2019年8月7日水曜日

「信教の自由」でも衝突する米中―【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!

「信教の自由」でも衝突する米中

岡崎研究所

7月16-18日、第2回「信教の自由に関する閣僚級会合」が米国務省の主催により開催された。これは、信教の自由を促進する世界最大規模の国際会議で、2018年に引き続く開催となる。18日には、ペンス副大統領とポンペオ国務長官が演説、ベネズエラ、イラン、ミャンマー、北朝鮮などにおける信仰、人権への攻撃を非難した。そして、日本の報道でも大きく取り上げられた通り、中国によるウイグル人弾圧を含む宗教弾圧は、特に強く非難された。

       ドナルド・トランプ大統領と共に祈るためにホワイトハウスの大統領執務室を
       訪れた米国の福音派指導者ら=2017年12月11日

 ペンス副大統領は、新疆ウイグル自治区での状況について「共産党は100万人以上のウイグル人を含むイスラム教徒を強制収容所に収容し、彼らは24時間絶え間ない洗脳に耐えている。生存者によれば、中国政府による意図的なウイグル文化とイスラムの信仰の根絶だ」と述べた。共産党政府がキリスト教を迫害しているにも関わらず、中国でキリスト教徒の数が急速に増加していることも指摘した。

 ポンペオ国務長官は、「中国共産党は中国国民の生活と魂を支配しようとしている。中国政府はこの会合への他国の参加を妨害しようとして。それは中国の憲法に明記された信仰の自由の保障と整合するのか」、「中国では、現代における最悪の人権危機の一つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」と述べた。

 そして、ペンスは「米国は現在、中国と貿易交渉を行っており、それは今後とも続くだろうが、交渉の結果がどうであれ、米国民は信仰を持って生きる中国の人々とともにあると約束する」と述べた。つまり、信教の自由と貿易交渉を引き換えにすることはないという強いメッセージを発したのである。

 「信教の自由に関する閣僚級会合」というのは、世界中の信教の自由を促進することが目的であるが、この中で中国が大きく取り上げられたことの意味を過小評価すべきではないだろう。ペンスが言った通り、米国としては、信教の自由、ひいては人権と経済的利益は、究極的には取引することのできないものである。というのは、宗教の自由は、米国建国以来脈々と受け継がれてきた理念であり、DNAと言ってもよいような価値だからである。このことは、ペンスの以下のような発言からもよく分かる。

 ペンスの今回の演説の冒頭には、次のような文言がある。「米国は最も初期より宗教の自由を支持してきた。米国憲法の起草者たちは、宗教の自由を米国の自由の第一に位置付けた」「我々の独立宣言は、我々の貴重な事由が、政府から与えられたものではなく、神から賦与された不可侵の権利であると宣言した。米国人は、政府の命令ではなく良心の命令に従って生きるべきだと信じている」「我々は、世界中の他の国々の宗教的自由を支持し、人権を尊重し、それにより世界中の人々の生き方をより良いものにしてきたことを誇りに思う」「自由な精神が自由な市場を作るのだ」。



 トランプ政権は、人権への取り組みが弱いと非難されてきた。その批判には当たっている面が少なくない。トランプ政権は、独裁者に対して甘い傾向がある。しかし、信教の自由を前面に打ち出すとなると、トランプの重要な支持基盤の一つである宗教保守へのアピールになる。米バード大学のWalter Russell Mead教授は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に7月22日付けで掲載された論説‘Trump’s Hesitant Embrace of Human Rights’において、「チーム・トランプはアジアやその他で中国の勢力に対抗する連合を形成するうえで、米国のポピュリストと保守の支持者を団結させる必要がある。宗教の自由に焦点を当てた人権のビジョンを取り入れることは、その両面で役立つ」と指摘している。鋭い指摘である。

 トランプ政権においても、宗教の自由擁護という人権問題が重視されてきていることははっきりしてきた。そうした中で、米中関係の今後がどうなっていくかは世界各国にとり、特にアジア諸国にとり、大きな関心事項である。経済問題は互恵のプラスサムの関係を築くことで、政治問題は利益をバランスさせる政治的妥協によって解決可能であるが、宗教の自由問題は深く価値観にかかわる問題であって、妥協によって解決するのが困難な問題である。

 中国はウイグル問題を内政問題と整理し、内政不干渉を盾に国際的批判に対抗しようとしているが、そんな対応でやり過ごせる問題ではないのではないかと思われる。宗教の自由を重視する米国と、宗教をアヘンとみなし宗教を国家の監督下に置きたいとする共産主義の中国との対立は今後ますます深刻になる可能性が高い。今や、米中対立は、単なる覇権争いを超えて「価値観の衝突」となっている。

【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!

日本人は宗教と政治は、無関係であることを当然のこととしているため、米国の宗教的価値観をなかなか理解できないでょう。

米国の政治にはいわゆる福音派が、大きな影響を与えていることは間違いありません。福音派とは、キリスト教の潮流の一つで、聖書の記述を忠実に守り、伝道を重視し、積極的に行動することを旨とします。プロテスタントの系譜を引くのですが、米国では宗教別人口の約4分の1を占め、主流派のプロテスタントを上回る最大勢力です。また、トランプ大統領の強力な支持基盤で、2016年の大統領選では白人福音派の8割がトランプに投票したとされます。

福音派がその名に冠する福音主義は、16世紀の宗教改革当時にルターらが唱えた、教会の権威によらず聖書に立ち返ろうとする考えを指します。福音派も含めてプロテスタントは、神学的にはこの流れをくむものですが、様々な歴史的経緯からいくつかの会派に分かれていきました。

19世紀の前後にかけて自然科学などの発展に伴い、プロテスタントの中には自然科学の知見を認める自由主義神学の流れが現れました。その一方で、米英の保守的なプロテスタントの中からは、自由主義神学に異を唱え、進化論などを否定して聖書の霊感と無謬(むびゅう)性を固持するファンダメンタリズム(原理主義)が現れました。

米国の福音派の代表的な伝道師であるビリー・グラハムらは、このファンダメンタリズムから出発しています。しかしグラハムらは、ファンダメンタリズムが内包する分離主義や反知性主義、伝道についての無関心などを批判する姿勢を示しました。

ビリー・グラハム氏

それと共に、自由神学に対して一定の評価を与え、ファンダメンタリズムとも自由主義神学とも一線を画する新しい福音主義として福音派の潮流を興したのです。このため、福音派は穏健なプロテスタント保守派と位置付けられています。

一般的に、このような立場をとるプロテスタントが、自他共に福音派とされます。したがって、福音派とは特定の会派ではなく、会派をまたいだ信仰における姿勢や立場を示す呼称となっています。

このため、国によって福音派の定義にも違いがみられます。また、社会問題についての見解などにも会派により多少の差異があります。しかし、一般的には妊娠中絶や同性婚には否定的であることが多いです。

基本的には聖書の教えどおりに生きることに価値を置くため、旧約聖書の一節を「神がイスラエルをユダヤ人に与えた」と解釈し「世界が終末を迎えるとき、エルサレムの地にキリストが再来する」などとしています。

トランプ大統領自身は、米国のリベラル系メディアの否定的な報道から、信仰心を有しているとは思われていようですが、実はそうではありません。選挙公約に米大使館のエルサレム移転などを掲げ、当選後まもなくエルサレムをイスラエルの首都と認めるとしたのは、有力な支持層である福音派への配慮だとされています。

そうして、日本の多くの人々は、米国の福音派に違和感を抱くのは、「どうしてあそこまで政治と宗教(キリスト教)が関連付けられるのか」ということでしょう。これは、日本のキリスト教が1パーセント未満であることとも連関しますが、まず米国は日本で一般に認識されているところの「政教分離」の原則が当てはまらない国家であることを知る必要がある。

ご存じの方も多いと思いますが、米国では大統領が就任式で宣誓するとき、聖書に手を置いてこれを行います。日本では絶対にありえない光景です。日本では首相が般若心経やコーラン、あるいは仏典の上に手を置いて就任式をする光景はないです。

トランプ大統領は就任式で、左手を聖書に置き、右手を挙げて恒例の宣誓をした

ところが、米国ではこれは当たり前のことになっています。それは、米国において「宗教(主にキリスト教)」は政治に関与することが大いに奨励されているからです。そもそもWASP(白人でプロテスタント信仰を持つアングロサクソン系民族)と呼ばれる人々は、キリスト教信仰に基づいた国家を建設しようとして、米大陸に乗り込んできたやからです。だからキリスト教精神に則って政治が行われることは、至極まっとうなこととなのです。そのため、彼らの意識としては、政治と宗教は親和性の高いものとなっているのです。

これを端的に表しているのが、「Separation of Church and State」という考え方です。これは詳訳するなら「特定教派と政治の分離」となります。一方、日本をはじめ他の先進諸国が使用している形態は、「Separation of Politics and Religion」です。同じく詳訳するなら「政治と宗教の分離」です。この土台が異なっているため、日本では、当福音派クリスチャンですら二重の意味で混乱を来すことになるのです。そうして、非キリスト教以外の人々にも誤解や混乱をもたらしてるのです。

一つは、日本国民として「政治の中に宗教性を持ち込んではダメ」と思っていることです。もう一つは、「キリスト教はあくまでも心や精神的癒やし(解放)を目指すものであって、政治とは相いれない」と思い込んでいることです。

しかし米国においては、このいずれも決して自明なことではありません。もちろん政治的発言を控えるという風潮や、そういう考え方を訴える福音派の牧師もいます。しかし同じ「福音」の捉え方にしても、やはり国が違えばその強調点、濃淡に差異が生じやすくなるのです。

多くの日本の福音派教会は、米国の宣教師からのDNAを受け継いでいます。宣教師になるくらいですから、米国にいながらどちらかというと政治よりも個々人の精神性に重きを置く傾向がある人々であることは否定できないでしょう。

日本的な「政教分離(政治と宗教の分離)」の原則と、日本にクリスチャンが1パーセント未満であるということ、そして海外からもたらされた形而上学的側面を強調する「キリスト教」が相まって、米国の「政教分離(特定教派と政治の分離)」を理解しにくくしているという一面があることは、覚えておく必要があります。

日本のメディアの論調は、米国人の4分の1が「福音派」であり、その大多数が共和党支持であり、福音派の主張(中絶禁止、公立学校での祈祷推進、同性愛禁止、イスラエル支援など)を積極的に受け止めて実現させているトランプ大統領を熱烈に支持している、というものです。

