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2019年8月3日土曜日

韓国、RCEP会合で輸出管理に2回言及 世耕氏「関係ない提起」と反論―【私の論評】日本にとってRCEPなどどうでも良い、本命はTPPである(゚д゚)!

韓国、RCEP会合で輸出管理に2回言及 世耕氏「関係ない提起」と反論

RCEPの閣僚会合後、記者会見する世耕経産相=3日、北京

日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が3日、北京で開かれた。終了後に発表された共同声明などによると、交渉対象の約20分野のうち、これまでの7分野に加えて電気通信・金融サービスなど3分野で新たに妥結した。一方、日本政府による半導体材料などの輸出管理強化に対して日韓が応酬する場面もあった。

 世耕弘成経済産業相は終了後に記者会見し「今までの会合の中ではかなり円滑に進んだ。次回の9月の閣僚会合が大きなヤマ場になる。年内妥結に向けて日本が交渉のリード役になりたい」と語った。

 世耕氏によると、韓国側は日本の輸出管理強化について閣僚会合で2回発言した。世耕氏は「まったくRCEP交渉と関係ない提起」に対して遺憾の意を示した上で「参加国の誤解」を招かないために、管理強化が安全保障を目的にした貿易管理の適切化であり、韓国が主張する世界貿易機関(WTO)違反ではないことや、世界のサプライチェーンに影響はないことを説明した。世耕氏と韓国側代表との接触は「まったくなかった」という。

 今後、韓国が態度を硬化させて日韓の関税交渉が難航する可能性もあるが、世耕氏は「日本側が影響させる意図はまったくない。もし韓国が影響させてRCEPが停滞すれば各国がどう思うか」と牽制した。

 中国の胡春華副首相は開幕式で演説し「強い政治的意志を積極的行動につなげ、年内妥結という目標に向けて揺るぎなく前進してほしい」と呼びかけた。

【私の論評】日本にとってRCEPなどどうでも良い、本命はTPPである(゚д゚)!

韓国は、RCEPの交渉で日本を非難しているようですが、そんなことはどうでも良いです。なぜなら、日本にとってはTPPのほうが本命中の本命だからです。

RCEP交渉自体は、いままで円滑に進んではきませんでした。交渉開始からすでに6年が経過しています。

北京で開かれたRCEPの閣僚会合=3日

物の貿易の自由化について、インドは関税の削減や撤廃に極めて後ろ向きです。知的財産権や電子商取引などのルール作りの交渉では、高いレベルのルールを求める日本、オーストラリア等に対して、中国やインドは反対しています。

WTOのドーハラウンド交渉が頓挫した大きな要因は、貿易の自由化をさらに推進し、25年前の1993年に合意されたルールを時代に合ったものにしようとする先進国に対して、途上国の大国を自認する中国やインドが消極的な態度をとり続けてきたことです。これらの国が参加するRCEPに、TPP並みのレベルは期待できません。

さらに、一定の労働基準や環境規制の遵守を要求し、これを緩めることによって自国の産業の競争力を高めようとする、いわゆる"底辺への競争"(race to the bottom)という行為に規律を課そうとする "貿易と労働" "貿易と環境" という分野、さらには補助金や規制によって保護される国有企業が外国企業よりも有利に競争できることになっていることに対する規律など、これまでWTOではカバーされず、TPP交渉で合意された重要な柱は、RCEP交渉の対象になってはいません。これらを交渉することに、中国は大きな困難を抱えるからです。

日本の政府やマスコミは、メガFTAであるRCEPの参加国のGDP規模の大きさを強調してきました。FTAの対象となる市場が大きくなることは事実ですが、GDPの大きさだけがFTAの価値を決めるものではないです。

ほとんど関税も削減しない、WTO以上のルールや規律は設定しない、という内容の乏しいFTAでは、いくら参加国のGDPが大きかったとしても現状に大きな変更を加えるものではありません。この意味からもRCEPはまともな協定にならない可能性が高いです。

さらなる問題は、複数のFTAが重複することによって、それぞれの関税、ルール、規則などが複雑に絡み合ったスパゲッティのように錯綜して貿易が混乱するという「スパゲッティボール効果」です。

からまったスパゲティー

TPP11と日EUのFTAは対象となる地域が異なるので、このような問題は生じないです。しかし、TPP11とRCEPの参加国には重複があります。スパゲッティボール効果を避けるためには、一つの大きなFTAに関係国すべてが参加することが望ましいです。

自由貿易の推進や新しいルールの設定の両面でレベルの高いTPPに、アジア太平洋地域の経済を統合すべきです。

米国のオバマ政権は、TPPを新しい通商・投資のルールを作る21世紀型の自由貿易協定だと誇らしげに語っていました。しかも、マスコミで報道されている内容と異なり、オバマ政権にとって、TPPは中国を排除しようとする仕組みではなく、この高いレベルの規律が適用されるアジア太平洋自由貿易圏に中国を取り込むための仕組みでした。

TPPにおいて、中国と同じ社会主義国でありかつ多数の国有企業を抱えるベトナムと交渉することで、国有企業に対する高いレベルの規律を作るという目論見でした。将来TPPが拡大すると、中国もこれに参加せざるを得なくなったことでしょう。そのときに中国に国有企業に関する規律を適用しようとしたのです。

知的財産権の保護もこれらの規律の一つです。残念ながら、トランプ政権はこの壮大な構想を理解できず、TPPからの脱退を表明しました。もっとも、中国に知的財産権の保護を行わせるという観点から、ようやくTPPの重要性に気付いたようです。ですから、少なくともトランプの次の大統領はTPPに参加することになるでしょう。

2017年1月23日、トランプ米大統領は選挙公約通り、環太平洋連携協定(TPP)
    からの正式離脱に関する大統領令に署名した

TPPに関心を示す国は多いです。メガFTAには参加しないと不利益を受けるので参加せざるを得ないというドミノ効果が働くからです。

韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、タイというアジアの国に加えて、コロンビアが参加の意思を表明しましたし、イギリスも関心を示しています。合意する見通しがなく、合意が得られたとしても質の高いFTAにはなりそうにないRCEP交渉に貴重な人的資源を割くよりも、日本政府はTPPの拡大に能力と資源を傾注すべきです。

かつて社会主義経済の中国のWTO加入交渉には15年を要しました。これほどではないにしても、TPP拡大のためには、単に加入の声掛けをするだけではなく、貿易の自由化の程度や各種の規制がまちまちである加入希望国について、どのような条件で加入を認めるかという交渉に多くの時間と労力を必要とするからです。

私は、中国は結局TPPには加入できないと思います。なぜなら、TPPが要求する水準を中国はとても受け入れられないからです。それを実行すれば、それこそ中共は崩壊するかもしれません。韓国も日本が韓国に対して貿易管理を強化しただけで、反発していることから、無理かもしれません。しかし、米国はおそらくいずれ入らざるを得ないでしょう。

なお、中共が崩壊した後の中国、もしくはこの地域に新たにできる国々全部もしくは一部は、加盟できるかもしれません。結局TPPは、中国包囲網となってしまうでしょう。

そうして米国が入り、メガFTAが拡大すればするほど、そのドミノ効果は大きくなります。アジア太平洋地域の国を巻き込んでTPPが拡大していくと、米国だけでなく、。日本はRCEPで実現しようとした以上のはるか上のことを実現できるのです。日本はこれからもどんどんTPPを拡大すべきです。

それにしても、トランプ氏は良いことをしてくれたと思います。米国が抜けたおかげて、日本がTPPのリーダー役をつとめることができたのです。

米国が旗振り役のTPPだとどうしても、米国の意向をかなり反映した貿易協定になっていた可能性が大きいです。しかし、日本がリーダーとなったことで、それはなくなりました。

米国の覇権主義を嫌う国々にとって、TPPは加入しやすくなったのは間違いありません。後で米国が加入したにしても、日本のリーダー的地位を脅かすことはできないでしょう。これは、覇権によらない、防衛協定として多くまともな国々とっては受け入れやすいものになったと思います。トランプ氏は着せずして、世界の自由貿易に大きな貢献をしたかもしれません。

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2021年9月25日土曜日

クアッド首脳会合 対中連携で一定の成果 軍事のAUKUSと役割分担も―【私の論評】TPPに英国や台湾が加入すれば、申請しても加入できない中国の異質さがますます際立つ(゚д゚)!

対中連携で一定の成果 軍事のAUKUSと役割分担も


米ワシントンのホワイトハウスで24日に開かれた日米とオーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)による初の対面形式による首脳会合は、4カ国が中国の台頭をにらみ、自由や民主主義といった共通の価値観の下で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた結束を確認した点で、所期の成果を上げることに成功したといえる。

会合後に発表された共同声明は、中国への名指しは避けたものの、4カ国が「威圧に屈せず、国際法に根差した、自由で開かれたルールに基づく秩序」に関与し、「法の支配」「航行と飛行の自由」「紛争の平和的解決」などを支持していくと訴えるなど、中国を明確に意識した内容となった。特に、中国が覇権的行動を活発化させている東・南シナ海をめぐっては国際法の順守を訴え、中国を強く牽制(けんせい)した。

一方、オーストラリアのモリソン首相は会合後、ホワイトハウスで記者団に対し、菅義偉首相とインドのモディ首相が会合の席上、米英豪による安全保障連携の枠組み「AUKUS(オーカス)」で合意された米英による豪原子力潜水艦の開発支援に支持を表明したことを明らかにした。

対中国をにらみ、クアッドが外交を含む非軍事分野を、オーカスが軍事分野をそれぞれ分担し、両者が相互補完する態勢が早くも確立されたといえる。

一方で、インド太平洋における諸懸案の対処に向けた「枢要かつ死活的に重要な協議形式」(米政権高官)と位置付けられるクアッドが取り組むべき課題は山積している。

中でも、かつてオバマ元大統領が中国に対抗する集団的な経済安全保障の枠組みとして提唱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、バイデン政権は24日、「現状の内容では復帰できない」との立場を示した。

中国がTPPへの加入を目指す中、米国不在のTPPの維持と発展に力を尽くしてきた日本としては、米国の復帰を実現させることがクアッドの強化に向けた大いなる貢献になるだろう。

【私の論評】TPPに英国や台湾が加入すれば、申請しても加入できない中国の異質さがますます際立つ(゚д゚)!

