2020年11月5日木曜日

【有本香の以読制毒】米大統領選、バイデン票“異常膨張”の混乱横目に中国・習主席「市場開放を進める」 トランプ氏が負ければ日本も世界も中国の軍門に… ―【私の論評】バイデン氏には選挙で負ける以上の、耐え難い屈辱の日々が待っているかもしれない(゚д゚)!

 【有本香の以読制毒】米大統領選、バイデン票“異常膨張”の混乱横目に中国・習主席「市場開放を進める」 トランプ氏が負ければ日本も世界も中国の軍門に… 

激突!米大統領選

バイデン氏

 米大統領選は4日開票が進み、民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が、激戦の「ラストベルト」(=さびた工業地帯)の一角、中西部ウィスコンシン州とミシガン州を制し、優位に立った。ただ、共和党のドナルド・トランプ大統領(74)の陣営は、郵便投票などの不正投票疑惑を指摘しており、ウィスコンシン州では再集計を申し立てる意向で、ミシガン州では集計停止を求めて法廷闘争に着手した。大混乱する米国を横目に、中国共産党政権は「市場開放」を強調したうえ、沖縄県・尖閣諸島周辺に連日のように侵入する中国海警局に外国船への武器使用を認める草案を公開した。日本に求められる覚悟とは。ジャーナリストの有本香氏が人気連載「以読制毒」で迫った。


 これほどメチャクチャな米大統領選を見ることになるとは思わなかった。現在、日本時間5日未明だが、大勢はまだ判明していない。それどころか、まさに混沌の中に入らんとしている。

 そもそも、米民主党が、どう見ても認知能力に問題のあるバイデン氏を候補に立てるしかなかった時点で、嫌な予感はした。「本当に米国民の多数が、この人に『核のボタン』を預けていいと思うのか?」と。

 だが、民主党側はそんな良識などお構いなしだった。

 「トランプ氏を引きずり下ろせるなら、候補者など誰でもいい」と言わんばかりの、手段を選ばないすさまじい攻勢。政策もビジョンも何もないまま、ただただトランプ氏を貶すだけ。これは民主党というより、米国の極左勢力と大メディア、さらにSNS含む主要ネット企業までもが共闘して仕掛けた「仁義なき戦い」だった。

 この戦線になぜか、日本のリベラル気取りのメディア人や学者らが喜んで便乗し、4年前同様、日本の世論を「反トランプ」に誘導せんと励んだ。何とも情けない限りである。

 他方、米国の開票作業のいい加減さ、不明朗にもあきれさせられた。

 トランプ氏が、オハイオ州やフロリダ州、テキサス州を制し、そのまま逃げ切るかと思いきや、日本時間4日夜半から突如、残りの激戦州で相次いでバイデン票が大量に加算される「異常」が起きた。その1つであるミシガン州では、「1ケタ違いのタイプミスでした」と、シラッと修正される。日本では考えられないずさんさだ。

 さらに、バイデン氏がウィスコンシン州を取ったと伝えられた直後、トランプ陣営は同州に票の再集計を求めると報じられ、結果はますます読めなくなっている。

 郵便があてにならない米国で、民主党側が「郵便投票を」と呼びかけ出した時点で、まともな選挙にならないと予想はできた。それにしても、一体どこの途上国かと言いたくなる顛末(てんまつ)だ。

 そんな米国の混乱を見透かしたように、4日夜、中国の習近平国家主席が「国内市場の開放を一層進める」とのビデオ演説をしたと報じられた。

 「バイデン氏が勝てば中国が勝つ。私が勝てば米国が勝つ」

 ■永田町には緊張感なし…

 投票日の2日前、トランプ氏は、ミシガン州での演説でこう訴えたが、この言葉がまさに真実味を帯びてきている。

 トランプ氏は1カ月ほど前、ツイッターに次のような趣旨の書き込みをしていた。

 「私は中国から数十億ドルを奪って、米国の農家と財務省に配った。バイデン氏とハンター氏(=バイデン氏の次男)が勝てば、中国が米国を支配することになる」

 このツイートを読んだとき、筆者は「仮に、トランプ氏が負ければ、日本も、世界も中国の軍門に下っていくことになるだろう」と暗澹(あんたん)たる思いになったものだ。

 こうした状況下にあっても、永田町に緊張感はない。

 予算委員会は案の定、日本学術会議がどうこうとやり合う「高給遊技場」と化している。せめてもの救いは、今回、一般国民が過去になかったほど真剣に、米大統領選の行方をウオッチしていたことだ。政治家も大メディアも当てにならない。かくなる上は、自力で現地情報に触れ、今後のことを考えたいと思う国民が増えたことの証左だ。

 米国でも、大メディアや世論調査の世論誘導に左右されない多くの国民の意思が、トランプ氏の大きな得票数に表れている。

 日米の自立した国民はどこへ向かうべきなのか。その一員を自認する筆者としては、まず立ち向かうべき敵を見間違えないよう肝に銘じたいところである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

【私の論評】バイデン氏には選挙で負ける以上の、耐え難い屈辱の日々が待っているかもしれない(゚д゚)!

日本では、トランプ大統領が米国を分断させたと思い込んでいる人が多いですが、米国でも保守であろうが、リベラルてあろうが、まともな人はそうではないことを知っています。

そもそも米国は当初から分断した国家だったのです。だからこそ、南北戦争が起こったのです。

さらに、「米国ファースト」というキャッチフレーズなどから、米国の孤立主義が懸念されましたが、これも結局間違いでした。考えてみれば、米国大統領が「米国ファースト」というのは当たり前です。米国大統領が「他国ファースト」を唱えれば全く異常です。どの国のリーダーもまずは自国民ファーストです。

「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」とは、鳩山由紀夫 民主党幹事長(当時)が、2009年4月17日に行われたニコニコ生放送において、外国人参政権について質疑応答している最中に口にした発言ですが、このような発言をするリーダーこそ異常です。

トランプ氏との対比から、国際社会を重んじる大統領というイメージが強くなったオバマ前大統領ですが、オバマ氏こそ米国の孤立主義的なスタンスを先鋭化した大統領です。

オバマ氏は、国際社会(欧州社会)から何度も要請を受けたにもかかわらず、頑なにシリア問題への介入を拒んでいました。またオバマ氏は、米国史上最大規模の軍縮を行っており、米軍予算を大幅に縮小しました。米軍の海外展開の象徴のひとつでもあった沖縄の海兵隊を、大量にグアムに撤退させたのもオバマ政権です。

また、日本ではあまり報道されなかったのですが、オバマ政権下では日本に配備する空母の不要論まで飛び出していました。横須賀を母港とする米海軍第7艦隊の主力空母ジョージ・ワシントンは、大規模修繕に入るため米国に戻る予定でしたが、一時は後継の空母を横須賀に配備しないという話が浮上していました。

オバマ氏
最終的にはロナルド・レーガンの配備が決定し、同艦は現在、横須賀に常駐しています。とろで、アジア太平洋地域の地政学に少しでも関心のある人なら、横須賀に空母を配備しないという議論が出たことの重大性を理解できるはずです。これは在日米軍撤退を匂わせたトランプ政権の話ではなくオバマ政権での話です。

つまり米国の「引きこもり」はトランプ氏が思いつきで始めたことではなく、以前からその潮流が出来上がっていたと考えた方が自然です。大統領になりたてのトランプ氏はその流れを継承しようとして、後に誤りだと気づいたということです。

そもそ米国が引きこもりなるための経済的な諸条件はすべて整っていました。米国はシェール革命の結果、サウジアラビアを抜いて世界最大の石油産出国となりました。米国はこの先、エネルギーを外国に頼る必要がまったくなったのです。

しかも世界最大の消費市場を持ち、食糧も自国で生産することができます。高度なITを持ち、圧倒的な規模の金融市場を運営しています。こうした基礎的条件の変化は、確実に米国民の意識を変えているはずであり、それが政治の表舞台に顔を出すことがあるのです。

米国内の対立・分断についても同様です。米国は南北戦争という激しい内戦を行った国であり、公民権運動が盛り上がった1960年代にも、すさまじい対立がありました。

米国は常に分断と融和を繰り返し、変化を遂げてきた国であり、それは政党も同じです。多くの人が民主党はリベラルな政党と思っているようですが、それは党の戦略として、あえてリベラルに舵を切った結果にすぎません。民主党は以前は南部の土地所有者を支持基盤としており、どちらかというと人種差別的であり、共和党の方がむしろ融和的でした。

そうして、米国社会に目を向けると、特にメディアは、大手新聞はすべてリベラル系であり、大手テレビ局はフォックスTVを除きすべてがリベラルです。そのため、社会のあらゆる分野でリベラル系の考え方が主流であり、保守などのリベラル以外の考え方は異端です。

米国社会のほとんどが、リベラル的な考え方が主流とされています。それは、多くの職場でも、役所でも、学校でも同じです。米国にも保守をはじめリベラル以外の人々も大勢いるはずですが、そういう人たちの考え方や、行動、ライフスタイルなどはかき消されてしまうのです。

だから、米国メデイアがトランプ氏に対して否定的であるのは、当然のことなのです。しかも、こうしたリベラル主流の世論が左翼などに利用される場合もおうおうにしてあるのです。

現在はリベラルと目されている、民主党ですが、必ずしもそうとはいえないことは過去に遡ればよくわかります。

たとえば、公民権運動のひとつのきっかけとなった出来事にリトルロック高校事件と呼ばれるものがあります。1954年、黒人と白人の融合教育が進み、南部アーカンソー州リトルロックの公立高校に黒人生徒が登校を開始すると、当時のフォーバス州知事が混乱を避けるとの名目で州兵を学校に送り、事実上、黒人の登校を阻止してしまいました。

これに対して全米から反発の声が上がり、州と連邦政府は対立、最終的には連邦政府が軍をアーカンソー州に派遣するなど、一触即発の状態となりました。この時、しぶしぶながらも連邦軍の派遣を決定したのは、共和党のアイゼンハワー大統領であり、一方、黒人の登校を阻止したフォーバス州知事は民主党です。しかもフォーバス氏は、その後、辞任するどころか、再選を果たし、6期も州知事を務めました。

この事件を見れば、人種差別というものがいかに根深いものであるのかがよく分かります。また、共和党=保守、民主党=リベラルという簡単な図式では判断しない方がよいということも理解できます。ちなみにリトルロックは、民主党のビル・クリントン大統領ゆかりの地です。

米国は当初、白人同士での人種差別(メジャーなアングロ・サクソンに対して、マイノリティであるイタリア系、アイルランド系という図式)が深刻でした。そもそも米国ではイタリア系、アイルランド系が白人とはみなされない時代があったのです。

対立が解消された現在でも、人材登用がオープンな公務員にはアイルランド系やイタリア系が多いなど、かつての時代の名残りがあります。また米国の映画やドラマなどを見るとよく分かlりますが、今でも多少の差別意識は残っていることがわかります。

その後、対立の図式は黒人と白人にシフトし、公民権運動を経て黒人と白人の融和が進みました。現在ではそれがヒスパニック系やイスラム教徒との対立にシフトしていると考えれば、それほど驚くにはあたらないです。

個人的には、多くの対立を経て民主主義を確立してきた歴史を踏まえ、米国が新しい融和社会を構築してくれることを願っていますが、あくまでそれを決めるのは米国人です。ただし、わたしたち日本人は、米国社会には様々な面があり、常に対立で揺れ動いてきた国だという冷静な認識を持つ必要があるでしょう。

単純に米国メディアやそれを受け売りをする日本のメディアみて、トランプ氏のことを米国社会を分断させた、狂ったピエロのように考えるのは完璧な間違いです。

ましてや、大統領選挙の結果に不満を持ち、法廷闘争に持ち込もうとするトランプ氏を一方的に批判するのは間違いです。

バー司法長官は選挙前のCNNのインタビューで「郵便投票は論理的に、不正や強要のリスクが非常に高い。この手法のルールを変更しようとするのは無鉄砲で危険だ。火遊びをするようなものだ」と述べました。

米国のバー司法長官は、不在者投票が潜在的な不正投票の最大の温床と結論付けた連邦選挙改革委員会の2005年の報告書を引き合いに出し「それ以降、新聞やテレビ、学術論文などで不正や強要のリスクがあると言われてきた。こうした指摘が変化したのは、現政権が就任してからだ」と主張しました。

バー長官は、外国政府が投票用紙を偽造する可能性にも言及しました。ただ、そうした動きを示す証拠は確認していないとしました。

ただこうした懸念は的中したようです。激戦州で相次いでバイデン票が大量に加算される「異常」が起きたのです。

冒頭の記事ににも指摘されていた突然大量の票が加算された様子は以下のグラフではっきり分かります。ミシガンでは4日朝7時17分に突然バイデン票がトランプ票に追い付いています。それを示したのが以下のグラフです。


