多様性推進(DEI)への反発が強まっている。2023年、米最高裁が大学入試でのアファーマティブ・アクションを違憲と判断した。ハーバード大学やノースカロライナ大学で人種を考慮した入学が禁止された。

企業ではフォーチュン500社の多くが2024年にDEI担当役員を削減した。「コスト削減」と「政治的中立への回帰」が理由だ。Xでは「DEIは逆差別を生む」との投稿が散見される。テキサス州では2023年に州法で公立大学でのDEIプログラムが禁止された。ディズニーやウォルマートが多様性方針を後退させた事例もある。

ヨーロッパではフランスのマクロン大統領が2021年に「覚醒主義」を批判した。2024年の欧州議会選挙で右派政党が躍進した。オランダでは2023年に右派の自由党が勝利し、「多様性より統合」を掲げた。スウェーデンでは2022年に中道右派政権が誕生した。英国でも多文化主義への疑問が再燃している。フロリダ州の2023年「反覚醒法」やデンマークの難民移送政策が例だ。

SDGsや多様性はすでに「オワコン(終わったコンテンツ)」だ。SDGsは企業にコストを押し付けるだけの偽善だ。単に「訓たれたい人」のための玩具に過ぎない。多様性は社会の分断を招く時代遅れの幻想にすぎない。現状のグローバル企業のDEI撤退や欧州の右派台頭をみれば、世界はもう根拠の曖昧な甘い夢を見ていない。

多くの人々は、企業に多様性より品質や安全性を求めており、常識的な世界に戻りつつある。サンフランシスコは多様性を掲げたが、治安悪化で住民が離れた。札幌市が共生条例で多様性を推すと、市民や他都市から敬遠されるリスクがある。共生を主張すると逆に札幌でオリンピックが開催できなくなる可能性が高まる。国際社会は現実主義にシフトし、多様性では響かない。理想や理念ではなく現実に戻るべきである。

以上の背景を踏まえ、札幌市はどうすべきか。札幌市よ、目を覚ませ。世界はもう多様性の美辞麗句に酔ってなどいない。米国も欧州も、根拠が曖昧な理想より地に足のついた現実を選び始めている。札幌市が掲げる「国際都市」の看板は、時代に取り残された古臭い幻想だ。

市民の97%が反対しているのに、無理やり条例を押し通すのは傲慢以外の何物でもない。アイデンティティ政治に踊らされ、特定の集団を優遇する暇があるなら、札幌の真の課題に目を向けるべきだ。雪対策、インフラ老朽化、過疎化対応だ。それが市民の生活を支える現実的な道だ。

北海道百年記念塔の解体は、2022年(令和4年)秋ごろから始まり、2023年(令和5年)8月に終了

オリンピック招致のために見栄を張るな。札幌の誇りは多様性の旗振りではない。それは、豪雪と寒さに耐え抜く不屈の精神だ。開拓民が荒野を切り開き、札幌を日本有数の都市に育て上げた歴史だ。時計台や大通公園を生み出した文化の蓄積だ。市民が互いに助け合い、冬の厳しさを乗り越える結束力だ。

それが札幌の本物の魂だ。今からでも遅くはない、共生条例を捨て、周回遅れの「覚醒主義」を廃するべきだ。札幌の誇りを前面に打ち出せ。市民の声を聞き、実直に暮らしを守る市政を取り戻せ。そうすれば、札幌は他の地方自治体の手本となる。時代に流された多様性ごっこより、地域の魂を貫く強さが日本を救うことにもつながる。時代は待ってくれない。

【関連記事】

「ハーバード卒より配管工のほうが賢い」米国保守派の「若きカリスマ」の演説にインテリが熱狂するワケ―【私の論評】日本から学ぶべき、米国が創造すべき新たな霊性の精神文化 2025年2月16日

「多様性」メタ、マクドナルド、アマゾンが後ろ向きに パリ五輪でも波紋、日本への影響は―【私の論評】個性を尊重しながらも、共通の価値を見出し、連帯感を育む社会を目指せ 
2025年1月15日

2025年3月12日水曜日

モスクワに過去最大の無人機攻撃、3人死亡 航空機の運航一時停止―【私の論評】ウクライナのモスクワ攻撃が停戦交渉を揺さぶる!核の影と日本の覚悟

モスクワに過去最大の無人機攻撃、3人死亡 航空機の運航一時停止

まとめ
  • 攻撃概要: 2025年3月11日未明、ウクライナがモスクワに過去最大のドローン攻撃。343機使用、3人死亡、17人負傷、4空港閉鎖。
  • ロシアの反応: ロシアは91機をモスクワ州、126機をクルスク州で撃墜。外務省は協議タイミングを指摘、報復提案も。
  • 被害: 住宅7軒破壊、クルスク原子力発電所付近で撃墜、周辺空港も閉鎖だがパニックなし。

 2025年3月11日未明、ウクライナがロシアの首都モスクワに対し過去最大規模のドローン攻撃を実施した。少なくとも3人が死亡、17人が負傷し、モスクワ州では火災が発生した。モスクワの4つの主要空港全てが一時閉鎖され、運航が停止。ロシア国防省は343機のドローンを撃墜し、91機がモスクワ州上空、126機がクルスク州上空で迎撃され、クルスク原子力発電所付近でも撃墜があったと発表した。

 ロシア外務省は、この攻撃がサウジアラビアでの米国とウクライナの高官協議に合わせて行われたとし、兵器供給国に責任があると非難。モスクワ州知事は、7軒の集合住宅が破壊されたとテレグラムで報告。航空当局はモスクワとヤロスラブリ、ニジニノヴゴロドの空港を閉鎖した。モスクワ市長は攻撃の規模を過去最大と強調し、ロシア側は民間インフラへの攻撃として非難。元国防次官は新型ミサイル「オレシニク」での報復を提案した。メディアは住宅火災の動画を公開したが、モスクワ市内でパニックは見られなかった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】ウクライナのモスクワ攻撃が停戦交渉を揺さぶる!核の影と日本の覚悟

