2016年11月27日日曜日

日米中国経済包囲網 日本、関税「特恵」から除外 米は「市場経済国」認めず―【私の論評】中国の現体制を完膚なきまでに崩壊させ、ルーズベルト以前の世界にもどせ(゚д゚)!

日米中国経済包囲網 日本、関税「特恵」から除外 米は「市場経済国」認めず

中国経済への強硬策で足並みをそろえる安倍首相(左)とトランプ氏
 中国の習近平国家主席による経済覇権戦略が破綻寸前だ。財務省は新興国への「特恵関税制度」の基準を見直し、中国などを対象から除外する方針で、中国製品1000~2000品目の関税が上がりそうだ。トランプ次期米国大統領も中国製品への関税大幅引き上げを打ち出しているほか、オバマ現政権も中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」としての認定を見送る。

 トランプ氏がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの脱退を宣言し、中国包囲網が崩れるかに思われたが、習政権にとってはぬか喜びに終わりそうだ。

 財務省は関税・外国為替等審議会で、特恵関税制度の対象国の要件を見直し、2019年度までに実施する方針を示した。対象国の1人当たり国民総所得(GNI)の基準に加え、輸出の世界シェアなどの基準も設けた新規定では、中国とメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの5カ国が適用対象外となる。

 日本では、15年度に優遇税率が適用された輸入品のうち6割は中国からのものだった。政府関係者は「経済が発展しているのに、関税をまける必要があるのか」と指摘する。

 中国製品をめぐってトランプ氏は選挙期間中、「関税を45%に引き上げる」と明言しているほか、「大統領就任初日に為替操作国に認定する」としており、過剰生産した製品を通貨安を武器に世界に大量輸出するという中国経済に大打撃となりそうだ。

 さらにプリツカー米商務長官は中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」の認定を見送る考えを示した。欧州連合(EU)や日本も足並みをそろえるとみられる。

 WTO協定では、為替や企業の生産を政府が統制しているとみなされた国は「非市場経済国」として、貿易相手国は反ダンピング関税などの措置を取りやすくなる。貿易後進国の烙印(らくいん)を押されるようなものだ。

 中国商務省の張向晨・国際貿易交渉副代表は、米国が中国に高関税をかけた場合、世界貿易機関(WTO)への提訴を辞さないと警告。中国外務省の耿爽副報道局長は「中国はずっと市場経済を目指し、改革に努力してきた」と必死に反論するが、世界の目はごまかせない。

 ■特恵関税制度 途上国の輸出振興や経済支援のため、輸入品にかかる関税を下げたり、免除したりする制度。多くの先進国が導入しており、日本も143カ国・地域からの輸入品に適用している。ただ、欧州連合(EU)やカナダは特恵関税制度を縮小している。

【私の論評】中国の現体制を完膚なきまでに崩壊させ、ルーズベルト以前の世界に戻せ(゚д゚)!

日米による経済制裁は、上に掲載されているもののほかに、以下のようなことが期待されることをこのブログでは昨日も主張しました。

RCEP概念図

それは、RCEPに関するものです。2012年11月20日にカンボジアで開催された東アジアサミットで、アジアを束ねた地域包括経済連携(RCEP:Regional Comprehensive Economic Partnership)の交渉開始が宣言されました。しかし、この出来事は日本の成長戦略に大きなインパクトを与えるにも関わらず、日本の政治家やメディアの議論は専ら環太平洋連携協定(TPP: Trans-Pacific Partnership)に集中していて、RCEPについてはほとんど話題になりませんでした。

RCEPについて、もっともらしく語る識者などいますが、これを簡単に一言でいえば、中国のリーダーの下での国際ブラック分業体制に過ぎないものです。これは、中国を利するだけで、日本や米国にとっても、アジアにとっても何一つ良いことはなく、無論日本はさんかすべきでもないです。民進党などは、TPPに反対していますが、RCEPに関しては、ほとんど何もいいません。

ただし、RCEPはAIIBと同じく、最初から開店休業状況になる可能性が高いです。それは、昨日のブログでも述べたように、トランプ氏は、中国製品に対して45%程度の関税をかけるとしています。そのトランプ氏がRCEPに対して、何もせずに見過ごすことなど、考えられません。おそらく、トランプ氏は同一経済圏であるRCEPにも45%程度の関税をかけるからです。

そうなれば、日本も含めた主だった国々は、RCEPから離脱することになるでしょう。日米が参加しなかったことにより、AIIBは事実上開店休業状態です。中国に対して及び腰であったオバマ氏ですら、AIIBに参加せず、中国を牽制したわけですから、トランプ氏なら、当然のことながら、RCEPに対して45%の関税をかけるくらいのことは当然のこととして実行するでしょう。

米国による、関税45%、日本による中国の特恵関税の停止、AIIB日米不参加、RCEP参加国に対するトランプ新大統領による、45%の関税実施の宣言により、中国は苦しい立場に追い込まれます。

経済面でもこのような動きがありますが、その他にも以下のような動きがあります。

カストロ氏が亡くなったことを伝える本日の多維新聞サイトの画面
今年の5月には、米国内での中国人によるスパイ事件が大幅に増えていることが分かっています。米連邦捜査局(FBI)の調べによると、昨年のスパイ事件は20件以上と前年より50%以上も増加しており、とくに米国在住の中国人による犯行が多く、知らないうちに軍事技術が盗まれるなど手口も巧妙になっているという。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」が報じていました。

今年4月下旬、米国在住でフロリダ州の大学教員を務める中国人の女性研究者がフロリダ州の海軍基地に半年間の研究目的で滞在し、この間、原子力潜水艦の航行制御用のコンピュータープログラムを盗んだ疑いで逮捕されました。

この女性研究者はもともと中国人民解放軍傘下にあるハルビン工科学院で研究生活を続けていましたが、1998年に米国の居住権を取得し、フロリダ州の大学で教員として働いていました。

この女性研究者はハルビン工科大学の元上司から米軍の潜水艦に関する技術を盗むよう指示されており、米国の居住権取得も、米国でスパイ活動を前提したものだったとの疑いが濃いといいます。

米航空宇宙局(NASA)でも2013年に、中国から米国に移住してきた女性研究者による技術の盗難が明らかになっています。とくに、ここ数年では女性研究者によるスパイ事件の摘発件数も多くなっており、米国国家気象局やNASA、軍などで技術などの盗難事件が起こっているといいます。

また珍しい例では、現役の米海軍将校が犯行に手を染めた事件も発生しています。この将校は台湾出身で、米国籍を取得して海軍に入り、数々の勲章の受章歴を持つ米海軍士官で、中国や台湾に防衛機密を渡した容疑でスパイ罪などに問われています。

このほか、中国の大手国有企業がスパイ事件にかかわったとして起訴される事件も発生。米大陪審は4月中旬、中国国有原発大手「中国広核集団」の中国生まれの技術者がスパイ活動を行っていたとの認定したうえで、同集団も米政府が指定する核燃料物質を許可なく米国外で開発・生産した罪で起訴されています。

起訴された技術者は同集団の幹部から多額の謝礼を条件に、核燃料物質に関する資料を盗むように指示されたといいます。

このような中国スパイ摘発は、オバマ政権がレームダック化する以前は少なかったのに、今年になってから活発化しました。議会では、共和党が多数派になっていたため、共和党保守派がFBIの保守派などに訴え、オバマ政権末期でレームダック化しているため、スパイ事件の摘発が活発化したため、中国人によるスパイ事件が大幅に増えているようにみえたのでしょう。

そうして、トランプ氏が大統領になることに決まった現在、中国スパイ摘発はさらに活溌化することでしょう。特に、オバマ政権の中枢にも捜査の手が及ぶかもしれません。

大統領選のときに、トランプ氏がクリントン氏に向かって、「刑務所に入れてやる」と言ったは、単なる脅しではありません。クリントン夫妻には、このブログで何度か掲載したように、中華マネーにまみれています。ただし、この中華マネーにより、クリントン元大統領や、ヒラリー・クリントンにより、対中国政策に何らかの影響を与えたかどうかを立証できないかが証明されないので、クリントン夫妻は刑務所に入らないですんでいただけです。

