2013年10月13日日曜日

【ボール・クルーグマン】財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき―【私の論評】日本も同じ!!でも政治家のほとんど、特に自民党に"いかれポンチ"が多すぎ!日米両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき

by ポール・クルーグマン

アメリカのいかれポンチ代表共和党のJohn Boener

あと2週間後に政務上限危機が起きて経済に悲惨な影響がでたとして,そのときは John Boehner のもとでヘマした連中を非難しよう.それに,財政赤字ガミガミ屋どもも非難しよう――「責任ある」ピーターソン予算委員会みたいな連中,それに,支持したおマジメなみなさんもそろって非難してやろう.

『ニューヨークマガジン』でジョナサン・チェイト (Jonathan Chait) が思い出させてくれてるように,ああいった組織はそろいもそろって2011年に共和党を応援した.共和党がはじめて債務上限を使って現職の大統領に脅しをかけたとき,連中はそろって応援してた.

いかれポンチを応援した、いかれポンチの Jonathan Chait

金融危機が起こりそうないまの様子をみて連中がびびってたとして……ねえ,あんたら,自分の目標に役立つならあんなゆすりもOKだって主張してたのは他でもなくあんたたちだったよね.

© The New York Times News Service

【私の論評】日米双方とも政治家に"いかれポンチ"が多すぎ!だから両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

いかれポンチ?これは、ある方のtwitterの写真です

イカレポンチ

@u_ya_mu_ya


いわゆる、“いかれポンチ”も数が多くなるととんでもないことになります。アメリカでは、 John Boehner のもとでヘマした連中、財政赤字ガミガミ屋どもは、現状のアメリカの様子をみると、“いかれポンチ” も数が多いと、 あと2週間後に政務上限危機が起きて経済に悲惨な影響が出るようなとんでもない事態になることを示しています。

リーマンショックの時には、敏速に対応して、金融緩和を積極的に進めた米国とは、対象的に日本では、日銀が金融緩和をしなかった(当時の日銀はしたといっていていたが、他国と比較すると量的に少なすぎ)日本が、もともとリーマンショックとはほとんど関係なかったのに、ほとん゛と独り負け状態になったことから、米国のほうが経済対策は、はるかに優れているようにみえました。

そうして、日本の政治家や、官僚なども、アメリカに比較すると"いかれポンチ"が多いのかと思い、忸怩たる気持ちがしたものです。

しかし、上の状況をみていると、アメリカも経済に関しては"いかれポンチ"が多数いるということで、お気の毒ではありますが、何やら滑稽でもあります。はっきり、「ばーかみたい」という感じです。ホール・クルーグマン氏もこれらマクロ経済が全くわからない"いかれポンチ"を随分前から、批判し揶揄していました。そうして、著書で、「テレビなどでは、医学の分野の話だと、医師が説明するのが普通だが、なぜか経済の話になると、マクロ経済と全く関係のない人がそれこそ、"いかれた話"を平気でする」と嘆いていました。"いかれポンチ"は、米国でも日本と変わらず多いようです。

日米共にマクロ経済オンチは多いようですが、日本は左に(おそらく反資本主義であるマルクス主義の影響)、アメリカは右に(リバタリアニズムや古典派系経済学の影響だろう)多い傾向があるようです。ただし日本でも新自由主義の構造改革系は反マクロ経済学的要素が強いです。財務省も緊縮デフレ脳です。政治家も少数の例外を除けば不勉強極まりありません。

経済学者のいうことは当てにならないなどという人もいますが、クルーグマン博士も言っていたように、現在の世の中でも、マクロ経済学的な見方は成り立っています。それに、今の日本経済をみていても、マクロ経済学が現実の世界に当てはまるのかなどということは、到底理解できません。

なぜなら、今の日本は、過去20年にもわたって、マクロ経済がこうすべきことと教えていることのすべて逆をやってきています。ただし、今年の4月から、包括的金融感をして、ここ20年ではじめて、マクロ経済学の教えに合致した金融政策をやりはじめたばかりです。これでは、マクロ経済学が、世の中の現実に即しているのかどうかなど、検証不能です。今の日本、まずはマクロ経済学の教えと合致する経済政策をするのが、最優先課題だと思います。

それにしても、日本では、こうしたマクロ経済学を全く無視する"いかれポンチ"が顕在です。顕在どころから、数的にほとんどが"いかれポンチ"です。自民党も、数的には安倍総理も"いかれポンチ"の多数派に囲まれ、長期安倍安定政権を目指すために、忸怩たる思いで「来年4月からの増税」に妥協してしまいました。

自民党の"いかれポンチ"議員は、民主党の"いかれポンチ"議員などと比較すれば、まだましですが、その数の多さは、パーセンテージでみれば、あまり変わりはありません。民主党の"いかれポンチ"度合いは、酷すぎました。中国に対する態度も、自民党にもこうしたとんでもない議員も多数いますが、民主党のポンチ度合いは、度外れていました。

むろん、自民党にも、民主党さえまともな人もいました。民主党は、閣僚はほとんど全部"いかれポンチ"でした。これでは、いくらまともな議員がいてもどうにもなりません。自民党の場合は、少なくとも安倍総理は"いかれポンチ"ではないですし、閣僚にも、議員にもそうではない人もいます。だから、自民党のほうがまだまともかもしれません。だからこそ、こういう人たちに頑張って欲しいです。

認知症の老人は、自分が認知症と理解してない人も
多い。いかれポンチも自分をそうだと思ってない(゚д゚)!

"いかれポンチ"の多数派は、このことに気づいていません。"いかれポンチ"は、全く自分のことをそう思っていません。認知症の老人の多くが、自分は認知症ではないと思っているのと非常に良く似ています。他人評価でなくて、自己評価の世界に生きていて、他人の言うことなどは、歯牙にもかけません。

民間企業の経営者などが、マクロ経済を理解しなくても、"いかれポンチ"とはいえないとは、思います。なぜなら、彼らはミクロ経済の担い手だからです。現経団連会長、米倉のようなのは、いただけませんが、企業経営者の中には、マクロ経済のことは知らなくても、商売上手、事業運営のうまい人はいくらでもいます。しかし、政治家や、経済新聞記者、マスコミ、経済に関係する官僚、財界団体の長などがマクロ経済に疎ければ"いかれポンチ"と言われても仕方ないと思います。

経団連米倉会長

これは、本当に国に関係なく、日米共通です。このまま"いかれポンチ"をそのままにしておけば、上記のアメリカのような、滑稽な出来事が起こっても不思議ではありません。実際、日本の民主党政権下でも、もう少しで現在のアメリカと同じようなことが起こりかけたのは、記憶に新しいところです。

いずれにしても、"いかれポンチ"の多い政治家による政治は、うまくはいきません。日本で、"いかれポンチ"を見抜く方法は、簡単です。クルーグマンのように 「財政赤字ガミガミ屋」は、日本でも"いかれポンチ"の代表格です。特に、「このままでは、日本は財政破綻する」などと心の底から信じ込み、経済成長よりも、財政再建が先と信じ込む政治家は極めつけの"いかれポンチ"です。

社会保障費の削減と、経済成長するということは、全く別次元の問題であり、社会保障費が増えようが、増えまいが、経済成長は実現できます。それに、デフレから一刻もはやく脱却して、経済成長しなければ、税収が減り、そうなれば、ますます、財政赤字が増えるわけです。だから、今は経済成長が最優先なのです。そのためには、アベノミクスの第一の矢である、金融緩和をさらに推し進め、年内には実現できなかった、第二の矢である、大規模な財政出動が必須です。

こんな簡単な理屈がわからないのが、"いかれポンチ"です。いかれポンチどころか、精神を病んでいるのではないかと思います。あるいは、頭が老化したか、完璧に劣化したのか・・・・・・・?