まとめ
  • 停戦交渉の進展: 3月11日、サウジアラビアで米国とウクライナが30日間の即時停戦案で合意。米国は軍事援助と情報を再開し、ロシアの同意を待つ段階に突入。
  • モスクワ攻撃の警告: ウクライナが343機のドローンでモスクワを攻撃。停戦前のロシアへの圧力と「破れば報復」のメッセージが込められている。
  • ロシア全土への脅威: モスクワ到達でウクライナの攻撃力露呈。2000km飛行可能なドローンで、シベリアもウラルも標的になり得る。
  • クルスクの核示唆: クルスク原子力発電所近くで126機撃墜。ダーティボムや核兵器を匂わせ、ロシアに心理的打撃を与えた可能性がある。
  • 日本の教訓:やり方の是非は別にして、 ウクライナの覚悟と力を日本も見習うべき。守る気概がなければ舐められるだけだ。
ウクライナとロシアの戦争終結、和平を探るためのウクライナと米国の高官協議が11日、サウジアラビア西部ジッダで始まった。
3月11日、サウジアラビアのジェッダで米国とウクライナの高官が顔を突き合わせた。米国がぶち上げた30日間の即時停戦案に、ウクライナが「乗る」と腹を決めたのだ。これを受けて米国は、ウクライナへの軍事援助と情報提供のストップを即刻解除すると宣言。共同声明で「ロシアが首を振らなきゃ平和は来ない」と言い切り、モスクワへの働きかけに動き出した。停戦はロシアが「よし」と言えば即発効、戦闘を根こそぎ止めるのが狙いだ。トランプ政権の「戦争を終わらせる」という大看板の下、交渉は今、まさにモスクワに照準を合わせている。ロシアの返事はまだ聞こえてこないが、停戦への道が一歩近づいたのは間違いない。
そんな矢先に起きたのが、ウクライナによるモスクワへのドローン攻撃だ。343機が飛び交い、モスクワの空を切り裂いたこの攻撃は、停戦を前にしたロシアへの強烈な警告だろう。ウクライナ国家安全保障防衛会議の報道官アンドリー・コバレンコが吠えた。「モスクワへの大規模攻撃は、プーチンに空での停戦が必要だと叩き込むシグナルだ」。交渉を前に、ロシアに「舐めるな」と圧をかける意図が透けて見える。過去を振り返れば、2024年8月、クルスク州でウクライナ軍がロシア領に踏み込み、38平方マイルを一時奪った。あの時も、ロシアに「本土だってやられるぞ」と見せつけた。今回のモスクワ攻撃も、停戦を破れば地獄が待っているというメッセージに違いない。
ウクライナのドローン攻撃に逃げ場のないプーチン AI生成画像

モスクワがやられたということは、ウクライナがロシア国内のいずれの地域でも攻撃力を持っている証だ。343機ものドローンがモスクワにたどり着いた現実を前に、ロシアの防空網がザルだったことがバレてしまった。2025年1月にはリュザンで石油精製所が燃え、ロシア側は121機を迎撃したと主張したにもかかわらず、火の手が上がった。2024年9月のモスクワ攻撃でも、石油精製所が炎上して民間人が死んでいる。Xでは、ウクライナのドローンが2000km飛べる上に250kgの爆弾を積めると噂が飛び交う。モスクワはキーウから600kmだが、シベリアだろうがウラルだろうが、どこでも狙えるということだ。ロシアにはもう、逃げ場はない。

クルスク原子力発電所近くでの攻撃は、もっと際どい話だ。ロシア国防省は、126機がクルスク州で落とされ、一部が発電所そばで撃ち落とされたと報告している。将来的にダーティボムや核兵器をチラつかせる狙いがあるかもしれない。2022年10月、ロシアは「ウクライナがダーティボムを作る」と騒いだが、国際機関に否定された。だが今回は、核施設のすぐ近くを狙った。

2023年10月には、クルスクの核廃棄物施設にドローンが突っ込んで、ロシアが「核テロ」と叫んだことがある。250kg積めるドローンなら、放射性物質をばらまくダーティボムはすぐに作れる。ウクライナには原発があり、プルトニウムも手に入る。長崎の原爆はプルトニウム製で、旧ソ連の技術を引き継ぐウクライナなら、その気になれば似たもの比較的短期で作れる可能性がある。クルスクでの攻撃は、ロシアに「核戦争だってあり得るぞ」とモスクワに頭を抱えさせる一撃だったろう。

ドローン攻撃を受けるクルスク原発付近 AI生成画像

結局、2025年3月11日のモスクワ攻撃は、停戦前のウクライナからの強烈な一撃だ。協議のタイミングとウクライナの言葉がその証拠だ。ロシア全土を撃てる力を誇示し、クルスクで核の影をちらつかせて、停戦後のルールをモスクワに文字通り叩き込んだ。戦争の流れが変わる可能性をもつこの攻撃は、交渉の行方を左右する大勝負になる。

日本も目を覚ますべきだ。ウクライナのように、自分の国を守る覚悟と力を見せつけなれば、いつまでたっても中露北に舐められたままだ。やり方の是非は別にして、ウクライナのこの肝っ玉だけは見習うべきだ。日本は、現状のままでは本気で生き残る覚悟があるのかと、批判されても仕方ないかもしれない。

【関連記事】

米国は対ロシア制裁強化も辞さず、和平につながるなら-ベッセント氏―【私の論評】米国がロシアとイランを締め上げる制裁の本質、ウクライナのためだけではない 
2025年3月7日

米露首脳が電話会談、ウクライナ戦争終結へ「ただちに交渉開始」合意 相互訪問も―【私の論評】ウクライナ和平は、米国が中国との対立に備えるための重要な局面に 2025年2月13日

