2017年6月17日土曜日

AIIBの正体は「アジアインフラ模倣銀行」だ! 見切りつけた習政権、人民元を押し付け 編集委員 田村秀男―【私の論評】ブラック金融のようなAIIBに日米が絶対に加入できない理由(゚д゚)!

AIIBの正体は「アジアインフラ模倣銀行」だ! 見切りつけた習政権、人民元を押し付け 編集委員 田村秀男


 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の正体はアジアインフラ模倣(Imitation)銀行である。北京は加盟国・地域数でアジア開発銀行(ADB)を上回ると喧伝するのだが、自力でドル資金を調達、融資できず、ADBや世界銀行のプロジェクトの背に乗って銀行を装っている。元締・中国の外貨準備は減り続け、対外借金がなければ底をつく。ドル本位のAIIBに限界を見て取った習近平政権はユーラシアのインフラ整備構想「一帯一路」の決済通貨を人民元にしようともくろむ。

 韓国・済州島でのAIIB第2回年次総会会場では韓国企業などが最先端の情報技術(IT)インフラ設備の売り込みを競っているが、AIIB目当てでは「とらぬたぬきの皮算用」同然だ。ドル建て金融のAIIBの信用の源泉は元締・中国の外貨準備で、残高は3兆ドル余りだが、帳簿上だけだ。海外からの対中投資や融資は中国にとって負債だが、当局はその外貨を強制的に買い上げて、貿易黒字分と合わせて外準に組み込む。外貨の大半が民間の手元にある日本など先進国とは仕組みが違う。

 グラフを見よう。外準は3年前をピークに急減している。対照的に負債は急増し、昨年末には外準の1・5倍以上だ。外国の投資家や企業が中国から資金を一斉に引き揚げると、外準は底をつくだろう。

 中国外準を見せ金にして昨年初めに開業したAIIBには世界最大の債権国日本とドルの本家米国が参加を見送った。当然のように国際金融市場はそっぽを向く。米欧の信用格付け機関はAIIBの格付けを拒否するので、AIIBはドル建て債券発行ができない。

 AIIBはやむなくADBや世銀との協調融資で当座をしのぐ。5月末時点の融資額は授権資本金1千億ドル(約11兆1千億円)に対し21億ドル余りにすぎない。加盟国の多くは割にあわないことを恐れ、当初約束した出資金の払い込みを渋る。

 習近平国家主席は5月中旬、北京で開いた一帯一路の国際会議で、人民元資金、7800億元(約12兆8千億円)をインフラ整備用にポンと出すと表明した。国際通貨としての信用力が貧弱な人民元でも不自由しない企業は中国の国有企業に限られるので、韓国や欧米企業は受注で二の足を踏むだろう。借り手国は人民元の返済原資確保のために、対中貿易に縛りつけられる。AIIBに見切りをつけた習政権は中国による中国企業のためのプロジェクトを周辺国に押し付けるだろう。

【私の論評】ブラック金融のようなAIIBに日米が絶対に加入できない理由(゚д゚)!

中国の人民元は元々、巨額の米国ドルによる中国の外貨準備高が裏付けとなって保証されていたものです。人民元そのものの信用が高かったわけではありません。その外貨準備が底をつけば、人民元は国際的には信用を失うわけです。

人民元はどうあがいても、国際通貨にはなりえません。これを考えると、AIIB構想そのものが、元々最初から無理筋であったと言わざるを得ません。

結局、自力でドル資金を調達、融資できず、ADBや世界銀行のプロジェクトの背に乗って銀行もどきの金貸しに過ぎません。

銀行でもないものが、銀行を装っているようなものですから、このような似非銀行に金を借りれば、どんなことになるかわかったものではありません。いつ、街金の高利貸しのように豹変するかわかったものではありません。

このようなAIIBには、日米とも参加しないのが、当たり前であり、これに加入すべきなどという輩は国籍はどこであり、馬鹿か中国スパイとの誹りを受けてもやむを得ないです。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は17日、年次総会を開いていた韓国南部の済州島で記者会見しました。金総裁はAIIBへの参加を見送っている日本と米国について「我々はこれからもドアを開き続ける」と語り、加盟を歓迎する意向を改めて示しました。
記者会見するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁=(左)(17日、韓国・済州島)

AIIBが日米に参加を促す理由は2つあります。まず人材の確保です。AIIBの職員は100人程度と日米が主導するアジア開発銀行(ADB)の約3千人と比べ少なく、融資案件の発掘も簡単ではないです。開発金融に精通した人材は限られます。日米が加盟すれば、国際機関で勤務経験のある官僚など、人材確保のルートが幅広くなると考えているのでしょう。

結局中国には、国際金融に通じた人材などほとんど存在せず、何をどうやれば良いのか良く分からないのです。現状ては、中国国内の粗雑で野蛮なやり方でしか、AIIBを運用するしかないのです。

それに、信用力の補完も狙っているのでしょう。出資国の上位に世界経済1、3位( 金融では2位、GDPも本当は中国は世界第三位以下との評価もある)の日米が加われば、国際機関としての信用力は増します。

そもそAIIBは中国の通貨・人民元ではなく、米国の通貨・米ドルで構成されている、という事実があります。私の調べでは、これまでのところ、AIIBの融資承認案件数は予定額ベースで20億ドル程度に過ぎませんが、その金額は米ドル建てです。
中国主導のAIIBの融資実績(2017年4月末時点) 
区分         件数 AIIB融資額
承認済プロジェクト   12件   20億ドル
検討中プロジェクト   10件   15億ドル
また、AIIBの現時点の参加国は、「加盟する意思を表明し、AIIBに承認された国」を含めて、70カ国です(上)。

AIIBの現時点の融資金額の少なさは、ADBと比較すると一目瞭然です(下)。

つまり、中国が主導するAIIBは、肝心の資金を米国の通貨・米ドルに頼っているのです。世界最大の米ドル保有国である日本に対し、執拗に協力を求めて来ているのも、当然のことといえるかもしれません。

つまり、中国としては、「一帯一路」「シルクロード基金」「AIIB」という「3点セット」で金融覇権を握ろうとしているのに、肝心の資金源である日米が付いてきていないという状況にあります。しかも、自国の通貨・人民元については、事実上、国際化に失敗してしまいました。

このように考えると、「政治力は超一流」の中国も、「経済・金融のセンス」という観点からはゼロ点だというのが実情といえるのかもしれません。

そうして、日米がAIIBに加入するなど、まともで業績の良い銀行が、悪徳街金やブラック企業に肩入れするようものであり、あり得ないことです。実際、AIIBによってなされるインフラ事業は、中国主導で中国の国内基準元に行われるので、そのようなものになります。

中国政府が中国内でそのようなことを実施することについては、諸外国がこれに意義を唱えるのは、ある意味内政干渉になりかねませんが、国際的にそれを展開すると話は違ってきます。

現在の中国ができるのは、中国内のブラック的な要素を海外に移転するというお粗末なことしかできません。

インフラに関しては、国際社会で広く共有されている考え方があります。透明性で公正な調達によって整備されることが重要です。プロジェクトに経済性があり、借り入れをして整備する国にとって、債務が返済可能で、財政の健全性が損なわれないことが不可欠です。

これに関しては、まともな銀行であるADBにはできることですが、銀行もどき、悪質街金のようなAIIBには全く不可能です。そもそも、現中国には鬼城が全国各地いたるところに存在します。

全国いたるところに存在する中国の鬼城
鬼城とは、本来は、本来は、元々住んでいた人々がいなくなった廃墟や死の町を指すのですが、現代中華人民共和国では、特に投機目的の不動産投資と開発運営事業の失敗により完成しないまま放置されたり、人々が入居する前に廃れた都市や地域を指す表現として使われています。

日米が、AIIBに参加して、巨額の出資をした場合、AIIBは悪徳街金のように、無理な返済計画でも資金を融通し、世界中に鬼城を輸出することになることでしょう。

そうなると、日米の巨額の出資も焦げ付き、回収不能になります。そうて、そんなことより、AIIBに参加したということで、日米の信用に大きく傷がつくことになります。そんなことは断じてできません。だからこそ、日米はAIIBに絶対に参加しないのです。

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2017年6月16日金曜日

骨太方針から消えた「消費税」 財政再建は事実上終わっている、英政権は「緊縮病」で失敗―【私の論評】度々財政を間違える英国だが、日本はいつも間違えてばかりだった(゚д゚)!

