2020年4月28日火曜日

金正恩氏、新型コロナ感染!? 中国医療団が北朝鮮へ「ECMO」「アビガン」持ち込み情報 感染者は「国内にいない」としているが―【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!


“暴走”北朝鮮

金正恩氏

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の、健康不安情報が飛び交っている。「心臓手術説」や「重篤・脳死説」「療養説」などがあり、北朝鮮メディアは「根拠のないデマだ」と否定しているが、何らかの異変があった可能性は高い。中国の医療チームが、新型コロナウイルス対応の医療機器や薬を北朝鮮に持ち込んだとの情報もある。こうしたなか、米空軍と航行自衛隊が、朝鮮半島周辺で共同訓練を行ったことが注目されている。北朝鮮が国内の動揺を抑え、他国を牽制(けんせい)するために、弾道ミサイル発射を強行することなどを警戒しているようだ。


 「大体分かっている」「遠くない将来に、あなたたちも知ることになるだろう」

 ドナルド・トランプ米大統領は27日の記者会見で、健康不安説が浮上している正恩氏の状態について、こう語った。

 菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「(正恩氏の動向と、北朝鮮によるミサイル発射の兆候などについては)重大な関心を持って常日ごろから情報収集、分析に努めており、米国を含む関係国とさまざまなやりとりを行っている」と語った。

 正恩氏については、米CNNが20日、正恩氏が手術を受けた後、重体に陥ったとの情報を報道。韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」も同日、正恩氏が心血管系の手術を受けたと報じ、ロイター通信は25日、「中国、北朝鮮に医療専門家などのチームを派遣」と伝えた。

 確かに、正恩氏は11日の党政治局会議に出席したと国営メディアが翌12日、写真とともに報じたのを最後に、視察活動などは明らかになっていない。北朝鮮最大の祝日であり、毎年必ず出席していた15日の「金日成(キム・イルソン)主席生誕記念日」にも姿を見せなかった。

 一連の健康不安報道に対し、北朝鮮の対外宣伝雑誌「今日の朝鮮」は28日までに、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、「全く根拠のないデマだ」と非難した。北朝鮮の公的メディアが正恩氏の重体説を否定したのは初めてとみられる。

 北朝鮮の朝鮮中央通信も27日、正恩氏が同日、南アフリカの祝日である「自由の日」に際してシリル・ラマポーザ大統領に祝電を送ったと伝えた。ただ、正恩氏が健在ぶりを示さない限り、動揺は続きそうだ。

 CNNが衝撃報道をした直後、日米同盟が存在感を見せた。

 米空軍と空自は22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施し、米軍のB1戦略爆撃機1機とF16戦闘機4機、空自のF15戦闘機8機とF2戦闘機7機が参加したのだ。

 B1爆撃機は、全長約44メートル、全幅約41メートル。航続距離1万2000キロ。「死の白鳥」の異名を持ち、超音速で敵地に侵入し、精密誘導兵器で重要拠点を攻撃できる。

日本海や沖縄周辺空域で行われた日米共同訓練(航空自衛隊HPから)

 正恩氏は現在、東部元山(ウォンサン)に滞在しているとみられる。最新の衛星写真によると、21日以降、特別列車とみられる列車が金一族の専用駅に停車しているという。B1爆撃機は元山から約900キロ離れた上空を通過したとされる。

 米空軍は共同訓練の意義について、「われわれはこの地域の平和と安定への関与を続け、新型コロナが世界的に猛威を振るう状況下でも、世界のどの地域にでも同盟国と即応できる能力があると示した」と説明した。

 北朝鮮が今後、中・長距離弾道ミサイルを発射する可能性があり、米空軍と空自は警戒監視を続けている。

 中国の医療チームについても、興味深い情報が飛び込んできた。

 日米情報当局関係者は「中国の医療団が、新型コロナウイルスの重症患者に使用する人工心肺装置『ECMO』(エクモ)や、新型コロナウイルスへの効果が期待されるインフルエンザ治療薬『アビガン』を、北朝鮮に持ち込んだという情報がある」と明かす。

 北朝鮮は、世界保健機関(WHO)に対し、新型コロナウイルスの感染者が「国内にいない」と報告しているが、実は感染が広がっているとの見方は強い。

 エクモやアビガンが北朝鮮に持ち込まれたのが事実なら、正恩氏や党指導部の要人が罹患(りかん)したか、罹患した場合に備えたものと考えられそうだ。

 日米共同訓練を、識者はどう分析するのか。

 軍事ジャーナリストで評論家の潮匡人氏は「米空軍のB1爆撃機は、北朝鮮がこれまでミサイルを発射した場所や、元山も射程に入れて飛行したとの情報がある。これに対し、北朝鮮も戦闘機を飛ばして、つばぜり合いを演じたようだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、米軍は、戦略爆撃機の配備をグアムから米本土に移した。抑止力低下が懸念されるが、米軍としては、不穏な動きをみせる北朝鮮と、東・南シナ海から西太平洋に進出しようとする中国に対して、『いつでも来るぞ』と強い意志を示したといえる」と語っている。

【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!

このブログでは、以前北朝鮮と北朝鮮の核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるということを何度か掲載したことがあります。北朝鮮のミサイルは、北京や上海なども目標にしうるので、これは当然といえば当然です。

それに、金正恩もその父親の金正日も、中国の干渉を極度に嫌うという点は一致していたようです。祖父の金日成のときは、ソ連の力が圧倒的に中国よりも強く、そのような心配はありませんでした。

金日成の時代には、ソ連の力が圧倒的に強く、朝鮮戦争が休戦になり、米中ソは、韓国などの意向とは全く関係なく、38度線を動かしたり、越境したりすることはせずに、現状維持をするということで、米・ソ・中・朝で休戦協定(韓国は関係なし)を結んでいます。

さらに、金日成、金正日、金正恩の三代の金一族の根底に流れているのは、金王朝の未来永劫の存続です。これだけは、現体制の北朝鮮は譲りたくないところです。

金日成時代の中国は経済的にはとるに足りない国であって、当時のソ連は世界第2の経済大国でした。そのソ連は経済で日本に追い越され、その後は、その日本を中国が国全体の経済では追い越しました。現在のロシアの経済は日本でいえば、東京都、国でいえば韓国と同程度の経済規模にまで落ちました。インドにも追い越されて、10位以下です。

ただし、経済の専門家は、中国の経済統計は全くの出鱈目で現実には、中国のGDPは未だに、ドイツ以下とするものもいます。それが事実だとしても、少なくとも国全体のGDPでは、ロシアや韓国よりははるかに大きいことは事実でしょう。


中国の経済が相対的に大きくなったこともあり、これに備えるためにも、金正日のときから核とミサイルを開発し始め、金正恩にもそれが引き継がれて、今日に至っています。

そうして、米国のトランプ大統領もそのような見方を最初はしていなかったのでしょうが、ここ数年は、そのような見方をしているようです。そのせいか、最近は北朝鮮が米国本土に到達することのない、中短距離ミサイルなどを発射しても強く非難することはなくなりました。

その背景には、韓国の反日、反米、従北、親中の姿勢もあったからでしょう。もし北に核がなかった場合には、もう相当前に朝鮮半島は、中国の覇権の及ぶ範囲になっていたかもしれません。

その傾向は近年ますます強まっています、韓国の4月15日の韓国総選挙(定数300)で、文在寅大統領率いる与党「共に民主党」が、系列の比例代表政党「共に市民党」と合わせて改選前の128議席から50議席以上伸ばし、180議席を獲得して圧勝しました。

与党が国会で法案処理が極めて有利になる5分の3の議席を占めるのは、1987年の大統領直接選挙導入以降初めてで、革新系政党が単独で過半数を得たのも2004年以来です。

言うまでもなく、文在寅大統領および与党「共に民主党」は、反日、反米、従北、親中を鮮明にする左翼革新政権です。

今般の選挙結果を受けて、さらにその路線への傾斜を強めるのではないかと懸念され、日韓関係の改善は期待できないばかりか、「米韓相互防衛条約」を締結している同盟国・米国との関係にも亀裂拡大の恐れが指摘されています。

韓国総選挙で当選した与党「共に民主党」の李洛淵前首相(左)=ソウルで15日

このようなことを前提に考えると、米空軍と空自が22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施したことの意味がまた別の方向からみえてきます。

まずは、この種の訓練には、従来なら韓国空軍も参加していましたが、今回は参加していません。これは、最早米国は、韓国を信用しておらず、朝鮮半島に危機があった場合は、日米が共同で事に臨むことはあっても、親中・従北の韓国は外すという明確な意思表示であることがうかがえます。

そうして、この演習は、北朝鮮に向けての演習でもあるのでしょうが、それはサブの扱いくらいにすぎず、どこに向けての演習かといえば、それは中国でしょう。

もし、中国が軍事的な意図を持って、北を脅かそうとした場合、米国としては何らかの軍事行動をし、中国の意図を挫く意思があることをみせつけ、牽制したとみるのが妥当です。それも、韓国抜きでそれを実行するという意思をみせつけたのでしょう。

さらに、この演習では、日本の最新鋭の戦闘機F35が参加していないのは、日本ではまだ導入したばかりなので、使いこなしがまた時を要するということで理解できるのですが、米国のB35も参加していません。

これは、韓国や中国に対して、手の内を見せないという意味があるものと考えられます。そのため、これは単なる意思表示という側面があるのかもしれません。

金正恩に何があったのかは、未だわかりませんが、今月の11日から消息が不明ということです。習近平も一時的に消息が不明になったことがありますが、1週間から、長くても10日でした。金正恩は、2週間以上も不明であり、何か金正恩の身にあったかもしれないということは、十分に想定されることです。

そのため、これは金正恩に何かあった場合に、中国がなんらかの動きを示した場合、それに対して米国側も動く可能性があることを、中国に対して示して、牽制したものと考えられます。

それにしても、日本人の中には、北朝鮮は中国の傀儡政権のような考えている人もいるようですが、それは完全な間違いです。金正恩は実の兄金正男を暗殺したとされていますが、金正男は中国に近いとされていました。処刑された、実の叔父である張成沢氏も、中国に近いとされていました。

もし、金正恩が死亡して、何らかの構造変化があり、北と中国の関係が強化されることでもあれば、半島の軍事バランスは一気に崩れる可能性もあります。そのことだけは、多くの人が記憶にとどめておくべきものと思います。

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2020年4月27日月曜日

独裁国家・中国が常任理事国にいる異常… 日本を「敵国」として扱う国連を“再編”せよ! G7参加国ベースに民主主義国主導で「新国連」を―【私の論評】中国ウイルス蔓延が暴いた、新国連の必要性(゚д゚)!


