2019年9月30日月曜日

中国建国70年 内憂外患の習主席 党長老ら不満、くすぶる火種―【私の論評】苦しい歴史修正でしか、自らを誇示できない哀れな習近平(゚д゚)!


建国70年の式典を前に、北京の天安門広場を行進する兵士ら=30日

中華人民共和国が建国70年を迎える10月1日、北京の天安門広場周辺では祝賀行事が開かれ、軍事パレードで最新鋭の兵器を誇示する。米国との貿易戦争や経済成長の減速、香港の混乱といった内憂外患に直面し、共産党長老の間では習近平国家主席(共産党総書記)への不満もくすぶるが、習氏は党の「団結」を演出し、自らの権威を守る構えだ。

 共産党理論誌「求是」は9月16日付で、習氏が「われわれは指導者の終身制を撤廃し、任期制度を実行している」と2014年に語った講話を掲載した。習氏は昨年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正に踏み切り、党内外から「終身制への道を開いた」との声も上がった。講話の掲載は批判をかわすとともに、指導者の終身制を撤廃して集団指導体制をつくったトウ小平を持ち上げる意図がありそうだ。

 建国70年を前に、党の宣伝工作はトウ氏や江沢民元国家主席、胡錦濤前国家主席ら過去の指導者たちの功績を強調する姿勢が目立っている。昨年12月の改革開放40年にあたり、習氏の功績ばかり強調してトウ小平を軽視しているとの批判が出たのとは対照的だ。

 数々の政敵を打倒した反腐敗運動など強気一辺倒で党内の権威を確立してきた習氏だが、ここにきて国内外の問題が山積し、党内の協調と団結を演出する必要性が出てきたようだ。

 7月末に北京で開かれた李鵬元首相の告別式には習氏ら7人の政治局常務委員や江沢民元国家主席が出席した一方、党の重要会議「北戴河会議」のため北京に隣接する河北省にいた胡錦濤氏は花輪を贈るにとどめた。温家宝元首相、朱鎔基元首相らも出席しない異例の事態だった。李鵬氏との政治的な距離感に加えて「現指導部に対する不満の表れ」(党関係者)との見方がある。

 党内で表立って習氏に対抗できる政治勢力は存在しないが、権力の足下では火種がくすぶっている。ただ米側が求める経済改革などは以前の指導部が先送りしてきた問題でもあり、習氏に同情する向きもある。

【私の論評】苦しい歴史修正でしか、自らを誇示できない哀れな習近平(゚д゚)!

10月1日の建国70周年で「古希」に達する中国は、この日に大規模な閲兵式を実施しようと着々と準備してきました。内容については8月下旬まで正式発表をしなかったものの、「新中国で最大規模になる」と北京のシンクタンク研究者は話していましたし、市民もそう予想していました。

9月21日の深夜からは、本番さながらの予行演習が天安門広場を中心に行われました。市内の一部幹線道路を「戒厳状態」にして、戦車と兵器の運搬車両を通過させました。シンクタンク関係者によると、最新の多弾頭型大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「東風41」が披露されるといいます。米国本土を射程に収める最新兵器です。
本番さながらの、軍事パレード予行演習

軍事パレードの実施とその意義について、これまで積極的に国内外に説明してこなかったのは、習近平(シー・チンピン)体制が難題を多数抱えているからです。この時期に大規模なパレードを行う大義名分がどこにあるのでしょうか。一党独裁政権とはいえ、その根拠は決して明らかではありません。

まず、社会主義市場経済を基本とする中国は、国有企業への資金注入の停止など抜本的な構造改革をする気が全くありません。米中貿易戦争の開始以来、経済状況は悪化の一途をたどっています。

アフリカ豚コレラの流行などにより、豚肉の価格高騰が市民の食卓を直撃。南部の広西チワン族自治区などでは豚肉の配給券が印刷されています。物資が極端に不足していた文化大革命期、中国では買い物に貨幣のほか配給券が欠かせませんでした。
その時代さながらの状態が続いているのです。そして、複数の大都市部では不動産の価格も下落し、新車の販売台数も軒並み伸び悩んでいます。軍事パレードなんかやっている場合じゃない、という声も市民から聞こえています。
毛沢東を除き、最高指導者の在任期間中に複数回にわたって軍事パレードを実施するのも例外といえます。習は既に2015年9月と2017年に2度、閲兵式を行っています。江沢民(チアン・ツォーミン)元主席と胡錦濤(フー・チンタオ)前主席も建国50周年と60周年に閲兵式を行いましたが、それぞれ1回だけでした。

2015年は今や刑務所暮らしの朴槿恵(パク・クネ)・前韓国大統領や、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領らが参列。先進国では日本を除くG7各国が代表団を派遣して花を添えました。というのも、このパレードは「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」を祝うのが目的だったからです。
                                 19年9月3日の軍事パレードではロシアのプーチン大統領、
                                 韓国の朴槿恵大統領(当時)が習近平主席と席を並べた。

ただし、このパレードは全く噴飯ものです。なぜなら、中共軍と日本軍は一度たりとも交戦したことはないからです。日本が戦ったのは、当時の国民党軍であり、中共軍ではないからてす。

国民党軍は後に台湾にわたり、台湾を統治しました。だから、台湾が抗日軍事パレードを実施するなら、わからなくもないですが、中共が行うのは、歴史修正と言わざるを得ないです。

実際、中国建国の父とされる毛沢東は、日本軍と国民党軍が戦ってくれたおかげで、国民党軍が疲弊し我々は中華人民共和国を設立できたと語っていたとされています。

この抗日軍事パレードは、中共が最近の若い世代の中国人に中共が日本軍と戦って、現在の中華人民共和国を設立したと思い込ませ、自らの統治の正当性を高める行為以外の何ものでもありません。ある程度年齢が上の中国人なら、誰もが中共軍と日本軍が戦ったことなどないことを知っています。

ただし、大東亜戦争当時の、国民党軍と日本軍の戦いを知っている人々は現在では少数派になったのと高齢になったため、社会の第一線からはほとんどが退いているので、中共としては、こうした歴史修正は実施しやすくなっているのは確かです。

元々、抗日軍事パレードが噴飯ものであるのに比して、今回はさらに国際的な正統性に欠けます。大国であるとはいえ、独裁体制がますます強化され、覇権主義的行動が目に余るため、日本以外の主要6カ国も距離を置いています。市民の中にも、そうした自国の姿勢に気付いている者はいます。

台湾問題もあります。「人民解放軍は戦争に勝つ軍隊でなければならない」、と習は就任以来、軍を視察するたびにそう強調してきました。解放軍の最大の任務は「台湾解放と祖国統一」です。

しかし、その台湾では民主主義体制が定着し、台湾人の自己認識も「中国人」から遠ざかっています。武力による威嚇では台湾人を屈服させることができず、逆に独立志向の民進党の支持率を高めつつあります。
南シナ海を占拠して島しょ部を要塞化したのには台湾包囲網を構築する狙いもあったようですが、こちらは米軍や英軍、それに自衛隊による「航行の自由」を招きました。
8月28日、南シナ海の海域で「航行の自由」作戦を実施するイージス艦「ウェイン・E・マイヤー」

祖国統一の理想も思わぬところから挫折し始めました。大英帝国の植民地から「祖国の懐に回帰」した香港です。「祖国に回帰」して幸せを実感するどころか、「香港人は中国人ではない」との主張を掲げた若者たちが6月からデモを続けており、いまだに収束の見通しが立っていません。中国政府が解放軍の武装警察部隊を香港に近いところに展開して恫喝しても効果はありませんでした。
内憂外患が続くなか、大金を投じて軍事パレードを強行するのは、ほかに選択肢がないからです。やらなければ負のスパイラルが始まります。いや、すでに始まっています。しかし、やっても負のスパイラルが継続するのは確実でしょう。
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2019年9月29日日曜日

韓国を2段階“格下げ” 河野太郎氏率いる防衛省、白書で決然姿勢 「国益を守る」強い意思示す―【私の論評】韓国への毅然とした対応は、すでに政府と大多数国民の意思になっている(゚д゚)!

韓国を2段階“格下げ” 河野太郎氏率いる防衛省、白書で決然姿勢 「国益を守る」強い意思示す

河野太郎防衛大臣

河野太郎防衛相率いる防衛省が決然とした姿勢を示した。2019年版の防衛白書で、安全保障協力を進める国・地域の記載順で、韓国を前年版の2番目から4番目に「格下げ」したのだ。輸出管理の優遇対象国「グループA(『ホワイト国』から改称)」から同国を除外したことに続き、安倍晋三政権による、文在寅(ムン・ジェイン)政権への失望感がにじんだ対応となった。

 「日韓関係は非常に重要だ。それだけに、韓国には賢明な判断をしていただきたい」

 河野氏は27日の記者会見で、こう強調した。

 同日閣議決定された防衛白書は、韓国についての記述量も内容も減り、日韓の距離がこの1年で離れたことを反映していた。

 同盟国の米国を除いて、防衛交流が活発な順に書かれる「安全保障協力」の章でも、韓国は昨年2番目だったが、今年は「オーストラリア」「インドなど」「東南アジア諸国連合(ASEAN)」に続く、4番目に後退した。

防衛白書表紙

 白書は、昨年10月の国際観艦式で韓国側が自衛艦旗「旭日旗」を降ろすよう求めたために参加を見送ったことや、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への危険なレーダー照射事件、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定など、「韓国側の否定的な対応が、日韓の防衛協力・交流に影響を及ぼした」と指摘した。

 河野氏は外相時代にも、いわゆる徴用工問題をめぐり、文政権が煮え切らない態度を取るのを「極めて無礼だ」と駐日韓国大使に強く出たことで評価を上げた。今回は、防衛省トップとして「国益を守る」という強い意思を示した白書となった。

【私の論評】韓国への毅然とした対応は、すでに政府と大多数国民の意思になっている(゚д゚)!

読売新聞は8月21日、2019年版防衛白書草案に日本が唯一の軍事同盟国である米国以外の国家との安全保障協力に関し叙述する内容で、韓国の登場順位がオーストラリア、インド、東南アジア連合(ASEAN)に次ぐ4番目に記述されていると伝えていました。

また、昨年12月に発生した韓国海軍艦艇の「射撃統制レーダー照射」論議と関連して「再発防止を強力に要求する」という内容が草案に含まれました。日本は昨年、韓国軍の艦艇が東海で自衛隊の哨戒機に向けて射撃統制レーダーを照準したとし抗議したのですが、韓国軍はそうした事実はないと反論しました。韓国軍は、その後日本の哨戒機が逆に海軍艦艇を相手に威嚇的な低空飛行をしたと反論しました。

新内閣が組閣されたのは、9月11日ですから、それ以前に韓国を防衛白書の中で2段階“格下げ”ということは決まっていたということです。

無論、最終的に河野防衛大臣は、この防衛白書に関して、依存がなかったので、正式に公表されたということです。

そうして、ここで私が何を言いたいかというと、日本の韓国に対する毅然とする態度は河野防衛大臣がどうのこうのというレベルを超えて、日本政府の意思となったということです。

これは、すでに1月の時点では、すでに明白になっていたものと考えられます。

安倍首相が施政方針演説(1月28日)で、「戦後日本外交の総決算」として長い時間を割きながら、韓国について触れませんでした。同月29日付の韓国各紙は「韓国外し」などと1面で報じました。

朝鮮日報は、徴用工訴訟での「韓国最高裁による確定判決や、日本の哨戒機の威嚇飛行などをめぐり韓日関係が悪化の一途をたどるなか、意図的に言及を避けたとみられる」と指摘しました。

また、中央日報は「安倍、施政演説から韓国の部分をまるごと省いた」との見出しで、「これまで韓国関連は安倍首相の演説で外交分野に欠かさず登場していたが、今回は近隣外交の対象として具体的に韓国には触れなかった」と報じました。