中国は、バイデン米政権が構築を進める重層的な「中国包囲網」に対抗する姿勢を強めています。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請で孤立感の払拭を狙うほか、米国との関係改善を目指して協調姿勢を見せるなど、包囲網の切り崩しへ相次いで布石を打っています。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は24日の記者会見で、クアッドについて「閉鎖的、排他的、他国に照準を合わせた小派閥は時代の潮流に背く。目的を達することはない定めだ」と牽制しました。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官

「345中国包囲網」。香港出身の国際政治学者、林泉忠(りん・せんちゅう)氏は、米政権が主導する対中包囲網の枠組みを参加国数からこう評しています。米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」▽日米豪印の「クアッド」▽米英豪にカナダ、ニュージーランドを加えた5カ国で機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」-です。それぞれ軍事、産業、情報など多方面に及ぶ協力枠組みだが、林氏は「機能と役割は異なる」と指摘しています。

これに対し、中国は16日にTPP加入を申請。米国が関与を強めるアジア太平洋地域で影響力を高め、中国経済のデカップリング(切り離し)に歯止めを掛ける狙いです。

王毅(おう・き)国務委員兼外相は同日、クアッド参加国のインドのジャイシャンカル外相と会談し、「二大新興経済国として互いに脅威になるべきでない」と呼びかけました。ロシアやイランなど米国と対立する国とも密接な関係を強調しました。

TPPに関しては、中国は現状のままでは加入できません。加入するには、様々なシステムを変えなければなりません。中国が共産主義や国家資本主義とも呼べるような現在の体制を完璧に捨てるというのなら加入できるでしょう。しかし、それは中国共産党の崩壊を意味します。

中国は、2001年にWTOに加盟後、加盟議定 書に定められた条項で要求されたように、 WTOの義務に従うために何百もの法律や規制 などを改正するとしていました。しかし、中国はその約束を反故にしたばかりか、WTO加盟国として の承認を、国際貿易の支配的プレーヤーにするために利用してきました。もし、仮にTPPに入れたとしても、TPPを同じように利用するだけです。

そのようなことは、目に見えているため、日本をはじめとする加盟国は中国を門前払いすることでしょう。

中国はオーストラリアとの間で通商摩擦をかかえている

しかも、中国はTPP参加国のオーストラリアとの間で通商摩擦を抱えています。また、空母「エリザベス・クイーン」を含む空母打撃群を日本に寄港させ、中国との対峙姿勢を顕にした、英国が、TPP加入のための手続きを実行中です。

米国は、TPPに参加しておらず、直接的に中国のTPP加入を批判はしていませんが、台湾のTPP加入を後押しする発言をしています。

米国務省のプライス報道官は24日の記者会見で、中国政府に続いて台湾がTPPへの加入を申請したことについて、「台湾の世界貿易機関(WTO)の責任あるメンバーとしての実績や、民主主義という価値観が考慮されることを期待する」と語りました。 

中国の覇権主義的な動きなどは強く批判しました。 

米国務省のプライス報道官

プライス氏は「米国はTPPに加入していないので、参加国の判断に任せる」とした上で、中国の申請について「市場に基づかない貿易慣行や、他国に対する経済的な威圧が考慮されるべきだ」と強調しました。 

英国や台湾は、いずれ加入することができるでしょう。TPPに英国や台湾が加入できて、中国が申請しても加入できないとなると、中国の異質性がさらに際立つになることになります。

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2018年4月15日日曜日

TPP復帰というトランプ氏の奥の手 対中国での戦略的効果は大きい―【私の論評】貿易赤字それ自体が悪という考えは間違い!それに気づけば復帰は間近(゚д゚)!


アメリカ・ナンバーワンを目指すトランプ大統領

これはトランプ政権というより、何かの冒険物語だろうか。12日に飛び込んできたのはあらゆる分野の貿易にとっての朗報だ。ドナルド・トランプ米大統領が農業州の共和党議員らとの会合で、2017年に脱退した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への復帰を検討するよう政権幹部に指示したというのだ

 これが単に大衆の歓心を買おうとする得意のツイートのようにすぐ消えるものかどうかは分からない。だが出席者たちの話では、トランプ氏はラリー・クドロー国家経済会議(NEC)委員長とロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表に対し、以前よりも有利な条件でTPP交渉に戻る可能性について調査を指示したという。

 容易な道のりではないだろう。ただでさえ、ライトハイザー氏や同氏の事務所は、同氏が外に出るや否や、この指示は本気ではないと記者団に告げている。だがリンジー・ウォルターズ大統領副報道官は同日午後、大統領がこの2人に検討を要請したことを認めた。2人がその通りに努力することを期待しよう。

ロバート・ライハイザー

 関係筋によると、トランプ氏は特に加盟11カ国に含まれない中国に対し、TPPが経済的・戦略的に大きな影響力を持ちうるとの主張に反応したという。これはトランプ氏がTPP脱退を決める前、われわれの一部が主張していたことだ。だが貿易をめぐり中国と決戦の場を迎えた今、トランプ氏は中国以外の太平洋諸国とより良い貿易関係を結ぶ方が得策だと考えてもおかしくない。

 会合に出席したベン・サッシー上院議員(共和、ネブラスカ州)は後からこう述べた。「中国の不正行為に対抗するために米国にできる最善の策は、自由貿易と法の支配を信じる太平洋地域の他の11カ国を率いることだ」

 トランプ氏はまた、自身の進める関税第一主義が、外国からの報復措置によって農業州に経済的被害をもたらすという訴えに耳を傾けたという。米国の農業生産者は輸出市場を失う可能性に身がすくんでいる。中西部では大豆とトウモロコシの輪作を行う農家が多く、今年いずれの作物を植え付けるかを決断する時期が迫っている。

 大豆を植えれば、中国が25%の報復関税を課した場合に大きな損害を被るだろう。トウモロコシを植えれば、多くの農家が同じことをするために価格が暴落するかもしれない。農業が抱えるさまざまなリスクに、トランプ氏の通商政策がさらなる政治的な不透明さを加えている。米農業生産者に中国以外の市場を開放することが一段と必要な理由はそこにある。

【私の論評】貿易赤字それ自体が悪という考えは間違い!それに気づけば復帰は間近(゚д゚)!

ドナルド・トランプ米大統領は、今年の1月25日スイス・ダボスで行われた米CNBCテレビのインタビューで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への復帰を検討する用意があると表明していました。これについては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ大統領がTPP復帰検討「有利な条件なら」 完全否定から大転換した理由―【私の論評】トランプはTPPが中国国内の構造改革を進めるか、中国包囲網のいずれかになることをようやく理解した(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を引用します。
TPPは成長市場であるアジア地域で遅れていた知的財産保護などのルールを作りました。社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れました。TPPが棚上げとなれば各国の国内改革の動きも止まってしまうことになります。 
TPP合意を機に、日本の地方の中小企業や農業関係者の海外市場への関心は高まっていました。電子商取引の信頼性を確保するルールなどは中小企業などの海外展開を後押しするものです。日の目を見ないで放置しておくのは、本当に勿体無いです。 
さて、米国が離脱したままTPP11が発効して、それに対して中国が入りたいという要望を持つことは十分に考えられます。 
ただし、中国はすぐにTPPに加入させるわけにはいかないでしょう。中国が加入するには、現状のように国内でのブラックな産業構造を転換させなければ、それこそトランプ氏が主張するようにブラック産業によって虐げられた労働者の労働による不当に安い製品が米国に輸入されているように、TPP加盟国に輸入されることとなり、そもそも自由貿易など成り立たなくなります。

このあたりのことを理解したため、トランプ大統領は、TPPに入ることを決心するかもしれません。そもそも、政治家としての経験のないトランプ大統領は、これを理解していなかっただけかもしれません。だからこそ、完全否定から大転換したのかもしれません。 
そうして、これを理解して、それが米国の利益にもなると理解すれば、意外とすんなり加入するかもしれません。 
中国がどうしても、TPPに参加したいというのなら、社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れたのと同じように、中国国内の民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めなければならないでしょう。
それによって、中国自体の構造改革が進むことになります。こうして、TPPにより、中国の体制を変えることにもつなげることも可能です。 
しかし、改革を実行しない限りTPPは中国抜きで、自由貿易を進めることになり、結果として環太平洋地域において、中国包囲網ができあがることになります。 
大統領に就任した直後のトランプ大統領は、このような可能性を見ることができなかったのでしょう。しかし、最近はその可能性に目覚め、完全否定から大転換したのでしょう。
TPPは成長市場であるアジア地域で遅れていた知的財産保護などのルールを作成しています。ベトナムはこのルールを守れるように、国営企業の改革に取り組んでいます。

中国はといえば、もしTPPに加入するとすれば、国営企業改革どころではすみません。まずは、中国憲法の位置づけを変えなければならなくなるでしょう。中国では中国共産党は、憲法よりも上の位置づけです。

平たくいえば、共産党は憲法より上の存在であり、共産党の都合により何でもできるということです。中国でも、すべての法律は憲法に基づいて作成されていますから、当然のことながら、すべての法律は中国共産党の恣意により、共産党にとって都合が良ければ、そのまま施行し、都合がわるければ、施行を停止することができます。

このような状況で自由貿易などできるはずがありません。まずは、憲法の位置づけを変えなければ、中国はTPPに入ることはできません。そうして、憲法を共産党よりも上の位置づけにもってくるということは、現体制の崩壊ということになります。そのようなことは、中国にはできません。

憲法改正で終身主席となり、事実上の中国皇帝となった習近平

となれば、中国としては、TPPには入らず、独自の路線で世界と貿易をするしか他にありません。TPPが発効して、環太平洋の国々が自由貿易を頻繁が頻繁になされることになれば、TPPにおける自由貿易が通常の取引ということになり、中国との取引はリスキーであると認識されるようになります。

実際にかなりリスキーです。中国経済が順調に拡大しているときならそうでもないでしょうが、現在のように低迷していれば、中国と取引していれば、いつどのような目にあうかもわかりません。

また、中国は金融政策・為替政策も恣意的で、いつどのように変わるかも予測不可能なところがあります。そもそも、政治と経済が不可分に結びついており、他の先進国では考えられないようなやりかたで、経済に直接手をいれるということもしばしばあります。しかし、TPP加盟諸国であれば、そのようなことはありません。

そうなれば、環太平洋の国々が中国との貿易を避けるようになるでしょう。そうなると、貿易でも栄えてきた中国にとっては窮地に陥ることになります。しかし、現体制を維持しなければ、ならない中国共産党は、これを傍観するしかありません。その結果中国は弱体化することになります。仮に、中国が現体制を構造改革に変えてまで、TPPに参加することがあれば、環太平洋地域の諸国にとっても望ましいことになります。

トランプ氏はこのようなことを理解し始めたのでしょう。さらに、トランプ氏の関税第一主義が、諸外国からの報復措置によってかえって国内産業を窮地に陥れる可能性が大であること、さらにこのブログで何度か掲載してきたように、経済学上の常識である、貿易赤字そのものが悪という認識は間違いであることをトランプ大統領が気づけば、米国がTPPに復帰するのも間近くなるでしょう。


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2021年10月18日月曜日

米国内でも湧き上がるバイデンのTPP加盟申請の必要性―【私の論評】CPTPP加盟申請で、実は危険な領域に足を踏み入れた中国(゚д゚)!