そしてウィスコンシンも6時23分、突然バイデン票が増えて、これまたトランプ票に追い付いてしまいました。


さらに不思議なことがあります。米大統領選挙、激戦州においては、 登録された有権者数よりも 多くの人が投票していることになっています。 余りにも不自然です。


ジョージア州では、登録した人のうち96%が投票したことになっていますが、これはかなり不自然です。独裁国家でもない限り、このようなことにはなりません。多めに見積もっても70%もいけば良い方です。

実際、今回の米大統領選挙の投票率の米メディアによる予想値は、65〜66.9%です。



他の接戦州では、100%を超えています。これではまるで、中国のGDPの統計のようです。中国のGDPは、最近はそのようなことはありませんが、ひところは、国全体のGDPが、全省の合計よりも上回っているということが何度かありました。これは、微博などでも有名になったため、その後改めたようではありません。それ以来中国のGDPは、単なる「政治的メッセージ」とみなされるようになりました。

これは何と言うか、あまりにも解りやすい不正で、露骨すぎます。また、ペンシルベニアでは投票締め切り後の票を締め切り前のものとしてカウントすると、民主党所属の州財務長官が計画し、それを実行したようです。

要するに民主党総出でツイッターなどのSNSも加わっての国家的犯罪の様相を呈してきたのです。誰もが理解できるこれだけ大掛かりな不正となれば、バイデン派でも、トランプ派でもこのからくりを知っている人も多いのでないかと思います。

バイデン派自分たちは不正をしているという負い目もあるし、不正でも勝利しそうなので、そもそも暴動を起こす必要性がないし、トランプ派は不正があまりに明らかなので、自分たちがあえて暴動を起こさなくても、トランプ氏は確実に司法に訴えるだろうし、そうすればかなり勝ち目があるだろうし、わざわざ暴動を起こすまでもないと考えるでしょう。だかこそ暴動騒ぎが起こっていない可能性があります。これからも起こらないかもしれません。

これをトランンプ陣営が見逃す筈は無いですが、民主党というか、これを計画した悪の枢軸は簡単には引き下がらないでしょう。ただし、この悪の枢軸、頭が悪すぎるとみえて、調子に乗りすぎました。要するにやりすぎたのです。中国共産党のようにさじ加減ということを知らない連中のようです。

トランプ陣営からすれば、当初の最悪の想定で進んでいます。 郵便投票と不正投票による混とんをトランプ側はその有効性を認めないでしょう。 まずは、州の再集計結果待ち その上で法廷闘争になる可能性が高いです。

トランプ側はすでに勝利宣言をしていて、これを取り下げないでしょう。勝利宣言の場で不正投票に言及しており、一部の州でそれが確認されています。また、そのような州の多くは最終結果ではないとしており、個別の票の適格性有効性をめぐる審査を要求するものと思われます。

日本の「もりかけ桜」と異なり、これだけの客観的数値的裏付けがあれば、調べれば必ず何かがでてくるでしょう。

バイデン氏には選挙で負ける以上の、耐え難い屈辱の日々が待っているかもしれません。あるいは、バイデンは単なる操り人形で、多くの人が想定している以上に大きな存在が背後で動いている可能性もあります。バイデン氏は思いもかけずに、自ら危険な領域に踏み込んでしまったようです。米司法当局はそこまで踏み込んで欲しいものです。

そうして、米国人にはこうしたマイナスの出来事にひるむことなく、過去の米国のように、米国の政治、米国の選挙方式等に大きな変革を成し遂げていただきたいです。

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2020年11月4日水曜日

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激突!米大統領選

トランプ大統領

 世界が注視する米大統領選は3日夜(日本時間4日午前)投票が締め切られ、開票作業が始まった。世論調査で優勢が伝えられる民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)を、共和党の現職、ドナルド・トランプ大統領(74)が猛追する構図だ。新型コロナウイルス対策の郵便投票が多く、開票作業の遅れが懸念される。こうしたなか、米主要メディアが「報道しない自由」を行使した、バイデン父子の「チャイナ・ゲート」が選挙後も米政界を直撃しそうだという。注目される米連邦捜査局(FBI)の動き。ノンフィクション作家、河添恵子氏の緊急寄稿第25弾。


 「世論調査はあてにならない」との姿勢を貫くトランプ陣営は「大差で勝利する」と意気込み、バイデン陣営は「僅差で勝利」としている。ともかく、米大統領選は大接戦のようだ。

 背景には、日米主要メディアはほとんど報じないが、米紙ニューヨーク・ポストが先月中旬、バイデン氏の次男、ハンター氏が、中国やウクライナ、ロシアなどと不正取引をした疑惑があるとスクープしたことがある。

 衝撃的な報道について、同紙はハンター氏が修理屋に預けたまま引き取らなかったパソコンのハードディスクに残っていた記録に基づくものと説明している。

バイデン親子

 ハードディスクには、バイデン氏の複数の連絡先はもちろん、ビル・クリントン元大統領、ヒラリー・クリントン元国務長官、ナンシー・ペロシ下院議長らを含む、政府高官らの電話番号やメールアドレスのリスト(英紙デーリー・メール報道)や、「中共マネーで送る奔放な性生活」と揶揄(やゆ)されたハンター氏とみられる映像まで含まれていたという。

 膨大な量の電子メールや文書ファイルを分析したIT専門家は「この仕事を20年間してきたが、(ハンター氏の)パソコンとデータが、いかなる方法でも妨害、変更、追加された兆候はない」と述べている。

 皮肉なことに、米主要メディアが沈黙し、交流サイトが拡散を制限したことが、バイデン父子の疑惑をネット上で広め、結果的にトランプ支持者を増やし、最後の追い上げを激しくしたようだ。

 ハンター氏のビジネスパートナーだったトニー・ボブリンスキー氏は先月22日、記者会見を開き、「バイデン氏が、ハンター氏の海外事業について知らないと言うのはウソだ」と証言した。

 ボブリンスキー氏は、ハンター氏とともに、中国共産党や人民解放軍と関係があるエネルギー複合企業「中国華信能源(チャイナ・エナジー)」と共同で設立した合弁会社のCEOを務めた人物である。「ハンター氏は中国華信の常務だった」とも述べている。

 中国華信の葉簡明会長は、世界のVIPに寄り添う「謎の人物」として注目されてきた。米紙ニューヨーク・タイムズは以前、葉氏について、「習近平国家主席が推進する政策に基づき、ビジネスチャンスとしている人物」と指摘した。葉氏自身、「われわれは(中国の巨大経済圏構想)『一帯一路』構想の、最も積極的な実践者だ」と豪語していた。

 葉氏は2年前、表舞台から姿を消した。中国当局の取り調べを受けているとの話も流れた。バイデン父子と深くつながる「チャイナ・ゲート」の鍵となる人物だったからではないのか。

 トランプ氏は先月29日、激戦区であるフロリダ州で行った選挙集会で、「バイデン氏が選出されたら、米国を中国共産党に売り渡す」と演説した。

元ニューヨーク市長 ルドルフ・ジュリアーニ氏

 トランプ氏の個人弁護士である元ニューヨーク市長、ルドルフ・ジュリアーニ氏は「バイデン氏は、中国共産党政府と沖縄県・尖閣諸島に関する交渉を行ったが、その後、中国側のテリトリーが拡大した。中国の銀行からハンター氏関連の口座に大金が振り込まれた」と、ネット番組で証言している。

 ちなみに、ジュリアーニ氏や、スティーブ・バノン元大統領首席戦略官・上級顧問らが推薦する華人ユーチューバーは、ハンター氏のパソコンにあった政府高官らのリストについて、「中国当局に連絡リストを転送できるようにするためだった」と指摘している。

 これらが事実なら、「国家に対する裏切り」と言われても仕方ない。

 米名門紙ボストン・ヘラルドは先月27日、過去16年間の大統領選では中立的な立場をとってきたが、「トランプ氏を支持、バイデン氏の政策は非現実的である」と旗幟(きし)を鮮明にした。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルも1日、「トランプ氏はすでに勝利している」とのタイトルの記事を発表した。

 私の在米の知人も「トランプ人気は非常に高い。バイデン氏はメディアの宣伝工作に支えられている」と語る。両陣営の選挙集会の様子をユーチューブで見れば、大差のアクセス数を含め、知人の言葉が真実を物語っていることは明らかだ。

 バイデン父子は、米国の国家安全保障だけでなく、日本を含めた同盟国も危険にさらす取引に関与していたのか。一連の疑惑について、FBIが捜査中であることも公になっている。ニューヨーク・ポストなどの報道通りなら、バイデン・ファミリーが向かう先は、ホワイトハウスではなく司法の場だ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。2020年、アパ日本再興財団が主催する、第13回「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀藤誠志賞を受賞。著書・共著に『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)、『習近平が隠蔽したコロナの正体』(同)など多数。


【私の論評】バイデン父子は大統領選挙どころでなくなる可能性もでてきた(゚д゚)!

バイデン一家の裏を積極的に暴露したのは元ニューヨーク市長ジュリアーニ氏でした。9月24日のNEWS MAXのインタビューで、彼はバイデン氏のスキャンダルを暴き続けることで身の危険を感じたと述べました。

また、こののインタビューを通して、ジュリアーニ氏がバイデン一家の不正を早くから把握していることもわかります。彼のインタビューは9月24日で、バイデン一家のスキャンダルは10月14日にニューヨーク・ポストによって公開され、それはちょうどジュリアーニ氏が言った「次の3週間」に当てはまりました。

ジュリアーニ氏は米国で有名な政治家であり、大胆な行動派です。彼は1994年から2001年までニューヨーク市長を務め、最も優れた政治的業績の1つは、ニューヨークでの凶悪犯罪を撲滅したことです。



彼が市長に就任するまで、ニューヨーク市の治安は悪く、マフィアが横行していました。連邦検察官兼ニューヨーク市長在任中、ニューヨークの「五大ファミリー」で有名なマフィアのトップを一掃し、ニューヨークの公安状況を一新しました。 9.11事件の中で、彼は市長として高い危機管理の能力を発揮し、卓越した業績と相まって、アメリカ人から「米国市長」の称号を与えられました。

現在、彼はバイデン一家を標的にしていますが、把握した証拠は、クリントン一家や他の著名な米国人家族も含め、3、4、またはそれ以上の家族に及んでいます。

ジュリアーニ氏は10月18日のインタビューで、バイデン氏の息子のパソコンにある、約18,000通のEメールと24,000枚の写真などのデータを分析中で、ハンター氏を有罪にするための十分な証拠を得たと話しました。

それはRICO法案(犯罪組織取締法)によって実現させることができるといいます。過去にも、彼はこのRICO法案を使用して、ニューヨークの5つの主要なマフィアファミリーを取り締まりました。当時状況の裏付けは、約200人のマフィアメンバーの4,000時間の録音記録のみでしたが、現在バイデン氏息子自身のパソコン上の大量の資料のほか、6人のウクライナ人の証人もいます。

ジュリアーニ氏は、バイデン氏が自ら罪を認める時期が来たと述べました。悪の勢力との戦いで卓越した経験を持つジュリアーニ氏は、バイデン氏などの腐敗な政治勢力と戦うに最適な人物だと云えます。

現在、バイデン一家に関するスキャンダルは絶えずほじくり出されています。10月19日、アメリカの保守派作家、ウェイン・ルート氏は、友人がハンター・バイデン氏のパソコンにある衝撃的な動画や画像を見たとツイートし、思春期前の少女との「性行為」は強姦であるとし、動画の中に映ったハンター氏が強姦したのは中国人少女だと明かしました。

ルート氏の友人はジュリアーニ氏と同様に、この動画は中共も所有していることから、中共がバイデン一家を脅迫することは容易であり、決して、バイデン氏を大統領にさせてはいけないと警告しました。

最新情報によると、デラウェアの修理店のオーナーから、ハンター氏の3台のパソコンを受け取ったFBIがパソコンの中身を調べた際、そのうちの1つは子どもに対する強制わいせつに関連していることが判明しました。また、児童ポルノ調査に長年携わってきたFBI調査員は、パソコンの内容を調査するための召喚状を出していましたが、その後の進展は不明です。米議会は、同件についてFBIの調査結果を求めています。

また、最近メディアの注目を集めている別の事件があります。 「外交政策」誌のウェブサイトや「ビジネスインサイダー」は2018年に、2010年から2012年の間に中国本土の約30人のCIA情報提供者が中共当局によって処刑されたと報じました。

元米国家安全保障委員会のメンバーであるリッチ・ヒギンズ氏は10月18日のツイートで、2010年4月7日から9日まで、ハンター・バイデン氏が中国で収益を上げ始め、同年、中国にいたアメリカの工作員は全員が逮捕され、処刑されたと述べ、「国家を裏切る」という厳しい言葉で疑問を投げかけました。バイデン氏のスキャンダルが続出する時期に、一般の人と異なる立場にいるヒギンズ氏の投げかけた疑問は人々の注目を集めました。

