2021年2月13日土曜日

トランプ弾劾裁判は政治的駆け引きの舞台に過ぎない―【私の論評】退任した大統領を弾劾する米民主党は、相当追い詰められているとみべき(゚д゚)!

 トランプ弾劾裁判は政治的駆け引きの舞台に過ぎない

<引用元:デイリー・シグナル 2021.2.11>カル・トーマス氏による論説

トランプ氏の弾劾裁判で裁判長を務めるリーヒ上院議員

ドナルド・トランプの2度目の弾劾裁判が劇なら、1回の公演後に終了するだろう。筋書きは分かっていて、結果は明白であり、演出は不自然だ。

映画だったら「50人の怒れる上院民主党」(「12人の怒れる男」にお詫びする)か、この現在の駄作にしっくりくるようなタイトルの2003年の映画、「Runaway Jury(邦題:ニューオーリンズ・トライアル)」というところだ。

要点は何か?民主党上院議員に、気高く見えても現実には低俗な政治的駆け引きの演説をさせているところだ。

憲法弁護士のジョン・ホワイトヘッドが次のように書いたのは正しい。「トランプを弾劾して得られるものはほとんどなく、決して一般のアメリカ人の窮状を向上させることはない。現在の政治と同義になった見世物と茶番を増強するだけのことだ」

トランプの弁護団は、1月6日に米国議事堂に侵入した暴動者を前大統領が扇動したという1つの訴えの棄却を要求した文書の中で「憲法に違反する政治劇」という言葉を使った。民主党はトランプが米国大統領の犯した中で「最も重大な憲法上の犯罪」を犯したと反論した。

どこかでリチャード・ニクソンが微笑んでいる。

これは、報復を狙う貪欲な左派支持基盤を満足させ、ワシントンの考えを改めるよう改革できると考える者全員に思い知らせるために意図された見せしめ裁判だ。メッセージ?エスタブリッシュメントは再び沼をさらおうとする者がいれば破滅させるということだ。沼の生き物は沼が大好きだ。それが彼らの生き方なのだ。

また両サイドにとっての資金集めの道具でもあり、それがワシントンに残された唯一の超党派の動きであるようだ。

トランプが再び無罪判決を受ければ公の場に復帰するだろうが、ひょっとするとしばらく待つことを検討すべきかもしれない。良い劇には付き物だが、緊張を作り上げることだ。それから自分のことばかりにこだわらないことだ。その芝居はもう見てきた。そうではなく、ジョー・バイデンの政策と公約違反についてコメントすべきだ。バイデンが過去に言ったことを引用し、失業、ガソリンの値上がり、上向きかけていた景気に彼がどれほど貢献しているかを、そして大統領令の偽善を全国に伝えよ。

それから数週間経てば、トランプが視聴率を奪って大規模集会を行うためにメディアは怒り狂う。それでも中傷はなしだ。人格ではなく、政策に固執せよ。

上院に提出した文書で、トランプ弁護団は次の点を指摘した。
  1. 弾劾について説明する文書と構造は、上院に前大統領に対する権限を付与していない。
  2. 憲法は合衆国の前大統領ではなく大統領に対する上院司法権しか与えていない。
  3. 弾劾条項はトランプの憲法修正第1条の権利を侵害している。
  4. 上院は憲法修正第1条と最高裁で長らく確立された言論の自由法を無視することはできない。
  5. トランプは選挙で選ばれた立場として、政治的な演説に自由に従事するための憲法修正第1条の権利を持っている。
  6. トランプの演説は憲法修正第1条によって完全に保護されている。
  7. 最後に、「戦う」と「戦うこと」というトランプの比喩的な言葉遣いは多くの人が使用しているが、どれも弾劾に値しない。
結論として、下院はトランプに適正手続きを許可しなかったと訴えることによって、弾劾条項は「不完全であり無罪判決の結果となる以外なく」「法律問題としては弾劾に値する違反を説明できていない」としている。

法学者が既に提起した疑問は、すでに辞任した大統領を「弾劾」できるのかどうかということだ。

民主党の最終的な意図は、トランプが2024年に再出馬できないようにすることのようだ。彼らはトランプに投票した7360万人の力を恐れているらしい。トランプはベテラン政治家とエスタブリッシュメントにとっては脅威であるから、当然のことだ。

この実にひどい劇はロードショーとして生き残ることもないだろう。どちらかと言えばまずい道化芝居だ。

カル・トーマスは企業共同体が雇用するコラムニスト、著者、放送局出演者、講演者であり、世界の指導者、米国大統領、著名人、教育者など数多くの名士につながりを持つ。複数の本を執筆しており、近著は「“America’s Expiration Date: The Fall of Empires and Superpowers and the Future of the United States.”」である。

【私の論評】退任した大統領を弾劾する米民主党は、相当追い詰められているとみべき(゚д゚)!

米国のIpsosの調査では、トランプ大統領は「2024年の大統領選挙に立候補すべきか」という問いに対して、共和党支持層の57%が賛成しています。反対は41%です。まだ共和党支持層には「トランプ期待論」があるのです。民主党支持層では、97%が反対しています。

同調査では、トランプ大統領支持率は29%に低下したという結果がでています。多くの日本のメディアは同調査を引用して、「トランプ支持率、最低へ」という記事を配信しています。同調査は、選挙後のトランプ大統領の行動は「稚拙(poor)」という回答は、昨年11月の54%から62%へ上昇しています。

さらに回答者の68%が、トランプ大統領は退任後、政治活動をすべきではないと答えています。賛成と答えた比率は29%でした。党派別の内訳は書かれていません。共和党支持者の賛成の比率は、もっと高いと予想されます。

 米議事堂乱入事件:Parlerの投稿動画とGPSデータをリンクしたら、現場のリアルが!

また議事堂乱入事件の責任はトランプ大統領にあると答えた比率は52%でした。24%がトランプ大統領にまったく責任がないと答えています。弾劾に関して、「トランプ大統領が弾劾されたほうがアメリカは良くなる」という回答は54%に達しています。

任期一杯、大統領職に留まるべきだという比率は45%でした。この数字が高いのか、低いのかは、判断しにくいです。他の調査と同様、実質的に賛成と反対は拮抗しています。共和党支持層でみれば、79%が弾劾に反対しています。民主党支持層の95%が弾劾を支持しています。

民主党支持者の意見を重視すれば、トランプ大統領は弾劾されるべきであり、アメリカの世論の大勢も同様だと理解することになる。逆に共和党支持者の意見を重視すれば、共和党支持者のトランプ大統領支持は基本的に変わっていないということになる。

米国には様々な分断があります。特に政治の世界では、民主党支持者と共和党支持者の間には共通点がまったくありません。お互いに妥協し、歩み寄ろうという意識は皆無です。

ある資料を読んでいたら、ある共和党上院議員が民主党との妥協点を探し、協力し合える可能性を模索していたところ、同議員は「絶滅危惧種」と揶揄されたと書かれていました。

1970年代まで民主党と共和党は妥協し合える関係にありました。ところが、もはやその可能性はまったくなくなっています。民主党支持者と共和党支持者は決して分かり合えない世界に住んでいるのです。

その背後には社会観、倫理観、宗教観の違いがあり、地域的な分断、教育による分断が重なっています。民主党支持層と共和党支持層を分断する川幅はずっと広がってきているのです。バイデン次期大統領が共和党に妥協と協力を呼び掛けても、共和党や共和党支持者のほとんどは呼応することはないでしょう。

もうひとつ注目すべきことは、Ipsosの調査で、共和党支持派の36%が「共和党ではなく、トランプ支持派である」と答えている点です。トランプ大統領は白人労働者や保守的なキリスト教徒であるエバンジェリカル、さらにティー・パーティの一部を取り込み、「トランプ連合」を作り上げました。


それが現在、共和党の大きな支持基盤となっています。共和党議員は、トランプ大統領支持派の支援をえなければ選挙で当選できない状況になっています。日本の自民党に対する公明党の存在どころではなく、共和党は保守主義の政党から「トランプの党」へと変わってしまったのです。

共和党は、トランプ大統領と決別すれば、大統領支持派が離反していくことを知っていようです。世論調査は、そうした現実を端的に示しています。一方、民主党のバイデン氏は民主党ほ「バイデンの党」にすることはできそうもありません。

元共和党支持派であったのですが、現在は無党派を自認する弁護士のDavid Frenchは著書(『Divided We Fall』、2020年刊)の中で、「共和党支持者は、トランプは欠陥だらけの人物だが、それでも国家を救う人物だと信じている。トランプを支持しないのは共和党に対する裏切りであり、国家に対する裏切りであると信じている」とも書いています。

それが現在の共和党の実態です。共和党はトランプ大統領に依存し続けるのか、トランプなき共和党を指向するのか、選択を迫られるでしょう。そうして、おそらくトランプ氏と協調することになるでしょう。

有罪評決には民主党上院議員50人に加え、共和党議員から17人の同意が必要ですが、現時点で造反が広がる可能性は低いです。早期幕引きを図りたいトランプ陣営の意向を受けて、弁護団は持ち時間を13時間以上残して陳述を終えました。証人招致の有無については決定していないですが、13日中に検察、弁護側双方の最終弁論が行われ評決が出る可能性があります。

検察役の弾劾管理人である下院議員たちが弾劾裁判に向かうところ

米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去に二度も、一度は結局断念し、二度目は実際に弾劾裁判を実施しましたが、結局失敗しました。退任した大統領を弾劾する民主党は、相当追い詰められているとみべきです。

これは、日本の政治を考えてもよく理解できます。野党は、良く内閣不信任決議案を国会に提出されますが、一度も成立したことはありません。一方自民党は、そもそも下野したことがすくないのですが、一回も内閣不信任決議案を提出したことはありません。米民主党は日本の万年野党のようになり、日本の野党のように弾劾を繰り返すようになる可能性が高いです。

次の大統領選挙も中間選挙も、民主党にとってそんなに簡単ことではありません。そうなると、やはり余程のことがない限り共和党が勝つ可能性が高いですし、トランプ氏の再選ということもあり得ないことではありません。

その頃には、トランプ氏は78歳になっていますが、バイデンが高齢大統領への道を開きました。バイデンは大統領に就任の年齢がまさに78歳です。あり得ないことではないのです。トランプ氏にはその時に備えて、減量等にも取り組んでいただきたいものです。

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2021年2月12日金曜日

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リバタリアン・マインド渡瀬 裕哉
















中国の台頭を招くバイデン政権の外交安全保障政策に備えよ

バイデン政権が中国の影響力拡大に対して中長期的に十分に対応できない可能性がある.