韓国経済にとって、日本との経済連携は不可欠だ。予想される対韓対抗策=下表=には、「韓国製品の関税上乗せ」や、「TPPへの韓国の参加申請拒絶」「日本からの部品・素材提供の停止(フッ化水素など)」といった、韓国経済を破滅させかねない項目が並んでいました。相当警戒していました。


この中で実際に実行されているものはいまのところありません。ただし、日本からの部品・素材提供の停止(フッ化水素)などについては、貿易管理がなされるようになったというだけです。

日本が対抗措置を次々と取らなければ、事態はますます悪化するでしょう。韓国政府は徴用工問題では『司法を尊重する』と言ったきりです。レーダー照射問題も、未だうやむやにしています。

これは、すでに多くの国民もそのように感じているのではないでしょうか。日本人の怒りを韓国に『痛み』を伴うかたちで理解させるべきです。日本は堂々と、かつ、毅然(きぜん)とした態度で反論すべきは反論し、分かりやすく行動で示すときがきたのです。

【産経・FNN合同世論調査】徴用工にレーダー照射問題…韓国批判高まる

韓国に対して政府制裁など発動しても、大多数(少なくとも八割 方)の国民は賛同するでしょう。ほんの少し前のマスコミならこれに大反対したかもしれません。しかし、そのようなことをすれば、今や大多数の国民に批判されるようになりました。

一部の野党だけがそれに反対するかもしれません。しかし、ほとんどの国民がこれに賛成している中で、どうして一部の野党だけが抗うのか全く理解できません。

米国では、米国の対中冷戦に関しては、トランプ政権がどうのこうのという次元ではなく、議会では超党派で、中国に対抗しようとしています。

日本も超党派で韓国に対抗すべきときがやってきていると思います。

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2019年9月28日土曜日

「北朝鮮がソーシャルメディアで世論操作、他国の選挙に介入」―【私の論評】北が本格的サイバー攻撃を日本にしないのはなぜか?

「北朝鮮がソーシャルメディアで世論操作、他国の選挙に介入」
朝鮮日報日本語版

 北朝鮮が、ソーシャルメディアの世論操作を通して他国の選挙に介入していたことが27日までに分かった。米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」は27日、英国オックスフォード大学が公開した報告書「世界の虚偽情報秩序:2019年組織的ソーシャルメディア操作目録」(The Global Disinformation Order:2019 Global Inventory of Organised Social Media Manipulation)を引用して、「北朝鮮は自らの政権を擁護しつつ相手方(他国)を誹謗(ひぼう)し、虚偽情報の拡散にも介入している」として、このように伝えた。

「世界の虚偽情報秩序:2019年組織的ソーシャルメディア操作目録」
(The Global Disinformation Order:2019 Global Inventory of Organised Social Media Manipulation)
https://comprop.oii.ox.ac.uk/research/cybertroops2019/

 オックスフォード大学が2010年から19年まで、世界およそ70カ国を対象に行った調査によると、北朝鮮は3つ以上の国家機関を通して各国のソーシャルメディア世論操作に介入していることが判明した。およそ200人規模の常設世論操作部隊もあるといわれている。この部隊は、主にハッキングしたアカウントを通して活動していると推定されている。オックスフォード大学はこれを基に、北朝鮮を「親政権の宣伝活動や他国に対する攻撃に力を注いでいる国」に分類した。オックスフォード大学は、北朝鮮が具体的にどの国への攻撃に力を注いでいるかは明らかにしなかったが、韓国や米国、日本などが含まれる可能性が高いと推定される。

 オックスフォード大学の研究陣は北朝鮮について、米国、ロシア、中国などサイバー面で高い力量を持つ国には劣るものの、他国の選挙期間などには積極的にソーシャルメディアで世論操作に関与していると評した。なお韓国は、最下位の力量の国に分類された。

 各国のサイバー部隊が最も多く活動しているソーシャルメディアはフェイスブックだった。中国はこれまで、中国版ツイッター「ウェイボー」(微博)など中国国内のソーシャルメディア中心の世論操作活動を繰り広げてきたが、最近は地域での影響力拡大のため海外のソーシャルメディアサービスにも目を向け始めた、と「ボイス・オブ・アメリカ」は報じた。

【私の論評】北が本格的サイバー攻撃を日本にしないのはなぜか?

北朝鮮による不正行為は、他国の選挙への介入だけではありません。

北朝鮮が銀行や仮想通貨取引所を攻撃して20億ドル(約2100億円)の資金を盗み取っており、その資金が兵器の購入に使われている可能性があることも明らかになっています。国連から流出した報告書の草案によれば、同国の攻撃は広範囲に及んでおり、「ますます高度化している」といわれています。

国連安全保障理事会に8月に提出された報告書には、北朝鮮政府は、サイバー空間を通じて金融機関や仮想通貨取引所から資金を盗むとともに、盗んだ資金をロンダリングしていたとあります。

ReutersAssociated PressNikkei Asian Reviewなどをはじめとする報道機関が報じました。この報告書は、北朝鮮に対する制裁の履行状況を監視する専門家パネルによって提出されたものです。

報告書にはこのほかに、「朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)のサイバー攻撃の実行者は、その多くが朝鮮人民軍総参謀部偵察局の指示を受けて活動していますが、大量破壊兵器開発プログラムのための資金を集めており、現在までに最大で合計20億米ドルを入手したと推定される」という記述もありました。総参謀部偵察局は北朝鮮軍の軍事諜報機関です。

同報告書では、北朝鮮の攻撃実行者が、外貨獲得を目的として、金融機関や暗号通貨取引所を対象とした攻撃や仮想通貨マイニング活動を実施した例が、少なくとも17カ国で35件あったとしていいます。

報告書では、仮想通貨取引所に対する攻撃によって、従来の銀行業界に対する攻撃に比べ、「追跡が困難で、政府の監視や規制が緩い」方法で金銭を獲得することが可能になったと指摘しています。

またある仮想通貨マイニングの事例では、北朝鮮のハッカーがクリプトジャッキングマルウェアを使用してある組織のコンピュータを感染させ、推定2万5000ドル(約260万円)をマイニングしたとされています。
北朝鮮・平壌の科学技術殿堂で実地指導をする金正恩委員長

また、北朝鮮は現在も引き続き「世界中で運用されている銀行の窓口担当者やネットワークを通じて」世界の金融システムにアクセスしているとも述べ、その原因として国連加盟国の金融制裁実施状況の「不備」と北朝鮮の欺瞞行為を挙げています。

報告書によると、北朝鮮政府はソフトウェア開発者を含む数百人のIT労働者をアジアや欧州を含むさまざまな地域に送り込み、書類上は現地住民が経営している企業で、暗号通貨の窃盗を行っているといいます。

国連の専門家パネルが3月に提出した前回の報告書では、北朝鮮のハッカーは、2017年1月~2018年9月の間に、アジアの5つの仮想通貨取引所から約5億7100万ドル(約630億円)を盗んだとしています。また同国のハッカーは、サイバー窃盗によって外貨および仮想通貨を6億7000ドル(約710億円)近く獲得しているとの指摘もあったとされています。

サイバーセキュリティ企業のKaspersky Labは3月に、仮想通貨関連企業を標的として、「Windows」や「Mac」のシステムに感染するマルウェアをダウンロードしてインストールする悪質な文書を使用した攻撃が進行中であることを検知したと発表しています。

同社はこの攻撃はLazarus Groupによるものだと報告しましたが、Lazarusは北朝鮮政府のハッカー集団に与えられたコードネームだとされており、アジアの仮想通貨取引所などを狙った攻撃に関与していると報じられています。

さらに、今月13日には、米財務省は、北朝鮮が行ったとされる身代金要求型ウイルス「WannaCry(ワナクライ)」によるサイバー攻撃に関与したとして、北朝鮮政府が支援するハッカー集団「ラザルス」「ブルーノロフ」「アンダリエル」の3集団を制裁対象に指定しました。

財務省は3集団が「不正な武器・ミサイル開発を進めるために悪質なサイバー攻撃に関与した」と指摘。その上で「既存の米国および国連の対北朝鮮制裁を堅持し、金融ネットワークのサイバーセキュリティー向上に向けて国際社会と協力していく」としました。

3集団のすべての米関連資産が制裁の対象となるほか、故意にこれら集団の取引を助けたりサービスを提供する外国金融機関も対象となる可能性があります。

米財務省によると、ラザルスは2017年、米国のほか、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、英国などでワナクライを使ったサイバー攻撃に関与。影響は少なくとも150カ国に及んだ。 14年には、ソニーの米子会社ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントにもサイバー攻撃を仕掛けたといいます。

ブルーノロフはラザルスと連携し、バングラデシュ中銀から約8000万ドルを盗み出したとされています。

また、アンダリエルは銀行のカード情報などを盗み出し現金を引き出したり、個人情報を不正に売却していたとみられます。

Kaspersky Labsの研究者であるKonstantin Zykov氏によると、北朝鮮政府の下で働いていると目されるハッカー「Lazarus Group」が、インドのATMをターゲットにしたマルウェアを開発したといいます。このマルウェアは、ATMに挿入されたクレジットカードに含まれている個人情報を読み取って保存できます(Ars TechnicaCISO MAGSlashdot)。


Lazarus Groupは、2014年のSony Pictures Entertainmentへのサイバー攻撃や2017年のWannaCryランサムウェア攻撃などの容疑者とされています。Lazarus Groupは、昨年の夏ごろからインドのATMをターゲットにして広まっており、「ATMDtrack」という名称で呼ばれているといいます。

ATMDtrackは、金融機関や研究センターをターゲットに広まっている、リモートアクセスを可能にする「Dtrack」と呼ばれるトロイの木馬の一種とされます。Dtrackは慎重に暗号化されているため、研究者によるマルウェアは困難でした。そこで感染したデバイスのメモリを分析してみたところ、ATMDtrackとDtrackに共通したコードがあることが判明しました。

そのコードは2013年に韓国の銀行などの攻撃に使用されたコードの断片と同じだったとされます。こうした分析から最終的に、北朝鮮政府の主要なハッキング部門であるLazarus Groupの犯行だと結び付けられたとしています。

北朝鮮は、今までの「核」から「サイバー」に軸足を移しつつあるのではないでしょう。核兵器はその効果や危険性が周知となって、もはやどの国も簡単には使えなくなりました。米国でも1980年代までに、よほどのことがない限り「使えない」という国民的合意ができているといわれています。

一方のサイバー兵器はどうでしょうか。こちらはまだ新しいです。米国の諜報機関が議会に提出する年次報告書「世界の脅威評価」の2007年版では、サイバー攻撃について一言も触れていなかったほどです。

ところがその後の10年間で、国家による他国へのサイバー攻撃は200件を超えていると推計されています。当初は3、4か国にすぎなかったサイバー攻撃能力を持つ国もどんどん増えて、今や約30か国に膨れ上がりました。「軍事戦争」には至っていないのに、特定の国家間ではサイバー空間で攻撃が行われ、防御に追われています。

ロシアが米国の原発や送電線にマルウェアを忍び込ませたり、あるいはウクライナで大規模な停電を引き起こす、イランがアメリカの金融機関に侵入する、北朝鮮がアメリカの銀行やハリウッド、イギリスの保険・医療システムに入り込み、各国中央銀行にサイバー窃盗を仕掛ける、中国はアメリカ国民2200万人の私的情報を盗み出す、これらの一つ一つについて、攻撃側はとくだん「戦果」を吹聴しません。

