2022年2月26日土曜日

露、ウクライナ抵抗で勢い減退か 停戦交渉の調整進む―【私の論評】ロシア軍のまさかの敗退もありうる(゚д゚)!

露、ウクライナ抵抗で勢い減退か 停戦交渉の調整進む

25日、軍用車両に乗ったウクライナ軍の兵士たち=キエフ

 ロシアによるウクライナ侵攻は25日、ウクライナの首都キエフを含む各都市へのロシア軍の攻撃が続いた。ウクライナ側が抵抗し、ロシア側に一定の損害を強いているとみられる。ウクライナ沖で日本企業所有の可能性がある貨物船が戦闘に巻き込まれ、損傷したとの情報もある。双方が同日、実施への意欲を表明した停戦交渉に向けた調整も進められている。

 ウクライナ大統領府は25日夜(日本時間26日未明)、「東部ハリコフや北東部スムイ、南部方面で激しい戦闘が続いている」と発表。同国軍高官は25日、ロシア軍の戦車80台やヘリ7機、航空機10機などに損害を与えたと発表した。

 米CNNによると、ゼレンスキー大統領は26日未明のビデオ声明で「敵がキエフに迫っている」とし、「今夜は困難な夜になる」と述べた。キエフ郊外では数回の爆発音が起きた。

 一方、露国防省は25日、東部で部隊が前進したほか、スムイと北部コノトプを包囲したと発表。ウクライナ軍の211施設を無力化したとした。同省はまた、露揚陸部隊が同日夕、戦闘せずに南東部メリトポリに入ったと発表した。

 プーチン氏は同日の政府会議で「ウクライナ軍は『ネオナチ』(ゼレンスキー政権から)権力を奪取すべきだ」と述べた。

 ウクライナメディアによると、キエフには先遣隊とみられるロシア兵が侵入したが撃退された。また、25日までに子供2人を含むウクライナの民間人38人が死亡したとみられるとした。

 米欧はロシアがキエフを陥落させ、ウクライナの体制転覆を狙っているとみている。ただ、ロイター通信によると、米当局者は25日、「ロシア軍は予想以上の抵抗に遭い、進軍速度が下がった」と指摘。ロシアの作戦が想定通りに進んでいない可能性を示しました。

 一方、ロイターは25日、ウクライナ側の発表として、南部オデッサ州の港付近で同日、パナマ船籍の貨物船「ナムラ・クイーン」がロシア軍のミサイルで損傷したと伝えた。船舶情報サイトによると、同船は愛媛県今治市の会社が所有。ウクライナ側は「危機的状況ではない」としているが、負傷者などは不明。

 双方が25日に意欲を表明した停戦交渉について、ウクライナ高官は「時期と場所を調整中だ」と発表。露外務省も調整が行われていることを認めている。

【私の論評】ロシア軍のまさかの敗退もありうる(゚д゚)!

ウクライナ陸軍によると、ロシア軍は戦闘で大きな損失を被った後、北東部の都市コノトプ付近で停止しているとされています。

停止の理由として、「燃料や補給に問題がある」とし、地元の商店でロシア兵による略奪があったことを明らかにした。

郊外には、約40台の焼失したロシア軍の戦車があるとされています。

「燃料や補給に問題」とは、やはりこのブログで指摘してきたように、ロシア軍は兵站を鉄道に頼っているところが大きく、ウクライナとロシアとでは軌道の幅が同じであり、ロシアの鉄道車両はウクライナ国内に乗り入れることができます。

ただし、ロシア側かウクライナ側、あるいは両方の鉄道線路が破壊されて、物資の輸送が滞っていることも考えられます。

ウクライナは、ロシアの脅威に対抗するため、アメリカなど欧米諸国から軍事支援を受けていて、アメリカなどから対戦車ミサイル「ジャベリン」を供与されているほか、トルコから攻撃型無人機「バイラクタル」を購入するなど、装備の近代化を進めています。

「ジャベリン」はアメリカ合衆国でドラゴン対戦車ミサイルの後継として開発された歩兵携行式多目的ミサイルです。ロシア軍の戦車やヘリコプターに対してかなり有効な攻撃をできますが、「バイラクタル」はあまり有効ではないようです。

ジャベリン

バイデン大統領は昨年9月1日、ウクライナのゼレンスキー大統領が米ホワイトハウスを訪れた際、兵器援助を承認していました。

米国によるウクライナへの軍事支援は昨年、約4億5000万ドル規模に達しました。ロシアがウクライナ・クリミア半島を強制併合して以降の援助総額は25億ドル以上に上りました。

米軍はウクライナ軍の訓練任務にも従事。昨年はウクライナ支援の多国間の共同訓練計画に従い米フロリダ州の州兵を派遣しました。米国防総省の声明によると、欧州の米特殊作戦軍はウクライナ特殊部隊の訓練や助言で大きな役割を果たしてもいます。ウクライナ内で活動する米特殊部隊の人数は作戦遂行上の機密事項として明かしていません。

また、2014年にロシアに、ウクライナ南部のクリミア半島が一方的に併合された後、ウクライナ政府は、徴兵制を復活させています。

国防省は、2014年に「領土防衛部隊」を結成し、市民に対して銃など武器の扱い方などの講習を行っていて、非常時には最大12万人が編成される見通しで、軍の指揮下に置かれることになります。

先月には「国家レジスタンス基本法」が施行され、ロシア軍が侵攻してきた場合、国民が一丸となって抵抗するとしています。

米国防総省のジョン・カービー報道官は25日の記者会見で「ロシア軍は停滞しており、計画どおり(作戦が)進展していない兆候がある」とし、露軍がウクライナ軍の反撃を受けて勢いを失っているとの分析を示しました。

国防総省高官も25日、「露軍はまだ人口密集地を掌握しておらず、特にキエフでは過去24時間で勢いが鈍っている。制空権もまだ獲得していない」との見解を示した。ウクライナ軍の防空システムも「空爆で弱体化したが、依然、機能している」と説明。その上で、侵攻作戦に投じられている部隊は周辺に集結している約15万人の約3分の1にとどまるとして、露軍が今後、兵力を追加投入する可能性があることを示唆しました。

全体の戦況としては、露軍が攻勢を強めている局面が続いている模様です。

露国防省は25日、ウクライナ政府軍と親露派武装集団が戦闘を続ける東部で、24日に侵攻を開始した露軍が政府軍の前線を突破し、20キロ・メートル以上にわたって政府軍を後退させたと発表しました。親露派支配地域に隣接するドネツク州の港湾都市マリウポリ周辺でも25日、親露派が支配地域を広げたと主張。ロシアが併合したクリミア半島と接する南部地域でも、露軍が新たな都市に進軍したとしています。

ただ、ウクライナ軍のフェイスブック投稿によると、これまでの侵攻でロシア兵3500人以上が死亡し、約200人が捕虜になったといいます。未確認情報ですが、ウクライナ軍はさらに、ロシア軍が軍用機14機、軍用ヘリ8機、戦車102台を失ったとしています。

ロシア軍はこれまでのところ、自軍の死傷者について発表していません。

徹底抗戦を呼びかけるウクライナ当局は、有志の市民に約1万8000丁の銃を配布し、火炎瓶の作り方の情報もホームページで提供しました。

軍事アナリストたちは、ウクライナ側の激しい抵抗により、ロシアの進軍速度が減速しているとしています。

ウクライナが予想以上に抵抗し、ロシア軍の勢いが奪われていると、米政府高官はロイター通信に語っています。

戦闘経験がなく、ウクライナの防衛隊への参加を希望する人々が行列する様子が目撃されています。軍隊に参加可能な年齢制限は撤廃されました。

英国防情報当局トップのジム・ホッケンハル中将は、ロシア軍は首都に向かって前進を続けているが、ウクライナ軍が「主要都市の防衛に重点を置き、強い抵抗を続けている」と述べました。

ゼレンスキー大統領は26日、新たな動画を公開し「インターネット上では私が軍に武器を捨てるよう呼びかけ、避難しているというような多くの偽の情報も出回っている。私はここにいるし、武器は捨てない。私たちは自分の国を守る」と強調しました。


そのうえで「私たちにとっての武器は私たちの真実だ。真実とは、私たちの土地であり、国であり、私たちの子どもたちであり、私たちはこれらすべてを守る」と述べ、ウクライナの領土と国民を守り抜こうと結束を呼びかけました。

今後の展開について、モスクワを拠点とする軍事アナリストのパベル・フェルゲンハウアー氏は、プーチン氏の「非武装化」を目指すとした発言に最も端的に表れていると指摘、フランスよりも大きな国土を持つウクライナの占領ではないとの見方を示した。

米シンクタンク、ジェームズタウン財団のベテラン軍事アナリストでもあるフェルゲンハウアー氏は「つまり、ウクライナの軍事力は完全に解体され、兵器は一掃され、ウクライナをロシアが全く抵抗を受けることなく好きなように扱える緩衝地帯へと転換することだ」と分析し、「プーチン氏は非常に明確だ。領土的な問題は副次的なものだ」と述べました。

これはまた、ドンバス地方を中心にウクライナ軍を標的にするということでもあり、ロシアに長期的な軍事作戦を継続できる余裕はなく、「電撃戦になるだろう」との見解をフェルゲンハウアー氏は示しました。

この見方に、米欧州陸軍の司令官を務めていたベン・ホッジス退役中将も同調しています。人口280万人のキエフを占領しようと思えば、ロシアは数カ月の市街戦と利用可能な人的資源の全てを投入する必要があると指摘。米国の経験から、ホテル程度の建物一つを占領するだけでも、一個大隊または700-800人が必要だといいます。

ホッジス氏は18-20日に開かれたミュンヘン安全保障会議に際し、ロシア軍のキエフ占領が「実現可能だとは全く思えない」と述べていました。AFPによると、ウクライナ軍は26日、首都キエフの勝利通り(Victory Avenue)で1部隊がロシア軍の攻撃を受けたが、撃退したと発表しています。

26日、首都キエフの近くでロシア軍の車列が破壊されたとされる

「電撃戦」がロシアの戦略ならば、ロシアの進軍速度が減速していることはこの電撃戦がうまくいっていない証拠だと思われます。

今後の推移をみてみないとまだ確定的なことはいえませんが、少なくともロシアが想定しているとみられる「電撃作戦」は成功しないかもしれないです。そうなると、今後ウクライナへの支援も増強されることが予想されるためロシアにはますます不利になります。

「電撃作戦」が成功せず、ロシアの軍事目的が達せられない場合、ロシアは撤退をはじめるかもしれません。これに対して、ロシア側は何らかの都合の良い説明をするかもしれませんが、ウクライナや西側諸国はロシア敗北と、表明するでしょう。

日本の報道などでは、ロシア勝利が当然のような論調ですが、未だそうではない可能性も十分に残されていると私は思います。ロシア軍の能力、ロシアの経済力からいっても、ウクライナ全土を短期間でも占拠するのは難しいし、ロシアもそれは望んでいないでしょう。

ロシアの電撃作戦が成功しなかった場合、次の段階では、ウクライナが勝利宣言をする可能性も十分に残されていると思います。この場合、ロシアがルガンスク州、ドネツク州で侵攻以外にも、攻勢に出たことが裏目に出るかもしれません。

ロシアがそうした挙に出たために、世界中の人々がロシアはウクライナ全土を攻撃して全土を占拠しようとしたとみなし、ロシアがウクライナの現政権を転覆させることもなく軍を引き上げた場合、ロシアの敗北とみなすでしょう。

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2022年2月25日金曜日

蔡総統「台湾とウクライナの状況は本質的に異なる」―【私の論評】日本が普通の国になれば、世界は今より平和になる(゚д゚)!

