安倍晋三政権に対し「右傾化」しているという警戒心が米国内でくすぶる中、最近になって、経済政策「アベノミクス」や尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる対応など、安倍首相の政権運営を評価する論調が出始めた。
質の高い論評に定評がある米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」は16日の電子版で安倍首相へのインタビュー記事を掲載し、「安倍首相の政権復帰は当初、投資家や有識者を当惑させたが、就任後間もなく、日本経済復興の野心的なキャンペーンに着手した。約半年たった今、それは効果をあげているように思われる」と紹介した。
この記事の詳細は、こちらから!!
【私の論評】戦後体制で最も損した英国、損も特もしなかった米国、一番特したのはだ~~れ?これを理解しなければ、日本を取り巻く国際環境は認識できない!!
詳細は上の記事をごらんいたたくものとして、この記事では、アメリカでは最初は「右傾化」していると警戒心を露にしていましたが、その評価が変わりつつあるようです。
これに比して、英国は、最初から賛美する傾向がありました。これについては、このブログでも何回か掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
こんな状況は、今でも続いています。本日も西村幸祐氏のツイートをみていたら以下のようなものがありました。
空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!スーパーマンだ!名前すら憶えられないのが日本の首相だが、この変わり様。スーパーマンの代わりに、それは日本だ!と英国誌エコノミストの表紙で安倍首相がスーパーマン。nhk.jp/N47X69Zz twitter.com/kohyu1952/stat…
— 西村幸祐さん (@kohyu1952) 2013年5月19日
西村幸祐氏のツイートに出ていたNHKの記事は以下のようものです。安倍首相“スーパーマン”に
イギリスの有力誌「エコノミスト」は、最新号の表紙に安倍総理大臣を映画などで知られるスーパーマンになぞらえたイラストを掲載して、安倍政権の政策を論評し、日本に対する海外からの関心の高まりを改めて伺わせています。
エコノミスト最新号の表紙には、スーパーマンのような格好で空を飛び、胸には日本の円のマークが描かれている安倍総理大臣のイラストが使われ、有名なキャッチフレーズをまねて、「鳥か?飛行機か?いや、日本だ!」という見出しがつけられています。
巻頭の記事では、大胆な金融緩和などを受けた東京市場の急激な株高や政権の支持率の高さなどを紹介したうえで、「日本を20年に及ぶ不況から脱却させるのは大変な課題だが計画の半分でも実現できれば、偉大な総理大臣だとみなされるだろう」と論評しています。イギリスのメディアのほとんどが、安倍総理に対して、好意的です。 フィナンシャル・タイムズも安倍首相が登場したばかりのときは、多少批判的でしたが、それにしてもアメリカの新聞よりは、控えめなトーンでした。これに比較すると、アメリカの主要三紙は、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズとも、批判的でした。
さらに、経済規模で日本を上回った中国の存在感の高まりが安倍政権に切迫感をもたらしているとして、「いわゆるアベノミクスは経済政策のように聞こえるが、実際は、安全保障政策の意味も同じくらいもっている」と分析しています。
そのうえで、今後の課題は中期的な財政健全化の実現や、農業などの改革を抵抗に屈せず進められるかどうかで、懸念は外交面で強硬路線を取り過ぎることだ、などと指摘しています。
テレビもアメリカでは似たような傾向がありましたが、BBCは当初から絶賛していました。これについては、このブログでも掲載したことがありますので、以下にそのURLを掲載します。
詳細は、この記事そのものをご覧いただくものとして、この記事でも掲載した動画を以下に掲載します。
これは、つい先日イギリスで開催されたG7でも同じことです。財務相は日本のアベノミクスを絶賛していました。これについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の議長国である英国のオズボーン財務相は11日、G7閉幕後に記者会見し、日銀の金融緩和に関して「日本側から説明を受け、感銘を受けた」と評価しています。
さて、アメリカのメディアは、安倍総理に対して、手厳しいところがありますが、英国はかなり好意的です。この違いは一体どこから出てくるのでしょうか?
