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2025年12月6日土曜日

中国の歴史戦は“破滅の綱渡り”──サンフランシスコ条約無効論が暴いた中国最大の矛盾


まとめ
  • 今回のポイントは、中国のサンフランシスコ講和条約無効論が、台湾から日本国憲法まで巻き込みながら、結局は“中国自身を追い詰める矛盾”を露呈した点である。
  • 日本にとっての利益は、この構造的な矛盾を正確に把握し、国際社会へ明瞭に示すことで、歴史戦で中国に対抗する“論理と正当性の主導権”を握れることである。
  • 次に備えるべきは、歴史戦・情報戦の本格化を見据え、事実と整合性を武器とする日本の発信体制を強化し、“揺るがない国家”として立ち続ける準備である。

1️⃣なぜ中国共産党はサンフランシスコ講和条約を嫌うのか

サンフランシスコ講和条約の調印。首席全権の吉田茂首相が最後に署名=1951年9月8日

中国共産党は、歴史の話になると急にアクロバットを始める癖がある。
普通なら安全な橋を渡ればいいところを、わざわざほつれた綱の上で走り出し、
「我々こそ歴史の正義だ」と声を張り上げる。その奇妙な芸の代表が、
「サンフランシスコ講和条約は無効だ」という主張である。

サンフランシスコ講和条約は1951年に調印され、翌52年に発効した。
日本はこれによって正式に主権を回復し、台湾・朝鮮半島・千島列島などの戦後処理が国際法上整理された。戦後アジアの秩序を支える“基礎杭”のような存在だ。これを抜けば、アジアの戦後秩序はたちまち傾く。

では、なぜ中国はこの条約を嫌うのか。

理由の一つは、自分がこの条約の場にいなかったという歴史的事情だ。当時は中華人民共和国と中華民国が並び立ち、国際社会はどちらを正統政府と認めるか決められなかった。宴会の席に「佐藤」が二人来て、どちらも本物だと言い張るような状況である。どちらか片方を呼べば大騒ぎになる。結局アメリカは「両方呼ばない」という判断をしたまでだ。

しかし本当の理由は別にある。

中国共産党は、戦後の国際秩序そのものを気に入っていない。
戦後秩序はアメリカを中心とした自由主義陣営がつくったもので、中国は“後から入った新参者”として、その枠に収まる気などさらさらない。だから習近平は2021年の国連演説で「国際秩序は特定の国が作ったルールであってはならない」と述べた。
言い換えれば、「今ある秩序は嫌だ。中国の都合のいいように作り直したい」という宣言である。

サンフランシスコ講和条約は、その戦後秩序の象徴だ。
だから中国は、何としてもこの条約を否定したいのである。

しかしここで重大な勘違いがある。
日本国憲法は明治憲法の改正として成立し、その後の主権回復はサンフランシスコ講和条約によって国際的に確認された。つまり、戦後日本の国家体制は、国内の憲法と、対外的な講和条約という両輪で成立している。

サンフランシスコ講和条約を無効と言い出すことは、日本の戦後国家の正統性そのものに難癖をつける行為だ。
まるで他人の家の基礎を壊そうとして、自分の足元が抜け落ちるようなものだ。その危険に気づかないまま、中国は綱渡りを続けている。
 
2️⃣無効論の破壊力

台湾も、朝鮮半島も、北方領土も、日本国憲法も巻き込んでしまう

では、中国が主張するようにサンフランシスコ講和条約が“無効”ならどうなるのか。
その帰結は想像以上に破壊的である。

まず台湾だ。
日本が台湾を放棄した法的根拠は、この条約にしかない。
ということは、条約が無効なら、

「日本は台湾を一度も正式に手放していない」

という、極めて皮肉な結論にたどり着く。

中国から見れば悪夢以外の何ものでもない。

かつて日本総督府だった現在の台湾総統府

次に朝鮮半島だ。
日本が朝鮮の独立を明確に承認したのもこの条約である。
もし条約が消えるなら、戦後処理の法的枠組みは出発点から揺らぐ。
もちろん韓国が日本に戻るなどという話にはならないが、
国際法上の整理が崩れれば議論そのものが混乱する。

さらに北方領土や千島列島、南樺太も同じ枠組みの中で扱われている。
条約無効論は、領土問題の前提を丸ごと吹き飛ばすことになる。

そして最も深刻なのは、日本国憲法だ。
日本国憲法は明治憲法の改正という形で成立したが、
その憲法を持つ日本が主権国家として正式に承認されたのは、
サンフランシスコ講和条約の発効による。

ここが抜ければ、

戦後日本の主権回復が曖昧になり
日本国憲法の国際法上の位置づけが揺らぎ
日本の法体系そのものの連続性が危うくなる

という、誰も望まない混乱が生じる。

中国は、日本を追い詰めているつもりで、
実は台湾、朝鮮半島、北方領土、さらには日本国憲法を巻き込んだ“大爆発”の導火線に火をつけているのだ。

これはもはや歴史戦でも外交戦でもない。
歴史事故である。
 
3️⃣ 歴史を弄べば歴史に殴られる


だが、事実が勝つとは限らないからこそ、日本は退いてはならない

中国は歴史戦を仕掛けるたびに「日本の軍国主義復活だ」と声を上げるが、
実際のところ、中国が相手にしているのは日本ではなく、戦後の国際秩序そのものだ。
その秩序を壊し、自分たちが主役になれる世界を作りたい――その野心が透けて見える。

しかし、歴史とはそんな都合よく書き換えられるものではない。
弄べば、最後に殴り返される。

ただし、ここで勘違いしてはいけない。
事実が必ずしも勝つとは限らない。
国際政治の世界では、嘘が繰り返され、宣伝が続けば、それが“常識”として定着してしまうことがある。
歴史のねつ造が、いつの間にか教科書に載ってしまうこともある。

だからこそ、日本は今回の中国の主張を甘く見てはならない。
サンフランシスコ条約無効論は、単なる戯れ言ではなく、
放置すれば日本の主権、領土、憲法、戦後秩序に深刻な影響を及ぼす。

日本は堂々と言うべきである。

「歴史は力ではなく、整合性によって立つ。日本は揺るがない」

それを国際社会に向けてはっきり示すことこそ、
歴史の歪曲を防ぎ、日本の立場を守る唯一の道である。

そして何より――
歴史の事実が生き残るかどうかは、事実を守る者が退かずに立ち続けるかで決まる。

サンフランシスコ講和条約を壊したがる中国の主張は、
その真実を逆説的に浮かび上がらせている。

日本は退いてはならない。
この一点に、日本の未来がかかっているのである。

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2025年11月26日水曜日

歴史と国際法を貫く“回復的ウティ・ポシデティス(ラテン語でそのまま)”──北方領土とウクライナが示す国境原則の行方


まとめ
  • 国境の曖昧化は戦争の最大原因であり、独仏国境のアルザス・ロレーヌやウクライナの事例が示すように、国境確定こそ国際秩序を守る最低条件である。
  • 「ウティ・ポシデティス」は行政境界をそのまま国境にする原則で、独立期の混乱を防ぐため国際司法裁判所でも国際慣習法として認められたが、旧ソ連の人工的境界のような歪みには対応できない限界がある。
  • これを補完するため、私は「回復的ウティ・ポシデティス」を提唱する。これは、紛争前の国境に戻したうえで、住民にどちらの国に属するか選ぶ権利を与えることで「線」と「人」の矛盾を同時に解消する。
  • 北方領土は日本固有の領土であり、サンフランシスコ講和条約でも帰属は未確定のままで、ロシア系・ウクライナ系など多層的な住民構造を踏まえても“回復的ウティ・ポシデティス”で最も合理的に解決できる。
  • この新原則は北方領土だけでなく、南シナ海・バルカン・カシミールなど世界の火薬庫にも応用可能で、日本こそ二十一世紀の国境原則を国際社会に提示できる立場にある。

1️⃣国境の曖昧さは必ず戦争を呼ぶ──歴史が突きつける警告


ウクライナ戦争は、二十一世紀に突如として現れた地政学の逆流ではない。むしろ、国境とは何かという“国家の根本”を突きつけた出来事である。十九世紀から二十世紀にかけてフランスとドイツが争奪したアルザス・ロレーヌは、まさに「国境が曖昧だから戦争になる」という典型だった。取り返せば憎しみが積み上がり、奪われれば復讐が始まる。その怨念の連鎖がついに第一次世界大戦、そして第二次世界大戦へとつながった。

だからこそ国際社会は十九世紀の南米独立戦争の時代から、行政境界をそのまま国境として固定する「ウティ・ポシデティス」という知恵に辿り着いた。後にアフリカ独立でも採用され、二十世紀末には国際司法裁判所の判例によって、国際慣習法として確立していく。独立時の境界を固定することこそ、戦争を防ぐ“最低条件”であると世界が学んだからだ。

しかし旧ソ連の境界線は、民族や歴史を反映したものではなく、モスクワが統治しやすいように操作した人工的な線だった。ウクライナ東部やクリミアが不安定化した根本原因はそこにある。それでもロシアは1991年、ウクライナの既存国境を正式に承認している。この一点だけで、プーチン政権が後になって武力で国境を変更しようとした行為が、どれほど明確な国際法違反であるかがわかる。

にもかかわらず、一部の西側が提示する和平案は、国境を曖昧なまま停戦しようとする“仮の和平”でしかない。国境が曖昧な和平は、必ず次の戦争を呼ぶ。これはアルザス・ロレーヌでも、中東でも、バルカンでも、歴史が何度も証明してきた。ウクライナだけの問題ではない。国境を曖昧にした前例が生まれれば、日本が真っ先に狙われる。
 
2️⃣ウティ・ポシデティスの限界を超える──私が提唱する“回復的ウティ・ポシデティス”とは何か

前線付近の露軍に向けロケット弾を発射するウクライナ兵=ウクライナ南部ザポロジエ州で2023年7月13日

ウティ・ポシデティスは「線」を固定する原則であり、独立後の混乱を防ぐためには一定の合理性がある。しかし重大な弱点がある。国境線と、そこに住む“人々”が一致しない場合、国境は必ず爆発する。ドンバス、カシミール、ナゴルノ・カラバフ、コソボなど、世界の火薬庫のほぼ全てがこの問題に起因している。「線」だけ戻しても争いは終わらない。「住民意思」だけ優先しても国境が崩壊する。これが国境問題の根本的な矛盾だ。

