2021年5月28日金曜日

バイデン氏声明に波紋広がる コロナ「武漢起源」追加調査加速、中国反発「可能性は極めて低い。責任を押し付けている」―【私の論評】米国政府は、コロナウイルスの武漢ウイルス研究所起源の可能性も排除しないとの立場に変化(゚д゚)!

バイデン氏声明に波紋広がる コロナ「武漢起源」追加調査加速、中国反発「可能性は極めて低い。責任を押し付けている」 
激突!米大統領選

発生源説が再燃する武漢ウイルス研究所

 ジョー・バイデン米大統領が26日、新型コロナウイルスの「起源」について発表した声明が波紋を広げている。「中国の研究機関からの漏洩(ろうえい)説」を否定せず、情報機関に90日以内の追加調査を指示したからだ。一方、情報機関による未公開報告書の存在をスクープした米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、社説や特集記事などを相次いで発信している。

 「当初から疑わしい事実が明らかになっていたのに、大統領が調査を指示するまでこれほど時間はかかったのは恥ずべきことである」

 WSJ紙(日本語電子版)は27日の社説で、バイデン政権をこう批判した。中国・武漢市にある中国科学院武漢ウイルス研究所からの漏洩説については、ドナルド・トランプ前政権で強く指摘されていただけに、皮肉を込めた論評といえる。

 同紙は26、27日、「武漢のウイルス流出疑惑、焦点は廃銅山」というタイトルの長文記事を前後2回にわたって掲載した。中国が抱える数々の疑惑に切り込んだうえで、漏洩説に否定的だった米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が「流出」の可能性を示唆したことを伝えた。

 バイデン政権の方針転換に、同盟国も注目している。

 日本の加藤勝信官房長官は27日の記者会見で、「今後の徹底した調査が発生源解明につながるよう、わが国も必要な対応を取りたい」と述べた。

 来月、英コーンウォールで開催される先進7カ国(G7)首脳会談で主要テーマとなる可能性を見据えた対応といえそうだ。

 これに対し、中国外務省の趙立堅報道官は27日の記者会見で、「世界保健機関(WHO)の国際調査団は、中国の研究所からのウイルス漏洩説は『可能性は極めて低い』とはっきりと報告書に記録している」「政治的にもてあそび、責任を押し付けている」と反発した。

【私の論評】米国政府は、コロナウイルスの武漢ウイルス研究所起源の可能性も排除しないとの立場に変化(゚д゚)!

ドナルド・トランプ前大統領は25日に声明を発表し、武漢ウイルス研究所がCOVID-19の起源だとする自身の長期にわたる主張に「誰もが同意している」と述べました。

「私がかなり早い段階で武漢がCOVID-19の発生源だと述べ、中国ウィルスと呼ぶことがあったのは正しかったのだということに、今や誰もが同意している」とトランプは声明で述べました。

「私にとっては初めから明らかだったのに、例によってひどく批判を受けた。今やその全ての人が『彼は正しかった』といっている。ありがとう!」と声明は結ばれていました。


トランプはニュースマックスとの25日夜のインタビューでも研究所流出説懐疑論者に対する批判を繰り返し述べました。「賢明な人たちにとってはそこ(武漢ウイルス研究所)が起源だということは明白だったと思う。私は全く疑問を持っていなかった」とトランプはインタビューで述べました。

トランプ氏は2020年4月の時点で、ウイルスの起源が武漢ウイルス研究所(WIV)だという高度な確信を得られるだけのインテリジェンスを見たと主張しましたが、情報源を「話すことは許されていない」と述べました。

「そして世界保健機関は中国のPR会社のようになっているので、恥を知るべきだ」とトランプはその記者会見で述べていました。

CNNのサンジェイ・グプタ博士、国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長と、CDC元所長のロバート・レッドフィールド博士を始めとする医療専門家は、研究所流出説がさらに一定の考慮をするだけの価値があるものだとこれまでに認めていました。

ところがアンソニー・ファウチ博士は当時、トランプの結論の妥当性を否定していました。

  ホワイトハウスで行われた記者会見に臨むアンソニー・ファウチ博士(2020年2月29日)
  左はペンス副大統領、右はトランプ大統領

「最も有力な証拠からパンデミックを起こしたウイルスが中国の研究所で作られたものではないことが明らかだ」「段階的進化に関する全ては、(このウイルスが)自然に進化してから種をまたいだことを強く示している」とファウチは、2020年5月のナショナルジオグラフィックとのインタビューで述べたまし。

ファウチは研究所流出説を段階的に受け入れ、そのピークとなったのが5月11日のことであり、この日ホワイトハウスの医療顧問トップは、コロナウイルスが自然に生じたとはもう確信していないと述べました。

「いいえ。実際のところ・・・私はそれについて確信していません」とファウチは、「まだ自然発生したと確信して」いるかどうかと質問したポリティファクトのケイティー・サンダーズに答えました

コロナウイルスの起源が明確に解明されない状況が1年以上続いたことで、科学界からは、原点から起源を再調査すべきだとの声があがり始めていました。3月4日、世界の有名科学者たちは世界保健機関(WHO)に公開書簡を送り、WIV起源の可能性を否定したWHOの調査には欠陥があるとして、新たな調査を求めました。

中国側のWIVに対する完全かつ制限のない調査を要求したのです。今月14日には18人の著名な科学者が権威ある科学ジャーナル「サイエンス」に「研究所からの漏出事故と動物から人への感染理論のいずれもが有効だ」とし、新たな調査が必要だと述べました。

署名者の1人は、この間WIVからの漏れ出た可能性を否定してきたWIVの石正麗博士と協力してきたラルフ・バリック博士です 。


中国武漢市のウイルス研究所で研究に当たる石正麗主任=2017年2月23日、武漢

このような中、米情報機関の諜報報告が報道されるとともに、この内容が米国務省の事実資料に記されていることが明らかになりました。トランプ前大統領が退任する5日前の1月15日に、国務省がWIVについての「ファクトシート」で「米政府は、WIVの何人かの研究員が、新型コロナ感染の初事例が報告される前の2019年秋に、新型コロナおよび季節性疾患に符合する症状の疾患を患ったという信頼に足る根拠を持っている」と明らかにしていました。

同資料は「この研究所は、加工されたウイルスを作る機能獲得についての研究を行ったという資料を出している」とし「しかし研究所は、何人かの鉱夫がSARSと似た症状で死亡した後、2013年に雲南省の洞窟で採取した『RaTG13』などの新型コロナウイルスと最も類似したウイルスを研究した記録について、透明でなく一貫していない」と指摘しています。 

結局、米国政府は現在のところ新型コロナウイルスの起源を特定していないのですが、WIVに起源を持つ可能性も排除しないとの立場に変化しました。科学界も「コロナウイルスが研究所で操作された形跡はない」というのが公式の立場ですが、(自然から採取したコロナウイルスを研究中だった)研究所から漏れ出た可能性は別問題だという態度を取っています。

コロナに関しては、このブログでは、昨年のはやい時期から、いわゆる生物兵器はありえないですが、武漢ウィルス研究所で研究中のウィルスが漏れた可能性は十分にありえるという結論を掲載しました。それが正しかったことが、裏付けられたと思います。

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2021年5月27日木曜日

世界的に注目の経済安全保障 米中対立でも危機感薄い日本…まずはスパイ防止法から ―【私の論評】確かな安全保障のためには、「スパイ防止法」制定の議論は避けて通れない(゚д゚)!

世界的に注目の経済安全保障 米中対立でも危機感薄い日本…まずはスパイ防止法から 
高橋洋一 日本の解き方

バイデン大統領

 政府は新たな成長戦略の骨子として、経済安全保障を盛り込む方針だ。

 もともと「経済」と「安全保障」は異なる概念だ。重なるとしても、両国で経済関係が良好ならば、戦争になりにくいという意味で安全保障にもプラスという素朴な考えだ。

 しかし、経済というツールを使って戦争を行うという発想に立つと、違った見方ができる。今の米中両国の覇権争いは、軍事的な措置なしで行われているという前提だ。軍事の代わりに経済という武器を使った覇権争いということになる。

 米中の新冷戦でも実際に軍事力を行使するよりも、経済を武器としている公算が大きいので、経済安全保障は国際政治のキーワードになっている。

 典型例は、中国の「一帯一路」構想だ。これは、中国の経済圏を作るもので、中国が相手国に破格の条件で融資し、中国がインフラ投資を行い、中国の戦略拠点を作っていくものだ。融資がうまくいかない場合には、中国が戦略拠点を召し上げ、事実上の中国領とすることもあるので、中国にとって相手国への融資は進出の足がかりとの見方もできる。

 最近の米国による中国企業への締め付けも、米中が経済を武器にして覇権争いをしていると見ればスッキリする。経済安全保障の観点では、トランプ前政権がやっていたことをバイデン政権でもおおむね引き継いでいるのは当然である。

 日本では、経済と安全保障は別と思い込んでいる経営者が多いので、経済安全保障の観点から思わぬ余波に困惑している。例えば米国による中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁の影響で、ファーウェイへ納品していた半導体メーカーなどは製品供給を停止せざるを得なくなった。

 政府も対応のための組織づくりをした。2013年12月に設置された国家安全保障会議(NSC)の事務局として国家安全保障局(NSS)があるが、昨年4月、同局に経済安全保障戦略を担当する「経済班」が新設された。財務、総務、外務、警察各省庁からの出向者が20人ほどいるという。

 ようやく日本でも経済と安全保障を表裏一体で考えて政策を立案する部署ができた。しかし、日本でのこの分野はやっとスタートしたばかりで、やるべきことが山積している。

 例えば、大学や企業での先端技術研究は軍事に直結するものもあるので、外国人研究者を関与させる場合、そのバックグラウンド情報は必須だが、日本ではほとんどその感覚がない。

 そもそもスパイ防止法という国家として当然の法律もないので、危機意識はまったく希薄だ。まずは、どこの国でもあるスパイ防止法の制定が第一歩ではないだろうか。その上で、サイバー対応も含めて先進国にキャッチアップしていくしか方法はないだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】確かな安全保障のためには、「スパイ防止法」制定の議論は避けて通れない(゚д゚)!

