2011年2月21日月曜日

マクドナルドが絶対に発売しないハンバーガー―【私の論評】観察力の鋭い人ならすぐにわかるはず!!日本マクドナルドが絶対に販売しないのは、中華バーガーと韓流バーガー!!

マクドナルドが絶対に発売しないハンバーガー


マクドナルドの目玉商品といえば、ビッグアメリカシリーズだ。テキサスバーガー、ニューヨークバーガー、ハワイアンバーガー、カリフォルニアバーガー、アイダホバーガー、マイアミバーガーなど、アメリカの州をモチーフとしたハンバーガーである(マイアミだけ都市の名前)。

しかし! マクドナルドが絶対に出さない州がある。きっと、この州のハンバーガーは絶対に出さないはずだ。それはどこの州のハンバーガーか? 

ケンタッキー州のケンタッキーバーガーである。

とにかく名称がヤバイ。このケンタッキー州をモチーフとしたハンバーガーは、決してマクドナルドから発売されないだろう。ケンタッキー州は馬、牛、乳製品、豚、大豆、トウモロコシが特産品となっているが、やはりケンタッキー・フライドチキンのイメージが強いうえ、ケンタッキー・フライドチキンの本社もケンタッキー州にある。

そもそも、他社を宣伝するかのようなハンバーガーは出せない。

しかしだ! もしマクドナルドがケンタッキーバーガーを作ったならば、企業の考えとは逆に「マクドナルドすげえなあ!」という声があがるのは間違いなく、そのマクドナルドの勇気に敬意を表する人が多くなるだろう。……まあ、出ないと思うけど。


【私の論評】観察力の鋭い人ならすぐにわかるはず!!日本マクドナルドが絶対に販売しないのは、中華バーガーと韓流バーガー!!
さて、上の記事、がっかりですね。ケンタッキーバーガーは、確かに出さないでしょうが、これは、競争相手を想起させるので、あまりにも当たり前といえば、当たり前と思います。というよりも、何よりも、マクドナルドが出さないハンバーガーという言い方もおかしいと思います。もともと、ビッグアメリカシリーズは、日本でしか販売されていないものです。それに、このキャンペーン、日本人向けのものであり、日本人の特性を知り抜いて実施したキャンペーンであることは、このブログにも以前掲載しました。だから、本来は日本マクドナルドが絶対に販売しないバーガーなどと銘打つべきだったでしょう。しかし、これくらいのことしかいえないのであれば、ギャグとしても、あまり意味がないですし、芸人だったら、これでは笑いは取れないでしょう。

それよりも、何よりも、上の文章を書いた人、観察力がなさすぎると思います。今まで、絶対に出さなかったメニュー、これからも出しそうもないメニューがあります。

それは、他のハンバーガー屋であれば、少なくとも、それを想起させるような商品を販売しているところもありますが、日本マクドナルドでは出していなメニューです。それは、日本、アメリカ以外の国を素材としたものです。たとえば、中華バーガー、韓国風バーガーあるいは、タイ風バーガーなどのエスニック系バーガーなど、あっても良さそうなのに、一切ないですね。

和風と、アメリカンは出しても、その他の国のものや、それを想起させるものは一切だしていません。

これは、何でなんでしょう。考え方としては、理解しやすいです。やはり商品が消費者の意識から、外れるというか、訴求力が弱まるということを懸念としての事だと思います。

もともと、ハンバーガーは、アメリカのものです。しかも、日本に上陸したのは、他の食品などから比較すれば、本当にごく最近のことです。ちなみに、日本マクドナルドの一号店は、1971年(昭和46年)7月20日、銀座三越内にオープンされました。

ハンバーガーなど、日本人はほとんど馴染みがなかったものです。だからこそ、アメリカというイメージを大切にし、定着させていったのだと思います。しかし、そけだけだと、商品に幅もでないし、顧客にも飽きられてしまうので、後から、和風もだしてみたところ、あたったので、定番メニュー化したというのが真相だと思います。

しかし、ただでさえ、外国起源の食べ物で、馴染みが少なく、そこで、さらに、カレー味とか、キムチ味とかのものを出してしまえば、顧客の意識の中で、ハンバーガーそのものが希薄化するのは必定だと思います。だからこそ、過去にもだしていなかったし、これからも出さないことでしょう。日本人には、日本人特有の食生活があります。もともとのハンバーガーという食習慣ですら、根付けるのに長時間かかりました。それを、さらにに変えるということは、多くの人が思っている以上に難しいことなのだと思います。食習慣の殻を破るということは、それほど難しいことなのだと思います。

カレーライスなどは、日本では、海軍に取り入れられ、毎週土曜日がカレーの日とされ、すべての将兵が食べていた時期があります。この規模で、取り入れられれば、外国起源のものでも、急速に普及するでしょうが、一民間企業では、なかなか難しいことなのだと思います。

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2011年2月20日日曜日

日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果―【私の論評】日本人が日本の良さを分からなくなった?!

日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果


 海外の日本酒ブームが続いている。財務省の貿易統計(速報値)によると、2010年の日本酒(清酒)の輸出は1万3770キロリットル、約85億円となり、過去最高を記録した。

   輸出先(数量ベース)は米国が最も多く3705キロリットル。次いで韓国の2587キロリットル。台湾の1639キロリットルで、香港、中国と続く。最近はカナダやオーストラリア、シンガポールなどにも広がりをみせる。

   これまでの記録は2008年の1万2151キロリットル、約76億円だった。09年はやや減ったものの、日本食ブームの波に乗って輸出は再び右肩上がりに転じたようだ。

ドバイでは1万円の吟醸酒が10数万円
   米国では富裕層を中心に純米酒などの高級酒が好まれ、またドバイでは1万円弱の吟醸酒が10数万円にものぼることもあるという。香港などでは辛口の純米酒が人気で、冷酒タイプも売れているそうだ。

   国内からの輸出は、「大吟醸のような高い技術のいる日本酒で、米国などに向けて輸出している」という。

   同社によると、「最近、輸出が好調なのは韓国向け」という。韓国酒の「マッコリ」が日本で人気なように、韓国では日本酒がちょっとしたブームだそうで、「食の交流が進んだことが好調な原因ではないか」とみている。

国内市場では苦戦、95年度の半分に落ち込む
   海外での「日本酒」をブームに終わらせないため、ある蔵元では日本酒と合う料理や「カクテル」の研究に乗り出した。日本酒造組合中央会は、「日本酒スクールの開催など、わたしたちも世界に向けて日本酒の情報を発信していきます」と力を込める。

   そんな一方で、国内市場では苦戦が続いている。国税庁のデータをもとに日本酒造組合中央会がまとめた資料によると、日本酒の国内消費量は08年度で63万キロリットル。年々減少を続け、1995年度の126万キロリットルの半分にまで減った。

