25日、軍用車両に乗ったウクライナ軍の兵士たち=キエフ |
ウクライナ大統領府は25日夜(日本時間26日未明)、「東部ハリコフや北東部スムイ、南部方面で激しい戦闘が続いている」と発表。同国軍高官は25日、ロシア軍の戦車80台やヘリ7機、航空機10機などに損害を与えたと発表した。
米CNNによると、ゼレンスキー大統領は26日未明のビデオ声明で「敵がキエフに迫っている」とし、「今夜は困難な夜になる」と述べた。キエフ郊外では数回の爆発音が起きた。
一方、露国防省は25日、東部で部隊が前進したほか、スムイと北部コノトプを包囲したと発表。ウクライナ軍の211施設を無力化したとした。同省はまた、露揚陸部隊が同日夕、戦闘せずに南東部メリトポリに入ったと発表した。
プーチン氏は同日の政府会議で「ウクライナ軍は『ネオナチ』(ゼレンスキー政権から)権力を奪取すべきだ」と述べた。
ウクライナメディアによると、キエフには先遣隊とみられるロシア兵が侵入したが撃退された。また、25日までに子供2人を含むウクライナの民間人38人が死亡したとみられるとした。
米欧はロシアがキエフを陥落させ、ウクライナの体制転覆を狙っているとみている。ただ、ロイター通信によると、米当局者は25日、「ロシア軍は予想以上の抵抗に遭い、進軍速度が下がった」と指摘。ロシアの作戦が想定通りに進んでいない可能性を示しました。
一方、ロイターは25日、ウクライナ側の発表として、南部オデッサ州の港付近で同日、パナマ船籍の貨物船「ナムラ・クイーン」がロシア軍のミサイルで損傷したと伝えた。船舶情報サイトによると、同船は愛媛県今治市の会社が所有。ウクライナ側は「危機的状況ではない」としているが、負傷者などは不明。
停止の理由として、「燃料や補給に問題がある」とし、地元の商店でロシア兵による略奪があったことを明らかにした。
郊外には、約40台の焼失したロシア軍の戦車があるとされています。
ジャベリン |
米国によるウクライナへの軍事支援は昨年、約4億5000万ドル規模に達しました。ロシアがウクライナ・クリミア半島を強制併合して以降の援助総額は25億ドル以上に上りました。
米軍はウクライナ軍の訓練任務にも従事。昨年はウクライナ支援の多国間の共同訓練計画に従い米フロリダ州の州兵を派遣しました。米国防総省の声明によると、欧州の米特殊作戦軍はウクライナ特殊部隊の訓練や助言で大きな役割を果たしてもいます。ウクライナ内で活動する米特殊部隊の人数は作戦遂行上の機密事項として明かしていません。
国防省は、2014年に「領土防衛部隊」を結成し、市民に対して銃など武器の扱い方などの講習を行っていて、非常時には最大12万人が編成される見通しで、軍の指揮下に置かれることになります。
先月には「国家レジスタンス基本法」が施行され、ロシア軍が侵攻してきた場合、国民が一丸となって抵抗するとしています。
米国防総省のジョン・カービー報道官は25日の記者会見で「ロシア軍は停滞しており、計画どおり(作戦が)進展していない兆候がある」とし、露軍がウクライナ軍の反撃を受けて勢いを失っているとの分析を示しました。
国防総省高官も25日、「露軍はまだ人口密集地を掌握しておらず、特にキエフでは過去24時間で勢いが鈍っている。制空権もまだ獲得していない」との見解を示した。ウクライナ軍の防空システムも「空爆で弱体化したが、依然、機能している」と説明。その上で、侵攻作戦に投じられている部隊は周辺に集結している約15万人の約3分の1にとどまるとして、露軍が今後、兵力を追加投入する可能性があることを示唆しました。
露国防省は25日、ウクライナ政府軍と親露派武装集団が戦闘を続ける東部で、24日に侵攻を開始した露軍が政府軍の前線を突破し、20キロ・メートル以上にわたって政府軍を後退させたと発表しました。親露派支配地域に隣接するドネツク州の港湾都市マリウポリ周辺でも25日、親露派が支配地域を広げたと主張。ロシアが併合したクリミア半島と接する南部地域でも、露軍が新たな都市に進軍したとしています。
ただ、ウクライナ軍のフェイスブック投稿によると、これまでの侵攻でロシア兵3500人以上が死亡し、約200人が捕虜になったといいます。未確認情報ですが、ウクライナ軍はさらに、ロシア軍が軍用機14機、軍用ヘリ8機、戦車102台を失ったとしています。
ロシア軍はこれまでのところ、自軍の死傷者について発表していません。
徹底抗戦を呼びかけるウクライナ当局は、有志の市民に約1万8000丁の銃を配布し、火炎瓶の作り方の情報もホームページで提供しました。
軍事アナリストたちは、ウクライナ側の激しい抵抗により、ロシアの進軍速度が減速しているとしています。
ウクライナが予想以上に抵抗し、ロシア軍の勢いが奪われていると、米政府高官はロイター通信に語っています。
戦闘経験がなく、ウクライナの防衛隊への参加を希望する人々が行列する様子が目撃されています。軍隊に参加可能な年齢制限は撤廃されました。
英国防情報当局トップのジム・ホッケンハル中将は、ロシア軍は首都に向かって前進を続けているが、ウクライナ軍が「主要都市の防衛に重点を置き、強い抵抗を続けている」と述べました。
ゼレンスキー大統領は26日、新たな動画を公開し「インターネット上では私が軍に武器を捨てるよう呼びかけ、避難しているというような多くの偽の情報も出回っている。私はここにいるし、武器は捨てない。私たちは自分の国を守る」と強調しました。
これはまた、ドンバス地方を中心にウクライナ軍を標的にするということでもあり、ロシアに長期的な軍事作戦を継続できる余裕はなく、「電撃戦になるだろう」との見解をフェルゲンハウアー氏は示しました。
この見方に、米欧州陸軍の司令官を務めていたベン・ホッジス退役中将も同調しています。人口280万人のキエフを占領しようと思えば、ロシアは数カ月の市街戦と利用可能な人的資源の全てを投入する必要があると指摘。米国の経験から、ホテル程度の建物一つを占領するだけでも、一個大隊または700-800人が必要だといいます。
ホッジス氏は18-20日に開かれたミュンヘン安全保障会議に際し、ロシア軍のキエフ占領が「実現可能だとは全く思えない」と述べていました。AFPによると、ウクライナ軍は26日、首都キエフの勝利通り(Victory Avenue)で1部隊がロシア軍の攻撃を受けたが、撃退したと発表しています。