2023年9月10日日曜日

米国で暗躍のロシアのスパイ、「依然過多な状態」 FBI長官―【私の論評】ロシアに対抗するためにも、スパイ防止法を制定すべき(゚д゚)!

米国で暗躍のロシアのスパイ、「依然過多な状態」 FBI長官

まとめ

  • 米国内で活動するロシアのスパイの人数は、依然として多すぎる。
  • ロシアは、伝統的な情報機関要員だけでなく、外国人を支援者として取り込む「連絡要員」も動かしている。
  • 米政府は、プーチン大統領率いるロシアを敵対国として位置づけており、この伝統的な防諜上の懸念が再び強まっている。

 米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、米国内で活動するロシアのスパイの人数は、摘発する努力を重ねているものの、依然として「多すぎる」と危機感を示した。

FBIのレイ長官

 レイ長官は、ロシアの伝統的な防諜上の脅威は大きくなっており、米国は可能な限りの手段で阻止や封じ込めを試みていると述べた。

 米国は、2018年に情報機関要員と割り出したロシア人外交官60人を追放し、シアトルにある領事館の閉鎖も求めた。

 ロシアが動かすスパイは、伝統的な情報機関要員だけでなく、外国人を支援者として取り込む「連絡要員」も含まれる。

 米国は、ロシア諜報機関を支援した疑いでメキシコ人を逮捕したほか、オランダの情報機関は、ジョンズ・ホプキンス大高等国際関係大学院で学んでいたロシア軍の諜報要員の身元を公に暴露した。

 米国内に潜むロシア人のスパイの脅威は、冷戦時代から存在していたが、米政府はプーチン大統領率いるロシアを敵対国として位置づける姿勢を強めており、この伝統的な防諜上の懸念が再び米指導部内に強まっている。

【私の論評】ロシアに対抗するためにも、スパイ防止法を制定すべき(゚д゚)!

まとめ
  • 日本に約120人のロシアのスパイが潜伏しているとみられている。
  • ロシアのスパイは、ハイテク企業の社員を標的にしている。
  • ロシアのスパイは、道を尋ねるふりをして話しかけ、飲み友達になるなどして信頼を得た後、社外秘の資料や情報を持ち出そうとする。
  • 警視庁は、ロシアのスパイの手口に注意喚起し、対策を講じるよう呼びかけている。
  • 日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻に対応して、在日ロシア大使館の外交官8人を国外追放したが、ロシアはこれに報復措置をとった。
  • 日本は、ロシアのスパイ活動に対抗するために、スパイ防止法を制定し、情報機関の監視・モニタリングの権限を拡大するなどの対策を講じる必要がある。
ロシアのスパイは、日本各地で約120人が暗躍していると言われています。彼らは、太平洋戦争直前まで日本を舞台に活躍したソ連の伝説的スパイ、リヒャルト・ゾルゲの後輩たちです。

ロシアのスパイは、飲み屋街や展示会などの出会いの場で連絡先を交換し、協力者にふさわしい人物を抽出します。協力者にすべき人物が決まったら、信用させ、術中にはめていく「デベロッピング(開発)」へ移行するのが定石です。

警視庁は、ロシアのスパイがハイテク企業の社員に接触していることを注意喚起しています。彼らの手口を知ることが身を守る第一歩です。

警視庁

警視庁は、ロシアのスパイがハイテク企業の社員に接触して、企業の技術情報を盗もうとしているとして注意喚起しています。

警視庁によると、ロシアのスパイは、以下のような手口で接触してきます。
  • 道を尋ねるふりをして、社員に話しかける
  • 飲み友達になるなどして、社員を手なずける
  • 社員の信頼を得た後、社外秘の資料や情報を持ち出させる
警視庁は、このような手口に注意し、不審な人物から接触があった場合は、警察に相談するよう呼びかけています。

具体的には、以下のような点に注意することが大切です。
  • 道を尋ねるふりをして話しかけてくる人には、用心する
  • 知らない人から飲み会に誘われたら、断る
  • 仕事以外のことで、社外秘の資料や情報を持ち出すことはしない
また、警視庁は、ハイテク企業の社員に対して、以下の対策を講じるよう勧めています。
  • 情報セキュリティ対策を徹底する
  • 社員への教育を徹底する
情報セキュリティ対策では、社内ネットワークのセキュリティを強化したり、社員への情報セキュリティ教育を実施したりすることが重要です。また、社員への教育では、スパイの手口や、情報漏洩の防止策などを周知することが大切です。

ロシアのスパイというと、ロシア人を思い浮かべてしまう人も多いですが、日本国内で工作員を雇っている可能性もありますし、さらにロシア連邦は広大であり、特に極東などでは、中央アジア系の人も多く、見かけは日本人のような人もいます。自分は、ロシア人とは関わりがないから大丈夫と考えるべきではありません。

警視庁の注意喚起は、ハイテク企業の社員だけでなく、すべての国民にとって重要な情報です。ロシアのスパイの存在を認識し、対策を講じることで、情報漏洩を防ぎ、国家安全保障を守ることにつながります。

日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻に対応して、2022年4月20日午在日ロシア大使館の外交官8人を国外追放しました。一部の外交官は諜報機関に所属していた可能性が指摘され、日本におけるスパイ活動の規制が不十分であることが問題視されています。

ロシア大使館


国際情勢の不安定化とともに、日本の国家機密や同盟国の情報保護が焦点となり、政府に法整備と諜報・防諜体制の強化が求められています。

ロシア外務省は、4月21日、日本政府の外交官追放に報復措置として、日本大使館の外交官8人を国外追放すると発表しました。また、ロシアは、5月4日、岸田文雄首相や林芳正外相ら日本人63人を無期限で入国禁止とする制裁措置を発表しました。

一部専門家は、ロシアの外交官が日本で反米感情を高め、日本政府との対立を助長するための工作活動に関与していた可能性を指摘し、日本にとってはロシアの対抗措置によるリスクが限定的であると述べています。

戦後から日本での対日工作が何度も発覚しており、機密情報の窃取だけでなく、ロシアに有利な主張をする人物やメディアも問題とされています。そのため、日本は国家の諜報活動に対する意識を高め、ロシアの情報機関の活動を詳細に監視し、適切な法律や措置を検討すべきとの意見が示されています。

日本でも、国内に潜むロシア人のスパイの脅威は、冷戦時代から存在していましたが、日本政府はプーチン大統領率いるロシアに対峙する姿勢を強めており、この伝統的な防諜上の懸念が日本でも強まりつつあるとみられます。

以下にロシア関係の主なスパイ事件とみられるものをあげます。

1997年 翻訳業の男性が、ロシア対外諜報庁(SVR)機関員と接触し、未公開のパソコン関連機器のマニュアルを渡し、書類送検された。

2000年 防衛庁(当時)防衛研究所勤務の海上自衛隊三佐が、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)所属の大使館付武官に防衛庁の戦術概説など秘密資料を渡したとして逮捕された。

2002年 GRU所属の在日ロシア通商代表部元部員が、元航空自衛隊准尉の防衛装備品会社社長に対して、米国製戦闘機用ミサイルの資料を要求していた。元部員が書類送検された。

2008年 内閣情報調査室職員が、GRU所属とみられる在日ロシア大使館2等書記官に内政情報を漏らし、職員と書記官が書類送検された。

2020年 ソフトバンク元社員が、在日ロシア通商代表部元職員の工作を受けて機密情報を不正取得し、逮捕された。元職員も書類送検された。

ロシアのスパイ活動のような外国情報機関の脅威に対抗するために、日本は包括的なスパイ防止法を優先的に成立させるべきです。既存の法律や執行メカニズムを強化することで、ある程度の効果は得られるかもしれないですが、この種の秘密工作と適切に戦うためには、専用の反スパイ法が必要です。