この矛盾を解決するために、私は従来のウティ・ポシデティスを改革する「回復的ウティ・ポシデティス」を提唱する。その原則は極めてシンプルだ。国境線は紛争が起きる前の“元の線”に戻す。そして、その地域に暮らす人々には、どちらの国に属するかを自由に選ぶ“住民選択権”を与える。線と人を同時に解決する二段構えの方式である。

これは決して奇抜な案ではない。むしろ、歴史と国際法の矛盾をもっとも自然に解消する“二十一世紀の国境原則”である。もはや民族構成が流動化した現代において、「線だけ戻す」か「人だけ見るか」の二択では破綻する。線と人をセットで整合させて初めて争いが終わる。

「回復的ウティ・ポシデティス」に関して、私が自分で調べた限りでは、これをストレートに主張する見解などは見られなかった。どなたか、このような主張が他にもあることをご存知の方は、教えていただきたい。
 
3️⃣北方領土をどう扱うか──回復的ウティ・ポシデティスは日本にこそ必要だ


北方領土は日本固有の領土であり、サンフランシスコ講和条約でもソ連への帰属は一度も認められていない。つまり北方領土は“未確定領土”であり、国際法上は紛争前の線に戻せば日本領である。しかし問題は「誰が住んでいるか」だ。戦後のソ連移住政策によってロシア系住民が入植したが、実際にはロシア人だけではない。ウクライナ人、ベラルーシ人、タタール系、軍属由来の住民、さらには歴史の痕跡としての日本人や先住民族など、多層的で複雑な人口構造がある。

この現実を踏まえず、「ロシア人の意思」だけを議論するのは歴史的にも事実認識としても誤りである。だからこそ回復的ウティ・ポシデティスが必要になる。北方領土は日本に戻す。しかし、現在住むすべての住民に対して、日本国籍かロシア国籍かを選ぶ権利を保障する。さらに当然のことながら、もし必要なら自ら属する国への移動の権利を有するものとする。言語、財産権、教育、行政サービスを守る移行措置を設け、必要なら国際監視団で透明性を確保する。暴力的でも、非現実的でもない。歴史を尊重しながら、未来も守るための“現実解”である。

しかもこの原則は北方領土だけでなく、世界のどの火薬庫にも応用できる。南シナ海、バルカン、中東、カシミール──曖昧な国境と複雑な人口が生む紛争を一気に整理できる。日本こそ、この新原則を国際社会に提示する資格を持つ国家だ。北方領土という未解決問題を抱える日本だからこそ、二十一世紀の国境原則に貢献できる。

【関連記事】

米国の新和平案は“仮の和平”とすべき──国境問題を曖昧にすれば、次の戦争を呼ぶ 2025年11月21日
ウクライナ国境を曖昧にした和平案が、将来の紛争を呼び込む構造を解説。国境問題をめぐる本記事と最も強く連動する。

すでに始まっていた中国の「静かな日台侵略」──クリミアと高市バッシングが示す“証左” 2025年11月20日
「クリミア併合モデル」が東アジアに輸入されているという視点を提示し、国境の曖昧化が日本にも迫っている現実を論じる。

<解説>ウクライナ戦争の停戦交渉が難しいのはなぜ?ベトナム戦争、朝鮮戦争の比較に見る「停戦メカニズム」の重要性 2025年3月31日
停戦メカニズムを歴史比較で解説し、「曖昧な停戦=次の戦争」という構図を整理。国境確定の不可欠性を理解する基礎となる。

“ロシア勝利”なら米負担「天文学的」──米戦争研究所が分析…ウクライナ戦争、西側諸国は支援を継続すべきか? 2023年12月16日
ロシア勝利が世界に及ぼす軍事・財政コストを分析し、日本の安全保障に直結する「国境侵犯型の戦争」の危険性を示す。

四島「不法占拠」を5年ぶりに明記──北方領土返還アピール 2023年2月7日
北方領土問題を国際法と現実政治の双方から整理し、「国境確定の原則」が日本の将来を左右することを示す。

2019年8月22日木曜日

中国の属国へと陥りつつあるロシア―【私の論評】ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方であり、いずれ、中国に向かって大きく噴出する(゚д゚)!


岡崎研究所

 ロシアがクリミア半島を併合して欧米諸国の経済制裁を受けるようになり、また、シリア問題で人権を蹂躙しているアサド政権を支援していることから西側諸国と離反するようになり、プーチン大統領は、東の中国を向くようになった。

 中国の習近平主席も、米国との貿易戦争やファーウェイの5Gをめぐる対立等で、ロシアと接近を図っている。


 ロシアは、最近、5Gで中国のファーウェイを採用することを決めた。また、中露は、海軍の合同軍事演習を活発化させている。仮想敵国は日米両国とも言われている。

 中露関係については、今やロシアは中国のジュニア・パートナーである。いま、中国のGDPはロシアの6倍であるが、その差はどんどん広がっている。IMF統計では、ロシアはGDPで韓国にさえ抜かれかねない状況である。

 プーチン大統領は、自分の取り巻きに利権を配分し、権力を維持しているが、国家としてのロシアを大きく衰退させてきた政治家である。石油資源に依存するロシア経済を改革するのが急務であるとわかっているのに、ほとんどそれができていない。

 ロシア史を見ると、ロシアの指導者は、スラブ主義を標榜してロシア独自の道を追求する人と、欧米との関係を重視する欧化主義者が交代してきている。ロシア独自の道に固執したスターリンの後の本格政権は、西側との平和共存を唱えたフルシチョフ(日本に歯舞と色丹の2島を返還する決断をしたが実現しなかった)であった。その後、スラブ主義者とも言うべきブレジネフが登場した。その後は、欧米との関係改善を目指したゴルバチョフ、エリツィンが指導者として登場した(その時には歯舞、色丹、国後、択捉の北方領土4島が日露間の交渉の対象であるとする東京宣言ができた)。 

 エリツィンは、プーチンを改革者であると考えて後継者に選び、自分の家族を訴追などから守ってくれることを期待した。

 プーチンは、後者の役割は義理堅く果たしたが、ユーラシア主義者として欧米に対抗する路線をとった。そういう経緯で、プーチンは必然的に中国に近づいた。それが今の中露の蜜月関係につながっている。

 しかし、プーチン後は、この蜜月関係が続く可能性よりも、ロシアの指導者が欧米重視主義者になり、この蜜月は続かない可能性の方が高いと思われる。

 プーチン政権の上記のような傾向にもかかわらず、中露間にくさびを打つという人がいるが、プーチンがいる限り、そういうことを試みてもうまくいかないだろう。北方領土で日本が妥協して、中露間にくさびを打つことを語る人もいたが、ピント外れである。

 7月27日付の英エコノミスト誌は、ロシアが中国の属国になってきていると指摘している。その指摘は正しい。ロシアがそれから脱したいと思う日は来るだろう。そうなったときには、ロシアとの関係を考える時であろう。

 中国が中露国境沿いで安定の源になるとの見方が一部にあるが、そういうことにはならないだろう。極東ロシアは約650万の人口であり、千葉県とだいたい同じである。他方、中国の東北には1億以上の人口がある。1860 年の北京条約で沿海州などはロシア領となったが、ロシアは2004年の中露国境協定の締結後、国境が決まったのだから、中国に北京条約は不平等条約であったとの教育をやめてほしいと要望しているが、中国はそれを聞かず、そういう教育を続けている。中露国境の安定を望んでいるのはロシアであって、必ずしも中国ではない。

【私の論評】中露対立が再び激化した場合、日本は北方領土交渉を有利にすすめられる(゚д゚)!

中露関係の歴史は17世紀、ロシアがシベリアを東進し、やはり東アジアに勢力を拡張していた清朝と接触したときにはじまります。その結果、両者が結んだ1689年のネルチンスク条約は、高校の世界史の授業でも習う重要事件で、名前くらいご存じでしょう。


この条約がおもしろいです。条約とよばれる取り決めなのだから、互いに対等の立場でとりむ結んだものです。しかし東西はるかに隔たった当時のロシアと清朝が、まさか全く同一のルール・規範・認識を共有していたわけはありません。にもかかわらず、両者は対等で、以後も平和友好を保ちえました。

なぜこのようなことが可能だったのでしょうか。わかりやすい事例をあげると、条約上でも使われた自称・他称があります。ロシアの君主はローマ帝国をついだ「皇帝(ツァー・インペラトル)」ですが、そのようなことが清朝側にわかるはずもなく、清朝はロシア皇帝を「チャガン・ハン」と称しました。

ロシアも中華王朝の正称「皇帝」を理解できず、清朝皇帝を「ボグド・ハン」と称しました。「ハン」というから、ともにモンゴル遊牧国家の君主であって、「チャガン」は白い、「ボグド」は聖なる、という意味です。つまり客観的に見ると、両者はモンゴル的要素を共有し、そこを共通の規範とし、関係を保っていたことになります。

それは単なる偶然ではありません。ロシア帝国も清朝も、もともとモンゴル帝国を基盤にできあがった国です。もちろん重心は、一方は東欧正教世界、他方は中華漢語世界にあったものの、ベースにはモンゴルが厳然と存在しました。両者はそうした点で、共通した複合構造を有しており、この構造によって、東西多様な民族を包含する広大な帝国を維持したのです。


そのため両者がとり結んだ条約や関係は、いまの西欧、ウェストファリア・システムを起源とする国際関係・国際法秩序と必ずしも同じではありません。露清はその後になって、もちろん国際法秩序をそれぞれに受け入れ、欧米列強と交渉、国交をもちました。しかし依然、独自の規範と論理で行動しつづけ、あえて列強との衝突も辞していません。これも近現代の歴史が、つぶさに教えるところです。

いまのロシア・中国は、このロシア帝国・清朝を相続し、その複合的な構造にもとづいてできた国家にほかならないのです。いわば同じDNAをひきついでいます。両国が共通して国際関係になじめないのは、どうやら歴史的に有してきた体質によるものらしいです。