ドナルド・トランプ氏はライバルであるヒラリー・クリントン氏が刑務所に行くべきだと述べた
今後、トランプ大統領が登場した場合、当然のことながら、こういうことも調査しやすくなるでしょう。クリントン夫妻に限らず、中国スパイへの摘発が厳しくなるかもしれません。トランプ氏が大統領になってから、あっと驚くような逮捕劇が繰り返されることになるかもしれません。

そうして、特定秘密保護法が成立した日本でも、同じことがおこるかもしれません。ただし、日本ではなかなか実行しにくい面があるかもしれませんが、トランプ氏が大統領になれば、米国での調査が進めば、当然のことながら、米国からの情報なども期待できます。

米国による確たる証拠があれば、日本でも問題なく特定秘密保護法により、政治家、マスコミ、公務員などの中国スパイも捕らえやすくなることでしょう。

日米は、これから、対中国経済包囲網での協力とともに、中国スパイの摘発にも協力しあい、中国の現体制を叩き潰すまで協調し、ともに闘うべきです。

米国の保守派は、ニューディール連合がアメリカをのっとって以来アメリカは変質してしまったとしています。ニューディール連合(ニューディールれんごう、New Deal coalition)とは、1932年から1960年代末のアメリカ合衆国において、ニューディール政策および民主党大統領候補を支持した利益集団や選挙母体の連合体を指します。1952年と1956年の各大統領選挙でドワイト・アイゼンハワーに敗北を喫するも、この時代に民主党は主要政党にまで上り詰めてゆきました。

フランクリン・ルーズベルトが党組織やマシーン、労働組合、ブルーカラー労働者、マイノリティ、農場経営者、南部出身者の他知識人から成る連合体を構築。1968年の大統領選挙の時期に崩壊しましたが、党活動家が復権を目指し枠組みを維持することになり、現在に至っています。そうして、これがアメリカのリベラル・左派の基盤をなし、今でもアメリカの政界、メディア界、学界、司法界でも大きな勢力となっています。

ソ連スパイに浸透され判断を誤ったフランクリン・ルーズベルト
特に、メディア界においては、メディアの90%がリベラル・左派であり、保守は10%程度に過ぎず、保守派が何かを主張しても、かき消されてしまいます。そうして、このようなアメリカの実体を知らず、米国のリベラル・左派の報道をそのまま垂れ流す日本のメデイアによって、日本人の多くが、アメリカの半分を全く知らない状態にあることは、このブロクでも何度か掲載してきました。

しかし、このような実体は、今回の大統領選により、トランプ氏の当選を予測できないどころか、全く見込みなしで、ヒラリー・クリントンが優勢と報道し続けたことにより、暴露されました。

米国の真性保守は、ソ連スパイに浸透されルーズベルトがソ連と手を組んだことが間違いであり、また反共の砦であった当時の日本と戦争をしたのは全くの間違いだった、この間違いから米国は間違った方向に行ってしまったのであり、米国はこの時点から遡って方向転換しなければならないと主張しています。

あのマッカーサも同じような主張をしています。米国が朝鮮戦争を実施して、実際にマッカーサーが朝鮮に赴き、現地をつぶさに調査し、なぜ日本が朝鮮を併合したり、満州国を設置したりしたのが良く理解できた、結局日本はソ連の浸透に対峙していたのが理解でき、彼らの戦争は防衛戦争だと、後に公聴会で証言しています。

ダグラス・マッカーサー
しかし、その日本も、近衛内閣のときにソ連スパイに浸透され、ソ連スパイに操られ、対米英強硬論が主張され、米英と戦争をするという愚かな決断をしてしまいました。無論、その決断の背後には、ルーズベルトによる画策もあり、戦争せざるを得ない状況に追い込まれたのも事実です。

そうして、現在はソ連は崩壊しロシアは軍事的にも経済的にもとるに足りない存在となりましたが、かわつて中国が世界の安定と繁栄にとって邪魔な存在になっています。

トランプ氏も保守派のこのような考えは、当然のことながら理解していると思います。そうして、これは安倍総理の主張する戦後レジームからの脱却という考え方とも相通じるところがあります。

トランプ大統領の米国と、安倍総理の日本とは、互いに歩み寄れるところが多くあります。

この両者が緊密に協力しあって、中国が旧ソ連のように自壊するのを待つのではなく、旧ソ連にかわって、世界の秩序をの半分を担おうとする妄想中国の現体制を完膚なきまでに崩壊させ、世界をルーズベルト以前の秩序にもどすべきです。無論、その頃とは世界は全く異なっているので、完全に戻すことはできないでしょうが、特に日米関係はその頃にもどすべきです。

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2016年11月26日土曜日

【炎上】国会が学級崩壊。民進党の問題児たちが「速記を止めろ!」 安倍総理が説教して全視聴者が同意―【私の論評】世界は、蓮舫氏の妄想どおりにはならない(゚д゚)!


腹BLACK 2016年11月25日

国会での蓮舫氏と安倍総理の戦いは完全に安倍総理の勝利に終わった。民進党の議員たちは速記を止めさせて妨害行為を働こうとするも、有権者である視聴者たちはその様子を冷めた目で見ていた。

まずはじめに見てほしいのはこちらの学級崩壊の状態。

▼安倍総理が答弁しているのに、民進党の議員たちが勝手に速記を止めようとしている。



▼筆記具や書類を奪おうとする。



▼マイクも奪い取る。なんだこれは…。



国会中継を観ていた人たちは民進党の野蛮さにドン引き。また、内容をみても正しかったのは安倍総理だったという。予め定められたルールに則って正々堂々と戦わないのはもはや民主主義ではない。会話が通じない野生動物と同じだ。

なぜこんな事態になったのか。分かりやすくまとめてみた。

(1)蓮舫氏がドナルド・トランプ氏に会いにいった安倍総理を追及する。「トランプ氏は差別的な発言を繰り返しています。なぜ会いにいったんですか?なぜ信頼できると判断できたんですか?」この時点ではみんな席についている。



(2)安倍総理は「安全保障のために日米間の関係は重要」と説明し、次期大統領に会いに行くのは当たり前だと説明する。



(3)と、そのとき安倍総理が話しているのに立ち歩いて妨害する議員たちが出始めた。「速記止めろー!」「一回止めろ!」と怒声が飛び交う。この間も安倍総理は「大切なアメリカと信頼関係を構築しようとするのは当然ではありませんか」と説明を続ける。



(4)安倍総理「今あそこで止めろと言っていますが、気に食わないことを私が言ったから止めろというのはおかしいですよ。大体、テレビをご覧のみなさんもおかしいと思いませんか?この状況を」



民進党議員は「ドンドン!」とテーブルを叩いて聞こえなくさせようとする。

安倍総理「テーブルを叩いて答弁を聞こえなくさせるのはやめてください。こういう騒然とした状況では私も答弁しにくいですよ。簡潔にまとめますので、みなさん席についてください…」

その後、安倍総理は「トランプ氏はオバマ大統領に対する敬意をきちんと払ったうえで政治を進めようとしていた」と会談で確認できたことを述べ、それがメディアで偏向報道されているドナルド・トランプ氏の傍若無人な姿とは違うので「信頼に値すると判断した」と説明した。

そして11月25日にも同じような事態になり、安倍総理はついに直球で民進党を説教したのであった。



「議論が進まないですよ。私が述べた事を国民の皆さんに聞かれたらまずいんですか?レッテルを貼って我々の支持率を下げようとしても民進党の支持率は上がりませんよ」。この言葉に中継を観ていた人たちは全員が同意。「よくぞ言った」「その通り」という言葉が飛び交った。

なお、この答弁中、日経平均株価は年初来高値を更新した。



日経平均株価は総理大臣の成績表と言ってもいい。アメリカの次期大統領に会いに行くのは当たり前ではないか。民進党は安倍総理の一挙手一投足に文句を言うのが仕事になっているだけで何も建設的な議論を生み出していない。普通の社会人なら速攻でクビになるレベルだ。