骨太方針から消えた「消費税」 財政再建は事実上終わっている、英政権は「緊縮病」で失敗

「骨太の方針」の表紙

 政府が閣議決定した「骨太方針」から消費税の引き上げに関する言及が消えたと報じられている。

 昨年の「骨太2016」では、「『成長と分配の好循環』の実現に向け、引き続き、『経済再生なくして財政健全化なし』を基本とし、消費税率の10%への引き上げを2019年(平成31年)10月まで2年半延期するとともに、2020年度(平成32年度)の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標を堅持する」との記述があった。

 今回の「骨太2017」では、「『経済再生なくして財政健全化なし』との基本方針の下、引き続き、600兆円経済の実現と2020年度(平成32年度)の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す」とされ、消費税増税については書かれていない。

 もっとも、消費増税については、法律で予定されているものなので、政府としてその方針には変更はない。つまり、骨太方針に書かれていないといっても、新たな法律を制定しない限り、19年10月の10%への消費増税が実行されることになる。

 ただし、財政再建至上主義者にとっては、先日の本コラムで書いたように、財政目標でプライマリーバランス(基礎的財政収支)の重要性が当面なくなったことで、財政健全化の動きが大幅に後退すると心配しているかもしれない。

 ちなみに、「財政健全化」という言葉は、「骨太2016」では12回使われていたが、「骨太2017」では6回に減っている。これも彼らの懸念に拍車をかけていることだろう。

 実際のところは、債務残高対GDP(国内総生産)比とプライマリーバランスの間には密接な関係があり、債務残高比対GDP比を発散させないような経済運営が本来であるので、財政再建至上主義者の懸念は的外れである。

 これまで何度も書いてきたように、財政状況は、連結ベースの統合政府バランスシート(貸借対照表)でみるべきである。であれば、理論的には財政再建目標は、債務から資産を差し引いた「ネット債務残高対GDP」を低位に保つことが重要となる。

 現状において、ネット債務残高対GDPはほぼゼロであるので、そもそも財政を気にする必要がないというのが、理論的な帰結である。

 このような状況を安倍晋三首相はよく把握しているのだろう。ノーベル経済賞学者のジョセフ・スティグリッツ氏やクリストファー・シムズ氏を呼んで講演してもらっているのも、そうした意見を補強するという意味でうなずける。

 安倍首相はさらに、憲法改正で教育無償化を打ち出した。これに必要な財源はざっと見ても4兆~5兆円である。教育投資国債を抜きにして賄うことはまずできない。

 ネット債務残高対GDPはほぼゼロという事実からみれば、消費増税は必要なく、また投資のための国債を発行しても、財政状況を悪化させる要因にならない。

 財政再建至上主義者はこれらに反対だろうが、理論的根拠は乏しく、「緊縮病」を患っているようにみえる。英総選挙で、緊縮財政を指向したメイ政権は過半数を取れなかった。緊縮財政は政治的にも経済的にも失敗することを示した。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】度々財政を間違える英国だが、日本はいつも間違えてばかりだった(゚д゚)!

骨太の方針については、以下のリンクからご覧いただけます。


骨太の方針は、本来は「背骨(バックボーン)の方針」とするべきでしょう。背骨から生える各あばら骨という「政策」は、全てバックボーンの影響を受けます。

バックボーンの方針で「プライマリーバランス黒字化」が決定された場合、予算措置を伴う全ての政策が、「新たな支出をするならば、他の予算を削るか、もしくは増税する」という、狂った方針に従わざるをえないことになりかねません。

問題の「財政健全化目標」については、以下の通りとなっています。

『経済財政運営と改革の基本方針2017(略)基礎的財政収支(PB)を2020 年度(平成32 年度)までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。このため、「経済再生なくして財政健全化なし」との方針の下、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革という「3つの改革」を確実に進めていく必要がある。(後略)』

結局、2020年までのPB黒字化という狂った目標は、骨太の方針に残ってしまいました。何とか「債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す」を盛り込むことはできましたが、「基礎的財政収支(PB)を2020 年度(平成32 年度)までに黒字化」を削除することはできませんでした。大変、残念です。

PB目標が残ったことで、2017年の日本の再デフレ化の懸念を考えざるを得ない状況になってしまいました。

すでにして、GDPデフレータが対前期比▲0.5%と、デフレ化の方向に突き進んでいるにも関わらず、デフレギャップを埋める財政拡大は難しいでしょう。何しろ、PB目標がある限り、

「財政を追加的に拡大するならば、他の予算を削るか、増税」
 
という話になってしまいます。

ちなみに、経済がデフレ化すると、名目GDPが伸びにくくなります。実際、2017年1-3月期の名目GDPは、対前期比▲0.3%でした。

名目GDPの停滞は、既に2016年から始まっています。GDPデフレータも、2016年からマイナスが始まりました。

つまりは、日本経済は2016年から「再デフレ化」した可能性が濃厚なのです。まだ、推移をみてから判断する必要はありますが、それにしても、厳密にはデフレではなかったとしても、デフレすれすれという現実は変えようがありません。

経済がデフレ化し、名目GDPが伸びなくなると、税収が減ります。理由は、我々は所得から税金を支払っており、所得の合計がGDPになるためです。

そんなことは、あるはずがない! などと思う方々に、残念なお知らせがあります。
国の税収、プラス成長でも7年ぶり減 16年度   
国の2016年度の税収が7年ぶりに減収に転じ、政府の見積もりも2年連続で割り込む見通しだ。所得税収は7年ぶりの前年割れで、法人税収も伸び悩んだ。税収は今年1月時点で55.8兆円と見込んだが、さらに数千億円減るもよう。プラス成長でも税収が減った形で、安倍政権が経済運営の基本に掲げる「成長による税収増」の土台が揺らいでいる。(後略)
これは、現在の「プラス成長(=実質GDPの成長)」は、名目GDPが伸び悩む中、GDPデフレータというインフレ率がマイナスに落ち込んでいる結果を計算しているに過ぎないわけですから、こうなるのが当然のことです。

このような税収の減少は、財政再建至上主義者らの「このままでは財政破綻する! 早期のPB黒字化を!」という声を大きくします。

結果、我が国はデフレ脱却に必要な財政出動ができず、デフレが深刻化し、名目GDPが伸び悩み、税収が減るという悪循環に突っ込む可能性も高くなります。これは、結局のところ昨日のこのブログにも掲載したように、やはり8%増税の悪影響です。以下のグラフを見てもわかるように、消費性向が16年から急激に落ち込んでいます。


一方『骨太の方針』からは、消費税増税という文字は完璧に消えました。これは、安倍総理の増税はしないとの決意の表れともとれます。

これは、ブログ冒頭の記事にある高橋洋一氏が主張する統合政府ベースではすでに、政府の借金はないということからも、明らかです。借金をする必要のない政府が、増税をする必要性など全くありません。

上の記事でも、「英総選挙で、緊縮財政を指向したメイ政権は過半数を取れなかった。緊縮財政は政治的にも経済的にも失敗することを示した」とありますが、全くそのとおりです。

緊縮財政で足をすくわれた英国メイ首相
イギリスは良く財政政策を間違います。このブログでもかなり前に、増税の失敗を掲載したことがあります。これは、日本の8%増税の前に実施されたものですが、これは惨憺た大失敗でした。特に、若者雇用がかなり酷く悪化しました。その失敗を補うために、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)は大規模な金融緩和に踏み切りました。それでも回復までには、かなりの年月を要しました。それについてはこの記事の最後のほうの【関連記事】のところに掲載しますので、是非ご覧になって下さい。

さて、メイ首相は、前のキャメロン政権で治安対策の責任者である内相を務めました。当時の保守党は緊縮財政を進めるため、警察官を2万人削減。このことで、メイ首相を批判する声が出ています。労働党のコービン党首らは、メイ首相に辞任を求めています。

これに対し、メイ首相は6日の演説の中で、「選挙の数日前には、新たな政策を数多く発表するつもりはないが」と前置きした上で、「テロ行為で有罪判決を受けた人々の刑期を長くするべきだ」「当局が外国人のテロ容疑者を、自国に送り返すことをより容易にすべきだ」と述べ、移民の権利を手厚く保護する「人権法」を改正することで、さらなる対テロ対策を実施する方針を示しました。

 英タイムズ紙は13日、関係筋の話として、有権者による緊縮財政への忍耐が限界に達していることをメイ首相が認めたと報じました。

記事によるとジョンソン外相、デービス欧州連合(EU)離脱担当相や他の与党保守党議員らは、首相に対し、緊縮財政に対する国民のムードを首相は読み違えたと述べたといいます。

首相は前週の総選挙で単独過半数を取れず、北アイルランドのプロテスタント系民主統一党(DUP)との連立協議を開始しました。

このように、緊縮をすれば、経済が落ち込み国民の反発は必至です。緊縮、それも日本経済がデフレに再突入したか、しないかの現在の状況で緊縮をすれば、とんでもないことになるのはわかりきっています。GDPは伸びは更に落ち込み、マイナス成長になりデフレに逆戻りです。

緊縮は本当に高くつくということを日本の政治家は忘れてしまったようです。緊縮財政を続けてきた過去の日本の政権は、全部短期で終わっています。例外はありません。財政再建至上主義の政治家はまたこれを繰り返したいのでしょうか。

どうやらそのようです。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に否定的な自民党有志による「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」(野田毅会長)が15日、2回目の会合を国会内担当で開き、石破茂前地方創生相ら議員約30人が出席しました。講師の早川英男元日銀理事は「デフレ脱却による高成長は幻想だ」とアベノミクスを批判し、石破氏は記者団に「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」と述べました。

石破茂前地方創生相
どうやら、彼らは財政件至上主義で増税などすれば、国民をデフレスパイラルのどん底に落とし、塗炭の苦しみを与えるこになり、そうなれば、国民の反発を招きそもそも政権を維持することすら困難になりかねないということに気づいていないようです。まあ、私達国民としては、どのような政権になったにしても、まずは経済がまともであれば良いということなのですが、では野党はどうなのかといえば、経済に関してはほとんどが落第生です。それ以前に、森友・加計問題で、騒ぎ回る馬鹿集団です。問題外です。

そうなると、やはり経済を考えれば、今は安倍政権を支持するという選択肢しかありません。本当に困ったものです。


上には、英国の例を出しましたが、考えてみれば、日本は英国よりも財政政策を間違えてばかりです。こんなことですから、現在に至っても未だ、GDPの伸びは英国はおろか、韓国すら上回っていない状況です。馬鹿な政治家どもに言いたいです、いい加減に気づけよと・・・・!