ロシアの女性スパイ アンナ・チャップマン

反スパイ法に含まれるべき重要な条項には、以下のようなものがあります。機密情報の窃盗や送信、機密サイトの監視、政府機関に潜入するための偽装工作など、スパイ行為を明確に犯罪化すること。これにより、日本の当局は外国人スパイを訴追する手段を得ることになります。
  1. スパイ行為で有罪判決を受けた者には、長期の実刑判決や多額の罰金を含む厳しい刑事罰を与えるべきです。強い刑罰は最高の抑止力です。
  2. 日本の政治や世論を操作することを目的とした外国のプロパガンダ、偽情報、影響力キャンペーンを禁止すべきです。ロシアはこのような手口を使っているため、非合法化することでその影響を抑えることができます。
  3. スパイ活動を発見するために、日本の情報機関に監視・モニタリングの権限を拡大することを認めるべきです。慎重に規制されれば、これらの新しい権限は情報機関に必要な手段を与えることになります。
  4. 外国のスパイを特定し、監視し、逮捕するために、情報機関と法執行機関との間の緊密な協力を促進すべきです。官僚主義的な障壁を取り払い、情報共有を促進することが重要です。
  5. スパイの疑いを通報した内部告発者を報復から守るべきです。彼らの勇気は罰せられるのではなく、奨励されるべきです。法律で彼らを保護すべきです。
  6. 新たな権限や権限の乱用を防ぐため、適切な監督と説明責任を確保すべきです。頻繁な監査と透明性が重要です。
反スパイ法は、慎重に考案され実施されれば、ロシアの諜報活動の脅威に対抗するための実質的な新しい手段を日本の当局に与えるはずです。

資源の拡大、厳しい制裁、サイバー防衛といった他の措置と組み合わせれば、日本におけるロシアのスパイ活動を大幅に妨げることができるでしょう。

そうして、これは、ロシアに対してだけではなく、他国のスパイについても同様のことがいえます。

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2023年9月9日土曜日

G7唯一マイナス経済成長のドイツ――その陰に高い対中依存―【私の論評】日本は外需依存の経済構造のドイツを他山の石として、内需拡大の道を歩むべき(゚д゚)!

G7唯一マイナス経済成長のドイツ――その陰に高い対中依存

まとめ
  • ドイツ経済が不調だ。企業倒産件数が増え、国内消費が冷え込んでいる。
  • 英国エコノミスト誌はドイツについて、1990年代後半のように「欧州の病人」という言葉を使い始めた。
  • ドイツが大幅に経済失速している背景にはインフレや金融引き締めだけではなく、最大の貿易相手国・中国の経済低迷の影響が色濃い。

欧州の病人 AI生成画像


  ドイツ経済は、ロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰や、中国経済の減速など、さまざまな要因によって不調に陥っている。

 ロシア・ウクライナ戦争は、ドイツにとって最大の貿易相手国であるロシアから供給される天然ガスや原油の価格上昇を招き、企業のコスト増加や消費者の購買意欲の低下を招いた。また、原材料や部品の調達難も、製造業の生産を圧迫している。

 中国経済の減速は、ドイツにとって最大の輸出相手国である中国の需要の減少を意味する。これは、ドイツの輸出減少と雇用の減少につながっている。

 さらに、ショルツ政権は、成長機会法案や建物エネルギー法案など、経済関連の法案で足並みが乱れている。これは、政府の政策の不安定性を招き、投資家や市民の信頼を損ねている。

 これらの要因が重なり、ドイツ経済は2022年後半からリセッションに陥った。IMFの予測では、ドイツのGDP成長率は2023年にマイナス0.3%になると見込まれている。

 ドイツ経済の不調は、EU全体の経済にも悪影響を及ぼす可能性がある。ドイツは、EUの最大の経済大国であり、EU経済の牽引役を担っている。ドイツ経済の不調は、EU全体の成長を鈍化させる恐れがある。

 ドイツ政府は、これらの課題に対処するために、エネルギー価格の抑制や、中国経済との連携強化、政府の政策の安定化などに取り組んでいる。しかし、これらの課題は、短期的に解決できるものではない。ドイツ経済が回復するには、長期的な視点に立った政策が必要になるだろう。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日本は外需依存の経済構造のドイツを他山の石として、内需拡大の王道を歩むべき(゚д゚)!

まとめ
  • 2023年第2四半期の主要国の経済成長率は、ドイツが0.5%、日本が1.5%、米国が0.8%、中国が0.2%だった。
  • ドイツの経済成長率が最も低いのは、中国経済減速が大きな要因となっている。
  • 日本の高い経済成長率は、円安の影響により、輸出が大幅に増加したことが要因となっている。
  • 今後の経済成長は、インフレや金利の上昇などのリスク要因に左右されると考えられる。
  • ドイツや日本は、内需比率を高めていくことで、経済の安定や成長を図っていくべきである。特に外需比率が異常に高いドイツはそうである。


ドイツ、日本、米国、中国の第2四半期成長率と年率成長率を以下に示します。

第2四半期成長率年率成長率
ドイツ0.50%2.00%
日本1.50%6.00%
米国0.80%3.20%
中国0.20%0.80%

なお、これらの数字は、あくまでも第2四半期の速報値であり、年率成長率はあくまでも推計値です。実際の年間成長率は、これらの数字と異なる可能性があります。米国の年率成長率について、このブログでは以前5.8%と掲載しましたし他のメディアもそのように掲載していました。

これは、速報値と推計値の違いによるものです。米国商務省は、2023年第3四半期の実質国内総生産(GDP)成長率を、速報値で年率成長率5.8%と発表しました。しかし、これは、GDPの季節調整済みの変化率を1年間にわたって継続すると仮定した推計値です。実際の年間成長率は、この数値よりも低くなる可能性があります。

米国のGDP成長率は、前年同期比で見ると、第1四半期の6.9%から、第2四半期の3.2%に減速しました。しかし、第3四半期には、前年同期比で13.7%と大幅に拡大しました。これは、インフレによる物価上昇が、GDPの計算上、GDPの成長を押し上げたことによるものです。

今後の米国の経済成長は、インフレや金利の上昇などのリスク要因に左右されると考えられます。

ただ、独、日、米、中を比較すると、第二四半期ではドイツ成長率が低いのは確かです。この原因は、上の記事にもある通り、中国経済減速が大きな要因になっているとみられます。

次に、独日米中のGDPに占める輸出の割合を示します。

GDPに占める輸出の割合
ドイツ42.30%
日本20.70%
米国12.30%
中国20.60%

これらの数字は、IMFの2023年10月時点の予測値です。

ドイツは、GDPに占める輸出の割合が最も高く、42.3%となっています。これは、ドイツの製造業が世界有数の競争力を有していることによるものなどとされてきましたが、これだけ輸出に依存していると、世界経済の状況に影響を受けやすいです。

米国の場合、輸出は、GDPの10%以下の数%台が元の水準です。2022年には、世界経済の回復や、米国経済の堅調な成長により、輸出が大幅に増加しました。しかし、今後、世界経済の成長が鈍化(元の水準にもどること)したり、米国経済が減速したりすると、輸出は減少する可能性があります。

日本の場合、輸出は、GDPの10%台が元の水準です。2023年には、円安の影響により、輸出が大幅に増加しました。しかし、今後、円安が是正されたり、世界経済の成長が鈍化(元の水準に戻ること)したりすると、輸出は減少する可能性があります。

なお、2023年10月時点のIMFの予測では、2024年の米国のGDPに占める輸出の割合は10.8%、日本のGDPに占める輸出の割合は17.9%と、いずれも元の水準に戻る見通しとなっています。

これは、元々両国とも外需よりも内需の比率が高いことを示しています。内需比率が高いことは、国際競争力が低いなどとネガティブに見られがちですが、別の側面からみると、世界経済の影響を受けにくいということです。

内需比率が高いことは、国際競争力が低いなどとネガティブに見られがちですが、別の側面からみると、世界経済の影響を受けにくいということです。いずれの国も、世界経済の影響を低く抑えるためにも、内需をできるだけ大きくすべきと思います。

内需比率が高いことは、世界経済の景気変動の影響を受けにくいというメリットがあります。これは、国内の需要が大きいため、外需の減少の影響を相殺しやすくなるためです。

また、内需が拡大すれば、国内の雇用や所得が拡大し、国民生活の安定につながります。さらに、内需の拡大は、国内の経済成長を促進し、経済の活性化につながります。

一方で、内需比率が高すぎると、国際競争力が低下するなどのデメリットもあります。しかし、世界経済の不安定性が高まる中、内需比率を高めていくことは、経済の安定や成長のために重要だと思います。

米国と日本は、ともに内需比率が高い国です。米国は、国内市場が大きいため、内需比率が自然と高くなっています。日本も、国内市場が大きいだけでなく、国民の所得水準が高いため、内需比率が高い傾向にあります。

今後も、世界経済の不安定性が高まる中、米国と日本は、内需比率を高めていくことで、経済の安定や成長を図っていくべきです。

内需大国米国の女性 AI生成臥像

それは外需比率の高いドイツにも当てはまることです。貿易立国などとして、外需がもてはやされたのは過去の話です。外需の大きい国、中国、ドイツ、韓国などのきなみ経済の不振に悩まされています。ドイツも今後は内需を高めていくべきでしょう。