中露が19世紀以来、対立しながらも衝突にいたらず、西欧ではついに受け入れられなかったマルクス・レーニン主義の国家体制を採用しえたのも、根本的には同じ理由によるのかもしれないです。中ソ論争はその意味では、近親憎悪というべきかもしれません。

西欧世界には、モンゴル征服の手は及びませんでした。その主権国家体制・国際法秩序、もっといえば「法の支配」は、モンゴル帝国的な秩序とは無関係に成立したものです。だからロシアも中国も、歴史的に異質な世界なのであって、現行の国際法秩序を頭で理解はできても、行動がついてこないのです。制度はそなわっても、往々にして逸脱するのです。

しかも中露の側からすれば、国際法秩序にしたがっても、碌なことがあったためしがありませんでした。中国は「帝国主義」に苦しみ、「中華民族」統合の「夢」はなお果たせていません。

ソ連は解体して、ロシアは縮小の極にあります。くりかえし裏切られてきた、というのが正直な感慨なのでしょう。中露の昨今の行動は、そうした現行の世界秩序に対するささやかな自己主張なのかもしれないです。現代の紛争もそんなところに原因があるのでしょうか。

そこで省みるべきは、わが日本の存在であり、立場です。日本はもとより欧米と同じ世界には属していません。しかしモンゴル征服が及ばなかった点で共通します。以後も国家の規模や作り方でいえば、日本は中露よりもむしろ欧米に近いです。

国際法・法の支配が明治以来の日本の一環した国是であり、安倍首相がそのフレーズを連呼するのも、目先の戦術にとどまらない歴史的背景があります。

クリミアはかつてロシア帝国の南下に不可欠の橋頭堡(きょうとうほ)であり、西欧からすればそれを阻む要衝でした。尖閣は清朝中国にとっては、なんの意味もありませんでしたが、現在の中国も過去には何の興味も持っていなかったにも関わらず、近海が地下資源の豊富でことが明らかになると、無理やり「琉球処分」にさかのぼる日中の懸案とされてしまい、中華世界と国際法秩序を切り結ぶ最前線とされてしまいました。

互いに無関係なはずの東西眼前の紛争は、ともに共通の国家構造と規範をもつ中露の、西欧国際法秩序に対する歴史的な挑戦ということで、暗合するともいえるでしょう。

たしかにいまの中露は、欧米に対抗するための「同床異夢」の関係にあるといってよいです。ただし、考えていることもちがうし、「一枚岩」になれないことはまちがいないです。

Russian Flag Bikini

プーチン露大統領と中国の習近平国家主席は昨年6月の中国・北京での首脳会談で、両国の「全面的・戦略的パートナーシップ関係」を確認。軍事・経済協力を強化していくことで合意した。

同年9月の露極東ウラジオストクでの「東方経済フォーラム」に合わせた中露首脳会談でも、両国は米国の保護主義的な貿易政策を批判したほか、北朝鮮の核廃棄プロセスへの支持を表明しました。

さらに同フォーラムと同時期に露極東やシベリア地域で行われた軍事演習「ボストーク(東方)2018」には中国軍が初参加。ロシアのショイグ国防相と中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相が、今後も両国が定期的に共同軍事演習を行っていくことで合意しています。

しかし、同年10月24日付の露経済紙「コメルサント」によると、ここ最近、中国系銀行がロシア側との取引を中止したり、口座開設を認めなかったりする事例が相次いでいるといいます。

国際的な対露制裁の対象外の企業や個人も例外ではないといい、同紙は「中国側はどの企業が制裁対象なのか精査していない。その結果、全てをブロックしている」と指摘しまし。「この問題は今年6月の首脳会談以降、両国間で議論されてきたにもかかわらず、中国側は『是正する』というだけで、実際は何もしていない」と不満をあらわにしました。

同年同月26日付の露リベラル紙ノーバヤ・ガゼータも「中国はロシアの友人のように振る舞っているが、実際は自分の利益しか眼中にない」と批判。「中国の経済成長の鈍化が進めば、中国政府は国民の不満をそらし、自らの正当性を確保するため、攻撃的な外交政策に乗り出す可能性がある。例えばシベリアや極東地域の“占領”などだ」と警戒感を示しました。

実際、露極東地域には、隣接する中国東北部からの中国企業の進出や労働者の出稼ぎが相次いでいます。極東に住むロシア人の人口は今後、減少していくと予想されており、同紙の懸念は「いずれ極東地域は中国の支配下に置かれるのではないか」というロシア側の根強い不安があらわれたものといえます。

同年同月29日付の露有力紙「独立新聞」もこうした中国脅威論を取り上げました。同紙は「ユーラシア経済連合と一帯一路との連携に基づく計画は、実際には何一つ実現していない」と指摘し、「中国によるロシアへの直接投資は、カザフスタンへの投資よりさえも少ない」と指摘しました。

経済発展が著しいウズベキスタンやカザフスタンなどの中央アジア諸国について、ロシアは旧ソ連の元構成国として「裏庭」だとみなしています。しかし、一帯一路も中央アジアを不可欠な要素と位置付けています。

地政学的に重要な中央アジアでの影響力を確保するため、ロシアと中国は、この地域への投資や技術供与、軍事協力の表明合戦を繰り広げており、表向きの双方の友好姿勢とは裏腹に、現実は協調とはほど遠いのが実情です。

このように、中露の友好関係は一時的なみせかけに過ぎないものであり、米国による対中国冷戦が長く続き、中国の力が削がれた場合、中露対立が激化することは必至です。そうして、その状況はしばらくは変わらないでしょう。

現状は、国力特に経済の開きがあまりにも大きすぎるため、さらにロシアは人口密度の低い極東において直接中国と国境を直接接しているという特殊事情もあるため、ロシアが中国に従属しているように見えるだけです。

しかし、プーチンは強いロシアを目指しており、文在寅のように自ら中国に従属しようなどという考えは毛頭ありません。

その実、ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方です。これはいずれ、中国に向かって大きく噴出します。

その時こそが、日本の北方領土交渉を有利に進められる絶好のタイミングなのです。また、米国が最終的に中国を追い詰めるタイミングでもあるのです。

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2022年5月17日火曜日

韓国で早くも「反日」暴挙 林外相の訪韓中に竹島EEZで無断調査 地下構造や資源探査か 「尹大統領は決して“親日”ではない」―【私の論評】日本は、ロシアと韓国の過去の「力による現状変更」も許さず厳しい制裁措置を実行すべき(゚д゚)!

韓国で早くも「反日」暴挙 林外相の訪韓中に竹島EEZで無断調査 地下構造や資源探査か 「尹大統領は決して“親日”ではない」

尹大統領(左)に岸田首相の親書を手渡した林外相=10日、ソウル

 新たな「反日」暴挙なのか。韓国が不法占拠する島根県・竹島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国側の調査船が無許可で海洋調査を実施したようなのだ。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権は、日韓関係の改善を呼びかけるが、今回のタイミングを見る限り、岸田文雄政権を軽んじ、挑発した可能性すらある。

 産経新聞の17日朝刊によると、問題の調査は、韓国国営企業から委託されたノルウェー船籍の調査船「ジオ・コーラル」が実施した。竹島の南方約100キロの海域で、船尾からケーブルのようなものを引き、日韓の地理的中間線の日本側への侵入を繰り返したという。海域の地下構造や資源を探査した疑いがあるという。

 現場では、海上保安庁の巡視船が無線で委託元などについて聞き取り、「わが国の同意を得ない調査は認められない」と注意した。

 日本政府による外交ルートでの韓国への対応は明らかになっていないが、問題は調査船が活動したタイミングだ。

 産経新聞は、調査は尹氏が就任したタイミングで実施され、林芳正外相は訪韓中だったと報じた。林氏は9日、岸田首相の親書を抱えて、尹大統領の就任式(10日)に出席するために訪韓している。

 韓国側の調査船が活動した海域に近い日本のEEZ内では、石油・天然ガス開発の国内最大手「INPEX」(インペックス)が今月5日、天然ガスなどの商業生産化を調査する試掘を始めている。

 一連の韓国側の動きは偶然とは考えられない。どう見るか。

 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国側の動きはタイミングを含め、尹氏の『竹島問題で日本に譲らない』という姿勢を示す意図があったのではないか。尹政権は決して『親日』ではない。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は強硬な『反日』で日韓関係を最悪な状態にしたが、尹氏は関係改善をチラつかせる巧妙な『反日』と見るべきだ。日本の国内世論が分断される恐れもある。岸田政権は手ごわい相手だと認識し、毅然(きぜん)とした対応をすべきだ」と語った。

■韓国による主な「反日」暴挙

□韓国国会議長(当時)による「天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求」

□韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件

□日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定

□いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐる異常判決

□自衛隊旗(旭日旗)への侮辱

□不法占拠する島根県・竹島への韓国警察庁長官上陸

□世界文化遺産への「佐渡島の金山」推薦に反発

□林芳正外相の訪韓中に、島根県・竹島周辺のEEZ内で無断海洋調査の動き

【私の論評】日本は、ロシアと韓国の過去の「力による現状変更」も許さず厳しい制裁措置を実行すべき(゚д゚)!