【私の論評】世界は、蓮舫氏の妄想どおりにはならない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、24日の参院予算委員会における蓮舫氏の質問とそれに対する安倍総理の答弁に関するものです。以下にこの委員会の動画を掲載します。


最初は、この委員会に関するZAKZAKの記事を掲載しようと思ったのですが、上の記事のほうがより鮮烈に実体が伝わると感じたので、この記事を掲載することにしました。

なお、ZAKZAKの記事のリンクも以下に掲載します。
蓮舫代表、トランプ氏にも難クセ 安倍首相批判も二重国籍問題は書類開示せず
24日の参院予算委員会において質問する蓮舫氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ブログ冒頭の記事には掲載されていない内容のみを以下に引用します。
 国会審議後、蓮舫氏は定例会見に臨み、国民にウソをついた自身の「二重国籍」問題について、記者から「(国民の疑惑を解消するために)戸籍謄本など証拠書類を開示する気はないのか」と問われた。 
 他人には「誠実な答弁」を求めた蓮舫氏だが、「(開示しない)考えは変わっていません」とだけ答えた。
蓮舫氏は、ほとんど何も考えず、ただただ安倍総理自身や与党に難癖をつけて、とにかく民進党の支持率をあげたいくらいの考えで、質問しているのでしょうが、これでは全く逆効果です。

そうして、彼女の潜在意識の中には、なるべく日米関係を毀損させたいということと、中国に有利になるようにとの考えがあるのでしょう。しかし、まとに考えて発言をしているとは到底思えないので、これはあくまで潜在意識の中でのことかもしれません。

今回の参院では、やはりTPPについての質問がありました。簡単にいえば、民進党は、 トランプ氏が大統領就任時にTPPを辞退することを表明すると発言したことから、与党がTPPを推進することは無意味ではないかというものです。民進党は、何が何でも、TPPを頓挫させたいようです。

しかし、TPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣であることは間違いありません。そうして、野田佳彦氏は現在では民進党の幹事長です。なんというか、完璧に矛盾しています。

これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!
民進党野田幹事長
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を要約して掲載します。
TPPについては、私は今のところは、完璧に頓挫したとは思っていません。 
その根拠として、一点目は、過去に大統領選においてFTAやEPAに関して、大統領選のときには反対の意思を表明しておきながら、大統領になったらこれを批准した大統領などいくらでも存在するからです。実際、アメリカの大統領選挙の公約は守られないことが、しばしばありますし。だからといって、大きな問題になったこともありません。 
二点目としては、アメリカの政治は二大政党制であり、今回のように政権交代があったとき、前政権と現政権の政治があまりにも異なった場合、とてつもなく混乱することになります。そのような混乱を避けるため、アメリカの政治では継続性の原則が貫かれています。 
継続性の原則とは、たとえ政権交代したとしても、現政権は前政権の政策を6割〜7割は引き継ぎ、後の4割から3割で、新政権の色を出すというような政治手法のことをいいます。 
三点目としては、TPPには中国は参加しません。その意味で、TPPは中国への経済的な対抗策でもあります。トランプ氏は対中国恐慌派と目されていますから、これを理解すれば、TPPを推進するほうに立ち位置を変える可能性は十分にあります。 
日本のメディアは、もうTPPは頓挫したかのように報道しているところが多いです。しかし、もっと趨勢を見極めないと、政治家、マスコミ、官僚もまたアメリカ大統領選挙の時のように、判断をまったく誤ることになるかもしれません。
TPPに関しては、他にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏が中国制圧決意、「通貨・貿易戦争」辞さず 安倍首相初会談の核心―【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を掲載します。
米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は16日公表した年次報告書で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効せず、中国や日本などが交渉している東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が発効した場合、中国に880億ドル(約9兆6千億円)の経済効果をもたらすとの試算を紹介しました。
報告書は、オバマ米政権のアジア重視戦略「リバランス」で、TPP構想は経済面での中核をなすとみられていると指摘。中国への警戒感を強めているトランプ次期大統領はTPP脱退を主張しているのですが、報告書はTPP脱退が逆に中国の立場を強めると警告した形です。

RCEP交渉には日中両国のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国などを加えた計16カ国が参加。TPPが発効した場合も、RCEPが発効すれば中国に720億ドルの経済効果があると試算。TPPが発効して、RCEPが発効しなかった場合には、中国の経済損失は220億ドルに上るとしました。

日本としては、TPPの米国離脱を阻止するのが当然です。何とか安倍総理の説得によって、踏みとどまっていただきたいものです。トランプ氏は、もともと企業経営者ですから、経営者の立場にたって、米国企業が儲けやすい体制を築きたいと思うのは無理もないのかもしれません。

しかし、米国企業の儲け、それも一部の企業の儲けそのものが、米国の国益にかなうことばかりではありません。場合によっては、著しく国益を毀損することだってあり得るのです。そのことに気づいて、トランプ氏が大統領就任時にTPPの再交渉を宣言するなら、かなりみどころがあると思いますし、大統領としてもうまくやっていけるかもしれません。

しかし、TPPに関する考え方がこのような状況ですから、威勢の良いことは言っていますがトランプ氏も意外と、方法は全く異なるものの、オバマ氏のように、米国を弱体化してしまうかもしれません。
TPPに何が何でも反対の民進党は、TPPが発効するかしないかは別にして、TPPを政争の道具に使う民進党は、いずれ日本はRCEPに参加すべきであると主張することでしょう。

RCEPといえば、中国のリーダーの下での国際ブラック分業体制ともいえます。まさに、蓮舫氏の考えに沿っているかもしれません。



しかし、RCEPは、AIIBと同じくまともに機能しない事が考えられます。なぜなら、トランプ氏は、中国製品に対して45%程度の関税をかけるとしています。そのトランプ氏がRCEPに対して、何もせずに見過ごすことなど、考えられません。おそらく、トランプ氏は同一経済圏であるRCEPにも45%程度の関税をかけることでしょう。

そうなれば、RCEPに参加する国は一気に減少することでしょう。TPPが仮に頓挫したにしても、中国にとっては、良いことはないのです。

それよりも、何よりもTPPなどで論議を重ね粘り強い交渉を続けてきて、本来TPPを主導する立場であった日本の交渉団がRCEPの交渉をはじめたら、中国代表団は太刀打ちできないでしょう。いずれ、習近平もしくは、中国次期主席は、RCEPを離脱するかもしれません。

トランプ氏や日本の自由貿易交渉団を甘く見るべきではありません。TPPやRCEPに対する見立ては、民進党も蓮舫氏もまだまだ甘いようです。まさに、世界は蓮舫氏の潜在意識や妄想の通りにはならないのです。

蓮舫氏国会であのような質問を繰り返すうちに、期せずして、与党の応援団になっています。民進党蓮舫代表ある限り安倍自民党は安泰のようです。

【私の論評】

蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!

【スクープ最前線】トランプ氏が中国制圧決意、「通貨・貿易戦争」辞さず 安倍首相初会談の核心―【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?

蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!



2016年11月25日金曜日

【痛快!テキサス親父】韓国の大規模集会、親北朝鮮勢力のにおいプンプンしてくるぜ 統一プラカードに同じ言葉―【私の論評】単純に朴槿恵辞任が正義と語る奴らは、北朝鮮スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!