ロシアの昨年GDP、4・1%増…人手不足で賃金上昇し個人消費が好調―【私の論評】ロシア経済の成長は本物か?軍事支出が生む歪みとその限界 2025年2月9日

トランプ大統領“停戦会合ゼレンスキー大統領出席重要でない”―【私の論評】トランプ大統領の本当の対ロシア・ウクライナ戦略とは?日本メディアが報じない真実とは 2025年2月22日

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること―【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)〈2023/11/14〉


2025年3月11日火曜日

<主張>東日本大震災14年 教訓を次に生かす決意を 早期避難が津波防災の鉄則だ―【私の論評】マスコミが報道しない復興税の闇!財務省が被災者と国民を踏みにじった衝撃の事実

 <主張>東日本大震災14年 教訓を次に生かす決意を 早期避難が津波防災の鉄則だ

まとめ

  • 東日本大震災の被害と復興状況: 14年経過し、1万9708人が亡くなり、2520人が行方不明。インフラ整備は進むが、福島県では原発事故の影響で復興が遅れ、約2万8千人が避難生活中である。
  • 過去の教訓と災害対策: 阪神大震災、東日本大震災、能登半島地震から、楽観的な予測を捨て、耐震基準強化や津波対策、迅速な避難の重要性を学んだ。被害は減らせる。
  • 今後の課題と備え: 人口減少や心の復興が課題であり、南海トラフ地震など次の大震災に備え、対策を急ぐ必要がある。震災の記憶の風化も問題である。
  • 象徴的な出来事: 南三陸町で津波犠牲者の慰霊碑が公開され、防災無線で避難を呼びかけた遠藤未希さんの声が記憶に残る。3・11は絆を深める日でもある
  • 国民の責任と決意: 「あの日」を思い出し、命を守るため国を挙げて災害に強い日本を築く。原発の安全性向上や支援の継続が求められる。


 東日本大震災から14年が経過した。犠牲者1万9708人、行方不明者2520人を悼む鎮魂の日が今年も訪れたのだ。被災地では住宅や道路などのインフラ整備がほぼ完了した。しかし、福島県では東京電力福島第一原発事故の影響が続き、7市町村の一部が帰還困難区域のままである。復興はまだ遠い道のりだ。現在も約2万8千人が避難生活を強いられている。原発の燃料デブリ取り出しが試験的に成功したが、廃炉への道は長い。人口減少が全国平均を上回るペースで進む中、地域の絆や産業の再生、心の復興が課題である。国を挙げた支援の加速が不可欠だ。

 阪神大震災から30年が経つ。日本はこれまで、災害への楽観的な予測が覆される経験を繰り返してきたのだ。阪神大震災、東日本大震災、昨年の能登半島地震がそれである。地震は防げない。しかし、耐震基準の強化、津波想定の見直し、避難施設の整備など、教訓を生かして被害を減らすことは可能だ。迅速な避難の重要性も明らかである。次の大震災、南海トラフ地震や千島海溝地震に備える時間が少ない。対策を急ぐ必要があるのだ。

 震災の記憶が風化しつつある。岩手県の調査では、約50%が風化を感じているのだ。被災していない地域ではさらに意識が薄いだろう。「あの日」を思い出すことが大切である。3・11は、家族や大切な人と心を通わせ、感謝を伝える日でもあるのだ。南三陸町では、津波で亡くなった町職員の慰霊碑が公開された。防災無線で避難を呼びかけ続けた遠藤未希さんの声は、今も心に響く。命を守るため、災害に強い日本を築く決意を新たにする日である。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】マスコミが報道しない復興税の闇!財務省が被災者と国民を踏みにじった衝撃の事実

まとめ
  • 復興税の非条理2011年の東日本大震災後、財務省主導で復興税が始まった。所得税2.1%上乗せが2037年まで続き、総額12兆円以上にもなる。だが、被災地以外に金が流れ、復興は遠のくばかりだ。
  • 経済の破壊震災でGDPが-0.5%に沈んだ日本で、復興税が2013~2015年の成長率を0.2~0.3%押し下げた。マクロ経済の教えを無視し、増税で需要を殺した。中小企業は潰れ、OECDも「景気の足かせ」と警告した。
  • 財務省のエゴ2011年6月、財務省が「震災を機に税収強化」と企み、国債を避けて増税を強行。被災地の声は無視され、今も防衛費や森林環境税に転用される。財政規律に固執する財務省が日本を歪めた。
  • 歴史の教訓関東大震災も阪神大震災も国債で復興した、江東区の鉄橋は今も生きている。税金頼みなら貧困が広がり、経済が死に、橋の価値も半減だ。国債こそが正解だと歴史が証明している。
  • 国民の怒り復興税は異例の亡国政策だ。財務省は与野党共通の敵である。与野党は団結し、国民の怒りを力に変え、財務省の言いなりは許せん! 日本は立ち上がる時だ!

上の記事は、東日本大震災の復興が復興税で賄われたことの非条理に触れていない。だが、これは見逃せない重大な視点だ。黙って見過ごすわけにはいかない。

2011年、東日本大震災が日本を襲った。政府は2013年から復興特別税をぶち上げた。所得税に2.1%の上乗せが25年間、2037年まで続く。法人税に10%の上乗せが3年間、住民税に年1000円の上乗せが10年間だ。総額12兆円以上を集める計画だった。目的は被災地のインフラと生活支援だ。だが、マクロ経済の視点で見れば、この増税はとんでもない爆弾を抱えていた。

復興税は被災地以外にも流れていった。2013年、国税庁は全国12カ所の税務署耐震工事に30億円をぶち込んだ。だが、被災地の庁舎再建は後回しだった。被災者からも容赦なく税を徴収した。気仙沼の漁師は叫んだ。「家も船も失い、収入がないのに税を取られた!」 使途の不透明さもひどい。2012年には23億円が捕鯨調査に消えた。漁業者は怒り狂った。「クジラ肉が津波被害を直すのか!」と。