米国内でも湧き上がるバイデンのTPP加盟申請の必要性

岡崎研究所

 ピーターソン国際経済研究所のジェフリー・ショットが、9月23日付の同研究所のサイトで、中国の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟申請はバイデンに難しい対応を迫る、米国は11月のAPEC首脳会議でTPP復帰を明らかにすべきだと述べている。


 ショットは長い間日本とも関係の深かった国際貿易の専門家である。精緻な議論をしている。ショットは、(1)交渉には時間がかかる、中国は条件緩和ないし移行期間の猶予を求めるだろう、(2)バイデンは11月にニュージーランで開催されるAPEC首脳会議でTPP復帰を明らかにすべきだ、(3)米国はTPPに参加し協定の強化に努めていくべきだ、環境は米国・メキシコ・カナダ(米墨加)協定に倣って協定規定の強化をすればよい、データの規定強化も可能だろう、労働の規定強化は困難だろうがベトナム、マレーシアとの二国間合意は可能かもしれないなどと述べる。

 米国がTPP復帰を11月のAPECで打ち出すべきとの提案は、良い考えだ。それまでに目下難航している米下院でのインフラ法案(9月30日採決を10月末まで延期)と経済・社会福祉等対策法案の基本的問題が解決されていることを強く望みたい。

 米国のTPP復帰の戦略的重要性を強調し過ぎることはない。それに代わる他策は見当たらない。バイデン政権は、公式発言は兎も角、部内ではTPPの重要性を十分理解、検討し、問題はタイミング等政策実施の問題であることが今の状況であることを切に願わずにはおれない。

 9月16日の中国のTPP加盟申請から2週間余り、米国でのTPP復帰論は数少なく、心配になるほど低調だった。ところが、10月4日、USTRのタイが対中貿易政策再検討結果と対中交渉の開始につきCSISで講演し、それが非常に不評で、それへの批判をきっかけに、主要メディア等が大っぴらにTPP復帰論を主張するようになっている。

 悪いことではない。しかし、 10月4日のタイのTPP関連発言は依然として慎重のままだった。どうも彼女は執行型のプロかもしれないが、戦略マインドを持ったプロなのかどうか、やや不安になる。

 10月5日付ワシントン・ポスト紙(WP)、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)も社説で、「もっとインパクトのある米国主導の中国対抗策は、TPPへの参加であった、バイデンはTPPへの復帰の兆しを示していないがそれを変えるべきだ」(WP)、「バイデンは中国の TPP加盟申請にどう対応するのか...大統領府は何処の国に対しても貿易戦略がない...何たる失望だ」(WSJ)とTPP復帰を強く求めている。

中国の狙いは台湾加盟の阻止

 中国の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)加盟申請の意図については、①国内改革の梃に使いたい、②米国、台湾の参加を阻止したい、③TPPを支配したいことが挙げられる。しかし中国の最大の目的は、台湾加盟の阻止だったのではないだろうか。しかし実際には中国の申請が台湾の申請を誘発することになった。

 その後、王毅外相が関係国に頻りに話をしているようだが、何よりも台湾の加盟交渉を早期に進めないように働きかけているのではないか。中国にとって、望ましくない順列は、台湾が早期に単独で加盟、米国と台湾がほぼ同時期に加盟、中国と台湾の同時加盟ということではないだろうか。

 日豪越加墨等が協力して、米国に対してCPTPPへの加盟申請を働きかけるべきだろう。

【私の論評】CPTPP加盟申請で、実は危険な領域に足を踏み入れた中国(゚д゚)!

このブログの購読者であれば、ご存知のように、私は最近たびたび、台湾や米英のTPP加入をすすめることと、同時にTPPのルールをWTOのルールにすべきこと主張しています。

過去を振り返れば、先進国の「経済的に豊かになれば共産主義中国も『普通の国』として仲間入りができる」という誤った妄想が、中国の肥大化を招き傲慢な「人類の敵」にしてしまいました。 

その代表例が、2001年のWTO加盟です。1978年の改革・解放以来、鄧小平の活躍によって、1997年の香港再譲渡・返還にこぎつけた共産主義中国が、「繁栄への切符」を手に入れたのです。 

この時にも、共産主義中国は「WTOの公正なルール」に合致するような状態ではありませんでした。 ところがが、米国を始めとする先進国は「今は基準を満たしていないが、貿易によって豊かになれば『公正なルール』を守るようになるだろう」と考え、共産主義中国も「将来はルールを守る」という「約束」をしたことで加盟が認められたのです。 

ところが、加盟後20年経っても、共産主義中国は自国の(国営)企業を優遇し、外資系いじめを連発するだけではなく、貿易の基本的ルールさえまともに守る気があるのかどうか不明です。

 香港再譲渡・返還では「50年間現状(民主主義体制)を維持」することを約束していたのですが、何の躊躇もなくその約束を反故にして、香港の人々を弾圧しています。


習近平は「朕は約束など守る必要は無い」と考えているのでしょうが、「約束を守らない国」を国際社会は受け入れるべきではありません。 

つまり、共産主義中国のCPTPP加盟問題以前に、「約束を守らない」彼らをWTOから追放すべきなのです。

しかし、そうはいっても、共産主義中国はすでに世界貿易にがっちりと組み込まれており、「WTO追放」はやり過ぎではないかという意見もあるでしょう。

しかし、それこそが共産主義中国の狙いなのです。我々は間違ってもCPTPPに共産主義中国を加盟させてはならないし、その「撹乱戦略」に惑わされてもならないのです。

中国の不動産開発会社中国恒大集団は、主力債権銀行少なくとも2行に対する9月20日期限の利払いを行いませんでした。そのため世界市場が「次のリーマンショックか?」と身構え、株価が下落しています。
中国恒大集団の本社ビル

現時点では、23日に期限が到来する利払いの一部は実施すると発表していますが、その方法はあいまいで、今後次々と期日が到来する利払いにどのような対応をするのかも不透明です。 

経営に危機が迫っている共産主義中国の不動産会社は中国恒大集団だけではないし、外資系企業だけでは無く、国内の民間企業にも圧迫を加える「習近平の中国」で経済が崩壊するのは間違いが無いでしょう。

上の記事では、「米商務省のタイは執行型のプロかもしれないが、戦略マインドを持ったプロなのかどうか、やや不安になる」としていますが、私もそう感じます。

私自身は、このブログでもかねてから主張してきたように、TPPを巡る中国の行動をうまく利用すれば、中国をWTOから脱退させることも可能になると考えています。

それについては、昨日もこのブログに掲載したばかりです。
世界医師会、台湾支持の修正案可決 中国の反対退ける―【私の論評】台湾のWHOへの加入は、台湾独立だけではなく大陸中国の国際社会から孤立の先駆けとなる可能性も(゚д゚)!
スイス・ジュネーブにある世界貿易機関(WTO)の本部 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
台湾がTPPに加入していれば、TPPのルールがWTOのルールになったとしても、台湾はWTOにとどまり続けることができます。

しかし、中国はTPPのルールを守れず、TPPには入れないです。そのため、TPPの国際ルールがWTOのルールになったとしたら、その時点で、中国はWTOのルールを守れないのは明らかです。

ルールを守れない国は、WTOにはふさわしくはないですから、WTO加盟国は一致協力して、中国を脱退させるべきです。

ただし、単に中国を脱退させるのではなく、条件をつけるべきです。その条件とは、香港の「一国二制度」を復活させ、香港を以前の状態に戻せば、香港のWTO加入は認めるというものです。 
そうして、香港に限らず中国が「一国二制度」を他の地域でも実施すれば、その地域に限っては、WTOへの加入を認めるようにすべきです。

これを実行すれば、どうなるでしょう。中国は「一国二制度」の復活などはしないでしょうから、中国はWTOから脱退して孤立するしかなくなります。

このようなこと、中国共産党は全く意識していないかもしれませんが、私のような者でもこのような戦略を思いつきます。それに、TPPのルールをWTOのルールにせよとの声は、以前からあります。

中国は、CPTPP加盟申請で実は、危険な領域に足を踏み入れたかもしれません。

孤立した中国は毛沢東時代の中国に戻るしかないでしょう。現状では、盤石に見える中国ですが、中国共産党に対して国際的な批判が強まるなかで、習主席の心中は穏やかではなく、恐怖心すら抱いているのかもしれないです。

攻撃的なナショナリズムの陰に潜む被害妄想が頭をもたげており、毛沢東の時代のような鎖国状態に逆戻りする可能性は排除できません。

昨年8月26日付米ラジオ・フリー・アジアは「海外移住や外国のパスポートを取得した中国高官は数百人どころではない。一般市民も海外移住を急いでいる」と報じました。このようなことは、随分前からいわれてきたことです。多くの中国の人々が「共産党の指導者の狂気につきあうことはできない。今逃げなければ間に合わなくなる」と語っているように、中国社会にはかつてない社会不安が覆っているのでしょう。

中国という超大型客船の底に少しずつ水が入り込み、「タイタニック号」のように沈没するのは時間の問題のようです。

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2016年11月26日土曜日

【炎上】国会が学級崩壊。民進党の問題児たちが「速記を止めろ!」 安倍総理が説教して全視聴者が同意―【私の論評】世界は、蓮舫氏の妄想どおりにはならない(゚д゚)!


