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2018年5月12日土曜日

【日本の解き方】野党「18連休」と国民民主党 立民と「左派連立」目指すも、経済政策の無理解が問題だ ―【私の論評】多数派の意見や考えを無視しては、政治もマスコミも成り立たない(゚д゚)!

【日本の解き方】野党「18連休」と国民民主党 立民と「左派連立」目指すも、経済政策の無理解が問題だ 

野党合同ヒアリングで関係各省庁の職員から聞き取り
を行う野党議員(奥列)=8日午後、国会内

民進党と希望の党が合流した新党「国民民主党」が誕生したが、離党者も数多く出て、衆院で野党第1党になれなかった。今後、立憲民主党との違いを打ち出すことができるのだろうか。

日本維新の会を除く野党6党は、大型連休の間、本職であるべき国会審議を拒否し、連休明けを含めなんと18連休だった。その間、辞任要求をしていた麻生太郎財務相が国会に出ているのに、目の前のクビを取るための質問を国会でしなかった。

一方で、国会外で「野党合同ヒアリング」と称して、国会答弁もできない下っ端官僚をつるし上げていた。これは、ある意味でパワハラだ。答弁能力のない下っ端官僚が同じ答弁を繰り返すたびに、一部野党の議員に怒鳴り上げられ、さすがに気の毒だった。


動画はブログ管理人挿入

これには6野党支持者からも批判が出て、8日から国会審議を再開せざるを得なくなった。

そして「連休」明けの7日、野党の18連休の最後の日に、国民民主党の結党大会が開かれた。

民進党は53人、希望の党は54人だったので、本来なら合流した国民民主党は107人になって衆参両院ともに野党第1党になるはずだった。しかし、実際に参加したのは衆院議員39人、参院議員23人の計62人。約4割が新党に参加しなかったことからも、その期待度がうかがえる。新党は今の状態より良くなるために参加するのが通例だが、機を見るに敏な国会議員も見限っているのだ。

希望の党からの参加者は、現実的な安全保障や憲法改正への賛成など、旧民主党時代の曖昧な安全保障・憲法改正論議から大きく舵を切っていた人も少なくなかった。国民民主党ではそうした大きな国の方向性は議論しないらしいので、再び旧民主党時代に戻ったかのようだ。

国民民主党は旧民主党の中ではやや右の中道路線だが、立憲民主党は旧民主党の左派である。国民民主党は、旧民主党のように大きな問題の議論を避けるが、立憲民主党は左派路線そのものを隠そうとしない。

この意味で、コアな左派は立憲民主党のほうに魅力を感じるだろう。国民民主党は、リアルな安全保障や憲法改正の主張をすると、自民党との差別ができなくなってしまうジレンマがある。

この点から、立憲民主党の方から合流を申し入れることはなさそうなので、国民民主党が立憲民主党と合流して、旧民主党が復活するようなことは当面ないだろう。両党は広い意味での左派政党を目指しているが、旧民主党が分裂してできた経緯から、合流することはなく、両党が合わせて過半数を取ったときには連立政権を組むのだろう。保守系の自民党と公明党のように、政党は違うが連立パートナーになるという腹づもりのようだ。

しかし、問題は、本コラムで何回も繰り返しているように、両党ともに、雇用を増やすマクロ経済政策や金融政策について勉強不足であることだ。とても左派政党を名乗る資格はない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】多数派の意見や考えを無視しては、政治もマスコミも成り立たない(゚д゚)!

最近さらに、雇用情勢が改善されています。それは統計数字だけではなく様々な現場にも反映されています。たとえば、最近日本郵便が法人向けの郵便物の集荷サービスを6月末に廃止する方針を固めました。

人手不足の日本郵政は法人の郵便物の集荷を廃止する

宅配便「ゆうパック」の取扱量増加で人手不足が常態化する中、無料で実施してきた法人の郵便物の集荷を継続するのは困難と判断したのです。同社は既に年明けから、集荷を利用してきた法人顧客にサービス廃止の通知を出していますが、顧客から不満も出そうです。

昨年はヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスは4月、健全な労働環境を守ることを理由に27年ぶりの運賃値上げの方針を発表しました。

昨年はクロネコヤマトの運賃が値上げに

2年続けて、物流に関連する大手企業が運賃をあげたり、サービスを停止したりする状況に追い込まれています。これは、明らかに2013年度から継続してきた金融緩和による雇用増による人手不足によるものです。

このような状況になっても、高橋洋一氏がブログ冒頭の記事で掲載しているように、立憲民主党も国民民主党も、雇用を増やすマクロ政策や金融政策について理解していないようです。特に金融政策に関する理解は最悪のようです。

経済理論など理解しなくても、もう現在の人手不足の状況は理解できるはずです。そうして、この人手不足は金融緩和策による雇用の改善であることも理解できるはずです。

さらに、もっと目利きなら、難しい経済理論など理解していなくても、クロネコヤマトや日本郵便がここしばらく現場の人の採用を多めに行ってきたことにより何が起こったのかも、肌で感じることができるはずです。

クロネコヤマトも、日本郵便でも、まずは現場の人間を増やすのは当然のことです。管理職や、役員を増やすよりも、まずは現場のパート・アルバイトなどを増やすはずです。そうなると、何がおこるのか、会社単位でも平均賃金は下がります。

国レベルで全産業でこれがおこれば、当然実質賃金は下がります。実質賃金は平均値でみるからです。しかし、野党は実質賃金が下がったことを「実質賃金ガー」といって安倍政権を批判するばかりでした。

金融緩和策による雇用の改善は、労働者の雇用を改善するということで、世界中の左派政党や、労働組合などが賛成している政策です。野党は、良く女性の議員や閣僚数などを日本と比較するということなどで、良く海外のことを調べるのですが、金融政策についてはなぜか全く比較もせず、調査もしていないようです。

この世界中の左派政党や、労働組合が賛成している金融緩和策を安倍総理は2012年の政権交代選挙で公約として選挙に勝利し、2013年4月から日銀は大規模な量的金融緩和に踏切りました。それから5年間、途中で8%増税がありましたが、継続して量的緩和を行ってきた結果が今日の雇用情勢の過去にないほどの改善と、人手不足です。

保守派の安倍総理が金融政策で雇用を改善したにも関わらず、国民民主党も立憲民主党も金融緩和政策についてほとんど理解を示していません。

彼らは、元々経済がよくわかっておらず、「 政権や権力と戦うのが自分たちの使命」と思いこんでおり、とにかく「安倍には反対」という姿勢に凝り固まり、安倍総理の実施する金融緩和にまで反対してしまったというのが真相だと思います。

そうして、国民経済を良くするために、左派的な手法でも過去に十分にその効果が確認されている金融緩和策を導入する保守派の安倍総理と、安倍総理が実行している政策であるから反対という左派政党のどちらが国民にとって良いかといえば、無論安倍総理のほうが良いに決まっています。

国民のことを考える政治家と、自分たちの都合しか考えない政治家のどちらが国民に支持されるのかといえば、当然のことながら国民のことを考える政治家です。しかし、そのことに国民民主党も立憲民主党も含めた日本の野党は、何度選挙で惨敗しても理解できないようです。

そうして、選挙で惨敗し続け、少数派の支持しか受けていない野党に肩入れするマスコミもこのことを理解できないようです。

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(万部)

実際、主要全国紙の朝刊販売数は都市を経るごとの減少しています。この減少は無論インターネットの普及という面もありますが、新聞の報道姿勢が国民の多数派の意見や考えを無視しているということも多いに影響していると思います。

朝朝日新聞は不動産事業で儲けているから、部数が減っても問題ないとよくいわれます。しかし、過去5年の朝日新聞社の財務諸表を徹底分析すると驚くべきことがわかっています。

年5%の部数減で、朝日は倒産の危機に陥るというのです。去年のデータでは40万部減、すでに5%以上部数を減らしています。「朝日廃刊」はもう荒唐無稽の話ではありません

国民民主党や立憲民主党を含む野党は、自ら多数国民を無視して、少数派になる道を選び続ける一方、新聞などのマスコミも少数派である野党にばかり肩入れしています。

少数派であることや、少数派にばかり肩入れすることに固執すれば、やがて自らも少数派になり滅んでいくのは自明の理だと思います。

無論少数派の意見や考えを無視しろと言っているわけではありません。彼らの意見も尊重すべきです。しかし、多数派の意見や考えを無視しては、政治もマスコミも成り立たないのは自明の理です。野党や、マスコミはこれをどう見ているのでしょうか。

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2018年4月30日月曜日

「ガラパゴス」ぶり突出、野党が驚愕の17連休“世界の恥” 政治学・岩井教授「先進国で審議を放棄するケースまずない」―【私の論評】官僚は統治に走り、野党政治家は実行ばかりに注目する国日本の不幸(゚д゚)!