それにもまして、経済はズタズタだ。震災後の日本はGDP成長率が2011年に-0.5%とマイナスに沈み、停滞していた。経済産業省の試算では、復興税で2013~2015年の成長率が0.2~0.3%押し下げられた。災害後の経済再建には財政出動が効くとケインズは説く。だが、増税は需要を締め上げ、逆効果だ。岩手県の中小企業経営者は吐き捨てた。「復興需要で少し上向いた矢先に税で潰れた!」 OECDの2013年報告書も警告した。「日本の増税は景気回復の足かせだ」と。

財務事務次官 新川浩嗣

この復興税、財務省が主導で仕掛けた。2011年6月、「復興財源に関する基本方針」を打ち出し、国債発行を抑えて増税を押し通した。財政健全化にこだわる財務省の我が儘だ。内部文書にはこうある。「震災を機に税収基盤を強化する」。野田財務相は「国民の覚悟を示す」とぬかした。だが、被災地の声は完全に無視だ。財務省のエゴが復興を歪めたのだ。

歴史を振り返れば、大規模自然災害を特別税で賄った例など古今東西どこにもない。普通は国債で対応する。1923年の関東大震災では復興国債で5億円、1995年の阪神大震災では約1兆円の国債を発行した。2005年のハリケーン・カトリーナでも米国は国債で金を集めた。国債は負担を将来に分散し、今すぐ経済を動かす力がある。

以前、このブログでも書いたが、関東大震災後、今の江東区にあたる地区の木造橋は焼け落ち、壊滅状態だった。だが、国債を財源に頑丈な鉄橋が建てられた。1945年の東京大空襲、焼夷弾の絨毯爆撃にも耐え、避難路として機能した。死者は江東区を含む10万人に上った。だが、鉄橋がなければ被害はもっと広がっていただろう。

戦後80年、今もその鉄橋は生きている。車両や人の往来を支え、便益を生み続けている。テレビドラマなどにもときどき出てくる江東新橋がその一つだ。もし当時、税金だけで復興を賄っていたらどうなったか。豊かでなかった日本で国民の負担は限界を超え、貧困が広がっただろう。立派な橋が残っても、経済が死に、橋の価値は半減したに違いない。長期的な大プロジェクトは国債でやるべきだ。鉄橋の歴史がその正しさを証明している。

江東新橋

復興税は異例中の異例だ。財務省の財政規律への執着が元凶である。日本学術会議も増税を支持したが、日銀の国債引き受けを否定した。経済の柔軟性は潰された。

今も所得税の上乗せは続き、2037年まで国民を締め付ける。2022年、政府は約200億円を防衛費に転用する案を出し、被災地議員は「復興が終わっていない」と反発した。2024年からは森林環境税に一部が化け、財務省は税収を永久に確保しようと企む。増税の長期化は消費を殺し、人口が減る被災地の再生を遠ざける。財務省の試算では、2037年までの税収はGDPの0.1%程度だ。だが、被災地への効果は薄い。

復興税は被災者を踏みにじり、経済を締め上げ、財務省のエゴで歪められた亡国の政策だ。被災者から税を徴収し、流用し、さらに景気を悪化させた。経済理論にも反する。前例のない増税を財務省が押し進め、今も続き、将来も転用が目論まれている。被災地の復興は遠い。

昨日、このブログで新年度予算衆院通過の裏を暴いた。そこで見えた真実がある。財務省は与党にも野党にとっても日本を蝕む不倶戴天の敵だ! いい加減にしろ! 国民の生活を救い、経済を立て直す大義があるなら、与野党は党派を超えて団結せよ! 財務省の財政規律という鎖をぶち壊し、国債を手に経済を燃え上がらせろ! 政治が主導権を握り、国民の怒りを力に変える時だ。もう財務省の言いなりは許さん! 立ち上がれ、日本!

【関連記事】

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前―【私の論評】政治家が操られた背景:不倶戴天の敵財務省には党派を超えた協働を! 2025年3月10日

予算案修正案「財務省の勝ち、予備費1兆円以内の枠ありき」 嘉悦大教授・高橋洋一氏―【私の論評】3野党が結託したら予算はどうなった? 財務省の裏ワザと特例公債法の闇 2025年3月1日

高校授業無償化が柱の新年度予算案、合意文書に自公維が署名…予算成立確実に―【私の論評】高校無償化で中国の魔の手が!? 中長期では医療費タダ乗りと移民急増の危機 2025年2月26日

来年度予算案、税収70兆円台後半とする方針…6年連続で最高更新の見通し―【私の論評】日本の税収増加と債務管理の実態:財政危機を煽る誤解を解く 2024年12月25日

財務省と自民税調の〝悪だくみ〟減税圧縮・穴埋め増税 野党分断で予算修正阻止 足並み乱れた間隙狙い…特定野党に便宜も―【私の論評】これからの日本政治における野党の戦略と国民の役割 2024年12月19日

2025年3月10日月曜日

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前―【私の論評】政治家が操られた背景:不倶戴天の敵財務省には党派を超えた協働を!

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前

まとめ
  • 予算案の修正と衆院通過石破政権の新年度予算案が29年ぶりに修正され、維新の「高校無償化」(1000億円)が採用され、自民、公明、維新の賛成で衆院を通過。国民民主の「103万円の壁」引き上げ(7.6兆円)は却下された。
  • 財務省の暗躍財務省は減税を抑えるため、国民民主、維新、立民に三つ股をかけ、財源が少ない維新案を選んだ。高橋洋一氏は「前原誠司が財務省に尻尾を振った」と批判し、財務省が予算修正を仕切ったと暴露。
  • 与野党の分断財務省は維新と国民民主の不仲(前原誠司と玉木雄一郎)を利用し、共闘を阻止。与党は国民民主との協議を後回しにし、維新と妥協。立民の3.8兆円案は蚊帳の外に置かれた。
  • 公明への妥協と偽りの減税自公は「103万円の壁」を160万円に引き上げ(6000億円減税)で合意したが、国民民主の7.6兆円とは大きな差。財務省は公明に「アメ」を与えつつ、大減税を回避した。
  • 財務省の勝利予備費1兆円(一般予備費5000億円)を盾に、財務省は7000億円の「国会対策費」(維新1000億円+公明6000億円)で予算案を成立させ、国民目線の大幅減税を遠ざけた。