腹BLACK 2016年11月25日

国会での蓮舫氏と安倍総理の戦いは完全に安倍総理の勝利に終わった。民進党の議員たちは速記を止めさせて妨害行為を働こうとするも、有権者である視聴者たちはその様子を冷めた目で見ていた。

まずはじめに見てほしいのはこちらの学級崩壊の状態。

▼安倍総理が答弁しているのに、民進党の議員たちが勝手に速記を止めようとしている。



▼筆記具や書類を奪おうとする。



▼マイクも奪い取る。なんだこれは…。



国会中継を観ていた人たちは民進党の野蛮さにドン引き。また、内容をみても正しかったのは安倍総理だったという。予め定められたルールに則って正々堂々と戦わないのはもはや民主主義ではない。会話が通じない野生動物と同じだ。

なぜこんな事態になったのか。分かりやすくまとめてみた。

(1)蓮舫氏がドナルド・トランプ氏に会いにいった安倍総理を追及する。「トランプ氏は差別的な発言を繰り返しています。なぜ会いにいったんですか?なぜ信頼できると判断できたんですか?」この時点ではみんな席についている。



(2)安倍総理は「安全保障のために日米間の関係は重要」と説明し、次期大統領に会いに行くのは当たり前だと説明する。



(3)と、そのとき安倍総理が話しているのに立ち歩いて妨害する議員たちが出始めた。「速記止めろー!」「一回止めろ!」と怒声が飛び交う。この間も安倍総理は「大切なアメリカと信頼関係を構築しようとするのは当然ではありませんか」と説明を続ける。



(4)安倍総理「今あそこで止めろと言っていますが、気に食わないことを私が言ったから止めろというのはおかしいですよ。大体、テレビをご覧のみなさんもおかしいと思いませんか?この状況を」



民進党議員は「ドンドン!」とテーブルを叩いて聞こえなくさせようとする。

安倍総理「テーブルを叩いて答弁を聞こえなくさせるのはやめてください。こういう騒然とした状況では私も答弁しにくいですよ。簡潔にまとめますので、みなさん席についてください…」

その後、安倍総理は「トランプ氏はオバマ大統領に対する敬意をきちんと払ったうえで政治を進めようとしていた」と会談で確認できたことを述べ、それがメディアで偏向報道されているドナルド・トランプ氏の傍若無人な姿とは違うので「信頼に値すると判断した」と説明した。

そして11月25日にも同じような事態になり、安倍総理はついに直球で民進党を説教したのであった。



「議論が進まないですよ。私が述べた事を国民の皆さんに聞かれたらまずいんですか?レッテルを貼って我々の支持率を下げようとしても民進党の支持率は上がりませんよ」。この言葉に中継を観ていた人たちは全員が同意。「よくぞ言った」「その通り」という言葉が飛び交った。

なお、この答弁中、日経平均株価は年初来高値を更新した。



日経平均株価は総理大臣の成績表と言ってもいい。アメリカの次期大統領に会いに行くのは当たり前ではないか。民進党は安倍総理の一挙手一投足に文句を言うのが仕事になっているだけで何も建設的な議論を生み出していない。普通の社会人なら速攻でクビになるレベルだ。

【私の論評】世界は、蓮舫氏の妄想どおりにはならない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、24日の参院予算委員会における蓮舫氏の質問とそれに対する安倍総理の答弁に関するものです。以下にこの委員会の動画を掲載します。


最初は、この委員会に関するZAKZAKの記事を掲載しようと思ったのですが、上の記事のほうがより鮮烈に実体が伝わると感じたので、この記事を掲載することにしました。

なお、ZAKZAKの記事のリンクも以下に掲載します。
蓮舫代表、トランプ氏にも難クセ 安倍首相批判も二重国籍問題は書類開示せず
24日の参院予算委員会において質問する蓮舫氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ブログ冒頭の記事には掲載されていない内容のみを以下に引用します。
 国会審議後、蓮舫氏は定例会見に臨み、国民にウソをついた自身の「二重国籍」問題について、記者から「(国民の疑惑を解消するために)戸籍謄本など証拠書類を開示する気はないのか」と問われた。 
 他人には「誠実な答弁」を求めた蓮舫氏だが、「(開示しない)考えは変わっていません」とだけ答えた。
蓮舫氏は、ほとんど何も考えず、ただただ安倍総理自身や与党に難癖をつけて、とにかく民進党の支持率をあげたいくらいの考えで、質問しているのでしょうが、これでは全く逆効果です。

そうして、彼女の潜在意識の中には、なるべく日米関係を毀損させたいということと、中国に有利になるようにとの考えがあるのでしょう。しかし、まとに考えて発言をしているとは到底思えないので、これはあくまで潜在意識の中でのことかもしれません。

今回の参院では、やはりTPPについての質問がありました。簡単にいえば、民進党は、 トランプ氏が大統領就任時にTPPを辞退することを表明すると発言したことから、与党がTPPを推進することは無意味ではないかというものです。民進党は、何が何でも、TPPを頓挫させたいようです。

しかし、TPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣であることは間違いありません。そうして、野田佳彦氏は現在では民進党の幹事長です。なんというか、完璧に矛盾しています。

これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!
民進党野田幹事長
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を要約して掲載します。
TPPについては、私は今のところは、完璧に頓挫したとは思っていません。 
その根拠として、一点目は、過去に大統領選においてFTAやEPAに関して、大統領選のときには反対の意思を表明しておきながら、大統領になったらこれを批准した大統領などいくらでも存在するからです。実際、アメリカの大統領選挙の公約は守られないことが、しばしばありますし。だからといって、大きな問題になったこともありません。 
二点目としては、アメリカの政治は二大政党制であり、今回のように政権交代があったとき、前政権と現政権の政治があまりにも異なった場合、とてつもなく混乱することになります。そのような混乱を避けるため、アメリカの政治では継続性の原則が貫かれています。 
継続性の原則とは、たとえ政権交代したとしても、現政権は前政権の政策を6割〜7割は引き継ぎ、後の4割から3割で、新政権の色を出すというような政治手法のことをいいます。 
三点目としては、TPPには中国は参加しません。その意味で、TPPは中国への経済的な対抗策でもあります。トランプ氏は対中国恐慌派と目されていますから、これを理解すれば、TPPを推進するほうに立ち位置を変える可能性は十分にあります。 
日本のメディアは、もうTPPは頓挫したかのように報道しているところが多いです。しかし、もっと趨勢を見極めないと、政治家、マスコミ、官僚もまたアメリカ大統領選挙の時のように、判断をまったく誤ることになるかもしれません。
TPPに関しては、他にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏が中国制圧決意、「通貨・貿易戦争」辞さず 安倍首相初会談の核心―【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を掲載します。
米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は16日公表した年次報告書で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効せず、中国や日本などが交渉している東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が発効した場合、中国に880億ドル(約9兆6千億円)の経済効果をもたらすとの試算を紹介しました。
報告書は、オバマ米政権のアジア重視戦略「リバランス」で、TPP構想は経済面での中核をなすとみられていると指摘。中国への警戒感を強めているトランプ次期大統領はTPP脱退を主張しているのですが、報告書はTPP脱退が逆に中国の立場を強めると警告した形です。

RCEP交渉には日中両国のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国などを加えた計16カ国が参加。TPPが発効した場合も、RCEPが発効すれば中国に720億ドルの経済効果があると試算。TPPが発効して、RCEPが発効しなかった場合には、中国の経済損失は220億ドルに上るとしました。

日本としては、TPPの米国離脱を阻止するのが当然です。何とか安倍総理の説得によって、踏みとどまっていただきたいものです。トランプ氏は、もともと企業経営者ですから、経営者の立場にたって、米国企業が儲けやすい体制を築きたいと思うのは無理もないのかもしれません。

しかし、米国企業の儲け、それも一部の企業の儲けそのものが、米国の国益にかなうことばかりではありません。場合によっては、著しく国益を毀損することだってあり得るのです。そのことに気づいて、トランプ氏が大統領就任時にTPPの再交渉を宣言するなら、かなりみどころがあると思いますし、大統領としてもうまくやっていけるかもしれません。

しかし、TPPに関する考え方がこのような状況ですから、威勢の良いことは言っていますがトランプ氏も意外と、方法は全く異なるものの、オバマ氏のように、米国を弱体化してしまうかもしれません。
TPPに何が何でも反対の民進党は、TPPが発効するかしないかは別にして、TPPを政争の道具に使う民進党は、いずれ日本はRCEPに参加すべきであると主張することでしょう。

RCEPといえば、中国のリーダーの下での国際ブラック分業体制ともいえます。まさに、蓮舫氏の考えに沿っているかもしれません。



しかし、RCEPは、AIIBと同じくまともに機能しない事が考えられます。なぜなら、トランプ氏は、中国製品に対して45%程度の関税をかけるとしています。そのトランプ氏がRCEPに対して、何もせずに見過ごすことなど、考えられません。おそらく、トランプ氏は同一経済圏であるRCEPにも45%程度の関税をかけることでしょう。

そうなれば、RCEPに参加する国は一気に減少することでしょう。TPPが仮に頓挫したにしても、中国にとっては、良いことはないのです。

それよりも、何よりもTPPなどで論議を重ね粘り強い交渉を続けてきて、本来TPPを主導する立場であった日本の交渉団がRCEPの交渉をはじめたら、中国代表団は太刀打ちできないでしょう。いずれ、習近平もしくは、中国次期主席は、RCEPを離脱するかもしれません。

トランプ氏や日本の自由貿易交渉団を甘く見るべきではありません。TPPやRCEPに対する見立ては、民進党も蓮舫氏もまだまだ甘いようです。まさに、世界は蓮舫氏の潜在意識や妄想の通りにはならないのです。

蓮舫氏国会であのような質問を繰り返すうちに、期せずして、与党の応援団になっています。民進党蓮舫代表ある限り安倍自民党は安泰のようです。

【私の論評】

蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!