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2017年6月15日木曜日

なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?―【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!

なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?

政府・日銀の物価見通しは楽観的過ぎる

安達 誠司 


   消費税率引き上げの後遺症

 2017年1-3月期の実質GDP成長率は季調済前期比+0.3%(同年率換算+1.0%)となった。実質GDP成長率は、5四半期連続でプラス成長となったが、この5四半期の平均の実質成長率は+1.5%(年率換算)であり、全く盛り上がりを見せない。他の先進国と比較しても見劣りがする水準である。

 最近では、韓国経済の惨状を指摘する議論を耳にするが、韓国の実質成長率の平均は2%程度であるので、実質成長率という観点では、韓国に見劣りするのが現状だ。

この低迷の理由は明らかである。内需部門の不振が続いているためである。特に、2014年4月の消費税率引き上げ以降の個人消費が一向に回復の兆しをみせないことが大きい。さらにいえば、2015年以降の低迷が鮮明である。

例えば、これは、第3次産業活動指数の動きをみると明らかである(図表1)。


また、第3次産業活動指数の中でも対個人向けサービス業(小売や外食、遊興など)の低迷が著しい。対個人向けサービス業の活動指数の水準は、2015年以降、横ばいから若干低下気味に推移している。

  なかでも、2014年4月以降の「嗜好的個人サービス」の低迷が著しい(図表2)。


「嗜好的個人サービス」は、外食や、娯楽などの余暇的なサービス業を含むが、これは、比較的、生活に余裕が出てこないと増えてこないと推測される。この「嗜好的個人サービス」の低迷は、消費税率引き上げ以降、一般国民の生活に余裕がなくなっていることを示唆している、ととれなくもない。

さらには、「非選択的個人サービス」の活動指数もここ数ヵ月は低下気味である。

この「非選択的個人サービス」には、医療や介護、教育などが分類されると考えられるが、これらのサービスは、国民にとっては、「義務的支出」の一種なので、「消費」というよりも、「経費(コスト)」に近いものだろう。

「非選択的個人サービス」の活動水準の低下は、ここに来て、国民生活の余裕度がさらに低下してきていることを示唆している。そして、この状況は、「景気ウォッチャー調査」における景気の現状判断DI(特に、飲食関連、サービス関連)の動きとも整合的である。

   個人消費低迷の理由は何か

「景気ウォッチャー調査」では、景気判断の理由についてのコメントがあり、それなりに有用だが、個人消費低迷の理由については、このコメントでは必ずしも定かではない。コメントをまとめれば、単に「消費センチメントがなぜか盛り上がってこない」と言っているに過ぎないためだ。

一般的に言って、個人消費が低迷する一番の理由は、所得(可処分所得)の減少である。ところが、可処分所得の伸び率は、過去と比較するとまだましな部類である。また、最近の雇用環境の改善から、「雇用者数×一人当たり賃金」に近い統計である「雇用者報酬」の伸びは高まっている。

2016年度の雇用者報酬の伸び率は、名目では前年度比2%、実質では同2.2%で、これは、デフレ前の1995年度の伸び率とほぼ同じである。

それでは、消費低迷の理由は何か、ということだが、可能性として最も高いのは、「貯蓄性向(可処分所得にうち、どの程度の割合を貯蓄に回すか)」の高まりである。これは、裏を返せば、「消費性向の低下」ということに他ならない。

ちなみに、消費の低迷は、「消費水準が低い高齢者の割合が上昇したことによる」という説があるが、これは誤りである。高齢者の消費水準が仮に低いとしても、所得水準も年金収入が主だとすると低いはずなので、この場合には消費性向は低下せずにむしろ、上昇するはずである。

そこで、「家計調査」における勤労者世帯(2人以上)の消費性向の動きをみると(図表3)、2015年初めをピークに、その後、急低下していることがわかる。すなわち、2015年以降の家計は、雇用環境の改善により、そこそこ、所得は増えながらも、「節約志向」を高め、所得をより貯蓄に振り向けているということになる。

日本国民は、長期化するデフレの中で、ながらく消費支出を抑えてきたが、2012年終盤以降、現在の安倍政権発足と「アベノミクス」によるデフレ脱却の機運の高まりの中で、消費性向は急上昇した。

2014年4月の消費税率引き上げ直後も、その余勢(もしくは、長年のデフレによる「倹約疲れ」も影響してか)からか、消費性向はすぐには低下しなかったが、2014年の夏場以降、急速に低下し始めた。

この間、景気回復のモメンタムは失われたが、雇用環境の改善は続いたため、全体としての賃金(統計的には雇用者報酬)の増加は続いた。だが、賃金の回復局面にもかかわらず、消費性向の低下(及び、貯蓄率の上昇)はむしろ、加速度的に進行した。

そして、消費性向の低下の推移をみると、特に加速度的に低下が進行したのは2016年半ば以降であった。

思い起こすと、ちょうど2016年6月に、安倍首相は、2017年4月に予定していた消費税率再引き上げの先送りを発表した。この決定自体は、当時の経済状況を考えると「英断」であったことは間違いない。ただ、問題は、次の消費税率再引き上げを2019年10月に単に「先送り」しただけであったという点だと考える。

   政府・日銀は「脱デフレ」にコミットせよ

以前(5月25日)の当コラムで筆者が言及したように、2014年4月の消費税率引き上げは、2013年から始まったデフレ解消の動きを頓挫させた。すなわち、せっかく高まっていた「脱デフレ」の気運を完全に殺ぐことになった(「デフレ・レジーム」の復活)。

その直後から低迷している個人消費を再び拡大トレンドに乗せるためには、「デフレ・レジーム」を払拭するような措置をとる必要があったが、2016年6月の「消費税率引き上げ先送り」は、「デフレ・レジーム」の払拭には力不足であったと言わざるを得ない。

そのため、多くの国民は、「2017年からの消費税率引き上げはなくなったが、いずれかの時点(この場合、2019年10月)で消費税率の引き上げは実現し、場合によっては、それだけでは終わらず、将来的にはさらなる増税も実施されるに違いない」ことを想定して、「節約志向」を変えなかったと推測される。そして、この流れは現在も継続中ということなのだろう。

ここまでの個人消費の動きをみる限り、消費者の「デフレ予想」は払拭されていないため、インフレ率が上昇してこないのもある意味当然であろう。従って、夏場頃からインフレ率は徐々に上がりはじめるという政府・日銀の物価見通しは楽観的過ぎると考える。

その意味で、出口論に終始し始めた感のある金融政策の議論も時期尚早で、的外れといわざるを得ない。どちらかといえば、むしろ、消費を刺激するような財政的措置を講じるべきでないかと考える。

さらにいえば、将来の増税措置については、「脱デフレ」に明確にコミットする必要があるだろう。

これは、先日のシムズ教授が言及していたような、「2%のインフレ率が安定的に実現するまでは増税措置は行わない」とか、「(政府目標である)名目GDP600兆円を実現するまでは増税措置は行わない」というコミットメントを意味する。

「財政再建待ったなし」と考える識者にとっては、我慢できないことかもしれないが、国民生活を犠牲にしての財政再建は、財政再建すら危うくするということも明白になりつつあるのではなかろうか。どうしても財政再建が必要だということだとしても、「急がば回れ」だと思うのだが…。

【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!