日本では、昨年も複数のスパイ事件が発覚しました。1月20日には、三菱電機防衛部門へのサイバー攻撃が発生、企業秘密が流出しました。1月25日には、ソフトバンク社員がアントン・カリニン・ロシア通商代表部元代表代理に機密情報を漏洩し、不正競争防止法違反で逮捕されました。

2月6日には、「神戸製鋼所が保有する潜水艦や魚雷の製造技術に関する情報が漏洩した可能性がある」と防衛省が発表しました。

今年入って、目立ったスパイ事件はありませんが、米国ではスパイの巣窟であるとされる孔子学院が日本ではそのまま手つかずにされているなど、問題は山積です。

現在も放置されている孔子学院

このブログにも何度か掲載してきたように、日本は、「スパイ天国である」といわれています。日本には最先端の科学技術や世界中の情報が集まる一方で、スパイ活動をしても捕まりにくく、捕まっても重刑を課せられないからです。

米国に亡命した旧ソ連KGBのレフチェンコ少佐は「日本はKGBにとって、もっとも活動しやすい国だった」と、韓国に亡命した元北朝鮮工作員は「昔から北朝鮮の工作員は日本に潜入し、在日朝鮮人をスパイに仕立て上げ、日本から多くの情報を吸い上げ、軍事強化に活用してきた。そうして、今もスパイ活動は継続されている」と証言しました。

レフチェンコ氏

初代内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏は在職中、「我々は精一杯、多くのスパイを摘発してきた。しかし、いくら逮捕・起訴してもせいぜい懲役1年、しかも執行猶予がついて、裁判終了後には堂々と大手をふって出国していくのが実態だった。

どこの国にでもある『スパイ防止法』がないため、国家に対する重大犯罪であるスパイ活動などを出入国管理法、外国為替管理法、旅券法、外国人登録法など刑の軽い特別法や一般刑法で取り締らされ、事実上、野放し状態だった」と回想しています。

世界各国には『スパイ防止法』が存在し、諜報機関を設けて取締りを強化しています。例えば米国ではCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)、イギリスではMI5(保安局)やMI6(秘密情報部)、フランスではDST(国土監視局)やDSPD(国防警備保安局)、ロシアではGRU(連邦軍参謀本部情報総局)などがスパイの摘発を行っており、スパイ罪の最高刑として死刑や終身刑などの重い刑罰が課されています。

日本では1985年に『スパイ防止法案』が廃案になった経緯があります。国家の管理が強すぎると「戦前の特高警察のようになる」との戦時中の反省から、憲法が保障する表現や報道の自由に抵触する恐れがあるというのが、当時廃案となった理由でした。

その後、2014年12月、「特定秘密保護法」が施行されました。この法律は、我が国の安全保障に関する機密情報のうち、特に秘匿する必要のあるものを「特定秘密」に指定し、取扱者の適正評価や漏洩した場合の罰則を定めています。

主に「特定秘密」を取り扱う公務員を処罰の対象としていますが、公務員以外でも「特定秘密」であることを知っていたうえで、不当または不正に取得した場合にも処罰の対象となる法律であり、最高刑は10年以下の懲役および1,000万円以下の罰金が科せられます。

自衛隊でも、「特定秘密保護法」施行以前に情報漏洩事件が発生しています。2007年1月、神奈川県警は、海上自衛隊の護衛艦乗組員の中国籍の妻を入管難民法違反容疑で逮捕しました。

家宅捜索したところ、イージス艦の迎撃システムなど800項の機密情報を含むファイルが発見されました。中国人と結婚した自衛官は現在500人を超えており、その中には幹部自衛官も含まれているといいます。

また、同年2月に防衛庁(現防衛省)技術研究本部の元技官が在職中に潜水艦の資料を持ち出し、中国に情報を漏洩したことによる窃盗容疑で書類送検されました。

「スパイ防止法」は、国連憲章第51条で認められた独立国の固有の権利で、安全保障に関する国家機密を守り、他国のスパイ活動を防ぐのは自衛権の行使として当然の行為とみなされています。

1985年当時のように「表現や報道の自由」に制約を受けるということが反対理由ならば、西側自由主義陣営の状況をみれば、それは明らか錯誤です。

あらゆる犯罪も事前に規定を決めておかなければ取り締まることはできません。法に定めがない=合法と見なされても仕方ないのです。そのために日本は「スパイ天国」などと揶揄される始末になっているのです。

スパイ防止法が日本に無いのは、的はずれな反対意見を持つマスメディアと特定の政党(政治家)が居るからでしょう。

しかし、特定秘密保護法がそうであったように、スパイ防止法が定められたからといって、普通に暮らしている人にとっては何の変化もありません。これを批判するのは、なにか思い当たる節があるからではないか勘ぐられても仕方ないと思います。

特定秘密保護法

特定秘密保護法成立時に反対派に回っていた党や政治家、マスメディアは要観察だと思います。

企業ですら「企業秘密」はあり、社員には「守秘義務」があります。企業秘密を守らなければ、企業は存続できず、新技術も新製品すらも出すことができません。

これと同じ論理で、国であっても国家機密はあるのが当然であって、それを漏洩するようなことがあれば罰せられて当然です。

こういった国家機密が漏洩されることを防止する法律に対して反対する勢力は、スパイなのでは、と疑われてしまっても仕方ないと思います。

当時の反対意見も論点がぶっ飛んでズレていたり、事実無根の内容で国民の不安を煽るなどと、議論の余地もないという印象でした。

特定秘密保護法が制定されてから、この法律のおかげて、普通の方で不利益を被った人はいません。不利益を被った人がいたとすれば、それは特定秘密情報を漏洩したり、漏洩しようとした人だけです。実際に不利益を被った人がいるというのなら、ぜひ教えてほしいものです。

また、この法律は特定秘密を「保護」することしかできないので、「スパイ行為」自体を取り締まることができる「スパイ防止法」も絶対に必要です。

これに反対する人々の中にこそ、スパイが居るのではないかとすら思ってしまいます。安全保障の次なる課題はスパイ防止法の早期制定ではないでしょうか。

経済安全保障体制を整えたにしても、まずはスパイ防止法がなければ、安全保障体制が万全になるとは、とても思えません。

的はずれな反対意見が出ないことを祈りつつ、国民の意識次第では議論再燃もあり得ると思います。いや、再燃してくれなけば困ります。

昨今の中国の覇権主義的な力による現状変更に対し、米国、英国をはじめインド、オーストラリア、ASEAN各国と連携を深め、今後ファイブアイズとの情報共有という事態にも備えて情報管理の信頼性を向上させるためにも、「スパイ防止法」制定の議論は避けて通れません。

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2021年5月26日水曜日

朝日新聞、創業以来最大の赤字441億円―【私の論評】朝日新聞は、大赤字を出してでも世論誘導したいのか?もはや何のための組織なのすらわからない(゚д゚)!

朝日新聞、創業以来最大の赤字441億円

朝日新聞本社

 朝日新聞社が26日発表した2021年3月期連結決算は、純損益が441億円の赤字だった。赤字額は1879年の創業以来で最大となった。

【私の論評】朝日新聞は、大赤字を出してでも世論誘導したいのか?もはや何のための組織なのすらわからない(゚д゚)! 

この赤字に関しては、朝日新聞も記事にしています。朝日新聞デジタル版から以下に引用します。
朝日新聞社3月期決算、11年ぶり赤字 コロナ禍影響
 朝日新聞社が26日発表した2021年3月期連結決算は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、売上高が前年比16・9%減の2937億7100万円、営業損益が70億3100万円の赤字だった。業績の動向などから、将来の利益を前提に税金の前払い分を資産として計上する「繰り延べ税金資産」を取り崩したため、純損益は441億9400万円の赤字となった。赤字は11年ぶり。

 単体の決算も営業損益が74億600万円、純損益が458億8700万円の赤字だった。当社は、今年4月にスタートさせた新たな中期経営計画で21年度の営業黒字転換を目標に掲げており、事業構造の改革やデジタル、不動産、イベント各事業の拡大などを推し進める方針。

朝日新聞は、大赤字を出してでも世論誘導したいのでしょうか、もはや一体なんの会社なのかもわかりません。 

朝日新聞といえば、慰安婦問題に関するフェイクニュースを忘れるわけにはいかないでしょう。

慰安婦問題をめぐり、政府は4月27日、「従軍慰安婦」という用語は誤解を招くおそれがあるとして、政府としては「慰安婦」を用いる、との答弁書を閣議決定しました。

答弁書は日本維新の会の馬場伸幸幹事長の質問主意書に答えたものでした。馬場幹事長は、「従軍慰安婦」という用語は、軍により強制連行されたかのようなイメージが染みついており、政府が「従軍慰安婦」という表現を用いるのは不適切としていました。

従軍慰安婦など存在しない、存在したのは当時合法だった売春婦

閣議決定を受け、「従軍慰安婦」という表現を使った教科書が検定に合格していることについて、萩生田光一文部科学相は「教科書会社において、政府の統一的見解を踏まえて、訂正を検討することになる」と述べました。

日本と韓国との間の壁を高くする慰安婦問題において、従軍の有無、つまり強制連行の有無は重要なポイントになっています。

事実として、これまで強制連行を裏付ける確かな資料や証言は見つかっていません。

韓国の反日勢力は「日本は半島の女性を性の奴隷にしてきた」と主張しますが、これはいわゆる反日種族主義にすぎないものです。文在寅大統領も2015年の日韓合意を否定することで、慰安婦問題を政権維持に利用してきました。

そもそも慰安婦問題は1990年代に「旧日本軍が強制連行していた」との非難が巻き起こったことで、こじれてしまいました。その「証言」を最初に掲載したのが朝日新聞(1991年8月11日付、大阪本社発行)でした。

見出しは「思い出すと今も涙 元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く」「韓国の団体聞き取り」。女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦の1人が初めて証言したという内容です。

この「証言」は虚偽でしたた。朝日新聞は2014年にこの記事を含めた従軍慰安婦報道の間違いを認め、記事を取り消しています。

朝日新聞社の従軍慰安婦報道に関する第三者委員会の報告を受け、記者会見し頭を下げる渡辺雅隆社長(右)ら=2014年12月26日、東京都港区

これだけを持ってしても、朝日新聞は万死に値します。このような反社会的な会社が今まで存続してきたのが不思議なくらいです。

朝日新聞といえば、朝日新聞出版社のニュースサイトが、悪質なコロナワクチン予約行為をしていました。

防衛省が運営する新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターの予約システムに不備が見つかった問題で、架空の接種番号などで虚偽の予約をしたとして、同省は朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.(アエラドット)」と毎日新聞に抗議文を贈りました。