「ガラパゴス」ぶり突出、野党が驚愕の17連休“世界の恥” 政治学・岩井教授「先進国で審議を放棄するケースまずない」

野党6党は、国会審議を欠席しながら、「官僚イジメ」といわれる合同ヒアリングには熱心だ 

 野党6党の「ガラパゴス」ぶりが突出している。大型連休前の27日も衆院本会議などを欠席する「職場放棄」を強行し、驚愕の「17連休」を決定的にしたのだ。同日、南北首脳会談が行われ、朝鮮半島情勢が激動するなか、国会審議を拒否し続けるつもりなのか。欧米の先進国ではあり得ない怠慢行為に対し、識者からは「異常だ」「恥ずかしい」などと批判が噴出している。

 政府・与党は27日の衆院本会議で、今国会の最重要法案と位置づける「働き方改革法案」の審議を始めた。議場に野党6党の姿はなく、その後の衆院厚労委員会も、日本維新の会以外の野党はボイコットした。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は、働き方改革法案の審議入りについて「大型連休前の駆け込みでの審議入りを強行したのは、信じられない」と批判した。

 だが、野党6党は法案と直接関係がない、麻生太郎副総理兼財務相の辞任などを要求して審議拒否している。これらは、海外にも共通する国会戦術なのか。

日本大学の岩井奉信教授(政治学)

 日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「野党が演説を引き延ばし、対抗する手法は米国でみられるが、先進国で審議自体を放棄するケースは、まずない。与野党が『議論を尽くし、多数決で決める』ことで合意しているためだ。日本の野党には戦略がなく、時代錯誤も甚だしい。時間とお金のムダであり、有権者の支持は得られないだろう」と指摘する。

 野党が欠席戦術で、法案審議の「時間切れ」を狙う背景には、150日という通常国会の会期も影響しているという。岩井氏が続ける。

 「欧米では、国会が1年以上にわたって開かれ、審議を引き延ばす意味がない。日本は、審議時間をめぐる駆け引きが国会戦術の主要部分を占め、政局につながりやすい。立法府は議論する場であり、通年国会を導入するなど、審議のあり方を見直すべきだ」

 野党の「ガラパゴス」ぶりは、安全保障への「無関心」にも表れている。野党6党が20日に「職場放棄」に走るまで、国会で本格的論戦は交わされず、自衛隊の日報問題ばかりが取り上げられた。

拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授

 米国事情に精通する拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授は「米国は、国益を守るために安全保障を重要視し、与野党が異なる立場で真剣に議論を戦わせる。『反対のための反対』に固執する日本の野党とは大違いだ。北朝鮮情勢が予断を許さないなか、今の日本は、海外から『国益を守る議論もせずに、大丈夫か?』と批判されても仕方ない。異常だ。情けない」と話している。

【私の論評】官僚は統治に走り、野党政治家は実行ばかりに注目する国日本の不幸(゚д゚)!

野党は政府の役割は何なのか、おそらく全く理解していないのでしょう。政府の役割につては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
ただ事ではない財務省の惨状 同期ナンバーワン・ツー辞任 ちやほやされてねじ曲がり…―【私の論評】統治と実行は両立しない!政府は統治機能を財務省から奪取せよ(゚д゚)!

この記事より、政府の役割に関する部分のみ以下に引用します。

"
経営学の大家ドラッカー氏は政府の役割について以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないと喝破しました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。
 といいます。
"
政府の役割は実行ではなく、“決定”と“方向付け”と“エネルギーの結集”です。そうして、これが統治というものです。

現在の政府は、下部組織として様々な官公庁があり、これらが政府の統治にもとづき実行をするようになっています。しかし、これは必ずしもはっきりと区分されているわけではありません。

実際、日本では官僚が統治の分野まで踏み込んでしまっているというのが、非常に問題です。その中でも、国の財政の実行を司るべき財務省が、本来は政府により実行されるべき日本国の財政の決定と、方向付けとエネルギーの結集という統治の分野にまで踏み込んでいることが、大問題なのです。

実際、財務省は緊縮財政、その中でも特に増税を巡って政府とバトルを繰り広げるなど、統治と実行は両立しない(両立されれば片方もしくは両方が機能しなくなる)という統治の原則を破っています。そうして、過去数十年にわたって、政府も財務省も財政においてまともな成果をあげられていません。

そのせいもあってか、日本のGDPの成長率は未だ韓国以下です。だから、政府は財務省が統治に関わることを禁忌とすべきなのです。この禁忌を破った官僚は、左遷するなり辞任させるなりすべきなのです。

そうして、財務省から統治機能をとりあげ、財務省の中では、財政企画と実行を厳密にわけて別組織にすべきなのです。

このように、日本では官僚が統治をするという間違いが放置されていますが、もう一つ問題なのは、野党が政府の役割である統治を何であるのかを理解していないということです。

政府の役割は日本国を統治することであり、政治の関心は政府の統治に向けられるべきなのです。無論、実行に関して全くノータッチということにはいきません。特に、統治に瑕疵があって、実行に問題が生じている場合は、その瑕疵を是正しなければなりません。

しかし、政治の関心は主に政府の統治に向けられるべきです。そうして、政府の統治が民主的手続きにのっとり、効果的になるようにしなければなりません。それが、政治家の本来の仕事です。

しかし、最近の野党の行動をみていると、これを全く理解していないのではないかと思います。

まずは、野党6党は、国会審議を欠席しながら、「官僚イジメ」といわれる合同ヒアリングには熱心であるという本末転倒の行動をしています。

合同ヒアリングに出て来るのは、財務省の課長クラスです。この人たちは、財務省の幹部クラスの官僚から指示を受けて、財政の実務を実行する際の責任者であり、この人たちからヒアリングをしたり、イジメてたとしても、これは政府の統治とは直接関係ありません。

考えてみると、最近の野党は統治とは全く関係ない、実行にばかり注目して、その実行に関して瑕疵はないかと追求し、批判するばかりで、統治には全く目が向いていません。

考えてみると、保育園の問題も実行レベルの問題です。保育園の問題は政府レベルの問題ではなく、地方自治体の実行レベルの問題です。これは、とても政治の本質に関わる問題とはいえません。

保育園の問題でも、実行レベルにだけ目を向けるのではなく、幼児教育に関わる“決定”と“方向付け”と“エネルギーの結集”について、議論をして、これらが効果的に実行されるように法律案を提出することが、政治家の本来の仕事であるはずです。

考えてみれば、森友問題、加計問題なるものもそうです。これも、本来政府の統治ではなく、実行に関わるものです。無論実行に関わるものも、何か瑕疵があった場合、それが政府の統治の瑕疵に原因がある場合もありますから、実行に関して一切関わるべきではないとはいいません。

しかし、結局のところ過去一年以上かけても、安倍総理や昭恵夫人をはじめとして、政府からは誰も責任をとって辞任するという事はありませんでした。あったのは、文書書き換えに関して佐川氏が辞任したのと、最近福田氏がセクハラ問題で辞任したくらいです。未だに、政府の統治レベルの問題にはなっていません。

これらは政府の統治に関わるものではなく、あくまで近畿財務局や文部省などの実行に関わる分野の問題です。自衛隊の日報問題も同じことです。これも、政府の統治に関わるものではなく、あくまで実行に関わるものです。

先程述べたように、政治家の本質は、政府の統治に関わることが本質です。

日本では、官僚が統治に走り、野党の政治家が、こぞって実行にばかり目を向けるということが恒常的に行われています。

それによって、何が国民にもたらされたかといえば、お粗末な財政政策により、結局GDPの伸び率が韓国に劣るような状態をもたらし、過去の国会は本質的ではない「もりかけ問題」で1年以上も無駄な時間が費やされてしまいました。

それに追い打ちをかけるように、野党は「職場放棄」を強行し、驚愕の「17連休」を決定的にしてしまいました。

野党の皆さんには、言いたいです。こんなことを続けるなら、政治家はやめるべきです。そうして、市民運動家になるべきです。それも、「〇〇反対運動」などの左翼系市民運動などではなく、社会の矛盾を是正したり、社会のニーズやウォンツを探り出しれそれに対処するようなNPOなどをたちあげて、社会実行レベルの様々な分野での社会事業で成果をあげて下さい。



たとえば、まずはある都市で、政府や自治体の力も借りながら、新しい画期的な保育園の管理手法を開発し、本当に保育園に行かなければならない幼児が行けなくなるという状況を防ぐ方法を開発して下さい。これが開発できれば、他の都市に広めて下さい。

そうして、全国にそれを広めるのです。このようなことは、本来政府や自治体が直接手をかけるよりも非営利事業(NPO)が取り組んだほうが成果をあげやすいです。

「審議拒否」など頻繁にして、国民に馬鹿にされ疎まれる存在になるくらなら、社会事業家になって具体的に社会の矛盾などを是正する仕事をしたほうが、政治家として軽蔑されるよりも、多くの人から尊敬され充実した人生が送れます。

何よりも、選挙で落ちることを心配する必要もなくなります。

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2018年4月26日木曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 野党は審議拒否でなく法改正対応案を提出すべき―【私の論評】野党は本来政府の統治を監視し間違いがあれば正すべき存在(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 野党は審議拒否でなく法改正対応案を提出すべき

先日、あるラジオ番組に出演した。といっても、スタジオには行かずに、10分弱の携帯電話での出演なので、気楽に対応できる。

案件は、財務省の福田事務次官(当時)の辞任に関することだった。

野党6党合同ヒアリング

今の国会の惨状は見かねる

  まず、福田事務次官の退職金5300万円が高すぎないかというスタジオのコメンテーターからの問いかけだ。筆者は、その感想は人によって違うだろうが、退職金計算は法律によって決められていると答えた。筆者は高すぎるとの答えを期待されていたようだが、元官僚らしい事務的な答えにスタジオは意表を突かれたようだった。

  次に、今回のような不祥事に対して、何かすべきことはないかという問いだった。筆者は、20年前に「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」があって、そのときには、大蔵省解体といって、当時の大蔵省から金融行政部門が分離されたといった。

ノーパンしゃぶしゃぶで一躍有名になった「楼蘭(ローラン)」のパンフレット
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

   それに対し、そうした意見がなぜ今の財務省の内部から出てこないのかと聞かれた。そのコメントを聞いたとき、組織解体論はその組織から出てくるはずがないだろうと思ったが、ラジオでの答えは、そうした官僚組織の対応は法改正によって行うので、立法府である国会議員がやるべき仕事であるといった。その答えに、スタジオは納得していない雰囲気だったので、今の国会では、野党は(維新を除いて)審議拒否している。官僚の不祥事に文句をいうには、法改正案を提出して対応すべきといった。

   正直いって、ラジオ番組の雰囲気になじまなかったのかもしれないが、今の国会の惨状は見かねる。

野党6党合同ヒアリングは「パワハラ」か

    吉村洋文・大阪市長が24日午前の衆院厚労委に参考人として出席したが、野党6党は審議拒否で欠席した。先日も、国会で参考人を呼んでおきながら、野党6党は参加しなかったが、これは忙しい中で出席している参考人に失礼だろう。

吉村洋文・大阪市長

   野党6党は、麻生財務相の辞任などを要求して審議拒否なのだが、驚くべきは自らが共同提出した生活保護法改正案の審議も拒否している。これは、立法府の国会議員としての自己否定になる暴挙だ。

    国会議論を拒否しながら、野党6党合同ヒアリングを開き、そこに官僚を呼びだして、連日つるし上げている。

   そこに出席している官僚は、国会で政府参考人として答弁する局長レベルではなく、答弁できない課長レベルの人だ。当然のことながら、彼らが役所から与えられている発言権は極めて小さいので、同じ答弁を繰り返さざるをえない。野党6党は、相手の官僚が同じことを繰り返しまともな反論ができないことを知りながら、罵倒している。

   この光景はテレビでごく一部は報道されるが、ネット上では全体が流れている。全部を見たら、1時間ほどの野党議員による官僚への「パワハラ」に見えなくもない。

    財務省不祥事にはいいたいことが山ほどあるのは理解できる。財務省解体、消費増税ストップなど筆者もいろいろな意見がある。国会議員は、そうした意見を立法によって実現できる。

    国会での審議拒否ではなく、まともな法改正対応案を国会に提出して、国会議員としての職務をおこなうべきである。国会場外で答弁能力のない下っ端官僚を怒鳴るより、国会において対応法案を提示し大臣と議論して欲しい。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「大手新聞・テレビが報道できない『官僚』の真実」(SB新書)など。

【私の論評】野党は本来、政府の統治を監視し間違いがあれば正すべき存在(゚д゚)!