もちろん米国自身が最大のサイバー大国であることは言うまでもないです。イランはかつて地下で稼働する約1000基の遠心分離機が制御不能に陥った時に米国の関与を疑いました。北朝鮮はミサイル発射の失敗が続いたときに、同じように米国を疑いました。米国には総勢6000人を超えるサイバー工作部隊が存在するといいます。
北朝鮮のサイバー部隊のそ歴史は比較的古いです。1998年にはサイバー攻撃部隊「121局」がつくられました。数学の成績が優秀な高校生は難関大学に集められ、英才教育を受けているといいます。金正日も金正恩も、サイバー攻撃を重視しており、現在では6000人規模の要員を抱えています。

北朝鮮のサイバー部隊の最大の特徴は、主に要員が「国外」に配置されていることだといいます。中国はもちろん、フィリピン、マレーシア、タイ、インドなど国交のある国に分散されています。インターネットの特性上、国内に拠点を置く必要がないのです。国内が攻撃されたとき、国外から「サイバー攻撃」で反撃できます。

確認されている最初の大規模な攻撃は2013年、中国のコンピュータから韓国の銀行や放送局をターゲットに行われました。14年にハリウッドのソニー・ピクチャーズや、英国の公共テレビ局「チャンネル4」のコンピュータを混乱させたのも北朝鮮だと見られています。

いずれの会社も、北朝鮮の最高指導者を批判する内容の作品をつくろうとしており、それに対する嫌がらせというわけです。

カペルスキー等の調査では、北朝鮮は今のところ日本を標的にするサイバー攻撃は準備していないようです。ただし、上の記事にもあるように、選挙などに介入しているようではあります。実際、選挙時になると、捨てアカで、たどたどしい日本語で、政治的発言をしているツイートなどを見かけることがあります。

私達は、「サイバー戦」は、過去のどのような「戦争」とも異なることを認識すべきです。まず、兵器はサイバー技術です。眼に見えないです。誰がどこから攻撃しているのか、すぐには分からないです。

仮に「犯人」が分かっても報復の方法がないです。地上の戦闘とは大違いです。核戦争なら直ちにミサイル発射地が特定され、仕掛けられた数十分後には反撃できる可能性がありますが、サイバー攻撃の場合、サイバー技術の分析から、「犯人」の推定ができても、相手国は攻撃を認めないし、どこにどうやって反撃すればいいのか分からないです。つまり人類の「戦争」の歴史の中で初めて「見えない戦場」の中での戦いを強いられているのです。

とくにこの戦争で心配されているのが、「民間」への影響です。電気、ガスなどのインフラが攻撃されると、都市機能はひとたまりないです。電話やインターネットも通じなくなり、あっというまに市民生活がマヒします。これは、現実に2015年にウクライナで起きたサイバー攻撃による「一斉停電」の恐怖が報告されています。

つまり「サイバー兵器」とは、21世紀に出現した「新型兵器」なのです。本来なら「核兵器」と同じように、関係国による「管理」が望ましいのでしょう。しかし、サイバー戦の参加国は、いずれも仮面をかぶったままです。戦争に参加していることすら明かさないのです。

サイバー戦の最大の特徴は、軍事的に劣勢にある国でも優位に立ちうることです。そのためますます「情報開示」や「管理」には応じないのでしょう。

まもなく「AIによってサイバー戦が行われる時代」が訪れることになるでしょう。いよいよもって不気味です。情報技術(IT)は、開発者たちが想像もしなかったリスクを広範囲に生み出しつつあることを痛感します。

北朝鮮が未だ、日本には直接サイバー攻撃を仕掛けていないのには、それなりに理由があると思われます。それに関して参照になる記事をこのブログでは過去に掲載しています。
サイバー防衛でがっちり手を結ぶ日米―【私の論評】一定限度を超えたサイバー攻撃は、軍事報復の対象にもなり得る(゚д゚)!
日米の外務・防衛担当4閣僚の共同声明の発表
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、日米の外務・防衛担当4閣僚(河野外相、岩屋防衛相、ポンペオ国務長官、シャナハン国防長官代行)は4月19日、ワシントンで日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催、日米両国が協力して「自由で開かれたインド太平洋」の実現に取り組むことを柱とする共同発表を発表した。

共同発表では、とりわけ領域横断(クロス・ドメイン)作戦のための協力の重要性が強調されたことが目を引く。具体的には、宇宙、サイバー、電磁波である。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。
サイバー攻撃の対処については、様々な考え方がありますが、ある一定限度を超えたサイバー攻撃は、軍事報復の対象にもなり得ることで、米国と日本は合意しているという点については記憶にとどめておく必要がありそうです。 
確かに、手段は何であれ、人が大勢なくなったり、危害を受けた場合、あるいはそうなりそうな場合は軍事攻撃の対象になりうるのは当然といえば、当然だと思います。 
その意味では、国際法がサイバー空間に適用されることは、当然といえば当然です。
米国が、サイバー空間にも国際法が適用できると考えていること、さらには、ある一定限度を超えたサイバー攻撃は、軍事報復の対象にもなり得ることで、日米は合意しているという事実は今年の5月に明らかにされたのですが、これはその前からの合意事項を明確に表明したということであると考えられます。無論、現在のところは、その可能性について表明しているだけです。

だからこそ、北朝鮮は日本には本格的なサイバー攻撃は控えている可能性があります。米国だけではなく、日本にも本格的サイバー攻撃を仕掛けた場合は、それを口実に米国は北朝鮮に対して軍事報復をする可能性を北朝鮮は捨てきれないのかもしれません。

金正恩には、サイバーにより、不正を働いた北朝鮮には、米国は軍事攻撃を仕掛け、これを粉砕して、見せしめとし、その後に「核兵器」と同じように、関係国による「管理」できる体制を構築し、いずれサイバー空間にも国際法が適用できるようする意図が透けて見え、脅威に感じているのかもしれません。

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2019年9月27日金曜日

韓国・文大統領“驚愕の正体”!? 朝鮮労働党・秘密党員の誓詞文に「文」の名…内容に沿うような動き多数 月刊誌『Hanada』報じる―【私の論評】北が狙うのは南北統一ではなく、韓国の衛星国化である(゚д゚)!

韓国・文大統領“驚愕の正体”!? 朝鮮労働党・秘密党員の誓詞文に「文」の名…内容に沿うような動き多数 月刊誌『Hanada』報じる

月間Hnada 表紙

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の朝鮮労働党の秘密党員ではないのか-。こんな驚くべき疑惑を、月刊誌『Hanada』が報じ、日本だけでなく韓国でも波紋を広げている。26日発売の同誌最新号にも、疑惑の続報が掲載された。文氏は同日、国連総会出席のために訪れていた米国から帰国するが、最側近の「タマネギ男」ことチョ国(チョ・グク)法相周辺の疑惑に加え、自らにも疑念を突き付けられて大丈夫なのか。衝撃記事を執筆した元日本共産党国会議員団秘書で、ジャーナリストの篠原常一郎氏を直撃した。


 「文政権は『いったん始めた革命をやり切るしかない』と考えているようだ。国家の支配体制を破壊するのではないか。実に恐ろしいことだ」

 篠原氏はこう語った。

 『Hanada』10月号に掲載された「文在寅に朝鮮労働党 秘密党員疑惑 スクープ!」という記事に、ネット以外の他メディアはほぼ沈黙している。だが、初版も増刷分も完売という、驚異的注目を集めている。

 記事の肝は、韓国内に潜む朝鮮労働党の秘密党員が2014年6月15日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(当時、第一書記)に忠誠を誓う「誓詞文」を送っていたというものだ。同誌には、篠原氏が独自入手したハングルの誓詞文と、翻訳が掲載されている。


 正恩氏の父、金正日(キム・ジョンイル)総書記は2000年6月、韓国の金大中(キム・デジュン)大統領(当時)と、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)で首脳会談を行い、平和統一を目指す南北共同宣言を締結した。

 誓詞文は、共同宣言から14年を祝ったもので、《(韓国の)自由民主主義体制をたたき潰し、全朝鮮半島に主体(チュチェ)思想化を実現するのに、一命を藁(わら)のようにささげます》《駐韓米軍を南半分から完全に追い払う》《南側政府の警察、検察など司法部と行政部に浸透し、政府の行政機能をマヒさせ》《革命戦士として名誉と自負心を胸深く刻み、主体的な祖国統一の先頭に立つ》(抜粋)など、10カ条の誓約が記されていたという。

 主体思想とは、北朝鮮や朝鮮労働党の政治思想で、正恩氏の祖父、金日成(キム・イルソン)主席によって唱えられた。誓詞文の最後には、40の個人・団体名があり、何と、そこに文氏も名を連ねていたというのだ。

 にわかに信じがたいが、この誓詞文は本物なのか? 韓国版モリカケ騒動ではないのか?

 篠原氏は「以前から、韓国内の一部では文書の存在は噂されていた。文政権のメディア統制が進むなか、元左派活動家らのグループが『まず、日本で発表してほしい』と持ち込んだ原本を入手した。複数の関係者らと真偽を確認した。韓国の国家保安法による取り締まりを恐れてか、文氏など、個人名のハングルのつづりが一部変えてあった。かえって信憑(しんぴょう)性の高さを裏付けた」と語った。

 同誌が先月末に疑惑を報じたところ、韓国メディアは無視したが、覆面姿で誓詞文を紹介するハングルの動画がユーチューブなどに流され、一気に拡散したという。

 最初の報道から1カ月たつが、韓国政府から同誌や篠原氏に抗議はないという。

 経済低迷やチョ氏の疑惑を受けて、韓国内では「反文政権」デモも激化しているが、同誌の影響か、最近では「金正恩と文在寅、両方とも打倒しよう!」というスローガンも出始めたという。

 ■日本国内にも浸透、主体思想十分な警戒を

 26日発売の『Hanada』11月号では、誓詞文などを再録したうえで、チョ氏の疑惑や実像などに迫っている。産経新聞や読売新聞、毎日新聞の同日朝刊には、同誌の広告も掲載されている。

 「反日・離米・従北・親中」の文政権は、米国の警告を無視して、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したばかりか、在韓米軍基地の撤退も米国に要求している。誓詞文の内容に沿うような動きといえる。

 篠原氏は「保守の朴槿恵(パク・クネ)前政権時代から、韓国の政財官界には主体思想が浸透していた。ドナルド・トランプ米政権は、文政権に『失望』を抱きつつも放置しているが、いざというときは締め付けに入るだろう。在韓米軍は『北朝鮮は非核化できない』とみて、最高度の攻撃態勢を整え始めている」と明かした。

 東アジアの安全保障環境の激変に対し、日本はどう備えるべきか。

 篠原氏は「文政権は『反日』で火が付いた以上、決して妥協しないだろう。わが国は毅然(きぜん)と対応するしかない。韓国内の保守派に『味方』をつくり、対抗するのも手段だ。沖縄など、日本国内にも主体思想が浸透している。正恩氏を礼賛する左翼グループが、日本の安全保障政策を攪乱(かくらん)している。主体思想は日本人拉致問題などにも絡んでいる。十分警戒すべきだ」と語っている。

篠原常一郎氏

【私の論評】北が狙うのは南北統一ではなく、韓国の衛星国化である(゚д゚)!