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蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!



2015年10月17日土曜日

【米韓首脳会談】韓国トホホ… TPP参加にオバマ大統領から言及なし 朴氏は「緊密協力」―【私の論評】中韓は、個人消費をないがしろにする愚かな経済劣等生、TPP加入は全く無理(゚д゚)!


16日、ホワイトハウスで記者会見する韓国の朴槿恵大統領(左)とオバマ米大統領

韓国の朴槿恵大統領は16日、オバマ米大統領との首脳会談後の記者会見で、交渉が大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)への韓国の参加問題について「(米韓は)今後緊密に協力していくことにした」と述べた。ただ、オバマ氏は記者会見で韓国の参加問題には言及しなかった。

韓国では日本との輸出競争上の危機感から、5日の大筋合意直後から参加を急ぐべきだとの論調が目立ち、政府も積極姿勢を示してきた。一方で韓国メディアは、議会での批准手続きが残っていることを理由に、米国がすぐには韓国と本格的な論議に入れないとの姿勢を見せていると報じている。

朴氏は米韓が「既に高い水準の自由貿易協定(FTA)を締結している」と述べ、TPPでも米韓が「自然にパートナーになれる」と主張した。

【私の論評】中韓は、個人消費をないがしろにする愚かな経済劣等生、TPP加入は全く無理(゚д゚)!

米国は、韓国だけではなく、中国に関してもTPPに加入させるつもりは全くありません。それは、下の記事をご覧いただければ、お分かりいただけるものと思います。
中国のTPP参加「基準達成に長い道のり」「時期尚早」 フロマン米通商代表
内閣府でフロマン米通商代表部代表(左)を迎える甘利明内閣府特命担当大臣
 米通商代表部(USTR)のフロマン代表は15日の電話会見で、交渉が大筋合意に達した環太平洋連携協定(TPP)に中国が参加するのは時期尚早との認識を示した。「TPPが求める貿易や投資の高い自由化水準を中国が満たすには長い道のりが必要だ」と述べた。 
 フロマン氏は「TPP参加を望む国は、高い水準を受け入れることができると証明しなければならない」と強調。米中で交渉中の投資協定の成否が、中国のTPP参加資格の有無を測る「絶好の試金石になる」と述べた。米国は投資協定交渉で、TPPに匹敵する自由化を迫っているが、中国が難色を示し、協議は難航している。 
 フロマン氏は、TPPはオバマ政権が掲げる「アジア重視戦略」の要だと説明。「米議会のメンバーもTPPの重要性をよく分かっている」と述べ、協定発効に必要な議会の承認獲得に自信を示した。(共同)
米国は、なぜ中韓をTPPに入れなかったのか、そうして時期尚早としたのでしょうか。それに対するはっきりとした声明などありませんが、私のわかる範囲で分析してみます。

おそらく、以下の二点において、アメリカは中韓はふさわしくないと考えているのだと思います。

中国はなぜ加入できないのか

まずは、中国の個人消費がGDPに占める割合は、35%に過ぎないということです。これは異常に低いです。日本などの先進国では60%前後というのが普通です。アメリカは、70%台です。個人消費が低いということは、本来の意味ではそれだけ経済があまり発展していないことを意味します。

中国のGDPのほとんどは、インフラ投資によるものであり、個人消費は、2000年くらいまでは、もともと低いものの40%くらいはあったのが、GDPが伸びても消費は伸びなかったので、35%程度にまで落ちています。

中国では大規模インフラ投資案件がなくなれば、GDPもかなり小さくなるということです。実際、昨年あたりから不動産バブルが崩壊し、実体経済がかなり悪くなっています。政府は、7%成長を新常態として、これを守るといっていますが、中国の経済統計はそもそもデタラメなので、イギリスのある調査会社では、マイナス成長だったのではという推計をだしているくらいです。

中国は、個人消費をなおざりにして、インフラ投資ばかり繰り返し、それがおしまいになると、経済は悪化するばかりです。

韓国も中国ほど低くはないですが、これもかなり低いです。50%台です。これは、ロシアと同程度です。

この程度では、あまりに他国と水準が異なり過ぎます。これでは、TPP加入はかなり無理であるといわざるをえません。

韓国はなぜTPPに加入できないのか

さらに、輸出がGDPに占める割合を平成14年度の数字でみてみると、韓国は43.87%、中国は韓国ほどではないですが、22.28%です。興味のあるかたは、世界の輸出依存国別ランキングをご覧になってください。

これに比較すると、米国は9.32%です。日本は、15.24%です。日本より、輸出の低い国は米国くらいなものです。

個人消費が少ない、輸出が多いということは何を示すかといえば、経済の脆弱であるということです。個人消費が少なければ、実体経済もかなり問題があることは容易におわかりになると思います。

輸出に関しては、何やら輸出が多ければ良いことのようにとらえている人もいますが、実体はそうではありません。GDPに占める輸出の割合が多いということは、外国の情勢に大きく左右されるということです。個人消費が多くて、内需が大きいということは、外国経済に左右されにくいということです。

まさに、韓国は輸出にあまりにも大きく頼りすぎていて、外国で何かあれば、途端にとんでもないことになります。実際、日本が2013年から金融緩和に踏み切ったところ、それまで、ウォン安、円高だったのですが、今や逆転してしまい、韓国の経済はすっかりおかしくなってしまいました。

韓国といえば、とにかくグローバル化戦略などとして、輸出を振興してきましたが、内需を高める努力は怠りました。それがアダとなって、今では経済が悪化しています。

結局中韓は個人消費をないがしろにしている

韓国も、個人消費はなおざりにして、インフラ整備やグローバル化ばかり繰り返し、外国の影響をもろにかぶる体質になってしまい、今や元は本来高くしなければならないのですが、それをしないため中国はインフレ、韓国はウォン高で苦しんでいます。

TPP 加盟国のうち、経済があまり良くない国もありますが、経済の規模にもよりますが、いずれにしても中韓のようにこれだけ、個人消費を犠牲にして偏った経済の国はありません。

そんなことから、中韓のTPP加入はまだまだ時期尚早です。

中韓の経済を良くする処方箋はあるのだが・・・・・

中韓の経済をまともにする処方箋は決まりきっています。両国とも、中間層をもっと増やしそれらが、社会・経済活動を活発にできるようにすれば良いのです。

中国であれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めれば、中間層が増えて、社会経済活動も活発化します。今までが、今までだったので、少しでもこの方向に進めば、実体経済は必ず良くなります。

韓国の場合は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関しては、中国よりは進んでいますが、それでも先進国から比較すれば、遅れているので、それを推進すべきです。それとともに、グローバル化の推進一辺倒から、内需を拡大する方向に舵を切り直すべきです。

サムスンなどのグローバル企業ばかり育成しようとしても、結局は脆弱な経済になるだけです。まずは、内需を拡大させるべきです。そのための方策はいくらでもあるはずです。

しかし、両国の首脳も、政府もこのようなことは、わかりきったことなのに、この方向に向かっての動きはまったくしようとしません。習近平は、反日とインフラ投資、朴槿恵は反日とグローバル化とりわけ、中国接近を馬鹿の一つ覚えのように繰り返すばかりです。愚かとしか言いようがありません。

であれば、中韓がTPPに参加すれば、とにかく韓国は、自国民を犠牲にしても、安い製品で他国から儲けることばかり考え、中国は外国へのインフラ投資をすることで儲けようとし、それを繰り返し、結局中韓もダメになり、他の国も悪影響を及ぼしてしまいます。

結局、両国ともその方向性は異なりますが、結局のところ個人消費をなおざりにしています。両国とも、一般国民の社会・経済活動はなおざりにして、経済がひどく偏り、今や破綻の一歩手前です。であれば、米国が中国や韓国をTPPに受け入れないのは当然のことです。

中韓をみていれば、内需をなおざりにする国は、一時経済が良くなったようにみえても、いずれ萎んでしまいます。

米国のように、個人消費を煽りに煽って、サブプライム・ローン問題のような過ちを犯すこともありますが、それにしても、こういう過ちさえ防ぐことができれば、強力な経済を維持することができます。

日本も、過去の酷いデフレなどもありますから、偉そうなこともいえないですが、それでも個人消費はGDPの60%前後をずっと維持してきていますから、中韓とは根本的に経済の構造が異なります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連書籍】

中韓のTPP加入などあり得ません。それどころか、中韓の経済はもう瀬戸際です。崩壊するのは予定帳場となりました。もう、秒読み段階です。今後、日本が気をつけなければならないのは、経済だけではなく、中韓からの偽装難民です。以下に、それらを納得していただける書籍を掲載しました。

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中韓に食い物にされるニッポン 在日特権、偽装難民を許すな!
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2022年8月18日木曜日

台米の貿易交渉、今秋開始へ 行政院「貿易協定締結へ」―【私の論評】岸田首相は、TPP加盟で、中国については反対、台湾は賛成と表明すべき(゚д゚)!

台米の貿易交渉、今秋開始へ 行政院「貿易協定締結へ」


 台湾と米国の経済連携の強化に向けた新協議体「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の交渉が今秋、正式に開始する見通しだ。行政院(内閣)は18日、双方は「なるべく早期に具体的成果を出し、貿易協定を締結したいと願っている」と説明した。

 台湾と米国は今年6月、新協議体の始動を発表。貿易の円滑化やデジタル経済など11分野を柱とする。米通商代表部(USTR)が17日夜、報道資料を出し、今秋の協議開始について明らかにした。

 USTRのサラ・ビアンキ次席代表は、「台湾との貿易や投資における関係深化を促し、双方が価値を共有する貿易の優先事項の推進につながる」との考えを示した。

【私の論評】岸田首相は、TPP加盟で、中国については反対、台湾は賛成と表明すべき(゚д゚)!