元米国家安全保障委員会のメンバーリッチ・ヒギンズ氏

現在、イギリスのメディアでも、オバマ・バイデン政権の他の政府機関を巻き込み、バイデン一家の不正を暴露し始めています。英国の「デイリーメール」の報道によると、バイデン氏の副大統領の期間の2012年から2014年にかけて、息子のハンター氏は、カザフスタンの富豪、ケネス・ラキシェフ氏と取引を開始しましたが、ラキシェフ氏は現国家安全保障委員会の委員長であるカザフスタン前大統領ヌルスルタン・アビシュリ・ナザルバエフと密接な関係にあります。

「デイリーメール」は最近、カザフスタンの反汚職活動家からのメールで、ハンター氏はラキシェフ氏のニューヨーク、ワシントンD.C.、ネバダなどの鉱山会社への投資を支援したことに加え、当時の国務長官ジョン・ケリーの娘で、映画プロデューサーのアレクサンドラ・フォーブズ・ケリー 氏への「100万米ドル」(約1億483万円)の投資も支援したと告げました。

これらの続出するスキャンダル、特にハンター氏のパソコンの資料に関して、一部の民主党員は先週、これはロシアによる撹乱行為であり、誤りのプロパガンダであると主張し始めました。しかし、10月19日、アメリカ国家情報長官ジョン・ラトクリフ氏は、メディアによって公開されたハンター氏のパソコンの情報はロシアとは関係がないことを明らかにしました。

トランプ氏の支援集会では、有権者は「バイデンを投獄せよ」と叫んでいました。これらのスキャンダルが次々と公開され、強硬派ジュリアーニ氏の指揮が加わったことで、バイデン氏の立場は極めて危うくなります。

今後、バイデン親子は、大統領選どころではなくなるかもしれません。この際ですから、他の悪党も白日のもとにさらし、罰するべきです。米国の大統領選は当然のことながら、日本などの同盟国の安全保障などにも大きな影響を及ぼします。誰が大統領になろうと、司法当局はこの問題を追求し続けて欲しいものです。

トランプ大統領は日本時間4日午後、ホワイトハウスで演説し、一方的に事実上の勝利宣言を行った。「われわれはこの選挙に勝つ。ただ、わたしからしたら、すでに勝ったも同然だ」
トランプ大統領は、フロリダ州やオハイオ州などの激戦州で次々に勝利を確実にしたことを指摘し、「勝ったも同然だ」と強調しました。

また、郵便投票については、最高裁に訴えて集計を止める考えを示しました。

トランプ大統領はこれまでのところ、獲得選挙人がまだ過半数に至っていないですが、激戦州で次々と勝利を確実にしていて、勝利に自信を深めた形です。

一方で、ラストベルトと言われる中西部のミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州の開票作業はまだ続いていて、この3つの州をバイデン候補が取れば形勢は逆転する可能性があり、訴訟合戦へとつながる可能性も出てきました。



2020年11月3日火曜日

中国、2025年までに内部崩壊する可能性も…未曾有の少子高齢化、工場と人の海外逃避―【私の論評】中国は少子化で発展できなくなるのではない!中共が体制を変えないからだ(゚д゚)!

 中国、2025年までに内部崩壊する可能性も…未曾有の少子高齢化、工場と人の海外逃避


 中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が10月29日に閉幕した。

 会議に集まった約200人の最高幹部により「第14次5カ年計画」の骨格が固められたが、新たな5カ年計画の特徴は「2つの循環」である。貿易を柱とする「外」と消費を柱とする「内」の2つの経済循環で成長を維持する考えだが、その重点は「内」にある。中国指導部は今年5月、米国をはじめとする西側諸国との経済的デカップリング(切り離し)を想定し、国内経済(内循環)を柱とする新発展モデルを提唱していた。

 1978年に故トウ小平が掲げた「改革開放」の重点は「外」にあったのはいうまでもない。米国との良好な関係の下で中国は積極的に外貨を取り込み、「世界の工場」として輸出主導による高度成長をなし遂げた。今年の中国経済はGDPが100兆元(約1500兆円)を突破する見込みである。今回打ち出された「2つの循環」は、米国との対立の長期化に備え、消費など内需を拡大し、自力での安定成長を目指すものであり、改革開放からの大きな路線転換を図ろうとするものである。

「一人っ子政策」による人口構成のアンバランス

 だが「2つの循環」路線の成功の鍵を握る個人消費は、中国経済にとっての長年の懸案である。中国の昨年の個人消費の対GDP比は39%である。米国の68%、日本の55%、ドイツの52%に比べると格段に低いが、その理由は所得格差の大きさにある。

 中国の所得分配が非常に不公平であることは周知の事実である。人口の約半分にあたる7億1000万人の国民は、月収2000元(約3万2000円)以下で生活をしている。中国の高度成長を支えてきた2億9000万人の農民工の収入も、2015年以降、減り続けており、所得格差が改善されない限り、個人消費が伸びることはない。

 個人消費が今後さらに低迷する要因がある。少子高齢化である。中国民政部は10月23日、「2021~25年までの5年間に60歳以上の高齢者の人口は3億人を超える」ことを明らかにしたように、「少子高齢化」が急速なペースで進んでいるのである。

 「総人口に占める65歳以上の割合が14%を超える」社会を国連は「高齢社会」と定義づけているが、中国の民間シンクタンクは10月、「2022年に総人口に占める65歳以上の割合は15%以上になる」と予測した。

 日米など先進諸国が高齢社会となった時点の1人当たりのGDPは、2万ドルをはるかに上回っていたが、これに対して中国の1人当たりのGDPは1万ドル程度にとどまっている。中国社会は「豊かになる前に老いる」という事態に直面しているのである。

 中国の人口構成に極端なアンバランスをもたらしたのは、いわゆる「一人っ子政策」である。中国政府は2016年から「二人っ子政策」の実施を決定したが、多くの国民は住宅ローンや医療費、教育費などの負担が大きく、「産めても養えない」との不安を抱えており、出生数が増える兆しが見えない。2019年の出生率は、1949年以来の過去最低を記録する有様である。

 中国の生産年齢人口(15歳~64歳)は、2013年をピークに減少しているが、「中国の総人口も2018年から人口減少が始まった可能性がある」とする海外の研究がある。中国政府系シンクタンクの社会科学院は2019年1月、「人口減少は早ければ2027年から始まる」としている。社会科学院の予測の元になっている出生率は1.6との前提だが、「実際の出生率は1.05前後ではないか」との意見が多い。

 日本では、生産年齢人口が1995年、総人口も2011年から減少し、人口動態が経済成長にマイナスに働く「人口オーナス」が常態化している。中国でも少子高齢化が政府の大きな負担となりつつある。文革などで伝統文化が破壊されたことから、家族で高齢者を扶養する風習がなくなり、政府が主体となって介護サービスを提供する状態になっているのは日本と同様である。中国の社会保障費(介護を含まず)は国家歳出の2割以上を占め、その伸びは国防費を上回っているが、実態に比べて財政の投入量ははるかに少ない。このような事情から、「中国経済も2015年に人口オーナス時代に突入したのではないか」との懸念が出始めている。

「外循環」にも赤信号

 実現の目途が立たない「内循環」だが、中国経済をこれまで支えてきた「外循環」にも赤信号が点滅し始めている。人件費の高騰に加え、米国との貿易摩擦の激化により、外資企業が中国から相次いで撤退していることから、移転先であるベトナムに密入国しようとする中国の失業者が続出しているのである(10月28日付米ラジオ・フリー・アジア)。中国政府は国境付近に、長さ数百キロメートル、高さ2メートル以上の壁を建設せざるを得ない状況に追い込まれているが、このことは中国経済の悪化が予想以上に深刻化していることの証左だろう。

 5中全会では党幹部の人事が発表されなかったことから、習近平総書記が2022年以降も続投することが確定したとされている。「中国共産党の存亡に最も危機感を持っているのは習氏だ」と言われているが、「内外から批判が高まっている習氏が最高指導者の地位を他の人に譲らない場合、党内の権力闘争が一段と熾烈になる」との心配の声も上がっている。ネット上では「習氏は中国の崩壊を加速させる『総加速師』」と揶揄されている。

 「今後10年以内に米国を超え世界一の経済大国となる」とされている中国だが、「内外からの圧力の高まりで一瞬の内に瓦解してしまう」というリスクが高まっているように思えてならない。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

【私の論評】中国は少子化で発展できなくなるのではない!中共が体制を変えないからだ(゚д゚)!

少子化や人口減少は「国難」ではなく、そこから生じる「弊害」はいかようにも対処可能で、むしろ少子化や人口減少の危機を過剰に煽ることが問題解決を誤らせることになります。これは、日本に限らず中国でも、他の国でも同じことです。

そもそも人口減少問題は、大した問題ではありません。国力を国内総生産(GDP)と定義すると、「GDP=みんなの平均給与✕総人口」となります。

人口が減ると国単位でのGDPも減るのは当たり前ですが、実生活では「だからそれがなんなの?」という話に過ぎません。

なぜなら人口減少は、GDP成長率に対して最大7%の影響がでるかどうかの程度に過ぎず、ほとんど影響はないからです。

たとえば人口減少が経済にマイナスに作用する「人口オーナス」は、女性や高齢者の積極登用やAIによる生産性向上によって回避できます。

さらに、ひところ国内ではやった「デフレは人口減少が原因」説にも根拠がありません。デフレ、インフレは純粋に貨幣の流通量の問題であつて、人口減少が原因ではありません。

極端な話をしますが、現在日本の人口が何かの原因で、半分になったとします。そのときに日銀が何もしなかったらどうなるでしょう。それはインフレです。なぜなら、人口が半分になっても、日本国内に流通している貨幣は変わらずそのままだからです。

逆に、現在日本の人口が何ら化の原因で2倍になったとします。そのときに日銀が何もしなかったらどうなるでしょう。それは、デフレです。なぜなら、人口が半分になつても、日本国内に流通している貨幣は変わらずそのままだからです。

そうはいっても、これをなかなか信じない人もいるでしょう。そういう方々のために、以下に物証をあげておきます。

以下のグラフは1870(明治3)年から20世紀の終わりまで125年間の人口と実質GDP(国内総生産)の推移を比較したものです。このグラフからマクロ経済の成長が決して人口によって決まるものではないということが見て取れると思います。


この間、GDPと人口はほとんど関係ないほどに乖離しています。戦後の日本経済にとって最大のエピソードといってもよい高度成長期(1955~1970)には、経済は年々10%成長したが、人口の伸びは約1%程度でした。1%という数字は、全人口、生産年齢人口、労働力人口、どれをとっても大差はありません。毎年10%-1%=9%ずつ「1人当たりの所得」が上昇していたのです。

グラフは20世紀末で終わっていますが、この図に描かれている125年間は人口が増えている時代です。人口が減り始めたら、どうなるか分からない、と思った人がいるかもしれません。

これはもっともな疑問です。人口減少はたしかにそれ自体としては経済成長にとってマイナス要因です。しかし、先進国の経済成長は人口要因よりも「1人当たりの所得」の上昇によってもたらされる部分のほうが大きい、という結論は、人口減少の時代にも人口増加の時代と同じように成立するのです。

では、人口が減り始めた人口が減り始めた現在の日本経済の実績を見てみましょう。厚生労働省社会保障審議会・年金財政における経済前提に関する専門委員会(2017年10月6日)の資料にある過去20年間(1996-2015)の「成長会計」の結果は以下の通りです。


「成長会計」とは、実質GDPの成長率を資本投入・労働投入と、それでは説明できない残差としての「全要素生産性」(Total Factor Productivity、頭文字をとりTFP、通常イノベーションないし技術進歩を表すものと解釈されている)、3つの要素それぞれの貢献に分解する手法です。

さて、結果をみると、1996年から2015年まで、この間には1997~1998年の金融危機、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災などさまざまな出来事がありました。にもかかわらず、20年間の平均成長率は0.8%、そのうち資本投入の貢献分が0.2%、労働投入はマイナス0.3%であり、TFPの貢献が0.9%となっています。

注目されるのは、労働投入の貢献分マイナス0.3%です。この期間、人口は減り始め、それに先立ち労働力人口は減少してきましたから、労働の貢献は0.3%のマイナスになっています。しかし、TFP(イノベーション)の貢献0.9%により日本経済は年々0.8%ずつ成長しました。

人口が減っているから1人当たりに直せば、1%を超えます。人口減少それ自体はマイナス要因ですが、先進国の経済成長にとっていちばん重要なのは、やはりイノベーションなのです。

そのうえで、日本国内では出生率の推計や人口減少の動向も「想定内」に収まっており、人口は減るでしょうが、出生率もこれからほとんど横ばいでしょうから、社会保障の設計には支障は何もないでしょう。

では、大した問題ではないはずの人口減少が、なぜこれほどまで「危機」とされるのでしょうか。

人口が減り続けたら困るのは地方公共団体の関係者でしょう。なぜなら人口が減ると、行政規模の簡素化のため市町村を合併しなければならないからです。

また人口減少の危機を煽る世間の評論家も、なんでも人口減少のせいにすれば、誰も傷つかないので、いい方便になります。

こうした人たちは、人口減少の危機を高唱することで、本を売り、名前を売り、政策を売りこむことができます。

実は政府も「人口増加のストーリーを地方公共団体の関係者に示しておけば、彼らはきっと満足するだろう」というのが本音であり、出生率が上がらず、人口問題政策が失敗しても、何らダメージはありません。