日本の経済成長率は、2022年には前年比3.6%と、2年連続でプラス成長となりました。これは、新型コロナウイルスの感染拡大からの経済回復や、貿易の拡大によって牽引されたものであり、国内の需要は依然として低迷しています。

2023年4-6月期の日本のGDPは、前期比1.5%増、年率換算で6.0%増と、3四半期連続のプラス成長となりました。これは、一般のエコノミスト予想を超える大幅増です。

内需は、民間消費が2.1%減、住宅投資が7.7%増、設備投資が0.1%増、政府消費が0.4%増、公共投資が5.0%増でした。内需の寄与度はマイナス1.2ポイントで、外需の寄与度はプラス7.2ポイントでした。

民間消費は、新型コロナウイルスの感染拡大からの行動制限が解除されたものの、物価上昇や景気の先行き不安などから、2四半期ぶりに減少しました。住宅投資は、底打ち感がありますが、依然として低迷しています。設備投資は、依然として力強さに欠けています。政府消費は、公共投資の増加が牽引しました。

名目GDPは、12.0%増となりました。内需の寄与度はプラス0.9ポイント、外需の寄与度はプラス11.1ポイントでした。

GDPデフレーターは、3.4%増となりました。

これらの数字を見ると、消費減、輸出増、輸入減という特徴があります。消費減は、国内需要不足が原因です。輸出増は、円安が効いていることが原因です。

GDPギャップはマイナス0.7%で、オーバーキャパシティー状態です。しかし、国内需要が弱すぎるため、内閣府の供給上限が低すぎてGDPギャップを過小に見積もっている可能性があります。

輸入物価の上昇が一段落し、食品や生活用品など国内での価格転嫁が広がっています。名目GDPも大幅に伸びているため、税収は好調です。

具体的には、ガソリン価格が上昇している現在、10月から補助制度が切れるが、これだけ税収増なのであれば、補助制度の継続か、ガソリン価格のトリガー条項を発動すべきです。

現在の日本経済は、貿易の拡大によって成長を続けているものの、国内の需要は依然として低迷しており、経済の持続的な成長には課題が残されていることがわかります。

これに対処するには、日銀は、金融緩和を継続し、企業の投資や雇用を促進する必要があります。円安だという理由で、日銀は金融緩和策をやめるべきとの、信じられないようことをいう、愚かなエコノミストがいますが、それは上で述べたようなことから、全くの間違いです。

円安によって大手優良企業が大半をしめる輸出企業の業績が好調で、実際に日本は経済成長しています。しかも、内需はまだ弱含みなのですから、円安が障害になっているのは、輸入産業や国内産業です。これらは、中小企業が多いです。これを無視して、金融緩和をやめたり、金融引き締めに走ればば、輸出産業の業績は落ち、輸入産業、国内産業はますます需要不足で苦しむことになります。

政府は、秋には補正予算を組み、積極財政を実施することで、国内の需要を拡大し、経済の活性化を図る必要があります。特に、当面は輸入産業、国内産業に対する支援をすべきでしょう。

具体的には、日銀は、マイナス金利政策を維持し、長期国債の買い入れを継続することで、企業の資金調達を円滑にし、投資を促進する必要があります。また、政府は、補正予算で、社会保障や教育などの公共サービスの拡充や、インフラ整備などの投資を実施することで、国内の需要を拡大する必要があります。財源としては、先に述べたように、増えた税収を成長減税または成長給付金として国民に還元するのが正しい政策です。

さらに、政府は、労働市場の改革や、女性の活躍を促進することで、労働力人口の拡大を図り、生産性の向上に取り組む必要があります。

これらの施策を組み合わせることで、日本経済の持続的な成長を実現することが期待できます。

貿易立国の危うさ AI生成画像

円安で貿易が伸びて経済成長している現在の日本は、かつて貿易立国などとして、外需がもてはやされ、国際競争力が高いと評価されていた頃のドイツのようであり、この状況は長くは続きません。日本もドイツを他山の石として、王道ともいえる内需を拡大する方向を目指すべきです。そうしなければ、いずれ現在のドイツのように経済が低迷することになります。

そうなれば、岸田政権の支持率はますます低下することになります。

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2023年9月8日金曜日

参加しても恥をかくだけ…習氏、G20欠席の裏に人民元暴落の不安 中国経済は「時限爆弾」情報隠し以外の対策打てず―【私の論評】習近平が未曾有の危機に備えなければならないほど、現在の中国の経済危機は深刻(゚д゚)!

田村秀男「お金は知っている」
習近平中国主席


 中国の習近平国家主席が、インド・ニューデリーで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議を欠席する。

 これは初めてのことであり、その理由は中国経済の深刻な状況にある。

 8月10日、バイデン米大統領は中国経済が「爆発するのを待っている時限爆弾」と指摘した。

 特に不動産バブル崩壊や金融不安が深刻であり、対策が打てない状況だ。

 中国政府は徹底的な報道管制や監視、拘束を通じて投資家の抗議を封じている。

 中国は過去に不動産バブルの崩壊を隠蔽し、金融危機を回避してきたが、今回は状況が異なり、外資は逃げ出し、資本逃避が起こっている。これが人民元の下落に繋がっている。

 習氏はBRICS首脳会議で人民元決済を働きかけたが、参加国は人民元の価値が下がることを望んでいないため、G20サミットに参加しても困難だとされている。習政権の強権は人民元の不安を増幅させている。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】習近平が未曾有の危機に備えなければならないほど、現在の中国の経済危機は深刻(゚д゚)!

上の記事にもある通り、中国の人民元は最近、ドルに対して急速に下落しています。これは、外資の流出と資本逃避が主な原因であると考えられており、その結果、中国の経済に悪影響を及ぼしています。

外資の流出

外資の流出は、中国の経済成長の減速とゼロコロナ政策による経済への打撃を背景に、近年、加速しています。2022年には、中国への外国直接投資(FDI)は前年比10%減少しました。

外資の流出は、人民元の下落を促す要因となっています。外資が中国から資金を引き揚げると、人民元の需要が減少し、供給過剰に陥るため、人民元の価値は下落します。

下落し続ける人民元


資本逃避

中国では、富裕層による資本逃避も深刻化しています。中国政府は、不動産市場の混乱や、習近平政権の強権的な統治に対する懸念から、富裕層の資産を厳しく監視しています。このため、富裕層は、香港などの海外市場に資産を移すようになっています。

資本逃避も、人民元の下落を促す要因となっています。資本逃避によって、人民元の需要が減少し、供給過剰に陥るため、人民元の価値は下落します。

ロシアの人民元決済

ウクライナ侵略を巡る西側諸国の対露制裁を受け、中国とロシアは、ドルに代えて人民元決済に切り替えました。ロシアは、中国に石油や天然ガスを輸出する対価として、人民元を受け取っています。

しかし、ロシアは、人民元をそのまま保有しておくと、元安によって損失を被ることになります。また、中国の資産市場は、リスクが高く、運用も難しいため、ロシアは、人民元をすぐにドルに換えたいと考えます。

このため、ロシアは、中国から受け取った人民元を、香港の人民元・ドル市場で売却しています。この売却が、人民元の下落をさらに加速させていると考えられます。

急増するロシアの人民元決済 AI生成画像

以下に、上記の説明を裏付けるエビデンスを示します。

外資の流出:中国国家統計局によると、2022年の中国へのFDIは1733億ドルで、前年比10.5%減少した。米シンクタンク「ブルッキングス研究所」によると、2023年上半期の中国へのFDIは、前年同期比30%減少した。

資本逃避:中国人民銀行によると、2022年の中国の純資本流出額は1150億ドルで、前年比51%増加した。香港金融管理局によると、2022年の香港への資金流出額は3900億ドルで、前年比44%増加した。

ロシアの人民元決済:中国商務省によると、2022年の中国とロシアの貿易額は808億ドルで、前年比35%増加した。中国人民銀行によると、2022年の中国の対ロシア貿易決済における人民元の割合は36%で、前年比18%ポイント増加した。

これらのエビデンスから、中国の人民元は、外資の流出と資本逃避、そしてロシアの人民元決済の3つの要因により、急速に下落しています、これからも下落を続けることでしょう。

