2022年11月14日月曜日

岸田首相が〝中国名指し批判〟の豹変 閣僚の相次ぐ辞任、内閣支持率続落で覚醒して奮起したか 八幡和郎氏「言葉だけで腰砕けにならないよう注目すべき」―【私の論評】日中首脳会談で何をいうかで、岸田総理の評価が定まる(゚д゚)!

岸田首相が〝中国名指し批判〟の豹変 閣僚の相次ぐ辞任、内閣支持率続落で覚醒して奮起したか 八幡和郎氏「言葉だけで腰砕けにならないよう注目すべき」

東アジアサミットに参加した岸田首相

 岸田文雄首相は13日、カンボジアの首都プノンペンで開催していた東アジアサミットで、軍事的覇権拡大を進める中国を名指しで批判した。米国や中国、ロシアなど、各国代表も出席していた。葉梨康弘前法相など閣僚の相次ぐ辞任や、親中派閣僚の存在、防衛費のGDP(国内総生産)比2%以上の増額に合わせた増税検討、物価高騰への対応などから内閣支持率が続落するなか、やっと覚醒して奮起したのか。

 「東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されている」「(台湾海峡の平和と安定が)地域の安全保障に直結する重要な問題だ」

 岸田首相はこう訴えた。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と、日米中韓露など計18カ国が参加した同サミットには、ジョー・バイデン米大統領や、中国の李克強首相、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相らも参加していた。

 岸田首相は、中国軍が8月、台湾周辺での大規模軍事演習時に、日本のEEZ(排他的経済水域)内に弾道ミサイル5発を撃ち込んだことにも言及した。さらに、中国による新疆ウイグル自治区での人権弾圧や香港情勢への「深刻な懸念」も表明した。

 昨年10月の内閣発足以来、岸田内閣には親中傾向が見られ、「政界屈指の親中派」である林芳正外相の言動には疑問が指摘されていた。

 インドネシア・バリ島で15、16日に開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議などに合わせて、岸田首相と中国の習近平国家主席との首脳会談が調整されている。岸田首相の変化をどう見るか。

 評論家の八幡和郎氏は「中国に気を使う従来の姿勢からみると突出した発言で、岸田首相の真意は分からない。ただ、欧米はじめ各国が中国に厳しい姿勢をとるなか、違う判断が働いた可能性もある。いずれにしても、言葉だけで腰砕けにならないよう、注目すべきだ」と語った。

【私の論評】日中首脳会談で何をいうかで、岸田総理の評価が定まる(゚д゚)!

東アジアサミットにおける岸田首相による「東シナ海では、中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されている」という発言は、

SNSでは、話題になっており、
他の事に関しては言いたい事は沢山あるけど、名指しした事は評価する。国防に関しては岸田総理に期待出来ると思ってる。
等と、評価する声が多数あります。

歌手の世良公則氏も、自身のTwitterに「これは高く評価したい 隣国の脅威は深刻」と投稿しました。

有森香氏は、以下のようにツイートしていました。

確かに、このような発言は、良いことだとは思うのですが・・・・・・。

これについて今のところ中国から猛烈な反発はありません。事前に根回しも何もしておらず、この発言をすれば、中国は激烈な反発をしたと思います。

ということは、事前に根回ししていたと見るのが妥当のようです。本当に中国の覇権主義に懸念を示すならまず林外相を更迭し、松下新平議員を党として徹底調査した上で然るべき対処をすべきです。それ以外にもやるべきことは、多くあります。それらを行わずに口頭で抗議しても自己矛盾を露呈するだけです。

それに、中国の弾道ミサイルは今年8月与那国や波照間の沖合のEEZにも着弾しました。これで、中国批判は当然です。 逆に批判しない方がおかしいです。批判は当たり前です。今後日中首脳会談が予定されているからといって批判しなかったとしたら、本末転倒ともいえます。


岸田文雄首相は中国の習近平国家主席と17日に会談します。タイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて実施。対面での日中首脳会談は約3年ぶりで、岸田氏にとっては初となります。

松野博一官房長官が14日の記者会見で発表しました。岸田氏は、14日の習氏とバイデン米大統領による初の対面会談の内容も見極めた上で、日中の建設的かつ安定的な関係構築へとつなげたい考えです。


岸田氏は13日、訪問先のカンボジアで日中関係に関して「主張すべきは主張し、責任ある行動を求める」と記者団に強調。対話を重ねて安定的な関係を構築していく考えを示しました。

この動き、支持率低下で、岸田総理が吹っ切れて、奮起したというのなら、良い兆しですが、次の日中首脳会談での発言に注目すべきと思います。

本日公表されたFNN世論調査では 内閣支持率38.6%。また下落 初の30%台に

岸田総理自身は気づいているかどうかはわかりませんが、この会談で習近平に対して主張すべきことを主張しないようでは、ますます民意が離れていくことになると思います。

これは、ある意味岸田総理のラストチャンスかもしれません。ここで、習近平に対して物別れになっても良いから、主張すべきことを主張し、それだけではなく、間髪をいれず、日本国内の孔子学院を閉鎖させるとか、自民党参議院議員の「松下新平氏」が高級顧問である「中国秘密警察日本支部」を徹底的に調査したり、防衛費の嵩上げを狙うとみられる防衛費の「総合防衛費」化をやめさせるなどの行動を起こせば、支持率が上がることも期待できるかもしれません。

私自身は、あまり期待していません。岸田首相は、統一教会問題や葉梨法相の事実上の更迭などで、ワイドショー政治にまっしぐらですし、経済対策では、財務真理教団の信者であることを露呈しました。

もう、ほとんどの人は期待していないでしょう。ただ、次の総裁としては、河野太郎氏がなる可能性も高いです。そんなことになれば、岸田総理よりさらに駄目になる可能性が大きいです。改めて、安倍元総理の偉大さを感じてしまいます。

かといって野党には、ほとんど期待できませんし、本当に困ったものです。いっときの繋でも良いから、政権をある程度まともに担当できる野党ができてほしいものです。

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2022年11月13日日曜日

共和、上院敗北で敗因追及加速 トランプ氏、党指導層を攻撃―【私の論評】黄金の3年間に自民党は、米共和党の中間選挙での敗北を他山の石とし党内の結束を固めよ(゚д゚)!

米中間選挙


 米中間選挙で12日夜(日本時間13日午前)、与党・民主党がバイデン大統領の政権運営でカギを握る上院の多数派を維持することが確実になったことで、野党・共和党では「敗北」の責任が誰にあるかを追及する動きが加速するのは必至だ。一部で責任論が浮上しているトランプ前大統領はすでに、中間選挙での不振の原因は上院トップのマコネル院内総務にあるとして攻撃を強めている。

 激戦区の西部アリゾナ州で民主党候補の当選が確実となり、同党が上院維持に王手をかけた11日、トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)でマコネル氏を「ポンコツ」と呼び、同氏が党の選挙資金の投入先を間違えたと批判。「あいつは最悪だ!」とまで罵(ののし)った。トランプ派議員らが同調し、マコネル氏をはじめとする党指導部との対立が深まる可能性がある。

 急速なインフレ下でバイデン政権への支持率が低迷する中で行われた今回の中間選挙は、共和党にとって圧倒的に有利だとみられてきた。にもかかわらず上院の多数派を獲得できなかったことは、共和党にとって痛恨の痛手だ。

 同党の得票が伸び悩んだ要因として、各種出口調査に基づく分析では、2020年大統領選で「大規模な不正があった」と主張し続けているトランプ氏が、自派候補の大量当選を狙ったことが嫌気されたとの見方が強い。米CNNテレビの調査では、政権運営への不満などからバイデン大統領を「支持しない」とした有権者のうち、それでも民主党に投票した人は49%に上り、共和党の45%を上回った。元来は政権への「信任投票」の意味合いが強い中間選挙としては異例の現象だ。

 このため共和党では、中間選挙後、トランプ氏が党の前面に出るべきではないとの声が表面化しつつある。

 その中でトランプがマコネル氏への攻撃をエスカレートさせているのは、自分への批判の矛先をそらして責任を転嫁し、求心力を維持する思惑があるためだ。

 民主党は上院を維持したことで、政府高官や連邦裁判所判事の人事がスムーズに進めることが可能になる。また、仮に下院が共和党に奪還され、政権と民主党に不利な法案が下院を通過した場合でも、上院でそれを否決することができる。

【私の論評】黄金の3年間に自民党は、米共和党の中間選挙での敗北を他山の石とし、党内の結束を固めよ(゚д゚)!

今回どうして、共和党旋風が吹かなかったのでしょうか。結論からいうと、民主党のほうがより結束して選挙戦活動ができ、共和党のほうはそうではなかったからだと考えられます。

民主党は、投票日直前に共和党優勢という報道が飛び交ったために、危機感を持った有権者が投票所に押し寄せたという見方があります。いわゆるアンダードッグ効果が働いたという見方です。

アンダードッグ効果とは、勝敗や投票の結果予測で、不利な状況にあると報じられた方に同情票が集まり逆転勝利につながる現象のことです。

アンダードッグ(underdog)は、日本語でいうと「かませ犬」。かませ犬は、もともと闘犬用語で、自信を付けさせたい闘犬に「噛ませるため」にあてがわれる犬のことで、転じて「戦いに勝ちそうにない/不利な状況に置かれている方」を指すようになりました。アンダーという語感から日本語の「負け犬」の意味で捉えられることもありますが、「負け犬」は「すでに敗北が決定している」状態を指す言葉なの意味が異なります。
〈アンダードッグ効果の例〉
・大柄な選手と小柄な選手が戦う試合で、小柄な選手の方を応援したくなる
・「対して何もしていないのに成果が出ている人」と「頑張っているのに結果が伴わない人」がいた場合、後者を応援したくなる。
共和党優勢という予測の背景には、有権者の超インフレと治安への大きな不満があり、現政権への強い批判となるだろうという見通しがありました。ところが、これも、民主党支持者にとっては、トランプ復権への強い抵抗感、あるいは環境や中絶問題などへの危機感を覆すまでには至らなかったとみえます。