蔡総統「台湾とウクライナの状況は本質的に異なる」


蔡英文(さいえいぶん)総統は25日、「ロシアによるウクライナへの主権侵害を厳しく非難する」と述べ、台湾として国際社会のロシアに対する経済制裁に参加する方針を示した。また、「台湾海峡の状況とウクライナの状況は本質的に異なる」と強調した。

蔡総統は南部・台南市の成功大学で開かれた高機能試験水槽の拡張工事起工式に出席し、あいさつした。試験水槽は船艦の開発に用いるもので、蔡政権が推進する艦船の国産計画において大きな役割を果たすことが期待される。

蔡総統は、台湾には台湾海峡の険しさや戦略地政学上の地位があるだけでなく、本土を守る国軍の意志や戦力も向上し続けているとし、地域の安全に対する注視と努力によって、台湾の安全を守る強い自信をつけていると述べた。また、外部勢力と現地の協力者がウクライナ危機に乗じて恐怖をあおる誤情報を操り、台湾社会の人々の士気に影響を与えるのを避けるため、認知作戦への防衛を強化するよう呼び掛けた。

工事では、長さ165メートル、深さ4メートル、幅8メートルの成功大学えい航水槽を長さ285メートル、深さ5.5メートル、幅8メートルに拡張する。完成すれば、大学の模型船試験水槽としては世界で2番目の大きさになる。

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蔡英文相当が語るように、台湾とウクライナでは、地政学的にみても全く異なります。ロシアがウクライナに侵攻したように、中国が台湾に侵攻できるかといえば、それほど容易なことではありません。

まずは、ウクライナとロシアが陸続きであるという点が異なります。中国と台湾は海洋で隔てられています。

このブログでも、中国による台湾侵攻は、簡単にいうと海上輸送力の脆弱さによる不可能であることを何度か掲載しています。そもそも中国が台湾に侵攻するとすれば、台湾を併合するためであり、台湾を破壊することが目的ではありません。併合するのは、実はかなり難しいです。

それについては、このブログで何度か掲載していますが、以下の記事を参考にしています。これは、非常に理解しやすいので是非ご覧になってください。
【兵力想定】中国最大の「台湾上陸作戦」

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、中華民国外交部(日本の外務省に相当)が25日、ロシアを非難すると共に国際社会の対ロシア経済制裁に加わるとするプレスリリースを発表しました。内容は以下のとおりです。
中華民国台湾政府は、ロシアが国連憲章に違反して戦争を発動し、武力を以てウクライナに侵攻、ウクライナの領土を無理やり占拠したことを強く非難する。ロシアの行為は地域及び全世界の平和と安定を破壊するのみならず、ルールに基づいた国際秩序ならびに各国の主権と領土の一体性を維持・保障する国際法の体系に対する最も深刻な脅威と挑戦になるものである。

中華民国台湾は国際社会における民主主義陣営の一員として、民主・自由・法治・人権といった普遍的かつ核心的な価値を固く守っており、ロシアが外交交渉という平和的手段で争いを解決せず、「力に任せて弱者を攻撃する」武力での威嚇手段を選択したことに遺憾の意を表する。ロシアにウクライナへの軍事侵略を止めるよう促すため、また各方の平和的な対話を速やかに再開させるため、中華民国台湾政府は国際社会の対ロシア経済制裁に加わることを宣言する。

中華民国台湾政府はウクライナの主権の独立と領土の一体性に対する尊重を改めて表明すると共にそれを呼びかける。また、武力や脅迫といった方式で一方的に現状を改変することに反対し、各方が国際法の枠組みの下、平和的かつ理性的な対話と交渉を通じて立場の違いを解決することを支持する。我が国はこれからも米国など理念の近い国々と緊密に協調し、適切に対応していくことで、ウクライナが早期に戦禍から抜け出せるよう助け、地域と全世界の平和と安定を回復させる。

日本も、これくらいの声明を出してほしいものです。 

さて、ロシアによるウクライナ侵攻ですが、日本の報道をみていると、もうすでに決着がついて、ウクライナはロシアに負けてしまうだろうというような報道ぶりです。

私は、今でもロシアがウクライナに全面的に侵攻し、全土を一時的にでも制圧することはできないのではないかと見ています。それは、このブログにも掲載したように、ロシアは兵站の大きな部分を鉄道に頼っており、脆弱であることが最大の理由です。

そのため、国境付近ではロシアはかなり高いパフォーマンスを発揮できるものの、地上軍が奥地に進撃するにつれて、食糧・水、弾薬の補給が難しくなりパフォーマンスが落ちることになるからです。そうして、当然のことながらウクライナの奥地ではウクライナ側も防御をかためているでしょうから、地上軍が奥地にまで侵攻すれば、人的被害が増えるということもあります。

ロシア鉄道軍

ウクライナ各地で、ミサイル攻撃などが始まっているようですが、多数の地上軍が進撃しているわけではありません。破壊と占拠とはまた別問題であることを考えていただきたいです。

ウクライナを占拠するためには、多くの軍隊を派遣して、それを長期間にわたって、駐留させる必要があります。それは、現在のロシア軍ではかなり難しいです。

そもそも、現状のロシア軍は最盛期と比較するとかなり弱体化されています。その原因は、はっきりしています。現在ロシアのGDPは韓国を若干下回る程度あり、一人あたりのGDPでは韓国を大幅に下回る状況です。無論、旧ソ連の核兵器と軍事技術を継承するロシアは、侮ることはできませんが、それにしてもできることは限られてきます。

ロシア軍は、海軍では多くの艦艇を退役させ、売れる艦は中国に売却しました。例えば、未完成の空母「ワリャーグ」、ソブレメンヌイ級駆逐艦、キロ級潜水艦などです。

空軍では、爆撃機の解体を行い、中国の第一線で使用されている「Su-27」戦闘機も売却しました。

地上軍では、多くの師団(1万人規模の部隊)が解体されました。ミリタリー•バランスによれば、兵員数も、ソ連邦崩壊以前とその後では、半数以下までに削減されました。

極東ロシア地上軍は崩壊前では、40数個師団あったものが、現在では、半数以下の12個旅団(師団の半分から2/3の規模)と2個師団合計8万人です。

これは、4分の1以下になったということになります。軍の地位も下がり、予算も多く削減され、兵員の士気は下がっています。

この状況を見る限りでは、私はNATOが支援し、ウクライナ軍が徹底抗戦すれば、全面侵攻の可能性はかなり低くなると思います。

ロシア軍がウクライナ全土あるいはキエフに全面侵攻を行えば、ロシア軍の兵士は多数負傷するでしょう。その場合、コロナの陽性が1日に20万人も発生しているなど、多くの問題を抱える国内事情がある中で、手厚い医療手当ができるでしょうか。おそらく満足に手当はできないでしょう。

戦争になれば、大統領は兵士に命を懸けて戦えと言います。スペツナツ等の特殊部隊は、勇敢に戦うでしょうが、戦車や歩兵戦闘車で戦う兵士は、生還したいがために、勇敢に突進する行動はとらないでしょう。

このようなロシアの攻撃の主体は、ウクライナ軍の攻撃に晒されない火砲やロケット砲、短距離ミサイル(イスカンデル)を使った戦法になるでしょう。戦闘の詳細までは入ってきていませんが、地上軍同士の大きな激突の報はまだほとんどなく、現状ではミサイル攻撃などが多用されているようで、これに近い経過を辿っているようです。

プーチン大統領は、中国と北朝鮮を除く全世界を敵に回しました。国民をも敵に回すことになるかもしれません。

旧ソ連時代に、旧ソ連は衛星国と言われる国々に不当な政府を立ち上げさせ、その政府を承認し、軍事進攻し、反対勢力を軍事力で潰してきました。

また、プーチンのロシアが、旧ソ連だったバルト3国や東欧諸国に対して、再び侵攻するのではないかという恐怖が高まり、東欧の人々は、ソ連に併合された辛い暗黒の時代を思い出すことになりました。

暗黒の時代の暴挙を、プーチンはこの21世紀になっても実行しているのです。この蛮行により、ロシアは世界の敵になりました。私は、すでにプーチンの終わりが始まったと思っています。

日本は、現在、北方4島を不法に占拠され、不法にウクライナに侵攻しているロシアの隣にいることを忘れるべきではありません。

また、ロシアの侵攻が中国の台湾に対する侵攻作戦の手本とならないように、あらゆる手をつくすべきです。日本には、この暴挙に反対しない中国が隣国であることも忘れるべきではありません。

非難や制裁をもってしてもロシアの暴挙を止めらませんでした。我が国には、ロシアだけではなく、中国や北朝鮮の脅威もあります。

我が国は、現在の憲法のままで、軍事力で他国を踏み潰す行為を止められるのでしょうか。早急に議論し、準備すべきです。

憲法改正以外にも、できることもあります。先日もこのブログに掲載したように、我が国が、現在休止しているすべての原発を稼働させれば、日本のエネルギー問題はすぐに解消し、余剰の石油やガスをEUに提供することができます。これはロシアに対する制裁にもなります。

日本が普通の国になれば世界は今より平和になる

憲法を改正しなくても、防衛費の増加はできます。憲法や法律によって、防衛費が制限されているわけではありません。ただの慣例に過ぎません。これは、早急に検討すべきです。

防衛費を増やせば、今や一人あたりのGDPが韓国を大幅に下回るロシアの軍事力をも凌駕できる可能性はありますし、そもそも、そのようなことを実行していれば、ロシアは東方の脅威があることから、ウクライナに侵攻することなど考えなかったかもしれません。

日本が普通の国になりさえすれば、アジアでの現状の軍事バランスは一挙に崩れ、日本にとってかなり有利になります。中国も台湾を傘下に収めようなどという馬鹿真似は考えなくなるでしょう。

はっきりいいます。日本がいつまでもグダグダしていれば、世界はこれからも戦争が絶えなくなります。日本が普通の国になりさえすれば、世界は今よりももっと平和になります。そうして、これが、中露、北朝鮮そうして、もしかすると韓国が最も恐れることです。

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2022年2月24日木曜日

G7がロシアへの経済制裁を用意 中国は反対を明言―【私の論評】プーチンにとっても今回のウクライナ侵攻は紙一重で地獄をみることになるかもしれない、大きな賭け(゚д゚)!

G7がロシアへの経済制裁を用意 中国は反対を明言

G7がロシアへの経済制裁を用意 中国は反対を明言

 G7=主要7カ国がロシアがウクライナに侵攻すれば経済制裁を科すと表明したことに対し、中国は「争いをエスカレートさせる」として反対しました。

 日本やアメリカなどG7各国は14日、ロシアがウクライナに侵攻した場合は経済・金融制裁を科す用意があると発表しました。

 これに対し、ロシア寄りの姿勢を続ける中国は15日、外務省の会見で「中国は、制裁を科したり制裁を通じて他国を脅すことに一貫して反対している」と述べました。

 さらに、「一方的な制裁は分裂と争いをエスカレートさせる」と主張し「話し合いを通じた問題解決」を呼び掛けました。

 ただ、ウクライナに侵攻しないようロシアに働き掛けたのかとの質問には、明確な回答を避けています。

【私の論評】プーチンにとっても今回のウクライナ侵攻は紙一重で地獄をみることになるかもしれない、大きな賭け(゚д゚)!