中国の習近平国家主席=6日、北京

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をめぐり、中国と世界保健機関(WHO)に対する国際社会の怒りは強まるばかりだ。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、根本的な問題として、共産党独裁の中国が大きな権限を持ち、日本を敵国とみなす国際連合の機能不全があると指摘。中国を「追放」して民主主義国家による「新国連」の再編を提言する。


 トランプ米大統領は4月14日、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応を誤ったとしてWHOへの資金拠出を少なくとも一時的に停止すべきだと述べた。

 WHOとその背後にいる中国共産党の「火元隠蔽(いんぺい)」のための情報工作に振り回されていた日本国民だけではなく、世界中の多くの人々が喝采を送った。もっとも、WHOや中国と同じように左翼偏向したメディアはお気に召さないようだが…。

 日本も米国に続いて拠出金の停止を行うべきだ。今は「有事」だからという声もあるが、有事だからこそ、信頼のおけない情報をバラまく組織をサポートすべきではないし、WHOに拠出する資金があるのなら、新型コロナウイルスで多大な被害を受けた日本国民に還元すべきである。

 自虐歴史観で洗脳されてきた日本人は、「世界の人々は立派で“お花畑”に住んでいる」と思い込まされているが、実際に「お花畑」といえる世界に住んでいるのは、戦後75年間も平和で豊かな社会を維持してきた日本人である。その周りを邪悪なオオカミがうろついているのが現実なのだ。

 国連はもともと第二次世界大戦の戦勝国が「戦勝利権」を確定するために創設した組織である。母体は戦争に勝った「連合国」であり、連合国に歯向かった日本などは、今でも国連憲章の中の「敵国条項」で差別的扱いを受けている。

 中韓との歴史戦争で日本が不利な立場に立たされているのは、歴代日本政府の弱腰のせいだけではない。日本を「敵国」として扱う国連も「日本たたき」を事実上サポートしているからなのだ。

 端的な例が、2015年に中国申請の「南京大虐殺文書」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)記憶遺産に登録されたことである。「資料としての信憑(しんぴょう)性が低い」「登録を決める審議の場に、文書の原資料もそのコピーもなかった」などずさんな申請内容にも関わらずごり押しで登録されてしまった。日本人は世界遺産をありがたがっているが、その程度の組織に過ぎない。

 実際米国は、15年にユネスコが「聖地エルサレム」の管理をめぐってイスラエルを非難する決議を採択したり、17年に一部をイスラエルが管理している「ヘブロン旧市街」を、「パレスチナの世界遺産」として登録したことに激怒し、ユネスコを脱退している。

 その背後には、戦勝国である本当の中国(中華民国、台湾)に背乗りして、常任理事国になってしまった共産主義中国がいる。国連は、常任理事国以外はどのような小さな国でも1票の対等な権利を持つから、WHO事務局長のテドロス氏の出身国エチオピアだけではなく、数の上で優勢なアフリカ諸国などを牛耳って支配することなど簡単なのだ。

 さらなる災難は、07年から16年の間、韓国出身の潘基文(パン・ギムン)氏が国連事務総長を務めたことである。 その間に、中国の国連支配は完了したのだ。

 4月15日の韓国総選挙では、従北、媚中である文在寅(ムン・ジェイン)大統領の与党「共に民主党」が圧勝した。これは韓国の「反民主主義・独裁志向」を示しているようだ。

 われわれはこの現状に対処しなければならない。国連を解体した後には、「自由主義」「民主主義」を堅持する国々がリーダーシップをとる組織の構築が必要だ。現状の国連では、中国とロシアという「世界二大独裁国家」が常任理事国の地位にあるという異常な状態が続いている。

 「新国連」のベースはG7参加国であるべきだ。フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの先進国がリードすれば、世界はもっと良くなる。この中に「反民主主義国家」は存在しない。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。


【私の論評】中国ウイルス蔓延が暴いた、新国連の必要性(゚д゚)!

上で大原氏によって指摘していることは、以前から問題になっていました。最近では、中国ウイルスにより、中国の手先のようなWHOの問題が噴出し、かなり目立つようになっただけです。実際国際連合(以下、国連)そのものが昨年から悲鳴を上げていました。


「2019年の通常予算に基づく活動に必要となる総額のうち、加盟諸国は70%しか納付していない。これにより、国連は9月末に2億3000万ドル(約250億円)の現金不足に陥り、このままでは流動性準備金も今月末までに使い果たす恐れがある」

アントニオ・グテレス事務総長

これは、10月7日にアントニオ・グテレス事務総長が国連事務局の職員3万7000人に送った書簡の内容の一部です。10月末にも職員の給与や各手当の支払が滞る可能性があるため、コスト削減のために会合や会議を延期し、サービスを縮小する、としています。企業で言えば、事実上、倒産寸前です。

国連の予算は、国連憲章第 17条の規定により、全世界の国民総生産に占める加盟国の割合を出し、国民1人あたりの所得など多くの要因を考慮に入れて調整、総会の割り当てに従って加盟国が負担します。

2019年の国連加盟国各国の分担金は、以下のようになっています。これによると、2019年の予算総額は28億4900万ドル(約3100億円)。


分担率上限の22%の6億7420万ドル(約730億円)を米国が負担し、第2位は中国の3億3470万ドル(約360億円)、日本はそれに次ぐ第3位の2億3880万ドル(約260億円)の負担となっています。

問題となっている加盟金未納国は、アフリカ諸国や中東諸国が多いのですが、実は、分担率筆頭の米国も含まれているのです。

国連活動を阻害しかねない加盟国の負担金未納という事態だが、これは何も2019年に限ったことではありません。2018年7月25日にも、グテレス事務総長は、

「加盟国が分担金の支払いを遅らせているため、現金がすぐに底をつきそうだ」

と、今年と同様の書簡を職員に送っていました。

2019年の未納国の詳細は明らかにされていませんが、2018年の時には、米国を含む81カ国が未納だったことが明らかになっています。つまり、負担金の未納は“毎年恒例化”されており、非常に憂慮される事態になっているのです。

特に、国連本部をお膝元のニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタンに抱え、分担率筆頭で安全保障理事会(以下、安保理)常任理事国でもある米国が毎年のように負担金の未納という事態を引き起こしていることの問題は深刻です。

国連憲章第19条によれば、分担金の支払い延滞金額が、加盟国が支払うべきであった分担金の2年分になった時は、その加盟国は国連総会における投票権を失う。ただし、総会が延滞はやむを得ない事情によるものと認めた場合は、投票が許されることになっています。

米国では、議会が国連分担金の支出を承認するにあたり、国連の会計監査や組織運営に対して、さまざまな要求を行っています。米国民の納める税金を使うのですから、国連の運営に対して改善や是正を求める米国の考え方については頷けます。

加えて、どうやらドナルド・トランプ大統領は、よく指摘されるとおり“国連がお好きではない”ようです。

実際、2016年12月19日、第45代アメリカ合衆国大統領に決定した直後の12月26日、トランプ氏は得意のツイッターで、

「The United Nations has such great potential but right now it is just a club for people to get together,talk and have a good time.So sad!」(国連は素晴らしいポテンシャルを持っているのに、現状はただの仲良しサークルだ。ああ、残念!)

と呟いています。

そして、2017年1月20日に大統領に就任した直後の1月25日には、『ニューヨーク・タイムズ』が、

〈トランプ大統領が大統領令を通じて、国際機関への拠出金の抜本的な削減や米国の離脱につながる可能性もある条約の見直しを検討している〉

と報じました。

さらにその後、「中国、ロシア、インドは何も貢献しないのに米国は何十億ドルも払う不公平な協定だ」として、同年6月1日にトランプ大統領は、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議が、2020年以降の地球温暖化対策の枠組みを取り決めた協定(いわゆる「パリ協定」)からの離脱を発表しました。

確かに、前述したように自国民の税金を使うにあたり国連の改善や是正を求める米国の姿勢は頷ける面もあるのだが、トランプ大統領のように国連を批判し、“分担金を人質”にして自らの要求を通そうとするのは当然といえば当然です。

国連憲章では、安保理常任理事国は分担金を滞納しても、総会の投票権はもとより、安保理への参加、投票、拒否権についての制裁的措置が定められていません。つまり、米国はいくら分担金を滞納しても、国連のもっとも重要な機能である安全保障について、常任理事国としての権限を失うことはないのです。

それは、別の角度からみれば、ロシアも中国も、そうなのです。

周知のとおり、安保理は15カ国で構成されています。このうち、米国、英国、フランス、中国、ロシアの5カ国は常任理事国であり、国連憲章が改正されない限り恒久的にその地位が約束されている。常任理事国には、拒否権も与えられるという特権を持っています。

翻って日本はどうなのでしょうか。

中国に抜かれるまで、日本は第2位の分担金負担国でした。それは、安保理常任理事国の英国、フランス、ロシアよりも大きな負担額です。

日本は長年、安保理常任理事国を目指していますが、そのためには国連憲章の改正が必要で、しかも常任理事国5カ国すべてが賛成しなければならないのです。このため、日本の常任理事国入りは“不可能”と見られています

また、国連活動のうち、国際刑事裁判所と平和維持活動(PKO)の経費は、通常予算とは別に加盟各国に割り当てが行われます。以下が2019年のPKOに対する分担率です。



常任理事国は、国際の平和と安全に特別の責任を有する国として、通常予算分担率から割り増しされ、逆に途上国はその所得水準に応じて割り引かれています。

それでも、日本の予算分担率は、常任理事国の英国、フランス、ロシアよりも大きいです。

常任理事国以上の分担を通常予算でもPKOでも担いながら、常任理事国になれない日本。憲法上“軍事力”を持っていないことになっている日本が軍事力の行使を前提とした海外派兵に応じられない状況と合わせ、常に国際的に“金だけを出す国”と言われ続ける所以でもあります。