中国の人民元が急速に下落し続ければ、中国経済に大きな悪影響を及ぼすと考えられます。

輸出競争力低下

人民元が下落すると、中国製品の輸出価格が安くなるため、輸出競争力が高まります。しかし、一方で、輸入価格も高くなるため、インフレ率が上昇し、国内消費が冷え込む可能性があります。自国通貨安は、西側諸国等の中国経済よりは、健全な経済の国々にとっては、輸出競争力が高まり、良い結果を招くのですが、現状の中国では良い結果を期待することはできないようです。

国内投資の減少

人民元が下落すると、中国企業の海外投資がしやすくなります。しかし、一方で、外資の中国への投資が減少する可能性があります。これは、中国経済の成長鈍化や、ゼロコロナ政策によるリスクの高まりなどが懸念されているためです。

金融システムの混乱

人民元が下落し続ければ、中国の金融システムに混乱が生じる可能性があります。これは、人民元の下落が、企業や個人の借入コストを増加させ、金融機関の資産価値を低下させるためです。

具体的には、以下の影響が考えられます。輸出企業の収益が減少し、雇用や設備投資が縮小する。
  • 国内消費が冷え込み、経済成長が鈍化する。
  • 外資の中国への投資が減少し、経済の活力が失われる。
  • 金融機関の破綻や、金融システムの混乱が発生する。
中国政府は、人民元の下落を防ぐために、金融市場への介入や、金利引き下げなどの措置を講じていますが、効果が十分に出ているとは言い難い状況です。これからも、効果が出る可能性は少ないです。

このような状況の中国経済ですから、8月10日、バイデン米大統領は中国経済が「爆発するのを待っている時限爆弾」と指摘したとみられます。

未曾有の危機 AI生成画像

このような状況であれば、いつ何時何が起こるかわかりません。習近平はG20に出席すれば、恥をかくという側面もあるでしょうが、この未曾有の危機に備えるという意味で、中国にとどまっていたいのかもしれません。

それほど、現在の中国の経済危機は深刻なようです。

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2023年9月7日木曜日

「H2A」47号機打ち上げ成功 「高い信頼性」の面目保つ―【私の論評】H2A47の打ち上げ成功は、地政学的、経済的、科学的に重要な意味を持つ一大イベントだった(゚д゚)!

「H2A」47号機打ち上げ成功 「高い信頼性」の面目保つ

まとめ
  • 日本の月面着陸実証機「スリム」が成功裏に打ち上げられた。
  • 日本の宇宙開発の再興を象徴する出来事。
  • スリムは、月面の目標地点への高精度着陸を目指す。
  • ロケットにはクリズムも搭載されており、これは新たな宇宙天文台として活躍する。


 日本初の月面着陸を目指す小型実証機「スリム」を搭載した日本の主力大型ロケット「H2A」47号機が、2023年9月7日に打ち上げに成功した。

 H2Aは、日本の宇宙開発の要となるロケットだが、近年は失敗が相次ぎ、信頼性が揺らいでいた。しかし、今回の成功により、日本の宇宙開発は再び勢いを取り戻した。

 スリムは、月面の目標地点に誤差100メートル以内で高精度に着陸することを目指している。打ち上げから3~4カ月後に月の周回軌道に到着し、着陸は4~6カ月後の見通し。成功すれば、日本は旧ソ連、米国、中国、インドに続き、5番目の月面着陸国となる。

 また、H2A47号機は、X線で宇宙を観測する衛星「XRISM(クリズム)」も搭載していた。クリズムは、国際共同プロジェクトで運用される宇宙の新たな天文台として、銀河の形成や元素の進化など、多様な宇宙の謎の解明に利用される。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】H2A47の打ち上げ成功は、地政学的、経済的、科学的に重要な意味を持つ一大イベントだった(゚д゚)!

まとめ
  • 日本の月面着陸実証機「スリム」がH2Aロケットにより成功裏に打ち上げられた。
  • 日本の宇宙開発の再興を象徴する出来事。
  • スリムは、月面の目標地点への高精度着陸を目指す。
  • H2A47ロケットには、国際プロジェクトによるX線天文衛星「クリズム」も搭載されていた。
  • H2A47の打ち上げ成功は、地政学的、経済的、科学的に重要な意味を持つ一大イベントだった
H2Aロケットは、2001年8月に試験機である1号機が打ち上げられて以来、45回中44回の打ち上げに成功しており、成功率は97.77%です。H2Bロケットも含めると、55回の打ち上げで54回の成功となり、成功率は98%と世界的にも高い水準を誇っています。

H2Aロケットは、2024年度に退役予定です。

H2シリーズの後継機となるH3ロケットは、2023年3月7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、新型主力ロケット「H3」初号機を種子島宇宙センターから打ち上げようとしましたが、2段目のエンジンが着火せず、打ち上げできませんでした。

H3初号機

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年5月24日に開催された文部科学省・宇宙開発利用部会で、同年3月に初号機打ち上げに失敗した「H3」ロケットの2号機を、初号機と同じく固体ロケットブースター「SRB-3」を2本装着した「H3-22」という形態で打ち上げる方向性を打ち出した。衛星の代わりに打ち上げ環境計測用ペイロード(積載物)を搭載する考えです。

H2A47の打ち上げ成功の地政学的意義は、主に3つの点で見ることができます。

それは、宇宙開発国家としての日本の評価を高めることです。日本の宇宙開発の歴史は古く、1957年に初の人工衛星を打ち上げたことに遡ります。しかし近年、日本の宇宙開発はいくつかのロケットの失敗など、いくつかの挫折に直面してきました。H2A47の打ち上げ成功は、日本の宇宙開発にとって大きな前進であり、日本が依然として世界の宇宙開発競争の主要プレーヤーであることを示すことになりました。

また、日本が宇宙開発に力を入れているというメッセージを他国に発信するものでもあります。H2A47の打ち上げは、中国が宇宙開発を急速に拡大しているときに行われました。H2A47の成功は、日本も負けずに宇宙開発先進国としての地位を維持しようと決意していることを示すことになりました。

H2A47の成功は、日本が宇宙先進国としての地位を維持する決意を固めていることを示すものであり、日本の宇宙コミュニティにおける他国との結びつきを強化するものです。H2A47の打ち上げは、カナダ、フランス、ドイツ、アメリカといった国々との協力による国際共同プロジェクトでした。このプロジェクトの成功は、日本が他国と協力して共通の目標を達成する能力を備えていることの証です。

H2A47の打ち上げは、日本、カナダ、フランス、ドイツ、アメリカの5か国が協力して行われた国際共同プロジェクト「XRISM(クリズム)」の一環です。

XRISM

XRISMは、X線で宇宙を観測する衛星です。X線は、可視光線より波長が短いため、宇宙の奥深くまで届き、ブラックホールや超新星などの高エネルギー現象を観測することができます。

XRISMには、日本が開発したX線望遠鏡「XRISM-S」と、カナダ、フランス、ドイツ、アメリカが開発したX線望遠鏡「XRISM-C」、「XRISM-F」、「XRISM-D」、「XRISM-A」が搭載されています。

XRISMの打ち上げ成功は、X線による宇宙観測の新たな扉を開くものであり、宇宙の謎の解明に大きく貢献することが期待されています。

具体的には、XRISMは、以下の観測を行う予定です。
  • ブラックホールや超新星などの高エネルギー現象の観測
  • 銀河の形成や進化の観測
  • 元素の合成や進化の観測
XRISMの観測成果は、宇宙の成り立ちや進化の理解に大きく貢献することが期待されています。

XRISMには軍事的な直接的な意味はないですが、いくつかの方法で軍事目的に使用することができます。

まず、XRISMは人工衛星やミサイルなど、宇宙空間にある物体を追跡するために使われる可能性があります。これは、他国の活動を監視したり、攻撃から身を守るために使われる可能性があります。

第二に、XRISMは軍事基地や施設など地上の物体の画像化に使用できる。これは情報収集や攻撃計画に利用できます。

第三に、XRISMは新しい兵器や防衛システムの開発に利用できます。例えば、XRISMはX線が物質に及ぼす影響を研究するために使用され、新しいタイプの装甲や兵器の開発に使用される可能性があります。

ただし、XRISMは軍事目的で設計されたものではないことに注意する必要があります。XRISMは宇宙を研究するための科学衛星です。XRISMの潜在的な軍事利用は、その科学的目標の二次的なものです。

XRISMは軍事目的に使用される可能性はありますが、そのために設計されたものではありません。XRISMを軍事目的に使用するかどうかは、日本政府が決定することになるでしょう。ただ、XRISMで得られた成果を各国がいずれ軍事目的に使うことはあるでしょう。