   月桂冠では、「ハイボールのようにお酒の種類が増えたり、食材も豊富で欧米風の料理が増えたり、飲み方が変わったことが大きい」とみている。

   また、老舗の蔵元が多い伏見酒造組合は「若者のアルコール離れに加えて、健康志向の高まりで年配の人も(お酒を)飲まなくなったことが伸び悩みの原因」と指摘。輸出は増えているものの、国内の落ち込みをカバーしきれていない、厳しい状況にある。

   国内市場の掘り起こし、なかでも若者に飲んでもらおうと、伏見酒造組合では京都のホテルと協力して宴会やパーティーでの乾杯に日本酒の無料サービスを実施するなどの策を講じている。

【私の論評】日本人が日本の良さを分からなくなった?!
外国では、日本の酒が人気なのに、日本では、あまり飲まれなくなっているとは皮肉なことだと思います。これは、日本酒に限らず、多くの日本人が、日本の伝統文化には疎くなり、外国では逆に日本を認めつつあるという最近の風潮にも符号する動きではないかと思います。


最近では、お酒の飲み方や、つぎかたもわからない人が増えてきたように思います。というより、何より、まずは、日本酒を飲まないニッポン人が増えてきたのは、残念なことです。映画など見ていても、あのブルース・ウィリスが映画の一場面で、日本酒を飲んでいるような風景は珍しくなくなりました。

実は何年か前のこのブログにも、日本酒の輸出が伸びているということを掲載したことがあります。このときは、二つの事例を出して、フランス人も驚く日本酒の実力をあげました。ひとつは、フランス人がいかに頑張ろうと、フランス産最高級白ワインをもってこようとも、生牡蠣を食べる際には、日本酒が最も良いということでした。日本酒は見事に生牡蠣の生臭さを消して、牡蠣のうまみを最大限にひきだします。これにまさる、白ワインなど存在しません。それと、ワインは、生産してから、数年は保管しないと飲み頃にならないのに、日本酒の場合は、つくりたてが最も美味しいということです。

さらに、フランス人をびっくりさせるなら、フランス料理は、すでに江戸時代に日本料理の影響を受けているということです。これは、最近では、結構年配のシェフでも、あまりに当たり前でかえって知らない人がいるくらいです。

こんな、日本酒の実力もわからないニッポン人が増えてきていることが残念でなりません。私自身は、昔から、そうして今に至るまで、一番好きなのは、日本酒です。日本料理の場合は、何がなくても、やはり日本酒だと思います。ビールを飲みながら、日本料理を食する味音痴の輩の感性は未だにわかりません。

最近のニッポン人は、日本酒が昔から神事にもつかわれてきて、日本人とは切っても切れない関係にあることもわからない人が増えているのだと思います。最近では、会席料理の基本的なマナーも、割り箸の使い方や、座布団の使い方、懐紙の使い方など理解しないニッポン人が増えています。

私は、はっきりいって、こういう日本の伝統文化を知らないニッポン人に、日本はどうだなどと語ってほしくありません。こういう、ニッポン人に限って、日本の過去の歴史は無論のこと、日本の現状をほとんど理解していないことが多いものです。

かえって、あのアップルのCEOである、スティーブ・ジョブスのほうが、日本人らしい考え方を持っているくらいです。今のニッポン人に「武士道というは死ぬことと見つけたり」という葉隠の考え方を言っても、何のことかわからない人も多いでしょうが、実はスティーブ・ジョブスがこれに近い考え方を持っていることは以前にもこのブログに書いたことがあります。

これは、若い人だけに限りません。グローバル企業などといって、結局、中国などの新興国の遅れた社会に向けたような、商品開発ばかりしている企業の経営者には、こうした考えを理解できない人も増えているようです。政治家でも同じことです。

少し前の経営者なら、こうした考えを理解していたし、少なくとも、共感できたと思います。しかし、日本の文化も理解しないような人が海外でうまくやっていけるでしょうか?無駄ですね。日本酒に関して、その飲み方や、たしなみかたを少しでも語れれば、フランス人をも惹きつけることができますが、それができない人は、フランス人に軽く見られるだけです。

今の時代何か間違っていると思います。まずは、語学などを学ぶ学ばないなどの前に、日本文化の素養を身につけていなければ、国際人とは成り得ません。どこの国に行っても、軽く見られるだけです。逆に、日本文化を身につけていれば、多少外国語がへただろうが、場合によっては、できなくても、どこの国に行っても、尊敬されこそはすれ、馬鹿にされることはありません。言葉だけわかっても、こうしたバックボーンのない人は、結局、海外でも、まともに相手にされることはありません。まともに、交渉事もできないことでしょう。

なぜなら、最近では、コンテクストなどといわれ、アメリカなどでも、実施されている交渉にも必要な腹芸もできないからです。アメリカ人が腹芸ができなくて、なんでもかんでも言葉で表現するものと思っていたら大間違いです。一般の人でもそんなことはないですし。上のレベルになれば、なおさらです。なんでもかんでも、言葉で言うような人は、交渉相手でも、地位の低い、現場レベルの話にすぎません。上のレベルでは、コンテクストを背景に話をすすめることは言うまでもありません。低層な馬鹿なアメリカ人ばかり相手にするなら、それでも構わないでしょうが、それだけでは、まともな人とは付き合っていけません。もう、アメリカ人でも、いわゆるデカルトの悪魔的な考えのみで生きているのは、馬鹿な、賭博師や、金融馬鹿くらいなものだと思います。

人が、人としてまともに扱われるということは、どういうことなのでしょうか?それは、その人が育った文化的背景を背負っているということを相手にさとってもらえか否かで決まるものです。背負っていることを認めてもらうことができれば、その人は世界中のどんな人からも、うとんじられることはありません。なぜなら、その人は、その人だけの存在ではなくなるからです、その人が、その文化を担っているというということは、もうすでに、その人だけのことではなく、その文化を背負っている人の文化圏に属する人全体を代表するものとして、相手に受け取られるからです。それどころか、すでになくなったご先祖様の考えをも代表するものとして受け取られからです。

そんな文化的背景のない人間に関しては、そのような背景を持たないサル同様の扱いしかされないのは当然のことです。

私は、菅さんが海外の会議に行っても、先進主要国のリーダーたちからまともに相手にされないのは、決して言葉だけの問題ではないと思います。いくら、お遍路に行ったとしても、彼は、おそらく、日本の伝統文化の背景からは程遠い存在なのだと思います。こうしたことは、いくら、外見を整えてみても、すぐに相手に悟られるものです。それは、思想や、イデオロギーなどとは無縁なものです。どんなイデオロギーがあったにしても、自分の属する文化を知らないものは、そうではない人々には、見透かされてしまいます。フランスや、イタリアの共産主義者たちは、少なくとも自国の伝統文化を背負って話をします。だから、妥協点もみいだしやすいです。

これはとりもなおさず、日本人であれば、日本の伝統文化を背負った人間と、他の国の人から認められない限り、まともな扱いはされないということです。今は、こんな簡単な理屈のわからない人があまりにも増えていると思います。

日本の伝統文化など知らない、ニッポン人の皆様、これを機会に日本酒などから、日本の伝統文化をみ直してみてはいかがでしょうか?

