2016年6月10日金曜日

【書評】寄らば大樹の陰。朝鮮内部抗争に振り回された日本の歴史―【私の論評】過去の歴史に学び朝鮮半島とのつきあいは、拉致問題などの例外は除きほどほどにすべき(゚д゚)!


戦争が起こるたびに、巻き込まれた多くの人たちが傷つき涙することになります。無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、我が国からも多くの犠牲者を出した日清戦争、日露戦争の発端が「韓民族の内部抗争」だったという説を唱える石平(せき へい)さんの新著を紹介。「この本を読まずして、北朝鮮や韓国に関する歴史も外交も議論できない事になる」と大絶賛しています。

 東アジアのトラブルメーカー
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

石平氏の最新著『韓民族こそ歴史の加害者である』が面白い。タイトルこそセンセーショナルだが、冷静な筆致で史実を丹念に辿り、その上で、このタイトル通りの結論を引き出している。

「目から鱗(うろこ)」という使い古された表現があるが、この本はまさに、今まで我々の目を覆っていた「韓民族は日本帝国主義の被害者だった」という鱗を取り除き、韓民族の真の姿をはっきりと見せつけてくれる。今後、この本を読まずして、北朝鮮や韓国に関する歴史も外交も議論できない事になるだろう。

前置きが長くなったが、本書は、韓民族が内部抗争に勝つために周辺諸国を戦争に引きずり込んだ、というパターンが、7世紀初頭の高句麗・百済・新羅の三国統一戦争から、20世紀の朝鮮戦争まで繰り返されたという史実を克明に描いている。

その中で、日本が巻き込まれたのが、西暦661年の白村江の戦い、1274(文永11)年、1281(弘安4)年の元寇、そして近代の日清戦争、日露戦争である。特に元寇では、高麗国王が自らの生き残りのために、日本征伐をフビライに提案する経緯が生々しく描かれていて、「そうだったのか」と思わせる。

本稿では、このうちの近代における日清、日露、朝鮮戦争の部分のさわりを紹介して、同書への誘(いざな)いとしたい。

 政府側とクーデター側がそれぞれが外国軍を引き込んだ

日清戦争の発端は、朝鮮王朝の第26代国王・高宗の実父・大院君と、王妃・閔妃(びんひ)一派の抗争だった。閔妃一派は、1873年に大院君を失脚させ、日本と日朝修好条約を結んで、近代化路線をとった。その一環として、日本から軍事教官を招いて、軍の近代化を図った。

閔妃
これに不満を抱いた旧式軍の軍人たちが、1882年、閔妃一族の高官の屋敷を襲った後、大院君の許に逃げ込んで、助けを求めた。大院君は、これを権力奪回のチャンスと見て、閔妃一族の殺害、日本公使館と日本人教官の襲撃を命じた。彼等はその指示通り、日本人13人を虐殺した。

閔妃は宮殿から逃げ出したが、高宗に密書を送って、起死回生の秘策を授ける。それは密使を清国に送って、軍勢を派遣して貰うよう依頼することだった。それに応えて、清は3,000人を朝鮮半島に送り込み、反乱を起こした韓国軍兵士たちを鎮圧した。

これを機に、清国は3,000人の軍勢をそのまま半島に駐留させ、朝鮮を完全な属国とした。大院君は捕らえられ、清国に拉致された。

この状況に反発したのが、金玉均(きんぎょくきん)率いる若手官僚グループであった。金玉均は日本とのパイプを持ち、漢城(現在のソウル)に駐留していた日本軍の力を借りて、閔氏一族を一掃し、高宗を担いで政権を掌握しようとした。当時、多数の邦人を殺された日本は、邦人保護のために、朝鮮政府の許可を得て、数百人規模の兵力を漢城に置いていたのである。

金玉均が、日本の明治維新をお手本として朝鮮の近代化を目指し、日・中・朝鮮の3国の同盟でアジアの衰運を挽回すべきという「三和主義」は、福沢諭吉など日本の朝野の支持を集めていた。

金玉均ら50名は日本軍150名とともに、1884年にクーデターを起こし、一時は新政府樹立を宣言したが、清国軍1,500人と朝鮮政府軍の反撃で、衆寡敵せず、わずか3日で鎮圧された。金玉均は日本公使・竹添進一郎とともに海路日本に脱出したが、約30人の日本人が殺害され、さらに多くの朝鮮人が処刑された。

 日本を清国と戦わせて独立を宣言

1889年、「東学党の乱」と呼ばれる農民一揆が起こり、1894年には数万人規模となった農民軍が一地方を占拠した。朝鮮政府は、東学党鎮圧のための出兵を清国政府に要請した。清国は2隻の軍艦を仁川に派遣し、2,800人の兵を上陸させた。

これに対抗して、日本は公使館と居留邦人保護という名目で約6,000人を派兵した。10年前の乱の際に、日本は清国と「天津条約」を結び、どちらかが朝鮮に派兵した際には、通告すると約束していたのである。

石平氏は、こう語る。

近代朝鮮が自立した独立国家として、南下する大陸国家との緩衝地帯になってくれず、清国の大軍を半島に招き入れて植民地支配を受け入れたことが、日本の安全保障に重大な脅威を与えていた以上、日本はもはや戦わざるを得なかった。
(『韓民族こそ歴史の加害者である』 p156)

7月23日、大鳥公使は、清国から送還されて謹慎中だった大院君を擁立し、その命を受ける形で、日本軍は王宮を占拠し、親清派の閔氏勢力を一掃した。ここに日清戦争が始まったのである。

機を見るに敏な高宗は、1895年1月、まだ日本軍が清国と戦っている最中にも関わらず、世子や王族・各大臣を引き連れて、清国との宗族関係を破棄したとする独立誓告文を宗廟に奉告し、全国に宣布した。戦い続けている日本と清国こそ、いい面の皮である。

日清戦争に勝利した日本は、清国と日清講和条約(下関条約)を結ぶが、その第一条は「清国は朝鮮国が完全無欠なる独立自主の国であることを確認し、独立自主を損害するような朝鮮国から清国に対する貢・献上・典礼等は永遠に廃止する」となっている。

まさに朝鮮は、日本の力によって、「自主独立」の地位を得たのである。

 今度はロシアに急接近

日本は下関条約で、台湾と遼東半島を得たが、これに待ったをかけたのが、ロシアだった。ロシアはドイツ、フランスと謀って、遼東半島を清国に返還するよう要求した。三国を敵に回す力のない日本は、やむなくこの三国干渉に従った。

これを見て、高宗と閔妃は手のひらを返すように、ロシアに急接近した。ロシア公使のウェーバーと共謀して、内閣の親日改革派を追い落とす。

このままでは朝鮮半島をロシアに握られ、日本にとっても一大危機となると、三浦梧楼公使と日本の浪人たちが、朝鮮の王宮に乱入し、閔妃を斬殺した。この蛮行で、国際社会と朝鮮国内の日本の立場は悪くなり、親露派が勢いを増した。

1896年2月、親露派はウェーバーと共謀して、ロシア軍艦から120名の将兵を漢城に呼び出し、彼等に護送される形で、高宗と世子をロシア公使館に移した。高宗は親政を宣言し、内閣の大臣5人を逆賊として逮捕殺令を布告した。

こうして朝鮮国王がロシア公使館から「親政」を行うという世界史上でも類例のない珍事が1年以上にわたって続いた。親政といっても、ロシア人の将校と財政顧問がそれぞれ軍事と財政を握った属国政治である。

こうして、日本は日清戦争を戦って、清国の覇権を排除したのもつかの間、今度はさらに強大なロシアが半島に居座ってしまったのである。日本の独立が再び脅かされる事態となり、今度は日露戦争を戦わざるをえなくなった。

何とか、日露戦争に勝って、ロシアと結んだポーツマス条約の第一条では、「ロシアは大韓帝国における日本の政治上・軍事上および経済上の利益を認め、日本の韓国に対する指導、保護および監督に対し、干渉しないこと」と約した。まさに清国相手の下関条約の繰り返しだった。