結果として、民主党は結束力を強める方向に動いていたといえます。

一方の共和党については、分散する方向に動いていたといえます。

まずは、多くの予備選において、ドナルド・トランプ前大統領は、現職もしくは共和党の穏健派の候補を「引きずり下ろして」自派の候補を押し込んでいました。その候補の多くが、急遽政界入りを決めた「素人候補」であり、結果的に選挙戦で民主党に競り負けたと考えられます。

典型例は、今後の政局を左右した、ペンシルベニア州上院の選挙です。トランプ氏は、知名度の高いTVタレントであるメフメト・オズ医師を激しい予備選の結果、共和党の統一候補に押し込むことに成功しました。
メフメト・オズ医師

投票日直前に「オズ候補は隣のニュージャージーに豪邸を構えており、ペンシルベニアの代表ではない」という暴露キャンペーンを張られて結果的に落選しました。怒ったトランプは、オズ医師を推薦したメラニア夫人を罵倒したという報道すらあります。

終盤の選挙戦において、共和党の本部は「トランプ隠し」をしたようです。

上院議員選で敗北したペンシルベニア州の場合は、11月5日の夕刻に演説会が行われましたが、これは本来であれば、大都市であるフィラデルフィアかピッツバーグで行うのが有効なはずでした。

ところが、演説会の行われたのはラトローベという山間部の小さな町の小さな空港でした。つまり、長距離をドライブして駆けつける熱心な支持者「だけ」が参加できるイベントだったのです。

大都市での大規模イベントはただでさえ目立つのに、そこにトランプが登壇すれば、さらに目立つからです。無党派層が「やっぱりトランプはイヤだ」として、共和党への投票を控える危険があるので、そうしたという見方があります。

元々大統領選と比較すると、中間選挙は地味なイベントです。熱心なトランプ派の中には「トランプが登場しない」のであれば、選挙に関心を持たないし、投票にも行かないという「シラけたムード」が広がったかもしれない。「トランプ隠し」が共和党の集票にマイナスとなった可能性は十分あります。

その反対の見方もあります。党本部は「隠そう」としたのですが、結局トランプは「11月14日(後に15日訂正)には大統領選出馬について重大な発表をする」などと発言し、メディアで取り上げられて「悪目立ち」しました。つまり、共和党はトランプを隠そうとしたが隠すことが出来ずに、結局は無党派層を呼び込むチャンスを逸したという見方です。

この2つのものは、相反するようでもありますが、両方とも当たっている可能性があります。いずれにしても、現在の共和党は「トランプの党」なのか、それとも「脱トランプ党」なのかをはっきりさせず、なし崩し的に二兎を追うような姿勢で選挙戦に臨んでしまったのです。この中途半端な姿勢が、チャンスを活かしきれなかった最大の原因でしょう。

いずれの党なのか、早い時期に党の上層部が決めて、決まった以上は、それに従って選挙戦を闘うという方向で一致していれば、共和党は、今回のチャンスを活かせた可能性があったと思います。

私自身は、今回の中間選挙は民主党が優勢であったのではなく、共和党が自らを劣勢に導いてしまったと思っています。

いずれにしても、トランプ氏は共和党の姿勢を徹底的に批判するでしょう。それでも、共和党上層部が「トランプ党」路線をいくのか、「脱トランプ党」路線を行くかをはっきりさせなければ、2024年大統領選挙にも負けてしまうことになるでしょう。

そうして、どちらの路線に決まったとしても、決まってしまった以上は、党の方針に従って動くべきでしょう。ただ、各派閥で不満もあるでしょうから、それは選挙が終わってから本格的に調整すれば良いことです。選挙中にそれをやれば、今回のように、せっかく良い風向きだったものを活かしきれないということになるのです。

これは、日本でも同じようなことがいえると思います。永田町では、すでに岸田政権が長く持っても、広島サミットまでだろうという見方が広がっています。

今後しばらくは国政選挙はありませんが、それまでの間に、自民党は総裁選を行い、新しい総裁のもとで、本格的な選挙を闘うことになると考えられます。

選挙戦の争点は、各候補者が様々なことを言うでしょうが、つまるところは、安倍路線継承か、そうでないかということが焦点になるのは間違いありません。

安倍元総理が亡くなってから、世界中の国々が安倍元総理が亡くなってしまったことを残念に思っているようです。そうして、米国を筆頭に多くの国々が日本に対して、安倍路線を踏襲することを期待しています。インドのモディ首相は、安倍首相との思い出を語るときに、泣きそうになったとも報道されています。

日本では、あまり報道されませんが、安倍元首相の国際的な働きは、インド太平洋戦略やQuadの成立など実際に世界の構造を変え、今日に至っています。安倍元首相の働きなしに、今日の世界はないと言っても過言ではありません。

国内では、岸田総理による内閣改造において、旧統一教会を利用したともいえる、露骨な安倍派外しが行われ、増税や防衛予算の総合防衛費化など自民党内の保守派の憤怒のマグマに油を注ぐような政策ばかり実施しようとしています。その結果岸田政権は、大ブーメランに見舞われ、支持率がかなり落ちています。

黄金の3年間を享受するであろうと見られていた岸田政権は、もはや最長で広島サミットまでしかもたないという見方は正しいです。ただ、次の総裁選では、できれば、安倍路線を継承する人物を総裁とすべきです、仮にそうでない人物が総裁になったとしても、自民党全体では安倍路線を継承すべきです。

そうではなく、自民党内でこれを自民党最大派閥安倍派(清和政策研究会)潰しの絶好の機会であると捉えて、安倍派潰しに動き、安倍派が空中分解ということにでもなれば、それこそ自民党の空中分解につながりかねないです。実際、岸田総理は内閣改造でこの失敗をしています。これさえなければ、岸田政権がもっと長期政権になった可能性はあったと思います。

まだ先の話しではありますが、来たるべき選挙では、米国の共和党のように、負けてしまうことになりかねません。そのようなことだけは、避けるべきです。

黄金の3年間において、数の力を知る自民党は、米国の共和党の今回の中間選挙での敗北を他山の石として、党内の結束を固める方向で動くべきです。

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2022年11月12日土曜日

侵攻〝唯一の成果〟ヘルソン州喪失の危機 プーチン大統領に屈辱的な大打撃 一方「撤退がロシアに有利に働く可能性も」専門家―【私の論評】たとえ現状維持しても、プーチンのカリスマ性は失われ、ロシアは激烈な権力闘争に(゚д゚)!

侵攻〝唯一の成果〟ヘルソン州喪失の危機 プーチン大統領に屈辱的な大打撃 一方「撤退がロシアに有利に働く可能性も」専門家


ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとっては屈辱的な大打撃となりそうだ。ウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市を、奪われつつあるのだ。ヘルソン市は今年2月に始まったウクライナ侵攻で、ロシアが唯一掌握していた州都。ウクライナ側は完全掌握に向けて作戦を進めており、ロシアが今回の侵攻で得た数少ない成果を失う時が近づいている。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日、ビデオ演説でヘルソン市を「取り戻している」と延べ、奪還が間近との認識を示した。さらにゼレンスキー氏は通信アプリで、「私たちのヘルソン」というタイトルの映像を公開した。そこにはウクライナ軍を歓迎するヘルソン市民の姿が映っていた。

ウクライナ国防省情報総局は同日、ヘルソン市内の統制を取り戻しつつあると発表した。「ロシア軍は兵士に民間人の服装に着替えて自己責任で逃げるよう命じていた」と市内に置き去りにされた露軍兵がいると指摘。逃走は不可能だとして、ロシア兵に投降を呼び掛けた。

ロシア国防省はすでに、ヘルソン市を含むドニエプル川西岸地域から東岸地域へのロシア軍部隊の移送が11日未明に完了したと発表していた。ドニエプル川の両岸を結ぶアントノフスキー橋の一部が崩落したと報じられており、ウクライナ軍の追撃を防ぐためにロシア軍が橋を破壊したとみられている。

プーチン氏は撤退について公にコメントを発表していない。このため、欧米メディアでは、ロシア当局が、プーチン氏と今回の撤退決定を切り離そうとしているとの見方が浮上している。

一方、ロイター通信は、今回の撤退がロシアにとって有利に働く可能性もあるとして、「ロシアを敗者と見なしてしまうのは、あまりにも時期尚早だ」という専門家の分析を報じている。

【私の論評】たとえ現状維持しても、プーチンのカリスマ性は失われ、ロシアは激烈な権力闘争に(゚д゚)!

「ロシアを敗者と見なしてしまうのは、あまりにも時期尚早だ」という専門家の分析は、以下のリンクからご覧になれます。
焦点:ロシア軍のヘルソン撤退、ウクライナには「もろ刃の剣」

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。

英国の元駐ロシア大使、アンソニー・ブレントン氏は、ロシアはしばらく前から、ドニエプル川西岸から撤退するための準備を進めてきたと指摘。冬の間に部隊を再編成するための時間を稼ぎたいのは明らかだと解説する。

「ヘルソンがもはや防御不能になった以上、(撤退は)合理的な動きだ。ロシアは依然として(冬の終わりまでに)軍を結集させられる可能性に賭けている」とブレントン氏は語った。

ブレントン氏の見立てでは、ロシアは相次ぐ後退にもかかわらず、クリミア半島、半島につながる陸の回廊、クリミアにとって必要なウクライナ海域へのアクセス、そしてウクライナ東部ドンバスの広い地域について、できる限り掌握することを今も望んでいる。

ブレントン氏は「トップは自分たちが現状をほぼ維持できる結末を望んでいると思われるが、それは不可能だろう」と述べ、ロシア側も最終的に何らかの合意を結ぶ必要があることを理解しているが、今は合意の可能性は極めて低いようだとの見方を示した。
ロシアは今後、今秋に新たに招集した約30万人の動員兵も投入し、ドニエプル川東岸の守りを固める方針です。西岸地域を奪還される失策を取り返すため、東部の戦線も立て直し、ドネツク、ルガンスク両州の全域の占領をめざすとみられます。

