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2008年6月12日木曜日

「80後」(中国若者世代、80年台生まれの若者のこと)は車を買うべきか?-世代をひとくくりにする愚かさ?!

Chery Tiggo 6 Chinese car



中国若者論から見るモータリゼーションの行方
中日両国で語られる車に関する若者論
日本では最近「新ニッポン人」というということがいわれ、最近の若者は、「車を買わない、酒を飲まない、海外旅行に行かない、貯金する」などと言われています。日本では、若者が車を買うのが当たり前。買わないのはおかしいというようないわれ方です。私は、この新ニッポン人報道は、若者としてひとくくりにしているという点と、現在の日本の世相を考慮に入れていないという点で低レベル報道だと思います。私のブログでもその旨を解説しています。

ところが、最近中国のネットで、80後世代が車を買うことについて、その是非などが、掲載され話題を呼んでいるそうです(その内容については、この文章の後ろの方に引用)。これは、ネットで交わされている話題ですが、この話題も「新ニッポン人」の報道と同じように、低レベルだと思います。ただし、マスコミで正式に報道されている話題ではないので、単なる井戸端会議として受け取るべきものと思います。

この論議、次の2点で全く意味がなく、中国の現状を把握するには妨げになるだけだと思います。

まず、1点目。通常の先進諸国なら話題にもなりません。車を購入するしないは、若いものであるとか、若くないということとは、全く関係なくその人の経済状態、その人の住むところなど、個人の状況によって決まるべきもであり、年齢は全く関係ありません。やはり、中国は発展途上国であり個人あたりのGDPが100位前後(政府統計を素直に信じて)の国だからでしょう。中国ではまだまだ、貧乏なのでこのような話題になるのだと思います。先進国、いや、中進国あたりでもありえない話題です。若者が車を買う買わないは個々の人の状況によるのであって、80後はどうだなどというのは、全くの余計なおせっかい以外のなにものでもないと言わざるを得ません。

次に2点目。中国80後世代とはいっても、中国全土で2億人にもいます。私は、中国の80後世代を語るには、三つに分類しています。2億人をひとくくりにして話しをするには、あまりにも大雑把すぎます。やはり、あらかじめ少なくとも三つくらいには分類し、実際に商売や調査などするときは、先進国と同じように、もっと細かい分類をして、自分達が狙う層を明確にすべきだと思います。経済面だけをとってみても、80後世代の中にも、年収2000万円以上の人もいれば、200万円以下という人もいると思います。これらを、同一次元で話をすることなど出来ないと思います。2000万以上収入がある人がなぜ、車を買うことの是非を問われなければならないのでしょうか。意味が不明です。また、本人が貧乏であったとしても、どうしても購入をしなければならない理由があれば、親が援助できる余力があるのであれば、援助するのは異常なことではなく、当たり前のことだと思います。

いよいよ中国もモータリゼーション化の波が?
以上の観点から、若者が車を買うことの是非など問うのは、非常に珍しい特異なことであり、中国以外の国では話題にもならないことだと思います。でも、これを裏返しに読み取ると、いよいよ中国でも、若者も含んだ購買層が広がり、いよいよモータリゼーションの拡大が広まる前兆かもしれません。いずれにせよ、将来性のある市場であることには変わりないと思います。

私の中国80後世代の分類は以下のようなものです。

■メインターゲット-ゼリー層(推計人口2000万人以下)
まずは、少なくとも日本の一般世帯収入の数分の一以上の世帯収入がある家の出身である こと。高学歴であること、北京大学などやそれに順ずる大学の大学生、大学院生で、卒業生であること。海外の有名大学院の院生や卒業者を含みます。卒業生の 場合では、官僚になっているか、有名企業などに就職しているか、家業をついでいます。ほとんどの人が携帯電話を持っていて、ほとんどの人が平均的な若者の賃金の一ヶ月分を越える価格で購入できる「手写筆携帯(入力がペンタッチ式の携帯)」を持っている。

