2018年11月8日木曜日

中間選挙で有利な状況を無駄にした民主、根強いトランプ支持者の存在 ―【私の論評】米国の対中強硬路線は変わらないどこかさらに強化される(゚д゚)!

中間選挙で有利な状況を無駄にした民主、根強いトランプ支持者の存在

2020年大統領選への影響は?

写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 2018年のアメリカ中間選挙は、大方の予想通りの結果となった。

 連邦議会上院では共和党が多数を維持し、下院では民主党が多数を奪還した。上院は2年ごとに全100名のうちおよそ3分の1ずつ改選されるが、今回はその33選挙区に補欠選挙を加えた35選挙区で選挙が行われた。改選部分の大半の候補は6年前にオバマ元大統領が再選を果たした2012年選挙の当選組であり、改選35議席のうち民主党が26を占めていたので、いかに民主党が有利に選挙戦を展開したとしても民主党が多数を占めるのは困難とされていた。日本時間8日午前1時の時点で、ワシントンポスト紙によると、上院は合計で共和党が51議席、民主党は45議席で、共和党が多数を維持している(残りは未定)。他方、下院については453議席全てが改選され、共和党の引退議員が多かったこともあり、民主党の勝利が予想されていた。ワシントンポスト紙によれば、民主党が過半数を超える220議席を獲得し、共和党の獲得議席数は193である(残りは未定)。

 アメリカの連邦議会選挙は現職議員の再選率が9割を超える。だが、現職議員が引退した選挙区は争いが激化することがあり、今回の選挙では、そのような選挙区でどちらの政党が勝利するかに注目が集まっていた。それらの選挙区では、連邦議会の多数派をどちらの政党に握ってもらいたいかという判断に基づいて投票が行われる度合いが高くなる。議会で多数を握る政党は、政策決定で重要な役割を果たす委員会の委員長ポストを握ることができるため、政策過程に大きな影響を行使することができる。有権者は大統領の方針に賛同している場合には政権党に投票し、大統領に歯止めをかけてほしいと考える場合には非政権党に投票する。その意味で、中間選挙には大統領への中間評価という意味も込められている。

選挙が近づくにつれ、接戦の予想に

 中間選挙をめぐっては、これまでの歴史から導かれた経験則がいくつか存在する。だが、今回の中間選挙は、それらの経験則から一様の結果を導くのが困難だった。

 まず、新たに選出された大統領を擁する政党は、最初の中間選挙では議席を減らす傾向がある。また、現職大統領の支持率が低い場合も、政権党は議席を減らす傾向がある。

 ABCとワシントンポストの共同調査によれば、トランプ大統領は40%というトルーマン政権以後史上最低の支持率で最初の中間選挙を迎えている。これら二つの経験則は、民主党優位を予測していた。

 他方、経済状態が良好な時には政権党が有利になるという経験則もある。経済成長が続き、失業率が低い場合には、政権党の経済運営を継続させようという意思が働く。有権者の多くは景気を選挙における最重要争点にあげることが多く、今回の選挙に際しても各種世論調査で景気が最重要課題としてあげられていた。この結果は、今回の選挙が共和党に有利であることを示唆していた。また、不人気な戦争もないことも、共和党にとって好都合である。

 このように、過去の経験則から相矛盾する予測がなされた結果、今回の中間選挙の結果を予測するのには難しさが伴った。実際、中間選挙1カ月前には上下両院の多数を民主党がとるのではないかとの予測がなされていたが、選挙が近づくにつれ、接戦の予想がされるようになった。

政策論争よりもトランプ大統領への「評価」を強調

 今回の中間選挙は、通例とは異なる特徴を持っていた。

 第一に、連邦議会に党の顔となる人物が不在だった。通例の選挙では、現職の下院議長が下院多数派の政党の顔として、そして、下院少数派が逆転勝利した場合に下院議長を目指す人がその政党の顔として、選挙戦を主導することが多い。だが、今回の選挙では現職下院議長のポール・ライアンが引退表明をし、民主党で下院議長への返り咲きを目指しているとされるナンシー・ペロシは共和党支持者の間でとりわけ不人気なこともあって表立った活動を控えた。

 その結果、現職大統領のドナルド・トランプが共和党の、前大統領のバラク・オバマが民主党の顔として存在感を示す結果となった。権力分立が厳格なアメリカでは、大統領と連邦議会は抑制と均衡の関係に立つため、大統領が議会選挙の顔となるのは本来好ましくない。選挙戦がトランプ対オバマの様相を示したことは、二大政党共に連邦議会議員の中で、選挙の顔となるべき人物が存在しないことを示唆していた(この点については、9月の記事「中間選挙で民主党がオバマに頼らざるを得ない理由」http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14082 を参照していただきたい)。



 それと関連して、第二に、今回の選挙ではトランプ大統領への評価という側面が強調され、政策論争が回避された。民主党はトランプ大統領に対する批判を中心に選挙戦略を組み立てた。トランプ相手に政策論争を展開してもかみ合った政策論争は成立しない。民主党が提示する政策案に対してトランプが過激な発言をし、感情的対立に発展するのがおちである。そのような判断を基に、民主党は政策論争を徹底的に避けたのだった。

 そして第三に、先ほど指摘したように、今回は長らく民主党優位の予想が続いていたものの、選挙直前に混戦化したのが特徴だった。それには10月になってから登場したいくつかの要因が影響している。ホンジュラスやエルサルバドル、グァテマラなどの中米諸国から暴力を逃れて庇護を求める約7000人の集団(キャラバン)が選挙直前にメキシコ経由でアメリカに向かってくるという事柄が発生したこと、また、ブレット・カバノー氏の連邦最高裁判所判事への就任をめぐる問題が大争点となったことが、トランプ支持者を刺激し、共和党に有利に働くことになった。

依然として有効な「移民戦略」、
根強いトランプ支持者の存在


 共和党は下院で多数を維持することはできなかったものの、意外と善戦した背景には、トランプ支持者の存在がある。とりわけ、必ずしも裕福とは言えない白人、中でも、ラストベルトと呼ばれる地域で製造業に従事していた労働者階級の人々と、福音派キリスト教徒が大きな影響を果たした。

 トランプは前者の支持を得るために、中南米系の移民や不法移民が彼らの雇用を奪っていると主張し続けてきたが、その戦略は依然として有効だった。先に述べたキャラバンについて、トランプは、麻薬密売人やギャング集団、イスラム過激派が混じっているなどと根拠の定かでない主張を繰り返して危機を煽った。トランプは民主党が彼らをアメリカにけしかけてアメリカの主権を脅かさせているとも主張した。

 ちなみに、10月27日にペンシルヴェニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で銃乱射事件を起こした反ユダヤ主義者の犯人は、民主党に巨額の支援を行ってきたユダヤ系のジョージ・ソロスがキャラバンの組織化を促したと主張していたようだが、FOXニュースなど保守派メディアでも、ユダヤ系などが民主党に有利な状況を作り出すためにキャラバンを向かわせたのではないかとの陰謀論が主張されていた。2016年大統領選挙でトランプを当選させたのと同様に、中南米出身者によって国境危機がもたらされているという(おそらく誤った)認識が、トランプ支持者を共和党支持に向かわせた。

 後者の福音派キリスト教徒については、カバノー判事の任命問題をめぐって展開された反カバノー・キャンペーンが悪影響をもたらした。福音派は1973年のロウ対ウェイド判決で女性に認められた人工妊娠中絶の権利を覆すことを目指している。それら社会的争点については裁判所が大きな影響力を持つため、判事の任命は中絶賛成派・反対派の両方にとって重要な問題である。カバノーは中絶など社会的争点において福音派と同様の立場をとっており、反カバノー・キャンペーンは福音派キリスト教徒の活動を活性化したといえよう(この点については、10月の記事「「カバノー承認問題」で党派対立激化、中間選挙への影響は?」http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14172 を参照していただきたい)。

有利な状況を無駄にした民主党の拙速な行動

 今回の選挙では、民主党に有利な状況が存在したにもかかわらず、拙速な行動をしてしまったために、その資源を無駄にしたという印象も強い。

 民主党は、トランプ支持者を刺激するのを避けるため、2020年大統領選挙と大統領弾劾については争点化しない方針を確認していた。だが、2020年大統領選挙への出馬を目指しているとされるエリザベス・ウォーレンのスタンドプレーにより、その目論見は崩れた。

 彼女はネイティヴ・アメリカンの血をひくことを売りとしており、しばしばトランプによってポカホンタスと揶揄されていた(ポカホンタスは伝説的なネイティヴ・アメリカンである)。ウォーレンはDNA鑑定の結果を示して先住民の祖先を持つことを明らかにしたが、それを発表するためにアップされた動画は、明らかに2020年大統領選挙を意識したものだった。その動画がトランプ支持者を刺激したのは言うまでもない。そして、ウォーレンの行動に先住民のチェロキー族が異議を申し立てるというオチまでついたことは、民主党陣営の脇の甘さを示していたといえるだろう。

 カバノー承認問題でも、民主党の対応は拙速だった。カバノーによって性的暴行を受けそうになったと主張する人物が現れたのを民主党が積極的にとりあげたが、ここで問題視されたのはカバノーが17歳の時に行ったとされる事件であり、それを立証する明確な証拠は存在しなかった。また、その後登場した第二、第三の自称被害者は、実際は被害にあっていないことが判明した。性的暴行事件が極悪な犯罪であるのは誰しも認めるが、この件については、カバノーの承認を妨げるために、明確な証拠がないにもかかわらずカバノーを叩いているのではないかとの疑念を持つ人々が登場した。また、推定無罪の原則を強調し、犯罪者に更生の機会を与えるよう主張する傾向の強いリベラル派が、この事例に関しては有罪推定をしてカバノーを徹底的に批判したことはダブルスタンダードに映った。これらのことが、共和党支持者による民主党への反発を強めたのである。

二大政党の対立はより激化か

今回の中間選挙の結果は、以後のアメリカ政治にどのような影響を与えるだろうか。今後のトランプ政権に及ぼす影響と、2020年大統領選挙に及ぼす影響について予測したい。

 まず、直近のアメリカ政治に及ぼす影響としては、今回の選挙戦を通してアメリカの政治、社会の分断が一層深刻化したため、二大政党の対立はより激化するだろう。現在の連邦政府は、大統領の所属政党、連邦議会上下両院の多数党の全てを共和党が占める統一政府の状態だが、以後、連邦議会上下両院の多数派がねじれ、大統領の所属政党と議会多数派の政党が異なる分割政府の状態となる。連邦議会下院の議長と各種委員会の委員長を全て民主党が握ることになる。議会上下両院ともに二大政党の勢力拮抗状態が続くため、二大政党は他党との違いを示そうとして対立姿勢を強める可能性が高い。二大政党が合意できる可能性のある争点はインフラ投資などごく一部に限られるため、よほど革新的な政策案が出てこない限りは、政治の膠着状態が続く可能性が高いだろう。

 連邦議会下院の多数派を民主党が握ったことにより、トランプ大統領の弾劾に向けた動きが出てくる可能性もあるかもしれない。もっとも、弾劾が成功する可能性は極めて低い。弾劾を成功させるには、検事役を務める下院が単純過半数の賛成に基づいて訴追した上で、上院の出席議員の3分の2の賛成を得る必要があるが、上院議員の3分の2の支持を確保するのは極めて困難だからである。とはいえ、弾劾裁判が議題に上がればトランプ大統領の資質問題がクローズアップされるため、2020年大統領選挙のスケジュールを念頭に置きながら、民主党が弾劾の動きを示す可能性はあるだろう。