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2011年2月19日土曜日

菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も―【私の論評】今月の22日は分水嶺!!代表選の頃から、今の事態は予想できた、なぜそれが民主党員には読めないのか?!!

菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も

お遍路の旅の途中の菅さん。この時、彼が見ていたのは坂の上の雲か?
民主党内で、菅直人首相(64)の退陣論が急速に広がっている。小沢一郎元代表(68)を慕う衆院比例単独議員16人の反乱に端を発し、菅首相の盾となってきた「影の総理」仙谷由人代表代行(65)も菅首相を見限り、公明党幹部に首相退陣と引き換えに2011年度予算関連法案の成立に協力するよう打診したとの情報が駆けめぐった。菅首相は退陣を拒否し、衆院解散・総選挙をチラつかせて退陣論に対抗するが、“孤独死”は迫っている。

「『変わりやすい愛情』というのも、このランの花言葉の中に入っているようでして、そこは気をつけなきゃいけないなと…」

菅首相は18日、東京ドームで開かれた世界らん展で、こうあいさつした。そもそも党内で菅首相に対する「愛情」が支配的だったとは思えないが、16人が会派離脱を表明したことで、関連法案の成立は絶望的。党内の空気が「菅降ろし」へと一変したことは確かだ。

小沢氏に近い民主党参院幹部は同日、「鳩山由紀夫前首相が退陣した時よりもひどくなった。もう(政権行き詰まりの)流れは止められない」と指摘。中堅議員も「首相が辞めなければ、野党が予算関連法案を通してくれない」と退陣を求めた。

致命的なのは、小沢系だけでなく、菅首相寄りの議員からも同様の声が出始めていることだ。衝撃的だったのが、同日に広まった「仙谷氏が15日、公明党幹部と会談した際、首相退陣を条件に関連法案成立に協力できないか打診したが、拒否された」という情報だ。

仙谷氏に近い議員はあわてて否定。前原誠司外相は記者会見で「私の感覚では、そのような取引をするはずがないと思っている」と述べた。

しかし、民主党関係者は「茶飲み話程度だ」と矮小化に躍起だが、事実関係は認めた。仙谷氏は官房長官として菅政権を支えたが、野党時代に「菅代表」降ろしに動いたこともある。

前原グループの若手議員は「仙谷氏には、最初から菅首相への愛情なんてない。小沢切りをやらせて、前原氏に政権をつなぐための道具としか見ていない。最後は鈴をつけに行くのは自分しかいない、と思っているはずだ」と話した。

菅首相以外の政権中枢にも、ほころびが見え始めた。

18日夜、菅首相は公邸に岡田克也幹事長、枝野幸男官房長官、仙谷氏ら幹部を集め、今後の国会運営で意見交換した。

出席者によると岡田氏は一度も口を開かなかったといい、「3月にどうなる、4月にどうなると説明していたら、みんな寝てしまった。首相だけが聞いていた」(出席者)という。もはや、あきらめの境地なのか。

仙谷氏率いる前原グループとともに、菅首相の党内基盤の一翼を担う野田佳彦財務相のグループ内にも、「総辞職しかない」(中堅議員)との声が出始めている。

中間派も攻勢をかける。22日には、桜井充財務副大臣や北神圭朗衆院議員が中心となり、首相が昨年9月の代表選で訴えた公約を検証するが、「政権批判の場になる」(中心メンバー)公算が大だ。

地方の乱も続いている。執行部は19日に地方代表を集めて全国政調会長会議を、3月5日には全国幹事長会議を開く。4月の統一地方選では、候補者が民主党公認を辞退し無所属や他党に流れる現象が続いているだけに、「菅降ろし」で紛糾する可能性もある。
菅“孤独死”仙谷が画策…「中間派」が攻勢、地方の乱も

自民党政権時代、地方から不人気の森喜朗首相を降ろす動きに火がついたこともあるだけに、執行部は警戒している。

これに対し首相は18日、首相官邸で記者団に「首を替えたら賛成するとかしないとか、そういう古い政治に戻る気はさらさらない」と述べ、予算関連法案成立と引き換えの退陣を否定。

記者団が衆院解散の可能性をただしたのに対しては「国民にとって何が一番重要か、そのことを考えて行動する」と否定しなかった。

民主党内では親菅、反菅を問わず、「支持率が低い菅首相の下で衆院選を戦いたくない」(若手)が合言葉になっている。それだけに菅首相はこれを逆手に取って、瀬戸際外交ならぬ瀬戸際内政を展開しているのだ。

官邸筋によると首相の精神安定剤になっている伸子夫人は「支持率がマイナスになることはないから、続けなさい」と励ましているといい、これも大きな心の支えだという。予算関連法案が成立せず国民生活が混乱しても、野党に責任をなすりつけるチキンレースを仕掛けるとの見方もある。

政治評論家の浅川博忠氏は「通常国会会期末に解散・総選挙をするという約束と引き換えに関連法案を通してもらうという線が有力だ。民主党は4月の統一地方選に惨敗すれば菅首相を降ろして新代表を選び、新しい顔で衆院選に臨むことになるのでは」と話している。

大政局は、待ったなしで訪れそうだ。

【私の論評】今月の22日は分水嶺!!代表選の頃から、今の事態は予想できた、なぜそれが民主党員には読めないのか?!!
来週の2月22日には、国政、党内情勢、政治とカネの3点について、今後の流れを決める“行事”が集中しています。この日が民主党の崩壊記念日になってしまうかもしれません。

党内の16人が2011年度予算関連法案への反対も辞さない姿勢を示したことで、法案成立が難しくなっています。民主党幹部は今後、造反回避を図るが、造反がなかったとしても、衆院の3分の2議席による再議決を行うためには、社民党の協力は不可欠です。

しかし、社民党は22日に、関連法案の柱となる特例公債法案に反対することを決めることでしょう。そうなると、この日に実質的に菅政権が終わる日になることになるでしょう。

さらに、22日には、桜井充財務副大臣や北神圭朗氏ら党内の、いわゆる中間派が集会を開き、菅首相が昨年9月の党代表選で訴えた公約を検証することになっています。

さらに同日午後には、党常任幹事会が小沢一郎元代表の処分について、最終決定する見通しとなっています。

まあ、この日を境にして、菅政権は終わりを告げることでしょう。すぐに、終わらないにしても、実質上終わりが決定された日になることでしょう。今からどういうことになるか、22日は要注意です!!