【痛快!テキサス親父】韓国の大規模集会、親北朝鮮勢力のにおいプンプンしてくるぜ 統一プラカードに同じ言葉

「朴槿恵退陣」のプラカードを手にソウルのデモに集まった人々
写真はブログ管理人挿入以下同じ
ハ~イ! みなさん。

あの韓国が大変らしいな。朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友による国政介入疑惑など、スキャンダルが続出して、ソウルでは4週連続で、朴氏退陣を求める大規模集会が開かれているそうじゃないか。

韓国には「川に落ちた犬は、棒でたたけ」という諺(ことわざ)があるそうだ。動物愛護団体が激怒しそうだぜ。支持率が限りなくゼロに近い朴氏を引きずり下ろし、二度とはい上がってこないように、みんなでたたいているんだろう。

大体、韓国の歴代大統領の多くは任期途中や退任後に、亡命や暗殺、投獄、自殺など過酷な運命にさらされている。先進国じゃ考えられないよな。穏やかじゃないぜ。

ネットを検索していたら、大規模集会について「韓国内の親北朝鮮勢力が扇動した可能性がある」という分析が載っていた。確かに、北朝鮮は多数の工作員を韓国国内に送り込んでいると聞いたことがあるぜ。

加えて、参加者が掲げていた「統一されたプラカード」を見て、「それはあり得るかもな」と思った。同じ色のボードに、同じ言葉が書かれ、みんなが一斉に掲げていた。あの姿は中国や北朝鮮の「マスゲーム」を連想させる。自由主義国家ではなく、全体主義国家の臭いがプンプンしてくるぜ。

韓国で行われる集会やデモでは、何万人もの参加者に帽子やハチマキなどが配られることもあるという。これが意味するものは、「扇動者と資金提供者がいる可能性が高い」ということだ。いわゆるキャンペーンだな。

米国の反トランプデモ

米国でもデモや集会はある。最近でも、ドナルド・トランプ次期大統領に対する抗議デモが全米各地で起きていた。ただ、ほとんどの場合、参加者がそれぞれ、思い思いの言葉を段ボールなどに手書きして掲げている。時々、暴力行為に及ぶひどい輩もいるが、組織だった行為は少ない。これは米国の自由主義の影響だろうな。

ほかの国ではどうなのかと、ネット上で「demonstration」(=示威運動)や、「protest」(=抗議者)などの単語で画像検索をしてみた。すると、世界各国のデモの大半は、米国と同じスタイルだったぜ。

日本の友人によると、日本でも特定政党が関わる「反基地」「反原発」「反安倍政権」のデモでは、同じような光景が見られると聞いた。全体主義勢力の影響があるのかもしれないな。

親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。全体主義国家や勢力による分断・弱体化工作に十分気をつけてくれ。

では、また会おう!

 ■トニー・マラーノ 

【私の論評】単純に朴槿恵辞任が正義と語る奴らは、北朝鮮スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!

トニー・マラーノ氏

トニー・マラーノ氏は米国人であり、日本には何度か着たことはありますが、やはり韓国の状況に関しては、あまり知らないというのが実情なのだと思います。しかしながら、普段は米国にいながらも、ブログ冒頭の記事のような分析をしています。

彼の分析を一言で表わせば「朴槿恵辞任デモを繰り広げる連中の背後には親北朝鮮の勢力が関係しているらしいという」ということです。そうして、この分析は正しいです。

ただし、「らしい」のではなく、デモを繰り広げる連中の背後には間違いなく、直接であれ、間接であれ親北朝鮮の勢力が関係しています。

それに関しては、つい最近もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンク以下に掲載します。
東京基督教大学教授・西岡力氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では西岡氏の以下の主張を掲載しました。
朴槿恵大統領スキャンダルに関する大量の報道は、重要な2つの論点を欠落させている。 
第1に大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えられていない。 
第2に半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどない。 
その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が分からない。
 そうして、この主張に呼応して、私自身の意見ものべました。

私の意見としては、上の記事でトニー・マラーノ氏も述べているように、朴槿恵大統領のスキャンダルのみならず、韓国の歴代大統領の多くは任期途中や退任後に、亡命や暗殺、投獄、自殺など過酷な運命にさらされています。

とにかく、大統領をめぐっては何度も問題がおこつているわけです。であれば、大統領制によ統治のシステムに何か根本的な問題がはるはずです。このように、何度も同じような問題が発生するということは、最早朴槿恵氏個人の倫理的な問題ではなく、システムの問題であり、このシステムを変えないかぎり、これからも何度も同じことが発生し、問題の根本的解決にはなりません。

だから、統治のシステムの改善・改革が必要であるというのが私の主張でした。そうして、大統領制による統治のシステムを些細に分析すれば、当然のことながら、西岡氏の主張するような問題も明らかになり、それに対処することにもなったはずです。

しかし、朴槿恵辞任要求デモでは、このような問題を一切ふれず、ただただ問題を朴槿恵氏の倫理的な問題に絞り、退陣を要求するばかりです。

親北朝鮮派にすれば、システムの改善・改革などやってもらいたくないのでしょう、そうなれば、自分たちの存在がクローズアップされることにもなります。そうして、システムに北朝鮮の浸透を防ぐような、サブシステムが組み入れられかねません。

そんなことより、彼らは、とにかく朴槿恵を辞任に追い込み与党を弱体化させ、あわよくば次の大統領選挙で、新北朝鮮派の大統領を当選させ、自分たちの勢力を拡大させ、最終的には韓国を事実上北朝鮮の影響下に置きたいというのが真の目的です。

さてこの状況に関して、ランダムヨーコさんも、非常に興味深い見解を動画で述べていました。その動画を以下に掲載します。



詳細はこの動画をご覧いただくものとして、この動画でランダムヨーコさんは、もし親北朝鮮政権が、韓国に成立した場合、西岡氏も述べているように、アジアはかなり不安定になるし、さらに反日的になるとしています。そうして、朴槿恵政権は北に関しては、かなり厳しくやってきており、親北朝鮮などよりはるかにましであるとしています。

トランプ氏を応援し、バイリンガル保守としても有名なランダムヨーコさん
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する弾劾の動きが加速する中、弾劾による大統領権限停止の際に国政のかじ取りを代行する黄教安(ファン・ギョアン)首相です。

韓国憲法は「大統領が職務を遂行できない場合、首相が権限を代行する」と規定。朴氏への弾劾訴追が国会で成立すれば黄氏が代行することになるのですが、重要な人事案や協定締結など、国益に関わる課題までは踏み込めないとみられている。

しかし、黄氏は「骨の髄まで朴氏側の人間」(韓国紙)とされています。検察出身で首相の前は法相を務めました。

黄氏は、「骨の髄まで朴氏側の人間」ということですから、北に対しても厳しい態度をとる事が期待できます。

いずにせよ、韓国は朴槿恵の辞任など当面は棚上げして、私が主張したように、大統領による統治システムの問題を明らかにし、それを改革・改善し、その後に朴槿恵氏の処分を決めるようにして、親北朝鮮勢力の大統領などができるようなことを極力防いでいただきたいものです。

それにしても、左下の韓国メディアも日本メディアも本当にこういった視点からの報道は全くしません。実際、彼らは相当の馬鹿か、北朝鮮のスパイのいずれかです。

とにかく、単純に朴槿恵辞任が正義と語る奴らは、スパイか馬鹿のいずれかとみるべきです。

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2016年11月24日木曜日

【スクープ最前線】トランプ氏が中国制圧決意、「通貨・貿易戦争」辞さず 安倍首相初会談の核心―【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?


トランプ氏は、国防長官に「対中強硬派」で「狂犬」との異名を持つジェームズ・マティス
元中央軍司令官(中)を検討している。右端はマイク・ペンス次期副大統領
ドナルド・トランプ次期米国大統領の真意をめぐり、世界が動揺している。各国首脳に先駆けて、安倍晋三首相が17日(日本時間18日)、米ニューヨークの「トランプタワー」で初会談したが、核心的部分が伝わってこないからだ。こうしたなか、米情報当局者の間で「トランプ氏が対中強硬方針を決断したようだ」という情報が広がっている。習近平国家主席率いる中国は孤立化するのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

「先週末以降、各国情報機関が慌ただしい。『トランプ氏が、中国との激突も辞さない強硬政策を決断した』『安倍首相にも協力を求めたようだ』という極秘情報が流れているからだ」

旧知の米情報当局関係者はこう語った。

世界が注目した会談後、安倍首相は記者団に「胸襟を開いて率直な話ができた」「トランプ氏は信頼できる指導者だと確信した」と発言した。トランプ氏も自身のフェイスブックに、ツーショット写真をアップし、「素晴らしい友好関係を始めることができてうれしい」とコメントした。