なお、2011年から各国の分担金額は非公表となっており、分担率だけが公表されているのですが、2018年の分担金総額は約66億8900万ドル(約7200億円)で、ここから逆算すると日本の分担金は約5億7600万ドル(約620億円)となっています(2018年の分担率は9.680%)。日本は通常予算とPKOで合わせて850億円超の分担をしていることになります。

分担金を人質に自らの主張を通そうとする米国。分担金が未納でも安保理常任理事国から外れることのない仕組み、国連に対する大きな分担を担っていても決して常任理事国になれない仕組み―。安保理が現実を反映していないと言われる理由です。

国連憲章は前文において「大小各国の同権」を謳い、国連はすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおく、としています。

長年言われ続けてきている議論ですが、何度でも、そしていまこそ、言わねばならないです。国連はいま、中国とロシアという非民主国家が常任理事国なっていることと、世界に多大な貢献をしている日本とドイツが常任理事国になれないというこの不条理を解消すべきなのです。

そうでないと、WHOと中国のような組み合わせにより、世界は危機に晒され続けることになります。

中国ウイルス以前から、世界は問題だらけでした。ロシアとウクライナの紛争、イスラエル・パレスチナ問題、シリア問題、中国と周辺諸国の問題、アフリカの内戦、貧困、エイズやエボラの問題、加速する地球温暖化問題等々・・・・・。
世界中に緊急に解決しなければならない大問題が山積しているのに、こういう問題は国連が関わることではないようです。この組織は、いったい何なのでしょうか。

このようなことを言っても、従来は単なる理想論とみられたかもしれません。しかし、中国ウイルスは世界秩序の変更の必要性を否が応でも高めます。G7諸国は、従来の国際連合(=United Nations 連合国)の枠組を捨て去り、新たな秩序に対応する新らたな組織を模索し、実現すべきです。

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2020年4月26日日曜日

このままでは二の舞に…⁉コロナ禍で日銀を立て直すことは出来るのか―【私の論評】財務省に対する積極財政への圧力は高まるばかりであり、日銀の金融政策は量的緩和の一方向しかない(゚д゚)!

このままでは二の舞に…⁉コロナ禍で日銀を立て直すことは出来るのか

新・日銀審議委員の実力はいかに


新・日銀審議委員、安達誠司氏に期待すること

3月26日、日銀の審議委員に民間エコノミスト出身の安達誠司氏が就任した。

日銀

新型コロナウイルスによる経済悪化が危惧される真っ只中での就任となり、同日の記者会見では「いつ底打ちするのか全く見えない状況だ」と語った。また、金融政策運営については「企業を中心に資金面で持ちこたえるような政策が必要だ」と指摘した。

一橋大学大学院を修了後、大和総研やドイツ証券などを渡り歩いた安達氏は、エコノミストきってのリフレ派とされる。

先の会見でも、「経済が危機的状況にあっては、金利を動かすよりも流動性の供給が重要だ」と述べている。コロナ禍にあって今ひとつ目立った金融政策を打ち出せていない日銀を立ち直らせることはできるのか。

安達氏の就任が決まったのは、国会同意人事があった1月28日のこと。氏のコラムなどを読むと、その直前に「消費税10%の導入によりどんなことが起きたか」といった趣旨の記事がある。定量的な観点や歴史的な視点も併せ持っていると筆者は感じた。

ひとくちにエコノミストと言っても、タイプは千差万別だ。独自の分析というよりも、多くの意見を聞いて主張を決める、マスコミチックな人も多い。一方で、しっかりとした理論をもとに自分で定量計算できる学究タイプもいる。

現在のような非常事態における政策実践の現場では、前者のいろいろな意見を総合するマスコミタイプより、後者の自分で計算のできる学究タイプのほうが重宝される。

というのは、この学究タイプの定量的な分析や意見は政策決定に直結するもので、しかも事後的に検証可能だからだ。もし成果が出なくても、その後の政策運営の資料になる。

しかも、実際の政策決定では、関係各所の調整・説得が欠かせないが、定量的な議論は非常に説得力がある。

黒田総裁の今の体たらくを正してほしい

いわゆるリフレ派の中で、典型的な学究タイプは、今回の安達氏と現日銀審議委員の片岡剛士氏だ。日本経済を研究するリフレ派の人間は、片岡氏と安達氏の経済分析結果の知見を積極的に取り入れている。

ところがどうやら、日銀組織全体には彼らの影響力の大きさが伝わっていないようだ。
コロナ・ショックに対して、米FRB(連邦準備理事会)は、3月15日にゼロ金利政策と量的緩和に踏み切った。23日には社債購入も検討と再び追加の金融緩和を行うことを決めた。これで、FRBは80兆円程度の追加金融緩和になる。

一方、日銀の黒田東彦総裁は、3月16日に上場投資信託(ETF)の購入を6兆円積み増ししたに過ぎない。日米でカネの刷り方を比較すると、日銀のほうが刷り負けている。
リーマン・ショックの際、日銀は欧米の中央銀行に比べてカネを刷り控えたせいで、日本経済に大打撃を与えたとされる。このままではその二の舞になってしまう。

安達氏は原田泰氏の後任で、リフレ派は多数決で決まる審議委員会の少数派である。したがって、政策決定そのものへの影響は限定的だろう。冒頭に引いた会見でも、発言は控えめだった。

安達氏ひとりで日銀が劇的に変わるとは言い切れないが、審議委員会で大暴れし、黒田総裁の今の体たらくを正していただくことに期待したい。

週刊現代2020年4月11・18日号より

【私の論評】財務省に対する積極財政への圧力は高まるばかりであり、日銀の金融政策は量的緩和の一方向しかない(゚д゚)!

新型コロナウイルス感染拡大で市場が動揺する中、27日の金融政策決定会合で、「年間80兆円増をめど」とする国債の購入枠撤廃を柱とする追加金融緩和策が盛り込まれる見通しです。社債やコマーシャルペーパー(CP)の買い入れ額拡大や企業の資金繰り支援も検討します。

追加緩和が実施されれば、上場投資信託(ETF)の購入額倍増などを決めた3月に続いて2会合連続となります。

米連邦準備制度理事会(FRB)はすでに、無制限で国債を買い入れる方針を打ち出しました。日銀も買い入れ枠にとらわれず国債を購入し市場に資金を供給する姿勢を示すことで各国の中央銀行や政府と歩調を合わせ、金融市場の安定も目指します。

日銀は黒田東彦(はるひこ)総裁就任直後の2013年4月、長期国債の保有残高が年間約50兆円増えるよう購入することを決定。14年10月に約80兆円に引き上げました。ただ、市場に出回る国債が少なくなっていることなどを理由に、最近は80兆円を大幅に下回る水準で推移していました。

日銀は、□□を検討するとか、〇〇を目指すとか等と悠長なことを言っているのではなく、すぐに2013年当時の異次元の量的緩和の姿勢に戻るべきです。

安達氏や、片岡氏が存分に暴れまわって、他の審議員らを突き動かしてほしいものです。

現在の日銀審議委員

現在、財務省の緊縮財政により、あまり積極的な財政が実施されていませんが、それでも先日は個々人に給付金10万円が、給付されることが決まりました。

現状では、東京都や大阪府では、パチンコ店の営業自粛を要請していますが、それでも営業を続ける店舗あり、大阪府では営業を続ける店舗の名称を公開しましたが、結局さらに名指しされた店舗を訪れる客を増やすという結果になりました。

東京都も営業を続ける店舗の名称を28日に、公開すると小池知事は語っていましたが、これを実行すれば、営業しているパチンコ店を都内はもとより、隣接の県などの、パチンコ愛好者ら、特にパチンコ依存症の愛好者らに、営業している店舗の宣伝をするようなもので、かえって来店者を増やす結果になるでしょう。

吉村知事も、小池知事も、店舗名公表は、特措法45条第2項に基づく要請をし、そうして店舗名の公表を始めていきたいとしていますが、特措法を根拠とする措置でも、パチンコ店では依存症者が存在するのは最初からわかっていることであり、店名公表では逆効果です。特措法に基づくなら、本来は店舗名を公表するのではなく、管理者や経営者の氏名公表が筋です。



それに、強制的に休業を求めるというのなら、休業補償を求める声が大きくなっていくことでしょう。パチンコ店に対して休業補償をするというのなら、他業種の店舗もそれを求めるようになるでしょう。さらに時がたてば、多くの国民から減税を求める声も大きくなっていくことでしょう。

このように、現場では、大きな混乱がありながらも、つまるところ積極財政を求める声は、各方面でかなり大きくなっていくことが予想されます。

さしもの、財務省もいずれこれらの声を無視するわけにはいかなくなるでしょう。いままでのようなわけにはいかないのです。たとえば、台風などの自然災害や、東日本大震災のときには、地域が限定されましたが、現在は東京都を含めて全国が中国ウイルス感染のために、大変なことになっているのです。規模が全く異なるのです。

コロナ対策における自治体の動きも、政府の動きも、なぜ鈍いのかといえば、財務省が積極財政を貫き通すために、抵抗しているからです。この財務省の抵抗は、いずれ多くの国民の知るところとなるでしょう。

政治家の多くが、財務省の国税庁の動きに牽制されて、財務省にはまともには逆らえないなどの事情もありますが、それにしても、個々の政治家の支持母体の有権者らの、さらなる積極財政を求める声は大きくなってくるのは、目に見えています。

無論、有権者の多くは、財務省など意識してないかもしれません。ただ、休業補償や、さらなる給付金、減税などを求める声は、より切実になっていくことでしょう。この有権者の声は、ここしばらくは、日増しに大きくなることはあっても、衰えることはありません。この声を政府に届けない財務省のポチのような政治家は、与野党に限らず木偶の坊と見なされ、次の選挙では支持を得られなくなる可能性もあります。

とにかく緊縮さえすれば、良いという財務省のスタンスは、元々何の正当性もなく、平成年間のほとんどがデフレという有様であり、早晩続けられなくなることが、十分予想されます。財政赤字などの嘘や、財政均衡のための増税の必要性の嘘も、最近ではかなり多くの人が知るようになっています。今後そのような人はますます増えるでしょう。