<バイデン政権発足して3週間程度が経過したが、現状でも対中政策上の問題点が徐々に明らかになりつつある...... >

バイデン政権はトランプ時代の対中政策の方向は維持しつつ、欧州諸国とインド太平洋諸国が中国に対して抱く懸念のレベルを調整し、両地域の国々を米国の味方につける体制を築こうとしている。トランプ政権が単独行動主義で中国に挑んで激しい抵抗にあった結果、バイデン政権は東アジアにおける米国と中国の彼我の経済的・政治的な力量が極めて拮抗している現実を受け入れたということだろう。

このアプローチが功を奏するか否かはいまだ不明であるが、バイデン政権が中国の影響力拡大に対して中長期的に十分に対応できない可能性があることは事実だ。

もちろん米国は同盟国であり、日本にとって重要なパートナーであるが、力ある友人として常に信頼を置くか否かは米国の実際の行動と裏付け次第である。バイデン政権発足以来の米国の外交安全保障政策の優先順位はやや不明瞭であり、対中国の対処能力や本気度に疑問が残る。そのため、我々日本人も独自の戦略的なアプローチを展開することを検討するべきであろう。

 バイデン政権の外交安全保障上の懸念点

バイデン政権の政権発足以来の外交安全保障上の懸念点を幾つか挙げていこう。

1)気候変動問題に対する再エネ振興で中国へのレアアース依存が強化される

バイデン政権はケリー元国務長官を気候変動担当大統領特使として任命し、気候変動問題に積極的に取り組む意欲を見せている。政権発足早々に大統領令でパリ協定復帰に署名したこと、キーストンXLパイプラインの建設凍結、新規のオイル・ガス掘削を禁止したことなど、米国の化石燃料産業に敵対的な姿勢を見せている。

一方、バイデン政権が掲げているグリーン・ニューディールは、CO2の排出量こそ低下するかもしれないが、蓄電池、風力発電、太陽光発電、その他諸々のインフラ整備のために膨大なレアアースを必要とする。そして、それらレアアースの最大供給国は中国であり、中国無しでは再生可能エネルギー社会を構築することは困難である。

つまり、仮にバイデン政権が気候変動の優先順位を本当に引き上げ続ける場合、それはレアアース問題で中国に完全に首根っこを掴まれることを意味する。(更には、米国の化石燃料産業が衰退したところで、ロシアやサウジなどの他の産油国が勢いを増すだけかもしれない。)

そのため、米国は中国へのレアアース依存への危機感を募らせており、サプライチェーンの見直しなどに着手している。しかし、それでも十分に問題に対処することはできないだろう。その上、日本は中国のレアアース依存リスクにほぼノーガードのままグリーン産業化に舵を切ろうとしている。日本の無邪気な振る舞いは東アジアの地政学を変更する可能性があるリスクがあることを認識するべきだ。

(2)中国の超音速ミサイルに対する同盟国防衛が無策に陥る可能性がある

中国人民解放軍は射程約2500キロ、マッハ5以上で飛来する超音速ミサイル「東風17」を台湾沿岸部に配備したとされる。同ミサイルは米国のミサイル防衛システムでは迎撃困難であり、台湾は言うまでもなく、日本にとっても極めて重大な脅威となる存在だと言えるだろう。

バイデン政権はロシアのプーチン大統領との間で2月3日、両国間の唯一の核軍縮条約である新戦略兵器削減条約(新START)を2026年まで延長すると正式に発表した。トランプ政権時代に既にINF全廃条約が失効しており、同条約が延長されない場合、米国やロシアの軍拡競争に拍車がかかる可能性があったため、同協定の延長は最低限妥当な判断であったように思う。

しかし、東アジア地域における中国の超音速ミサイル問題については解決される見通しや対話が行われる兆しすらない。地域の安定と発展のためには、米ロだけでなく中国も含んだ新しい軍縮枠組みが必要なことは当然だ。

バイデン政権は中国のA2AD能力強化に対してより効果的で安価な対中兵装を整備して対抗することを示唆しているが、それらはあくまでも米国の対中能力維持を意味するものであり、日本の安全保障に直接的に貢献するものであるかは疑問だ。したがって、日本は東アジアの核による均衡は既に崩れているというシナリオを想定し、独自の安全保障政策の検討に踏み切るべきだ。

(3)カート・キャンベル、インド太平洋調整官の対中認識が甘すぎる

バイデン政権でインド太平洋調整官に就任したカート・キャンベル氏は、フォーリン・アフェアーズ・リポートの中で、

「地域内秩序内に北京の居場所を確保し、秩序を支える主要国際機関における中国のメンバーシップを認め、中国がルールに即して行動することを前提に予測可能な通商環境を提供し、気候変動対策、インフラ整備、COVID19パンデミック対策をめぐる協調から恩恵を受ける機会をともに共有していくことだ。」

「システムのパワーバランスと正統性をともに維持するには、同盟国やパートナーとの力強い連帯、そして中国の黙認と一定の応諾を取り付けておく必要がある。」

と述べている。同氏が就任したポストはホワイトハウスのポストであり、連邦上院議員による厳しい対中質疑を受けた上で承認されるポストではない。仮に連邦議会でこのような甘い認識を露呈したならば、同氏が共和党側から激しい批判にさらされたであろうことは想像に難くない。中国が厳しい競争相手であることは議論の余地はないが、同氏の中国側の善意に期待する仮定に仮定を重ねた論稿には説得力が欠けている。

  気を抜けば目まぐるしく変化する国際情勢から一瞬で取り残される

以上のように、バイデン政権発足して3週間程度が経過したが、現状だけでも対中政策上の問題点が徐々に明らかになりつつある。

日本政府はバイデン政権の対中外交安全保障政策に対する懸念に真摯に向き合うべきだ。新しい時代の幕が既に上がっており、ここで気を抜けば目まぐるしく変化する国際情勢から一瞬で取り残される事態が起きることになるだろう。

【私の論評】日本のやるべきことは、トランプ政権時代と変わらない!仲間を増やすことと潜水艦隊の強化(゚д゚)!

2010年、中国は国内総生産(GDP)で日本を追い抜き、世界第2の経済大国になりました。つまりこの年、日中の経済力は拮抗していた。現状はどうなっているのでしょうか。

IMF(国際通貨基金)によると、中国のGDPは2019年、14兆7318億ドル。日本のGDPは同年、5兆80億ドル。中国のGDPはすでに日本の約2.9倍の規模です。ただし、中国の経済統計は、かつてのロシアと同じように、ほとんと出鱈目といわれています。

このようなことを主張するけ経済学者の中には、中国のGDPは実は、ドイツ以下の可能性もあとしています。これが本当かどうかは、わかりませんが、実際に信じられていようには、中国の経済は大きくはないとみるのが妥当だと思います。

軍事費(防衛費)の差は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、日本の防衛費は2019年、476億ドル。中国の軍事費は同年、2610億ドルで、日本の約5.5倍とされています。

中国の経済規模は表向きは、日本の約2.9倍。軍事費は約5.5倍です。

しかし、「巨大な国」イコール「脅威」とはいえないです。米国は経済力、軍事費で、いまだに世界一の地位を保っています。ところが、日本の脅威ではありません。

中国はどうなのでしょうか。これに関連して、3つの事実を示します。

まず、中国の公船は2020年4月14日から8月2日まで、111日間連続で尖閣諸島周辺の接続水域を航行しました。これは過去最長でした。

さらに、20年10月11日から13日、57時間以上にわたって領海に侵入していました。これも過去最長でした。

さらに中国海警局は尖閣周辺で日本漁船を見つけたら、直ちに追跡する方針を定めました。

中国海警局の艦船が8月以降、尖閣諸島周辺の日本領海で日本漁船を見つけた場合、原則直ちに追跡する方針に変更したと日本政府が分析し警戒を強めていることが28日、分かった。

「沖縄タイムス+プラス(沖縄タイムス電子版)」2020年12月29日 10:18

つまり、中国は尖閣周辺について、「中国の領海」として行動するようになっています。これらの事実を見れば、「中国は日本の脅威だ」と言わざるをえないだろう。

どうすれば日本はこの超大国に対抗することができるのでしょうか。

劣勢の日本に道を示してくれるのが、英国の歴史です。「古典地政学」の祖、英国の地理学者ハルフォード・マッキンダーの定義では、日英はとてもよく似ています。

マッキンダーはユーラシア・アフリカ大陸を「世界島」と呼びました。「世界島」の心臓部を「ハートランド」としました。「ハートランド」はおおよそ今のロシアにあたります。


ハートランドを取り巻く地域を「内周の半月弧」と呼びます。これは欧州、中東、インド、中国などてす。

さらに、内周の半月弧の外側に位置するのが、「外周の半月弧」です。「外周の半月弧」に含まれるのは、英国、南アフリカ、豪州、米国、カナダ、日本などです。

マッキンダーの特殊性はユーラシア・アフリカ大陸を「世界島」と見るだけでなく、南北アメリカ大陸、オーストラリア大陸も「島」と見ます。それで、彼の地政学では、米国も豪州も「島国」とされるのです。

しかし、「外周の半月弧」の中で、日本と英国だけは、「ユーラシアのすぐ近くにある」という特徴があります。日本と英国の重要性については、米国を代表する地政学者ニコラス・スパイクマンも語っています。
ユーラシア大陸を囲んでいる海の沖合にある島々の中で我々にとって最も重要なのは、イギリスと日本。なぜならこの二国は政治的・軍事的なパワーの中心地だからだ。(『平和の地政学』72P)
日本と英国は明らかに地政学的に似ています。ただ、日本は東洋にあり、英国は西洋にあるという違いだけです。

日本は20世紀を通して、「アジア最強の国」でしたた。一方、英国は19世紀、「世界の覇権国家」でしたた。ところが20世紀に入ると、英国を脅かす国が登場しました。ドイツ帝国です。

著名なリアリストであるジョン・ミアシャイマー・シカゴ大学教授によると、1903年時点で、ドイツの国力は英国を上回りました。そして、その差は年々開いていくばかりでした。20世紀アジア最強国家だった日本が、21世紀になって中国にその座を追われた状況に似ています。

英国を脅かす存在だったドイツ帝国。マッキンダー地政学によると、「ハートランド」ロシアの周辺にある「内周の半月弧」に属するランドパワー(大陸国家)です。

現在日本を脅かしている中国も、同じく「内周の半月弧」に属するランドパワー(大陸国家)です。つまり、中独は似ています。

なぜ英国は第一次世界大戦でドイツ帝国に勝つことができたのでしょうか。

「英国一国で勝てなければ、仲間を増やして対峙(たいじ)すればいい」これが英国の基本戦略た。実際、英国はどう動いたのか?