それは歴代の日本政府が「人口減少は大きな問題ではない」と考えているからであり、働き方改革や子育て安心プランなどの少子化対策も、「人口減少を不安視している国民の要望に応える」という政治的な意味があって取り組んでいるに過ぎないからでしょう。

要するに少子化対策や人口減少対策は、人口減少危機論に煽られた国民の不安に応えるポピュリズム的政策にすぎないのです。

さて、以上は日本について掲載しました。結局のところ、日本では人口の増減そのものは、経済にさほど影響を与えないということです。

では、中国はどうなのでしょうか。私自身は、中国が「一人っ子政策」をしばらく間実行したために、少子高齢化が過度に進んだということがあり、これは人口問題だけではなく、特定の世代が少なくなったという問題を生んだことは間違いないとは思います。

しかし、特定の世代が少なくなったことは経済自体にはさほど大きな問題ではないです。たとえば、最近は緩和されたようですが、一人っ子政策の影響で、一時大学の教員が少なくなったということもありましたが、それは高齢になった教員でも働ける人は働けるようにして何とかしのいできました。これは、多くの分野でも同じように対応してきたのだと思います。

しかし、人口が減れば、スケールメリットを享受できなくなることも事実です。たとえば、南シナ海の中国の軍事基地に兵士を派遣しようとした場合、これに人口の1%を充当しようとしたとします。これは、全体の人口が多いほうがより多くの兵士を派遣できることになります。これは、軍事だけではなく、多くの産業にもあてはまることかもしれません。

しかし、以上のようなことは、AIなどか発展した現在では、経済に関していえば、いずれもさほどのもんだいではないと思います。やはり、個々の人民の経済を考えた場合は、人口そのものは関係はないようです。

これから、人口が減ったにしても、あるいは逆に増えたとしても、現在の中国の1人当たりのGDPは1万ドル程度という状況はさほど変わらないでしょう。この状況は俗に言われる、中進国の罠というものです。

これは、発展途上国が長足な経済発展をして中進国になっても、なぜかその後1人あたりのGDPは1万ドル台で止まってしまい、そこからなかなか発展しないというものです。実際多くの国々がそうです。この例外は、日本とアルゼンチンだけです。

日本は、中進国の罠から逃れて、先進国となりました。もう一つの例外は、アルゼンチンです。アルゼンチンは、先進国から發展途上国になりました。先進国と、発展途上国の垣根を超えた事例はこの2つしかありません。中国も例外とはならないでしょう。

アルゼンチン・タンゴは、ラプラタ川流域近辺で演奏されるタンゴの一伝統様式を指す

ただし、中国にもチャンスはあります。それは、中国でもある程度民主化を推進し、経済と政治の分離を行い、政府が経済に直接介入できないようにし、中国共産党が中国憲法の上にあるという現状の体制を改め、法治国家に転身するのです。

そうなると、何が変わってくるかというと、いわゆる経済・社会的に中間層といわれる人々が多数でてきます。この中間層といわれる人々が、様々な社会・経済活動を自由に展開するようになります。この活動が様々、社会のあらゆる場所でイノベーションに結びついていくのです。

富裕層だけでも、貧困層だけでもイノベーションは起こりにくいです。富裕層はそもそも経済的には満足しているので、それ以上の富を欲することもなく、イノベーションの担い手にはなり得ません。貧困層は目の前の生活に窮しているのですから、イノベーションなど思いもよりません。中間層は、イノベーションによって富を得ようとします。だから、多数の中間層が存在する社会ではイノベーションが起こりやすいのです。

これが、日本が通って来た道であり、それに先駆けて他の先進国が歩んで来た道でもあります。先進国の経済成長にとっていちばん重要なのは、やはりイノベーションなのです。だから、先進国は中国も経済的にある程度豊かになれば、体制を変えるだろうと思ってきたのですが、結局そうはなりませんでした。

中国もイノベーションの取り組みには熱心なようですが、政府が掛け声をかけ、それだけでなく金も出したということで今までの中国の経済力はついてきたのですが、一番の弱点は世界の知的所有権を盗んで成長してきたということです。

これをどこかで転換して、自前でイノベーションを起こせるようにしなければならないのです。それも、社会のあらゆる場所において、そうしなければならないのです。そうでないと、中国共産党が関わっている部分だけで迅速なイノベーションが起こっても他の大部分ではイノベーションが停滞したままになります。そのため、社会的な不経済・非効率が温存されてしまいます。これが、中進国の罠から抜け出られない原因となってしまいます。

先程も述べたように、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けて通れないのです。しかし、そうすれば中国共産党は統治の正当性を失い、崩壊します。中国共産党を崩壊させても、中国を富める国、強い国にするつもりがなければ、今後中国は中進国の罠に嵌ったまま、終わるでしょう。

しかし、これを実行しない限り中国は「内外からの圧力の高まりで一瞬の内に瓦解してしまう」か、中進国の罠から逃れることができず、どちらの道を歩んでも図体が大きいだけの、凡庸なアジアの独裁国家にとどまることになるでしょう。それだけ、発展途上国から先進国に転身することは、難しいことなのです。

米国の中国への制裁は、もともとこのような状況の中国の衰退を早めるだけの話であって、早晩中国はそうなる運命だったのです。

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2020年11月2日月曜日

【独話回覧】米大統領選後の景気 どちらが勝つにせよ、株高基調維持ならコロナ不況回復 経済動向見るとトランプ氏圧勝だが…バイデン氏がつけ込む“隙”も―【私の論評】菅政権もトランプのように、財政赤字に対する日本人の常識を覆すべき(゚д゚)!

 【独話回覧】米大統領選後の景気 どちらが勝つにせよ、株高基調維持ならコロナ不況回復 経済動向見るとトランプ氏圧勝だが…バイデン氏がつけ込む“隙”も



 いよいよ米大統領選の投票日が迫った。米国の世論調査はいずれも民主党のバイデン前副大統領が共和党のトランプ大統領を8%程度の幅でリードしている。現職大統領が再選に失敗したとしたら1992年のブッシュ父大統領以来となるが、経済面での実績が世論の現職支持に結びつく度合いが弱いというのは、拙論の記憶にある限り初めてだ。

 トランプ氏は景気の立て直しに成功したが、中国・武漢発の新型コロナウイルス禍対策の印象が悪く、評価を下げた。トランプ氏が「チャイナウイルス」憎しの一念をますます募らせるのも無理はない。

 経済こそは、これまで現職大統領の再選を左右してきた。古くは80年、民主党のカーター大統領が共和党のレーガン氏に敗れた。当時は第2次石油危機を受けて、高インフレと不況が同時並行していた。レーガン大統領は84年の大統領選では、有権者に向かって「Are you better off?(あなた方の暮らし向きはよくなったか)」と問いかけ、圧倒的な「Yes(そうだ)」との反応を得て、大勝した。

 92年、再選をめざすブッシュ父大統領が民主党のクリントン氏に敗れた主因も経済問題だ。景気が思わしくないのに「増税」の可能性を否定せず、「ジョブ(職)」を連呼して雇用促進を目指し、訪問した日本で米国製品の売り込みを図ったものの、宮沢喜一首相との晩餐(ばんさん)会で倒れ込んだ映像を全米のTVに流されてしまった。

 クリントン氏は経済重視を唱えて、カリフォルニア州シリコンバレーのハイテク業界やニューヨーク・ウォール街の金融資本の支持を取り付けた。ホワイトハウスの主に収まると、経済面でライバル視する日本の市場をこじ開けると称して日本たたきを画策したが、結果は不発。とみるや、中国市場に着目し、日本を飛び越えて親中路線を敷いた。

 日本にとってみれば、悪夢のような民主党政権だったが、大統領任期を終えたクリントン氏を超高額の報酬を支払って日本の民間が招いたのも、日本人として情けなく思ったものだ。しかも親中路線は以来、ブッシュ子政権、オバマ政権と続き、中国の脅威を膨張させてきた。

 2008年9月のリーマン・ショック後の選挙で共和党のマケイン候補に勝った民主党のオバマ大統領は12年に再選を果たした。景気回復は極めてなだらかだが、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策によって株価が上昇軌道に乗ったことが背景にある。

 トランプ政権はどうか。米国に雇用やビジネスを取り戻す「アメリカ・ファースト」を掲げ、4年前に民主党のヒラリー・クリントン氏を接戦の上で破ったのは記憶に新しい。筆者はちょうどその投票直前に早稲田大学の埼玉県稲門会総会に呼ばれて講演したが、経済の流れはトランプ氏を指し示していると説明しながら、彼が勝つとまでは言わなかったことが、ちょっと悔やまれる。

 今回は、経済動向からすれば、トランプ圧勝、再選になるはずだ。

 グラフはリーマン・ショック後の米株価と米実質国内総生産(GDP)を指数化して推移を追っている。株価は一時的な調整局面を経ながらも、上昇軌道に乗ったままだ。下落時はFRBによる利上げが影響しているのだが、コロナ・ショックは株価に関する限りはどこ吹く風どころか、追い風にすらなっている。

 株価が米国の実体経済動向と連動する度合いが高いというのが、拙論の分析であることは本欄などで述べてきた。株価と実質GDPについて、統計学でいう相関係数(完全相関値は1)は08年9月からコロナシ・ョック勃発時の今年3月までの期間でみると、0・98と完全相関に近いのには驚かされる。

 相関係数自体は因果関係を示すわけではないが、家計や年金基金の株式資産の運用比率は高く、株高は個人消費を押し上げる。株式市場が活況だと、企業も設備資金をやすやすと株式市場から到達し、新規分野に投資する。

 コロナ感染拡大が人の動きを止め、飲食サービス業などの雇用の重圧になっていても、株高は景気の先行きを明るくする。トランプ氏にしてみればしてやったり、との思いもあり、そのことが、コロナ対策についてのぞんざいな発言につながったのではないか。

 もう一つ、株高は富裕層をますます富ませるが、コロナ不況に苦しむ中低所得層との格差が拡大する。米国社会の分断問題深刻化の要因であり、トランプ氏はそれに対応しきれていない。コロナ対策と合わせた、トランプ政権に対するネガティブな印象がバイデン氏につけ込ませる隙を与えている。

 さて、大統領選後の米景気はどうなるか。大統領の座をどちらが得るにせよ、グラフが示す通り、株価さえ上昇基調が維持されれば、コロナ不況からの回復は確保されるだろう。

 ■田村秀男(たむら・ひでお) 産経新聞社特別記者。1946年高知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後の70年日本経済新聞社入社。ワシントン特派員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級研究員、日経香港支局長などを経て2006年産経新聞社に移籍した。近著に『検証 米中貿易戦争』(ML新書)、『消費増税の黒いシナリオ デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(幻冬舎ルネッサンス新書)など多数。

【私の論評】菅政権もトランプのように、財政赤字に対する日本人の常識を覆すべき(゚д゚)!

トランプ氏が経済政策面でもたらした最大のインパクトは、自らの想定とはかけ離れたものになるのかもしれないです。それは、財政赤字に対する米国人の常識を覆した、ということです。

トランプ氏は企業や富裕層に対して大幅減税を行う一方で、軍事支出を拡大し、高齢者向けの公的医療保険「メディケア」をはじめとする社会保障支出のカットも阻止し、財政赤字を数兆ドルと過去最悪の規模に膨らませました。新型コロナの緊急対策も、財政悪化に拍車をかけています。

これまでの常識に従うなら、このような巨額の財政赤字は金利と物価の急騰を引き起こし、民間投資に悪影響を及ぼすはずでした。しかし、現実にそのようなことは起こっていません。トランプ氏は財政赤字を正当化する上で、きわめて大きな役割を果たしたといえます。


米国では連邦政府に対して債務の拡大にもっと寛容になるべきだと訴える経済学者や金融関係者が増えています。とりわけ現在のような低金利時代には、インフラ、医療、教育、雇用創出のための投資は借金を行ってでも進める価値がある、という主張です。

もちろん、財政赤字をめぐる対立軸が消えたわけではありません。民主党が政権を握ったとしても、財政赤字を伴う政策を提案すれば、共和党が反対に回るのは間違いないでしようし、その逆も然りです。ただ、連邦政府の債務が拡大すれば大惨事になるとの警告は、もはや以前のような重みをもって受け止められることはなくなるでしょう。

最近まで、ほとんどのエコノミストは、政府が平常時にささやかな規模以上に借り入れを膨らませる行為を非難してきました。彼らはおおむね政府を信用せず、公的債務が民間投資を圧迫するだけでなく、物価を高騰させ、景況感を冷やすと証明できる理論を持っていました。ところが今や、財政赤字はそれほど悪い存在ではありません。むしろ総じて良いとの見解が優勢です。