米政府関係者が次のようにいう。

「会談は大成功だ。2人は意気投合し、『ゴルフ外交』の調整も進めている。トランプ氏には就任直後、世界の首脳が電話で祝意を伝えて会談を求めた。だが、『会おう!』と即決したのは安倍首相だけだ。日本を重視しているのが分かる。問題は、安倍首相が『話すことは控えたい』とした会談の中身だ」

私(加賀)は冒頭で「トランプ氏の対中強硬方針決断」情報を報告した。各国情報機関は、これこそが「会談の核心だ」とみている。

トランプ氏は選挙期間中、日本やドイツも批判していたが、一番激しく攻撃していたのは中国だ。彼は以前から「アンチ・チャイナ」を前面に出していた。

 いわく、「大統領就任初日に中国を『為替操作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ海で米軍の存在感を高める」…。

 まさに、中国との「通貨戦争」「貿易戦争」「全面衝突」すら辞さない決意表明ではないか。

 重大な情報がある。なぜ、トランプ氏が大統領選で逆転勝利できたのか。なぜ、ヒラリー・クリントン前国務長官が敗北したのか。カギは中国だった。国防総省と軍、FBI(連邦捜査局)周辺が動いたという。

 以下、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報だ。

 「国防総省と軍は、オバマ政権の『対中腰抜け政策』に激怒していた。彼らは常に、南シナ海や東シナ海で、中国への強硬策を進言してきたが、オバマ政権は口だけで逃げた。米国のアジアでの威信は地に落ち、混乱した。オバマ政治を継続するヒラリー氏は容認できなかった」

 ヒラリー氏は12日、敗北の原因を「FBIのジェームズ・コミー長官のせいだ」と非難した。コミー氏は、ヒラリー氏の「私用メール」問題で、投票直前に議会に捜査再開の書簡を送り、10日後には「不正はなかった」との書簡を送って、ヒラリー氏の勢いを止めた。裏で何があったのか。

 「FBI内部では『なぜ、ヒラリー氏を起訴しないのか』という不満が爆発していた。『私用メール』問題は、巨額の資金集めが指摘されたクリントン財団の疑惑に直結する。クリントン夫妻は中国に極めて近い。FBIは国防総省と同様、『ヒラリー氏はノー』だった。コミー氏は国防総省にも通じるロッキード・マーチンの役員なども務めていた」

 そして、情報はこう続いている。

 「トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領との連携も検討している。これが実現すると、シリア内戦をめぐる米露対決は解消し、過激派組織『イスラム国』(IS)掃討作戦で結束できる。中東情勢を改善させ、米軍を南・東シナ海に集中させる計画も立てている」

 こうした中での、安倍-トランプ会談だったのだ。

 中国外務省の耿爽副報道局長は18日の記者会見で、具体的な会談内容は不明としつつも、国家間の協力が「第三者の利益を毀損してはならない」といい、自国への影響を牽制(けんせい)した。

 笑止千万だ。国際法を無視した自国の暴走を棚に上げて、何をいっているのか。明らかに、中国がトランプ氏の一挙一動に震えている。

 トランプ氏は今後、軍事費を約300億ドル(約3兆3237億円)増額させ、米軍の大増強を図る。日本などの同盟国には「負担増」と「役割増」を求めるとされる。

 米国が劇的に変わるのは間違いない。日本も覚悟と責任が求められる。だが、自国と世界の平和と繁栄を守るため、怯(ひる)んではならない。 

 ■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。

加賀孝英氏

【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?

トランプ氏と安倍総理との会談に関しては、トランプ氏がまだ大統領でもなく、現状では一私人に過ぎないことから、この会談の内容は安倍総理自身も語っていたように、これを表に出すことはできません。だから、ブログ冒頭の記事は、加賀氏の会談の核心が「トランプ氏の対中強硬方針決断」だったかどうかは、あくまでも加賀氏の推測に過ぎないわけです。

しかし、これが会談の核心であった可能性は高いですし、中国外務省の耿爽副報道局長が、国家間の協力が「第三者の利益を毀損してはならない」と語っていることから見ても、会談ではこのような話もあった可能性が高いですし、少なくとも中国に対する牽制について話がでたと中国側に思わせたのは間違いありません。

ブログ冒頭の記事では、加賀氏が「トランプ氏が大統領選で逆転勝利できたのか。なぜ、ヒラリー・クリントン前国務長官が敗北したのか。カギは中国だった。国防総省と軍、FBI(連邦捜査局)周辺が動いたという」としていて、その内容を記載していますが、ここで触れられていない内容で、保守派を激怒させたのは、やはりヘーゲル国防長官の解任だったと思います。


オバマ大統領とヘーゲル国防長官
オバマ米大統領は2014年11月24日、ヘーゲル米国防長官の辞任を発表しました。イラク情勢やシリア政策を巡るオバマ氏側との意見の対立が背景にありました。オバマ政権で国防長官の辞任は3人目となる異例の事態でした。

この年の11月4日の米中間選挙で民主党が大敗した後の閣僚辞任は初めてでした。後任は未定。ヘーゲル氏は決まるまで職務を続けました。オバマ氏はヘーゲル氏の辞任について「難しい決断だった」と語っていましたた。

ヘーゲル氏は共和党出身で2013年2月、オバマ政権2期目の目玉閣僚として迎えられました。オバマ大統領としては、ブッシュ政権下の共和党に所属しながらイラク戦争に反対したヘーゲル氏をテコに超党派の政策を進める狙いでした。

オバマ氏は2013年、ヘーゲル氏が進言したシリアへの軍事介入を土壇場で見送る一方で、 2014年にはライス大統領補佐官(国家安全保障担当)らの求めに応じてシリア領の過激派「イスラム国」への空爆を決断しました。こうした経緯にヘーゲル氏は不満を強め、ホワイトハウスとの不協和音が伝えられていました。

ヘーゲル氏はライス氏にシリア政策の「整合性がとれない」との趣旨の書簡を送り、ライス氏が退かなければ自らの辞任も覚悟した行動に出たのです。オバマ氏がライス氏の交代に動く気配はなく、最終的に辞任を決断しました。

そうして、ヘーゲル氏の辞任劇につながったのは、シリア政策だけではなく、ウクライナ問題での対ロシア政策、南シナ海、東シナ海での中国の強硬路線に対する政策に関しても、煮え切らない及び腰のオバマ大統領に対して保守派の不満は最高潮に達していたことでしょう。

ヘーゲル長官の事実上のオバマ大統領による解任は、保守派を激怒させたものと思います。この時点で、もう保守派はオバマは大統領としてはふさわしくないとの烙印を押していたものと思います。

そうして、このことが、後のトランプ旋風の遠因となったのは、間違いないものと思います。ヒラリー・クリントンが大統領になれば、オバマ氏の及び腰が継承され、とんでもないことになるという危機感が多数の保守派に共有され、大きな力となったのです。

だからこそ、かなり危機感を抱いた国防総省と軍、FBI(連邦捜査局)の保守派の周辺が動き、トランプ氏が大統領選勝利への大きな原動力となったのです。

このような背景でトランプ氏が大統領選に勝利し、非公式といえ日本のトップである安倍総理と会談したわけですから、中国をはじめとした世界各国からみれば、当然のことながら、トランプ氏は「対中強硬路線」をとると見るのが当然のことです。

さて、トランプ氏は大統領就任時にTPPから離脱すると宣言しました。


そうして、このトランプ氏の宣言に呼応したかのごとく、中国の国営英字紙チャイナ・デーリーは15日付の社説で、米国のトランプ次期政権は中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への支持を検討すべきとの見解を示しました。

同紙は「中国政府は当然ながら、排他的で経済的に非効率かつ政治的対立をあおる環太平洋連携協定(TPP)が実現する可能性が日増しに低下していることに安心している」とした上で、「米次期政権は、より開かれた、包括的なRCEPが米国の利益の追求する上ではるかに効率的な枠組みになることを認識すべき」と指摘しました。

米国はRCEPに参加していません。

一方、米国のオバマ現大統領が推進してきたTPPに中国は参加していません。米国は中国よりも先にアジアの貿易協定を定め、アジアで経済的主導権を握ることを目指していました。しかし、トランプ氏はTPPから脱退すると表明しているほか、来年1月までのオバマ大統領の任期中に議会で承認される可能性はほとんどなくなりました。