それにしても、民主党員の皆さん、菅さんに関しては、こういうことになるのは最初から判っていたことです。ちなみに、このブログでは、代表選の頃から今日のこの事態を予測していました。下に、その部分を引用しておきます。
今のところは、この代表戦をめぐって以下のようなことが考えられます。 
小沢氏が勝てば、菅さんは、民主党の代表ではなくても総理大臣です。総理大臣はには、衆議院を解散することができます。 
菅さんが勝てば、小沢さんは民主党を飛び出るということも考えられますが、おそらく、そのまま残り、3月を目指すのではないかと思います。3月とは、どういうことかといえば、おそらく、総理としては全く無能であることが明らかになった菅さんでは、おそらく、3月まで持たないということで、何か新しい動きが必ずでてくるということです。 
それに、菅さん、小沢さんのいずれが勝とうが、参院がネジレ国会であることにはかわりがありません。 
いずれにせよ、近いうちに、今までのように政局ということではなく、本格的に政界編成が起こることは間違いないと思います。
この時点で予測したように、菅さんの能力不足は、今では誰にでも周知のことです。財務大臣の頃から、馬鹿さ加減をおもいっきり晒していまし。でも、そんなことは、最初からわかってしかるべきことです。下の動画の内容など、多くの人が最初から判っていたことです。



経歴をみれば、単なる市民運動家の域を出ていない人が総理大臣など最初から勤まるはずはないですし、上のような情報もあったわけですから、能力不足は明らかなのであり、そうであれば、まわりの取り巻き連中が是がひても、馬鹿さ加減が表にでないように努力すべきだったのでしょうが、そのようなこともなかったようです。

3月か、4月で、菅内閣はおしまいですね。4月で、統一地方選で惨敗するのも必定でしょう。かといって、自民党が返り咲えたとしても、状況は変わらないと思います。日本では、もうそろそろ、本格的に政治システム改革が必要だということです。

国民も、もうそろそろ、この事実に気づくべきでしょう。私としては、今喫緊の課題である、デフレ克服、政治システム改革の二つを大きな政策課題としてマニフェストに掲げる政党があらわれ、この二点に真摯に取り組んでくれれば良いと思います。

新しい政権では、まずは、真面目にデフレ対策に取り組むこと、そうして、総理大臣がコロコロ変わらないだけで良いと思います。その他のこと、いろいろ言ってもどうせできやしません。なにせ、今はデフレという異常かつ、緊急事態が発生している最中なのですから!!ただし、20年もその状態が続き、多くの人がこの事態に慣れてしまたというだけです。ただし、民主党のように日本国解体法案を導入しようとする政党は全く論外ですが・・・・・・。

それに、皆さん、今の日本の当面の問題、デフレ克服が本当にできたら、ほとんどが成就しますよ!!これ、本当です。まずは、雇用問題は解消するし、景気は良くなるし、財政のプライマリーバランスの問題、とにかく大抵の問題は解消するか、解消の糸口はつかめます。

デフレ克服なしに、何を行なっても、言っても無駄ですから!!そうして、デフレ克服は、少なくとも、数年のことなら確実にできます。そんなに難しいことではないですから!!そりゃ、10年、20年絶対デフレは嫌だということになれば、難しいですが、5~6年のことなら、日本であれば、本当はさほど難しいことではないです。事実今までの歴代の日本政府は、デフレのときに、マクロ経済がこうしなさいと教えていることをほとんど実施してきませんでした。例外は、小渕、麻生内閣くらいのものです。彼らだけが、デフレに克服のため大規模な財政政策という王道の政策を打ち出しました、それ以外はなんだかんだといって、緊縮財政ばかりです。その典型が、小泉政権ですね。あの政権のおかけで、地方はかなり疲弊しました。実際に、デフレを克服して、景気をよくして、その間に次の一手を打つ余裕を持つべきと思うのは私だけなのでしょうか?増税、その他の変革は、絶対にやるべきものもその後にすべきです!!順序をたがえるべきではありません!!

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2011年2月18日金曜日

「ウサギも苛立ちゃ噛みつくぞ」 中国の庶民、もはや我慢の限界=中国人がみる中国―【私の論評】中国分裂の日は必ずやってくる!!

「ウサギも苛立ちゃ噛みつくぞ」 中国の庶民、もはや我慢の限界=中国人がみる中国



【大紀元日本2月17日】虎年が過ぎ、ウサギ年に入った中国では最近、「クワンクワン(クワンクワン)」というウサギのキャラクターが人気を博している。インターネットの動画サイトに流れていた風刺アニメの主人公で、虎の高圧的な統制に耐え切れずに「革命」を起こし、虎を噛み殺したウサギたちだという。虎ミルク(メラミン混入の「三鹿」粉ミルクを暗示する)を飲んで子ウサギが死んでしまったり、強制立ち退きにより家屋が破壊されて抗議の焼身自殺をしたり、トラックの下敷きにされて殺されたりと、アニメに描かれたこれらの悲惨なストーリーは、いずれも中国社会の実像を生々しく想像させる。

もちろんこのアニメは、当局によってすでにネット上から削除された。しかし、そのテーマソング「俺をこれ以上虐めるな。苛立ったら俺だって噛みつくぞ」は、すでに視聴者の記憶に焼きつけられている。

このアニメが広く支持された背景について、ある中国人読者が中国語版BBCへ文章を投稿している。それによると、「現在、中国社会には不安が蔓延しており、庶民は我慢の限界に来ている。アニメの広がりは、まさにそのシグナルである」という。

以下は、その投稿の抄訳である。

*************************************

最近「小兔子(クワンクワン)」」という短編アニメが全国で流行っている。このアニメには、中国で起きたいくつかの大事件を暗喩する内容が盛り込まれている。多くの幼児が被害を蒙ったメラミン混入粉ミルク事件、政府の幹部たちを先に逃がしたために小・中学生約300人が犠牲となった新疆カラマイの大火事、河北大学キャンパスで起きたひき逃げ死亡事故で犯人が「俺のおやじは李剛だ」と公安局局長の親の威光を借りて居直った事件、土地の不正取得をした官僚を告発した元村長・銭雲会さんが事故死に見せかけ殺害された事件などだ。各事件を忠実に表現するために、かわいいキャラクターのウサギが、耐えがたい暴力によって血まみれになる場面もたくさんあるが、いずれも現在の中国社会の実状を露わにしたものとして受けとめられている。

アニメの最後の場面には、「俺をこれ以上虐めるな。苛立って咬み返したら、取り返しがつかないことになるぞ」というセリフと、非常に恐ろしい光景が現れる。これは、我慢の限界を超えた民衆の爆発を予期させるものであろうか。

このアニメの流行から帰納的に言えることは、現在、中国社会には不安の空気が蔓延しているということである。ここ数年、中国で発生した多くの集団事件は、最終的に政府当局に制圧されるか、または政府に一方的に断罪されてきた。そのため民衆の間には、政府への不信感と不満が募っているからだ。

近年発生した多くの社会事件に対する政府の対処は、一定のパターンに則っている。事件発生当初、政府は積極的にかかわるが、一たび事件内容が政府の意に反すると判れば、政府はその事件を避け、一切触れないようにする。さらに、民衆の側が自発的に真相を調査しようとすると、政府はそれを妨害したり、調査活動を発起した民間人に対して無実の罪を着せる。例えば、四川大地震で多くの子供たちが犠牲になった「おから工事」を調査し、当局の責任を指摘した譚作人氏や、メラミン汚染粉ミルクの被害者らを支援する趙連海氏など、社会的影響力が強いと見なされた人物は、「国家転覆扇動罪」や「社会秩序を破壊した罪」で有罪判決を言い渡されているのだ。