両社の報道では、架空の情報を入力して予約、その後キャンセルしたとしており、岸信夫防衛相は「ワクチンそのものが無駄になりかねない悪質な行為だ」と非難しました。 

立憲民主党代表の枝野幸男は「報道機関が一種の調査報道的に確認し、報道するのは当然」と述べ、抗議した防衛省を「見苦しい責任転嫁だ」と批判するという非常識な行動と言動をしました。 

一般論としては、ランダムな番号でも予約できるというのはありえない不備だといえるでしょう。一方、緊急性の高い有事で、少しでも早くワクチン接種を進めるためにリリースを優先したことも理解もできます。 

システムの不備を発見した場合の手順としては「情報処理推進機構(IPA)や開発者に通報するべきでした。システムの脆弱が公開されれば、悪用されるリスクも生じます。通報しても開発者が対応に動かない場合の手段として報道するなど、段階を踏むべきでした。

架空予約が大量に行われた場合について加藤勝信官房長官は「悪質なケースは法的措置をとることも排除していない」と警告しました。 

ワクチン接種枠を取るために架空予約を行えば、電子計算機使用詐欺罪にあたる可能性があり、最高刑は懲役10年となります。実際に接種したいという動機でなく架空の情報を入力して予約を取った場合、偽計業務妨害罪にあたる可能性があり、最高刑は懲役3年または50万円以下の罰金となります。

今回、架空予約をした記者らは、起訴すべきでしょう。上の責任も問うべきです。

そうして、極めつけは、朝日新聞は社説で【東京五輪中止】を表明しておきながら、『スポンサー(オフィシャルパートナー)は続ける』たり『朝日主催の夏の甲子園は開催する』ということはは典型的なダブルスタンダードであり、理解不能です。

朝日新聞社 として東京五輪反対表明したのですからスポンサー契約打切をし、系列のテレビ旭は五輪放送権返上すべきです。

このような反社会的企業が、赤字になるのは当然です。朝日新聞の購読者はもとより、多くの国民がノーをつきつけた結果でしょう。

朝日新聞本社の受付前には東京オリパラ大会を応援するプラカードが置いてある

企業の社会的責任についてドラッカーは以下のように述べています。
社会的責任の問題は、2つの領域において生ずる。第一に自らの活動が社会に対して与える影響から生ずる。第二に自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生ずる(『マネジメント【エッセンシャル版】』)
工場の目的は、騒音を出し、有害なガスを出すことではありません。顧客のために高性能の製品をつくることです。そのために騒音を出し、熱を出し、煙を出します。これら社会に及ぼす影響は、組織の目的に付随して起こります。このような副産物はゼロとすることが理想です。

他方、組織は社会環境のなかに存在します。それは社会の機関です。したがって社会自体の問題の影響を受けざるをえません。地域社会が問題視せずとも、社会の問題は組織にとって関心事たらざるをえません。健全な企業、健全な大学、健全な病院は、不健全な社会では機能しえません。

あらゆる組織が、自らの本業を傷つけない限りにおいて、それら社会の問題の解決に貢献しなければならないのです。

社会や経済はいかなる企業をも一夜にして消滅させるとドラッカー氏は言います。企業は社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済がその企業は有用かつ生産的な仕事をしていると見なす限りにおいて、その存続を許されているにすぎないのです。朝日新聞は、そのことを忘れたようです。
社会性にかかわる目標が必要となるのは、マネジメントが社会に対して責任を負うからではない。企業に対して責任を負うからである(『マネジメント【エッセンシャル版】』)

朝日新聞のマネジメント(経営陣)は、企業に対する責任を放棄したようです。 この態度を改め無い限り、ますます先細りになり最終的には崩壊することになるでしょう。

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2021年5月25日火曜日

台湾軍兵士がフェイスブックで“極秘情報”をポロリ「米軍進駐で忙しく昼休みもない」常駐なら「一線越える」―【私の論評】中国は台湾に侵攻できないし、米国にはそれを許せないわけがある(゚д゚)!

台湾軍兵士がフェイスブックで“極秘情報”をポロリ「米軍進駐で忙しく昼休みもない」常駐なら「一線越える」

2020年11月、中部台中市内で戦車のメンテナンスを行う台湾陸軍部隊。同年7月には、台中に中国軍が上陸したケースを想定して大規模な軍事演習が行われている。


アメリカの陸軍顧問団が台湾軍を訓練指導するため、台湾軍の基地に「一時進駐」したことが明らかになった。

さらにその直後、「台湾有事」に備えて、台湾軍の6基地に米海兵隊の「常駐」を求める軍関係者の論考が、台湾国防部シンクタンクの論文集に掲載された。

 海兵隊が実際に常駐すれば、(中国側の忍耐の限度を意味する)「レッドライン」を越えたとして、中国が強硬な対応に出るのは確実だ。 台湾をめぐり、米中双方が相手の出方を探る際どい情報・心理戦が続く。

台湾軍兵士の「何気ない」投稿で発覚

米陸軍顧問団の一時進駐を報じたのは、国民党寄りの台湾大手紙「聨合報」(5月16日付)だ。

台北市の西、新竹県・湖口郷にある台湾陸軍合同訓練北部センター(以下、訓練センター)の兵士がFacebookに投稿。米軍兵士が同センターに駐屯しているため、「業務量が増えて昼休みもとれない」と不満を漏らしたのがキッカケだった。

 米軍進駐は極秘情報だけに、台湾陸軍司令部は「ノーコメント」。記事を掲載した「聨合報」は、訓練センターの将校の証言から確認したと報じている。

 同記事によると、進駐した米陸軍顧問団は「安全保障部隊支援旅団(SFAB)」。目的は、地上作戦における部隊の移動速度、海・空軍との連携などに関する訓練の監察・指導という。

 米陸軍には5つのSFABがあり、台湾に進駐したのは「第1」旅団。約600名の兵士で構成されるが、今回派遣された人数は不明。ただし、台湾軍の兵士が不満を漏らしたことから考えると、かなりの数にのぼるのは間違いない。

 顧問団は4月に進駐後、コロナ感染防止対策として14日間の隔離期間を経て、活動を開始。すべての行動は訓練センター内に限られ、外出は厳禁とされた。

 Facebookへの投稿がなければ、一時駐留が表面化することはなかっただろう。

中国寄りメディアの社説「レッドラインには触れない」

一方、中国寄りとされる台湾紙「旺報」の記事(5月21日付)によれば、「米軍は7月まで滞在し、(同月行われる)台湾軍の定例軍事演習『漢光37』の実弾訓練を検証・監察するかどうかは不明」と書き、米陸軍顧問団が現在も駐留しているかどうかも明らかではない。

 同記事は「台湾軍は近年、米軍の提案を受けて「統合部隊」を設立。地域司令部のもとに少なくとも23の統合大隊が編成され、装甲旅団や歩兵旅団がそれぞれの傘下に属している。2020年7月の『漢光』軍事演習ではその実力を発揮した」とする。

「旺報」は、中国系資本が入った「中国時報」グループのメディアで、中台関係を専門とする日刊紙。 

記事内容から判断すると、米軍が水面下で台湾軍を指導するなどの軍事協力を行ってきたことを、中国は以前から把握していた可能性が高い。そして、今回の米軍の台湾進駐についても、中国は公式の反応を出していない。

 なお、「旺報」は「引き返せない戦争へと進むのか」と題する社説を掲載し、米軍顧問団の進駐はあくまで一時的なもので、その目的も訓練の指導であり、「レッドライン」には触れないだろうと書いている。

全島6基地への米軍駐留を支持する論文

一方、台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の論文集「国防安全隔週刊」の最新号(5月17日付)は、「台湾有事」に備え、米軍駐留を公然と支持する論文を掲載している。その主張は以下の3点に集約される。

 米海兵隊の台湾6基地への駐留を希望 

米海兵隊の基地間の機動作戦を期待

 対上陸作戦を計画、米海兵隊は台湾と共同して中国軍と戦う 

掲載された論文とは、謝沛学氏の「米海兵隊の新作戦モデルと台湾の可能な役割」だ。中国軍による台湾本島への攻撃に備え、米海兵隊や他の海外兵力と共同して上陸を阻止する態勢づくりを提言しており、蔡英文政権の意図をある程度汲んだ主張だろう。

 謝氏は、米軍常駐基地の候補として、宜蘭、花蓮、緑島、蘭嶼、小琉球、東沙の6カ所をリストアップ。移動式ミサイル発射台、多弾装ロケット砲、射程500キロの次世代型地対地ミサイル(PrSM)などを配備することで、「台湾本島のシームレスな防衛が可能になる」としている。

宜蘭は、建設凍結が決まった第4原子力発電所のサイトに近い。蘭嶼は既存の3原発からの低レベル放射性廃棄物などが大量に貯蔵されている。また、南シナ海に位置する東沙(島)は、日米の軍事専門家が、中国の離島攻撃の対象になる可能性を指摘している。

「アメリカは台湾を助けない」との論説も

台湾初の国産ジェット戦闘機F-CK-1「経国」
 
アメリカの台湾との軍事協力は、1979年1月の米中国交正常化にともなう台湾との国交断絶を受け、同年4月に成立した「台湾関係法」に起因する。

 同法にもとづき、アメリカは台湾に定期的に兵器を供与してきたほか、2020年からは米軍艦が台湾海峡をくり返し航行、米軍機も台湾領空を飛行するなど、中国へのデモンストレーションと軍事的けん制を強めてきた。

 中国側もこの動きを受け、戦闘機や偵察機による台湾中間線越境などの報復措置をとり、2020年9月以降、台湾海峡の緊張は激化している。

 謝氏の論文が出たあとに掲載された、前出の「旺報」社説は次のように述べ、海兵隊の常駐は「レッドライン」を踏み越えることを強く示唆した。 

「海兵隊を常駐させるという主張が、大陸(中国)の強烈な反応を引き起こすのは必至。台湾は自らを戦争の境地に追い込もうとしている。もし両岸の武力衝突が起きた場合、米軍は本当に台湾支援のために一肌脱ぐだろうか。残念だが、それは難しい」

2020年11月にも台湾西部の基地で合同訓練

ただし、台湾に米軍を常駐させる主張は、この論文が初めてではない。

 米ニューズウィーク誌(9月24日付)によれば、米海兵隊の現役大尉は2020年9月、米陸軍大学の軍事誌「ミリタリーレビュー」で、米軍の台湾駐留を支持する論文を発表。