 最後に、外交面に与える影響は、必ずしも大きくないと予想される。そもそも連邦議会選挙で外交が争点となること自体が多くないためである。だが、内政面で業績を上げることが難しい場合に大統領が対外政策で注目を集めるべく強硬な姿勢をとる可能性はあり、多くの人にとって驚きの事態が発生する可能性があるかもしれない。

2020年大統領選はどうなる?
大きな困難を抱える両党


 2020年大統領選挙に向けては、二大政党共に、大きな困難を抱えていることが判明した。

 共和党は結局、最後はトランプ頼みであることが明らかになった。今回の選挙でトランプは、大統領選挙と見まがうほどに選挙戦のために全米を飛び回った(ただし、その訪問地は2016年選挙でトランプが勝利した州が中心であり、トランプに対する批判が強い地域はほとんど訪れなかった)。もし、トランプに対する弾劾が開始され、それにトランプが反発を示して自ら辞職するような事態になると、トランプは民主党のみならず共和党批判も展開すると予想される。また、トランプが再選を目指し、それを良しとしない対抗馬が現れた時には、共和党内で泥仕合が展開される可能性もあるだろう。

 また、トランプによって党の性格が変質させられたことが、共和党にとっては大きな痛手になるかもしれない。トランプは民主党に投票する可能性のあった白人労働者階級を共和党支持者に組み込んだ功績があるが、逆に、共和党の中核的支持者であった農家の反発を招いている。トランプは白人労働者階級の支持を確保するためにTPPからの離脱を決定したが、その決定は、日本などへの農作物の輸出を期待していた農家に大きな不利益を与えた。最近、農家の間でのトランプに対する支持率は大幅に低下している。このような状態で2020年大統領選挙を迎えることに、共和党主流派は不安を感じているだろう。

 他方、民主党も前途は明るくない。今回の選挙を経て、民主党内では、穏健派と進歩派(左派)の対立が鮮明になった。今回は反トランプムードの高まりもあり、進歩派の存在感が高まった。それを象徴するのが、民主党下院で第4番目の序列にあった有力者のジョー・クローリーを予備選挙で破った28歳のアレクサンドリア・オカシオ・コルテスだろう。彼女は2016年大統領選挙でバーニー・サンダース陣営で働いた経歴を持ち、民主社会主義者を自称している。このような人物は、選挙区が小さく、同質的な有権者が比較的多い下院の選挙では勝利することができる。だが、その勢いを背景に大統領選挙で進歩派が存在感を増してしまうと、本選挙で穏健な有権者が民主党を支持しなくなる可能性がある。2020年大統領選挙で民主党が勝利するためには、トランプ・ボーターを一定程度取り戻すことが必要になると予想されるが、それを不可能にしてしまう可能性が高いだろう。

 2018年中間選挙は、アメリカ政治を安定させるのではなく、さらなる混乱を生み出す可能性を生み出したのかもしれない。

【私の論評】米国の対中強硬路線は変わらないどこかさらに強化される(゚д゚)!

2018年の米中間選挙は、下院選の投票者数が過去最高の推計1億1400万人に上るなど記録ずくめで、世界各地から大統領選並みの注目を集めました。

今回の選挙は、今後のトランプ大統領の政権運営を占う重大なイベントで、投票日間際にもトランプ氏の政敵に爆発物が送りつけられたり、ピッツバーグのユダヤ人教会堂で発砲事件が起きるなど波乱が続きました。

しかし結局のところはブログ冒頭の記事にもあるように、野党・民主党が下院の過半数を奪回するというありきたりな結果に終わり、多くの民主党支持者が期待した「ブルーウェーブ(青い波)」は起きませんでした。

ブルーウェーブは起きなかった

民主党は下院の議席を改選前から30議席ほど増やし、上院で失った議席はわずかでしたが、最近の中間選挙に照らして「大勝」とは言えません。原因は米国の景気にありました。青い波は好調な米経済という陸地にぶつかり、砕け散りました。

現在、アメリカは好景気を謳歌していますが、共和党が下院で敗北したことによって、政治的不安定を恐れて株価が下落する可能性が高いです。同時に、アメリカの株価下落は世界の市場にも大きな影響を与えると考えられます。ただし、下院で民主党が多数派政党になったところで、アメリカの対中戦略が大きく変わることはないでしょう。

共和党の主流派、グローバリスト、ネオコンと呼ばれる人たちは、すでに引退したり予備選挙で敗退したりしています。そのため、共和党の内部を見ればトランプ支持派が多くを占める格好となっており、政策にもトランプ色がより濃く打ち出されていくことは確実です。トランプ大統領としても、今後は支持層に強く訴えかける必要があるため、さらに保守的な政策を掲げる可能性もあります。

ちなみに、民主党系でも『民主社会主義者』を名乗るバーニー・サンダース上院議員が圧倒的な支持を集めて再選しており、いわば“アメリカ版サヨク”が躍進しています。それは中間派やグローバリストの排除を意味するわけで、今後もアメリカ全体がトランプ支持派である“プア・ホワイト”(白人の低所得者層)寄りに傾いていくことが予想されます。

バーニー・サンダース上院議員の躍進


貿易戦争の渦中にある米中は、11月末にアルゼンチンで行われる20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせて、トランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談を開く予定であり、通商協議のゆくえが注目されています。

先日、一部の米メディアが『トランプが複数の閣僚に対中貿易に関する合意案の作成を指示した』と報じましたが、NEC(国家経済会議)のラリー・クドロー委員長が否定するなど、米中経済戦争は情報戦の様相を呈してきています。

また、クドロー委員長は対中関係について『以前ほど楽観視していない』と語っており、協議の結果次第では中国製品にさらなる関税をかけることも示唆しています。米国としては、中国の景気悪化に巻き込まれないことが大切であり、『現時点でなんらかの合意をしてもメリットはない』というのが本音でしょう。そのために、いわば逃げる時間が必要なのでしょう。

ねじれ議会となったアメリカは2年後の大統領選に向けてどう動くのか、目が離せない事態が続きそうです。

とはいいながら、大きな方向性として「対中強硬路線」は変わりません

マイク・ペンス米副大統領は10月4日、ワシントンのハドソン研究所で、「米国は中国共産党によって完全に欺かれてきた。中国は対外膨張政策をとり、軍事的強硬策をとっている。習近平政権は独裁色を濃厚にしている」「中国共産党は、新興国に向けて、債務の罠(わな)を仕掛け、植民地主義的な略奪政策を実行している」などと講演しました。

米国のハイテク技術を不当に手に入れ、米国に挑戦するように軍事的覇権を強めている中国への事実上の「宣戦布告」と言われました。これは、米ソ冷戦の開始を告げた、ウィンストン・チャーチル英首相の「鉄のカーテン演説」をほうふつさせました。

対中強硬路線は、共和党も民主党も関係なく、米国内で受け入れられる素地があります。ウイグルやチベットでの人権弾圧は、米国をはじめ自由主義国にとって看過できない問題です。

いまや対中国戦略は、トランプ大統領主導による貿易戦争から、米国議会主導によるありとあらゆる制裁によるペンス副大統領がいう「冷戦Ⅱ」に移行しました。この「冷戦Ⅱ」
は、次の大統領が誰になろうとも継続されることになります。

トランプ大統領は今月末、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで始まるG20(20カ国・地域)首脳会議に合わせて、習国家主席と米中首脳会談を行う。

中間選挙の全国遊説で見せた勢いのまま、トランプ大統領は共産党独裁国家による世界覇権を阻止する構えです。

中国は、貿易戦争に関しては、トランプ氏大統領の専売特許のように思っており、トランプ氏が退きさえすれば、また元に戻ると思っていたようです。トランプ大統領の任期は最大で8年、来年の選挙で負ければ4年です。中国は、最大8年間耐えれば、元に戻ると考えていたようですが、その目論見は完全に崩れました。

米国による対中経済冷戦は、中国が体制を変えるか、体制を変えないなら、徹底的に経済を悪化させ、他国への影響を完璧に削ぎ落とすまで実行されます。少なくとも10年、長ければ20年以上にわたり実行されることになるでしょう。

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2018年11月7日水曜日

米財務省からの「恐怖の電話」に韓国銀行は白旗! “徴用工”で日本も敵に回した韓国に援軍なし―【私の論評】根拠のない選民思想で崩壊する民族(゚д゚)!

米財務省からの「恐怖の電話」に韓国銀行は白旗! “徴用工”で日本も敵に回した韓国に援軍なし 

徴用工でまた…韓国“異常”判決

米国と中国の狭間で揺さぶられる韓国。北朝鮮に接近し、「中立国家」を妄想する文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、「米国の“お仕置き”が始まった」と指摘するのは、元日本経済新聞編集委員の鈴置高史(すずおき・たかぶみ)氏だ。いわゆる「徴用工判決」をめぐり、日本は国際司法裁判所(ICJ)に単独提訴する方針を固めた。朝鮮半島情勢をウオッチしてきた鈴置氏は、韓国の現状を「打開策はない」と分析する。

鈴置氏は近著の『米韓同盟消滅』(新潮新書)で、韓国の歴代政権の対外姿勢の変遷や韓国人のメンタリティーなども論じている。

チェ・スンシル問題に類似していると話題の『密会』という
韓国ドラマの2話に「中二病」と発言するシーンが・・・・

「韓国人の若者の間で『中二病』という言葉が出てきた」と鈴置氏。韓国紙、中央日報でも「中二病」が使われているという。

「中二病」とは、中学2年生前後の思春期特有の自意識過剰や妄想にふける様子を示す日本生まれの言葉だ。「韓国は自分に隠された力があると信じているが、世間が認めてくれないので世界に知らしめなければいけないと思っている」というのだ。

韓国社会でそうした傾向が強まってきたのが2008年のリーマン・ショック以降だといい、「中国と一緒になって、米国や日本を見下すような姿勢を取るようになった」と鈴置氏。呼応するように、政権も米国に反発する態度を取るようになってきたとみる。

歴代大統領は「朴槿恵(パク・クネ)政権になると中国を、文政権は北朝鮮を敵としなかったことで『米韓共通の敵』がなくなった。韓国人の多くは南北分断を解消するには大国の力を排除して中立化するしかないと思っている。観念論者の文氏は経済のことは考えていないようだ」と鈴置氏は分析する。

もちろん米国が黙って見過ごすわけはない。鈴置氏が注目するのが、中央日報(日本語版)が5日報じた《米財務省の「恐怖の電話」で南北経済協力の窓を閉めた韓国の銀行》との記事だ。韓国の7つの銀行が米財務省テロ金融情報局から「対北朝鮮制裁を順守すべきだ」という内容の要請を直接受け、緊張の度合いを高めているといった内容で、同紙は「韓国政府の表情を眺めていた銀行が今では米国の顔色をうかがっている」と表現した。

「これまでにない“お仕置き”の仕方だ」と鈴置氏は強調する。「韓国の大手銀行は、ドルで決済しないと生きていけない。米韓同盟が消滅すると当然、資本は一斉に引くが、情報が流れるだけでも信用不安につながる」

資本流出への備えとなるのが通貨交換(スワップ)協定だが、韓国は米国とのドル建てスワップはすでに終了している。中国とのスワップも、韓国側は延長したと公表したが、鈴置氏は「中国は明言しておらず、何かあったときにスワップに応じるかどうかは分からない」と喝破する。

実は頼みの綱は日本しかないのだが、最高裁判決でほぼ不可能になった。「まさに『レミングの群れ』(集団で水に飛び込んで死ぬとされるネズミ科の動物)だ」と鈴置氏。「米国の韓国専門家も『微妙な段階で余計なことをした』と懸念を示すほどで、米国自身も韓国に手を焼いている。韓国は援軍のいないところで日本を敵に回したことになる」

日本はICJへの単独提訴や、第三国の仲介による仲裁委員会での判断を視野に入れている。鈴置氏は今後の動向をこう予測する。

「ICJや仲裁委員会では韓国は不利だと思っており、財団方式(での補償)を求めてくるだろうが、慰安婦で失敗して日本も認識しているので甘い顔はしないだろう」

打つ手のない韓国はどこへ行くのか。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 1954年生まれ。早大政経学部卒業後、日本経済新聞社に入社。1987~92年にソウル特派員を務める。香港特派員、経済解説部長、編集委員などを歴任し2018年退社。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。朝鮮半島情勢の鋭い分析と予測で知られる。『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)などの著書がある。

【私の論評】根拠のない選民思想で崩壊する民族(゚д゚)!