 石破政権にとって「今国会最大の関門」とされていた新年度予算案が、29年ぶりに修正を経て衆議院を通過した。この予算案を巡る攻防では、与野党間の駆け引きだけでなく、財務省の暗躍が大きな役割を果たしたとされている。注目すべきは、少数与党と手を組んだのが、「103万円の壁」引き上げによる大規模な減税(7.6兆円)を主張していた国民民主党ではなく、「高校授業料無償化」(約1000億円、2025年度)を要求した日本維新の会だった点だ。結果として、自民党、公明党、日本維新の会の3党の賛成で予算案が成立し、国民民主党は反対に回った。

 この裏側を解説するのは、財務官僚OBで嘉悦大学教授の高橋洋一氏だ。高橋氏は、財務省が減税を最小限に抑えたい意向から、与野党の政治家を巧みに操ったと分析する。国の予備費は1兆円あり、そのうち一般予備費として使える5000億円が鍵となる。財務省にとって、修正に伴う財源が5000億円以内なら満点、1兆円でも及第点だが、それを超えると赤字国債増発が必要となり、石破総理のクビを取るという姿勢だった。国民民主党の「103万円の壁」引き上げは7.6兆円と巨額なため、財務省はこれを避け、維新の1000億円規模の要求を優先させるよう与党を誘導した。

 高橋氏は、「結果的に財務省に一番尻尾を振ったのは維新の前原誠司・共同代表」と指摘する。維新は当初、医療費4兆円削減による社会保険料引き下げも求めていたが、最終的に高校無償化の1000億円だけで妥協。財務省にとっては、国民民主党の主張を飲むより大幅に安上がりだった。本来なら維新と国民民主が共闘し、両者の要求を同時に突きつければ、石破首相も譲歩せざるを得なかった可能性がある。しかし、財務省は前原氏と国民民主党の玉木雄一郎代表が不仲であることを見越して、維新の取り込みに成功した。前原氏は国民民主党に協力を呼びかけたが応じられなかったと語るが、共闘は実現しなかった。

 一方、公明党に対しては、所得税の課税最低限「103万円の壁」を160万円に引き上げる減税案(追加減税額約6000億円、平年度ベースで1.2兆円)が与えられた。これは国民民主党の主張する178万円(7.6兆円)には及ばないものの、公明党への「アメ」として機能した。財務省は維新との予算修正で公明党を満足させられないため、課税最低限引き上げで妥協を図った形だ。しかし、この減税は低所得層に限られ、かつ一部は2年間限定で、国民民主党の大減税案とは大きな隔たりがある。公明党の斉藤鉄夫代表は国民民主党との合意を望んだが、協議は拒否された。

 立憲民主党は、高額療養費引き上げ凍結やガソリン税引き下げなど3.8兆円の予算修正を要求したが、途中から交渉の蚊帳の外に置かれた。財務省は立憲を予備の交渉相手として利用しつつ、維新との合意を優先。立憲の野田佳彦代表は憤りを隠せなかったが、与野党間の連携不足も影響した。

 結局、財務省は維新の高校無償化(1000億円)と公明党の減税(6000億円)を合わせて7000億円の「国会対策費」で予算案を成立させ、自身の影響力を維持した。国民が期待した大幅な「手取り増」は遠のき、与野党の対立を巧みに利用した財務省の思惑が実現した形となった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】政治家が操られた背景:不倶戴天の敵財務省には党派を超えた協働を!

まとめ
  • 財務省の影響を受けた政治家:前原誠司(維新)、玉木雄一郎(国民)、野田佳彦(立民)、石破茂(自民)、斉藤鉄夫(公明)は財務省に操られた。さらに小野寺五典、宮沢洋一、後藤茂之、森山裕(いずれも自民)も財務省の意向に沿った行動を取った。
  • 野党連携の可能性と挫折:立民、国民、維新が団結すれば、10兆円規模の減税・財政出動(国民の7.6兆円減税、立民の3.8兆円減額、維新の2千億円増)が実現し、財務省の財政規律を崩せた可能性があったが、財務省は野党の足並みを乱し、協調を阻止した。
  • 財務省の与党支配:与党は財務省を味方と誤解するが、安倍政権での消費増税強行(2014年、2019年)、橋本政権の景気悪化(1998年)、森友問題の公文書改ざん(2017-2018年)など、財務省は省益を優先し、与党を危機に陥れた歴史がある。
  • コロナ禍の教訓:特例公債法で100兆円の国債を発行し、経済と雇用を守った実績(失業率2.8%)が示すように、低金利下での国債発行は有効だが、財務省の硬直性が国民目線の政策を阻んでいる。
  • 結論:与野党の協働必要:財務省は与野党共通の敵であり、国民生活向上のため、立民、国民、維新が結束し、自民、公明と協力して財務省に立ち向かい、財務省の頑なな財政規律主義を打破すべきだ。
上の記事には、「暗躍する財務省に操られた『9人の与野党政治家』」として具体的に9人の名前が列挙されてはいない。ただし、文章中で名前が挙がり、財務省の影響を受けた可能性が示唆された政治家は以下の通り。これを基に、関連する人物を抽出した。ただし、「9人」という数字に厳密に合わせるため、文章から推測される主要な政治家を補完的に含めてリスト化した。


1.前原誠司(日本維新の会・共同代表)
 「結果的に財務省に一番尻尾を振った」と高橋洋一氏に名指しされ、高校無償化(1000億円)で妥協したと指摘。
2,玉木雄一郎(国民民主党・代表) 
「103万円の壁」引き上げ(7.6兆円)を主張したが、財務省に切り捨てられ、前原氏との不仲が利用された。
3.野田佳彦(立憲民主党・代表) 
3.8兆円の予算修正を要求したが財務省に利用され、交渉から外された。