 これに対し、中国共産党機関紙・人民日報系「環球時報」の編集長・胡錫進氏は、ソーシャルアプリ「ウィーチャット(WeChat)」に「米軍が台湾に戻れば、解放軍は中国領土を守るための正義の戦いを始める」と投稿し、台湾への武力行使を示唆した。

 また、2020年11月には台湾大手紙「聨合報」(前出)が、米海兵隊特殊作戦部隊と台湾海軍がおよそ1カ月にわたって水陸両用作戦の合同訓練をしたと報道。

 台湾海軍司令部はこれを「定期的な訓練」としたが、実は、米軍部隊の台湾での活動が公式に明らかにされたのは、米台断交以来初めてだった。 

「定期的な訓練」ということは、米台間ではほかにも「机上訓練」や「教育指導」が以前から行われていたことを示唆している。対中関係が緊迫するなか、台湾軍は米台協力を印象づけるためリークしたと考えられる。

 中国は米台両軍の水面下での協力や演習情報を把握していたとみられ、今回の訓練センター進駐と同様、このときも中国側の激しい対応はなかった。

 軍事的に対立する双方が、相手に手の内をさらけ出すのは「愚の愚」。だから「レッドライン」も秘中の秘であり、「旺報」の社説も警告の域を出ない。 

米政権にとっても、海兵隊を台湾に常駐させれば、中国の台湾武力行使への対応を明らかにしない「あいまい戦略」の放棄とみなされかねない。軍事当局者の間では、40年間維持してきたこの戦略を放棄すべきとの声もあがっているが、バイデン政権は応じない方針だ。 

米台軍事協力に関する情報がリークされ、米軍駐留を公然と主張する論文が発表される背景には、中国の「レッドライン」を探る狙いや、「あいまい戦略」の有効性への疑念を打ち消す意図が透けて見える。 

メディアのヘッドラインには最近、「台湾有事切迫」の言葉が踊るが、米中両国ともに本当の有事は避けたいのが本音だ。台湾をめぐる情報・心理戦はしばらく続くだろう。 

(文:岡田充) 岡田充(おかだ・たかし):共同通信客員論説委員。共同通信時代、香港、モスクワ、台北各支局長などを歴任。「21世紀中国総研」で「海峡両岸論」を連載中。

【私の論評】中国は台湾に侵攻できないし、米国にはそれを許せないわけがある(゚д゚)!

台湾有事に関しては、バイデン政権は現状変更は許さないという姿勢でのぞんでいますから、もし中国が本気で台湾に武力侵攻した場合、これを阻止するでしょう。

中国軍が本気で台湾に侵攻するときにはは、ミサイルなどで台湾はもとより、韓国や日本の米軍基地も攻撃し、様々な軍事施設や艦艇を破壊することでしょう。

これによって、日韓、米軍は甚大な被害を受けることになるでしょう。しかし、その後日米は反撃に出るでしょう。その反撃は、空母打撃群や、海兵隊などを上陸する古典的なものではないでしょう。

それは、中国の最大の弱点を突く、潜水艦隊によるものです。そうして、中国の最大の弱点とは、対潜哨戒能力の弱さです。これが弱いので、中国軍は日本の潜水艦は全く探知することができず、米国の原潜の探知も難しいです。

一方、日米の対潜哨戒能力は世界一です。まずは、日米潜水艦隊の脅威となる、中国の潜水艦を全部撃沈するでしょう。その後に日米潜水艦隊は、台湾を包囲します。そうして、台湾に近づく中国の艦艇をことごとくミサイルや魚雷で撃沈することになります。

日本の潜水艦は静寂性(ステルス性)を生かして、主に情報収集にあたり、攻撃力に優れた、米原潜は日本の潜水艦と情報を共有して、中国軍に対して効果的な攻撃を行うことになるでしょう。

そうなると、中国の強襲揚陸艦などは、またたくまに撃沈されてしまうことになります。中国のイージス艦も空母を護衛できず、イージス艦も空母も撃沈されてしまうことになります。無論、台湾への上陸部隊も船ごと撃沈されることになります。

艦艇や戦闘機とともに南シナ海での軍事演習に参加した中国初の空母「遼寧」。(2019年)

運良く、台湾に上陸したとしても、台湾が日米の潜水艦隊に包囲されると、中国はこの上陸部隊に補給ができず、お手上げ状態になります。最終的には、降伏する以外になくなります。旧日本軍のように、補給がなくても、戦い、最終的には敵陣に切り込みで玉砕するような覚悟のある将兵は一人もいないでしょう。

こういうことをブログに掲載すると、中国の超音速ミサイルが、ドローンがなどと騒ぐ人もいますが、そういう人に言いたいです。どんなに優れた攻撃用兵器であっても見えない敵は、攻撃できません。

ましてや、現代戦においては、一秒でも先に敵を発見したほうが勝ちです。海戦においても、それは決定的です。ソナー等が優れていて、相手を先に発見でき、こちら側が静寂性に優れていれば、圧倒的に有利です。

このようなことが予め予想されるため、中国が台湾に侵攻することはないでしょう。ここまでは、このブログでも何度か掲載してきたことです。

しかし、以上のようなシナリオを公表する軍事評論家など皆無に近いです。まるで、日米にはは潜水艦隊がなきがごとしですし、中国の対潜哨戒能力について全く触れない軍事専門家などもいて驚くばかりです。

ただし、米国には、台湾が潜水艦の開発に成功すれば、今後数十年にわたって中国の侵攻を防ぐことができるだろうとする専門家もいます。このような専門家は、無論上記のようなシナリオを想定しているのでしょう。

ただし、隠密性が重視される潜水艦の動向に関しては、各国政府が公表しないのが普通ですから、これらの情報は入手しにくいため、これに関して論ずる軍事専門家も少ないのかもしれません。しかし、それでは、あまりに想像力に欠けていて、まともまな軍事評論などできないと思います。

はっきりいえば、中国が台湾に侵攻すると、中国海軍は崩壊するか、崩壊しないまでも、中国の軍港から一歩でも出れば、すぐに撃沈されるということになります。

このような現実を考えると、中国が台湾に侵攻することは考えられません。中国としては、武力で台湾に侵攻することは考えていないでしょう。それよりも、いわゆる3戦で、台湾や日米と戦わずして、台湾を我が物にしよう考えているでしょう。中国の台湾に対する様々な圧力はその現れとみるべきです。

さらに、中国が台湾を攻撃できない理由もあります。

台湾で標高2500m級の山、樂山の頂上には巨大なレーダーが立っています。このレーダーは、米国が米本土に向かって発射された戦略弾道ミサイルをいち早く捕捉するために開発した、PAVE PAWS戦略レーダーを基に作られたレーダーで、2つあるアンテナの直径は30メートル以上。EWRとも呼ばれていました。

Googleマップで「台湾 楽山 レーダー」と入力して検索し、航空写真でみると以下のような巨大施設を見ることができます。


このレーダーは、弾道ミサイルだけでなく、巡航ミサイル・航空機を捕捉できるように性能が変更され、探知距離は以前、3500km以上と言われていました。

南シナ海の海南島には、核弾頭を搭載した戦略核ミサイル「JL-2」を搭載した戦略ミサイル原潜の基地があります。

樂山から2000kmで、南シナ海全域が監視できる上、このレーダーなら、中国本土から発射されるICBMも捕捉できるかもしれないです。

しかも、2016年に改修されているので、性能が向上した可能性があります。米国にとっては、米本土防衛のためにも無視できない存在となっているかもしれないです。

中国が、このまま戦略核兵器の開発・生産・配備を続けるなら、米本土防衛の観点から、この台湾の山上に立つレーダーは、戦略弾道ミサイルを見張る眼として、米国防当局にとっても、極めて重要な存在といえます。

では台湾にとって、このレーダーはどんな存在なのでしょうか。もちろん、台湾に向かってくる弾道ミサイル・巡航ミサイル・航空機の捕捉に重要な役目を果たすでしょう。

しかし、それ以上に、このレーダーが破壊されれば、米本土に向かう戦略弾道ミサイルを見張る眼が効かなくなることを意味しかねないです。

ましてや、中国が台湾に侵攻して、このレーダーを手に入れればとんでもないことになります。無論、そうなる前に米軍はこれを破壊するでしょうが、そうなれば、対中国の巨大な目を失うことになります。

この米本土防衛に直結しうる“眼”を米国が防衛するなら、それは米国による台湾防衛にも直結するでしょう。

米中関係が対立し、緊張すればするほど米国は、台湾を重視せざるを得なくなるでしょう。それは、バイデン政権でも変わりありません。だからこそ、バイデン政権も現状変更は認めないという厳しい姿勢で中国に対峙しているのです。

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2021年5月24日月曜日

【日本の選択】日本の“虚妄”中国との「政冷経熱」から脱却せよ! 人権問題で妥協しない米のユニクロ輸入禁止、欧州も決然とした姿勢示す―【私の論評】中国から輸入した製品や商品を使う人は、中国のブラック体質を応援し国内の労働者を脅かすことに(゚д゚)!

【日本の選択】日本の“虚妄”中国との「政冷経熱」から脱却せよ! 人権問題で妥協しない米のユニクロ輸入禁止、欧州も決然とした姿勢示す

菅総理

 欧州連合(EU)が、中国に決然とした姿勢を示した。中国当局によるウイグル族への人権弾圧をめぐる制裁合戦が続くなか、欧州議会は20日、EUと中国が昨年12月に合意した投資協定について、批准手続きを凍結する決議を圧倒的多数で採択したのだ。ジョー・バイデン米政権とともに、「人権問題では譲歩しない」という覚悟を固めたといえる。英国での先進7カ国(G7)首脳会談が来月に迫るなか、今後、アジアの自由主義大国である日本の姿勢が問われる。新進気鋭の政治学者、岩田温氏は、日本の政財官界に残る「政冷経熱」の終焉(しゅうえん)に迫った。


 「政冷経熱」との造語がもてはやされた時期があった。日本と中国は政治的には冷めた関係だが、経済的には熱い関係にあるとの意味で用いられてきた。「政治的には問題を抱えた2カ国だが、経済的には極めて友好的な関係を維持したい」という日本人の意識を端的に表した言葉だったといってよい。

 だが近年、「政冷経熱」なる言葉の空疎さが明らかになりつつある。

 ドナルド・トランプ前米政権の末期、マイク・ポンペオ国務長官(当時)は、習近平国家主席率いる中国における新疆ウイグル自治区の人権状況を「ジェノサイド」と厳しく非難した。「ジェノサイド」とは20世紀に、ポーランド系ユダヤ人の弁護士、ラファエル・レムキンが「占領されたヨーロッパの枢軸国支配」において提唱した概念で、「一民族の抹殺」を意味する非常に強い言葉だ。

 バイデン政権の、アントニー・ブリンケン国務長官も、こうした基本的な考え方を継承することを明らかにしていた。人権問題に関して中国に強い姿勢で臨むとの態度の表れだ。

 沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題があろうとも、深刻な人権弾圧の問題があろうとも、「政治は政治であり、基本的に経済とは関わりのない問題である」との立場を取ってきた。

習近平

 しかし、今回の米国によるユニクロ製品の輸入禁止措置で、「人権問題では中国と妥協しない」という米国の姿勢が明らかとなった。中国国内の人権問題という政治的問題が、日本企業の経済的問題につながったのだ。EU議会も「対中投資協定の批准凍結」という姿勢を示した。政治と経済とは無関係ではあり得ないことが示されたといっても過言ではない。

 あえて言おう。「政冷経熱」は日本国民の願望からなる虚妄に過ぎない。国家が存在する限り、政治と切り離された経済など存在しない。日本国民は目を覚ますべきときだ。 =おわり

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。

【私の論評】中国から輸入した製品や商品を使う人は、中国のブラック体質を応援し国内の労働者を脅かすことに(゚д゚)!