この野党の審議拒否に関しては、テレビ報道でも批判されています。本日バイキングを見ていたら、さすがに野党の審議拒否に関しては否定的なコメントがなされていました。

さらに、驚くべきことに、野党の議員は午前中には、審議拒否をしながら、午後の園遊会にはちゃっかり参加している野党議員が大勢いたことが明らかになりました。

自民党の宇都隆史参議院議員のFacebookのコメントを以下に掲載しておきます。
春の園遊会、午前中までの土砂降りが嘘のように、晴れ間が見えました。両陛下の御健康と皇室の弥栄を祈念申し上げます。 
しかし、午前中の本会議も審議拒否、国会議員としての本分を放棄しているにもかかわらず、園遊会にはちゃっかり出て来て飲み食いする野党議員の数々…諸君、お天道様に恥ずかしくはないかい?

通常の神経なら、園遊会の参加は見合わせても国会の審議には出席するというのが常識だと思います。したがって、国会を審議拒否で出席しないというのなら、園遊会への参加も見送るべきでしょう。

もう野党議員は、次の選挙では当選するかどうかもわからないので、議員である間に議員として享受できる名誉、特に天皇陛下臨席の園遊会には何が何でも参加したいということでしょうか。

本来なら審議拒否などしないで、国会審議に参加した上で、園遊会にも参加すべきだったでしょう。

これは、常識を疑う行為ですが、そもそも野党の議員らは、政府や国会の役割など全く理解していないのではないでしょうか。

先日もこのブログに掲載したことですが、政府の仕事の本筋は日本という国の統治です。実行することは、本筋ではありません。これに関しては誰も否定できないでしょう。これを否定するような人は、そもそも政治を語る資格がありません。

しかし、「統治」とは一体何をすることなのかと、問われるとすぐに答えらない人もいるかもしれません。これは、社会の中であらゆる組織において実際に「統治」に関わる人の数が圧倒的に少数だからだと考えられます。それに、学校などでもまともには教えられていません。

一般的な辞書の定義だと統治とは、「特定の少数者が権力を背景として集団に一定の秩序を付与しようとすること。政治とほぼ同義に用いられることが多いですが、厳密に解すれば、統治は少数の治者と多数の被治者との分化を前提とし、治者が被治者を秩序づけることを意味するのに対して、政治は、少なくとも、対等者間の相互行為によって秩序が形成されることを理想としている」などと定義されています。

しかし、これでは「統治」の本質をあらわしていません。特に政府の役割としての「統治」をあらわしていません。この政府の役割としての「統治」については、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ただ事ではない財務省の惨状 同期ナンバーワン・ツー辞任 ちやほやされてねじ曲がり…―【私の論評】統治と実行は両立しない!政府は統治機能を財務省から奪取せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事ご覧いただくものとして、この記事から政府の役割としての統治に関する部分のみを引用します。

"
経営学の大家ドラッカー氏は政府の役割について以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないと喝破しました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。
 といいます。
"
野党はこの政府の役割である「日本国の統治」ということをほとんど理解していないのだと思います。だからこそ、高橋洋一氏が指摘するように「野党6党合同ヒアリングを開き、そこに官僚を呼びだして、連日つるし上げている。 そこに出席している官僚は、国会で政府参考人として答弁する局長レベルではなく、答弁できない課長レベルの人だ」のようなことをしているのです。

財務省の課長レベルの人は、あくまで実行をする部隊であって、統治とは直接関係ありません。本来政府の「決定と方向付け」に従い、実行をする人です。

ただし、財務省に問題がないとはいいません。しかし、その問題の本質は野党が批判する、文書書き換えやセクハラなどの問題ではありません。これは、実行に関する問題であって、統治に関する問題ではありません。だからといって、一切無視するなともいいませんが、これは明らかに本筋ではないのです。

財務省の問題の本質は、財務省が中途半端に「統治」をしていることです。特に財政に関して政府の決定に従うのではなく、「増税」の意思決定をしたり、「緊縮財政」の意思決定をして、それを実行しようとして官邸とバトルをしたり、マスコミや国会議員、識者などの働きかけるなどの明らかな越権行為があるということです。

日本などの民主的な国家においては、国の統治は選挙という民主的な手続きを経て議員となった人から構成される政府によって行われるべきものです。選挙という民主的な手続きを経ていることが、「統治の正当性」を保証するのです。

しかし、官僚は選挙を経てなるものではないので、統治の正当性はないのです。本来統治してはいけないのです。彼らが行うべきは統治ではなく、実行なのです。マックス・ウェバーが指摘していたように、官僚組織は、すでに決まったことを効率よく実行するための組織なのです。

財務省が実質的に財政の方向性を定めるような統治機能の一部を担い、統治と実行を両立させようとするがゆえに、統治能力が麻痺し、デフレの真っ只中において増税するなどの方針を定めるなど、まともな財政政策ができなくなるのです。

野党は、このような統治に関することを問題とするのでなく、実行レベルの問題ばかり追求し、政府を批判します。実行レベルの問題は、本筋ではありません。本来ならば、財務省が中途半端に統治をしている実体を批判すべきです。

そうして、それは国会の審議の場で、財務大臣や政府を相手に批判すべきなのです。そうして、批判するだけではなく、実際に財務省が中途半端な統治を行っていることにより、政府の統治に瑕疵(かし)が生じている実体を明らかにし、それを防ぐ手立てとしての法律の改定や新設を政策案とともに提案すべきなのです。

無論、政府も財務省から中途半端な「統治の機能」を取り上げるべきなのです。野党は、政府を批判するなら、実行レベルの事柄を批判するのではなく、財務省から「統治の機能」を取り上げることをしない政府と統治機能を堅持しようとする財務省の官僚を批判すべきなのです。

民主主義体制下の国会議員の仕事の本質は、政府が民主主義的な手続きにのっとり統治ができるようにするために、監視をしたり、瑕疵(かし)があればそれを正すために法律案を出したり、政策案を出すことです。野党は本来政府の統治能力の問題を批判し正すべき存在のはずです。

しかし、野党の議員を責めているだけでは、何の問題の解決にもなりません。実際、今の彼らの大部分は選挙に勝つための選挙互助会を求める烏合の衆に過ぎず、まともにものを考えられないようです。だから、頓珍漢な行動をとっていても自分たちは気づかないのです。

本当に必要なのは以前このブログにも掲載したことのある、立憲主義(ブログ管理人注:立憲民主党とは関係ありません。むしろ立憲民主党こそ、立憲主義から程遠い存在です)に基づいた政府の統治能力を強化する、政治システム改革なのです。これを実行しなければ、今日の日本の政治の問題はいつまでたっても解決することはなく、同じようなことが何度でも繰り返されることになります。

この問題は短期で解決できるものではないです。少なくとも、安倍政権には方向だけは定めていただきたいものです。

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2018年4月6日金曜日

安倍晋三首相、米皮切り相次ぎ首脳会談 北の包囲網突破許さず 「戦略描いたのは日本。置き去りではない」―【私の論評】アジアの平和と安定の脅威は日本のマスコミと野党(゚д゚)!

安倍晋三首相、米皮切り相次ぎ首脳会談 北の包囲網突破許さず 「戦略描いたのは日本。置き去りではない」


 安倍晋三首相は17日からの訪米を皮切りに、夏にかけて首脳会談ラッシュに突入する。狙いは、国際社会との対話に動き始めた北朝鮮が試みる包囲網突破の阻止だ。対北圧力路線の旗振り役として、非核化だけでなくミサイル問題の解決についても北朝鮮が具体的な行動を取らない限り圧力継続が重要と訴え、包囲網維持を呼びかける。同時に拉致問題の解決に向けた協力の確約取り付けも目指す。

 「米政府内には『シンゾーからトランプ大統領に言ってもらった方がいい』という声が多い。首相が発言することが多くて負担が重くなってしまう…」

 日本政府関係者は日米首脳会談を前にこう語る。自身のスタッフにさえあまり耳を貸さないトランプ氏だが、首相の話はきちんと聞くため、米政府も首相に頼っているのだ。


 今月の日米首脳会談はトランプ氏就任後、6度目となるが、日本側は「これまでで最も重要な会談」と位置づける。5月末までにトランプ氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の会談が予定されているからだ。

 首相はトランプ氏に対し、北朝鮮の「非核化」のあり方を具体的に説明し、核開発のための猶予を与えずに短期間で実行させる重要性についてクギを刺す。日本にとって脅威の中・短距離ミサイルの廃棄も不可欠であることをすり込む考えだ。拉致問題についてもトランプ氏から金氏に直接、解決を迫るよう要請する。