とにかく日銀は、財務省が緊縮路線を崩さないというのなら、量的緩和を拡大して景気を下支えするしかありません。さらに、財務省が嫌々ながも、積極財政に転じた場合でも、なおさら金融緩和をしなければなりません。

日銀は、いずれに転んでも、大規模な金融緩和に踏み切らなければならないのです。なぜ、政府が積極財政をはじめた場合、金融緩和をしなければならないのか、ということはこのブログでも、掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】米と「ケタ違い」だった日銀緩和 80兆円の量的緩和復帰すれば、財政出動の効果も発揮される―【私の論評】簡単なことがわからない日銀総裁と、日本の政治家(゚д゚)!
日銀黒田総裁

結局のところ、日本のような変動相場制の国では、財政政策だけでは限界があるということです。それは、マンデル・フレミングの法則により、確かめられています。マンデル・フレミングの法則に関する部分をこの記事より引用します。
   その(マンデル・フレミングの法則)原理をかいつまんでいえば、国債発行をすると、国内金利が海外と比べて高くなりがちなので自国通貨が高くなるというものだ。国債発行による財政出動で内需を拡大しても、為替高で外需が減少し、財政出動の効果が減殺されるというわけだ。 
 提唱者のロバート・マンデル氏のノーベル経済学賞受賞業績にもなっているくらいなので、古今東西で事例が見られる。例えば2011年3月の東日本大震災後、大規模な財政出動をした際、円高に見舞われたのはその好例だ。 
 こうしたメカニズムが分かっているので、財政出動と同時に金融緩和すれば、国内金利は落ち着き、自国通貨高にならずに、財政出動の効果がそのまま発揮される。
日本のような、変動為替相場制の国では、財政政策だけでは効果が減衰されることは、日本でも、変動相場制の他国でも実際にみられていました。

米国は、すでに米連邦準備制度理事会(FRB)が3月15日、ゼロ金利復帰と7000億ドル(約75兆円)規模の量的緩和を決めました。そうなると、日本が緩和しないと円高に傾くわけです。

さらに、財務省が多くの国民による積極財政圧力に屈して、財務省の基本原則である緊縮財政をとりやめ、積極財政に傾けば、なおさら、緩和をしなければならないということです。

日銀は、現状マイナス金利状態にあるわけですから、緩和するにしても量的緩和しかないわけであり、しかも物価目標2%も達成できていないわけですが、なおさら、量的緩和をしなければならないのです。

日銀の金融政策は、現在は量的緩和拡大への一方向しかないわけであり、安達氏、片岡氏が審議委員会で大暴れし、緩和を主張しなければならない現状はどこか狂っているとか言いようがないです。

本来ならば、日銀は一丸となって、金融緩和に取り組んでいなければ異常なのです。

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2020年4月25日土曜日

WHO・テドロス事務局長に辞任要求署名「100万人」 米の拠出金停止で日本に泣きつき… 識者「日本も資金を停止すべき」―【私の論評】中国ウイルスの終息後の新世界秩序樹立により、日本は戦後レジームから脱却する(゚д゚)!

WHO・テドロス事務局長に辞任要求署名「100万人」 米の拠出金停止で日本に泣きつき… 識者「日本も資金を停止すべき」

テドロス氏の辞任を求める声は世界中から集まっている

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)をめぐり、責任を免れないのが世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長だ。中国寄りの姿勢や記者会見での暴言、妄言が物議を醸し、辞任要求署名は約100万人に達した。米国も拠出金停止を打ち出すが、テドロス氏は居座りを決め込み、あろうことか日本に泣きつこうとしている。識者からは日本も米国と歩調を合わせて資金を停止すべきだとの強硬論も出ている。


 マイク・ポンペオ米国務長官は22日夜のFOXニュースで、新型コロナウイルスへの対応を巡り「中国には必要な透明性がない。それを実現するのはWHOの責任だ」と指摘。ドナルド・トランプ大統領の拠出停止の決定について「完全に適切だ。WHOの構造的な改善が必要だ」と訴えた。

 さらに「米国は(資金を拠出する立場に)戻らない場合があるかもしれない」と強調。「それ以上に大胆な変化が必要かもしれない」と述べた。

 不満を持つのは政治家だけではない。署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で1月末に始まった辞任要求の署名数は、テドロス氏が記者会見で妄言を吐くたびに増えていった。


 新型コロナウイルスについては1月下旬の時点で中国による隠蔽(いんぺい)疑惑が取り沙汰されるなか、テドロス氏は、中国の迅速な対応ぶりを強調、「内外に完全な透明性を約束した」と称賛した。

中国のほか、韓国やイラン、医療崩壊に至ったイタリアにも感染が拡大した2月下旬にも、「パンデミックという言葉は事実に即さない」と述べていたが、3月上旬に一転、「パンデミックと表現できるとの判断に至った」と声明を出した。すでに100の国・地域に感染が拡大するなか、25日には「われわれは最初の機会を無駄にした」と、当事者とは思えない発言で世界をあきれさせた。

 テドロス氏をトップにいただくWHOの国際機関としての役割に疑問を持つ声も挙がっている。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は、「WHOを情報の集約機関として重要視する向きもあるが、感染者数で速やかに正確な情報を出し、メディアも引用しているのは米ジョンズ・ホプキンス大のデータだ」と指摘する。

 世界最大の感染国となった米国は、トランプ大統領が拠出金の停止をぶち上げたのに続き、米下院外交委員会の共和党議員17人は今月16日、拠出再開の条件としてテドロス氏の辞任を求めた。

 島田氏は「予算の承認権を持つ米議会で動きがあるのは大きい」としたうえで、「WHOへの拠出金の大半は運営資金に消えており、実際の医療援助にあたるNGO(非政府組織)からも『援助貴族』との評価もある。米国でも直接、NGOに資金を渡す方が効率的との見方が強まっている」と語る。

 WHOが頼みとしているのが日本だ。テドロス氏は先月13日の会見で、日本による155億円を拠出に感謝を述べ、同30日には、安倍晋三首相と約45分間にわたり電話会談。直後にツイッターを更新し、「非常に生産的な電話」「彼に感謝しました」とする賛辞を投稿した。

さらに米国が「反WHO」の姿勢を明確にしたことで、日本頼みの姿勢が強まっているようだ。安倍首相はトランプ氏と関係が近いことも無関係ではない。

 島田氏は「WHO幹部らが日本に米国の穴埋めを求めているようだが、資金を止めることが最も効果があるので、日本の議員も米国のように声を上げるべきだ」と語る。

 安倍首相は今月17日の会見で、WHOの対応について「問題点や課題もある」との指摘、事態収束後に機能を検証すべきだとの認識を示した一方、「日本が分担金を削ることは全く考えていない」と述べた。「現場で支援を実施する知見を有するWHOの協力は、コロナとの闘いで不可欠だ」と訴えている。

 米国が拠出金を打ち切った場合、中国が発言権をますます強めるだけだという反対論も根強い。

 前出の島田氏は「官僚が事実上の天下りで国際機関に入るケースもあり、『資金を提供することで発言権を確保できる』などと説得するのだが、現に発言権は高まっていない。政治のリーダーシップで官僚の現状維持派をいかに押さえ込めるかが大事だ」と力説した。

【私の論評】中国ウイルスの終息後の新世界秩序樹立により、日本は戦後レジームから脱却する(゚д゚)!

戦後、「国際の平和と安全を維持すること」を目的として創られた国際連合。日本国内では、「愛」や「正義」を体現しているかのように思われてきた国際組織ですが、新型コロナウィルスの感染拡大を通して、その姿勢への不信感が強まっています。

かつて米国は、国連内で大きな力を持っていました。しかし、トランプ米大統領が国連から一定の距離を置く今、影響力を強めているのが中国です。

現在、15ある国連の専門機関のうち、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際民間航空機関(ICAO)、国際電気通信連合(ITU)の4つの機関で、中国出身者がトップを務めています。

案の定と言うべきか、それらの機関からは、中国の利益を考えているような動きが垣間見える。

例えば、ICAOの柳芳(リウ・ファン)氏がトップになると、中国と反目する台湾の総会参加を認めなくなりました。さらにICAOは、台湾の参加を認めるよう声を上げた有識者らのツイッターをブロックしました。

WHOだけではない、中共に浸透された国際専門機関

また、ITUの趙厚麟(ジャオ・ホウリン)事務局長も、中国の経済圏構想「一帯一路」との連携を主張するほか、中国の通信大手・華為技術(ファーウェイ)を援護する発言を繰り返しています。

中国は国際機関への影響力を強めることで世界からの批判をかわし、より"スムーズ"に覇権を広げようしています。

中国が影響力を強める国際機関に期待するのは難しいでしょう。日本は、国際機関の公平さを"絶対視"する考えから抜け出さなくてはならないです。

国連は中国の軍事拡張を放置し、世界に正義を発信できていない上に、「米国や中国といった利害が対立しがちな国が常任理事国に入っているため、そもそも機能していない」という構造的な問題もあります。

世界にはさまざまな文化や価値観、宗教観を持った国が存在します。善悪がない交ぜになり、価値観が多様化する中、今の国連は"本当の正義"を地に降ろすことができていません。

中国に対して強硬姿勢をとる米国と歩調を合わせ、日本は、世界正義を発信できる新しい国連の再構築に貢献していく使命があります。

それは同時に、新たな世界の秩序を形成する道筋でもあります。中国ウイルス感染直前の世界は、トランプ米大統領の怒り、プーチン・ロシア大統領の歴史修正主義、習近平・中国国家主席の野望……これらによって時代が形成される中、戦後世界を支えてきた国際秩序は混乱し、危険とさえいえる状況になってきていました。なぜ、こんなことになったのでしょうか。

第2次世界大戦後の世界は、最近まで寛容かつ自由な国際協調(ただし連合国強調)の時代でした。その基礎が築かれたのは1941年、フランクリン・ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相が、大西洋憲章を起草したときでした。二人はナチス・ドイツの打倒にとどまらず、連合国の平和と民主主義の未来に向けた土台を本気で作ろうとしていました。