青い線がドニエプル川

第2次世界大戦注のロシア軍というか当時のソ連軍は、最初は撤退を続けましたが、冬季になってから大反撃に出ています。現在のウクライナ軍は、欧米から支援を受けているので、第二次世界大戦中のドイツ軍のようにはならないでしょうが、それにしも、ロシア軍はドニエプル川より東の、ヘルソン州、既存のザポロジェ州及びドネツク州、ルガンスク州の占領地域を死守することでしょう。

ウクライナ侵攻を命令したのは、プーチン大統領です。彼が「特別軍事作戦」と呼ぶものは、プーチン氏の発案です。その当人がいくらこの戦争の一部から距離を置こうとしても、簡単なことではありません。

ヘルソン撤退の前から、この戦争はプーチン氏にとって危険要素をはらんでいました。この9カ月間の出来事は、ロシア国内での大統領に対する認識を変える危険があります。ロシア国民の受け止め方というよりも、大事なのはプーチン氏の周りにいて権力を握る、ロシアのエリートの見方です。

ロシアのエリート層はもう何年もプーチン氏のことを、一流の戦略家だとみなしてきました。何があっても必ず最後には勝つ、カリスマであると信じてきたのです。自分たちが属する体制は、プーチン氏を中心として作られたもので、彼こそがこのシステムの要なのだと、ロシアのエリートたちはずっと考えてきました。

しかし2月24日以降、ロシアには「勝利」が不足しています。プーチン氏の侵略戦争は計画通りには進んでいません。ウクライナに多くの死と破壊をもたらしただけでなく、彼の戦争は自軍にも甚大な被害をもたらしました。

大統領は当初、戦うのは「職業軍人」だけだと主張したのですが、のちに何十万人ものロシア市民を戦争に動員しました。ロシア人にとっての経済的な負担も、相当なものになっています。

クレムリンはかつて、プーチン氏は「ミスター安定」だとするイメージをロシア国内に広めました。


そのイメージ戦略は、今ではかなり説得力を欠いています。ひょってして、今後ロシアの現実的な軍事戦略によって、ドニエプル川より東の、ヘルソン州とザポロジェ州および、既存の占領地であるドネツク州、ルガンスク州はロシア軍によって維持されるかもしれません。

ただプーチンのカリスマ性は元には戻らないでしょう。

2018年3月18日に行われた、大統領選挙において、ウラジミール・プーチンは圧勝しました。ただ、当時からロシア政治の問題は2024年であるということがいわれていました。


ロシアの大統領は任期が6年ですので、2018年にプーチン氏が勝ったので、2024年に次の任期が終わるわけです。そこで、次の任期が終わった時に一体どうなるのかが、重要な課題となります。

ウクライナ侵攻がなければ、プーチンがまた勝つ可能性はかなり高いと考えられました。それを前提として、プーチンは権力の永続化を目指していたようでが、カリスマ性を失ったプーチンはもはやただの人であり、しかも2024年3月に71歳になります。平均寿命の短いロシアではこれはかなりの高齢です。権力の永続化どころか、大統領に当選することも不可能でしょう。

そこで、これから先、一体どんな形のどんな姿の政権になるのかという疑問がわきます。後継者について憶測はありますが、それは憶測の域を出ないものばかりです。

プーチンは昔の専制君主のように、自身は不滅だと信じていたようです。ロシアに後継者育成計画や緊急時対応計画、もしくは現実には何の計画もありません。メディアが「プーチン後」について口を閉ざしていた理由もここにあります。

ロシアがこれと似たような状況にあったのは、100年も昔のことではありません。スターリンが死去した後には、ロシアのニュースはしばらく途絶えました。米国の識者たちは当時、スターリンには自ら選んだ後継者がいるのか考えを巡らせていました。

スターリンの遺体

しかし、スターリンの没後数年のうちに、後継者育成の計画や手続きがなかったことは明白になりました。ロシアには混乱が生じ、権力闘争が繰り返し繰り返し行われました。この限られた観点で言えば、歴史は悪くない教科書でしょう。プーチン後のロシアがどうなるか、またはどうなるべきか、それを知る者は誰もいないと考えて差し支えないでしょう。

激烈な権力闘争になるのは確実であり、それで終れば良いですが、悪くするとそれが高じて内乱から内戦になる可能性すらあります。


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2022年11月11日金曜日

岸田首相「任命責任重く受け止める」 葉梨法相更迭―【私の論評】ワイドショー政治まっしぐらの岸田総理には、一刻も早く退場願うべき(゚д゚)!

岸田首相「任命責任重く受け止める」 葉梨法相更迭

記者団の質問に応じる岸田文雄首相=11日午後、首相官邸

 岸田文雄首相は11日、葉梨康弘法相を事実上更迭したことについて、「(葉梨氏の)任命責任を重く受け止めている。山積する課題への取り組みを進めていくことによって職責を果たしていきたい」と述べた。

 首相は、葉梨氏から11日の参院本会議後に辞任の申し入れがあったと言及。山際大志郎前経済再生担当相に続き、閣僚が短期間のうちに相次ぎ辞任したことは「大変遺憾に思う」と語った。

【私の論評】ワイドショー政治まっしぐらの岸田総理には、一刻も早く退場願うべき(゚д゚)!

葉梨法務大臣

法務相の問題発言とされた内容は以下から御覧ください。


葉梨法務大臣の発言の問題となっている部分は次の部分です。

「法相というのは、朝、死刑のはんこを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういう時だけ、という地味な役職」という挨拶の後で、「実は法務省は憲法を具現化する、理念を具現化する、そういう行政」と繋げています。これがなぜ問題発言なのかよくわかりません。

本文では、判子を押すことを指して地味とは言っていません。どちらかというとこの発言はマスコミのスタンスを批判しているというか、皮肉っている内容だと思います。。

しかし、マスコミは「死刑のはんこ押す地味な仕事」という発言であるかのように印象操作しています。マスコミが蛇蝎のように嫌われるのは、こういうところだと思います。

ただ、この発言は誤解される可能性もあるので、「配慮が足りなかったかもしれない」で謝ればそれですむことだと思います。あっさり辞任とは驚きです。

今回の法相の発言により、特に誰も損害を被っていないようですし、リベラル・左派系のひとの一部は騒いでいるようですが、他の人達はさほど大きな批判もしていないようです。大批判してるのは、マスコミです。私は、これに関する報道がされたとき、「何が大問題」なのか、というかマスコミが何を大問題にしているのか、すぐには理解できませんでした。

「ワイドショーを重視してる岸田総理なら葉梨法相をひょっとしたら更迭するかも」と今日は、他の人と雑談しましたが、まさかこんなに早いタイミングで更迭したのには驚きました。岸田総理はワイドショー民のためにはサービス精神旺盛なようで、なぜか検討もろくにせず即断するようです。まさに岸田政治は、ワイドショー政治ということがいえそうです。


葉梨康弘法相の“死刑ハンコ発言”で更に窮地に陥った岸田政権です。NNN読売の11月調査で防衛力強化に賛成は68%で反対23%を圧倒しました。反撃能力保持も賛成52%で反対41%を上回りました。中国の脅威への危惧は80%。そんな中岸田政権は、“総合防衛費”なる目眩ましで真水の防衛費増を拒否する始末です。


我が国の国益の為には、法相ではなく、林外務大臣こそいち早く交代させるべきです。

それに、一昨日このブログでもとりあげたように、自民党参議院議員の「松下新平氏」は「中国秘密警察日本支部」の高級顧問です。法相発言よりこちらのほうがよほどの大問題です。法相解任ではなく、辞めるべきは中国のスパイでしょう。

松下新平議員(右)

“辞めさせません”から一転“更迭”と、信念のない岸田首相の迷走です。直接の部下である大臣を護らず、敵に迎合し首を切る総理大臣を部下は信頼できるでしょうか。部下を護らない者には誰もついて行くものはいません。自民党は総裁交替を真剣に検討する時がきたようです。

人の話しを聞く岸田総理は、そもそも信念などなく、バイデン氏と会えば米に良い顔をし、習近平氏と会えば中国に引きずられ、プーチンに会えばロシアに良い顔をし、金正恩に会えば北朝鮮にひきづられるレベルの人としか思えません。

永田町では“来年の広島サミットまでもたない”の声がありますが、焦点は「総合防衛費」問題に移ってきたようです。国民の命を危うくするこの方針を葬れなければ今度は自民党が毀損されることになりかねません。

岸田総理には、一刻も早く退場願うべきです。自民党は、新たな総裁のもとで、新たなスタート切っていただきたいものです。

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2022年11月10日木曜日

三選果たした習近平の誤算―【私の論評】習が現役のうちに党規約に「習近平思想」と表記されれば、独裁体制確立とみるべき(゚д゚)!

三選果たした習近平の誤算


【中国深層リポート】共産党内の反発で、思い通りにならなかった党規約改正

 中国共産党二十回代表大会(二十大)は衝撃的な指導部人事を発表して幕を閉じた。習近平主席の浙江閥が通称チャイナセブン(共産党政治局常務委員会の7人)を独占し、表向きは習派の完全勝利。だが、実は習の高笑いは聞こえてこない。

 習近平への忠誠心とイデオロギーの一致が、能力よりも重視された指導部メンバーが発表された。その翌日、中国株は国内外の市場で急落した。投資家が新指導部に対する失望を表明したのだ。習近平が市場開放追加策など株暴落を防ぐ手を打ったにも関わらず、外資は競い合って逃げ出す有様だった。

 中国国内にも悲観的な雰囲気が漂っている。不動産市場もバブル崩壊の兆しをみせ、豪邸が半額で売られ始めた。

 知人からは「定年になったが資産は持っているので、日本への移民は可能か」との問い合わせがあり、驚いた。著名な映画監督の馮小剛がアメリカ・ロサンゼルスの豪邸で暮らす写真がSNS「微博」で拡散し、彼と家族がアメリカに逃げ出したと伝えられた。22万のフォロワーを誇る彼の「微博」の書き込みは全て消された。

 知人の多くは「二十大のあとに、中国はゼロコロナ政策を中止すると期待していたのに、この指導部の顔ぶれではもう期待ができない」と嘆く。「CCTV」など政府系メディアに習近平の”勝利”と宣言された「二十大」のあと、中国の人々は重苦しい失望感に襲われて「習近平の新時代」を祝う雰囲気はなかった。