私は、このブログの中で、先進国が先進国になれた所以を民主化、政治と経済の分離、法治国家化によるものと主張してきました。

この3つが整わない限り、いかなる国でも、星の数ほどの中間層がでてきて、それらが自由に社会経済活動を行い、あらゆる地域、あらゆる階層においてイノベーション(技術革新ではなく社会革新)を行うことができず、結局経済発展しないということを述べてきました。

そうして、それは中進国の罠という形で、表面化します。中国も含めた発展途上国などの政府が経済に力を入れて、政府主導で経済を伸ばすこともできるのですが、ある一定限度を超えるとそれ以上は発展できなくなるのです。


一定限度とは国民の一人あたり所得、一人あたりGDPが100万円前後になると、そこから経済が伸びなくなるのです。これが、中進国の罠です。

現在の中国の一人あたりのGDPは100万円前後になっていますから、今後過去のように経済成長することはありません。さらに、以前このブログで指摘したように、中国は国際金融のトリレンマにはまり込み、独立した金融政策ができない状態になっています。たとえば、失業が増えても、有効な金融政策を実行できないのです。これでは、もう先は見えています。中国は今後経済発展しません。

今日先進国といわれる国々は、過去に民主化、政治と経済の分離、法治国家化をこれをすすめてきたからこそ、先進国になったのです。この文脈における「政治と経済」の分離は、いずれの先進国においても実現されています。

無論、「政治と経済」が完全に分離しているということはありませんが、それにしても政治が直接経済に介入するなどのことは、そもそも法律でも禁じられています。たとえば、株式市場などに政府が直接介入することなどは法律で禁じられています。ただし、規制という形などで、政治が経済に関与するということはあります。日本はどちらかといえば、規制が多い方です。

しかし、それにしても、中国のように政治と経済が不可分であり、政治が経済にたびたび直接介入するなどということはありません。政府が市場に直接介入することがあれば、自由競争が阻害され、市場が毀損されることになります。

しかし、中国においては、民主化も政治と経済の分離も法治国家化も行われておらず、政府は経済に直接介入します。

このような国とは元々「政冷経熱」などありえません。中国の経済は、富裕層が貧困層にたかって搾取して成り立っているといっても過言ではありません。日本でいえば、国そのものがブラック体質なのです。


その中国の製品や商品を輸入すれば、ブラック体質も一緒に輸入することになります。中国がブラック体質でただか、タダ同然の安い賃金で製造したものを海外に輸出することにより、輸入した国はブラック体質も輸入することになり、それだけではなく、輸入した国の労働者を脅かすことになります。

中国から輸入した製品や商品を使う人は、知らずに、中国のブラック体質を応援することになるだげではなく、国内の労働者を脅かすことになのです。

このようなことに「ノー」を突きつけたのが、トランプ政権であり、米国議会であり、EUなのです。日本も「政冷経熱」などという妄想等かなぐり捨てて、中国の人権問題と対峙すべきなのです。

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2021年5月23日日曜日

水素エンジン車レース完走 世界初、量産に向けトヨタ―【私の論評】昨年は第二次世界大戦後、最もCO2排出量が減ったが夏は暑く、世界中で異常気象が発生していた(゚д゚)!

水素エンジン車レース完走 世界初、量産に向けトヨタ

24時間耐久レースで水素を充填(じゅうてん)するトヨタ自動車のエンジン車

 トヨタ自動車が開発中の水素を燃やして走るエンジン車が24時間耐久レースに挑戦し、23日完走した。トヨタによると、水素のみを燃料にしてレースを走ったのは世界初。二酸化炭素(CO2)を排出しない新たな車の量産に向けてスタートを切った。

 参戦したのは静岡県小山町の「富士スピードウェイ」で22日にスタートした「富士SUPER TEC 24時間レース」。カローラスポーツを改造した水素エンジン車を、トヨタの豊田章男社長がオーナーとドライバーを務めるチームが走らせた。福島県浪江町の太陽光発電で製造した水素を使用した。

 約4・5キロのコースを358周し、1周のタイムで通常のエンジン車を上回る場面もあった。自らもハンドルを握った豊田氏はレース後の記者会見で「未来の社会に向けて選択肢を広げることの第一歩を示すことができた」と強調した。

【私の論評】昨年は第二次世界大戦後、最もCO2排出量が減ったが、夏は暑く世界中で異常気象が発生していた(゚д゚)!

水素といえば燃料電池車(FCV)が想起されますが、いま話題になっているのは水素を燃料として使う水素エンジン車です。上の記事の24時間耐久レースで競われたのも水素エンジン車です。


ここでは、詳細は述べませんが、FCVにしても、水素エンジンにしてもまだまだ技術的ハードルが高いです。詳細は是非以下のサイトをご覧になってください。


しかし、社会全体として水素を生かそうという動きは活発になる一方です。菅内閣の描く「2050年カーボンニュートラル」では水素が重要な役割を担います。ざっくり説明すると、目指す方向性は需要の電化と電源の低炭素化です。需要の電化とは、いまはガスやガソリン、灯油などを使用場面に応じて選択しているのですが、基本は電気に置き換えるということです。

そうして、こうしたことの背景には、ある前提があります。それは、CO2等が増えることによって、地球温暖化が引き起こされるというものです。地球温暖化CO2説です。

一方新型コロナウイルスの感染症COVID-19のパンデミックに対する世界的な取り組みにより、世界の2020年の年間の二酸化炭素(CO2)排出量は第2次世界大戦以来で最も減少したことが明らかになっています。研究結果は科学ジャーナル「Earth System Science Data」に昨年12月11日に掲載されました。

この研究によると、昨年のCO2排出量は7%減少したとされています。最も大きく減少したのはフランスとイギリスで、感染の第2波に対応するための厳格な経済活動の停止が主な要因だそうです。

世界の炭素収支を報告している「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」によると、昨年の炭素排出量は24億トン減少したそうです。



一方で、2009年の世界的な景気後退の最中の減少量はわずか5億トン。第2次世界大戦末期の減少量は10億トン弱だったそうです。昨年と今年あたりには、温暖化に関しては、どのようなことがおこっていたのか、あるいはおこるのか、注目すべきかもしれません。とにかくCO2を減らすことが何やら、至上命題のようになっていますが、実際にCO2が減っているのですから、これが環境に良い影響を及ぼしたのか、あるいは悪い影響を及ぼしたのかを精査すべきと思います。

どちらにしても、さらにこの状況が長く続いたとしたら、どうなるのか、これから先CO2が減り続けていけばどうなるのかシミレーションすべきと思います。日本でも富嶽のようなスーパーコンピューターがあるので、このようなこともできるはずです。

とはいいながら、期間が短いので、それが可能かどうなのかまでわからないのかもしれないですが、それにしても今でもわかっていることがあります。

気象庁は昨年に昨夏を「東日本は観測史上、最も暑い夏」と認定しています。最高気温が40度に達する観測点が続出し、西日本も記録的暑さに。熱中症とみられる症状での救急搬送、死亡者が相次ぎ、2020年夏の東京五輪・パラリンピック開催に影を落としたとしています。

2020年の世界と日本の平均気温が、観測が始まった19世紀末以降、最高となる見込みであることが今年1月の気象庁の調査で分かっています。気温上昇に伴い、各地で30年に一度の規模の高温や大雨などが頻発。国内も九州で豪雨災害が発生するなどしました。

これには、地球温暖化も寄与したとみられ、2020年は新型コロナウイルスだけでなく、気象も人類に牙を向いた年として記憶されそうだとしています。一方、今年はこうした傾向がやや緩和されるとの見方もあるそうです。

今年は皆さんもご存知のように、桜の開花がかなり早まりました、これも温暖化の影響といえるのでしょうか。ワクチン接種が進んだとはいえ、4月はまだコロナの流行は深刻で、CO2もどちらかといえば、通常の年よりは排出量が少なめだったと思います。


昨年はCO2排出量が7%減少していても、気温が上昇したり、異常気象が起こっているわけですから、あまりCO2など関係ないようにも見えます。

これは、短期だからなのでしょうか、それにしても、昨年のCO2排出量が第二次世界大戦後最低だったというのですから、少なくとも短期間でCO2排出量を7%減少させても、短期間ではあまり目立った効果はみられないということはいえそうです。

そうして、科学者らはこの機会を見逃すべきではないと思います。第二次世界大戦後最大のCO2減少がどのような影響を及ぼしたのか検証すべきです。このようなことが全く日本でも、世界でもほとんど報道されていないことが、本当に不思議です。都合の悪いことでもあるのでしょうか?