 日韓合邦への熱烈な大衆運動

ロシア勢力を駆逐した後、日本は日韓合邦に進むが、その動機を石平氏はこう解説する。

韓国を放っておけば、悪夢のような歴史がまた繰り返されるかもしれない。日本にとって、「朝鮮問題」の完全かつ最終的な解決は、韓国そのものの併合以外にはないというのが、当時の帝国主義や植民地主義、弱肉強食の世界秩序の中で、安全保障を手に入れる鉄則だったのである。
(同 p167)

しかし、奇妙なことに、朝鮮側でも、日韓合邦を熱望した一派がいた。自称100万、実態は20数万人の、当時としては最大規模の民間団体「一進会」である。一進会は「外交権を日本政府に委託し、日本の指導保護を受け、朝鮮の独立、安定を維持せよ」という宣言書を発表した。さらに会の幹部は、1909(明治42)年2月、桂太郎首相に、両国の「合邦」を提言した。

日本政府が日韓合邦を進める上で、こういう韓国内の声が大きな後押しとなった。日本との合邦を決めた韓国の閣議でも、一人を除く全閣僚が賛成した。

ある民族がその大衆運動によって、自国の独立を進んで犠牲にしてまで隣国への吸収合併を望むというのは、世界史上の奇観である。アメリカの朝鮮史家グレゴリー・ヘンダーソンは、一進会の動きを評し、「事実それは、政治史上、自分の民族に対して行われた反民族主義的大衆運動として、今までになかった唯一の例である」と述べている。

もちろん、日本に習って自分たちの近代化を進めようと努力した人々もいたが、やはり朝鮮の伝統的な事大主義、すなわち「寄らば大樹の陰」という心情が一般大衆の中に根づいていなければ、ここまでの熱烈な大衆運動は起こりえなかっただろう。

併合期間中に、日本政府は朝鮮半島に近代化のための膨大な資本投下を行い、30余年間で農業生産も人口も2倍以上に増加するという高度成長を実現した。しかし、その平和と繁栄も、日本の敗戦によって終止符が打たれる。

 内部抗争から始まった朝鮮戦争

日本の降伏後、米ソは38度線を境にして、それぞれ南北を占領した。米ソ英は5年間の信託統治期間の後、朝鮮の独立と統一政権の樹立を図るという「モスクワ協定」を結んだが、肝心の韓民族自身が、例の如く内部闘争に明け暮れて、統一政権どころではなかった。

結局、ソ連を背景とした金日成と、アメリカから戻った李承晩が、それぞれ北朝鮮と韓国の政権を樹立した。それだけでなく、彼等は、それぞれ相手国を打倒して、自らが朝鮮の統一政権になることを目指していた。

最初に仕掛けたのは金日成だった。当時は日本の産業施設が多く残っていた北朝鮮の方が、農業中心の韓国よりも、圧倒的に国力は上だった。金日成はソ連のスターリンに南進の許可を求めた。邪悪な政略の天才スターリンは、もしアメリカとの戦争になったら、中国を矢面に立たせようと、毛沢東の支援を得るよう指示した。

中華人民共和国を建国したばかりの毛沢東は慎重で、38度線を越えてアメリカが攻め込んできたら、自国の国境が脅かされるので参戦をする、と消極的な支持を表明した。これをもとに、北朝鮮は1950年6月25日、38度線を越えて、韓国内に侵攻した。

 3ヶ月で済んでいたはずの朝鮮戦争が…

北朝鮮は2ヶ月後の8月末には南朝鮮の90%以上の領土を占拠したが、ここで米軍を中心とした国連軍が救援に入り、わずか1ヶ月でソウルを奪還した。米軍も国連軍も、38度線まで奪還すれば、そこで戦闘を止める計画だった。その通りに事が運んでいたら、朝鮮戦争は3ヶ月で停戦を迎えていたはずだった。

しかし、ここで李承晩は一気に北朝鮮を打倒して統一政府を作ろうと、韓国軍に38度線を突破させた。これに引きずられる形で、国連軍も38度線を越えて進撃し、ついには中国国境沿いにまで近づいた。ここで毛沢東はやむなく中国共産党軍を投入したのである。

こうして米中の激突となった朝鮮戦争はさらに2年9ヶ月以上も続き、結局、38度線の振り出しに戻って、停戦を迎えた。金日成なくば、そもそも朝鮮戦争は起こらずに済んだかも知れないし、李承晩がいなければ、3ヶ月で終わって、その後の600万の犠牲者の大部分は失われずに済んだろう。

結局、韓民族の内部抗争と外部勢力の引きずり込みという伝統的な宿痾で、米中ともに何の益もない戦争に巻き込まれたのである。

 活用し損ねた歴史の叡知

こうして朝鮮半島の歴史を通観して見ると、日清、日露、朝鮮戦争という3つの戦争とも、同じ構造をしていることが明らかになる。韓民族が内部抗争に勝つために、それぞれ周辺諸国を戦争に引きずり込むというパターンである。

通常の民族のように、韓民族が一つにまとまって独立統一国家を作っていれば、中国、ロシア、日本の緩衝地帯となり、東アジアの平和が保たれていた可能性もある。そう考えると、韓民族は「東アジアのトラブルメーカー」だ、という石平氏の指摘は説得力を持つ。

韓民族が内部抗争という宿痾を自ら克服できないなら、今のように南北でせめぎ合い、結果として日米中ソの緩衝地帯になっている方が良い、というのは、冷酷な地政学的戦略から言えば、合理性がある。米中とも、現在はその戦略をとっているのだろう。だから、北朝鮮で膨大な餓死者が出ようと、各国は手は出さないのである。これが冷厳な国際社会の実態である。

「半島とは一定の距離をおいて、韓民族内部の紛争にできるだけ関与しないようにするのが、もっとも賢明な道」とは石平氏の結論であるが、この本で半島の歴史を丹念に辿ってみれば、頷くしかない結論である。

この結論は、日清戦争前に金玉均が残忍な方法で処刑された後、彼を支援していた福沢諭吉が『脱亜論』で「我れは心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」と語ったのと同じである。この叡知を当時から活用していれば、我が国の近代史もまた別の形になったであろう。我々は歴史の叡知を活用し損ねたようだ。

文責:伊勢雅臣

【私の論評】過去の歴史に学び朝鮮半島とのつきあいは、拉致問題などの例外は除きほどほどにすべき(゚д゚)!

石平氏の最新著『韓民族こそ歴史の加害者である』はまだ読んでいませんが、近々読んでみようと思っています。

ブログ冒頭の記事を読んでいて、思いだしたのは、先日このブログで以下のようなことを述べたことです。
今日の世界では、国連が国連軍を組織して、紛争地に国連軍などを送ることができますが、日露戦争前後には無論そんな組織はないし、大東亜戦争直前にも、国際連盟はありましたが、その国際連盟には米国は加盟しておらず、また当時の国際連盟には今日の国連軍のような組織を作ることはできませんでした。 
現在の国連は、決議に従わない国に対しては、武力による制裁もできますが、当時の国際連盟では決議に従わない国に対しては勧告や経済制裁しか行えませんでした。 
だから、紛争地帯などに各国が自国の裁量で当該国の了承などにもとづき軍隊を派遣するのは当たり前のことで、これを侵略とはいいません。だから、朝鮮半島や、満州に当時日本の軍隊がいたからといって、当時の状況ではそれが即侵略とは受け取られることはありませんでした。 
もし、日本を侵略国家とするならば、世界のすべての先進国も侵略国家ということになってしまいます。 
その日本も、後に国際連盟から脱退し、その後から他国の日本に対する評価は変わってきました。ただし、マッカーサーはこの地域の実情を知り、上記のような証言をしたわけです。これについては本日の話の本題ではないので、その話はまた別の機会に掲載しようと思います。
この記事とブログ冒頭の記事をご覧いただければ、日本の軍隊が朝鮮半島に駐屯していたからといって、それが侵略とはいえないことは、良くご理解いただけるものと思います。

詳細は、この記事のリンクを以下に掲載しますので、こちらをご覧になってください。
韓国が共同訓練閉幕式で海自艦の入港拒否 「日本軍国主義の象徴」旭日旗にメディアが猛反発―【私の論評】正しい歴史認識のできない中韓・北朝鮮には嫌われる勇気を持て(゚д゚)!
 