昨日当ブログでは、英国トラスト外相の「ロシアをウクライナ全土から押し出すために、これまで以上に、より早く行動し続ける」という発言は、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきとの考えを示唆したものとみられることから、日本もロシアは北方領土から撤退すべきと主張すべきであるとしました。

その部分を以下に引用します。
日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

そうして、これは全くあり得ない話ではありません。このブログでも以前も指摘したように、ロシアのウクライナ侵攻は日本が北方領土をとりもどす機会にもなり得るのです。

今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、状況が一変する可能性があります。今後、プーチン政権が崩壊すればロシア各地で分離独立運動が激しくなり、ロシア連邦は多数の国家に分割されるでしょう。

そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。

日本が人道支援名目で北方領土に介入すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、日本がロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

日本がこう主張すれば、ロシアは大反発するでしょうが、英国は大歓迎でしょう。英国の賛同を得れば、他の西側諸国も賛同する可能性は高いです。今回のウクライナ侵略による制裁として、ロシアはウクライナだけではなく、北方領土も失うということになれば、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識することになります。

日本としては、北方領土のみならず、不当に韓国に占拠されている「竹島」から、韓国が撤退すべきと主張すべきです。無論、北朝鮮に対しても拉致被害者の変換を主張すべきです。両方ても「力による現状変更」です。国家による犯罪です。

その他にも、南シナ海の中国が環礁を埋め立ててつくった軍事基地などに関しても、周辺諸国で領有権を主張する国は、中国の南シナ海における実行支配をやめるように主張すべきでしょう。

第二次世界大戦中からそれ以降にかけて、不当に他国占拠されたような地域を持つ国々はこのような主張をすべきです。そうして、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識させるようにするのです。

無論、ただ主張するだけでは、理念を主張するのと何の変わりもありません。ただ、目の前にロシアという現実があります。ロシアは経済制裁と、西側諸国などによる軍事支援で、北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前になっいます。

これと同じようなことを、第二次世界大戦中以降に「力による現状変更」を行った国々に対してできる仕組みを構築するのです。

国際システムにおける「現状」(Status-quo)とは、国境の画定、2国間・多国間で形成された合意や規範、現存する国際法や国際制度・規範などを広く包摂する概念です。これを大きく分類すると、領土と主権に関する現状、国際法・条約・協定や地域枠組みなどの制度に関する現状、及び安全保障や自由貿易の秩序をめぐる望ましい力の分配、規範や行動に関する現状などがあります。


そうして「現状維持」が重要であるとされる理由は、国際システムが概ね良好な状態にあると見なし、平和の維持とルールに基づく競争を担保し、国家の行動に予測可能性をもたらすからです。

そうして、特に、ある国が武力で現状変更しようとした場合は、その被害を受けている国に対する支援をすぐにできる枠組みを構築し、すでに現状変更されている場合は、それに対する経済的な報復の枠組みも最初から構築し、すみやかに実施できるようにするのです。

統治の役割は、国債社会のために意味ある決定と方向付けを行うことです。国際社会のエネルギーを結集することです。問題を浮かびあがらせることです。選択を提示することです。

過去の経験則から、統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺します。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできません。それらの機関は、実行に焦点を合わせていないし、体制がそうなっておらず、そもそも関心が薄いです。

国連が機能しないのは、統治と実行が曖昧なところがあるのが大きな原因の一つです。これを分離させた新しい組織を構築した上で、「力による現状変更」に対する制裁を速やかに実行できるようにするのです。

日本としては、こうした国際組織の構築を提言すべきとは思いますが、それと平行し、ロシアや韓国、北朝鮮に対して現状変更を許さないという姿勢をはっきりさせ、元に戻さなければ、制裁を続けるべきです。

日本は比較的経済は大きいですし、技術水準なども高く、ロシアも韓国、北朝鮮も日本の技術や素材に頼っているところが大きいです。日本が単独で、ロシアや韓国、北朝鮮に対して制裁をしてもかなり効き目があります。ロシアや北朝鮮に制裁をして韓国にしないということでは、筋が通りません。

「現状変更は許さない」と岸田首相は、他国との首脳会談で発言しています。許さないというのなら、ロシアと韓国の過去の「現状変更」も許すべきではありません。このようなことを許そておけば、これからも世界で「現状変更」を企む、中国のような国がはびこることになります。

ウクライナに対しては武器の供与もすべきです。韓国に対しては、貿易管理などの曖昧な言い方ではなく、経済安全保証の一環として、はっきりと「経済制裁」をすべきです。そうして「竹島」を返還するまで継続すべきです。

また、尖閣を中国が奪取しようとした場合、ASW(対潜水艦戦闘)が中国よりも格段に優れた日本は、潜水艦で中国の艦艇や航空機などの侵入を防ぐことができます。これにより、たとえ人民解放軍や民兵が尖閣諸島に上陸しても、補給を絶って無力化できます。国際法的には何の問題もありません。ただ、法的な不備などは解消しておくべきでしょう。

こうしたことでノウハウと実績を蓄積し、「力による現状変更」を許さない仕組みや組織を提言すべきです。G7としては唯一、ロシアと韓国との間に領土問題を抱え、北朝鮮との間で「拉致問題」を抱える日本こそ、こうしたことを実行すべきです。

ロシアのウクライナへの侵攻、北方領土問題、竹島問題、拉致問題などを別ものと考えるべきではありません。その根底は同じく「力による現状変更」なのです。現在進行しているか、過去の問題かの違いだけではあり、これはいずれも明白な国際法違反です。

尖閣問題はこれから「力による現状変更」がこれから起きるかもしれず、それが起こりそうになれば、日本はそれを防ぐべきですし、起きてしまえば、原状復帰すべきです。

さらに、憲法9条を国際法の観点からみれば、世界の他の多くの国々が似たような日本の憲法9条とおなじような国連憲章やパリ不戦条約を源とする、平和条項を持ちながら、軍隊を持ち、自衛権も有しているのと同じく、日本も軍隊を持ち自衛権を有しているのは疑いようもないの事実であり、国内法をその観点からつくりなおしていくべきです。

ただし、誤解を招かないため、そうして現行の日本憲法は実質的に日本ではなく米国によって制定されたものであるため、それを改善したり、作り変えたりすることには大賛成です。

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2019年2月17日日曜日

対ロ交渉、長期化色濃く=北方領土の溝埋まらず―【私の論評】北方領土は今は、返ってこなくても良い(゚д゚)!

対ロ交渉、長期化色濃く=北方領土の溝埋まらず



【ミュンヘン時事】河野太郎外相は16日(日本時間17日)、ロシアのラブロフ外相と、平和条約交渉の責任者に就いてから2度目となる会談に臨んだ。

【図解】日本の北方における領土の変遷


だが、焦点の北方領土問題で双方の溝は埋まらず、長期化の気配が濃厚。日本政府が描いてきた「6月大筋合意」のシナリオは崩れている。

「双方が受け入れ可能な解決に向け、かなり突っ込んだやりとりをした」。河野氏は会談後、記者団にこう説明した。今回は、前回1月14日の外相会談や同22日の首脳会談を踏まえ、相手方の主張に対する反証を述べ合ったもよう。日本側の同席者は北方四島に対する主権をめぐり「激しいやりとりになる場面はあった」と明かした。

河野氏は会談で、ロシア側の期待が大きい医療やエネルギー、極東開発など8項目の協力プランに触れ「(日ロの)貿易額が伸びている」と強調し、ロシアからの訪日客増加にも言及。4島での共同経済活動も取り上げ、経済分野の関係強化をてこに交渉の前進を図る姿勢をにじませた。

会談する河野太郎外相(左手前から2人目)とロシアのラブロフ外相
(右手前から2人目)=16日、ドイツ南部ミュンヘンのロシア総領事館

ただ、ラブロフ氏は会談後、北方領土の主権はロシアにあるとの立場を改めて強調した。交渉スケジュールについても、プーチン大統領が1月の首脳会談の際に「辛抱強さを要する作業が待っている」と長期化を示唆したのに続き、期限を切らない立場を鮮明にした。

「不法占拠」「固有の領土」といった表現を控える日本政府の配慮にもかかわらず、ロシア側が軟化する兆しはない。安倍晋三首相は12日、国会答弁で「期限を切るつもりはない」と表明。政府内には「6月まで数カ月でまとめるのは無理だ」(高官)と悲観論が広がった。

「70年間続いている問題だから、そう簡単に一足飛びに前へというわけにはいかない」。打開のめどが立たない現状を踏まえ、河野氏は16日、記者団にこうも語った。 

【私の論評】北方領土は今は、返ってこなくても良い(゚д゚)!

北方領土に関しては、現実的に考えれば「二島どころか一島でも返してもらうのが現実主義」とうそぶく現“状”主義者の言っていることも、「四島どころか千島全部返せ!」とできもしない空論を叫ぶ空想主義者の言っていることも正しくはありません。

「北方領土は今は返っ来なくて良い」というのが一番現実的な考えだと思います。なぜなら、十九世紀的帝国主義者的ロシア、プーチンのことを考えれば、基本的に国境不可侵の原則など外交の道具としか思っていないだろうし、一方日本の現状主義者も空想主義者など全く現実的ではないからです。

現状の予想外に好転するかに見えた状況を見据えつつも、現実だけを見るべきであって、空想など顧みるべきではありません。

その上で、昨年9月12日にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムの壇上で突如、同席した安倍晋三首相に「すべてを棚上げして日本と平和条約を結ぼう」と提案した、プーチン大統領の思惑は、どこにあるのでしょうか。これをどう捉えるべきなのでしょうか。

そもそも、ウラジミール・プーチンとは何者なのでしょうか。プーチンは国内を秘密警察により掌握し、事実上の独裁体制をしいています。暗殺した人間は数知れません。「人を殺してはならない」という価値観が通じない相手です。

対外政策では、欧州では強気ですが、中国にはいっさい逆らったことがありません。この前の「ハチミツ」騒動(下の動画参照,プーチンが習近平にロシアの蜂蜜をお土産に持たせた件)程度のシャレで済む意趣返しレベルはしても、基本的にはシナの従属国と言っても良いくらいの現状です。


せいぜい、中国共産党の権力闘争のバランスで立ち位置を変えるが、江沢民や習近平個人にはともかく、プーチンがロシアの独裁者である以上、ロシアが中国に逆らうことは無いでしょう。

この状況は現在の北朝鮮問題をよく見れば、わかるはずです。北朝鮮は元々はロシア(当時のソ連)が建国させた国であるにもかかわらず、現在の北朝鮮問題は米中で話あわれることはあっても、ロシアは蚊帳の外です。

米国も、北朝鮮というと、中国とは話をしても、ロシアと話をすることはほとんどありません。これは米国も現状のロシアは中国のいいなりであることを理解しているからでしょう。北朝鮮で米中が何らかの取り決めを行ったにしても、ロシアがそれを反対することはないからです。

そんなプーチンの「すべてを棚上げして日本と平和条約を結ぼう」という先の台詞を翻訳します。
「クリル(北方領土)なんか一島も返す気は無い。さっさと平和条約結んで業績らしきものにしてやるから、少しは金寄越せ」
そもそも1956年の日ソ共同宣言以来、二島返還は無条件で平和条約を結び、もう二島はその後の交渉だったのが、プーチンにひっくり返されています。これで二島どころか一島でも返ってくると考えたらよほどの愚か者かプーチンの回し者だとしか言いようがないです。ここまで読めば、タイトルの「北方領土は今は返ってこなくても良い」の意味がわかるでしょう。