古い考え方が死に絶えたわけではありません。政府はいわば国家という大きな家族で、収入以上にお金を使うべきでないという理屈は直観的に訴えかける力があります。ドイツのメルケル首相も、こうした価値観を「シュバーベン地方の主婦」たちの倹約精神になぞらえています。

メルケル首相

「財政赤字悪玉論」により、ユーロ圏加盟国は平常時に財政赤字を国内総生産(GDP)比3%までに抑えるよう求められ、ドイツは「債務ブレーキ」と呼ばれる制度を導入。財政赤字がGDPの0.35%に達すると、原則としてさらなる政府借り入れを禁じているほどです。

依然として少数の政治家(主としてドイツ人)は、大規模な財政赤字を計上するのは単純によろしくないと考えています。一部の有名エコノミストも同意見です。米大統領経済諮問委員長を務めたクリスティナ・ローマー氏は最近、大幅な財政赤字の持続は「強力かつ健全な超経済大国になるための方策にならない」と発言しました。

ところが、ほぼ全ての面で判断基準は変わりつつあります。今ある数々の事実は、旧理論と相いれないのです。

米国、日本、ドイツ、フランス、英国、イタリア、カナダという先進7カ国(G7)を検討してみます。国際通貨基金(IMF)のデータに基づいた2007年時点のG7の財政赤字の対GDP比は平均1.5%で、カナダとドイツは黒字でした。そして世界金融危機が発生後の3年間で同平均は7%を超え、15年以降も3%を下回っていません。

しかし財政赤字が明らかに成長を損なった形跡はありません。G7の国民1人当たりGDPの年平均成長率が下振れしたのは確かです。01年から07年まで1.4%でしたが、14-19年は1%になっています。もっとも01-07年は持続不可能な金融活動によって水増しされ、14-19年は貿易戦争と先進国の全般的な景気減速が圧迫要因になりました。

G7の物価上昇率の平均は、まさに金融危機が勃発した08年に2.9%とピークを付けました。翌年には0.3%に鈍化し、11年に2.6%に戻った後、また下振れしました。IMFは19年の平均を1.4%と見込んでいます。インフレを起こす要因を本当に理解している人はいませんがが、財政赤字が「容疑者リスト」に入っているようには見受けられません。

財政赤字を嫌う人々は、いつでも自分たちの思想を正当化する論理を見つけてくることができます。実際、足元で無害に思われる借り入れが、長期的な問題を蓄積させているのかもしれないです。

IMFの計算で米国の今年の財政赤字はGDPの5.6%、つまり1兆ドルを超える規模で、長らく予想されていた経済への悪影響がいよいよ顕在化する恐れもあるかもしれませんが、いまのとこ全くそのような兆候はありません。

今後、財政赤字の功罪を巡る理論的な闘争は激化するでしょうが、思考のバランスを取る助けになってきたのは現実的な心配です。中央銀行は今、景気後退に対処して利下げする余地が乏しいです。債券などの資産を買い入れて金融市場に新たな資金を投入することは可能とはいえ、そうした手法の効果はまだ証明されていません。だから財政支出拡大の方が、景気対策として妙味があるように見えます。

理論的な見地からも情勢変化は歓迎されるべきです。政府は実際には「非常に大きな家計」ではなありません。通貨当局としての最終的な権限を持ち、経済活動を維持するのに十分なお金を確実に流通させる責任を負っています。通貨創造の任務はほとんどを民間銀行に請け負わせているものの、彼らが満足に機能しなくなった場合は、政府が乗り出すことができるし、乗り出さなければならないのです。

政府向けのローンは、全てのローンと同様に基本的に新たなお金を生み出すので、財政赤字は旧理論で想定されたような、民間投資に向かう資金を奪うわけではありません。また政治的に有能な政府であれば国内で借り入れを賄い、債務残高がGDP比で高水準になっても維持できます。その上、本来使われなかった経済的な諸資源を活用する財政支出なら、赤字であってもインフレを醸成させるよりも生産を押し上げるでしょう。

財政赤字についてもっと柔軟になるべきだとの考え方を受け入れる点では、エコノミストよりも有権者や政治家の方が積極的なようです。追加的な財政支出は、有益なインフラ整備の投資を後押しし、貧困を減らして質量両面で雇用状況を改善してくれます。さらに次の景気後退の到来時期を遅らせ、その深刻度を和らげてくれる可能性もあります。さすがのドイツでさえ、財政赤字への抵抗感が弱まっているのも、むべなるかなと言えそうです。

当然リスクはあります。財政赤字は適度な規模なら大抵は好ましいですが、危険な存在になり得ます。アルゼンチンやジンバブエの事例で分かるように、歯止めなしの通貨発行は、最終的に制御不能のインフレをもたらします。先進国で40年もディスインフレが続いた後で、狂乱的な物価高騰などは想像しがたいです。それでも政治家が選挙で勝つことに執念を燃やし、彼らを抑制する財政規律が存在しない世界では、インフレの暴走が現実に起きるかもしれないです。

ただ、先進国においては、物価目標というものがあります。日本なら、2%です。これは、政府がどのように大規模や金融緩和や積極財政をしようと、物価上昇率が2%未満であれば、安全ということです。

それにしても、トランプ氏は財政赤字は決して悪いことではないということを知っていたというのは、やはりトランプ氏のバックグラウンドが政治家ではなく、実業家だったからでしょう。

トランプ大統領

企業でもある程度規模の大きい企業なら、企業の財政赤字を家計の赤字のように即悪いことなどとは考えません。借金をしてでも、場合によっては、企業規模を増したり設備投資をします。それで企業業績を伸ばし借金を返せれば、何も問題はありまません。

ましてや、政府の場合は、企業などよりもはるかに規模は大きいし、さらには、生身の人間と比較すれば、不死身のような存在ですから、ある程度の借金をしても全く問題はないのです。

それを身をもってトランプ氏は示したといえます。日本でも現在政府が国債を発行して、日銀がそれを引き受けるという形で、政府がコロナ対策に要する資金を調達していますが、これも全く問題はありません。日本は、デフレ気味なのですから、まだまだ余裕があります。物価目標2%にはまだ程遠いです。仮に2%以上になれば、すぐにこれをやめ、金融引締や緊縮財政に転じれば何の心配もありません。

日本の菅政権も、トランプ氏のように、財政赤字に対する日本人の常識を覆すべきです。2%の物価目標に達するまで、国債を発行し日銀はそれを引き受け、従来では考えられなかったほどの規模の対策を実行してほしいものです。

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2020年11月1日日曜日

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【湯浅 博】日本学術会議だけではない―頭脳流出に手を貸すお人好し

ご存じ中国共産党の「千人計画」。しかしこの枠組みが成立するのは、あまりにも日本国内の危機意識が薄いからでは―


2018年鳩山由紀夫元首相が北京で開かれた国際学術フォーラムで講演、安倍首相の対中政策を批判


 海外の優秀な頭脳を高額な報酬と破格の待遇でかき集めるのは、ご存じ中国共産党の「百人計画」や「千人計画」である。だが、その実態はさらに大規模、かつ深刻だった。最近、この「人材採用プログラム」を暴いたオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書を見て、あるページの写真にクギ付けとなった。

 何かとお騒がせな元首相・鳩山由紀夫が、またも目を疑うような光景の中で写真に収まっていた。かつて、米紙から「ルーピー(頭がおかしいさま)」と皮肉られた元首相が、今度は日本の有能な研究者や技術者を中国がリクルートする出先機関「人材採用ステーション」の日本支部開設式に出席していた。

 ASPI報告書『フェニックス捕獲作戦(Hunting Phoenix)──中国共産党の技術と才能の探求』の中ほど、「日本での人材採用」の項に、中国系の研究者の統一組織、全日本華僑専門家連盟の人々と出先機関の立ち上げを祝っていた。背後の横断幕には「二〇一四年」の記述が見え、元首相がまるでリクルートの支援者のようにふるまっていた。

 鳩山元首相は日中友好や日韓交流など美しい響きの建前が大好きだから、腹黒い海外勢に利用されやすい。過去にも、日本の領土なのに尖閣諸島を「日中で議論して結論を出す」などと述べ、中国をその気にさせて今日に至る。

 この「人材採用プログラム」には、海外留学組の中国人研究者を呼び戻す「百人計画」と、高度技術を持つ海外の才能を幅広く抱え込む現在の「千人計画」とがある。その人材調達の先兵となるのが、世界に六百を超える「海外人材採用ステーション」だ。鳩山元首相がニコニコ顔で出席したのは、日本にある八つのステーションの一つということになる。

 アメリカではこの一月にハーバード大学のナノテクノロジーの専門家、チャールズ・リーバーがこの「千人計画」への参加を隠したとして逮捕された。だが、日本では逆に元首相が怪しげな勧誘組織の信頼を高めるために一役買ってもおとがめなしだ。このような危機意識のなさは自民党にもあって、かつて自民党総裁、谷垣禎一が、2012年2月の中国共産党機関紙『人民日報・海外版』のインタビューに答え、中国資本に日本国内の土地買収を推奨していたのには仰天した。

 新会員候補6人の任命を政府から拒否された日本学術会議も、2015年に中国科学技術協会と協力の促進を図る覚書に調印している。2015年といえば、習近平国家主席がハイテク国家戦略として「中国製造2025」を発布した年である。日本国内の「軍事研究に学問の自由なし」と宣言している学術会議が、「軍民融合」を推進しているあちらの組織にはやたら甘い。覚書には、「必要に応じて推薦された研究者を受け入れる」とあり、一納税者としても、こんな危うい学術会議に年十億円が投入されてはたまらない。

 さて、中国共産党の「人材採用プログラム」だが、報告書によると、2016年までの8年間に6万人以上の研究者や技術者が採用され、日本でも千人以上が採用されている可能性がある。各国に配備の採用ステーションには、莫大な運営費と採用ごとに多額のボーナスがでる。ターゲットには米国をはじめ、イギリス、ドイツ、シンガポール、カナダ、フランス、オーストラリア、そして日本からそれぞれ千人以上の個人が採用されている可能性が高いとASPI報告書は言う。

 これにより、海外ハイテク技術が流出して、中国の兵器プログラムに組み込まれ、人権侵害や対外侵略の最新兵器に変身する。さらに、報告書が炙り出すのは、これらの採用プログラムが実は、国の「千人計画」よりも幅広く、各地方が競うように「千人計画」をもち、国レベルの7倍もの研究者が採用されている実態だ。

 契約が巧妙なのは、採用方法が機関ではなく研究者個人との交渉で成立するから、発覚が免れて、かつ個人は元の組織、機関の仕事をしながら中国のために貢献する形も取る仕掛けである。

 問題は、中国共産党による「フェニックス捕獲作戦」が、国によって罰則規定が曖昧なことだ。アメリカでは国立衛生研究所で、外国から資金提供を受けながら申告していなかった54人が失職した。その大半が、中国を資金源としていたが、日本はどうか。

 アメリカの対中取り締まりが厳しくなれば、日本の研究者や技術者に対する人材採用プログラムのハンティングが活発化する。鳩山のようなルーピーが活躍する前に、法的な縛りを強化する必要がある。それなくして、技術立国・日本の将来はありえない。

【私の論評】悪魔の手助けをする、周回遅れの愚か者たち(゚д゚)!