韓国旗

慰安婦問題や北朝鮮との宥和政策など、国際的な取り決めを一方的に反故にし、自分たちだけの勝手な理屈で動く韓国。なぜそのような理屈が通ってしまうのでしょうか。なぜ「韓国の常識は、世界の非常識」と言われるのでしょうか。評論家の室谷克実氏は、「世界で稀な優秀なる単一民族、と教えられるからそうなるのだ」と解説します。

室谷克実氏


(以下「新潮45」3月号、【特集】「非常識国家」韓国 「歪んだ教育が生む『選民意識』の国民たち」(室谷克実)より抜粋)

新潮45 3月号表紙

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「韓国の常識は、世界の非常識」と、かねて韓国ウオッチャーの間で言われてきた。

「お客様は神様です」との台詞は日本の上方芸人が言い出したらしいが、P・ドラッカーも難しい表現で同じようなことを言っていた。(ブログ管理人注:「企業の目的は、顧客の創造」であるのことか?)

「お客様は神様です」は資本主義が発達した国では常識だ。もちろん韓国でも「お客様は神様です」だ。

ところが、韓国の場合は「神様の偉さ」が度を超えている。

例えば「韓国の神様」は、衣料品店に外出の際に1度、あるいは2度ぐらい着た服を持ってきて、「気に入らないから返品する。金を返して」と要求する。店が断ると「消費者をバカにしている店だとネットにいろいろ書いてやる」と恫喝する。

仕方がなく店が返金に応じても、それでは終わらない。謝罪要求が続く。店員に土下座を強要するような「神様」が韓国にはたくさんいる。(中略)

店が「神様」をバカにすることも多々ある。前述の衣料品店なら、返品された服を新品として大人しそうな客に売りつけるのは当たり前だ。

飲食店で、客の食べ残しを次の客に出すのは、まさに“韓国の常識中の常識”だ。

気に入らない客が来たら、痰を吐き入れたドンブリを出すことも珍しくない。

日本人からすると「信じがたい非常識」「悪質きわまる」となるだろうが、まるで武勇伝を記録するかのように、そうした場面を映したユーチューブはたくさんある。



ソルロンタン(牛の頭などを煮込んだ白濁したスープ料理)や、粥の類は要注意だ。

「高級ホテルで食べる鮑粥なら大丈夫」などと思ってはいけない。なにしろ「世界の常識」が通じない国なのだから。

選民思想と自己主張の国

なぜ韓国では、「世界の非常識」が常識になったのだろうか。

私は教育によるところが圧倒的だと思っている。

韓国の教育は、賤民いや選民思想に基づく。

「われわれは世界でも稀な単一民族であり、世界で最も優秀な民族だ」

「われわれは加害者になった歴史がなく、常に被害者だった」

「世界中の民が韓国に憧れている」

「われわれの価値観は常に正しい」

「日本人は文明的に遅れた民族であり、われわれは日本人に対して常に道徳的優位にある」

こんなことを幼い時から刷り込むのだ。そして、協調性の大切さよりも、自己主張を立派にできることの重要さを教え込む。

では、そうした「正しい教育」を受けて育ち、物心がついた頃に見る韓国社会はどんなものなのか。

私利私欲に走ることが当たり前であり、悪いことをしても見付からなければ良いとする社会だ。

滅私奉公の精神など存在しない。その逆の「滅公奉私」が彼らの基本的価値観だ。

原子力発電所で大事故が起きたら、大惨事になる。

福島原発の大事故の際、東京電力の現場は、まさに滅私奉公の精神で対処した。

韓国では、安全性に細心の注意を払うべき原発に、性能証明書を偽造して不正部品を導入した。原発を運営する国策会社の社長を含む幹部、部品納入会社の関係者ら百余人が逮捕された。

自分の懐が温まるのなら、世界の常識である「原発の安全性」など、どうでもいい――まさしく私利私欲が公益に優先する滅公奉私の社会だ。

そして「見付かっちゃったとは、運が悪かったね」で終わるのだ。

端的に言えば、公徳心の欠片もない社会であり、誰もが常に「騙されないようにしなくてはいけない」と身構えている総体的不信の社会だ。

が、彼らにとっては、それが「世界中が羨む韓国社会」なのだ。

だから彼らは、世界のどこへ行っても「韓国の正しい常識=世界の非常識」を貫こうとする。

それが外国人から批判されると、「遅れた民族は、われわれの進んだ常識に対応できずに文句を言っている」と思い込む。

例えば、韓国の留学生は、図書館で地図帳を借りては、「日本海」あるいは「ジャパンシー」(JAPAN SEA)とある表記を消して「東海」(EAST SEA)と書き込む。

最近は「東海」(EAST SEA)と印刷されたシールが、留学に出る学生に国策団体から渡されるという。

公共の図書館の蔵書に、そんな工作をするとは、まさに「世界の非常識」だ。ところが彼らは、図書館の職員に見つけられ注意されると「正しい知識を、遅れた国の民に教えてやっているのに何が悪い」と居直るのだ。(中略)

韓国の教育は、韓国人に自国に対する限りない自信を与えている。韓国人にとって“進んだ韓国型常識”で動いている韓国は「素晴らしい国」なのだ。(後略)
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全文は「新潮45」3月号に掲載。韓国社会の「信じがたい非常識」の実例や、韓国を知る日本人ほど韓国を嫌うという実態、韓国で行われる国際イベントの杜撰な運営体制などを詳しくレポートしています。また、同特集では他にも「自滅に向かう『親北トンデモ外交』」(李相哲)、「『願望』史の国」(八幡和郎)など、「非常識国家」韓国を多角的に分析しています。

室谷克実も語るように、韓国人には選民思想があるといいますが、では選民思想とは何なのでしょうか。それは、無論本当に神がその民を選んだということではなく、神に選ばれたという事にして民を率いることが実行しやすいということで、行われたようです。

例えばモーゼが、エジプトで奴隷になっていたイスラエルの民を出エジプトさせるのに、モーゼ個人の力だけでは不足であるため、モーゼには神が付いている、イスラエル民族に出エジプトさせようとする神がいるとして、神の名を借りたのでしょう。モーゼに神が付いている以上、イスラエルの民は従わざるをおえないです。

映画「十戒」より

バビロン捕囚に遭ったイスラエル民族も、その後民族をまとめるために、多神教から一神教に変更し、イスラエル民族を導く神・ヤハウェイを作り出しました。そうして、イスラエル民族は、神ヤハウェイが選んだ民、選民となったのです。そうする事で指導者は民衆をまとめやすくなったのです。

日本では、江戸時代に黒船が来て大騒ぎになりました。このままでは欧米列強に蹂躙されてしまうということで、深刻な情勢となり、それを乗り切るため天皇を神として、日本の民族主義が始まったようです。どの国でも一国をまとめるためには、政治よりも宗教中心の民族主義が一番効果があるようです。

幕末浦賀に来校した“サスケハナ”と同型の“ポーハタン”の図 所蔵:神奈川県立歴史博物館

では韓国人はどうなのでしょうか。彼らは選民なのでしょうか。韓国朝鮮の歴史の中で、これといった一神教の宗教は存在しません。

せいぜい儒教とか、事大主義、両班(ヤンパン:貴族のこと)中心の奴隷制度は存在するものの、これは宗教とは呼べないものであり、「チャングムの誓い」の宮廷ドラマなどを見ても、神という言葉は一切出てきません。

キリスト教が盛んになったのは戦後であり、神から程遠い国でした。文鮮明教祖が、神に最も近いのが韓国人であり、神に最も遠いのが日本人であると言ったそうですが、これは真っ赤な嘘です。

韓国人の選民意識とは、神を抜きにした民族主義であり、「朝鮮人とは紀元前2333年から続く純潔の単一民族」というのもです。もちろんこれは、根拠が全く薄弱な話ですが、国民を洗脳してまとめ上げていくのに効果があるようです。

韓国の学校では、神話上の「檀君がBC2333年、朝鮮を建国し・・・」等と本気で教えています。

日本に関しては、「未開で何の文化的背景ももっていなかった石器時代の倭人に対し、優れた単一民族の朝鮮人が移民し文明化してやった、日本という国も文化も作ったのは我々である」「日本人とは優れた韓民族と野蛮な縄文人の混血である」という考え方であると教えています。

こうした背景から、日本や日本文化に対して韓国人は非常に特別な感情を持っています。彼らは公教育で「日本という国と文化は自分達が作ったのだ」「古代、百済人は日本を支配していた」と教えられて育つため、日本人も「同じ“正しい”歴史観を持たなければいけない」と非常に強く感じています。

彼らの歴史観では檀君の時代からずっと一つの民族が、他の国や民族から支配される事無く、朝鮮半島で民族の純血を守り通し単一民族国家を形成し、「日本を支配していた事になっていなければならない」のです。

選民意識の強い韓国人は、特に日本人の「劣等性」を指摘する事で自己の優越性を実感しやすいため、逆に日本人から「韓国社会の問題」を指摘されることを極端に嫌う傾向にあります。彼らの価値観では、相手から問題点を指摘されたときに、それを認めるという事は自らが相手よりも劣等であると認めるのと同じだからです。

韓国人の選民意識とは、「韓国朝鮮人は5000年の歴史があり、世界一優秀な単一民族である」ということです。

ここには神は存在しません。神抜きの思想であると言いうより、自らを絶対的な民、神としているようです。

自分たちは選民だとする彼らは、自分たちは絶対的な民であると、自らを最高の善とし、自分たちに従わない国は悪であるし、自分たちより優れた国は感情的に許せないのです。

この選民思想は、史実とは無関係であり、とにかく傲慢極まりない悪質な思想です。そうして、これは、戦後、国民をまとめ上げるために作られた民族主義に過ぎません。自国民を美化神格化した民族主義です。

イスラエル民族の選民思想場合は、イスラエルの神が弱い民を導いているという神中心の民族主義です。

韓国は、再臨主のために準備された民族ではなく、根拠のない選民話を作り上げて、信者を増やし、組織拡大しているだけです。韓国の選民思想における、再臨論は韓国の妄想民族主義で成り立っています。

それらしい嘘の話をでっちあげて、自国民を籠絡して服従させるための韓国宗教が、韓国選民思想です。一般信徒は信じて利用されているだけなのですが、教祖や幹部は信徒をコントロールするのが仕事です。

戦後50年くらいまでは、まともな大人には、このような作り話はあまり信用されていなかったのでしょうが、戦後70年もたち、子供の頃からこのような教育をされると、選民思想にかなり染まる韓国人が主流になったのでしょう。

だからこそ、選民意識の強い韓国では、国民情緒法という、他国からみると非常識と思われる、韓国の常識ができあがったのです。

国民情緒法とは、国民世論次第で判決が決まるなど罪刑法定主義が崩れがちな韓国の社会風潮をマスメディアなどが皮肉った言葉です。国民情緒に合うという条件さえ満たせば、行政・立法・司法は実定法に拘束されない判断・判決を出せるという意味です。

このような、状況が許容されつづければ、いずれ社会不安が深刻化して、韓国の体制は崩れるでしょう。そうして、最終的には北朝鮮に吸収されることでしょう。

その末路は、一般国民は北朝鮮の人民と同じ生活水準で労働を強制され、能力のある人間は、とてつもなく安い賃金で、北朝鮮のインフラづくりや、核兵器を含む兵器づくりに従事させられることでしょう。

さらには、北朝鮮の富裕層をさらに富ませるためのみに、輸出産業に従事させられ。とことん働かされることになるでしょう。

そうして、実質国のない民として、北朝鮮人民とは別扱いされ、徹底的に搾取されることになるでしょう。その時には、彼らは反日で盛り上がっていた過去の韓国を懐かしく憧憬の念を持って思い出すことでしょう。そのときになって自分たちは選民でなかったことに、はじめて気づくことになるでしょう。

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2018年11月6日火曜日

各国で「右派」が躍進する理由… 経済苦境と雇用悪化を招いた左派に対し、国民に「刺さる」政策で支持得る―【私の論評】雇用は他のどの指標よりも重要!ティラー・スウィフト効果は僅少!中間選挙は雇用をかなり良くしたトランプ共和党が断然有利(゚д゚)!