 習近平の最大の誤算は党の規約修正だ。目指す「北朝鮮化」の実現のために、個人崇拝禁止の条項を取り除き、自分を毛沢東並みの地位に持ち上げるはずだった。だが、実際に発表された修正案にはその目的は反映されていなかった。

 「習近平思想」もなければ、「人民領袖」や「二つの確立」もなかった。台湾に関しても「台湾独立を断固として反対し,抑制する」と追加しただけで、習近平が大会報告で公表した「決して武力行使の放棄を約束しない」と言う文言は加えることができなかった。党内に武力統一への反対意見が多く存在するのだろう。

 習近平が台湾を香港のように早く手にいれることに拘っていることは周知の通りだ。「二十大」期間中の17日に、「中国は台湾統一を早める意志を持っている」とブリンケン米国務長官が警告を発した。習政権に対する牽制だが、米国なりに掴んだ情報を分析した結果だろう。

 習近平は自分の任期内の台湾統一を計画しているのだ。従って、党規約に習近平の意向をもっと盛り込んでもいいはずだった。しかし、ふたを開けてみたら、修正は習近平報告よりもソフトな内容となった。また習近平終身制に有利な国家主席制度の復活のための規約改正も実現できなかった。

 この点こそ、一部の長老たちや軍のトップ及び党内の改革派など”反習近平勢力”の抵抗が功を奏した結果だと思う。今夏の「北戴河」会議では激しい争い(【中国深層リポート】
北戴河会議後も習・李の路線の違いくっきりを参照)があったと伝えられたが、その結果は「二十大」につながり、現在のような修正案となったとみられる。

 李克強首相も含めた共青団派が全員排除されたというのが大半の意見だが、李自らが引退覚悟で習近平に異議を唱え続けたという見方もあった。中国の路線を改革開放と逆の方向に向かわせようとする習近平派に抗議する意味で「青年団派」が全員身を引いたとも見える。

 その見方を裏打ちするのが10月24日の記事だ。新華網が新華社記者の署名付きの記事で新しい政治局常務委員選抜を取り上げた。それによると、習近平は年初から党員たちと対話を重ね、意見をくみ上げたうえで、人事を決定、一部の党と国家指導同志は自ら退職を希望したと強調した。

 習近平派が勝利した指導部人事だが、晴れの舞台に登場した7人の顔には笑顔がなく、規則を破った後ろめたさが隠せなかった。

 胡錦涛が大会の閉幕式で不本意に退場させられたことも習近平の勝利をアピールしたい「二十大」に影を落とした出来事の一つだ。習政権は胡氏の健康問題が退場の理由だとごまかしたが、余波は大きく広がった。

 胡一族軟禁説から息子の逮捕説まで、噂が後を絶たない。中国政府は息子の胡海峰・浙江麗水市書記をメディアに登場させるなどして、噂の取り消しに躍起だ。恩人である胡錦涛をあのような形で退場させた習の冷酷さが世間に知られ、大きなイメージダウンとなったことは確かだ。

 このことは、今後の政権運営にも影を落とすだろう。

林 愛華 (国際ジャーナリスト)

【私の論評】習が現役のうちに党規約に「習近平思想」と表記されれば、独裁体制確立とみるべき(゚д゚)!

日本のほとんどメディアでは、共産党大会において、習近平の一方的勝利のように報道されていますが、上の記事と同じく私はそうではないと思っています。そのため、上の記事を読んだときには我が意を得たりという思いがしました。

それについては、以前このブログも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
習氏、3期目へ権威確立 李首相は最高指導部退く 中国共産党大会が閉幕―【私の論評】習近平の独裁体制構築までには、まだ一波乱ある(゚д゚)!

10月22日、中国・北京で開かれた共産党大会の閉幕式に出席した習近平総書記(国家主席)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみを掲載します。

党規約の中の習近平の思想が「習近平思想」と書かれるようになれば、そうして習近平が現役のうちにそうなれば、習近平の独裁体制が成立したとみなせるでしょうが、まだそうはなっていません。

習近平の独裁体制が確立できるかどうか、それまでにはまだ一波乱ありそうです。また、習近平が権力を握るにしても、握れないにしても、中国経済は以前このブログでも述べたように、国際金融のトリレンマと、米国による半導体の〝対中禁輸〟という2つの構造要因でこれから、従来のように伸びることありません。それどころか、かなり落ち込むことになります。

中国経済が誰の目からみても、かなり落ち込み続けることが明らかになる前までに、習近平が独裁体制を整えなければ、それは不可能になるでしょう。期限は来年中でしょう。

中国の党規約に「習近平思想」という文字は未だに見られません。いまでも「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」と長たらしい名前で掲載されています。

この意味についいては、以下の記事でその詳細を説明しました。

中国で進められる「習近平思想」の確立と普及―【私の論評】党規約に「習近平思想」と平易に記載されたとき、習近平の野望は成就する(゚д゚)!

2019年4月中国社会科学院が編集した『習近平新時代中国特色社会主義思想学習叢書』が出版された

 もし習近平が毛沢東主席並みに偉大な思想家であれば、シンプルに「習近平思想」とすればよいのなぜ、「習近平新時代中国特色社会主義思想」としたのでしょうか。

もうひとつは「習近平新時代」の意味するところが、よくわかりません。

結論からいえば、長い思想名となったのは政治的妥協の産物だからでしょう。演説集は、出版されているものの、著作が一作もない習氏の考え方を「思想」と位置づけて良いものなのでしょうか。

党内でも様々な意見がありながらも、周到な根回しが済んでいる重要案件を、党大会で無下に却下するわけにもいかず、そこで党内の知恵者が『新しい時代をユニークな社会主義路線で指導する習近平思想』はどうか等と提議して、双方が歩み寄った結果ではないでしょうか。
今回も「習近平思想」なる言葉が党規約に盛り込まれることはありませんでした。ということは、この読みは正しかったと考えらます。

中国共産党内の内部抗争は、非常に複雑で、外部からはうかがい知れないところがありますが、この見方は、非常にシンプルで理解しやすいです。

今後も習近平が独裁体制を完全に掌握したかどうかの、メルクマール(目印)になり続けるでしょう。

やはり、習近平が独裁体制を掌握するまでには、一波乱ありそうです。

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2022年11月9日水曜日

自民党議員が警視庁マークの「中国人女性」に溺れて首相に紹介 夫婦関係は危機に、情報漏洩リスクも―【私の論評】岸田政権は、日本の警察拠点と指摘された施設にを徹底的に調べるべき(゚д゚)!

自民党議員が警視庁マークの「中国人女性」に溺れて首相に紹介 夫婦関係は危機に、情報漏洩リスクも

中国文化センター開所式で挨拶する松下新平自民参議院議員

中国の「海外警察」が日本にも

 英国の公共放送BBCが先ごろ〈中国、警察の出先機関を外国で設置か〉と報じたが、なんとこの「違法拠点」は日本にも設置されている。さらに、自民党の松下新平参院議員(56)は、登記されている問題の団体の常務理事である40代の中国人女性と“密接”な関係にある上、この団体の「高級顧問」という役職に就任していたというのだ。

 すでにオランダやアイルランドなどは、中国の「海外警察」に対し、違法拠点として閉鎖を命じているというが、中国の公安局が中国国内向けに公開した海外拠点のリストには東京都千代田区の住所が記されている。その住所には「一般社団法人日本福州十邑(じゅうおう)社団聯合総会」(以下、福州十邑聯合)という団体が登記されており、中国の公安局が福州十邑聯合を隠れみのに「海外警察」の活動を行っている懸念があるのだ。

警視庁がマークする人物を秘書として雇用

 今回、問題の核心にいるのが、福州十邑聯合の常務理事に就いている「呉麗香(仮名)」という40代の中国人女性。表向きは日本でナマコの貿易商を生業にしている。だが実は、松下議員と密接な関係にあるとして、警視庁にマークされてきたという。

 かつて総務副大臣をつとめ、党政調副会長や外交部会長なども歴任してきた参院4回生の松下議員は、呉氏を「外交顧問兼外交秘書」として雇い、名刺を持たせ、参院議員会館に自由に立ち入りできる「通行証」まで取得させていた。

 「警視庁公安部はかねて呉氏との関係から松下議員を監視対象にしてきました」

 とは警察庁関係者。

 「何しろ松下事務所の“外交顧問”として議員と行動を共にし、議員が外務省や経産省の役人を呼びつけて行わせるレクチャーにも同席するなどしている。行政府の機密情報や立法府の重要事項が漏洩している危険性を懸念せざるを得ません」

 「通行証」の写真に見えるごとく美貌の呉氏。松下議員は数年前から自身の夫婦関係を危うくするほど彼女に入れあげていた。2020年10月には、首相官邸で開かれたパンケーキの試食会にも呉氏を帯同しており、当時の菅義偉総理に引き合わせている。

 さらに、他ならぬ松下議員自身も福州十邑聯合の“高級顧問”に収まっていたというから、異常事態である。

「娘は再三再四、注意していた」

 また、松下議員は、呉氏の登場により自身の夫婦関係を崩壊させようとしていた。

議員の選挙区である宮崎県内に暮らす妻の母親は、こう憤る。

「3、4年前まで娘はひとり宮崎に残って地元のあいさつ回りをしていたのですが、急に松下から“もうお前は一切、仕事に出るな”と言われるようになったそうです。その頃に、呉と懇意になったんでしょう。松下から“お前がいるから大臣になれない”なんて言われたと娘からは聞いています」

 妻は3人の娘を育て上げ、地元・串間市の元市長と血縁であることから議員本人に成り代わって選挙を戦ってもきた。現在、夫婦は離婚調停中だという。

 「あとは松下が判を押してくれればいいだけなのに押してくれない。自分の体裁を守るためなんでしょう。娘は、得体の知れない中国人の呉が政治家である松下の近くにいることについて再三再四、注意していた。でも、彼は全くその言葉を聞き入れず、いつも呉の言うがまま。事務所で彼女の気に食わない人がいれば、松下がその意を受けて辞めさせるなんてこともあったそうです」(同)

一連の問題について松下議員を質すと、以下の回答が。

 「お尋ねの女性と議員には男女関係はありません。また、現在、当事務所において(参院議員会館の)通行証を交付している人物に上記女性はおりません」

 11月10日発売の「週刊新潮」では、国際的に問題となっている中国の「海外警察」問題と、日本拠点の実態について詳報する。

「週刊新潮」2022年11月17日号 掲載

新潮社

【私の論評】岸田政権は、日本の警察拠点と指摘された施設にを徹底的に調べるべき(゚д゚)!