日本から、中国への人材流出手助けする愚か者たちがいる一方で中国から国外の人材流失が止まりません。

北京に本拠を置くシンクタンク「中国グローバル化研究センター」(CCG)の調べによると、2013年、海外で暮らしていた中国人は850万人で、多くは中流階級です。一方、中国に移り住んできたのは、わずか84万8000人にとどまります。

共産党機関紙「人民日報」はこの状況を「世界最悪の頭脳流出」と伝えました。

中国人が大挙して海外移住する例は過去にもありましたが、今回は資産と人材が流出するという意味で、かつてない現象です。何がこの国外脱出を促しているのでしょうか。また、こうした流れに抵抗するため、中国政府は有効の対策を取れているのでしょうか。

海外移住を加速させている要因としてまず挙げられるのは、富裕層の資産防衛です。

この背景には、習近平(シーチンピン)国家主席が汚職対策を精力的に進めた結果、コネのある富裕層も当局の摘発から逃れ切れなくなっている現状があります。不正な収入を得た幹部が妻や子、資産を海外に移す「裸官」も、こうした富裕層に含まれます。

移住者の数は年々増えており、中国の富豪番付として有名な「胡潤百富榜」によると、富裕層の64%がすでに移住に取り掛かっているか、来年の移住実現に向けて計画を練っているといいます。

「胡潤百富榜」が伝える中国の富豪トップ10、トップはアリババのマー会長(当時)


中国人が外国に移住するにあたっては、米国をはじめとする先進国で発行される外国人投資家向けのビザを活用することが多いです。

ただ、投資ビザを巡っては論争もあります。カナダの移民当局は先ごろ、申請者数が膨大になったことや国内で反対の声が強まったことを受けて、多額投資への見返りに永住権を与える移民プログラムを廃止しました。海外移住希望の中国人にとっては残念なニュースとなりました。

財産保全以外にも、スキルがより評価される場所で職の機会をみつけたいとか、より高水準の教育を受けたいといった動機で海外移住する場合もあります。ポストドクターや博士課程の学生がチャンスをうかがってしばらく海外に残ることも多いです。

中国では就職にあたってコネによる採用が主流であることも学生たちが帰国をためらう要因になっています。

大気汚染による健康被害への不安も、外国移住増加の主因の一つです。北京をはじめとするとする中国東北部では大気汚染によるスモッグが深刻化しており、健康に悪影響をおよぼす水準にまで達することもあります。

こうしたなかで、お金に余裕がある層は真剣に海外脱出を考えだしています。

それでは、このような資産や頭脳の流出は、中国にとってどれほどの痛手となっているのでしょうか。

CCGのディレクターである王輝耀氏は、この現象を中国経済の長期的な変革に対する脅威と捉える。同氏は「米国は79億人から人材を選べるが、中国の人材は13億人だけだ」と指摘。移民局を設立して、高い技術を持った外国人働者の受け入れを拡大するよう政府に働きかけています。

もっとも中国当局も手をこまねいているわけではないようです。流出した人材の国内環流に向けて積極的な動きを展開しています。2009年には政府肝いりで「1000の才能プログラム」が立ち上げられました。トップレベルの科学者や起業家を母国に呼び戻そうという試みです。

これは手放しの成功とはいかなかったのですが、CCGは、技能の習得や人脈の拡大など、人材の国外流出にも良い面はあるとしています。

冒頭の記事では、中国の「千人計画」の以上のような側面については、語っていませんが、なんのことはない、中国から人材が大量に流出しているので、それへの対応策として実行されているのが「千人計画」ということです。

           「千人計画」で中国に招致された梶野敏貴・国立天文台特任教授(左から2番目)
              北京航空航天大の特別教授を務め、日本からも学生を派遣している

10年程前から、日本でも中国人による不動産投資が話題になっていました。この不動産取得のうち、軍事施設付近の取得や、水資源のある場所の取得は理解できるのですが、その他の投資は日本人からみると今時、 日本の不動産に投資して利益がでるとは考えられず、とても不思議に思えましたが、中国の 状況を考えるとうなずける面もあります。

いざというときは移民するかもしれないですが、 移民するまでいかなくても、自分の資産を海外 に移しておきたいと考える中国人はとても多いようです。自分の資産を保全することが一番 の目的で、投資利益は二の次なのでしょう。

 中国と日本を比較すると、中国人でも日本政府のほうが余程信用できると思うでしょう。確 かに日本の政府が個人の財産権を理由もなく侵害するようなことは、政権がどう変わろ うとあり得ないです。

 しかし、中国の中共政権の場合は、とてもそうとは信じきれません。政治的には、一党独裁で、議会もな く、共産主義というより、封建主義のような国家資本主義とでも呼べるような政治体制です。

政府の役人すなわち共産党の幹部であり、 彼らの考え方次第で中国の法律や社会制度が、瞬間的に変わってしまいます。実際最近でも、香港国家安全維持法が施行され、あの金融都市香港が、中国の他の都市と同じ都市になってしまいました。中共は「一国二制度」を捨て去ったのです。外国との約束事も簡単に破棄する中共です。突然、自分の 資産すべてが没収されてしまうような事態が、100%ないとは信じきれません。

このよう な恐怖が拭い去れないことは、日本人でも中国で暮らしている人々には理解できます。 現在の中国の政治体制は日本の江戸時代よりも独裁的で、全体主義的であり、日本の江戸時代にたとえると中央政府が幕府で、地方政府 は直轄領と親藩、残念ながら幕府に物申す地方大名のような勢力も見当たりません。

海外 に流出しようとしている中国人は、江戸時代の大商人もしくは学者・文化人のようなも のかもしれません。ちなみに中国語で一般市民のことを「老百姓(laobai xing)」と書き、江戸時 代の「農工商」はすべてこれに包含されます。

数年前から中国政府も一般市民の所得を増加させるために重要な施策を実施しています。たとえば 家電製品購入や自動車購入に補助金を出したり、低所得者層の個人所得税を 下げたりです。

しかしこの動きも資産家にとってみると不安材料の一つです。税金だけで再配 分できなければ、自分の富が狙われる可能性があるからです。 政治は共産主義、経済は資本主義。これがしばらく前から続いている中国で、このやり方が功を奏して国全体としては世界 第 2 位の経済大国となりました。

今後も永遠に、経済成長し続けるならこの体制下で富を築 いた人たちが、恐怖を感じることはないでしょう。しかし、永遠に成長するなどとは元々あり得 ないことです。成長が止まった時、政府が何を考えるかは想像できません。

実際、ここ数年の中国の経済成長率は6%台です。中国で以前「保八」という言葉がありました。それは、中国は未だ発展途上であり、成長率が8%未満では、雇用を吸収できないので、成長率8%を死守するというものです。

現在の中国ではコロナ以前においてさえ、この「保八」すら死守できなかったのです。中国経済の専門家の間では、中国の経済統計、特にGDPに関する統計は信用できないので、6%台の成長率も達成できていないどころか、マイナス成長なのではないかとも言われてきました。

中国では以前のような成長は止まったとみるべきです。さらに最近のコロナ禍が輪をかけています。この事態に備え中国の資産家たちは、海外に財産を移し、自分の財産を守ろうとしたのです。

そうして、いわゆる資産家と呼ばれる人々はよりは資産を持たないものの、現代社会では富の源泉でもある知識を持つ知識労働者といわれる人々は、海外に脱出したり、脱出しつつあるのです。

そうして、この傾向はトランプ大統領が登場して、中国と対峙し始めてからますます顕著になりました。

激戦区の集会に登壇したトランプ氏

米国の対中取り締まりが厳しくなってきたので、日本の研究者や技術者に対する人材採用プログラムのハンティングが活発化することになるでしょう。そうなると、米国が中国への人材や技術の流出を防ぐことができても、日本から漏れるということになれば、日本の企業や個人に対しても制裁をすることになるでしょう。

そうなる前に、日本でも法的な縛りを強化するべきです。そうしてリスクはそれだけではありません。米中のデカップリングが起これば、中共政府は外国の人材を抱え込み、国外に出さないようにするでしょう。大々的に臓器ビジネスを行う国柄の中国では、そのくらいのことは平気ですることでしょう。

にもかかわらず、中国の人材獲得ブログラムに協力するものは、悪魔の手助けをする周回遅れの愚か者たちと謗られても、致し方ないでしょう。

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2020年10月31日土曜日

大阪都構想「誤った試算だった」市財政局が謝罪で波紋…「4分割218億円コスト」問題―【私の論評】毎日新聞社は誤報を、認め即刻訂正記事を掲載すべき(゚д゚)!

 大阪都構想「誤った試算だった」市財政局が謝罪で波紋…「4分割218億円コスト」問題

 
       大阪市財政局としての試算が誤りだったとして謝罪する
       東山潔・財政局長=29日午後、大阪市役所

 「大阪都構想」(11月1日投開票)をめぐる日本維新の会と毎日新聞をめぐるバトルに新たな展開だ。大阪市財政局が、「市を4政令市に分割した場合、毎年度行政コストが約218億円増える」とした試算について、わずか数日で「誤った考えに基づいた試算だった」と撤回したのだ。

 数字は大阪都構想の反対派の一部にデメリットの宣伝として使われており、11月1日の住民投票投開票を控え、波紋を広げている。

 試算は報道機関の求めに応じて市財政局が算出し、26日以降、毎日新聞など複数のメディアで報道された。市財政局は27日に緊急の記者会見を開き、東山潔財政局長が「特別区に移行した場合の試算ではない」と都構想との因果関係を否定した上で、「大阪市を機械的に4政令市に分けた試算だ」と説明した。

 その後、松井一郎市長は29日に記者団に対し、東山財政局長に経緯を聞き取ったとし、「ありえない数字だったと言っている」と説明。同日夜に財政局の会見が再び開かれることになった。会見で東山財政局長は、「市長に説明し、厳重な注意を受けた。市民に誤解を招き申し訳ない」と謝罪。「人口だけを勘案した交付税の算定ルールに基づかない試算で、虚偽、捏造といわれても仕方がない」と頭を垂れた。

松井一郎市長

 「大阪都構想」(11月1日投開票)をめぐる日本維新の会と毎日新聞をめぐるバトルに新たな展開だ。大阪市財政局が、「市を4政令市に分割した場合、毎年度行政コストが約218億円増える」とした試算について、わずか数日で「誤った考えに基づいた試算だった」と撤回したのだ。

 数字は大阪都構想の反対派の一部にデメリットの宣伝として使われており、11月1日の住民投票投開票を控え、波紋を広げている。

 試算は報道機関の求めに応じて市財政局が算出し、26日以降、毎日新聞など複数のメディアで報道された。市財政局は27日に緊急の記者会見を開き、東山潔財政局長が「特別区に移行した場合の試算ではない」と都構想との因果関係を否定した上で、「大阪市を機械的に4政令市に分けた試算だ」と説明した。

 その後、松井一郎市長は29日に記者団に対し、東山財政局長に経緯を聞き取ったとし、「ありえない数字だったと言っている」と説明。同日夜に財政局の会見が再び開かれることになった。会見で東山財政局長は、「市長に説明し、厳重な注意を受けた。市民に誤解を招き申し訳ない」と謝罪。「人口だけを勘案した交付税の算定ルールに基づかない試算で、虚偽、捏造といわれても仕方がない」と頭を垂れた。

【私の論評】毎日新聞社は誤報を、認め即刻訂正記事を掲載すべき(゚д゚)!

この記事を読んで思い出したのは、随分昔ですが、私が学生のときあるシンクタンク(土木・建築系)でバイトをしていて、ある地方都市の下水道工事の積算の概算をしたことです。このブログの購読者なら何度か掲載したことがあるのでご存知化もしれません。

この積算をして、当該しの積算と比較していて気づいたのは、どう考えてもこの地方都市の下水道にしては容量が少なすぎるということでした。それでどういうことなのだろうと、実際積算をしていた当人に聴いたところ、何とその積算は、当時の当該都市の人口・世帯数に基づいて計算されており、当時その都市は人口・世帯数が増加しており、それは一切考慮にいれていないことが発覚しました。

そうして、計算した本人はその年に高校を卒業して当該市の建設局土木部に入ったばかりの新人でした。そうして、彼が行った積算書には部長、課長の認め印が押印してありました。

この積算書は新年度の土木工事計画に添付され、市議会に提出されるはずでした。幸いなことに、この積算は再度、人口・世帯数を考慮入れて実施されて、その後市議会に提出されました。

もし、そのまま提出されていたとしたら、当該市の下水道は、すぐに容量不足となり、新たな土木工事が必要になっていたことでしょう。

下水道本管の設置工事

その当時は、地方都市の土木などのレベルはこの程度のものなのだと思い、驚きました。後で知ったのですが、地方都市となると人材が少なく、土木部長や課長なども土木など全くの素人の人がなるのが普通だということを知りました。無論他の部署も似たようなもので、専門知識のある人が当該部署のトップにつくのは稀だとされています。

だからこそ、当該市の市長は、土木建築系のシンクタンクと契約し、市の土木・建築関係のことがらを二重チェックしていたのでしょう。もし、土木・建築に関しては市が行う事業の中でも、かなり経費のかかるものです。間違いが起これば大変なことになるので、当然といえば、当然です。

さすがに大阪市はそこまでレベルは低いことはないでしょうが、この財政局長はかなりレベルが低いと思います。大阪都構想とは元々、市と府の二重行政をやめて、余分なコストがかかることを防ぐという目的もあるはずです。

「毎年度行政コストが約218億円増える」という試算がでれば、何か間違っているのではと考えるのが普通だと思います。この財政局長にはそのような分別もなかったようです。さらには、そのようなこともせずに、市長に相談や報告もせずに、マスコミにその情報を流したということも言語道断です。これで、どのようなことになるのか、想像もつかなかったというのであれば、さらに大馬鹿です。当然何らかの処分を受けることでしょう。

そうして、毎日新聞は、この試算をそのまま掲載し、大阪都構想を批判しています。そのニュースのリンクを以下に掲載します。
大阪市4分割ならコスト218億円増 都構想実現で特別区の収支悪化も 市試算
この記事全部引用すると長いので、以下にこの記事に添付されていたチャートを以下に掲載します。興味のあるかたは当該記事を是非ご覧になってください。


四つの政令市に分割すれば基準財政需要が増えるに決まっています。四つの特別区なら、地方交付税法特例から、基準財政需要は特別区を合算した市と同じで今の大阪市と同じとみるべきてす。都構想反対派の毎日新聞はえげつないネガティブ・キャンペーとしか言いようがありません。

政令市と特別区は権限が全く別ものです。そもそも、政令市の権限を広域自治体の大阪府と特別区に分ける制度改革は初めてなので総務省に大阪特別区の基準財政需要額の計算式が無いのです。毎日新聞は総務省に計算式が無い事は承知したいるのに大阪市を4つの政令市した場合のコストを記事にしたのです。

それにしても、反対派はこのようなコストを持ちだすのですが、これまでかかつてきた莫大な二重行政のコストには口をつぐんでいます。

毎日新聞の報道をきっかけに、この誤ったコストの内容は、既に多くのTVメディアでも報道されてました。ネットを見ない大阪市民は、大阪市が4特別区になればコストが218億円かかると市が発表したと誤認するでしょう。多くの市民は、そう受け止めるでしょう。これは、メディアの暴挙です。218億円を報道したメディアは訂正報道が必要です。

ところが、毎日新聞は、この報道に関して「誤報」とされたことに反論し、未だ誤報と認めていせん。
今度の大阪都構想の住民投票で準用される公職選挙法148条の但書きでは「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならな行い。」 となっています。

報道機関が法律違反はさすがにまずいです。毎日新聞の拡散に加担した人も同じことです。毎日新聞は、自社の顧問弁護士か、外部識者に確認して、すぐにでも正しい対応をすべきです。

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2020年10月30日金曜日

香港弾圧を「控えめ」にする中国共産党の「本音」―【私の論評】台湾を諦めざるを得ない習近平は、陸上の周辺諸国への侵攻をはじめるかもしれない(゚д゚)!