RCEP参加国には東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国に加え、中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドが含まれるが、現段階ではTPPほど高度な貿易自由化は可能となっていません。

TPPに反対して、「TPP亡国論」を叫んでいた連中や民進党などのTPPを政争の道具に使おうとする連中は、日本が、中国のリーダーの下での国際ブラック分業体制ともいえる、RCEPには加入するか、米国の二国間での重商主義的な交渉に挑むことを主張しはじめるかもしれません。


さて、米国との二国間の重商主義的な交渉は日本にとっては、あまり良いことはないです。その事例として、2012年に発効した米韓FTAを例に出します。TPPのお手本とされたこの協定は再交渉で誕生しました。

ブッシュ政権時代に最初の協定が決まったのですが、08年の大統領選に出馬したオバマは「米国の利益を損なう」と反対しました。当選後、再交渉となり韓国に厳しい内容になりました。

北朝鮮と対峙する韓国は米軍の支援を抜きに安全保障を維持できず、隣接する中国との関係からも米国の後ろ盾を必要とします。当時の李明博大統領は米国の要求を呑まざるを得なかったようです。再協議は秘密交渉で行われ、膨大な協定の中身は国会で十分な周知がないまま決まってしまいました。

韓国は不平等協定を呑まされたようなものです。以下の様な不平等な点があります。

 ◎韓国サービス市場の例外品目以外の全面開放
 ◎仮にまたぞろ狂牛病が発生しても米国産牛肉の禁輸措置を韓国はとれない
 ◎韓国が他国とのFTAで相手国に認めた有利な条件は米国にも適用
 ◎米国産自動車の売上げが落ちれば米国の自動車輸入関税2・5%は復活
 ◎韓国で損害が出た米国企業は米国でのみ裁判を行う
 ◎韓国で利益が出ない米国企業に代わって米国政府が国際機関に韓国政府を提訴出来る
 ◎米国企業の韓国法人には韓国の法律を適用させない
 ◎知的財産権の管理は米国がする
 ◎韓国公営事業の民営化(市場開放の追加もある

さて、TPPの焦点のひとつに薬価がありました。日本は米国に次ぐ巨大市場です。日米二国間交渉となれば、薬価を高値に維持する特許期間の延長が協議されることになるでしょう。

TPP交渉では、日本の製薬会社も「特許期間が8年では短すぎる」としていました。TPPでは途上国が短縮を求め押し切って8年になったのですが、日米二国間協議には当然のことながら、途上国はいません。日本は、TPP交渉ではかなり粘りました。このように粘ったのは、日本側の努力もあるのですが、やはり多国間交渉であったという側面もあります。

FTAでは、薬価の決め方も米国は突いてくることが予想されます。TPP協定付属文書に「医療品及び医療機器に関する透明性及び手続きの公正な実施」という規定が盛られたました。当たり前のことが書かれているように見えるのですが、キーワードは「透明性」と「公正」です。

2011年の日米経済調和対話で「利害関係者に対する審議会の開放性に関わる要件を厳格化し、審議会の透明性と包括性を向上させる」という項目が入りました。審議会とは厚労省の中央社会保険医療協議会。実務を担う薬価専門部会に米国製薬企業の代表を加えろ、と米国は要求しています。

遺伝子技術の進歩で画期的なバイオ新薬がぞくぞくと登場したのですが価格がバカ高いです。小野薬品工業のがん治療薬オプジーボは、患者一人に年間3500万円がかかります。健康保険が適用されるが財政負担が問題となり、来年から薬価が半額になることが決まりました。

米国の製剤会社は日本の国民皆保険でバイオ製剤を売りたがっています。新薬認可や保険適応を円滑に進めるため、決定過程に入れろ、と圧力をかけています。高額薬品をどんどん入れれば財政がパンクし国民皆保険が危うくなりかねません。


米国は国民皆保険がないため、病院に行けない医療難民がたくさんいます。オバマケアで最低限の保険制度を作る試みが始まったのですが財政負担が嵩み、金持ちや共和党が目の敵にしています。トランプは「撤回」を視野に再検討する構えです。米国の製薬企業は、日本の皆保険は新薬の巨大市場と見ています。世界一薬価が高く政治力のある米国資本が薬価決定に参入すれば、日本の薬価はどうなることでしょう。

こうした問題は日米二国間交渉の一端でしかありません。TPPではなく、二国間協議に移ればなおさらこのような問題がでてくるのは日を見るより明らかです。多国間交渉である、TPPであれば、多く国々が参加していることから、米国一国だけが有利になるようなことは考えられないですが、二国間交渉になれば、それこそ重商主義立場から、米国の有利な内容になりかねません。

ちなみに、重商主義(じゅうしょうしゅぎ、英: mercantilism、マーカンティリズム)とは、貿易などを通じて貴金属や貨幣を蓄積することにより、国富を増すことを目指す経済思想や経済政策の総称のことです。

本来米国主導であるはずの、「TPP離脱」に、呆れている場合ではありません。米国企業はしたたかです。このような企業の強力な後押しもあることから、トランプ氏としては、TPP 離脱を決意したものと思います。しかし、それが必ずしも米国の国益につながるとは限らないのです。

米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は16日公表した年次報告書で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効せず、中国や日本などが交渉している東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が発効した場合、中国に880億ドル(約9兆6千億円)の経済効果をもたらすとの試算を紹介しました。


報告書は、オバマ米政権のアジア重視戦略「リバランス」で、TPP構想は経済面での中核をなすとみられていると指摘。中国への警戒感を強めているトランプ次期大統領はTPP脱退を主張しているのですが、報告書はTPP脱退が逆に中国の立場を強めると警告した形です。

RCEP交渉には日中両国のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国などを加えた計16カ国が参加。TPPが発効した場合も、RCEPが発効すれば中国に720億ドルの経済効果があると試算。TPPが発効して、RCEPが発効しなかった場合には、中国の経済損失は220億ドルに上るとしました。

日本としては、TPPの米国離脱を阻止するのが当然です。何とか安倍総理の説得によって、踏みとどまっていただきたいものです。トランプ氏は、もともと企業経営者ですから、経営者の立場にたって、米国企業が儲けやすい体制を築きたいと思うのは無理もないのかもしれません。

しかし、米国企業の儲け、それも一部の企業の儲けそのものが、米国の国益にかなうことばかりではありません。場合によっては、著しく国益を毀損することだってあり得るのです。そのことに気づいて、トランプ氏が大統領就任時にTPPの再交渉を宣言するなら、かなりみどころがあると思いますし、大統領としてもうまくやっていけるかもしれません。

しかし、TPPに関する考え方がこのような状況ですから、威勢の良いことは言っていますがトランプ氏も意外と、方法は全く異なるものの、オバマ氏のように、米国を弱体化してしまうかもしれません。

そのようなことになれば、日本にとっても脅威です。たとえ、米国が衰退するにしても、日本がそれに引きずり込まれて弱体化してしまっては、中国の思う壺です。

安全保障面でも、経済でも、日本は日本の国益にあった独自の道を選択すべきです。そのためには、TPPが発効しないというのなら、RCEPからは脱退、米国とのFTA交渉もしない方針で臨むべきです。そうして、安全保障の面でも、日本独自の路線を歩めるように準備をすべきです。

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2016年11月23日水曜日

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力―【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力

東京基督教大学教授・西岡力氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 韓国の自由民主主義体制が揺れている。親北左派政権が誕生し、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もゼロではない。

 ≪本質を欠く朴スキャンダル報道≫

 朴槿恵大統領スキャンダルに関する大量の報道は、重要な2つの論点を欠落させている。第1に大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えられていない。第2に半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどない。その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が分からない。

 第1の点から論じよう。2015年11月に、過激な反体制運動を行ってきた労組である全国民主労働組合総連盟(民主労総)や、農民団体など50以上が集まって「民衆総決起闘争本部」が結成された。国家保安法に基づき「利敵団体」と規定された北朝鮮とつながる3つの極左団体「祖国統一汎民族連合南側本部」「民族自主平和統一中央会議」「民主民生平和統一主権連帯」が含まれている。