「フランスとの和解」
1890年時点、英国最大の仮想敵はフランスでした。しかし、英国はドイツに対抗するため、フランスと和解することを決意。1904年、「英仏協商」が調印されました。ここで、エジプト、モロッコ、マダガスカル、タイ、西アフリカ、中央アフリカ、ニューファンドランドなどの権益が定められています。この後、英国とフランスは結束してドイツの海洋進出を阻止するようになっていきました。
「ロシアとの和解」
20世紀初め、ロシアは英国にとって最大の脅威でした。英国は1904年~1905年の日露戦争時、同盟国であった日本を大いに支援し、日本の勝利に貢献しました。ところが、日露戦争が終わると、今度はロシアに接近。1907年、「英露協商」を締結しています。ここでは、イラン、アフガニスタン、チベットにおける英露の勢力範囲が確定されました。
「日本との同盟」
英国は1902年、日本と同盟を結んでいます。これはもちろん「対ロシア」でしたが、「対ドイツ」でもありました。
イギリスは1902年に締結した条約によって先手を打ち、日本とドイツが同盟を結ぶ可能性を封じていました。(『自滅する中国』エドワード・ルトワック 95P)

「米国との和解」
英国と同国の元植民地米国の関係は基本的によくありませんでした。しかし、英国は19世紀末、米国との和解に動いています。1898年、米国とスペインは戦争をした(米西戦争)。米国はこれに勝利して、スペインからフィリピン、プエルトリコ、グアムを奪いました。英国はこの戦争で、米国の側についたのです。

英国は外交で日本、米国、ロシア、フランスの4大国を味方につけることに成功しました。この同盟関係についてルトワックは以下のように書いています。
"このように第一世界大戦における両陣営の同盟関係が成立すると、ここから生ずる結果は自ずから明らかだった。

海上では、イギリス、フランス、そして日本の艦隊が、その世界中に広がった給炭地のネットワークを活用して全ての外洋航路を支配下におき、ドイツ海軍を本拠地である無益な北海の中に封じ込めてしまったのだ。(同前96P)"

なぜ、落ち目の英国は台頭するドイツに勝てたのか? 理由は明らかです。

要するに、英国は日本、米国、ロシア、フランスを味方につけたから勝てたのです。第一次大戦が起こった時、英国は経済力でも軍事力でも、ドイツに劣っていました。

ところが、外交による「同盟戦略」によって勝利することができたのです。

日本は100年前の英国から何を学ぶことができるのでしょうか。

「圧倒的な国力の差は、仲間を増やすことで補え」ということでしょう。

日本は現在、米国、インド、豪州(いわゆるクアッド=日米豪印戦略対話)と共に、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を進めています。

最近は香港問題に憤った英国、フランス、ドイツなどがインド太平洋に艦船を派遣し、クアッドに加わる動きを見せています。

さらに、日米豪印はASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国がこのグループに加わるよう、働きかけを行っています。これらはすべて、強大な中国に対抗するための正しい戦略、動きです。

米国では親中派と言われることもあるジョー・バイデン氏が大統領になった。

しかし、日本のやるべきことは、トランプ時代と変わらないです。仲間を増やすことで、中国が手出しできないようにするのです。これが戦争(戦闘)を回避するための最善の方策です。

また、戦術的には、高性能の潜水艦をこれからも増やし、攻撃力も強化すべきです。これに関しては、このブログで過去に述べてきたように、中国の潜水艦は静音性で日本の潜水艦に格段に劣っていること、また中国の対潜哨戒能力も格段に劣っているということで、日本の潜水艦は中国や日本の近海を中国側に発見されることなく自由に潜航できるのに対して、中国の潜水艦はすぐに日本側に発見されてしまうからです。

昨年進水した「たいげい」は昨年の10月に進水したばかりなので、まだ戦力として期待できないことと、高知県沖で8日に起きた海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」の事故がありましたが、これも数に含めると日本はすでに22隻の潜水艦隊を保有しています。

冒頭の記事では、中国が射程約2500キロ、マッハ5以上で飛来する超音速ミサイル「東風17」を中国沿岸部に配備したとされていますが、このミサイルは日本の艦艇を撃沈することはできますが、中国には発見できない日本の潜水艦にとっては脅威ではありません。どんなに優れた兵器を持っていても、発見できない敵に対しては攻撃できません。

東風17

むしろ、日本の潜水艦が中国海軍にとっては一方的な脅威です。たとえば、尖閣に人民解放軍が上陸すれば、日本は数隻の潜水艦隊で尖閣諸島を包囲すれば良いです。そうして、予め中国には、尖閣諸島に近づく中国艦艇は撃沈、航空機は撃墜すると通告すれば良いのです。

そうして、尖閣諸島の人民解放軍の補給を絶つのです。そうすれば、尖閣諸島に上陸した人民解放軍はお手上げになります。

同盟関係の強化、潜水艦隊の強化を行えば、尖閣諸島が中国のものになるなどのことは完璧に防ぐことができます。そうして、現在の日本のその方向に着実に進んでいます。これを着実に実現していげは、たとえ、米国のバイデン政権が中国に対して弱腰になったとしても、日本は領土を守り抜くことができます。

中国が尖閣諸島付近で、示威行動をつづけるなら、日本としては尖閣諸島を潜水艦隊で包囲する演習を行うべきと思います。それも、できるだけ多くの同盟国の潜水艦隊と共に共同訓練を行うべきです。

これには、従来のように、尖閣付近に空母打撃群を最初に投入するという方式ではなく、日本を含めた複数の潜水艦隊が尖閣を包囲しつつ、近づく艦艇や航空機を標的として、それらを阻止する演習をして、さらには敵潜水艦の排除の練習もして、その後に空母打撃群などで、尖閣に上陸した敵を捕獲するなどの訓練を実行すべきでしょう。これが、現在考えられる、最高の中国海軍に対して与えることができる脅威です。毎年定期的に訓練をすると良いかもしれません。

中国海警が、全く感知できない状況下で、目の前で潜水艦による包囲と、近づく艦艇・航空機の阻止と、その後につづく尖閣諸島に上陸した敵の捕獲作戦の練習をすれば、中国海警パニックに陥るかもしれません。なにせ、演習海域には日本の潜水艦等がうようよ潜航しているわけですから、中国海警はかつてないほどの恐怖に見舞われるでしょう。

華春瑩趙立堅

華春瑩趙立堅などの中国の報道官らが、この演習に対して、ヒステリックに声を荒げて批判する姿が目に浮かびます。

日本とその同盟国が、上で述べたような演習を行えば、中国海軍のロードマップを変えざるを得なくなるでしょう。

このブログでも、何度か述べているように、中国海軍のロードマップでは、昨年は第二列島線まで確保することになっていたのですが、それどころか、中国海軍は台湾・尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できていません。

上記のような演習を大々的に実行すれば、中国海軍は南シナ海の確保すら困難になるかもしれないとの、危惧を抱くようになるでしょう。


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2021年2月11日木曜日

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高橋洋一 日本の解き方

バイデン

 東京五輪については国内外の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、無観客での開催や延期、中止論までさまざま出ている。一方、2022年の北京冬季五輪では、人権問題がネックとなり、ボイコットの動きも出ているようだ。

 東京五輪まであと半年を切ったが、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視とも受け取れる発言をして問題になった。男女共同参画は国際オリンピック委員会(IOC)の使命と役割であり、森氏の発言は全く容認できない。森氏は謝罪し、IOCは問題は終了したと表明した。

 森氏は、問題発言以前に、無観客を含めてあらゆる事態を想定しているとしたが、これは、無観客をミニマムラインとして、開催自体は揺るぎないという決意だ。

 IOCのバッハ会長は1月23日、IOC委員全員の総意として、東京五輪を新型コロナ禍のトンネルの終わりの明かりにするとしている。菅義偉首相も、五輪を新型コロナに打ち勝った証しにすると国会の施政方針演説で述べていた。

 要するに、無観客であれば、コロナ禍であっても感染拡大のリスクは小さいので、五輪運営が行えるのは容易に分かる。無観客を最低ラインとして、観客をどこまで入れるかが、コロナワクチンの普及とともにポイントになってくるのだろう。

 一方、北京五輪まで1年になったが、問題は新型コロナではない。ウイグルでのジェノサイド(民族大量虐殺)だ。米国のトランプ前政権では、ポンペオ前国務長官は新疆ウイグル自治区における少数民族ウイグル族らへの弾圧を国際法上の犯罪としてジェノサイド認定をした。バイデン政権のブリンケン国務長官もこれに同意している。

 そもそもジェノサイドは、第二次世界大戦のドイツ軍の行為に由来している。

 国際連合で1948年に採択されたジェノサイド条約などによる事例としては、もちろんナチスのユダヤ人に対するホロコーストが含まれている。

 五輪との関係では、36年のナチス政権下のベルリン五輪がすぐに想起される。ナチスは、人種差別を隠蔽して、五輪をナチスのプロパガンダとして利用した。欧州の一部でボイコットの動きもあったが、ナチスの巧みな工作により開催されたことは、五輪の中でも暗黒史といってもいいだろう。ベルリン五輪中はなりを潜めていたが、直後から、ホロコーストが実行された。

 欧米は人種差別、とりわけジェノサイドに敏感である。一部の英国紙は、ラーブ英外相が中国当局によるウイグル族への人権侵害を理由に、ボイコットの可能性を示唆したと伝えた。世界の人権団体も北京五輪の再検討を求める文書をIOCに送っている。

 ベルリン五輪の時には、米国の態度が開催へのカギになったが、今回、バイデン政権がどう動くのかがポイントだ。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】北京五輪と日本のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきか(゚д゚)!

森氏の発言は全く容認できないという方も多いようですが、それは、人それぞれで受け取り方は違うと思います。ただし、森氏が謝罪し、IOCは問題は終了したと表明した後まで、寄ってたかって叩きまくり、辞任にまで導くというのは、いかがなものかと思います。

これについては、昨日のブログに掲載したばかりです。興味のある方は、昨日の記事を是非ご覧になってください。

この記事では、最後に「現在のマスコミや芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなものかもしれません」と結びました。現在のマスコミの衰退ぶりを考えると、新聞・テレビの両メディアは、今後10年以内に本当にほぼ崩壊すると考えられます。

それを象徴するのは、森氏発言問題で、これでもか、これでもかという程森氏を叩きまくったにもかかわらず、北京オリンピックに苦言を呈するメティアも、識者も、芸人もほとんど存在しなかったことです。


五輪関連でいえば、2020東京五輪の森氏の発言などより、2022北京五輪開催の中国のジェノサイドのほうがはるかに大きな問題のはずです。ところが、国内マスコ・識者・芸人は黙りを決め込んでいます。なぜなのか、全く理解に苦しみます。それとも、彼らは、中国応援団なのでしょうか。それが事実なら、疑問は解消します。

中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界各地で猛威を振るう中、英国と豪州を中心に、2022年北京冬季五輪をボイコットする動きが水面下で進んでいます。新彊ウイグル自治区での中国共産党による民族浄化ともいえる激しい人権侵害を見過ごすことができないためです。

コロナウイルス感染症の隠蔽をはじめ、香港デモへの弾圧や内モンゴル自治区での中国語教育の強化による同化政策、チベットでの人権問題など中国の行動は、国際社会から強い不信を招き、北京冬季五輪に自国選手を送り込んでよいのかとの懸念が英国と豪州をはじめ西側諸国に広がり始めました。日本は東京五輪を成功させるため、あまり波風を立てたくない事情もあり、今は中国の人権問題に絡んだボイコットには同調しにくいようです。