この記事で述べたように、当時は紛争地帯などに各国が自国の裁量で当該国の了承などにもとづき軍隊を派遣するのは当たり前のことで、これを侵略とはいいません。当時の朝鮮の要請にもとづいて日本は、軍隊を赴かせたのですから、それを侵略というのは筋違いです。

この記事にも掲載した、日露戦争関連の地図を以下に掲載します。


現在の朝鮮半島の地図を以下に掲載します。



この両者を見比べていただくと、日露戦争の主戦場はほとんどが、現在の南北朝鮮ならびに現在の中国の東北地方(満州)で行われていたことがわかります。

そうして、その後も朝鮮半島に日本軍が駐屯していたのも、当時の朝鮮が望んだためであり、日本が侵略した結果ではないことがわかります。実際当時の日本軍は、清國やロシアの軍隊とは戦ったことはありましたが、朝鮮の軍隊とは交戦していません。ましてや、朝鮮の軍隊と戦って、侵略したなどはありません。これが、史実です。

それにしても、当時の朝鮮も今日のように、どうしてこのような煮え切らない態度ばかりとったのか、理解に苦しみます。

その原因に関してヒントとなるのが、呉善花氏の以下の記事です。
韓国の執拗な日本攻撃の原因は植民地支配より深い根がある
呉善花氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、その原因とみられる部分のみをこの記事から以下に引用します。
 韓国人は「反日主義」や「反日感情」以前に伝統的な「侮日観」を抱いている。侮日のルーツは「中華思想」だ。14世紀末に成立した李氏朝鮮(李朝)は明の皇帝に冊封を仰ぎ、中華秩序に組み入れられた。李朝は明にならって“中国化”を進め、やがて自らを中国と文化的同質性をもった「小中華」だと意識するようになった。 
 彼らにとって地理的・文化的に中国から離れた日本は野蛮な夷族の地であり、なおかつ日本人は文化的に程度が低く侵略的で、蔑視すべき民族だと考えていた。実際、近代以前から朝鮮半島では日本人を「倭人」「蛮酋」などと蔑み、現代でも「日本奴」(イルボンノム=日本野郎)、「猪足」(チョッパリ=豚の足のような足袋を履く日本人)といった差別用語を日常的に使っている。 
 国土の狭い朝鮮で本家・中国よりも「純化」された小中華主義により、李朝の日本蔑視はさらに強化された。同時に善と悪を明確に区別する朱子学により、野蛮な日本の行動をすべて「悪・不正義・侵略」とみなす考え方が浸透した。 
 同時期の日本では文化の多様性が育まれたのに対し、朱子学のみを信仰する李朝は中央集権化を推し進め、言論や思想は硬直化した。オバマ氏の広島訪問に、韓国メディアが判で押したような主張をするのも、李朝以来の“伝統”といえる。
 李朝500余年で培われた侮日観を背景にして、戦後に反日教育が盛んになると、幼い子供まで「日本をいくらバカにしても構わない」と思うようになった。

侮日=民族の誇りであり、韓国のアイデンティティであるがゆえ、日本蔑視は決して消えない。個人的には親日でも、こと歴史問題や慰安婦問題が絡むと侮日意識が唐突に蘇り、同じ人間が反日となる。一人の人間に親日と反日が同居するのが韓国人の複雑さだ。 
 今後も日韓関係は予断を許さない。日本ではあまり報じられないが、多くの韓国人は昨年末の日韓合意に反発し、世論は反日で沸騰している。今後も慰安婦の世界遺産登録など、韓国の反日行動が続くだろう。

日本は歴史に基づく韓国の日本蔑視を十分に理解して、韓国と向き合う必要がある。中途半端な理解で深入りすれば、日本が受ける傷が大きくなるばかりだ。
結局のところ、中国やロシアには媚びても、日本は侮日ということで、日本は古くから朝鮮半島に引っ掻き回されてきたということです。古くは、といえば、元寇のときに日本に攻めてきた、モンゴル軍を多くの日本人は、未だにモンゴル人が大半であったと考えているようですが、それは違います。モンゴル軍の大半は、朝鮮人でした。このくらい古くから、日本は、朝鮮半島に引っ掻き回されてきたのです。

もうこんな半島に引っ掻き回されるのは御免です。先のこのブログからの引用記事にも書いたのですが、侮日感に凝り固まり正しい歴史認識ができない韓国などとは、何やら歴史修正をしたときには、徹底的に論破して水掛け論に持っていき、後は、冠婚葬祭程度のつきあいにとどめることが正しいつきあい方です。

下手につき合うと、また北朝鮮、中国、ロシアなどとともども、紛争などに巻き込まれてしまう可能性が大きいです。

過去の経験に学び、朝鮮半島とのつきあいは、拉致被害者問題に関してなどの例外は別にして、ほどほどにすべきです。

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【関連図書】

韓民族こそ歴史の加害者である
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21世紀の「脱亜論」 中国・韓国との訣別(祥伝社新書)
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2016年6月9日木曜日

政府 中国軍艦艇の接続水域入り受けNSC開催へ―【私の論評】日本の南西諸島付近の日米印演習「マラバール」に対する牽制か?

政府 中国軍艦艇の接続水域入り受けNSC開催へ

本日の産経新聞の号外 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

政府は、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入ったことを受けて、9日夜、NSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開き、情報の分析結果などについて報告を受けたうえで、警戒・監視に万全を期すことなどを確認する見通しです。

9日午前0時50分ごろから午前3時10分ごろにかけて、沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で、中国海軍のフリゲート艦1隻が日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入ったほか、ロシア海軍の駆逐艦など3隻も8日夜から9日未明にかけて付近の接続水域に入りました。

尖閣諸島の領有権を主張する中国の軍の艦艇が接続水域に入るのは初めてで、政府は、安倍総理大臣が訪問先の山形県から戻りしだい、午後7時ごろからNSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開くことを決めました。会合では、外務省や防衛省から、中国海軍の艦艇が接続水域に入った状況や、日本側がとった対応などに加えて、これまでに入っている情報の分析結果などについて報告を受け、情報の共有を図ることにしています。そして、会合では、安倍総理大臣の指示を踏まえ、アメリカなどと緊密に連携して、不測の事態に備え警戒・監視に万全を期すことなどを確認する見通しです。

中国国防省 「合法」と主張

中国の国防省は9日午後、中国海軍の艦艇が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについてコメントを発表しました。この中で、尖閣諸島について「中国固有の領土だ」としたうえで、「中国軍の艦艇が自国の管轄海域を航行することは、合理的かつ合法であり、ほかの国がとやかく言う権利はない」と主張しました。

中国政府は、今回の航行の目的など詳しいことは明らかにしていません。ただ、中国政府は、南シナ海での急速な海洋進出を日本がアメリカと共に強く批判していることなどにいらだちを募らせており、今回、尖閣諸島周辺の接続水域内に海軍の艦艇を派遣することでこの海域への自国の主張を強め、日本をけん制するねらいがあった可能性があります。

東シナ海の上空では7日に、中国軍の殲10戦闘機2機が、アメリカ海軍の偵察機RC135の飛行を妨害し、このうち1機が急接近したとして、アメリカ軍が中国側に危険な行為だと抗議しています。

ロシア大使館「中国と関係ない」

ロシア海軍の駆逐艦など3隻が沖縄県の尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことについて、東京にあるロシア大使館はツイッター上で、「誤解がある」としてコメントを出しました。この中で、「当海域では、中国と関係なく、ロシア海軍が定例の演習を行い、日本の領海に入ることは当然ない」と説明しています。そのうえで、「ほかの諸国、ならびに日本とアメリカも主張する『航海の自由』の原則どおりで、心配はない」として、中国が実効支配を強める南シナ海にアメリカ軍の艦艇を派遣する「航行の自由」作戦を引き合いに出して、ロシア海軍による航行には問題ないと主張しています。

中ロの艦艇は以前にも日本周辺を航行

今回、尖閣諸島沖の接続水域を航行した艦艇は、以前にも、日本周辺海域での航行が確認されています。

このうち中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦は、去年12月、沖縄本島と宮古島の間の公海上を東シナ海から太平洋に向けて航行しているのが確認されています。

ジャンカイI級フリゲート艦
また、ロシア海軍の艦艇のうち1隻はウダロイI級ミサイル駆逐艦で、ことし3月、対馬海峡を南下し、日本海から東シナ海に向けて航行しているのが確認されています。