各国で「右派」が躍進する理由… 経済苦境と雇用悪化を招いた左派に対し、国民に「刺さる」政策で支持得る

ブラジル大統領選で勝利したボルソナロ下院議員

 ブラジル大統領選で、右派のボルソナロ下院議員が勝利した。このところ、各国で右派政治家が選挙で勝利しているのが目立つ。米国のトランプ大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領、ハンガリーのオルバン首相などだ。

 ドイツの地方議会選では、メルケル首相が党首を務める中道のキリスト教民主同盟が敗れたが、これも極右勢力と極左勢力の台頭によるものだ。

 主要7カ国(G7)でみると、米国のトランプ大統領、英国のメイ首相、日本の安倍晋三首相が右派、フランスのマクロン首相、ドイツのメルケル首相、イタリアのコンテ首相、カナダのトルドー首相が中道といったところではないだろうか。

 ブラジルの政治事情をみると、ボルソナロ氏の前は、左派・労働党の人物が大統領を長年務めていたが、国民の拒否感が強かったようだ。背景には深刻な不況があり、2015~17年はマイナス成長だった。不況に加えて政治汚職などのスキャンダルが、今回の右派大統領の誕生につながっている。

 フィリピンではドゥテルテ大統領が国内の治安問題への対処で高い支持率を得ている。

 ハンガリーは反移民の強硬策が国民の人気を博し、10年からオルバン首相の長期政権になっている。同じ欧州で、オルバン首相の強権政治と対極といわれていたのが、ドイツのメルケル首相だが、寛容な移民政策のために地方選挙で相次いで敗北し、キリスト教民主同盟党首を辞任することになった。首相は続けるが、レームダック化は避けられない。

 欧州では、移民政策への対応によって、それに反対する右派が勢いを増しているようだ。

 ハンガリーでは、経済成長率も10年の0・7%から上昇傾向で、17年には4・0%になった。一方、ドイツでの成長率は10年に4・1%だったが、その後はあまり振るわず17年は2・2%にとどまった。

 こうしてみると、右派は、左派の経済低迷を背景に、国民に「刺さる」政策で支持を得たときにできやすいようだ。

 経済苦境とも表裏一体であるが、左派政権下の雇用悪化を受けて右派政権が誕生し、雇用で一定の結果を出している国も多い。

 ブラジルは、11%を超える失業率を記録している。本来なら雇用がうたい文句のはずの左派政権では情けない数字で、右派政権ができても不思議ではない。

 米国もトランプ政権になってから雇用が好調で、失業率は4%とほぼ完全雇用状態である。フィリピンの失業率は5・4%で、ドゥテルテ大統領就任時より改善している。ハンガリーはオルバン政権になってから一貫して失業率が低下しており、今では3・7%と発足時の11・2%とは段違いの雇用環境だ。

 日本でも、第2次安倍政権が発足して以降、雇用が格段に良くなっているのは説明するまでもないだろう。

 左派政権が雇用を確保できないときに、右派が左派のお株を奪っているという現象が世界的に起きているのだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】雇用は他のどの指標よりも重要!ティラー・スウィフト効果は僅少!中間選挙は雇用をかなり良くしたトランプ共和党が断然有利(゚д゚)!

冒頭の高橋氏の記事には、米国ではトランプ政権になってから雇用がよくなっているとありますが、確かにそのとおりです。以下に、直近(10月)はどうであったかを示します。

米国ではトランプ政権になってから毎月雇用が
増えているが10月は25万人の雇用が増えた

米労働省が発表した10月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が25万人増となり、市場予想の19万人増を上回りました。失業率は労働参加率の上昇にもかかわらず49年ぶりの低水準となる3.7%を維持したほか、賃金の伸びは9年半ぶりの高水準となりました。労働市場の一段の引き締まりが示されたことで米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げを実施するとの観測が一段と裏付けられました。



トランプ大統領は雇用統計を歓迎し、ツイッターに「これらは信じられない数字だ」とつづりました。


10月はハリケーン「フローレンス」の影響で停滞したレジャー・接客部門の雇用が回復。製造、建設、専門職などの部門でも雇用は大きく拡大しました。

労働省は10月半ばにフロリダ州を直撃したハリケーン「マイケル」による10月の統計への影響は軽微だったとしています。

ただ9月分は11万8000人増と、13万4000人増から下方修正されました。

時間当たり平均賃金は5セント(0.2%)増加。前年比では3.1%増と、前月の2.8%増から加速し、2009年4月以来の高い伸びとなりました。

10月は週平均労働時間が34.5時間と、前月の34.4時間から増加しました。賃金の上昇は他の経済指標でも示されており、インフレ率が当面はFRBが目標としている2.0%近辺で推移するとの見方を裏付けるものとなります。

FRBは来週の連邦公開市場委員会(FOMC)では政策を据え置くとの見方が大勢となっていますが、エコノミストの間では、10月の労働市場関連の経済指標が力強かったことで12月のFOMCでは利上げに動くとの見方が濃厚になっています。FRBは9月に今年に入ってから3回目となる利上げを実施しています。

過去3カ月間の毎月の雇用増の平均は21万8000人。労働人口の増加に対応するためには毎月10万人前後の雇用増が必要とされていますが、この水準を倍以上上回っています。

10月の労働参加率は62.9%と、前月から0.2%ポイント上昇。現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は7.4%と、前月の7.5%から低下しました。

雇用率は60.6%と0.2%ポイント上昇し、09年1月以来の高水準となりました。

業種別ではレジャー・接客が4万2000人増加。小売は増加したものの2400人増にとどまりました。経営破綻した小売り大手シアーズ・ホールディングス(SHLDQ.PK)の店舗閉鎖などが影響した可能性があります。

建設は3万人増、製造は3万2000人増となりました。製造業は前月の1万8000人に続く増加。トランプ米政権は保護主義的な貿易政策を打ち出していますが、これまでのところ米製造業に対する雇用面での影響は顕在化していません。

この雇用の改善は、当然のことなが本日開票される、米国中間選挙には有利です。オバマ前大統領は、「米国の経済は、前民主党政権自体から良くなっていた」と中間選挙の応援演説で述べていました。確かにそのようなことはあります。ただし、雇用に関してはオバマ大統領のときも改善しつつありましたがが、トランプ大統領になってからは明らかにかなり改善しています。

今年6月11日のニューヨーク・タイムズには、「雇用の数字がどれほど良いものか表現する言葉がもうない」と題された、コラムが掲載されました。以下にその内容の日本語訳を掲載します。
「雇用の数字がどれほど良いものか表現する言葉がもうない」

ニール・アーウィン著
ニューヨーク・タイムズ「The Upshot」
2018年6月1日1日に発表された5月の雇用の数字を分析する時に本当に疑問となるのは、それを的確に表現するために『良い』の同義語がネットの類語辞典に十分存在するかどうかという点だ。 
例えば、「splendid(輝かしい)」や「excellent(卓越した)」といった言葉が当てはまる。そのような言葉が適切となるのは、米国経済で増加に至るまで9年間かかったにもかかわらず、1カ月に22万3千の雇用が追加された場合や、失業率が18年で最低の3.8パーセントに落ちた場合のことだ。 
「salubriousな(健康的)」「salutary(有益な)」「healthy(健全な)」は、平均時給が0.3パーセント上昇したことを表現する言葉として使える。しかもそれは、昨年全体で2.7パーセントの上昇であった・・・。

また広義の失業率には、失望から職探しを諦めてしまった人も含まれるが、それが7.6パーセントに低下した。アフリカ系アメリカ人の失業率は5.9パーセントに低下し、最低記録となった。「great(偉大な・すばらしい)」と見なすべきものだろう。

類語辞典には、雇用の数字に言及する際には通常使用しない同義語も他にあるが、この月に対しては適切だ。例えば様々なレポートが互いに合致しているという意味で、「congruous(適合する・調和する)」というものがある。つまり、雇用主がより多くの雇用を生み出して、より多くの人が仕事に就き失業者が少なくなるようにしており、給与が上昇することへつながっている。

5月の数字から引き出せることは、アメリカの景気が安定したペースで好調を続けており、仕事に就く人が増え賃金も徐々に上昇しているということだ。
出典:https://www.nytimes.com/2018/06/01/upshot/we-ran-out-of-words-to-describe-how-good-the-jobs-numbers-are.html 

このようなコラムがニューヨーク・タイムズに掲載されたわけですから、最近の雇用の回線はトランプ政権によるもの以外には考えられないといえると思います。

そうして、これは今回の中間選挙で決定的な追い風となることでしょう。この中間選挙については、昨日も掲載しました。
米中間選挙情勢 接戦6州が焦点 6日投開票―【私の論評】トランプ共和党は確実に過半数を維持する(゚д゚)!

さて、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このブログでは、カバノー最高裁判事の任命を巡って民主党が露骨な妨害をしたこと、中米から数千人の移民キャラバンが米国国境を目指していることが米国民の危機感をあおり、移民に寛容な民主党にとって不利な材料になっていること、さらにいわゆる「隠れトランプ共和党支持者」が大統領選挙のときよりも増えていることから、共和党は上院・下院とも過半数を維持するであろと予測しました。

ただし、一つ掲載し忘れていたことがあります。それが、雇用状況に大幅な改善です。これは、当たり前のことのようですが、雇用が良くなければ、他の何が良くても不利になります。

雇用が良ければ、かなりの追い風になります。経済指標は雇用も含めて様々なものがあります。その中で最も重要なのは雇用です。GDPも重要ではありますが、GDPが良くなっても雇用がまずければ、多くの国民は経済がよくなったとは実感できません。

多くの人がたとえ、経済が悪くなったとして、最悪解雇されたにしても、雇用情勢が良ければ、すぐに就職することができます。それだけ希望を持ち、希望を失わないで生活てきます。しかし、GDPや他の指標がいくら良くても、雇用が悪化すれば、その逆になります。希望が失われ、大きな社会不安がまきおこされることになります。

特に日本以外の国々では新卒一括採用などという制度はありません。あくまで、必要なとき募集します。そうなると、雇用が悪くなるとまず誰より見若者を直撃します。

雇用状況が良くなれば、若者も採用されやすくなります。最近、テイラー・スウィフトが民主党支持を表明しました、これを大きく評価するむきもありますが、私はそうではないと思います。