上の記事にもあるように、「月刊Hanada」10月号にジャーナリストの篠原常一郎さんが「文在寅に朝鮮労働党秘密党員疑惑」という論文を書いています。

篠原さんが入手した金正恩への誓詞文の分析で、「敬愛する金正恩将軍様に謹んで捧げます」というタイトルで始まり、金正恩への忠誠と自分たちが南朝鮮革命を起こすことを誓う内容。その最後には40の個人・団体名が書き連ねてあります。

韓国の場合国家保安法(スパイ防止法)があり、実名だと文書が流出して逮捕され裁判になったとき証拠になるということで文在寅(ムンジェイン)を「ムンジェイム」とか、ソウル市長の朴元淳(パクウォンスン)をパクウォンスムとか、名前の一部を変えてありますが、明らかにその人と特定できるようにはしてあります。

ここに出てくる名前は最近話題の曹国(チョゴク)・元秘書官はいないものの、「なるほど、やはり」と思うような人ばかりです。篠原さんは脱北者など様々な関係者から裏を取っているそうです。

彼らが秘密党員であると考えた場合、日韓関係の破壊、GSOMIA破棄、そしておそらくその後にやってくる米韓同盟の破綻はまさに北朝鮮の方針そのものと言えるでしょう。私たちはそれを覚悟しておく必要があります。

ただし、北朝鮮の「赤化(共産化)統一」という国家目標は、最後はあくまで武力を使うことが原則です。韓国と日本の関係を断ち切り、米軍を撤退させた上で騒乱状態を作り出し、「南朝鮮民衆の熱望に応えて」人民軍が南侵するということですが、今の人民軍はミサイルの打ちすぎで一般部隊には食料もろくに回らない状態です。とても戦争どころではありません。

それに以前もこのブログに掲載したように、金正恩は南北を統一してしまえば、南朝鮮から北朝鮮に多数の、元韓国人が入り込んでくることを許容しなくてはならくなります。

しかし、チュチェ思想で鍛えられた生粋の北朝鮮人とは異なる大多数の元韓国人は、金王朝に対して、ほとんど尊敬の念などもっていません。一部のそれこそ、文在寅のような人間は別にして大多数の韓国人にとっては、金王朝の存続など気にもかけていません。

そうした、元韓国人が南北統一の後には、元北朝鮮の領域にまで多数入り込むことになり、それは金王朝の統治の正当性を著しく毀損することになります。

それを、金正恩は許容することはできないです。ですから、南北統一がされることはないでしょう。ただし、北朝鮮が韓国を衛星国にするという可能性は十分にあります。

韓国を語る時は、常に北朝鮮の意向を見なければならないです。なぜなら、北朝鮮は自分の手を汚さず、韓国に日本への嫌がらせをさせているからです。

そもそも、先に述べたように、北朝鮮は韓国を併合したいとは思っていません。それは、経済的にも、金王朝の統治の正当性守るためにも、それは避けたいでしょう。ただし、あえて言うなら、ソ連が東欧諸国を衛星国にしたような形にはしたいはずです。そのイメージを以下に示します。
  ソ連共産党→ソ連(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  衛星国共産党→衛星国
つまり、ソ連も衛星国もソ連共産党の支配を受けていました。あるのは形式的な国境。あった方が何かと都合が良いと、当時のソ連は判断しました。

では、今の北朝鮮の構想はどうかといえば、以下にイメージを掲載します。
  朝鮮労働党→北朝鮮(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  韓国政府→大韓民国(衛星国)
これは、帝国主義時代の基本戦略であり、親分は自分では手を出さずに子分を使うのです。そういう時に子分の方を叩く返し技もありますが、昨今の日韓関係の場合は、向こうの親分の北朝鮮が日韓両国を喧嘩させようとしているのですから、むざむざと乗って韓国だけを叩くのはやめるべきです。

金正恩は、現状の韓国が北朝鮮の衛星国的な存在になっているのをさらに推し進め、韓国を完璧に北朝鮮の衛星国にしようと企んでいるとみるべきです。
そうして、文在寅は金正恩のその手に乗って、韓国を北朝鮮の衛星国にしようと日々行動しているとみるべきです。

かつての、ソ連の東欧諸国はソ連の衛星国でしたが、なぜそうなったかといえば、ソ連の圧倒的な軍事力には逆らえなかったということが最大の要因です。
現在の北朝鮮は通常兵器では、韓国にも及びもつかない脆弱さですが、核兵器を有しているということでは圧倒的に有利です。これで、韓国を衛星国にすることは可能です。特に、文在寅のような協力者がいれば、なおさらです。
しかし、そう簡単に韓国が北朝鮮の衛星国になるかどうかは、まだ未知数のところがあります。
71年前の朝鮮戦争開戦のとき、金日成は二つの大きな判断ミスを犯しました。一つは米国が参戦しないということ、もう一つは韓国に攻めていけば民衆が共に立ち上がって李承晩政権を打倒しようとするということでした。
しかし米国は直ちに参戦を決め、さらに国連軍まで組織してしまいました。韓国の人々は明確な敵ができたことで自由民主主義国家大韓民国というアイデンティティを強固にしてしまいました。これから先も金正恩にとって、文在寅にとって、そして私たちにとっても想定外のことが起きるかもしれません。

文在寅大統領が秘密党員(あるいは「共に民主党」が、実は「共に労働党」なのか)で元々の北朝鮮の方針を忠実に守ってやってきたとしても、今の金正恩には南に攻めていく能力も関心もありません。かつてのように、中国やソ連がそれを支援するということもあり得ません。

韓国の中では反文在寅の声が日増しに高まっており、それは同時に「日本との関係を重視せよ」という声にもなってきています。

文在寅の暴走が、あるいは金正恩体制すら揺るがせることになるかもしれません。北の最大の危機は、南北統一に向けての、文の過激な行動かもしれません。少なくともチャンスがやってくる可能性はあり、それを掴む努力だけはし続けなければならないです。

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2019年9月26日木曜日

中国でカリスマ経営者が次々に退いていく理由―【私の論評】中国経済の崩壊で、「黄金の令和時代」がやってくる(゚д゚)!

瀕死の中国経済、“ICU入り”で延命措置

アリババ創業20周年記念日の2019年9月10日、会長を退任したジャック・マー氏

(福島 香織:ジャーナリスト)

 9月10、アリババ創始者で会長だった馬雲(ジャック・マー)が予告どおり引退し、アリババ経営から完全に離れた。ちょうど55歳の誕生日であり、その前後には、中国メディアが彼の功績や評伝を書き立てた。また浙江省杭州から「功勲杭州人」という栄誉ある称号を送られたなど、ポジティブニュースとしてその引退が報じられている。

 だが、その10日後、杭州政府が100人の官僚を「政務事務代表」として、アリババやAI監視カメラメーカーのハイクビジョン(海康威視)、民族自動車企業の吉利など100の重点民営企業内に駐在させると発表した。口の悪いネット民たちは「地主を追い出して田畑を接収しようとしている」と噂した。

 その後、IT企業、テンセント(騰訊)創始者の馬化騰やレノボ(聯想集団)創始者の柳伝志が、馬雲のあとを追うように次々とビジネスの現場から去ることがあきらかになった。こうした“早期退職”は決して早々とセカンドライフを楽しみたいから、といった理由からではなさそうだ。民営企業からカリスマ創始者たちを追い出し、政府官僚による直接支配が始まりつつある。中国民営企業の大手術が始まっているのだ。

 だが、この大手術、失敗するのではないか。「中国経済のICU(集中治療室)入り」と言う人もいる。ICUに入ったまま脳死する可能性もあるかもしれない中国民営経済の危機的状況について、まとめておきたい。

テンセント、レノボの代表も退く

 テンセントの創始者で董事会主席、CEOの馬化騰は9月19日、テンセントの子会社で個人信用情報などを扱う騰訊征信の法定代表職から外れることになった。経営上の問題ではなく、社内の事情によるという。もちろん全面的な退職ではないが、馬雲引退の直後だけに、中共政治のサインと受け取られた。芝麻信用で知られるアントフィナンシャルの会長・井賢棟もこのタイミングで引退を表明した。

 続いてレノボ会長の柳伝志も聯想ホールディングス(天津)の法定代表、役員の職を辞任した。柳伝志は17企業の法定代表、7企業の株主、8企業の役員を務めていたが、そうした役職も大部分が取り消されたという。聯想側は、子会社については随時業務の進行に合わせて、調整、整理しており、今回の人事などは企業としての正常な業務措置だという。

柳伝志の後任は、深セン市瑞竜和実業有限公司の法人代表である張欣が務める。聯想ホールディングス(天津)は2011年11月に資本金50億人民元で登記され、聯想ホールディングス株式会社と深セン市瑞竜和実業有限公司が50%ずつ出資していた。

 ちなみにレノボグループの筆頭株主は聯想ホールディングス株式会社で25.81%の株を保有、この会社がグループのコアとして北京に登記されている。この北京の聯想ホールディングスの5大株主は中国科学院独資会社・中国科学院ホールディングス、北京聯持志遠管理コンサルティングセンター、中国泛海ホールディングス集団、北京聯恒永信投資センター、柳伝志個人で、合わせて76.81%の株を保有している。

中国共産党が民営企業の改造に着手

 こういった動きについて、チャイナウォッチャーたちの間では、中国共産党政権がいよいよ民営企業の改造に着手した、という見方が出ている。英国のフィナンシャル・タイムズによれば、アリババ傘下の芝麻信用と騰訊征信は、かつて中国政府に顧客ローンのデータを提供することを拒否しており、馬雲と馬化騰の一線からの撤退と関係あるとみられている。

 米国の政府系ラジオ局、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、こうした動きは中国共産党政府がクレジットローンに関するすべての情報を独占して管理するためのもので、同時に当局が民営企業と工商界の企業に対する改造を行い、実質的にコントロールするためのものだ、という見方を紹介している。

 昨年(2018年)、中国政府はアリペイ(支付宝)に対して顧客勘定の100%の中銀準備預金を義務付けた。これは顧客保護の観点から必要という建前だが、実際はアリペイ口座の余剰資金運用によるアリババの儲けを政府に差し出せ、という意味でもあった。中国「証券時報」によれば、今年6月、7月に国有資産委員管理委員会書記の郝鵬が馬雲と馬化騰に直接、中央企業と民営企業の融合を命じ、中央企業+ネットの混合改造モデルを強化せよと通達したとか。

 ほぼ同じころ、民営企業が多い浙江省杭州市や山西省太原市、北京市などは、政府官僚や党委員会の民営企業に対する干渉を強化する政策を打ち出した。杭州市は、民営100企業内に市政府官僚駐在事務所を開設、太原市では財務管理部門をテスト的に接収するなどの方法で経営にコミットし始めた。北京では党委員会が民営企業内の「党建設工作」展開状況の調査を開始するという通達を出した。

こうした動きは、建前上は、民営企業の腐敗や野放図な経営を共産党が厳しく管理し、指導するというものだが、実質は、政治上は民営企業を絞め殺し、経済上は民営企業の私有財産を接収するということに他ならない。

計画経済に立ち戻る習近平政権

 習近平政権が経済政策の目玉として打ち出している国有企業改革は、いわゆる「混合企業改革」と言われるもので、汚職や不正経営、経営破たんを理由に民営企業の経営権を国有企業に接収させることで、国有企業を大規模化して市場独占化を進め、国有企業を通じて共産党が市場に対するコントロールを強化するものだ。

 これは改革開放期の「国退民進」(国有企業を民営企業に移行することで市場経済化を進める)とは真逆の方向性だとして「国進民退」政策だと言われた。あるいは50年代の「公私合営」政策への回帰とも言われた。この結果、民営企業家たちが委縮し、今の中国経済の急減速の主要な原因の1つになったというアナリストは少なくない。

 目下、米中貿易戦争の行方は中国にとって楽観的な観測を許さない。確実に中国経済にボディーブローのように効いており、経済統計上にもはっきりと予想以上の中国急減速がみてとれる。

 首相の李克強は9月16日、ロシア訪問前にロシアの国営通信社、イタルタス通信に対して、今年通年の中国経済成長が、全人代の政府活動報告で目標に掲げた6~6.5%を達成できずに6%を切る見通しであることを語っている。党中央内部ではその責任を習近平に求める声も強い。一方、習近平政権としては、この経済危機を“計画経済”に立ち戻ることで乗り越えようとしている。その表れが、今年に入っての民営企業のカリスマ創始者の現場からの排除や、党官僚の進駐や財務の接収などの動きだと見られている。

中国経済はすでに瀕死の状態?