これらの事件を通して、民衆は政府を全く信じなくなり、政府もまた私利私欲のため民衆と対立してきたことで、民衆のうっ憤は募る一方であった。その限界を超えれば、エジプトで起きたことは、中国でも同様に発生しうるだろう。

【私の論評】中国分裂の日は必ずやってくる!!
それにしても、上の実物の動画、かなりグロテスクですね。しかし、これが中国の現実なのです。決して大げさではありません。中国では、建国以来今にいたるまで、年間で2万件ほどの暴動があります。

現実は、上の動画よりももっと酷いことになっているのです。虎の高圧的な統制に耐え切れずに「革命」を起こし、虎を噛み殺したウサギたちは、現実に多数存在しているのです。残念ながら、いくら虎に噛み付いて虎を殺したとしても、それは、現実世界では、下部組織の役人にすぎず、そのもっと上の上部組織である中国共産党は人民の軍隊ではない、共産党の私兵である、人民解放軍をもっていますから、弾圧されるだけなのです。弾圧だけならまだましです、最後の最後には命を奪われてしまうということです。

中国当局は、世界で最も厳しい検閲と「万里の長城(The Great Wall)」をもじって「グレート・ファイアウオール」と呼ばれるインターネットアクセス制限を通じ、ツイッターから法輪功までさまざまなウェブサイトを何年にもわたって遮断してきました。しかし、最近これを突破する方法が開発されています。

こういう人々は、はウルトラリーチ・インターネット社の無料の仮想プライベートネットワーク(VPN)「ウルトラサーフ」を利用しています。VPNは中国ネット市場での検閲回避に利用されるサービスで、現在増え続けています。2009年から中国で遮断されている米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェースブックは、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の中国訪問後、同国での利用者が70万人超と、この1カ月間に2倍強に膨らみました。

VPNは、従業員による企業内ネットワークへのアクセス保護を目的に企業が主に活用しますが、データを暗号化する「代理の」サーバーが使用されるため個人が匿名でウェブを見て回ることが可能になります。

多くの人がこれを利用するようになれば、中国でも多くの人がFaceBookを活用できるようになるでしょう。政府が、これに規制をかけたとしても、また、何らかの新しい方法が開発されるでしょう。結局、イタチごっこや、モグラたたきのようになるわけです。

現在の中国は、特に食料品がかなり高騰しています。日本でいえば、米とか、卵、肉などが、インフレで上昇しつつあります。 

中国国家統計局が昨年11月11日に発表した10月の消費者物価指数は、前年同月比で4.4%の上昇という高い伸びとなりました。

中でも食品が10.1%と高い伸びを示しました。食品の中でも、野菜は31%、果物は17.7%も上昇しました。農産品や食品など市民生活と密接に関わる分野が高騰しています。

その止まらない物価の上昇に、上海市民は目を白黒させています。主婦らの井戸端会議の話題は「物価速報」で持ちきりです。

そうして、大昔のローマや、中国でも、食料品の値上がりは、国民の生活を不安定させ、政権の交代に結びついた例は多いです。いきつく先は、今回のエジプトのようになるわけです。中国の場合は、もっと大掛かりになる可能性があります。少なくとも、中国共産党一党独裁は不可能になることでしょう。それよりも、何よりも、少なくとも、5つくらいに分裂するのは必定でしょう。

現実には、省単位で分裂することは十分考えられます。私は、おそらく、事実上、省単位で分裂してしまいますが、それではエネルギー供給や、軍事面でも、いろいろと不都合なこともおこるので、後からいくつかの省が合同して、最終的に五つくらいの国にまとまるのではないかと思います。

このブログでは、過去に中国分裂シリーズなど掲載してきましたが、その後の中国を見ていても、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は進まず、どちらかといえば後退しているような有様です。

このような、ことは、どの時代のどの国でも長続きはしません。ドラッカー氏は、1980年代の終わりころに、すでに、ソビエト連邦の崩壊を予言していました。わたしは、これと同じように、中国も、今後10年以内に間違いなく崩壊すると思います。

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2011年2月17日木曜日

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 観てきました―【私の論評】確かに物足りないところもあるが、戦争について今一度考え得る機会を与えてくれた?!

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 観てきました


太平洋戦争末期のサイパン島を舞台に、大場栄大尉(竹野内豊)率いる陸軍歩兵連隊と絶大な兵力を誇る米軍との熾烈な戦いを描く実話の映画化である。この知られざる玉砕戦の一部始終を日米双方の視点から描くという試みはあらかじめ、ややハードルが高過ぎたのではないだろうか。

英語が飛び交う米軍のパートはチェリン・グラック監督が担当し、日本人側のパートは平山秀幸監督が演出しているが、本来ならクリント・イーストウッドの「硫黄島」2部作のような截然(さいぜん)たる構成にしない限り、どうしても日米の描写のバランスをとることに腐心してしまいがちなのだ。




迫力ある戦闘シーンも含め、全体の色調を極力アンダーに抑え、亜熱帯の鬱蒼としたむせかえるような暑さではなく、どこか寒々とした印象を与えるのは効果的である。この沈んだ静謐さを強調したルックは「硫黄島」2部作のトーンを引き継いでいるようだ。

平山監督は、大場大尉を悲壮な皇軍精神に殉じる堅物ではなく、巧緻な戦略によって米軍の裏をかくしたたかな抵抗者として造型しているが、恐らく<小隊もの>の傑作「最前線物語」を参照したと思われる。気が触れてしまった兵士(柄本時生)や出産した赤ん坊に<希望>を託すエピソードに顕著だが、サミュエル・フラーが提唱した<戦争の栄光は生き残ること>というモラルが通奏低音となっているのだ。惜しむらくは、竹野内豊にリー・マービンのような強烈な父性と敗残の果ての屈折した傷つきやすさ、複雑な陰翳が感じられないことである。(映画.com)


【私の論評】確かに物足りないところもあるが、戦争について今一度考え得る機会を与えてくれた?!
この映画、見終わって、感じたのは何か物足りなさでした。上に書かれてあるように、確かに、硫黄島の二部作を見てしまって目からは、この映画は2時間という時間もあいまって、物足りなさを感じるのも仕方ないのかもしれません。せめて、3時間超の映画にして、日米両方の姿を描ききって欲しかったものです。

ただし、竹之内豊のキャストは、それなりに良かったと思います。リーマービンのような父性溢れて、年上の指揮官にしてしまえば、現実離れするような気がします。竹之内はより身近な感じがして、かえって良かったのではないかと思います。