テイラー・スウィフト

これだけ雇用が改善されているて、ティラー・スウィフトが民主党を応援したとしても、それに新たに引きずられる若者はそう多くなるとは考えられません。

それだけ、雇用は重要なのです。どの国であれ、雇用が良くなったり、良さを維持できていれば、その時の政権は安定します。そうでない政権は逆に不安定になります。

最近は、韓国の文在寅大統領の退陣の危機もささやかれています。それについては、以下の記事をご覧になってください。
韓国内で非難炸裂!文大統領に“退陣”危機 『従北』傾斜に外交官OBら異例の緊急声明「文政権の国家安保蹂躙を弾劾する」

文在寅大統領

この記事には、雇用のことは書かれていませんが、文在寅大統領は、金融緩和せずに最低賃金をあげるという、マクロ経済的にはあり得ない政策を実行し、雇用が激減して大失敗しました。ちなみに、これは経済成長も金融緩和もしないで、再分配を強化するという、立憲民主党の枝野の氏の理論と全く同じです。

韓国の大統領、日本の野党第一党のリーダーがともに左翼系であり、その両者とも金融機緩和に関心がなく、よって雇用を状況良くすることができないのです。

私自身は、韓国があれだけ雇用が悪くなれば、文政権もおしまいになるのではないかと思っていたのですが、さすがにその気配がでてきたようです。実際は、どうなのかはわかりませんが、少なくとも雇用が良くなっていれば、若者を中心に大きな支持を得て、大統領退陣などということは全くありえなかったでしょう。

しかし、あれだけ雇用が不安が大きいと、国民情緒法なるものがある国柄ですから、弾劾ということもあり得るかもしれません。ちなみに、朴槿恵前大統領も、金融緩和をしなかったため、雇用がかなり悪化していました。そうして、あのようなことになりました。

韓国では、大統領になった人が金融緩和をしないと今後とも、雇用が悪化し続けて、国民の支持を失い続けると思います。反日などやっている場合ではないと思います。まずは、金融緩和をして雇用を改善すべきです。

いずれの国のリーダーも雇用を安定化させなけば、政権が不安定になるし、雇用を安定化できれば、政権も安定するということです。

以上のことを考えると、雇用は他のどの指標よりも重要であり、ティラー・スウィフト効果はこれに比較すれば僅少であり、やはり雇用をかなり良くしたトランプ共和党が両院ともに過半数を維持するのではないでしょうか。

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米中間選挙情勢 接戦6州が焦点 6日投開票―【私の論評】トランプ共和党は確実に過半数を維持する(゚д゚)!

2018年11月5日月曜日

米中間選挙情勢 接戦6州が焦点 6日投開票―【私の論評】トランプ共和党は確実に過半数を維持する(゚д゚)!

米中間選挙情勢 接戦6州が焦点 6日投開票



米中間選挙は6日に投開票される。与党・共和党が上下両院で過半数を維持できるかどうかが焦点で、戦いの行方は2020年の大統領選で再選を目指すトランプ大統領の政権運営を大きく左右する。共和党は上院で優勢にある一方、下院では厳しい戦いを強いられており、トランプ氏の野党・民主党に対する攻撃は最終盤で過熱している。

 上院(定数100、任期6年)は35議席、下院(定数435、任期2年)は全議席が改選される。全米50州のうち36州では州知事選も行われる。

 米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」は2日現在、上院では非改選分も含めて共和が50議席、民主が44議席を獲得すると予測している。与党は採決で賛否同数の場合、副大統領が兼務する上院議長の決裁で法案を可決させられるため、50議席で議決権を握れる。

 中西部インディアナ、ミズーリ、南部フロリダ、西部アリゾナ、ネバダ、モンタナの6州は支持率5ポイント差以内の接戦だ。トランプ氏は共和の現有51議席からの上積みを目指し、3日にモンタナ、フロリダ両州で演説するなど最終盤のテコ入れに努めている。

 一方、同サイトは、下院選では民主が203、共和が196の選挙区で優位にあり、過半数218をめぐる攻防は接戦36選挙区にかかっているとみている。

 下院については一時、民主の圧勝も予想されたが、9月後半から共和が追い上げている。民主が保守派のカバノー連邦最高裁判事の人事承認をめぐって女性暴行疑惑を追及し、トランプ氏の支持層が反発して結束したとみられている。

 最終盤でトランプ氏は、民主党が不法移民に寛容すぎると非難。中米から米国に向かう移民集団への対処のため、最大1万5千人の米軍部隊を国境地帯に派遣すると表明した。民主党候補を応援するオバマ前大統領は2日、「勇敢な兵士を国境での政治的な人気取りに使っている」と批判した。移民問題の争点化が、有権者の投票行動にどう影響するかも注視される。

【私の論評】トランプ共和党は確実に過半数を維持する(゚д゚)!

私自身は、米国の議会選挙に詳しくないですし、日本国内の選挙の票読みなども上手にはできません。しかし、トランプ大統領の誕生については、少なくとも1年前くらいから、十分ありえることであると予測して、それは最後まで変えませんでした。

なぜそのようなことをいえたかとえば、やはりトランプ大統領候補が誕生した背景と、米国社会の現状を分析していたからだと思います。このときは、日米のメデイアよりは、よほどまともな予測ができたと思いました。

今回は、やはりトランプ大統領、すなわち共和党側が有利と判定しました。その根拠はこのブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本メディアが報じない「トランプ支持急上昇」の裏事情―【私の論評】上昇は偶然ではなく必然!リベラル派が期せずして火をつけた(゚д゚)!
トランプ大統領の(ときに根拠は不明の)過激発言が保守派支持層を熱狂させている
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に私なりに分析した「トランプ大統領有利」の根拠について引用します。
元々、カバノー氏は清廉潔白の士であり、公平な人物との評価の高い人物でした。だからこそ、トランプ大統領が、最高裁判事に指名したのです。 
このような人物を中傷することで、「またリベラルにいいようにされる」と危機感を抱いた保守派が団結したのです。だから、キャバノー氏が中間選挙の追い風になったのです。
ブレッド・カバノー氏

次に、「カラバン問題」に関しても、「ランプ大統領は「カラバン」の中に犯罪者、テロリスト、中東からの亡命者も含まれていると根拠希薄な主張を繰り返し、断固として国境を守るとアピールしている」としていますが、これも本当に根拠希薄な主張であるといえるかどうか、冷静に判断すべきです。
まずは、「カラバン」の中にテロリストや中東からの亡命者が全く存在しないという主張は正しいでしょうか。私は、その可能性は全く否定することはできないと思います。
そもそも、安全保障などはあらゆる可能性を検討すべきものであり、最初からそのようなことはあり得ないなどとして、検討するなどということは間違いです。大量の移民・難民が押し寄せればその中にはテロリストどころか、武装難民も存在するかもしれないことは否定できません。これは人種差別ではありません。国を守るということを前提とすれば、当然て出て来る懸念です。
米国のマット・ガエッツ下院議員(共和党)はツイッターに、主催者がキャラバン参加者の女性と子供にお金を渡している動画を投稿し、大規模移民団の背後に政治的な動機があることをほのめかしました。またそのツイートでは「Soros?」と書き、ジョージ・ソロス氏の支援する団体との関連をほのめかしていましたが、オープン・ソサエティ財団はすぐさま同団体とソロス氏の一切の関与を否定するリプライを返しています。
 カバノー連邦最高裁判事に対する中傷は、ほんんどの保守派に怒りの感情を燃え上がらせる結果となりました。「カラバン問題」に関しても、リベラル層がこの危険を煽るトランプ大統領を、あらゆる手段で批判・攻撃するリベラル層にやはり怒りの感情に火をつけました。

この怒りの感情はかなり大きなものです。何かができていない、できないことに関して、それを妨げるものに、多数の人々が怒りの感情を燃え上がらせることができれば、それも単純ではなく、ある程度管理できるようなやり方で燃え上がらせることができれば、できていない、できないことを出来るにすることはさほど難しくないと思います。

そうして、これは何も悪いことで否定されるべきことではありません。世の中には、これによって成功した事例はいくらでもあります。ビジネスマンの経験が長い、トランプ大統領はこのようなやり方に長けているのでしょう。

だから、今回の中間選挙は「トランプ大統領」に有利と見たのですが、その後も有利とみれる事柄がいくつかでてきましたので、ここで紹介させていただきます。

まずは、世論調査に現れない「隠れトランプ」が増えていることがあげられます。有力な世論調査会社「ラスムッセン」は2日「また静かな赤い波が押し寄せるのか?」との分析記事を配信しました。

同社では全米1000人の有権者を対象に「中間選挙で誰に投票するか他人に知られても構いませんか?」と質問した結果、民主党支持者の60%は「構わない」と言ったのに対して共和党支持者でそう答えたのは49%に過ぎなかったのです。

最近、米国の都市の一部ではトランプ大統領のスローガンの「アメリカを再び偉大に」と書いた赤いキャップをかぶっていると袋叩きにあったり、レストランで共和党を支持するようなことを喋ると他の客の嫌がらせを受けて店をおいだされるようなこともあるので「トランプ共和党を支持する」と公言するのをためらう空気があるようです。

昨年トランプ大統領が登場するまで、米国ではリベラルが圧倒的に幅をきかせていました。教育機関、学会、役所、組合、民間企業、芸能界、メディアのほとんどすべてが、リベラルが幅を効かせ、リベラルの価値観が正しいとされ、保守層などこの世に存在かのような扱いでした。

この傾向は、トランプ大統領が登場したからといって、すぐに是正されるわけもなく、現在でも、リベラルは幅を効かせているようにみえます。しかし現実は違います。少なくとも米国の人口の半分は、保守層が存在しなければ、トランプ大統領が登場することはおこりえないはずです。

しかし、現実には、保守派は社会のあらゆる機関や、側面で保守派であることをもろに宣言することはなかなか難しいです。だからこそ、保守派であることや、トランプ支持者、共和党支持者は、「トランプ支持者」であることをなかなか公言しないのです。

その逆はよく目にすることがあります、たとえば、有名な芸能人などが、テレビなどで、自分は若い頃熱心な共和党支持者だったことを告白し、今は民主党支持者のリベラルであることを誇らしく語るという番組が結構あります。

この差が世論調査に反映されると、共和党支持の声は民主党のそれよりも低く出るということになって選挙予測を誤らせることになりかねないです。

実は同社は二年前大統領選挙の際にも同様の調査を行なっており、「誰に投票するか知られたくない」とした者が共和党支持者の間で民主党支持者よりも6%多く、この「隠れトランプ支持者」を読み切れなかったことが大方の予想を誤らせた原因とされました。

しかし今回は、その差が11%と二年前よりさらに広がっています。つまり今回の中間選挙では「隠れトランプ支持者」が増えているということなら「また赤い(共和党色)の波が押し寄せるのかもしれない」とラスムッセンは分析しているのです。

その中間選挙ですが、「大統領政党が負ける」というジンクスに加えて、民主党が潤沢な選挙資金を武器に初戦は大きくリードし「青い(民主党色)の波が押し寄せてきた」とも言われました。しかしその後カバノー最高裁判事の任命を巡って民主党が露骨な妨害をしたことで批判され、その一方で景気は上向き続けて共和党が盛り返しています。

メキシコ国境を超えたカラバン

上でもあげたように、特に最近は中米から数千人の移民キャラバンが米国国境を目指していることが米国民の危機感をあおり、移民に寛容な民主党にとって不利な材料になっています。

ブログ冒頭の記事にもある通り、各社の世論調査をもとに選挙予測を行う「リアル・クリア・ポリティックス」の最新の分析では、上院では共和党がすでに過半数の50議席を確保しており、下院では民主党203、共和党196で未定36と接戦になっています。

しかしこれには「隠れトランプ共和党支持者」は考慮されていません。とすれば、共和党は下院でも世論調査に現れている以上の得票を得て、民主党に過半数の218議席を与えないと考えるのが、妥当ではないかと思います。

故に、「トランプ共和党は過半数を維持する」といえると思います。そうして、この勝利は、トランプ大統領の再戦を有利にすることは確実です。


2018年11月4日日曜日

コラム:消費増税は時期尚早、将来世代に回るツケ=嶋津洋樹氏―【私の論評】財政再建は既に終了、増税で税収減るので必要なし!財務省はバカ真似は止めよ(゚д゚)!