 米国と綿密なすり合わせの後、首相は日米連携をテコに韓国や中国、ロシアと対北包囲網堅持を確認する。特に韓国は日米と連携を取っているが、いつ中朝にすり寄ってもおかしくない。北朝鮮の非核化を話し合う6カ国協議の「日米韓対中朝露」の構図が「日米対中韓朝露」に変化すれば、包囲網の効力は低下しかねない。

 こうした事態を避けるため、首相は5月上旬に東京で開催する日中韓サミットで、韓国の文(ムン)在(ジェ)寅(イン)大統領、中国の李克強首相とそれぞれ会談し、圧力路線継続の一致を目指す。5月下旬には訪露してプーチン大統領と会談するほか、6月上旬のカナダでの主要7カ国(G7)首脳会議でも協力を呼びかける。

 北朝鮮が米韓中との首脳会談に加え、近く朝露首脳会談を行うとの臆測もあり、「日本置き去り」論は根強い。しかし、北朝鮮が対話を求めるほどに追い詰められたのは、日本が圧力路線を主導したからだ。

 日米はトランプ政権発足以降、(1)軍事力を含むすべての選択肢はテーブルの上にある(2)最大限の圧力をかける(3)北朝鮮側から話し合いを求めてくる状況を作る-の3方針を主導してきた。いずれも日本が提案し、米国が国連などで主張し日本が支持する形を取ってきた。

 外務省幹部は「実は日本がこれまでの戦略を描いてきた。決して置き去りになっていない」と断言する。首相の一連の外国訪問は置き去りではないことを証明する狙いもありそうだ。(田北真樹子)

【私の論評】アジアの平和と安定の脅威は日本のマスコミと野党(゚д゚)!

電撃的だった中朝首脳会談

平昌オリンピックにおいて、北朝鮮による華々しい「微笑み」外交が繰り広げられ、その後の電撃的な中朝首脳会談の背後で、北朝鮮をめぐる軍事的緊張は確実に高まってきています。こう書いても、いまや話半分にしか聞いてくれないことが多いかもしれません。

それも理解できなくもありません。昨年来、マスコミでは、トランプ政権がいまにも北朝鮮を攻撃するかのような憶測が事あるたびに報じられてきましたが、軍事行動が起こらないまま1年が過ぎたからです。

狼少年ではありませんが、半島危機は起こらないのではないのかという奇妙な楽観論がいまの日本を覆いつつあるようです。しかし、この1年のあいだに危機は確実に進行しています。

その危機の実情を理解してもらうためには、まず、なぜこの1年間、トランプ政権が軍事行動を起こさなかったのか、ということの説明から始める必要がありそうです。

そもそも、北朝鮮に対してトランプ政権はどのように考えているのでしょうか。特にその中でも、米軍関係者はどのように考えているのでしょう。

米軍側は、北朝鮮だけを見ているわけではありません。北朝鮮有事はあくまで前哨戦に過ぎず、本丸は中国であり、ロシアが連動してくると考えているようです。

米軍は、アジア太平洋方面において2つの大きな脅威に直面しています。短期的には北朝鮮。長期的には中国が自国の利益を確保するために軍事力を使おうとしていることです。

北朝鮮の脅威は、軍事だけといえます。経済力がないため、中国に比べればそれほど難しくはありません。この北朝鮮の問題を混乱させているのがロシアです。ウクライナ問題でもロシアは事態を混乱させる方向で動いていました。

中国は経済力をもっているため、中国に対して軍事は重要ですが、それ以上に外交、情報、経済などの分野で中国を抑止していくことが重要です。とくに中国は、他国が他の問題に気を取られているあいだにいろいろと手を打ってくるので注意が必要です。

金正恩朝鮮労働党委員長を筆頭とする北朝鮮の体制を崩壊させたとしても、米軍は、中国が軍事的増強を続けているため、これから10〜20年はアジアの緊張が続くものとみるべきでしょう。特にこのブログでも何度か掲載しているように、台湾を巡る米中の争いはアジアに新たな火種となるのは間違いないです。

3月22日、トランプ米大統領は中国への高関税措置に署名した

トランプ米政権が国防予算を大幅に増やしたことから、半島危機に備え本気で対応しようとしているのは間違いないでしょう。

その上で、安倍晋三政権は外交で、北朝鮮の暴発を阻止する努力を続けています。アジア紛争のリスクは実は、安倍批判が強い日本のメディアの論調にあるかもしれません。

その中でも、「(北朝鮮問題で)日本は置き去りにされている」マスコミの論調は、最低、最悪と言って良いかもしれません。その尻馬に乗って、森友問題などでとにかく倒閣に結びつけようとする野党も大問題です。

安倍総理は、ブログ冒頭の記事のように、これからも様々な外交活動をしますが、それ以前にかなりの外交努力を継続してきています。そのため、トランプ大統領にも外交では頼られる存在になることができたのです。

安倍総理の経済制裁の強化は、正しい路線です。この制裁に日米が本気でとりくんだからこそ、金正恩は焦りに焦り、それまでとはうってかわって、平昌五輪での融和路線を打ち出し、中朝首脳会談をも実現させたのです。

経済制裁はときに大きな効果をもたらすことがあります。これに関しては、実例があります。80年代後半、各国が次々に制裁に踏み切ると、国際的に孤立した南アの白人政権は、黒人との融和をめざさざるをえなくなりました。

国連が一連の経済制裁を解除したのが93年、南アでの初の黒人政権が誕生したのは、94年のことでした。経済制裁があの南アの白人を動かしたのです。

ダーバンビーチ条例第37節に基づき、この海水浴場は白人種集団に属する者専用とされる」と
英語アフリカーンス語ズールー語で併記された1989年撮影の標識 アパルトヘイトの象徴

日米の本気の経済制裁がなければ、そもそも、韓国と北朝鮮との南北会談も実現せず、相変わらず北は、ミサイル発射実験を継続していたかもしれません。

国民も安倍外交の成果や、半島危機の実態を正しく理解することが必要です。これから、半島危機で日本がうまく立ち回れないとすれば、残念ながら最大の要因はマスコミや野党が倒閣のために安倍政権の足を引っ張ることでしょう。

そもそも、安倍政権がここ数年以内で、崩壊することにでもなれば、日本経済は再びデフレスパイラルのどん底に落ち込み、さらに外交面では世界から置き去りにされることでしょう。これがどれだけ、日本経済や外交・安全保障に悪影響を与えるかは明らかです。さらに、安倍晋三というパートナーを失った米国は外交経験の浅いトランプ氏では中国との対決に苦しむことになります。

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2018年4月5日木曜日

希望の党と民進党が元サヤに収まり、立民が合流しない奇妙な状態 野党に政権を委ねられない不幸―【私の論評】景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけ(゚д゚)!

希望の党と民進党が元サヤに収まり、立民が合流しない奇妙な状態 野党に政権を委ねられない不幸

代議士会に臨む希望の党の玉木雄一郎代表=3月29日午後、国会内

 希望の党が民進党との合流に向け、分党について協議すると報じられた。民進党も新党結成構想について全会一致で了解を得たという。衆院で野党第1党の立憲民主党を含め、展望はあるのだろうか。説明を追加

 希望と民進の協議に関する報道を見たとき、筆者はエープリルフールの冗談かと思ったくらいだが、関係者は「新しい民主党」に真剣なようだ。その時点で、一般人と感覚がずれていると思う。

 今からわずか半年前、昨年10月の総選挙で、小池百合子都知事が立ち上げた当初の希望の党は台風の目となり、その人気目当てに民進は分裂した。

昨年10月、希望の党の立ち上げ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 いち早く駆け込んだ人は希望、入りたかったが小池氏が「排除」したので入れなかった人が立民、そのままの人が民進-と大ざっぱに分けられる。このときの分裂は、結局選挙目当てが最大の動機だったのは間違いない。

 ところが、小池氏が、「排除」発言で大きくこけて、希望は伸びなかった。総選挙後に希望は、創設者だが既に人気がなくなった小池氏を「排除」した。「排除」の過程で、希望と立民をかろうじて分けていた、リアルな安全保障や憲法改正について、どちらも変わらなくなっていった。

 変節は有権者に見透かされており、次期総選挙では希望の消滅は確実との見方もある。そのような情勢で、希望と民進の合流話が出てきているのだが、やはりこれも「選挙互助会」を作りたいということだ。半年の間に、こうした分裂や再編を繰り返せば、有権者の信頼を失うだけだろう。

 それでも、希望と民進は合流するだろう。というのは、両者は今のままではじり貧だからだ。衆議院の勢力をみると、希望51、民進12(党籍を持っている無所属)、立民55である。ここで、希望と民進が合流すれば、立民を抜いて衆院で野党第1党になる。

 そうなると、立民はどうするのか。財務省による文書改竄(かいざん)問題などでは野党6党で一致団結している。野党6党とは、立民、希望、民進、共産、自由、社民の各党だが、共産を除く5党は、一般の有権者から見れば、もはや政策の違いがわかりにくい。

 希望と民進の合流がうまくいけば、その次には立民も合流してもおかしくない。民進分裂の原因であった小池氏がもういないので、元の鞘に収まっても不思議ではない。

 とはいえ、立民は合流話に乗らないだろう。というのは、小池氏の「排除」発言によって、結果として勢いを増したので、「排除」した側の希望には乗れないからだ。昨年の総選挙の際、希望と立民について「偽装分裂」との見方もあり、やはりそうだったのかといわれないためという理由もあるだろう。

 となると、似たもの同士の希望と立民が合流しないという、政治的には奇妙な状態となる。

 政策はどうでもよく目先の選挙だけで右往左往する野党に、有権者はとても政権を委ねられない。これは日本の民主主義にとって不幸なことだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけ(゚д゚)!