ウダロイI級ミサイル駆逐艦
中ロ艦艇の航行目的は

尖閣諸島を巡っては、中国側が領有権を主張しているのに対し、ロシア側は領有権を主張していないため、防衛省は、中国とロシアの艦艇では、接続水域を航行することの意味は異なるとしています。

防衛省によりますと、ロシア海軍の艦艇は、過去にも尖閣諸島の沖合の接続水域を通過したことがあるということです。

一方、今回、中国海軍の艦艇は、ロシア海軍の艦艇の動きに対応して接続水域を航行した可能性もあるとみられ、尖閣諸島の領有権を主張する中国側が、今回、どのような目的で艦艇を航行させたのかについて分析を進めています。

統合幕僚長「事態のエスカレーション避けたい」

自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は9日の定例の記者会見で、「事態をエスカレーションさせることは避けたい」と述べました。

会見で、河野統合幕僚長は「今回のことは、緊張を高める一方的な行動であり、深刻な懸念を持っている」と述べました。一方で、河野統合幕僚長は「中国側が、日本側の今回の抗議を真剣に受け止めることを期待している。外交ルートで解決するのがベストであり、自衛隊として、事態をエスカレーションさせることは避けたい」と述べました。

元海将 日米のリアクション

今回のケースについて、金沢工業大学虎ノ門大学院の教授で、海上自衛隊で呉地方総監を務めた伊藤俊幸元海将は、「海軍の艦艇を航行させており、国家としての意思を反映したものと言える。中国の海洋政策に対し、日米が『間違っている』と主張していることに対するリアクションとも受け取れる。中国当局の船による領海への侵入にとどまらず、今後、軍艦による航行へと既成事実を積み重ねながら、仮に中国側が事態をエスカレーションさせていくとすれば非常に危険なことだ」と指摘しました。

一方で、今後の対応について、「国際法上は問題のない海域での航行なので、冷静に対応すべきだ。同時に、中国側は、日米がどのような反応を示すのかを見ており、日本はアメリカをはじめ広く国際社会に、今回のような中国側の行動が受け入れらないものであると訴え、事態のさらなるエスカレーションを中国側に踏みとどまらせる必要がある」と話しています。

【私の論評】日本の南西諸島付近の日米印演習「マラバール」に対する牽制か?

さて、この中国の軍艦の動き、そうしてもしかするとロシアの軍艦の動きも、先日このブログでも掲載した、今月の10日から17日まで、日本の南西諸島付近で行う、日米印で行う演習である「マラバール」と関係しているのではないかと思います。

「マラバール」に関連した今月7日のこのブログの記事のリンクを以下に掲載します。
海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で―【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、海上自衛隊は7日、米国、インドの海軍と沖縄本島の東方海域で共同訓練を行うと発表したことを掲載しました。これは、10日から17日まで、昨年10月のインド洋に続き、日本の南西諸島周辺で3カ国が共同訓練「マラバール」をすることで、海洋進出を強める中国をけん制をするというものです。さらにこの記事では、昨年までの「マラバール」についても詳細を解説しました。

中国側からすれば、今回の「マラバール」が尖閣列島も含まれる南西諸島周辺で行われること、さらには昨年の「マラバール」の直後には、米国は南シナ海で「航行の自由作戦」を開始しているという事実もあり、当然のことながらこの演習には神経を尖らせているはずです。

ブログ冒頭の記事には、掲載されていませんが、日本政府が中国軍の艦艇がこの水域に入ったことに神経を尖らすには、それなりの理由があります。

その理由とは、その部分をこの記事から以下に引用します。
さて、尖閣といえば、読売新聞は今年の1月12日付で、日本政府が、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことが確認されたと報じました。今後、中国軍艦が尖閣諸島周辺12海里以内へ侵犯すれば、海上自衛隊がすぐに現場に投入され、即刻退去を要求することになります。 
現行の国際海洋法条約によると、軍艦を含むすべての船は、その国の平和、安全、秩序などを脅かさない限り、他国の領海を自由に航行できる無害通航権が認められていますが、日本は中国の軍艦に対してこれを認めないことにしたのです。日本政府関係者は、「中国が無害通航権を主張することは、日本の尖閣諸島領有を認めることと同義になる」とし、中国がこれに対して抗議する可能性はないと見ています。 
日本政府がこのような方針転換に乗り出したのは、昨年11月に中国海軍の情報収集船が尖閣諸島周辺の接続水域(陸から24海里以内)を一日かけて東西方向に反復航行するなど、最近になって中国海軍の不審な動きが急激に増えたからです。海上警備行動が発令されると、自衛隊は正当防衛に当たる場合などには、武器を使用できるようになっており、日中海軍間の偶発的な衝突が発生する可能性もあります。日本でこれまで海上警備行動が発令されたのは、1999年に北朝鮮の工作船と推定される船が日本の海岸に姿を現した場合など、3回しかありません。
菅義偉・官房長官は12日の定例記者会見で、「昨年5月に閣議決定している。日本領海で無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処に関し、海上警備行動を発令し、自衛隊の部隊により退去要求と措置を行うことを基本としている。昨年11月に中国海軍の情報収集艦が尖閣諸島周辺を反復航行した際には、外交ルートを通じた関心を表明をした。具体的な内容については(言及を)控えたい」と述べました。
このように、日本政府は、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことと、今月10日から尖閣列島を含む、南西諸島付近で「マラバール」を実行するわけですから、これは中国にとって脅威です。

その直前に中国軍の艦船が、尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入ったわけですから、これは当然のことながら、中国側の牽制とみるのが自然です。

ロシアに関しては、情報が少ないので何ともいえませんが、少ない情報の中から考えられることは、かつては旧ソ連との関係が強かったインドが、最近ではアメリカとの関係を強化、さらに日本とも強化し、日米印の共同訓練「マラバール」を日本の南西諸島付近で実行するというのですから、それに対する牽制という意味があるのかもしれません。

さらに、中国は、実際に接続水域に中国の軍艦が入った場合、日本がどのような行動をするのか、試しているというところがあると思います。接続水域に軍艦を派遣しても、日本が抗議をするだけで、実行動を起こさなければ、さらに何度も軍艦を派遣して、いずれ軍艦を派遣するのは当たり前であるかのような状況をつくりだそうとしているのかもしれません。

しかし、現状でも尖閣付近領海を侵犯はしていません。ここを侵犯すれば、中国の艦船が待っているのは、2001年に北朝鮮の工作船が領海侵犯ときのような運命をたどることでしょう。この工作船は、ご存知のように、海上保安庁の船に追跡され、銃撃され最終的には逃げきれないと判断して自爆しました。以下にそのときの顛末が掲載された動画を掲載します。



この時は、相手が不審船であり、軍艦ではなかったので、海上保安庁の巡視船が不審船に対して銃撃をしました。今回は中国は、公船ではなく、軍艦を派遣してきているわけですから、これは当然のことながら、海上自衛隊が対峙することになります。

もし中国が軍艦の派遣を繰り返すなら、当然のことながら、日本も海上自衛隊の護衛艦および潜水艦や対潜哨戒機も派遣することになります。

そうなると、中国は海軍力では日本にはかなり劣っているので、中国側はなす術がなくなります。特に潜水艦の能力と、対潜哨戒能力は日本に比較するとかなり劣っています。もし、領海を侵犯すれば、間違いなく撃沈ということになります。

日本側としては、中国側が領海を1mmでも侵犯したら、すぐに撃沈すべきでしょう。この記事でも、掲載したのですが、中国の軍艦が接続水域を頻繁に航行するようになれば、日本もこれに対抗せざるを得ないことになるでしょう。

いずれにせよ、中国にとっては、このような状況は最も避けたかったことでしょう。中国にとって、一番忌避したいのは、安倍総理が軍事力によって、この海域から中国軍を排除することです。

今後の中国の動きに注目したいです。今後も頻繁に接続水域などに軍艦を派遣するならば、日本の海上自衛隊による南西諸島付近での、「航行の自由作戦」が実行されるようになることでしょう。「マラバール」実施中に、中国が接続水域に軍艦を派遣するようなことでもあれば、海上自衛隊による定期的なパトロールは必ず実施すべきです。

我が国としては、尖閣列島などを中国に実行支配され、南シナ海の環礁のように軍事基地化され、沖縄侵攻のための前進基地などにされてはたまったものではありません。絶対阻止です。

【関連記事】

海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で―【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!