 ラジオ・フリー・アジアのコラムニスト、梁京が書いた「中国経済がICU(集中治療室)に入った」というタイトルのコラムを読み、なるほど、と思った。ちょっと引用して紹介したい。

 「中国共産党70周年前夜、当局は大型民営企業の直接支配を急ぎ始めた。しかし、中央宣伝部はこういう重大事態の展開について、なんら発表していない。これは中国共産党が50年代に鳴り物入りで行った『公私合営』とはっきりした対比をなしている。つまり当局もわかっているのだ。国家が民営企業に進駐して干渉することが決してよいことではないということを」

 「・・・中国の民営企業の経営者たちは党に搾取されっぱなしでいることに甘んじてはいなかった。(元北京の政商であった)郭文貴は造反して米国タカ派の支持を得るようになったが、以降、大型民営企業の経営者の政治的不忠義は中国共産党の悩みの種となっていた」

 「現在、共産党が民営企業のコントロール強化を急いでいる背景には、米中貿易戦争が89年の天安門事件以来最悪の危機を中国経済にもたらしていることが大きい。豚肉価格が高騰し、食糧生産規模も年々縮小している。中国は悪性インフレに陥る可能性が高い。・・・中国経済はすでに瀕死に直面している」

 「では、かつてゴードン・チャン(2001年に「やがて中国の崩壊が始まる」を書いたエコノミスト)が予測したように、いよいよ中国経済は崩壊するのか?・・・中国経済が崩壊する可能性は実際に増大しているが、さらに大きな可能性は、中国経済がかつて前例のない実験を行う可能性だ。・・・私はそれを“ICU経済”と呼ぼう。つまり共産党による経済管制による延命だ」

 以前、中国の体制側アナリストと雑談をしたとき「バブル崩壊もミンスキー・モーメントも自由主義市場経済の体制で起こるもので、統制経済では起こりえない。だから習近平政権の党による市場コントロール強化政策は正しい」という見方を説明された。梁京の言う“ICU経済”はまさにこのアナリストの説明と同じで、経済を絶対安静にして、呼吸も心拍も中国共産党によって管理して延命しようということだろう。

中国のICUの入り口

 梁京は、この共産党による完全なる経済コントロール、“ICU経済”実験を継続するためには2つの条件が必要だという。ハイテク技術、デジタル貨幣などの技術。そして外部世界の中国経済が崩壊しないでほしいという強い願いである。つまりICUで、たとえ多臓器不全でも延命させるためには、それだけの先端医療技術とそれを強く願う周囲の意志が重要だ、ということである。

 だが、延命と回復は全く違う。国際社会の大勢が「中国経済が破たんすれば大変だ、破綻させてはならない」と思っており、中国はハイテク技術と極権体制を持っている。確かに延命は可能かもしれない。だが回復しない経済をただ維持するためだけに、いったい中国はどれだけの犠牲を払うことになるのか。

 今、中国は、老衰で死期間近い、中国の特色ある社会主義市場経済体に、西側グローバル市場で生き抜いてきた民営企業の臓器を移植して延命を図る大手術を行おうとしている、と例えることができる。本当に救わねばならないのは民営企業の方ではないか?

「もし中国人が、中共が自然死を迎える方策を探せないのなら、中国経済はある種の“ICU病室”で奇跡の“長寿”をかなえるかもしれないが、その“奇跡”はすべての人にとって巨大な厄災を意味する」(梁京)

 この厄災を防ぐためにどうするか。それが今考えるべきことではないか、と思う。

【私の論評】中国経済の崩壊で、「黄金の令和時代」がやってくる(゚д゚)!

冒頭の記事にあるように、中国経済は確かにかなり危機的な状況にあることは間違いないようです。

そうして、中国経済の崩壊は、世界中に災厄をもたらすと考える人が多いようです。しかし、それは本当でしょうか。確かに、短期的には災厄があるかもしれませんが、私は長期的には世界経済に良い結果をもたらすと思います。

ここしばらくの、世界経済の低迷の最大原因は、明らかに供給過剰です。簡単にいうと、世界中の国々が過剰生産のせいでデフレ傾向にあったり、このブログにも以前にも掲載したように、「貯蓄過剰」の状況にあることです。

各国経済のマクロ・バランスにおける「貯蓄過剰」とは、国内需要に対する供給の過剰を意味します。実際、中国などにおいてはこれまで、生産や所得の高い伸びに国内需要の伸びが追いつかないために、結果としてより多くの貯蓄が経常収支黒字となって海外に流出してきたのです。

このように、供給側の制約が世界的にますます緩くなってくれば、世界需要がよほど急速に拡大しない限り、供給の天井には達しないことになります。供給制約の現れとしての高インフレや高金利が近年の先進諸国ではほとんど生じなくなったのは、そのためです。

今年上半期の中国全省の財政状況は赤字だった

そもそも、現在の世界経済における供給過剰はどのようにして生じたのでしょうか。

もちろん、製造技術、特に日本製をはじめとする工作機械の品質が格段に向上し、製造機械を設置さえすれば、どのような国で誰がやっても製品(特にコモディティ)を生産できるようになったことがあげられます。

例えば、農産物は現在基本的には生産過剰で、1次産品(コモディティー)をいくら頑張って生産しても、なかなか豊かにはなれないです。

農産物同様、家電や半導体などの工業製品もコモディティー化しています。日本で家電や半導体のビジネスが苦しんでいるのは、経営者の資質や従業員の働きぶりの問題ではなく、産業そのものがコモディティー化した必然的結果なのです。

本当は、コモディティー化したビジネスは、発展途上国に任せればいいのに、国民の血税まで投入して、それらの企業をゾンビ化するから余計問題が悪化するのです。

血のにじむような努力をして生産性をあげても、同業者も死に物狂いで同じ努力をしています。結果は、さらなる供給過剰と価格の下落(デフレ)です。

個々の企業にとっては正しいように見えても、市場全体としては泥沼にはまる典型です。

共産主義は、極めてシンプルに表現すればその実体は、「民主主義、自由主義への移行を拒絶し、かつての農奴制・専制君主制度に戻ろうとする思想」です。

共産主義の最も重要な思想の1つに「私有財産の否定」がありますが、これがまさに農奴制・奴隷制の象徴です。

奴隷や農奴は牛や豚と同じように私有財産を持ちませんでした。ご主人様の所有物であるからその持ち物はすべてご主人様の物であるということです。これは、共産主義国における人民が共産党の奴隷であることと同じことです。

「私有財産が不可侵」であるという原則が、民主主義の根幹をなすのであり、私有財産を否定する共産主義が「反民主主義」であるのはあるのは当然です。

そのような農奴制・奴隷制を基盤とした社会が、自由主義・民主主義国家のように発展するはずもなく、1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連邦崩壊へとつながったのです。

当時、ほとんどの人々が「共産主義は終わった」と思いました。しかし、実は共産主義諸国は、先進資本主義・自由主義諸国との貿易の門戸を開き、彼らに寄生するようになったのです。

当時、共産主義諸国の中で最も危機意識を持ったのは共産主義中国に違いないです。共産主義諸国の崩壊の足音が聞こえる中で、30年前の1989年6月4日に天安門事件が起こりました。そのため、中国は世界中から断絶されることになりました。

その欧米先進国との断絶の危機を乗り越えて、当時約10年を経てやっと軌道に乗りかけた「改革・開放」を成功に導いたのが鄧小平でした。1997年の鄧小平死後も、その路線は継承されました。

鄧小平の死後、2000年のWTO加盟が最も重要な出来事です。これにより、共産主義中国は、国内における「現代の農奴・奴隷制度」を維持しながら、WTO加盟による自由貿易の恩恵を得ることができるようになり、改革・開放を40年も続けることができたのです。

しかも、2009年からは共産主義中国に極めて「融和的」な民主党のオバマ氏が大統領をつとめました。まさに中国は「やり放題」であり、その間、先進資本主義諸国は、リーマン・ショックの後遺症と共産主義中国を原因とする不公正な取引による「供給過剰」というダブルパンチをくらいました。

トランプ大統領

そこに登場したのが「怒れる米国民」を代表するトランプ大統領です。

彼の第一の目的は、共産主義中国とずぶずぶの民主党政権時代に、ずたずたにされた米国の安全保障を立て直すことです。特にサイバー戦争では、米国がかなり不利な立場に追い込まれているので、ファーウェイをはじめとする中国フロント企業やその背後に控えているハッカー集団などが最大の攻撃ターゲットです。

もちろん、中国が不公正な貿易で巨額の利益を得ていることも阻止したいのです。軍事力の背景に経済力は欠かせないからです。

さらに、中国の供給過剰の実体が、明るみにでるにつれて、米国の中国に対する不信感は、トランプ政権だけではなく、議会では超党派の議員が共有するようになり、さらには司法もそれに追随するようになりました。

もはや、中国は米国にとってかつてのソ連のような敵国になったのです。

そのため、「米中貿易戦争」に交渉の余地などありません。北朝鮮の核問題と同様「要求を受け入れるか『死』か」という最後通牒を突き付けているのです。

このようなことは、中国が米国と並ぶ核大国になってしまった後では不可能ですから、今回がラストチャンスであり、米国は絶対に譲歩しないです。

中国が体制を変えるか、経済的に疲弊し、無意味な存在になるまで継続されるかのいずれかです。

そうなると、いずれ中国は体制を変えるか、崩壊するしかないです。崩壊まではかつてのソ連が崩壊するときがそうであったように、幾分時間がかかるかもしれません。

しかし、いすれにせよ、現在の中国は急激に変わるか、崩壊するしかないのであり、これはいずれの場合でも、現在の中国の共産党一党独裁の崩壊を意味します。

その後の世界はどうなるかといえば、短期的な混乱は別にして、コモディティーを際限なく世界にたれ流す中国が退場することは、世界経済にとってプラスです。

現状の中国は本来は世界の下請け工場の1つにしか過ぎないです。あるいは、安い労働力で部品を組み立てる受託会社です。

現在、徴用工問題に関する韓国への制裁措置の1つとして、工作機械などの禁輸が議論されていますが、中国のハイテクを含む製造業も、日本や米国のすぐれた「部品・ソフト」なしでは成り立たないです。

ZTEやファーウェイに対する「販売禁止措置」は決定的なダメージを与えことになります。

そして、米国の中国に対する関税で物価が上昇すれば、世界中のデフレがインフレへと好転することになります。しかも、関税そのものが米国の利益になります。

黒田日銀をはじめとする世界の中央銀行の、馬鹿の1つ覚えの低金利政策よりも、中国製品への関税の方が、インフレ喚起には効果的でしょう。

日本政府も、低金利政策だけでは無く、中国などの国々に高率の関税を課すべきです。少なくとも交渉の手ごまにすべきです。

そもそも、世界中でインフレが待望されているのですから、中国製品が市場から退場して製品価格が上昇するのは朗報です。

また、価格が上昇すれば、国内での生産も可能になり、死んだも同然の日本の家電や半導体産業に喜ばしい効果をもたらすかもしれないです。

これまでが異常だったのです。その本質は、共産主義中国などが、日本をはじめとする先進諸国の労働者が受けとるべきであった利益を横取りしていただけのことなのです。これにトランプ政権は反旗を翻したのです。

中国が世界市場から退場することはよい兆しなのです。実際、1989年のベルリンの壁崩壊までは、共産主義諸国が世界市場から切り離されていたことによって、先進資本主義諸国は繁栄を謳歌していました。

ちなみに、1989年まで我が世の春を謳歌していた日本のバブル崩壊は1990年の株式暴落がきっかけであり、その後の平成30年間は暗い時代でした。無論この間には、このブロクにも掲載したように、日銀や財務省の金融政策や財政政策の間違いがあり、本来はデフレになどならずともすんだ部分はあります。

しかし、その根底には、中国による過剰生産があったのは間違いないです。そうして、日銀や財務省が、政策を間違えた背景には、世界が中国の過剰生産によって、デフレ傾向であることを見逃し、従来の政策を取れば良いと考えたということもあります。

ただし、他国はリーマンショックの時などに、すみやかに金融緩和、財政拡大措置をとって、不況から立ち直ったにもかかわらず、日銀や財務省はそうしなかったため、日本が一人負けになったことを考えると、やはり日銀・財務省は愚かてあったと言わざるを得ないです。

それにしても、世界経済の最大のボトルネックである、中国の過剰生産という軛が外されれば、世界はまた活況を取り戻す可能性が高いです。

だから、中共の台頭と、マクロ経済政策の間違いによって、デフレの底に沈んた、平成時代の日本とは、対照的に、令和時代には、共産主義中国の崩壊によって「黄金の令和時代」がやってくるのではないかと、私は期期待しています。

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中国、崩壊への警戒感高まる…共産党独裁体制が“寿命”、米国を敵に回し経済停滞が鮮明―【私の論表】中国崩壊で、世界経済は良くなる可能性のほうが高い(゚д゚)!

