世界とコロナ対策の成果を比較すると…
菅総理 |
衆議院の任期である10月21日まで、あと半年になっている。選挙がどうなるかという議題もちらほら出てきているが、任期満了を迎えるまでには、いろいろなパターンが想定できる。現状、
・4月の訪米・重要法案成立後
・7月4日東京都議選同日選挙
・9月20日自民党総裁選後
・10月21日任期満了
という4パターンが一応考えられる。もちろん、これは菅首相の専権事項なので、他の誰にもわからない。
26日に来年度予算が参議院本会議で可決した。その上で、記者団から「いつ解散総選挙があってもおかしくないのでは」と問われると、菅首相は「いつあってもおかしくないとは私は思っておりません。コロナ対策やるべきことをしっかりやる必要があると思っています」と答えた。
ただし、解散はみんなが思うときにはなく、思わないときにやるという政治格言もあるので、さっぱりわからないというのが事実だ。なので、政治記者などからまことしやかな話がでてくるが、誰も否定できないので、実質「言いたい放題」だ。
筆者は、そうした放談に加わるつもりはないが、菅政権のこれまでをデータで整理しておきたい。
菅政権が発足して半年が経過したが、マスコミは目の前の課題を追っているばかりで、半年前、昨年10月26日に行われた所信表明演説をもう忘れているだろう。
菅政権の施策の進捗は?
菅政権の内政の目玉は、携帯電話料金引き下げ、デジタル庁創設と不妊治療への保険適用だった。
携帯料金引下げでは、携帯大手4社間で昨年12月から実際に料金引き下げ競争が行われた。その結果、20GB料金プランで2000~3000円程度が、3~4月から実施される。
日本の場合、普通の人が払っている携帯料金は7000円程度だろう。政府は、海外では20GBで月額5000円を下回る国も多いなどと指摘していたが、今回の料金値下げは、政府の指摘を上回る成果と見ることもでき、既に結果を出している。
不妊治療への保険適用については、政府は22年4月に保険適用開始を目指している。今夏に学会が治療内容などをまとめたガイドラインを作り、その後、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で保険適用とするかどうかの議論が行われる見通しだ。保険適用までの間、予算措置によって実質的に不妊治療の費用の軽減がなされる。
そのほか、所信表明演説のはじめに新型コロナ対策と経済の両立が謳われている。
コロナ対策では、昨年12月に財政支出40兆円の総合対策を発表し、その中で、第三次補正も盛り込んだ。第三次補正は国会で成立した。また、それを使い、政府は3月16日、新型コロナ禍による生活困窮者などへの緊急支援策をまとめて発表した。
その中には、ひとり親や所得が低い子育て世帯に対し子ども1人当たり5万円を給付することも盛り込まれている。
世界と比較するとわかるパフォーマンス
これらのコロナ対策の結果、先進国の中で比較すると、パフォーマンスは「優秀」とと言ってもいいほど出ている。
まず、G20諸国の中で、横軸に船員当たりの感染者数、縦軸に死亡率をとると、原点に近い方が新型コロナを上手く対処しているが、日本はG20の中でトップクラスだ。
こうしてみると、世界の中では、日本は新型コロナ対策と経済の両立をもっとも上手くやっている国であるといえるだろう。
失業率の上昇も世界と比較してみると…
ちなみに、経済パフォーマンスがいいことは、失業率の動向にも表れている。昨年1月と今年1月の1年間の失業率の推移をみると、日本は世界の中でも失業率上昇の少なさはトップクラスだ。
テレビのワイドショーだけみていると、世界の中で日本のポジションを見ることはないので、まるで日本は失敗例のように見えるが、データで見ると、まったく違い、世界の優等生である。
外交では、菅政権発足後にアメリカもバイデン政権になったが、菅義偉首相がバイデン米大統領の就任後初めて訪米する外国首脳となる予定だ。具体的な日取りはまだ確定していないが、4月上旬のようだ。
そのために、3月16日、菅首相はワクチンを接種した。3週間あけて2回接種するので、4月上旬に2回目を接種する予定で、その後訪米となる。
安倍政権の時、トランプ氏が大統領選で当選すると、就任前にもかかわらず、トランプ氏と会談したことで、その後の日米関係が良好になった。今回の菅首相の訪米も、今後も良好な日米関係にしたいという思いがある。
「なぜ支持率が下がらないのか」へのシンプルな答え
安倍政権のときに撒いたタネだが、日米豪印クワッドなどは既に動き出している。以下に動きを列挙しよう。
3月12日、日米豪印の、菅義偉首相、バイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相の間で初のオンライン首脳会談。
16日、東京において、茂木外務大臣、岸防衛大臣、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官は、日米安全保障協議委員会(いわゆる「2+2」)を開催。共同声明でウイグル問題懸念を共有。
17日、ソウルにおいて、米韓で「2+2」を開催。
18-19日、米国アラスカで米中外相級会談は行われ、米国ブリンケン国務長官は、ウイグル問題を非難。
22日からブリンケン国務長官はベルギーを訪問し北大西洋条約機構(NATO)外相理事会に出席。それに合わせて、米、英、カナダ、EUは、ウイグル問題で人権侵害にあたるとして、中国当局者らへの制裁を発表。また、同日、英語圏5カ国「ファイブ・アイズ」(米、英、豪、カナダ、ニュージーランド)の外相も共同声明。
この2週間をみると、日本は、制裁はまだだが共同声明で中国を非難しており、米・英・豪・カナダ・ニュージーランド・EUと同じ協調路線で「中国包囲網」といっていい。なお、韓国は、共同声明でも中国名指しをしておらず、中国包囲網に入っていない。
これまでの成果をみると、内政では新型コロナ対策と経済の両立を果たし、携帯料金引き下げ等でも実績を出している。また、外交でも、安倍政権の遺産である日米豪印クワッドを使って、民主主義陣営として存在感を出している。
NHKによれば、3月の菅政権の内閣支持率40%、自民党支持率35.6%なので、過去の政権から見て決して悪い数字ではない。
二言目には「…では」(…は海外の国名)と言い、海外を持ち上げて日本を悪く言う(ネットスラングでいえば「日本をdisる」)
上記の国名として良く出てくるのが、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、北欧、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどの先進国。最近は英語力や教育の関連で「マレーシア」とか、ネットテクノロジー関係で「中国」が稀に出てきます。「韓国」もときおりでてきます。アフリカや南米、中近東地域の国名が出ることはほぼないです。その「枕詞」なる「…海外では」を揶揄されて、「出羽守」と称されます。ニュアンス的には「放射脳」等と同様、「困ったちゃん」に対する蔑称の意味合いを感じます。
日本の感染症・経済対策があまりに良いので「出羽守」批判はできない! |
立憲民主党の安住国会対策委員長は、28日放送されたNHKの日曜討論で「政権にわれわれの考えを伝える重要な方法の1つは、内閣不信任決議案で、準備をしたい」と述べ、菅内閣に対する不信任決議案の提出を検討する考えを示しましました。
立憲民主党の安住国会対策委員長 |
そのうえで「不信任決議案はもちろん否決するが、解散を望むなら、われわれは受けて立つ。それだけの信念や解散を覚悟の上で意見を述べるべきだ。不信任を出してくる限りは、与党は解散に打って出る覚悟を持っているということだから、『いつでもどうぞ』ということだ」と述べました。