現状では、8%増税に両手をあげて大賛成だった、人々は反省の弁を発表するなどのことはおろか、増税の失敗に関しては誰も何も言いません。言うのは、増税に反対していた人ばかりです。ほとんどマスコミは何もいわず、政治家も、識者も増税に反対していたほうが、少数派なので、多数派はほとんど何も言いません。

そのためでしょうか、国民の多くは実際は節約をしつつも、8%増税が大失敗であったという認識はあまりないのではないでしょうか。

そうして、増税に両手で賛成だった人々の一部は、増税による悪影響に関しては何も言わずに、アベノミックスは失敗だったという珍妙な主張をしはじめています。そもそも、8%増税の悪影響を予測できなかった人がこのようなことを主張するのが、全く理解できません。

特に、この人たちが増税が大失敗だったということをはきりとは認めないことが全く理解不能です。アベノミクスを安倍政権が実施する政策のことを指すというのなら、雇用は劇的に改善したため、金融緩和は成功、財政は増税で大失敗と素直に認めるべきです。

アベノミクス失敗論者のほとんどは、8%増税大失敗を認めない・・・・
いずれにせよ、8%増税は大失敗であったことは、動かしがたい事実です。これを認めない人は、経済を語る資格はありません。そうして、韓国の経済を批判して、韓国では金融緩和をするとキャピタルフライトがおこるなどという無理筋の屁理屈を言う人もいるのですが、そういう人は「実質GDP成長率」は韓国以下のままということを忘れているのではないでしょうか。

さて、ブログ冒頭の記事で、安達誠司氏は、以下のように述べています。
2016年6月の「消費税率引き上げ先送り」は、「デフレ・レジーム」の払拭には力不足であったと言わざるを得ない。 
そのため、多くの国民は、「2017年からの消費税率引き上げはなくなったが、いずれかの時点(この場合、2019年10月)で消費税率の引き上げは実現し、場合によっては、それだけでは終わらず、将来的にはさらなる増税も実施されるに違いない」ことを想定して、「節約志向」を変えなかったと推測される。そして、この流れは現在も継続中ということなのだろう。
確かに、「増税先送り」というのでは、「デフレ・レジーム」の払拭には力不足なのでしょう。では、これを払拭し「脱デフレ」に明確にコミットするにはどうしたら良いのでしょうか。

安達氏は、「2%のインフレ率が安定的に実現するまでは増税措置は行わない」とか、「(政府目標である)名目GDP600兆円を実現するまでは増税措置は行わない」というコミットメントを推奨していますが、私はこれでも手ぬるいと思います。

言葉でのコミットは、誰にでもできます。しかし、それはなかなか信用されないものです。過去に結局何度もデフレの最中に増税をしてきた政府が、いまさら、しばらく増税しないとコミットしたにしても、多くの国民はなかなか信用しないでしょう。

だから、言葉でコミットするのではなく、経済政策でコミットするべきなのです。その最も良いやり方は、単純なものです。「8%増税で失敗したから、減税して5%に戻す」と発表して、その通りに実行すれば良いのです。

それと、ここで忘れてならないのは、日本はまた緊縮財政を実施しているという事実も忘れるべきではありません。

上のグラフは一般会計の前年比の推移です。緊縮度は予算総額の前年比増減額から税収増減額を差し引いて算出したものです。税収が増えても、財政支出を通じて民間に還元しないと、民間の所得が奪われます。

安倍政権はアベノミクスを本格的に作動させた2013年度、緊縮度はゼロに近かったのですが、14年度には消費税増税と歳出削減の超大型緊縮財政に踏み切りました。15年度も緊縮を続け、16年度も当初予算でさらに緊縮を継続。すると消費は不振に陥ったままで、物価は下落し、デフレ局面に舞い戻りました。税収も減り始めました。そこで2、3次の補正予算を組んだ結果、拡張型に転じました。

ところが、17年度当初予算はトランプ効果による円安・株高の陰に隠れて目立たなかったのですが、補正後の16年度予算に比べてかなりの緊縮になっています。円高、株安に反転しようものなら、またもやあわてて補正という図式がみえみえです。これほどの経済大国でありながら、事なかれ主義の官僚の采配に国家予算が委ねられる先進国はほかにあるでしょうか。

そうして、今年度の消費の低迷は、この緊縮どの高い会計をも一役買っているのではないでしょうか。

現在の日本は、以前このブログでも掲載したように、デフレーターからみてもいつデフレに舞い戻ってもおかしくない状況です。

そのような経済状況では、実施すべき政策はさらなる量的緩和と、積極財政です。中でも、積極財政は減税だけではなく、会計上でも緊縮は行わず、積極財政に転じることです。

野党は、加計問題などはもうやめにして、8%増税の大失敗を追求すれば良いと思うのですが、そうはならないのが不思議です。もし、これを追求すれば、安倍総理も財務省と戦いやすくなります。

マスコミも、労働組合も、野党もこれを森友問題や加計問題を追求したときと同じくらいの情熱で、大追求すれば、安倍総理も動きやすくなって、5%減税を本気で実行するように動くことになるかもしれません。

そうして、それが実現すれば、これを言い出したマスコミや、野党に対しても国民が感謝して、新聞などの購読も増え、野党は支持率を増やせるかもしれません。

しかし、そのような空気は微塵もありません。やはり、新聞や野党も結局のところ、財務省には手を出すことができないということなのだと思います。

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2017年6月14日水曜日

加計問題で法案審議が停滞 内閣府に負けた文部科学省の“遠ぼえ”より建設的な議論を ―【私の論評】森友・加計問題では馬鹿と悪意ある人間をあぶり出せた(゚д゚)!

加計問題で法案審議が停滞 内閣府に負けた文部科学省の“遠ぼえ”より建設的な議論を 

会見で負け犬の遠吠えをした前文科次官前川氏 写真はブログ管理人挿入以下同じ
国会の会期について、1~2週間の延長論が出ている。背景には、加計学園問題で重要な法案の審議が進んでいないことがある。

 その1つは「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案だ。同改正案が衆院を通過したのは先月23日である。今月18日の会期を10日程度延長すれば、成立はほぼ確実になるだろう。

 政府が延長を小幅にせざるを得ない理由は、連立を組む公明党が、東京都議選を優先するためだ。今月23日告示、7月2日投開票という日程への影響を最小限度にとどめたいという意向もうかがえる。

 野党が加計学園の追及を強めているからだというのはあくまで野党の言い分に過ぎない。本コラムで何度も書いたように、「総理の意向」はなく、単に規制緩和論争で内閣府に負けた文部科学省の“遠ぼえ”といえ、国会審議に費やす時間がもったいないくらいだ。

 組織犯罪処罰法改正案について、自民、公明、日本維新の会は、法案の一部を維新による提案(取り調べの可視化やGPS捜査の制度化への検討)を受けて修正している。一方、民進党や共産党などは強硬に反対している。

 野党やマスコミは「共謀罪」と呼ぶが、「共謀」は英語では「conspiracy」で、海外にも存在する概念である。それを罰する法制度があるのが通例だ。ところが、日本ではなかったので作ろうというのがそもそもの発端だ。

 反対派の言い分は「一般人が対象になり得る」「警察などの捜査権限が拡大し、公権力による監視が強まる」というものだ。一方、賛成派は、そうした懸念も分かるので、弊害を少なくして、海外並みに「共謀」を罰する法制度を作るというものだ。

 反対派の懸念は、統計学でいうところの「第一種の過誤」という。警察が何か証拠をつかんであわてて逮捕してみたら犯罪に無関係な人ということで、「あわてんぼうの誤り」ともいわれている。

 統計学でいう「第二種の過誤」は、警察がうかつにもテロリストを見逃してしまうもので、「ぼんやりの誤り」という。

表はブログ管理人挿入
何もしない前提では、「あわてんぼうの誤り」と「ぼんやりの誤り」はトレードオフ(二律背反)の関係だ。「あわてんぼうの誤り」を小さくしようとすると、残念なことに「ぼんやりの誤り」が大きくなってしまう。

 これに即して言えば、反対派の主張は、一般人の冤罪(えんざい)逮捕は絶対防がなくてはいけないが、そのためには多少テロリストを見逃してもいいと聞こえる。

 ここは、一般人の冤罪逮捕とテロリストの取り逃がしという両方のリスクを減少させるように、種々の対策を提案すべきである。維新の修正はその理にかなっている。民進、共産なども反対だけではなく、一般人の冤罪逮捕のリスクを減少させ、テロリストも見逃さないような対策も提案すべきではないか。

 意味のない加計学園問題の追及より、そうした建設的な議論をしてもわらないと国民としても困る。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】森友・加計問題では馬鹿と悪意ある人間をあぶり出せた(゚д゚)!