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2021年5月22日土曜日

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【日本の解き方】緊急事態宣言がGDPに悪影響 先進国では日本の落ち込みは軽微だが…ワクチン接種急ぎ経済正常化を

 1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が発表された。新型コロナ禍が始まって以来、経済への影響はどれぐらいの大きさになっているだろうか。

 1~3月期GDPの内訳を見ると、民間消費が1・4%減、住宅投資が1・1%増、設備投資が1・4%減、政府消費が1・8%減、公共投資が1・1%減、輸出が2・3%増、輸入が4・0%増だった。

 消費は昨年7~9月期が5・1%増、10~12月期が2・2%増だったが、今年1~3月期はマイナスに転じた。1月からの緊急事態宣言による影響だ。

 住宅投資は昨年7~9月期に5・7%減、10~12月期に0・1%増の後、持ち直しつつある。

 設備投資は昨年7~9月期に2・1%減、10~12月期が4・3%増。政府消費は昨年7~9月期が2・9%増、10~12月期が1・8%増。公共投資は昨年7~9月期が0・7%増、10~12月期が1・1%増だったが、それぞれ今年1~3月期にマイナスになった。

 ここで、実質GDPの実額の推移を見てみよう。マスコミでは前期比伸び率だけを報じるので、そもそもGDPがいくらなのかが分からない。

グラフはブログ管理人挿入

 2019年7~9月期の557兆円をピークに、同年10月からの消費増税で10~12月期に546兆円と減少し、20年1~3月期544兆円、4~6月期500兆円と落ち込んだ。7~9月期に526兆円、10~12月期に541兆円と反発したが、21年1~3月期に534兆円と再び落ち込んでいる。

 年度ベースでみると、20年度は525兆円で、19年度の551兆円に比べると4・7%減となり、最近ではリーマン・ショックのあった08年度の3・6%減を上回っている。

 ただし、世界と比べると、日本の落ち込みは軽微だ。先進7カ国(G7)の2020年(暦年)でみると、米国は3・5%減、英国が9・8%減、カナダが5・4%減、フランスが8・1%減、ドイツが5・0%減、イタリアが8・9%減で日本の落ち込みは少ない。失業率の低さも先進国でトップレベルだ。その理由は、財政出動したからだ。それでも、緊急事態宣言による経済自粛などで、経済の落ち込みは防げなかった。

 筆者はコロナ禍による死者と経済活動縮小による死者を合わせて極小化すべきだと主張してきた。そのためには巨額の財政支出が必要だとも言ってきた。

 後年の財政負担を気にする向きもなきにしもあらずだったので、「政府と日銀の連合軍」という表現で、政府の国債発行による財政出動とインフレ目標の範囲での日銀の国債購入を唱え、安倍晋三政権も菅義偉政権も補正予算はその趣旨で行ってきたと理解している。

 この戦略は、これまでのところ間違っていないと思う。後はワクチン接種を急ぎ、一刻も早く正常な経済活動をできるかどうかがポイントだ。

 私事であるが、筆者も接種券が届いたので自衛隊による大規模接種会場に申し込んだ。混雑しているかと思ったが案外すんなりと予約できた。2~3カ月の辛抱ではないか。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

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政府と日銀との連合軍とは、経済政策としては、財政政策と金融政策の同時・一体発動を意味しており、コロナ・ショックという戦後初、戦前の大恐慌に匹敵するくらいの経済危機に対し、政府の危機感を示すものです。

政府と日銀との連合軍では、政府が大量の国債発行によって財源調達を行うのですが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行います。これによって政府が巨額の有効需要を創出でき、不況の下支えをします。まさに大恐慌スタイルの経済政策です。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることです。しかし、コロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときです。

しかも、日本の長期金利はひところのマイナス寄りは上昇したとはいっても、以下のように現状でもかなり低い状況にあり、たとえ政府が大量の国債を発行したとしても、調達コストは無視できうるくらいです。


こうした状況では、さすがに財務省の事務方もすぐには財政再建や増税を言い出すべきではないのですが、先日もこのブログでも述べたように、その動きがみられます。しかし、本当に今後10年以内に消費増税などしてに出れば、財務省の信頼は地に落ちるでしょう。解体論もででくるでしょう。

経済政策において、一番重要なのは、雇用です。何をさておいても、失業率が低ければ、政府の経済対策は合格といえます。以下に失業率の国際比較をあげます。

完全失業率(月次、季節調整済、男女別、15~24歳/25歳以上)


いずれの国も、若年層の失業率は高いですが、日本以外ではかなり高いです。イギリス、フランスはかなり高いです。日本も若年層は高めですが、それにしてももともとの失業率が低いので、他国と比較すると低いです。

しかし、3度目の緊急事態宣言で事業継続が難しくなっている事業者も多いです。真に支援を必要とする企業や個人に向けた効果的な手立てを講じるべきです。

失業増を防ぐための雇用調整助成金の機能拡充など万全の安全網を構築すべきですし、時短営業の要請に応じた飲食店などへの協力金の支給も円滑かつ迅速に行う必要です。実情に応じて支給額を見直す柔軟さも求めたいところです。そのためにも、補正予算を編成すべきです。財源は、無論政府・日銀連合軍によるべきです。

手厚い、そうして効果的な財政・金融政策ができれば、後は日本経済の回復は、ワクチンが鍵を握りそうです。多くの国民がワクチン接種を済ませば、控えられていた外食や旅行などの需要が一気に戻り、個人消費が大きく回復する流れになるでしょう。

米国の21年1~3月期の実質GDPは、年率換算で前期比6・4%増でした。既に1億人以上が完了するなど急激にワクチン接種が進み、経済活動も順次再開しています。一方、1月からフランスやドイツなどで変異株による感染が広がった欧州連合(EU)は1~3月期はマイナス成長でしたが、ワクチン接種が進み、4~6月期はプラスに転じるとの見方が広がっています。

英オックスフォード大の研究者らが作るデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、5月16日時点で少なくともワクチンを1回接種した人の割合は英国が54%、米国が47%。これに対し日本は約3%と圧倒的に遅れてはいるのですが、日本は元々感染者数桁違いにが少ないため、現在までのワクチン接種により、ようやく日本なみになり、今後も順調に接種が進めば、収束に向かうでしょう。

この状況をマスコミは、日本はワクチン接種が遅れていると嘆くのみですが、台湾や日本が遅れているのは、元々感染者数や死者が他国に比較すると、桁違いに少なかったからです。感染症のワクチンなどは、感染がひどいところから優先するのが当然です。

そうして、日本の場合は欧米などと比較しても、経済的な落ち込み、特に失業率が低いわけですから、接種がすすめば個人消費が爆発して、経済の回復どころか、その後の躍進も期待できます。

一方5月20日時点で医療従事者のうち新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は80%で、2回の接種を終えた人は48%でした。一方、高齢者で少なくとも1回接種した人は4.7%と少なく、24日からの大規模接種を進めて7月末の接種完了をめざします。

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総務省と厚生労働省が12日公表した新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種時期に関する調査結果によると、政府が目標としている7月末までに接種が完了すると回答した自治体は全国1741のうち1490だった。高齢者人口の84.5%に相当する。もっとも、4月までの聞き取り調査では約1000程度にとどまっており、一定の改善は確認されました。

政府は7月末までに全国の高齢者3600万人に対する接種終了を掲げています。今回の調査では、7月末まで終了可能と回答した自治体の高齢者人口は3000万人となっています。

今後、健康上の理由などからワクチン接種ができない、あるいは意図してしない高齢者を除き、高齢者の8割〜9割程度のワクチン接種が終了すれば、状況は随分変わってくるでしょう。

そうなると、オリンピックが終了する8月に入れば、誰の目にもコロナが収束する時期がみえてくるでしょう。そうして、秋から年末にかけて、いままで様々な我慢していた分が爆発して、消費が爆発的に増えるでしょう。

いつまでもこの長いトンネルが永久に続くわけではありません。コロナが収束する日は目前に迫っています。それまでは、三密を守って心穏やかに過ごしていきたいものです。

今年の秋から年末にかけて、消費は大爆発!東京五輪はそのファンファーレとなることでしょう。それに合わせて今から準備をしている人たちも多いでしょう。今年のクリスマスは、いままでいないほど賑やかで、大爆発することでしょう。



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2021年5月21日金曜日

インド太平洋に同盟国合同の「空母打撃群」を―【私の論評】中国にも米とその同盟国にとってもすでに「空母打撃群」は、政治的メッセージに過ぎなくなった(゚д゚)!

インド太平洋に同盟国合同の「空母打撃群」を

岡崎研究所

 IISS(国際戦略研究所)上級フェローのニック・チャイルズが、インド・太平洋で米国とその同盟国が相互に調整して空母打撃群の運用に当たる必要性を、4月26日付のIISSのサイトで論じている。


 米国の空母については、中国が空母キラーと呼ばれる対艦ミサイルを開発・配備したこともあって、その脆弱性が指摘されて久しいが、空母打撃群が抑止と実戦においてその厳然たる有効性を発揮する場面が多い事情に変わりはない。しかし、米国がその持てる空母打撃群(米国は11隻の原子力空母を有する)をやりくりしてインド・太平洋のプレゼンスが必要とされる海域に頻繁に展開することには無理が生じている。その主要な要因に秩序破壊的な中国の海洋進出がある。この事情に対応するために、この論説は空母を有するフランスと英国が米国と協調し、更には(限定的な形になろうが)空母とはいわずともこれに近い能力を有する米国の同盟諸国(日本、韓国、豪州)がこれに加わり、必要な時と場所に空母不在の空白が生じないよう相互に調整された形で行動することの重要性を説いている。的を射た議論と言い得よう。

 米国はタリバンに対する空爆のためにインド洋に空母打撃群を展開していたが、今また、アフガニスタンからの安全な撤退を確保するために空母「ドワイト・アイゼンハワー」を展開している。ここにも空母を取られている訳である。アフガニスタンからの全面撤退にはリスクがあるが、バイデン大統領が指摘したように、他のより重大な脅威に対抗するために必要な決断だったと思われる。

 遠からず、英国の新鋭空母「クイーン・エリザベス」が東アジアに派遣され、日本にも寄港予定であるが、この論説は以上のような同盟・友邦諸国の海軍の間の相互調整という観点からこの空母の行動に関心を寄せている。この空母の派遣にそういう意義もあるのであれば、そのことは日本でも広く認識されるべき事柄であろう。

 バイデン政権は同盟諸国と協議し協調して行動し、中国の不当な行動に対抗しようとしているが、そのことは日本も置かれた状況に相応しい負担をすべきことを意味する。改修された護衛艦「いずも」と「かが」には海洋の秩序を守る上で米国海軍と連携して果たすことの出来る限定的かも知れないが有益な役割があろう。

 なお、この論説は、中国の空母「遼寧」には台湾や南シナ海に関連する対決の場面での役割は考えにくく、より遠隔の地域への展開を想定したものだとの観測を書いているが、その根拠は必ずしも明らかではない。有事に来援する米軍の阻止など役割は有るように思われる。

【私の論評】中国にも米とその同盟国にとってもすでに「空母打撃群」は、政治的メッセージに過ぎなくなった(゚д゚)!