中国のロシアに対するG7による経済制裁への反対は、当然といえば当然でしょう。自らも米国から制裁されているのですから、その痛みもわかっての発言でしょう。

こうした発言は当然といえますが、ロシアへの経済制裁は効かないというような論調もみられます。これは、ロシアによる工作の可能性があります。もし「今の程度の制裁では効かない。もっと強力な制裁を」という意味で言っているなら良いですが、もし制裁は効かないので効かない路線をやめてロシアに譲歩しようという意味なら世論誘導とみるべきです。


G7によるロシアへの制裁は、今でも効果があります。実際ロシアのインフレ率は8%以上です。これは、コロナ禍のためだけではありません。明らかに制裁が効いています。

この現状に加えて、新たな制裁が加えられれば、ロシアにとってはかなりの重荷になるでしょう。

バイデン米政権は、ロシアがウクライナに侵攻した場合に備え、ロシアの主要銀行向けの取引処理を米金融機関に禁止するWIFT廃止(国際送金ができなくなる)を含めて、初期の包括的制裁を準備しています。事情に詳しい関係者3人からの情報を引用し、ロイター通信が伝えています。

ロイターによれば、ロシアの特定の企業や個人を米国人との取引制限や米資産凍結の対象とする財務省特定国籍業者(SDN)リストへの掲載も想定しています。SWIFT廃止とSDNリストの合わせ技です。どこまで指定するかが焦点となるでしょう。

これに加えて、英国及びEUでの ロシア人 ゴールデンパスポート廃止が実施されるでしょう。 これが実施されると、ロシア(主にオルガリヒなど)富裕層の国際送金や海外への入国ができなくなります。ロシアは、プーチン大帝による帝国であり、プーチン大帝を支えるのが軍産複合体オルガリヒであり、ここの資金を凍結する事でプーチンの力の源泉が失われることになります。

G7は特にプーチンとその関係者への絞り込み制裁を実施するでしょう。プーチンは、個人資産22兆円以上ともいわれ、すべて自分の名義で蓄財しているわけではなく、家族や友人、関連企業など支持母体を利用して蓄財していると考えられます。それに関する口座を凍結することなどの制裁で締め付けることになるでしょう。

そうなると、プーチンの支持基盤がガタガタになる可能性が高いです。

パナマ文書の分析により、プーチン・サークルと呼ばれるプーチンによる錬金術の仕組みが明らかになっています。これについては、以下の記事をご覧になってください。
明らかになった「プーチン・サークル」の錬金術 「パナマ文書」で

パナマ文書で明らかになったプーチンの裏金資金ネットワーク クリックすると拡大します

パナマ文書が有名になったのは、2016年のことです。その後も、米国ではプーチンを巡る資金の流れがかなり詳細に分析されています。プーチンを標的にした、制裁は可能であり、プーチンの退陣につながるかもしれません。

このほか、先日このブログで述べましたが、米国がシェールガス・オイルの増産をすれば、ロシアに対して制裁になるしEUのエネルギー危機を救うことになるし、秋の中間選挙にも有利なるということで、一石三鳥になることを述べましたが、似たようなことは日本でもいえます。

日本は、産油国ではありませんから石油を増産することはできませんが、現在停止している原発を稼働させれば、これはロシア制裁にもなります。

原発全面再開して、一時的に太陽光パネル、風力の新規計画凍結すれば、再エネ賦課金(一人年2万円)があがることなく、電気代も半分くらいになります。ガスを欧州に回せるので欧州にもプラスになる。

欧州のエネルギー危機が続く限り、ガスも原油も価格は上がり続けることになります。そこで、日本が原発完全再開すれば、欧州のガス危機が緩和され、ガス石油の国際価格が下落し、日本の電気代も半減することになります。

これも、ロシアに対する制裁になりますし、EUのエネルギー危機を救うことになりますし、原発を稼働しようがしまいが、そこには核燃料が存在し、危険であることには変わりなく、であれば、稼働させたほうが良いということが理解されれば、岸田政権は参院選を有利に戦えることになります。これも、まさに一石三鳥です。

ただ現状では、残念ながら、米国はシェールガス・オイルを増産しようもありませんし、日本も原発を再稼働させそうにもありません。



それでもエネルギー問題はロシアの鬼門となるかもしれません。原油価格やガス価格など、、ロシアなどのエネルギー産出国がそれを戦略的に活用してしまっているという現実があります。

だからロシアも非常に強気な態度なのでしょう。ロシアのウクライナに対する侵攻についてもエネルギー問題があるからG7は制裁がかけにくいところがあります。

ウクライナ侵攻を本格的に実行に移した場合、ロシアに対しG7がドルやポンドなどの基軸通貨などによる取引停止といった金融制裁を科すことになるでしょう。そうすると、ロシア側は天然ガス生産供給を停止する対抗措置をとるでしょうが、世界の景気停滞を招き、逆に資源安を招いてロシアの首を絞めることになるでしょう。

現在ロシアのウクライナ侵攻はまだ初戦の中でも最初の一撃に過ぎません、以前も述べたように、ロシア軍の兵站は鉄道に頼るところが大きいので、鉄道網は容易に破壊されるため、ウクライナ奥地に進撃するにつれて、兵站が追いつかなくなります。そうなると、ウクライナ軍の反撃を押さえられないことになります。

ロシア軍は、国境付近ではパフォーマンスの高い攻撃ができますが、ウクライナ内部に侵攻するにつれて、パフォーマンスが低まり、ウクライナ軍の反撃にさらされ、多数の犠牲者を出すことになります。多数の犠牲者がでれば、ロシアでもウクライナ攻撃に反発が広まることになります。

ドル・ポンドなどの基軸通貨による取引停止をされてしまうと、ロシアの企業は取引がかなり制限されることになります。そこまでして、ウクライナ奥地まで踏み込んでも、プーチンにとっては良いことは一つもありません。奥地に踏み込む前に、いずれかで進撃を止めることになると思います。

おそらく、ドネツ州、ルンガスク州の一部をロシア軍が占拠することになり、それもどれくらい広げられるかということがロシア側の焦点になるでしょう。キエフなどへのミサイル攻撃は、陽動作戦でしょう。

現在以上に戦線を広げれば、基軸通貨による取引停止は確実に実施されることになります。日本では、このようなことはあまり報道されていませんが、ロシアというかプーチンにとっても今回のウクライナ侵攻は紙一重で地獄をみることになるかもしれない、大きな賭けなのです。


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2022年2月23日水曜日

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国家の流儀


赤軍に捕虜にされたポーランド軍将兵 多くがカティンの森事件で殺害された

 ウクライナ危機に際して、「ロシアの立場も理解すべきだ」と語る政治家や識者がいる。

 確かに、ロシアの言い分を正確に理解すべきだ。だが、ロシア側の言い分を正当化すべきではない。それは、旧ソ連、共産党一党独裁時代の人権弾圧、全体主義による「犯罪」を擁護することになるからだ。

 第二次世界大戦後、ポーランド、チェコ、ハンガリーなどの中・東欧諸国はソ連の影響下に組みこまれ、バルト三国は併合された。これらの国々は50年近く共産党と秘密警察による人権弾圧と貧困に苦しめられてきた。

 意外かもしれないが、そうした中・東欧の「悲劇」が広く知られるようになったのは、1991年にソ連邦が解体した後のことだ。日本でも戦後長らく、ソ連を始めとする共産主義体制は「労働者の楽園」であり、ソ連による人権弾圧の実態は隠蔽されてきた。

 ソ連解体後、ソ連の影響下から脱し、自由を取り戻した中・東欧諸国は、ソ連時代の人権弾圧の記録をコツコツと集めるだけでなく、戦争博物館などを建設して、積極的にその記録を公開するようになった。

 そこで、私は2017年から19年にかけて、バルト三国やチェコ、ハンガリー、オーストリア、ポーランドを訪れて、各国の戦争博物館を取材した。それらの博物館には、ソ連と各国の共産党によって、いかに占領・支配されたか、秘密警察によってどれほどの人が拷問され、殺されたのか、詳細に展示している。

リトアニア KGBジェノサイド博物館(江崎道朗氏撮影)

 旧ソ連時代の共産党一党独裁の全体主義がいかに危険であり、「自由と独立」を守るため全体主義の脅威に立ち向かわなければならない。中・東欧諸国は、このことを自国民に懸命に伝えようとしているわけだ。

 それは、ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアの指導者たちが再び、中・東欧諸国を脅かすようになってきているからだ。プーチン氏らは、旧ソ連時代の「犯罪」を「正当化」し、ウクライナを含む旧ソ連邦諸国を、再び自らの影響下に置こうとしている。

 この動きに反発した欧州議会は、例えば19年9月19日、「欧州の未来に向けた欧州の記憶の重要性に関する決議」を採択している。この決議では、いまなお「ロシアの政治的エリートたちが、歴史的事実をゆがめて共産主義者の犯罪を糊塗(こと=一時しのぎにごまかすこと)し、ソ連の全体主義的体制を称賛し続け」ていることを非難し、「ロシアが悲劇的な過去を受け入れるよう求め」ている。

 日本固有の領土である北方領土を「不法占拠」され、シベリア抑留に代表される「人権侵害」を受けてきた日本もまた欧州議会と連携し、ソ連・共産党時代の「犯罪」を正当化するプーチンらと対峙(たいじ)すべきなのだ。

江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や国会議員政策スタッフなどを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに従事。「江崎塾」を主宰。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、19年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書に『日本人が知らない近現代史の虚妄』(SB新書)、『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(扶桑社)など多数。

【私の論評】日本はプーチンの価値観を絶対に受け入れられない(゚д゚)!

プーチンがなぜこれほどまでに、ウクライナに拘泥するのか、ほとんどのメディアはその本質を報道しません。

プーチンにとっては、ウクライナはあくまで自分たちの持ち物なのですです。元KGBである彼の故郷はロシアではなくソ連邦なのです。

専門家が注目したのは、昨年7月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が発表した論文です。プーチンは「ロシアとウクライナは同一民族だ」と主張、1000年の歴史を強調しています。ウクライナの首都キエフは、ロシアにとって父祖の地。日本人にとっては、熱田神宮や愛知県が韓国にあるようなものと言いたいのでしょうか。 なぜこの時期にプーチンがと考えるより、常に考えていたと解釈すべきです。

ソ連崩壊後、ロシアのボリス・エリツィン大統領を、米国のビル・クリントン大統領はあざ笑い続けました。’90年代を通じたバルカン紛争の末に、エリツィンは傘下のセルビアを守り切れませんでした。

他のバルカン諸国は米欧の軍事同盟であるNATO入り、ロシアの束縛から離れ、米国の庇護下に入りました。そしてNATOは東方拡大しました。こうした旧ソ連からみれば屈辱的な状態を背景に、ロシアの独裁者となったのがプーチンなのです。

プーチンは’08年北京五輪の時も、西側陣営に馳せ参じたグルジアに侵攻。領土を掠め取りました。これに米国抜きのヨーロッパは、なすすべがありませんでした。隙あらばと、プーチンは’14年には、ウクライナからクリミア半島を奪いとりました。

我々にとっては「侵攻」であっても、プーチンにすれば「失地回復」以外の何物でもないのです。

ウクライナを狙うのは、彼が旧ソ連を取り戻そうとする行為の一環なのです。プーチンは故郷であるソ連邦の歴史を不意にしたくないし、ソ連の崩壊が米ソ冷戦の敗北だったとは決して認めたくないのです。

例えばプーチンは、ガスプロムという天然ガスの企業を用いて、ロシア人から搾取を続けています。かつてイギリスが東インド会社でやっていたような植民地化を自国で行っているのです。この事実だけから見ても、彼がロシアの愛国者ではなく、ソ連への忠誠心が高いことがわかります。