これらの、"いかれポンチ"の言論を徹底的に批判すること、言質をとること、選挙のときには当選させないようにすることが、日本をまともにする最初の一里塚になります。これは、アメリカも同じことです。だかこそポール・クルーグマン氏は、上記のように"いかれポンチ"どもを徹底的に批判しているし、過去においても手ひどく、執拗に批判しまくっていたのです。そういわれてみれば、ブッシュ政権批判など度がすぎていて、批判というより一歩間違えば、罵倒という感じでした。

辛辣な批判をすることで有名なポール・クルーグマン博士

一流の経済学者から罵倒を浴びせられれば、さすがに、参ってしまうだろうし、経歴に傷がつくだろうし、相当ショックだろうと思います。でも、仕方ないです、そもそも"いかれポンチ"は、アメリカだろうが、日本だろうが、政治家などになってはいけないのです。日米双方の、まともな経済学者、まともな言論人、そうした私たちのような草の根の人間は、これから、徹底的に"いかれポンチ"を叩いていくべきです。そうでなければ、日米双方ともまともにはなりません。

日本が財政破綻するなどは、単なるトンデモ説であることは、このブログでも何回か説明しましたし、このブログの読者の皆様は、ほとんどご存知だと思いますが、そうではない方のため、本日は以下に動画を掲載します。この動画をご覧いただければ、よくご理解できると思います。



国家の経済を家庭の主婦的感覚で考えて、貿易赤字(貿易赤字がたくさんあるからといって、それが即経済が悪いこととは結びつかない)で大変だとか、景気が悪いのに、財政赤字をガミガミ(景気が悪いときには、何をさておいても経済成長が重要)いう"いかれポンチ"は、日米ともに政治家になる資格はありません。ましてや、このあたりを理解できなマスコミ関係者も、日米ともに、経済記者、経済新聞を名乗る資格はありません。こういう"いかれポンチ"どもは、世のため、人のため、この世から駆逐しなければなりません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連図書】

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危機の終わり遠い、緊縮で30年代型恐慌も-クルーグマン教授−【私の論評】日本は、はやくデフレから脱却して、世界に範を示せ!!

国を挙げた“増税万歳状態”の異常クルーグマン教授の緊縮財政批判に耳を傾けよ―【私の論評】これこそ、万死に値する、政治家のマクロ経済音痴!!いま、増税を叫ぶ政治家、新聞は、ただの馬鹿!!

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2013年10月12日土曜日

追加緩和、今すぐ必要な状況にない=中曽日銀副総裁―【私の論評】今後永遠に日銀が馬鹿真似をできないようにするため、日銀法を改正して、まともな中央銀行にせよ!(◎_◎;)

追加緩和、今すぐ必要な状況にない=中曽日銀副総裁

中曽根日銀副総裁、中曽根氏は日銀プロパー

[松江 9日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は9日午後、松江市内で会見し、日本経済は日銀が掲げる2%の物価安定目標達成への道筋を順調にたどっていると述べ、いますぐ追加緩和が必要とは思っていないと語った。一方、経済・物価見通しに変化が生じた場合は、物価目標実現に向けて必要な政策調整を行うと語った。

中曽副総裁は、日銀が4月に導入した異次元緩和によって予想インフレ率が上昇する一方、名目金利の上昇が抑制されていることから、「実質金利が低下し、民間需要を刺激している」と評価。異次元緩和の効果は「着実に発揮されてきている」との認識を示した。

その上で、経済・物価情勢は2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を「順調にたどっている」と強調し、「今すぐ、追加金融緩和が必要とは思っていない」と言明。一方で、先行きでは、見通しに変化が生じれば、物価目標の実現のために「必要な調整を行う」ことも付言した。

中曽副総裁は午前の講演で、物価安定目標の達成時期について「2014年度後半から2015年度にかけて」と言及。民間の見通しは平均で2015年度でも1%程度と開きがある。この点について副総裁は、需給ギャップ改善に対する物価の反応度やインフレ期待の見方などについて、日銀と民間に差があると説明した。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】今後永遠に日銀が馬鹿真似をできないようにするため、日銀法を改正して、まともな中央銀行にせよ!(◎_◎;)

日銀前総裁の白川氏(左)と、現総裁の黒田氏(右)

黒田体制のなってからの日銀は、白川体制までの日銀とはうってかわって、異次元の包括的金融緩和をしています。しかし、現在の日銀の政策決定委員会は、リフレ派と反リフレ派が数的に均衡しているような状態です。これでは、今後何がおこるのか、わかったものではありません。

それに、そもそも、日本国の金融政策が日銀の政策決定委員会で設定されるというのが、まったくおかしなことです。しかし、日本のマスコミなどは、このおかしな方式を日銀の独立性などと称して、日銀が決めた政策を政治家や識者などが、批判することさえ、独立性を侵害するもののように、報道します。そもそも、これは大きな間違いです。中央銀行のやり方を政治家や識者、マスコミが批判することは、海外では普通のことです。

考えてもみてください、日銀の構成員は、選挙で選ばれた人でも何でもありません。政府の一下部機関に過ぎません。日本では、政府や、総理大臣だって、批判されるときは批判されます。いくら、日銀に独立性があるからといって、批判は一切だめなどというのは、屁理屈に過ぎません。

それに、日本の日銀の独立性というのが全く異常です。世界の常識では、中央銀行の独立性とは、日銀のように、国の金融政策を決定するのではなく、それはあくまでも政府が方向性を決め、中央銀行は、その方向性に従い、専門家的な立場から、実施方法を自由に選択できるというのが、中央銀行の独立性というものです。

第1次世界大戦後のドイツのハイパーインフレを示すグラフ

中央銀行の独立性が、現在のようになったのは、第一次世界大戦中のドイツの中央銀行の反省という意味もあります。ドイツは、その頃、史上最悪ともみられるインフレに見舞われました。その原因は、その当時のドイツ中央銀行の独立性にありました。その頃のドイツ中央銀行は、現在の日銀のように国の金融政策を決定することができました。当時のドイツでは、政府の都合にはおかまいなしに、中央銀行が、どんどん金融緩和をしたため、史上まれに見るハイパーインフレにみまわれたのです。

ドイツのハイパーインフレ、マルク札束で遊ぶ子供
こういうことから考えると、日銀の独立性は、他の国の中央銀行の独立性と比較すると、著しく強大であり、本来の範疇を大幅に超えた権限を持っているということになります。これは、どう考えてみてもおかしなことです。どうして、政府の一下部機関がこのような権力をもつことがでるのでしょうか?