しかしこのような情報の流布には、大きな功罪が伴っています。「功」の部分は、「政治と宗教が一体となる国家こそ素晴らしい」と考える集団が米国には今でも確かに存在することをリアルに示しているというところです。

一方、「罪」の部分は「功」を上回って深刻な偏見を私たちに与えることになります。それは、全国民の4分の1が福音派として一枚岩で、福音派の主張を政治的に成就させようとしている、という印象を与えてしまうことです。そもそも「福音派」とは一体何なのでしょうか。

「福音派」はなかなか明確化しづらい概念であり、専門家たちも確たる定義を行えないまま現在に至っています。

政治への関与という点で、「福音派」は「政治的に解決することもいとわない」という「宗教右派」から、政治関与には消極的な集団まで幅広く存在しており、その境界線はかなり曖昧です。

「福音派」の多数は後者ですが、メディアなどに取り挙げられるのは圧倒的少数派である前者です。これは、米国のメディアのほとんどが、リベラル系に握られており、大手新聞の全部はリベラル系、大手テレビ局ではfoxTVのみが保守系であり、あとはリベラル系であることを認識しておくべきでしょう。だから、米国保守派の正しい姿をなかなか報道できないのです。

つまり、テレビに登場する「福音派指導者」という輩は、その素性、経歴、現在の立場などがまったく分からないまま「福音派の代表」に祭り上げられているといえるかもしれません。もちろん、本人がそう願って取材に応じている場合もあるでしょう。しかし往々にして、日本のメディアが大々的に取り上げることで、彼らを頂点とする「政治的思想集団=福音派」が米国に出来上がりつつあるような印象を与えてしまっています。

しかし、ネットで彼らの素性を調べると、そのほとんどが「宗教右派」に分類される人々です。一部のコアファンが集まっているというところでしょう。

このような現状を鑑みるとき、もし誰かに「福音派ってあんな人たちなのですか」と尋ねられたり、「どうして米国の福音派はトランプ大統領を支援しているのですか」と聞かれたりしたとき、特に日本の福音派との比較で聞かれた場合には、現状では以下のように認識すべきでしょう。

1)日本の福音派と米国の福音派は、信じている事柄(福音主義的教理)においては一致していても、そのアウトプットの仕方は異なっています。その理由は「政教分離」の中身がまったく違うからです。

2)米国の福音派はトランプ大統領に絶対的な支持を与えているわけではないです。政治的関与に対して、幅広い意見を持つ福音派は、その定義すらつかみどころがないです。自分たちの願うアクションを政策として掲げてくれるトランプ大統領を「熱烈に」支持する一部の福音派(宗教右派)もいれば、彼らのプレゼンにほだされて、トランプ支持に回る「浮遊層」も存在します。さらに、政治的な解決は自分たちの信じている聖書のやり方に反する、と主張する反トランプ派の福音派も存在するのです。

さて、米国の福音派について長々と述べてきましたが、米国では政治に大きな影響力を持つ福音派は、現状のウイグル族の状況をどう捉えるでしょうか。

当然のことながら、ウイグル人はイスラム教という信仰に基づいた国家を建設するのが自然であると考えるでしょう。これは、宗教を否定した共産主義者からはとても受け入れられない考え方です。

米国の福音派等からすれば、信仰に基づかない国家を建設した中国は、偽善でありまやかしであると写るに違いありません。

両者は水と油なのです。だからこそ、米中対立は、単なる覇権争いを超えて「価値観の衝突」となっているのです。

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2019年8月6日火曜日

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた―【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた

ソウルの日本大使館が入居するビルに突入した乗用車=19日未明

韓国が破滅に向かって暴走している。全国各地で「反日」集会が連日開かれ、日本の対韓輸出管理厳格化をやり玉にあげて、「安倍(晋三首相)は、韓国が『未開な国』だと言っている」「もう一度、日本の僕(しもべ)にするつもりで経済侵略を仕掛けてきた」などと、感情の赴くままに言いたい放題である。

 ソウルの日本大使館にはガソリンを積んだ乗用車が突っ込み、運転手は車に火をつけて自殺した。釜山の日本総領事館には学生6人が中庭に侵入し、「安倍は謝罪しろ」と騒いだ。産経新聞やフジテレビの支局にも暴漢が侵入した。釜山市は長く続いた長崎県との交流を断絶し、韓国中部・瑞山(ソサン)市は、天理市の中学生交流団の受け入れを直前に拒否した。

 韓国政府もマスコミも、国民の反日感情を煽るばかりだ。走り出したら止まらない彼らの行き着く先は、日本との「断交」しかない。

 現在の日韓関係の悪化は、昨年から続く韓国の裏切り行為や侮日発言にその原因がある。すべて、「韓国が売ったケンカ」なのだ。「完全かつ最終的な解決」を確認した元徴用工への補償問題を蒸し返し、慰安婦問題が「不可逆的に解決した」ことを確認した日韓合意も完璧に反故(ほご)にして、相変わらず「性奴隷説」を世界にバラまいている。

 韓国駆逐艦が自衛隊機に火器管制用レーダーを照射した事件も、「超低空飛行で自衛隊機に威嚇された」と言って、逆に日本を非難している。韓国国会議長は「天皇陛下(現上皇さま)は元慰安婦に謝罪せよ」と、不敬極まる発言を行い、日本が抗議すると「盗人猛々しい」と開き直った。

 自己の責任は棚に上げ、自分の都合に合わせて事実を捻じ曲げ、これをどこまでも押し通す彼らのやり方に、もはや日本人の堪忍袋の緒は切れた。「断交は望むところだ」と多くの日本人が思い始めている。

 実は、韓国経済が日本経済に支えられていることを、ほとんどの韓国人が知らされていない。日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ。しかし、自虐史観で不必要な負い目を負わされた日本が、ことあるごとに韓国の理不尽な要求を受け入れたために、彼らは自己過信に陥り日本を徹底的に侮るようになった。そして、いつの間にか条約一つ守れず、日本の在韓公館や企業を襲う暴徒が英雄となる、独善的で理性と品格に欠けた国家に成り下がってしまったのだ。

 日本にも、その責任の一端がある。日本の名誉と国益を守るためにも、毅然(きぜん)と反論して目に見える対抗処置を取り、「断交→自滅」へ一直線の反日暴走から、彼らを覚醒させるべきであろう。

 ■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮近現代史研究所所長。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80~84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』(ワック)、『日本が忘れ韓国が隠したがる 本当は素晴らしかった韓国の歴史』(ハート出版)など。

【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

どうして韓国がこのようになるのか、多くの日本人には理解しがたいことです。

日本兵の姿をしている人に怒りの水鉄砲を撃って喜ぶ韓国の子供達

それは、このブログにも以前から掲載してきたように、韓国政府や文在虎大統領というより、1990年代ころから、歴代の政府と大統領が、体系的、組織的な反日教育を通じて意図的に日本を悪者に仕立てて、自らの失敗などで自分たちが国民の憤怒のマグマを直接かぶることなく、日本に向けて発散させるとともに、それによって国内の求心力を訴求してきたという歴史があるからです。文在寅も、自分の失敗を日本のせいにしているだけのことです。

今日の文政権は、金融緩和や積極財政もをせずに、最低賃金だけあげるという、日本でいうと立憲民主党の枝野氏のような政策を実行し、大失敗しました。そうなることは、最初からわかりきっていました。雇用のパイが変わらないのに、最低賃金だけあげれば、当然のことながら、雇用が激減するわけです。

文在寅氏と枝野氏

さらに、安全保障においても、中途半端に中国に接近するなどして、米国の不興を買い、とんでもないことになっています。

外交においても、周辺諸国が現状維持(Status quo)を望んているということも理解せず、北朝鮮に接近し、何かといえば、制裁解除をしようとしてさらに米国の不興を買いました。さらには、この制裁破りをしている可能性が大です。おそらく、例の自衛隊の哨戒機へのレーダー照射はそれに関係しているでしょう。

文在寅は北に接近して、金正恩と気脈を通じたつもりになり、いずれ南北統一ができるかのような錯誤をして有頂天になっていたようですが、金正恩にはその気は全くありません。

南北が統一されてしまえば、どのような形であれ、子供の頃から主体(チュチェ)思想で鍛え上げられ、金王朝を尊敬する北朝鮮人民以外の金王朝には敬意を払わないどころか、無関心な韓国人が大勢北にやってくることになります。そんなことは、金正恩は絶対に許容できません。中国やロシアだけではなく、北朝鮮も朝鮮半島の現状維持を望んでいるのです。

では、なぜ金正恩が、文在寅と気脈を通じたように演出してみせたかといえば、それは無論制裁破りです。北への制裁はかなり効果があり、金としては、なんとしてでも制裁を少しでも破りたかったので、文にまともに対応し、歓迎してみせたのです。

2018年9月20日、朝鮮半島最高峰の白頭山を訪れ,
      ヵルデラ湖「天地」で笑顔の文在寅と金正恩

しかし、文在寅は、北と接近する一方で、中国にも接近し、従属する姿勢を継続しました。文は、南北統一や中国への従属ということで、周辺諸国からみれば、文在寅は、朝鮮半島の現状維持の破壊者なのです。

そもそも、金正恩、北朝鮮の幹部らは嫌中です。そのため、北朝鮮および北朝鮮の核は、結果として、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。北朝鮮の核は、中国やロシアにとっても脅威なのです。

そうして、この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。米国にとって一番悪い状況は朝鮮半島全体が中国の覇権が及ぶ地域になることです。

文在寅はこのようなことも理解せず、中国に従属しようとするだけではなく、南北統一への道筋をつけようとしたわけですから、金正恩も最初は、文は制裁破りで役立つかもしれないと考えていたのですが、あまり文と接近しすぎると、日米中露から、金も文と同じく、現状維持の破壊者とみられては、とんでもないとばっちりをうけるかもしれないと思い、最近では短距離ミサイルを発射するなどして、文とは一定の距離を置こうとしているのです。

以上のように文在虎は、歴代の大統領の中でも、経済特に雇用、安保、外交でもすべて大失敗しているのです。文はこれらに対する打開策もみつからず、ことさら日本を攻撃してみせて、国内アピールをして何とか国内の批判をかわそうと試みているのです。

しかし、このようなことが長く続くとは思えないです。なぜなら、冒頭の記事にもあるように、日本は韓国に対して安保上の理由でいつでも送金停止の処置ができるからです。

韓国の銀行は既に米国で送金できなくなっています。米ニューヨークに進出した韓国系銀行の支店と現地法人が昨年11月から送金中継や貸付などの核心業務を相次ぎ中断しています。米金融当局のコンプライアンス強化の要求に対応できないためです。グローバル金融の中心地ニューヨークで韓国系銀行は連絡事務所に転落しています。

これは、北朝鮮に対する制裁破りをしている韓国に対する米国の事実上の制裁と考えるべきでしょう。 これは、韓国内ではソフトに報道されていますし、米国もはっきりと制裁とは言ってはいません。

日本では、最近になって貿易制限をしていますが、米国では似たようなことをすでに昨年の11月あたりから実施していたということです。

上の記事では、「日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ」としていますが、もっと具体的に言うと、日本の銀行が韓国の貿易決済に関する送金を停止すれば、韓国の金融取引は止まり、輸出入ができなくなります。その結果、韓国は金融危機に陥ることになります。

もし韓国が日本と国交を断絶するようなことをすれば、無論日本のメガバンクは保証などできなくなくなります。さらに、日本からは様々な韓国産業にとっての死活的な物資や機器が輸入できなくなります。韓国にとっては、本来日本は死活的な重要な国なのです。

その重要な国を粗末に扱った文の代償はかなり大きなものになることでしょう。

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2019年8月5日月曜日

日本経済には漁夫の利も、英国のEU離脱―【私の論評】英国はブレグジットで緊縮策を捨て去り、新たな経済モデルを樹立するかもしれない(゚д゚)!