現代ロシアを理解するうえで重要なことは、ロシアとソ連は別物ということです。ロシアを乗っ取ってできた国がソ連ですから、両者を同一視するべきではありません。現在ではほとんど評価されず、単なる酔っぱらいとみられているエリツィンは間違いなくロシアの愛国者ではあったのですが、そのエリツィンから大統領の地位を禅譲されたプーチンがやっていることは、ソ連邦の復活であり、ロシアに対する独裁です。

2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家がなくなりました。彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物です。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解しつつ政策を実行しようとしました。

アレクサンダー・レベジ

彼は、このブログにも述べたとおり、ロシア史のなかでも、一番のまともな人物と言って良い存在です。しかし、彼の末路はヘリコプター事故死でした。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が謎の事故死を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、プーチンは親日家だからなどと平気で言っているような輩は救いようのない大馬鹿者か、ロシア工作員です。

ロシアを支配しているのは、徹底した「力の論理」です。自分より強い相手とはケンカをせず、また、自分より弱い相手の話は聞かないのです。今回のウクライナ問題でもはっきりしたように、日本が北方領土などで話を進める気のない相手に交渉を持ち込んだところで、条件を吊り上げられるだけです。

そもそも、かつて丸山穂高氏が語ったように、戦争で取られたものは戦争で取り返すしかない、というのが国際社会の常識です。力の裏づけもないまま、話し合いで返してもらおうなどと考えている時点で、日本はあまりに甘すぎるのです。

そうして、西側諸国も一枚岩ではありません。米英仏独といった西側の大国は、必ずしもNATOの拡大を望んでいません。ソ連や帝政ロシアに苦しめられた東欧諸国はNATOに入りたいでしょうが、ロシアとの対峙は欧米にとっては迷惑な話でもあるのです。

だから、本当はロシアの隣国のウクライナは、NATOにいれるのではなく緩衝地帯として使いたいのです。  

現在世界唯一の超大国である米国は、中国の台頭を脅威に感じています。ヨーロッパの問題など、本当は英仏独に任せておきたいのです。中国との対峙に専念したいのです。

そのため、中東にも不用意な手出しはしないし、アフガニスタンからも引きあげました。そうしたこの米国の心理を、プーチンは突いたのです。

10万を超えるロシアの地上軍が、ウクライナに集結している。これでは、ウクライナ全土を占拠するには到底足りないですが、それでも経済的に小国になってしまったロシアにとっては、かつてない大規模な動員です。

戦になるか否か、本気度は地上軍を動員するか否かが最大の指標です。今回のプーチンは、明らかな本気を見せています。ただ、できるのは、このブログでも以前述べたように、ウクライナのいくつかの州、もしくは州の一部止まりです。それ以上は兵站が持ちません。それでも、ロシアにとっては、できる限りの兵力の結集です。

これに対し、バイデン米大統領は1月24日(現地時間)、フランス・ドイツなど欧州の同盟の首脳らと80分間ほどオンライン形式で会談し、ロシアのウクライナ攻撃阻止および攻撃時の対応策について議論しました。

こうした外交努力とは別に、米海軍のニミッツ級原子力空母「ハリー・トルーマン」などがこの日、NATO(北大西洋条約機構)の指揮の下、地中海一帯でロシアのウクライナ侵攻に対応した大規模な海上訓練に入りました。

米空母「ハリー・トルーマン」

ホワイトハウスとNATOは米空母打撃群が冷戦後初めてNATOの指揮・統制下で訓練を始めたと明らかにしました。米国防総省は米軍8500人に対し、有事の際、欧州のNATO即応部隊(NRF)に直ちに合流できるよう非常待機命令を出しました。

ロシアを地中海に絶対に出さない、との姿勢です。1万人に満たない数の小出しながら、陸軍の動員も決めました。遅まきながら、バイデンも舐められまいと身構えたのです。

米欧は、ウクライナを本気で守る以外のあらゆる方法で支援するでしょう。金を出し、兵站を整え、兵器を渡し、戦い方を教える、国境の外に軍隊を集結させる、等々です。

中国は、グルジア侵攻の時と同じくオリンピック最中だったこともあり、その後も安全地帯で、一の子分のプーチンが米欧を翻弄するのを睥睨しているだけで良いです。

ましてや、米欧がロシアに拘泥しているので、笑いが止まらないでしょう。中国の狙いは台湾。米欧が束になってロシアの侵攻を止められないとなると、台湾への野心をむき出しにするでしょう。

中国は、現状では台湾に侵攻するだけの海上輸送力がなく、まともに台湾に侵攻はできませんが、ロシアがこれからもウクライナの奥地に侵攻すれば、それを参考にするかもしれません。

ウイグルや香港など、中国共産党からみれば彼らの私有物なのです。助ける方法などありません。むしろ今の中国は他人の持ち物を奪おうとしているのです。

欧米と中露の根本的な違いは何でしょうか。「人を殺してはならない」との価値観が通じる国と通じない国です。日本は明らかに「人を殺してはならない」との価値観の国々と生きるしかありません。そうして、同盟の最低条件は「自分の身を自分で守る力があること」です。

国際社会では軍事力がなければ何も言えないのです。ようやく「防衛費GDP2%」が話題になりましたが、それで間に合うのでしょうか。 いきなり核武装しろとまでは言いませんが、国際社会での発言力は軍事力に比例します。金を出さなければ何もできないです。

このブログでのべてきたように、ロシアの現状のGDPは、韓国より若干下回る規模です。一人あたりのGDPでは、韓国を大幅に下回ります。

にもかかわらず、ロシアが世界で存在感を保てるのは、まずはロシアは旧ソ連の核や軍事技術を継承する国であること。さらに、軍事力では未だに世界第二位の地位にあることです。

コロナ収束はもちろん、景気回復もさっさと成し遂げ、軍事費を増やさないと何もできないです。それとも、このブログにも掲載したように、日本は冷戦の最中に、ソ連の潜水艦をオホーツク海に封じ込めるなどの貢献をしたにもかかわらず、今までのようにすべての周辺諸国の靴の裏を舐め、「殴らないでください」とわびながら生きるとでもいうのでしょうか。

現在の中露やイランの暗躍は、すでに新たな冷戦といって良いレベルに達しています。この新冷戦においても、日本は勝利に貢献する可能性も大きいです。それでも、まだ周辺諸国の靴の裏を舐めながら生きるというのでしょうか。これは、自分自身の生き方の問題です。

先に述べたように現在のロシアは経済的には取るに足らない小国に成り果てています。なぜ、そうなったかといえば、冷戦に負けたからです。

中国も冷戦に負けたのですが、当時の中国は経済的にも、軍事的にも取るに足りない国でした。しかも冷戦中に米国がソ連に対峙ということで、仲間に引き入れ、そこから日本や米国、EUなどの支援により、経済を伸ばし、今日のような姿になっています。ただ、今でも一人あたりのGDPはロシア並で、人口はロシアが1億4千万人に対して、中国は14億人であり、10倍です。

だからこそ、国全体ではGDPは今やロシアの10倍です。世界第二位です。だから、冷戦敗戦国という意識はあまりないようです。

世界は、そうして日本は、一人あたりのGDPでは遥かに劣る冷戦敗戦国「必要なら人を殺しても構わない」という価値観の中露にこれからも、振り回され続けるわけにはいきません。

米国としては、昨日も述べたように、シェール・ガス・オイルを増産して、産油国・ガス供給国としてのロシア経済の息の根を止めることが最優先課題だと思います。これは、バイデン政権には期待できないようですが、今年の中間選挙後には、共和党が多数派になり、実現できるかもしれません。

日本とEUは今まで以上に米国に協力して、軍事的にも経済的にも両国を追い詰めるべきです。私達は、「必要なら人殺しをしても良い」という価値観は絶対に受け入れられないし、そのような社会に住みたくないし、自分たちの子孫もそのような社会で生活させたくないはずです。

私自身は、このブログで何度か述べているように、日本が新冷戦に勝利すれば、北方領土は戻ってくる可能性は高くなるとは思いますが、それにしても、現状のように軍事費をおさえて、憲法や法律でがんじがらめにしているようでは、戻ってこない可能性もあると思います。

いくら経済安全保障で徹底的にロシアを追い詰めたとしても、最後には軍事力が物を言います。日本も軍事力と経済力の両方のパフォーマンスを発揮すれば、現在の韓国なみのGDPのロシアを凌駕できます。そうなれば、インド太平洋地域における軍事バランスは崩れ、日本が圧倒的に有利になります。

実は、冷戦で日本が勝利したときは、ロシアに対して北方領土を返還させる絶好の機会でした。しかし、当時の日本はいまよりも軍事費は小さく、しかも、憲法や法律のくびきも現在よりも強く、その機会を徒にふいにしてしまいました。新冷戦勝利のあかつきには、過去の愚を繰り返すべきではありません。

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2022年2月22日火曜日

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プーチン氏、ウクライナ東部への派兵指示 侵攻の危機に直面

演説するプーチン露大統領=モスクワで2月21日

 ロシアのプーチン大統領は21日、露国防省に対し、ウクライナ東部ドネツク、ルガンスク両州の親露派支配地域に軍の部隊を派遣して「平和を維持」するよう指示した。インタファクス通信が伝えた。主権国家であるウクライナ領への事実上の侵攻をする可能性が高まり、米欧はロシアへの制裁などを発表した。緊迫するウクライナ情勢はついに侵攻の危機に直面した。

 プーチン氏が派兵を指示したのは、親露派が一方的に独立を主張する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の両地域。ロイター通信は22日、戦車を含む武装車両がドネツク州の州都ドネツク近郊で目撃されたと報じた。どの国の戦車か所属を表す記章はなかったという。

  派兵指示に先立ち、プーチン氏は両「共和国」の独立を承認する大統領令に加え、ロシアと両地域の友好協力相互援助条約に署名した。プーチン氏はテレビ演説で、ウクライナ東部で住民が攻撃されて「深刻で切迫した状況にある」と指摘。米国と北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ領を潜在的な攻撃拠点にしようとしていると主張した。そのうえで、2015年に結ばれた東部紛争の停戦合意について、ウクライナ側が履行を拒んできたとも批判した。 

 露大統領府によると、プーチン氏は21日、マクロン仏大統領とショルツ独首相と電話協議した。その際に両地域の独立承認を伝達し、独仏首脳からは失望の念が表明されたという。

  一方、バイデン米大統領は21日、限定的な経済制裁を発動する大統領令に署名した。米政府高官によると、制裁は独立が承認された親露派支配地域での米国民による新たな投資、貿易、金融取引を禁止する。この地域で活動するいかなる人物に対しても制裁を科すことができるという。また、独立承認を「明白な国際公約違反」として、ロシアにも22日に「追加の措置」を発表する。 

 一方で、ロシアがウクライナに侵攻した場合に同盟国などと準備している「迅速で厳しい経済制裁」については発動しておらず、事態をさらに見極める構えだ。米政府高官はさらに外交努力を続ける意向も示しており、軍部隊が進入した場合について「ロシアがどのような行動をとるか今後の数時間、数日間を注意深く見極め、応じた措置をとる」と説明した。

  ただ、この地域には14年以降、ロシア軍が事実上駐留していたとも指摘。ロシア軍の進入自体がすぐに「(侵攻の)新たな一歩」にはあたらないとの認識も示した。

  欧州連合(EU)のミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)とフォンデアライエン欧州委員長も21日、対露制裁で対応する意向を示した。 