考えてみると、先日も掲載したように、日銀はバブル崩壊のときに、間違いをおかし、その後ずっと判断んを誤って、日本国内をデフレに導き、為替を円高傾向に導き、日本経済を痛めつけ、どんどん悪化させました。これについては、以前にもこのブログに掲載したことがあるので、以下にその記事のURLを掲載します。
日銀の追加金融緩和策への期待―【私の論評】資産バブルなど防ぐことはいくらでもできる!今は、それを恐れず、思いきった大金融緩和がすべき時だ!今やらないでいつやる?
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に日銀のバブル期における不手際を掲載します。
バブル期は一般的には1987年から1990年までをいう。どのような経済状況だったかといえば、株価は1987年から1990年にかけて1万5000円くらいから上昇し、1989年12月29日の大納会の日に3万8915円となった。その後は1990年代後半まで2万3000円ほど下がった。 
マクロ経済はどうだったかといえば、名目経済成長率は5~8%、実質経済成長率は4~5%。失業率は2~2.7%程度、インフレ率は0.5~3.3%と今からは想像できないほど良い状況でした。これは、単に景気がかなり良いという水準です。この程度の景気の良さをもって、大バブルと称する国はどこにもありません。インフレ率3.3%はハイパーインフレなどからは、ほど遠い状況でした。 
現在から見ると、景気が良いという状況のバブルに対する経済対策で、明らかに致命的な間違いがありました。その政策失敗でバブルの後遺症が大きくなってしまいました。そもそも、当時からバブルは日銀による金融緩和が原因であって、バブル潰しのためには金融引き締めは正しかったといわれていますが、それは全くの間違いです。
バブル時代の真相は、資産バブルだった(゚д゚)! 
当時のバブルは、証券・土地規制の抜け穴によって、証券・土地のみで起こったことでしたた。一般物価は比較的安定していました。証券・土地の値上がり是正には証券・規制の適正化で十分でした。金融引き締めは余計なことでした。 
当時は、株や土地の資産価格はかなり上がっていましたが、普通の財サービスの一般物価は上がっていませんでした。そもそも、インフレ率は0.5~3.3%で、バブルなどとはいえません。通常は、5%を超えるころから、バブルを警戒するようになります。 
当時散見されたのは、ほぼ違法ともいえる証券会社の営業でした。顧客に対して損失補填を約束しながら株式の購入を勧めていました。その株式の購入資金を顧客の自己資金でまかなうのではなく、銀行が融資するというパターンも横行していました。これは何も株式の購入に限らず、土地の購入でもよく見られた話でした。 
そこで、当時の大蔵省内は、1989年12月26日、大蔵省証券局通達「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」を出し、証券会社が損失補償する財テクを営業自粛、事実上禁止しました。その効果は抜群で、89年末の最高値をつけた後直ちに株価は急落しました。 
株式規制だけを適正化するのでは資金が土地に流れるといけないので、さらに大蔵省は90年3月には大蔵省銀行局長通達「土地関連融資の抑制について」を出し、不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える措置をとりました。これで、株式と土地のバブルは消えました。
経済対策としては、これで十分でした。ところが、その頃、日銀も動いてました。日銀では、公定歩合の上げで「勝ち」、下げで「負け」という言い方でしたが、この表現を使えば、公定歩合については1980年8月9%から8.25%に引き下げて以来、87年2月に3%から2.5%に引き下げるまで10連敗でした。89年5月に2.5%から3.25%に引き上げて11連敗を食いとどめました。98年5月も勝ちでしだ。 
この失敗はその後の日本経済にとって大きなものとなりました。バブル崩壊の損失を大きくしただけでなく、バブル潰しは正しかったと言い張り、その後の金融引き締めをすべて正当化してきたからです。日銀官僚には無謬性(絶対に間違わないということ)があるので、常に正しいといいますが、これは一度間違えると、無謬性にこだわるあまり、その後は間違え続けるということを意味しています。 
実際、この無謬性は繰り返され、後に日本は、デフレに突入し、15年以上もの、古今東西稀に見る長期にわたるデフレスパイラルの泥沼に落ち込みました。そうして、当社を含め多くの企業が、日銀のデフレ政策・円高政策に翻弄され計画の変更を余儀なくさせられることになります。この間違いは長い間放置され結局日銀に鉄槌が下されるまでには、20年以上もの時を待たなければなりまんでした。 
この大蔵省証券局通達「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」、「土地関連融資の抑制について」 は、現在も生きており、であればバブル期のような資産価格の極端な上昇はありえないわけです。
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97年には、日銀法が改正され、98年間より、日銀はデフレの中での金融引き締め政府を実施し、日本はこの年から、完璧にデフレに陥りました。この年から、自殺者が前の年まで、2万人台だったものが、3万人台に膨れ上がりました。

バブル期に判断ミスをした日銀の金融政策は、その後もずっと間違い続きとなり、第一次安部内閣のときには、もう少しで、日本経済がデフレから脱却できそうだったにもかかわらず、バブルの最中に金融引き締め転じ、日本をデフレ・スパイラルの泥沼に再び引き摺り下ろし、その後第一次安部内閣は、崩壊しました。

過去ほとんど金融緩和をしなかった日銀

リーマンショックのときには、日本を除く欧米先進国などすべてが、大規模な金融緩和を行ったにもかかわらず、日銀はほとんど実施せず、その結果、ショックの震源地であるアメリカや、直接の影響をかなりこうむったEU諸国などが、すぱやく立ち直ったにもかかわらず、本来ほとんど影響のなかった日本が、大きな影響をこうむり一人負けの状況でした。こうした意味では、日本におけるリーマンショックは実は、日銀の不手際によるものであって、日銀ショックと呼んでも差し支えないものでした。

その後も日銀の不手際は続きます。なにやら、おかしげな基金を設置して、短期の国債(短期の国債を買い取っても現金を現金に替えているようなもので、ほとんど金融緩和の効果はない)などを買取るようなことをして、いかにも金融緩和をやっているようにみせかけつつ、実質的に金融引き締めを続けていた日銀は、東日本大震災が発生したときでさえ、基本的には金融引き締めを実施し、緩和はしませんでした。


そのためにどういうことになったかといえば、震災などの大規模な自然災害が発生すれば、救援活動や復興活動で、当然のこととして円の需要が高まります。にもかかわらず、日銀は、金融引き締めをしたままので、その結果として、当然円の需要はますます高まり、かなりの円高となりました。

どの国でもまとも国であれば大規模な自然災害が発生すると、多少通貨高になるのが普通ではあります。確かに、東日本大震災の前の年にあった、オーストラリアの水害のときも、オーストラリアドルが高くはなりました。しかし、日本の場合は、高くなりすぎただけでなく、高い期間も結構長かったです。やはり、日銀歩が金融引き締めばかりに実施して、円を市場に投下しなかったためです。

この馬鹿な日銀による、金融政策の失敗続きは、今年の4月に黒田体制となってから、異次元の包括的金融緩和が実施されて以来、終止符が打たれたわけです。

それにしても、過去の日銀は、20年間も判断ミスばかりが続いたわけです。今の黒田体制は、今のところまともな金融政策を実施していますが、これとてどうなるかはわかりません。日銀の金融政策決定委員会が、おかしげな金融政策を決定するようになれば、またまた、異常な金融政策に逆戻りです。特に、来年の4月からは、増税が決定しました。増税は、緊縮財政の一環であり、デフレの最中には絶対に実施すべきものではありません。

しかし、実施されてしまうことに決定されてしまったわけですから、日銀としては、少しでも経済の落ち込みを避けるために、さらなる金融緩和を実施すべきです。こんなときに、金融緩和しないとか、逆に金融引締めなどやられたら、大変なことになります。そうなれば日本は、またデフレ・スパイラルの底に深く沈みこむことになります。そんなことは、断じてさせるわけにはいきません。

であれば、日銀の金融政策をまともにするため、日銀法を改正して、諸外国と同じように、日銀の独立性を、政府の金融政策に従い、専門家的立場から自由に方法を選ぶことができるというものに変更すべきです。そうなれば、少なくとも安倍政権下においては、日銀はいやいやながらも、金融緩和をせざるをなくなると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年10月11日金曜日

中韓“反日同盟”は崩壊も 漁業権めぐり大抗争! 黄海舞台に警官刺殺―【私の論評】中国人は韓国人を馬鹿にし、韓国人はプライドばかり高いときては、この両国の協力など最初から無理(゚д゚)!ましてや、蜜月関係など最初から成り立たない(゚д゚)!