その成果は、両人の想像を超えるものだったに違いないです。大西洋憲章に続いて、国際連合やブレトンウッズ体制、国際貿易システム、世界人権宣言が生まれたからです。その一方、国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)は正式には国連憲章からは削除されておらず、日本とドイツは敵国のままです。

1990年代初頭、中国が改革・開放を加速し、ソビエト連邦が崩壊しました。それからの四半世紀は、世界が真の意味で進歩したすばらしい時代でした。大国間で大きな戦争はなく、貿易の拡大によって経済成長は加速。世界の貧困は半減しました。科学技術における進歩の恩恵は世界の隅々に及んだのです。

ところが、この数年で世界は新たな時代に突入しました。中国が戦後の世界秩序に変わり、新たな秩序を作り出すことに挑戦しはじめたからです。

2015年3月8日の中国の王毅外相の8日の記者会見で目立ったのは、戦後70年という節目の今年になって強調し始めた「新型国際関係」という新たなキーワードです。中国が大国としての責任を果たし、米国一極支配を念頭に「これまでの国際秩序を改善」し、「協力と互恵に基づく新たな関係」を目指すとしました。

「戦後70年で国際的な枠組みも大きな変化が生じている」。王外相は米国を念頭に「1騎で戦う古いやり方、勝者総取りの古い考え方は捨て去るべきだ」と指摘し、「これまでの秩序を刷新・改善するための改革」が必要だと訴えました。

そうして、中国は世界の新たな秩序形成への意欲を新たにしました。中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言したのです。この宣言は、米国のトランプ政権の「中国の野望阻止」の政策と正面衝突することになる。米中両国の理念の対立がついにグローバルな規模にまで高まり、明確な衝突の形をとってきたといえます。

習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(6月24日付)で報道されました。同報道によると、習近平氏は2018年6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したされています。

この会議の目的は、中国の新たな対外戦略や外交政策の目標を打ち出すことにあり、これまで2006年と2014年の2回しか開かれていません。

この会議には、中国共産党政治局常務委員7人の全員のほか、王岐山国家副主席や人民解放軍、党中央宣伝部、商務省の最高幹部らも出席しました。出席者には中国の米国駐在大使も含まれており、超大国の米国を強く意識した会議であることをうかがわせます。

これに関しては、このブログでも以前解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国がこれまでの国際秩序を塗り替えると表明―【私の論評】中華思想に突き動かされる中国に先進国は振り回されるべきではない(゚д゚)!
ドナルド・トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、米国政府は中国に対してそれまで、警戒や懸念を表明してきいました。ところが、習近平政権はその米国の懸念に対して、正面から答えることがなかったのですが、今回の対外戦略の総括は、その初めての回答とも呼べそうです。

つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのである。その後米国と中国はますます対立を険しくして今日に至っています。

そうして、現在中国ウイルスが世界に蔓延したのです。健在の世界は、中国ウイルスへの対処で精一杯であり、新秩序の形成にまでは考えが及ばないようです。

しかし、過去の歴史をみても、パンデミック後には世界秩序が変わっています。今回も、元々世界秩序の変化があったところに加えて、パンデミックがあったわけですから、世界秩序の変革は相当はやまることになりそうです。

パンデミックがない場合には、世界秩序の変化は緩慢に進み、10年〜20年、もしくは50年もかかって変わったかもしれません。

しかし、パンデミックという不測の事態が加わり、10年以内もしくは数年で変化が起こる可能性が強まりました。

今後、米国はWHOへの拠出金停止を皮切りに、中国の浸透がすすむ、国際連合(United Nation=連合国)に見切りをつけるかもしれません。

米国が本気で世界の新しい秩序を樹立する場合には、中国に対して体制変換を迫り、中国がそれを実行しない場合は、中国の米国およびその関連金融機関において、中国の資産凍結を実施するでしょう。さらには、米ドルと元との交換停止などの過激な手段に打ってでることも十分考えられます。

その上で、新たに国際連合のような新しい組織をつくることになるでしょう。その際には、米国が中心となりその設置を強力に推し進めると、米国に反感を感じる勢力も世界には多いですから、おそらく暗礁に乗り上げることになるでしょう。

その時こそが、日本の出番です。米国と各国との橋渡し役を実行するのです。これまで、国際紛争に直接関わってこなかった日本の役割です。そうして、新たな世界秩序ができあがるときに、安倍総理もかつて主張した戦後レジームからの脱却がはじめ成就するのです。

その意味では、まさに中国ウイルスのパンデミックはまさに旧世界における第三次世界大戦のような役割を果たすことになるかもしれません。

その機会を失わないためにも、日米ともに、まずは中国ウイルスの封じ込めと、経済の早期回復を実現しなければなないのです。

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中国人が世界知的所有権機関のトップに?―【私の論評】日米とその同盟国は、火事場泥棒に意図的かつ慎重に圧力をかけよ(゚д゚)!

2020年4月24日金曜日

政府景気判断、11年ぶり「悪化」 4月の月例経済報告―【私の論評】今後維新の動きをみて、安倍総理は衆院解散総選挙に踏み切る(゚д゚)!


テレビ会議で開催された月例経済報告関係閣僚会議に臨む安倍首相(23日、首相官邸)

政府は23日にまとめた4月の月例経済報告で、景気について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」との判断を示した。「悪化」の表現を使うのはリーマン・ショックの影響が残る2009年5月以来ほぼ11年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の制約が強まり、消費や生産、雇用などの足元の指標が総崩れとなっている。先行きも「極めて厳しい状況が続く」と記した。
同日夕の関係閣僚会議で西村康稔経済財政・再生相が報告した。政府は2月まで「緩やかに回復」としていた景気判断を、3月に「大幅に下押しされている」に引き下げたばかり。急速な感染拡大を受けて、2カ月連続で景気判断を下方修正した。「急速な悪化が続いており、厳しい状況」としていたリーマン危機後の09年2~4月の景気判断よりも厳しい認識を示した。

西村氏は記者会見で「家計や企業の経済活動が急速に縮小する過去に例を見ない、極めて厳しい状況だ」と述べた。

個別の14項目のうち個人消費、輸出、生産、企業収益、業況判断、雇用情勢の6項目で現状認識を引き下げた。

内需の過半を占める個人消費は、判断を2カ月続けて下げ「急速に減少している」とした。判断にあたってはナウキャスト(東京・千代田)がまとめたJCBカードの購買データを参考にした。3月後半の1人当たりの支出は外食が前年同期比14.2%減、旅行が13.8%減となった。家具などの耐久消費財も売れ行きが落ち込んだ。

3月の景気ウオッチャー調査では、飲食やサービス関連で働く人の景況感が急速に冷え込み、リーマン危機を下回る過去最悪の水準に沈んだ。すでに政府は緊急事態宣言の対象を全国に広げ、外出や移動の自粛を徹底するよう求めている。例年なら消費が盛り上がる5月の大型連休も新幹線の予約が前年比9割減となっている。

製造業にも影響が広がっており、政府は生産の現状認識を4カ月ぶりに下げた。

東芝は20日から5月6日まで、工場を含む国内の全拠点の臨時休業を決めた。地方でも外出自粛で、思うように工場を稼働できなくなりつつある。需要減とあわせて生産には打撃だ。内閣府の試算では、世界的な需要減や部品供給の制約で4月の自動車の生産は前年同月から29.1%減る。

雇用情勢は失業者が急増している欧米に比べると落ち着いているようにみえるが、政府は「弱い動きがみられる」と判断した。需要の急激な消失を受け、求人数は製造業を中心に減少している。内閣府がハローワークのオンライン求人票の求人数を集計したところ、4月は23日時点で前年同期比20%減。2月の12%減、3月の16%減から減少幅は拡大している。

関係閣僚会議で配られた資料には「影響が大きい観光・飲食・イベント関連業種での雇用調整助成金の活用がカギ」との一節がある。客観的なデータの分析が中心の月例経済報告の資料では異例の記述で、失業者が増えることへの政府の強い危機感がにじむ。

第一生命経済研究所の新家義貴氏は「経済の正常化はある程度の時間をかけて段階的に進めざるを得ない。景気のV字回復は難しい」とみている。

【私の論評】今後維新の動きをみて、安倍総理は衆院解散総選挙に踏み切る(゚д゚)!

安倍晋三首相は昨年8月1日、浜田宏一内閣官房参与と首相官邸で会談し、10月の消費税率10%への引き上げをめぐり意見交換していました。浜田氏によると、首相は「リーマン・ショック級のことは起こらないだろう」との見通しを示し、予定通り増税する考えを説明しました。

首相は増税に伴う消費落ち込み防止のため、自動車や住宅の購入者への税負担軽減策を講じたことに言及し、「(現時点で)駆け込み需要がないということは、落ち込みも少ないのではないか」とも発言したとされています。

確かに増税した10月には、リーマンショック級の経済危機は発生しなかったのですが、今年1月には、武漢ウイルスの感染が報じられており、その後は日本も感染者が増大し、個人消費などの経済活動が停滞し、今日に至っています。

現在政府は、冒頭の記事にもあるとおり、リーマンショック級の景気低迷を認めているわけです。安倍さんはリーマンショック級の経済危機がなければ消費増税として、消費増税に踏み切ったわけですから、消費減税する大義名分ができたと言っても良い状況です。

さらに、消費税減税を実施するための小さな一歩として、注目すべきことがあります。それは、目黒区長選挙です。この選挙では、維新が候補者を出して注目を浴びていました。この小さな一歩は今後大きな動きになる可能性を秘めています。

その結果を以下に掲載します。


任期満了に伴う目黒区長選(東京都)は19日投開票され、無所属現職の青木英二氏(65)=自民、公明推薦=が3万178票(得票率39.9%)を獲得し、無所属の新人で元区議の山本紘子氏(43)=立憲、共産、社民推薦=と、維新の新人で医師の田淵正文氏(61)を退けて、5選を果たしました。