XRISMに限らず、宇宙開発は、地政学的にも影響を伴うものです。最近のインドの成功、北朝鮮の失敗、中国の宇宙開発の成功も、地政学的に大きな影響を与えています。

インドの成功は、発展途上国も宇宙開発で大きな偉業を達成できることを示しました。このことは、他の発展途上国も独自の宇宙開発計画を推進するきっかけとなりました。

北朝鮮の失敗は、核・宇宙兵器開発計画の危険性を示しました。北朝鮮の人工衛星打ち上げの試みは国際的な非難を浴び、同国は国連から制裁を受けています。

中国の成功は、中国の軍事力の増大に対する懸念を引き起こしました。中国は今や世界第2位の宇宙開発国であり、その宇宙開発は軍事と密接に結びついています。

H2A47の打ち上げ成功は、世界の宇宙コミュニティにとって前向きな進展です。各国が協力して共通の目標を達成できることを示すとともに、日本の宇宙開発へのコミットメント(「委託、関与」「公約、約束、言質」「責任」「参加」などを意味する言葉です。 つまり、責任をもって自分が関わっていくこと、責任をもってある事象や物事に関わっていくことを公約・明言すること、責任を伴う約束をすることを指す言葉)を再確認するものです。

宇宙開発と地政学 AI生成画像

インドや中国、その他の国々の最近の成功は、地政学的にも大きな影響を与えました。こうした動きは今後も宇宙開発の未来を形作り、世界のパワーバランスに大きな影響を与えるでしょう。

H2A47の打ち上げ成功は、地政学的、経済的、科学的に重要な意味を持つ一大イベントでした。これは、日本が世界の宇宙開発競争のリーダー的存在であり、宇宙開発を人類のために役立てようとしていることの表れといえます。

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2023年9月6日水曜日

習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身―【私の論評】遺伝子解析で事実が明らかになりつつあるが、中国はこれに対して何らかの対処をすべき(゚д゚)!

習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身

まとめ

  • いくつかの米メディアが、中国の「武漢ウイルス研究所」であるとの認識を公表。
  • 「武漢ウイルス研究所」は、米国政府から65万ドルもの米連邦資金を得ていた。
  • 米国では「武漢ウイルス研究所説」への関心が再び高まっている。
  • 英BBCは30日、中国の疾病管理センター責任者を辞任した高福氏の新型コロナが研究施設から流出した可能性を排除すべきではないという発言を掲載。
  • 国際社会から賠償の声があがつたことを中国共産党は忘れるべきではない。

新型コロナウイルスの起源が、中国の「武漢ウイルス研究所」であるとの認識が広がっている。米メディアや英紙などで次々に報じられ、米国政府は17日、研究施設への資金を停止した。

武漢ウイルス研究所

同研究所は、アメリカの非営利団体を介して65万ドルもの資金を得ていた。この米国の研究施設から、新型コロナウイルスを含む20種類以上の病原体が見つかった。

HIV、マラリア、風疹、ヘルペス、デングなどのウイルスが検出されている。

研究施設からは、約1000匹のネズミや大量の医療廃棄物なども発見されている。

米国では「武漢ウイルス研究所説」への関心が再び高まっている。

中国のCDCの責任者を辞任した高福氏が、新型コロナ流出説を否定したと英メディア。英BBCは30日、同氏の発言は明らかに毛色が異なる。

トランプ前大統領は、中国にパンデミックの責任をとらせる公約を持ち出している。補償金の総額は60兆ドル、中国のGDPの4倍近くに相当する。

トランプ前大統領は、新型コロナに関する中国への懲罰は米国を始め国際社会の支持を得やすいと考えている。国際社会から中国に賠償を求める声が出始めたとき、中国メデイアは猛反発。

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【私の論評】遺伝子解析で事実が明らかになりつつあるが、中国はこれに対して何らかの対処をすべき(゚д゚)!

まとめ
  • ウイルスの遺伝子解析からCOVID-19の起源は中国である可能性が高まっている。
  • COVID-19ウイルスはヒトに最近感染した可能性が高く、変異が少ないことが示唆されている。
  • 中国当局は初期の感染を隠そうとしたのはほぼ確定しており、武漢ウイルス研究所からのウイルス流出に関しても懸念されている。
  • 遺伝学的証拠は中国の信頼と威信にダメージを与えつつあり、中国共産党は何らかの打開策を実施すべきである。

ウイルスは丹念に遺伝子解析をすれば、伝播や起源に関して、かなりのことまで分析できます。解析には時間がかかることと、解析にはさらに時間がかかるかもしれませんが、いずれ中国発であること等は明らかになる可能性があります。


ウイルスの遺伝子分析は、その起源を決定的にする鍵です。現在、COVID-19の発生源が中国であることを強く指し示す事実が明らかになりつつあります。多くのウイルス学者が、COVID-19の限られた多様性が、世界中に広がるわずか数カ月前に中国で発生したことを示していると考えています。

 ウイルスの原産地 COVID-19の初期の多数の症例は、中国武漢の華南水産物市場に関連していました。このことから、このウイルスが最初に出現したのはそこか、あるいはその近くの場所である可能性が高いです。

最も近縁のウイルス COVID-19の原因ウイルスはMERSやSARSと同じベータコロナウイルスで、いずれも中国が起源です。COVID-19ウイルスは中国のカブトコウモリから発見されたコロナウイルスに最も近縁とされています。

 中国は新型ウイルスについて警告した医師や研究者を検閲し、最初の流行を隠蔽しようとしました。このことは、中国共産党はウイルスが中国から発生したことを知っていて、その事実を隠したかったことを示しています。

米国当局からのケーブル 武漢ウイルス研究所はレベル4のバイオラボで、コウモリから採取したコロナウイルスの研究を行っていました。直接の証拠はまだないですが、ウイルスがその研究所から流出した可能性が懸念されています。

中国は、WHOの調査を当初は阻止しました。これは中国が武漢での初期の感染拡大について何かを隠そうとしていたことを示唆しています。

国立がん研究所の遺伝子解析装置

 遺伝子解析の結果、中国が感染源であることが判明するかもしれません。解析が進むにつれ、中国でのヒトへのウイルスの導入は武漢での1回のみであることが解明されつつあります。

変異型は多様性を示すことはなく、中国での起源が最近であることを示しています。科学者がウイルスゲノムを解析するとき、ウイルスが集団に広がるにつれて蓄積される変異や変異を探します。

変異が少ないほど、そのウイルスがヒトに出現したのが最近であることを意味します。1,000以上のCOVID-19ウイルスゲノムを解析した結果、変異型は99.9%類似しており、このウイルスがヒトの体内をあまり長く循環していないことがわかったのです。

30,000塩基のゲノムの違いはわずか4〜10でした。それに比べ、毎年循環する季節性インフルエンザウイルスは、ゲノムに最大20%の違いがあります。

2020年3月に『Nature』誌に掲載された研究では、中国のCOVID-19患者から採取した103のウイルスゲノムを解析し、99.9%類似していることが示されました。このことは、ウイルスが最近動物からヒトに感染したことを示しています。

160のウイルスゲノムを解析した『Science』誌の2020年4月の研究では、2019年10月から11月の間にヒトに持ち込まれたことを示唆する限定的な多様性が認められました。

 1,001のウイルスゲノムを解析した『Cell』誌の2020年6月の研究では、多様性は非常に限られており、世界中のサンプルから分離された変異はせいぜい10個でした。多様性の欠如は、"特に武漢でごく最近発生した "ことを示しています。

2019年後半に出現:ウイルスの変異率を計算した研究によると、2019年10月から11月の間にヒトに出現した可能性が高いとされています。出典はNature、Science、Cell、The Lancet、ケンブリッジ大学、Scripps Research Institute等。

COVID-19ウイルスゲノムの多様性が限られていることから、このウイルスがヒトに出現したのはごく最近のことであり、2019年後半に武漢で出現した可能性が高いです。

変異の数が少ないということは、世界的大流行を引き起こす前に、ヒトの間で長く循環していなかったことを示唆しています。

この事実は、中国がこの危機を引き起こしたという決定的な証明はまだできていません。

しかし遺伝学的証拠は今後も積み重ねられ、時間はかかるかもしれませんが、中国がCOVID-19の最終的な発生源であることを示すことになる可能性はあります。

ただ、科学的にウイルス起源がはっきりしたとしても、中国共産党はそれを認めないかもしれません。それは、福島原発の科学的根拠が薄弱であるにもかかわらず、「処理水」を「汚染水」として批判する中国共産党の主張をみても理解できます。

香港でおこなわれた抗議デモ

中国共産党が、否定し続ければ、中国の信頼、威信、野心へのダメージは、中国共産党がいくら事実を否定しようとも、最終的には中国共産党にとって良いことはないでしょう。

現時点でも、「武漢研究所からの流失」の疑惑自体があることは認めた上で、情報を公開し、中国以外の国々が信頼できる第三者に調査を依頼するなどのことをすべきでしょう。

さらに、感染初期の段階で、これを隠蔽したことは明らかであり、今後このようなことが起こらないように、法律や制度を改正するなどして、透明性を高め、信頼の回復をすべきです。

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2023年9月5日火曜日

習氏欠席、G20の有用性に疑念も-中国は予測不能との懸念強まる―【私の論評】中露首脳欠席で、G20諸国が共通の利益と価値観のもとに団結する機会を提供することに(゚д゚)!