コラム:消費増税は時期尚早、将来世代に回るツケ=嶋津洋樹氏

各種報道を見る限り、2019年10月の消費増税はほぼ既定路線になったようだ。財務省を始め財政再建を訴える人たちは、とりあえず胸をなでおろしていることだろう。世論も消費増税を支持しているようで、日本経済新聞とテレビ東京による世論調査(10月26─28日実施)では47%が賛成と、反対の46%を上回った。

10月のロイター企業調査に至っては、「実施すべき」との回答が57%と、「実施しない方がよい」の43%を大幅に上回った。ロイターはその理由として、「財政健全化を先送りすべきではない」というのが「代表的な意見」と報じている。「少子高齢化が進行する中で、『(増税しなければ)社会保障制度が維持できない』」、「これ以上の先送りは、国民の先行き不透明感をあおるだけ」などの意見も取り上げている。

筆者も財政再建を先送りすべきではないと考えているし、その際に消費増税が安定した財源となることにも異論はない。しかし、それが来年10月で良いのかは問われるべきだ。少なくとも最近の経済指標は、国内景気が増税を乗り越えられるほど強い状態でその時期を迎えられない可能性を示している。

2カ月ぶりに減少した9月の鉱工業生産は、小幅な落ち込みにとどまるという市場の予想をあっさり裏切り、前年比1.1%低下した。7─9月期は前期比1.6%減と、3%減少した14年4─6月期以来の大幅な落ち込みを記録した。主因は台風や地震などの自然災害が相次いだことだろう。日銀の黒田東彦総裁が10月31日の記者会見で述べた通り、そうした影響は「基本的には一時的で」、「政府、民間企業も復旧の投資を行い、むしろ成長率を押し上げる」可能性もある。

<経済指標は6月ごろから弱含み>

しかし、8月の本コラムで指摘した通り、経済指標は6月ごろから弱さが目立つ。たとえば、工作機械受注は18年1月(48.8%増)以降、9月まで8カ月連続で伸びが鈍化。とくに中国向けは17年8月に前年の2.8倍増加していたものが、18年3月にはマイナスへ落ち込み、9月は前年比22%減と、7カ月連続で減少した。



日本を訪れる外国人の数も9月は前年比5.3%減と、13年1月に1.9%減って以来のマイナス。季節変動をならしてみると前月比5.7%減となり、6月以降、4カ月連続で前月の水準を下回った。

インバウンドで湧く大阪府のシティホテルの客室利用率(全日本シティホテル連盟)は、同じく季節変動をならしてみると、18年5月の88.9%が直近のピークで、6月は83.2%へ急低下。それ以降、4カ月連続で低下し、9月は73.5%と12年3月以来の低水準となった。

重要なのは、こうした経済指標の悪化が9月のみならず、それ以前から見えるということだ。そうした前提に立つと、景気の代表的な先行指標である新規求人数が9月に前年比6.6%減と16年10月以来の減少に転じたこと、そのマイナス幅が金融危機の影響を引きずる10年1月に13.4%減少して以来であることを、「一時的」と簡単に結論付けるわけにはいかない。国内景気は9月の自然災害で「一時的」に落ち込んだというよりも、それ以前からの弱さが露呈してきた可能性がある。

日本経済を取り巻く環境も、決して良好とは言えない。中国は今春以降、習近平国家主席が掲げるデレバレッジ(債務圧縮)方針への忖度(そんたく)が行き過ぎ、地方を中心に金融危機をほうふつさせるほど信用収縮が進んだ。金融当局などが迅速に対応して大事には至らなかったが、景気に急ブレーキがかかった状態にある。ハードランディングは回避できるとみているが、習主席が方針転換を明示しない限り、中国景気の足取りは重いままだろう。

米国は減税の追い風もあり、景気の回復が続く可能性は高いものの、プラス3─4%だった4月から9月の成長ペースを維持できるとは考えにくい。11月6日の中間選挙で共和党が上下両院とも制し、一段の減税など拡張的な財政政策が選択されるシナリオはゼロではない。しかし、その場合は米連邦準備理事会(FRB)に早期の金融政策正常化を促したり、ドル高がトランプ米大統領が推進する輸出振興を妨げたりするだろう。金利上昇に敏感な住宅市場に減速感があることも気がかりで、堅調な個人消費に水を差しかねない。

こうした状況で無理に消費増税に踏み切れば、日本の景気が失速するのは不可避だろう。安倍晋三政権は負担軽減策を講じ、万全の態勢で臨む姿勢を示すが、前回増税した14年4月を振り返るまでもなく、効果は未知数と言わざるを得ない。増税は一時的ではなく、恒久的に所得を減少させる。本気で影響を最小化しようとするのであれば、その減少分のいくらかを恒久的に補てんする必要があるだろう。

「そんなことを言っていたら、いつまでたっても財政再建などできないだろう」という声が聞こえてきそうだ。繰り返すが、筆者は財政再建の必要性を否定しているのではない。なぜデフレからの完全脱却を待てないのか、と主張しているだけだ。財政再建には、需給ギャップが明らかにプラスへ転じ、物価が2%で安定的に推移するようになってから取り組むべきである。

<若者の人生を左右>

内閣府と日銀の推計値によると、確かに需給ギャップはプラスに転じている。しかし、国際通貨基金(IMF)の試算値では、17年がマイナス0.864%、18年がマイナス0.749%と、明らかなマイナス圏にある。需給ギャップを用いて議論をするに当たっては、相当の幅を見ておく必要があるという常識に従えば、IMFの数値も考慮に入れるのは当然だ。

ロイターによると、IMFのラガルド専務理事は10月4日にインドネシアで麻生太郎財務相と会談した際、日本の消費税率の引き上げに支持を表明した。一方で、5%から8%に引き上げた4年前の増税に言及し、景気への影響には注意を払うよう伝えたという。ラガルド氏の発言を筆者なりに解釈すれば、IMFに理事まで派遣している国が下した判断を尊重しつつも、需給ギャップがマイナスの状態で増税をするのだから影響は大きくなる、くれぐれも慎重に、ということだろう。

そのIMFの分析によれば、日本の政府債務は名目GDP(国内総生産)比で235.6%、いわゆる「GDPの2倍以上」であるが、資産を勘案した純債務では5.8%に過ぎない。IMFが試算した31カ国中、最も大きな純債務を抱えるのはポルトガルで135.4%。125.3%の英国がそれに続く。統計が揃わないイタリアを除いた先進6カ国では、カナダのみが資産超過で、フランス、ドイツ、米国はそれぞれ42%、19.6%、16.7%と、日本よりも純債務が大きい。

日本では財政の話になると、なぜか急に「将来世代にツケを回すな」という声が出て、増税は当然という結論になる。しかし、需給ギャップがマイナスのまま財政再建を急げば、景気に大きな負荷がかかり、デフレに陥るリスクすらある。若者が希望通りの仕事に就けない、それどころか仕事がないという、つい最近まで日本が経験していた縮小均衡の世界である。

今も日本企業の多くは新卒を一括採用し、社会人としてのスキルは就職後に時間をかけて習得させるのが基本だ。つまり最初に正社員として就職できないと、その後の選択肢は大きく制限される社会である。増税先延ばしが将来世代にツケを回すという議論だけでなく、デフレから完全に脱却しないまま来年10月に増税すれば、将来世代の人生を大きく左右しかねないという議論もすべきだろう。

嶋津洋樹氏

嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)


【私の論評】財政再建は既に終了、増税で税収減るので必要なし!財務省はバカ真似は止めよ(゚д゚)!

私は典型的なリフレ派であり、すでに財政再建は終わったと考えています。そのため、消費税の10%への増税は全く必要ないと考えています。それについて、このブログで何回も掲載しています。その典型的なもののリンクを以下に掲載します。

1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言―【私の論評】野党とメディアは、安保や経済など二の次で安倍内閣打倒しか眼中にない(゚д゚)!

スティグリッツ氏

政府の連結資産に含められるのは、日銀だけではない。いわゆる「天下り法人」なども含めると、実に600兆円ほどの資産がある。これらも連結してバランスシート上で「相殺」すると、実質的な国債残高はほぼゼロになる。日本の財務状況は、財務省が言うほど悪くないことがわかる。
 
スティグリッツ氏は、ほかにも財政再建のために消費税増税を急ぐなとも言っている。彼の主張は、財務省が描く増税へのシナリオにとって非常に都合の悪いものなのだ。 
彼の発言は重要な指摘であったが、残念ながら、ほとんどメディアで報道されなかった。経済財政諮問会議の事務局である内閣府が彼の主張をよく理解できず、役所の振り付けで動きがちなメディアが報道できなかったのが実際のところだろう。
この記事は、2017年4月2日のものです。広い意味での財政再建はこの時点で終了していたといっても良いです。この状況では、増税などする必要性は全くありませんでした。

これが、いわゆるリフレ派というか、日本ではリフレ派というと異端のようにみられますが、世界標準でごく当たり前の見方です。日本の財務省の官僚などは、日本が本当に増税する必要があり、その明確な根拠があるとすれば、スティグリッツ氏と意見が異なるわけですから、もし財務省の見方が正しければ、ノーベル経済学賞を受賞できる可能性があるはずです。しかし、そのような話は全く聴いたことはあません。これは、日本の財務省の官僚の誤謬です。

日本ではなぜかリフレ派は少なく、日本は財政再建からはまだ遠い状況であるとする人が多いです。ブログ冒頭の記事を書かれた、嶋津洋樹氏もそのような見方をしています。

そうして、嶋津氏が語るように、たとえ日本が財政再建からまだほど遠い状況であるという立場からも、現在は増税などすべきではないです。

本日は、この立場から、データをあげつつ増税をすべきでない理由を以下にあげます。

図1 財務省データより作成

財務省が発表した、2016年度の税収が、7年ぶりに前年度を下回ったことが、話題を呼んでいました。

全体の税収は、前年度より0.8兆円少ない55兆4686億円でした。法人税も5000億円減り、所得税も2000億円減り、消費税も2000億円減っている。各税収項目が、軒並み下がっていました(上図)。 

2017年7月7日付日経新聞の朝刊は、税収が減った理由について、「財務省は税収の大幅減は『特殊要因が大きい』と説明する」と報じていました。

法人税が下がった理由として、「年度前半の円高で企業業績に陰り」と説明されていました。「イギリスのEU離脱などの影響で、円高になったので、企業の輸出が減ったせい」という理屈です。しかし、日本の経済規模(GDP)に占める、輸出(純輸出)の比率は1%ほどに過ぎないです。

また所得税が減った理由については、「株価伸び悩みで譲渡所得減る」と書かれていました。「株価が上がらないので、株を売った時などの収入にかかる税金が減った」ということだ。しかし、所得税収における、「株式等の譲渡所得等」の内訳は、5%程度に過ぎないです。

財務省も各新聞も、税収が減った原因を、円高や株価など、経済全体にとっては"些細"なものばかりに求めているように見えました。

一方、様々な経済指標を見てみると、経済規模(GDP)の60%近くを占める消費が、悲惨な状況になっていました。

下の図は、世帯ごとの消費支出の推移です。2014年から、2017年の間に、各世帯の消費は年34万円も減ってしまっています。こはサラリーマンの月収、1カ月分に近いです。
図2 総務省統計を元に編集部作成。「1世代1カ月間の収支(2人以上の世帯)の各年1月の名目消費支出額を、消費者物価指数(2017年1月基準)を用いて実施値とし、年間の消費に調整。