さて、この選挙の意義については、以前このブログで解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
産経・FNN合同世論調査 立民の支持率急落 維新が野党トップ―【私の論評】目黒区長選挙は、安倍総理の起死回生につながるか? 
吉村洋文大阪府知事
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
この選挙、コロナ感染下であることもあり、将来の国政選挙の趨勢を占うのには良い機会となるかもしれません。 
この選挙の結果で、安倍総理は衆院解散の決意を固めるかもしれません。このブログにも掲載してきたように、安倍政権は消費税減税を実施しないなど、首をかしげるような経済政策を実行中です。 
これは、このブログで解説したように、やはり緊縮病に冒された財務省の官僚が、与党議員にもその強力な感染力で緊縮病を感染させているからです。緊縮病に冒された、議員はコロナ禍の最中にあっても、緊縮をすることが、日本を救うと本気で思っているようです。 
これだけ、自民党が緊縮病に冒されていれば、安倍総理もいかんともし難いところがあります。無論、安倍政権が悪い、安倍総理が悪いという側面は否定できませんが、財務省が、緊縮を省是として貫いてきたことも事実です。 
財務省の緊縮病を、マスコミも、政府も、どの政党も、識者などのいずれの勢力も防ぐことができなかったのも事実です。その結果、つけあがった財務官僚は、平成年間の全期間を緊縮財政を実施し、令和年間もそれを押し通そうとしています。 
このままだと、景気は最悪になり、復旧するにもかなりの時間がかかりそうです。いまのままだと、安倍総理は念願の憲法改正もかなわず、二度の消費税増税で景気を悪化させた総理大臣として歴史に刻まれることになります。 
安倍総理の起死回生策は、消費税減税、追加経済対策、憲法改正を公約として、解散総選挙を実施して大勝利する以外にはなさそうです。 
憲法改正にはできれば、緊急事態条項を盛り込むべきです。もし、この選挙で維新が躍進すれば、憲法改正ができる見込みが高まることでしょう。 
そうして、自民の反緊縮派議員と、維新の反緊縮は議員が強力して、消費税減税と、追加経済対策を強力に推進すべきです。 
その意味で、目黒区長選挙の趨勢は、日本の将来を占う上でも重要な選挙と位置づけることができると思います。
今回の選挙では、自民、公明推薦の、青木氏が当選しました。維新は、落選しているものの、得票数としては、青木氏や山本氏と同じ桁数を得票しています。自公、維新あわせると、64.%を占めています。東京の区長選でこれだけ得票したことは、維新の躍進とみても間違いないと思います。今後の都知事選でも躍進が期待できそうです。

維新の参議院議員音喜多氏は、維新の消費税減税の動きについて以下の動画で語っています。



減税に関しては、公明党はいざしらず、安倍総理は維新と利害が一致しており、本当のところは、減税したいのがやまやまなのですが、財務省と財務省の緊縮病に冒された、党幹部の存在が、減税から程遠い実体になっています。

ただし、公明党も支持母体からの減税への要望が大きくなり、減税に傾くかもしれません。

憲法改正に関しては、自民党内部にも賛成する議員も多く、維新も改憲推進派です。

次の衆院選で、安倍総理が消費税減税を含む追加経済対策と、憲法改正を公約として、大勝利し自公・維新で2/3以上の議席を占めた場合、減税も、憲法改正もできる可能性がかなり高まることになります。

今後の7月の都知事選挙なども注目です。ここで、維新の動きを見定めて、有利と見た場合、秋頃に衆院解散総選挙というシナリオは十分ありそうな気配となってきました。

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2020年4月23日木曜日

欧州遠ざける中国のコロナ外交-今の雰囲気は「かなり険悪」―【私の論評】マスク外交をアジアで展開できない中国が、EUに触手を伸ばしてもそれに乗るのは経済弱小国だけ(゚д゚)!

欧州遠ざける中国のコロナ外交-今の雰囲気は「かなり険悪」
 「人々に何をすべきか命じようとする態度が至る所に見られる」
  幾つかのEU加盟国は対中依存を減らす政策を探っている
中国の習近平国家主席による欧州歴訪の翌年となる今年は、欧州と中国の外交関係が強固になるはずだった。だが今、その関係にダメージを与える亀裂が走っていると欧州側は警戒している。

中国の習近平国家主席とメルケル独首相(パリ、2019年3月26日)

 欧州の外交官が語るのは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を巡る中国側の振る舞いだ。中国の医療機器サプライヤーによる価格つり上げの報告や、そうした行動がどう受け止められるかについての無神経さなどが話題に上る。中国側の新型コロナ危機への対応は、同国が世界的なリーダーシップをアピールできるまさにこのタイミングで、自らの信頼性を損ねる結果となっている。

 「中国はここ数カ月で欧州を失った」と話すのはドイツの緑の党に所属し、欧州議会で対中関係を担当するラインハルト・ビュティコファー議員だ。同議員はウイルス拡散初期段階での中国側の「真実のマネジメント」から北京での中国外務省報道官による「極めて攻撃的な」スタンス、民主主義より中国共産党が優れていると主張する「強硬なプロパガンダ(宣伝工作)」などへの懸念を挙げる。

 関係悪化をもたらしたのは一つの行動というよりも、「パートナーシップを構築しようという意思ではなく、人々に何をすべきか命じようとする態度が至る所に見られることにある」と同議員は指摘する。

上海のマスク工場

 トランプ米政権が再び中国非難を強める一方で、欧州の当局者は表立った対中批判は控えがちだ。仕返しを恐れていることもある。だがベルリンやパリ、ロンドン、ブリュッセルの政治家たちが新型コロナに関する中国の対応に懸念を示しているという事実は、広範な影響を伴う怒りが深まっている状況を示唆している。

 すでに幾つかの欧州連合(EU)加盟国は対中依存を減らし、搾取(さくしゅ)にも転じ得る投資を阻止する政策を探り、昨年7500億ドル(約81兆円)に迫った中国EU貿易を損ねるリスクを冒してでも防御策を講じようとしている。

 新型コロナのパンデミックは中国からの対欧医療品支援などを通じ、欧州と中国の連帯の好機となるはずだったが、在中国EU商業会議所(中国欧盟商会)のヨルグ・ワトケ会頭は「中国について言えば、欧州の雰囲気は今かなり険悪だ」と語る。

 主要7カ国(G7)の外相が3月25日に行った電話会議では、欧州とG7は中国に警戒すべきだとの認識が示された。他の多くの国が新型コロナ封じ込めでロックダウン(都市封鎖)を続けている間に中国が「一段と自信を強め、より強力」に動く可能性があると報告されたという。電話会議に詳しい欧州当局者が明らかにした。

 中国外務省の趙立堅報道官は4月17日の定例記者会見で、中国は欧州各国を含めた国際社会と協力し「全人類の健康と安全を共に守る」用意があると表明した。

 それでも中国のやり方は今月、欧州で裏目に出た。在フランス中国大使館のウェブサイトに、仏高齢者施設の職員は入居者を死ぬに任せているとの誤った批判が掲載されたのだ。モンテーニュ研究所のアジアプログラムディレクター、マシュー・デュシャテル氏はフランスでの新型コロナ危機の「最もセンシティブかつ最も悲劇的な側面の一つについて、信じられない主張がなされた」とツイートした。

 北京に駐在する2人の欧州当局者によれば、中国はプロパガンダの窓口機関が増幅させる「陰謀説」への反発を過小評価していた。新型コロナを巡る対欧支援に欧州の人々は感謝し称賛しなければならないという中国の主張もまた、本来得られるであろう好意を損ねているとも2人は説明している。

【私の論評】マスク外交をアジアで展開できない中国が、EUに触手を伸ばしてもそれに乗るのは経済弱小国だけ(゚д゚)!

中国がEUで信頼を失っているのは、EUを踏み台にして、自らの回復を優先しているからでしょう。マスク外交で恩を売っておき、その後関係を構築し、回復後には輸出や、インフラ整備などで、利益をあげようという魂胆です。私は、習近平が一週間ほど、姿をくらましたとされている期間に、こういった悪巧み等を考えたのだと思います。

そうして、なぜ中国が、EUを標的にしてマスク外交をしているか、その真の理由は以前このブログで述べたばかりです。当該記事のリンクを以下に掲載します。
新型コロナが証明した「独立国家」台湾―【私の論評】台湾が独力で中国ウイルス封じ込めに成功したことは、その後の世界に大きな影響を与える(゚д゚)!
flickerより Robin Huang 台湾国旗柄のビキニの女性 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
今回の中国ウイルス禍で、台湾がウイルスの封じ込めに成功したことは、台湾国内のみではなく、世界に対して大きな貢献になりました。
もし、台湾が封じ込めに失敗し、中国に助けられるような事態になっていれば、そうして日本も大失敗していれば、何しろ、現状では米国が深刻な感染に悩まされている状況ですから、中国はアジアで大攻勢にでて、中国ウイルス後の新たな世界秩序は大きく中国側に有利なものに傾く可能性がありました。
台湾のみでなく、日本も未だコロナの被害は他国と比較すれば少ないですし、韓国も収束しつつあります。他国の支援を受けなくとも独力で、中国ウイルス対策が十分にできているということです。これからも、何とかなりそうです。

あの北朝鮮ですら、表向きは感染者ゼロとしています。これは、本当なのかはわかりませんが、少なくとも"感染者ゼロ"と表明するのは、北朝鮮はウイルス対策で中国の助けなどいらないと表明しているのと同じです。世界感染マップをみても、アジアの感染率は明らかにEUよりも低いですし、EUは多いです。

これでは、アジアで中国の出番はないのです。だからこそ、中国ウイルスでかなりの痛手を被っているEUに触手を伸ばしたのです。しかし、上の記事のように、中国はEUでかなり警戒されているようです。

EUに限らず、中国は多くの国々で警戒されているようです。それどころか、世界はコロナウイルスの抑制に必死で、経済は疲弊の一途ですが、中国は国民の命を無視して経済活動を再開。その結果、中国では何百万人かは死ぬでしょうが、経済は復興してすさまじい強国になると同時に人口抑制にも成功するかもしれない。そうなれば、中国が覇権を握り、世界は暗黒になるとの恐怖を抱いている人も多いのではないでしょうか。

しかし、これは杞憂かもしれません。なぜなら、中国経済はそもそも対外依存型で海外への輸出に頼る部分が大きいからです。これに比較すると、日本などの先進国では、GDPに占める個人消費が60%台であり、米国では70%台です。中国は40%程度です。

世界が疲弊する中で、中国の対外輸出が激減し企業の倒産・休業が広がっています。1~3月に企業倒産が46万件もあったのですが、4月に稼働再開したメーカーが再び停止となった場合も多いです。

4月17日に開かれた中国共産党政治局会議は、今後の経済運営に関して「食糧とエネルギーの安全を守ること」「基本的な民生(国民生活)を守ること」を重要任務として掲げました。中国的に言えば、その意味するところは今後下手すると「基本的な国民生活」の維持すら覚束ないようなのです。

とにかくこれからの中国はもはや経済成長どころではないのです。人民が食べていけるかどうかが問題となるのです。これでは、私が以前このブログで主張したように、中国は石器時代を迎えることになるかもしれないということが、さらに現実味を帯びてきました。

石器時代の狩りの想像画

EU諸国も、中国の経済力すなわち、金だけに注目していたのであり、金なし中国には全く関心を抱かなくなることでしょう。

中国ウイルス対策では、経済発展しつつあるアジアで見向きもされない中国が、歴史的にみて元々黄昏を迎えつつあるEUに触手を伸ばしてみても、結局それに乗ってくるのは、経済弱小国だけでしょう。それらの国々には手厚い経済支援をしなければならなくなり、中国のお荷物になるだけです。

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2020年4月22日水曜日

広島知事、県職員の給付金10万円活用を撤回 「誤解与える表現だった」―【私の論評】給付金を受け取らないのは、大きな間違い、大事なのはなるべく早く使い切ること(゚д゚)!