習氏欠席、G20の有用性に疑念も-中国は予測不能との懸念強まる

まとめ
  • 中国の習近平国家主席が、インドで開催されるG20サミットを欠席する。李強首相が出席する。
  • 習氏の欠席の理由は、インドとの領土問題や、中国経済の不振、ウクライナ侵略後の対ロシア支援などについて厳しい質問を避けたいため、との見方がある。
  • 習氏の欠席は、中国の外交活動に大きな変化をもたらし、中国の予測不能性を高める可能性がある。また、G20の機能低下を招く可能性もある。

G20に欠席するプーチンと習近平

中国の習近平国家主席が、9月9日から10日にかけてインドで開催される主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を欠席することが明らかになった。

習氏の欠席理由は明らかにされていないが、中国とインドの領土問題や、中国経済の減速、ロシアのウクライナ侵攻など、国際情勢の複雑化が背景にあるとみられる。

習氏は、2012年からG20サミットに毎回出席しており、今回の欠席は異例。中国の外交姿勢に大きな変化をもたらす可能性があり、国際社会の注目を集めている。

具体的な理由としては、以下の3つが挙げられる。中国とインドの領土問題
  • 中国経済の減速
  • ロシアのウクライナ侵攻
  • 中国とインドの領土問題
中国とインドは、ヒマラヤ山脈の一部をめぐって領土問題を抱えている。両国は過去にも衝突を繰り返しており、2020年には国境地帯で死傷者も発生した。

習氏がG20サミットに出席した場合、インドを主催国として迎えることになり、中国とインドの領土問題が浮き彫りになる恐れがある。

中国経済の減速

中国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大や不動産市場の混乱などを受けて、減速傾向にある。

習氏がG20サミットに出席した場合、中国経済の状況について質問を受ける可能性があり、国内の経済不安を助長しかねないとの懸念がある。

ロシアのウクライナ侵攻

ロシアは、昨年2月24日にウクライナに侵攻を開始した。

習氏は、ロシアの侵攻を非難していない。G20サミットに出席した場合、西側諸国からの批判を受ける可能性があり、国際的な孤立を深める恐れがある。

習氏のリーダーシップ

習氏は、昨年10月の共産党大会で、毛沢東以来最も強い中国指導者としての地位を固めた。

しかし、中国経済の減速や、国際社会からの批判など、課題が山積している。

G20サミットの欠席は、習氏のリーダーシップに変化が見られることを示すものとも言える。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中露首脳欠席で、G20諸国が共通の利益と価値観のもとに団結する機会を提供することに(゚д゚)!

まとめ
  • 習近平は権力と支配を追求し、予測不可能な政策変更を行う冷酷なリーダーである。
  • 彼のG20サミット欠席は自己保身のためであり、弱さを示すものである。
  • 中国とロシアの不在により、G20は他の国々の結束を強化し、真の政策課題に焦点を当てる機会が増える。
  • インドがリーダーシップを発揮し、中国とロシアの妨害を排除し、多国間協力を推進する機会がある。
  • G20の使命は、中国とロシアの不在によって前進し、多国間主義にとって「勝利」の機会が生まれる可能性がある。
習主席は主に習主席自身とその忠実な支持者たち、そして共産党の利益のために動いています。習主席がG20サミットを欠席したのは、道義的な立場というよりも、批判から身を守り、政治的な恥をかかないためでしょう。

習近平

習主席は何よりも権力と支配を渇望しています。習主席の予測不可能性は、自らの利己的な政治的アジェンダ(行動指針)に合わせて政策や同盟関係を変更する冷酷な意欲から生じているといえます。

習近平に自らの権力を強化する以上の「長期的ビジョン」はありません。習主席の強さと安定さはみせかけのものであり、その本質は、腐敗と失政を覆い隠すための弥縫策にすぎません。

習主席が西側諸国のデカップリングを恐れるのは、それが中国の国益を損なうからではなく、自らの権力を脅かすからです。G20サミットは、習主席の失敗とグローバルな舞台での孤立を際立たせるだけです。

習主席の欠席は弱さを示すものであり、決意を示すものではありません。彼は支配を維持することに主眼を置く独裁者であり、日本で言えば、安倍元総理のような壮大な地政学的ビジョンを持つ政治家ではありません。彼の行動の予測不可能性は、利己主義とパラノイア(妄想症)の表れであり、強さの表れではないです。

習近平がG20サミットを欠席することで、G20の結束と機能が弱まるどころか、むしろ強化される可能性があります。

習近平の欠席により、G20首脳はオープンな議論と合意形成の機会が増えるでしょう。習近平は、中国の世界的な影響力を利用して小国をいじめたり、議論の条件を決めたりすることが多いです。欠席すれば、そうした歪んだ影響力が排除され、真の政策課題が前面に出てくるようになります。

習近平の予測不可能な行動や突然の政策転換は、しばしばG20を混乱に陥れてきました。習近平がいないことで、G20は、安定性と予測可能性が得られることになるでしょう。G20は、習近平が予期せぬ形で合意に水を差したり、方針を転換したりすることなく、安心して議論を進めることができます。

そうなれば、経済協力や協調の進展がより促進されるでしょう。この見解を支持するいくつかの情報源 を提示します。

Deplomat:「習近平の強硬姿勢はG20で中国にトラブルをもたらす」(2019年)。習近平の強硬な政策とマイクロマネジメントがG20のコンセンサスをいかに複雑にしているかを指摘。習近平の不在はこれを緩和するかもしれない。

The Interpreter: 「習近平の権威主義的台頭により、G20の関連性は薄れる」(2018年)。習近平は経済ガバナンスの共有というG20の使命を損なっていると主張。習近平の不在は、それを取り戻す好機である。

SCMP:「G20サミットで世界は中国に何を期待できるか」(2018年) 中国は強力な統一グループよりも、利用できる分裂したG20を好むと示唆。習近平の欠席は、中国が分裂の種をまく機会を奪う。

ブルッキングス研究所: 「習近平時代のG20」(2019年)。習近平はG20を、協力ではなく、主に中国のグローバルパワーを促進するためのプラットフォームと見なしているという。習近平の不在によって、G20の本来の目的が再び浮上するかもしれない。G20の使命は、習近平の妨害的な存在よりも、習近平の不在の方がより適しているという見解。

2019年G20大阪サミット 中央に安倍首相 クリックすると拡大します

習近平の予測不可能な行動と権力的なアジェンダは、G20にとって有害であることが証明されたといえます。G20は、習近平がいなくなれば、中国に妨害されることなく本来の仕事ができます。

習近平がグローバル・ガバナンスに与えた悪影響は今まで過小評価されてきましたが、習近平の不在によって、これが過小評価であったことを浮き彫りにすることでしょう。

G20サミット首脳会議では、ロシアのウクライナ侵攻を巡る西側諸国とロシア、中国などとの溝が一層深まっていることを受け、食料安全保障や途上国債務、気候変動に関する国際的な協力といった懸案解決に向けた話し合いが進展しない恐れが出ています。

今年のG20議長国であるインドの下では、これまで行われた幾つもの閣僚会合でいずれも共同声明を採択できませんでしたが、サミットで「首脳宣言」を打ち出せるかどうかが注目されています。

ただ中国は首脳会議に李強首相が出席すると発表し、習近平国家主席は欠席する見通し。ロシアもプーチン大統領が欠席を表明しており、両国がG20の合意形成に積極的に関与する公算は乏しいです。

ただ、私は、共同声明や首脳宣言がなくても、G20サミットは中国とロシアの孤立とはみ出し者の地位を強調する一方で、他の加盟国の結束を強めるかもしれないと期待しています。