加計問題では、このまま安倍官邸が圧勝で終わるのは間違いありません。民進党がいくら頑張っても、もうこれだけは変えようがありません。

それは、以下のようなことから最初からあまりにもはっきりしすぎています。

それは、以下の文書を分析すれば、明らかになります。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
しかし、マスコミも民進党などの野党もなぜかこの文書に関しては全く言及しません。だから、この問題がいたずらに長引いているのです。民進党も、新聞などのメデイアもこの文書を最初に読めば、いわゆる『加計問題』などもともと存在しないということを十分理解できたでしょう。

加計問題の本質は、これら3つの文書を読めばすぐに理解できてしまいます。

まず①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

仮に総理が、何とか"加計学園に獣医学部を"などと秘めた思いを持っていたとしても、その思いを誰に伝えなくても、もうこの時点で、文部省の負けは誰の目にも明らかっだったことがわかります。

院決算委員会で加計学園問題について答弁する安倍首相(5日午後、国会で)
だから、総理が「総理のご意向」なるものを、総理自身が誰かに伝えるなどという重大なリスクをおかしてまで、加計学園に獣医学部をもってくることをゴリ押しするというのは、あり得ないことです。

にもかかわらず、マスコミは、あの文科省文書が本物かどうかに焦点を当てています。おそらく本物であっても、それらが作成されたのは2016年9月後半ですから、文科省への宿題の期限(2016年3月)の後になり、しかも、③が作成された(2016年9月)後でもあります。

結局勝負のついた後に、文科省は言い訳を言っているだけにすぎないです。「文書」にある「総理の意向」という文言は、文科省側のでっち上げです。それ以前に文部省は完敗しています。この内容をみると、前川氏をはじめとする、文科省官僚の根性の悪さも明らからになったと思います。まったく潔くないですし、この時点で「総理のご意向」をでっちあげたとして、それが何になるのか、全く理解不能です。小さな子どもが駄々をこねているようです。

駄々をこねる子どもに対応するには、子どもの気持ちに共感することが大事だそうですが、こと規制改革に関しては安倍総理もそうして、我々国民も文科省官僚の気持ちに共感することはできません。

駄々をこねる子どもには共感するのが大事なのだが、官僚には共感できない
上の文書を読めば、「総理の意向」など入り込む余地がないことはすぐにわかります。にもかかわらず、マスコミも民進党などの野党もこの文書を読んで分析したのかどうかはわかりませんが、いずれににせよあまりに無責任です。

結局、無理筋であるはずの「総理の意向」という点にこだわり、思い込みで間違えてしまった民進党は、森友学園問題のときと同じように、何も影響を与えられないまま、またしても空回りして終わります。

共謀罪反対デモに参加する蓮舫代表
こんなざまでは、民進党はまともに「テロ等準備罪」なども議論できないでしょう。民進党は、森友問題、加計問題、テロ等準備在の審議過程などで、国民の目の前に、無様な自分たちの無能さ加減をさらけ出し今後もますます衰退していくことでしょう。

森友・加計問題では、一見何も良いことはなかったようにも思えますが、見方によっては、馬鹿と悪意ある人間をあぶり出したということでそれなりに意義があったものと私は、思います。

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2017年6月13日火曜日

「ポスト安倍」も問題だらけだ! 財務省や日銀の言い分信じて財政や雇用理論を間違える人―【私の論評】今のままでは再びデフレスパイラルの無間地獄にまっしぐら(゚д゚)!

「ポスト安倍」も問題だらけだ! 財務省や日銀の言い分信じて財政や雇用理論を間違える人

「人手不足なのに賃上げが進まないのは謎だ」と主張したり、財政危機を強調したりする人は相変わらず多い。本コラムの読者であれば間違っていることがわかるだろう。こうした人たちはなぜ間違えるのか。

 人手不足でも賃金が上がらないことをテーマにした書籍も出ている。労働経済学や経営学、社会学、マクロ経済、国際経済の専門家や、厚生労働省、総務省統計局、日銀のエコノミストなど20人以上が書いているというので読んでみたが驚いた。

 誰一人として、構造失業率(いくら金融緩和してもそれ以上下げられず、インフレ率だけが高くなる失業率の水準)を論じていないのだ。そして、無意識なのだろうが、既に完全雇用が達成されているという前提で論が進められている。


22名の馬鹿が、現代日本の労働市場の構造に関する驚きの
無知をさらけ出した書籍 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 ちまたのエコノミストでも。「賃上げが進まない理由は経済学で解明できない」という人もいるが、単に構造失業率を間違っただけだ。構造失業率を「4%台だ」と公言した人もいる。

 本コラムの読者であれば筆者が試算した構造失業率が2%台半ばであることをご存じだろう。構造失業率を自分で計算できない人に限って、日銀が「3%台半ば」と言っていたのをうのみにする。そうした意味で、かつての日銀は罪作りである。

 さすがに、最近の日銀はこの誤りに気がついてきたので、徐々にトーンダウンしている。そのうち「2%台半ば」と修正するだろう。

 次に「財政危機」である。これを強調する人は単に財務省シンパであるか、財務省の言うことをうのみにする人たちだ。財務省は、バランスシート(貸借対照表)の右側の「負債」だけを強調するが、財政を分析するには、日銀を含めた統合政府で、左側の「資産」も見る必要がある。そうすれば、日本に財政問題はほとんどないことが分かる。これは、最近来日したノーベル賞学者のシムズ教授やスティグリッツ教授も述べていることだ。

 財務省の意見を妄信してきた人の中には、「シムズ氏やスティグリッツ氏が間違っている」と豪語する人もいる。もしそうなら、ノーベル賞学者を論破して世界的な脚光を浴びるだろう。

 これまで財務省の言いなりになってきた人はいまさら意見を変えられないのだろう。もし変えたら自分の否定になってしまうからだ。

 このように、日銀と財務省がこれまで行ってきたキャンペーンの負の弊害が出ているのだが、まだ日銀のほうがましだといえる。「リフレ派」が審議委員に登用されるなど、誤った意見を変えようとしている。

 一方、財務省にはそうした気配が全く感じられない。財政再建に関する誤解のほうが広く流布しており、その是正は容易ではない。マスコミは特にひどく、財政危機が前提として話が進められる。

 安倍晋三政権はそれを信じていないことがただ一つの救いだが、残念なことに「ポスト安倍」は財政危機を妄信している人ばかりだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今のままでは再びデフレスパイラルの無間地獄にまっしぐら(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が指摘しているように、「賃上げが進まない理由は単に構造失業率を、本当は2%台半ばであるものを3%台半ばであると間違っただけ」、日銀からさらに量的金融緩和をすれば、失業率は2%半ばにまでさらに下がるはずなのに、日銀は量的金融緩和をしないので、失業率が高含みのまま推移しているので、人手不足でも賃金があまりあがらないという状況が続いているのです。

それにしても、『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』という書籍を執筆した労働経済学や経営学、社会学、マクロ経済、国際経済の専門家や、厚生労働省、総務省統計局、日銀のエコノミストなど20人以上は、この構造的失業について理解していないようですから、以下にそれを解説します。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業 
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業 
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日銀は、構造失業率が3%台前半で、直近の完全失業率(4月時点で3・2%)から下がらないので、これ以上金融緩和の必要がないという考えが主流のようです。

過去の失業率をみてみると、以下のような状況です。

過去20年近くは、デフレなどの影響があったので、あまり参考にならないと思ういます。それより前の過去の失業率をみると、最低では2%程度のときもありました。過去の日本では、3%を超えると失業率が高くなったとみられていました。

以上から、日本の構造失業率は3%を切る2.7%程度ではないかと私は考えます。そうして、このくらいのことは、高校の経済社会の教科書にも掲載されている程度の内容です。

ただこの数値自体には私は、それほどこだわっていません。これは、政策判断するときのひとつの目安にしかすぎないものです。ただいずれにせよ日銀の3%台との見方は高すぎです。

実際には構造的失業と思われていた部分でも循環的要因に反応するところがあります。そのため金融政策で考えたときは、やはり期待インフレ率と実際のインフレ率を目安にしなくてはいけないです。2.7%が真の構造的失業の水準か否かはそれで判断できます。

物価目標も未だ達成できないのですから、これはどう考えてみても、未だ失業率は、構造的失業率には達していないとみるべきです。日銀は、すぐにでもさらなる量的緩和を実施すべきです。

それにしても、書評では、労働経済学や経営学、社会学、マクロ経済、国際経済の専門家や、厚生労働省、総務省統計局、日銀のエコノミストなど22名の気鋭といわれる人々が、高校の政治社会で教えられていることも理解しないで論評するというのですから、全く本当に困ったものです。この状況では、ほとんどの政治家が金融政策について無知なのも無理はないのかもしれません。

「財政危機」に関しても、日本政府は、そのような状況には全くないことは、このブログで何度も掲載してきました。そもそも、政府の資産(日本政府は、世界で最も巨大な資産を持っている)も考慮し、統合政府ベース(政府と日銀の連結決算ベース)で財政を考えた場合、日本政府は借金まみれどころか、今年からは確実に金貸しに転じています。

それについては、何度もこのブログに掲載しています。その代表的なものを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
詳細は、この記事を御覧ください。この記事より、統合政府の債務の推移のグラフを以下に掲載します。
以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。

このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。 
さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。

日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。 
日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。 
蓮舫氏は無論このようなことも理解していないのでしょう。実質財政再建が完了した問つても良いこの時期に、さらなる増税など全く必要ありません。 
増税すれば、我が国の60%占める個人消費の低迷を招き、GDPの伸びが阻害され、かえって税収が減ることになるだけです。
 このグラフの元となった、統合政府の債務の計算方法(ブログ管理人自らが計算)など、リンク先をご覧いただければ、わかります。興味のある人は是非ご覧になって下さい。高橋洋一氏なども同じような計算をしています。

そうして、これに関しては、ブログ冒頭の高橋洋一氏が指摘するように、財政再建に関する誤解がまかりとおっていて、政治家の多くが日本政府は借金まみれであると信じ込んでいます。だから、増税するのが当然であると思い込んでいます。そうして、その背後には無論財務省が存在します。