日本経済には漁夫の利も、英国のEU離脱

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

英国の新首相は、EU離脱を強行する方針なので、欧州経済は混乱しそうです。しかし、日本経済への悪影響は限定的だろう、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。



失われる「自由貿易のメリット」は限定的

 EUは「人・物・資本・サービスの移動の自由」を基本理念としていますので、英国がEUを離脱すれば、大陸との間での様々な移動に支障が出る事になるでしょう。

 その中で、日本経済に影響しそうなのは、物の移動すなわち貿易でしょうから、本稿は貿易に焦点を当てましょう。

 経済学は、「自由貿易によって国際分業が促進され、それぞれの国が得意な物を作って交換し合うことで、双方にメリットがある」と教えています。それはその通りなのですが、工業国と農業国のような場合はともかく、産業構造も得意分野も似通っている先進国同士の場合には、そのメリットは限定的でしょう。したがって、EU離脱の悪影響も限定的です。

 イギリス人が「フランス産ワインに関税がかかるので国産スコッチで我慢しよう」と考えると、フランスのワインメーカーにとっては輸出が減ってしまいますが、一方でフランス人が「英国産スコッチに関税がかかるので国産ワインで我慢しよう」と考えれば、ワインメーカーの国内販売が増えるので、トータルの影響は限定的なのです。

 悲観論の好きな評論家やマスコミが「ワインメーカーは輸出が減って困るだろう」と書き立てるかもしれませんが、物事は多面的に見る必要があるので、要注意です。

 物の移動以外でも、たとえば金融業は英国から大陸への大量脱出が起こりそうですが、それによって英国のGDPが減った分は大陸のGDPが増えるわけでしょうから、欧州全体のGDPも、したがって日本から欧州への輸出も、それほど影響を受けないと思われます。

日本企業の英国工場は英国企業

 日本企業が英国に生産子会社を持っているケースは多いでしょう。したがって、英国経済が混乱したり、工場から欧州大陸への輸出が難しくなったりした場合、親会社の日本企業が痛手を被ることになりかねません。

 しかし、本当に痛手を被るのは英国企業である生産子会社であって、仮に失業するとしたら英国人従業員です。日本の本社は、海外子会社からの配当が減るだけです。これは、日本の景気にほとんど影響しません。

 日本企業は海外子会社から配当を受け取っても、それを日本人従業員のボーナスとしたり日本国内の設備投資に使ったりせず、手元資金として貯めておくか銀行に借金を返済するために使う場合が多いでしょう。それならば、配当が増えても減っても日本の景気には影響がない、というわけですね。

 親会社から生産子会社への部品の輸出が減るかも知れませんし、親会社の株価が下がれば株主の消費が減るかも知れませんが、いずれも影響は限定的でしょう。

合意なき離脱だと短期的には混乱するだろうが……

 英国のEUからの離脱が「合意なき離脱」になると、短期的には混乱が生じるでしょう。たとえば、税関が混乱して荷物が届かない、といったことが起きるかもしれません。しかし、時が経てば混乱も収まり、荷物も届くでしょう。

 部品が届かないから生産が止まる、ということもありそうですが、その場合にも部品が届き始めてから遅れを取り戻すべくフル生産が始まるでしょうから、少し長い時間軸で見れば、影響は限定的でしょう。

 そもそも、合意なき離脱の可能性が高まってから実際に離脱するまでに時間がありましたから、各企業が十分な準備をしていると考えてよさそうです。

日本経済には漁夫の利も

 欧州のGDPはそれほど減らず、英国子会社の損失も日本経済には響かず、合意なき離脱の影響も少し長い時間で考えれば影響が小さいとすれば、上記を見る限り、日本経済への影響は、限定的でしょう。

 一方で、日本経済が漁夫の利を得ることも期待されます。いままで「ドイツ車は関税がかからないから、日本車よりドイツ車を買おう」と考えていた英国人が、「どちらも関税がかかるなら日本車を買おう」と考えるかもしれません。

 もしかすると、英国と日本の自由貿易協定が締結され、「ドイツ車には関税がかかるけれども日本車はかからないから、日本車を買おう」ということになるかもしれませんね。

EUの崩壊は起きない

 悲観論を述べたがる評論家の中には、英国がEUを脱退すると、次々に脱退する国が出てきてEUが崩壊する、と言う人がいるかも知れませんが、それは杞憂です。

 まず、英国経済は今回のEUからの離脱で少なからぬ痛手を被るでしょうから、それを真似ようという国は多くないはずです。

 それ以上に重要なのは、英国がEUを離脱したのは、ユーロを使っていなかったからであって、ユーロを使っている国がユーロ圏から離脱するのは大変な労力が必要です。

 特に、対外純資産がマイナスの国がユーロ圏から離脱するのは、大きなリスクを伴います。海外の債権者が返済を求めて来たときに、今ならユーロを返済すれば良いのですが、自国通貨を使うようになると、自国通貨をユーロに替えて返済する必要が出て来ます。

 最初の返済は良いのですが、最初の返済のためにユーロを買うと、自国通貨安ユーロ高になりますから、次の返済は少し大変です。次の返済のためにユーロを買うと、3回目の返済はさらに大変です。こうして、最後の返済は非常な負担となるかもしれないわけです。

 そのことは、外国の債権者も予想ができますから、ユーロ圏を離脱した対外純債務国に対しては、高い金利を要求するようになるでしょう。今はユーロ圏にいるから安い金利で借りられているのだ、と考えれば、離脱はリスクというより明白なコストと言うべきかもしれませんね。

世界経済への影響は限定的

 英国が離脱しただけでEUの経済が大混乱をすることは考えにくいですから、仮に大混乱するとしても英国経済だけでしょう。それであれば、英国の輸入が落ち込む程度ですから、世界経済への影響は限定的なはずです。

 かつてのように英国ポンドが基軸通貨であったならば、世界中の投資や貿易等に使われている通貨の流動性が低下したりすれば大問題となりかねませんが、今は概ね英国国内だけで使われている通貨ですから、対外的な影響は小さいでしょう。

 リーマン・ショックが基軸通貨である米ドルの流動性を著しく低下させて世界経済に甚大な打撃を与えたのとは、その面でも大きく異なるわけですね。

 本稿は、以上です。

【私の論評】英国はブレグジットで緊縮策を捨て去り、新たな経済モデルを樹立するかもしれない(゚д゚)!

ロンドンではなぜか、ジョンソン氏への懸念がさほどでもないようです。それは以下の2点に集約されるようです。

1、強硬派のジョンソン氏も、首相になれば現実路線に転じて円滑な離脱を目指すはずだ
2、「合意なき離脱」でも悪影響は案外大きくないだろう
です。

1について、もう少し詳しく説明すると、党首選におけるジョンソン候補の「合意なき離脱も辞さない」とする主張は、あくまでもEU離脱派の保守党議員向けであり、首相になり離脱派と残留派が拮抗する国民世論を前にすれば、より現実的な道を選ばざるを得ないだろう、というのです。

ボリス・ジョンソン英国首相

実際、党首選が進むにつれ、ジョンソン氏は10月末の離脱を目指すという目標は変えないものの、「合意なき離脱」ではなく、EUとの交渉による円滑な離脱の可能性を探る姿勢を強めています。

ジョンソン氏は、ロンドン市長時代の左派的なスタンスからEU強硬離脱という右派的なスタンスへと立ち位置を変化させており、特定の主張に固執せず、柔軟だという指摘もあります。こうした彼の特徴が、やや根拠に欠ける安心感を国民に与えているのでしょう。

2の「合意なき離脱」でも影響はないという見方の根拠としては、

1、悪影響の試算がマイナス面だけであり過大
2、予測不能な部分が多いため、思ったほど悪くならない可能性がある
3、事前に悪影響をある程度織り込んでいるため、事後に反動でプラスとなるものがある
の3点が挙げられる。

確かに、1の過大推計はこの手の試算によくあることです。たとえば大イベントの経済効果試算などでは、プラス要因ばかりを積み上げ、消費者がイベント参加で使うお金を捻出するために、実は節約するといったマイナス面を十分に考慮しないことが多いです。

2の予測不能に関しても、予想から大きく上振れすることも下振れすることもあるということであり、上振れにのみ注目すれば、そういう考えもできるのでしょう。

3の反動についても、不透明感から投資は抑制気味のようであり、離脱後に動き出すものもあるでしょう。とすれば、思ったほど悪くはならないという程度は言えるのでしょうが、希望的観測の域を脱していないようにも見えないではありません。

ある大手会計系コンサルティングファームによると、2千社のCEOに対して行った調査で、英国は最近もなお、投資対象国としての人気ナンバーワンを維持しているといいます。ポンド安が投資の魅力を高めている面があり、こうした結果を踏まえ、ブレグジット後もイギリスへの投資が加速するのではという見方もあります。

また、ブレグジットはそもそも英国が抱える課題を解決するために実施するのですから、一時的に混乱しても、長い目で見れば悪いはずがないという声もありました。これは、日本人など部外者が見落としがちな視点なのかもしれないです。

もともと英国がブレグジットを目指した背景には、移民の流入で生活が圧迫される層の存在があり、移民流入をもたしたと彼らが考えるEUルールへの根強い反発があります。裏返せば、EUルールから解放されることが自らの生活改善につながるという期待感が、ブレグジットの原動力になっています。