その「民衆総決起闘争本部」が今年のデモを計画していたところ、崔順実スキャンダルが発覚したため急遽(きゅうきょ)、鉄パイプなどを使わないソフト路線に切り替えて、10月29日から毎週土曜日に集会とデモを行っている。11月12日と19日の集会とデモは「朴槿恵政権退陣非常国民運動」が主催したが、前記闘争本部に「参与連帯」「民主社会のための弁護士会(民弁)」「韓国女性団体連合」「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」など1500団体が加わった連合組織だ。特記すべきは、野党はそこに入っていないということだ。

 私が現場で取材した12日の集会でも、参加した野党の幹部や次期大統領有力候補らは司会者が名前を紹介しただけで、壇上にあがって演説することはなかった。壇上で演説したのは、挺対協女性代表、「416の約束(セウォル号事件)国民連帯」女性活動家、ソウル大学病院女性労組員、民弁弁護士などで、崔順実問題についてはほとんど言及せず、朴槿恵政権の対日外交、経済政策などを取り上げて激しい糾弾演説を行った。

 ≪左に偏った半島の政治勢力≫

 「朴槿恵は下野せよ、朴槿恵を下獄させよ」というフレーズが繰り返し出てくる集会の主題歌「これが国か」を作詞・作曲した尹ミンソク氏は、1992年に北朝鮮工作員が作った地下党の傘下組織に加入し、金日成を称(たた)える歌を作ったことをはじめ、これまで4回、国家保安法違反で逮捕された親北活動家である。

尹ミンソク
 半島全体の政治勢力の配置を概観すると、一番左端に金一家の世襲独裁政権がある。国連人権理事会調査委員会はこの政権はヒトラーやポル・ポトに匹敵する「人道に対する罪」を犯していると指摘した。その独裁政権は官営媒体やネットサイトを使って「朴槿恵退陣闘争を進めよ」と煽(あお)っている。

 闘争本部はそのすぐ隣あたりに位置する。運動方針が北朝鮮の煽動(せんどう)とほぼ一致している。なお昨年1月には北朝鮮系ネットサイトで崔順実被告と朴槿恵大統領の関係についての「白書」が公開されていた。

 野党は闘争本部よりは少し右だが親北であることは間違いない。第1野党の文在寅前代表は盧武鉉政権で大統領秘書室長をしていたとき、国連北朝鮮人権決議に賛成してもよいかと北朝鮮に事前に問い合わせ、否定的回答があったので棄権させたという。当時の外相が最近出した回顧録で暴露した。

 第2野党の幹部、朴智元氏は金大中政権時代、南北首脳会談実現の対価として4億5千万ドルの外貨を北朝鮮に送金した事件で逮捕され、実刑判決を受けている。

 ≪自由民主主義を守れるかが焦点≫

 その少し右に与党セヌリ党が位置するが、親朴槿恵派と非朴槿恵派に割れ、内紛を繰り返して4月の総選挙で敗北した。その右に退役軍人や教会などを背景にする保守勢力が配置される。

 保守系有力新聞の朝鮮日報や三星財閥系の中央日報などが左派新聞と競うように暴露合戦を続け、国民の大部分が朴槿恵大統領への失望と怒りを募らせたことは確かだ。しかし、朴槿恵政権がこの間、北朝鮮と国内の親北左派に対して毅然(きぜん)たる対応をとってきたことは保守派から評価されている。

 19日のデモは12日に比べて動員が落ちた。数万人のデモ隊が大統領官邸を囲む中で大統領が辞任を強制されるという「革命的状況」はほぼなくなった。今後は憲法秩序の下で、特別検事の捜査と国会での弾劾審議が進むだろう。

 その間に保守陣営が、朴槿恵大統領の崔順実被告との非正常な関係は批判するが、政権の保守的政策は維持発展させるという立場を整理できるかが勝負だ。それができれば、落ち着きを取り戻した国民に親北左派か自由民主主義派かという選択を示して次期大統領選挙で勝てる可能性も十分ある。焦点は親北左派が政権を握ることを韓国の保守が阻止できるかだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおか つとむ)

【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

韓国では、日々北朝鮮からの浸透の脅威にさらされています。北朝鮮と韓国は国境を接しており、様々な方法をつかって、北朝鮮の工作員が韓国に侵入し、ことあるごとに政府転覆工作を図っています。

過去においては、北朝鮮の指令を受ける地下党組織員出身の韓明淑、金正日の海外秘密資金口座へ4億5000万ドルを不法送金した事件の主謀者の朴智元、左翼革命資金を用意するための強盗傷害犯だった李学永(写真下)が民主統合党の議員として国会に入っていました。

李学永
彼らが歌う党歌は、スパイ事件連累者が作詞し、金日成称賛歌の作曲家が曲を作っていました。韓国マスコミは、このような驚天動地の事実を韓国の国民に知らせてきませんでした。

にもかかわらず、「国民の知る権利」云々する民主党出入り記者たちは記者に偽装した工作員かもしれません。 韓国では、個人的な信念のために事実を隠蔽する者らは地位の上下を問わず、マスコミから追放してこそメディア界が浄化されるとの声が高まっていました。

ジョージ・オーウェルは、「1足す1は2だと言える体制は自由が護れる」と言いましたが、そういう言論の自由を与えても偏向した北の体制に売り払ってしまう記者たちが韓国の自由主義体制を崩壊させることにもなりかねません。韓国の多くの記者たちは「自由の敵」なのです。
李哲禹
民主統合党の党歌が独裁者称賛歌のブログ冒頭の記事にもでてきた、作曲家尹ミンソク、によって作曲された事実を故意に黙殺する記者たちは民主統合党や党歌の作詞家李哲禹(写真上)、や作曲家と理念的な同志なのでしょうか? それとも左翼が怖くて彼らに不利な記事は国民に知らせないのでしょうか? まさに、「党歌事件」は韓国のマスコミの左傾化を告発する事件だったのです。

以上のように韓国マスコミは左傾化しています。だからこそ、ブログ冒頭の西岡氏がかたるように、韓国のマスコミは、朴槿恵大統領スキャンダル報道をするにしても、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えていないし、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどないのです。

その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が韓国民も分からないのです。

そうして、日本のマスコミは、左傾化した韓国マスコミの内容を日本国内で垂れ流すのみです。そうして、この構造は次期米国大統領トランプ氏の報道においても同じ構造でした。

このブログに何度か掲載してきたように、米国のマスコミは、リベラル・左派系が90%を占めており、保守系マスコミは10%を占めるに過ぎず、保守系が何かを主張しても、リベラル・左派系の大声によってかき消されるというのが実体でした。

この構造を脇に置いたとしても、韓国・日本のメディアには大問題があります。それについては、このブログにも最近掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは―【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!
朴槿恵大統領の辞任を求めるデモ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、韓国においては過去に何度となく、大統領が海外逃亡をしたり、暗殺されたり、自殺したり、不正に関わっていたことがあることを掲載しました。

これだけ不祥事がつづているわけですから、韓国の大統領による統治のシステムは、欠陥があるとみて間違いありません。であれば、朴槿恵大統領のみを主に倫理的な観点から追求していたとしても問題は解決しないはずです。

これは、最早個人の問題ではなく、システムの問題なのです。であれば、大統領制による統治のシステムの問題点を改善したり、改革したりすることが、問題の根本的な解決になるはずです。

18日、米華字メディア・多維網は記事「THAAD配備に訪日、朴槿恵大統領の頼みの綱とは」を
掲載した。死に体と揶揄される朴槿惠大統領だが、THAAD配備や日本とのGSOMIA締結など
外交については着々と業務を進めている。資料写真。
しかし、韓国では、もっぱら朴槿恵氏自身の倫理的側面が追求されるのみです。これでは、全く何の解決にもならないどころか、北朝鮮側に朴槿恵スキャンダルを利用され、それこそ、西岡氏が主張するように、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もでてきます。

もし、韓国メディアや日本メディアなど、韓国の大統領による統治のシステムの問題点を明らかにするという姿勢で臨んでいれば、当然のことながら、その過程で西岡氏が主張しているように、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であり、これに対処する方法をどうすべきかとか、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方ができていたものと思います。

韓国メディアがそのようなことができないにしても、日本のメデイアは本来韓国から少し離れている日本にいるわけですから、記者などに現地取材をさせることをするにしても、もっと違った角度から取材して客観的に報道できたはずです。

しかしながら、米国大統領選挙の報道でも、そのようなことができなかった左下(左傾化しているだけなく、能力が低いということ)のマスコミには、韓国の朴槿恵スキャンダルにおいても、それは不可能なのでしょう。

それにしても、日本の新聞やテレビなどの朴槿恵スキャンダル報道など全く視聴する価値がないどころか、視聴して単純に鵜呑みにしていれば、馬鹿になるだけということは、確かなようです。

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2016年11月22日火曜日

日本の景気は良くなったのか 消費弱くデフレ突入の瀬戸際 財政と金融の再稼働が必要だ―【私の論評】何としてでも、個人消費を改善しなければ、景気は良くならない(゚д゚)!