湯崎英彦広島県知事=広島県庁で

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府が国民に一律支給する10万円を巡り、広島県の湯崎英彦知事は22日、「県職員から給付金を集めることはない」と述べた。県職員の受け取り分を募り、休業要請に伴う支援金などの対策費に活用する考えを示していたが、県議会や県民から抗議が相次ぎ、事実上撤回した。

 湯崎知事は21日の記者会見で「財源を捻出するため聖域なく検討したい」と話し、県職員からの10万円を基金に積み立てるなどして対策費に充当する意向を表明していた。

 県によると、発言の趣旨を尋ねるメールが県庁に2400件以上寄せられ、ほとんどが批判的な内容だったという。記者団の取材に22日応じた湯崎知事は「強制的に徴収するような誤解を与える表現だった」と謝罪。ただ、職員への協力は改めて呼びかけるとし、自身の報酬については減額を県議会に提案するという。【池田一生】

【私の論評】給付金を受け取らないのは、大きな間違い、大事なのはなるべく早く使い切ること(゚д゚)!


島県の湯崎英彦知事は21日、政府が緊急経済対策として全国民に一律給付する10万円について、県職員から供出してもらい、県の財源に充てる考えを示していました。実施するかは今後、検討するとしました。県の休業要請に応じた中小企業などに支払われる10万~50万円の協力支援金の財源約100億円が必要で、湯崎知事は「聖域なく検討したい」と述べました。

県によると、県警や県教委の職員も含む約2万5000人が対象で、全員が受け取れば計算上、総額25億円に上ります。県の財政調整基金の残高は、2018年7月の西日本豪雨からの復旧などで取り崩しが続き、20年度末の残高は33億円の見込み。湯崎知事は「感染拡大防止のためにやらなければいけないことはたくさんあるが、圧倒的に財源が足りない」と理解を求めていました。

一方、県職員からは不満の声が漏れていました。男性職員の一人は「事前に説明があっても良かったのでは。強制でなくても、『右にならえ』で出さざるを得なくなると思う」と戸惑っていました。

総務省特別定額給付金室は「あくまで家計の支援を目的とした個人への給付で、公務員から寄付を募って事業の財源とすることは想定していない」としています。

この件について、経済学者の田中秀臣氏がツイートをしており、私はリプライをしました。その内容を以下に掲載します。


湯崎英彦広島県知事のこの発言は、本当に愚劣です。そうして本日は、「職員への協力は改めて呼びかけるとし、自身の報酬については減額を県議会に提案するという」とさらに、恥の上塗りのような発言をしています。

この人には、経済的センスが全くないのかもしれません。今から予言しておきたいです。広島県はこの知事のもとでは、コロナからの復興が他都道府県よりもかなり遅れることでしょう。広島県民の方々は、もっと憤るべきです。

なお、私のリプライで、テレビのインタビューで「受け取らない」とする人々とは、高齢者の方々二人で、この二人を想定していました。このような方も大勢いらっしゃるのかもしれません。

しかし、10万円の給付金を受け取らないことは美徳でも何でもありません。受け取らない人が大勢でた場合、本来そのお金が市場に出回るはずなのに、そうではなくなり、苦しむ人も大勢でてくる可能性があります。さらに、これらが出回れば、市場に流通するお金が増えるということで、中国肺炎で景気が低迷するのを下支えする作用が減殺されることになります。

そうして、受け取らない政治家が国民にやさしいわけでもありません。 「美徳の強制」が蔓延っても自分の頭で考えるべきです。それにしても、政治家の中にも「給付金を受け取らない」ことを当然とする人たちも大勢いることに、驚きました。

そもそも、政治家が給付金を受け取らないという態度は次の給付を少ないものにするための、格好の隠れ蓑になるだけです。お金はばら撒いて使うことで、お金の価値は下がり貧富の格差は平準化する事実をもう一度見つめなおすべきです。お金の価値は年々下がるからこそ労働や社会資本の形成が進むのです。だかこそ、緩やかなインフレは経済に良い影響をもたらすのです。

このような観点からも、給付金10万円受け取り拒否は「公衆の敵」と言っていいと思います。市中に本来還流すべき現金を止めるのですから。それを与党幹部が率先してやろうというのは、たいへんおかしな話です。

こういう政治家の意味のない選択が、国民の給付金に対する姿勢を、妙に緊縮寄りにしてしまうのです。本当に日本の政治家は愚かだと思います。これは、意見の相違とかではなく、完全に駄目です。消費・将来の消費(=貯蓄、不安の解消)こそいまが最善の日本を救う政策だと国民に示すことを忘れた政治家の最悪の振る舞いです。

私自身としては、給付金は当然受け取り、受け取ったその日にでも何かに使おうと思います。違法なことに、お金を使うのは駄目ですが、合法的なものであれば、何に使っても良いと思います。できるだけすぐ使うべきと思います。

何やら、寄付金を受けとつて寄付する等の政治家もいますが、埼玉県和光市の松本武洋市長は本日、給付に関して「10万円、私は申請して、全部地域で消費させていただきます」とツイート。インターネット上で反響を呼んでいます。

埼玉県和光市の松本武洋市長

ツイートの内容を以下に掲載します。

「10万円、私は申請して、全部地域で消費させていただきます。申請しないと国庫に溶けてしまうだけ。本来、和光市には来ないお金なので、全額きっちり市内で使います。時節柄、飲食店のテイクアウトかなあ。タグ作ってみました。♯10万円の使い道♯10万円もらう政治家」

SNS上には「ぐうの音も出ないほど正しい姿」「申請しないと国庫に溶けてしまうだけ。そんな考えはなかったな」「和光市長さん、素晴らしい!♯10万円もらう政治家がもっともっと出て、どんどん地域で消費してくれますように!素敵な♯10万円の使い道どんどん紹介してください!」などの書き込みが見られました。

私としては、給付金に関しては一番良いのは、日本国民が全員受け取りなるべくはやく、全額使い切ることだと思います。使い道は個人の自由です。先にも述べたように、合法的なものに使えば、たとえ誰に対して使ったとしても、そのお金は市場に出回り、誰かの賃金等になり、その賃金がまた何かにつかわれるということで、お金は確実に日本国内を周ります。しかし、最初から受け取らなければそその分お金は市場に出回らなくなります。これは、大きな間違いです。

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2020年4月21日火曜日

少なさ際立つ日本の「コロナ死」 病床数など関係も…「ドイツや韓国を見習え」論の不可解―【私の論評】数字に頼るだけではなく、数字を客観的に正しく読むべき(゚д゚)!

少なさ際立つ日本の「コロナ死」 病床数など関係も…「ドイツや韓国を見習え」論の不可解


東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「大きな差になるかは微妙だが、SARS(重症急性呼吸器症候群)の際もホテルの掃除でカーペットのウイルスを吸入して感染したという報告がある。新型コロナウイルスも布や床、壁で2~3日生きているとされ、靴を脱ぐことで屋内のウイルスの濃度を下げることになり、感染確率は下がる」と指摘する。

厚生労働省の統計では、新型コロナウイルスによる死者は70~80代が多いが、感染者は20代と40~50代が多い。

児玉氏は「欧米では死亡リスクが高い60歳以上の感染者が多いのに対し、日本は50歳以上が少ないため、感染者数の増加の割に死亡者が少ないと考えられる。高齢者が欧米ほど出歩かないなど、文化の違いもあるかもしれない」とみる。

厚労省のクラスター対策班や現場の医療従事者の奮闘、多くの国民の自粛の努力もあって持ちこたえている日本だが、感染者も死者も増え続けていることは厳粛に受け止めるべき事態だ。前出の真野氏は地方での感染爆発に懸念を示す。

「沖縄県の石垣島で感染者が出たが、こうした例は危険だ。国内での医療資源は都市部に偏在しているため、地方で感染が広がれば、感染者数が横ばいのままでも死者数が急増する恐れがある。都市部から動かないことが重要だ」

東京都は死後にPCR検査の結果で感染が判明した場合でも、原則的に感染者の死亡として公表している。全国の警察が3月中旬から4月中旬までの約1カ月間に変死などとして扱った遺体のうち、埼玉、東京、神奈川、三重、兵庫5都県の計11人が感染していたことが分かっている。

医療リスクマネジメントに詳しい内科医で、中央大大学院戦略経営研究科教授の真野俊樹氏は、「死者数は嘘をつけない。新型コロナウイルス感染症は間質性肺炎なので普通の肺炎と異なるため、見落とすケースはほとんどないはずだ」と否定する。

真野氏は「私の専門は海外との客観的比較で、現場の医療関係者とで見解は異なるかもしれないが、日本の健闘には、転換可能な病床数の多さや患者の在院日数の長さが、医療の余裕になって関係しているのではないか」と指摘する。