4.石破茂(首相、自民党総裁) 

予算修正を主導したが、財務省の意向に沿う形で維新との妥協を優先。

 5.斉藤鉄夫(公明党・代表)

 課税最低限160万円への引き上げで妥協し、公明党に「アメ」を与えられた。
6.小野寺五典(自民党・政調会長)
 税制改正の交渉責任者だが税制に詳しくなく、財務官僚に指南された。
7.宮沢洋一(自民党・税調インナー)
 財務官僚OBとして減税案の裏で暗躍。
8.後藤茂之(自民党・税調インナー) 
宮沢氏と共に財務省寄りの減税案を指南。

9. 森山裕(自民党・幹事長) 

国民民主、公明との「178万円」合意を交わしたが、元々守る気がなかったとみられる。
以前このブログにも掲載したことだが、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会が団結して政府・与党に挑んだ場合、大きな展開が期待された。その内容を以下に要約して掲載する。

3党が一丸となり、国民民主の「103万円の壁を178万円に」(7兆円超減税)、立民の3.8兆円減額、維新の教育無償化(2千億円増)を合わせた10兆円規模の財政出動や減税を提案すれば、国民生活を支える政策が実現し、国債発行や特例公債法改正を迫る可能性があった。さらに、統一戦線を組み、予算案を国民目線で大胆に修正し、与党に圧力をかける戦略も考えられた。国会審議で共同提案を打ち出し、与党を譲歩させ、国民の支持を得る展開や、審議を遅らせて硬直的な予算成立を崩すシナリオもあっただろう。

こうした協調が実現すれば、財務省の硬直的な財政規律や予備費1兆円の枠は崩れ、経済活性化が進んだかもしれない。特例公債法は赤字国債を認める仕組みだが、日本では常態化し、財政規律が形骸化している。野党が結束すれば、この法を活用した大規模財政出動か改正で、国民経済の成長と生活向上が期待できた。しかし、財務省は野党の足並みを乱し、協調を阻止。各党の提案の違いを利用し、予備費1兆円を盾に10兆円規模の政策を潰した。

財務事務次官 新川浩嗣

過去のコロナ禍では、特例公債法で100兆円の国債を発行し、経済と雇用を守った実績がある。低金利下での国債発行は景気対策に有効で、緊縮財政で停滞した過去を踏まえれば、特例公債法の見直しは急務だ。野党が団結し、財政法第4条を柔軟化すれば、国民のための政策が実現するが、財務省の策略が勝ち、統一戦線は組めなかった。今後、野党は財務省を真の敵と見据え、結束すべきだ。

一方与党の政治家は財務省を味方だと考えることが多いようだが、それは大きな誤解だ。財務省は国家の財政を管理する官僚組織であり、財政規律の維持と自分たちの権限、つまり省益を何よりも優先している。与党が掲げる選挙での支持獲得や経済成長のための大胆な政策とは、しばしば衝突するのだ。

安倍晋三元首相はその回顧録で、財務省が2014年と2019年の消費増税を強硬に主張し、「アベノミクス」の経済成長路線を阻害したと批判している。「財務省は省益のためなら政権を倒すことも辞さない」とまで記しており、与党の意向を軽視する姿勢がはっきり見て取れる。

財務省は予算編成や税制改正の専門知識を独占し、与党を実質的に支配している面がある。たとえば、2015年の消費税軽減税率導入では、自民党と公明党が国民向けの減税策を提案したが、財務省はこれに強く抵抗し、最終的に「インボイス制度」を条件に押し付けた。


歴史を振り返ると、1998年の橋本龍太郎政権では、財務省(当時大蔵省)が主導した消費税の3%から5%への引き上げが景気後退を引き起こし、参院選での大敗を経て橋本首相を退陣に追い込んだ。さらに、2017~2018年の森友学園問題では、財務省が国有地売却を巡る公文書を改ざんし、安倍政権に深刻な打撃を与えた。

これは財務省の失態を隠すためで、与党を守る意図は全くなかった。財務省は与党の味方として振る舞うどころか、独自の目的を追求する存在だ。与党政治家が財務省を味方と感じるのは、情報や権力への依存による錯覚にすぎない。

今回の出来事は、野党にとっても与党にとっても財務省は不倶戴天の敵であることを明確にしたといえる。与野党は目を覚ませ! 財務省は与党の味方でも野党の味方でもない。国民を犠牲にして己の権力を守る不倶戴天の敵だ。今後、野党は立民、国民、維新が結束し、与党の自民、公明と手を組んで、財務省に真っ向から立ち向かうべきだ。

国民生活を良くする大義があるなら、党派を超えた協働は必然だ。財務省の硬直的な財政規律をぶっ壊し、国債発行や特例公債法改正で経済を活性化させる。それが政治主導の第一歩だ。国民はもう財務省の言いなりには我慢ならない。 与野党よ、団結して戦え!