米台の貿易交渉は、日米など14カ国が参加表明した経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に台湾が加われないため、米台イニシアチブを代替の枠組みとするとされています。 IPEFと他の貿易協定の関係を以下に掲載しておきます。


今月初めにナンシー・ペロシ米連邦下院議長が台湾を訪問して以来、米中間の緊張が高まっています。

中国は台湾を、自国から分離した省とみており、いずれは再び中央政府の支配下に置かれるべきだと考えている。一方で台湾は、独自の憲法と民主的に選出された指導陣を持つ独立国家を自認しています。

アメリカは台湾を正式に承認していないですが、強力な関係を維持しており、台湾が自衛できるよう武器を販売しています。

これとは別に、ダニエル・クリテンブリンク米国務次官補(東アジア太平洋担当)は18日、中国政府の「威圧感の増大が(中略)台湾海峡の平和と安定を脅かしている」と発言。

「平和と安定を損なおうとする中国政府の現在進行形の動きに直面する中で、我々は長年の方針に沿って、平和と安定を守るために冷静かつ断固とした措置をとり続け、台湾を支援していく」としました。

中国は、台湾に対する軍事的威嚇だけではなく、経済的にも報復する姿勢を示しています。

中国は台湾産のかんきつ類や一部水産物の輸入と、天然砂の台湾向け輸出を一時停止しました。果物から害虫や殺虫剤を検出したことなどが理由というが、誰も信じないでしょう。強大な経済力で対立する相手に圧力をかける経済的威圧は中国の常套手段です。

指摘したいのは、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも7月末の日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)でも、中国を念頭に置き、経済的威圧に対処する考えを確認したことです。台湾が中国の圧力にさらされている以上、台湾に寄り添い、支えるのは民主主義国の責務です。

日本は当事国ではないから傍観するというのでは中国の振る舞いを黙認することになります。台湾と連帯するため日本が取るべき行動はあるはずです。手始めに、中国と台湾が昨秋、ともに申請したTPP加盟で、中国については反対、台湾は賛成と岸田文雄首相が表明してはどうでしょうか。日本の同意がないと中国加盟の道は閉ざされます。いつまでも強権姿勢を改めない中国がTPPにそぐわないことを、まずははっきりさせるべきです。

そうして、IPEFには、問題があります。

それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
バイデンが転換すべき「貿易臆病」のナラティブ―【私の論評】TPPに復帰し中国を封じ込め「地政学的戦争」に勝利すれば、バイデン氏は歴史名を刻むことに(゚д゚)!
問題はIPEFの実効性です。米国の関税率引き下げが期待できず、自国の非関税障壁の縮小を迫られるならば、新興国にとりIPEFに参加するメリットは不透明と言えます。一方、日本政府は、TPP加盟こそが米国の本来採るべき道と考えているようです。萩生田光一経産相は、5月10日の閣議後会見で、IPEFに関し「加盟国のメリットが不明瞭」と率直に語りました。

米国もそうした指摘は十分に認識しているのでしよう。IPEFの交渉の柱とする「公正な貿易」、「サプライチェーンの回復」、「インフラと環境への投資」、「税制と腐敗防止」の4つの分野に関し、個々の国が全ての議論に参加する必要はなく、個別に選んで参加できる方式を導入する模様です。

それでも、今のところASEAN10ヶ国でIPEFへの参加が見込まれるのはシンガポールだけと言われています。トランプ前大統領がTPPから離脱したツケは、米国のインド太平洋戦略に大きなダメージを与えていると言えます。

このようなことがあるので、台湾は米国と貿易交渉をすること自体はやぶさかではないのでしょうが、IPEFに準ずる貿易協定になるため、あまり期待はしていないでしょう。

実際、ブログ冒頭の記事は、「フォーカス台湾」という台湾のサイトの記事なのですが、事実を淡々とは述べていますが、台湾側の期待などについては、触れられていません。

台湾はTPP協定を熱心に勉強していますし、大陸中国とは異なり、民主化が進み、市場は自由化し、変動相場制を導入しています。加入交渉に時間はかからないでしょう。台湾が高いレベルの協定を受け入れて中国ができないということになれば、中国のメンツは保てないです。

中国のTPP加入申請は、米国がTPPから離脱したために起こったものです。米国では自由貿易に反対する勢力も強いですが、中国に厳しい態度で臨むべきだとする勢力も強いです。米国が中国に対抗しようとするなら、TPPに復帰することが望ましいことを米国に働きかけるべきです。

TPP交渉を開始したオバマ政権の副大統領だったバイデン大統領なら、中国との関係でもTPPは重要であることを理解するでしょう。また、通商関係では、連邦議会は大きな力を持っています。

中国の台頭を懸念するチャック・シューマー民主党上院院内総務

中国の台頭を懸念するチャック・シューマー民主党上院院内総務などにもTPPの重要性を訴えるべきでしょう。仮に復帰のために必要があると米国が要望するのであれば、米国が希望するTPPの環境章や労働章を見直してもよいと思います。

岸田首相が、TPP加盟で、中国については反対、台湾は賛成と岸田文雄首相が表明し、最終的に台湾と米国をTPP に加入させることに成功すれば、世界が安倍元総理を注目したように、岸田首相を注目することになるでしょう。再び日本が、安倍総理時代の時のように、世界で自由貿易や、安全保障でリーダーシップを発揮する契機となることでしょう。

菅前総理は、安倍元総理のリーダーシップを継承しましたが、岸田総理はどうなのか、非常に疑問です。しかし今更これを継承しないというのなら、日本に存在感は地に落ちるでしょう。ましてや、親中派路線を強行することにでもなれば、日本も中国に並んで、世界から邪悪な存在とみなされかねません。

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台湾 軍による沿岸での「重砲射撃訓練」開始へ 中国軍に対抗か―【私の論評】大国は小国に勝てないというパラドックスに気づいていない、愚かな中国(゚д゚)!

2019年1月7日月曜日

【社説】米国がTPP11発効で失った市場―【私の論評】トランプの次の大統領がTPPを見直す(゚д゚)!

【社説】米国がTPP11発効で失った市場

The wallstreet journal



 たとえ米国が動かなくとも、世界は動く。この表現は、貿易においては確かに真実だ。環太平洋経済連携協定(TPP)は、ドナルド・トランプ米大統領が離脱を表明した2年後、TPP11という新たな装いの下で年明けとともに11カ国で始動した。これによる最大の敗者は、米国の生産者だ。

 正式名称「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」、いわゆるTPP11は先週、カナダ、日本、メキシコ、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポールの間で発効した。同協定は、全輸入品目の95%について加盟国間の関税を撤廃するもので、加盟諸国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の13%に相当する。TPP11はベトナムでは1月14日に発効し、ブルネイ、チリ、マレーシア、ペルーでも批准手続きが進められている。

 元々のTPPで規定されていた1000以上の項目は、20前後の項目を除いて全て、新たな協定に盛り込まれた。凍結された項目の中には、著作権の有効期間の延長、バイオ医薬品の特許保護期間を8年とすることなど、米国にとっての優先項目も含まれている。しかし、知的財産権に関する他の成果や、外国投資家の保護、国有企業に公平な競争条件を求める項目は、新協定に引き継がれた。

 米国の離脱にもかかわらず、加盟国は依然として大きな利益を得られる状況で、ピーターソン国際経済研究所によれば、世界でざっと1470億ドル(約16兆円)の実質所得の拡大が見込まれる。同研究所はマレーシアとシンガポールで2030年までにさらに3.1%と2.7%の実質所得の伸びを予想している。別の推計によれば、ベトナムからTPP11加盟国への繊維・アパレル輸出は30億ドル増えるとみられている。

 カナダは、米国がTPPに残留していた場合よりも大きなGDP押し上げ効果を得られる見通しだ。これは主に、日本の市場から追い出される公算が大きい米国の農家が犠牲になることで生じる。日本政府は通常、牛肉に38.5%の関税をかけており、米国にはこれが適用されるが、カナダ・ニュージーランド・オーストラリアからの輸入品にかかる関税は9%に下がる。カナダ政府は結果として牛肉の総輸出が10%増えるだろうと予測している。

 米小麦協会のビンス・ピーターソン会長は先月ワシントンで、TPP11が発効すれば、日本で53%を占めている米生産者の市場シェアが、「直ちに崩壊する」恐れがあると述べていた。日本に輸出される米国産小麦の価格は、カナダ産や豪州産より1ブッシェル当たり40セント不利になる見通しだ。

 米国産豚肉にとっても、状況が良いとは言いがたい。2017年の欧州から日本への豚肉の輸出額は過去10年間で初めて米国からの輸出額を超えた。差し迫った日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の発効により、欧州は一層有利になる。米国から中国への豚肉の輸出も、トランプ政権が課した関税への報復措置として中国政府がかける62%の関税に直面している。

 トランプ大統領の貿易政策を支持する人々は、彼の関税措置が単なる短期的なコストであり、結果としてはより良い貿易取り決めにつながると主張している。しかし、TPPからの離脱は、それによってどの国からも貿易的な譲歩措置を得ることができなくなるため、市場の非効率による過度の経済損失(deadweight economic loss)となる。米国と日本は2国間貿易協定について改めて交渉を行うが、2国間協議よりも容易に、そしてはるかに迅速に日本市場を開放する道はTPPだった。

 新協定のTPP11はまた、他の参加諸国の内部変革にも拍車を掛けている。ベトナムは同協定の一環として外国小売企業に対する制限の緩和、金融部門に対する外国企業の投資上限引き上げを行っている。マレーシアはTPP11加盟国の銀行に対し、同国内での支店開設数を従来の2倍に拡大することを認める。

 米国のTPP離脱は近年の経済史上、最悪のオウンゴール(自殺点)の1つとなった。トランプ氏が残りの任期である今後2年間のうちに方針を再考することはありそうにないが、恐らく次の大統領はそうするだろう。

【私の論評】トランプの次の大統領がTPPを見直す(゚д゚)!