中韓“反日同盟”は崩壊も 漁業権めぐり大抗争! 黄海舞台に警官刺殺



領土や歴史問題をめぐって日本と対立が続く中国と韓国。反日で共闘する両国だが、その関係も盤石とはいえない。両国に挟まれる黄海での漁業権争いが対立の火だねになりそうなのだ。韓国の領海では、同国の海洋警察と、違法操業を繰り返す中国漁民との血みどろの攻防が激化。韓国内では、弱腰対応の朴槿恵(パク・クネ)政権に不満が高まり、「問題が深刻化すれば、両国の関係が急速に冷え込む可能性もある」(専門家)。中韓「反日同盟」に走る亀裂とは-。

「中韓関係がどれほど緊密で重要なものかを物語っている」

インドネシア・バリ島で行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)。習近平国家主席は7日、韓国の朴槿恵大統領との会談について、こう述べた。

2人の会談は6月以降、懇談も含めて3回目。習氏と朴氏がともに安倍晋三首相との会談を拒み続けるのとは対照的に、反日で手を組む中韓の関係緊密化が鮮明になった場面だった。

「6月には両国間で、緊急時にそれぞれの通貨を融通し合う通貨スワップ協定を3年間延長することで合意した。アベノミクスによる円安ウォン高に苦しむ韓国は、経済面で中国にすり寄らざるをえない状況になっている」(アナリスト)

親密度を深めるかにみえる両国。だが、その結びつきは強固なものとは言い難い。一歩間違えれば深刻な対立に発展しかねない懸念材料を抱えているのだ。

「中国大陸と朝鮮半島の間に位置する黄海での漁業紛争だ。中国漁船による韓国の排他的経済水域(EEZ)での違法操業が常態化し、取り締まりに当たる韓国の海洋警察と何度も衝突を繰り返している」(領土問題に詳しい外交筋)

7日には、全羅南道の可居島沖で違法操業をしていた中国漁船2隻を韓国の海洋警察が拿捕(だほ)した。この際、中国人の漁船員2人が、激しく抵抗。刃物や鉄パイプを投げつけて海洋警察官4人が顔や膝を負傷したという。

現場付近では2日にも違法操業中の中国漁船員の抵抗で、海洋警察官2人が負傷したばかり。2011年12月には、中国漁船の乗組員が、取り締まり中の海洋警察官を刺し殺す事件も起きた。

中韓漁業協定で韓国のEEZ内では中国漁船の漁獲量は6万トンに制限されている。だが、中国の漁民はルールを無視。違法操業漁船は1万隻に迫る勢いで、韓国漁船の領海内の安全な通行さえ満足にできない状況という。取り締まり件数も、07年の70件から毎年増加し、11年には171件に達した。

激化する漁業紛争の背景に何があるのか。

東アジア情勢に詳しいジャーナリストの宮崎正弘氏は「ここ数年、中国近海の漁業資源は枯渇気味になっている。そのため、中国の漁民が魚を求めて遠方海域にまで出ざるを得なくなっている。資源枯渇の一番の原因は漁業人口の増加に伴う乱獲と、ひどくなる一方の海洋汚染だ」と話す。

中国近海では、北部の遼東半島と山東半島の間にある渤海が有数の漁場として知られる。

だが、沿岸地域の工業化が進み、00年代に入って頻発した原油流出などの事故が海洋汚染を深刻化。中国政府の調査では、06年から11年まで約55億元(約880億円)の漁業損失があったとされる。

「いまでは地元漁民の間で『ヘドロの海』と呼ばれるほどに悪化した」(宮崎氏)という海洋汚染が漁民を違法操業に駆り立てている。

海洋問題に詳しい東海大の山田吉彦教授(海洋学)は「中国の富裕層が海洋資源を買いあさっているのも一因だ。拿捕されるリスクがあっても、1隻につき月間500万円分ぐらいの実入りになる。中国政府も黙認しているような状態で、漁場を荒らされる韓国漁民の間では不満が鬱積している。問題を放置すれば、お互いが一線を踏み越え、大きな紛争が勃発する事態もあり得る」と危ぶむ。

黄海には、領有権をめぐって中国、韓国の主張がぶつかり合う海域もある。いさかいが紛争に発展する恐れもあり、韓国政府も対応を苦慮している。

中韓両政府は7月に漁業問題に関する会議を開いたが、韓国側から中国側に違法操業の改善を要求する踏み込んだ発言はなかった。このため、韓国の漁民らから「政府は中国に海を売り渡したのではないか」との政府批判も上がっている。

先の宮崎氏は「中韓は反日で結束しているようにみえるが、蜜月が続くとはかぎらない。韓国・ソウルの工業地帯に進出した中国系企業が地元の韓国人と衝突を繰り返すなど、軋轢(あつれき)が顕在化してきている。韓国政府は『中国さまさま』で両国間に横たわるさまざまな懸案を放置しているが、漁業紛争の問題が大きくなれば、それをきっかけに関係が一気に破綻するかもしれない」と指摘する。

蜜月もかりそめ。げに危うき両国関係-。

【私の論評】中国人は韓国人を馬鹿にし、韓国人はプライドばかり高いときては、この両国の協力など最初から無理(゚д゚)!ましてや、蜜月関係など最初から成り立たない(゚д゚)!

朴槿恵と習近平

この事件根底には、中国の中華思想と、韓国人の根拠のないプライドの高さがあると思います。プライドの高さとはいっても、それは単なる劣等感の裏返しにすぎないものです。中国人は、中国にある昔からの、中華思想があり、韓国やタイなど、そもそもかなり軽くみています。これについて知ったのは、会社で昔中国人を雇用していたときですが、雇用していた中国人は、韓国人などはなから軽蔑していました。

完全に狂った韓国の女の子
しかし、この中華思想も怪しいもので、中国なる国はもともと存在しなかったし、現在の中国共産党中央政府が、後から人為的に植えつけたものだと思います。漢人のエスノセントリズム(自民族中心主義)は、昔からありましたが、そもそも、漢人が中国全土を治めた歴史など、本当に短いものです。結局これも、単なる劣等感の裏返しにすぎないと思います。

そうして、韓国人といえば、さしたる根拠もないのに、異常にブライドが高いです。これら両方があいまって、この二国間関係は最初から成り立たないものと思います。

中国の韓国・北朝鮮軽視は、地図からもうかがえます。以下の地図は、中国の長期国家戦略を示すものといわれたものです。


日本は、日本自治区と、東海省となっていますが、韓国・朝鮮も、朝鮮省として中国の一部の省となっています。韓国は、独立国であった歴史は非常に短く、もともと中国の属国でした。日本の植民地になったときは、差し迫ったロシアの脅威を交わすため、当時の王朝が自らすすんで、日本の植民地になったという経緯がありまずか、そうなった後でも、王朝はロシアと内通するなどの、煮え切らない態度をとっていました。

韓国の異常な反日運動

歴史は繰り返されるというのは本当です。現代韓国は、終戦後しばらくは、北朝鮮・中国と対峙して、自他ともに反共の砦であると認めていました。とにかく、中国・北朝鮮は敵対国という見方で、日本や米国とも一致していました。そうして、その頃の韓国は、今の韓国と異なり、気骨がありました。日本とも良い関係を保っていました。反日を繰り返す今の韓国とは大違いです。

しかし、いつの間にやら、おそらく、北朝鮮や中国に侵食されて、最近では、国民にアンケートをとると、日本や米国よりも、北朝鮮や、中国に親和感を持つなどの結果が出るそうです。もう完璧に韓国は、敵方に飲み込まれてしまったようです。

中国の反日活動
そうして、中国に接近するなど、かつての属国の道を歩んでいるとしか思えません。いずれ、完璧に飲み込まれる日がやってくることでしょう。

アジアにおいては、中韓は本当に特異な国となりました。中韓を除く他のアジア諸国は、日本に対して好感を持っているにもかかわらず、この二国のみが、反日で染まっています。これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあるので、以下のその記事、URLを掲載します。
アジア各国の対日感情、評価真っ二つ 米調査機関調べ―【私の論評】嫌われている人と無理してつきあう必要はなし。国も同じこと、さよなら中国・韓国、そうして好かれている隣人とつきあおう(゚д゚)!
以前は、中韓以外にも、日本の軍国主義化を警戒する国もあり、反日感情もあったりしましたが、今は様子が変わりました。中国が台頭して以来、多くのアジアの国が日本に好感を持ち、しかも、日本の再軍備化を望んています。

日本としては、中国・韓国に関しはては、向こうのほうから、歩み寄りをみせ、尖閣問題など最初からなかったこと、竹島問題は韓国の一方的な過ちであることを認めれば、話あいなどしても良いでしょぅが、それ以外は、お付き合いは最低限のものにすべきです。