実際、先日もこのブログに掲載したように、自民党の野田毅氏と村上誠一郎氏が16日に立ち上げた「アベノミクス批判」の勉強会は、財務官僚が裏から手をまわしてつくらせたものだとみられています。

この勉強会の真の目的は、公約通り安倍首相に消費税増税を実施させることでしょう。驚いたのは、自民党議員が約60人も参加したことです。野田さんも村上さんも、一匹狼のような存在で、自分で人を集めるようなタイプではないし、あの2人が声をかけても簡単には人が集まらないはずです。60人も集まったのは、財務省が裏で動いたからだと考えられます。




マクロ経済に関しては、民進党は馬淵議員と、昨年の夏の参議院選で落選した金子洋一氏のみがまともに理解しているのみで、あとはほとんどの議員が理解していません。民進党が政権をとれば、日本はすぐにでもデフレに逆戻りです。

ところが、残念ながら自民党の議員の大部分もマクロ経済音痴であり、構造的失業率は無論のこと、日本政府は莫大な借金をかかえていて、増税をしないととんでもないことになるという財務省の作り話を信じています。信じていないのは、安倍総理とその側近のわずかな人たちだけです。

こうなると、確かに高橋洋一氏の主張するように、「ポスト安倍」は財政危機を盲信している人だけになり、そのような人が総理大臣になれば、日本はまたデフレに舞い戻ることになります。何のことはない、今のままだと、まかり間違って民進党が与党になろうと、自民党が与党になろうと、デフレに舞い戻ることは必定なのです。

それは、お隣の韓国をみれば良くわかります。朴槿恵大統領のときから、雇用がかなり悪化していたのに、朴槿恵元大統領は金融緩和政策を採用することはありませんでした。さらに、文在寅新大統領も全く金融緩和をする兆しがありません。積極財政もしないようです。このままだと、韓国経済はますます落ち込むことになります。そうなると、文在寅政権も長くは続きません。

文在寅新大統領の経済・雇用関連関連政策金融緩和策・積極財政などの景気循環的
な対策は一切含まれていない。このままではデフレスパイラに突入するのは必定
日本のほとんどの政治家も、韓国の文在寅大統領をはじめとする政治家もも、回復しつつある日本の経済と、さらに悪化しつつある韓国経済の差異は、どこにあるのか全く気づいていないようです。その、差異は日本は不十分といいながらも、金融緩和を実施しており、韓国はしていないということです。

日本では、若者雇用がここ数十年で最高となり、韓国は最悪になっている真の要因はここにあるのです。

今のままでは、「ポスト安倍」の日本も韓国と同じようなことになります。自民党もマクロ経済音痴が総理大臣になれば、デフレに舞い戻り、若者はまた最悪の就活に悩まされることになります。また麻生政権以前の政権のように短命政権が続くことになります。そうして、終いには、いずれかの政党に政権交代されることになります。

政権交代した政党も、まともなマクロ経済政策を実行しなければ、デフレから抜け出すことができず、短期政権となります。そうして、何度政権交代をしても、まともなマクロ経済政策を実行しなければ、50年後くらいには日本は先進国ではなくなっているかもしれません。

かつては、先進国だった、アルゼンチンのように発展途上国になるかもしれません。

そうなってからでは遅いです。ポスト安倍を狙うような人は、最低限財務省のキャンペーンに踊らされないように、マクロ経済を勉強しなくても良いですから、マクロ経済対策の方向性だけは間違わないようにすべきです。

若手の政治家らは、ある程度は勉強して、正しいマクロ経済政策を実行できるようにすべきです。そうすれば、有力な次期総理大臣候補になれます。なにしろ、現状では小泉進次郎議員を筆頭に、若手議員もほとんどがマクロ経済音痴です。

そうして、安倍総理は「ポスト安倍」も視野に入れて、マクロ経済政策を理解する若手を育てていただきたいものです。

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2017年6月12日月曜日

野党“歓迎”もヤブ蛇か…加計「文書」追加調査、「疑惑の8枚」ニセモノなら「偽メール問題」再来―【私の論評】文書調査で安倍政権に塩を送った民進党とマスコミ(゚д゚)!

野党“歓迎”もヤブ蛇か…加計「文書」追加調査、「疑惑の8枚」ニセモノなら「偽メール問題」再来

「加計文書」の再調査を明らかにした松野文科大臣
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、政府が「総理のご意向」などと書かれた「文書」の追加調査を決めた背景には、国民の批判が高まっていたことに加え、東京都議選(7月2日投開票)への懸念もあった。政権攻撃にはずみをつけたい野党だが、再調査で、思わぬ結果が出てくるとの見方もある。

 「徹底的に調査をするよう指示した」

 安倍首相は9日夕、首相官邸で記者団にこう語った。

 文部科学省は先月19日に「文書の存在は確認できない」と発表し、野党や一部メディアによる再三の調査要請に対しても、菅義偉官房長官は「文科省において検討した結果、調査を行う必要はない」と繰り返した。

 しかし、「文書」を「怪文書のようなもの」とし、存否を明らかにしない政府に国民の批判は高まった。文科省の前川喜平前事務次官や現役職員が相次いで「文書」などの存在を認め、与党内からも政府の調査に疑問を投げかける声が出たことで、方針転換を余儀なくされた。

 都議選への悪影響を懸念する声も強かった。自民党は小池百合子東京都知事に対し、「決められない知事」というネガティブ・キャンペーンを展開し、ようやく奏功してだけに、文書問題が尾を引くのを避けたいところだった。ある自民党都連関係者は「『文書』問題は旧態依然とした自民党の象徴と受け止められ、投票先を決めていない無党派層に大きな影響を及ぼす」と危機感を示す。

 実際、小池氏は9日の記者会見で、情報公開と公文書管理に関する都条例を改正したことに触れ、「基本的に記録は残す。必要な資料があるかどうかは、(公文書管理を)きちんとしておけば資料として残るべきものだ。調査の必要があるときには、それに答えるのが普通だ」と述べ、『文書』をめぐる国会でのゴタゴタを皮肉っている。

 ただ、今後の調査が野党ペースで進むかどうかは不透明だ。菅氏は9日の記者会見で、調査結果の公表時期については明言しなかった。そして、「当初報道された文書等について、出所や入手経路が不明なものであって信憑(しんぴょう)性もよくわからない文書であった」と加えることも忘れなかった。

 官邸に近い永田町関係者は「そもそも『文書』が出てきても、行政がゆがめられた事実はなく、何も問題ない。次々と明らかになるメールや文書は省内で共有されたものであり、恐らく本物だろう。だが、最初に出てきた8枚の『文書』について、誰が作成したものか今もわかっていない。仮に文科省以外で作成されたニセモノであれば、野党や一部メディアにとっては『偽メール問題』の再来となる。国会閉会後に公表された場合、野党は追及の場を失う」と語っている。

 ヤブをつついて何が出てくるのか。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、政府が「総理のご意向」などと書かれた「文書」の追加調査を決めた背景には、国民の批判が高まっていたことに加え、東京都議選(7月2日投開票)への懸念もあった。政権攻撃にはずみをつけたい野党だが、再調査で、思わぬ結果が出てくるとの見方もある。

 「徹底的に調査をするよう指示した」

 安倍首相は9日夕、首相官邸で記者団にこう語った。

 文部科学省は先月19日に「文書の存在は確認できない」と発表し、野党や一部メディアによる再三の調査要請に対しても、菅義偉官房長官は「文科省において検討した結果、調査を行う必要はない」と繰り返した。

 しかし、「文書」を「怪文書のようなもの」とし、存否を明らかにしない政府に国民の批判は高まった。文科省の前川喜平前事務次官や現役職員が相次いで「文書」などの存在を認め、与党内からも政府の調査に疑問を投げかける声が出たことで、方針転換を余儀なくされた。

 都議選への悪影響を懸念する声も強かった。自民党は小池百合子東京都知事に対し、「決められない知事」というネガティブ・キャンペーンを展開し、ようやく奏功してだけに、文書問題が尾を引くのを避けたいところだった。ある自民党都連関係者は「『文書』問題は旧態依然とした自民党の象徴と受け止められ、投票先を決めていない無党派層に大きな影響を及ぼす」と危機感を示す。

 実際、小池氏は9日の記者会見で、情報公開と公文書管理に関する都条例を改正したことに触れ、「基本的に記録は残す。必要な資料があるかどうかは、(公文書管理を)きちんとしておけば資料として残るべきものだ。調査の必要があるときには、それに答えるのが普通だ」と述べ、『文書』をめぐる国会でのゴタゴタを皮肉っている。

 ただ、今後の調査が野党ペースで進むかどうかは不透明だ。菅氏は9日の記者会見で、調査結果の公表時期については明言しなかった。そして、「当初報道された文書等について、出所や入手経路が不明なものであって信憑(しんぴょう)性もよくわからない文書であった」と加えることも忘れなかった。

 官邸に近い永田町関係者は「そもそも『文書』が出てきても、行政がゆがめられた事実はなく、何も問題ない。次々と明らかになるメールや文書は省内で共有されたものであり、恐らく本物だろう。だが、最初に出てきた8枚の『文書』について、誰が作成したものか今もわかっていない。仮に文科省以外で作成されたニセモノであれば、野党や一部メディアにとっては『偽メール問題』の再来となる。国会閉会後に公表された場合、野党は追及の場を失う」と語っている。

 ヤブをつついて何が出てくるのか。

【私の論評】文書調査で安倍政権に塩を送った民進党とマスコミ(゚д゚)!