サイパン島の戦いについては、wikipediaを参照してもらうものとして、そのなかから気になる記述をみつけましたので、以下にその部分を引用しておきます。
ただし、サイパンの戦いに従軍した田中徳祐(陸軍予備士官少尉・独立混成第47旅団)は以下のような米軍による残虐行為を目撃したと主張している。 
「米軍は虐待しません」の呼びかけを信じて洞窟から出てきた婦女子全員が素っ裸にされ、数台のトラックに積み込まれた。「殺して!」「殺して!」の絶叫を残してトラックは走り去った。 
滑走路に集った老人と子供の周りにガソリンがまかれ、火がつけられた。忽ち阿鼻叫喚の巷と化した滑走路。我慢ならず我兵が小銃射撃をしたが、米軍は全く無頓着に蛮行を続けた。 
火から逃れようとする老人や子供を、米兵はゲラゲラ笑いながら火の中へ蹴り飛ばしたり、銃で突き飛ばして火の中へ投げ入れた。二人の米兵は、草むらで泣いていた赤ん坊を見つけると、両足を持ってまっ二つに引き裂いて火中に投げ込んだ。「ギャッ!」といふ悲鳴を残して蛙のように股裂きにされた日本の赤ん坊とそれを見て笑う米兵士。 
こんなに優勢な戦闘にも拘らず、米軍は毒ガス弾(赤筒弾)攻撃まで仕掛けてきた。 
マッピ岬では、岩の間に一本の青竹を渡し、それに串さしにされた婦人を見た。 更に自分と同じ洞窟に居た兵士や住民が五体をバラバラに切り刻まれて倒れているのを眼前に見た。 
米軍の残忍非道から名誉と身を守るために「天皇陛下万歳」を奉唱してマッピ岬から太平洋に身を躍らせた老人、婦女子や、左腕に注射針を刺し、君が代と従軍歌「砲筒の響遠ざかる・・・」を斉唱しつつ自らの命を断った十余名の従軍看護婦達の最期を田中は見たという。 
但し、田中徳祐の証言は上述の自著の1983年版に記述されているもので1956年版には記述されていないとされている。また、自身の階級を大尉としているが、大場大尉が監修した「タッポーチョ」では大場栄大尉の指揮下で少尉となっており、「丸・別冊 太平洋戦争証言シリーズ(6)」では自身の階級を中尉と記している。
硫黄島からの手紙では、投降した抵抗もしない日本人の捕虜をアメリカ兵がさしたる理由もなく、殺してしまう残虐行為が描写されてしいましたが、この映画ではアメリカ兵によるものも、日本兵によるものも皆無でした。戦争は、特殊な状況なので、通常では起こりえないことなどが、起こってしまうようです。実際、現在ですら、イラク戦争のときの捕虜の虐待についても、報道されたことがあります。

このへんも含めて、もっといろいろと描写して欲しかったものです。世の中では、アメリカ軍は正義の味方で、日本軍は、悪の権化のような考え方で描写するものが多いようですが、そのようなことはないと思います。これは、戦争に勝った国による、いわゆる勝てば官軍的なものの見方に過ぎないと思います。

それから、ここでは、詳細を書くつもりはないですが、当時の日本がアメリカに対して挑んだのは、無謀以外の何ものでもなく、愚かな戦争であったことばかりが強調されているようですが、そうとばかりとは限らないということも日本人として知っておく必要があると思います。

たとえば、ハル・ノートという有名な外交文書があります。これは、、太平洋戦争開戦直前の日米交渉において、1941年11月26日にアメリカ側から日本側に提示された交渉文書です。正式にはアメリカ合衆国と日本国の間の協定で提案された基礎の概要(Outline of Proposed Basis for Agreement Between the United States and Japan、日米協定基礎概要案)と称するものです。

日米交渉のアメリカ側の当事者であったコーデル・ハル国務長官の名前からこのように呼ばれていいます。ハル・ノートに関しては、「(事実上の)最後通牒であった」とする解釈と、「最後通牒ではない」とする解釈とがあります。

私自身は、このハル・ノートは事実上の最後通牒であり、最後通牒をつきつけられた後の真珠湾攻撃は決して、だまし討ちではないです。そうして、現実には、もう随分前に、公表されたアメリカの公文書で、当時のルーズベルト大統領は、真珠湾攻撃を予め知っていたことを明らかにしています。知っていて、放置したというのであれば、これは大きな犯罪と言わざるをえません。

また、日本がアメリカに戦争を挑んだ事自体を全く無謀なことと、受け止めている人も多いようですが、これも全く正しいかといえば、そうともいえないところがあります。これを主張するアメリカの学者が書籍を書いてそれを主張しています。

これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。そのときにも掲載したのが下の動画です。


この動画を見ていると、大東亜戦争に関しては、決して無謀な戦ではなかったと思えてきます。それから、この、映画「太平洋の奇跡」のに関しては、戦争秘話などとされて、さもさも、今になって発見された話のような触れ込みで紹介されているようですが、そんなことは、ありません。戦争や戦記などの興味のある人には良く知られているいる話です。

実際、上のウィキペディアの引用した文章の中でも、『大場大尉が監修した「タッポーチョ」では大場栄大尉の指揮下で少尉となっており、「丸・別冊 太平洋戦争証言シリーズ(6)」では自身の階級を中尉と記している』などと記載されています。おそらく、かなりの人が知っている話なのではないかと思います。

しかし、マスコミで多く報道されていないから、多くの人に知られていないのだと思います。多くの日本人は、このような話は知らずに、日本軍や日本兵といえば、最初から大義もなく、無理で、無駄な戦争を行ない、すぐに切腹し、万歳突撃した愚かな軍隊のような考えが流布されているのだと思います。

しかし、この映画に出てくる日本兵を見てください。あるいは、硫黄島からの手紙の日本兵を見てください。いくら時代背景があるとはいえ、全く無駄で、大義も何もない戦争にあれほど、勇敢であったり、忍耐強く戦いを続けられるなどのことが考えられるでしょうか。

日本が戦争をしたときの、大義名分は、アジアの独立でした。その頃は、アジアの大部分は、ヨーロッパやアメリカ、ソビエトなどの列強の植民地でした。

日本が戦争をしたことにより、これら植民地の開放が早まったことは間違いありません。インドなどでは、日本が戦争をしたことによって、少なくともインドの独立が40年は早まったとする論調が大勢を占めています。とすれば、日本は確かに戦争には負けましたが、戦争をするための大義は、成就したといえるのではないでしょうか?