 ドネツク、ルガンスク両州では14年4月、親露派武装勢力と治安部隊の間で戦闘が発生。武装勢力は14年5月、「住民投票」の結果を根拠にして独立を宣言し、実効支配を進めた。後ろ盾となったロシアは独立承認を控えてきたが、ウクライナとの対立が激化し、方針転換に踏み切った格好だ。

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現在までの経緯をふりかえると、長期的にはロシアは、ウクライナのNATO加盟を阻止することを目標としている一方、ウクライナはNATO加盟したいのです。そこで、ロシアが軍事的な圧力をかけていいるわけです。 

短期的には、ウクライナは表向きNATO加盟の意向を示しています。ウクライナのゼレンスキー大統領は2月14日、キエフでドイツのショルツ首相と会談し、ゼレンスキー氏はウクライナのNATO加盟について、「私たちは選んだ道に沿って動くべきだと信じる」としました。 

ウクライナの意思が強くNATOもそれを支援するのであれば、ロシアとしては、引き続き武力で威嚇し続けるか、ウクライナを分断し一部をロシアに引き込むしか手がなくなります。

それが、今回のプーチンによる「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」独立承認です。


これは2015年の「ミンスク合意」に基づくものです。これは、ロシア、ウクライナ、ウクライナ東部2州が交わしたもので、ウクライナ東部紛争に関する停戦合意です。これは、戦闘の停止に加え、ウクライナ東部の親露派支配地域に「特別な地位」(自治権)を与えるなど、ロシア側に有利な内容です。19年に就任したウクライナのゼレンスキー大統領は、自国に不利な戦局の中で結ばれた合意の修正を求めたが、ロシアは拒否し、今に至っています。

このミンスク合意については、その内容の理解について温度差があるものの、独仏露ウクライナの間で、協議が継続されています。仏独は、露ウクライナでミンスク合意を守るとしています。

ということは、ミンスク合意を守るという方向で、どこかに外交的な解決の道がありえます。なかなか厳しく狭い道ではありますが、露ウクライナの間でミンスク合意がまとまれば、一時停戦、その後ウクライナ東部2州は自治権を認められ、いずれロシアへ併合となるかもしれないです。

ウクライナにはやや不満だがロシアはまずまずです。

このあたりが落とし所になるのかどうか、現段階では不透明です。ただし、現在ウクライナ東部での新ロシア勢力とウクライナの間で武力的な小競り合いが行われています。これがエスカレートするのか、一時的な停戦ムードにあるのかがカギを握るでしょう。後者であれば、「ミンスク合意」がスタート台になるでしょう。

もしこうした落とし所がなく、ロシアによるウクライナ侵攻が止められなかったすれば、西側諸国はロシアに対し、ドル、ユーロ、円決済停止の強力な金融制裁を課すでしょう。さすがに、これはロシアにとって大打撃でしょう。エネルギー・農産物価格は急騰するのではないでしょうか。  

そこで、各国のエネルギー政策が、その後の展開には重要になってくるでしょう。

そうして、現在米国が打つ手としていちばん良いのは、シェールガスの増産です。シェールガスを増産すると、めぐりめぐってヨーロッパのエネルギー需要が解消されます。

現在バイデン氏は米国中間選挙への対策で大変ですが、シェールガスを増産すれば、ガソリン価格も下がって行くでしょう。無論米国内のガソリン価格も下がります。  そうして、中間戦況では有利になるでしょう。

これは、石油・ガスの輸出国であるロシアの経済にも打撃になりますから、こちらの方が効きます。一石三鳥くらいの効果があります。バイデン氏は「環境重視」と語っているので、シェールガスには手を出しにくいでしょうが、国際情勢の変化への対応ということで政策を変えるべきです。 

現状では対ロシア対応として、シェールガスを増産するのがいちばんやりやすいでしょう。国内的にも良いですし、ヨーロッパのエネルギー危機も救えます。昨年はヨーロッパでは風が吹かないために風力発電量が減り、英国では電気料金が1年で7倍に急騰しました。英国の風力発電所の稼動中断の影響は、英国と電力網が連結する欧州各国に広まり、原発を廃止したドイツなどでも電気料金が上昇しました。

 さらに、トンガの火山噴火があったので、スクリーン効果で日照時間が減り太陽光発電も量が減るかも知れないです。しかし、エネルギーは多いですから、米国かシェールガスを増産するのが世界にとって良いことです。


現在韓国より多少下回る程度のGDPである、ロシア経済もこれによってかなり低迷するでしょうし、こちらの方が経済制裁として効くと思います。 ドル、ユーロ、円決済停止の強力な金融制裁などは、ロシアが本格的にウクライナに侵攻し、ウクライナの独立を脅かす懸念が生じたときなどに実行すべきと思います。

それに、シエール・ガス・オイルの増産自体は制裁ではないので、ロシアもこれに対して意義を唱えることはできません。それにウクライナ情勢がどうなろうと、バイデン政権としては増産によって確実にプーチンを追い詰めることができます。

プーチンとしては、米国が増産に踏み切っただけで、ロシア経済が瓦解するほどの被害を受けるわけですから、最早「大国幻想」に浸っていることもできなくなるでしょう。それに、シェール・ガス・オイル増産に踏み切れば、それが外交カードになります。トランプあたりだと、すぐにやってしまいそうです。

さらに、米国内でもガソリン価格低下は、好感をもたれるでしょう。問題は、そこにバイデン大統領が舵を切れるかどうかです。

 今年秋には、米国では中間選挙もありますから、選挙戦で有利になるように、シェールガス増産に踏み切るべきです。もちろん、環境を重視する左派の反発もあるでしょうが、そこは世界平和のため、ロシア制裁のため、というような大義名分で シェールガスを増産して米国のガソリン価格が下がったら、バイデン政権の支持率はかなりあがるでしょう。


米国は車社会ですから、多くの国民がガソリン価格にはかなりシビアですし、これが上がれば目立ちますし文句もつけやすいです。

今のままだとバイデン政権は中間選挙も、上下両院ともに負けてレームダックになるかもしれませんが、シェールガス・オイルの増産を決めれば、天国です。どちらが良いのかという話になると思います。

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2022年2月21日月曜日

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台湾で半導体材料の拠点増強 日本や米独大手が続々 TSMCが誘因

TSMC社屋

日本や米国、ドイツなどの大手企業が、台湾で半導体材料の増産や拠点の拡大を続々と進めている。台湾の政府系研究機関、工業技術研究院(ITRI)産業テクノロジー国際戦略発展所の研究ディレクターを務める楊瑞臨氏は、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が最新の技術を採用し続けていることが、同社との連携を図る海外企業を引き付ける要因になっていると分析している。

化学素材メーカー、ADEKA(東京都荒川区)は今月、先端半導体向け材料の生産のため、台湾に新工場を建設すると発表。24年には生産を始める見通しだという。電子材料の住友ベークライト(同品川区)は南部・高雄市の現工場敷地内に新規生産ラインを設置し、23年にも台湾での半導体封止材の生産能力を倍増する。

日本企業の他にも、独メルクや米インテグリスが昨年12月、台湾での拠点増強のための投資を発表した。

楊氏は20日、中央社の取材に、これらの海外企業は台湾での生産能力を増強することで、自身の競争力を高めようとしていると指摘。台湾で増産したり、拠点を開設したりする材料や化学メーカーはさらに増えるとの見方を示した。

ウクライナ情勢の緊迫も関係している。ロシアとウクライナは半導体製造に必要な一部資材の供給地であることから、日本やドイツの企業はリスク分散のため、台湾や韓国への拠点設置を加速させていると楊氏は説明した。

【私の論評】ロシアのウクライナ侵攻で、日本でも半導体不足がさらに深刻になる恐れも(゚д゚)!

緊迫化するウクライナ情勢次第で、半導体不足がさらに深刻化するかもしれないです。


米国ホワイトハウスが半導体業界に対し、サプライチェーンを多様化するように要請したと、ロイター通信などが報じています。

米国の調査会社によると、米国は半導体の原材料のネオンやパラジウムはウクライナ産とロシア産に頼っており、有事が起きれば、供給が止まることも考えられます。2020年秋以降、コロナ禍により半導体不足が世界的に深刻化していますが、ウクライナ危機がさらに拍車をかけるのでしようか。

ウクライナはかつてソビエト連邦の一部で、1991年のソ連崩壊で独立を果たした。2014年には、ウクライナ政府と反政府デモの衝突をきっかけに、ロシアが強硬姿勢になり、クリミア半島を併合することとなりました。

NATO加盟を進めようとするウクライナに対し、ロシアは反発を強めています。2021年秋以降、ロシア軍はウクライナとの国境に10万人規模の兵力を駐在させているとされ、緊張が高まっていました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、16日にもロシアが侵攻すると発信していました。米国内でもロシアの侵攻が近いとの報道があり、予断を許さない状況となっています。

米バイデン政権は、ロシアがウクライナに侵攻した場合には厳しい輸出規制を行うことを示唆しており、対決姿勢を強めています。 半導体や人工知能(AI)などを主な標的とし、現代兵器に不可欠なハイテク製品の調達網を遮断する構えです。

G7声明について記者団に対応する鈴木俊一財務相=2022年2月14日午後6時17分、財務省


先進7カ国(G7)はロシアに対する輸出規制と金融制裁を一斉に発動する方向で調整中。シン氏は、輸出規制の対象に量子コンピューターやロボット、極超音速技術も含まれるとの見方を示した。金融制裁では「ロシア最大の金融機関や国有企業」を対象にすると明言した。ロシア側も報復として、欧州向けの天然ガスや半導体の資材の供給をストップする恐れがあります。

半導体の需要は今後も増え続けるとみられ、米インテルや台湾TSMCなどのメーカーも、工場建設を計画するなど、供給能力を増やすことが喫緊の課題です。現状では日本の企業に直接関係してはこないですが、今後米国内でネオンが不足すれば、日本への輸出などが少なくなる可能性があります。

すでに、ウクライナ危機が天然ガスや原油価格の上昇を招いていますが、ロシアが軟化し対話路線となれば、逆にこれらが急落することも考えられます。


半導体については、ウクライナ危機が去ったとしても、容易に解決することは困難でしょう。だかこそ、日本や米国、ドイツなどの大手企業が、台湾で半導体材料の増産や拠点の拡大を続々と進めているのです。

ウクライナ問題をロシアとウクライナと米国・EUの争いであり、日本と関係ないと考えている人もいるかもしれませんが、意外なところで影響がでる可能性もあるのです。

プーチン大統領はまさに力を背景にしてウクライナ問題、ひいては欧州の安全保障秩序の再編にチャレンジしています。このプロセスを中国も当然見ています。中国は様々な国内事情を抱え、そう簡単にロシアと同じ事ができるとは思えないですが、注視していく必要はあると思います。

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2022年2月20日日曜日

中国艦が豪哨戒機にレーザー照射、「脅迫行為」とモリソン首相―【私の論評】背後には中国海軍の脅威を無効にしかねない、P-8A哨戒機への中国のいら立ちが(゚д゚)!