今は、中国に従属するプーチン政権の間は、ということです。むしろ現状ではプーチンと交渉すること自体が、禍根を残すことになりかねません。現に、交渉するたびにプーチンは過去の日露合意を反故にしています。

北方領土を取り返したいなら、中露対決が再び高まった時まで待つべきなのです。現在ロシアのGDPは韓国なみです、ということは東京都のGDPとほぼ同じです。人口はあの広大な領土に一千四百万人しかありません。これは、日本より若干多い程度です。中国は13億人です。これでは、ロシアは本当はそうしたくなくても、中国に従属するしかありません。

今でもシベリアには中国人が大量入植しています。これを国境溶解と呼ぶ人もいるくらいです。プーチンは欧州方面でNATOと張り合わなければならないですから、極東では強気に出れないのです。だから中国にやられたい放題になっているのです。

ロシア人女性が中露国境の街で、長い冬に向けた生活必需品の買い出しに熱を入れている。写真は
黒河市の露店市場。国境のロシア人にとっては中国の物資はなくてはならないものになっている。

結局、戦争で取られた領土は軍事力で取り返すしかない以上、今は日本は、防衛力増強に努めるしかないのです。そしてロシアが本当に弱った時には四島どころか千島に樺太まで取り返しに行って良いのです。領土交渉ではそれ位の時間軸で考えるべきなのです。

北方領土、何島返還論が正しいのかという議論がしばしば聞かれますが、現在は「一島もいらん」で構わないのです。いかなる正論も、時宜にかなっていなければ、愚論よりもたちが悪いのです。

ただし、今は「一島もいらない」のですが、これを取り返せる時が従来よりは近づいているのは間違いありません。なぜなら、現在では米国の対中国冷戦が勃発しているからです。

これは単なる貿易戦争ではありません。ハイテク覇権や安全保障が絡んだ米中のガチンコ対決だ。中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の事件は、そんな対決の本質を如実に示しています。

このブログでは、米国は中国が体制を変えるか、体制を変えるつもりがないなら、経済的に相当弱体化するまで、制裁を続けると主張してきました。これには、短くて10年、長ければ20年の年月がかかることでしょう。

中国が体制を変えて、共産党1党独裁をやめ、民主化、政治と経済の分離、法治国家化などすすめて構造改革を行うことにした場合には、政治的には激変しますが、経済的にはさらに発展する可能性があります。この場合、ロシアは中国に対して強気にでることはできません。おそらく、北方領土が返還されることはないでしょう。

しかし、中国が米国の圧力に屈することなく、現状の体制を貫き通したとしたら、米国の制裁は継続され、それこそかつてのソ連が疲弊したように、中国も疲弊することでしょう。

そうなった場合、中露対決が再度深まることになります。そうなると、ロシアも疲弊することになります。その時こそが、まさに日本がロシアに対する北方領土交渉の好機が訪れるのです。

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2022年11月4日金曜日

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」―【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」

ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官

 ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官が4日までに、首都キーウ(キエフ)市内で産経新聞の単独インタビューに応じた。ニコレンコ氏は日本のウクライナ支援に「心から感謝する」と表明し、両国がともにロシアに不当に領土を占拠されているとして、北方領土問題の解決に向けて2国間の協力強化を呼び掛けた。露軍がウクライナの民間施設への攻撃を強めている現状については、「ウクライナ人に対するジェノサイド(集団殺害)」だと糾弾した。

 ニコレンコ氏は、日本が「技術、人道両面でウクライナを支援し、対露制裁にも積極的に取り組んでいる」と述べ、「心から感謝している」と表明した。

 またゼレンスキー大統領が10月7日に「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と表明したことに関して、「日本をめぐる状況は(ロシアに)領土を占領された現在のウクライナと酷似している」と指摘。北方領土問題も、「国際法が侵害された事例であり、解決が必要だ」と主張した。

 ウクライナは現在、2014年にロシアに併合された南部クリミア半島の奪還に向けた国際会合「クリミア・プラットフォーム」を主導しているが、同会議で得た知見を「北方領土問題の解決にも活用できるのではないか」と述べ、両国間の協力強化を呼び掛けた。 一方、日本政府がロシア極東の石油・天然ガス開発事業に出資を継続する意向を示していることに関しては、「ロシアビジネスに関する一般論」だと前置きしつつ、「ロシアは原油や天然ガスを国際市場で売った資金で、ウクライナ人を殺している。われわれは、ロシアと商売をすることは間違っていると考えている」と述べた。

 10月10日以降、露軍がキーウを含むウクライナ全土の電力インフラなどへの攻撃を激化させている現状については「人々が生き延びるために必要なすべを奪おうとしている」と断じ、「ウクライナ人に対するジェノサイドに行きつく行為だ」と非難した。

 プーチン露大統領については、「戦場でウクライナ軍に勝利できないから、軍事とは関係がない施設を攻撃(して戦果を主張)することで、国民の目から自国の損失を隠そうとしている」と批判。「モスクワ(ロシア政府)が他の旧ソ連諸国の国民に指示できるという病的な考え」をプーチン氏が持ち続けており、「そのために、われわれが巨大な損失を被っている」と語った。(キーウ 黒川信雄)

【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

上の記事に出てくる、クリミアプラットフォーム(ウクライナ語: Кримська платформа, 英語: Crimea Platform, クリミア・タタール語: Qırım platforması)は、ウクライナとその大統領、ウォロディミル・ゼレンスキーの外交イニシアチブです。

クリミアプラットフォーの事務局開設

2021年8月23日の会議で始動され包括的なアプローチを強く求めている国際的枠組です。ロシアによって2014年に併合された南部クリミア半島の奪還を求める国際プラットフォームです。

 大統領は、ドンバスの平和とクリミアの脱占領は、重要な優先課題だと強調し、「残念ながら、ノルマンディ・フォーマットの議題にはクリミア問題はなかった。

しかし、クリミア問題は、これまでも今も今後も、私たちの議題であり続ける。クリミアが占領され、ウクライナ人やクリミア・タタール人が恒常的な迫害を受け続けている限り、世界はクリミアを忘れてはならない」と強調しました。

その上で大統領は、ブダペスト覚書の安全保証について話すだけでは領土は帰ってこないとし、「私たちは、(返還のための)新しい効果的手段を模索している。クリミア問題を国際議題に押し戻すためだ。私たちは、『クリミア・プラットフォーム』というフォーマットを作っている。同プラットフォームは、クリミア住民の人権と半島脱占領のための国際的努力を調整するものだ。私は、すでに欧州連合(EU)、英国、カナダ、トルコ、その他のパートナーとこのイニシアティブについて協議した。その内の多くが、積極的に参加する準備がある」と伝えましたた。

ちなみに、ノルマンディー・フォーマットは、ノルマンディーコンタクトグループとも呼ばれ、ドンバス戦争とより広範なロシアウクライナ戦争を解決するために集まった国々のグループです。グループを構成する4か国、ドイツ、ロシア、ウクライナ、フランスは、フランスのノルマンディーでのD-Day祝賀会の70周年の際に最初に非公式に会合を開催しています。設立は、2014年6月6日です。

ノルマンディ・フォーマット4国(独仏宇露)首脳会議。12月9日のパリ。

岸田総理大臣は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合へオンラインにより、出席しています。

8月23日、ウクライナ政府は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合をオンラインで開催し、ウクライナからヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(H.E. Mr. Volodymyr ZELENSKYY, President of Ukraine)及び関係閣僚、並びに関係国政府・国際機関の首脳等が出席しました。

同首脳会合に際し、岸田文雄内閣総理大臣が、概要以下のビデオ・メッセージを送る形で参加しました。

メッセージの内容の概要は以下です。
(1)ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。日本は、クリミアを含めたウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持し、一方的な現状変更の試みには断じて反対します。
(2)日本は、強力な対露制裁を講じるとともに、人道支援、財政支援、装備品等の提供、物資輸送支援等のウクライナ支援を実施してきました。今後も、先般のG7エルマウ・サミットにおいて発表した追加支援を含め、総額約11億ドルの支援を実施していきます。
(3)ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、国際社会が結束して対応することが重要です。今週末のTICAD8の機会を捉えたアフリカ諸国への働き掛けなど、これからも、我が国独自の取組を全力で進めていきます。
(4)日本は明年、G7の議長国を務めますが、ウクライナにおける一刻も早い平和の回復及び復興の実現に向け、国際社会と緊密に連携しつつ、また日本の経験を活かし、最大限の努力、積極的な貢献を続けていきます。
以下にビデオ・メッセージの動画を掲載します。


先日辞任したばかりの英国のトラス首相が外相のときの4月に、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきと発言していました。この発言は、プーチンにとってはかなりショッキングなものだったようです。

日本もロシアに対しては、英国なみの対応をすべきでしょう。特に日本はG7では唯一ロシアとの間に領土問題を抱えている国です。しかも、ロシアにより不当に占拠されているのです。

日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

これは、夢物語とか仮の話ということではなく、十分にありえることです。今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、ロシアは北方領土どころでなくなる可能性が高いです。

そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い、人口の約4割を占める)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。

2014年北方領土で集会を開くウクライナ出身者ら

日本が人道支援名目で北方領土に介入し経済支援すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、ロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

ウクライナの報道官が語るように、現在は日本にとっても北方領土を取り戻す絶好の機会といえます。クリミアプラットフォームのやり方は、日本にも大いに参考になるに違いありません。

そうして、これを日本がやり遂げれば、日本の世界での存在感は高まるのは、間違いありませんし、世界の多くの国が軍事的に現状変更をすれば、必ずそれに対する報いを受けなければならないときがくることを知ることになります。

北方領土に関しては、GDPが韓国なみの貧乏国ロシアは、ロシアとしては超破格の数千億の支援をしていました。数千億と聞くと、かなりの支援と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では普通の都道府県等に対する支援に相当する程度すぎないのですが、人口二万人の北方領土に対する支援は、将来も見越してのことだったと思われます。これらも無意味になるのです。

日本ならば、これをはるかに上回る支援ができます。生活環境が整備され、産業の振興も行われということになれば、北方領土のロシア人やウクライナ人はこれを歓迎するでしょう。

これは、中国のような国に現状変更をすることは、結局高い代償を払わなければならないことになることを思い知らせることになります。

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2023年2月7日火曜日

四島「不法占拠」を5年ぶりに明記 北方領土返還アピール―【私の論評】ウクライナ侵攻によるロシア弱体化で、北方領土返還の可能性が巡ってきた(゚д゚)!