ロンドンの移民

こうしてみると、楽観論の根底に、ブレグジットによってもたらされるであろう環境改善への期待があるのは確かです。離脱やむなしとなったからには、それを信じるしかありません。円滑な離脱であればなお良しということなのでしょう。

そうして、これは以前のこのブログにも掲載したのですが、ジョンソン新首相は、これまでの英国の緊縮財政を変える可能性が高いです。ジョンソン氏は以前から積極財政に舵を切ることを国民に約束しています。

金融政策に関しては不透明なところもありますが、イングランド銀行(英国の中央銀行)は、以前から果敢な金融緩和政策をおこなつてきました。ブレグジットで景気が落ち込んだ場合も、おそらく大規模な緩和に踏み切るでしょう。

これと、ジョンソン氏の積極財政が結びつけば、ブレグジットによる悪影響はかなり緩和される可能性があります。

英国で19世紀の「ディケンズ病」が再燃、猩紅熱などの患者急増

そもそも、英国の最近の保守党による緊縮策は像像を絶するところがあります。英国で19世紀から20世紀初頭にかけて流行した猩紅熱(しょうこうねつ)や栄養不良など「ディケンズ病」と呼ばれる疾病が再燃し、患者数が急増しています。

専門家が英国民保健サービス(NHS)の統計をもとにまとめた調査によると、2010年以来、猩紅熱や栄養不良、百日咳、痛風のために病院を受診した患者は、年間3000人(52%)のペースで増加しました

1900年代初頭に乳幼児の死亡の筆頭原因だった猩紅熱については、2010~11年にかけて429人だった患者数が、17~18年にかけては1321人と208%増加ししました。

百日咳は、1950年代に英全土で予防接種を推進した結果、英国ではほぼ根絶されたはずだったのですがが、患者数は2010~18年にかけて59%増となりました。

同じ期間に栄養不良の患者は54%、痛風の患者は38%、それぞれ増えています。

今回の調査結果を発表した野党労働党は、こうした疾患が増えているのは政府による緊縮策が原因だとして政府を非難しました。

労働党の影の内閣保健相、ジョナサン・アシュワース議員は、「緊縮策のために我々の社会が病んでいる」「これは貧者が若くして死亡するということだ」と強調しています。

英看護協会の専門家ヘレン・ドノバン氏も、緊縮策の影響で検査や予防対策などの予算が削減されたと述べ、「過去のものと思われていた疾患は今後も見過ごされ、国民が危険にさらされる」と指摘。「我々は、健康の不平等拡大が国土を荒廃させる国家非常事態に直面している」と危機感を募らせています。

ボリス・ジョンソン英国首相は7月25日午前、初の閣議を開催。昼前には首相として初めて議会で演説しました。

ジョンソン首相は演説の中で、英国のEU離脱(ブレグジット)を10月31日までに実現する決意を重ねて強調。EUに対しては「離脱協定に変更を加えることを一切受け付けない姿勢を再考するよう期待する」と述べました。EUがこれを拒否すれば、合意なき離脱(ノー・ディール)を選択するとし、離脱期限までにその準備を最大限加速させると力説しました。

ブレグジット以外の政策課題については、医療、治安、インフラ整備などを重視する姿勢をにじませました。演説で言及した主な方針は以下の通りです。
●国営医療サービス(NHS)の予算拡大。20の病院で施設改修を実施。かかりつけ医師(GP)の診察待ち時間の短縮。
●路上一般犯罪の抑制。2022年までに警察官2万人を増員。職務質問権限の拡大。
●初等・中等教育機関における児童・生徒に係る予算の引き上げ。今国会閉会までに教育費支出を過去の水準まで増加。
●全国の地方自治体への支援強化。各地における機会不平等の是正。
●道路、鉄道、光ファイバー、第5世代移動通信システム(5G)、住宅など社会インフラの整備。
●移民諮問委員会(MAC)によるオーストラリア型ポイント制移民政策の検証。
●(メイ前政権が発表した)2050年までの温室効果ガス(GHG)純排出ゼロ実現に向けた政策の推進。蓄電池技術開発などによる電気自動車(EV)産業や航空機産業の集積強化。
●バイオ産業、衛星や地球観測システムなどの強化。
●全国各地で自由貿易港(特区)を設置。通商交渉を加速。
演説では触れませでしたが、ジョンソン首相は保守党の党首選を通じ、個人への減税にも取り組む姿勢を明言してきました。英国では年収5万ポンド(約675万円、1ポンド=約135円)以上の所得がある居住者は40%の最高税率が適用されますが、これを8万ポンドに引き上げると約束。社会保険料の支払いが免除される所得基準も引き上げる方針を打ち出していました。

しかし、英国のシンクタンク、財政研究所の試算によると、政府はこれらの減税策を実現すれば、社会保険料免除の基準の引き上げ幅に応じて年間120億ポンドから200億ポンド超の歳入を失うことになります。

減税をうたう一方で、演説で述べたような積極財政を伴う政策を打ち出していることについて、実行を疑問視する声も聞こえています。ロンドン市長時代に見せた行政手腕を発揮できるか、注目が集まります。

ただ、財政研究所などの試算は、日本の財務省の官僚のように、緊縮脳に凝り固まった人間が算出している可能性が大であり、ジョンソン新首相が過去の緊縮財政から決別して、国債などを大規模に発行して、減税などの積極財政に取り組んだ場合は、これまでとは全く話が違ってきます。

そうして、英国にとってこれがブレグジットの最大の利点となります。自国の考えで、全く制約を受けることなく、金融緩和や積極財政ができるのです。

これが実現すれば、英国は短期ではブレグジットの悪影響を最小限にとどめ、長期的にはかなり発展することになるかもしれません。

そうなれば、緊縮という呪縛から免れることがいかに素晴らしいことなのか、多くの国々が理解するかもしれません。

それが、緊縮に凝り固まっているEUや日本にも良い影響を及ぼすかもしれません。そうして、英国が新たな経済モデルとなるかもしれません。

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2019年8月4日日曜日

財務省がいまひっそり仕掛ける「10月の消費増税」へのヤバい裏工作―【私の論評】下卑た財務官僚はすでに10%超増税、年金減額、その他大緊縮路線に向けて動いている(゚д゚)!


関係者はほくそ笑んでいる

財務省にとっての参院選

7月21日に行われた参院選の結果にいちばん安堵したのは、財務省だろう。10月の消費増税を確定的なものにしたからだ。

今回の参院選では、山本太郎氏の「れいわ新選組」が消費税廃止を訴えたのをはじめ、野党は増税反対の方向で一致した。

一方、自民党も「当面10%以上に消費税を増税することはない」と明言して選挙を進めていた。


安倍政権という長期政権のうちに消費増税を達成しておかないと、次の政権になったらいつ実現できるかわからない。そして安倍総理が財務省に対して、ある程度の警戒心を抱いていることも知っていたので、様々なルートを駆使して「攻略」することに腐心していた。

まず、安倍総理の「盟友」である麻生太郎財務大臣を徹底して財務省の味方につけた。消費増税は、憲法改正とともに麻生氏の政治的な使命だと、本人に言及させたのだ。

麻生氏を懐柔したことで、増税のみならず、戦後有数の「財務省危機」を乗り切ることに成功した。ここ数年で相次いだ、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の書き換え問題や、福田淳一財務事務次官によるセクハラ問題は、下手をすると財務省の解体にまで発展しかねない、未曽有の懸念材料だった。

そのような状況で、麻生氏を軸に、永田町と霞が関の距離をうまく調整することで、財務省の組織解体を免れ、あくまで役人の個人的な問題として処理させたのだ。

おまけに今回の参院選により、財務省悲願の消費増税まで実現間近だ。福田氏の後任事務次官である岡本薫明氏は今年7月末から2期目に突入するが、これらの「偉業」により、省に名を残す次官となるだろう(あくまで省内目線での話だが)。

今回の参院選の大義名分が「増税選挙」であったとはいえないが、結果的に安倍政権は2度の消費増税に耐えたことになる。'89年の消費税創設(竹下内閣)、'97年の5%への増税(橋本内閣)では、それぞれ政権が倒れた。'14年の8%、そして10月の10%への増税でも政権が倒れなかったわけだから、財務省にとっては「希望の政権」に見えるのだろう。

「4選」の噂がないわけではないが、ひとまず'21年9月に安倍総理は任期満了だ。財務省としても、安倍政権での消費増税は「10%」でもう十分だと考えているはずだ。消費税は、30年間で3回増税した。均せば10年に1回で、参院選期間中、「今後10年くらいは消費税率を上げることはないだろう」と総理が発言したことにも符合する。


今後、財務省は消費税「10%超」を狙うための「10ヵ年計画」を仕込んでいくだろう。総理交代で財政方針も転換するかもしれないが、緊縮財政が進んで歳出がカットされるくらいなら、増税でも構わないと国民が納得するのを財務省は待つことになる。

緊縮財政を「ムチ」とすれば、「アメ」は軽減税率だ。実際、新聞は軽減税率の兼ね合いから、消費増税を争点化できなかったと見受けられる。ほかにも、一時的な財政支出が「アメ」として機能する。参院選後、安倍総理は増税後の景気対策で一時的な財政支出に言及している。緊縮路線での「アメ」は、さぞかし甘いことだろう。

『週刊現代』2019年8月3日号より

【私の論評】下卑た財務官僚はすでに10%超増税、年金減額、その他大緊縮路線に向けて動いている(゚д゚)!