中国艦が豪哨戒機にレーザー照射、「脅迫行為」とモリソン首相


オーストラリアのモリソン首相は20日、中国軍の艦船が豪軍の哨戒機にレーザー照射したことを「脅迫行為」だと非難し、中国政府に説明を求めた。

首相は会見で「脅迫行為に他ならない。(レーザー照射は)挑発がなかったにもかかわらず行われたもので、正当化できない。このような脅迫行為は断じて受け入れられない」と述べた。

オーストラリア国防省は19日、同国北方の排他的経済水域(EEZ)上空を17日に飛行していた哨戒機が中国軍の艦船からレーザー照射を受け、操縦士が生命の危険にさらされたと発表した。同国防省によると、中国艦はもう1隻とともにアラフラ海を東に向けて航行していた。同海域はオーストラリアとパプアニューギニアの間に位置する。

同国防省は「未熟で危険な軍事行為」だとした。

【私の論評】背後には中国海軍の脅威を無効にしかねない、P-8A哨戒機への中国のいら立ちが(゚д゚)!

上の記事によると、レーザー照射した中国の艦艇は、アラフラ海を東に向けて航行していたといいます。以下にアラフラ海の地図を掲載します。


アラフラ海はかなりオーストラリアに近いです。上の地図で「チモール海共同石油開発地域」とは、2011年に国際石油開発帝石が、インドネシア共和国アラフラ海マセラ鉱区のアバディガス田の開発でロイヤル・ダッチ・シェルを戦略的パートナーに選定し、保有権益90%のうち、30%をシェルの関連会社に譲渡することで合意し、両者で開発をすすめている地域です。

今回中国の艦船から、レーザー照射を受けたオーストラリアの哨戒機は、おそらくは米国製のP-8哨戒機だと思います。

このP-8は多くの国々で採用されています。日本は、自前のP-1を運用していますが、ご存知のようにこれは過去に韓国艦艇からレーザー照射を受けています。

米軍のP-8A哨戒機

このP-8は過去にも中国の艦艇からレーザー照射を受けています。

2020年2月28日付米ブライトバートオンラインニュースに「中国軍艦、米軍機に対して“危険かつ不当な”レーザー照射を浴びせる挑発行為」という記事が掲載されました。その記事の内容を翻訳して以下に掲載します。

米海軍は2月27日、西太平洋のグアム基地沖を飛行中の米軍機が2月17日、近くを航行する中国軍艦から“危険かつ不当な”レーザー照射を受けたことを明らかにした。

米太平洋軍の報道官が同日、『ネイビー・タイムズ』紙(1951年発刊)のインタビューに答えたもので、グアム基地の380マイル(約600キロメートル)西沖を飛行中のP-8Aポセイドン哨戒機に向けて、中国軍駆逐艦から浴びせられたもので、海上衝突回避規範(CUES、注後記)に違反する不当な行為だと非難した。

同報道官によれば、有事の場合を除き、飛行中の飛行機にレーザー照射を行うことは、乗員の健康・安全を脅かすだけでなく、計器等にも被害をもたらし、衝突や墜落等の重大事故を引き起こす可能性があるという。

シンガポールのS.ラジャラトナム防衛研究所コリン・科(コー)研究員は香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』のインタビューに答えて、“至近距離のレーザー照射は無用な衝突等を引き起こしかねず、非常に危険”だと語った。

同研究員は更に、“P-8A機が中国軍艦に近すぎたとされたのかも知れないが、それでも同艦に衝突する恐れなどないはずで、レーザー照射は無用で危険な挑発行為だ”とも言及した。

これと反対に、香港軍事評論家の孫中平(ソン・チョンピン)氏は同紙に対して、中国軍艦が余りにグアム基地に近すぎ過ぎたことを“不満に”思って、米海軍がレーザー照射の問題を殊更強調したものだと批評した。

同氏によれば、“近すぎ過ぎた相手に警告を発するのは通常の行為”だという。

ただ、肉眼で見えない危険なレーザー照射で“警告”することは、別の話だとも言及した。

なお、米海軍によれば、同機はフロリダ州のジャクソンビル基地から沖縄嘉手納基地に派遣されていて、同海域を監視飛行していたものだが、事態発生後嘉手納基地に戻り、“損害状況について調査中”だという。

同日付中国『環球時報』では、「軍事専門家;中国軍艦がレーザー照射を行ったとの米軍の非難は“中国の脅威”を誇大宣伝するものと批評」という記事を掲載しています。これも日本語に翻訳したものを以下に掲載します。

中国人民解放軍海軍研究所の軍事専門家である張軍事(チャン・チュンシェ)上級研究員は2月28日、米海軍が前日、グアム島沖を飛行中の米軍のP-8A哨戒機に中国軍駆逐艦“呼和浩特(フフホト)”からレーザー照射を浴びせられたと非難した事態について、米軍機が同艦に異常接近してきたことから防衛手段として行ったものだと明言した。

同研究員は『環球時報』のインタビューに答えて、米海軍は、レーザー照射が乗員を危険にさらすもので、CUESに違反するものだとしているが、米軍機が同艦に猛スピードで接近してきて、同艦の航行及び通常訓練を妨害しようとしてきたための止むを得ない対抗措置だったと説明している。

更に同研究員は、目下米議会で予算折衝が行われている最中、米国防総省がより多くの国防予算を得るため、そのタイミングに合わせてこのレーザー照射事件を殊更強調して、“中国の脅威”について誇大宣伝しているものだとも付言した。

(注)CUES:他国の海軍同士が西太平洋地域の洋上で不慮の遭遇をした場合に取るべき艦艇及び航空機の行動を定めた規範。2014年に合意され、日米中ロ豪加等太平洋圏の21ヵ国が署名。

2020年には米国のP-8にレーザーを照射し、今度は北京で五輪開催中にオーストラリアのp-8に照射するということで、中国としてはかなりP-8に神経をとがらせているようです。

それは、なぜなのでしょうか。それはこの海域で中国海軍がオーストラリアに気付かれてはならないことに気付かれたか、あるいは気付かれたと思ったのかもしれません。

そういう特殊事情があるかもしれませんが、先の米国のP-8といい、今回のオーストラリアのP-8といい、共通するのは、中国の哨戒機よりも、はるかに哨戒能力が高いということです。

そうなると、オーストラリア海軍は中国の潜水艦をより発見しやすくなり、相対的に中国海軍の海戦能力が劣ってしまうことになります。オーストラリアは現状では、潜水艦は旧式のものを数隻保有しているだけで、中国のほうが圧倒的に多数の潜水艦と艦艇を保有しています。

しかし、オーストラリアは中国潜水艦を探知する能力が高ければ、中国の潜水艦のオーストラリアへの脅威をより低減することができます。もし、中国がP-8並の性能の哨戒機を製造できれば、互角ということになりますが、そうではないので、相対的に中国海軍のほうが、海戦能力が劣ることになってしまいます。

このP-8は米国とオーストラリアだけではなく、他国でも配備したり、配備を計画しています。

以下に配備国、配備を計画している国のリストを掲載しておきます。なお、配備を計画とは、配備するかしないかを検討しているという意味ではなく、配備すること自体を決めている国ということであり、いずれ配備するということです。

〈配備中の国〉

米国、インド、オーストラリア、イギリス

〈配備予定の国〉

ノルウェー、ニュージランド、韓国、ドイツ

今後さらに、配備を予定する国も増えてくるでしょう。

なぜ、このようなことを各国がするかといえば、無論中国海軍に対抗するためです。現代の海戦の主役は潜水艦であり、水上に浮かぶ艦艇はミサイルや魚雷の標的になり、すぐに沈められてしまうからです。

そのため、対潜水艦戦闘力(ASW)こそが、本当の戦力です。中国よりもASWが優れていればいるほど、中国海軍の脅威を低減できます。

オーストラリア軍のP-8A哨戒機

オーストラリアは原潜の配備も検討しています。すでにP-8を導入したオーストラリアが、潜水艦も配備すれば、日米英のように中国海軍はさほど脅威ではなくなります。

このようなことによる中国の苛立ちも、今回のレーザー照射の背景にあると考えられます。

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2022年2月19日土曜日

米空母と沖縄で3回目訓練 海自―【私の論評】米国は最早プーチンの「ロシア大国幻想」に付き合うつもりはない(゚д゚)!

米空母と沖縄で3回目訓練 海自

沖縄東方で訓練する原子力空母エーブラハム・リンカーン(右から2隻目)など日米の艦艇

 海上自衛隊は18日、米海軍の原子力空母エーブラハム・リンカーンや巡洋艦、駆逐艦の計3隻と沖縄東方で16、17日、共同訓練を実施したと発表した。海自は護衛艦いなづまと練習艦はたかぜが参加した。戦術技量や相互運用性の向上が目的としている。

 リンカーンは沖縄周辺への展開を続けており、海自が共同訓練を公表したのは1月中旬以降、今回で3回目となる。日米は台湾有事への懸念を念頭に、短期間に共同訓練を重ねることで、中国に対するけん制姿勢を強く示す狙いだ。

 防衛省によると、東シナ海や太平洋にかけての海域では今週、中国のミサイル駆逐艦や情報収集機が沖縄本島と宮古島の間を往復するのを確認している。日米と中国側のにらみ合いが激しくなっているとみられる。

【私の論評】米国は最早プーチンの「ロシア大国幻想」に付き合うつもりはない(゚д゚)!

このブログでも何度か掲載してきたように、現在のロシアにはウクライナに侵攻して、全土を制圧するだけの力はありません。にもかかわらず、バイデン政権がロシアのウクライナ侵攻の可能性を非難する背後には、ロシアがウクライナに侵攻すれば、米国は経済制裁の大義を得て、ロシアを孤立させ経済的に弱らせることができるということがあるのでしょう。

「ノルドストリーム2」を葬り去り、自国産のシェールオイル・ガス、小型原発などのエネルギーをドイツへと輸出する道も開けるかもしれないです。

それにロシアの関心を西方に縛り付け、インド太平洋地域で中露両国と向き合うというリスクを避けながら、問題を長期化させロシアの力をじわじわと削ぐこともできます。

そうした考えは、先日もこのブログで紹介したばかりの、バイデン政権による初の「インド太平洋戦略」にも透けて見えます。

バイデン政権は最近バイデン政権としては初の「インド太平洋戦略」を公表した

先日もこのブログで指摘したように、この戦略には、ロシアという言葉が一つもありません。その部分を以下に再掲します。
インド太平洋戦略について述べているわけですから、出てこないのは当たり前といえば、当たり前なのかもしれませんが、それにしても、インド・太平洋地域というと、ロシアもオホーツク海を介して太平洋と繋がっているのですから、何らかの影響力があれば、言及されるはずです。

米国としては、ロシアのインド・太平洋地域における影響はなしとみているといえると思います。実際そうなのでしょう。ロシアの太平洋艦隊も、ロシアの原潜等も、米国には脅威とみなしていない、少なくとも米国のコントロール下にあると見ているのだと思います。無論、それには日本の強力な対潜水艦戦闘力(ASW)等が関係していると思います。

そうして、この地域における最大の脅威はとりもなおさず、中国であるということです。そうして、これこそが米国にとって大きな脅威であると認識しているのです。しかも、軍事力だけではなく、経済力や技術力などによるこの地域への浸透と不安定化を懸念しているでしょう。
さて、その中露は2月4日に、北京五輪開会式直前に首脳会談を行っています。この首脳会談の終了後、日付が変わった5日未明に、新華社通信が「中華人民共和国とロシア連邦の新時代の国際関係と全世界の持続可能な発展に関する共同声明」を発表しました。全文はA4用紙6枚以上にわたり、両国の共通認識や合意事項がびっしり記されていました。

この声明は、ロシア側でも公表され、サイトに掲載されています。これは英語でも掲載されており、その一部を以下に日本語訳をして掲載しました。

この声明については、各種報道がなされていますので、この声明の全文の内容を知りたい方は他のメディアにあたっていただきたいと思います。

私は、この声明のうち特に「IV」に注目しました。以下にその内容の日本語訳を掲載します。長い文章なので、時間のない方は赤字の部分にだけ読んでいただいても結構です。

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新時代を迎えた国際関係と世界の持続可能な開発に関するロシア連邦と中華人民共和国の共同声明