下の写真は、宮崎県選出の松下新平議員。その左側に居るのが日本国内にある中国警察のトップである女性です。松下氏は先の選挙で当選してしまったのですが、宮崎県民には他に選択肢が無い状況でした。宮崎の自民党は早急に後継者を準備すべきです。よろしくお願いします。


「呉麗香(仮名)」とされる方の写真を以下に掲載します。

呉麗香とされる写真

話題の怪しい中国女性、中国国内向けの記事だと大々的に写真と名前を出してて驚いてしまいます。 彼女本人による記事で 女性の肩書について「日本参議院議員松下新平事務所外交顧問兼外交秘書、日中福清工商会副会長何麗紅」 と誇らしげに書いてあります。全く隠す気がなく大したもんだと思います。sohu.com/a/424705897_28

以下の写真からすると、松下議員が女性を紹介した首相とは、菅総理のようです。

前列向かって一番右が何麗紅

この件で、中国共産党の悪どさがまた1つ、明らかになったといえます。国際法や他国の主権を無視して、米国や欧州、アフリカ、南米、日本などに「海外警察サービスセンター」と呼ばれる独自の警察拠点を築いていたというのですから、驚きです。犯罪者だけでなく、反体制派の摘発が狙いであるのは確実です。

この問題は、スペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・デフェンダーズ」が9月12日、中国の海外警察サービスセンターの活動を詳細に調査した報告書を公表して、明るみに出ました。 

オランダのメディアが10月25日、最初に報じ、その後、英BBCなども追随して、世界に波紋を広げました。オランダ外務省の報道官は「中国警察の非公式出先機関が存在するのは違法」と語り、当局が調査に乗り出しました。

中国側は「海外在住の中国人のための行政サービス・ステーション」と否定しています。 「110 overseas(海外の110番)~常軌を逸した中国の国境を超えた取り締まり」と題された報告書によりますと、中国福州市と青田市の2つの公安当局が、5大陸21カ国で計54の警察拠点を築いていたというのです。

アイルランドのダブリン、オランダのロッテルダムとアムステルダム、英国のロンドンとグラスゴー、スペインはバレンシアとマドリードに3カ所、米国、カナダ、ナイジェリアといった具合です。

なかには、日本の拠点もあります。報告書には「東京都千代田区神田和泉町〇〇」と所番地まで記され、電話番号も付記されていました。ちなみに、この番地を検索すると、中国福州市の関連団体と思われる一般社団法人がヒットしました。

ただし、この団体と警察拠点の関係は不明です。 

いったい、この警察拠点はどんな活動をしているのでしょうか。 

報告書によれば、最初は公安当局が海外で不法な活動をしたり、逃亡した詐欺犯などを摘発する活動が発端でした。やがて直接、海外に拠点を設けて、容疑者に接触し、中国に帰国するよう「説得」する活動に発展しまし。説得といっても、実態は脅迫に近いようです。 

たとえば「中国に帰らなければ、両親や親族が大変な目に遭うぞ」と脅します。応じなければ、実家に「ここは詐欺の巣窟だ」などと記した看板を立てられ、警察の捜査対象であることを付近の住人に知らせる、あるいは子供を学校に行かせない、といった手段が使われたそうです。 

親族は警察に協力する義務を負っており、協力しなければ、彼ら自身が処罰の対象になります。親族が住む家の電力や水道が遮断される場合もあります。犯罪に関連する不動産や資産は当然のように、没収されたといいます。 

その結果、中国当局によれば、2021年4月から22年7月までの間に23万人の中国人が「自発的に帰国」し、司法処分を受けたといいます。 

中国は「中国人が居住してはならない9カ国」を指定しています。トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、ミャンマー、タイ、マレーシア、ラオス、カンボジア、フィリピン、インドネシアです。

実際には、これらの国にも中国人はいるのですが、彼らは「特別な理由」で例外扱いされているようです。

問題の海外警察サービスセンターは、カンボジアを除く8カ国以外の取り締まりに従事しています。センターは福州市や青田市の警察だけでなく、中国共産党中央統一戦線工作部(United Front Work)とも連携しています。 

中央統一戦線工作部は、中国共産党と党外のざまざまな組織の連携を司る党中央委員会の直属組織です。たとえば、新型コロナの発生直後、華僑などを通じて、世界中のマスクや防護服を買い占める作戦の司令塔を担っていたのも、この組織です。 

この1点を見ても、警察拠点が単なる犯罪者の摘発や行政サービスを担う組織ではない、とわかります。汚職官僚や反体制活動家の摘発にも関与しているのです。 

統一戦線工作部はそれぞれの国の協力者を通じて、情報収集したり、捜査摘発活動の便宜を図ってもらう一方、協力者には党幹部との会合設営や表彰などの形で報奨を与えていました。

 政治犯や詐欺、横領などをして海外に逃亡した容疑者の摘発活動は「フォックス・ハント(狐狩り)作戦」と呼ばれています。

人民公安ニュースという中国メディアは2019年3月23日、次のような記事を掲載しています。 
海外サービスセンターの創設によって、青田市警察は海外に逃げた逃亡犯の確保にめざましい突破口を開いた。2018年以来、警察は海外在住の中国人に関係した6件の犯罪を摘発し、解決した。指名手配された逃亡者は逮捕され、2人の容疑者は海外センターの協力を受けて説得され、投降した。
これで明らかなように、海外センターは警察活動の一翼を担っているのです。彼らがターゲットにする狐のなかには、単なる犯罪者や汚職官僚だけでなく、政治犯もいたはずです。 

最大の問題は、こうした活動が当該国の同意や合意なしに、一方的な中国の裁量によって実行されている点です。主権侵害や当該国の法律に違反しているのは明らかです。その一端は、中国が2022年9月2日、全国人民代表大会常務委員会で可決した「反テレコム・オンライン詐欺法」にうかがえます。

同法の第3条は、次のように定めている。 
この法律は、中国領土におけるテレコム・オンライン詐欺に適用されるとともに、海外で実行された中国市民によるテレコム・オンライン詐欺にも適用される。また、中国領土の人々に対するテレコム・オンライン詐欺に関わった海外の組織、個人も責任を負う。
つまり、中国は、自国の法律を海外の組織や個人に対して適用するのです。たとえば、日本人が日本にいながら、いつなんどき、中国の法律を適用されて、罪に問われるか分からない、ということになります。法の域外適用が国際的に許されないのは、当然のことです。 

こうした中国のデタラメさには、実は前例があります。2020年に香港に導入した国家安全法だ。同法38条は「香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が香港特別行政区外で香港特別行政区に対し、本法に規定する犯罪を実施した場合は、本法を適用する」と定めていました。

香港で施行されて國家安全法

 自分が勝手に作った法律を、外国にいる外国人にも適用する。正当な弁護を受ける権利も保証されません。あたかも、中国は「世界はオレの言うことを聞け」と言わんばかりなのです。これでは、友好協力もへったくれもない。こんなことを許すべきではありません。 

岸田文雄政権は、日本の警察拠点と指摘された施設について、そこで何が行われているのか、徹底的に調べるべきです。それとも、親中派で固めた政権に、それを要求するのは無理な話なのでしょうか。この問題への対応は、岸田政権の地金を試す試金石となるでしょう。

皆さんも、お気をつけください。美しい女性が、特段の理由もなく、あなたの周りをうろつくようなことがあれば、まずは、中国のハニートラップを疑うべきです。

軽い気持ちで接していれば、取り返しのつかないことになりかねません。

私の偏見かもしれないですが、ハニトラに簡単に引っかかる男は、若い頃にモテなかった人だと思います。 若い時に女にモテなかった人が年を取り、ある程度の資産を築くと、情けないくらい女に弱くなります。ハニトラではないですが、私自身そのような男性を何人か知っています。そういう人は本当に、びっくりするような行動をします。

 ちなみに私は若い時も今も全然モテないので、ハニトラにはめちゃくちゃ弱いと思います。ただ、それを自覚しているかしていないが、運命の分かれ道になると思います。

残念なことに、現在日本には、中国のマネートラップやハニートラップにかかった政治家、学者、官僚、マスコミ関係の人々が相当数存在するでしょう。 ただ、その事実は本人や中国が表に出さない限り明らかにならないです。そのため、松下新平議員の例は、珍しいといえるかもしれません。

しかし、その見分け方は難しくないです。異様なほど中国寄りの行動と発言を取る人のことは、疑うべきです。それからすると、松下氏を知る多くの人が、今回の暴露について、驚きもしなかったかもしれません。ただし、松下議員が、重要な情報を中国に漏らしていたとすれば、これは厳しく断罪すべきです。

日本が生き残るためには、国内の中国スパイを一掃しなければならないでしょう。もしできなければ、日本は中国側の一員と見做され、世界から厳しい目でみられることになります。米国などからは、セカンダリー・サンクションの標的になるでしょう。最悪は、中国の属国となり、50年後は国そのものが消えているかもしれません。

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2022年11月8日火曜日

ウクライナ戦争は外交も追求すべき時が来ている―【私の論評】中間選挙で共和党が大勝利すれば、米議会は包括パッケージを用意し、ウクライナ戦争をやめさせるかもしれない(゚д゚)!