上の記事には掲載されていませんが、財務省の人事をみても、財務省の今後の目論見が透けて見えてきます。

財務省はここ数年、異例とも呼べる人事が続いてきました。一般的に官僚組織というのは、人事に関する外部干渉を嫌うものですが、官庁の中の官庁と呼ばれた同省は特にその傾向が強く、終戦の混乱期においても基本的な人事パターンを変えなかったといわれています(当時は大蔵省)。

そんな財務省が、異例の人事を行ってきたのは、何としても消費増税を実現するためです。

同省は「10年に1度」の大物次官と呼ばれた勝栄二郎氏(75年入省)を3期も続投させ、消費税対策に奔走しました。その結果、勝氏の後任だった真砂靖氏(78年)が1年で退任し、その後、木下康司氏、香川俊介氏、田中一穂氏と79年入省の人物が連続して次官に就任するという異常事態が続きました。田中氏の後任として次官に就任した佐藤慎一氏(80年)も、35年ぶりの主税局長からの昇進だったので、やはり異例の人事といってよいでしょう。

官僚組織がひとたび人事のパターンを崩すと、政治の介入を招きやすくなり、組織の弱体化につながります。実際、一連の変則人事には官邸の意向が強く作用したともいわれており、結果的に財務省は、森友学園問題では自殺行為ともいえる文書改ざんに手を染め、立て直しを期待された福田淳一次官は(82年)は何とセクハラ問題で辞任してしまいました。

福田氏の辞任直後から、後任人事をめぐって様々な怪情報が飛び交いましたが、3カ月の空白期間を経て、2018年7月にようやく本命の岡本薫明氏(83年)が次官に就任し、2019年7月の人事では続投が決定しました。岡本氏の就任と続投は、消費増税を実現した財務省が、定常パターンに人事を戻し、次の施策にシフトするための布石と考えられます。ナンバー2、ナンバー3の人事を見ると、その意図はさらに明白になってきます。

岡本薫明氏

岡本氏は入省後、一貫して予算を扱う主計局を歩み、秘書課長、主計局次長、主計局長という重要ポストをすべて歴任しています。財務省的には文句なしのエリートといってよいでしょう。同省の場合、次官候補者はかなり前から絞られていることが多く、今回の人事が定常モードへの回帰だと考えれば、「次」の人物もすでに想定されている可能性が高いです。その人物とは、今回、官房長に就任した茶谷栄治氏(86年)です。

茶谷氏は、岡本氏と同様、秘書課長や主計局次長など、次官になるための主要ポストを歴任していまは。政治的な動きは見せず、典型的な財務官僚タイプと評されており、同省的にはまさに王道といってよいです。

茶谷氏が次官の最有力候補と仮定すると、来年の人事において官房長から主計局長に転じ、2021年に次官に就任する可能性が高いです。岡本氏が3期続投するとは考えにくいので、そうなると、来年の人事では、現在、主計局長の太田充氏(83年)が、1年だけ次官を務めるというシナリオが有力です。

岡本氏と太田氏は同期であり、太田氏は文書課長や秘書課長を経験していません。もし太田氏が次官に就任した場合、これも異例人事のひとつと見なせるかもしれないですが、その後、茶谷氏が次官に昇進すれば、勝氏以来、続いてきた変則的な人事はすべて終了となります。

本来の姿に戻った財務省は、これでようやくポスト消費税の施策に専念できるわけですが、同省の次の狙いが社会保障制度改革、つまり簡単に言ってしまえば、年金の減額であることは明白です。加えて言うと、安定財源を確保するため、10%以上への消費増税についてもすでに検討に入った可能性が高いでしょう。

今回の参院選では、年金2000万円問題という想定外の事態が発生したものの、このブロクでも以前解説したように、元々年金は保険制度であり、これは日本は及ばずどの国でも政治上の争点になりにくい制度です。そのため、今回の選挙でも結局大きな争点とはなりませんでした。

選挙後に記者会見に臨んだ麻生財務大臣は、消費増税について「消費税率の引き上げは最初から申し上げてきた。その意味では信任をいただいたと思う」と、増税しないという選択肢はなかったとも受け取れる発言を行っています。

また、今回の参院選で228万票を獲得した「れいわ新選組」が消費税廃止を訴えたことについては、「福祉は負担と給付のバランスの上に成り立っているが、給付が増えて負担を減らすことが成り立つと思っているのだろうか」と否定的な見解を示しています。

社会保障の財源を消費税とする議論は元々おかしな議論なのですが、その論議はおいておき、実は選挙前にも、財務省が主導する社会保障の財源である消費増税の見通しについて微妙なやり取りがありました。

7月3日に開催された党首討論会では、安倍首相が「(10%への増税を実現できれば)今後10年は消費増税は必要ないと思う」と述べたのですが、翌日には公明党の山口那津男代表が「責任ある発言とは受け取れない」とこれを否定したのです。政府内部の実務レベルでは、10%以上への増税がすでに既定路線となっていることを伺わせる出来事といってよいでしょう。

参院選に先立つ党首討論会でも、首相は今後10年は消費税増税は必要ないと明言した

では、今後、財務省主導で実施されようとししている社会保障改革とは、どのようなものになるのでしょうか。

来年、国会への提出が検討されている社会保障制度改革法案の内容は明らかにされていないのですが、マクロ経済スライドの強化が盛り込まれる可能性が高いです。現在のマクロ経済スライドは、物価上昇時にそれを打ち消す形で年金を減額する仕組みだが、政府内部では物価の上下にかかわらず、年金給付額を削減するプランが検討されています。

もう一つは、70歳からが上限となっている年金支給年齢の引き上げです。

現在、標準的な年金の支給開始年齢は65歳ですが、本人が希望すれば、年金を増額した上で70歳まで支給を遅らせることができます。これを75歳以上まで引き上げることで、稼ぎのある高齢者への支給を抑制したい意向です。

あくまで本人の希望ということですが、この施策の最終的な狙いは、標準的な年金支給開始年齢についても70歳まで引き上げることです。近い将来、年金は70歳からしかもらえなくなる可能性が高いです。

政府は参院選への影響を配慮したのか、本来、選挙前に出るはずだった「年金財政検証」の結果公表を遅らせています。今回の財政検証でどの程度までの減額が明記されるのか要注目です。従来よりも踏み込んだ数字が記載された場合、給付削減と消費再増税の確度は高まったと判断してよいでしょう。

財務省はすでに10%超増税、年金減額に向けて動いているのです。そうして、彼らの頭の中には、日本経済を伸ばして税収を増やすという考えはなく、とにかく緊縮で日本がデフレになってもおかまいなしで、財務省の配賦権益をできるだけ強化し、その結果として高級官僚の天下り先を確保し、老後のハーピーライフをより豊かで確かなものにしようと日々努力しています。それが彼らにとっての省益なのです。

省益にしたとしても、なんとスケールの小さいものなのかと言わざるを得ないです。国民の幸福と引き換えにするには、あまりに小市民的で下卑たものであると言わざるを得ません。こうしたことが見透かされているからこそ、最近は東大生もこの卑しい省を目指さなくなったのでしょう。

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2019年8月3日土曜日

韓国、RCEP会合で輸出管理に2回言及 世耕氏「関係ない提起」と反論―【私の論評】日本にとってRCEPなどどうでも良い、本命はTPPである(゚д゚)!

韓国、RCEP会合で輸出管理に2回言及 世耕氏「関係ない提起」と反論

RCEPの閣僚会合後、記者会見する世耕経産相=3日、北京

日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が3日、北京で開かれた。終了後に発表された共同声明などによると、交渉対象の約20分野のうち、これまでの7分野に加えて電気通信・金融サービスなど3分野で新たに妥結した。一方、日本政府による半導体材料などの輸出管理強化に対して日韓が応酬する場面もあった。

 世耕弘成経済産業相は終了後に記者会見し「今までの会合の中ではかなり円滑に進んだ。次回の9月の閣僚会合が大きなヤマ場になる。年内妥結に向けて日本が交渉のリード役になりたい」と語った。

 世耕氏によると、韓国側は日本の輸出管理強化について閣僚会合で2回発言した。世耕氏は「まったくRCEP交渉と関係ない提起」に対して遺憾の意を示した上で「参加国の誤解」を招かないために、管理強化が安全保障を目的にした貿易管理の適切化であり、韓国が主張する世界貿易機関(WTO)違反ではないことや、世界のサプライチェーンに影響はないことを説明した。世耕氏と韓国側代表との接触は「まったくなかった」という。

 今後、韓国が態度を硬化させて日韓の関税交渉が難航する可能性もあるが、世耕氏は「日本側が影響させる意図はまったくない。もし韓国が影響させてRCEPが停滞すれば各国がどう思うか」と牽制した。

 中国の胡春華副首相は開幕式で演説し「強い政治的意志を積極的行動につなげ、年内妥結という目標に向けて揺るぎなく前進してほしい」と呼びかけた。

【私の論評】日本にとってRCEPなどどうでも良い、本命はTPPである(゚д゚)!

韓国は、RCEPの交渉で日本を非難しているようですが、そんなことはどうでも良いです。なぜなら、日本にとってはTPPのほうが本命中の本命だからです。

RCEP交渉自体は、いままで円滑に進んではきませんでした。交渉開始からすでに6年が経過しています。

北京で開かれたRCEPの閣僚会合=3日

物の貿易の自由化について、インドは関税の削減や撤廃に極めて後ろ向きです。知的財産権や電子商取引などのルール作りの交渉では、高いレベルのルールを求める日本、オーストラリア等に対して、中国やインドは反対しています。

WTOのドーハラウンド交渉が頓挫した大きな要因は、貿易の自由化をさらに推進し、25年前の1993年に合意されたルールを時代に合ったものにしようとする先進国に対して、途上国の大国を自認する中国やインドが消極的な態度をとり続けてきたことです。これらの国が参加するRCEPに、TPP並みのレベルは期待できません。

さらに、一定の労働基準や環境規制の遵守を要求し、これを緩めることによって自国の産業の競争力を高めようとする、いわゆる"底辺への競争"(race to the bottom)という行為に規律を課そうとする "貿易と労働" "貿易と環境" という分野、さらには補助金や規制によって保護される国有企業が外国企業よりも有利に競争できることになっていることに対する規律など、これまでWTOではカバーされず、TPP交渉で合意された重要な柱は、RCEP交渉の対象になってはいません。これらを交渉することに、中国は大きな困難を抱えるからです。

日本の政府やマスコミは、メガFTAであるRCEPの参加国のGDP規模の大きさを強調してきました。FTAの対象となる市場が大きくなることは事実ですが、GDPの大きさだけがFTAの価値を決めるものではないです。

ほとんど関税も削減しない、WTO以上のルールや規律は設定しない、という内容の乏しいFTAでは、いくら参加国のGDPが大きかったとしても現状に大きな変更を加えるものではありません。この意味からもRCEPはまともな協定にならない可能性が高いです。

さらなる問題は、複数のFTAが重複することによって、それぞれの関税、ルール、規則などが複雑に絡み合ったスパゲッティのように錯綜して貿易が混乱するという「スパゲッティボール効果」です。

からまったスパゲティー

TPP11と日EUのFTAは対象となる地域が異なるので、このような問題は生じないです。しかし、TPP11とRCEPの参加国には重複があります。スパゲッティボール効果を避けるためには、一つの大きなFTAに関係国すべてが参加することが望ましいです。