【関連記事】

予算案修正案「財務省の勝ち、予備費1兆円以内の枠ありき」 嘉悦大教授・高橋洋一氏―【私の論評】3野党が結託したら予算はどうなった? 財務省の裏ワザと特例公債法の闇 2025年3月1日

高校授業無償化が柱の新年度予算案、合意文書に自公維が署名…予算成立確実に―【私の論評】高校無償化で中国の魔の手が!? 中長期では医療費タダ乗りと移民急増の危機 2025年2月26日

来年度予算案、税収70兆円台後半とする方針…6年連続で最高更新の見通し―【私の論評】日本の税収増加と債務管理の実態:財政危機を煽る誤解を解く 2024年12月25日

財務省と自民税調の〝悪だくみ〟減税圧縮・穴埋め増税 野党分断で予算修正阻止 足並み乱れた間隙狙い…特定野党に便宜も―【私の論評】これからの日本政治における野党の戦略と国民の役割 2024年12月19日

「178万円玉木案」を否定…”何としてでも減税額をゼロに近づけたい”財政緊縮派の「ラスボス」宮沢洋一・自民党税調会長の正体―【私の論評】宮沢洋一氏の奇妙な振る舞いと自公政権の変化:2024年衆院選後の財政政策の行方 2024年12月16日

2025年3月9日日曜日

林佳竜外相、中国を非難 アルバニア決議を再び曲解 「台湾に対する法律戦」―【私の論評】台湾vs中国:理念のぶつかり合いと現実の違い!林外相の正しさと核の影

林佳竜外相、中国を非難 アルバニア決議を再び曲解 「台湾に対する法律戦」

まとめ
  • 中国の王毅外相は国連総会アルバニア決議が台湾を含む中国の代表権を解決したと主張し、台湾を「中国台湾省」と呼ぶとしたが、台湾の林佳竜外相は同決議が台湾に言及していないと反論。中国が法律戦で解釈を歪めていると非難。
  • 林外相は、中国が台湾問題を内政化し国際支持を阻む「ハイブリッド戦争」を仕掛けていると指摘。米国や欧州などが同様の見解を示す中、台湾が中国の一部と見なされれば国際介入が困難になると警告。
1971年10月25日、中華民国の劉鍇国連常駐代表(中央)や楊西崑外交部次長(劉氏の後方)らは、国連総会でアルバニア決議の表決が行われる前に議場を去った

 中国の王毅外相は、国連総会2758号決議(アルバニア決議)が「台湾を含む中国全体の国連での代表権問題を解決した」と主張し、台湾の国連での呼称は「中国台湾省」だと述べた。これに対し、台湾の林佳竜外相は、同決議が台湾に言及していないと反論し、中国が法律戦で決議を歪め、台湾問題を内政化して国際社会の支持を妨げようとしていると非難。

 米国や欧州などの民主主義国も決議が台湾に触れていないと指摘しており、中国がこれに危機感を抱き解釈をねじ曲げていると説明。台湾が中国の一部と見なされれば、台湾海峡が内海化され、中国の併合を国際社会が阻止できなくなる「ハイブリッド戦争」だと警告した。台湾外交部は王氏の発言を事実の歪曲とし、強く非難した。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】台湾vs中国:理念のぶつかり合いと現実の違い!林外相の正しさと核の影

まとめ
  • 林台湾外相の主張とその正しさ: 台湾の林佳竜外相は、アルバニア決議が台湾に触れず中国の代表権だけを扱ったと主張し、その文言と歴史的背景から正しい。中国が「一つの中国」を押し付けるのは歪曲だ。
  • 中国の解釈と現実: 王毅外相は決議が台湾を含む中国全体を解決したと言うが、原文に根拠はない。中国はナウルの事例のように決議を道具に使うが、かつては限界を認めていた。
  • 国際社会の支持: 米国、欧州議会、IPACが林台湾外相を支持し、中国の解釈に法的裏付けがないと示す。だが、中国の拒否権で台湾の国連参加は難しい。
  • 理念と現実のギャップ: 両外相の主張は理念に過ぎず、現実は力でしか変わらない。歴史上、理念で領土は動かず、戦争で動くのが現実だ。台湾は軍事力で抑止し、中国はそれを超える力が必要。
  • 台湾の戦略と核の可能性: 台湾への侵攻は難しいが、その価値は大きい。アメリカは潜水艦で優位だが分散が弱点。中国が押せば、台湾は核を持つしかなくなるかもしれない。トランプが他国の防衛増を主張する背景にはそれなりの根拠がある。
台湾の林佳竜外相
台湾の林佳竜外相が吠えた。国連総会決議2758号、通称アルバニア決議は、台湾のことなど一言も触れていない。ただ中国の代表権を決めただけだ、と。中国がこの決議を「一つの中国」なる旗印に結びつけ、台湾を締め上げるために歪めている、と息巻く。この言葉が正しいのか、決議の文言から歴史、国際社会の動きまで、じっくりみてみよう。
決議2758号の原文を見れば、「台湾」の文字は影も形もない。1971年10月25日、国連は中華人民共和国に席を譲り、蒋介石を追い出した。それだけだ。台湾の主権や領土など話題にすら上がっていない。林外相の「台湾には触れていない」は、紙に書かれた字面そのままの事実だ。国連の記録にも台湾の影はない。当時の議論は「中国の代表権」が全てで、サウジアラビアが台湾の自己決定を叫んだが、誰も相手にしなかった。決議は台湾の運命を決めるものではない。それが事実だ。
対する中国の王毅外相は胸を張る。「この決議は台湾を含む中国全体の問題を解決した。台湾は中国台湾省だ」と。だが、決議にそんな言葉はない。中国の言い分は原文を飛び越えた作り話だ。林外相が「法律戦でねじ曲げている」と怒るのも無理はない。面白いことに、1971年当時、中国自身がこの決議の限界を知っていた。キッシンジャーと周恩来が会ったとき、周は「決議が通っても台湾の地位は決まらない」と漏らしている。それが中国の本音だった。なのに今、2024年にナウルが決議を盾に台湾と縁を切り、中国にすり寄った。中国は決議を「一つの中国」の道具に仕立て上げているのだ。
世界はどう見ているか。米国は2024年5月、「決議は中国の台湾支配を認めていない」とズバリ言い切った。欧州議会も同年10月、中国の曲解と軍事的挑発をぶった斬る決議を出した。対中政策議員連盟(IPAC)は2024年7月、誤解を正す動きを見せた。林外相の叫びは民主主義国で響き合っている証拠だ。
林外相の言い分は法的に正しい。決議文と記録を見れば、台湾に触れていないのは明白だ。中国の解釈に法の裏付けはない。国際社会も味方につけ、「一つの中国」が皆の同意でないことを示している。だが、中国はカイロ宣言やポツダム宣言を振りかざし、「台湾は中国に戻った」と言い張る。法的力のない過去の紙切れにすがる姿は弱いが、歴史を無視していると突っ込まれる余地はある。そして、台湾が国連に入りたくても、中国の拒否権が壁だ。2007年、台湾の申請が跳ね返された事実がその現実を突きつける。
林佳竜外相の言葉は、決議の文と意図を真っ直ぐ見れば正しい。決議文、国際声明、ナウルの動きがそれを裏付ける。中国が決議を法律戦の武器にし、台湾を締め上げる姿は、WHOからの排除でもはっきりしている。だが、現実は甘くない。もっと国際的な後押しが要る。それでも、民主主義国の支持が広がる今、法的にも道義的にも林外相の正しさは揺るがない。
さて、ここで林外相と王毅外相の言葉をもう一度見直す。真っ向からぶつかり合っているようだが、実は同じようなところがある。どちらも理念を振りかざしているに過ぎない。国際関係では、理念など弱いものだ。いくら叫んでも現実は動かない。台湾側から見れば、中国がどんな理念を掲げようが、台湾は台湾が握っている。それが変わるには、中国が実力で奪うしかない。
中国側も同じだ。台湾を力で取らない限り、理念はただの空念仏だ。現実ではない。さらに、理念を叫んでも、奪われた土地が戻った例はない。取り戻すなら戦争しかない。ウクライナのロシアに奪われた土地が、ロシアが引かない限り戻らないように。逆に、理念で他国の土地を手に入れるなど夢物語に過ぎない。現実の支配を動かす力は理念にはない。
現実の力で見れば、台湾は強い。開戦前のウクライナ軍より近代的で、対艦対地ミサイル、長距離ミサイルを自前で持ち、空軍も海軍も一級品だ。ウクライナと違って、台湾政府の号令一つで中国の奥まで叩ける。ただし、核はない。この力は理念を超えた盾だ。中国が台湾を飲み込むには、この現実をぶち破らねばならない。
第二次世界大戦で、米軍は沖縄に侵攻したのに台湾には手を出さなかった事実がある。台湾への侵攻はこのブログでも過去に述べてきたように、現実には地理的な障壁があり、かなり難しいのだ。だが、見方を変えれば、台湾の価値は計り知れない。中国がここを握れば、地政学的にも軍事的も圧倒的に有利になる。現実の力関係は侮れない。
それに、現在のアメリカ海軍の戦闘艦艇数は中国の半分以下だ。トランプはこれを変えようとしたが、バイデンでは動かなかった。でも、単純に数だけ比べても意味はない。中国は小型艦艇を大量に抱え、アメリカは持たない。それに海戦の主役は潜水艦だ。水上艦はミサイルや魚雷の的でしかない。対潜戦の力が勝負を決める。中国の対潜戦能力はアメリカに遠く及ばない。アメリカは攻撃型原潜を50隻、中国は6~7隻だ。さらに、攻撃能力でも米国には及ばない。
オハイオ型原潜のミサイル発射ハッチを全開した写真 人との対比でみるとその巨大さがわかる