「一般論としては、スポーツと外交・政治は分離しなければならないと考えるが、それが不可能な場合もあり得る」

ドミニク・ラーブ英国外相が、中国による新疆ウイグル人への迫害の証拠が増えた場合、北京冬季五輪不参加の可能性を示唆したのは、2020年10月6日の英議会外交委員会でのことでした。

ドミニク・ラーブ英国外相

中国共産党による人権侵害が激化したとはいえ、平和とスポーツの祭典に政治が介入してよいのかという見方がある一方で、ウイグル自治区における中国の弾圧は許容範囲を超えており、人権の観点から、英国は同盟国と連携してボイコットすることは十分あり得ます。

ラーブ外相の発言は脅しではなく、本気で不参加を検討しているとされています。ただし、英国だけでは「超大国」中国には対処できません。「証拠を集め、国際社会におけるパートナーと連携し、どのような措置を講じるべきかを検討する」(ラーブ外相)ことになったそうです。

次期首相有力候補のラーブ外相は、中国の隠蔽が原因でコロナが感染拡大した4月、「中国との関係はコロナが終息しても、平常通りには戻れない」「中国は厳しい質問に答えなければならない」と対決姿勢に転ずる対中政策の見直しをいち早く表明しました。対中強硬派の旗頭だけに、発言にも重みがあります。

香港への国家安全法制の導入を決めた中国に対して強い姿勢で臨もうという動きは、さらに加速しています。昨年6月に日米欧の16カ国の議員らが結成した世界的な議員連盟、「対中政策に関する列国議会連盟」の初代議長で保守党の元党首、イアン・ダンカン・スミス議員も8月、英国政府が国際オリンピック委員会(IOC)に中国から2022年五輪開催権を「はく奪」するか、「公式代表者の参加禁止」を要請すべきだと提案しています。

また、世界60カ国以上の300以上の人権団体が、中国の人権侵害問題に対して緊急の対応をとるよう国連に呼び掛け、このうち160以上の人権団体が9月、IOCに人権侵害を理由に北京冬季五輪開催再考を求める書簡を提出しました。「中国全土で起きている人権危機の深刻化が見過ごされれば、五輪精神と試合の評価は一段と損なわれる」としています。

ラーブ外相の発言を受けて同じ10月6日、米ニューヨークの国連で開かれた人権会議で、ドイツの主導により、英国や豪州、日本など39カ国が中国の人権問題を批判する共同声明を発表し、中国に対して100万人が収容されている新疆ウイグル自治区の収容施設に、国連人権査察団が「直接的で意味のある自由なアクセス」ができるよう求めました。

「国際社会におけるパートナーと連携したい」。ラーブ外相の呼びかけに真っ先に応じたのは、コロナ感染経路の独立機関による調査を主張したことに端を発して中国の経済制裁を受け、対中関係が「過去最悪」となっている英連邦の兄弟国、豪州でした。

国会議員の多くが超党派で、「1936年のヒトラーのナチス政権下で開催されたベルリン五輪と類似性」があるとして、北京冬季五輪のボイコットを支持し、豪州選手に不参加を呼びかけました。上院のレックス・パトリック議員とジャッキー・ランビー議員が動議を出して豪連邦議会は11月9日、北京冬季五輪不参加について審議、採決したが、過半数に達せず、不参加の決議には至りませんでした。

しかし、中国が豪州産の輸入制限を継続し、外務省報道官が虚偽画像をツイッターに投稿するなど関係悪化が続いており、ボイコット論は「高度な長期戦」に突入した格好です。

パトリック議員は中国共産党による深刻な人権侵害がある中で、「豪州選手の五輪参加は無謀で危険。道徳的に誤り」と主張、エリック・アベッツ上院議員は、IOCが「野蛮で権威主義的、全体主義的な政権」に開催を許可すれば、IOCの立場は損なわれると警告しています。

英国のスミス議員は、「中国の経済制裁を恐れて、五輪ボイコットを躊躇してはならない」と毅然とした対応を求めました。五輪ボイコットでも英国はまず、機密情報を共有する政府間の枠組みであるファイブアイズのアングロサクソン同盟国の豪州とスクラムを組みました。

では、「特別の関係」の米国はどうでしょううか。世界的な反中の「列国議会連盟」に加入している共和党のマルコ・ルビオ上院議員とロバート・メネンデス上院議員がボイコットを呼びかけ、3月には共和党のリック・スコット上院議員が主導して12人の超党派議員がIOCに22年冬季五輪開催地を再検討するよう要請しました。スコット議員は五輪を中継するNBCに対し、人権に配慮して放映を取りやめるように求めています。

米オンライン外交論壇誌「The Diplomat」によると、冬季五輪でメダルを獲得できる国は西側先進国が多く、不参加を決めれば、結束しやすいといいます。そうして2019年7月にウイグル族の拘束を問題視して国連人権理事会に送付した共同書簡に署名した日本と英国をはじめとする22カ国に、署名しなかった米国を加えた23カ国がボイコットの潜在的連合になると指摘しています。

ただバイデン政権がどのような対中政策を取るかは未知数です。人権問題には厳しく対処すると伝えられますが、融和に転じる可能性もあります。1980年のモスクワ五輪は米国主導で西側がボイコットしました。米国がどのように判断するか、注目されます。

08年の北京夏季五輪でも、チベットなどでの人権問題が批判を集めたのですが、22年冬季五輪ではウイグルなどでの批判がより高まっています。「列国議会連盟」のメンバーのドイツのラインハルト・ビュティコファー欧州議会議員は「ワシントン・ポスト」紙に、「08年五輪開催の際、中国はIOCに人権問題向上を約束したが、12年経過して全く逆の方向に悪化した」と指摘し、「中国の王毅外相の訪欧の際に、欧州各国の議員と連携して対処したが、北京冬季五輪の対応でも共闘することを検討したい」と語りました。

対中政策で連携する仲間として英国は、ファイブアイズの次にアジアの最大のパートナーで日米豪印の「QUAD(クアッド、日米豪印戦略対話)」として日本に協力を求めるでしょう。しかし、日本オリンピック委員会(JOC)など日本側は、東京五輪を控え、腰が定まらないようです。

五輪に関わる官邸筋は「西側の一員として北京五輪ボイコットに参加すべきだが、東京五輪を成功させたいので、日本が旗を振りにくい」ようです。「列国議会連盟」に参加する自民党の中谷元衆議院議員、無所属の山尾志桜里衆議院議員は、北京五輪不参加について発信していません。

22年秋に共産党大会を控え、そこで再選を望む習近平国家主席にとって、北京冬季五輪は是が非でも成功させたい大イベントです。しかし中国の人権弾圧が拡大すれば、英豪米が中心となり、五輪ボイコットの流れが広がるでしょう。そこで、日本が座視すれば、英米との信頼関係を損ね、西側諸国の中で存在感を失いかねないです。

コロナが終息する保証はありません。IOCの最古参委員のディック・パウンド氏が「東京五輪が中止になったら北京冬季五輪も開催困難」との見通しを示していますが、英豪のボイコットの動き次第では今後、北京冬季五輪の開催はどうなるのか、日本も無関係ではいられなくなるかもしれないです。

オリンピックというと、全体主義国家であった、ナチス・ドイツとソ連は、オリンピックを開催後の約10年後に崩壊しました。

ナチスドイツは、当時通常の開催と同レベルで1936年ベルリンオリンピックを開催しました。その9年後に崩壊しました。

ベルリンオリンピックの金メダリストジェシー・オーエンス

冷戦下において東側諸国の盟主的存在である1980年ソ連で行われモスクワ五輪大会は、前年1979年12月に起きたソ連のアフガニスタン侵攻の影響を強く受け、集団ボイコットという事態に至りました。日本もボイコットしました。ソ連は五輪開催の約11年後の、1991年12月に崩壊しました。

こうした前例から、全体主義国でオリンピクを開催すると、その約10年後に崩壊するという、ことがいわれていました。

全体主義国家中国では夏のオリンピックが2008年北京で開催されました。その頃には、ネットで中国が10年後崩壊する可能性について囁かれていました。

結局北京オリンピックを開催してから10年後の2018年には、中国は崩壊しませんでした。ただ、崩壊につながるような象徴的な事態がこの年に発生していました。

実は、2018年に中国の習近平国家主席は、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言したのです。

習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(同年6月24日付)で報道されました。同報道によると、習近平氏は同年6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したとされています。

米国政府は中国に対してこのときまで中国は新たな中国を中心とした世界の新秩序を樹立するつもりではないかという、警戒や懸念を表明してきました。この時まで習近平政権はその米国の態度に対して、正面から答えることはありませんでしたが、この対外戦略の総括は、その初めての回答ともいえます。

つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのです。

さすがに、これには米国でも超党派で中国への非難の声があがりました。それまでは、米国内では、トランプ政権は中国に厳しい態度をとってきたのですが、民主党内にはまだ中国を養護する意見もありました。

しかし、これを境に、米国では中国を表立って養護する声は消え失せ、超党派で中国に対峙をしはじめました。トランプ政権は中国に厳しく対峙し、政権末期には様々な中国に対する厳しい措置を取るようになりました。これは、このブログにも掲載したように、バイデン政権が中国に宥和的な政策をとれないようにするための措置です。

ただし、米国議会は超党派で、中国に対する危機感は相当高まり、中国に対峙するのは、今や米国の意思になったといっても過言ではありません。

今後バイデン政権が中国に対して融和策をとろうとしても、取れないと思われます。

そうして、上でも述べたように、英連邦に所属する、英国、オーストラリアはもとより、他の所属国の多くも、北京冬季オリンピックをボイコットすることになるでしょう。

これに同調する国も多くなることでしょう。そうなると、中国共産党はかつてのソ連のように、多くの国々ボイコットされても、オリンピック開催を強行することでしょう。

そうして、中国共産党は、かつてのナチス・ドイツやソ連が夏季オリンピックを開催して約10年後に崩壊したのと、同じように崩壊する可能性は十分にあると思います。

そうなると、先日も述べたように、日本のマスコミは約10年後に崩壊し、その1年後あたりに中国共産党の現体制が崩壊するということになるかもしれません。私達は、大きな歴史の転換点を目撃することになるかもしれません。

北京五輪と日本のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなものになるかもしれません。

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2021年2月10日水曜日

森会長の発言真意は“女性蔑視”より“女性登用”では? 不当な「メディアリンチ」こそ深刻な「日本の病」 有本香氏が緊急寄稿 ―【私の論評】現在のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなもの(゚д゚)!