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2016年6月8日水曜日

続投に強い意欲の舛添知事に進退問う質問相次ぐ 都議会総務委で集中審議へ―【私の論評】舛添知事の都市間外交の成果は朝鮮人学校の生徒を韓国人学校に分捕ることだけ?


都議会で質問を受ける舛添要一東京都知事=7日午後、東京都新宿区
東京都の舛添要一知事の政治資金流用疑惑を巡り、都議会の一般質問が8日あり、各会派の都議から進退を問う声が相次いだ。知事は続投の意志を強く示し、これまでと同様の説明に終始した。各会派は反発を強めており、総務委員会に知事の出席を求め、集中審議でさらに追及する構えだ。

 総務委は9日に理事会を開き、集中審議の日程を協議する。来週にも開催する方向で調整するとみられる。

 一般質問で公明党の斉藤泰宏都議は「辞職を求める都民の声はますます広がっている。いかなる理由で知事にとどまろうとするのか」と指摘。知事は「厳しい状況にあることは自覚している。公表した(弁護士の)調査結果を基に反省を胸に刻み、地道に都民や都議会の理解を得たい」と、従来の主張を繰り返した。

【私の論評】舛添知事の都市間外交の成果は朝鮮人学校の生徒を韓国人学校に分捕ることだけ?

舛添知事に対する東京都議会での、追求はとどまるところを知りません。都議会での追求もさりながら、週刊文春がまた新たなスッパ抜きをしています。

それは、都庁内で湯河原の別荘通いよりも問題視されている舛添氏が奥さん同伴で、年末にNHKホールで開かれる“NHK交響楽団(N響)”の「ベートーヴェン『第9』コンサート」に公用車で出かけている事実です。昨年の年末にも行ってますが、この日は天皇誕生日で休日。当然、公務ではなく、公用車の私的利用に他なりません。どうやら、随分前からこれも年末の恒例行事のようになっていたようです。

詳細については、以下をご覧ください。
舛添都知事に新疑惑! 休日に公用車で「N響『第9』コンサート」へ
昨年2015年12月22日のN響「第九演奏会」
それにしても、次から次へと、いろいろでてきます。私自身としては、もう舛添都知事は政治資金や公用車の使い方など、無頓着に使っていたことはもうはっきりしていたので、あまり驚きません。それにしても、週刊文春の記者たちは、虎視眈々と何かないかとうかがっていたのでしょう。そうして、都職員などからこのようなことを聞き出したのだと思います。

なにやら、このような政治資金や、公用車の使い方などに関しては、不正があればそれを暴くというのも良いですが、何やら肝心かなめのことが忘れ去られているようで、気になります。

その肝心要のこととは、他でもない、都有地の韓国学校への貸出の件です。最近、この話題はまるでなきがごとしで、どこも報道しません。一体どうなっているのか、調べてみました。

まず一番最近(今年5月19日)の国内のものでは、夕刊フジの報道がありました。その記事のリンクを以下に掲載します。
舛添都知事“韓国優遇”内部資料 都有地貸し出しで新事実 夕刊フジ独自入手 
夕刊フジが独自に入手した都の内部資料。
韓国人学校の「充足率」は100%を切っていた

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
東京都の舛添要一知事(67)が、旧都立高校を韓国人学校増設のために韓国政府に貸し出す方針を決めた問題で、注目すべき新事実が明らかになった。都の外国人学校に関する資料を夕刊フジで独自入手したところ、韓国人学校の充足率は100%未満だが、英国人学校など3校が定員を大きくオーバーしていたのだ。「政治とカネ」の疑惑だけでなく、舛添氏に「韓国優遇」との批判が高まる可能性がありそうだ。
舛添氏が、韓国人学校に旧都立高校(新宿区、約6100平方メートル)を貸し出すために動き出したのは、14年7月の訪韓がきっかけ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談した際、朴氏から協力要請を受け、舛添氏は「全力で対応したい」と即答した。
舛添氏の疑惑を徹底追及している無所属の音喜多駿(おときた・しゅん)都議は「これまで何度も、韓国人学校への都有地貸し出しの数値的根拠を問いただしてきたが、都側からまともな回答は得られなかった。韓国人学校の充足率が分かると不都合なので、公表を控えたとしか思えない。結局、『舛添氏が朴大統領に約束した』という政治的パフォーマンスを優先したのではないか。政治資金をめぐる『公私混同』疑惑に象徴されるように、舛添氏は都有財産さえも私物化していると言わざるを得ない。舛添氏が知事を続ければ都政は停滞する。すみやかに辞職して、7月の参院選との同日選を実施すべきだ」と語っている。
上の記事で、気になった舛添氏の14年7月の訪韓に関する記事を調べてみました。すると以下の様な記事がみつかりました。この記事は、2014年12月21日のDaily NKのものです。
朝鮮学校 韓流に押され「存亡の危機」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
東京の朝鮮学校が、「存亡の危機」に立たされている。北朝鮮系の民族団体・朝鮮総連が運営する朝鮮学校は、東京都には小学校から大学まで11校が所在するが、そのいずれもが深刻な生徒数の減少に悩んでいる。 
近年ではさらに、強力な「ライバル」の台頭にも悩まされるようになった。
11月28日に行われた東京韓国学校(新宿区)の新入生抽選会には、約170名の児童が応募した。来年度の新小学校1年生の定員は120名のため、50名近い児童が枠から漏れてしまったことになる。1954年、韓国民団の主導で開校した同校は、朝鮮学校とは逆に、生徒数が年々増加。スタート時わずか26名だった生徒数は、現在では小・中・高を合わせて約700名に達している。 
生徒数が増えている最大の理由は、近年になって新たに来日して定住する韓国人が増えていることにあるが、朝鮮学校の再編が進まないことも大きな要因となっているようだ。 
朴槿恵を訪問した舛添知事 
しかし、再編によって朝鮮学校を復活させるための時間的余裕は、あまり残っていない。7月に韓国を訪問した舛添要一都知事に対し、朴槿恵(パク・クネ)大統領は首都圏で「第2韓国学校」をつくるための用地確保に協力を要請した。民団関係者によれば、「すでに建設費用は本国から送られてきており、土地さえあればいつでもつくれる状態」だという。 
「第2韓国学校」が開校すれば、入学希望者の多くが受け入れられることになり、朝鮮学校からの流入にも拍車がかかる可能性が高い。
東京韓国人学校
さて、この状況、2016年の今日一体どうなったのでしょうか。2014年の時点では、上にあるように、入学希望者のほうが超過していたのですが、2016年の時点ではそうではないようです。

ただし、都内に第二韓国人学校ができた場合、朝鮮人学校から流入することも考えられるのでしょうか。現時点でも、間に合っているのですから、新しい学校ができたからといって、急激に増えるということは考えにくいと思います。

このあたりが全く報道されていません。ただし、これがどうなろうと、舛添知事の政治資金問題や公用車の使いみちが出鱈目であったことには変わりないですが、それにしても、全く報道しないというのも考えものです。

それにしても、舛添知事の都市間外交ですが、成果といえば、ひよっとしたら、朝鮮人学校の生徒を韓国人学校にぶんどることに加勢したことくらいというのであれば、あまりに情けないです。その他に何か舛添知事の都市間外交で成果があるというのなら、教えてほしいものです。

韓国人学校の定員が現在のところ、足りているというのであれば、やはり、最初に都が構想していたように、保育園などにするのが筋であると思いますが、それでも韓国人学校にするというのなら、舛添知事はその理由を公表すべきです。

結局のところ、舛添知事は都政を預かって2年が経過したのですが、明確な成果と呼べるものはないです。国に先駆けてディーゼル規制や認証保育所など、独自の政策を実現した石原都政に比べれば明らかに見劣りします。東京五輪という話題を抱えているにも関わらず、メディアへの露出や影響力は低下する一方です。