四島「不法占拠」を5年ぶりに明記 北方領土返還アピール


 「北方領土の日」の7日、政府や関係団体は「北方領土返還要求全国大会」を東京都内で開き、北方四島について「77年前、ソ連によって不法占拠されたまま今日に至っていることは決して許されるものではない」と非難するアピールを採択した。アピールに「不法占拠」の表現が復活したのは平成30年大会以来。昨年2月以降、ロシアがウクライナ侵攻を続けているのを踏まえ、厳しい対露姿勢を打ち出した。

 大会に出席した岸田文雄首相は、「ロシアによるウクライナ侵略によって日露関係は厳しい状況にある」と指摘したうえで「領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持する」と強調した。

 また、ロシア側が北方領土の元島民らに墓参のためのビザなし渡航を認める「北方墓参」など、四島交流事業の再開が「今後の日露関係の中で最優先事項の一つ」として事業の早期再開の必要性を訴えた。「北方領土問題は国民全体の問題だ」とも述べ、問題解決に向けて全力をあげる考えを示した。

 アピールは安倍晋三元首相とプーチン露大統領との間で進めていた返還交渉に配慮し、平成31年から2年連続で四島に関し、「不法占拠」との表現を使わなかった。令和3、4年も「法的根拠のないまま占拠」との表現にとどめていた。

 今回の大会は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、3年ぶりに参加者を制限しない形式で行われた。

 北方四島を巡っては、昭和20(1945)年、旧ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して対日参戦し、不法占拠されて以降、日本人が自由に行き来できない状態が続いている。

【私の論評】ウクライナ侵攻によるロシア弱体化で、北方領土返還の可能性が巡ってきた(゚д゚)!

ロシアは2020年の憲法改正で唐突に「領土の割譲禁止」を明記しました。「割譲行為は最大禁錮10年、割譲を呼び掛けても最大4年」とする改正刑法も成立しました。露メディアは2021年3月1日、国家安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ元大統領・首相が、憲法改正で日本と北方領土問題を協議するのは不可能になった、との認識を示し、「ロシアには自国領の主権の引き渡しに関わる交渉を行う権利がない」と述べたと報じました。日本側に一方的に「領土断念」を促す無礼千万な発言でした。


「四島返還」という国家主権に関わる歴史的正義の旗を自ら降ろし、全体面積の7%にすぎない歯舞、色丹の2島返還をうたった1956年の日ソ共同宣言に基づいて平和条約交渉を加速させる-との安倍晋三政権時代の日露合意(2018年11月)は、日本側の全くの幻想にすぎなかったことがこれで明白になりました。

プーチン政権は反体制派は容赦なく弾圧し、自らの出身母体の巨大な秘密警察・旧KGB(国家保安委員会)や軍の特権層の利益を最大限重視します。当時猛毒の神経剤で殺されかけた反体制指導者ナワリヌイ氏を強引に拘束、全土での大規模な抗議デモに見舞われていました。そのナワリヌイ氏に暴露された「プーチンの秘密大宮殿」は世界中の顰蹙(ひんしゅく)を買いました。対外的にはサイバー攻撃などで各国を揺さぶる。その謀略と強権ぶりはソ連共産党政権も顔負けです。


ソ連崩壊時の日本の対露外交の不首尾のツケはあまりに重いです。しかし、全土の抗議運動の大波に洗われ、20年超のプーチン長期政権の足元も揺れ始めました。さらに、昨年はロシアのウクライナ侵略がなされました。

岸田首相は1月の米国での演説で、「私は外交・安全保障政策で2つの大きな決断をした。1つはロシアのウクライナ侵略に際しての対露政策の転換だ。厳しい対露制裁を導入し、ウクライナ人道支援でも先陣を切った。もう1つは安保3文書の策定による戦後の日本の安保政策の転換だ」と述べました。

欧米の経済制裁の隊列に加わったことは評価できます。であれば、ウクライナ侵略が自由・民主主義陣営の存亡を懸けた国際問題であるのと同様、北方領土の不法占領問題も日露2国間の問題にとどめておくべきではありません。首相が対露政策の転換を語るなら、北方領土問題を世界が共有すべきこととして「国際化」するための戦略転換も説くべきです。

四島の不法占拠は、スターリンが日ソ中立条約を一方的に破り、「領土不拡大」をうたった大西洋憲章(41年)とカイロ宣言(43年)にも違反した国際犯罪です。

日本外交には、ソ連崩壊前後だった90年からの3年間、ヒューストン、ロンドン、ミュンヘンと続いたG7サミットで、北方領土問題の解決を支持する議長声明や政治宣言を採択させた実績があります。しかし、その後はこの問題を国際化する戦略がみえません。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこの1年間、無辜(むこ)の国民に多くの犠牲をもたらしたロシアの暴虐を耐え抜くとともに、9年前に強制併合されたクリミア半島を含む「全領土の奪還」に不退転の覚悟を示しています。

ゼレンスキー氏が北方領土問題にも目を向けていることを忘れるべきではありません。この北方領土には、ソ連当時にロシア人とともにウクライナ人も移住し、北方領土の4割はウクライナがルーツです。昨年10月には「北方領土はロシアの占領下に置かれているが、ロシアには何の権利もない。私たちはもはや行動すべきだ」との大統領令に署名しました。


日本はこの心強い援軍に全く応えていません。ゼレンスキー政権は昨年8月、クリミア奪還をテーマとするオンラインの国際会議を開き、約60カ国・機関の代表が参加しました。ここで演説した岸田首相は北方領土問題にひと言も触れず、世界に共闘を働きかける絶好の機会を逃してしまいしまた。不作為による失態です。

岸田政権には四島返還をテーマとする国際会議やシンポジウムなど具体的な行動を起こすべきです。

先にも述べたように現在のプーチン政権は憲法改正で「領土割譲禁止」をうたっています。ウクライナ侵攻後は日本との平和条約交渉を一方的に中断してビザなし交流も打ち切り、国後、択捉では大規模軍事演習を行うなど強硬姿勢をとっています。

一方で長引くウクライナ侵略はロシアの国際的孤立を深め、国内の経済・社会を疲弊させました。ソ連が崩壊したときのように国家的な衰退へと向かうことは十分にあり得ます。「そのとき」にどう備えるかが重要です。日本はあらゆる事態を想定し、領土を取り戻す戦略を練り上げなくてはならないです。ソ連崩壊時の日本の対露外交の不首尾を繰り返すべきではありません。

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2020年5月2日土曜日

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」―【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」

4月30日、モスクワ郊外の公邸に滞在中のプーチン・ロシア大統領(左)に新型コロナウイルス
感染をオンラインで報告するミシュスチン首相(画面)=ロシア大統領府提供

ロシアの新型コロナウイルス感染者数が急速に拡大している。一日には十一万四千人余に達し、対策で陣頭指揮を執っていたミシュスチン首相(54)の陽性も確認された。早期に中国との国境を封鎖するなど厳しい予防措置にもかかわらず、ここ数日、五千~八千人の感染者が出る日が続き、世界ワースト八位に。地方でもデモが相次ぐなど、市民は不満を募らせている。

ミシュスチン氏から陽性の報告を受けたプーチン大統領は三十日夜、「あなた抜きで重要な政策決定は行われない」と述べ、今後もテレワークで会議に参加するよう指示した。だが一部報道ではミシュスチン氏は医療施設で自主隔離後、高熱に見舞われているという。首相代行にはベロウソフ第一副首相が就いた。

ミシュスチン氏は一月に内閣総辞職したメドベージェフ前首相の後任で、コロナ対策本部を指揮。感染がまん延していた中国からの入国を西欧諸国より早く、二月二十日から禁止し、三月からは外国人の入国を止めた。外出禁止や商店の強制休業などでも徹底した隔離措置を断行してきた。

ロシアは検査を積極的に行い、累計で三百七十万件と米国に次ぐ規模。死者も約1%の千百人超と他国と比べると少ない。感染者の洗い出しと隔離による「封じ込め作戦」が進んでいるとの見方もあるが、拡大に歯止めがかかっていない。プーチン氏も四月二十八日、「ピークはこれからで危険な状態だ」と指摘した。

これに対し、モスクワなど都市部ではネット上で政権批判をしたり、シベリアでは鉱山労働者らによるデモが発生。独立系世論調査機関「レバダ・センター」が三十日に公表した調査では、市民の48%が政権に対してコロナ対策で不満を表明した。

このため、二〇二四年に任期が満了するプーチン氏の続投を可能にする憲法改正の全国投票についても、政権批判票を封じるため、コロナ禍が落ち着くと予想される冬まで先延ばしにするとの報道も出ている。政権は経済活動の維持と感染食い止めを巡り、難しいかじ取りを求められている状態だ。


【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシアでは、各地の軍施設や医療機関にも広がっています。1日から連休が始まり、外出の増加が予想されることから、当局は警戒を強めています。

ロシアは、中国ウイルス禍の最中他国に対して、フェイクニュースを流すなどの工作活動を行ってきました。

ガーディアン(3月18日)はEEASが3月に出したレポートをもとに、ロシア政府系メディアが西側諸国の中国ウイルス危機を悪化させる目的でデマを拡散していたと指摘しています。

同紙によると、1月半ばから3月半ばまでの2カ月間に、ロシアが発信源のデマが80件確認されたといいます。内容は「新型ウイルスは中国、アメリカ、イギリスの生物兵器」「感染の発生源は移民」「製薬会社の陰謀」「中国ウイルス自体がデマ」などでした。

ガーディアンが指摘するフェイク情報の拡散は、ロシア政府系メディアのスプートニク、RIA-FAN通信、レン・テレビ(REN TV)などでみられたましたが、その多くは米国の陰謀論サイトや中国、イランのネット上にある陰謀論的書き込みをシェアする形で行われました。