日米の貿易協議が早ければ2019年1月下旬にも始まります。日本政府は物品に限ったTAG(物品貿易協定)の交渉に限定したいのですが、トランプ政権はサービスその他重要な分野も含めた包括的なFTA(自由貿易協定)を目指しており、日米の思惑に違いがみられます。果たして日本のシナリオ通りの展開となるのでしょうか。

TAGにこだわる安倍政権の意図

18年9月26日の日米首脳会談で日米貿易協定の交渉入りを合意しました。しかし、日本政府が、共同声明の英文にもない「TAG」という造語を使ったことから、野党からは「TAGを捏造」と批判されることになりました。

日本政府が発表した共同声明には、「日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する」と書かれています。


このTAGへのこだわりに安倍政権の戦略的な意図が読み取れます。安倍首相も,「TAGは日本がこれまで締結した包括的なFTAとは全く異なる」と説明しています。

この2年間、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したトランプ政権が包括的な日米FTAの締結を日本に迫るなか、米国抜きのTPP11を主導した安倍政権は、日米FTA交渉には絶対に応じないと言い続けてきました。

しかし、二国間主義に基づき追加関税で脅しながら相手国に譲歩を迫るトランプ流の交渉術が一応の成果を上げ、それが多国間よりも二国間の交渉の方が米国に有利だというトランプ政権の主張を勢いづかせ、「米国のTPP復帰が最善」と主張する日本にとっては不都合な状況になりました。

結局、米通商拡大法232条(安全保障条項)に基づく米国の自動車・同部品の25%追加関税の対象から日本を除外させることが、安倍政権の優先課題となってしまい、TPPの問題を一時棚上げにして米国の要求を受け入れ、実質的な日米FTA交渉の開始に合意するしかありませんでした。TAGはその苦肉の策です。

TPPか日米FTAか、日米の思惑が錯綜するなか、日本は着地点に向けてどのようなシナリオを描こうとしているのでしょうか。玉虫色の日米共同声明には、さらに、「上記協定の議論が完了した後、他の貿易・投資の事項についても交渉」とあります。

安倍政権は、第1段階は関税撤廃などTAGに限定、第2段階で関税以外のルールづくりを目指すという2段階方式のシナリオを描いています。ただし、米国のTPP復帰を諦めていません。

深読みすれば、ポスト・トランプも睨みながら、第2段階のルールづくりで日米FTAの議論をTPP復帰問題にすり替えるチャンスを虎視眈々と狙うしたたかな戦略を考えています。それがまた、米国のTPP復帰を前提にTPP11(CPTPP)をまとめ上げた安倍政権の矜持といえるでしょう。

死角だらけの日本の通商シナリオ

表現がどうであれ、TAGは紛れもなくFTAです。関税撤廃などを米国だけの特別扱いにするのであれば、FTAを締結しなければ、WTO協定の最恵国待遇原則に違反します。TAGに関する日本側の最大の懸念材料は、米国がTPP水準を超える農産物の市場開放を日本に要求してくることです。その懸念を払拭するため、「農産物の市場アクセスはTPPの水準を超えない」との文言が合意文書の了解事項として盛り込まれました。

さらに、18年7月の米EU合意と同様、交渉中は米国が日本に対して自動車・同部品の25%追加関税を課さないようにするため、「交渉中は、共同声明の精神に反する措置の発動を控える」という表現で米国の確約を得ました。これら2つの約束を取り付けたという意味で、安倍政権にとっては米国の圧力下で満点に近い合意を得たと言ってよいでしょう。

しかし、今後の展開は予断を許さないです。その後「TPP以上の譲歩を日本に要求する」というパーデュー農務長官の発言が飛び出すなど、「TPP並み」が農産物の攻防ラインとなるのは必至です。

さらに、米国側の了解事項に、「自動車分野について、米国内での生産及び雇用の増大に資するものとする」という文言が盛り込まれたことが火種となるでしょう。米自動車メーカーは日本市場において戦意を喪失しており、日本への自動車輸出は増える見込みがないため、日本の対米自動車輸出を規制するという「管理貿易」の議論に発展しそうです。

日本は米国の要求を飲まされるのか

米国の貿易関連法により,貿易交渉開始の30日前に、米通商代表部(USTR)は議会に交渉目的を通知しなければならないです。このため、USTRは18年12月21日、日本との貿易協議に向けて22分野の要求項目を議会に通知しました。22項目の中身をみれば、TPPとほとんど同じような分野が並んでおり、包括的な日米FTAの締結を目指すトランプ政権の強い姿勢がうかがえます。

18年12月10日にワシントンで開かれたUSTRの公聴会では、米国の業界団体からTPPを上回る水準の協定を求める声が相次ぎました。このため、要求項目には、農産品の関税引き下げや自動車貿易の改善にとどまらず、通信や金融などサービス分野を盛り込んでいます。さらに、薬価制度や為替問題も協議するとしています。

日本側が最も反発する項目は、通貨安誘導を禁ずる為替条項の導入です。米自動車業界は円安による日本車の輸出攻勢を恐れています。このため、円売り介入だけでなく、日銀の異次元金融緩和までも円安誘導策とみています。安倍政権は交渉対象から為替問題を外し、日米の財務当局に委ねたい考えです。

USTRによる議会への通知によって、改めて日米の思惑の違いが浮き彫りとなりました。日米の貿易協議を担当する茂木経済財政・再生相とライトハイザーUSTR代表が12月中旬に電話会談をし、共同声明を順守することを確認したとされますが、ゴリ押しの通商政策を展開するトランプ政権を相手に、果たして日本のシナリオ通りにTAGの議論を先行できるかは不確実です。

日米貿易協議の初会合にのぞむ茂木経済財政・再生相とライトハイザーUSTR代表(昨年10月9日、ワシントン)

米中協議が難航すれば日本に追い風?

一方,18年12月1日の米中首脳会談で90日間の貿易協議に入ると合意しました。期限は19年3月2日です。米国は対中貿易赤字の大幅削減を要求していますが、知的財産権の保護や技術移転の強要などの問題も議題に挙げています。しかし、中国の国家資本主義の象徴ともいえる「中国製造2025」をめぐる米中の対立はハイテク覇権争いが絡んでおり、落としどころも難しいです。



19年1月下旬から開始予定の日米TAG交渉に、米中協議はどのような影響を及ぼすでしょうか。「米中衝突は日本にプラス」との見方は少なくないです。中国が譲歩しすぎると米国が自信をつけて日本に高圧的になる恐れもありますが、逆に米中協議がもつれると、日本との交渉は先送りされる可能性も出てきます。

日米はTAG交渉には期限を定めていません。それでも19年6月下旬に大阪で開かれるG20首脳会議に合わせてトランプ大統領が来日しますが、その折の日米首脳会談で譲歩を迫られることを日本側は警戒しています。

安倍政権の本音としては、TAG交渉の決着をできるだけ19年夏の参院選後に引き延ばしたいということがあるでしょう。与党自民党が、農産物の市場開放がたとえTPP並みであっても、選挙にマイナスに響くことを恐れているからです。

米中協議は、予め難航することが予想されるため、TAG交渉の決着は参院選後になることが予想されます。ただしその後はどうなるかは、未だ予測がつかない段階です。

「タリフマン(関税好き)」を自称するトランプ大統領は、日米の貿易協議入りと引き換えに、自動車関税を棚上げにしましたが、矛先が日本に向くリスクは消えていません。日本側の時間稼ぎに腹を立て、再び関税の引き上げを言い出す可能性があります。2019年のTAG交渉は安倍政権にとってまさに正念場といえます。
日本側としては、冒頭の記事にもあるように、ポストトランプの大統領に望みを託すことになりそうです。

次の大統領は、TPPが協力な中国包囲網となることを容易に理解すると、考えられます。そうして、日米のそうして世界の貿易関係は、TPPの枠組みの中でというのが、理想的です。

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2018年3月3日土曜日

韓国の盗作イチゴ、日本の被害額は220億円… 農林水産相も指摘―【私の論評】中国・韓国がTPPに参加できないのはまさにこれが理由(゚д゚)!



カーリング女子日本代表「LS北見」が食べていたことで、一躍世間の注目を集めた韓国産のイチゴ。メンバーからは「びっくりするぐらいおいしくてお気に入りでした!」との発言も飛び出すが、その一方、この発言に頭を抱える面々も。3月2日の会見で斎藤健・農林水産相が「日本から流出した品種をもとに韓国で交配されたものが主だ」と指摘したように、根深い“盗作イチゴ”問題が存在するのだ。

 ***

 「残念です! 彼女たちが食べたのは本当に韓国のイチゴだったのでしょうか」

 と悔しがるのは、「とちおとめ」「スカイベリー」などで出荷量、販売額ともに全国1位で、“イチゴ王国”を標榜する栃木県農政部経営技術課普及情報担当である。

 「ゲームの最中から、あの“もぐもぐタイム”でイチゴを召し上がる率が高かったので気になっていたんです。もちろん『とちおとめ』や『スカイベリー』なら言うことなしですが、韓国から近い九州産のイチゴかな、などと思っていました。でも、鈴木夕湖選手から『韓国のイチゴ』と明言されてしまって……残念です」

 韓国で開催されている平昌(ピョンチャン)五輪なんだし、メダルも取れたんだから、堅いことを言うな、という向きもあるだろう。ハーフタイムに彼女たちが食べて、売り切れ状態になったチーズケーキ「赤いサイロ」に続きたいと思っているわけではない。イチゴ農家関係者には看過できない、とても「そだねー」などと言っていられない事情があるのだ。社会部記者がいう。

 「昨年6月、農林水産省は、日本のイチゴが韓国に流出したことで、日本産イチゴの輸出機会が奪われ、5年間で最大220億円の損失。また、およそ1300億円といわれる韓国のイチゴ市場からのロイヤリティの損失は、年間16億円になるとの試算をまとめたのです」

9割以上が日本産
 農水省に聞いてみよう。

 「そうですね、現在の韓国のイチゴ栽培面積の9割以上が流出した日本の品種をもとに開発された品種なのです。例えば、韓国で開発された『クムヒャン(錦香)』は日本の『章姫(あきひめ)』と『とちおとめ』を交配に用いていますし、『ソルヒャン(雪香)』は日本の『章姫』と『レッドパール』といったものです。これらの日本の品種は韓国へ流出してしまったものなのです。それらの日本の品種が、韓国で育成者権を取得できていれば、現在もロイヤリティは入ってきたわけです。また韓国はこうした品種のイチゴをアジア各国に輸出もしておりますので、日本が流出を防げていれば、アジアへの輸出は日本産で代替できていただろうという試算なのです」(農林水産省食料産業局知的財産課種苗企画班)