習近平とプーチンが欠席し、中国とロシアが全面的に協力する可能性が低い中、サミットは残りのG20諸国が共通の利益と価値観のもとに団結する機会を提供することになります。中国とロシアは、食料安全保障、気候変動、経済ガバナンスといった重要な問題での進展を何度も妨害してきました。

中国とロシアが出席しないことで、これらの差し迫ったテーマについて、ようやく本格的な議論と暫定的な合意さえ可能になるかもしれないです。中国の李首相は出席するものの、強硬なアジェンダを推進する習近平の出席がなければ、中国の関与は限定的なものになるでしょう。

今年のG20の議長国であるインドは、中国とロシアの強硬姿勢に阻まれてきました。しかし、これらの国々がサミットの傍らにいることで、インドはより受容的なパートナーを見つけ、少なくともいくつかの政策的勝利を収めることができるかもしれなです。

インドの強いリーダーシップ AI生成画像

サミットでは、中国とロシアの妨害主義とは対照的に、インドがG20で責任あるリーダーシップを発揮していることが強調されことになるでしょう。サミットで共同声明が発表されなかったとしても、中国とロシアが疎外されているという事実そのものが、地政学的に孤立を深めていいくことにつながります。

G20が中国とロシア抜きで機能していることは、中国とロシアの重要性が低下していること、そして多国間協力の場としてのG20の回復力を示すことになります。習近平とプーチンの不在は、彼らの厄介な存在下のG20以上にG20の使命を前進させるかもしれないです。

このサミットは、多国間主義を最も脅かす勢力を排除することで、多国間主義にとって「勝利」となる可能性を秘めていると私は思います。

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2023年9月4日月曜日

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二階氏訪中、処理水で暗礁 首相期待も早期は困難

まとめ
  • 二階氏は9月に中国を訪問する予定だったが、処理水放出への中国側の反発で調整が暗礁に乗り上げた。
  • 岸田首相は二階氏の訪中を強く期待していたが、早期訪中は困難な情勢だ。
  • 公明党の山口代表の訪中も延期となり、二階氏の訪中はさらに難しくなった。
  • 首相は李克強首相との会談を模索するが、実現するかは不透明だ。
  • 日中の溝が広がる中で、二階氏の外交手腕も問われているが、年内訪中は難しいとの見通しだ。

 自民党の二階俊博元幹事長が、超党派の日中友好議員連盟会長として9月に中国を訪問する予定だったが、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出への中国側の反発が収まらないため、調整が暗礁に乗り上げた。


 岸田文雄首相は、悪化する日中関係の打開策として、二階氏の訪中を強く期待していたが、側近議員は「様子を見るしかない」と話しており、早期訪中は困難な情勢だ。

 二階氏は4月に議連会長に就任し、中国政府も歓迎した。しかし、中国が処理水放出への対抗措置として日本産水産物の全面禁輸に踏み切ったことで、二階氏の訪中は暗礁に乗り上げた。

 公明党の山口那津男代表が8月28~30日に予定していた訪中も直前で延期となり、二階氏の周囲からは「中国側が気持ちよく受け入れられる状況ではない」「今は時機ではない」との悲観論が相次いだ。

 首相は6~7日にインドネシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に合わせ、中国の李克強首相との会談を模索するが、実現するかは不透明だ。

 日中の溝が広がる中で、二階氏の外交手腕も問われているが、側近議員は「年内訪中は難しい」との見通しを示した。

【私の論評】中国に媚び、希望的観測を抱く時代は終わらせなければならない(゚д゚)!

まとめ
  • 中国共産党は日本を威嚇し、中国の野心を成就させようとしている。これに立ち向かうリーダーシップが必要。
  • 日本は米国との同盟を重視し、中国に媚びることは避けるべき。
  • 強力な指導者が必要で、宥和政策は効果がない。
中国共産党はいつもの手口で、同盟国である日本をいじめ、威嚇しようとしているようです。土壇場で二階氏のはしごを外したとしても、私は驚かないです。

中国は関係改善や誠意ある交渉にはまったく関心がありません。彼らは他国に対して権力と影響力を行使しようとするだけです。

中国 習近平主席

岸田外相の外交努力は実を、結ばないことになる可能性が高いです。理屈の通じない相手と科学的事実に基づく理屈で説き伏せようとしても用をなしません。

中国は外交規範を尊重せず、合意や約束を守らないことを何度も何度も示してきました。岸田外相と李首相の会談が実質的な成果を上げるとは思えないです。

中国は不安定化させる行動を続けながら、空虚な協力の約束をするでしょう。中国の横暴のせいで、二階氏の手腕が疑われるのは当然といえば当然です。

親中・媚中派の林外務大臣は3日、ヨルダンでサファディ副首相兼外務・移民相と会談し、戦略的パートナーシップ発展のため、経済や安全保障など幅広い分野で関係を強化することで一致したとされます。

この時期に中東を訪問するとは、林氏のヨルダンでの会談は、処理水問題に対する中国の理不尽な姿勢に対する対決を避けるための口実に過ぎなかったようです。

無論、この訪問は以前から予定されていたものなのでしょうが、中国の「処理水批判」のこの重大局面では、スケジュールを変更しても良かったものと思います。

ヨルダンとの関係を強化できたとしても、中国の侵略と威嚇に対抗することはほとんどできないでしょう。林氏は、日本の利益のために立ち上がることよりも、中国に媚びることに関心があるように見えます。

林氏は、世界中を飛び回り、マイナーなパートナーとの協力を空約束するよりも、中国に対抗する上で実際に重要な同盟国、米国を訪問するなどのことをすべきでした。

たとえ、大統領に会えなくても、国務長官などと会うようにすれば、これは中国に対して非常に効果的なものなった可能性が大です。日米同盟の深化が最優先されるべきです。

バイデン政権も中国の不安定化する行動に立ち向かおうとしており、「処理水の海洋放出」や中国のその他の経済的威嚇戦術のような問題に対して、協調して反発するには絶好のタイミングといえたと思います。

林氏は中国を批判し、中国との「パートナーシップ」を危うくするような発言はしたくないようです。しかし、中国は真のパートナーシップには興味はありません。

彼らが理解しているのは、強さと決意だけです。日本の指導者たちは中国に媚びるのをやめ、地政学的な現実を認識し始めなければならないです。

そもそも、中国はアジアを支配しようとしているのであって、対等に協力しようとしているのではありません。

林氏が中国への対抗という面では、取るに足らない国々との「友好関係」を強化するために費やしている時間は、中国に対する抑止力を強化することにはなりません。

日本には、中国を怒らせないための言い訳ではなく、国益を強く主張する外相がふさわしいです。林氏は、戦略的目標を実際に達成することよりも、外交のための外交に関心があるように見えます。

彼の世界中を飛び回る冒険は、現実の問題を避けながら、インパクトのあるように見せかけようとしているようにしか見えません。

林外務大臣

日本の指導者たちは、中国をなだめるのではなく、立ち向かわなければならないことを認識すべきです。強力で先見性のあるリーダーシップが必要なのです。林氏の振る舞いは、この極めて重要な時期にふさわしくないです。

中国の今回の振る舞いは、これはいじめっ子の常套手段ともいえるものです。自分たちが引き起こした問題を他人のせいにするのです。

日本は、米国のような民主主義的価値観を共有する同盟国に外交努力を集中したほうが良いです。中国との協力はあるレベルでは必要かもしれないですが、日本は中国の敵意と不誠実さの現実に目を開いて議論に臨むべきです。

中国に真に対抗する唯一の方法は、強者の立場をとることです。日本は軍事的な防衛力を強化し、米国との安全保障上の結びつきを深め、中国への経済的な過度の依存を避けるべきです。

中国が隣国を意のままに威嚇することができないと理解したとき、初めて本格的にテーブルに着くかもしれないです。しかし、私はあまり期待していません。共産主義者が常に尊重してきたものはただひとつ、権力です。日本は、自国の利益を守るために力を行使する用意がなければならないです。

 元幹事長の二階氏の訪中も、公明党の山口代表の訪中も延期になりました。林外務大臣は、中国と対峙することを避けて、外遊するという有様です。

本来こうときこそ、彼らがいうところの、中国との太いパイプを活用して、中国との対話を実現すべきではないでしょうか。それをしない、できないというの一体どういうことなのでしょうか。