真珠湾攻撃に関しては、例外的に「トラ・トラ・トラ」のように両方から描いた映画もありますが、それ以外の映画では、日米両方のの視点から描かれたものは皆無といっても良かったと思います。しかし、硫黄島の二部作や、太平洋の奇跡に関しては、それまでとはうってかわって、日本側からも丁寧に描写される映画のつくりとなっています。もう、戦争が終わってから、70年です。そろそろ、あの戦争をもう一度、その時代背景も含めて、客観的に見つめる時代が着ているのではないかと思います。

特に、日本人は、第二次世界大戦中のみを切って捨てるようなことはできません。明治時代の日本が、第二次世界大戦の時代も含めて、今の時代に続いていることは否定できません。

そういった意味で、今のこの時期にこの映画、大変意義深いものだったと思います。

最後に、この映画の終わりのほうで、大場栄大尉が、日本兵を率いて、アメリカ軍に投降するため、山を降りて整然と行進していくシーンがあります。その時に、「歩兵の本領」という軍歌を歌いながら、行進していました。その歌を下の動画に歌詞付きで掲載します。


この唄、なかなか良い唄と思います。万朶の桜の万朶は、垂れさがるという意味です。「花は吉野に嵐吹く」の吉野は無論、桜の名所の奈良の吉野山のことでしょう。この出だし、とても軍歌とは思えません。無論、桜は、潔く散るという意味もありますから、それを想起させるものとして導入部につかわたのでしょうが、それにしても、日本人の自然を愛でる気持ちが現れた良い唄だと思います。

この唄、私の祖父は、良くをお酒を飲んで酔うと歌っていました。本人は、海軍だというのに、海軍の軍歌よりも、この唄が好きだとみえて、良くこの唄を歌っていました。

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2011年2月16日水曜日

Googleもコンテンツ課金サービス発表、柔軟性でAppleに対抗―【私の論評】定期刊行物の配信、これで決まりか!!

Googleもコンテンツ課金サービス発表、柔軟性でAppleに対抗



米Googleはドイツで現地時間2011年2月16日、パブリッシャー向けのコンテンツ決済サービス「Google One Pass」を発表した。パブリッシャーは自社サイトやモバイルアプリケーションにECおよび決済機能を組み込み、自身でデジタルコンテンツの価格など販売条件を設定できる。

新聞社などのパブリッシャーは、記事単位や複数記事のパッケージ、期限付きパス、定期購読モデルでコンテンツを販売することが可能。一定アクセスまで無償提供し、その後課金したり有償登録を勧めるといったこともできる。決済処理にはGoogleの「Google Checkout」を利用する。

ユーザーは、Google One Passを通じてコンテンツを購入すると、電子メールアドレスとパスワードを用いた認証により、タブレット端末、スマートフォン、パソコンなどさまざまなデバイスからアクセスできる。

Google One Passは当初、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国で提供する。数カ月で他の国にも拡大する予定。Googleによると、ドイツの新聞社Axel Springerや、ドイツTomorrow Focusのニュースサイト「Focus Online」、米メディア事業者Media General、フランスの雑誌「Nouvel Observateur」などが、Google One Passの導入を決定しているという。

Googleは、「当社の目的は、オープンでフレキシブルなプラットフォームを提供することで、パブリッシャーやジャーナリズム、そして品質の高いコンテンツへのアクセスを支援するという取り組みを推し進めることだ」と述べている。

パブリッシャー向け課金モデルに関しては、米Appleが前日、モバイルアプリケーション配信/販売サービス「App Store」における定期購読サービスを発表した(関連記事:Apple、「App Store」で定期購読サービスを開始)。App Storeを通じてユーザーが定期購読を申し込んだ場合、Appleは売上の30%を徴収する。また、パブリッシャーがApp Store以外のチャネルでも定期購読サービスを提供する場合、同等あるいはより好条件の金額をApp Storeアプリケーション内で提供することを要求している。

【私の論評】定期刊行物の配信は、これで決まりか!!

ニュートン0号 1981年
アプリの配布方式は、すでに数年前から、アップルのApp Storeで実施され、私もかなり利用していますし、皆さんもいま、アプリを購入といういうと、従来のようにパッケージ・ソフトでなどとは考えなくなったと思います。

それと同じように、これから、定期刊行物等Google one passのようなもので配信されるのが当たり前になることでしょう。そうして、これは、本当に便利になると思いますし、それに、本当に便利になると思います。

とにかく、定期刊行物に関しては、にがい想い出がたくさんあります。まずは、科学雑誌で、ニュートンというのがありますが、あれは、現在書店で販売されていますが、販売された当初は、書店では販売されておらず、定期購読のみで提供されていました。

あの雑誌は当時竹内均先生が、(日本を代表する地球物理学者の第一人者で、東京大学名誉教授、理学博士、科学啓蒙家。科学雑誌『Newton』初代編集長。代々木ゼミナール札幌校元校長)初代編集長をなさっていた雑誌で、竹内先生いわく、「日本のナショナル・ジオグラフィック」を目指す雑誌ということで、なかなか素晴らしい雑誌です。

さっそく定期購読をはじめました。内容とともに、付録などもすぐれており、なかなか良い雑誌でした。付録で記憶に残っているのは、日本列島全体の衛星写真の一枚モノのポスターでした。当時は、インターネットも一般的ではなく、無論現在のようなグーグル・マップやアースのある時代ではないので、テレビなどではみたことがあっても、列島全体の衛星写真を見ることができ、しかも所有できることに感激しました。

しかし、3年くらい定期購読して結局やめてしまいました。その理由としては、やはり、物理的な書籍なので、嵩張ることと、それに検索もできず、結局何かをさがそうとすれば、記憶にたよざるを得ないというところがあったためです。それに、そのころから店頭でも販売されるようになったので、特に定期購読する必要もなくなったので、定期購読をやめました。その後、時折買っていたのですが、いつの間にか全く購読しなくなり、今に至っています。

それから、現在の会社に入ってからは、海外進出も考えていたので、会社で日本貿易振興会(通称ジェトロ)の会員になり、ジェトロ関係の窓口は私ということで、いろいろと活用させていただいたこともありました。会員になるとジェトロセンサーという薄い冊子が、確か1週間に一度ほど発送されてくるようになりました。確か一ヶ月分をまとめて綴じる、ファイルも発送されてきて、そのファイルを綴じるのも私の役目でした。

一ヶ月分も、結構厚くなってくるので、最初の1~2年は良いのですが、その後の整理整頓は大変でした。自分のものであれば、適当に処分することもできますが、やはり、会社の資産ということですから、ぞんざいに扱うわけにもいかず、貯まってきたときには嫌な想いをしたものです。

その後、会社は、韓国や、タイなどにも進出したのですが、やはり、日本国内の市場の拡大が第一義ということで、その後、海外に本格的に展開するなどということはなくなったので、それを機会にジェトロは退会させていただきました。現在、ジェトロセンサーは電子媒体でも配布されるようになったので、従来のような煩雑さはなくなったと思います。

それから、最近のことでは、ハーバード・ビジネス・レビュー(日本語版)を3年ほど前から、定期購読をやめました。これも、先ほどのナショナル・ジオグラフィックのように購入しはじめた当時は書店にはおいておらず、定期購読のみで、自宅に発送されてくる方式でした。