自由貿易の推進や新しいルールの設定の両面でレベルの高いTPPに、アジア太平洋地域の経済を統合すべきです。

米国のオバマ政権は、TPPを新しい通商・投資のルールを作る21世紀型の自由貿易協定だと誇らしげに語っていました。しかも、マスコミで報道されている内容と異なり、オバマ政権にとって、TPPは中国を排除しようとする仕組みではなく、この高いレベルの規律が適用されるアジア太平洋自由貿易圏に中国を取り込むための仕組みでした。

TPPにおいて、中国と同じ社会主義国でありかつ多数の国有企業を抱えるベトナムと交渉することで、国有企業に対する高いレベルの規律を作るという目論見でした。将来TPPが拡大すると、中国もこれに参加せざるを得なくなったことでしょう。そのときに中国に国有企業に関する規律を適用しようとしたのです。

知的財産権の保護もこれらの規律の一つです。残念ながら、トランプ政権はこの壮大な構想を理解できず、TPPからの脱退を表明しました。もっとも、中国に知的財産権の保護を行わせるという観点から、ようやくTPPの重要性に気付いたようです。ですから、少なくともトランプの次の大統領はTPPに参加することになるでしょう。

2017年1月23日、トランプ米大統領は選挙公約通り、環太平洋連携協定(TPP)
    からの正式離脱に関する大統領令に署名した

TPPに関心を示す国は多いです。メガFTAには参加しないと不利益を受けるので参加せざるを得ないというドミノ効果が働くからです。

韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、タイというアジアの国に加えて、コロンビアが参加の意思を表明しましたし、イギリスも関心を示しています。合意する見通しがなく、合意が得られたとしても質の高いFTAにはなりそうにないRCEP交渉に貴重な人的資源を割くよりも、日本政府はTPPの拡大に能力と資源を傾注すべきです。

かつて社会主義経済の中国のWTO加入交渉には15年を要しました。これほどではないにしても、TPP拡大のためには、単に加入の声掛けをするだけではなく、貿易の自由化の程度や各種の規制がまちまちである加入希望国について、どのような条件で加入を認めるかという交渉に多くの時間と労力を必要とするからです。

私は、中国は結局TPPには加入できないと思います。なぜなら、TPPが要求する水準を中国はとても受け入れられないからです。それを実行すれば、それこそ中共は崩壊するかもしれません。韓国も日本が韓国に対して貿易管理を強化しただけで、反発していることから、無理かもしれません。しかし、米国はおそらくいずれ入らざるを得ないでしょう。

なお、中共が崩壊した後の中国、もしくはこの地域に新たにできる国々全部もしくは一部は、加盟できるかもしれません。結局TPPは、中国包囲網となってしまうでしょう。

そうして米国が入り、メガFTAが拡大すればするほど、そのドミノ効果は大きくなります。アジア太平洋地域の国を巻き込んでTPPが拡大していくと、米国だけでなく、。日本はRCEPで実現しようとした以上のはるか上のことを実現できるのです。日本はこれからもどんどんTPPを拡大すべきです。

それにしても、トランプ氏は良いことをしてくれたと思います。米国が抜けたおかげて、日本がTPPのリーダー役をつとめることができたのです。

米国が旗振り役のTPPだとどうしても、米国の意向をかなり反映した貿易協定になっていた可能性が大きいです。しかし、日本がリーダーとなったことで、それはなくなりました。

米国の覇権主義を嫌う国々にとって、TPPは加入しやすくなったのは間違いありません。後で米国が加入したにしても、日本のリーダー的地位を脅かすことはできないでしょう。これは、覇権によらない、防衛協定として多くまともな国々とっては受け入れやすいものになったと思います。トランプ氏は着せずして、世界の自由貿易に大きな貢献をしたかもしれません。

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2019年8月2日金曜日

「民主主義の要塞」台湾を訴えた蔡英文カリブ歴訪―【私の論評】台湾が中国に飲み込まれれば、次に狙われるのは日本の領土・海域である(゚д゚)!

「民主主義の要塞」台湾を訴えた蔡英文カリブ歴訪

岡崎研究所

台湾の蔡英文総統は、7月11日から22日の日程で、台湾と国交のある、カリブ海のハイチ、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント・グレナディーン、セントルシアの4カ国を歴訪した。さらに、往路と復路の途次で、米国(往路はニューヨーク、復路はデンバー)に2泊ずつ滞在した。訪問したカリブ海諸国では熱烈な歓迎を受けたようである。



蔡英文は今回の外遊を「自由、民主主義、持続可能性を求める旅」と銘打った。7月13日にコロンビア大学で行った演説が、その意図するところをよく示しているので、要点を紹介する。

・台湾が現在直面している試練は、過去数十年間で克服してきたものとは全く異なる。21世紀、全ての民主国家は同じ試練に直面している。世界中で自由がかつてない脅威に晒されているからだ。我々は、まさにそれを香港で目撃している。「一国二制度」下での香港の経験は、権威主義と民主主義が決して共存できないことを示している。権威主義は、機会さえあれば、民主主義のほのかな光をも抹殺しようとするだろう。その過程は、殆どの者が気づきさえしないほど、徐々に、巧妙に進行する。

・我々の物語は、価値が重要であることを示している。両岸で文化的、政治的相違は日に日に拡大している。台湾が言論の自由、人権、法の支配を選べば選ぶほど、権威主義の影響から遠ざかっている。まさに台湾の存在が、民主主義が最も貴重な資産であることを示している。我々はそれをどんな犠牲を払ってでも守らなければならない。台湾は日に日に、情報化時代に特有の新たな脅威に直面する最前線となっているが孤独ではない。世界中の国々が今や、権威主義国家による浸透作戦と戦っている。彼らは、民主国家の出版の自由を悪用し、我々が自分たちの政治制度に疑問を持ち、民主主義への信頼を失うように仕向けている。台湾は長年こうしたことと戦ってきたので、世界にその経験を提供し得る。

・民主主義は、もう一つの試練にも直面している。多くの国が、民主主義と経済発展との選択を迫られている。しかし、台湾は、民主主義と経済発展が相互依存の関係にあるだけでなく、決定的に絡み合っていることを、世界に示し続けている。台湾は、対中依存により両岸問題での自主性が限られていたが、経済を改革し、外国投資を呼び込んでいる。我々は、地域における、ルールに基づく貿易秩序において建設的な役割を果たしている。世界中の多くの国が債務の罠に陥る中、我々は、持続可能な協力にコミットし、相互発展を強調する。ここでも台湾は、世界中に建設的な発展のモデルを提供している。我々は、侵奪的行為に反対し、誠実で開放的な協力が本物の長期的な結果を生み出していることを証明している。

・台湾の生存は、両岸関係にとどまらない影響を持つ。我々はインド太平洋における民主主義の枢要な要塞であり、世界中が我々の民主主義の将来を注視している。

台湾が自由、民主主義の最前線であり、台湾の問題はひいては民主主義世界にとって他人事ではないというのが、蔡英文の最近の常套的表現であるが、上記演説からも分かる通り、今回の外遊は、それを力強く象徴するものであると言える。権威主義の脅威、すなわち中国の脅威を訴えかけるとともに、台湾がインド太平洋の民主主義の要塞であるとして、米国のインド太平洋戦略に台湾を位置付けている。米中対立が「文明の衝突」の様相を帯びる中、蔡英文の論理は説得力を増していると思われる。

今回、米国は往路と復路で2泊ずつの滞在を認めたが、これは異例の厚遇である。米国の台湾重視が見て取れる。蔡総統は米議員とも会談した。さらに、ジェームズ・モリアーティ米国在台協会(AIT)理事長が米国滞在中のほぼ全行程に同行したほか、11日に駐ニューヨーク台北経済文化弁事処(総領事館に相当)で開催された式典には、台湾と外交関係を持つ17か国の関係者が参加、そのうちバチカンを除く16か国は国連大使が出席した。台湾の総統が米本土にある窓口機関に立ち入ったのは今回が初めてである。これまでは対中配慮から、そうしたことは認められてこなかった。台湾と外交関係を持つ国の国連大使が、台湾の総統の招待に応じて一堂に会したというのも、中国の厳しい切り崩しにより台湾と断交する国が続出する中、台湾にとり心強いことであった。ただ、もちろん、中国による切り崩しは今後とも厳しさを増すことは間違いない。しかし、いずれにせよ、今回の外遊は、米台関係の深化を強く示すものであったと言えるだろう。

【私の論評】台湾が中国に飲み込まれれば、次に狙われるのは日本の領土・領海である(゚д゚)!

中国が台湾に対する圧力を強めています。中国政府は7月31日、台湾への個人旅行を8月1日から全面的に禁止することを発表しました。個人旅行の禁止は異例の措置で、期限は示されていません。中国文化観光省は「現在の両岸(中台)関係のため」と説明しています。

さらに中国は、7月28日から台湾近海の2カ所の海域を航行禁止区域に指定。その理由は、浙江省沖と広東省沿岸で、軍事演習を行うためだとしています。

中国は経済的・軍事的に台湾に圧力をかけ、来年1月の総統選で再選を目指す蔡英文陣営をけん制しています。

中国が圧力を強める背景には、米台関係接近への警戒感があります。

カリブ海4カ国歴訪の出発に前に談話を発表する蔡英文総統(11日、台湾北部の桃園空港)


冒頭の記事にもあるとおり、蔡氏は7月に、カリブ海諸国への外遊の経由地として米国を訪問。米ニューヨークで、外交関係のある各国大使と面会し、コロンビア大学で演説などを行いました。5月には、台湾の国家安全会議(NSC)の李大維(り・だいい)秘書長が、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談。NSC高官が国家安全保障問題補佐官と会談したのは、米台が1979年に断交して以来初めてとなりました。

米国も、台湾重視を鮮明にしています。台湾に対する武器の輸出をめぐり、従来の複数案件を1度に通告する「パッケージ方式」から、個別に通告する「FMS方式」に切り替え、迅速に輸出できるようにしました。戦車や地対空ミサイルなどを台湾に売却することを承認し、台湾の国防力強化を具体的に支援しています。

こうした米台関係の動きに、中国は反発しています。

米台vs.中の対立が浮き彫りになる中、中国に対抗すべき日本の外務省は、中国人のビザ申請を電子化し、観光客を増やそうとしています。昨年の訪日外国人観光客数では、中国人が最多の838万100人。インバウンドを増やして、観光産業を活性化させようとしています。

しかし、中台関係や現在の中国の経済情勢をみると、日本の外務省の方針は無警戒すぎるというか、幼稚なのではないでしょうか。商売や事業のセンスがない官僚の考えは、煮ても焼いても喰えないようです。