かつて米海軍は戦艦中心主義でしたが、ミッドウェー海戦など太平洋戦争で航空母艦が中心的役割を果たしたことから、空母中心主義に転換しました。しかしながら、米海軍を支配している空母中心主義も、いまや新たな海軍戦略への抜本的転換が迫られています。

理由の一つが、航空母艦の稼働率が劇的に低下するという危機的状況に陥りつつあるということが挙げられます。稼働率の低下の最大の原因は、海軍工廠(こうしょう)と民間造船所を含んだ米国内における造艦・メンテナンス能力の不足にあるといえます。

このような海軍関係ロジスティックス能力の低下は量的なものだけではなく、質的にも深刻であるという調査結果も数多く提示され、米国の国防上、深刻な問題となりつつあるのです。

これまで米海軍は、護衛空母と呼ばれる小型空母を含め178隻の航空母艦を運用してきました。このうち、撃沈されたものと、大破したため自ら沈めたものを含めて、戦闘で喪失したのは12隻です。うち11隻は日本海軍によって、1隻はドイツ海軍によってです。

1945年2月21日、米海兵隊による硫黄島侵攻準備の事前爆撃に従事していた米海軍護衛空母ビスマルク・シー(CVE-95)が、日本海軍第二御楯特攻隊の2機の特攻機の体当たり攻撃を受けて沈められました。ところが、それ以降75年近くにわたって米海軍は1隻の空母も喪失していません。

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ攻撃に対応して、米軍は02年に莫大な予算(およそ2億5千万ドルといわれている)を投入して大規模なウォーゲーム「Millennium Challenge 2002(以下MC-2002)」を実施しました。

これはミリタリーシミュレーション、兵棋(へいき)演習、図上演習などとも呼ばれるもので、軍事組織やシンクタンクが、軍事理論や戦略、個々の作戦などを研究するため、敵と味方の詳細データに基づいてコンピューターなどを使って実施する軍事演習です。

日本の兵棋演習

MC-2002では米軍が、イランやイラクを想起させる仮想敵「レッドチーム」と2週間にわたって机上で戦闘を交えることになっていました。ところが、米海兵隊ポール・ヴァン・リッパー退役中将が率いたレッドチームは、対艦ミサイル連射攻撃や小型ボートによる接近攻撃などを駆使した見事な作戦を成功させました。

何と開戦2日目までに原子力空母や強襲揚陸艦などを含む16隻の米軍艦を撃沈しました。そして見積もられた米軍の戦死者は2万人に上ったのでした。

海軍首脳を中心とする米軍首脳部はMC-2002を中断させました。莫大な予算を投入し、演習予定期間2週間のMC-2002が開戦2日目で、しかも「レッドチーム」の勝利で終結したのでは、残りの期間が無駄になる、という理由でした。

撃沈された空母を含む16隻の軍艦は全て“再浮上”し、MC-2002は再開されました。ただしレッドチームは、これまで用いた戦術やさらなる奇抜な戦術を禁止されたのです。

そうして米軍側が勝利するという事前に策定されたシナリオに沿って演習が続けられ、その通りに米軍が勝利しました。このようにして「空母不沈神話」は守られたのでした。

海軍首脳や「空母こそ米軍の軍事的支配力の象徴である」と信じる多くの軍関係者、政治家にとって、「空母不沈神話」は不滅でなければならなかったのです。また、空母には戦闘攻撃機、早期警戒機、小型輸送機、哨戒ヘリコプター、輸送ヘリコプター、救難ヘリコプターなど様々な航空機が搭載されるため、造船造艦業界のみならず、航空機産業も巨大な原子力空母の建造やメンテナンスに関与して恩恵を得ています。

そのため、空母建造や運用に関連する幅広い産業やそれらの従業員にとっても「空母不沈神話」は不滅でなければならないのです。

MC-2002から19年が経過した現在、「レッドチーム」よりも強力な空母攻撃用軍事システムが続々と誕生しています。

かつては大海原を航行する敵艦艇を発見することは至難の業でしたた。ところが海上を警戒監視するための軍事衛星、水平線の先まで探知可能な超水平線レーダーシステム、それに高性能海洋哨戒機など、科学技術が飛躍的に進歩したため、海上を航行する艦艇や船舶、とりわけ原子力空母のような巨艦が敵の監視網から姿を隠すことは100%不可能になりました。

海上戦闘艦艇にとってさらに悪いことに、中国やロシアの各種対艦ミサイル(艦艇船舶を攻撃するためのミサイル)の射程距離、命中精度、スピードなど性能が、やはり飛躍的に進歩しています。

特に中国軍は、中国沿岸域に接近してくる米空母を撃破することを主目的として各種対艦兵器(アメリカ軍では接近阻止/領域拒否兵器あるいはA2/AD兵器と呼んでいる)の開発に全力を投入してきました。

中国本土の地上移動式発射装置、中国軍にとって安全な空域のミサイル爆撃機、中国軍にとって安全な海域の駆逐艦やフリゲートやミサイル艇などから、対艦弾道ミサイル、対艦巡航ミサイル、超音速対艦ミサイル、極超音速対艦グライダーなどで米軍艦を攻撃することができます。

とりわけ巨体の原子力空母は、それらA2/AD兵器にとっては、sitting duck(容易な標的)に近い、恰好の攻撃目標です。

これに対して米海軍は、空母艦隊を敵のミサイル攻撃や爆撃から防衛するために、超高性能防空戦闘システムである「イージスシステム」を開発し、常に改良を続けています。イージスシステムによって発射され、敵のミサイルや航空機を撃破するための「防空ミサイル」にも巨額の費用(日本からも引き出している)をつぎ込んで、その性能はめざましく向上しています。

しかしながら、軍艦に比べると米粒よりも小さいミサイルを攻撃するための防空ミサイル開発は、対艦ミサイルの開発よりも技術的に遙かに困難であることは容易に理解できます。

技術的に困難であるが故に、防空ミサイルの開発費や調達価格は対艦ミサイルの比ではない超高額になっています。そのため、中国軍やロシア軍の「各種対艦ミサイル」保有数と、米軍の「防空ミサイル」保有数を比較すると、「各種対艦ミサイル数」が凌駕しています。

ミサイル攻撃を受ける空母打撃群 想像図

中国軍による米空母艦隊へのミサイル攻撃は「猛烈な飽和攻撃」になることが確実です。すなわち短時間のうちに大量の対艦ミサイルが、地上発射装置、空中のミサイル爆撃機、海上の艦艇から、つるべ打ちにされるのです。

これに対して米軍艦艇に装填してある防空ミサイルや対空機関砲の弾薬の数量には限りがあります。米軍艦がそれらを撃ち尽くしてしまったら、それ以後に中国軍が発射する対艦ミサイルは百発百中になってしまうのです。

以上のような理由で、中国そしてロシアにはもはや、「空母不沈神話」など成り立たないといった指摘が、米海軍関係者の中からも唱えられ始めています。

「超巨大空母を中心に据えた海軍戦略は時代遅れで、そのような原子力空母に巨額の国防費を割り当てるこれまでの仕組みを抜本的に見直さなければならない」という空母中心主義からの脱却を巡る激しい議論が交わされ始めているのです。

もっとも、これまで空母中心主義の海軍戦略を維持することができたのは米海軍だけでした。したがって、米海軍の空母中心主義が時代遅れになってきたという事実は、米以外の国々が持つ航空母艦とは別次元の問題です。それぞれの海軍は、それぞれ独自の海軍戦略に基づいて自らの空母を運用しているからです。

要するに、空母中心主義が時代遅れになってきたからといって、航空母艦そのものが無用の長物になってきたということを意味しているわけではありません。大艦巨砲主義の時代に、空母打撃群が投入されるようになったのですが、空母打撃群には相変わらず、空母だけではなく、様々な艦艇が用いられていました。

無論、これは空母だけでは、防御力に劣るとか、様々な理由があります。現在の米海軍の巨大原子力空母も新しい時代に対応した新たな存在価値を付与されることになるでしょう。

この状況を打開するのは、このブログでも何度か掲載したように、海戦においては、潜水艦の有効活用でしょう。なぜなら、中国は対潜哨戒能力か極度におとり、これとは対照的に米国のそれは世界一です。

米軍の優れた対潜哨戒能力で、米軍は中国の潜水艦を丸裸にして、これに対処することができます。

ただ、米軍は潜水艦の運用でも失敗しています。それは、原潜を過信して、すべての潜水艦を原潜にしてしまい、通常型潜水艦を建造せず、それが長く続いたので、米国は最新型の通常型潜水艦を建造する能力を失ったしまったのです。

原子力潜水艦は、動力を原子力に頼っているため、半永久的に潜航して任務を継続することができます。実際には食料の問題で半永久的に潜っていることはできないのですが、原子力潜水艦であれば海水を蒸発させて真水を作りだすことができ、それを電気分解することによって酸素も作り出せます。

そのため、従来のディーゼルと蓄電池を使った通常動力潜水艦よりも、乗員たちは快適な環境で長期間生活をすることができます。水と電力をほぼ無限に使用することができることから、ロシアの原子力潜水艦にはサウナまで取り付けられているそうです。

ただ、原子力潜水艦は、長期間に渡って潜航し続けることができますが、難点があります。それは「うるさい」ということです。原子炉で発生させた蒸気を使ってタービンを回し、その力でプロペラ軸を回しますが、この時に使う減速歯車が騒音の原因といわれています。

タービン自体は高速で回転させるほうが効率も良いのですが、そのまま海中でプロペラを回転させるとさらなる騒音を発生させるために、減速歯車を使ってプロペラ軸に伝わる回転数を落とす必要があります。

ほかにも、炉心冷却材を循環させるためのポンプも大きな騒音を発生さるといいます。このポンプは静かな物を採用することによって、かつてに比べ騒音レベルは下がってきているといいますが、頻繁に原子炉の停止・再稼動をさせることが難しい原子力潜水艦においては、基本的にこのポンプの動きを止めることはできません。

一方ディーゼルエンジンと、蓄電池を元いる通常型潜水艦は、原潜よりは長期間潜航ができないという欠点はあるものの、静寂性に優れています。この静寂性が海戦においては、徹底的に重要です。