こうした「消費が弱い」「デフレから抜け出せない」という指摘は、GDPが発表されたり、日銀の失敗を語る時には、各新聞とも書いていることです。にもかかわらず、なぜ税収の話になったとたん、「消費」の二文字が消えるのでしょうか。これは、かなり不自然です。

動機はある程度、察しが付きます。財務省には、「2019年秋の消費税10%への引き上げを、再延期させない」という目標があるのでしょう。

内閣が昨年6月に発表する、財政政策の方針のベースとなる「骨太の方針」から、前年まで書かれていた「消費税」についての言及が消えたことが、話題になりました。「消費税がいけなかった」ということを、政治家は知っていたのでしょう。今後、「消費税10%」を巡る、内閣と財務省の水面下の対決は、本格化してくるでしょう。

そうして今年の「骨太の方針」には、「消費税」という言葉が復活しました。今年に入ってから財務省が攻勢を強めたことがうかがえます。

そうした中で、財務省が「消費税のせいで、税収まで腰折れした」という認識を、持たれないようにしているようです。

各メディアも、財務省の公式発表を表立っては否定しません。日本中の経済情報を握っている財務省の機嫌を損ねてしまえば、経済記者は「商売上がったり」なのでしょう。それに、財務省から貰えるはずのスクープ情報も、もらえなくなるのでしょう。さらに財務省らから睨まれると、出世ができなくなるのでしょう。また、10%に上がったときの軽減税率の対象から、新聞を外されては困るという事情もあるのでしょう。

今後、税収減の傾向はさらに続く可能性があります。というのも、今回の税収は2016年度のものでしたが、図2を見ると、2017年の消費はさらに落ち込んでいます。
下のグラフは、1989年、すなわち消費税を導入した年から2017年までの税収の推移です。どの税収も若干上がっています。これは増税はして消費は落ち込んだものの、幸い輸出などが増えたことによるものです。



この推移を見ると景気動向に合わせて上下の変動はありますが、消費税導入以来随分税収が減ってきました。

一方消費税収の推移をみてください。こちらは逆にどんどん増えてきています。今や消費税収は17.5兆円で法人税収(約12兆円)を上回っています。

消費税を上げたダメージは、年々じわじわ積み重なって、3年後くらいから本格化すると言われています。「消費が減る→企業の売り上げが減る→給料が減る→さらに消費が減る」という悪循環が、少しずつ進行していくからです。

消費増税の本当の怖さは、直接消費を減らすこと以上に、その負のスパイラルの引き金を引いてしまうことだと言えます。2017年度は上記にもあげたように、輸出の増大があり、税収は増えていますが、もしそうでなかった場合を想定すると、税収の推移は以下のようになったと考えられます。





1990年に消費税を導入した時も、1997年に消費税率を5%に上げた時も、景気が絶好調の時に増税したので、税収は一瞬だけ上がりました。しかし、それから1~3年の間に徐々に景気が傾き、税収も落ち込み傾向に向かっていきました(下図)。




今回も、税収の推移のグラフが、同じようなカーブを描く可能性が高いです。

本当に、将来的に安定した税収を確保したければ、消費税率を5%に戻すべきです。ましてや、10%に上げることなど言語道断です。

以上は、財政再建などとは全く別にいえることです。税収という点からみても、10%増税などとんでもないということです。

財政再建という観点からはそもそも終了しているので増税の必要がないですし、税収という観点からも10%増税は全く正しくないのです。

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2018年11月3日土曜日

苦境の習氏、トランプ大統領にすり寄りか 米中首脳が電話会談 藤井氏「米国は甘い顔を見せない」―【私の論評】内需を拡大できない中共の宿痾で中国は凡庸なアジアの独裁国家に成り果てる(゚д゚)!

苦境の習氏、トランプ大統領にすり寄りか 米中首脳が電話会談 藤井氏「米国は甘い顔を見せない」

トランプ大統領と習近平主席

 ドナルド・トランプ米大統領は1日、中国の習近平国家主席と電話会談を行った。「米中新冷戦」が顕在化するなか、苦境に陥った中国としては、米国にすり寄った面もある。トランプ氏としても、中間選挙(6日)の直前に、硬軟織り交ぜた外交手腕をアピールする意図もありそうだ。

 《習氏と貿易に重点を置き、長い時間、多くの議題をめぐり協議した。(11月末に)アルゼンチンで開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議での会談予定も順調だ》《(北朝鮮情勢についても)良い協議ができた》

 トランプ氏は1日、ツイッターにこう書き込んだ。両首脳の電話会談は、貿易摩擦が深刻化する前の今年5月以来。

 中国の国営中央テレビ(CCTV)などによると、習氏は会談で「世界2大国が、安定的で健全な関係を促進することを望んでいる。過去に経済貿易で立場の違いもあり、両国の産業と世界貿易はマイナスの影響を受けた。今後は、双方で受け入れ可能な案で通商協議を進め、2カ国間貿易での協力を拡大したい」と発言。

 これに対し、トランプ氏は「習氏との良好な関係構築を重視している。両国で頻繁に意思疎通することが重要だ」と語ったという。

 トランプ政権は、中国が、米国のハイテク技術を不当に入手しているなどとして、これまでに、中国からの総額2500億ドル(約28兆円)の輸入品に対し、高額の関税をかけた。

 背景には、米国に挑戦するように、軍事的覇権を強めている共産党一党独裁の中国を牽制(けんせい)する意図がある。米国はこの先、米中協議などが不調に終われば中国に追加制裁を発動する構えだ。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「トランプ氏は、中国が実際に結果を出さなければ、妥協はしない。習氏としても、これ以上、関税をかけられたり、トランプ氏から『G20での首脳会談もないぞ』と言われると困る。米国に泣きつき、今回の電話会談になったのだろう。すべては、マイク・ペンス米副大統領が10月4日、ワシントンで、中国を念頭に『宣戦布告』といえる演説をしたことに始まっている。トランプ氏は、中国にはそう簡単には甘い顔を見せない」と語った。

【私の論評】内需を拡大できない中共の宿痾で中国は凡庸なアジアの独裁国家に成り果てる(゚д゚)!

中国はもうすでに、八方塞がりです。中国がまともな国であれば、たとえ米国から貿易戦争を挑まれても、金融制裁をくらってもやりようがあるどころか、潜在能力としては世界一なのですが、現在の体制ではその能力を十分活かすことができません。

それは何かといえば、内需拡大策です。本来はこれを実行し、それに成功すれば、別に米国と貿易などしなくても、やりようはあります。ただし、先進国並みに内需拡大ができるような体制の国であれば、そもそも中国は米国などと貿易摩擦を起こすこともありませんでした。

記者会見する中国国家発展改革委員会の連維良副主任(右端から2人目)ら=9月25日、北京

中国のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会の連維良副主任は9月25日の記者会見で、米国による対中制裁関税の影響について「中国経済には強靱性と内需の潜在力がある。リスクは全体として抑制できる」と述べました。消費促進などの内需拡大策を強化し、貿易摩擦の影響を相殺する方針と語りました。

実際、中国政府は内需刺激策を順次打ち出しています。しかし、かつては中国でしばしば景気刺激策の柱となったインフラ投資の拡大については、比較的抑制的な水準にとどめられています。

これは、過去のインフラ投資拡策が生み出した弊害を踏まえたものです。10年前のリーマン・ショック後に中国政府が実施した、インフラ投資中心の4兆元(当時の為替レートで約56兆円)の景気対策やその他のインフラ投資拡大策は、後に企業、地方政府の過剰債務問題をもたらし、金融システムの安定を損ねる事態に発展してしまいました。

また、過剰投資は鉄鋼、セメントなどの過剰生産を生み出し、米中貿易戦争の遠因の一つともなりました。さらに、道路や居住用建築物でも過大で無駄な投資プロジェクトが次々と発覚していくことになりました。

そこで今回の景気対策では、預金準備率引き下げなどの金融緩和策と並んで、減税措置がその中核を担っています。中国政府は2018年10月から、中間層の消費底上げを狙って個人所得減税策を実施しました。

減税規模は年間3,200億元(約5兆1千億円)です。個人所得税の課税最低限を現在の3,500元から5千元に引き上げるのが柱となります。子供の教育費や住宅ローンの利息などを課税所得から差し引ける仕組みも併せて導入されます。2018年10月から実施されたましたが、法改正を踏まえた全面実施は2019年年初からです。

しかし、この所得減税措置の景気刺激効果については、慎重な見方も多いです。そもそも、インフラ投資と比べると、所得減税策は短期的な景気刺激効果は小さくなるのが通例です。減税の相当部分が貯蓄の増加に回されるためです。野村證券は、今回の措置による個人消費の押し上げ効果は0.2%程度、GDPの押し上げ効果は0.1%弱にとどまると試算しています。

こうした点を踏まえて、中国政府が追加的な所得税減税を実施するとの見方も多くなされています。中国人民銀行・金融政策委員会の委員で、清華大学金融発展研究センター主任の馬駿氏は、2019年の減税及び手数料の引き下げ規模がGDPの1%を超える可能性があると指摘しています。GDPの1%規模は8,000億人民元強であることから、2018年の所得減税を相当上回る規模となります。

米中貿易戦争は、長期化する可能性が高まっています。それは、この問題が単なる貿易不均衡の問題ではなく、2大大国の経済、先端産業、軍事を巡る覇権争いがその背景にあり、さらに政治・経済体制間の争いにも発展しているためです。両国ともに簡単には譲歩できない事態にまで発展しています。

マイク・ペンス副大統領が2018年10月4日に米国の保守系シンクタンクのハドソン研究所で行った演説は、激しい中国批判に終始し、米中が経済、政治、軍事で全面的な対立の構図に陥った可能性、いわば「米中新冷戦」の始まりを宣言したに等しい内容になっています。

演説をするペンス大統領。2018年10月4日に米国の保守系シンクタンクのハドソン研究所似て。

このように米中貿易戦争が長期化すれば、中国の輸出環境は長期間厳しい状況に置かれる可能性があります。そのもとでも相応の成長率を維持するには、より内需主導型への経済構造を転換していく必要があるでしょう。

しかし、インフラ投資、あるいは一般に公的・民間投資の拡大は、すでに見たような深刻な問題を再び生じさせるおそれがあります。そこで、内需のけん引役としては個人消費が期待されます。すでに見た所得減税策も、こうした考えに基づいて実施された側面もあると考えられます。

しかし、税制改革だけで持続的な個人消費主導の経済に転換していくことは、難しいです。個人消費の増加率を高めるには、個人貯蓄率の継続的な引き下げが必要になりますが、それを阻んでいるのが、社会保障制度の未整備に基づく将来不安です。

そうであれば、大幅な社会保障制度が、消費刺激の観点からも求められます。さらに、労働者の地域間移動の活性化を通じた所得引き上げを促すには、戸籍制度の見直しも必要にです。

中国・上海の古い街並みに座る高齢の男性

こうした点から、長期化が見込まれる米中貿易戦争は、社会制度も含めた中国の構造改革を必然的に促すようになる可能性があります。

この構造改革については、以前からもこのブログに掲載しています。この構造改革は幅も奥行きも広いものとなりますが、その中でも根底にあるのは、民主化、政治と経済の分離、法治国家化です。これなしに、他の構造改革を実行したとしても、すべて積木くずしのように崩れてしまうことでしょう。

これは、先進国でもどの国でも完璧ではないとはいいながら、中国などの発展途上国から比較すれば、かなり進んでいます。中国に限らず、これらが整備されていない国では本来自由貿易などできません。