■サブ・ターゲット-イチゴ層(推計人口5000万人前後)
さ て、この層は、メイン・ターゲットには近いですが、いわゆる有名大学出身ではないですが、大学行っているかその卒業生です。いわゆる、知識層ではありませ ん。長野オリンピックなどで騒いでいた連中はこの層です。経済的には比較的恵まれていて、ゼリー層より少し下のレベルです。知的能力は低いですが、さりと て、韓国に留学するほどの頭の悪さではありません。ほぼすべての人が携帯電話を持っているが、「手写筆携帯」を持っている人は少ない。

■ボリューム・ターゲット-80後世代多数層(推定人口1億3000万人前後)
経 済的にも、 知的にも一昔前の中国人とあまり変わりない層です。ただし、インターネットを使ったり、若いことから、通常の中国人からみれば、変わって見えますが。思考 も行動様式も以前の中国人とほとんど変わりませ。彼らが変わって見えるとすれば、彼らの特性ではなく世の中の変化です。携帯電話を持っているはいるがすべての人が持っているとは限らない、「手写筆携帯」など持っている人はいない。持とうとも思っていない。

自家用車を販売する事業を中国で展開すとしてたら、ゼリー層には、高級乗用車を、イチゴ層には、普通の乗用車を、80後世代多数層には軽自動車を。というような戦略が成り立つと思います。ただし、実際に販売することになれば、地域ごとにもっと細かな分類を行う必要があると思います。ただし、根底にはこのような分類をしておき、いろいろバリエーションをつけて細かく分類していくなどの方策が重要になってくると思います。

中国に見える飛ばし現象はモータリゼーションでも起こるか?
中国の本格的なモータリゼーションは現在その途についたばかりといえます。本格的になるには、今後5年から10年を要するでしょう。

中国に限らず、発展途上国では、先進国が少しずつ発展してきたのとは違い、いわゆる飛ばし現象ともいえる状況がみられます。たとえば、携帯電話です。中国では、固定電話が普及する前に携帯電話が普及してしまいました。Lpなど普及する前に、カセットが普及し、今はCDがほとんどです。このような、現象いろいろなことにみられます。

さて、モータリゼーションでもそのようなことが起こるかもしれません。今後ガソリンが高騰することは、目に見えています。たとえ一時下がったとしても、高値基調が続くと思わせます。そうなると、中国の大多数の人達にとって車を所有することは非常に難しくなります。

しかし、今後ハイブリットカーとか、水素自動車などの技術開発が進みます。先進国では、既存の乗用車が普及してしまっているので、爆発的に売れることはないですが、中国あたりであれば、かなり大きな需要が最初から見込めるかもしれません。需要があれば、これらの車も安くできます。おそらく、中国が最初のハイブリットカーや水素自動車の大市場となり、その次に先進国が従来の車との逐次置き換えという形で進んでいくことが予想されます。

このモータリゼーションに関する飛ばし現象、私は今後中国で急速に進むと踏んでいます。皆さんは、どう思われますか。


「人民網日本語版」 2008年06月11日 より引用(すでに内容を知っている人、読んだ人は読み飛ばしてください)
ネット利用者の議論
「80後(1980年代生まれの若者)」とはある世代を表す特殊な表記で、かつては無知な少年を表す代名詞だった。徐々に成長したこうした「80後」世代は社会に入り、消費の主流になっている。自動車消費の位置づけにおいてもこうした「80後」世代のニーズが一層重視されている。しかし社会的には、「80 後」の自動車消費を贅沢で中国の伝統的な消費の概念に背くと見る意見が多い。「80後」は本当に車を買うべきではないのだろうか。「国際金融報」が伝えた。

甘粛省蘭州のあるインターネット利用者は次のように述べている。現在の「80後」世代で車を買った者は確かに少なくないが、その 99.5%は親が資金援助して買ったものに違いない。自分の給料で買ったとしても、その人の住居や子供、仕事などをみな家族が手配してくれ、両親などに毎月生活費を援助しなくてもいいような人間であることが予測される。こうした人は自分が成功者だと考えるべきではない。もし父母の援助がなかったら車を買えたかどうか考えてみるとよい。