森会長の発言真意は“女性蔑視”より“女性登用”では? 不当な「メディアリンチ」こそ深刻な「日本の病」 有本香氏が緊急寄稿 

森会長“女性蔑視”発言

有本香氏

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、女性蔑視と受け取れるような発言をした問題について、夕刊フジで「以読制毒」(木曜掲載)を連載するジャーナリストの有本香氏が緊急寄稿した。


 毎週木曜のコラムでなく、イレギュラーな寄稿を容赦いただきたい。というのも、「森喜朗イジメ」がひどすぎるからだ。

 3日に行われた東京五輪・パラリンピック組織委員会の臨時評議会で出た、森喜朗会長の発言。これに、芸能人から文化人、スポーツ選手らが、我も我もと寄ってたかって、たたいている。加えて、欧州諸国の大使館アカウントまでが乗っかっての騒ぎとなっていることには違和感がある。

 まず、今したり顔で森氏を非難している人たちは、発言の全文を読んだのだろうか。確かに、不用意なところのある、分かりにくい発言ではある。そもそも、女性はこうだ、男性はこうだ、と属性で一括(くく)りにしての評価は、身内の会合であっても公言すべきではない。

 そうした欠点はあるが、虚心坦懐(たんかい)に全文を読めば、森氏の発言が「女性蔑視」とはむしろ逆の意図に基づいたものだともとれる。

 不肖私が森発言を要約すると、次のようになる。

 「文科省は各種団体に女性理事を増やすよう強く要請しているが、女性の理事は(男性と異なる)優れた点として競争意識が強い。皆が発言しようとする傾向があるため、『会議に時間がかかる』と文句を言う人がいる。しかし、私(森氏)たちの組織委員会の女性理事は端的に的を射た発言をする人ばかりだから、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになる」

 話し言葉では、文意が錯綜(さくそう)することがしばしばある。慎重に話そうとするあまり、分かりにくくなることもある。その多くの単語を都合よく切り取ってつなげば、話者の意図とはまったく別の「差別発言」に仕立てることも可能だ。

 特に、森氏の場合、首相時代からのイメージが強くある。約20年前、メディアによって連日、発言の「切り取り」をされ、「失言王」に仕立てられた。そのイメージゆえ、今回も「また森さんか…」と全国の人々に容易に信じ込まれた点も大きい。

 今では、森氏の過去の「失言」の大半がメディアの捏造(ねつぞう)、もしくは「切り取り」によるミスリードだったと判明していて、ネット上には名誉回復情報も多く流布しているが、やはりイメージ払拭には十分でない。

 森氏は7年前、五輪組織委会長職就任の依頼を受けた際、「無償」を条件に同職を引き受けた。規約上、報酬ゼロにできないと知ると、自らの報酬をアルバイト職員と同額の最低額にし、その全額を積み立てて、寄せ集めの組織委職員が一致団結できるようにと、皆の懇親会費に充ててきた。

 多くの関係者が「余人をもって代えがたい」という森氏の人脈、交渉力は、2019年に、ラグビーワールドカップが日本招致されたことでも明らかだ。

 7年もの間、「国のため」「五輪のため」に私財をつぎ込み、しかも癌(がん)と闘いながら走ってきた人が、意図を捻じ曲げられたたかれまくる。

 その様を見ていると、日本社会に残る「女性差別」よりも、不当な「メディアリンチ」の方がはるかに深刻な「日本の病」と思うが、いかがか。

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なにやら、現状のマスコミをみていると、とにかく森氏を叩きまくり、森氏を叩くためなら、誰が何をやっても良いという有様で、とてもまともであるとは見えません。

これについては、以下の2つの動画をご覧いただけると、この問題の真相になかなり迫ることができると思います。

まず一本目は、政治学者岩田温氏によるものです。


この岩田氏の動画は、この問題が発生してから、しばらくしてから公表されたせいか、この問題の本質を余すところなく伝えています。しかも、岩田氏は、当初は、森氏の発言には女性蔑視の内容が含まれていることは事実であり、その点から擁護はできないと、きっぱりと語っていました。

ただ、森氏への批判や追求がいつまでも続くのに業を煮やして、今回の動画を作成されたのでょう。確かに現状の森批判は、度を超えていて、女性蔑視を批判するなどという範疇ははるかに超えて、これはもう陰湿な老人いじめのような状況になっています。批判することと、いじめることは根本的に違います。そのことを岩田氏は訴えたかったのだと思います。

もう一方は、財務官僚の経験もある経済学者の高橋洋一の動画です。


この動画で、森氏がマスコミなどの標的になるのは、その場を盛り上げようとして、様々な会場で主催者側を持ち上げるように、長い話をするので、その長い話を切りとり、批判の材料にしやすいとしていました。

実際そうなのだと思います。私自身は、森氏講演を2回くらいは聞いたことがありますが、聞いていて本当に楽しいです。それに飽きません。はっきり言って、テレビに出てくる芸人など比較の対象にならないくらい面白いです。

私は、今回の森騒動でオリンピックの聖火ランナーをやめると宣言した、ロンドンブーツの田村淳氏のことも、上の動画の岩田氏が語っているようにほとんど知りません。そもそも、テレビをあまり見ないですし、テレビで視聴する芸人の芸をあまり面白いと思ったことはありません。

むしろ、いわゆる芸人といわれる人達は、森氏の話を虚心坦懐に聞き、なぜあれほどまで多くの人が面白いと思われるのか研究すべきだと思います。


それに抜群の調整力があります。このような人は、オリ・パラに限らず、様々なお祭りや、イベントには欠かせない人だと思います。

安っぽく人を叩いて目立とうとする安物芸人とマスコミと野党に一般国民が踊らされないで一人ひとりが正しく情報を見るべきと思います。

私が森喜朗氏のことで、はっきりと印象に残っているのは、2005年8月6日夜のニュースです。当時参院で郵政民営化法案が否決された小泉総理が衆院解散を決意し、それを思いとどまらせようと森氏が官邸を訪ねたのですが、「殺されてもいい」と拒否されたそうです。

その会談で出たのが缶ビールとつまみの「干からびた」チーズでしたた。会談後、森氏は握りつぶした缶ビールと干からびたチーズを取り囲んだ記者団に見せ、「寿司でも取ってくれるのかと思ったらこのチーズと、缶ビールだけでした」「硬くて歯が痛くなったよ」と不平を漏らしました。

その映像を見たわれわれ視聴者は「小泉は命をかけている、本気だな」との印象を強くしたと思います。森氏が記者団に見せた憮(ぶ)然とした表情がなければ、総選挙での自民党の大勝はなかったのではないか、と今でも思ったりします。


その後日談であの干からびたチーズは高級チーズ「ミモレット」だったと報道されました。その当時は、会社でイタリアン・レストランを運営していて、そこでは60種類以上もの、ナチュラルチーズも販売していて、その中にもミモレットもあったので、何度か食べたことがありました。

確かに歯応えは十分ですが、「硬くて歯が痛くなる」ほどではありません。ミディアムに焼いたステーキを食する人なら、難なく口に入ります。「歯が痛くなるなんて、オーバーな表現だな」といぶかったものでした。要するに、これは森氏が仕掛けたマスコミ対策だったのだと思います。

そして、2005年8月12日の午前10時からのテレビ朝日の政治討論番組「サンデープロジェクト」で森氏が出演しました。司会の田原総一朗氏が「あの干からびたチーズの会見は森さんの演技だったという説もありますが、本当ですか」と尋ねました。森氏はニコニコしながら、否定はしせんでした。ということは、やはり芝居だったのかもしれません。演技ならば「硬くて歯が痛くなった」との表現も辻褄(つま)が会います。

ところで番組では、森氏は東京ではなく北陸朝日放送(金沢市)のスタジオから中継で出演していました。同年同月10日に告示された石川県議会議員補欠選挙(19日投票)に立候補している長男の祐喜氏(41)の戦いぶりが気になりお国入りしたのでしょう。9月のポスト小泉の後継はこれから、まず、自らの後継を固めようとの思いだったのかもしれません。

その祐喜氏は、2011年5月頃より体調を崩して金沢市の病院に入院していましたが、2011年7月25日、入院先の病院で急性膵炎による多臓器不全のため死去。46歳没。森元首相は「今は静かに逝かせてやりたい」と話し、家族たちだけで密葬しました。

このような、森氏をマスコミや芸人までが束になって、言いたい放題で森氏の辞任を要求しています。ここまでいくと、マスコミも一部の芸人たちも、単なる人非人どもと断定せざるを得ません。

マスコミは新聞・テレビとも未だに隆盛を誇っているようにみられますが、このブログにも掲載したように、あと10年で消滅します。完全に消滅するかどうかは、わかりませんが、少なくとも、社会的に大きな影響力を行使できるような組織ではなくなります。

テレビに関しても、ここしばらく視聴率が落ち続けているのですが、昨年はコロナの影響で、自宅でテレビを見る機会が多くなったために、視聴率が伸びています。とはいいながら、各テレビ局の運営は厳しいそうです。それは、ACジャパンの広告が、一昨年の4月前半件から昨年は6,103件と、20倍になったことでもわかります。

視聴率があがっても、肝心のスポンサーがCMを放映しなければ、テレビ局の収入は減るのです。

このままだと、テレビも10年後は危ないです。何らかの形で残りはするでしょうが、今でいえば、ラジオのような存在になるでしょう。主流はインターネットということになるでしょう。そうなると、今までテレビに出ていた、芸人や識者たちは、テレビに出る機会がほとんどなくなると思います。

これを考えると、現在のマスコミや芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなものかもしれません。

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2021年2月9日火曜日

中国の半導体国産化に立ちふさがる壁―【私の論評】日本の産業界の優位性がある限り、中国、GAFA等が世界市場を独占するのは不可能!それは世界にとって良いこと(゚д゚)!

中国の半導体国産化に立ちふさがる壁

岡崎研究所

 米国が先端チップ(半導体)製造で後退を示す中、チップ製造で中国の時代が始まりつつあるかもしれない、中国をグローバル供給網に参加させ、かつ西側の利益を守るような、中国との予測可能な通商の枠組みを創る必要があると、1月23日付けの英Economist誌が論じている。

 英Economist誌にしては、かなり皮相な記事だと思う。マイクロチップ製造は、設計・材料・製造装置の存在を前提とする。エコノミスト誌の記事は、この3分野を度外視している。中国は、高級材料・先端製造装置を日本や西側諸国に依存している現実がある。

 マイクロチップ生産の歴史にはいくつかの節目があった。IBMに代表されるメイン・フレームからパソコンに移行した時、パソコンからスマホに移行した時、そして現在5Gに対応して多種多様・高性能のマイクロチップが求められる時代に移行しつつある。

 その中で、当初優位を築いた日本企業は、相次ぐパラダイム変化の波に乗り遅れて製造面では没落した。しかし、素材と製造機械生産の面では世界で高いシェアを維持している。

 米国は、製造の多くを台湾、韓国企業に仰ぐが、設計と製造機械生産の面では世界の大元を抑えており、それによって第三国企業をも己の対中制裁措置に従わせることができる。例えば、米国製装置で作ったものの対中輸出を禁ずる等である。

 一方、中国はこれまでマイクロチップの大輸入国であった。その主因は中国で最終製品を組み立てるアップル(台湾のホンハイが生産を受託)等が、そのために大量のマイクロチップを(おそらく、米国、台湾、韓国から)中国に持ち込んでいたからである。そのため、中国の自給率は20%以下と言われて久しい。外国企業は中国での自社製品組み立てを縮小しつつあるので、マイクロチップの自給率は数字の上では上がっていくだろう。