ウクライナ戦争は外交も追求すべき時が来ている

岡崎研究所

 フィナンシャルタイムズ紙の外交問題コメンテーター、ギデオン・ラックマンが、10月17日付けの論説‘Diplomacy should not be a dirty word in the Ukraine war’で、ウクライナ戦争につき、外交とウクライナに対する軍事的支援のこれら二つのアプローチは並行して進めるべきであり、互いに補完するものだ、外交が必要だ、と述べている。主要点は次の通り。


・ロシアは益々必死になっている。ロシアの弾薬は枯渇してきており、プーチンは、残る唯一の道具として核の使用を脅かし、ウクライナや西側の国を譲歩させようとしている。

・62年のキューバ危機に見られたような秘密交渉を伴うような外交がウクライナ戦争には欠落している。

・外交を強力な軍事的支援に代わるものと考えることは間違いであり、外交は戦闘と同時に進んでいる必要がある。

・米国とロシアのチャネルはほとんどない、第三者の外交はもう少し成果が出るかもしれない(例えば、トルコやインド)。

・幅広いパラメーター(交渉要素)の中には、ロシアの2月24日以前のラインまでの撤退、ウクライナの海へのアクセス、空域支配、安全保障など生存可能な国家の保証等があるがクリミアは最大の難問である。創造的解決のための外交がもっと必要だ。

*   *   *    *   *   *

 上記のラックマンの主張は思慮深い。外交交渉には良いタイミングが必要だとは良く言われることだが、2月のロシアの侵略から既に半年が経過、ウクライナの国土やインフラは激しい被害を受け、人命も多くが犠牲になり、今や冬季の到来を控え、ロシアの攻撃により電力供給が激減している。

 他方、ロシアも多くの軍人が犠牲になり(米国は死傷者数7万、8万とも推計)、弾薬やミサイル等の武器の供給能力にも問題があり、政府に近い者を含め国内の反対も根強いと言われる。経済については思いの他に強靭だとの見方もあるが、制裁は相当効いているに違いない。時間が経てば、更に効くだろう。そう考えると、双方にとり外交を追求すべき時期に入っているはずである。

 双方とも出来るだけ戦場で勝って、強い立場から交渉したいと考えるだろう。ラックマンは、外交と戦争は同時並行で進むべきだと言う。外交と戦闘を二者択一に考えるべきでないというのは、正しい(特に現段階に至っては)。

解決点をどこに見出すのか

 もう一つ難しい問題は交渉のパラメーターである。ウクライナ戦争は、この点が特に難しいように見える。外交交渉での取引の均衡が非常に難しい。何故ならこの戦争は余りに酷いロシアの侵略であり、半々のバランスではロシアを利することになる可能性が高い。

 ラックマンはクリミアが最大の難問だと言う。しかし、賠償の支払い、戦争犯罪の追及等の問題もありうる。対露制裁を一挙に解除することもできないだろう。

 ウクライナ対ロシアの取引が難しければ欧州に係る要素や米露関係の要素を入れてパッケージを大きくすることが考えられるが、それも容易ではない。しかし、外交はもう進めるべきであろう。

 仲介者についても、ラックマンの示唆する通り、トルコ、インドの可能性がある。国連も自力ではともかく、何らかの形で関与させるのが有益かもしれない。中国の役割を期待する向きがあるかもしれないが、側面援助はともかく仲介者にするには信用が足りない。

 つくづくプーチンは理屈のない、無思慮な戦争を無謀に始めたものだ。戦争は最低でももっと合理的で、規律のあるべきものだ。

【私の論評】中間選挙で共和党が大勝利すれば、米議会は包括パッケージを用意し、ウクライナ戦争をやめさせるかもしれない(゚д゚)!

米当局者幹部がここ数週間、ウクライナに対して、ロシアとの外交協議に前向きであることを示すよう求めていることがわかっています。情報筋が明らかにしました。紛争の終結が見えず、両国とも和平交渉に熱心ではないため、戦争への関与に対する米国内の支持が弱まることが危惧されています。

こうした協議はウクライナに対して、今交渉を行うよう促すものではありません。米国は、ウクライナ政府が、戦争に対する解決策を見いだすことを希望しており、道徳的にも優位な立場にあることをより明確に示すことを望んでいます。

ゼレンスキー(左)とプーチン

ウクライナのゼレンスキー大統領は10月、ロシアのプーチン大統領との交渉の可能性を正式に否定する法令に署名しました。ロシアがウクライナの4つの州を違法に「併合」したことへの対抗措置でした。

ゼレンスキー氏は法令に署名する前の9月に、「ロシアは、ウクライナの領土を占領していると認める用意ができていない。これは、実質的な会話が行えないことを意味する」と述べていました。

ゼレンスキー大統領がこの法令に署名して以降、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、こうした発言を変えるよう、より圧力を加えるようになりました。

ゼレンスキー氏は10月、「我々は、ロシアと交渉する用意がある。しかし、ロシアの別の大統領とだ」と述べていました。

情報筋によれば、サリバン氏は先週ウクライナを訪問した際、ゼレンスキー氏とこの問題について直接話し合いを行いました。サリバン氏は米国の見方を説明し、プーチン氏とのあらゆる協議を行わないということは、ウクライナが話し合いを拒絶しているというロシア側の物語を補強することになりプーチン氏の思うつぼだと伝えたといいます。

一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は7日、ロシアはウクライナとの交渉に前向きではあるものの、現在はそのタイミングではないと述べました。

ペスコフ氏は記者団に対し、「我々は、ロシア側が交渉を通じて、その目標を達成することに前向きだと繰り返し述べている」と語りました。ただ、ロシアは現時点ではそのような機会を目にしていないとし、理由として、ウクライナ側による、あらゆる交渉を継続しないとの法令を挙げました。

ロシアのプーチン大統領の戦争目的は何なのか、未だにはっきりしません。当初は、ウクライナに電撃戦で侵攻し、キーフ等を手中に収め、ゼレンスキー政権を国外逃亡させて、ウクライナに傀儡政権を樹立し、これをもってウクライナをNATO諸国との間の緩衝地帯にしようと目論んだと考えられます。

しかし、当初の目論見は、ロシア側の予想をはるかに上回る頑強な抵抗にあい、完全に失敗しました。今後、これが成就する見込みは、ほとんどなくなったと言って良い状況になりました。

その後も、ウクライナ領土内での戦争が続いていますが、プーチン大統領は結局何をしたいのか、はっきりしません。無論、相手に手の内を読まれたくないので、そうしているという面もあるのでしょうが、それにしても、戦争目的が全くはっきりしません。そのためか、出口戦略も全く見えてきません。

一方、米国のバイデン政権も似たりよったりのところがあります。米国に戦争の「出口戦略」がないことは、以前から識者が懸念していました。外交問題評議会のリチャード・ ハース会長は、「奇妙なことに、ウクライナでの西欧の目標は初めから明確とは言い難い。ほぼ全ての議論が手段に集中している。何が戦争を終わらせるかにほとんど言及がない。どう戦争を終了すべきかに答えることは、ロシアとの闘争が重大局面をむかえる中、大規模な戦闘の気配がするので、死活的に重要だ」と早くから指摘していました。

西側は戦争終結の出口戦略とウクライナ支援をパッケージにすべきです。ロシア軍の完全な敗北を目指すと核の惨劇のリスクは高まり、そうならなくても人道被害は甚大になるので、西側は武器支援をキーウが受け入れ可能な紛争解決に関連づけ、もうそろそろ「必要であれば(ウクライナへの)軍事支援の栓を閉めることも厭わないと示す」べき時が近づいているのかもしれません。

プーチン大統領は、ウクライナがEUに加盟することには、反対していません。このブログにも以前述べたように、ウクライナが支援パッケージで経済支援を受けた上に、NATOに加盟できた場合、かなりの経済発展をする可能性があります。前世紀には世界中でみられたものの、今世紀に入ってからはあまりみられなかった、かなりの経済発展がウクライナでみられるようになるかもしれません。

それだけ、ウクライナには潜在可能性があります。ロシアから干渉、国内のあまりに酷すぎた腐敗などが一層されれば、人口も比較的多く、宇宙産業、航空産業、IT産業などの基盤が整っているウクライナは大躍進する可能性があります。

ただ、いまのままでは、ウクライナ戦争はいつまで続くかわかりません。今までは、リアルな解決法を模索することは、ロシアのプロパガンダに利用されるだけといえたかもしれません。そのことを恐れたからこそ、2月24日以前の領土を取り戻すことができれば「ウクライナにとっての勝利とみなす」というキッシンジャー氏の発言にゼレンスキー大統領は、激怒したのでしょう。

しかし、戦争が始まってから、9ヶ月近くになっています。もうそのような状況ではなくなりつつあります。この状態が続けば、ロシアは経済的にも軍事的にも疲弊し、ウクライナは自国領土が主戦場ということでかなり疲弊します。両方とも、先が見えないことに対してかなりの不安を感じているでしょう。

もうそろそろロシアもウクライナも理想論や原理原則ばかりを語ってはおられなくなり、現実的な「出口」戦略を模索することになるでしょう。

まさに「戦争にチャンスを与えよ」で米国の戦略家ルトワック氏が語っていたことが現実になるのです。ルトワック氏は、平和な時代には人々は戦略問題を軽視し、近隣諸国の不穏な動きにも敏感に反応せず、日常の道徳観や習慣の方を戦略課題よりも優先してしまう。このために戦争のリスクが一気に高まるといいます。

これは、まさに2014年当時のウクライナであり、現在の日本の状況でもあるかもしれません。


また、戦争が始まると男達は戦争に野心やロマンを見出し、嬉々としてこれに参加しようとします。しかし、戦争が一旦始まり、膨大な量の血と物資の消耗が始まると、最初の野心は疲弊と倦怠感に取って代わり、戦う気力はどんどんと失われていきます。

ウクライナもロシアもこの状況になったか、そうなりつつあるのは間違いないです。

人々は遺恨や憎しみよりも平和を希求するようになるといいます。あるいは抗争中のどちらかの勢力が圧倒的な勝利を収めた際も戦争は終結します。破れた側に闘う力が残されていないためです。戦争を本当の意味で終結させるのは膨大な犠牲を待たねばならないのです。つまり戦争が平和を生むのです。現在、ウクライナ戦争はこの方向に向けて動き始めているといえるでしょう。

この考え方は、リベラルの立場の人たちには、到底許容できない考え方であり、絶対善のウクライナは、絶対悪のロシアに完全勝利しなければならないと考えることでしょう。

しかし、ウクライナはすべきではない妥協はしないまでも、できる妥協はすべきでしょう。これは、ロシアも同じです。

妥協には2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモン王の裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基きます。前者では半分は必要条件を満足させます。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となります。半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

現在、米国では中間選挙が行われています。もし、この選挙で共和党が圧倒的に勝利すれば、米国はウクライナ戦争への政策を変える可能性があります。

現状では、バイデン政権は、ウクライナに対して、ロシアとの外交協議に前向きであることを示すよう求めている状況ですが、共和党が圧倒的な勝利をすれば、米国議会は、出口戦略とウクライナ支援をまとめた包括パッケージを用意し、ウクライナ、ロシア双方に対して妥協点を見出して、戦争をやめるか、休止するようにせまるかもしれません。

この動きに対して、安倍元総理が存命であれば、日本もロシアとウクライナの仲介をし、日本も「包括パッケージ」を用意して、戦争の集結に尽力できた可能性が高いです。それだけではなく、北方領土交渉もかなり進めることができたかもしれません。

ただ、現状の岸田総理と、林外務大臣には、それを望むべくもないでしょう。米国の動きに追従するだけに終わるでしょう。残念至極です。

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2022年11月7日月曜日

このまま財務省の言いなりで終わるのか?岸田首相、最後の手は「埋蔵金」の活用しかない―【私の論評】終戦直後、軍が物資を隠匿しなければ、国民は飢えずにすんだ。今も変わらぬ役人の習性(゚д゚)!