希望、立民、民進党の行動を考えるには、やはり労組の動きを理解しないと十分に理解できないと思います。

その中でも、連合とこれらの党の関係を理解すべきです。連合(正式名称:日本労働組合総連合会)は、1960年代後半から繰り返し志向されてきた社会党系の日本労働組合総評議会(総評=社会党右派を中心に中間派・左派を含む)、民社党系の全日本労働総同盟(同盟)、中間派だった中立労働組合連絡会議(中立労連)、全国産業別労働組合連合(新産別)の労働4団体の統一によって結成されたものです。

但し、1986年の「日本社会党の新宣言」採択まで長くマルクス・レーニン主義を掲げ、自衛隊違憲・解消、日米安保反対、非武装中立、日の丸・君が代反対、脱原発を主張した社会党系の総評(公務員労組中心、日教組・自治労など)と、民主社会主義と反共を掲げ、自衛隊や日米安保、日の丸・君が代、原発に賛成していた民社党系の同盟(民間労組中心)とは水と油の関係であり、基本政策のすり合わせをしないままに行われた統一でもありました。

当該4団体等による「労働戦線統一」の動きは、1982年12月14日の全日本民間労働組合協議会(全民労協。初代議長は竪山利文・電機労連委員長)の結成により大きく進展しました。

全民労協が1986年11月の第5回総会で翌年秋の連合体移行を確定したことを受け、まず同盟が1987年1月の第23回年次大会で解散方針を決定し、総評、中立労連、新産別の3団体も秋までに「連合」への合流を決定しました。


1989年11月21日、東京厚生年金会館で日本労働組合総連合会の結成大会を開き、初代会長に情報通信産業労働組合連合会(情報通信労連)委員長・山岸章を選出しました。 総評系産別を加えて78産別、組合員約800万人を結集させ、労働4団体等の統一を完成させました。なお、山岸は“労働戦線統一の功績”により2000年4月に勲一等瑞宝章を受章しました。

山岸章氏

他方、連合の発足を「労働界の右翼的再編」「反共・労使協調路線」と攻撃する日本共産党系の「統一労組懇」等は、これに対抗して連合結成と同じ1989年11月21日に全国労働組合総連合(全労連)を、総評左派系(社会党左派系)の一部は12月9日に全国労働組合連絡協議会(全労協)を結成しました。

さて、この連合は昨年衆院選で特定の政党を支援せず、立憲民主党や希望の党(結党メンバーを除く)、無所属で戦った民進党出身者らを個別に推薦し、このうち99人が当選しました。


しかし選挙戦では連合傘下の産別労組のうち、自治労など左派色の強い旧総評系が立憲民主党、自動車総連など旧同盟系が希望の党の支援を目立たせるなど、組織に長年潜んでいた対立構図も浮き上がりました。

希望の党で当選した民進党出身の衆院議員は「連合から推薦を受けたが自治労などはほとんど現場で動かなかった」と打ち明けています。

立民、希望、民進3党がそれぞれ地方組織をどう構築するのかも見通せず、高い集票力を持つ連合の組織力は宙に浮いたままです。今年の通常国会では連合が強いこだわりを持つ「働き方改革」の関連法案も審議される見通しで、神津氏らは焦りを募らせています。

希望の党は小池元代表の「排除発言」だけでコケたというわけではない。その背後になは何が?

さて、ここであれだけ台風の目になった希望の党がなぜ選挙戦中でコケてしまったのか、もう一度振り返っておきます。ブログ冒頭の記事では、小池氏が、「排除」発言で大きくコケてしまったとありますが、無論表面的にはそのような面もありますが、それだけではありません。

何と言っても、まずは、希望の党の公約に示された経済政策があまりにもお粗末であったことと、希望の党が改憲勢力でもあることから、希望の党が躍進すれば、国会で改憲勢力がさらに大きな勢力を占めることに危機を抱いた、マスコミが選挙戦途中から希望の党を徹底的に叩きはじめたことの両方によるでしょう。

それでも、経済政策がまともであれば、いくらマスコミが叩いたとしても、保守派などでも擁護する人がでてきた可能性がありますが、あまりに酷い経済政策であったためその動きもなかったことが致命的になったと考えられます。

その、希望の党の経済政策を以下にあげておきます。

希望の党の政策集『私たちが目指す「希望への道」』には、消費税増税について「凍結する」と明記しているのですが、同時にこう書いていたのです。
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間活力を引き出す『ユリノミクス』を断行する」「日銀の大規模金融緩和は当面維持した上で、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する」。
大規模な金融緩和によって現在の景気回復があるのに、その金融緩和を止める方向を模索するというのです。しかも「財政出動」にも否定的です。仮にこうした「緊縮財政」政策が採用されたら、日本は再び不景気へと転落し、再びデフレスパイラルのどん底に沈みことが予想される内容でした。

特にひどいのが「内部留保」課税でした。政策集には「300兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす」とあります。

内部留保とは、そもそも法人税(国税)と事業所税(地方税)を払った後の残りです。これに課税するのは二重課税であり、租税原則に反するものです。

しかもこの内部留保は、必ずしも現金として手元に残っているわけではなく、設備拡充や技術開発などの再投資に回されている場合が多です。ただし内部留保が積み上がり、現預金の比率が高くなってきていることも事実ではありました。このため、麻生財務大臣のように「金利のつかない金を貯めて何をするのか。給与や設備投資に回したらどうか」と問題視する声もありました。

そもそも企業が設備投資を拡大しないのは、2014年に消費税を8%にあげて個人消費を縮小させてしまったからです。よって政府がなすべきことは個人消費を拡大する政策、つまり消費税減税と、日銀による更なる金融緩和による環境整備であるはずです。

ところが希望の党は、大企業に対して「設備投資を拡大しないのなら内部留保に課税するぞ」と恫喝する政策を打ち出したのです。内部留保を積み上げる大企業に対して罰金を課そうという発想は社会主義特有のものであり、極めて恐ろしいものでした。これでは、保守層は反対にまわるのも無理はありませんでした。

もしこの内部留保課税が具体化するならば、優良企業は国外へと逃げ出すことになったでしょう。そしてそれは、雇用環境の悪化をもたらすだけでした。これでは、『私たちが目指す「希望への道」』ならぬ、『私たちが目指す「地獄への道」』と言っても良いような内容でした。

希望の党の公約。特に経済政策を読み込むと、それは恐ろしい内容だった

枝野幸男代表の「立憲民主党」の選挙公約における経済政策も、金融政策や財政政策には見るべきものがありませんでした。「所得税・相続税、金融課税を含め、再分配機能の強化」と、金持ちに対する税金を上げて、その一部を貧困層に配る典型的な「社会主義政策」が掲載されているぐらいでした。

企業や金持ちに対する課税強化では、景気は回復しません。そして景気が回復しなければ、福祉を充実させる財源も捻出できません。立憲民主党は、民主党政権時代になぜ景気が低迷したのか、なぜ社会保障を充実させることができなかったのか、まったく学んでいないようでした。

現在の希望の党、立憲民主党、民進党とも、希望の党がなぜ勢いを失ってしまったのかその根本原因を全く理解していないようです。そうして、最初から筋悪の「森友問題」に拘泥し、政局においてすらも何の成果もあげられていません。労働者の生活を脅かす増税キャンペーンを長年にわたって行ってきた財務省に矛先を向ければ、まだ何とかなったのかもしれませんが、とにかく「疑惑」の追求で決定打に欠いて、ワイドショー民にすら飽きられて埋没してしまいました。

デフレ期には、適切な金融政策と政府による財政出動、そして民間企業の活動を阻害する「規制」の緩和で自由な企業活動を支援し、個人消費を拡大することこそが景気回復への道であるはずです。そうして、景気回復によって一番の受益者になるのは、他ならぬ労働組合を組織している労働者でもあることに気づくべきです。

この点について、野党だけではなく、連合自体も気づくべきです。そうして、景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけになることでしょう。無論今の野党に政権を担わせることもできません。

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2018年3月20日火曜日

【日本の選択】野党に政権担当能力がない悲劇 弱点の多い安倍政権を支持せざるを得ず―【私の論評】ポスト安倍の自民党も政権担当能力があるとは言えない(゚д゚)!

【日本の選択】野党に政権担当能力がない悲劇 弱点の多い安倍政権を支持せざるを得ず

第3次安倍第3次改造内閣 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 財務官僚による決裁文書の改竄(かいざん)など、脇の甘さが目につく安倍政権だが、この政権を支えているのは、どのような人たちなのだろうか。

 私自身は、極めて消極的な安倍政権の支持者である。安倍晋三首相を熱烈に支持しているわけではないし、自民党以外は一切認めないという自民党原理主義者でもない。しかし、他に選択肢がまったく存在しないから、安倍政権を支持せざるを得ないのである。

 端的に言えば、「野党が政権を担う能力を有していない」との判断から、多くの国民が安倍政権を消極的に支持しているのではないだろうか。

 安倍政権や自民党が完璧だとは思わないが、「野党よりはまし」という判断から安倍政権が支持される結果になっている。安倍政権の最大の応援団は「野党の無能さ」だという、笑うに笑えない冗談のような現実を見ると、眩暈(めまい)がしそうになる。

 立憲民主党をはじめとする野党があまりに不甲斐ないのは周知の通りだが、広く国民に訴えておきたい事実がある。

あまりに不甲斐ない野党の筆頭、立憲民主党、彼らは立憲民主主義とは何を意味するかさえ知らない

 岡田克也元外相率いる「無所属の会」というグループ(衆院会派)がある。「無所属の会」なのだから、無所属の政治家の集まりだろうと思うのが、国民の常識というものだ。

 だが、彼らは国民が想像する無所属の政治家ではない。民進党の政党交付金で政治活動し、民進党の役職に就いている政治家も存在する。具体的には岡田氏は「無所属の会」の代表でありながら、民進党の常任顧問に就いている。

 民進党を離党し、本当の意味で無所属を貫いている鷲尾英一郎衆院議員=新潟2区=は自身のブログで昨年11月17日、「無所属の会」を以下のように批判していた。

 「民進党の政党交付金で政治活動し、民進党の役職を受けているメンバーが会派をつくっているのであれば、会派の名称は『無所属の会』ではなく、まさに『民進党』がふさわしいではないか」

 まことに正論である。鷲尾氏が指摘するように、彼らは正々堂々と「民進党」を名乗るべきなのだ。

無所属とはいえない「無所属の会」の看板かけ

 「無所属の会」について、週刊ポスト(2018年2月16・23日号)が「一人メシ事件」として、次のような記事を掲載していた。

 1月16日夜、都内のホテルで会合が開かれた。十数人の出席者には弁当が用意されておらず、岡田代表だけが会合前にスーパーで購入したサンドイッチを食べ、腹を空かせた議員から「代表だけ食べるのか」と不満がもれたという。

 何があろうとも、現在の野党に政権を担当させるわけにはいかないと考える日本国民は健全だ。常識ある野党が出現しない限り、弱点の多い自民党政権が継続せざるを得ない。日本の悲劇である。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『人種差別から読み解く大東亜戦争』(彩図社)、『「リベラル」という病』(同)など。

【私の論評】ポスト安倍の自民党も政権担当能力があるとは言えない(゚д゚)!