 流出といえば穏やかだが、平たくいえば盗まれたのである。

 「1993年に開発され国内産だけだったはずの『とちおとめ』が、東京の青果市場に“輸入”されたのは2001年のことでした。市場関係者から、韓国産が出ていると連絡が入ったのです。ええ、堂々と『とちおとめ』を名乗っていたから、連絡が来たんでしょうね。韓国名で出荷すればわからなかったと思うのですが、当時はそれほど知的財産の意識も低かったんでしょう」(前出の栃木県農政部経営技術課普及情報担当)

韓国内で日本の種苗が盗まれる

 愛媛県宇和島市のイチゴ農家、西田朝美さん(故人)が3年をかけて交配し開発された『レッドパール』は、韓国人から種苗を分けてくれと日参され、何度も断ったが、根負けして品種を分けたという。それが韓国内で盗まれたのだ。西田さんと共に韓国に招かれ、栽培の講師を務めたという赤松保孝さんが振り返る。

「西田さんと何度も韓国へ行って、各地で栽培の仕方を教えたんだ。韓国の人が喜んでくれればと思ってね。一時は韓国のイチゴの6割は『レッドパール』になったそうだけど、そのうちの3分の2は盗まれた種苗だったそうだ。220億円? 最近の話はわからないけど、ちゃんと売れていたら西田さんが生きていたら大金持ちになっていたかもしれないね。当時は韓国で種苗法が通らなかったから……」

 そう、韓国には法律がなかったのだ。社会部記者が言う。

 「国際的には、育成者権を守る国内法整備を進める『ユポフ(UPOV)条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)』があり、日本は82年に批准しています。その後、91年に、育成者権の存続期間を延長した新条約に改正され、韓国が加わったのは2002年のこと。それでようやく韓国もイチゴを権利対象にすることを検討し始めたのですが、イチゴを保護対象から外してしまったのです。その期間はユポフ条約の延長期間の限界である10年間、つまり12年まででした」

 ユポフ条約では、海外への譲渡開始後4年以内でなければ、海外での品種登録はできない。それゆえ、「とちおとめ」も「レッドパール」も韓国で品種登録することはできなかった。その代わり、12年に登録されたのが“ウリジナル(韓国オリジナル)”の「錦香」や「雪香」というわけである。

 余談だが、韓国では「イチゴ大福」をめぐり、2店が“元祖”の争いをしたこともあるという。勝手にやってろ!と言いたいところだが……、

北海道産の「白いんげん」も流出

 農水省は、今年度予算を組み、東アジアでの流出の実態をつまびらかにしていくという。

 「すでに流出してしまったものに関しては、対策の取りようがありません。しかし、新たな品種に関しては権利化を進めていきます。え? カーリングですか。ええ、ああ、話は聞いていますが……それについてはコメントいたしかねます」(前出の農林水産省食料産業局知的財産課種苗企画班)

 日本ブランドの流出はイチゴに限らない。LS北見の故郷・北海道北見市でも育てられている白いんげん「雪手亡(ゆきてぼう)」の種苗は、中国に盗まれ、収穫されて日本に輸出されたこともある。

雪手亡

「雪手亡」は和菓子の白あんにも使われる。LS北見の選手たち、“もぐもぐタイム”には、国産をご賞味あれ。

【私の論評】中国・韓国がTPPに参加できないのはまさにこれが理由(゚д゚)!

韓国が過去に日本のいちごの種苗を盗んでいたということが話題になっていますが、いちごでこの有様ですから、他の農産物や、工業製品などはどのようなことになっているか推して知るべしというところです。

このようなことをしていると、一見得したとか、濡れ手に粟で儲けたようにも思えるかも知れません。しかし、世の中そのように単純ではありません。このようなことばかりしている国は、自由貿易などはできません。実際、韓国はTPPに参加できません。

2018年3月1日、韓国・毎日経済は「米国のスティーヴン・マヌーチン財務長官が日本主導のTPP(環太平洋連携協定)への再加入に関するハイレベル協議が始まったことに初めて言及した」と伝えました。 

米国のスティーヴン・マヌーチン財務長官


記事によると、マヌーチン財務長官は現地時間の先月27日に開催された米国商工会議所主催の投資説明会で、TPPに関するハイレベル協議に言及し「ドナルド・トランプ大統領は(TPPへの再加入を)再び検討するだろう」と述べました。マヌーチン財務長官は「今のところ優先的な内容ではない」と前提をつけたといいますが、記事は「米国の利益のためにTPP再加入の可能性があることを示唆したとみられる」と伝えています。

また、「韓国は現在、トランプ大統領からかつてないほど強い圧力を受けている」とし、「ソーラーパネルと洗濯機へのセーフガード(緊急輸入制限措置)に続き、鉄鋼への53%の関税賦課決定も目前に迫っている」と説明。「このような状況の中、アジア地域で日米を中心とした貿易同盟の議論が急進展したら韓国が孤立してしまうと懸念する声が高まっている」と伝えています。

最後に「米国の一方的な保護貿易措置に続き、TPP問題にも直面している韓国の選択肢は限られている」と指摘。仁荷大学のジョン・インギョ対外副総長の「韓国が今TPPに参加する場合は既存の立場をそのまま受け入れなければならないが、それは国内的にかなり難しい。しかし、もう少し積極的に関心を表明することは必要だ」とのコメントを紹介しています。

この報道を受け、韓国のネットユーザーからは「これでも文在寅(ムン・ジェイン大統領)を外交の天才と言える?」「文大統領が韓国に災いをもたらしている」「現政府は北朝鮮と中国にすり寄っている。それで米国からの関心を失った。さらに日本からも無視されている。韓国を属国のように扱う中国にこびを売った結果、今の経済状況になってしまった。韓国経済の未来は暗い」など、文大統領への批判の声が寄せられています。

また「韓米関係が最悪という事実をやっと悟ったようだな」「韓国は1人ぼっちだ」など、孤立する韓国についてため息交じりの意見も見られました。

どうやら、韓国のネットユーザーもなぜ韓国がTPPに加入できないのか、その根本的な理由を理解していないようです。

中国もTPPには加入できません。それは、現在の中国は、民主化、経済と政治の分離、法治国家が十分なされてないというところが問題になるからです。これらが、ある程度進まいないとTPPには入れません。

なぜなら、このへんが良くできていない国がTPPに入ると、自由貿易を阻害することになるからです。はっきりいえば、このような国では不当に低賃金で労働者が働かされたり、品質が守られなかったりで、結局のところ自由貿易によって、その国のブラック的なものが、様々な農産物や製品に上乗せされた形で輸出(不当に低価格だったり、不当に品質が低いということ)されてしまい、自由貿易を阻害するからです。

ちなみに、ベトナムはTPPに参加するために、国営企業の改革を行います。TPPに入るというのなら、中国もそれこそ、国内の構造改革をしなければならなくなります、それは到底無理なことです。だからこそ、中国は入れないのです。

そうして、中国が入らないということは、反対の側面からみれば、中国に対する環太平洋諸国による包囲網の構築にもなります。最近米国が参加を打診しているのは、このような側面もあるからです。


韓国もブログ冒頭の記事の「いちご」などの種苗を盗むようなことが横行している国であり、そもそも知的財産権などを守るという意識が希薄な国ですから、そもそも最初からTPPの対象ではなかったのです。

離脱した米国を除く11カ国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に韓国が関心を示し、参加に向け交渉を主導する日本政府に事務レベルで接触していることが先月23日、分かりました。合意した11カ国によるTPP11に乗り遅れれば、アジア太平洋地域の成長を自国に取り込めないとの危機感が韓国側にはあるとみられます。これに対しTPP参加国は2019年の早い時期の発効を目指しており、日本政府もまずは11カ国での発効を優先させる方針です。

複数の日本政府関係者が明らかにした。このほど韓国から問い合わせを受けたといいいます。韓国側は協定の詳細を確認し、参加の可否を探っているとみられます。

TPPには韓国のほかコロンビアや英国など複数の国・地域が関心を寄せています。米国も1月下旬、トランプ大統領が再交渉を条件にTPPへの復帰を示唆しました。TPP11の協定文は「ほかの国の加入を歓迎する」と明記し門戸を開いています。

ただ、日本政府はTPP11について「ガラス細工のようなもので、変更することは考えていない」(安倍晋三首相)との立場です。一部を修正すると“玉突き”で変更が必要となり、収拾がつかなくなるからです。このため、まずはTPP11を発効させた上で、参加国を増やす構えで、韓国を含む参加国の拡大も発効後に検討することになりそうです。

韓国などがTPP11に関心を高めているのは、貿易・投資を高いレベルで自由化した経済圏が、アジア太平洋地域に誕生することが確実になったからです。

TPP11参加国の合計の経済規模は世界の国内総生産(GDP)の約14%。米国の離脱で一時は漂流も懸念されたましたが、1月に協定文が確定し、3月8日にチリで署名式を開きます。

一方、韓国は米国などと2国間の自由貿易協定(FTA)を軸に通商戦略を進めていましたが、日本が2013年7月にTPP交渉に入ると方針転換し、同年11月にTPP参加国と協議する方針を表明しました。しかし、昨年1月、米トランプ政権がTPP離脱を表明して以降は、参加国との本格的な交渉が途絶えていました。

それにしても、先に述べたように、いちごの種苗にみられるように、知的財産権を軽視するような国は、TPPには入れません。韓国も、抜本的な構造改革が必要になるわけです。

しかし、私としては、このブログにも以前書いたように、韓国はそんなことを考えよりも先似、量的金融緩和をして、雇用、特に若者雇用を改善すべきです。その後、グローバル化の美名のもとに伸ばすことのなかった、内需を拡大するべきです。

TPPに加入するなどのことは、これが終わってからにすはべきです。雇用改善、内需拡大をしないうちに、TPPに加入して、仮に自由貿易ができるようになったにしても、一部のグローバル企業が潤うだけであって、雇用や家計への打撃は解消されることなく、放置されることになってしまいます。

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