このまま財務省の言いなりで終わるのか?岸田首相、最後の手は「埋蔵金」の活用しかない


旧統一教会の野党法案は評価できるが…


 10月3日に臨時国会が召集されて1ヵ月が経った。既に69日間の会期の半分近くが過ぎたことになる。

 この国会は旧統一教会への対策法案が一つの山場だ。政府・与党は、消費者契約法改正を打ち出し、野党の立民・維新からは救済法案が出されている。

 不安を煽って高額な壺などを買わせる霊感商法の契約を取り消せる現行の消費者契約法について、政府・与党の改正法ではその要件緩和が柱となっている。

旧統一教会の集団結婚式

 一方、立民・維新の救済法案は、寄付金の上限だけでなく被害者の家族による返金要求や罰則の導入などが盛り込まれている。

 元役人の感覚から言えば、野党案はなかなか野心的なもので、興味深い。被害者の家族による返金要求では、家庭裁判所が認定すれば返金が可能になるなど、行政だけでコトを進めないのもいい。

 野党案はやや乱暴なところもあるが、国会で修正すればいいものとなる可能性もある。ただし、与党の公明党は大変だろう。なにしろバックにいる創価学会への飛び火の可能性もあるからだ。その意味で与党が今ひとつ乗り気でないので、成立の可能性は少ないだろう。

 次は物価対策の補正予算だ。一般会計では29兆円程度の規模であるが、その財源は、23兆円程度の国債発行によることになった。

 岸田政権はこれまでも経済対策を打ってきたが、本コラムに書いたように補助金系ばかりで、その執行は必ずしもうまくいっていない。正確な数字は決算まで分からないが、筆者の直感などでは20兆円程度の使い残しがあるように見える。

「埋蔵金」と「消費増税」

 今回、一般会計で29兆円の補正予算となり、その財源は23兆円程度が国債発行になると報道されている。この補正はこれまでの未消化分でかなりの程度予算を組めると思っていたら、さすがに未消化を前面に打ち出すのは不味いので、国債発行で対応するようだ。

 ということは、未消化分はまた「埋蔵金」になる可能性があるということだ。

 このように埋蔵金は、その時々の財政運営や経済環境によって変わりうる。財務省によるフローの一般会計における各種の会計操作は、結局特別会計のストックによって調整せざるを得ない。この点が筆者が特別会計の「埋蔵金」に着目する所以だ。

 本コラムで指摘した外為特会(外国為替資金特別会計)の埋蔵金の存在については、相当な反響があった。11月1日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」に出演してくれと言う依頼があり、VTR取材があった。そのためか、与野党の議員からも様々な連絡があった。彼らには、国会で議論してほしいと答えている。

 いわゆる「霞が関埋蔵金」について、民主党は政策の財源として掲げていたが、政権交代後は十分に出すことができなかった。

 筆者は、埋蔵金について「民主党政権関係者は埋蔵金が出せず、あると騙されたという人もいるが、民主党はZによる事業仕分けやZによる消費税増税したくらいだからZの言いなりだっただけ。ちなみにオレは事業仕分けに参加せず消費税増税反対だったけど」とツイートした。ここでのZとは財務省の意味だ。

 すると意外なことに、立憲民主党の原口一博氏が「確かに、反省している。あるはずの埋蔵金を出せずに、見当違いのところを掘り続けたからだ。後の方は、Zの言いなりの政治家が自爆装置のスイッチを押した。」と返した。

 やはりだ。それにしても、民主党内で消費増税で内部分裂していたのは知っていたが、原口氏の言うとおりの「自爆」で、民主党は政権を失った。筆者は「今国会での論議を期待しています」と返事した。

安倍元首相に失礼だと思わないのか

 埋蔵金というのは、筆者は特別会計における資産負債差額で、使っても特別会計運営に支障の出ないものとしている。筆者が小泉政権時代に着目したのは、財政融資資金特別会計、外国為替資金特別会計などだった。もちろんすべての特別会計をみていたので、少額なものを含めれば他にもたくさんあった。

 民主党政権時代にも埋蔵金はなかったわけではない。国債整理基金特別会計にも10兆円程度弱あったので、当時の野党議員が質問したが民主党政権はやらなかったので、第二次安倍政権になったとき、最初の景気対策で使った。安倍・菅政権の時には、労働保険特別会計にもメスを入れて、景気対策に活用した。

 それにしても、財務省の補正予算のやり方は酷い。標準的な手法なら、使い残しを集めてきて、できるだけ国債発行を抑えるのだが、そうなっていない。

 そのことは、政府税調の消費税増税論議が報道されていたから、筆者にとっては想定内だった。政府税調では「未来永劫10%では日本の財政もたない」などの声が委員から出たと報じられている。国債発行は増税への地ならしなのだ。

 何しろ故安倍元総理は、民主政権の負の遺産である二度の消費増税をやらざるを得なかった。不本意ながらそれを果たした後、「後10年は増税不要」と言ったわけだ。故人に失礼なことを言ってるのが分からないのが、「ザイム真理教」こと財務省だ。

 岸田首相は1年前の自民党総裁選において、安倍首相と同じフレーズを使っていた。それなのに、財務省から増税主張が出てくるというのは、財務省はもはや岸田政権を見限っているのでは、と邪推してしまうほどだ。

 財務省の言いなりのままでは、岸田首相の支持率も低下し、そのうちポイ捨てされてしまうだろう。ここは、外為特会などの埋蔵金50兆円を活用し、新規国債発行なしで補正予算を組み、来年度予算の防衛費なども賄う必要がある。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】終戦直後、軍が物資を隠匿しなければ、国民は飢えずにすんだ。今も変わらぬ役人の習性(゚д゚)!

上の記事にもあるように、埋蔵金を活用すれば、新規国債発行なしで補正予算を十分に組むことができます。にもかかわらず、新規国債発行するのは、高橋洋一氏も指摘するように、一重に財務省が埋蔵金を埋蔵させたままにしたいからです。

2008年当時の埋蔵金

それは、以下からも明らかです。

政府は今後の防衛費増額に充てる財源の一つとして、厚生労働省所管の2つの医療系独立行政法人に対し、積立金(利益剰余金)の国庫返納を前倒しで求める方向で調整に入りました。

独法は関連法で業務運営計画である中期目標期間の終了時に保有する積立金を国庫に納めることが定められていますが、期間途中での返納は異例です。防衛費増額の財源は年末の国家安全保障戦略など「安保3文書」改定に合わせて決める必要があり、早期返納はこれに道筋を付ける狙いもあるとされています。

返納を求めるのは、全国有数の公的医療機関グループである国立病院機構(NHO、楠岡英雄理事長)と地域医療機能推進機構(JCHO、山本修一理事長)の2法人。令和3年度の積立金はNHOが819億円、JCHOが675億円となっています。

両法人は、政府が新型コロナウイルス流行時の病床確保に向けた補助金を支給し始めた2年度以降、収益が急速に改善しました。計87ある独法の中でも積立金が突出して増えたことから、早期の国庫返納を求めるとされています。

JCHOは、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が今年3月末まで理事長を務めていました。コロナ病床だと申告し、補助金を受け取りながら患者を受け入れない「幽霊病床」の存在も指摘されていました。

両法人の中期目標期間はともに5年度までの5年間で、積立金の返納は通常ならば6年度となります

政府は防衛費増額の財源確保策の一つとして両法人の積立金を計上するため、今月に入り、両法人に早期の国庫返納を求める方向で検討に入りました。独法の関連法には国庫に前倒しで返納する規定がないため、新たな立法措置も検討するとしています。

独法による早期の国庫納付を巡っては、東日本大震災の復興財源にあてるため、平成23年度に特例法によって鉄道建設・運輸施設整備支援機構が積立金1・2兆円を納付した例があります。

財務省は自分のところの巨額な埋蔵金(50兆円)を温存するために、他省の小粒な埋蔵金(0.1兆円程度)に話をそらしているとみえます。

そもそも、財務省は本当に矛盾しています。日本政府が財政破綻するというのなら、本来ならば真っ先に埋蔵金を取り崩して、経済対策などを行うべきです。

埋蔵金を使わずに、新規国債を発行して、経済対策をするというのですから、やはり埋蔵金をなるべく温存しからでしょう。

岸田政権が埋蔵金の有効活用ができないようでは、やはり財務省の言いなりであり、しかも、財務省からはすでに見限られているとみるのが妥当だと思います。

日本の終戦直後には、官僚による物資隠匿が日本国民に悪影響を及ぼしたことがあります。とにかく、日本の役人は昔から物資などを隠匿する習性があるようです。それについては、このブログも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【田村秀男のお金は知っている】「新型ウイルス、経済への衝撃」にだまされるな! 災厄自体は一過性、騒ぎが収まると個人消費は上昇に転じる―【私の論評】今のままだと、新型肺炎が日本で終息しても、個人消費は落ち込み続ける(゚д゚)!
日本は確かに、原爆を2発も落とされ、主要都市はことごとく爆撃され、とんでもない状態になりましたが、それでも統計上は終戦直後には、国富の70%が残り、そこからスタートしたのであり、良くいわれているように戦後のやけのヶ原でのゼロからのスタートではなかったのです。