2019年9月25日水曜日

中国、崩壊への警戒感高まる…共産党独裁体制が“寿命”、米国を敵に回し経済停滞が鮮明―【私の論表】中国崩壊で、世界経済は良くなる可能性のほうが高い(゚д゚)!

中国、崩壊への警戒感高まる…共産党独裁体制が“寿命”、米国を敵に回し経済停滞が鮮明
文=相馬勝/ジャーナリスト

中国の習近平主席

 中国は10月1日、建国70周年記念日を迎え、大規模な軍事パレードが北京市の天安門広場を中心に行われ、習近平国家主席は中国の共産革命の偉大さを高らかに世界に宣言することになるのだが、実は、そのような中国共産党の一党独裁体制はここ数年のうちに大きな危機にさらされるとの見方が急浮上している。

 しかも、このような不気味な予言は、中国問題の国際的な権威であり碩学である米クレアモント・マッケナ大学ケック国際戦略研究所センター所長(教授)のミンシン・ペイ氏と、米ハーバード大学名誉教授のエズラ・ボーゲル氏の2人が提起している。両氏とも、その最大の原因として、習氏の独断的な政策運営や独裁体制構築、さらに米中貿易戦争などによる中国経済の疲弊を挙げている。

一党独裁時代の終焉

 ペイ教授は「中国共産党の一党独裁統治は終わりの始まりにさしかっている」と題する論文を香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに寄稿。そのなかでペイ教授は、習氏が2012年の党総書記就任当初、「次の2つの100年」を目標に中国の国力を拡大し世界一の大国を目指すと宣言したが、1つ目の中国共産党創設100周年の2021年は極めて厳しい環境のなかで祝賀行事を行うことになると予言。その理由として、米中貿易戦争が激しさを増すことを根拠としている。

 そのうえで、ペイ教授は「2つ目の100年」である2049年の中国建国100周年には「(中国共産党による)一党独裁政権は生き残ることができないかもしれない」と大胆な予言を明らかにしている。

 ペイ教授は歴史的にもみても、一党独裁体制は「寿命に近づいている」と指摘。具体的な例として、74年にわたるソビエト連邦(1917~91年)の崩壊、73年にわたる中国国民党(27~49年の中国大陸での統治と49~2000年までの台湾での一党独裁体制)の統治が終わりを告げていること。さらに、メキシコの71年におよぶ革命政権(1929~2000年)である制度的革命党の一党独裁時代の終焉を挙げて、70年を迎える中国の一党独裁体制はすでに崩壊の兆しが見えていると分析する。

 ペイ教授は習指導部が米国を敵に回して、経済、軍事、安全保障、政治体制などの面で争っていることを問題視している。毛沢東時代の中国は米国を敵対視したものの、極力接触することを避け、直接的にやり合うことはほとんどなかった。その後のトウ小平時代において、中国は「才能を隠して、内に力を蓄える」という韜光養晦(とうこうようかい) 政策を堅持して、外交・安保政策では米国を敵対視することを極力回避した。

 しかし、習氏はこれら2人の偉大なる先人とは違って、牙をむき出しにして、米政権と争う姿勢を露わにした。これによって、中国経済はいまや成長も低迷しつつあり、習氏の独裁的な政治体制もあって、民心も離れつつあるようだ。

民間企業の成長を阻害

 一方、ボーゲル教授は近著『リバランス』(聞き手:加藤嘉一、ダイヤモンド社刊)のなかで、習氏について「予想外の事態といえば、習近平の政策がここまで保守的で、社会全体をこれほど緊張させていることもそうだ」と指摘しているほどだ。そのうえで、「昨今の中国を襲う最大の問題」として、経済悪化と自由の制限を挙げる。まず、前者については「中国の既存の発展モデルは持続可能ではない」と断言している。

 ペイ教授も同様の指摘をしている。これまでの驚異的な中国の経済成長は、若くて安い労働力が豊富にあったことや、農村部の急速な都市化による広範なインフラ整備、大規模な市場原理の導入や経済の国際化などが要因として挙げられるが、いまやこれらは減退しており、いずれ消滅すると分析している。

 さらに、両氏ともに、今後も中国経済が発展するには、民間企業の成長が不可欠だが、習政権は逆に、国有企業の肥大化、権限集中に力を入れ、民間企業の活性化を妨げていると強調。これに加えて、米中貿易戦争の影響が、ボディブローのように徐々に大きなダメージを与えることになる。

 ところで、ボーゲル教授が掲げる2つ目の問題点である自由の制限には、知識人を中心に多くの人が不満を抱えているほか、習氏の独裁的な体制についても、「仮に、習近平がこれから数年内に政治的局面を緩和させられなければ、中国が“崩壊”する可能性も否定できなくなるだろう」と結論づけている。

 このような折も折、中国共産党の理論誌「求是」が最新号で、習氏が5年前に行った指導者層の任期制度を重視する演説を掲載。習指導部は昨年の憲法改正で、習氏の長期独裁政権に道を開いているだけに、まさにボーゲル教授が懸念するように、指導部内で習氏批判が高まっており、「中国が“崩壊”する可能性が否定できなく」なっていることを示しているようだ。

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

【私の論評】中国崩壊で世界経済は良くなる(゚д゚)!

冒頭の記事では、中国問題の国際的な権威であり碩学である米クレアモント・マッケナ大学ケック国際戦略研究所センター所長(教授)のミンシン・ペイ氏と、米ハーバード大学名誉教授のエズラ・ボーゲル氏の2人が提起した中国共産党の一党独裁体制はここ数年のうちに大きな危機にさらされるとの見方を解決していますが、以下に彼の書籍や、著作物などからさらに詳細に二人の見方を掲載します。

米ソ冷戦と比較しながらの新冷戦の行方(ミンシン・ペイ)

ミンシン・ペイ氏

米ソ冷戦初期のころ、ソ連がやがて米国を追い越すことになると考えられていました。共産主義が欧州に浸透し、ソ連経済は今の中国のように年6%近い成長でした。ブレジネフ時代には550万人の通常兵力を持ち、核戦力で米国を追い抜き、ソ連から東欧向けの援助が3倍に増えました。
ところが、おごるソ連システムに腐食が進みました。一党独裁体制の秘密主義と権力闘争、経済統計の水増しなど現在の中国とよく似た体質です。やがてソ連崩壊への道に転げ落ちていきました。

ソ連共産党が91年に崩壊したとき、もっとも衝撃を受けたのが中国共産党でした。彼らはただちにソ連崩壊の理由を調べ、原因の多くをゴルバチョフ大統領の責任とみました。しかし、ペイ教授によれば、党指導部はそれだけでは不安が払拭できず、3つの重要な教訓を導き出しました。

中国はまず、ソ連が失敗した経済の弱点を洗い出し、経済力の強化を目標としました。中国共産党は過去の経済成長策によって、一人当たりの名目国内総生産(GDP)を91年の333ドルから2017年には7329ドルに急上昇させ「経済の奇跡」を成し遂げました。

他方で中国は、国有企業に手をつけず、債務水準が重圧となり、急速な高齢化が進んで先行きの不安が大きくなりました。これにトランプ政権との貿易戦争が重なって、成長の鈍化は避けられなくなりました。しかも、米国との軍拡競争に耐えるだけの持続可能な成長モデルに欠く、とペイ教授はいいます。

第2に、ソ連は高コストの紛争に巻き込まれ、軍事費の重圧に苦しみました。中国もまた、先軍主義の常として軍事費の伸びが成長率を上回っています。25年に米国の国防費を抜き、30年代にはGDPで米国を抜くとの予測まであります。ところが、軍備は増強されても、経済の体力が続いていません。新冷戦に突入すると、ソ連と同じ壊滅的な経済破綻に陥る可能性が否定できないのです。

第3に、ソ連は外国政権に資金と資源を過度に投入して経済運営に失敗しています。中国も弱小国を取り込むために、多額の資金をばらまいています。ソ連が東欧諸国の債務を抱え込んだように、習近平政権は巨大経済圏構想「一帯一路」拡大のために不良債権をため込んでいます

確かに、スリランカのハンバントタ港のように、戦略的な要衝を借金のカタとして分捕りましたが、同時に焦げ付き債務も背負うことになりました。これが増えれば、不良債権に苦しんだソ連と同じ道に踏み込みかねないです。

かくて、ペイ教授は「米中冷戦がはじまったばかりだが、中国はすでに敗北の軌道に乗っている」と断定しています。
中国は民主化に進むのか? (エズラ・ボーゲル)

エズラ・ボーゲル氏

中国は数年後には、中国には今より政治的に緩和された体制、具体的に言えば、上からの抑圧があまりにも厳しい現状よりは、いくらか多くの自由が許される体制になっているのではないでしょうか。

中国共産党が、米国人が納得するほどの自由を人々や社会に提供することはないでしょうか、それでも数年以内に少しばかりは緩和されるでしょう。私はこう考える根拠の一つを、歴史的な法則に見出しています。

1949年に新中国が建国されて今年(2019年)で70年になりますが、この間、中国の政治は緩和と緊張を繰り返してきました。昨今の状況はあからさまに緊張しすぎていて、上からの引き締めが極端なほどに強化されています。

歴史的な法則からすれば、これから発生し得るのは緩和の動きだと推測できます。中国問題を思考し議論する際は、歴史の法則を無視することがあってはならないです。

中国も、司法の独立や宗教、言論、結社、出版などにおいて一定の自由を享受し、形式的だとしても選挙を実施しているシンガポールのようなモデルや、制度と価値観として自由民主主義を築いている台湾のようなモデルを試しつつ、一部の養分を吸収するかもしれないです。

シンガポールも台湾も、同じように華人が統治しているのです。どうして中国に限って不可能だと言えるでしょうか。彼らの間には、文化的に共通する部分が少なくないです。もちろん、中国はより大きく、国内事情は複雑で、解決しなければならない課題も多いです。ただ不可能ではないはずです。

私は少し前に台湾、北京、中国の東北地方を訪れたのだが、やはり台湾の政治体制のバランスは良いと感じました。そこには中国の文化が根づいている一方で、人々は自由と安定した社会を享受できているからです。

昨今の香港は、北京による抑圧的な政策もあり、緊張しすぎています。北京の中央政府の対応に問題があると思います。習近平がみずからの意思と決定に依拠して、全体的な局面を少しでも緩和できるかどうか、私にはわからないです。