 習近平政権は遠大な目標を立てた。2025年には自給率70%を達成しようと言うのである。米国の制裁を食らった華為(ファーウェイ)等はすでに、国産マイクロチップへの移行をはかりつつある。しかし、これは容易なことではない。例えば5Gに対応できる高精細のチップを作るためには最先端のEUV(極端紫外線)を用いた露光装置が必要なのだが、これを作れるのは世界で現在オランダのASML一社のみである。これは一基100億円以上する代物なのだが、米国の差し金で、中国には輸出できない。他にもEUV対応の製造装置は米国・日本・欧州の企業に独占されていて、これを止められると中国はどうしようもない。華為などは台湾のTSMC等と緊密な人的関係を持っているが、人材だけではモノは作れない。

 マイクロチップ設計面で中国は力をつけているが、華為でさえ実際はArm社に依存していたのであり、自立までには時間がかかるし、いずれにしても製造装置、素材が入手できないと話にならない。

 冷戦時代のソ連のように、マイクロチップの最終製品を秋葉原などで購入してはスーツケースで密輸するしかない。ソ連はこれでは兵器生産にも足りず、西側に立ち遅れていったのである。

 つまり、西側による規制が守られていれば、中国はマイクロチップ面での後れを克服することはできない。力をつければ周辺諸国、西側諸国に歯をむくような中国は、こうしておけばいいのだろう。トランプ時代の規制措置の多くは、残してしかるべきものだろう。

 日本では、米中対立を迷惑がり、ビジネスの邪魔だとする声もあるが、それは安全保障を軽視した意見だ。中国で最終製品の組み立てが減少すれば、その分中国以外の国での生産が増えるのであり、日本企業はここへ素材・製造装置を輸出していけばいいのである。それに元々、最先端の素材・製造装置の対中輸出は、日本の法制でも規制されてきたので、事態はあまり変わらないのである。

 Economist誌の記事は、中国をグローバル・サプライ・チェーンの中に組み込み、その行動を国際取り決めで管理していけばいい、と言っている。しかしそれは、不可能なことを言って議論をごまかそうとしているのである。西側諸国は以前、WTOを改革して中国の行動も規制しようとしたが、中国はこれを受けなかった。そのためオバマ政権はTPPを推進して中国への圧力としたのである。RCEPはこれの代用にはならないし、昨年12月末ドイツの動きで基本合意されたEU・中国投資協定も解決策にならないだろう。

【私の論評】日本の産業界の優位性がある限り、中国、GAFA等が世界市場を独占するのは不可能!それは世界にとって良いこと(゚д゚)!

上の記事では、日本は素材と工作機械生産の面では世界で高いシェアを維持としていて、日本の優位性を語ってはいるものの、その本質までは、語っていないと思います。本日は、それについて掲載しようと思います。

日本の工作機械は世界でも有数の競争力を持っています。機械を作る機械というその性質から「機械の母」あるいは「マザーマシン」と呼ばれているほどです。無論半導体を製造する工作機械も日本は世界でトップクラスです。

ものづくり産業全体は三層構造で考えるとわかりやすいです。一番上位に自動車や家電、航空機などの最終完成品をつくる自動車メーカーや家電メーカー。次にそれらに部品を提供する企業。そして部品をつくる際に欠かせない工作機械産業です。

以下、柴田友厚氏の『日本のものづくりを支えた ファナックとインテルの戦略』から一部を引用し、再編成した形で掲載します。

日本で世界一の競争力を持つ産業は一体何だろうかと問われると、おそらく多くの日本人は自動車産業だと答えるのではないだろうか。確かに、日本における自動車産業の存在感はとても大きいものがあるが、国別生産高では多くの場合、米国の後塵を拝してきた。 

あまり知られてはいないが、この四半世紀、一貫して世界最大の生産高を誇ってきた産業がある。それが工作機械産業だ。表1が示すように、日本の工作機械産業は1982年に米国とドイツを抜いて世界一の生産高に躍り出て以来、2008年のリーマンショックまで、なんと27年間にわたって世界一の生産高を守り続けた。


現在では、中国が日本とドイツを抜いて世界一の生産高を誇っている。これには理由がある。

リーマンショックが起こると、世界の主要各国は、需要減少に対応するために大規模な財政出動や金融緩和に踏み切った。その中で特に中国政府は、4兆元(当時のレートで約60兆円)もの膨大な景気対策を打ち出し、世界の需要を下支えしたのだ。

その旺盛な公共投資やインフラ開発に後押しされて、中国の工作機械の生産高は世界一となったのである。

しかし、技術力では先進国とまだ大きな開きがある。技術力の客観的評価は困難な側面があるために主観的評価にならざるをえないのだが、中国を始めとする新興国メーカーの工作機械と日米欧先進国の工作機械の間には技術水準にまだ大きな格差がある、というのが現場を知る経営者の共通した認識である。

その意味では、日本の工作機械産業は現在でも依然として世界最強といってもよいだろう。

27年間にわたって世界一の生産高を守り続けた産業はこれまでなかったし、これからも生まれないのではないだろうか。

また、輸出比率と輸入依存度の観点からも、日本の工作機械産業の国際競争力の向上を観察できる。表2は、日本の工作機械の輸出比率と輸入依存度の金額ベースの推移を示したものだ。輸出比率とは、生産高のうち、輸出高の比率を示している。一方、輸入依存度とは、内需のうち、輸入高の割合を示している。


表が示すように、日本の工作機械産業は、50年代は欧米から多くの工作機械を輸入する産業だった。特に55年頃の輸入依存度は、なんと5割を超えていた。しかし、70年代から80年代にかけて輸入依存度は低下してゆく。 

輸入依存度の低下と相反するように急速に上昇していったのが、輸出比率である。特に90年代以降は、生産高の半分以上を輸出する産業へと変貌した。 

表をよく見ると、2000年前後に輸入依存度が少し上昇していることに気づく。この頃は、日本の工作機械メーカーのアジア新興国への進出が加速していった時期だが、そこで生産された機械が国内に輸入され始めたことを示している。

このように日本の工作機械産業は、生産高および輸出入比率両方の観点からも、70年代後半から80年代にかけて、その多くを海外に輸出できるだけの技術力を持った産業へと発展し、国際競争力を高めてきたことがわかる。

日本の工作機械産業が70年代以降次第にキャッチアップして、高い競争力を持つに至ったのには、もちろん様々な要因がある。いうまでもなく、工作機械メーカー自身のキャッチアップに向けた不断の努力は不可欠であった。

例えば、ライセンス契約を締結して、当時技術的に進んでいた米国の工作機械メーカーから熱心に技術導入を図ったり、先進的な工作機械のリバース・エンジニアリング(機械の構造を分解して技術情報を調査すること)にも熱心に取り組んだりした。また、自動車や家電等の優れたユーザー企業の存在も指摘されている。ユーザー企業からの高度な要請に応えようとすることで、技術は確かに磨かれるからだ。

しかし、その中で必ず言及しなければならないであろう最も重要な要因の一つは、CNC装置の工作機械への導入にいち早く成功したことである。工作機械産業において、それが産業革命以来最大の技術革新といわれている。

CNC装置は工作機械をコンピュータで自動制御する、頭脳部分であり司令塔のようなものである。CNC装置の開発を草創期からリードしたのは、富士通の社内新規事業として1956年に始まり、その後分社化して独立したファナックである。1972年に富士通本体から分離独立した際の社名は富士通ファナックだったが、その後1982年には社名をファナックに変更した。

ファナックはその創業初期にインテルと出会い、1975年にいち早くインテルのMPUを自社のCNC装置へ導入したが、それにより日本の工作機械の競争力を飛躍的に高めて顧客層を大きく拡張した。IBMがパソコンにインテルのMPUを初めて導入したのは1981年だったことを考えると、それがいかに早い先進的取り組みだったのかは容易に想像できるだろう。パソコン産業より、なんと6年も早くMPUを導入したのである。

一国の工作機械産業の技術水準は、ものづくりの基盤技術を規定するといわれるが、これは具体的にはどういう意味だろうか。それは、工作機械の持つ母性原理と技術的収斂の2点によって説明できる。

生産される機械や部品の精度は、それを作り出す工作機械の精度によって決まる。つまり、作られる機械や部品は、それを作り出す工作機械の精度を超えることができない。これは、工作機械の「母性原理(copying principle)」と呼ばれる。それでは、このような工作機械はどのように作られるのだろうか。それを作るのも、また工作機械である。

ここでも再び母性原理が働く。つまり、精度が高い工作機械を作るためには、それ以上の精度を持った工作機械が必要になる。一国の工作機械産業の技術水準がものづくりの基盤技術を規定する一つの理由は、この母性原理にある。

もう一つの理由は、米国の技術史家ローゼンバーグが指摘した「技術的収斂(Technological convergence)装置」としての役割である。工作機械は「機械を作る機械」として、あらゆる産業のものづくりの現場で使われる。ということは、ある特定産業の特定用途を実現するために開発された工作機械の新しい技術や機能は、他産業でも使用されることでその性能や機能が他産業にまで波及するはずである。

すなわち、工作機械を経由して新しい技術が多くの産業に普及するのだ。そのために、多くの産業の技術水準が工作機械を経由してある一定範囲に収斂するというメカニズムが存在する。これが、技術的収斂という概念の意味である。

このように、工作機械は他産業にはない独自の役割と機能を持つことが明らかにされており、産業規模では計ることができない戦略的重要性を持つ。

さて、このような特性を持つ工作機械には実に多種多様なものが存在する。工場内では様々な加工用途が生じるために、それに対応して様々な種類の工作機械が必要になるからだ。主要な工作機械として、旋盤(Lathes)、研削盤(Grinding machines)、そしてマシニングセンター(Machining center)などが知られている。表3は、2017年度の日本におけるNC(Numerical Control、数値制御)工作機械の機種別生産割合を表している。一口に工作機械といっても、実に様々な種類の機械が存在することがわかるだろう。 

 その中で、台数、金額ともに最大の機種はマシニングセンターで、工作機械全体の約4割を占めている。

マシニングセンターとは複数の刃物を自動交換できる装置を持ち、NC装置で読み込まれるプログラムに従って、穴あけや平面削りなど複数の異なる加工を1台で行う工作機械を指す。従来の工作機械が基本的に単一種類の加工を行っていたのに対して、複合加工を自動的に実現する機械であり、NC装置の出現によって誕生した。

次に多い機種はNC旋盤で、全体の約3割を占めていることがわかる。旋盤は円柱状の被切削物を回転させ、バイトと呼ばれる工具で切削加工をする工作機械である。現在の日本では、この二つの機種で全工作機械生産高の約8割程度を占めている。また、現在日本で生産される工作機械のほとんどは、NC装置が付いたNC工作機械である。

1980年代は、日本の製造業の国際競争力が向上し、それに対する世界的な関心が高まった時期だった。ちょうどその頃、米国の産業競争力の回復を目的として、マサチューセッツ工科大学(MIT)を中心として産業生産性調査委員会が組織された。