大都市や中核都市は焼け野原になっていても、地方での農産物や、製造の基盤は残っており、そこからのスタートであり、決してゼロではなかったのです。そのような物資や基盤を求めて、終戦後しばらくの間は北海道への他地区からの移入が続きました。

しかし、日本の場合は他の先進国では見られなかった特殊な現象がありました。それは、軍部による様々な物資の莫大な隠匿でした。それは、金塊から、米、小麦粉、砂糖、塩、医療品、衣服など様々な膨大な隠匿物資があったことです。
NHKスペシャル「東京ブラックホール」で紹介された、旧日本軍による隠匿物資
これらは、戦争中は戦争継続という意味合いで、まだ理解できますが、戦争が終わっても隠匿していたのは理解できないところです。これは、はっきり言うと犯罪です。

このように、様々な物資が隠匿されたため、終戦直後の多くの国民の生活はかなり貧しいものでしたが、それら隠匿物資も、米軍に摘発されたり、闇市で売られるようになったり、その闇市が日本の警察によって摘発されるなどして、市場に出回るようになりました。そうして、ご存知のように日本は驚異の高度成長を遂げることになるのです。

日本の軍人というか、陸軍省等実体は役人ですから、何やら日本の役人には、物資を隠匿するような習性が元々あったようです。そのような習性は、現在の財務省の官僚や、日銀の官僚などに今でも色濃く受け継がれているようです。

主戦直後の食糧不足については、親や祖父母からも聞いたことがあります。ただ、こちらは、北海道札幌市ですから、まだ本州と比較すれば、さほど酷いとは言えなかったようですが、それでもひどかったようです。

多くの人が飢えに苦しまされたといわれています。闇市などもありましたが、法外な値段で売られておりなかなか多くの人が入手することはできませんでした。

闇市というと、闇市で捕まった人たち裁判で裁く裁判官が、一切闇市のものは口にしなかったので、餓死してしまったという悲惨なこともありました。

終戦直後は、軍(とはいえその本質は役人)は、米や小麦粉、金塊などを隠匿しました、それは現在の価値に直すと、数兆円に及ぶといわれています。信じがたいことです。そのため実際に多くの人がなくったり、栄養失調になったりしたのです。

そんなことをすれば、自分の家族や親戚や、知り合いだって、とんでもないことになるかもしれないことなどは、お構いなしでそのようなことをしたのです。

現在の財務官僚も同じです。埋蔵金をため込み、それを放出しようとしないのですから、隠匿物は異なるものの、その本質は変わりません。

結局どの時代にも役人なるものは、その機会があれば、物資でもお金でも、溜め込む習性があるのです。

この役人の習性はどこかで必ず打破しなければなりません。岸田総理が経済対策のために、埋蔵金を利用することを決心すれば、その一歩となるはずです。

それを実行すれば、岸田総理は名宰相として歴史に名をとどめるでしょう。財務省にいわれるまま、増税などしてしまえば、国民から離反され、財務省からはいいように使われ、捨て石にされるだけになります。

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2022年11月6日日曜日

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岸田首相、日本の税収「過去最高68兆円超」でも増税目指す…SNSでは怒りの声「なんで還元しない?」「国民の敵としか思えない」


 11月4日、2022年度の一般会計税収が「68兆3500億円余り」と、過去最高額となる見通しだとロイター通信が報じた。所得税、法人税などが堅調に推移しているという。

 国の税収は、増加の一途をたどっている。2020年度には60兆8216億円、2021年度は67兆378億円と、連続で最高額を更新。2022年度の税収が報道どおりなら、3年連続で最高額の更新となる。

 一方、相次ぐ物価高により、国民の生活は苦しい。食料や日用品だけでなく、電気・ガス代の負担も上がり、10月からは雇用保険料も値上げされた。

 それでも、岸田文雄首相はあくまで「増税」を目指しているようだ。経済記者がこう語る。

 「ここ最近、国民の負担増につながる政策が次々と提案されています。まず、10月末の政府税制調査会では、複数委員から『消費税率アップの議論をすべき』『10%のままで日本の財政がもつとは思えない』などの意見が出ていると報じられました。

 ほかにも、社会保障審議会の部会で、国民年金保険料の納付期間を5年間延長する議論がなされています。2023年度から保険料の年間上限額を2万円引き上げ、年間104万円とする方針も了承されました。

 また、政府は車の走行・重量・環境に応じて課税する『道路利用税』、株式の譲渡益や配当から得られた所得に対する『金融所得課税』の見直しについても検討しています。列挙すればキリがありません」

 “超重税国家” を目指すかのような政府の動きに、SNSでは怒りの声が殺到している。

 《なんで増税するの?国民は貧窮してるのになんで減税しないの?余ってるなら還元してくれよ》

 《多くの国民の生活が逼迫していく中、反比例して政府にお金が集まっている。国民の「敵」としか思えない》

 《ただでさえ末端にお金が行き渡っていない日本社会において『日本社会から68兆円分のお金を消失させて国民を更に貧しくすることに成功しました!』ってドヤ顔されても困るぜよ…》

 《『国の税収はコロナ禍でも伸び続け…』それ自体がおかしいでしょ!?なんで還元しないの!?鬼ですか!?》

 岸田首相は、どこまで国民からむしり取ろうとするのだろうか。

【私の論評】 岸田総理は、増税して未来永劫「財務省の操り人形」と謗られるか、大宰相となるのか、その瀬戸際に(゚д゚)!

上の記事は、雑誌FLASHのものですが、さすがに現状で増税論議ということについては、マクロ経済に疎いマスコミの記者でも、やはりおかしいと感じるのでしょう。

安倍元総理大臣は、政治家の中ではマクロ経済を一番理解していましたから、現状での増税に関しては大反対であり、その理由や、増税しないで国債を発行すべきではないことを主張していました。さらには、国債を発行しても、それは将来世代へのつけにはならないことの理由も説明していました。

ただ、安倍元総理のこうした主張については、マクロ経済の知識を持っている人なら、理解もしたでしょうが、そうではない人は必ずしも理解していたとはいえないかもしれません。

ただ、安倍元総理が存命のときには、安倍元総理は与党自民党内でも力のある政治家であり、財務省も警戒して、増税したくてしたくて、たまらない気持ちを表には出さず、たとえば防衛費を上げるにしても、海保の予算も組み入れるなどのことで、防衛費を嵩上げして実際にはさほどあげないようするなどの、目立たないようにしようとする姿勢等がみえました。

ただ、安倍元総理が亡くなった途端に、財務省が急にせり出してきて、自らは直接増税を言わないようにしながも、税調を財務省の走狗のメンバーで固め、そのメンバーなどに増税論をどんどん言わせるように仕向けたようです。

そうして、税調のメンバーも財務省の洗脳により増税正義と信じている人々の集まりで、これまた、安倍元総理が亡くなってタガが外れたためか、堰を切ったように「増税、増税」と叫ぶようになったようです。

ただ、あまりにも増税色が強くなったため、多くの国民から反発を買う結果になってしまったようです。

上の記事には示されてはいなかったものの、10月26日、政府の税制調査会は、自動車税制の見直しに着手していて、そのなかで「走行距離課税」が浮上したことが報道されかなりの反発を招いています。


ハイブリッド車の普及などで、ガソリン税・軽油引取税などの燃料課税は減収が続いています。2022年度は3.2兆円で、2007年度から約1兆円減る見込みです。ガソリン税・軽油引取税は「道路特定財源」として、道路の維持や整備に使われており、その代替となる財源を確保する狙いだとされています。

ただし、道路などの財源などは、そもそも税金で賄おうとするのが間違いであり、本来は建設国債などで賄うべき筋のものです。これは、マクロ経済的にはごく当たり前の考え方です。

ただ、マクロ経済に疎い人は、財務省や財務省からレクを受けた政治家などから、燃料課税は減収が続いているから、などと真顔でいわれると「そうなのかな?」などと思いこんでしまうのかもしれませんが、ただ、上の記事にもある通り、22年度(21年)の税収は過去最大であることが報道されており、これを知れば、「なぜ増税?」と考えるようになるのは当然のことだと思います。

これは、やはり税調が強力な「増税路線」に走ったことが原因だと思われます。2018年度の国の一般会計の税収が60・4兆円となり、バブル期末期の1990年度を28年ぶりに上回って過去最高額を更新しました。世界経済の好調で株式の配当収入が増え、所得税収を押し上げたためです。


2018年度(2017年)といえば、コロナ以前であり、安倍総理も存命中であり、税調も増税一辺倒でありながらも、現在のように「増税」「増税」と叫ぶようなことはありませんでした。

そのためもあってか、当時は税収がバブル期を超えたからといって、「還元しろ」とか「国民の敵としか思えない」など反発の声は、起こってはいませんでした。

やはり、税調が「増税」「増税」の声をあからさまに上げたため、税収が過去最高でも、増税するという異様な姿勢が浮かび上がったものと考えられます。

ただ、政治に関心のある人は別にして、それ以外の人は、税調のバックには財務省がいて、財務省が何が何でも増税したいと考えているとは思っていません。

税調はあくまで「岸田政権」下の組織であり、岸田総理自身が、増税したいと考えていると捉えます。上の記事もまさにその論調です。


このまま、財務省の増税路線に乗ったまま、増税を続ければ、国民からは離反され、支持率が低下して、党内政局が岸田政権を終わらせる方向で動き出すかもしれません。一方、そのような動きが出ても、財務省は岸田総理をかばうようなことはしません。彼らにとって、時の首相など捨て石にすぎません。

岸田総理は国民から見放され、財務真理教団にはカモにされるために、総裁選に出たのではないはずです。 増税して未来永劫「財務省の操り人形の木偶の坊」と謗られて石を投げつけられるか、それとも国難に際して「大型補正予算」で国民を救った大宰相となるか。今岸田総理はその瀬戸際に立たされています。

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