「リトアニアで米軍兵士が感染した」とのデマもSNS経由で拡散されましたが、その引用元として多かったのは、ロシア政府系メディアのRT(ロシア・トゥデイ)スペイン語版でした。

このように政府系メディアとSNSの相互引用で情報発信源を隠しつつ、信ぴょう性を持たせてデマを拡散する手法はロシア情報機関の得意技で「メディア・ミラージュ」と呼ばれます。イランでも同様の手法で「アメリカの生物兵器」「イスラエルの生物兵器」といったデマが拡散されました。

ニューヨーク・タイムズ(3月28日)は、ロシアと中国とイランのデマ拡散工作が互いに連動して、アメリカ社会の分断と弱体化が促されていると指摘しています。

同記事によれば、今回はとりわけ中国が積極的だといいます。これまで中国は、台湾や香港、チベット問題などに関する政治的プロパガンダには積極的に資金を投入してきましたが、陰謀論の拡散にはあまり関与してきませんでした。

にもかかわらず、今回は「ウイルスの発生源は米国」「ウイルス封じ込めに成功した中国共産党のシステムは優れている」といった言説を、発信源を隠して拡散しています。中国ウイルス問題で責任の矢面に立つきわめて不利な立場に追い込まれたことで、ロシアの情報戦略の有効性を認識し、模倣を始めたということでしょう。

そのためか、中国がデマ情報拡散に活用しているサイトは、カナダの親ロシア系陰謀論サイト「グローバル・リサーチ」や、親イラン・ロシア反米系の陰謀論サイト「ベテランズ・トゥデイ」など、もともとロシアが陰謀論を拡散するのに利用してきたところが多いようです。

最後に、ロシアや中国が意図的に拡散したフェイク情報を、EEASレポートから紹介しておきます。

▽「牛乳がCOVID-19に効く」説(presentnews.biz.ua、ウクライナ語)

▽「そもそも中国ウイルス感染は起きていない」説(Der Fehlende Part、ドイツ語、動画)



▽「大手製薬会社の金儲けが目的のアメリカ製人工ウイルス」説(NewsFront、スペイン語)

▽「ビル・ゲイツとロックフェラーによる人口削減の陰謀」説(Journal of New Eastern Outlook、英語)

▽「手洗いは効かない」説(RT、ドイツ語)

▽「亜鉛が中国ウイルスに効く」説(RT、アラビア語)

▽「大手製薬会社と手を組んだ欧米メディアは、中国でビタミンCによる治療に成功したことを無視している」(South Front、英語)

▽「パンデミックは誇張された陰謀。ファシスト国家を作るのが目的」(スプートニク、ドイツ語版)

また、中国の一連のデマ拡散工作について、各所からの分析報告を紹介しておきます。

▽「中国の国営メディアが新型中国ウイルスのパンデミックに関して、国際的な認識に影響を与えようとしている」(Recorded Future)

▽「中国はどのようにツイッターによるプロパガンダの仕組みを構築し、中国ウイルスを解き放ったか」(プロパブリカ)

▽「中国がトランプ非難のプロパガンダ広告~国営メディアは中国のパンデミックへの対応を称賛し、アメリカの過ちを攻撃する広告を多数購入」(テレグラフ)

中露は、世界の中国ウイルス危機に乗じて、これだけの工作を実施しているのです。日本国内でも当然様々な工作を行っているでしょう。日本のマスコミにもいろいろ、直接的間接的に働きかけているでしょうし、政治家などにも働きかけているでしょう。当然SNSでも工作をしているとみるべきです。

彼らの目的は、日本国内を分断させること、アジア内の分断、日豪分断、日欧分断、日米同盟の分断など様々です。私達は、これらに騙されないように中国ウイルス報道や、SNSなどの内容には十分気をつける必要があります。

日本では、脳内がお花畑的な人が多く、こうした中露の工作があるなどとはつゆほども疑わない人も多いようで、特にマスコミで中露の「メディアミラージュ」を取り上げているところはありません。

ロシアがこのような「メディア・ミラージュ」をチャンス到来として、各国に対して工作しているうちに、ロシア自体の感染者が増え、抜き差しならぬ状態になったのは皮肉です。

感染したとされる、ミシュスチン首相といえば、今年の1月に、就任したばかりです。これについては、このブログでも掲載しています。この記事では、プーチンがミシュスチンを首相に据えたのには、それなりの背景があることを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。 
だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。 
しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。
プーチン(左)と習近平(右)
そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。 
中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。 
こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。 
だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。 
さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。 
その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。
今回の中国ウイルス禍では、ロシアは中国ウイルス感染そのもので相当疲弊するはずです。特に、ロシアの最大の主要産業は、 鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等)であり、これらは、中国ウイルス禍によってかなり価格が下がっています。

中国ウイルス禍で、経済が疲弊するのは確実ですが、それによる失業や生活困窮などに、対処するのは今日のロシアにとっては困難です。

そもそも、ロシアの人口は1億4千万人で、日本より、2千万人多いのですが、GDPは国でいえば、韓国と同等、日本国内の都市でいえば、東京都なみです。ロシアと日本は人口は大差はないですが、中国ウイルス感染者数5月1日現在では、ロシアは12.4万人です。死者は、1,222人です。日本は同時で、感染者数1.4万人、死者数は493人です。ロシアの被害が酷いことがわかります。

日本全体の経済が東京都なみだとしたら、どうなるか想像してみてください。現在政府は、国民一人あたり10万円の給付を決めました、休業補償については財務省が渋ってはいますが、日本の経済力(そもそも財務省の言う、国民一人当たりの借金が1000万円であるとは、財務省の大嘘)であれば、やろうと思えば実行可能です。

しかし、ロシアは違います。日本の東京都と同等の経済のロシアの軍事力は米国に次いで、世界第二位です。宇宙開発も手広く行っています。そうなると、国民の雇用や、困窮者に対する補助するための資金を捻出するのはかなり難しいです。

そうなると、プーチン政権の求心力はかなり落ちることになります。そうなると、プーチンの夢でもある、ロシアが中国の属国的地位から脱するという目論見は水疱に帰し、ロシアはますます中国の属国的な立場から逃れなくなります。

それは、プーチンとしては潔しとしないでしょう。これを解決するには、日本に北方領土を返還し、手厚い経済協力を得るしか方法はないかもしれません。

かつて、丸山穂高衆院議員は、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言してトラブルになりました。

しかし、戦争で取られたものは、戦争で取り返すしかないというのは、厳然たる事実です。これが、国際社会の現実です。

ところが、現在ロシアで起こっている中国ウイルス禍はまさに、戦争と匹敵するほどの非常事態です。

今のロシアは、どこまでも疲弊し、これも沈みつつある中国の属国的地位から、真の属国に成り下がるか、あるいは、日本の支援を受けてロシアが中国の属国的地位から脱するかのいずれか一つです。

このような大きな取引は、残念なが米国とはできないでしょう。米露には、北方領土のような大きな懸案事項はないからです。日本としては、素早く中国ウイルス禍から脱却して、世界情勢も国内情勢も疎く、省益のためだけに突っ走る財務省の干渉を押さえつけて、経済を急速に回復して、ロシアに見せつけるときです。

その時こそ、北方領土交渉は今まで一番やりやすくなります。このようなことを言うと、嫌がる人もいるかもしれませんが、かつてのソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破り、日本領に侵攻して、北方領土を掠め取ったのです。それどころか、何の法的根拠もないのに、シベリアに多数の日本人を抑留し、多数の死亡者がでました。占守島の戦いで、日本軍が奮戦しなければ、北海道もソ連領になっていたかもしれません。

検索結果

ウェブ検索結果占守島の戦い

我々日本人は、それを忘れるべきではありません。日本としては、中国ウイルスが終息すれば、すぐにでも北方領土交渉を再開すべきです。そうして、北方領土を返還させるだけでなく、ロシアを中国に対峙する日米側に取り込むべきです。

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2021年3月2日火曜日

険悪化する欧露関係、「本当のロシア」に対峙せよ―【私の論評】日本が対ロシア経済援助をする意味と意義(゚д゚)!

 険悪化する欧露関係、「本当のロシア」に対峙せよ

岡崎研究所

 2月13日付の英Economist誌が「EUは本当のロシアに対峙しなければならない。宥和は機能していない」との記事を掲載し、EUの対ロ外交のあり方を論じている


 エコノミスト誌の記事はロシアに対して大変厳しいものであるが、プーチン政権の自業自得といってよいと思われる。ナヴァリヌイに対する毒殺未遂、その帰国直後の拘束、執行猶予判決の実刑化、ナヴァリヌイ釈放要求デモに対する取り締まりなど、ロシアの現状は西側のパートナーになりうる国ではなく、西側との対決を選んだ国であるとの判断は正しい判断であると思われる。

 この論説のきっかけになったのはEUの外交責任者、ボレルのロシア訪問である。ロシアのラブロフ外相はボレルに恥をかかせるために共同記者会見を利用したとしか考えられない。その上、ボレルがモスクワ訪問中にEU3か国(ドイツ、ポーランド、スウェーデン)の外交官追放措置を、ボレルに事前に通報することなく突然発表した。このようなロシアの振る舞いはEU=ロシア関係を今後難しいものにしていくだろう。EUの中では、バルト諸国やポーランドなど東側の国がロシアに厳しく、独仏伊西など西側の国がロシアに甘いという分裂があるが、今後、東側諸国の意見がより強く反映した政策になっていく可能性が強い。ドイツ、スウェーデン、ポーランドは自国の外交官追放に対し、ロシアの外交官を追放する措置をすぐにとった。

 プーチンのロシアは、国際法を無視するという点で、習近平の中国と同じである。中ロは最近ますます共同戦線をはっている。プーチン政権は、改正憲法で、憲法は国際法より上位の法であると勝手に規定し、ロシアをならずもの国家にしてしまっている。こういうロシアの変化は、当然、日ロ関係にも影響を与える。メドヴェージェフは改正憲法でロシアの領土を譲渡してはならないことになったので、日ロ間の領土交渉は終わったとの趣旨の発言をしている。こんな政権を相手に条約を結んでも意味がない。ロシアとの外交関係のあり方を真剣に再考すべき時期が来ているのではないかと考える。日ソ共同宣言に違反するロシアの言動は厳しくとがめ、覚悟を持って、本当のロシアに日本も対峙していくべきであろう。

 ロバート・コンクエストの「The Great Terror」には、大きな衝撃を受けた。この点、プーチンはネオスターリン主義者であり、プーチンとの関係で日ロの諸問題を話し合いで進展させることはほぼ不可能と考えられる。プーチンは2036年まで政権の座に居られることに改正憲法でなっているが、ロシア国内での反プーチンのデモなどを見ると、そういうことにはならないだろう。ポスト・プーチンをにらんで、対ロ外交は考えていかざるを得ない。

【私の論評】日本が対ロシアを経済援助をする意味と意義(゚д゚)!