潜水艦を攻撃する方法は、種々ありますが、基本は今でもソナーによって索敵してこれを攻撃します。潜水艦の静寂性が高いと、ソナーでも発見できにくくなります。

日本の潜水艦は従来から、静寂性が高いのですが、最新型の潜水艦の動力はリチュウムバッテリーにしており、これによりさらに静寂性を高め、ほとんど無音に近いといわれています。

これは、海戦においては圧倒的に有利です。日本の潜水艦は、中国に発見されずに航行できます。一方、中国の潜水艦は日本にすぐに発見されてしまいます。これでは、最初から勝負になりません。

一方米国の原潜は、攻撃力は強大ですが、静寂性には劣ります。ただ、米軍が対潜哨戒能力が世界一なので、これも有利です。予め、深海に潜み、そこから動かず、ここぞというときに、ミサイルや魚雷で攻撃するという戦法もできます。

呉 第1潜水隊群

日米の潜水艦隊が組めば、世界一強力な潜水艦隊になるでしょう。上の記事では、空母打撃群の合同ということが語られていますが、それも一つの手でしょう。中国の空母打撃軍が軍事力というよりは「政治的メッセージ」であることを考えると、インド太平洋に同盟国合同の「空母打撃群」を置くことには「政治的メッセージ」として、中国に対する強い牽制となることは間違いないでしょう。

しかし、現代の海戦による本当の戦いは、最初潜水艦隊により行われ、それでほとんど雌雄を決することになるでしょう。そのときには、中国の艦船はほとんどが撃沈され、地上の基地も破壊され、その後に、米軍の空母打撃群等が参加して、最後の詰めをするという形になるでしょう。

中国も、米国とその同盟国も潜水艦を持っています。特に、日本、フランス、ドイツなどは現在でも静寂性の優れた通常型潜水艦を建造しています。ロシアもラダー型という静寂性の優れた通常型潜水艦を建造しています。中国も通常型潜水艦潜水艦を建造していますが、静寂性には劣ります。

ロシア海軍に関しては、もはやその実力は、象徴的なものに過ぎないとみるべきでしょうが、その中でも最も恐れるべきは、このラダー型潜水艦かもしれません。

これらの潜水艦は、すでに随分前から、南シナ海や東シナ海などに息を潜めて様々な行動をしています。米国とその同盟国の潜水艦は、何度も中国の艦艇を撃沈する模擬訓練も行っています。特に、中国の空母「遼寧」は日米が模擬訓練で、何度も撃沈訓練をしていたことは、このブログにも過去に掲載したことがあります。

すでに、日米と、他の同盟国は、潜水艦隊でも互いに協力しあう体制を整えたか、整えつつあるでしょう。空母打撃群の動向は、もはや中国と同じく「政治的メッセージ」とみたほうが良さそうです。無論政治的メッセージにも大きな意味があり、中国を牽制することになるでしょう。なにしろ、目に見えるものは、見えないものよりは相手に強力なメッセージを送ることができます。

そうして、実際の海戦になれば、目に見えない、耳で聞こえない敵の脅威は、そうではない敵よりもはるかに大きいです。

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2021年5月20日木曜日

「消費税率19%」まで引き上げが必要との試算が出るが…国の財政は悪くなっていない 増税などの緊縮議論は“不要”だ ―【私の論評】消費増税8%の前の消費支出水準に戻るまで、増税ではなく積極財政、金融緩和をするのが当然(゚д゚)!


経済同友会桜田幹事 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 経済同友会が経済成長や財政状況の2050年度までの試算と提言をまとめた。そこでは公的債務残高が国内総生産(GDP)に占める比率を縮小させるには、消費税率を段階的に19%まで引き上げる必要があると指摘した。また、コロナ対策による債務については「現在世代」で負担すべきだとしている。

 本コラムで何度も繰り返して説明しているが、財政状況を理解するには資産と負債を示すバランスシート(貸借対照表)をみる必要がある。なぜ、負債(債務)だけを取り出して財政の議論をするのか、正直なところ筆者には理解できない。

 今回のコロナ対策は、日本政府の広義のバランスシートをみれば、資産を加味したネット債務残高を増加させないため、財政状況を悪化させるものではない。財政状況が悪くなっていないので、増税などの対応は、無駄であるばかりか、有害になる。

 筆者の出身である財務省(旧大蔵省)は、財政キャンペーンのとき、債務の大きさだけを説明していたが、役人時代の筆者はそれに疑問を呈し、バランスシートで説明すべきだと内部で主張していた。

 大蔵省の役人として財政投融資を担当していたとき、資産負債総合管理(ALM)の必要性が出てきて、筆者はALMシステム作成の指示を受けた。

 そのためには財政投融資のバランスシートが必要となったのだが、まず国全体のバランスシートを作った。1995年ごろだ。国全体のバランスシートを作成しないと、その一部である財政投融資のバランスシートを作ることはできないためだ。

 そうしてみると、当時の大蔵省の財政キャンペーンに不都合な事実が少なくなかった。その後、ALMシステムを大蔵省が作成したことは公表されたが、国全体のバランスシートを作ったことは明かされなかった。

 その後も10年程度公表されなかったが、小泉純一郎政権時にようやく公表されるようになった。しかし、財務省が積極的に記者レクチャーしないので、会計知識の乏しい日本のマスコミは、国全体のバランスシートについてまともに報道できていない。

財務省太田次官

 経済同友会も、財務省からのバランスシートの説明がなかったのか、負債に関してのみ説明を受けたのかは分からない。しかし企業人がバランスシートを読めないとは考えにくい。何か別の原因があるのではないか。

 一般論として、企業人としては税金や税務署を意識せざるを得ない。税務署では社会教育の一環として租税教育を地元の学校などで行っている。その教材は国税庁が作るが、基本的に財務省の資料や見解が反映されている。

 となると、企業人が筆者の主張のような見解を出すと、結果的に税務署の言うことを否定することにもつながりかねない。まともな企業人なら、あえて無用な争いをしたくないはずだ。

 ただし、社会的に有害ともいえる提言をする必要もないのではないか。

(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】消費増税8%の前の消費支出水準に戻るまで、増税ではなく積極財政、金融緩和をするのが当然(゚д゚)!

総務省は、5月11日に2020年度の家計調査を発表しました。これにより、直近の状況などを振り返っておきます。


これによりますと、2人以上の世帯の消費支出は1ヵ月あたりの平均で見て27万6167円となり、物価変動の影響を除いた実質で、前年度から4.9%減となりました。落ち込み幅は比較可能な2001年度以降で、消費増税後の2014年度(5.1%減)に次いで2番目に大きくなりました。

コロナ禍があってから、毎月家計の動きを見ると、緊急事態宣言をすると消費支出が下がる傾向があります。3月は6.2%プラスとなっています。4月は少し良いかも知れないですが、5月はまた緊急事態宣言があったので下がることになるでしょう。

前年比だけで見ると、コロナの影響で前年が普通の年ではありませんから、前の年も悪いので、実数も慎重にみるべきです。 2020年3月から5月を振り返ると、相当消費が落ち込んでいました。

伸び率だけを見ているとと、前の年が普通だという前提であれば、これでも良いのですが、前の年が違うときには違う読み方をするべきです。1年間の数字だけを見ているとよくわからないのです。

2~3年を続けて見ると、ある程度わかります。 11日に発表された家計調査の3月の数字が出たので、年度と3月単月で出ていて、3月単月の方を取って「6.2%プラスでした」とするメディアも多くありました。 

そのような報道からすると良いようにみえますが、3月だけではなく、その前も状況でした。2020年2月くらいからずっと悪い状況でした。

それと比較して「あまり動いていない」という状況でありこれはかなり厳しいです。2020年の1年間は、その前の年と比べるとかなり低いです。コロナ禍になってから、旅行や飲食なども含めて消費需要が飛んでしまっています。消費が飛んでいるからGDPが落ちているのです。

それでも世界で見ると、日本は落ちていない方です。結果的にそれが雇用の安定につながっていると考えられます。失業率は、足元で2.9%くらいですが、これは少し上がっているのですが、それても他国と比較すれば、さほど上がっているわけではありません。


政府はコロナ禍にあっても雇用を守ることを目標にして来ました。そのためコロナ禍のようなときにも、雇用を維持しやすい「雇用調整助成金」などを増やしたのです。

巷には「現金給付をなぜしないのか」という主張もありますが、現金給付は、どちらかというと失業が出てしまったあとに対応する手段です。そうであれば、「失業が出ないように頑張った方がいい」という割り切り方もあるのです。政府は、収入が途絶えたあとの手立てではなく、収入が途絶えさせない方を実行したのです。

コロナ禍における雇用対策は、様々な国の対策見をながら、様々な対策を考えます。例えば雇用調整助成金の制度がない国もあります。そうすると失業率が増えるときには、いきなりかなる増えるのです。増えるから仕方なく現金給付になってしまうのです。米国は特にそうです。 

そもそも米国には日本の雇用保険に相当する制度がありません。そのため、不況になると失業率が急激に跳ね上がるのです。政府は、それが良いのかどうかということを議論するためにも、国際比較をしながら雇用対策をしているのです。 

政府は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、令和3年4月30日までを期限に 雇用調整助成金の特例措置を講じてきたところですが、一部内容を変更し、  この特例措置を6月30日まで延長します。これは、その後も様子をみて延長の必要があれば、さらに延長すべきでしょう。

今回多少の雇用減はあったものの、他国と比較すれば全体的には雇用は維持されて、ある程度社会は安定しているといえるでしょう。一方で、飲食業などではが大変な状況になっています。 

日本では憲法を改正しないからできないのですが、私権制限をしながらやると、個々の業種は現在ほど厳しくならないはずです。日本は私権制限ができないため、どうしてもある業種に偏ってしまうのです。本来は、休業補償を十分に出すべきでしょう。全額まではいかなくても、手厚くすべきでしょう。

日本の私権制限には限りがある

このような直近の状況を見ている限り、どう考えても、すぐに増税などということは、全くありえないことです。

今後すぐに家計の消費支出が元に戻るなどということは考えられず、コロナ禍が収束したとしても、これを元に戻すには数年かかるとみるべきでしょう。消費増税8%の前の消費支出水準もどるまで、増税ではなく積極財政、金融緩和をするのが当然の措置です。

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沈むハリウッド、日米産業逆転の理由 ■ Forbs Japan日本編集部 まとめ 日本のコンテンツ産業、特にアニメが国際的に人気を博しており、非英語番組の需要が増加中。 米国のZ世代は日本のアニメを好み、動画配信やゲームの普及がブームを加速させている。 日本のコンテンツ全体が注目...