以前と比べて楽観視できなくなった、というのが正直なところです。ただここで強調したいのは、中国の歴史の法則に立ち返って考えたとき、不可能ではない、という点です。習近平が政治状況を緩和させ、政治社会や経済社会に対してより多くの自由を供給する可能性はあります。

習近平が国家主席に就任した2013年の頃、私は彼に改革を推し進める決意と用意があり、「反腐敗闘争」に関しても、まずは権力基盤を固め、そのうえで改革をダイナミックに推し進めるという手順を取るのだと推察していました。

習は「紅二代(毛沢東と革命に参加した党幹部の子弟)」とはいえ、江沢民や胡錦濤とは違い、トウ小平によって選抜されたわけではありません。そうした背景から、権力基盤を固めるのに一定の時間を要することはやむを得ず、自然の流れと見ていました。ただ現況を俯瞰してみると、当時の推察とはかなり異なるようです。

習近平は憲法改正を通じて、国家主席の任期を撤廃してしまいました。これは近代的な政治制度に背反する行為です。習近平も人間であるから、いつの日か何らかの形で最高指導者の地位から退くことになりますが、誰が彼の後を継ぐのでしょうか。習近平が長くやればやるほど、後継者問題は複雑かつ深刻になるでしょう。

私には、習近平が誰を後継者として考えているのかはわからないし、現段階でその人物を予測するという角度から中国政治を研究してもいません。

ただ、仮に習近平が二期10年以上やるとしたら、相当な反発が出ることは容易に想像できます。三期15年あるいはもっと長くやることで、逆にみずからの権力基盤が弱体化し、結果的に共産党の統治や求心力が失われるのであれば、習近平は二期10年で退き、福建省、浙江省、上海市から連れてきた“自分の人間”を後継者に据えることで「傀儡政権」を敷く選択をするかもしれないです。

いずれにせよ、習近平は後継者に自分が連れてきた人物を指名すべく動くでしょう。

一方で、習近平が頭脳明晰で、能力のある人間ならば、トップ交代に伴って混乱が生じるリスクに気づいていた場合、彼は二期目(2017~2022年)の任期中に政治状況を緩和させるでしょう。

もちろん、私には習近平が心のなかで実際に何を考えているのかはわかりません。薄熙来(1949~)事件(注:重慶市共産党委員会書記だった薄のスキャンダルや汚職疑惑などが噴出し失脚した事件)や多くの軍隊内部の案件を含め、かなり多くの役人や軍人が捕まってしまいました。このような状況下だからこそ、習近平は、事態を緩和させられないのかもしれないです。

習近平みずからだけでなく、能力のある同僚に頼りながら、全体的な政治環境を緩和させられるのかも、一つの注目点です。習近平に、果たしてそれができるかどうか。いずれにせよ、私がこのような点から、現状や先行きを懸念しているのは間違いないです。

仮に、習近平がこれから数年内に政治的局面を緩和させられなければ、中国が“崩壊”する可能性も否定できなくなります。

現在の中国の体制が崩壊すればどうなるか

中国の崩壊、あるいは中国共産党の崩壊に関して悲観的な予想をする人が多いです。私は、そうは思いません。現在の中国が崩壊すれば、世界経済は今よりは良くなると考えています。

その根拠となるのは、なんと言っても中国の過剰生産です。中国は国内でも過剰生産をしていますが、海外でも過剰生産を繰り返しています。それが、世界に及ぼす悪影響は計り知れません。

これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
世界が反緊縮を必要とする理由―【私の論評】日本の左派・左翼は韓国で枝野経済理論が実行され大失敗した事実を真摯に受け止めよ(゚д゚)!

野口旭氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より、野口旭氏の世界が反緊縮を必要とする理由について述べた部分を以下に一部引用します。
一つの仮説は、筆者が秘かに「世界的貯蓄過剰2.0」と名付けているものである。世界的貯蓄過剰仮説とは、FRB理事時代のベン・バーナンキが、2005年の講演「世界的貯蓄過剰とアメリカの経常収支赤字」で提起したものである。バーナンキはそこで、1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰が、世界全体のマクロ・バランスを大きく変えつつあることを指摘した。リマーン・ショック後に生じている世界経済のマクロ状況は、その世界的貯蓄過剰の新段階という意味で「2.0」なのである。 
各国経済のマクロ・バランスにおける「貯蓄過剰」とは、国内需要に対する供給の過剰を意味する。実際、中国などにおいてはこれまで、生産や所得の高い伸びに国内需要の伸びが追いつかないために、結果としてより多くの貯蓄が経常収支黒字となって海外に流出してきたのである。
このように、供給側の制約が世界的にますます緩くなってくれば、世界需要がよほど急速に拡大しない限り、供給の天井には達しない。供給制約の現れとしての高インフレや高金利が近年の先進諸国ではほとんど生じなくなったのは、そのためである。
上の文書から中国に関する部分を抜書します。

『1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰が、世界全体のマクロ・バランスを大きく変えつつあることを指摘した。リマーン・ショック後に生じている世界経済のマクロ状況は、その世界的貯蓄過剰の新段階という意味で「2.0」なのである』

中国の過剰生産は、国営・国有企業などによってもたらされています。これらの企業は、普通の国であれば、過剰生産でとうに倒産したような企業がほとんどです。しかし、国が強く関与しているため、倒産しません。倒産せずに、さらに過剰生産を継続するのです。

最近の中国は国内だけではなく、「一帯一路」などの名目で海外でも、過剰生産を繰り返す有様です。中国が崩壊しない限り、この過剰生産はなくなることはなく、多くの国々をデフレで苦しめることになるだけです。

中国の体制が変わり、国営・国有企業がなくなり、全部民間企業になれば、過剰生産すれば、倒産するだけなので、中国の過剰生産がなくなります。

現在では、旧共産圏や発展途上国(後進国)の大部分が供給過剰の原因になっていますが、その中でも最大の元凶は共産主義中国です。

WTOなどの自由貿易の恩恵を最大限に受けながら、自国内では、外国企業に対する恫喝を繰りかえす「ルール無用の悪党」が世界の市場から退場し、ルールを遵守するようになれば、世界の供給過剰=デフレは一気に好転し、日本や米国の経済は繁栄することになるでしょう。

無論一時的な混乱は避けられないかもしれませんが、長期的にみれば、このように考えられます。

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2019年9月24日火曜日

過去の石油危機に匹敵する原油生産停止・サウジ攻撃の本当の意味―【私の論評】石油危機+増税でも日本政府にはどうにでもできる夢のような大財源がある(゚д゚)!


小山 堅 (日本エネルギー経済研究所・首席研究員)

攻撃を受けたサウジアラビアの石油精製施設。20日公開された

9月14日、サウジアラビア東部のアブカイク及びクライスにある石油生産・出荷基地に対して、無人機(ドローン)攻撃が行われ、関連施設に重大な被害が発生した。イエメンの武装勢力フーシ派による攻撃とされるが、イランの関与も指摘され、詳細はいまだ不明である。

 この攻撃で、日量570万バレル(B/D)の生産が停止した。直近(8月)時点でのサウジアラビアの石油生産量の約6割に匹敵する供給が失われ、世界全体の石油生産の約6%の供給が停止したことになる。

石油生産の心臓部への攻撃

 攻撃を受けたアブカイク・クライス共に、サウジアラビアの石油生産にとって極めて重要であるが、特にアブカイクは世界最大の原油関連施設が集積しており、まさにサウジアラビアの石油生産の心臓部であるといってもよい。

 サウジアラビアの主要油田から集められた原油は、いわゆる「前処理」を行うことで成分・性状を調整し、原油精製設備で処理・精製できる品質に調整され、出荷される。その中心施設がアブカイクにあることから、同国の石油供給施設・インフラの中でも際立った重要性を有している。当然、その重要性から厳重な警備の下に置かれ、セキュリティが確保されてきた。

 攻撃直後に行われたフーシ派報道官の発表では、今回のドローン攻撃は2015年以来続くサウジアラビア等によるイエメン・フーシ派への攻撃に対する「反撃」として実施されたものであり、サウジアラビアの攻撃や包囲が続き限り、反撃も続くとされた。ただし、その後、フーシ派はサウジアラビアへの攻撃を停止する、と発表している。

 なお、フーシ派によるドローン攻撃は、8月にもサウジアラビアの主要油田、シュアイバ油田に対して行われ、イエメンからの長距離攻撃の実施で関係者の注目を集めていた。今回、厳重な警備をかい潜って、ドローンによる攻撃がサウジアラビアの石油生産の心臓部に打撃を与えたことで改めて世界に衝撃が走った。

 今回のサウジへの攻撃の詳細や背景等については、その後、情報収集や分析が進められ徐々に解明が進みつつあるが、未だ不明確な点も多々残っている。関連施設に重大な被害を与えた正確な攻撃は、ドローンだけでなく、巡航ミサイルによる攻撃もあった、との見方も示され、その「証拠」とされるミサイルやドローンの残骸などもサウジ側によって公開された。フーシ派が攻撃を実施したと自ら表明しているものの、攻撃を受けた方向等の分析などから、イランの関与を強く指摘する意見が米国やサウジアラビアから相次いで示されている。

 米国・ポンペオ国務長官は、攻撃の直後から「攻撃がイエメンから実行された証拠はない」と述べイランの関与を示唆した。その後も、米国・サウジアラビアから、イランが直接関与した、あるいは背後にいた、等のイラン関与説が繰り返し唱えられる状況となっている。ポンペオ国務長官はイランによる攻撃を指摘し、サウジアラビアに対する「戦争行為」であると非難した。

 トランプ大統領はイランとの戦争を望んでいないとの姿勢を崩していないが、同時に、20日にはサウジアラビアやUAEへの米軍の増派を決定し、イラン中央銀行に対する新たな経済制裁を発表した。

 イラン側は、自らの関与を真っ向から否定しているが、米国等による非難と厳しい姿勢の強化を受けて、もしイランに攻撃が行われれば、「全面戦争」になる、との強硬な姿勢も示している。こうして、今回の攻撃を受けて、中東情勢の流動化と混迷が更に進み、地政学リスクが大きく高まる状況となっている。

 今回の攻撃で、570万B/Dに達する石油供給が停止したが、発生した火災等は沈下し、事態は一応の安定を取り戻した。こうした中、世界の関心は生産・供給停止がどの程度続くのか、に向いている。

 17日には、サウジアラビアのアブドゥルアジズ・エネルギー大臣が、復旧作業を進めることで9月中には攻撃前の生産・出荷状況に戻る、との見通しを発表した。サウジアラビアの石油市場における重要性とレピュテーションを守るためにも必至の復旧作業が進められることになり、政府責任者が示した復旧の目途は市場を落ち着かせる点において重要な意味を持つ。

 ただし、被害の大きさと復旧作業の規模等から、実際に完全復旧が9月中に実現できるのかどうか、まだ予断は許されないとの見方も一部の市場関係者の間にはある。現時点では予断を持つことなく、復旧作業の進捗状況と、供給回復の推移を見守っていく必要があろう。

 なお、サウジアラビアでの大規模生産停止を受けて、その直後から市場安定化のために様々な動きや取り組みが始まった。サウジアラビア自身は、停止した生産・供給を補うため、復旧を急ぐとともに保有する在庫等を活用すると表明した。米国・トランプ大統領は、必要に応じて、戦略石油備蓄(SPR)の活用を考える姿勢を明らかにした。

 国際石油市場の安定に責務を有する国際エネルギー機関(IEA)も、今後の推移に留意する必要があることを示しつつ、現在の国際石油市場には十分な在庫・備蓄量があることを示唆し、冷静な対応の重要性を示している。