韓国の根拠のないプライド?
それから、日本としては、絶対に忘れてはならないのは、金融緩和は今後も継続し、増税後には、増税の負担を軽減して、経済成長の腰をおらないようにして、日本のデフレ脱却をはやめることです。日本が金融緩和をして以来、中韓は、経済的にも相当悪化しています。

これについては、このブログでも以前掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
これが実力だぁ 中国・韓国 経済が大失速アベクロ相場でニッポン圧勝―【私の論評】白川によって中国と韓国の大富豪に大奉仕させらてきた日本人!!もう二度とあんなバカ真似はさせまじ!!
中国韓国は、経済的に今後ほんど見込みがありません。韓国は、中国にすがっていますが、それも検討違いです。本当は、日本にすがるべきです。しかし、プライドの高い彼らはそれもできません。かといって、中華思想に染まった中国ともなおさら、うまくいくはずはありません。

公道で女性がボコボコにされているのにしらん顔の中国人


日本としては、最早アジアの中で、執拗に反日を繰り返す国は、この二国だけになった今、これら二国が没落していくことをゆっくりと見守ればそれで良いことです。日本が嫌いなら、日本など永遠に相手にしてもらわなくてもいっこうに構いません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「ニコポン宰相」の決断力に学べ 評論家、拓殖大学大学院教授・遠藤浩一
桂太郎

≪没後百年の桂太郎を再評価≫

 明治末期の首相、桂太郎が没したのは、大正2(1913)年10月10日だったから、今日は、没後100年に当たる。

 ニコニコ笑いながら相手の肩をポンと叩(たた)いて懐柔していったことから、「ニコポン宰相」などと呼ばれた。そこには何となく揶揄(やゆ)の響きがある。なるほど伊藤博文や山縣有朋などと比べると、やや影が薄い印象で、近代日本政治史では脇役のように扱われてきた。

 しかし近年、小林道彦氏(北九州市立大学教授)の丹念な研究をはじめとして、再評価の動きが広がっている。

 徳富蘇峰は「桂公を誤解したる者の為(た)めに、其(そ)の誤解を悲しむ」と述べているが、桂の果たしたこと、果たし得なかったことについて、真剣に検討する必要があるのではないか。

 実際、宰相としての桂の業績は瞠目(どうもく)に値する。日英同盟締結、日露戦争の開戦と勝利、韓国合邦化による朝鮮半島政策をめぐる混乱の収束、関税自主権の回復、大逆事件の処理、そして立憲同志会(桂新党)の設立。個別に賛否はあろうが、ともあれ、これだけのことを1人の宰相が次々に成し遂げていったという事実は重い。

 通算在職2886日は憲政史上最長である。果たすべき目標を持つ宰相は権力への意志が明確だし、権力の方も決して彼を突き放そうとはしない。桂太郎こそ、明治国家を完成させた宰相だったといっていい。

 ただし、大きな決断には、常に激しい反対がつきものである。日英同盟は、日露協商論がこれに対抗した。日露開戦時も、開戦やむなしとする見方で要路はほぼ一致したにせよ、対露交渉については強硬論と慎重論が対峙(たいじ)した。戦後、賠償金や北樺太割譲を断念した講和について、一部の政敵は激しく批判し、世論もこれに煽(あお)られ激高して、暴動に発展した。日韓併合も強引に進めたわけではない。慎重な合意形成を経て日韓条約締結にいたったのである。

 ≪事決するや断乎として動かず≫

 対立が起これば、それは必然的に政争へと発展する。桂も、好むと好まざるとにかかわらず政争に巻き込まれていったし、その過程で、断念せざるを得なかった課題もあった。新橋から下関にいたる鉄道を広軌化し、朝鮮半島及び満州の鉄道と結んでヒトとモノの往来を緊密にしようとの構想は、結局、日の目を見なかった。

 “ニコポン”の綽名(あだな)が示すように、桂は調整型の政治家と目されている。確かに彼は、政治というものが調整や妥協の産物であることを熟知していた。

 が、調整や妥協それ自体を目的としていたわけではなかった。ひとたび事を決するや断乎(だんこ)として動かず、というのが彼の本質であり、したがって、“ニコポン”は決断した施策を遂行するための武器であった。今日の妥協や蹉跌(さてつ)は明日勝利するための準備にほかならなかった。

 晩年、政友会と競争しうる政党(立憲同志会)を自ら育てて、政党政治を軌道に乗せようとしたが、これは存命中に日の目を見ることはなかった。

 桂と西園寺公望が交互に政権を担当した「桂園時代」(明治39~大正2年)は、藩閥官僚政治から政党政治への過渡期だった。山縣の下で藩閥官僚ないし軍人として頭角をあらわした桂は、しかし藩閥官僚が主導する統治はやがて行き詰まり、政党政治に移行せざるを得ないと観念していた。政党政治を機能させるには、政友会のほかに強力な政党を育て、両者の競合関係の中で、全体として政党を鍛え上げる必要があると考えた。そこに憲政の要諦があるのであり、その意味で、憲政を擁護し閥族を掃蕩(そうとう)し得るのは自分を措いてないと、内心自負してもいた。

 ≪安倍氏本来の姿勢にも通底≫

 しかし、山縣を頂点とする藩閥官僚と政友会など既成政党からの挟撃にあい、既成政党が繰り広げた倒閣運動は国民運動へと発展した。万策尽きた桂は大正2年、第3次内閣を総辞職し、数カ月後、失意のうちにこの世を去る。最後の試みこそ失敗に終わったが、桂が藩閥官僚政治から政党政治への橋渡し役を務めようとした事実は見逃せない。

 こう見てくると、今日の政治指導者への示唆が少なくないことに気付かされる。


 安倍晋三首相も経済再建、財政の安定化、集団的自衛権行使、靖国神社参拝、教育再生、そして憲法改正など、多端かつ重要な課題について、決断したことを着実に実行していかなければならない立場にある。そうそう、政党政治の育成という百年来の課題もある。桂は政党政治というものの困難を見越したうえで、敢えてそれを引き受けようとした。


 安倍氏もおそらく、大衆民主主義における政治指導の困難を噛(か)みしめながら多くの決断を重ねているに違いない。その際、肝要なのは手段と目的の峻別(しゅんべつ)であり、ひとたび事を決するや断乎として動かずという桂と通底する(安倍氏本来の)姿勢ではないだろうか。(えんどう こういち)14:20 2013/10/08

【私の論評】安部総理にとって増税は、今日の妥協や蹉跌か?目指すは「戦後体制からの脱却だ!そのために私たちができることは何だろう?
上の記事で紹介している、桂五郎のすごさは、やはり以下の一文につきると思います。
『今日の妥協や蹉跌(さてつ)は明日勝利するための準備にほかならなかった』。

そうして、今日の安部総理にとっての最大の蹉跌は、来年4月からの消費税増税を決めたことだと思います。



なぜなら、来年4月からの増税はどう考えても、安部総理が考えている、経済対策とは相入れないないからです。安部総理の経済対策の三本の矢は、金融緩和、積極財政、経済成長です。金融緩和については、すでに今年の4月より、日銀が異次元の包括的金融緩和をしています。

その次の積極財政はまだ、現実には始動していませんが、国土強靭化などが予定されています。そうして、積極財政と増税は全く相入れないものです。増税は、積極財政の一環といえるものではありません。緊縮財政の方策です。積極財政をするというのなら、減税するのが本来の筋です。安部総理としては、これは、本来は絶対やりたくなかったことだと思います。