さて、「加計文書」といえば、やはり最初に朝日新聞に掲載されたあの8枚の文書が最大のものです。

これは、サイトからも入手できるので、以下にその8枚の文書全部を掲載します。

【5月17日付け朝日新聞の記事、加計学園「総理ご意向」文書全八枚】

以下の文書はクリックすれば拡大し、よりご覧いただきやすくなります。
一枚目

二枚目

三枚目

四枚目

五枚目

六枚目

七枚目

八枚目

この文書はどうみても、正式な公文書ではないことはあまりにもはっきりしすぎています。なぜなら、文書番号、発信者、発信部署、宛先、あるいは進達先など、公文書として体裁を満たす要素がことごとく欠けているからです。

そうして、文科省が調べた文書とはあくまで公文書のことを言っているのだと思います。前川をはじめとする文科省側は、公文書ではないものの、文科省の官僚などの一部で共有していた文書であり、間違いなく存在するというということを言っていると考えられます。

そうして、結論から言ってしまうと、この文書をもとに総理を辞任に追い込めるということにでもなれば、以前このブログに掲載したように、民間企業では代表取締役は無論のこと、従業員全員を解雇することも可能ということになります。

なぜなら、会社内で社内の公文書ではない、不特定多数の人々に流通している資料などの文書をもって、代表取締役を辞任に追い込もうとしたしても、それは証拠にはならないからです。

これが、社内の公文書に、代表取締役が明らかに何らかの犯罪に関与していることをうかがわせる記載があることが明らかになった場合は、代表取締役は辞任に追い込まれることもあり得ます。

しかし、公文書でないものにそのような記載があった場合には、それは証拠とはなりません。これとともに、明らかに犯罪に関与していることを示す別の証拠が必要になります。それがあれば、代表取締役を辞任に追い込むこともできます。

しかし、公用文以外の文書のみをもって代表取締役を辞任させることはできません。それは、社会の常識です。

だから、元々いわゆる加計文書をもって、安倍総理を辞任に追い込むことなど、無理筋なのです。これで、安倍総理を辞任に追い込めるというのなら民間企業においては、代表取締役を辞任させるのは容易いことです。重議員も簡単に解雇できます。今回他の加計文書もその後でてきたメールなども似たり寄ったりの代物です。

サイトで、様々な捏造説が語られているメール
このあたりは、以前もこのブログに掲載したことです。しかし、松野文科大臣が「加計文書」の再調査を明らかにしたことをもって事態は急展開したと思います。

この意味するところは、公文書だけではなく、官僚が私的に保存している文書や電子メールを調査できるということです。

これで、どのようなことが考えられるかといえば、文部省内の官僚の公用ではない部分まで、チエックすることが可能になったということです。

これは、文部大臣や官邸からすれば、今までにはあり得なかったかなりの部分まで様々なことが明るみにだされる可能性があります。

現在までのところは、官僚らに公文書の提出などはもとめることができました。これは、官僚も拒むことはできません。何しろ、文部省内の公文書なのですから、これを提出することを拒めば、業務規律違反ということになります。

しかし、公文書以外の文書はあくまで、官僚の任意に任されたものと考えられます。しかし、今後はそうではないということです。公文書以外の文書もチエックされることになります。

現在の文書はそのほとんどが、コンピュータによって作成され、コンピュータに保存されます。そのため、コンピュータに保存されている文書が調査の対象になります。

そうなると、何がおこるかといえば、今回の加計問題に関与している官僚は、証拠を隠蔽するために都合の悪い文書や、電子メールを削除すると思います。

しかし、この削除というのが曲者で、たとえ削除したとしても、それは何らかの形でパソコンの記憶装置に残っています。そうして、文書だろうと電子メールであろうと、それはほとんど100%回復することができます。たとえば、マイクロソフト・ワードの文書は削除しても100%回復することができます。

たとえ、ファイルを削除してゴミ箱を空にしたとしても、ダンプファイル等はまだパソコンのHDDに残されています。これをもとにファイル復元を実行し、消えたファイルを復元することができます。

その方法は、ここで詳細は述べませんが、そのやり方が掲載されているサイトのリンクを以下に掲載しておきます。


これは、マイクロソフト・ワードの回復手順ですが、これは無論のこと他のドキュメントや電子メールなども、これに類似した方法ですべて回復することができます。

そうなると、官僚もしくはその配下のコンピュータの文書を丸裸にできるわけです。それを調べていけば、役所内の非公式のコミュニティーに迫ることができます。

そうなると、加計問題に関して、前川全次官と関わりのあつた者、関わり方の内容などすべて明らかになります。

これに関しては、従来はプライバシーの問題などもあって、なかなかできなかったと思いますが、野党や一部メディアによる再三の調査要請があったし、しかもその様子がテレビで放映しています。

そうなると、文科省としては、大手を振ってこのような調査に踏み切ることができます。さて、文書や役所内の非公式のコミュニティーなどが丸裸になった場合何がおこることでしょう。

例年、通常国会が閉じると、中央省庁の人事異動が行われます。官邸は内閣人事局の創設で幹部の人事を掌握し、霞が関に睨みを利かせてきました。かつての役人天国とは違い、普通の民間会社と同じように、官邸の方針に逆らえば左遷などの懲罰、官邸の方針に従って努力すれば、昇進などの報奨というアメとムチを効かせているのです。

当たり前の人事で官僚機構を支配下に置き、政治主導を貫こうというのが、安倍総理の考えです。かつては政権を潰すほどの力も持っていた財務省も一部軍門に下ったようです。ただ、財務省も何とかこれに抵抗しようと、様々な手を打っています。

実際、自民党の野田毅氏と村上誠一郎氏が16日に立ち上げた「アベノミクス批判」の勉強会は、財務官僚が裏から手をまわしてつくらせたものだとみられています。

この勉強会の真の目的は、公約通り安倍首相に消費税増税を実施させることでしょう。驚いたのは、自民党議員が約60人も参加したことです。野田さんも村上さんも、一匹狼のような存在で、自分で人を集めるようなタイプではないし、あの2人が声をかけても簡単には人が集まらないはずです。60人も集まったのは、財務省が裏で動いたからだと考えられます。



このように、官僚は頭の悪い政治家を、利用して、少しでも自分たに有利に事を運ぼうとします。しかし、これは本来あってはならないことです。官僚はどんな場合でも、本来は政府の方針に従うべきなのです。なぜなら、官僚は選挙によって選ばたわけではないからです。政治家は、有権者の信託を受けている存在だからです。

政治家は、政策に失敗すれば、それこそ選挙で敗北して、政治家でさえいられなくなる可能性もあります。これに対して、官僚はよほどのことがない限り、辞任させられるなどということはありません。財務省をはじめとする、各省庁は政府の下請けに過ぎないのです。

下請けが、親会社をさしおいて、会社の方針や規範を勝手に決めるわけには行かないのです。官僚がどうしても、政治に関与したいというのなら、官僚をやめて国政選挙に立候補すべきなのです。官僚でありながら、国政の方針を決めることはできないのです。

今回の加計問題も、背景は同じことです。前川をはじめとする文科官僚は、民進党やマスコミを利用して、少しでも自分たちの失った失地を回復しようとしているだけです。これが加計問題の本質です。民進党や、マスコミは安倍政権を追い込めれば、かつて批判していた官僚とだって平気で手を組むのです。

しかし、ここにきて、官邸は強力な武器を手に入れたわけです。そうです。文科省内の、非公式な文書を閲覧し、非公式なコミュニティーの真相に迫ることができるようになったのです。

これに関しては、私は、は官邸により意図して、意識して実行されたのではないかと思っています。

6月8日の記者会見で菅官房長官が改めて加計学園問題の文書を調査する予定はないと強調しました。

この以前に文科省の職員から「文書があった」というような証言がありましたが、これについて菅官房長官は「私はうそだとは言っていません。文科省において検討した結果、出所や入手経緯が明らかにされていない文書については、その存否や内容などの確認の調査を行う必要がない」と述べ、調査する必要性がないと発言しました。

その後も記者から相次いで質問を受けますが、「いや、(文書の)存否や内容など確認を・・・必要ないと判断した」などとコメントし、判断した理由を追求されると言葉に詰まる場面もありました。


これは、普段の菅官房長官の発言や、立ち居振る舞いなどと比較すると、あり得ないことです。私は、これは菅官房長官が意図して意識して行ったのではないかと睨んでいます。

こうすることによって、文科省の官僚どもの私的な文書を調査し、非公式なコミュニティーの内容を把握できるようにし、文科省をまともな省庁につくりかえるきっかけにしようとする腹なのだと思います。問題のある文科官僚を左遷したり、降格したりするにしても、明確な証拠とともに行えば、ぐうの根も出ません。

さて、これで日本の強力な官僚機構にも、小さな穴があけられそうです。最初は小さくても、だんだん大きくしていけば良いのです。

この穴は、最初は小さくても、だんだん大きくなり、いずれ財務省を含む他の官庁にも及び、真の政治主導が日本でも当たり前になるかもしれません。

今回の調査では、文科省内の非公式コミュニティーと、民進党との関係とも明らかになるかもしれません。そうなると、場合によっては、第二の『偽メール』問題に発展するかもしれません。

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2017年6月11日日曜日

民進に日経が「的外れ」酷評「悪者扱いは筋が悪い」『戦略特区停止法案』提出、万年野党宣言も同然 ―【私の論評】こんなことばかりだと、万年野党の地位すら危うい(゚д゚)!