予断を許さない価格の動き

 サウジアラビアの重要石油施設への攻撃実施と、その結果として石油供給の大規模喪失の発生という事象は、国際石油市場にとって衝撃的な事象であった。サウジアラビアでの供給支障発生は週末14日に発生したが、週明け16日には欧米市場で原油価格が急騰した。欧州市場では、指標原油ブレントの価格は、前週末から一気に12ドル(19%)上昇し、一時は1バレル71.95ドルまで急騰した(終値:69.02ドル)。

 また、米国WTIも、同じく15%上昇し、一時63.38ドルとなった(終値:62.90ドル)。8月以降の原油市場を動かす主な材料は世界経済リスクであり、米中貿易戦争の帰趨であった。そのため上値は重く、ブレントで60ドル前後、WTIで54~55ドルを中心とした相場展開が続いてきたが、今回の供給停止とリスク感の高まりを受け、油価が一気に上昇したのである。

 しかし、9月末までの復旧の見通しが示されたことで市場は落ち着きを取り戻し、9月23日時点でブレントは64ドル台、WTIは58ドル台まで根戻ししている。

供給停止、3つのポイント

 今後を占うためにも、今回の供給停止がなぜ大きなインパクトを持ったのかを理解することが重要であり、それは以下の3つのポイントにまとめることが出来る。

 第1に、実際に供給支障が発生したという点が重要である。6月以降のホルムズ海峡近傍でのタンカー攻撃や、米国ドローン撃墜事件で地政学リスクは著しく高まったものの、石油供給への実際の影響は発生し無かった。今回は、地政学リスクが現実に、直接的に石油供給の支障をもたらした点を市場は見逃さないだろう。

 第2には、サウジアラビアという、世界の石油供給の中心地において、大規模な供給支障が発生した点である。サウジアラビアは世界最大の石油輸出国であり、まさに石油供給の重心である。石油供給を守るため、設備の警備やセキュリティ確保が最優先となっていたが、そのサウジで攻撃を受けて生産が停止した。しかも、その数量が570万B/Dと、かつての石油危機や湾岸戦争・イラク戦争で市場から失われた量と比較しても少なからぬ量であり、まさに大規模供給喪失といえる。

 第3には、やはり攻撃を受け、供給停止したのがサウジアラビアである点が重要である。サウジアラビアこそが、最も重要な供給「余力」を有する産油国で、市場安定化のための「ラストリゾート」ともいえる存在で、そこが襲われた点が大きい。他の産油国での生産が低下した時、サウジアラビアが頼みの綱となるが、サウジアラビアの生産が大規模に失われる場合、誰もそれをリプレースできない存在なのである。
復旧は計画通り進むのか?

 こうした点を考えると、今後の展開は、まず第1には、サウジアラビアが示した復旧計画が予定通り順調に進むかどうか、に左右される。復旧が順調に進み、市場への供給が予定通り9月中には元に戻ることになれば、原油価格は、攻撃前の水準に戻る可能性が高い。

 他方、何らかの理由で、復旧が予定より遅れる場合、その遅れの度合いによっては需給逼迫への懸念や先行きへの警戒から原油価格の変動帯が上振れする可能性も十分にありうる。9月末から10月頃にかけての復旧状況に世界の関係者が注目することになる。

 第2には、今回の事象を受けて、イランを巡る緊張がどのように展開するか、が最大の注目点となる。サウジアラビアの石油供給が実際に狙われ、供給支障が発生したという事態を受けて、今後の展開が次の石油供給支障を再び引き起こす可能性があるのか、に向くことになる。今回の事件で高まった緊張関係が新たな地政学リスクとして、中東の石油供給を不安定化させるかどうかが最大の注目点であり、その展開次第では国際石油市場が一気に不安定化する可能性も決して否定はできない。

 弊所の分析によれば、原油価格が15ドル上昇すると、日本経済の成長率は0.2%下押しされる。日本のような石油輸入国にとって、国際石油市場の安定は、エネルギー安全保障及び経済運営全体にとって極めて大きな意味を持つ。そして、日本のみならず、世界全体にとって、エネルギー安定供給の意味は大きい。今後の中東情勢と原油価格の動向、国際エネルギー市場の安定の先行きを注視していく必要がある。

【私の論評】石油危機+増税でも日本政府にはどうにでもできる夢のような大財源がある(゚д゚)!

日本は国内産油量が殆ど存在しないため、海外からの原油調達に障害が発生すると、直ちにその影響を受けることになります。

2018年度のデータだと、日本の輸入している原油は88.3%が中東からきていますが、サウジアラビアが38.2%と圧倒的なシェアを有しています。次いでアラブ首長国連邦(UAE)の25.4%、カタールの8.0%などが続きますが、ほぼ全量を輸入に頼る原油の、最大調達先で大規模な供給障害が発生しているのです。


現時点では、原油が足りなくなるといった最悪の事態が想定されている訳ではありません。サウジアラビアは国内備蓄の出荷を進める予定であり、輸出障害は一時的との見方もあります。

また、仮に輸出障害が発生しても、石油輸出国機構(OPEC)の他加盟国やロシア、更には米国などの増産対応も可能な状態にあります。更には、日本も含む各国はこうした有事に備えて石油備蓄制度を採用しており、日本の場合だと国家備蓄と民間備蓄を合わせて消費量の230日分を超える備蓄が用意されています。

現状は、各国共に備蓄在庫の放出は必要ないと判断して、監視体制に留めていますが、サウジアラビアの供給障害が深刻化した場合には、国際エネルギー機関(IEA)主導で備蓄在庫の協調放出が行われる余地も残しています。

一方、より身近な影響は原油価格の高騰がガソリンや灯油価格の押し上げ要因につながる可能性があることです。レギュラーガソリン小売価格の全国平均は、昨年10月29日時点の1リットル=160.0円をピークに、直近の今年9月9日時点では143.0円まで値下がりしています。

世界経済の減速で原油調達コストが値下がりする中、秋の行楽シーズンには140円程度まで値下がりする可能性も浮上していましたが、逆に値上がりが警戒される状況になっています。

仮に、原油相場の急騰が一時的なものに留まれば、ガソリン価格には殆ど影響が生じない可能性もあります。ただ、原油高が数週間単位で続いた場合には、150円台まで値上がりが進む可能性があります。

灯油についても、店頭価格の全国平均は昨年10月29日時点の18リットル(ポリタンク1本)=1,797円が、直近の9月9日時点では1,619円まで値下がりし、今年の冬の暖房コストは抑制される見通しでした。しかし、こちらも1,600円台後半から1,700円水準まで値上がりする可能性が浮上しています。

また、ジェット燃料価格の値上がりが進めば航空機チケットのサーチャージ料金、重油価格の値上がりが進めばハウス栽培の野菜価格、更には電力料金などにも値上がり圧力が発生する可能性があります。日本経済に対するマイナスの影響も大きく、株価や円相場など資産価格への影響にも注目する必要があります。


こうした原油高に対する生活防衛策のツールは、必ずしも多くないです。世界経済も容易に対処できる問題ではなく、だからこそ世界は原油価格の高騰に慌てています。安全資産である金価格が瞬間的に急伸したのも、中東の地政学環境の不安定化を警戒しただけではなく、経済活動へのダメージを警戒した結果です。

長期的には、供給サイドに多くの不確実性を抱えた石油に依存しない生活が答えになりますが、脱石油化が簡単に実現しないことには、メリットを相殺するデメリットの存在があります。

例えば、電気自動車は航続可能距離や充電時間、価格などに多くの問題を抱えています。暖房用器具も、現状では石油と電気で同じ性能を確保することは難しいです。千葉県の大規模停電で露呈したように、石油から電気への依存が最適な答えなのかも分からないです。

天然ガスも石油を代替するのは容易ではないです。原油価格が急騰したから、慌てて対策を考えるような問題ではありません。

サウジアラビアの供給トラブルは、完全復旧までに数週間から数か月が見込まれるなど、まだ今後の復旧の目途もたっていない状況にあります。現状では、早急にサウジアラビアの原油供給体制が正常化することを期待する以外に、有効な生活防衛策はないのかもしれないです。

原油価格が15ドル上昇すると、日本経済の成長率は0.2%下押しされることと、早急にサウジアラビアの原油供給体制が正常化することを期待する以外に、有効な生活防衛策がないということであれば、これは政府が何らかの対応をするしかないです。

これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
残り3週間!「消費増税で日本沈没」を防ぐ仰天の経済政策がこれだ―【私の論評】消費税増税は財務省の日本国民に対する重大な背信行為(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏がは、現状金利がマイナスの国債を大量に発行すべきことを主張している部分のみを以下に引用します。
「金利がゼロになるまで無制限に国債を発行し、何も事業をしない」というだけでもいいのだ。 
例えば、10年国債金利は▲0・3%程度だ。これは、100兆円発行すると、年間金利負担なしで、しかも103兆円の収入があることを意味する。マイナス金利というのは、毎年金利を払うのではなく「もらえる」わけで、0.3%の10年分の3兆円を発行者の国は「もらえる」のだ。 
ここで、「100兆円を国庫に入れて使わず、3兆円だけ使う」とすればいい。もちろん、国債を発行すれば若干金利も高くなり、このような「錬金術」が永遠に続けられるわけではないが、少なくとも金利がゼロになるまで、国としてコストゼロ、リスクゼロで財源作りができる。
10月から増税であり、しかもサウジアラビアの件があったわけですから、財務省は大量に国債を発行し、経済政策のための財源とすれば良いのです。

それにしても、本来このようなことは別に高橋氏でなくても、誰もが気づくはずの理屈です。これは、どういうことかといえば、たとえば銀行からお金を借りるときの金利がマイナスになれば、お金を借りれば、利子を払うのではなく、逆にマイナス分の金利でもうかるということです。国債も政府が政府以外からお金を借りる手段であり、同じことです。

そうなれば、普通なら、多くの人は何の躊躇もなく、銀行からお金を借りるのではないでしょうか。もしそうなら、私も相当銀行からお金を借りると思います。個人だけでなく、企業なども大量に借りることになるでしょう。これは、子供でもわかる簡単な理屈です。これを理解するのに、難しい経済理論など必要ありません。

そうして、何も事業をせずとも、元金だけ返せば、マイナス金利分が儲けになるということです。このような夢のような世界があるでしょうか。しかし、これは現実なのです。

このような状況であれば、本来は増税せずとも、大量に国債を発行すれば、政府は大儲けでき、その大儲けで豊富な財源を元手にして、社会福祉でも、国土強靭化でも何でもできるはずです。

この機会を逃さず、政府は大量に国債を発行して、原油価格の高騰等に備えていただきたいものです。何か悪影響がでれば、ただちに対策を打てるだけの財源は国債発行ですぐに確保できるはずです。

10月4日からの臨時国会では、やるべきことが山のようにあります。国際経済の不安定要因への対処として、大型の景気対策が避けられないでしょう。

さらに、昨今の自然災害が頻発する中、インフラの脆弱性が露見しています。現下のマイナス金利環境をインフラ投資のためにもに生かしてほしいものです。

国交省の内規では、インフラ投資のコスト・ベネフィット分析で将来割引率を4%にしています。ところが、これはマイナス金利時代には誤った値です。

市場金利を割引率に用いればほぼすべてのインフラ投資が採択可能になり、一方でマイナス金利環境では、建設国債の発行に制限を課す理由はないです。こうしてマイナス金利環境を活用すれば、いまは積年のインフラ投資不足を一気に挽回できるチャンスです。

同時に、軽減税率導入に伴う不合理は、長い目で見ても日本経済のためにならないです。すっきりと簡単な税制にすべきです。

現在消費増税を止めること(税法改正等)はもう出来ないですが、財政出動や減税等(消費税以外の税金の減税)により消費増税の悪影響を除くことは臨時国会でまだ出来るはずです。こうした点について、野党はしっかりと政府を追及すべきです。それができないようでは、野党に存在価値はないです。

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