なんとしても目に見える実績を出したい舛添知事は、都市外交の一貫で貴重な都有地を韓国政府に貸し出し、韓国人学校の用地とすることを独断で決定してしまったのでしょう。

舛添知事は都有地である旧市ヶ谷商業高校跡地を韓国人学校に貸し出すと言うのだが・・・・
現在東京都で待機児童問題は深刻化の一途を辿っており、保育園に必要な用地はいくらあっても足りないです。加えて障がい者向けの特別支援学校や、高齢者向けの特養など、土地がなくて「順番待ち」をしている都民のための福祉施設は目白押しです。そんな中でどうして都市外交が、外国人学校の設立が優先されるのか。舛添知事の「政治パフォーマンス」と受け取られるのもやむを得ないでしょう。

最近の舛添知事に対する追求をみていると、政治資金の使いみちや、公用車の使いみちなどがほとんどで、本筋ともいうべき、都市間外交の是非、その象徴的な出来事でもある、舛添知事の独断による、韓国人学校への都有地の貸与など全く追求されません。本当に異様です。

最初は、高圧的で、公用車の使い方や、別荘通いなど、批判されても意に介さなかった舛添知事ですが、最近はそれを改める姿勢を見せています。

しかし、都有地の韓国人学校に対する貸付に関しては、全く追求されないので、今のままだといずれ本当に韓国人学校に貸与され、建物が建築されてしまうかもしれません。今のところ、今年度末まではこの都有地は、改築中の区立小学校の仮校舎として利用されています。しかし、来年からはこの小学校の改築も終わり、今のままでは来年は韓国人学校が建設されることになります。

この問題、このまま放置しておいて良いはずがありません。様々な事実を明確にして、決着をつけるべきです。

【関連記事】

韓国政府に都有地「貸し出し」 片山さつき氏が元夫・舛添知事に異議「政策順序が違う」―【私の論評】住民福祉のほうが都市外交よりも、都にとって優先順位が遥かに高いのは自明の理(゚д゚)!






2016年6月7日火曜日

海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で―【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!

海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で 



海上自衛隊は7日、米国、インドの海軍と沖縄本島の東方海域で共同訓練を行うと発表した。10日から17日まで。昨年10月のインド洋に続き、日本の南西諸島周辺で3カ国が共同訓練をすることで、海洋進出を強める中国をけん制する。

海上自衛隊からは空母のような形をした大型護衛艦や、新型の国産哨戒機、インドとの間で輸出協議を進めている救難飛行艇が参加する。対潜水艦や対空などの戦闘訓練を行う。米海軍からは空母が参加する見込み。

この訓練は「マラバール」と呼ばれ、もともとは米印2カ国が毎年行ってきた。日本は2007年に初めて加わり、今回で5回目となる。前回は昨年10月、インド洋のベンガル湾での訓練に参加した。

南シナ海とインド洋、東シナ海で動きを活発化させる中国に対し、米国やインド、日本などは警戒を強めている。米国は、中国が南シナ海で造成する人工島の近くに艦船を派遣。また、懸念を共有する各国が、共同訓練や装備協力を通じて連携しつつある。

【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!

インド海軍 手前は空母「ヴィラート」
昨年の「マラバール」には、日本の海上自衛隊も、戦術技量の向上と米印海軍との連携の強化を目的として参加し、護衛艦「ふゆづき」と人員約200名を派遣しました。昨年の「マラバール」では、日本の参加に関して2つのことが注目を集めていました。1つは、昨年のマラバールがインド洋で行われたということです。もう1つは、日本が昨年以降から、招待国としてではなく、固定メンバーとしてマラバールに参加することで合意した、と報じられた点でした。どちらも、印メディアなどから「ターニングポイント」と評されていました。

マラバールは1992年に始まりました。インドの核実験が原因で1998年から中断していたのですが、2002年に再開、その後は毎年行われています。基本的には米印の2国で行われるものですが、他国が招待国としてゲスト参加することがあります。日本も過去2007年、09年、14年、15年のマラバールに参加している。

昨年までのマラバール

以下に昨年までのマラバールについて振り返っておきます。

2007年に2度あったマラバールのうち、インド洋ベンガル湾で行われた2回目は、日本、オーストラリア、シンガポールが参加し、5ヶ国で行われたが、中国がこれに対して強く反発しました。ロイターによると、中国国内ではこの演習について、ヨーロッパのNATOのようなアメリカ主導の安全保障グループ作りとみなす者もいて動揺が引き起こされたそうです。

印英字紙ビジネス・スタンダード(BS)のウェブサイトによると、その後、中国政府は外交的攻撃を行ったそうです。米国営放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、インド政府は中国の圧力に屈して、その後、マラバールがインド洋で行われる際には、印米の2国演習に限定した、と伝えていました。BSは、マラバールは1年おきに西太平洋で実施されることになった、と伝えていました(例外あり)。

しかし、昨年のマラバールは2007年と同じくインド洋ベンガル湾で行われました。日本がインド洋でのマラバールに参加したのは8年ぶりでした。ロイターは、中国をいら立たせそうな海上軍事演習、と伝えていました。VOAは、戦略専門家らが、昨年「今年の日本の参加を、日米印3国間の安保協力の強化にとって重大なターニングポイントとみなしている」と伝えていました。また専門家らは、インドのアメリカとその同盟国への接近に対して中国が過敏に反応するという従来の懸念を、モディ首相が振り払いつつあることの表れともみなしていました。

昨年のマランバールに参加した海上自衛隊の「ふゆづき」
さらに、BSは、印国防省筋の情報として、今後、日本がマラバールの正式メンバーとなる、と伝えました。これによりマラバールは、今後は米印2国でなく、日米印3国の合同演習と称されるようになる、としていました。インド政府にとって大きな転換、とBSは報道しました。VOAは、これによりマラバールは3国による力の誇示の機会となる、としました。専門家らは、「非常に意義深い」ものになると語っていると伝えました。ロイターは、中国を不安にさせそうな動きだとしました。米防衛専門紙ディフェンス・ニュースは、インドの防衛専門家Nitin Mehta氏の、「日本がマラバールに固定メンバーとして加わることは、地域におけるインド、アメリカ、日本の海軍間の関係におけるターニングポイントとなる」という言葉を伝えていました。

日本が固定メンバーとしてマラバールに継続的に参加するようになることについては、昨年9月のモディ首相訪日時の日印首脳会談で両首脳が「重視した」、と共同宣言で伝えられている。

中国は日本がマラバールの固定メンバーになることを警戒していました。昨年10月10日付の印英字紙ヒンズーは、日本が継続的な参加国となるかを判断するために、中国はやがて行われるマラバールを注意深く監視している、と伝えました。また国営新華社通信が、米政府が「印米のマラバール海上軍事演習を、日本を継続的な参加国として含む3国合同の枠組みに変えることを追求」しているとしたことを引用しました。

昨年、9月にアメリカで行われた日米印外相の初の3者会合のために、中国の懸念が強まった、とオブザーバーらが指摘していると同紙は伝えました。その会合の共同メディアノートでは、日米印3ヶ国の外相は、インド太平洋地域における3ヶ国の利益の更なる一致を強調した、とされています。また、日米印の外相は、南シナ海におけるものを含め、国際法及び紛争の平和的解決、航行及び上空飛行の自由、ならびに阻害されない法に従った通商活動の重要性も強調した、とされていました。ヒンズー紙はこれらを中国への遠回しな言及としていました。

初の3者会合で握手する(左から)岸田文雄外相、ケリー米国務長官、
インドのスワラジ外相=昨年9月29日 ニューヨーク
中国が警戒するのも無理はなかったかもしれません。ディフェンス・ニュースは、マラバール2015の最重要点は敵潜水艦、水上艦、航空機の破壊のシナリオの演習となる、とインド海軍将校が語ったことを伝えていました。BSは、「人民解放軍」という名前は演習で用いられないだろうが、何を訓練しているかについて、疑問の余地はほとんどないだろう、と語っていました。

今年のマラバール

さて、昨年はこのマラバールのあった月である、10月の下旬から米国による「航行の自由作戦」が実行され、南シナ海にイージス艦「ラッセン」が派遣されました。

そうして、今年のマラバールは、日本の南西諸島周辺で3カ国が共同訓練することになっています。

南西諸島周辺とは一体どの地域を指すのでしょう。その地域を以下に示します。

南西諸島
南西諸島(なんせいしょとう)は、九州南端から台湾北東にかけて位置する島嶼群のことです。

「南西諸島」という名称は、現在の海上保安庁の前身である水路部が中心となって1887年(明治20年)頃に命名した地名とされ、翌年発行した海図『石垣泊地 日本・南西諸島・石垣島』にその名称が初めて記載されています。1894年(明治27年)発行の『日本水路誌』以降の海図から本格的に使用され、また国土地理院の前身の1つである日本陸軍陸地測量部による1937年(昭和12年)発行の陸図にも記載されています。しかし、「南西諸島」は公共機関が決定した行政名称であって、地理学・地球科学で用いられる専門用語ではありません。