まずは、最近の最大の政局に関する動画を以下に掲載しておきます。


この動画は、そもそも根拠が明確であり、かなり理解しやすいです。この動画で、上念司氏は、以下のように主張しています。

まずは、財務省は佐川氏の国会での証言にあわせて、文書を書き換えたということ。そのために、元々は政治家は一切関与していないことがはっきりしていたものが、そうではなくなってしまったとしています。

私も、その通りだと思います。財務省が書き換えたとした文書は、財務省のサイトから誰でも閲覧することができます。そのリンク先を以下に掲載します。


  • 決裁文書についての調査の結果(平成30年3月12日)(PDF:150KB)PDF
  • 決裁文書の書き換えの状況(PDF:7612KB)PDF
  • 平成30年3月14日付け資料(PDF:198KB)PDF
  • 平成30年3月19日付け資料(PDF:263KB)PDF
  • これらを、野党やマスコミのように、最初から「政治家の関与あり」という想定など捨てて、虚心坦懐に読むと、上念氏と同じような結論が導き出せるはずです。

    次に、土地価格については、さらに、森友学園の隣の野田中央公園の土地は、元々は14億円だったものただで売却されているという事実があります。さらに、これには補助金が3000万円も支払われています。

    結局のところ、ゴミが埋まっているので、補助金をつけてでも持って行ってくれということです。

    ゴミが埋まっていることを隠して、近畿財務局は篭池氏に8億円値引きで売ったのです。そうして、差し引き1億円程度が国庫に入っているわけです。そのブロセスに問題があったことから、篭池氏はそのことに気づいたのです。

    その時に、篭池氏はありもしない、政治家や安倍総理、昭恵夫人らがバックについているかのようにいろいろ名前を出したということです。天皇陛下が来たなどと、平気で嘘をつくような男のいうことですから、ほとんどでまかせとみるべきでしょう。

    それに対して近畿財務局は、ゼロ回答だったわけです。これが、書き換え前の決済文書には書かれてあったにもかかわらず、その部分が削除されてしまったため、政治家に不利な内容になってしまいました。そうして、誰に有利かといえば、国会で間違った答弁をしてしまった佐川氏に有利なものになっています。

    これらの事実からみると、やはり、財務省(もしくは理財局)が佐川氏の国会答弁にあわせて、近畿財務局に書き換えを指示して、書き換えさせたと考えるのが、最も自然な解釈であると考えられます。

    近畿財務局

    書き換え前、書き換え後の文書が公開されているわけですから、これをしっかり読めば、上記のような解釈しかしようがないわけです。もし、今後佐川氏が国会招致において、政治家家からの指示があったとか、安倍総理や昭恵夫人の関与があったなどといえば、文書と完璧に矛盾することになるため、そのようなことはしないでしょう。

    さすがに、佐川氏も昨年の国会答弁で余計な答弁をしたため、辞任せざるをえなくなったので、再度国会に招致されたときにはかなり慎重になることでしょう。

    考えられる対応は、核心に迫る事柄については、篭池被告人のように「調査中であるので、答弁できません」ということで終わることになると思います。さらに、昭恵夫人を仮に国会に招致したとしても、野党にとって都合の良い答弁をするなどということは全く考えられません。

    このような状況だと、最初は、興味を持って安倍政権対退陣すべしなどと煽られていたワイドショー民も飽きて、それこそあれど有利であると考えられていた希望の党が選挙の最中に勢いを失ったように、野党の主張(野党自身ではありません)も指示を失って、現在の政権の支持率の低下も回復することになります。

    その頃に、野党が別の対策や、新たな政局を見いだせるなら、さらに安倍政権を窮地に追い込むことができるかもしれませんが、そもそも、公開された文書を見ている限りにおいて、結局昨年と同じように、安倍総理はおろか一人の政治家を辞めさせたりすることはできないでしょう。

    今後、野党やマスコミは「アベにくし」のあまり、篭池夫妻という、頭のあまり良さそうとも思えない、詐欺師らに引っ掻き回さたということがはっきりしてくることになります。そうなると、野党の支持率はますます下がることになります。そのことが全く見えていない野党は、政策論争ができないのは無論のこと、政局すらまともに見ることが出来ないということで、国民の信頼をさらに失うことになります。

    篭池夫妻

    ブログ冒頭の記事で、岩田氏は、「私自身は、極めて消極的な安倍政権の支持者である。安倍晋三首相を熱烈に支持しているわけではないし、自民党以外は一切認めないという自民党原理主義者でもない。しかし、他に選択肢がまったく存在しないから、安倍政権を支持せざるを得ないのである」と述べています。

    私自身は、程度の差はあるとは思いますが、もともと政治とは、特に民主的な政治はそのようなものであると思っています。

    もし、何もかも自分にとって満足と思えるような政権がでてきたとすれば、それは独裁政権に違いないと思います。そうして、自分は独裁者になっているか、独裁者の親族などの、独裁者に極めて近い存在になってるかのいずれかであると思います。

    私自身は、安倍政権は金融政策で雇用状況を改善したということで、過去20年間のいずれの政権よりも、パフォーマンスが高いと思います。また、安全保障においても、過去のいずれの政権よりも突っ込んだ議論し、そうして少しずつでも間違いなく前進していると評価しています。

    ただし、自民党ということでみると、金融政策も財政政策も、安倍総理やその側近のごく一部しか理解しておらず、もし安倍政権が崩壊して、他の人が総理大臣になって新たな自民党政権をつくったとしても、またまた日本はデフレスパイラルの底に沈み、とんでもないことになり、誰の政権であったにしても短期政権になり、その後も同じことを繰り返すと思います。

    小泉進次郎氏のような若い自民党の議員こそ、まともにマクロ経済を理解して欲しいと思うのですが、全くそうではありません。

    安全保障についても、自民党には親中派の政治家も多いことですから、安倍内閣が崩壊となれば、これも後退する可能性が大きいです。

    それを思うと、野党に政権を任せられないのは自明の理として、安倍総理以外には、いまのところ総理大臣を任せられる人物は自民党内にはいないと思います。これこそ、本当に目眩がしそうな現実です。

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    2018年3月14日水曜日

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    【日本の選択】日本の民主主義はここまで堕落してしまったのかと呆然… 野党に日本のかじ取りを任せることも不可能

    「最強官庁」は腐敗・堕落した

     青天の霹靂(へきれき)というべき事態だ。朝日新聞の報道が契機となって、森友学園に関する公文書が財務省の指示によって書き換えられていたことが分かった。私は当初、このような事態は考えられないと思っていたので、誤解に基づく報道ではないかと想像していた。

     官僚が公的文書を偽造するなどということは、民主主義の根幹に関わる問題であり、日本の民主主義がそこまで腐敗しているとは想像できなかった。

     実際に書き換える前後の文書を眺めると、財務省による姑息(こそく)で悪質な文書改竄(かいざん)であることは明らかだ。安倍晋三首相をはじめとする政治家の名前、そして、「安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した」との記述も削除されている。わが国の民主主義は、ここまで堕落してしまったのかと、呆然(ぼうぜん)としてしまった。

     政治を成り立たせるのは、為政者と国民の信頼関係だ。

     『論語』に「信なくば立たず」との言葉があることは有名だが、これは信用が大切だといった程度の言葉ではない。孔子の悲壮な覚悟が伝わってくる言葉だ。

     弟子の子貢(しこう)が孔子に「政治の本質」を問うた。その際、孔子は「兵」(安全保障)、そして、「食」(経済)と同時に、民衆からの「信」を挙げた。子貢が、その中で1つを捨てるとしたら、と問うと、孔子は「兵」を捨てるべきと答えた。さらに進んで、もう1つ捨ててしまうとしたら何かを問うと、孔子は「食」を捨て去るべきと答える。

     孔子が安全保障、経済を軽んじていたわけではない。それらが重要であることは熟知していた。憲法9条が存在するから日本は平和だなどという、空疎な平和主義者であったわけではない。「兵」よりも「食」よりも「信」が肝要と説いたのは、政治の本質が国民からの「信」にあることを訴えたかったからであろう。

     今回の財務省の姑息な文書の書き換えによって、政治に対する国民からの信が失われてしまった。しかも、絶望すべきなのは、このような事態に至ってもなお、野党に政権を担えるとは到底思えないことだ。通常、これほど国民からの信用を失う事態に至れば、野党への期待が高まるはずだ。

     だが、いまだに「平和安全法制を違憲だ」と叫び続ける立憲民主党、「自衛隊は違憲だ」と獅子吼する(=雄弁に語ること)日本共産党、何をしたいのかが、さっぱりわからない希望の党。これらの政党に日本のかじ取りを任せることは不可能だ。

     日本に重要なのは、自民党に代わり得る「健全で現実的なリベラル政党」だ。現実的な安全保障政策を取り、国民が信用できるリベラル政党が何よりも必要だ。

     ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『人種差別から読み解く大東亜戦争』(彩図社)、『「リベラル」という病』(同)など。

    【私の論評】稚拙な全能感で腐敗・堕落した財務省は解体するしかない(゚д゚)!