2022年2月4日

中華人民共和国の習近平国家主席の招待により、ロシア連邦のウラジーミル・V・プーチン大統領は2022年2月4日に中国を訪問しました。両首脳は北京で会談を行い、第24回冬季オリンピック大会の開会式に参加した。

IV

双方は、ロシアと中国が世界の大国として、また国連安全保障理事会の常任理事国として、道徳的原則を堅持し、その責任を受け入れ、国際問題における国連の中心的調整役割を有する国際システムを強く提唱し、国連憲章の目的と原則を含む国際法に基づく世界秩序を守り、多極化を進め、国際関係の民主化を進め、一層繁栄し、安定し、公正な世界を共に作り、新しいタイプの国際関係を共に構築しようと考えている点を強調した。

ロシア側は、中国側が提案した「人類運命共同体」構築という構想が、国際社会の連帯を強め、共通の課題に対応する努力を強化することに意義があることを指摘する。中国側は、国際関係の公正な多極化システムを構築するためにロシア側が行っている努力の意義に留意する。

双方は、第二次世界大戦の成果と既存の戦後世界秩序を強く支持し、国際連合の権威と国際関係における正義を守り、第二次世界大戦の歴史を否定し、歪曲し、改竄しようとする企てに抵抗するつもりである。

世界大戦の悲劇の再発を防止するため、双方は、ナチスの侵略者、軍国主義者の侵略者およびその共犯者の残虐行為に対する責任を否定し、戦勝国の名誉を傷つけ、汚損することを目的とする行為を強く非難する。

双方は、相互尊重、平和的共存、互恵的協力を基礎とする世界の大国間の新しい種類の関係の確立を求める。両者は、ロシアと中国の新しい国家間関係は、冷戦時代の政治的・軍事的同盟関係より優れていることを再確認する。両国の友情には限界がなく、協力の「禁じられた」領域もなく、二国間戦略協力の強化は、第三国を狙ったものでも、国際環境の変化や第三国の状況変化に影響されるものでもない。

双方は、国際社会の分裂ではなく統合の必要性、対立ではなく協力の必要性を再確認する。双方は、国際関係を、弱者が強者の餌食となるような大国間の対立状態に戻すことに反対する。また、国際問題に合意なしに間接的に取り組むことに反対し、パワーポリティクス、いじめ、単独制裁、治外法権の適用、輸出管理政策の乱用に反対し、世界貿易機関(WTO)のルールに沿った貿易円滑化を支持する。

双方は,外交政策の協調を強化し,真の多国間主義を追求し,多国間プラットフォームにおける協力を強化し,共通の利益を擁護し,国際及び地域のパワーバランスを支持し,グローバル・ガバナンスを向上させる意図を有することを再確認した。

双方は、世界貿易機関(WTO)の中心的な役割に基づく多国間貿易システムを支持・擁護し、WTO改革に積極的に参加し、単独アプローチ及び保護主義に反対する。双方は、パートナー間の対話を強化し、共通の関心事を有する貿易・経済問題についての立場を調整し、グローバル及び地域のバリューチェーンの持続可能かつ安定的な運用の確保に貢献し、より開放的、包括的、透明、無差別な国際貿易・経済ルール体系を促進する用意がある。

双方は、G20が国際経済協力問題及び危機対応措置を議論する重要なフォーラムであることを支持し、G20内の連帯と協力の精神の活性化を共同で促進し、国際的な疫病対策、世界経済の回復、包括的持続可能な開発、公正かつ合理的に世界経済の統治システムを改善し、グローバル課題に集団的に取り組む等の分野における同協会の主導的役割を支持する。

双方はBRICS内の戦略的パートナーシップの深化を支持し、政治・安全保障、経済・金融、人道的交流の3つの主要分野での協力拡大を促進する。特に、ロシアと中国は、公衆衛生、デジタル経済、人工知能技術を含む科学・イノベーション・技術分野での交流、及び国際プラットフォームにおけるBRICS諸国間の協調の強化を奨励する意向である。双方は、BRICSプラス/アウトリーチ形式を、地域統合協会や途上国・新興市場国との対話の効果的なメカニズムとして更に強化するよう努力する。

ロシア側は、中国側が2022年に同協会の議長を務めることを全面的に支持し、第14回BRICS首脳会議の実りある開催を支援する。

ロシアと中国は、上海協力機構(SCO)を包括的に強化し、国際法、多国間主義、平等、共同、不可分、包括的かつ持続可能な安全保障という普遍的に認められた原則に基づく多心的世界秩序の形成におけるその役割を更に強化することを目指す。

両者は、SCO加盟国の安全保障に対する挑戦と脅威に対抗するメカニズムの改善に関する合意を一貫して履行することが重要であると考え、この課題に対処する文脈で、SCO地域反テロ機構の機能拡張を提唱する。

双方は、貿易、製造、輸送、エネルギー、金融、投資、農業、税関、電気通信、イノベーション及びその他の相互利益分野におけるSCO加盟国間の経済交流に、先進技術、省資源技術、エネルギー効率及び「グリーン」技術の使用を含め、新たな質及びダイナミクスを付与することに貢献する。

双方は,2009年の国際情報セキュリティ分野における協力に関する上海協力機構加盟国政府間の合意に基づくSCO内及び専門家グループ内の実りある相互作用に留意する。この文脈で、2021年9月17日にドゥシャンベで開催されたSCO加盟国首脳会議において、2022年から2023年の国際情報セキュリティの確保に関するSCO共同行動計画が採択されたことを歓迎する。

ロシアと中国は、SCOの進歩的な発展にとって、文化的・人道的協力の重要性がますます高まっていることから進める。SCO加盟国の人々の相互理解を強化するため、文化的なつながり、教育、科学技術、医療、環境保護、観光、人と人との接触、スポーツなどの分野における交流を効果的に促進し続ける。

ロシアと中国は、アジア太平洋地域における経済問題についての多国間対話の主要なプラットフォームとしてのAPECの役割を強化するために引き続き努力する。双方は、地域における自由、開放、公正、無差別、透明かつ予測可能な貿易・投資環境の創出に焦点を当て、「2040年までのAPEC発展のためのプトラジャヤ指針」を成功裏に実施するための協調行動を強化する意向である。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策と経済復興、幅広い様々な生活領域のデジタル化、遠隔地における経済成長、APECと同様のアジェンダを持つ他の地域の多国間協会との間の相互関係の確立に重点を置く予定である。

双方は、「ロシア・インド・中国」形式での協力を発展させるとともに、東アジアサミット、安全保障に関するASEAN地域フォーラム、ASEAN加盟国国防相会議、対話パートナーなどの場での交流を強化することを意図している。ロシアと中国は、東アジアにおける協力の発展におけるASEANの中心的役割を支持し、ASEANとの協力の深化に関する調整を引き続き強化し、公衆衛生、持続可能な開発、テロ対策及び国際犯罪対策の分野における協力を共同で促進する。双方は、地域アーキテクチャの重要な要素としてのASEANの役割の強化という利益のために、引き続き協力する意向である。
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www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

この声明は2月4日の日付で公表されています。バイデン政権による「インド太平洋戦略」は2月14日に公表されています。中露はアジア太平洋等の表現で、この地域に関与する内容などを述べていますが、米国はこのロシアの関与などについて、「インド太平洋戦略」では完璧に無視しているのです。

しかも中露首脳会談声明文には、明らかに日本に対する記述もあります。それが赤字の部分です。

以下に赤字の部分を再掲します。

「双方は、第二次世界大戦の成果と既存の戦後世界秩序を強く支持し、国際連合の権威と国際関係における正義を守り、第二次世界大戦の歴史を否定し、歪曲し、改竄しようとする企てに抵抗するつもりである。

世界大戦の悲劇の再発を防止するため、双方は、ナチスの侵略者、軍国主義者の侵略者およびその共犯者の残虐行為に対する責任を否定し、戦勝国の名誉を傷つけ、汚損することを目的とする行為を強く非難する」

この部分は明らかに日本に向けて発せられているといえると思います。後ろの段落の「軍国主義者の侵略者」とは日本を指しているのでしょう。

にもかかわらず、バイデン政権の「インド太平洋戦略」ではロシアに関しては、一言の言及もないのです。

これは、インド太平洋においては、ロシアは一切関わらせないという意思表明とも受け取れます。これは、ロシアがインド太平洋地域に関われば、ただでさえこの地域は中国の浸透などで複雑化しているものがさらに複雑になるからであり、それを避けたいという意図があるのでしょう。

そもそも、このブログでも何度が述べてきたように、ロシアの一人あたりのGDPが韓国を大幅に下回り、国単位では人口の少ない韓国とほぼ同程度の現在のロシアでは、できることは限られており、そうしたロシアにこの地域をかき回されたくないという考えがあるのでしょう。

それもあるため、ロシアのウクライナ侵攻の可能性を非難し、あわよくばロシアに対してさらに大きな制裁を課して、ロシアのインド太平洋地域での行動を封じてしまう腹づもりなのだと思います。バイデン政権としては、プーチンの「ロシア大国幻想」に付き合うつもりはないのでしょう。

ロシア大国幻想に浸るプーチン

ロシアは旧ソ連の核と軍事技術を継承する国であり、決して侮ることはできませんが、それしても軍事的にも経済的にも超大国ではありませんし、中国のように人口も多くはなく、大国と呼べるような存在ではなくなりました。

さらに、将来的にロシアが勢力を盛り返し、ソ連のように強大になることもほとんどあり得なくなりました。そのロシアができるのは、北朝鮮のように核ミサイルを発射するなどのことをして、存在感を増すことであり、それがロシアにとってはウクライナ侵攻であり、極東での艦隊行動の活発化です。

現在のロシアは北朝鮮よりは、経済的に良い状態なので、いずれも不十分ながらもウクライナ侵攻準備や極東での艦隊行動の活発化などで存在感を増すことができますが、ウクライナに侵攻して、米国などから厳しい制裁を課せられた場合、それもできなくなり北朝鮮のようにミサイルを頻繁に発射するようになるかもしれません。ただ、それでは何も変えることはできず、物事を複雑化させるだけです。

北朝鮮のミサイル発射

そんなロシアに、米国は日米と中国の対峙には関与させるつもりはないのでしょう。

そうして、中露首脳会談の共同声明ではで上記で示したように、「日本」と明記はしなかったものの、日本に対して歴史問題を蒸し返そうとしているのは明らかです。そうして、その日本はG7では唯一ロシアと領土問題を抱えています。

しかし、米国としては歴史問題を蒸し返すつもりも、蒸し返させるつもりもないことを明確に示すため、日米共同訓練を直近で3回も繰り返しているのだと考えられます。

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2022年2月18日金曜日

国際的な格付けで台湾の好成績相次ぐ、蘇行政院長が政府職員らに感謝―【私の論評】日本では鉄の三角形を弱めなければ、台湾のような経済的自由を獲得できない(゚д゚)!