これらの地域には、大隅諸島 、吐噶喇列島、奄美群島、琉球諸島、沖縄諸島 (沖縄島、久米島、硫黄鳥島など)、慶良間列島、先島諸島、宮古列島、八重山列島、尖閣諸島、大東諸島が含まれています。この広大な地域のいずれかで、演習が行われるということで、一体どこで実施するのかは、わかりませんが、これは当然のことながら、尖閣列島や、沖縄に対する中国に向けての牽制であることは、間違いありません。

新たな「航行の自由作戦」の始まりか

さて、尖閣といえば、読売新聞は今年の1月12日付で、日本政府が、中国軍艦が尖閣諸島周辺の12海里(22キロメートル)以内の領海に侵入することに備える新たな措置として、国際法上許容されている無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針を決めたことが確認されたと報じました。今後、中国軍艦が尖閣諸島周辺12海里以内へ侵犯すれば、海上自衛隊がすぐに現場に投入され、即刻退去を要求することになります。

現行の国際海洋法条約によると、軍艦を含むすべての船は、その国の平和、安全、秩序などを脅かさない限り、他国の領海を自由に航行できる無害通航権が認められていますが、日本は中国の軍艦に対してこれを認めないことにしたのです。日本政府関係者は、「中国が無害通航権を主張することは、日本の尖閣諸島領有を認めることと同義になる」とし、中国がこれに対して抗議する可能性はないと見ています。

日本政府がこのような方針転換に乗り出したのは、昨年11月に中国海軍の情報収集船が尖閣諸島周辺の接続水域(陸から24海里以内)を一日かけて東西方向に反復航行するなど、最近になって中国海軍の不審な動きが急激に増えたからです。海上警備行動が発令されると、自衛隊は正当防衛に当たる場合などには、武器を使用できるようになっており、日中海軍間の偶発的な衝突が発生する可能性もあります。日本でこれまで海上警備行動が発令されたのは、1999年に北朝鮮の工作船と推定される船が日本の海岸に姿を現した場合など、3回しかありません。


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今年のマラバールが南西諸島で行われるのは、当然のことながら、このことと多いに関係があるものとみられます。

日本としては、今年のマラバールは、「中国に無害通航権を認めず、すぐに海上警備行動を発令する方針」を中国に通知するだけではなく、この方面で日米印の共同演習を行うことにより、中国を牽制する意味があったものと考えられます。

さて、昨年のマラバールの直後に、南シナ海での「航行の自由作戦」があったことを考えると、今年のマラバールの直後にも何かがあるかもしれません。

もしかすると、日本の海上自衛隊による尖閣、沖縄付近の海域の「航行の自由作戦」が始まるかもしれません。

日本としては、南西諸島の領海と尖閣諸島周辺12海里のみを海自の護衛艦がパトロールすれば良いものと思います。

昨日は、このブログで、中国の孫建国連合参謀部副参謀長が、アジア安全保障会議において、「南シナ海は昔から中国のものだ」と自説を繰り返し、「一部の国が問題を過熱させている」「ある国は『航行の自由』を都合良く解釈して武力をひけらかし、徒党を組んで中国に対抗している」と、強い調子で米国などを牽制(けんせい)したことを掲載しました。


オバマ政権は、あと半年余りですが、現在の米国はカーター国防長官ら、強硬派の国防総省主導で進むため、今年後半は、「航行の自由作戦」を拡大していくことでしょう。一方の中国も、南シナ海での埋め立てをますます加速させていくことが想定されます。

そうなると、南シナ海における「米中激突」は、まさに「いまそこにある危機」ということになります。

ある日本政府関係者は、こう漏らしたそうです。

「先の伊勢志摩サミットでの日米首脳会談で、オバマ大統領は、『日本も自衛隊を南シナ海に派遣する覚悟はできているんだろうな』と、安倍総理に問い質した。南シナ海問題は、日本にとっても、いよいよ対岸の火事ではなくなってきた」

たしかに、南シナ海が中国の「内海」となれば、中東から日本へ至るシーレーンを中国が支配することになり、日本の生殺与奪を中国に握られることになります。そのようなことは、最初からわかつていたことで、南シナ海問題は、まさに対岸の火事ではないのです。

日本としては、まずは尖閣・沖縄は自らの手で守ることを要求され、さらに南シナ海においては、直接イージス艦などの艦艇を派遣することはできないかもしれませんが、対潜哨戒機などの派遣による監視活動などが求められることになるかもしれません。

そうして、その第一段階として、もし中国が今後も、尖閣諸島周辺の接続水域(陸から24海里以内)南西諸島付近における航行をやめないならば、日本の海上自衛隊による「航行の自由作戦」が行われることになるでしょう。

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2016年6月6日月曜日

南シナ海、フランス主導でEUに海軍艦艇派遣案 暴走中国に対抗へ―【私の論評】国際法無視で、いずれ一敗地に塗れる中国(゚д゚)!

南シナ海、フランス主導でEUに海軍艦艇派遣案 暴走中国に対抗へ

手を携える日米韓の防衛相
中国人民解放軍の幹部が国際会議で激高した。南シナ海で軍事的覇権を強める同国に対し、米国の国防長官や日本の防衛相が警告を発したところ、「南シナ海は中国のもの」「中国は黙っていない」などと恫喝(どうかつ)してきたのだ。常設仲裁裁判所の判決も拒絶するような無法ぶりに、ついにフランスの主導で欧州連合(EU)各国の海軍艦艇による派遣案が急浮上した。

中国の孫建国連合参謀部副参謀長が5日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で行った演説や質疑応答は突出していた。

カーター米国防長官や中谷元(げん)防衛相は前日の会議で、中国による南シナ海での人工島の軍事基地化について、「自らを孤立させる万里の長城(を築く結果になる)」「原則に基づく海洋秩序を著しく逸脱している」と警告したが、これに猛反発したのだ。

孫氏は南シナ海情勢について、「南シナ海は昔から中国のものだ」と自説を繰り返し、「一部の国が問題を過熱させている」「ある国は『航行の自由』を都合良く解釈して武力をひけらかし、徒党を組んで中国に対抗している」と、強い調子で米国などを牽制(けんせい)した。


さらに、南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当だとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンも批判し、近く示される判断も「受け入れない」とした。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は5日、孫氏が三村亨防衛審議官との会談(4日)で、以下のように発言したと報じた。

「日米両国が南シナ海でパトロール航行などを合同で実施すれば、中国側は黙っていない」「改善しつつある中日関係に多くの不確定要素を生むだけでなく、大きな損害をもたらす」

唯我独尊、国際秩序を無視して、他国を軍事力で脅す姿勢といえる。これには地理的に南シナ海に関心の薄かったEU諸国も立ち上がった。

共同電によると、フランスのルドリアン国防相は5日、EU各国に対し、南シナ海の公海に海軍艦艇を派遣し、定期的に航行するよう近く呼び掛ける考えを同会議で明らかにした。ルドリアン氏は、EUは「航行の自由」によって経済的利益を得ているとし、南シナ海情勢を懸念していると主張した。中国は、孤立への道から引き返せるのか。

【私の論評】国際法無視で、いずれ一敗地に塗れる中国(゚д゚)!