香港弾圧を「控えめ」にする中国共産党の「本音」

岡崎研究所

 10月8日付の英Economist誌が、「これまでのところ、香港の新しい国家安全法は控えめに適用されている。しかし民主化運動家は安心してはいけない」との解説記事を掲載し、国家安全法施行後の香港の情勢を報じている。


 エコノミスト誌の解説記事は国家安全法施行後の香港の状況をよく描写している。国家安全法の適用が控えめであるということは事実そうである。しかし、必要になればこの厳しい法律で広範な弾圧措置に中国共産党が出てくることは明らかであって、香港の民主活動家は安心していてはいけないとの記事の題名はその通りであろう。

 国家安全法が「一国二制度」の香港を打ち砕いた可能性があるとこの記事は書いているが、認識が甘すぎるだろう。打ち砕いた可能性があるのではなく、打ち砕いたのである。共産党はレーニンの教えに従い、1歩前進、2歩後退というように戦術的に柔軟に対応する。香港のメディア王で民主化運動の指導者であり、外国との共謀罪で告発されたJimmy Laiが言うように、北京は政治的都合にあうように彼の取り扱いも決めるということであり、法による保護はないということである。

 共産党には三権分立が良いものだという考えはない。三権分立の考え方は、フランスの哲学者モンテスキューなどが提起したが、要するに人間性悪説というかキリスト教の原罪論に基づくというか、権力者は悪いことをしかねないから、チェック・アンド・バランスを統治機構の中に組み込んでおくべしという考えである。アクトン卿の「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」との考えも同じ系譜にある。

 他方、共産党は人民のために良いことをする権力であり、これに制約を加えるなど、とんでもないという考えが共産主義者にはある。

 エコノミスト誌の記事の最後に、司法の独立が保たれれば少しは希望がある、というような記述があるが、共産党が主導する限り、そういうことにはならないだろう。それに、法律が悪ければ、司法判断は法の適用であるから、悪いものにならざるを得ない。

 今のところ国家安全法の適用が思ったよりも穏健だということで、物事の本質を見損なうことは避けるべきであると考える。香港のケースは、中国が国際法をあからさまに無視する国であることを示したものであり、それを踏まえてしっかり対応しないといけない。今回の香港は、ヒトラーのラインランド進駐と同じようなものとみられている。

【私の論評】台湾を諦めざるを得ない習近平は、陸上の周辺諸国への侵攻をはじめるかもしれない(゚д゚)!

中国と習近平政権は、何を恐れたのでしょうか。香港民主派があのまま勢力を伸ばせば、立法院の選挙で多数を占めるかもしれません。そうなると立法院と行政院が対立することになります。行政院への批判が高まります。こうなると収拾がむずかしくなります。民主派の声が中国国内に飛び火すると、なおやっかいです。

そうならないうちに、芽を摘んでしまえ。そう思ったのかもしれないです。国際社会は、一時期騒ぐだろうが、時間が経てば静かになるだろう。天安門事件のときもそうでした。そう、タカをくくっているのかもしれないです。しかし、それだけでしょうか。香港での強硬策は、台湾問題と連動している可能性もあります。

今回の件は、上の記事にもあるように、ヒトラーのラインラント進駐を思わせます。ラインラントは、ドイツの一部。フランス国境沿いです。しかし、ヴェルサイユ条約(第一次世界大戦の講和条約)で、非武装地帯にされていました。これを、ドイツの人びとは不満に思っていました。

再軍備を始めたヒトラー政権は、ドイツ軍をだしぬけにラインラントに進駐させました。これは明白な条約違反でした。どうなるか。皆が固唾をのみました。

黄色の部分がラインラント

結局英仏軍は反撃せず、進駐は黙認されました。ヒトラーのドイツ国内での人気は高まりました。実はヒトラーは、反撃されたらどうしようと、びくびくだったといいます。あのとき英仏軍が反撃していれば、そのあとのナチス・ドイツの膨張もなく、第二次世界大戦もなかったかもしれません。

中国は、台湾統一をを宿願にしています。1978年に改正した憲法に以下のような条文があります。
台湾は中国の神聖な領土である。われわれは台湾を解放し、祖国統一の大業をかんせいしなければならない。
(序言)1983年に改正された憲法にはこうあります。
台湾は中華人民共和国の神聖な領土の一部分である。祖国統一を完成する大業は、台湾同法を含む中国人民の神聖な職責である。(序言)
2018年に改正された憲法も、この部分は変わっていない。1978年憲法では「解放」だったのが、そのあと「統一」になった。武力解放は控えて、平和統一を表に出した、とも読めます。

米国は、「中国はひとつ」の主張を認めています。そして、台湾(中華民国)と関係を断ちました。ただし同時に、台湾問題は「平和的に解決するように」とクギを差したはずです。米軍は強力で、中国も台湾に手出しできませんでした。

中国では改革開放が進み、台湾では民主化が進みました。国民党の独裁が終わり、民進党が現れて、選挙で政権が交替するようになりました。自由と民主主義が根づきました。

1999年ごろ、米国では、「2010年問題」が盛んに議論されていました。中国軍が、2010年には台湾を実力で解放できるようになる、どうしようというものです。今は2020年です。

当時この問題である米国の専門家が語っていました。中国が軍事力で台湾に手出しすれば、米国は黙っていないでしょう。でも、台湾の人びとが、中国に合流しようと民主的に決めたら、米国は邪魔しますか。答えは、それはどうしようもないです。と語っていました。なんと腰がひけているのだろうと思いました。

中国は、この可能性を、ずっと探っていました。

台湾に親中政権ができて、平和統一の合意ができないものか。香港の一国二制度がうまく行っているとみせることも、作戦の一部でした。でも台湾で、親中政権ができる見込みはなさそうです。それなら、香港の一国二制度はもうどうでも良いと考えたのかもしれません。台湾の武力統一を考え始めた、というサインかもしれません。

中国はその足元をみて、台湾を屈伏させ、既成事実をつくってしまえば、何とかなると思っているかもしれないです。

日本は昔、蒋介石の国民党政権と戦ういっぽう、親日の汪兆銘政権をつくりました。ヒトラーはフランスを軍事的に屈伏させたあと、親独のペタン政権をつくりました。まして中国は、「台湾は中国の一部」としています。親中政権をつくるまでもないです。直接統治してしまえば良いのです。

香港の一国二制度が50年を待たずに、なかったことになりました。国際社会は、無論抗議や批判はしましたが、直接的な軍事制裁や、それ以外の厳しい措置はほとんどしていませんでした。これでは、結局黙認したとみられても仕方ありません。そうなると、中国はさらにエスカレートするかもしれないです。

かつてヒトラーが、ラインラント進駐で味をしめ、オーストリアやチェコに手を伸ばしたのと同じです。台湾を攻める前に、尖閣を奪取して、米国がどこまで本気で反撃するか、試す可能性もあります。

中国が、台湾に侵攻するのは確実だ、と言うのではありません。ありうるシナリオのひとつだ、と言いたいです。そうして、対応を誤ると、その可能性が高まってしまう、と言いたいのです。とはいいつつ、香港は中国と地続きですから、中国も与し易いですが、台湾距離が近いとはいつつ、海峡があります。この海峡を超えて台湾に軍隊を送り、戦うということは、陸上国の中国にとってはかなりの困難が伴うのも事実です。




「深センの香港化、広東の深セン化、全国の広東化」。香港が中国に返還された頃、このようなフレーズがよく語られました。返還後は香港の影響が隣接する深セン、広東省へと及び、最終的には中国全体を変える触媒になるともみられていしました。

1990年代には、そんな楽観的な期待がありました。中国の内地も50年の過渡期が終わる頃には、経済システムだけでなく、政治システムの面でも体制転換が進むのではないかとみられていました。

つまり一国二制度とは、社会主義から資本主義へ過渡期だというわけです。しかし、23年を経た現在、われわれの目前には真逆の状況が現れています。一国二制度は内地同様の社会主義という一制度へ向かって収斂し始めているのです。

国家安全法はそれを確定的なものとしたように見られます。 中国は本法の施行により、香港でも社会主義という名の一党支配体制を実施することを世界に宣言しました。これは世界中に少なからぬ衝撃と落胆を与えてました。

一党支配の権威主義体制を中国の外へも拡大しようとする動きは、一帯一路構想、戦狼外交などにも現れていたところですが、香港での挙動はこれを一層明瞭に裏付けることになりました。 

元来、経済発展に陰りが見えてきたこともあり、経済力にものを言わせた強引な外交は、曲がり角に差し掛かっていました。本法の施行、さらに新型コロナパンデミックの源となったことで、国際社会は中共政権の本質をようやく覚るに至りました。

これを見た各国の中国に対する姿勢に加速度的な変化が生じつつあります。 台湾では今年1月の総統選挙で、中国との統一を拒否する民進党の蔡英文氏が圧勝しました。一国二制度とは社会主義という共産党一党独裁へと進む過渡期に過ぎなかったことを見せつけられた台湾の有権者は、中国が一国二制度ではない別バージョンを打ち出さない限り、今後も中国との統一を支持する可能性はないでしょう。

 中共は、香港版国家安全法により一国二制度に終止符を打ち、自由、人権、民主主義、法の支配といった国際社会で普遍的とされる諸価値を公然と踏みにじってしまいました。国際社会から批判を受けると、それは内政干渉であると強く開き直る姿は、一層グロテスクです。 中共は、引き返し不能な地点に自ら陥ってしまったようです。

ここで、日米豪印の国々が結局なにもしなければ、かつてのナチスドイツのように台湾にも職種を伸ばすことでしょう。

ただ、中国は現在のところは、このブログでも何度か解説させていただいたように、潜水艦隊の能力や対潜哨戒能力ではかなり遅れをとっているので、海洋の戦いでは日米には太刀打ちできません。

仮に、中国が台湾を武力で奪取しようと、多数の艦艇や航空機を送ったとすれば、台湾に橋頭堡を築く前に、ほとんどが撃沈、撃墜されてしまうことになります。

そのことを知っているからこそ、中国は海軍のロードマップては、今年確保することになっている第二列島線はおろか、尖閣諸島を含む第1列島線すら確保できないでいるのです。それが、中国海軍の実力です。


日米はこの優位を崩さないように、潜水艦隊の運用能力や対潜哨戒能力のイノベーションにこれからもつとめていくべきです。

これに対して日本はかなり貢献していると思います。今年の3月に進水した、最新鋭潜水艦「たいげい」は、リチュウム電池駆動で、静寂性をさらに向上させ、潜水時間が長くなっています。静寂性の向上によって、中国側はますますこれを発見することができなくなっています。

防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」では平成22年以降、中国の海洋進出を念頭に日本が保有する潜水艦を16隻から22隻に増強する目標を掲げてきました。「たいげい」が部隊に投入されると、22隻体制が実現することになります。

一方米国の原潜の攻撃力はかなりのものです。空母に匹敵するほどです。原潜は構造上どうしてもある程度の騒音が出るので、中国側もこれを発見できるのですが、米国の対潜哨戒能力は世界一なので、やはり潜水艦隊の運用では米国のほうがはるかに中国よりも勝っています。

この優位がある限り、中国は台湾を武力で奪取することはできないでしょう。仮に奪取しても、潜水艦隊で包囲されてしまえば、補給ができずに、陸上部隊はお手上げになるだけです。

それに最近米国は、台湾にトランプ政権の高官を派遣したり、台湾に武器を提供することを決めたりしました。これは、米国は台湾を守り抜くとの意思表示です。

では、どうなるかといえば、やはり中印国境や中露国境、さらには隣接する中央アジアの国々や、ベトナム、ミャンマーなどの国々が脅威にさらされることになるでしょう。これは、ドイツがラインラントに進駐したのと同じことで、これらの国を侵略しても、当時のように反撃を受けなければ、さらに拡張するかもしれません。

陸上国である中国は、海洋に進出しても、その戦略があまりにお粗末で資源を奪われるだけで、何ら益を得ることはありません。実際、南シナ海の環礁を埋め立てて作った中国軍の基地は、食料・水、燃料などの補給など中国本土から様々な膨大な物資を投入しないと成り立ちません。海水に日々浸潤される人工の陸地は、補修にも膨大な経費がかかります。

ところが、この基地は、何の利益も生みません。沖合にある人工島は、国際法的には恒久的な港湾工作物とは見なされず、領海の画定に影響を及ぼしません。ただし、それは中国には通じないかもしれですが・・・・・。

さらには、軍事的には象徴的な意味しかなく、米国の戦略家ルトワック氏は米軍ならこれを5分で吹き飛ばせるとしています。環礁を埋め立てて基地をつくるというような戦略は何の益も生みません。だからこそ、かつてどの国もこのような戦略はとらなかったのです。

海洋進出にあたって、このようなアイディアを思いつくという事自体が、中国の海洋戦略のお粗末さを物語っています。これでは、中国の海洋進出はこれからも失敗し続けることになり、いずれコスト的にも成り立たなくなります。

世界の国々は、まずは海洋の戦いでは、中国を完璧に包囲するとともに、中国周辺諸国への目配りをすべきです。

台湾を諦めざるをえない、習近平は地続きの近隣の国々への干渉や、圧力をかけたりあるいは侵攻して台湾ではあげられない成果をこちらのほうであげようとするかもしれません。陸上国ナチスドイツがラインラントやチェコに侵攻したのと同じです。私は、そちらのほうが本当の脅威だと思います。

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2020年10月29日木曜日

トランプ・ペンスとオバマ・バイデンの景気回復を比較する―【私の論評】過去最高速の回復、日本も見習え!その要諦はトランプが実証した財政政策と金融政策の両輪(゚д゚)!