別のインターネット利用者tianweibo198さんはこう語る。「80後」を見くびらないでほしい。自分は1982年生まれで今年シボレーのEPICAを購入したばかりだ。費用は手数料を含めて17万元以上だが全部自分で稼いだお金だ。努力さえすれば自分の夢を実現することができるのだ。

河北省の利用者は次のように語った。自分は1981年生まれで車を購入した。自分で頭金を払い、ローンは給料から差し引かれるが、1カ月に5000元余りの月給だが、車を維持するのは問題ない。一部の人が車を買わないからといって、全ての「80後」世代が自分の力で車を購入することができないというわけではない。

80後の考え方
■「80後」の考え方その1:好きならすぐ買う
1982 年生まれの安さんは、どのブランドの車を買うかをたった3分で決めた。理由は簡単だ。安さんはその車のステレオの効果がよく、車を運転しながら自分の好きな音楽を大音量で聴くことができると考えたのだ。この決定は彼女の両親にとってはとんでもない理由だが、安さんは自分のセンスと判断を信じている。

■「80後」の考え方その2:ブランド意識
ブランド意識が強いのも多くの「80後」の共通点だ。1982年に生まれた魏さんも典型的な例だ。魏さんは小さい頃から車、特に自動車レースが好きで、レースでの優れたパフォーマンスからプジョー206を「崇拝」している。仕事を始めて2年半後に魏さんはついに自動車購入という夢を実現した。

「80後」の考え方その3:享楽主義
北京のある大学で学ぶ高さんは次のように語っている。「大学を卒業したら、仕事の最初の数年は貯金に励んで車を買いたい。住宅については今の値段は高すぎるから、賃貸の方がよい。私は北京出身ではなく、いずれ地元に戻って生活するのだから、北京で車を買って楽しむに越したことはない。住宅の事はもう父親と相談済みで、父親が貯金して頭金を払ってくれることになっている。」

80後はパラサイトか
それより前の世代から見ると「80後」は幸福な世代だ。「80後」世代の多くの消費概念は「自分の快適さのためにお金を使わないのなら、何のために稼いでいるのか」といったものだ。車の購入も以前の世代の人にとっては慎重に考慮すべき事だが、「80後」にとっては大きな玩具を買うのと同じように簡単なことなのかもしれない。「80後」は一般的に、何年もかけてお金を貯めてから車を買うというのは、遅れた消費概念だと考えている。こうした見方こそ、以前の世代が「80後」を未成熟で、考えが幼いと見る原因だ。

「80後」世代の消費は一般に両親の援助を受けている。これは幸福だが、インターネット利用者から批判される点でもある。「パラサイト」というレッテルが「80後」に使われることが多いが、こうしたレッテルは「80後」の若者にとっては不公平だ。実際「80後」世代の中にも既に夫、父親となっている。こうした人々は家庭を支える能力を持ち、逆に自分の父母を養う役割を担っている。自分の能力で車を購入した「80後」も一般的となっている。中国の父母の多くは自分の経済状態に余裕があれば、自主的に子供を資金援助して子供がよりよい生活を送れるようにするのだが、これは外国の父母の意識とは異なるとも言える。(編集YH)

以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。

■中国核爆発か-高まる情報開示の圧力
■自衛隊機の中国派遣見送り、アジア安全保障会議でも話題に―結果的には日本外交の勝利か?

■自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色-幻の日本軍支援は歴史上の転換点?
■四川大地震:自衛隊機、中国派遣へ・・・政府要請受け入れ―歴史上の転換点になるか?
■自主的に救援活動をする中国の若者たち-80後世代と一つにくくるのは間違い?!

■不可解な中国の報道二題-やらせ義捐金とノーベル平和賞

■中国携帯電話事情-80後世代分類のツールともなるか?
■中国四川省大地震―核施設、ダムは大丈夫か?
■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋
■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの
■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?
■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水
■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?
■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?
■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?
■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄
■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
■中国"義歯"から鉛「安全に問題」
■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名
■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?
■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情

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