そのヒントとして、あのノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマン氏のアベノミクスに対する評価があげられます。これについて、以前このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、クルーグマン氏が、結果的にアベノミクスを評価しているのですが、それにしても、煮え切らい態度で批判もしていることについて、これがなぜなのかを分析しています。
クルーグマン氏は、ある経済コラムの中で、アベノミクスを評価しながらも、安倍総理個人に対しては、以下のような辛口の評価をしています。
ここで安倍晋三、登場。ノア・スミスが伝えるように、彼は経済学の英雄のイメージとは違う。彼は、国家主義者であり、世界大戦時の虐殺の否定者でもある。経済政策にはほとんど関心がない人物ですらあるのだ。彼が金融政策の旧守性を否定するとしたら、たぶん、通説ならなんでも軽蔑するという性向を反映したからであって、異端とされてきた金融政策理論を考慮してのことではないだろう。そうして、なぜクルーグマン氏は、安倍晋三氏をこのように批判刷るのかを掲載しました。以下にその部分をコピペさせていただきます。
とはいえ、そんなことはどうでもいい。まったくとち狂った思い込みから、安倍は、財政支出についての常識をはね除け、日銀を叩いているのかもしれない。しかしなんであれ、「ヤケに深刻ぶった人たち」のおかげで、他の先進諸国の政府がそろいもそろって旧守主義に隷属状態にあり、別の手法を試みることができないなか、安倍氏が現状、財政と金融の刺激策を採っているというのは、事実なのだ。しかもこれまでのところ、結果は全体的に好ましい。長期金利が跳ね上がることもなく、円は急落した。つまり、日本にとって大変に好ましいことなのだ。
日本人は、あまりにも長い間戦後体制にあったので、このような物事の道理に気付かない人が多くなっていると思います。上の毎日JPの記者もそうなのだと思います。それに、驚くべきことに、日本は、連合国に対して無条件降伏したと思い込んでいる日本人も多いですが、それは、完璧な間違いです。日本は、無条件降伏をしたのではなく、ポツダム宣言を受諾したのです。宣言を受諾することと、無条件降伏とは全く異なります。結局アメリカメディアなどが、安倍晋三氏に対して手厳しいのは、アメリカは戦後体制を構築した側であり、安倍総理のように戦後体制を否定し、そから脱却しようとする安倍総理対しては、戦後体制を脅かすものとして、批判をするのは当然のことです。
クルーグマン氏だって、善良でまともなアメリカ人であることから、戦後レジームは温存すべきという立場で論評しているということを忘れてはならないと思います。そうして、それが、アメリカ人の立場からしては当たり前でごく常識的な行動であることを忘れるべきではありません。
残念ながら、このような考えでクルーグマン氏の論評や、アメリカのまともなメディアを読む上で、背景として理解しておかなかればならないことを、あまりに長い間戦後体制が当たり前になってしまった日本人は忘れがちです。戦後体制とは、戦後の体制を戦勝国の立場からつくった枠組みの中で、敗戦国も含めた世界の体制を構築し維持しようとするものです。こんな体制は一時的なものであるべき筋のものであって、60年以上も、それも日本に限って続くということなどまともではありません。
安倍総理のように真っ向から「戦後体制」からの脱却を打ち出せば、戦勝国のアメリカ側からは、批判されるのが当たり前のことです。私たちは、「戦後体制」から脱却を旨とする安倍総理の主張を是として、国内外からこのような批判にさらされることを認識し、それでも、脱却を推進する安倍総理を応援していくべきと思います。そうして、安倍総理が主張する「美しい国日本」とは、抽象的な意味ではなく、その前提として、戦後レジームから脱却した日本であることはいうまでもありません。私は、いずれ日本人は、必ず戦後体制から脱却するとは思いますが、今回安倍政権が駄目なれば、その機会は遠のき、さらに50年後くらいになることを覚悟すべきと思っています。
そうなると、イギリスも戦後体制を構築した側であることには変わりありませんが、なぜアメリカよりもメディアなどの安倍総理にたいす扱いが寛容なのかという疑問がわいてきます。
しかし、それは、良く考えてみると、簡単です。要するに、イギリスはアメリカと比較すれば、戦後体制の構築には参加していますが、第二次世界大戦でほとんど領土を失ったりして、他国と比較すれば、戦後体制による恩恵をほとんどうけていません。イギリスにとって、戦後体制などあまり重要なものではないのです。
これから、比較すると、アメリカは、イギリスよりは、戦後体制によってはるかに多く利益を得ています。ただし、このアメリカにとっても、戦後体制によりさほど利益を被っているわけではありません。戦前と比較して、特に得たものはありません。
第二次世界大戦で、最も利益を得た国とはどこでしょう。それは、ソ連、後のロシアです。イギリス、ロシアは、日本と直接戦いましたが、現在の中国は日本と直接戦争や戦闘をしたわけでありません。そうして、戦後体制によって、利益を得ています。韓国・北朝鮮にいたっては、大戦前は、日本の植民地であり、日本とは一切戦ったことなどありません。にもかかわらず、戦後体制によって、かなりの利益を濡れ手に粟でつかんでいます。
こうしてみると、戦後体制による利益を得るために払った代償を控除した上で、最も利益を得たとかんがえられる国のトップは、北朝鮮、韓国です。次は、ロシアです。その次は、アメリカです。最も利益を失ったのは、イギリスです。
こうした背景を考えると、同じ戦勝国であってもイギリスは、戦後体制による利益はなく、損ばかりしているということで、戦後体制の維持などにあまり、重きをおいていません。だからこそ、戦勝国でありながら日本に対して好意的なのです。もし、第二次世界大戦中にイギリスが日本と組んでいたら、かなり今日のイギリスの姿は変わっていたかもしれません。そんな話、あり得ないとおもわれるかもしれませんが、渡部昇一先生が、イギリス人の識者にそのような話をすると「確かに!」とうなずかれるかたが多いそうです。
日本とイギリスは、もともと、日英同盟を結んでいた間柄ですから、そのまま同盟を維持するという選択肢もあったはずです。それに、日本とアメリカは、戦争しなければならない理由などほとんどありませんでした。戦争の10年ほど前までは、誰も日本とアメリカが戦争するなどということは夢想だにしませんでした。では、なぜ日本とアメリカが戦争したかといえば、当時のソビエトのコミンテルンよる陰謀がかなり大きな役割を果たしています。しかし、この話、本日の本題ではないので、詳細は解説しません。詳細を知りたいかたは、以下の動画を御覧ください。
これと反対に、濡れ手に粟で、戦後体制による利益を得た、北朝鮮・韓国、中国などの国々は、日本に対して戦後利益を受け続けるためにも、かなり辛辣になるというわけです。これで、ロシアも、日本に対しては、アメリカなどから比較すればかなり厳しいということも理解できます。
私たちは、あまりにも長い間戦後体制にどっぷり漬かってきたため、このようなことを意識せずに暮らしています。しかし、私たちは、今でも戦後体制の中にあることには違いありません。そこから、脱却することを目指しているのが、安倍総理であることを忘れてはならないと思います。
そうして、このことをしっかりと認識していなければ、世界を正しく把握することはできないと思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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