安倍前首相には首相在任中に、果たせなかった目標がいくつかあります。それは、憲法改正、拉致問題解決、そして北方領土返還です。

プーチン露大統領と安倍元首相


安倍氏はロシアのプーチン大統領と良好な関係を維持してきました。しかし、領土問題に関しては、「一歩も前進しなかったばかりか、後退した」と言っても過言ではありません。

ロシアでは2020年7月1日、憲法改正の是非を問う国民投票が実施された。その結果、プーチン大統領の任期延長が可能となり、最長で36年まで長期化する可能性が出てきました。

また、「ロシア領土の割譲に向けた行為は認めない」と憲法に明記されました。ただ「隣国との国境画定は例外とする」ともあり、北方領土交渉は例外とも解釈できます。しかし、大方のみかたでは難しくなったと見られています。

このような厳しい状況の中、菅新首相は「長期独裁政権」となるプーチン・ロシアと、どう付き合っていくべきでしょうか。

日本ではよく、「プーチンが何を考えているか、わからない」といういわれているようですが、実は、彼が何を考えているのかは明白です。

日本に関して、プーチン氏の頭の中にあるのは、「金が欲しい」「でも領土は返したくない」「できれば日本から食い逃げしたい」の3つです。

安倍氏が首相に再就任したのは、2012年12月でした。13年、「私の代で領土問題を解決する」と気合が入っていたこともあって、同氏はロシアとの関係改善を猛烈な勢いで行っていました。

ところが、当時は「島を返せ!」とはあまり言わず、日ロ間のビジネス発展に力が注がれていました。

14年3月、ロシアがクリミアを併合し、転機が訪れました。日本は米国、欧州の「対ロシア制裁」に参加し、日本政府や企業は、経済(金儲け)の話ができなくなってしまいました。


そうして、日本政府高官ができるのは、「4島返還」の話だけになってしまいました。ロシア側は「金は欲しいが、島は返したくない」ので、日ロ関係は悪化し続けていきました。

次に転機が訪れたのは、16年5月でした。ソチでプーチン氏と会った安倍首相は、「8項目の協力プラン」を提案しまし。つまり、日本政府は北方領土問題の話を止め、再び金儲けの話を始めたのです。

プーチン氏は大満足で、同年12月に訪日を果たしました。これで、日ロ関係は劇的に良くなりました。

安倍時代最後の転機は18年11月でした。シンガポールでプーチン氏と会談した安倍首相は「日ソ共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる」ことを提案しました。これは日本にとって「大きな譲歩」でした。

安倍首相は「日ソ共同宣言を基礎とする」としたことで、これまで日本政府の基本方針だった「4島一括返還論」を捨て去り、「2島返還論」にシフトしたのでした。にもかかわらず、プーチン氏は安倍首相の大胆な決断を評価していません。

繰り返しますが、プーチン氏の頭の中は、「金が欲しい」「でも領土は返したくない」「できれば日本から食い逃げしたい」なのです。元々4島はもちろん、2島返還もしたくないのです。

この後、日ロ関係は再び悪化していきました。プーチン氏は「島を返せば、米軍が来るだろう」と言い、19年3月には、「日本が日米安保から離脱しなければならない」と発言しました。それ以後、日ロ関係は良好とは言えない状態が続いています。

ここまで第二次安倍政権時代の日ロ関係の流れを見てきた。

以上から、日露関係は以下の法則があることがわかります。

法則1、北方領土の話をすると、日ロ関係は悪化する。

法則2、金儲けの話をすると、日ロ関係は改善される。

では、日ロ関係をどうすべきなのでしょうか。それなら、断交してかまわないと、少なからず、そう考える人がいると考えられます。

私自身も、確かに平時ならそれもありだと思います。ところが、現在はとても平時とはいえません。

無論、現在はコロナ禍であるということもありますが、それ以前に中国は2012年11月、ロシアと韓国に「反日統一共同戦線」構築を提案したという事実があります。

この時中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない」と宣言しています。この宣言は、なぜか日本ではほとんど報道されることもなく、ご存知の方も少ないでしょうが、これは日本にとっては、中国による宣戦布告と言っても過言ではありません。これを受けて安倍内閣は、米国、ロシア、韓国との関係改善に取り組み始めました。

安倍首相は15年4月、米議会で「希望の同盟」演説を行い、日米関係を強固なものにしました。15年12月の慰安婦合意によって、日韓関係は一時的にですが、良くなりました。先に述べたように日ロ関係も改善されました。

このあたりの動きについては、日本では中国による反日統一共同戦線」構築の提言が報道されなかったなので、なぜ安倍前総理がこの時期に米・韓国・ロシアなどとの関係改善を急いだのか多く人々には理解されなかったかもしれません。

プーチン訪日時、物事を戦略的に見る中国は、日ロ接近を嘆きました。

中国国営新華社通信は日ロ会談に関する論評で「安倍首相はロシアを抱き込み、中国に対する包囲網を強化したい考えだが、中ロ関係の土台を揺るがすのは難しく、もくろみは期待外れとなる」と反発。(時事通信2016年12月16日)
この時、日本政府関係者は誰も、「中国包囲網を強化したい」とは言っていませんでしたが、中国は戦略的危機感を持ったのです。中国は、日ロ接近を恐れているのです。

プーチン大統領は北方領土を返す気がないが、中国に対抗するために、ロシアと付き合うというのが、現状の正しい姿勢です。では、菅政権はどうロシアと付き合うべきなのでしょうか。

これは、「法則2、金儲けの話をすると、日ロ関係は改善される」が答えになります。菅首相は前安倍政権が約束した「8項目の協力プラン」を、ゆっくりとでもいいので、進めていくべきです。無論現状は、大規模な支援ができる状況ではありません。しかし、全く切らないで、いざというときには交渉の材料にできるようにはしておくべきです。

ここまで書いても「ロシアと組むのは嫌だ」という人は多いでしょう。長い日露関係史からいって何度も裏切られ、危険な目にあってきた日本人がロシアを嫌がるのは当然といえば当然かもしれません。

ただし、現在のロシアは昔のロシアとは違います。あの広大な領土に日本より2千万人くらい多い、1億二千万人の人口しか存在しません。下の地図の赤い部分は、ロシア極東地区ですが、ここの人口は、 2016年の調査によると約620万人に過ぎません。 民族的にロシア人とウクライナ人がこの地域の主要民族となっています。
この地域に接する黒龍江省だけでも人口は、3800万人です。ロシアと中国は現状では経済的には中国が圧倒的に上であり、現在のロシアのGDPは、日本の1/5程度に過ぎません。そのため中露国境は、中国人が越境して、ロシア領内でビジネスをすることが多く、国境が曖昧になり、国境融解と呼ばれている程です。

こうした状況にロシアが、脅威を抱いていないということはあり得ませんが、現状は中国のほうが圧倒的に国全体としては、国力が強いので、ロシアは中国と事を荒立てたくないので、友人同士のように振る舞っていますが、その実、かつては中露国境紛争で激しく衝突したという経緯もあり、互いに敵愾心を持っているのは疑いの余地はありません。

さらに、上記のようにEUは、ロシアに敵対しており、中国に対してはどうなのか疑問符がつく米国のバイデン政権もEUとの同盟関係を重視しているため、ロシアに対しては厳しいでしょう。

そうなると、ロシアに手を差し伸べる国は、当面中国と日本だけということになりますが、プーチンとしては、中国に恩を売られるのは良しとしないでしょう。となると、当面は日本がかなり有力ということになります。

日本が援助の手を差し伸べることにより、中国を牽制することができます。これは、結果として、日本をはじめとする中国と対峙する先進国にとっては良いことです。

そうして、世界一の戦略家ともいわれるエドワード・ルトワック氏は、著書『自滅する中国』(芙蓉書房出版)の中で、日本が生き残るためには、ロシアとの関係が「極めて重要」と断言しています。

もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。(『自滅する中国』188p)
感情的にロシアが嫌いなのは、日本人としては当然のことと思います。しかし、中国に尖閣、沖縄、台湾を奪わせないために、中国の海洋進出をこれ以上許さないためにも、日本はロシアと「組む」べきなのです。

そうすれば、中国としては、ロシアに備えなければならず、国境に多数の兵力を割くことになります。ロシアというと、先程も述べたように、経済的には日本の1/5であり、東京都と同程度のGDPに過ぎなく、単独では米国を除いたNATOともまともに対峙できません。現在のロシアができるのは、クリミア併合が精一杯というところでしょう。

とはいいながら、ロシアはソ連の核兵器や軍事技術の継承者であり、軍事的には侮れないところがあり、中国としては軍事的にも心理的にもロシアの存在は重荷になるはずです。

北方領土については、日本がある程度援助したところで、現在のロシアには石油・天然ガス産業くらいしか育っておらず、将来発展する産業もないですし、米国やEUから経済制裁を受けている現状では、いずれ必ず経済的にかなり行き詰まり、八方塞がりになることは明らかです。

その時には、プーチン政権が退陣せざるを得ないくらいに追い詰められるのは目に見えています。

そうなれば、ロシアは北方領土どころではなくなります。それどころか、極東地域そのものが、中国の脅威にさらされることになります。その時が交渉のやり時でしょう。この時には、日本に経済援助が切り札になります。経済援助を打ち切るか、継続するかが、鍵になります。

また、それ以前にも、ロシアがはっきりと中国に対峙する道を選ばなければ、経済援助を打ち切るという手もあります。とにかく、日本側が援助という外交カードを握るのが重要なことです。

その時は、20年後とか、30年後というよりは、もっと早く来るでしょう。

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