尖閣付近の中国公船

周知の通り、日中は尖閣諸島などをめぐって対立しており、緊張関係にあります。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しています。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは13日連続です。

台湾と同じように、中国は観光客の増減をコントロールすることで、日本を支配下に置こうとするでしょう。日本としては、対中依存度を高めることは危険であり、リスクの少ない国の観光客を増やすべきです。

それに中国では、もう随分前から急速に外貨準備が減少したことで、中国政府は「外貨の流出を抑えたい」と考えるようになりました。そして、人民元の防衛に動き出しました。

例えば、輸入関税の税率を引き上げました。16年4月から、高級時計の関税率を30%から60%に、酒・化粧品などの税率も50%から60%に引き上げたのです。

また、16年1月から銀聯カードを使った海外での現金引き出し限度額を年間10万元(約160万円)に制限しました。日本での消費がますます減るのではないかとの見方が浮上しています。これ以外の為替に関する規制も強化傾向です。この状況は、米中貿易戦争が激しくなった昨今では、さらに顕著になりつつあります。

このような状況から、中国人観光客が増えることは、単純に喜べるようなものではなくなりました。ただし、従来の中国人のいわゆる爆買いも、日本経済全体からみれば微々たるもので、これで日本経済がどうのこうのと論ずるのは正しくはありませんでした。

ミクロ的にみれば、中国人観光客で潤う小売店などももあったでしょうが、このような小売店も、いつどうなるか不安定な中国人の消費をあてにするのではなく、まずは日本国内の顧客を呼び込む努力と、中国に比較すれば、不安定要因の少ない先進国顧客などを増やすを努力をすべきでしょう。

日本は、中台関係の情勢変化を自国のこととして捉え、中国への融和政策を転換し、対中依存度を下げる対策を急ぐべきです。

そうして、日本は中国はいざとなったら武力を行使するということを懸念すべきです。その第一歩が、この台湾への個人旅行暫時停止令とみなすべきです。軍靴の足音は、既に目の前まで迫っているのです。



台湾が中国に飲み込まれれば、次に狙われるのは第一列島線です。日本の領土や領海が狙われるのです。にもかかわらず、安倍首相は習近平国家主席に「一つの中国」を守ることを何度も誓っています。これは、「台湾の独立を絶対に認めず、台湾は北京政府のものだ」ということを誓っていることです。

日本はこのままで良いのでしょうか。香港や台湾の若者たちの必死の叫びを座視していて良いのでしょうか。

経済界は目前の利益を追うでしょうが、中国が海洋進出の意図を顕にし、米中冷戦で将来が見えない現在それは、真の日本の国益に適うわけもありません。中国は長期的にみれば、凋落するのはもはや明らかです。長期的戦略と展望を練っていくのが国家であり政権であるはずです。

日本は、韓国に対する貿易管理の強化を実行していますが、これは韓国政府の行動がハチャメチャで仕方ないですが、本当に強化もしくは制裁するにふさわしい相手は中国であるはずです。習近平は実はこれをかなり脅威に感じているはずです。

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2019年8月1日木曜日

韓国「ボイコットジャパン」はブーメラン…韓国側のLCCなど直撃! 日本経済への打撃は限定的か ―【私の論評】日本ボイコットで国民大挫折を招き政権支持率を劇的に下げる韓国(゚д゚)!


ソウルの日本大使館前で日本製品の不買運動をする韓国の高校生ら=7月26日

 日本政府の輸出管理強化を受けて、韓国では日本製品をボイコットしたり、日本行きの旅行をキャンセルしたりする動きが出ていると報じられている。日本に対する反撃として、どこまで有効なのだろうか。

 韓国のSNSで「ボイコットジャパン」がトレンドとなっている。ある調査によれば、半数近くの人が賛同しているという。これを高いとみるかどうかだ。

 SNSでは、日本製品の代替物として韓国製品のリストも出回っている。ただし、リストに出ている日本企業の売上高に占める韓国市場の比率は数%以下であり、不買運動の影響は限定的だろう。

 日本への旅行を控えるというボイコットもある。これは、実際に影響が出ているようだ。

 まず、基本的なデータを押さえておこう。2018年の韓国からの日本への訪問者は753・9万人と、中国からの838・0万人に次いで2位。3位は台湾からの475・7万人だ。しかし、18年の訪日外国人旅行消費額でみると、韓国は5881億円と、中国の1兆5450億円に次ぐ2位だが、3位の台湾の5817億円と大差ない。

 ちなみに、1人あたりの消費額でみると、中国18・4万円、台湾12・2万円なのに対し、韓国は7・8万円と低い。

 最近の状況は、韓国から日本への訪問者は減少している。昨年6月から今年5月までの毎月の訪問者数を対前年同月比で平均してみると、韓国は4・6%減だ。ただし、中国は10・2%増、台湾は0・3%減なので、韓国からの訪問者の減少は中国が補って余りがある。中国からの訪問者の消費単価は大きいので、全国平均であれば、韓国からの訪問者数減が日本の消費に与える影響は、あまり大きくないだろう。

 むしろ、韓国からの訪問者数の減少は、韓国の旅行業者やLCC(格安航空会社)事業者など韓国側の企業に悪影響が出ているというリポートもある。先行きの業績悪化を懸念して韓国LCC各社の株価も低迷している。

 韓国からの日本への訪問者は九州や関西など西日本地方が中心なので、地域によっては多少の影響はあるかもしれない。今後は韓国からの訪問者がさらに減少する可能性もあるので、注意は必要である。

 もっとも、過去にも竹島問題などで韓国はこうしたボイコット運動をしてきたが、長続きせず、効果はなかったという見方が多い。

 過去に日本製品を良いと判断して購入したはずで、その購買行動は習慣依存があるので、外部からのボイコットの刺激を受けても、抜本的に変えるのは難しい。日本製品の代替物としての韓国製品が本当に優位なら、とっくに日本製品は飽きられていたはずで、わざわざボイコットの対象にする必要はない。

 また、日本への訪問でも、日本の消費に影響を与える前に、韓国国内の旅行業者やLCC事業者のほうが先に悪影響を受けてしまうだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本ボイコットで国民大挫折を招き政権支持率を劇的に下げる韓国(゚д゚)!

上の記事では、韓国の最近の状況を述べていますが、もっと根本的な観点から韓国の日本に対するボイコットなどが限定的になることをあげてみます。

日本と韓国

まずは、韓国の国土面積は約10万200平方キロと、約37万8000平方キロの日本の3分の1以下です。そのうえ2016年の国内総生産(GDP)は韓国が1兆4110億ドル、日本が4兆9390億ドルでした。GDPでは規模でも1人あたりGDPでも日本のほうが韓国を上回っています。

韓国は香港やシンガポール、台湾と並んで「アジア四小龍」と呼ばれ、その経済力が評価されていますが、「小龍」が存在するということは「大龍」も存在するということです。小龍に日本が入っていないのは「日本は『小龍』ではないからです。日本と中国の経済力は「大龍」と呼ぶにふさわしいものだからです。

確かに、今では国全体では、日本のGDPは中国以下ですが、一人あたりのGDPということでは中国や、韓国よりもはるかに上です。

韓国のGDPは東京都のGDPと同次元という状況です。東京都が日本全体と争い、特に不買運動をしたとしても、どの程度の効果があるのか甚だ疑問です。

そもそも、製品やサービスのボイコットが効力を持つのは、経済規模が同程度かもしくは自国のほうが大きい場合に効果を出すことができるのであって、自国よりはるかに経済規模の大きい国に対して経済制裁などしても無意味です。

しかも、韓国と日本の場合産業構造が似通っており、日本の製造できないもので韓国が製造できるものはありません。であれば、韓国から輸入できなくても日本で製造を増加すれば良いだけです。

さらに韓国に輸出できなくなっても、もともと韓国のGDPが小さいことから、それによる不利益も少なく、現在経済のをかなり伸ばしつつあるベトナムやインドなどに振り向ければそれで良いです。

それに日本の場合デフレ続きで、さらに消費増税などするから、個人消費が減るのであって、今後減税などすれば、個人消費が上向き、経済規模の大きい日本なら、それだけで韓国への輸出よりはるかに大きな内需を見込むことができます。

高麗大学経済学科の教授は新聞社の取材で、不買運動の対象となっている消費財が日韓貿易に占める割合は15%しかなく、日本に影響に与えることはないと述べています。

さらに、日本はこれまでに自然科学分野でノーベル賞受賞者を数多く輩出し、米医学界最高の賞とされるラスカー賞の受賞者も日本は複数輩出しています。他にも日本は世界的権威のある賞の受賞者を多数輩出していますが、韓国には自然科学分野のノーベル賞受賞者はおらず、世界的権威のある賞の受賞者も日本人より圧倒的に少ないのが現状です。

韓国の自然科学分野でのノーベル賞受賞者は未だに0人

現状では、韓国の製造業はディスプレイパネルや半導体などの分野で日本を上回る競争力を持つのですが、これすらも日本の技術がなければ成り立たないことが最近あきらかになりました。国全体の国際競争力ではやはり日本のほうが韓国を上回わってています。

世界経済フォーラムが発表している「世界競争力報告」のデータによれば、年によって変動はあるものの日本のランキングは一桁台であるのに対し、韓国は20位台です。現状では、韓国と日本を比較すること自体が間違いであり、日韓の競争力は同じ次元にあるものではありません。



以上のようなデータからも韓国で日本製品やサービスのボイコット運動をしたとしても、日本への影響は限定的でしょう。

日本のビール会社の韓国でのもうけが減ろうと、トヨタ車が韓国で売れなくなろうと、韓国人観光客が減ろうと、日本政府が「安全保障に絡む国策」を変えることはありません。

だから不買運動の行きつく先は、国力大浪費の揚げ句の果てに“国民的大挫折”でしかないです。それは政権浮揚力の劇的低下に直結することになります。

そうした見通しが立つ中で、不買運動は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長阻止運動と結びつき、「トータルな反日運動」の色彩を強めつつあります。北朝鮮も「韓国はGSOMIAを破棄しろ」と“指令”しているようです。

従北ポピュリズム政権にとっては、「GSOMIAの自動延長を拒否して日本に大打撃を与えてやった」と喧伝することが唯一の逃げ道かもしれないです。しかし、それでも韓国にとって何のメリットもありません。結局のところ、韓国は「国民的大挫折」に向かってまっしぐらで、それはとりもなおさず、政権の支持率の劇的低下につながるのみです。

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2019年7月31日水曜日

五輪まで1年で何が起きるか? 消費増税で大規模景気対策へ、金正恩氏訪日の仰天展開も―【私の論評】景気の低迷で、ちゃぶ台返しの5%減税の仰天展開も(゚д゚)!