経済協力開発機構(OECD)の2017年の統計では、1000人当たりの病床数はスペインが3・0、イタリアが3・2で、米国が2・8、英国が2・5とさらに低く、日本は13・1と加盟国中最も多い。

注目されているのが、米疾病予防管理センター(CDC)の機関誌電子版に掲載された論文だ。中国・武漢の集中治療室で働く医療従事者の靴底から新型コロナウイルスが確認されたという。室内で靴を脱ぐ日本の生活習慣が感染死の少なさにつながっているのか。

東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「大きな差になるかは微妙だが、SARS(重症急性呼吸器症候群)の際もホテルの掃除でカーペットのウイルスを吸入して感染したという報告がある。新型コロナウイルスも布や床、壁で2~3日生きているとされ、靴を脱ぐことで屋内のウイルスの濃度を下げることになり、感染確率は下がる」と指摘する。

厚生労働省の統計では、新型コロナウイルスによる死者は70~80代が多いが、感染者は20代と40~50代が多い。

児玉氏は「欧米では死亡リスクが高い60歳以上の感染者が多いのに対し、日本は50歳以上が少ないため、感染者数の増加の割に死亡者が少ないと考えられる。高齢者が欧米ほど出歩かないなど、文化の違いもあるかもしれない」とみる。

厚労省のクラスター対策班や現場の医療従事者の奮闘、多くの国民の自粛の努力もあって持ちこたえている日本だが、感染者も死者も増え続けていることは厳粛に受け止めるべき事態だ。前出の真野氏は地方での感染爆発に懸念を示す。

「沖縄県の石垣島で感染者が出たが、こうした例は危険だ。国内での医療資源は都市部に偏在しているため、地方で感染が広がれば、感染者数が横ばいのままでも死者数が急増する恐れがある。都市部から動かないことが重要だ」

【私の論評】数字に頼るだけではなく、数字を客観的に正しく読むべき(゚д゚)!

上の記事で、「中国・武漢の集中治療室で働く医療従事者の靴底から新型コロナウイルスが確認されたという。室内で靴を脱ぐ日本の生活習慣が感染死の少なさにつながっているのか」という部分が目を引きました。

なぜかというと、数日前イタリアでお年寄りたちが、互いの足を触れ合わせて、挨拶のかわりにしているという風景をみたからです。そこでYouTubeを閲覧してみると以下のような動画がみつかりました。


握手をしたり、ハグをしたり、キスをしたりでは、間違いなく中国ウイルスの感染を高める可能性が高いですが、もしかすると足と足で「こんにちわ」をする挨拶も、感染を誘発している可能性あると思います。これは、いずれの機関でも良いので是非調査していただきたいものです。

日本では、もともとこのようなことをしなくても、昔から挨拶はお辞儀と決まっています。そうして、このお辞儀、正しいお辞儀をするのは結構難しいものです。だから、新入社員などは、最初にお辞儀の練習をさせられたります。「挨拶がきちんとできれば、一人前」ともいわれます。

日本では、挨拶としてのお辞儀が根付いています。会社でも、お辞儀をするのは当たり前です。以前ある地方都市の市役所の年配の方が全く挨拶をしないということを聴いたことがあったので、驚いたものです。それも何十年もお辞儀をしないそうです。民間企業であれば、そのような人は無理やりにでもお辞儀をさせられるでしょう。

下の動画は、ドライブレコーダーの記録ですが、多くの人々が車を停車させたドライバーに挨拶をしています。


これは、海外では見られない風景です。私自身も、信号のある横断歩道で最初から信号を待っている場合などは、お辞儀はしないですが、信号がない横断歩道で車が自分のために止まってくれた場合には、ほとんど無意識にお辞儀をしています。

これは、日本人としては、ごく当たり前の仕草です。以前、このブログにはコミュニケーションについて述べたことがありますが、日本では企業内の厳密なコミュニケーション等に問題があるようですが、社会的にはコミュニケーションが成立した社会なのかもしれません。

ごく当たり前なので、子供たちもそれを見習いごく自然にお辞儀をするようになったのでしょう。これは、素晴らしいことです。この素晴らしいことが、もしかすると中国ウイルスの蔓延を防いでいるのかもしれないです。

神社に参拝する前には、手水の作法も様式化されています。この作法を正確にできる人は今日少ないかもしれませんが、とにかく神社にお参りするときには、まずは手を洗って清めなければならないということは、ほぼすべての日本人が知っていて、実行していると思います。


このような習慣も、普段の手洗いの励行を促し、中国ウイルスの感染を防いでいる要因になっているのかもしれません。暑さのせいもあるのか、一日2回以上も、シャワーを浴びる東南アジアなどは、例外として、日本人の多くは日々風呂に入るというのも、感染防止に役立っているのかもしれません。

このような習慣が日本でウイルスの蔓延を防止に寄与してきたのは、事実だと思いますが、私自身は、やはり日本のクラスター対策が功を奏して着たのだと思います。

世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は10日にジュネーブで行った記者会見で、日本の新型コロナウイルス封じ込めについて、「非常に組織的にクラスター(感染者集団)を調査する手法を取ってきた」と評価しました。ただ、東京の現状には一定の懸念を示しました。

ライアン氏は、クラスター対策は「非常に専門的なチーム」が主導していると指摘。クラスター分析により、感染者のうち二次感染を起こしたのは5分の1にとどまるなど「とても有益な情報」が分かったと強調しました。

一方、東京など一部地域で感染経路を追えない例が増えているのは「良くない」と述べました。ただ、日本政府は状況の変化に応じ、クラスターより広範な感染状況を追う方針に修正してきていると分析。さらに、日本全体が東京のようになっているわけでもないとして、政府の対応を「うれしく思っている」と語りました。

実際、いままでのところ日本の感染者数は、10万人あたりでは、9.3人に過ぎません。台湾の感染対策は称賛を浴びていますが、台湾の人口は2000万人台であり、10万人あたりでは、数人ということで、これは大陸中国の数字に近いものになっています。このあたりからしても、中国のこの数値は信頼できません。台湾は、人口が1億2千万人日本よりは実数は少ないですが、10万人あたりでみれば、日本が台湾より格段に劣っているわけではありません。

ただし、初期段階で、中国からの渡航者などを制限しなかったことは、失敗でした。台湾なみに、すぐに渡航者を制限していた場合、台湾と同等の成果をあげることができたかもしれません。その点はかえすがえすも残念です。

なお、中国の感染者数は10万人あたりでは、5.8人、10万人あたり死者数では、0.3人と極端に少ないです。これは、無論中国政府当局が操作をしているのでしょうが、その操作が稚拙だったのかもしれません。中国の人口は約14億人であり、感染者数や死者の実数は、人口の少ない他国より多くなるのは当然です。

しかし、中国政府当局はそのことを忘れていたのかもしれません。10万人あたり感染者数をドイツくらいにしたものを元に、14億人あたりの実数を計算すれば良かったのだと思いますが、14億人という人口まで考慮に入れなかったので、このように、10万人あたりの感染者数が台湾なみというような、あり得ない明らかにおかしな数字になったのでしょう。

10万人あたりの、死者数も0.3人と、日本なみというのも異様です。ただ、中国では経済の統計数値も出鱈目ですから、最初から信じる方が馬鹿ということでしょう。

さて、以下に台湾と日本の感染者数等の推移を掲載します。




台湾に関しては、日本のマスコミは一時感染が終息したような扱いをしていましたが、19日には、22人の新たな感染者数が見つかっています。ただし、死者は累計でも6人です。いくら台湾が日本より人口が少ないとはいえ、これは特筆に値します。

日本は、東京は増えているようですが、日本全体でみると、減りつつあるようにみえます。

これから、どうなるか余談は許しませんが、私としては、台湾も日本も、ともに5月中には、少なくとも感染者数が横ばいになるのではと漠然とした期待を持っています。その後にゆっくりと終息するのではないでしょうか。

もし、そうなれば、日台がなぜ感染拡大を防ぎ得たのか本格的な調査をすべきです。特に、日本が海外からの渡航者の制限に他国に比較して大幅に遅れたにもかかわらず、海外のような感染拡大が起こらなかったのかを徹底究明すべきです。それが、究明され、日本で挨拶であるお辞儀が効果があるということが証明すれば、世界の挨拶はお辞儀にかわるかもれしれません。

そうして、これは、日本でも大昔からあった疫病に対する有効な防御策であったことが、解明されるかもしれません。

それと、これも気になることなのですが、日本語は比較的抑揚が少なく、強いアクセントはあまりありません。これに比較して、北京語やハングルなどはかなりアクセントが強いです。西欧の言葉もアクセントは強いです。アクセントが強いと、かなり唾液なども飛びます。

日本人は、抑揚の少ない日本語を話し、しかも感染病予防のため、マスクをつけているということも関係しているかもしれません。この場合、世界中の人が日本語のように、抑揚のないアクセントのない語り口で語るということはできないでしょうが、マスクは有効です。

いずれにせよ、10万人あたりの感染者数などで比較するなどのことをしない、マスコミの報道などは、いたずらに恐怖を煽るものです。

それどころか、台湾を見習は理解できますが、ドイツや韓国を見習えなどの主張は全く的はずれです。特に以下のような記事は、明らかに安倍総理にリーダーシップが欠けているという主張にしかみえません。

新型コロナ対応の「優等生」は「台湾・韓国・ドイツ」  
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指導者の洞察力・リーダーシップが重要な要素に
  
しかも、その主張が間違ったエビデンスに基づき行われているとしかみえません。おそらく、この記事を書いた人は、いわゆる「ど文系」といわれる種類の人ではないかと思います。数字もまともに見ることができないようです。これでは、まともな批判もできません。本業のエコノミストもまともに勤まらないのではないかと思います。そのようなエコノミストと呼ばれる人は日本に大勢います。

私自身は、安倍総理を政策の是々非々で見ています。そもそも、安倍総理自身が良いとか、悪いとか等と考えたことはありません。ましてや、良い人、悪い人などは、判断基準には入れていません。安倍総理のどの政策が正しい、どの政策が間違いという見方をします。だから、批判することもあれば、評価することもあります。

このブログの読者の方には、是非そのことを知っていただきたく本日は以上のようなことを主張させていただきました。

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