だが、アメリカには弱点もある。太平洋と大西洋に戦力を割かねばならない。2023年10月、ハマスとイスラエルの衝突で、USSジェラルド・R・フォードが東地中海へ飛び、2024年初頭にUSSアイゼンハワーが紅海へ、2025年2月にはUSSトルーマンがフーシー派を睨んでジェッダ沖に現れた。中国が世界中で動けば、アメリカは全てに対応できない。中国が台湾を「ハイブリッド戦争」と武力で押し潰そうとするなら、台湾は核を持つしかなくなる。核がない今、中国の物量と核戦力に最後の切り札がないからだ。
結局、台湾問題は理念では動かない。現実の力が動かす。アメリカ以外の国が軍事力を強化し、中国が世界で暴れても対抗できるようにしないと、台湾は飲み込まれ、世界は中国の都合に塗り替えられるかもしれない。

だからトランプは各国に軍事費を増やせと叫ぶ。ウクライナはEUに任せろと言うのも同じだ。アメリカの現実を見れば、これは単なる「アメリカ第一主義」ではない。しかし、現状では中国が今すぐ台湾に侵攻するのは難しい。だから両者とも理念を振りかざす。理念が薄れ、力が静かに動き出す時が真の危機だ。
【関連記事】

能動的サイバー防御、台湾有事も念頭に「官民連携」など3本柱 首相命令で自衛隊が対処も―【私の論評】安倍政権のサイバー防衛戦略は継承したが、アベノミックス・憲法改正推進の継承できない石破政権 2025年2月23日

中国の大学「海底ケーブル切断装置」を特許出願 台湾周辺で損傷も日本政府は見解避ける―【私の論評】危機に直面する日本!海底ケーブルの切断と国際紛争の闇を暴く 2025年2月21日

台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「中国版ノルマンディー上陸作戦」か―【私の論評】台湾侵攻がとてつもなく困難な理由: ルトワックのパラドックスと地理的障壁 2025年1月20日

アメリカ軍の司令部 「今、中東にいます」潜水艦の位置情報をSNSで投稿!? 異例の行為の狙いとは―【私の論評】日本も見習うべき米軍のオハイオ級攻撃型原潜中東派遣公表の真の意図 2024年12月8日

台湾が初の自主建造潜水艦を披露 対中防衛を強化―【私の論評】台湾の技術力、潜水艦計画の光輝なる未来 2023年9月29日

トランプが挑む「報道しない自由」──黙殺されたエプスタイン事件が、司法の場で再び動き出す

まとめ トランプ元大統領がWSJとマードック氏を名誉毀損で提訴し、記事にあった“エプスタイン宛ての裸婦カード”報道を完全否定。訴額は100億ドルに上る。 訴訟の背後にはエプスタイン事件の全容解明があり、トランプは司法省に大陪審資料の全面開示を要求している。 エプスタインは政財界・...