しかし、政局がらみで、忸怩たる思いで、増税せざるを得なかったものと思います。これに関しては、以前このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
【高橋洋一の俗説を撃つ!】消費税増税決定の過去そして未来―【私の論評】安倍総理は、平成15年度予定10%増税をしない!なぜなら、安倍長期政権を樹立して、最終的には「戦後体制からの脱却」を目指しているからだ(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に安部総理の今回の増税に関する、苦渋の意思決定に関する部分のみコピペさせていただきます。
もし、今回増税に踏み切れば何が起こったかといえば、国民からの支持は絶大なものになったかもしれませんが、自民党内部は分列することとなり、完璧に反安倍派が台頭することになったことでしょう。そうなれば、次の総裁選では、安部総理が勝てる見込みがなくなります。
増税が見送りになっても、安部長期政権は成立しなかったものと思います。おそらく、今期限りで安部総裁、総理は終わったと思います。
安倍総理は、増税しても、長期政権を狙うか、増税を見送り、短期政権で終わるのか、いずれかの道の選択を迫られたのです。
そうして、結局今回は苦渋の決断で、増税しても、安部長期政権を選んだということです。皆さんは、どう思われたかわかりませんが、私は、あの増税の発表の時に安倍総理は、心の中では泣いていたと思います。国民に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだったと思います。
長期政権を狙うためとはいえ、国民に対して増税という形で負担を強いること、さらには、一方では金融緩和を行い、もう一方では、緊縮財政(増税は緊縮の一環です)を行うことの矛盾は安倍総理が一番理解していると思います。
上記に示したように、今回安部総理は、原則論に従って増税見送りをすることはできたと思います。しかし、現実の政局がそれを許さなかったということです。安部総理の目指す「戦後体制からの脱却」の一環でもある経済対策もそんなにすんなりとはいかないということです。私も、今回は、「戦後体制からの脱却」一里塚でもある、経済対策もそんなにすんなりいくものではないことを思い知らされました。
敵国条項は今でも生きている
桂の時代の日本は、小国で、経済的にもとるに足らない国ではありましたか、正真正銘の独立国でした。現在の日本は、戦後半世紀以上を経ているというのに、未だ「戦後体制」にどっぷりと漬かっています。国連では未だ第二次世界大戦の敗戦国である、ドイツと日本に対しては、敵国条項が生きています。


日本は、経済大国になったものの、未だ自国を自国の手だけで守ることすらできないという状態にあります。桂の時代とは異なるこの「戦後体制」のくびきの中での、まともな政党政治を成り立たせることは本当に困難なことです。「戦後体制からの脱却」を最終目的と考えた場合、安部総理の周りは自民党の内部はもとより、野党、そうして官僚そうして、マスコミもほとんどが敵です。というより、あまりにも長い間「戦後体制」にどっぷりと浸かってしまって、それが普通になり、「戦後体制」でない日本のことを想像することもできないような人々が日本の枢要な部分を占めてしまっているというのが実情です。

ソビエトは20世紀に崩壊

この幾重にも囲まれた、抵抗勢力に抗い、「戦後体制」を貫くことは、並大抵のことでできることではありません。時には、妥協したり、時には一歩進んで二歩後退ということも十分あり得ます。今回の増税だけではなく、これからも様々ことがあると思います。

しかしながら、現代の日本は桂の時代とずいぶん異なることもあります。それは、桂の時代にはなかった、インターネットがあるということです。それだけではなく、今では、スマホがあり、SNSもあり、いわゆる草の根の勢力が世論を形成するかなり、こともできるようになりました。たとえば、今年の参院選の赤池議員の誕生などは、象徴的な出来事でもありました。

1991年ソビエト崩壊の年に撮影したロシアの少女

ですから、私たちのこの困難な時代においても、桂の時代のような大変革を起こせる潜在的な可能性は、十分あります。ソビエト連邦が滅んだことは、皆さんは、ご存知のことと思います。このソビエト連邦が、崩壊するわずか数年前に、私は、20世紀中のソビエト連邦の崩壊の可能性を周りの人に話したことがあります。

その時の周りの人の反応は、「それはあり得ない」というものてした。しかし、現実には、ソビエトはこの世から消えました。その理由は簡単です、ソビエト体制は、時代の要請や、時代の流れにまったく沿っていなかったからです。無理な体制は、必ず崩壊するのです。

一見今日強固に見える「戦後体制」も、もう時代の要請や、時代の流れにはもう、沿ってはいません。アジア諸国も、中国、韓国を除いては、日本の再軍備化を強く望むようにさえなっています。

この時代の変化をみれば、「戦後体制」もいつまでも続くものではなく、いずれ崩壊するものと思います。その日は、戦後体制のほころびが目立ってきた、今日、意外と早いかもしれません。少なくとも、50年、100年などと言う人もいますが、そこまでいかないうちに瓦解すると思います。そもそも、欧米は、世界の経済の中心ではありません。経済の中心がアジアになるのははっきりしています。その中で、中国の台頭を許しておけば、世界の安定は保てません。米中二極体制など、中国の儚い夢に過ぎません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか!(◎_◎;)

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安倍首相を東南アジアの各メディアが“援護”、「太陽が再び日本から昇る」「中国の挑発を受けて立とうとしている」―中国紙―【私の論評】中国の共産党機関紙ですら伝える安倍首相の快挙を伝えないどころか、麻生発言偽装までするニッポンマスコミの反日ぶり!ただ大醜態を国民に見破られただけか(゚д゚)!

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2013年10月9日水曜日

日本の「成人力」世界で突出 「読解力」「数的思考力」トップ OECD調査―【私の論評】本当に重要なのは、モノでもカネでもない、新しい意味での「知識」だ!これがある限り日本は世界一!

日本の「成人力」世界で突出 「読解力」「数的思考力」トップ OECD調査

 社会生活で求められる成人の能力を測定した初めての「国際成人力調査」(PIAAC=ピアック)で、経済協力開発機構(OECD)加盟など先進24カ国・地域のうち、日本の国別平均点が「読解力」と「数的思考力」でトップだったことが8日、分かった。日本は各国に比べ、成績の下位者の割合が最も少なく、全体的に国民の社会適応能力が高かった。また、生産現場の労働者などいわゆるブルーカラーの能力が高いことも分かった。

 この調査はOECDが平成23年8月から翌年2月にかけ世界24カ国・地域の16~65歳の成人約15万7千人を対象に実施。日本では男女1万1千人を対象にして5173人が回答した。(1)社会に氾濫する言語情報を理解し利用する「読解力」(2)数学的な情報を分析し利用する「数的思考力」(3)パソコンなど「ITを活用した問題解決能力」-の3つの社会適応能力を調べた。




 それによると、日本は「読解力」の平均点が500点満点中296点で、OECD平均273点を大きく上回り1位になった。「数的思考力」も、OECD平均269点に対し日本は288点で、2位のフィンランドに6点の差をつけて1位だった。

 読解力と数的思考力の得点を「レベル1未満」から「レベル5」まで6段階にわけて分析したところ、日本は下位の「レベル1未満」と「レベル1」の解答者の割合が各国の中で最も少なく、逆に上位の「レベル3」と「レベル4」の割合が最も多かった。最上位の「レベル5」の割合は読解力で4番目、数的思考力で6番目だった。



 職業別にみると、各国では現場作業員や農林水産業者らいわゆるブルーカラーの平均点が、事務職やサービス業などいわゆるホワイトカラーの平均点に比べて明らかに低かった。しかし日本ではブルーカラーのレベルも高く、各国のホワイトカラーと同程度か、それ以上だった。

 一方「レベル1未満」から「レベル3」まで4段階で評価された「ITを活用した問題解決能力」については、日本は「レベル2」と「レベル3」の上位者の割合が35%にとどまりOECD平均の34%とほぼ同じだった。文部科学省では「ITの習熟度では課題が残ったが、全体的なレベルが高かったのは基礎基本を重視する義務教育の成果だ。このレベルを維持し、向上していきたい」としている。

【私の論評】本当重要なのは、モノでもカネでもない新しい意味での知識これがある限り日本世界一(゚д゚)!