トランプ・ペンスとオバマ・バイデンの景気回復を比較する

<引用元:ナショナル・レビュー 2020.10.28>ダグラス・カー著

COVID-19不況からの回復は、歴史的水準からみて著しく迅速

米国はわずか12年のうちに、2つの最も厳しい景気停滞を経験した。2008年の金融危機とコロナウイルス・パンデミックだ。

どちらの不況もうんざりするような損失を与えた。2008年の危機は、2009年第2四半期に2007年第4四半期から4.0パーセントのGDP低下を引き起こした。コロナウイルス・パンデミックは、2019年の最後の四半期から2020年の第2四半期までに、より短い期間でより著しい10.1パーセントの低下を引き起こした。GDPデータは四半期ごとにしか出ないため、月ごとの経済統計がトランプ・ペンスとオバマ・バイデンの回復を比較する上での基準となる。

GDPに加えて、広く認められた重要な指標には、非農業部門就業者数小売売上高工業生産高耐久財受注、そして住宅着工件数があり、全てが毎月評価されている。

下の表ではこうした指標の比率の変化が、不況前の月から底、つまり不況の底値に至るまでと、底値から5カ月後に評価されており、不況に関する権威として広く認められた全米経済研究所(NBER)が規定する期日を使用している。NBERはまだパンデミック不況の終わりがいつか規定していないが、恐らく2020年4月が選択されるだろう。


いずれの不況も世界大恐慌以来で最悪の落ち込みの1つになった。COVID-19不況では、雇用と小売がより悪く、2008年の危機では工業生産高、耐久財、住宅着工件数がより悪かった。それぞれのカテゴリーで、トランプ政権の回復は、オバマ・バイデン政権より劇的に強力だった。小売と住宅着工件数は、オバマ政権よりトランプ政権のほうが、25倍から100倍速く伸びた。工業生産と耐久財受注は、当時より現在のほうが3倍以上速く上昇した。雇用はトランプのほうが9.5パーセント速く増加した。

オバマ・バイデンの回復は、はるかに遅く、次の表で分かるように、トランプ回復の最初の5カ月で見られる増加を果たすのにさらに多くの月を要した。


トランプ政権が5カ月で獲得した雇用増加と小売り売上高を生み出すのに、オバマ・バイデン政権では6年以上を要した。工業生産高、耐久財、そして住宅着工件数はすべて、オバマ・バイデンよりトランプの下ではるかに急速に伸びた。

トランプ批判者は、パンデミック不況をトランプ政権のウイルス対応の失敗のせいだと言っている。どのようなつまづきがあったとしても、米国経済は、コロナウイルスに対して多かれ少なかれ、異なる対応を実施した場合と同等の経済よりも、高いパフォーマンスを出している。国際通貨基金は、2019年から2021年まで、米国はユーロ圏と日本より3パーセント以上速く成長するだろうと予測している。

確かに2つの大きな不況は、多くの点で似通っているが相違点もあり、経過が完全に比較できない恐れもあるが、厳密に比較する必要はない。オバマ・バイデン回復の最初の低調な5カ月は、米国の歴史上で最も遅い回復という結果をもたらした。パンデミックからの完全な回復までは、まだ長い道のりが残っている(そして、まだ分からないが、第2波の可能性も残る)が、トランプ政権の最初の5カ月の回復は、米国で史上最速のものだ。

ダグラス・カーは、金融市場・マクロ経済学研究者。シンクタンク研究員、教授、会社役員、投資銀行家の経歴を持つ。

【私の論評】過去最高速の回復、日本も見習え!その要諦はトランプが実証した財政政策と金融政策の両輪(゚д゚)!

米商務省は29日、2020年7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)を発表します。年率換算の前期比で二桁のプラス成長が見込まれ、マイナス31・4%と過去最大の下落率だった4~6月期から大きく反発します。新型コロナウイルスの感染拡大で急失速した景気は改善していますが、回復の勢いが持続するかが今後の課題です。

市場予想はプラス31%前後(ロイター通信調べ)と記録が残る1947年以降で最大の上昇率になると予想されています。これまでは50年1~3月期の16・7%増が最大でした。このときの大統領は民主党のハリー・トルーマン、副大統領はアルバン・W・バークリーでした。今回は、この民主党による記録を破ったのです。

新型コロナ感染を防ぐ営業規制や外出制限が響き、4~6月期のGDPは戦後最悪のマイナス成長となりました。雇用も深刻な打撃を受け、失業率は4月に戦後最悪の14・7%を記録しました。

ただし、トランプ米政権が3兆ドル(約310兆円)超の経済対策を実施し、企業や家計を手厚く支援。連邦準備制度理事会(FRB)も大胆な金融緩和を実施したため失業率は5カ月連続で低下(改善)しています。

この改善の速さをみれば、トランプの経済政策は正しいと言わざるを得ないです。トランプ政権による3兆ドル超の経済対策の実施が功を奏しているは間違いないですが、トランプ大統領は、FRBに厳しい注文をつけており、それに関してはFRB議長もトランプ大統領が正しかったことを後に述べています。

これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクをいかに掲載します。
トランプが最初から正しかったとFRBが認める―【私の論評】トランプの経済対策はまとも、バイデンの対策は異常、日本は未だ準備段階(゚д゚)!

ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長

この記事は、今年9月6日のものです。この記事より一部を以下に引用します。

だが過去数年の間で、トランプこそがFRBは引き締め過ぎていると警鐘を鳴らしてきた人物であり、物価と長期金利(市場価格)の下落からも分かるように、期待インフレ率はFRBの目標の半分となっていることを示している。

トランプはエコノミストとしての訓練を受けていないかもしれないが、成長を作り出すということに関して、この不動産王は不思議な直観を持っている。

今年の初めのパンデミック以前、経済は今世紀最高のペースで前進していた。

だが、FRBがトランプの(そして我々の)助言に従っていたら、実質GDPと賃金はもっと高い成長の潮流に乗っていただろう。トランプは近代経済学に浸透する成長モデルに対する間違った考え方の制限を本能的に拒否していた―我々と同様に。

この記事にもあるように、もしFRBがトランプの助言に従っていれば、実質GDPと賃金はもっと高い成長軌道に乗っていたはずであり、私はさらにコロナによる不況からの立ち上がりも早かったかもしれません。

もし、FRBが姿勢を変えなければ、もつと回復は送れていたかもしれません。

トランプ大統領が、 3兆ドル(約310兆円)超の経済対策を実施し、さらにFRBがまともな緩和を策を始めたことにより、今になってようやっとプラス31%前後の過去最大成長率を達成することが見込まれることになりました。これは、大統領選でも有利に働くことになるでしょう。

何しろ、バイデン氏は様々な政策を打つとは言っているものの、その財源は増税によるとしています。これでは、日本の財務省とあまり変わりありません。

さて、日本はどうだったかといえば、以下にほんの少しだけ2008年の状況を掲載します。

1月21日 東京証券取引所の日経平均株価が535円35銭値下げしたのをはじめ、インド・ムンバイ証券取引所で平均株価が一日当たり過去最大の下げ幅を記録するなどアジア各地の証券市場が軒並み暴落

10月27日  日経平均株価、2003年4月のバブル崩壊以降最安値を更新、前週末比486円18銭(6.36%)安の7162円90銭となり、1982年10月7日以来26年ぶりの安値水準を記録
10月30日 麻生太郎首相、記者会見で総事業規模26兆9,000億円の追加経済対策概要を発表、同時に、3年後の消費税率引き上げ案、及び現時点での衆議院の解散・総選挙はないことを明言。
一言でまとめると、当時の日本は世界的な金融情勢の変動に巻き込まれ、株価暴落や円高ドル安などの大幅変動の最中にありました。

この最中にあって、米国、EU、中国、英国など他の殆どの国々がこぞって金融緩和をしたのですが、日銀は実施しませんでした。そのため、超円高・デフレになりました。

さらに、政府は追加経済対策などを実行しましたが、確か真水の経済対策は記憶では数兆円だったと思います。これでは、焼け石に水に過ぎず、少なくとも真水で最低10兆円、できれは20兆円くらい実施すべきでした。

現在のコロナ禍での給付金と同じように給付金も配布されたのですが、給付対象者1人につき12,000円。ただし、基準日において65歳以上の者及び18歳以下の者(1990年2月2日生まれの者も含む)については8,000円加算され、20,000円という、みすぼらしいとしか言いようのないものでした。

日銀も大規模な金融緩和を実施せず、政府もまともに財政政策を実施しなかったため、どういうことになったかといえば、リーマンショック時のショックの震源地である米国や、悪影響をかなり被った英国が比較的はやく立ち直ったにもかかわらず、本来あまり影響を受けていなかったはずの日本が一人負けの状態となりなかなか立ち直ることができませんでした。

ただし、このときの米国はオバマ政権であり、トランプ政権の現在のコロナからの立ち直りより、はるかに遅いのです。

しかし、日本はこのオバマ政権の米国よりも、さらに回復が遅かったのです。当時の日本政府(麻生政権)は、最低最悪の経済対策を実施したということです。

まともなエコノミストが口を揃えていうところでは、不況になった場合は、金融政策と財政政策の両方を速やかに強力に実施し、いち早く不況から抜け出すべきと主張していますが、まさにそのとおりです。

以前、私はこのブログで菅政権はトランプの経済対策を見習えと主張しましたが、今回はこの主張が正しかったこと裏付けたと思います。

米経済の回復をさせたトランプ大統領

日銀の金融緩和政策については、日経新聞の経済面を見ると、「物価目標2%というのも見直すべきなのではないか」というような話も出ています。それも、高い方で見直すのではなく、「2%は達成できないのだから1%にしろ」というような内容です。

金融政策は雇用に結びつく(緩和をすると新規雇用が生まれる)ということが米国では当然のこととみなされ、雇用はFRBの責任であるとみなされています。雇用さえ確保できればいいので「雇用を確保するときに、物価は上がり過ぎてはいけませんよ」というのがインフレ目標の意味なのです。

実際2%にならなければ大きな問題にはなりません。金融緩和政策をよくレンジで決めようとする人がいるのですが、正しくは「何々以下」です。以下であればいいのです。欧州中央銀行(ECB)ではインフレ目標が「何々以下」となっています。金融緩和をしても、2%以下なら良いのです。

無論金融緩和をして、2%以上になれば、それは問題で緩和策をすみやかにやめて、引き締めに転じ、それでも2%以上になるなら、増税をすれば良いです。

思い切った緩和をしても、2%以下であれば良いのです。「2%」でなけばならないということではありません。にもかかわらず、「達成していないではないか」という批判は、そもそもこれを理解していないということになります。

そもそも、「雇用を良くする」というのが正しい理解なのです。雇用が良くなっていても、2%を超えてしまっては良くないということですので、「2%でなければ達成していない」と言う人は、全く金融緩和のことを理解していないと言っても良いです。

さらに、日本ではなぜか不況になった場合には、財政政策のみを実行せよとか、金融政策のみを実行せよという人も多いです。なぜか、金融と財政を両方実行するという2つのことを同時に実行すべきということが理解できない人も多いです。

しかし、以上で述べた批判は間違いであることを、まさにトランプが実証したと思います。

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