ハーバード・ビジネス・レビュー

この雑誌については、定評のある雑誌で、特にそれをここで述べることはしませんが、定期購読をやめた理由は、結局、雑誌があまりに沢山貯まると、場所もとることもさることながら、いざ見たいというときに、いつ、どこに見たいと思った記事をすぐに探すことができないということが何回かあったためです。そのことが書かれている雑誌は、確実に所有しているはずなのに、いざある特定の筆者の書いた特定の記事をさがそうとすると結構手間取るということが何回かありました。

ところが、ハーバード・ビジネス・レビューにおいてはオンラインで、記事の検索と、購入のサービスもするようになりました。先の記事に関しては、このサービスで、検索して、何年の何月号に掲載されているのかを探して、オンラインでは購入せずに、自分の所有している雑誌を探して、そのなかに掲載されているのを確認しました。

しかし、オンラインで、購入すれば、雑誌自体を探さなくても、すぐに当該記事を購入できるわけです。こんなことを何回か繰り返したことと、書店でも販売するようになったので、もう良いだろとうということで定期購読をやめてしまいました。ところが、その後、書店でこれを購入することがあったかといえば、ありません。そうして、いまの所、HBRの記事を検索して購入するということもありません。

私のように雑誌の定期購読をやめている人は結構いるのではないかと思います。上の雑誌ばかりではなく、過去に不定期で購入した雑誌も結構あります、たとえば、Swing Journalとか・・・・。これに関しては、まずは、結構雑誌としては高い部類に入ることと、厚い雑誌なので、場所をとるということもあります。引越しなどで、泣く泣く捨てたというひとも大勢いるのではないかと思います。私も、結局はニュートンのほとんどを引越しのときに捨てました。

しかし、Google One Passのようなサービスができれば、上のような問題は全部解消されるわけです。今後、定期刊行物の発行はこのようなシステムが中心となることでしょう。

それと、これから、このようなことが進めば、すべてが電子化され、とにかく、子供の頃から読んだ書籍、雑誌から、大人になってから、亡くなるまでの、すべての書籍が蓄えられ、いつでも検索できるようになると思います。最初に学んだ絵本や、最初に学んだ英語の教科書を見たいと思えば、いつでも見られるわけです。特定の個人が生涯にわたって読んだ書籍や、雑誌のすべてが、検索できる時代がやってくるということです。

後世の歴史家が歴史上の人物の生涯にわたって読んだ書籍などの情報を検索てきる時代がくるのでしょうか?しかし、これは、あくまで、個人情報ですから、個人が開示しても良いと遺言に残す時代がやってくるのでしょうか?それとも、学術研究に限って、一部の人に許されるとかそんな時代が来るのでしょうか?

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2011年2月15日火曜日

中国マクドナルド 原価一覧が流出し騒動!ハンバーガーは28円―【私の論評】この原価をどうみるか?

中国マクドナルド 原価一覧が流出し騒動!ハンバーガーは28円



ファストフードといえば マクドナルド が思い浮かぶ程私達の生活に身近なものとなった マクドナルド。

中国マクドナルド 原価一覧が流出し騒動!ハンバーガーは28円

宅配サービスを開始したり、新しいコンセプトの店を出店したりと不景気の中で拡大を続けるマクドナルド の「企業秘密」である原価一覧表がネット上に流出し大騒ぎになっている。

流出したのは、中国のマクドナルドの原価表。
その一部が以下のようなもの▼

マックフライポテト(S)…約14円
マックフライポテト(M)…約19円
ハンバーガー…約28円
フィレオフィッシュ…約41円
チーズバーガー…約35円
ダブルチーズバーガー…約60円
ビッグマック…約65円
チキンマックナゲット(4個)…約25円
クォーターパウンダー…約60円
チョコレートシェイク…約17円

などなど。
原価一覧がどのようにして流出したかは不明ですがマクドナルド側としては非常事態。

気の毒…とは思いつつ食い入るように見てしまう一覧表流出の話題でした。

【私の論評】この原価をどうみるか?

上海のマクドナルド

中国のマクドナルドは、価格的には、下の表示価格を15倍くらいすれば、だいたい日本円での価格とみて間違いないです。しかし、これは、2008年当時のものですから、今は物価の値上がりが激しいからどうかはわかりません。当時としては、下の価格表の15倍にすれば、だいたい日本円に換算できました。

しかし、それはそれとして、現在でも商品そのものは、日本の半分くらいと考えておくのが妥当だと思います。なのに、原価が先のとおりだとすれば、たとえば、ビッグマックは、定価が330円で、原価が、65円ですから、単純に割り算をすると、19.7%というところです。

こうして計算してみると、かなり安いといえば、安いですが、さりとて、暴利というほどでもないような気がします。

2008年当時の価格表
飲食店の原価は、グレードによって違いますから一概にはいえませんが、最高級レストランのようなところで、40%、本当に安いところで20数%というところだと思います。普通は、30%前後という所だと思います。だから、マクドナルトの原価は低いといえば、低いです。しかし、これは、企業努力の範囲内といえると思います。

日本のビッグマックに相当するものは330円程度で、日本の半額
さて、日本の場合はどんなものなのでしょう。それぞれ国は違いますから、事情も違うので一概にはいえないとこもありますが、やはり、20%前後という事なのではないかと思います。

おそらく、あまりに原価率が国よって、ことなれば、マクドナルドのシステムが成り立たないのではないかと思います。それにしても、日本の場合は、100円マックもありますから、実際のところはどうなのでしょう。しかし、いずれにせよ、かつてのマクドナルドのように値引きばかりしていても、成り立ったというのは、こういうようなシステムがあったからこそだったのだと思います。

マクドナルドは世界中から仕入れをしているようですから、複数個所あるところのうち、その時々で最も安いところから仕入れをしていると思います。ただし、あまり頻繁に仕入れ先を変えたり、あるいは、あまりに短い期間だけ仕入れするということになれば、かえって、仕入れ価格を高めることになるので、そのへんはバランスをとって、仕入れ先とも良い関係を構築しながら実施しているのだと思います。さらに、工場など想像を絶するほど、合理化されていますから、この原価で出来るのだと思います。

それにしても、利は元にありと言う言葉があります。マクドナルドの経営努力、なみなみならぬものがあると思います。日本マクドナルドの社長は、12月が創業以来の最高益だだったことを発表した記者会見において「多様な価格政策の使い分けがこれかも重要」としていました。こんな、価格政策ができるのも、背後にこのようなシステムがあるからです。

最近では、「マクドナルド化する社会」などという書籍が出されるほど、悪いものの代表のようにもいわれるようなマックですが、確かに社会が合理性だけを追求するようになれば、まずいですが、企業としては、お手本になるものだと思います。どんなことをいっても、まずは、企業は利益をだせなければ、どうしようもありません。利益を出してはじめて、社会に貢献できます。タイガーマスク現象のように、「良き意図」だけでは、結局は大きな社会貢献にはつながりません。

グローバル経営などといって、日本国内で努力しないで、新興国市場ばかり狙うような企業経営者はこうしたマクドナルドの表にはみえない地道な努力を見習うべきと思います。


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