上の調査の結果は、当然といえば当然です。最近日本の子供の学力は相対的に昔よりは落ちてる傾向がありますが、成人となるとこのくらいの差が出るのは当たり前です。

それは、何もこのような調査をしなくても、感覚的に理解できるところです。アメリカでは、地方や、労働者階層ということになると、かなり知的レベルは劣り、まともな話しなどできません。こんな言い方をすると、傲慢不遜に受け取られるかもしれませんが、日本と違って世界の他の国々は、明らかに階層があります。緩いきついだけで、多かれ少なかれ階層があります。特に、イギリスなどは、労働者階級の子供に生まれれば、偉くなるのは、教職か聖職者しかないというのが実情です。ただし、誤解のないように言っておきますが、私は階層社会が良いとか、悪いとか価値判断をするつもりはありません。現実として、日本以外の国には厳然として階層があるということを言いたいだけです。

イギリスのジェントルマンはもともとは、紳士という意味ではない、階層の呼び名である

それは、ドイツでさえ例外ではありません。ここが、日本と世界の他の国との大きな違いです。日本には、厳密な意味での階層はありません。貧乏人と金持ちがいるだけです。貧乏人が、一生続けて貧乏ということもありませんし、何代も続けて貧乏人ということもありません。

金持ちが、一生金持ちで、何代も続けて金持ちということもありません。だから、子供に対する教育も変わってきます。そもそも、子供たちが将来何になるかなどわからないものとしてし教育が施されます。しかし、日本以外の国であれば、かなり早い時期から、上の階層と下の階層の教育は、ある程度特定されてしまいます。

しかし、日本の場合は、戦前は天皇陛下の臣民となるべき、少国民に対して差別をしてはいけないという考え方から、戦後は、誤った民主主義の名のもとではありますが教育の公平性はある程度保たれる傾向がありました。

戦争中の週間少国民
こうした、基礎的な初等教育の他に、日本では企業に入ってからの教育があります。それは、何も大企業の体系的な教育だけではなく、中小企業でも、もっと規模の小さな企業でも、様々な形で行われています。特に、若者に対する教育は、それを研修という形で体系的に行うのか、修行ということで行うのかは、別にして必ず行われています。

とにかく、新卒とか、新人という考え方があり、特に若年者に対しては、きちんと職業訓練・教育をしなればならないという社会的コンセンサスが形成されています。

毎年4月に新卒を大量に採用するという雇用慣行は日本だけものもであり、海外にはない

これが、日本人の成人力を養う大きな原動力となっています。このあたりも、日本ではあまりに当たり前になっているので、この新卒や新人に対する扱いも世界的にみれば、特殊であることに気づかない人も大勢います。

そもそも、日本以外の国では、新卒などという考えはありません。企業は、必要があればその都度人を採用するというのが普通です。それも、「これこれの仕事が出来る人」という形で募集するのが普通です。だから、不況などになると、いわゆる新卒はかなり不利になります。真っ先に就職先がなくなります。しかし、日本では、不況であろうと、好況であろうと、毎年一定数の新卒を雇用する会社が優良企業とされます。

こうした、世界にない、日本独特の雇用慣行が、成人力の高さの基になっているものと考えます。そうして、新人・新卒の教育・訓練に関しては、単なる技能教育もさることながら、仕事に適用すべき知識も教えています。さらに、コミュニケーション教育にも時間が割かれています。特に、いわゆる現場での訓練のかなりの部分はコミュニケーションに割かれています。

特に知識に関しては、21世紀になってからその意味が変わっています。そうして、先進国のほとんどが、21世紀初頭に「知識社会に突入しました。「知識社会」はそれ以前の社会とはかなり異なります。知識社会の中心となる労働者は、テクノロジストと呼ばれ、肉体労働のみをするのではなく仕事に知識を適用する人々です。高度のテクノロジストの例としての脳外科医は、手先が器用でないとなれません、しかし手先が器用であるからといって脳外科医になれるわけではありません。仕事に高度の知識を適用しなければなりません。



これは、20世紀の後半にすでに多くの識者によって指摘されたことであったが、この間デフレであった日本では、デフレに対処することのほうの優先順位が高く、強く認識されてきませんでした。一部のIT企業のみが、知識社会にかなりうまく適用しています。多くの企業は、デフレ対応が大きな課題となり、これに対する対応が十分ではありませんでした。


新しい意味での知識という言葉定義のもとでは、知識は本の中にはないとされます。コンピュータでもたらされる、数値情報は、知識ではなく、情報とされます。新しい意味での知識とは、それらの情報を仕事や成果に結びつける能力を意味します。そして知識は、人間、すなわちその頭脳と技能の中のみに存在します。知識は事業そのものでもあります。物やサービスは、企業が持つ知識と、顧客が持つ購買力との交換の媒体であるにすぎません。


企業は、人間の質いかんによって、つくられも壊されもする人間組織です。肉体的労働はいつの日か、完全にオートメ化されるところまで機械によって行われるようになるかもしれません。あるいは大量の情報を活用したコンピュータが人間の頭脳のかなりの部分を代替することも考えられます。大量の情報処理では、人間はコンピュータよももはるかに劣っているかもしれません。しかし、知識そのものは、すぐれて人間的な資源です。

知識社会においては、いわゆる目に見える資産である、現金・預金、固定資産などだけではなく、情報、教育・企業文化・風土なども含めた目に見えない資産の拡張が重要になります。この資産を拡張するには現代的な意味での知識が最重要になります。

また、人間能力に関しては、ほかの者、特に同業他社と同じ知識を持つだけでは十分ではありません。そのような知識では、事業の成功に不可欠な市場におけるリーダーの地位を手に入れることはできません。既存の知識だけではなく、新たな知識の適用、知識そのものの改善・改革により他に抜きん出ること、すなわち、卓越性だけが利益をもたらします。

卓越性のみが利益をもたらす

経済的な業績が達成できるのは、すべて差別化の結果です。したがって、差別化の源泉、および事業の存続と成長の源泉は、企業の中の人たちが保有する圧倒的に優れた独自の知識ということになります。

さて、いろいろと知識社会について述べてきましが、いわゆる成人力とは、「知識」を得たり、創造したりする上での基となるものだと思います。これが優れているということは、知識社会においては、最大の優位性です。

知識社会においては、モノより金よりも、そうして情報よりも知識が重要です。この知識を得たり、創造したりする基がしっかりしている日本、やはり、凄いです。このような日本です、大東亜戦争の勝利者たちも、日本の凄さ、これは反面彼らからすれば、脅威でもあるわけですが、これを彼らは強く認識してからこそ、日本弱体化の方向で戦後体制を維持しようとしたのですが、子供や若年層の教育では、最近海外に負けている面はありますが、相変わらず、成人力は抜群に優れているということです。

この優位性は、なかなか他の国では、真似できないでしょう。いずれ、本当の意味で、日本が世界をリードする国になるのは必然です。経済の基は、今知識です。知識のない国は、優位性を発揮できません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年10月8日火曜日

日銀の追加金融緩和策への期待―【私の論評】資産バブルなど防ぐことはいくらでもできる!今は、それを恐れず、思いきった大金融緩和がすべき時だ!今やらないでいつやる?

日銀の追加金融緩和策への期待

日銀黒田総裁 黒田バスーカ第二弾はいつ発射されるのか?