    私自身は、このブログで随分前から何度か指摘してきたように財務省の腐敗・堕落については別に驚きもしません。ただし、今回の書き換え事件に関しては、あまりにもやり方が幼稚であり、その稚拙さ加減に驚いてしまいました。

    いずれ書き換え露見することがあまりにも目に見えたようなやり方で、なぜこのような書き換えをしてしまったのか、本当に理解に苦しみます。そうして、このような書き換えが、起きてしまった背景を分析すべきだと思います。

    現在のマスコミ報道や、政治家の発言等を参照しても、具体的な書き換えの事実や、様々な憶測だけであって、なぜこのような事件が起きてしまったのか、その根本原因に迫るものはありません。ただし、これから徐々に明らかにされていくと思います。

    このブログでは、根本原因について迫ってみたいと思います。

    現在、与野党の政治家や、マスコミ、学者などが様々なことを語っていますが、私は今回の事件は彼らにも責任があると思っています。いや、むしろ間接的かもしれませんが彼らが、財務省を暴走させてしまったとさえ考えています。

    財務省が社会福祉と税の一体改革、消費税増税、復興税等の必要性を主張する際に出鱈目理論を用いたにもかわらず、政治家、マスコミ、財界、主流のエコノミストまで敢えてこれに異論を唱えてこなかったため、財務省に全能感を抱かせたことが今回の事件の背景にあると思います。要するになめられのです。

    財務省は省益を追求するために、出鱈目理論で機会さえあれば、増税しようとしてきたのは明々白々です。にもかかわらず、これに対して真っ向からその間違いを指摘してきたのは、ごく一部の人々のみです。

    財務省がどんなに奇妙奇天烈、世界水準からすれば明らかに間違いであることを語っても、これに唯々諾々と従い、異を唱えてこなかったどころか、増税すべきと気炎をあげてきたのが、日本の政治家であり、マスコミであり、多くの学者たちや、エコノミストたちです。

    NHKも財務省におもねり、国の財政状況の厳しさを訴えているが、これに全く根拠はない

    消費税の社会保障目的税化(財源化)に関しては、まず、事実として、目的税化といっても程度問題であるということがいえます。消費税の社会保障支出へのひも付きは、ゴムでできていると考えれば良いです。ただし、財務省は目的税化を強調していました。

    また、財務省による、増税に協力しないと社会保障を削る、また軽減税率には「財源」が必要だ、軽減税率なら社会保障を切る-といった恫喝(どうかつ)もしばしば行われました。これでだまされる識者も多数存在しました。

    消費税の社会保障目的税化は政策論からみれば、明らかな間違いです。しかし、1990年代までは大蔵省の主張でもあり、99年の「自自公(自民、自由、公明)」連立時に、財務省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いたのです。

    ただ、2000年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述があります。実際、諸外国では諸費税を目的税になどしていません。

    社会保障の観点から見ると、その財源は社会保険方式なので保険料が基本です。税方式は少なく、しかも社会保険料方式から税方式に移行した国などありません。
    また、復興税なるものは日本が東日本大震災を契機に導入した以外には、古今東西に例を見ません。なぜ復興を税によって賄うことをしないかといえば、被災の直後に復興税を徴収すれば、被災を受けた世代にのみ復興のための負担が集中することになるからです。

    通常は、大災害などがあった場合に、その復興をするためには、償還まで数十年以上である建設国債などを用いるのが、世界の常識です。なぜなら、数十年かけて償還ということになれば、復興の負担が将来の世代も背負うことになり、被災直後の世代のみが多大な負担を背負うことはなくなるからです。復興を税で賄うという考え方は、最低最悪の考え方であり、

    これに対して、財務省は、建設国債は将来の世代につけを回すことになるなどという、奇妙奇天烈な論理で、結局復興税を導入してしまいました。しかし、これは、とにかく増税しよう、そうして復興税の次は消費税増税を目指すという意思の現れでした。

    しかし、先に述べたように、これらに多くの政治家、マスコミ、識者は反対するどころか、賛同しました。以下に、復興税に賛成した日本の経済学者らのリストを掲載します。

    以下http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htmより引用。


     共同提言者・賛同者(2011年6月15日10:00現在)(敬称略)

    伊藤 隆敏 (東京大学)
    伊藤 元重 (東京大学)
    浦田 秀次郎 (早稲田大学)
    大竹 文雄 (大阪大学) 
    齊藤 誠 (一橋大学)
    塩路 悦朗 (一橋大学) コメント
    土居 丈朗 (慶応義塾大学)
    樋口 美雄 (慶応義塾大学)
    深尾 光洋 (慶応義塾大学)
    八代 尚宏 (国際基督教大学)
    吉川 洋 (東京大学)

    (★印のついた方は「第3提言の賛成は留保」)
    青木 浩介 (東京大学)
    青木 玲子 (一橋大学)★ コメント
    赤林 英夫 (慶應義塾大学)
    安藤 光代 (慶應義塾大学)
    井伊 雅子 (一橋大学)
    飯塚 敏晃 (東京大学)
    池尾 和人 (慶應義塾大学)
    生藤 昌子 (大阪大学) コメント
    石川 城太 (一橋大学)
    市村 英彦 (東京大学)★ コメント
    伊藤 恵子 (専修大学)
    岩井 克人 (国際基督教大学)
    祝迫 得夫 (一橋大学)
    岩壷 健太郎 (神戸大学)
    宇南山 卓 (神戸大学)
    大来 洋一 (政策研究大学院大学) コメント
    大野 泉 (政策研究大学院大学) コメント
    大橋 和彦 (一橋大学) コメント
    大橋 弘 (東京大学) コメント
    岡崎 哲二 (東京大学) コメント
    小川 英治 (一橋大学)
    小川 一夫 (大阪大学)
    小川 直宏 (日本大学)
    翁 邦雄 (京都大学)★ コメント
    翁 百合 (日本総合研究所)
    奥平 寛子 (岡山大学)
    奥野 正寛 (流通経済大学)
    小塩 隆士 (一橋大学)
    小幡 績 (慶應義塾大学)
    嘉治 佐保子 (慶應義塾大学) コメント
    勝 悦子 (明治大学) コメント
    金本 良嗣 (政策研究大学院大学)
    川口 大司 (一橋大学) コメント
    川﨑 健太郎 (東洋大学) コメント
    川西 諭 (上智大学) コメント
    北村 行伸 (一橋大学)
    木村 福成 (慶應義塾大学)
    清田 耕造 (横浜国立大学)
    清滝 信宏 (プリンストン大学)
    國枝 繁樹 (一橋大学)
    久原 正治 (九州大学)
    グレーヴァ 香子 (慶應義塾大学) コメント
    黒崎 卓 (一橋大学)
    黒田 祥子 (早稲田大学)
    玄田 有史 (東京大学)
    鯉渕 賢 (中央大学)
    小林 慶一郎 (一橋大学) コメント
    小峰 隆夫 (法政大学)
    近藤 春生 (西南学院大学)
    西條 辰義 (大阪大学) コメント
    櫻川 幸恵 (跡見学園女子大学)
    櫻川 昌哉 (慶應義塾大学) コメント
    佐々木 百合 (明治学院大学) コメント
    佐藤 清隆 (横浜国立大学)
    佐藤 泰裕 (大阪大学)
    澤田 康幸 (東京大学)
    清水 順子 (専修大学) コメント
    新海 尚子 (名古屋大学) コメント
    鈴村 興太郎 (早稲田大学 / ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ) コメント
    清家 篤 (慶應義塾大学)
    瀬古 美喜 (慶應義塾大学)
    高木 信二 (大阪大学)
    高山 憲之 (一橋大学)
    武田 史子 (東京大学)
    田近 栄治 (一橋大学) コメント
    田渕 隆俊 (東京大学)
    田村 晶子 (法政大学)
    田谷 禎三 (立教大学)
    中条 潮 (慶應義塾大学) コメント
    筒井 義郎 (大阪大学)
    常木 淳 (大阪大学)
    釣 雅雄 (岡山大学)
    中田 大悟 (経済産業研究所)
    中村 洋 (慶應義塾大学) コメント
    長倉 大輔 (慶應義塾大学)
    畠田 敬 神戸大学
    林 文夫 (一橋大学)
    原田 喜美枝 (中央大学)
    深川 由起子 (早稲田大学) コメント
    福田 慎一 (東京大学)★
    藤井 眞理子 (東京大学)
    藤田 昌久 (経済産業研究所)
    星 岳雄 (UCSD)
    細田 衛士 (慶應義塾大学)
    細野 薫 (学習院大学) コメント
    堀 宣昭 (九州大学)
    本多 佑三 (関西大学) コメント
    本間 正義 (東京大学)
    前原 康宏 (一橋大学)
    松井 彰彦 (東京大学)★
    三浦 功 (九州大学)
    三重野 文晴 (神戸大学)
    三野 和雄 (京都大学)
    森棟 公夫 (椙山女学園)★ コメント
    柳川 範之 (東京大学)
    藪 友良 (慶應義塾大学)
    山上 秀文 (近畿大学) コメント
    家森 信善 (名古屋大学)
    吉野 直行 (慶應義塾大学)
    若杉 隆平 (京都大学)
    和田 賢治 (慶應義塾大学)
    渡辺 智之 (一橋大学)

    以 上

    これは、日本の大学の主流派の経済学者といわれる人々です。震災について、やはり復興増税に賛成した経済学者だけは、心情的にも学問的にも許せないです。まさに曲学阿世の徒とは、こういった諸氏を指すために存在する言葉だと思います。

    それにしても、このようなことが続けば、財務省が慢心して、自分たちは頭が良く、自分たち以外は頭が悪く、何を言っても自分の思い通りになると勘違いするようになるのも無理はありません。