ただし、中国以外のこれらがあまり整備されていない発展途上国の場合は、人口もさほど大きいわけでもなく、大きな産業もないため、先進国と貿易をしたとしても、そもそも取引量ならびに額が低いのでほとんど問題にはなりません。

しかし、中国はそういうわけにはいきません。社会構造はとてつもなく遅れているにもかかわらず、人口が多く、中国の経済統計は出鱈目なので本当はどうかはわかりませんが、GDPは一応世界第二位といわれています。これが嘘だとしても、他の発展途上国と比較すると、かなり大きいことは確かです。さらに、軍事も経済もこれからまだ伸びる余地があるということで、先進国と同列にみられがちですが、その実社会構造はとてつもなく遅れています。

なぜこんないびつなことになってしまったかといえば、中国の将来性に期待して海外からかなり投資が増えたからです。そのため、中国は遅れた社会構造を維持したまま、インフラを整備し、軍隊を強化して現在に至っています。

この中国が遅れた体制を維持したまま、米国や他の先進国と貿易をしたので、必然的に不公正、不正などが生じたのです。それが今日、米国の対中国冷戦へとつながったのです。

これを是正して、日米をはじめとする先進国とまともな貿易をするには、中国はまずは、ある程度の民主化、経済と政治の分離、法治国家化を進めなければならいですし、内需を拡大するにもこれを実施しなければなりません。

内需を拡大するには、構造改革をして、現在のように極一部の富裕層とその他大勢の貧乏人という状況を崩して、多数の中間層が自由に社会・経済活動を営めるようにして、経済的に豊かにする必要があります。

しかし、中国共産党にとっては、これをすすめると、統治の正当性が失われることになります。なぜそのようなことになるかといえば、まずは民主化を進めるためには、選挙など実施しなければならなくなりますが、それを実施すれば、共産党一党独裁は崩れる可能性があります。

政治と経済の分離をしてしまえば、現在のような人治による経済活動は崩れてしまいます。人脈はあまり大きな意味を持たなくなります。そうなると、中国の人脈に基づいた派閥政治は崩れることになります。

法治国家化を進めれば、当然のことながら、現在のように憲法や人民解放軍が共産党の下に位置づけられるということはなくなり、憲法に縛られ、人民解放軍は他の先進国ではあたりまえの、国民国家の軍隊ということになり、中国共産党の私兵ではなくなります。

そうなると、当然のことながら、共産党の統治の正当性が崩れ、他の勢力にとって変わられることになります。

そのような状況を中国共産党が望むはずもありません。中国の将来は中共が支配し続けるか、内乱によって、構造改革を進めようとする他の勢力が中共にとってかわるかしかないと考えられます。

中共が支配しつづけることになれば、中国は内にこもるしかなくなり、図体が大きいだけの凡庸なアジアの一独裁国家に成り果てることになります。そうして、確率としてはこちらのほうが高いと思います。私としては、中国が何か変わるとすれば、この状態を経て、中共の力が弱まり、最終的にいくつかの国に分裂するときだと思います。

中国がいずれの道を選ぶにしても、そこまで行き着くには短くても、10年、長ければ20年はかかるでしょう。はっきりしているのは、その時がくるまで、米国による対中国冷戦が続くということです。そうして、その時は必ず来ます。

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2018年11月2日金曜日

安倍首相、インド首相との首脳会談風景を公開で「日印関係のさらなる発展を望みます」とエール続々―【私の論評】日印関係を強化することの意義(゚д゚)!

安倍首相、インド首相との首脳会談風景を公開で「日印関係のさらなる発展を望みます」とエール続々



 安倍晋三首相(64)がツイッターを通じてインドのモディ首相との会談風景をまとめた動画を公開した。

 今回で12回目となったモディ首脳との首脳会談。28日には山梨の自身の別荘に招待し夕食会を開いたほか、29日には首相官邸で正式な首脳会談を行っていた。

 モディ首相との首脳会談の様子はツイッターでも逐一報告されていたが、31日に安倍首相はツイッターを更新し、「モディ首相を日本にお招きし、首脳会談に臨みました。その様子を動画にまとめましたので、是非ご覧ください」と改めて会談の様子をまとめた動画を公開。日本とインドの親密な関係性をアピールしていた。


この投稿に対し安倍首相のツイッターには、「インドはIT大国だし、密接な関係になるのは喜ばしいことしかないです!日印関係のさらなる発展を望みます」「今後さらに日印関係は良くなっていくでしょうね。国の発展に尽力されること、今後も宜しくお願いします」「親日国とますます親密になることを期待しています!」というエールの声が続々と寄せられていた。有権者の多くは今後もインドとの関係が深くなることを強く望んでいるようだった。

【私の論評】日印関係を強化することの意義(゚д゚)!

安倍総理のインド関連のツイートになぜこれだけ、エールが寄せられるのでしょうか。無論昔からインドは親日国だったということもありますが、それ以外にもインドがかなり大きな潜在可能性を秘めた国でもあるからです。本日はインドの潜在可能性について掲載したいと思います。

インドのモディ首相の来日に関連して、以下の2つニュースが報道されています。
<円借款>インドに3,000億円 29日首脳会談で伝達
毎日新聞 10/24(水)23:57配信
政府はインドに対し、日本の新幹線方式を導入する鉄道建設などを対象に今年度、3,000億円超の円借款を供与する方針を固めた。安倍晋三首相が29日、東京都内で予定するモディ首相との会談で伝える。
「今年度、3,000億円超の円借款を供与する」そうです。
政府は2015年度以降、年間3,000億円超の円借款を含む政府開発援助(ODA)をインドに供与している。同国に対する円借款の累計額は今年度を含めて約6兆円で、世界で最も多い。政府は「自由で開かれたインド太平洋戦略」の一環として、今年度も高水準を維持することにした。
(同上)
「円借款の累計額は約6兆円」で「世界で最も多い」そうです。実にすばらしいです。なぜすばらしいか、その理由は後述します。

もう1つ。
<安倍首相>印首相を別荘招待 中国とバランス外交
毎日新聞 10/23(火)21:58配信
安倍晋三首相は23日の自民党役員会で、近く訪日するインドのモディ首相を、山梨県鳴沢村の自身の別荘へ招くと明らかにした。モディ氏は28日に別荘を訪れ、正式な首脳会談は29日に東京で行う。
安倍総理はモディ首相を自身の別荘に招待したのです。誰かと「緊密な関係になりたいとき」「緊密であることを示したいとき」こんなことををします。

日本の総理が、外国首脳を別荘に招く。これは、なんと中曽根さんがレーガンさんを招待して以来だそうです。なんとも「特別待遇」です。すばらしい!

安倍氏は28日、インドのモディ首相を山梨県の河口湖の近くの自身の別荘に招き、夕食を共にした。

なぜ安倍総理が、インドのモディ首相を特別待遇することがすばらしいといえるのでしょうか。それは、日本にとってインドは、米国に並ぶ最重要国家だからです。これはなぜでしょうか?

軍事同盟国米国が最重要国家であることは、中学生でも理解できます。米国との同盟がなければ、尖閣諸島は、とうに中国の領土になっていたかもしれません。中国は、「日本には、沖縄の領有権はない!」と宣言しているため、沖縄も危険です。

では、インドは、なぜ最重要国といえるのでしょうか。米国は、日本の軍事同盟国であり現在世界で唯一の超大国ですが、その力は相対的に弱くなりつつあります。トランプ大統領のスローガンは、「アメリカを再び偉大に!」でした。

ということは、トランプ大統領は、「アメリカは、昔偉大だったけど、今は昔ほど偉大ではない」と考えているということです。確かに、40~50年代とか90年代等と比較すると、米国は衰えています。

トランプ大統領の前のオバマ大統領はあろうことか「米国は最早世界の警察官じゃない!」と自ら宣言してしまいました。さらに、オバマ大統領は北が非核化の意思を表明しない限り、対話しないという対北政策を「戦略的忍耐」と名付け、8年間、ほぼ沈黙してきました。その結果、北は核開発を進めることができました。

このような状況では、米国の同盟国は「アメリカ同盟頼り」だけだと危険だと考えるのが当然です。トランプ大統領は軍事費も拡張し、再び米国を強くしようとしていますが、8年間のブランクは大きく、すぐに米軍が強くなるわけではありません。

無論、「自主防衛能力」を向上させていくことが最重要ですが、その一方で、他の大国との同盟関係も深めていく必要があります。日本が「同盟国」に選ぶなら、インドが最適なのです。

なぜかというと、多くの国々のライフサイクルを見ると、欧州は成熟期というかはっきりいえば黄昏時です、米国は成熟期、過去には大成長を続けた中国も、今や成長期の最末期となっています。

黄昏時の欧州中央銀行

ロシアは今やGDPはインド以下で現状ではだいたい10位前後です。韓国とより若干小さいくらいの規模です。そうして、韓国と東京都は同じくらいの規模です。そうして、ロシアの人口は1億4千万人で、日本より2千万に程多いくらいの規模です。ロシアが大国といえるのは、今や領土の大きくらいかもしれません。

東京都なみで、これから伸びる可能性もないロシアは、ソ連時代の核兵器や軍事技術ほ継承しているので、大国と見られがちですが、今や大国ではありません。米国と比較の対象にもなりません。軍事的には去勢をはってはいますが、今やNATOと対峙するのも難しいです。


しかし、インドだけは、いまだ成長期の前期にあり、これからもますます成長しつづけていくことが確実です。

インドは1947年、イギリスから独立しました。その後、混乱期が長くつづき、この国が成長期に入ったのは1991年でした。この年、インドは「経済社会主義」を捨てて、「自由化」に踏みきりました。中国は、鄧小平が「資本主義導入」を決めた1978年から成長期に入りました。つまり、インドが成長期に入ったのは、中国より13年遅かったことになります。

そうして、インドのGDPは2016年、2兆2,564億ドルで、世界7位でした。しかし、1人当たりGDPは同年、1,723ドルで、世界144位という低さでした。常識的に考えると、インドはまだまだ「成長期前期」にいることがわかります。

この国の1人当たりGDPが、まだまだ先進国に比較すると低い現在の中国並みの水準まで増加したと仮定します。すると、インドのGDPは、約9兆ドルになり、日本を軽く超えてしまうのです。そして、インドの人口は、日本の約10倍、12億1,000万人ですから、同国のGDPが将来日本を超えることは「必然」といっても良いのです。


そうして、インドが長いあいだイギリス植民地であったということで、中国よりはかなりまともです。そもそも、中国には選挙制度はありませんが、インドにはあります。ただし、女性の地位が未だにかなり低いなど社会構造に未だ大きな問題点はあります。そうはいっても、中国と比較すれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は進んでいます。さらに、インドは大東亜戦争中から日本の親日国でもあります。

米国などの先進国は、経済成長すれば中国も先進国並の体制に変わるであろうと期待していましたが、ご存知のようにその期待は見事に裏切られました。しかし、インドの場合は経済成長をすれば、独自の発展をして世界の先進国の良きパートナー、良き隣人になる可能性は中国などよりかなり大きいです。

将来、インドは、経済的に中国に並ぶ大国になるでしょう。そうして、社会構造的には中国よりははるかに先進国に近い体制になることでしょう。そうして、中国と異なり、先進国と共通の価値観をある程度共有できるようになるでしょう。ですから、日本は未来を見据え、インドとの関係を強化していく必要があります。

というわけで、現在の日本にとっては、米国とインドが日本の最重要国家です。安倍総理は、「大戦略観」をもって、インドとの関係強化に取り組んでおられる。実にすばらしいことです。

【私の論評】

安倍首相 インド首相を別荘招待で関係強化へ―【私の論評】今回の会談は自国の都合だけで動く中国に勘違いさせないという意義もある(゚д゚)!



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