最近、市場関係者と話をすると、彼らが日銀の追加緩和策の実施に期待をかけていることが分かる。その背景には、黒田総裁が「安倍政権が消費税率の引き上げを決断するのであれば、日銀としても援護射撃の用意がある」との趣旨の発言をしことがある。

財務省出身の黒田総裁とすれば、わが国の状況を考えると、最も重要なことは財政状況を立て直すこととの意識が強いのだろう。安倍首相がそれを決断する場合には、日銀としても可能な限り支援をしたいというのが本音だ。

一方、日銀は既に"異次元の金融緩和策"を実施しており、これから打てる金融手段は限られている。国債の買取り金額の増加や金融緩和策の時間軸を延長するなどが考えられるものの、その効果には疑問を唱える専門家も多い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日銀の積極的な金融緩和策には、マイナス面があることは頭に入れて置くべきだ。有り余るほどの資金が供給され、それが何かのきっかけで投資資金となり、株式や不動産の市場に流れ込むと、株価や不動産価格を急速に押し上げることになりかねない。

それは、いわゆる"バブル"の発生だ。実力以上に株価などを押し上げると、価格が上昇している間は良いのだが、ピークを付けて下落する局面では、バランスシート調整による景気の落ち込みが発生する可能性が高い。それは90年代初頭のわが国の状況を振り返るまでもないだろう。

日銀が、財政状況の立て直しのための支援政策を行うのは分かるが、それが一定の水準を超えると、中長期的にはわが国経済にプラスにはならない。当然、日銀はそうした副作用を考えているはずだが、今後の政策運営にはそれなりの慎重さが必要だ。

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【私の論評】資産バブルなど防ぐことはいくらでもできる!今は、それを恐れず、思いきった大金融緩和をすべき時だ!今やらないでいつやる(゚д゚)!

バブル期の象徴?
さて、上の記事では、金融緩和をすべきとしながらも、弊害もある超金融緩和として、結局のところ煮え切らない記事になっています。しかし、過去のバブルを振り返れば、超金融緩和の弊害は少なく、今こそ超金遊郭輪の実施どきであることが理解できます。本日は、バブル期の写真とともに、掲載させていただきます。

バブル期は一般的には1987年から1990年までをいう。どのような経済状況だったかといえば、株価は1987年から1990年にかけて1万5000円くらいから上昇し、1989年12月29日の大納会の日に3万8915円となった。その後は1990年代後半まで2万3000円ほど下がった。

上の画像は、1989(平成元)年12月29日、東京証券取引所の大納会で、
日経平均株価の終値が3万8915円の史上最高値つけたときのもの。
マクロ経済はどうだったかといえば、名目経済成長率は5~8%、実質経済成長率は4~5%。失業率は2~2.7%程度、インフレ率は0.5~3.3%と今からは想像できないほど良い状況でした。これは、単に景気がかなり良いという水準です。この程度の景気の良さをもって、大バブルと称する国はどこにもありません。インフレ率3.3%はハイパーインフレなどからは、ほど遠い状況でした。

現在から見ると、景気が良いという状況のバブルに対する経済対策で、明らかに致命的な間違いがありました。その政策失敗でバブルの後遺症が大きくなってしまいました。そもそも、当時からバブルは日銀による金融緩和が原因であって、バブル潰しのためには金融引き締めは正しかったといわれていますが、それは全くの間違いです。

バブル時代の真相は、資産バブルだった(゚д゚)!

当時のバブルは、証券・土地規制の抜け穴によって、証券・土地のみで起こったことでしたた。一般物価は比較的安定していました。証券・土地の値上がり是正には証券・規制の適正化で十分でした。金融引き締めは余計なことでした。

当時は、株や土地の資産価格はかなり上がっていましたが、普通の財サービスの一般物価は上がっていませんでした。そもそも、インフレ率は0.5~3.3%で、バブルなどとはいえません。通常は、5%を超えるころから、バブルを警戒するようになります。

バブル期のクリスマスは?
当時散見されたのは、ほぼ違法ともいえる証券会社の営業でした。顧客に対して損失補填を約束しながら株式の購入を勧めていました。その株式の購入資金を顧客の自己資金でまかなうのではなく、銀行が融資するというパターンも横行していました。これは何も株式の購入に限らず、土地の購入でもよく見られた話でした。


そこで、当時の大蔵省内は、1989年12月26日、大蔵省証券局通達「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」を出し、証券会社が損失補償する財テクを営業自粛、事実上禁止しました。その効果は抜群で、89年末の最高値をつけた後直ちに株価は急落しました。

株式規制だけを適正化するのでは資金が土地に流れるといけないので、さらに大蔵省は90年3月には大蔵省銀行局長通達「土地関連融資の抑制について」を出し、不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える措置をとりました。これで、株式と土地のバブルは消えました。


経済対策としては、これで十分でした。ところが、その頃、日銀も動いてました。日銀では、公定歩合の上げで「勝ち」、下げで「負け」という言い方でしたが、この表現を使えば、公定歩合については1980年8月9%から8.25%に引き下げて以来、87年2月に3%から2.5%に引き下げるまで10連敗でした。89年5月に2.5%から3.25%に引き上げて11連敗を食いとどめました。98年5月も勝ちでしだ。

この失敗はその後の日本経済にとって大きなものとなりました。バブル崩壊の損失を大きくしただけでなく、バブル潰しは正しかったと言い張り、その後の金融引き締めをすべて正当化してきたからです。日銀官僚には無謬性(絶対に間違わないということ)があるので、常に正しいといいますが、これは一度間違えると、無謬性にこだわるあまり、その後は間違え続けるということを意味しています。

バブル期の女の子たち、今は皆立派なお母さん
に!そうでない人も若干名、こりゃ失礼(゚д゚)!
実際、この無謬性は繰り返され、後に日本は、デフレに突入し、15年以上もの、古今東西稀に見る長期にわたるデフレスパイラルの泥沼に落ち込みました。そうして、当社を含め多くの企業が、日銀のデフレ政策・円高政策に翻弄され計画の変更を余儀なくさせられることになります。この間違いは長い間放置され結局日銀に鉄槌が下されるまでには、20年以上もの時を待たなければなりまんでした。

この大蔵省証券局通達「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」、「土地関連融資の抑制について」 は、現在も生きており、であればバブル期のような資産価格の極端な上昇はありえないわけです。

今見るとキモいバブル期の女の子たち?
このあたりが心配であれば、『株式売買」、「土地の売買」に関わるこのような通達法制化しても良いです。そうすれば、資産バブルが心配だからあまり金融緩和できないなどということはないわけです。

もし、現在金融緩和しすぎれば、資産バブルが心配だという理由でしないというのであれば、またバブル期と同じような間違いを犯します。バブル期の間違いは、一般物価はさほど上昇していないにもかかわらず、日銀が金融引き締めに転じたことです。

廃刊されて久しい『平凡パンチ』のバブル期の号

現在はデフレの真っ最中で、いくらアベノミクスで多少景気が浮揚したとしても、コアコアCPIは右肩下がりで下がり続けています。デフレの真っ只中です。それに輪をかけて、来年4月からの増税も決まりました。このような危機的状況の中では、超金融緩和が必須です。

半端な金融緩和をしても、景気が上向くことはありません。それは、このブログでも何回か紹介したように、イギリスの事例をみても、明らかです。イギリスにおいては、2011年に付加価値税(日本の消費税にあたる)を大はばにあげましたが、その結果、雇用、特に若者雇用が激減したため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)は、大規模な金融緩和に踏み切りました。


むむ。バブル期のAKB48? おニャン子クラブ

しかし、現在に至るまで景気は回復しておらず、本来財政再建をするために導入した付加価値税増税ですが、税収も減り、未だ財政再建の目処もたっていない状況です。かといって、もし、この金融緩和をしていなかったら、イギリス経済の打撃は現在よりも相当酷いものだったはずです。

このような時期には、上にあげたような資産バブルが生じないようにそれなりの手を打って、半年以内に超金融緩和をすべきときです。それに、金融緩和の手段として、なにやら禁じ手のように思われている方法もまだ、いくらでもあります。たとえば、増刷なども経済状況をみながら実施していくべきです。デフレ下の増税という緊急自体の現在、これをやらないでいつやるというのでしょうか。

バブル期のファッション
上の記事の筆者は、あまりにデフレ期間が長引き、それが当たり前のようになっていて、現在が危機のど真ん中にあることを忘れていると思います。超金融緩和は今から半年以内がやりどきです。それをほのめかしただけでも、安倍政権が誕生した直後のように株価は上昇します。今回の増税のマイナス面もかなりカバーできます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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