- 中国海軍の測量艦が鹿児島県口永良部島南西の日本領海に侵入し、約2時間滞在した。
- この領海侵入は2023年9月以来10回目で、直近では中国軍機が長崎県男女群島沖の領空も侵犯している。
- 外務省が中国側に強く抗議し、防衛省は測量艦の動きを分析中。
- 中国による領海侵入や領空侵犯が尖閣諸島以外の地域でも増加している。
- 中国はロシアとの軍事協力も深めており、日本周辺での共同活動が観察されている。
測量艦は午前6時に日本の領海に入り、1時間53分ほど滞在した。海上自衛隊の掃海艇と哨戒機が警戒監視・情報収集にあたり、航行目的などを問いかけた。自衛隊法に基づく「海上警備行動」の発令はなかった。外務省の鯰博行アジア大洋州局長は、直近の領空侵犯も踏まえ中国側に強い懸念を伝え、抗議した。
測量艦は一般的に海水の温度や海底の地形、水深などを計測し、艦艇や潜水艦の航行に必要な情報を収集する。領海内では「無害通航権」が認められているが、防衛省は今回の航行がこれに該当するか分析する。
中国による領海侵入や領空侵犯は主に尖閣諸島周辺で起きていたが、最近では他の地域でも増加している。8月26日の領空侵犯は、初めて中国軍に所属する機体で尖閣諸島以外で起きたと公表された。尖閣諸島以外での領海侵入も2021年11月以降増加傾向にある。
さらに、中国はロシアとの軍事協力も深めている。2023年12月には中露の爆撃機4機が日本周辺を長距離にわたり共同飛行し、2024年7月には両国の艦艇が大隅海峡を通過、南シナ海では共同訓練を実施した。
これらの度重なる中国の動きを踏まえ、日本政府はその意図や目的の分析を進めている。
- 日本南西海域(口永良部島・五島海底谷)は海洋安全保障上、地政学的に重要な戦略的拠点である。急激な水深変化と激しい潮流があり、潜水艦の隠密行動や対潜水艦戦に適した環境を提供している。
- 中国の測量船や情報収集機が日本の領海・領空を相次いで侵犯し、情報収集やASW能力の検証などを行っている。これは日本の安全保障上の脅威となっている。
- 潜水艦技術の進歩に対応するため、日本はASW能力の向上(センサー技術や対潜水艦兵器の開発)と自衛隊の警戒監視活動の強化が必要である。
- EEZ境界付近での緊張を避けるため、国際法の遵守や近隣国との協力、中国の行動に対する警戒と国際社会との連携が重要である。
- 最近の一連の事件(メキシコ人男性の漂流、NHKの不適切発言、中国軍機の領空侵犯、中国海軍測量艦の領海侵入)は、中国の戦略的な動きを示唆しており、五島海底谷を含む日本南西海域の重要性が高まっている。
口永良部島(太線内)付近の水深 |
ASWは潜水艦を探知、追跡、抑止、損傷、または破壊するために、水上艦艇、航空機、潜水艦、その他のプラットフォームを使用する水中戦の一分野です。この海域の複雑な海底地形は、ソナー技術を用いた潜水艦の探知や追跡を困難にする一方で、潜水艦にとっては隠れやすい環境を提供しています。
日本の領海を守るため、この海域での自衛隊の活動が重要になります。海上自衛隊の艦艇や航空機による定期的なパトロールが行われており、潜水艦「なるしお」などの艦艇が警戒監視任務や訓練を実施しています。ASWの観点からは、これらの活動には高度なソナー技術や対潜水艦兵器の運用が含まれ、潜在的な脅威に対する即応能力の維持が図られています。
この海域の管理や利用に関しては、近隣国との協力や緊張関係が生じる可能性があり、特に排他的経済水域(EEZ)の境界線付近では慎重な外交対応が求められます。国連海洋法条約に基づく航行の自由や資源開発の権利など、国際法の遵守と適用も重要な課題となっています。
最近では、女性自衛官も潜水艦に乗艦するようになり、多様な人材が海洋安全保障に貢献しています。この海域の安全保障上の重要性は、日本の防衛政策や外交戦略に大きな影響を与えており、ASW能力の強化を含む継続的な注目と対応が必要とされています。特に、潜水艦技術の進歩に伴い、より静粛で探知困難な潜水艦に対するASW能力の向上が求められており、センサー技術や対潜水艦兵器の開発、運用戦略の改善が進められています。
男女群島付近の五島海底谷はマッコウクジラの存在が確認された場所でもある |
2024年8月16日、沖縄県の尖閣諸島・魚釣島の東岸で、メキシコ国籍の40代男性がカヌーで漂流しているのを哨戒中の巡視船が発見し、救助しました。2024年8月19日午後1時過ぎ、NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフ男性(49歳)が、原稿にはない不適切な発言を約20秒間にわたって行いました。2024年8月21日、NHKは当該スタッフとの契約を解除しました。2024年8月22日、NHKの稲葉延雄会長が自民党の情報戦略調査会の会合で謝罪し、詳細を説明しました。2024年8月26日午前11時29分から約2分間、中国軍のY-9情報収集機1機が長崎県五島市の男女群島沖の日本の領空を侵犯しました。これは中国軍機による日本の領空侵犯が確認された初めてのケースです。具体的な経緯は以下の通りです:1. 午前11時29分頃:Y-9情報収集機が男女群島の領空に侵入2. 午前11時31分頃:男女群島の南東側から領空の外に出る3. その後も周辺で旋回を続ける4. 午後1時15分頃:中国大陸に向けて飛行航空自衛隊西部航空方面隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、通告及び警告を実施するなどの対応を行いました。同日、防衛省は17時45分に「中国機による領空侵犯について」と題するリリースを公表し、外務省も「中国情報収集機による領空侵犯に対する抗議」と題するリリースを公表しました。外務省は同日午後5時20分頃から、岡野正敬外務事務次官が施泳在京中国大使館臨時代理大使を外務省へ召致し、極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めました。2024年8月26日、問題を起こした中国籍スタッフがSNSで日本を出国したことを示唆する投稿をしました。2024年8月29日、当該スタッフは再びSNSで投稿を行い、自身の行動を正当化する内容を発信しました。2024年8月31日、中国海軍のシュパン級測量艦「銭偉長」が鹿児島県口永良部島南西の日本領海に侵入し、約1時間53分滞在しました。
NHK国際放送で不適切発言をした中国人スタッフ胡越 |
これらの事実を踏まえると、NHK の事件と中国軍の行動との間に何らかの関連性がある可能性を排除できません。したがって、以下の対応が必要だと考えられます。
徹底的な調査:警察や国会、さらには国家安全保障会議(NSC)などの場で、これらの事象の関連性について徹底的な調査を行うべきです。
情報共有と分析:関係機関間で情報を共有し、総合的な分析を行う必要があります。
法的措置の検討:NHK の中国籍スタッフの行為が偽計業務妨害罪に該当する可能性があるため、中国籍スタッフも含めた、関係者の法的措置を検討すべきです。
再発防止策の策定:NHK の国際放送における外国籍スタッフの起用に関するガイドラインの見直しや、チェック体制の強化が必要です。
外交的対応:中国政府に対して、これらの事象に関する説明を求め、再発防止を強く要請すべきです
これらの対応を通じて、先に述べたようにASWの強化を含め、日本の安全保障と国益を守るとともに、類似の事態の再発を防ぐことが重要です。特に、領海・領空侵犯に対しては、国際法の手続き踏んだ上で、厳しい対応するなど、毅然とした態度で臨むべきです。
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