2020年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場

 東京五輪・パラリンピックまで1年を切った。開幕までに政治、経済でどのようなことが焦点になるだろうか。

 まず、政治日程を確認しておこう。9月17日から30日までニューヨークで国連総会がある。その直後、10月1日から消費税率が10%へ引き上げられる。同22日は即位礼正殿の儀がある。同31日は英国の欧州連合(EU)離脱の期限だ。秋のどこかのタイミングで臨時国会が開かれ、世界経済の情勢や消費増税の影響を考慮し、補正予算・景気対策となるだろう。

 来年1月からは通常国会が開かれ、3月までは来年度予算が審議される。そして7月24日から8月9日まで東京五輪、同25日から9月6日までパラリンピックが開催される。

 その間の7月30日には小池百合子都知事が任期満了を迎え、る。五輪前のドタバタであるが、特例法でも制定されない限り、五輪直前に都知事選が実施されることになる。

 安倍晋三政権は、現在歴代3位の長期政権だ。今年8月に佐藤栄作、11月に桂太郎を抜き歴代最長になる見通しだ。

 長期政権の利点は外交で存在感を高められることだ。外交といえば、あと1年で北朝鮮との関係がどうなるのかに関心が寄せられている。

 この意味で注目すべきは、まず9月の国連総会だ。例年であれば、ここで日米首脳会談が開かれる。トランプ米大統領は、先日、板門店(パンムンジョム)で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談し、再会談する意向を示したが、今度は正恩氏が訪米する番だ。その場として、国連総会は好都合である。

 その際、トランプ大統領の計らいで日朝首脳会談もありえる。その後、来年7~8月の東京五輪に正恩氏の訪日という仰天の展開もあるかもしれない。

 内政については、憲法改正が重要課題になる。カギを握るのは国民民主党だ。先日、玉木雄一郎代表がインターネット番組の「文化人放送局」において憲法改正を議論すると明言していた。筆者はたまたまその場にいたが、野党の中で埋没しないためにも、安倍首相が秋波を寄せている今が好機と判断しているのだろう。

 国民民主党の成り立ちからみても改憲勢力のはずだし、ここでしっかり意見を出さないと、草刈り場になるか、立憲民主党にのみ込まれる結果になってしまうだろう。秋の臨時国会での国民投票法改正、来年通常国会での憲法改正発議までいけるかどうかが注目だ。

 経済では、やはり10月の消費増税が心配だ。安倍首相は、経済対策の用意があると明言している。米中貿易戦争を受けた中国経済の減速、英国のEU離脱を受けた欧州経済の低迷、中東での偶発的な紛争の恐れなど、火種がたくさんある。

 安倍首相は、政治的に消費増税は不可避だが、増収分を吐き出して景気対策に使えばいいと考えている節がある。たしかに政治家らしい発想だ。

 秋に衆院解散との見方もあるが、消費増税後なのでやりにくい。となると、来年の衆院解散に向けて各党がどう動くのかが注目点だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】景気の低迷で、ちゃぶ台返しの5%減税の仰天展開も(゚д゚)!

オリンピックまでの後1年ということで、今後一年は確かに高橋洋一氏の予想の通りになる確率が高いと思います。

ただし、増税の悪影響は、思ってもみなかったこともおこることが考えられます。やはり消費税への10%増税はかなりの悪影響を及ぼす可能性が大きいです。これについては、以前もロンドンオリンピックの例をあげて解説したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
景気後退…消費増税「回避」待ったなし!? 専門家「4月に判断しないと間に合わない」―【私の論評】ロンドンオリンピック直前に消費税増税した英国の大失敗に学べ(゚д゚)!
このまま増税すると大変なことになる。安倍総理の決断は?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を引用します。まずは、以下に英国の税収動向のグラフをあげておきます。


当時のキャメロン政権は「緊縮財政路線」を決め、ロンドンオリンピックの前の年の1月に「付加価値税率(日本の消費税にあたる)」を17.5%から20%へ引き上げました。その結果、どうなったかといえば、税収は増えるどころか、付加価値税の税収はかなり減りました。
窮余の一策が、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策でした。BOEといえば、世界で初めて金(きん)の裏付けのない紙幣を発行し、フランスなどとの戦争費用を政府に提供した中央銀行であり、その大胆さは世界でもずぬけています。 
BOEは11年秋から英国債を大量に買い上げ、ポンド札を金融市場に流し込んでいました。BOEはリーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)に呼応して量的緩和第1弾に踏み切ったのですが、インフレ率が上昇したのでいったんは中断していました。 
インフレ率は5%前後まで上昇しましたが、そんなことにかまっていられず、12年5月にはリーマン前の3.7倍にまでマネタリーベース(MB)を増やしました。幸い、インフレ率は需要減退とともに同年5月には2.8%まで下がりました。国債の大量購入政策により、国債利回りも急速に下がっています。ポンドの対米ドル、ユーロ相場も高くならずに推移し、ユーロ危機に伴う輸出産業の競争力低下を防いでいます。
英国は量的緩和政策で景気が回復基調に入ったにもかかわらず、「付加価値税」の引き上げで消費が落ち込み、再び景気を停滞させてしまいました。 
その後、リーマン・ショック時の3.7倍の量的緩和を行っても、英国経済が浮上しなかった教訓を日本も学ぶべきです。 
この増税により、雇用がかなり悪化しました。特に若者の雇用が悪化しました。皆さんの中には、テレビなどの報道で英国で若者の過激なデモがしょっちゅう報道されていたのを覚えているかもしまれません。

その後、英国の保守政権は、緊縮財政を繰り返しましたが、最近登場したボリス・ジョンソン新首相は積極財政に転じることを国民に約束しています。

この記事にも書いたとおり、積極財政に転じる、英国は、ブレグジットの悪影響をおさえこみ、ソフトランディングに成功するかもしれません。

その後、増税に転じた日本は、どちらかというと、イールドカーブ・コントロールで抑制敵な緩和をする日銀の金融政策ともあいまって、かなり経済が悪化することが予想されます。

ただし、経済が悪くなることははっかりしています。悪くなるのはわかりきっているのですが、どの程度になるかが問題です。

今回の増税は、2014年の8%からさらに10%にあげるというものです。10%というと、かなり切りがよく、誰もがすぐに消費税の計算をできますから、これはかなり個人消費が落ち込むことが予想できます。

さらに、日銀は現在物価目標を達成していないにもかかわらず、抑制敵な金融政策をしていることから、イングランド銀行のような積極果敢な緩和を行うとは考えられず。そうなると、かなり景気が落ち込むことが予想できます。これは、他ならぬ安倍総理が一番了解しているでしょう。

上の高橋洋一氏の記事では、「安倍首相は、政治的に消費増税は不可避だが、増収分を吐き出して景気対策に使えばいいと考えている節がある」としていますが、景気対策の規模にもよりますが、たいていの経済対策は一時的なものであり、これで景気を支え続けるのは至難の技です。だからよほど大型の景気対策を長期にわたって打たなければ経済がかなり悪化することが予想されます。

安倍総理は昨年の9月以下のような発言をしています。

「私もできれば上げたくありません。それは本当にそうなんですが、昨年の衆院選で約束した幼児教育の無償化を来年10月から始め、再来年、高等教育の無償化をスタートするには、やはり消費税を上げなければなりません」
産経ニュース 9月30日

これは安倍首相が9月19日に党のインターネット番組に出演した際の発言です。消費税増税はこれまで2度にわたって延期されてきました。
今回も「再々延期」に踏み切るのではないかという憶測もありましたが、結局増税に踏み切ることになりました。昨年の衆院選で自民党は消費税増収分を幼児教育の無償化などに充てると公約して勝利したので、「再々延期」すると公約違反となり、さらに安倍首相自身が「アベノミクス」の失敗を認める形になりかねないためです。
増税による税収の一部を教育無償化の財源にするのは衆院選の公約ですが、消費税増税中止を訴える産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員の田村秀男氏は、それを「方便同然」と批判しています。「消費税増税によって中低所得層を最も痛めつけておいて、子弟の教育費負担を軽減するというなら、増税せずに景気を拡大させ、それによる税収増を無償化に充当するのが合理的というものだ」としています(産経ニュース 9月23日)。

増税による悪影響が、かつの英国のように甚大となっても、財務省は大型景気対策に二の足を踏み、日銀も抑制敵な緩和から抜け出す気配がないなどのことになれば、次の衆院選挙では負ける可能性も濃厚です。安倍総理の宿願でもある憲法改正ははるかに遠のくことになります。安倍総理危機感を募らせることになるでしょう。

安倍総理としては、それは何よりも避けたいところです。そうなると、金正恩氏訪日の仰天展開よりも、さらに大きな仰天展開も考えられます。それは、消費税減税です。

麻生太郎・副総理兼財務相らは増税断行を目指してきたのですが、4月16日から始まった日米貿易交渉で風向きが変わっていました。トランプ政権は消費税の輸出戻し税を自動車などへの「輸出補助金」と批判し、10月からの消費増税を問題視したのです。

安倍総理と麻生財務大臣

もともと、日本経済は悪化する傾向が顕著でした。2019年以降、トランプ政権による対中国冷戦の強化、中国経済や欧州経済の悪化、残業規制の強化、2014年の消費税増税による個人消費の悪化の継続など内外の様々な下振れリスクがありました。これが、新たなの消費税造成で顕在化した場合、日本の実質GDPは最大で数%程度減少する可能性もあります。

これは、おそらくリーマンショック当時のGDPマイナス3.7%に匹敵する事態です。逆に舵を切れば、景気減速を防ぎ、選挙にも有利、米国の圧力もかわす一石三鳥になります。それが「サプライズ減税」もあり得るとの噂となりました。結局のところ、安倍総理は増税を決めたのですが、この状況は今でも変わっていません。

今後、かなり経済が落ち込み、憲法改正が遠のき、選挙でも負けそうな事態となれば、安倍総理が減税に踏み切るという展開も考えられます。それも、8%に戻すというのではなく、5%にするという仰天展開もあり得ると思います。そうなれば、まさに安倍総理のちゃぶ台返しです。

そうなれば、麻生財務大臣は自ら辞任するか、それ以前の内閣改造で安倍総理が入閣させないか、入閣させたとしても財務大臣からはずということも考えられます。

いずれにせよ、今後1年間はどんな仰天展開が起こるか、注目していきたいです。

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