まとめ
- 国民審査の告示: 10月15日に、総務省が最高裁判所裁判官6人に対する国民審査を告示。投票日は10月27日で、新たに在外投票が導入された。
- 審査の方法: 解職を求める場合は対象の裁判官の欄に×印を入れ、過半数の×印で解職。信任の場合は何も記入しない。 -
- 審査対象者: 対象の裁判官6人は、裁判官や弁護士、外交官出身で、審査公報や最高裁ホームページで情報提供される。
最高裁判所 |
審査では、解職を望む裁判官の名前または番号の上の欄に×印を入れる。×印が有効投票の過半数を超えるとその裁判官は解職される。信任する場合は何も記入せず、○印などは無効。
審査の参考として、各世帯に「審査公報」が配布され、最高裁のホームページでも情報を得ることができます。審査対象の裁判官は以下の通りです:
- 尾島明氏(裁判官出身)
- 宮川美津子氏(弁護士出身)
- 今崎幸彦氏(裁判官出身)
- 平木正洋氏(裁判官出身)
- 石兼公博氏(外交官出身)
- 中村慎氏(裁判官出身)
- 国民審査の制度:最高裁判所裁判官の国民審査は、本来✕を記入する制度だが、何も記入しないと自動的に信任される仕組みになっている。
- 問題のある裁判官:中村慎、宮川美津子、尾島明など、保守派から問題視される裁判官が含まれており、彼らの過去の判決は保守的価値観に反する。
- 司法の重要性:司法は民主主義の最後の砦であり、国民審査において意識的に意思表示をする必要がある。白紙提出では司法の力が形骸化する。
- トランスジェンダー判決:最近、最高裁判所はトランスジェンダーに関する判決を下した。彼らの判断はトランスジェンダーの権利に大きな影響を与える。この判断を下した裁判官の中には今回の国民審査の対象の裁判官全員がふくまれる。
- 憲法と生殖不能要件:生殖不能要件を排除することは時期尚早であり、憲法第24条が結婚を両性の合意に基づくものと定義している以上、トランスジェンダーの権利に関する判決を出す前に憲法改正が必要だ。その観点からすると、私は国民審査対象の裁判官全員に✕をつける
国民審査の対象となっている裁判官には、保守派からすれば問題があるとされる者がいる。たとえば、中村慎という裁判官だ。彼は、死刑判決に対して被告の人権や再犯の可能性を過度に考慮し、実質的な減刑を行ったケースがあった。保守派からすれば、重大な犯罪には厳罰が求められるべきであり、こうした判決は犯罪抑止力を弱め、被害者やその遺族への配慮が欠如しているとの批判を受けている。
また、宮川美津子は夫婦別姓に関する訴訟で、従来の家族制度に変革を促す立場に近い判断を示し、家族制度の崩壊を危惧する保守派からは「左寄り」と非難された。さらに、尾島明という裁判官は、外国人労働者の権利保護を重視する判決を下し、国の安全保障や社会の安定を揺るがすとして、保守派から強い反発を受けたこともある。
司法は、民主主義の最後の砦である。立法や行政が暴走したとき、唯一それを止めることができるのが司法の力だ。しかし、国民審査で何も考えずに白紙のまま提出すれば、その力は形骸化してしまう。最高裁の判決が私たちの生活にどれほどの影響を与えるかを忘れてはいけない。こうした過去の判決が示すように、保守的な価値観を持つ者から見て、不可解な判決を下した裁判官が信任され続けることになるのだ。
最近、日本の最高裁判所は、性別変更を希望するトランスジェンダーの人々に対して、強制的な不妊手術の要件(生殖不能要件)を違憲とする判決を全会一致で下した。この判決は、リプロダクティブ・キャパシティを排除する法律の規定を無効とし、個人が性別を変更する際に外科手術を受けることを強制されるのは不適切であると認定した。
ただし、別の要件については結論が保留されたため、判決を受けた本人が正式に性別を変更できるかどうかは依然として不明である。この判決には、国民審査の対象となっている裁判官が参加している。具体的には、尾島明、宮川美津子、今崎幸彦、平木正洋、石兼公博、中村慎のいずれもが判事として名を連ねている。したがって、彼らの判断がトランスジェンダーの権利に大きな影響を与えたことは否定できない。
最近では、SNSなどに国民審査対象の裁判官に関する情報をまとめた一覧表が流布している。以下に掲載するのはその典型的なものである。
下の一覧表は、現在の最高裁判所の裁判官の一覧である。この中で、背景が黒の裁判官は、今回の国民審査の対象ではない裁判官であり、カーキ色が今回の国民審査の対象の裁判官である。それぞれ、トランスジェンダーに関連する生殖不能要件、外見要件、女子トイレ制限についてどのような立場をとっているか、明記されている。(クリックすると拡大)
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私は、生殖不能要件を排除することは、現状では時期尚早であると考えている。そもそも結婚に関する条文は、日本国憲法の第24条に明記されており、この条文では、「結婚は両性の合意に基づくものであり、夫婦の平等を基本として相互の協力により維持される」と定義されている。
具体的には、第24条第1項が、結婚が両者の同意によるものであること、そして第2項では、配偶者の選択、財産権、相続、住居の選択、離婚など、結婚と家族に関する事項が個人の尊厳や両性の平等に基づいて法律で規定されるべきであると述べている。この条文は、どう読んでも男と女という両性の合意に基づくものとしか受け取れない。憲法のたてつけが男女を基本にしている以上、私は、トランスジェンダーの権利についての裁判をするのであれば、まずはその前に憲法を改正すべきと考える。
にもかかわらず、最高裁判所の裁判官がトランスジェンダーの権利に大きな影響を与えるような判決をすべきではないと思う。私自身は、以上のことから国民審査において全裁判官に✕をつけるつもりである。このブログを読んでいる読者の方々も、このような一覧表を参考に、判断されるとよいだろう。