その委員会の調査報告書『Made In America』では、日本の強い産業競争力の背景にあるいくつかの要因を挙げているが、NC(Numerical Control、数値制御)工作機械産業についても一定のスペースを割いてその特徴を記述している。

報告書はまず、NC工作機械産業の戦略的重要性について次のように述べている。

NCおよびNC工作機械は、自動車やエレクトロニクス、機械工業などに対して少量・多品種かつジャストインタイムで納入している業者に、フレキシブルなオートメーションをもたらした。

このようなNC装置の設計と製造を主導したのが、ファナックであった。日本の工作機械メーカーの多くは、NC装置の開発をファナックに完全に任せて、自らは工作機械それ自体の革新に注力することができた。つまり日本の場合、ファナックと工作機械メーカーとの間で分業が行われたのである。

一方、米国の場合、日本のような分業体制ではなく、工作機械メーカーが自社でNC装置を開発した。今から振り返ると、この草創期の開発形態の違いこそが、後述するような大きな違いをもたらすことになった。しかし、黎明期は、まだそのような先のことまで見通すことはできなかった。日米の開発形態の違いに関して、報告書は次のようにいう。

日本はNC工作機械のNCの設計と生産をファナック1社に絞った。この為、規模の経済的メリットが得られただけでなく、米国の工作機械ユーザを悩ませた互換性のなさという問題も回避できたのである。工作機械メーカーは自社でNCを開発する重荷から解放され、ファナックがエレクトロニクス分野にその全力を集中した為、ファナックと工作機械メーカーとの直接の競合も回避された。

私の調査では、日本がNC装置の開発を意図的にファナック1社に絞ったという事実は存在しない。産業用ロボットなど、メカトロニクス製品の製造を行うメーカーで知られる安川電機もNC装置の開発をしていたからである。より正確にいえば、ファナックが結果として主導する形になり、ファナックのNC装置が大きなシェアを占めたということだろう。その結果、日本の工作機械メーカーは確かに、規模の経済のメリットを享受できたし、互換性も維持することができた。

ここでいう工作機械ユーザーとは、工作機械を使用して自社製品を作る自動車メーカーや精密機器メーカーなどを指す。これらの工作機械ユーザーは、自社の加工条件に従ってNCプログラムを作成し、それを使ってNC工作機械を動かす。したがって工作機械ユーザーにとっては、一度作成したNCプログラムを他の機械でもできるだけ使用したいという要望は当然であろう

だが、NC装置メーカーが違えば、NCプログラムの言語仕様や操作性が異なるために、他のNC工作機械で使えない可能性が出てくる。これが互換性の問題である。日本の場合、たとえ工作機械が違っても付加されるNC装置の多くはファナック製であったために、互換性の問題が顕在化しなかった。

他方、米国の場合、工作機械メーカーがそれぞれ独自のNC装置を作るために、工作機械ユーザーは互換性の欠如という問題に直面していたのである。それが、強力なNC工作機械産業を発展させるのに大きな障害になった、と報告書は指摘する。

さらにファナックの技術戦略について、調査結果は次のように報告している。

アメリカの制御機器メーカーとは異なり、ファナックは早くから先端的な半導体技術を採用し、コストに見合った設計を行って標準品を低コストで生産した。

ここでいう先端的な半導体技術とは、半導体技術を使った記憶素子である半導体メモリやインテルのMPUを指す。これらの先端技術をファナックは積極的に取り入れたのに対して、米国のメーカーはそうではなかったと指摘する。

さらに報告書は、標準化を積極的に図ったことでコストを下げることができたという、ファナックの製品戦略の特徴を明らかにしている。

米国の産業生産性調査委員会では、産業競争力における工作機械産業の重要性と、その中で果たしたファナックの役割について、明確に認識していたことがわかる。

さて、以上のことから日本の工作機械の優位性は十分にお分かりいただけたものと思います。興味のある方は、ぜひとも柴田友厚氏の『日本のものづくりを支えた ファナックとインテルの戦略』を御覧ください。この書籍、そのへんの小説を読むよりはるかに面白いです。

日本でなぜこのような、工作機械をつくれるかということには、もう一つ理由があります。それは、日本の産業界にはほぼすべての技術が育まれているということがあります。

たとえば米国では、原潜しか製造しなくなったため、通常型の潜水艦は製造できません。製造できないということはないでしょうが、莫大なコストをかけても日本と同等のステルス性の高い(日本は世界最高)潜水艦は製造できないでしょう。日本の潜水艦は三菱重工業神戸造船所と川崎重工業神戸造船所が隔年で交互に建造しています。そうして、通常型潜水艦にはありとあらゆる最新技術が駆使されています。日本の製造能力の結晶と言ってもよいでしょう。

日本は原潜は製造はしていませんが、それでも製造しようとすれば、米国が通常型潜水艦を製造するよりは、はやく高性能のものを製造できるでしょう。原子力空母や、核兵器なども短期間で製造できるようになるでしょう。製造しないということと、製造できないということは根本的に違います。

テレビも、米国は1980年代に入ってからは、製造していません。

EUだと、たとえば、リチュウムイオンバッテリーは製造していません。EUはリチウムイオンバッテリーを中国から輸入しています。日本は、ユアサバッテリーという優秀なメーカーがあり、これは、最近日本の最新鋭潜水艦にも搭載されて、潜水艦の動力源になっています。そのため、日本の潜水艦の静寂性は無音と言っても良いくらいになり、潜航時間も従来の2週間より、はるかに長くなりました。

「軽いのに鉄より強い」という炭素繊維(カーボンファイバー)の分野で、日本は世界でもトップシェアを誇っています。炭素繊維は飛行機や自動車、さらには医療機器などで活用されていますが、これも品質・価格ともに日本製が最高です。

半導体に必要不可欠なフッカ水素は、中国や韓国でも製造できますが、純度が低く、日本のように純度の高いもの製造できません。そのため中国製や韓国製のフッカ水素を用いれば、歩留まりがかなり低くなり、競争力が低下してしまいす。

最近では、このブログにも掲載したように、味の素の子会社である、味の素ファインテクノが供給する、層間絶縁材料「ABF」は味の素の独壇場です。これがないと、最新のMPUは製造できません。

以上のようなことは、多くあります。上に述べたのは、私が思いついたことを掲載しただけです。ただ、日本のマスコミが反日であるため、ほとんど報道しないので、一般の日本人には知られていません。ほとんどすべての技術を内製できるのは、世界で日本だけです。

私自身は、過去に述べてきたように、日本の産業界の優位性がある限り、中国やGAFAなどが、世界市場を独占するのは不可能だと思います。中国が全体主義的な動きをさらに強化したり、いつまでも継続する場合、GAFAなどが市場を独占する動きを見せた場合、それを阻止しうるのは、日米だけでしょう。日本は、それだけの潜在能力があります。そうして、それは世界にとって良いことです。だから、この先も日本はそれを失うべきではないのです。

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2021年2月8日月曜日

【独話回覧】菅政権は一刻も早く財政支出を拡大せよ 中国に土地や不動産を買い漁られ…経済萎縮は“安保上の危機”に―【私の論評】財政均衡主義は、財務省とその走狗たちの抱える宿痾となった(゚д゚)!

 【独話回覧】菅政権は一刻も早く財政支出を拡大せよ 中国に土地や不動産を買い漁られ…経済萎縮は“安保上の危機”に



 「政府は債務水準にこだわらず、大きな行動をとることこそが重要」(米国のイエレン新財務長官)。新型コロナウイルス・ショックは政府債務に関する世界の思潮を大きく変えつつある-。

 1月30日付産経新聞の拙連載コラム「経済正解」でこう論じたが、実のところ筆者はこれまで15年間、同じような主張を展開してきたので、「ああ、やっとアメリカの経済学者で、しかも財政の最高責任者が言い出したか」との感慨があった。

 これまでは、いち経済ジャーナリストがいくら「正論」を唱えても、しょせん多勢に無勢で、わが日本国では政官財界はもちろん、経済学界もメディアも、主流は財務省の意のままだ。彼らエリートは学術的にも経験的にも根拠がないにもかかわらず、財政均衡至上主義で増税や財政支出削減をすれば経済は良くなる、というフェイク情報で国民をだまし続けてきた。

 緊縮財政でどうなったか、日本は実に4半世紀もの間の慢性デフレ局面から抜け出せない。もっと恐れるべきなのは、経済規模、すなわち国内総生産(GDP)を世界標準のドルでみると、日本は20年前の1995年よりも小さくなっていることだ。

 95年のGDPと、新型コロナウイルス・パンデミック(世界的大流行)のあった2020年の見通しを比較すると、日本は5兆4000億ドルから4兆6000億ドル(19年実績は5兆800億ドル)と減少している。

 中国は7300億ドルから14兆8000億ドル(同14兆3000億ドル)と約20倍、米国が7兆8300億ドルから19兆5000億ドル(同21兆4000億ドル)と約2・5倍、ユーロ圏が約7兆5000億ドルから11兆2000億ドル(同13兆3000億ドル)と約1・5倍に増えている。日本だけが世界経済史上、前例のないほどの長期停滞、マイナス成長を続けてきた。

 ドル建てのGDPが細って他国に水をあけられることはそれだけ、国民の賃金や所得でみて相対的に貧しくなっていることを意味し、なおかつ、モノ・サービス価格は下がり、不動産など資産価格もそれにひきずられる。ドル建てGDPが増えている国は購買力が上がっているわけだから、日本はモノも飲食・宿泊などのサービスも、さらに土地もマンションも「安い!」ということになる。

 政府は中国などからのインバウンド消費に頼り、昨年2月の春節にはコロナ感染の元凶、中国人旅行客を「歓迎」するメッセージを安倍晋三首相(当時)が送る始末だった。インバウンド消費に頼らざるを得ないというのは、貧困国である証左であり、北海道の山林原野、農地から東京都心の不動産まで中国資本や中国人によって買い漁られる。中国は何も武力を使わなくても、日本を徐々にわがものにしていける。四半世紀間もの経済萎縮は、実は日本国の安全保障上の危機である。

 それにもかかわらず、政財官学、メディアに危機感が乏しい。相変わらずコロナ不況対策で財政支出が増えると、財政規律を忘れるな、消費税のさらなる増税を準備せよとのたまう向きが幅を利かせる。

 代表的な論説が日本経済新聞1月24日付朝刊社説で、見出しは「財政悪化の現実を直視できないのか」である。「困窮している個人や企業を、いまはしっかりと支えるべきだ。そのために必要な国・地方の財政出動をためらう時ではない」と、緊急の財政出動を認めながらも、政府債務残高がGDPの2倍近いとし、「たとえ危機下でも財政に負荷をかけすぎれば、そのツケはいずれ返ってくる」と例によって「オオカミ少年」の本性をむき出しにしている。

 冒頭のイエレン財務長官発言に戻ると、財政支出拡大をよしとする基準は「債務水準」であり、イエレン氏は政府の借金利払いの対GDP比率だとしている。

 グラフは日米とユーロ圏の同比率の推移である。日本とユーロ圏については、経済協力開発機構(OECD)が各国地域別に発表している見通しから抜き出し、米国については米財務省が公開している利払いデータから算出した。一目瞭然、利払い比率がダントツに低いのは日本であり、20年、21年とゼロ%以下である。

 米国はイエレン長官が、08年のリーマン・ショック当時よりも低いと言っているが、それでも20年9月時点では利払いのGDP比が1・6%に上る。つまり、財政支出拡大に最も悠々と踏み切ることができる国は米欧ではなく、日本である。

 日本は前述したように、25年前から経済萎縮病に見舞われており、コロナ禍はそれをひどくした。宿痾(しゅくあ)はデフレとマイナス成長であり、それを引き起こしてきたのは消費税増税と緊縮財政である。菅義偉政権は財政支出拡大によって、一刻も早く国難から脱出する戦略を進めるべきだ。

 ■田村秀男(たむら・ひでお) 産経新聞社特別記者。1946年高知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後の70年日本経済新聞社入社。ワシントン特派員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級研究員、日経香港支局長などを経て2006年産経新聞社に移籍した。近著に『検証 米中貿易戦争』(ML新書)、『習近平敗北前夜』(石平氏との共著、ビジネス社)、『日本再興』(ワニブックス)など多数。

【私の論評】財政均衡主義は、財務省とその走狗たちの抱える宿痾となった(゚д゚)!