民進に日経が「的外れ」酷評「悪者扱いは筋が悪い」『戦略特区停止法案』提出、万年野党宣言も同然 

礒崎哲史氏(左)と杉尾秀哉氏(右)(写真)ら14人が法案を提案したが、国民は評価するのか

民進党が心配だ。学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、「国家戦略特区停止法案」を国会に提出したのだ。安倍晋三政権の疑惑追及は野党として当然だが、この法案提出は、結果的に巨大な既得権益を死守したい官僚機構や業界団体の片棒を担ぐことにならないか。日経新聞も事前に「ここまで的を外した法案は珍しい」と酷評していた。

 注目の法案は、特区の新規指定を停止し、法施行後2年をめどに制度の抜本的見直しを、政府に義務づけるものだ。

 民進党はこの条件について、同時期に学部新設を目指していた京都産業大(京都市)を排除するために設けた-との主張を展開している。安倍首相の友人が理事長である「加計学園」を優遇したという見立てだ。

 この流れで「国家戦略特区停止法案」も提出されたが、日経新聞は提出前の5日付社説で冒頭のように批判し、「戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪い」と指摘していた。

 元経産官僚で、コンサルタントの宇佐美典也(のりや)氏は「国家戦略特区制度には規制改革だけでなく、『意欲ある地方が自ら考え、現場から日本を変えるきっかけを与える』という意味もある」といい、続けた。

 「停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものだ。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方はなかったのか。民進党は将来、政権に就いた場合、自分たちの政策をどう具現化するつもりなのか理解できない。有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」

 現に、法案提出には民進党の改革派議員からも批判があったようだ。

 ある改革派議員は「『ノーコメント』と答えれば、私の心中は分かっていただけると思う」と、夕刊フジの取材に寂しそうに語った。

 民進党「加計学園疑惑調査チーム」の共同座長である桜井充氏は8日の参院内閣委員会で、前日参院に提出した法案について、次のように語り、胸を張った。

 「国家戦略特区法が悪用されている。悪用されているからこそ、1回止めなければならないと思って停止法案を出させていただいた」

 50年以上も獣医学部新設を認めなかった文部科学省の「岩盤規制」を国家戦略特区で打ち破り、愛媛県今治市への獣医学部新設が決まったのは2017年1月。政府は、猛反対していた日本獣医師会と農林族などに配慮して、空白地域の「1校だけ」という条件を付けた。

 民進党はこの条件について、同時期に学部新設を目指していた京都産業大(京都市)を排除するために設けた-との主張を展開している。安倍首相の友人が理事長である「加計学園」を優遇したという見立てだ。

 この流れで「国家戦略特区停止法案」も提出されたが、日経新聞は提出前の5日付社説で冒頭のように批判し、「戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪い」と指摘していた。

 元経産官僚で、コンサルタントの宇佐美典也(のりや)氏は「国家戦略特区制度には規制改革だけでなく、『意欲ある地方が自ら考え、現場から日本を変えるきっかけを与える』という意味もある」といい、続けた。

 「停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものだ。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方はなかったのか。民進党は将来、政権に就いた場合、自分たちの政策をどう具現化するつもりなのか理解できない。有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」

 現に、法案提出には民進党の改革派議員からも批判があったようだ。

 ある改革派議員は「『ノーコメント』と答えれば、私の心中は分かっていただけると思う」と、夕刊フジの取材に寂しそうに語った。

【私の論評】こんなことばかりだと、万年野党の地位すら危うい(゚д゚)!

参院民進党・国家戦略特区調査プロジェクトチーム
この法案を提出すると民進党が発表したときに、私自身はにわかには信じることはできませんでした。戦略特区を選定する際に透明性を保つために、法律を変えるなどのことならまだわかりますが、廃止法案となると、これは時代に逆行しているとしか思えないし、これは各省庁の官僚を喜ばせることにはなって、決して国民のためにも日本国のためになるとはとても思えなかったからです。

だから、一旦は「国家戦略特区停止法案」を提出すると発表しながらも、実際は提出しないとか、提出するにしても「改正法案」を提出するのではなかろうか思っていました。

なぜなら、さすがにこの法案を提出するということになれば、民進党内でも反対する議員も多数出るだろうし、第一このようなことをしても、民進党にメリットはほとんどないと感じられたからです。

しかし、現実には本当に提出されました。さて、この法案はどのようなものであるのか、以下に民進党のサイトから以下にリンクを掲載します。


要するに、単純な停止法案です。見直しをすることも盛り込まれていますが、まずは停止です。

ブログ冒頭の記事にもあるように、停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものです。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方があったはずです。あまりにも拙速なやり方だったと思います。

民進党が問題視している国家戦略特区は、46の規制緩和など構造改革メニューと242の認定事業で構成されており、その指定はほぼ全国にわたっています。特区は、地域により規制改革や構造改革のメニューが異なります。東京圏(東京都と神奈川県、千葉県の一部)は、国際ビジネス、イノベーション拠点、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)は、医療等イノベーション・チャレンジ人材支援拠点として指定。沖縄県は国際観光拠点というように地域特性に合わせて指定されており、規制緩和を行うとともに人的・財的資源を集中投下するというものです。

獣医学部新設問題はあくまでも242の認定事業の一つにすぎません。その中の一つが問題だからといって、法律を廃止すべきだというのはあまりにも無責任です。また、事業の多くは既に始まっており、一方的に中止すれば、その影響は非常に大きなものになります。

東京都だけでみても、都市再生事業のほとんどが特区の恩恵を受けています。もしこの法律が本当に施行されれば、築地市場の移転問題の比ではない金額の損失が発生し、国にその賠償責任が生じる可能性もあります。金額面以外にも、首都直下地震などへの対応も遅れることになります。

全ての行動には結果が伴い、結果には責任が伴います。特に政治が与える負の影響は非常に大きなものであり、政治家や政党の無責任な行動は許されないです。ましてや、民進党の蓮舫代表は、旧民主党政権下で行政刷新担当大臣として、規制改革を推し進めてきた当事者です。

獣医学部の新設は、今治市から繰り返し出された陳情に対し、自民党政権が「対応不可」としてきたものを鳩山由紀夫政権が2010年3月に「速やかに検討」として格上げしたものではありませんか。当然、蓮舫代表はそこに関わってきた当事者の一人で、今回の民進党の対応を見る限り、大臣時代に何も学ばなかったとしか思えません。

鳩山由紀夫政権
だからといって、現在の特区制度に問題がないわけではありません。特区認定の実現までに中心的な役割を果たす「国家戦略特区諮問会議」の民間議員の一人が一定の力を持ち、民間議員による利益相反(自己の関係先への利益供与)が存在した事実も国会で確認され、是正のための対策が講じられることになりました。しかし、現在までのところ民間議員の責任に対する明確な追及はありません。

特区問題を問題視すというのなら、本来、証人喚問すべきは国会でも取り上げられたこの民間議員であり、「言った、言わない」の水掛け論にしかならない前文部科学事務次官ではないはずです。特区制度が気に入らないからといって、ちゃぶ台返しで廃止とは全くお話ににもなりません。

平成28年9月9日、第23回国家戦略特別区域諮問会議
 しかし、民進党の真の目的は安倍倒しであって、特区などはその道具に過ぎず、本来どうでも良いのでしょう。だから問題の本質を追求することなどはなから興味がないのです。

国家戦略特区のワーキング・グループの議事録などを見ていると、この段階で、文部省は完敗北していることがうかがえます。

これをみると、安倍総理が加計学園、獣医学部設置に関与したなどということはとても考えられません。民進党は、議事録を読んでいるのか本当に疑わしいです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/index.html

そもそも、民進党はこの停止法案は、通るはずもないという前提で提出しているとしか思えません。本当に通ってしまえば大混乱になります。通らないことを前提で、単なるイメージ戦略の一環としての提出だとしか思えません。

このようなことでは、確かにブログ冒頭の記事にもあるように「有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」ということになってしまいます。

今回の、廃止法案提出はまさに民進党がそのような意思表示をしたとしか受け止めようがありません。しかし、今回のようなことをしていると、民進党は万年野党の地位すら維持できなくなるかもしれません。

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