日本の景気は良くなったのか 消費弱くデフレ突入の瀬戸際 財政と金融の再稼働が必要だ

グラフ、写真、図表はブログ管理人挿入 以下同じ

 今年7~9月期の国内総生産(GDP)1次速報値は、実質季節調整値で前期比0・54%増、年率換算で2・2%増となった。3四半期連続のプラスで、その水準もなかなかのものだ。ただし、その中身をみると喜べない。

 GDPを構成する主要項目別にみると、7~9月期の実質季節調整値で民間消費が前期比0・1%増、民間住宅が2・3%増、民間企業設備が0・03%増、政府最終消費が0・4%増、公的資本形成が0・7%減、輸出が2・0%増、輸入(控除)が0・6%減だった。

 住宅と輸出が伸びたのはよかったが、消費は微増、設備投資は横ばい、政府投資はマイナス、輸入もマイナスと今一歩だ。景気という観点では、消費と設備投資が伸びてこそ、ちゃんと成長しているといえるわけで、現状は不十分だ。

 2014年4月からの消費増税の影響はかなりなくなってきているが、消費の力強さがないために、景気回復はまだしっかりしていない。そうなってくると、設備投資にも慎重になるのはやむをえず、横ばいにとどまった。(注:太字としたのはブログ管理人)

 政府投資も16年度当初予算などを前倒し執行した4~6月期の反動が出て、マイナスになった。内需が弱い反映として輸入のマイナスもある。

 その中で、住宅は、住宅ローン金利の低下が購入を促した形だ。金融機関はマイナス金利に猛反対しているが、内需を増加させるということが示された。

 輸出が増えたのは、GDP統計で輸出に分類される訪日外国人(インバウンド)消費等に支えられたものだ。

 以上のように、個々の項目を見ると、日本の景気が良くなっていると胸を張るのは難しい。

 それにもまして、気になるのがGDPデフレーターの動きだ。GDPデフレーターとは名目GDPから実質GDPを算出するために用いられる物価指数だ。消費者物価と卸売物価を合わせたような性質で、その推移によってデフレ脱却しているかどうかの判断基準にもなる。


 四半期デフレーターの前年同期比をみると、1年前の15年7~9月期からの推移は、1・7%、1・5%、0・9%、0・7%と徐々に低下し、ついには今期は0・1%低下とマイナスになってしまった。

 国内需要デフレーターも1年前からマイナス圏に落ち込んでいる。この数字は1995年頃から、マイナスになっており、これがデフレ転落を示すともいわれていた。

 第2次安倍晋三政権誕生後の2013年当初から急速に上昇し、14年からはプラス圏内で推移していたが、今期は13年10~12月期以来、11期ぶりにマイナスになった。つまり、一時デフレから脱却したかに見えたが、再びデフレ突入の瀬戸際になっているのだ。

 原油価格の下落は言い訳にならない。原油価格下落によって輸入デフレーターが低下するため、逆にGDPデフレーターの上昇要因となるからだ。

 雇用は相変わらず好調だが、GDPについては、積極財政と金融緩和のミックスというアベノミクス再稼働が必要な状況である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】何としてでも、個人消費を改善しなければ、景気は良くならない(゚д゚)!

高橋洋一氏のブログ冒頭の記事において、やはり太字にした部分は、重要です。

 2014年4月からの消費増税の影響はかなりなくなってきているが、消費の力強さがないために、景気回復はまだしっかりしていない。そうなってくると、設備投資にも慎重になるのはやむをえず、横ばいにとどまった。

消費増税の悪影響を如実に示すグラフを以下に掲載します。

この統計は、総務省「家計調査」のなかの一つです。この統計は、全国約9000世帯を対象に、家計簿と同じように購入した品目、値段を詳細に記入させ、毎月集めて集計したものです。


増税から一年半以上たっても消費税引き上げ直後の“反動減”の時期に当たる4月95.5、5月92.5とほとんど変わらない数字です。特に2015年11月は91.8と増税後最悪を更新しました。

増税前後のグラフを見ていただければ、L字型となっていて、数値が底ばい状態であることが判ります。これは反動減などではなく、構造的な減少です。現時点でも、2015年の平均を100とした指数で90台の後半をさまよい続けています。データでみれば一向に個人の消費が上向く兆しはありません。

この構造的な個人消費の低下は、当然のことながら平成14年4月からの消費税増税によるのです。

平成14年3月までは、105円出して買えていたものが増税で108円出さなければ買えなくなりました。その一方で、多くの消費者の給料は消費税増税分をまかなえるほど上昇していません。それは以下のグラフをみてもわかります。


名目賃金は、2013年あたりで下げ止まり、若干上昇傾向です。実質賃金は、2015年あたりで下げ止まり16年からは上昇傾向にはあります。ただし、実質賃金は日銀の金融緩和政策によって、雇用状況が改善して、パート・アルバイトや正社員であっても、比較的賃金の低い若年層が多く雇用されると、一時的に下がります。このグラフだけ見ていていては、現実を認識できません。

そこで、例を挙げると、たとえば昨年2015年の春闘で、日産自動車は大手製造業最高の賃上げを記録しました。そのベースアップ(基本給の賃上げ分)を含む1人当たり平均賃金改定額は1万1千円、年収増加率は3・6%。しかしベースアップ分だけなら、月5千円で、2%を切ります。他にも物価上昇が起きている中で、これでは消費増税増加分すらまかなえません。日産という自動車大手最高の賃上げでもこういう状況でした。

日本中のサラリーマンの給料が実質的に目減りをしたのです。これが2014年4月から続く「消費不況」の大きな原因です。

さらに、あまりにも長く続いたデフレの悪影響で貯蓄率も減っています。以下にそのグラフを掲載します。


これだけ、貯蓄ゼロの世帯が増えると、元々消費を控えているのに、増税されれば、当然のことながら、これらの世帯の人たちは、将来不安で一層消費を控えるようになるでしょう。

上の高橋洋一氏の指摘と、このような統計資料を合わせて考えてみると、どう考えても財政政策として、増税をしたのは全くの間違いです。財政政策として実施するなら、まずは増税などせずに、給付金対策をするとか、あるいは減税などをすべきでした。

8%増税は全くの間違いで、これを放置しておけば、景気は良くなりません。日銀による金融緩和によって、雇用はかなり改善しましたが、これも今のままではいずれ悪くなる可能性もあります。

やはり、高橋洋一氏が上記で指摘したように、GDPについては、積極財政と金融緩和のミックスというアベノミクス再稼働が必要です。それも、貯蓄ゼロの世帯を減らすには、中途半端な政策では成就できないでしょう。

日本のGDPに占める個人消費の割合は、60%でありこれが最大です。これを上昇させないかぎり、GDPは上昇しません。政府、日銀とも、これを伸ばすための政策を実行すべきです。特に、積極財政の緊急度は高いです。何をさておいても、なるべくはやく、大型の積極財政策を打つべきです。

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