このブログでも、ブログを新設したころから、財政均衡主義の間違いについて指摘してきました。それは、もうすでに10年くらい前から常識中の常識でした。これに関しては、2009年くらいから、意図して意識して、このブログにもとりあげてきました。

世界的な権威といわれる経済学者の中で、日本以外の学者で、財政均衡主義が正しいと、言ったのは二人くらいかもしれません。ケネス・ロゴフとカーメン・ラインハートです。

これについては、間違いであったことをこのブログでも2013年に指摘しています。その記事のリンクを以下に掲載します。

「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問―【私の論評】 これは経済学者というか、科学者として許すまじ行為!!世界を日本を惑わした罪は大きい!!見せしめのために、学会から追放せよ!!日本は、消費税増税絶対にみあわせようぜ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、財政切り詰め策は、間違いであることがこの時あたりから明らかになり、EU諸国では経済が低迷したときに、財政を引き締めるという動きはなくなりました。この記事は、2013年4月19日のものです。この記事から一部を引用します。
2009年にギリシャ問題が発覚し、それが欧州財政危機問題へと拡大した際、欧州委員会は危機を回避する政策を策定するにあたってひとつの論文を参考にしました。

それはハーバード大学のケネス・ロゴフ教授とハーバード・ケネディ・スクールのカーメン・ラインハート教授による「Growth in a Time of Debt(国家債務時代の経済成長)」という論文です。

ロゴフ教授とラインハート教授は『国家は破綻する』という本の著者でもあり、日本でも知られています。

ところがマサチューセッツ大学アマースト校の博士課程に学ぶトーマス・ハーンドンがこの論文に書かれている結果を再現しようとしたところ、ロゴフ教授とラインハート教授が主張するような、「国家負債が90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化する」という結果が得られませんでした。そこで彼の指導教授であるマイケル・アッシュ教授ならびにロバート・ポーリン教授とともに「結果がそうならなかった」という指摘をしました。
これが両者の間で論争を巻き起こしましたが、結局、ロゴフ教授とラインハート教授がエクセルのスプレッドシートを操作する際、コーディングのミスをした為、一部のデータが演算に反映されていなかったことが判明しました。

ロゴフ教授とラインハート教授がエクセル操作上の凡ミスを全面的に認め、謝罪の声明を出すということで論争には終止符が打たれました。

しかし切り詰め政策を強要されているギリシャやスペインの国民からすれば「間違いでした、ごめんなさい」ですまされることではありません。

この馬鹿まるだしの間違いをしたのは、以下の写真の二人です。

ケネス・ロゴフとカーメン・ラインハート

ケネス・ロゴフは、現在は現在、ハーバード大学教授です、カーメン・ラインハートは現在全米経済研究所の研究員(Research associate)であり、経済政策研究センターのリサーチフェローであり、 またVoxEUの創立協力者でもあります。

この二人の学者は、この当時はブログをごらんいただくと私自身もかなり批判をしましたが、それにしても、この二人は処方的な過ちなのですが、素直に誤りを認め、謝罪の声明を出しています。だからこそ、今日の地位があるのだと思います。

しかし、この教授たちのように、「国家負債が90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化する」という誤った説を唱え続けているおかしな組織な個人が日本にはいます。

それが、財政規律に拘泥する日本の財務省であり、財務省の走狗である経済学者たちであり、これらの言説を鵜呑みにして報道するマスコミが存在します。

がれらの歪んだ頭では、イエレン氏の考えなど理解できないようです。彼らの歪んだ頭では、デフレ下での増税や、そもそも保険であり、財政とは無関係である年金なども、歪められ、社会保障と税の一体改革などという不可思議な理論がまかり通ってしまいます。

彼らはいまでこそ、コロナ禍で大勢の人が苦しんでいるので、息を潜めていますが、コロナが収束すれば、日本経済の状況など無視して、東日本震災後の復興税制などのようなコロナ増税を実行しようとするでしょう。それどころか、現在10%の消費税を、15%、20%にするなどといいかねません。

もう私達は、財務省とその走狗たちの、認知症的な財政政策等に惑わされるべきではありません。

財政均衡主義に拘泥する財務省の太田事務次官


もう昔とは状況が変わっています。このブログですら、もうすでに、10年以上も前から、財政規律に拘泥することの間違いについて主張してきて、今年で13年目に入ります。

昔は、政官財界はもちろん、経済学界もメディアも、主流は財務省の意のままであり、彼らエリートは学術的にも経験的にも根拠がないにもかかわらず、財政均衡至上主義で増税や財政支出削減をすれば経済は良くなる、というフェイク情報で国民をだまし続けてこれましたが、もうそのような時代ではありません。

財務省とその走狗たちが、いくら緊縮財政至上主義を訴えても、それに嬉々として従うのは、マスコミでしか情報を得られない、ワイドショー民である高齢者などの少数です。

財務省とその走狗たちの思い通りにさせることは、多くの国民が許さないでしょう。彼らの宿痾は消えそうもありません。であれは、財務省をなくすべきです。

【関連記事】

「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問―【私の論評】 これは経済学者というか、科学者として許すまじ行為!!世界を日本を惑わした罪は大きい!!見せしめのために、学会から追放せよ!!日本は、消費税増税絶対にみあわせようぜ!!

【お金は知っている】「イエレン財政論」は利払いゼロの日本にぴったり 国内メディアは財政均衡主義にこだわるが…―【私の論評】菅政権は、トランプが実践して見せ、イエレンが主張する財政を赤字にしてもやるべきことをやるという姿勢を貫き通せ(゚д゚)!

【日本の解き方】医療崩壊これから止めるには「札束のムチ」しかない 2月下旬からのワクチン接種も万全の準備を―【私の論評】コロナも過去のインフルエンザのように、近いうちに必ず収束する(゚д゚)!

「コロナ研究」に国債を発行できない財務省の「間抜けっぷり」を示した、ある文章―【私の論評】鈍感財務省こそ日本の危機を生み出し、若者の未来を破壊する最悪の組織(゚д゚)!


2021年2月7日日曜日

高橋政治経済科学塾講義2021年(令和3年)2月号特集 高橋洋一教授の日本マスコミ崩壊の衝撃予測!!―【私の論評】明けましておめでとうございます!10年で新聞消滅という厳然たる事実(゚д゚)!

 高橋政治経済科学塾講義2021年(令和3年)2月号特集 高橋洋一教授の日本マスコミ崩壊の衝撃予測!!


【私の論評】明けましておめでとうございます!10年で新聞消滅という厳然たる事実(゚д゚)!

上の動画で、10年で新聞消滅という厳然たる事実を語っています。みなさん、よろしいですが、朝日新聞消滅ではなく、全部の新聞がそういうことになるということです。高橋洋一氏が段順明快な指摘をしています。

ちなみに、元になったデータを以下に掲載します、これは新聞協会のサイトでご覧いただけます。興味のある方は、そちらを是非御覧ください。


高橋洋一氏の予測は、新聞全体ですから、予想よりはやく消滅する新聞もこれからでてくるはずです。

上の表をみただけでも、新聞は相当危ないことがわかります。この表をプロットしてみただけでも、将来どういうことになるのか、よくわかります。高橋洋一氏は、新聞発行部数の現象の速度を元にして予測しています。おそらく、微分法などを使っているのでしょう。

しかし、そこまでしなくても、統計学で良く使われる、最小二乗法でも使えば、誰でも予測できると思います。そうして、その結果は高橋洋一氏のものとあまり変わらないでしょう。

EXELには最小二乗法の関数もありますから、誰にでも簡単にできます。以下のサイトでは、その手順が示されています。


それにしても、新聞は2000年頃からこうした傾向はみらていたのに、なぜ体質改善をシてこなかったのでしょうか。それは、明らかです。何十年も法律などで守られきたため、危機感が全くなかったからでしょう。
では、テレビ局はどうなっているのでしょうか。HUTの推移をあらわしたグラフを以下に掲載します。「HUT」とはテレビの総世帯視聴率(Households Using Television、テレビをつけている世帯)を意味する言葉で、具体的には調査対象となる世帯のうち、どれほどの比率の世帯がテレビ放送をリアルタイムで視聴しているかを示す値(チャンネル別の区分はない)です。

HUTの値として確認できるのは、ゴールデンタイム(19~22時)、全日(6~24時)、プライムタイム(19~23時)の3種類。そのうち一番視聴率が高く、変移が見やすいゴールデンタイムのもの、そして包括的な意味を持つ全日のグラフ、合わせて2つを併記し、状況を確認します。



これも、何も説明の必要はないです。2020年度上期が明らかに増えているのは、無論コロナで外出が減ったためです。予測してみようとも思いましたが、2020年のコロナのアーティファクトが入るのでやめておきました。

これは、コロナが収束すれば、また元のように減少し続けるということです。これでは、テレビも同じ運命をたどりそうです。これも、電波法でまもられてきたため、危機感が薄かったというのが原因でしょう。

日新聞への抗議デモをを本社から笑いながら見下ろす朝日新聞の社員たち 2014年

マスコミはもう久しく、危ないといわれきましたが、本当にここ10年が正念場です。何も変えなければ10年で消滅です。

まあ、そうなっても、誰も悲しむ人はいないでしょう。マスコミの従業員とその家族以外は・・・・・。マスコミに従事されているかたは、自分自身や家族のことも考えて、次にどうするかを今から真剣に考えておいたほうが良いです。

このブログでは、過去には何度も、マスコミの酷さについて掲載してきましたが、もう10年でマスコミそのものがなくなりそうだからでょうか、マスコミ関連の記事はあまり読まれなくなりました。

若年層には、もともと関心がないし、もっと上の層には、愛想を尽かされているのでしょう。

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