フランスがなぜ、この南シナ海に艦艇を派遣するのか、不思議に思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは突飛でも何でもないです。

フランスは南シナ海に近い、南太平洋に未だに領地を持っています。そうです、フランス領ポリネシアです。

地図で位置の確認をします。以下の世界地図をご覧ください。


赤い印のあるあたりです。このあたりを拡大したのが、以下の地図です。


上の地図で、フランス領ポリネシアとして赤い線で囲まれている地域のすべての島が、フランス領です。

そうして、フランス領ということから、当然のことながらフランス軍が駐留しています。

その規模など以下に掲載します。

ポリネシア駐屯フランス軍は高等司令官の責任下に置かれ、高等司令官はフランス統合参謀総長の直轄下にあります。高等司令官は地域を担当する高等弁務官に対し軍事的助言を行う軍事顧問として機能し、さらに海軍太平洋管区司令官(ALPACI)および太平洋実験センター長(COMCEP)を指揮下に置きます。駐屯部隊は異なる軍種の混成(陸軍、海軍、空軍、国家憲兵隊、適応軍役制度)で構成されています。三軍将兵は約1,500人から成り、主にタヒチ島パペーテに配置されています。

陸軍部隊
陸軍は1個部隊が駐屯している。連隊は本部をタヒチ島に置くが、2個中隊は4ヶ月毎の輪番勤務で常設中隊については4個中隊はマルキーズ諸島、トゥブアイ諸島、トゥアモトゥ諸島に分屯しています。このほかにファーウン(fr:Faaone)に演習場が、パペリ(fr:Papeari)には弾薬庫があります。
太平洋ポリネシア海兵歩兵連隊 在タヒチ島、パペーテ
海軍部隊
海軍はパペーテに基地を置き、約600人が配置されています。
フロレアル級フリゲート × 1隻
P400級哨戒艇 × 2隻
シャンプラン級戦車揚陸艦 × 1隻
給油曳船 × 1隻
沿岸港内曳船 × 2隻
フュージリア海兵作戦コマンド分遣隊
海上憲兵隊の巡視艇 × 1隻
第25F海軍航空隊
仏領タヒチに駐屯する、フロレアル級フリゲート艦艇
「プレリアル」2014年6月9日晴海に寄稿したときの写真

空軍部隊
空軍は第190タヒチ=フアア空軍基地(パペーテ・タヒチ国際空港)が配置されています。
CASA CN-235戦術輸送機 × 2機
ユーロコプター フェネック汎用ヘリコプターとAS 332シュペルプーマ汎用ヘリコプター 
国家憲兵隊部隊
フランス領ポリネシアには約760人の憲兵を展開させ、機動憲兵隊が4個中隊と2機のヘリコプターを配備しています。
適応軍役制度兵
適応軍役制度に基づきフランス領ポリネシアには陸軍所属として太平洋適応軍役群(GSMA-Pf)が編成され、1989年にはマルキーズ諸島にも配置されています。これは現地出身である若者の統合を目的としてます。
任務
領土・領域については主権と安全保障の維持、国益のためにフランス領ニューカレドニア駐屯部隊司令官と連携して太平洋地域ダイアローグへの参加や、フランス本土から約18,000km離れたポリネシアの5諸島、118に及ぶ島を含む南北2,200km、東西2,100km、排他的経済水域500万平方メートルを範囲とする恒久責任地帯(la zone de responsabilité permanente:ZRP)内での介入能力の維持、災害救助や人道支援など緊急時の貢献、海上ではZRP内での違法漁業の取締り、海難救助のほかフランス=オセアニア・サミットでの申し合わせに基づき各種取締りの強化がなされています。航空分野については住民援助が主たる任務となっています。
さて、以上で仏領ポリネシアのフランス軍の規模はおわかりになったものと思います。おそらく、フランスが南シナ海に艦艇を派遣するというのなら、わざわフランス本土から派遣するのではなく、当然仏領ポリネシアの艦船を用いるものと思います。おそらく、フリゲート艦の「プレリアル」を派遣することになるでしょう。

そうして、この話降って湧いたように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。中国囲い込みにフランスも加勢してもらうという構想は前からありました。

そうです。安倍総理の構想した安全保障のダイヤモンドには、もともとフランスも数のうちに入れてありました。

それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
安倍晋三首相とインドのモディ首相
この記事は、2014年9月2日のものです。この記事では、安倍晋三首相とインドのモディ首相との会談により、安倍首相の構想である、安全保障のダイヤモンドが完成に近づきつつあることを掲載しまた。

安全保障のダイヤモンドについては、なぜかほとんどのマスコミが現在でも報道しないため、知らない方もいらしゃるかもしれません。簡単にいえば、南シナ海の近隣諸国などが結束して、力による海洋進出を続行する、中国を封じ込めようというものです。

これについては、詳細についてもこの記事に掲載していますので、ご存知のない方は、この記事の詳細を是非ご覧になってください。

安全保証のダイヤモンド構想は、もともとプラハに本拠を置く国際NPO団体「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトに、2012年12月27日付けで安倍晋三首相の英語論文が掲載されたものです。

さて、この論文の中にすでに、フランスのことが記載されています。その部分のみを以下に引用させていただきます。(赤字はブログ管理人が施したもの)
 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、小規模な軍事演習にも加わらせたい。タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、いずれ重要性を大いに増してくるであろう。
安倍総理の頭の中には、南シナ海の東隣りに位置する南太平洋のフランス領タヒチや、そこに駐屯するフランス軍のことが頭にあったのです。フランスがここに艦艇を派遣するとなると、イギリスも派遣することになるかもしれません。

それにしても、安倍総理は着々と、安全保障のダイヤモンドの構築を進めています。この構想は、すでに何ヵ国も歴訪して、多くの国々から賛同を得ています。そうして、とうとうEUからの艦艇派遣というところまでこぎつけたということです。

いまのところ、中国は南シナ海で手一杯というところですが、これもそのうち一段落すれば、さらに東を目指すかもしれません。

そうして、東の南太平洋には仏領タヒチがあります。この地域は、下の地図をご覧いただいてもおわかりになるように、レアアースの産地であります。他にも有用な地下資源も見込まれ、当然のことながら、中国もこれに大きな関心を示しています。


それに、フランス領タヒチは、無論のこと観光地でもあります。以下にフランス領タヒチの海の写真を掲載します。



このような美しい海が、中国によって南シナ海のように埋め立てられたりするのは、何が何でも防がなければなりません。

現在の中国の力ずくの海洋進出をそのまま放置すれば、いずれ太平洋のあらゆる方向に進出してくることは明らかです。

この上は、中国に対する最後通告として、南シナ海の中国の埋立地のすぐそばで、ASEAN諸国全部と、オーストラリアその他日米仏英も含めたような、大演習をすべきです。

この大演習の後、中国が環礁の実行支配をやめないというのなら、各国の艦艇で、島を包囲して、補給を断つと良いと思います。この包囲を破ろうとする中国艦艇はすべて撃沈、航空機はすべて撃墜すれば良いと思います。こんなことできないと思ったら大間違いです。

中国は南シナ海の全域を中国の管轄下とする主張は不当だとして、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴したフィリピンも批判し、近く示される判断も「受け入れない」としています。

仲裁裁判所の裁定は、無論のこと、国際法の原則にもとづいて行われることになります。そうしてその原則として、当事国の一方がそれを破れば他方は守る義務がないことになります。

国際法には「法」という字がついていますが、日常生活で「法律」という言葉からイメージするものとは大きな違いがあります。

民事や刑事の訴訟などで使われる法律は国内法です。国内法は主権を持った統一政府によって強制される法なので、「強制法」といいます。国内では、警察などの法執行機関が法律を破った人を取り締まるわけです。

一方、国際社会には警察のような強制力を持った組織はありません。国際法はあくまで主権国家同士の合意によって成り立っているものなので、「合意法」といいます。当事国のどれか一国が仲裁裁判所の裁定を破った場合は、その他の国は守る義務はありません。

これを前提として考えると、仲裁裁判所の裁定は、中国にとってかなり厳しいものとなることが予想できます。そうして、中国は最初から守る気がないことを表明しています。そうなると、中国画一方的に裁定守らないわけですから、他国が中国にこの裁定を力ずくで守らせるため、原状回復を図ったとしても国際法違反にはならないことになります。

そうなると、先ほど掲載した事例も十分成り立つわけです。中国は、もともと他国はおかまいなしに、国内の都合で動く国です。それでも、中国が大陸内で動いているうちは、国際法などとは全く関係なく動くことができました。

しかし、海洋は違います。さすがの中国もいずれ必ず、国際法を無視して動けば大変なことになることに気付かされると思います。それも、一敗地に塗れる屈辱的な方法によって、はじめて気付くことになると思います。

今回のフランスを中心とするEUによる南シナ海への艦艇の派遣案ですが、案に終わらせず必ず実行していただきたいものです。

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