    「われら富士山、他は並びの山」――。東大法学部卒のエリートが集う霞が関で、財務省は大蔵省時代から他省庁を見下ろしながら「最強官庁」を自任してきました。


    ただし、たかだか東大法学部を卒業して、国家公務員上級試験に受かり財務省に入ったからといつてエリートといえるのでしょうか。確かに、モノを短期間に暗記したりする能力に勝ているからといってエリートといえるのでしょうか。本来のエリートとは、「本人の命よりその責任が重い人間」のことをそういうのであって、日本のエリートの定義は明らかに間違っています。

    彼らからすれば、日本の将来は政治家でも、国民でもなく、頭の良い自分たちがつくるのであり、何をやっても自分たちが正しいというような、中二病的な全能感に浸るようになったのも無理はないと思います。私は、この全能感が、財務省を腐敗・堕落させたのだと思います。

    どんなことをやっても、自分たちは他者や他の組織を、結局自由に操れるという全能感が、彼らを公文書書き換えなどという稚拙な犯罪に走らせたのです。


    ここ最近、財務省の高級官僚に限らず、「価値のあるボク」「価値のあるアタシ」といった肥大した自己イメージを、いつまでたっても抱えている男女がそこらじゅうに溢れているようです。つまり、全能感を捨てきれない大人達が増えているわけですが、彼らが全能感を維持するメカニズムについては、あまり取り沙汰されていないようです。

    しかし従来ならあり得なかった、財務官僚などの全能感を維持したい・いつまでも子どもの王様のままでいたい人にありがちな、二つの処世術を確認してみます。

    自分の優秀さや自分のバリューを確認しやすい場所で、それを反復的に確かめる、という方法です。財務官僚なら、東大卒業、国家公務員上級合格、財務省入省ということで、まずは全能感に満たされます。さらに、そこから出世階段をなるべく速くかけあがることで、さらに全能感に満たされます。次官にでもなれば、それこそ神様にでもなったような全能感に満たされるのでしょう。

    これは、財務官僚の例ですが、一般の人なら異性をひっかけて自分の価値を確認する人もいれば、ネットゲームやtwitterで優秀さや有能さを確かめたがるタイプの人もいるようです。この際どこでもいいから、とにかく自分が優秀でいられそうなフィールドをみつけ、自分が価値があるという証拠を確認し続けられる限り、全能感を維持できます。その点で、財務官僚は自他共に認める全能感かもしれません。
     
    ポイントとなるのは、「全能感が傷つく可能性の高いところには手を出さない」ということです。
     
    自分の値打ちを確かめ損ねてしまったら「全能ではない自分自身」「たいして価値のないかもしれない自分自身」に気付いてしまうかもしれませんから、そういう事態は避けなければなりません。実際、安定確実に優越性が示せるフィールド、反復的に自己評価を確認しやすいフィールドが、無意識のうちに選ばれるようです。
     
    ただし、強すぎる全能感とある種の才能とが結合した結果、ほとんど全分野で「全能な自分自身」を確認できる(というよりは確認せずにはいられない)人も稀にいて、このような人がスーパーマン、スーパーガールのような外観を呈することは、ありえます。

    スーパーガール

    自分が手を出す分野のすべてで「全能な自分自身」を確認するというのは、大変な才能と努力を必要とする処世術ですが、年が若くて生命力に溢れているうちは、そのような処世術が成立することもあるかもしれません。

    歳をとってどうなるかは知りませんが。財務官僚の場合は、退官してさらに、天下り先に行き、信じがたいほどの高給に恵まれ、老後のハッピーライフを送ることができれば、さらに全能感を維持できるのかもしれません。

    さらに、「何もしない」「何も本気でやらない」人ほど、全能感は温存される、ということもあります。
     
    本気で勉強しない、本気で恋愛しない、何にも真面目に打ち込まない……こういう処世術は今日珍しくありませんが、現実世界で本当に全能・有能になるには向いていません。しかし気分としての全能感を保持するには向いています。
     
    なぜなら、全能感は「挑戦して、自分がオールマイティではないという事実に直面する」「それほどには価値のあるボクではないという事実を突きつけられる」まではいつまでも維持されやすいからです。
     
    たいていの人は、思春期のトライアンドエラーや人間関係のなかで、自分が思うほどオールマイティではないという事実に直面し、その直面によってゆきすぎた全能感がなだらかになっていくものなのでしょう。

    しかし、自分が傷つくかもしれない状況や自分にあまり価値が無いとわかってしまいそうな挑戦を避け続ける人の場合は、いつまでたっても全能感は失われません。「挑戦すれば価値のあるボクがへし折られるかもしれない」……じゃあ挑戦さえしなければ、いつまでも価値のあるボクが維持できる、というわけです。
     
    もし、自分の全能感が失われそうな試験・競争に直面した時にも、全能感を維持するのはそう難しくありません。「俺は本気じゃない」とか「ネタですから」と言い訳しながらの挑戦なら、全力を出してないから失敗した(=全力で挑戦していれば成功していたに違いない)と自己弁解できますから、全能感は保たれます。
     
    こんなことばかりしていれば、受かる試験も受からないし競争に勝つ確率も下がってしまいそうですが、全能感を手放したくない人達は、トライアルをクリアする確率を1%でも高めるよりも、自分自身の全能感がひび割れるリスクを1%でも低くすることのほうに夢中になりがちです。

    そしてこの処世術に慣れすぎてしまった人は、いざ本気で挑戦しようと思った時には、もはや本気で挑戦できません。いったん“逃げ癖”“言い訳癖”が身についてしまうと、もう、そうせずにはいられなくなるのです。

    心の持ちようには無限に近い逃げ道がありますから、第三者が逃げ道をカットすることも難しく、ズルズルといつまでも、真剣なトライアルを回避し続けることになります。そして全能感の維持と引替えに、いつまでたっても技能や経験に恵まれることもなく、生ぬるい日常を過ごし続けます。

    どちらのタイプも、全能感を維持するために歪な処世術を発達させているという点ではそう違いませんし、全能感を砕かれる不安を遠ざけるために必死になっているという点でも似たもの同士です。

    ただし、受験勉強ばかりで過ごした人は、成績は良くなるものの、目立った失敗はしないすむことになります。思春期のトライアンドエラーや人間関係などで、全能感が破壊されることもなく、維持されるのかもしれません。
      
    どんなに有能な人でも、老いて能力が衰えれば、全能感を確認しきれなくなくなる日がやってきます。また、なにもせずに全能感の挫折を回避しつづけてきた人も、いつかは「実は何もできないまま歳だけとった自分」に直面する日がやってくるでしょう。

    そのとき、「等身大の自分自身」と「全能な自分自身のイメージ」のギャップにひどく苦しめられる運命が待っています。全能感を失った打撃が背景となって、ついにメンタルヘルスをこじらせて精神科/心療内科を受診する人もけっして珍しくありません。
     
    全能感に必死にしがみつくような処世術は、全能感が保たれているうちは威勢良く自惚れていられるかもしれません。しかし、いつか全能感が失われた際にはとても脆く、ギャップや葛藤に悩まされる可能性が高そうです。

    とことん全能感にしがみついてきた人は、10代の頃の全能感を40〜50代になっても維持し続けているかもしれず、それが破綻したときの心理的打撃を小さくおさめるのは容易ではないでしょう。
     
    そんな生き方をするよりは、適度な失敗や挫折を経験したりして、過度に全能感にしがみつかない人生のほうが、平坦ではあっても危なげないと、私は思います。もちろん、その場その場では辛い経験や充たされない経験もあるでしょう。けれども「常に充たされて当然」「辛い経験は避けるのが当然」という処世術をカチコチに築き上げるより、よほど柔軟な生き方が出来そうですし、挫折や失敗にへし折られるリスクも小さくなりそうです。

    そもそも、個々の人間には強みと弱みがあります。だからこそ、組織があるのです。組織の中では、個々の人間は、強みを発揮して、弱みは他の人にやってもらうなどして、中和します。それが組織の役割です。20歳をすぎれば、ほとんどの人は強みを伸ばすことはできても、弱みを是正することなどなかなかできません。


    それに、現代ではすべての事柄が、専門化してしまい、何でもできる人というのはいません。現代では、何でもできる人とは「何も出来ない人」ということです。そもそも、この社会では本来全能感など成り立ち得ないのです。

    そうして、まともな企業であれば、それを前提に個々人が強みを極限まで伸ばし、そのことにより成果をあげ、出生の階段を登ることになります。

    全能感に浸っている人はこのことが理解できないのかもしれません。全能感を維持できるような組織は、そもそもこの根本を理解しておらず、いずれ腐敗・堕落するのです。民間企業であれば、腐敗・堕落すれば、いずれ潰れるしかありませんが、財務省のような組織、そのようなこともなく温存されてしまうのです。

    官僚に関しては、「大過なしに過ごす」という言葉に象徴されるように、財務省なら、省益のことだけ考えて、強み、弱みなど関係なく、省益に沿った考え方、行動をとり国民経済など二の次で出世の階段をあがり、あわよくば財務次官になるか、なれなくても、高い地位まで上り詰めて、天下り先に行きほとんど仕事らしい仕事もしないで高給をとるということで、幼稚な全能感が維持しやすいのかもしれません。

    それにさらに、自分たちの考えなど、本来であれば、間違いを指摘すべき経済学者などもこれを指摘せず、ほとんどの政治家やマスコミもそれを否定することなく、財務省のいいなりで、財務官僚の全能感を助長してきたのです。

    佐川氏も、このような全能感に浸り、公文書の書き換えなどという稚拙な犯罪に手を染めてしまったのでしょう。彼からすれば、書き換えをしようが、何をしようが、全能の自分は無敵であり、何でも自分の思い通りになると考え、あの国会での胡散臭い答弁を何の疑問もなくしてしまったのでしょう。

    そうして、佐川氏は自らの全能感は、否定せざるをえなくなり、辞職したのでしょうが、財務省には全能感に浸ったおろかな官僚がまだ大勢いるはずです。この全能感という財務省のDNAは破壊しなければ、同じようなことがまた何度でも起こることでしょう。

    やはり、財務省は完全解体して、そのDNAを引き継がれることがないようにしなければならないです。

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