国際的な格付けで台湾の好成績相次ぐ、蘇行政院長が政府職員らに感謝

蘇貞昌行政院長が17日の行政院会で、最近、国際的な国別評価の多くで台湾が好成績を挙げていることに触れ、「政府の職員たちを誇らしく感じる」と述べて感謝した。写真は「経済の自由度評価」を示した図。台湾は人口2,000万人以上の国として唯一「自由」評価を獲得した。(蘇貞昌行政院長のフェイスブックより)

蘇貞昌行政院長(首相)が17日の行政院会(閣議)で、最近、国際的な国別評価の多くで台湾が好成績を挙げていることに触れ、「政府の職員たちを誇らしく感じる」と述べて職員たちに感謝した。

蘇行政院長は、ここ1カ月間、国際的な国別評価における台湾の好成績が相次いでいると述べ、1月25日にドイツのトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が発表した「2021年腐敗認識指数(CPI)」で台湾が180カ国中25位だったことを例に挙げた。25位は台湾にとってTIが1995年に同ランキングを発表するようになってから26年で最高の成績。蘇行政院長はまた、2月10日にイギリスのエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が発表した「2021年民主主義指数」レポートで、台湾は167カ国のうち「完全な民主主義(Full democracy)」とされる21カ国の一つに評価されたことを指摘。台湾は2年連続で「完全な民主主義」入りを果たしたのみならず、全体のランキングでも前年の世界11位から8位へと上昇し、米国、フランス、ドイツ、イギリス、カナダなどの大国をも凌駕。アジアでも昨年に続いてトップだった。

蘇行政院長はさらに、2月14日に米シンクタンク「ヘリテージ財団」が発表した「2022年度版世界の経済自由度指数」にも言及。このレポートで台湾は177カ国中わずか7カ国しかない「自由(free)」の評価を受け、初めて「経済的に自由な国」の仲間入りを果たした。人口2,000万人以上の国で「自由」と評価されたのは台湾のみ。世界ランキングで台湾は6位だった。なお、同レポートでは、台湾は過去5年間経済成長を維持する極めてまれな経済体であると絶賛している。

蘇行政院長は、蔡英文総統が総統に就任して以来、政府職員と国民が共に努力する中、台湾は民主と自由の体制を守りながら民主の発展を深め、開かれて公平な経済貿易環境の構築に力を尽くすと共にクリーンな政治を厳格に要求してきたと強調。台湾は新型コロナウイルスの影響や中国からの不断の脅威と圧迫に向き合いながらも依然としてその強靭性を発揮して経済の活発な発展を実現し、次々と好成績を挙げてきただけでなく、国際的に重要な格付けでもますます評価を高め、過去最高の成績を挙げるなど世界から大いに評価されるようになっていると話した。

【私の論評】日本では鉄の三角形を弱めなければ、台湾のような経済的自由を獲得できない(゚д゚)!

ロシアの順位は、136位です。ウクライナは122位です。中国の順位は、66位です。日本の順位は18位です。米国の順位が27位で比較的低いのが印象的です。

「2021年腐敗認識指数(CPI)」の全体をご覧いただきたい方は、以下のリンクよりご覧になってください。

腐敗認識指数 国別ランキング・推移

以下に一部を引用します。



「2022年度版世界の経済自由度指数」では、上位10か国・地域は、シンガポール、スイス、アイルランド、ニュージーランド、ルクセンブルク、台湾、エストニア、オランダ、フィンランド、デンマークでした。
 
台湾の世界順位は昨年と同じでしたが、総合ポイントは80.1ポイント(満点は100ポイント)と、昨年の78.6ポイントを上回りました。また、世界平均あるいはアジア太平洋地域の平均と比べると、20ポイント余り上回りました。

米国のヘリテージ財団は14日、2022年版の「世界の経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」を発表した。台湾は評価対象となった184か国・地域のうち6位で、アジア太平洋地域では3位だった。写真は台湾の世界順位の推移を示すグラフ。(国家発展委員会サイトより)

経済自由度指数はポイントが高いほど自由であることを意味し、総合ポイントが80ポイント以上であれば「自由(Free)」と格付けされます。2022年版で台湾は初めて「自由」の仲間入りを果たした。今年、「自由」に格付けされたのは世界で7カ国だけだけでした。

アジア太平洋地域で見ると、台湾は3位でした。これは世界順位19位の韓国、35位の日本を上回る快挙。韓国は「自由」の下の「おおむね自由(Mostly free)」に、日本はさらにその下の「適度に自由(Moderately free)」、そして中国は最低レベルの「抑圧された(Repressed)」に格付けされました。中国の世界順位は158位でしたた。

全体的に見ると、2022年度の世界の経済自由度指数は平均60ポイントで、昨年より1.6ポイント下がりました。アジア太平洋地域の平均は58.5ポイントでした。

経済自由度指数は4つの側面(法制度、政府の規模、管理監督の効率、市場の開放)と、その下に設けられた合計12の指標で経済の自由度を評価します。台湾は12の指標のうち、「ビジネスの自由」、「貿易の自由」、「貨幣の自由」、「財産権の保護」、「政府の支出」など8つの指標で80ポイント以上を獲得しました。一方、「労働者の自由」は68.7ポイント、「金融の自由」は60ポイントにとどまるなど課題も残りました。

ヘリテージ財団がまとめたレポートによると、過去5年間で台湾の経済自由度指数は大きく向上した。台湾は各領域で高いポイントを獲得しており、それに加えて「司法の有効性」、「労働者の自由」などの指標でも成長が見られます。その結果、台湾の経済自由度指数は2017年に比べて3.6ポイント増え、今年は初めて「自由」の仲間入りを果たしました。

レポートでは同時に、台湾が「ビジネスの自由」や「金融の自由」などの方面でも努力すれば、さらなる躍進が期待できると指摘しています。

日本が、「経済自由度指数」が低いことはある程度納得がいきます。それは日本には、どの産業でも強力な鉄の三角形が築かれているからです。それについては以前もこのブログで述べました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】菅首相1年間の大きな功績 懸案を次々処理した「仕事師内閣」、対韓国でも厳しい姿勢貫く―【私の論評】新政権は、雇用の維持、迅速な鉄の三角形対策ができる体制を整えれば、長期安定政権となる(゚д゚)!
日本には様々なルールや規制があります。それに守られ、いわゆる“既得権益”を受けている人たちがいます。農業の分野で言えば、日本は零細農家を守るため、株式会社は農地を持つことができません。

当初は意味のある制度だったのでしょうが、農業が国際化されてきた今日日本は世界的にみても良い作物を作れるのですから、株式会社に農業にも参入してもらい、生産性を上げ、輸出もしたほうが良いはずです。

ところが“入ってはいけない”という人たち、そこに結びついた政治家たち=族議員、そして業界の既得権益を持った人をつなぐ役割を担っている官僚がいます。この三角形がスクラムを組み、新しいことをやろうとするときに妨害するのです。こうした三角形はどこの国にもありますが、日本の場合はそれを取り持つ官僚組織がかなり強い状態で維持されています。


それは、医療の世界にも厳然として存在します。医師会、族議員、厚生官僚による三角形(医療ムラ )は厳然として存在してるのです。これは、ある意味「加計問題」と本質は同じです。

1年以上も前から、コロナ病床は、かなり増床すべきことはわかっていました。そうして、昨年の補正予算でも、それに関する予算は潤沢につけられていたにもかかわらず、この医療ムラの猛反撃にあい、現在に至るまで大きく増床されることはありませんでした。感染症対策分科会も、こうした医療ムラの圧力に対抗できなかったのか、結局対策といえば、病床の増床ではなく、人流抑制ばかりを提言していました。
尾身会長

そのため、コロナ感染者数が増えるたびに、野党・マスコミは、医療ムラを批判するのではなく、菅政権を批判しました。尾身会長は、マスコミに利用された形になったといえます。これは、間違いなく菅政権を追い詰めていきました。特に、マスコミは感染者数が増えるたびに、不安を煽り、様々な印象操作で菅政権を追い詰めました。

特に日本では、まだまだマスコミの報道を信じる人が多いので、強力な医療ムラを崩壊させるには、仕事人内閣の菅内閣ですら、時間と労力がかかることは無視して、菅内閣を責め立てました。野党もその尻馬にのり、菅内閣を糾弾しました。

マスコミが、菅内閣ではなく、医療ムラを批判していたら、状況は変わっていたかもしれません。まさに、仕事師内閣が短命政権になったのは煽るマスコミとそれにのせられる人たちよるものです。

この記事では、農業や医療に関する「鉄の三角形」について述べましたが、他の産業等にもそれは存在します。

さて、この鉄の三角形がどのように機能するのか、以下に述べます。

政官財が以下の行動を取ることにより、国益・国民益より省益・企業益・私益が優先されるのです。
  • 財界等の業界団体や圧力団体が政治献金で族議員に代表されるような政治家を支援し、財界に影響力のある官僚を天下りで懐柔する。
  • 官僚は所轄業界をまとめ、その利益代表として動き、政治家・財界を許認可権限・公共事業・補助金振り分けで影響力を持つ。
  • 政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について影響力を行使し、財界から政治献金を集め、官僚への限定的指揮権を持つ。
日本では政官財だが、南アフリカでは政労資(財)が鉄の三角形を形成しています。党議拘束の弱い米国では、軍や政策形成に利害を持つ圧力団体が個々の議員を支援する事で鉄の三角形の一翼を担っています。どの国にも、形式や強さは異なるもののこの三角形は存在します。

しかし、日本のそれは他国に比較して、度を超えて強力なのです。

その日本の鉄の三角形の中でも最たるものは、財務省、財界、族議員らの三角形でしょう。それに続くのは、日銀、金融業界、族議員の三角形でしょう。

これらの三角形が日本をどう毀損したかといえば、失われた30年を招いてしまったことです。

今から31年前、1990年の東京証券取引所は1月4日の「大発会」からいきなり200円を超える下げを記録しました。1989年12月29日の「大納会」でつけた史上最高値の3万8915円87銭から、一転して下げ始めた株式市場は、その後30年が経過した今も史上最高値を約4割ほど下回ったままです。長期的な視点に立てば、日本の株式市場は低迷を続けています。

その間、アメリカの代表的な株価指数である「S&P 500」は、過去30年で約800%上昇。353.40(1989年末)から3230.78(2019年末)へと、この30年間でざっと9.14倍に上昇しました。かたや日本は1989年の最高値を30年間も超えることができずに推移しています。

そうしてもう一つ、この30年間、他国は賃金が上昇したのに、日本は上昇しませんでした。

この違いはどこから来るのかという議論は日本でもありましたが、何かといえば構造改革が言われてきました。そうした議論が繰り返される中で、財務省は何をしたかといえば、増税等の緊縮財政を取り続け、平成年間には何度も消費税増税を繰りかえしました。

日銀は、2013年に黒田総裁が登場する前までの、白川総裁までは、実体経済とは無関係に、とにかく金融引締を続行しました。その後2013年に黒田総裁が登場し、異次元の包括的な金融緩和を実施し、日本経済は順調に伸びるようにみえたのですが、2014年に消費税増税をしたため、また落ち込みました。

さらに、日銀は金融緩和を続けてはいるのですが、2016年には、イールドカーブ・コントロールを導入して、金融緩和を控えめなものにしてしまいました。

日本は、未だデフレから完璧に脱却していないにもかかわらず、結局2019年10月にも消費税増税をしました。

そのため、日本は平成年間のほとんどの期間デフレであり、令和になってからも未だデフレから完璧に脱却したとはいえません。コロナ感染症による経済の停滞により今後も予断を許せない状況にあります。

「2022年度版世界の経済自由度指数」の話から内容が少しずれたようにもみえますが、日本では強固な鉄の三角形をなくすことまではできないでしょうが、弱くすることが喫緊の課題だといえると思います。

日本は、台湾ではどのように経済的自由度を高めたのか、真摯に学ぶ必要がありそうです。

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