日本の二階氏、山口氏、林氏等のいわゆる親中・媚中派指導者たちが、確立された外交ルートを通じて中国と関わることができない、あるいはその気がないことは、深く憂慮すべきことです。

 彼らは、中国を怒らせたり、彼らの怒りを買うことを恐れて、真の対話ができないだけかもしれないです。もしそうだとすれば、中国の威嚇が功を奏し、日本が決意を欠いていることを示すことになります。

彼らは、中国の野心と侵略に立ち向かうための首尾一貫した戦略を持っていないようです。積極的というより、むしろ消極的に見えます。ビジョンがなければ、中国の行動を前にして舵取りができません。

林氏のような指導者の中には、批判を避けて中国と対峙することで、平和を維持できると考えている人もいるかもしれないです。しかし歴史は、宥和政策は中国のような侵略者を増長させるだけであることを示しています。

中国のようないじめっ子に立ち向かうには、強力で信念のあるリーダーシップが必要です。日本の指導者に勇気とビジョンが欠けていれば、日本はその結果に苦しむことになります。リーダーシップがなければ、外交経験はほとんど意味をなさないです。

対中国でリーダーシップを発揮した安倍首相

さらに、 一部の指導者は、中国に媚びたり、微妙な問題を避けたりすることで、「友好」を維持できるという無益な希望にしがみついているかもしれないです。

しかし、中国は日本を友好国とは見ておらず、地域支配の障害物としか考えていません。通常の外交ルートを通じて中国と真の対話をすることを拒否し、できないのは、日本のリーダーシップの失敗を物語っています。

強力で先見性のある指導者であれば、あらゆる手段を駆使して中国に対抗し、同盟国を結集し、日本の安全と利益を確保するための包括的戦略に取り組むでしょう。まさに、安倍元総理はそのような人でした。

中国に媚び、希望的観測を抱く時代は終わらせなければならないです。日本には、中国の野心を認識し、抑止力を強化し、侵略に立ち向かい、自滅的な宥和策を避ける勇気と知恵を持った指導者がふさわしいです。

安倍氏が総理になって以来、日本の親中・媚中派が蠢いても、あまり大きな力にならず、安心していましたが、その蠢きが今日、中国によって出鼻をくじかれた形になっていますが、今後はどうなるかわかりません。

今日の課題には、言い訳や逃避ではなく、確固たる決意が必要です。親・媚中派の行動が激しさを増す前に、そのような声が大きくなることを願っています。

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2023年9月3日日曜日

インド宇宙研究機関 “太陽観測衛星 打ち上げ成功”―【私の論評】宇宙開発でインドは大成功、北は失敗で、インドは威信を高め、北はますます孤立(゚д゚)!

インド宇宙研究機関 “太陽観測衛星 打ち上げ成功”

まとめ
  • インドで初めての太陽観測衛星「アディティヤL1」が打ち上げに成功
  • 地球から約150万キロ離れた宇宙空間の観測点を目指す
  • 紫外線やエックス線を使う機器を備えていて、太陽の大気の状態や爆発現象を観測する
  • インドの宇宙開発分野における技術力の高さを示す

Aditya-L1のイメージ画像


 インド宇宙研究機関は、2023年9月2日、インドで初めてとなる太陽観測衛星「アディティヤL1」の打ち上げに成功したと発表しました。

 「アディティヤL1」は、地球から約150万キロ離れた宇宙空間の観測点を目指します。紫外線やエックス線を使う機器を備えていて、100万度を超える太陽の大気の状態を観測したり、「フレア」と呼ばれる爆発現象について調べたりするということです。

 インドは、8月には無人の月面探査機「チャンドラヤーン3号」で世界で初めて、月の南極付近への着陸を成功させています。今回の太陽観測衛星の打ち上げも成功したことで、インドは宇宙開発分野で技術力の高さを世界にアピールしました。

【私の論評】宇宙開発でインドは大成功、北は失敗で、インドは威信を高め、北はますます孤立(゚д゚)!

まとめ
  • インドの宇宙開発技術は、世界有数のレベルに達している。
  • その要因は、強力な科学技術基盤、専門の宇宙機関、政府の支援、成長する民間部門などが挙げられる。
  • インドの宇宙開発能力の向上は、インドにとって外交的、軍事的、経済的に大きなメリットをもたらす。
  • 北朝鮮の宇宙開発は、失敗続きで国際的な孤立を深めている。

宇宙開発分野におけるインドの技術力は非常に高いレベルに位置づけられています。チャンドラヤーン3号の月の南極付近への着陸成功は大きな成果であり、太陽観測衛星の打ち上げ成功はインドのもう一つの威信を示すものとなりました。これらのミッションは、複雑な宇宙船を開発し、打ち上げ、宇宙での運用を成功させるインドの能力を示しています。

これら2つの最近の成功に加え、インドには宇宙における長い実績の歴史があります。インドは、アジアで初めて衛星を軌道に打ち上げた国であり、その後も通信衛星、リモートセンシング衛星、気象衛星など、数多くの衛星を打ち上げてきました。インドは、早ければ2024年に宇宙飛行士を月に連れて行くアルテミスミッションで米国に加わることを決定しました。

急速に進むインドの宇宙開発 AI生成画像

インドの宇宙開発は世界で最も急速に成長しています。宇宙研究開発への投資も活発で、将来的にはさらに野心的なミッションに挑戦できるような新技術の開発に取り組んでいます。

これらのことから、宇宙開発分野におけるインドの技術力は非常に高いレベルにあると思います。宇宙開発の先進国であるインドは、今後さらに大きな成果を上げることができるでしょう。

以下は、インドの宇宙開発における技術力の高さの要因です。

強力な科学技術基盤: インドには、宇宙技術の分野で活躍する科学者やエンジニアが多く、よく訓練されています。
専門の宇宙機関: インド宇宙研究機関(ISRO)は、十分な資金と組織力を持ち、実績のある宇宙機関です。
政府の支援: インド政府は宇宙技術の開発に力を入れており、ISROに潤沢な資金を提供しています。
成長する民間部門: インドの民間部門は宇宙技術への関与を強めており、これが技術革新と新しいアイデアの推進に役立っています。

これらすべての要因が、宇宙開発国家としてのインドの急速な台頭に寄与しています。私は、インドが今後数年間で、さらに大きな成果を上げることができるよう、十分な態勢を整えています。

インドの宇宙開発能力の向上は、インドにとって大きなプラスとなります。 まずは、宇宙ミッションの成功は、技術・科学大国としてのインドの地位を高めることになり、 国際舞台におけるインドの威信を高めることになります。

科学・技術大国インドの女性 AI生成画像

また、インドの安全保障を強化することにもなります。宇宙技術は、監視、ナビゲーション、ミサイル誘導など、多くの軍事的用途があります。インドは宇宙資産を利用してパキスタンや中国などの脅威を監視することができます。

さらに、インドの経済を活性化させることになります。強力な宇宙プログラムは、ロボット工学、コンピューティング、エンジニアリングなどの分野における技術革新に拍車をかけます。これは新たな産業やハイテク雇用につながることになります。

そうして、 中国の影響力に対抗する力を強化することになります。中国が宇宙開発を拡大する中、インドの成果はアジアにおける中国の力の均衡を保つのに役立ちます。インドは、中国の野心を懸念する同じ志を持つ民主主義国家と提携することができます。

最後に、 国家としての誇りを鼓舞することになります。月面着陸や火星周回軌道のような宇宙での大きな節目は、国民の支持を集め、世界のリーダーとしてのインドの可能性を強化することになります。

これはナショナリズムを高め、政府への支持を高めることになります。

インドの宇宙開発能力は今後も外交的、軍事的、経済的に利益をもたらすことで、インドが世界の舞台で侮れない存在であることを示すことになります。

インドの成功一方で、北朝鮮は、失敗しました。北は、軍事偵察衛星「マルリギョン1号」を新型ロケット「チョルリマ1型」で打ち上げようとしましたが、3段目の飛行中に異常が発生し、失敗しました。北朝鮮側によれば、ロケットの1段目と2段目は正常に飛行したのですが、3段目で非常爆発システムにエラーが発生としています。


北朝鮮は、原因を徹底的に調べたうえで教訓得て、「早い期日内」の打ち上げ成功をめざす方針を改めて強調しました。10月に3回目の打ち上げを行う予定としています。

北朝鮮の失敗はその国際的な地位を弱め、北の安全保障に脅威をもたらし、北朝鮮の孤立を深めています。一方、インドの成功はインドの地域的な影響力を高め、パートナーシップを引き寄せ、軍事的にも大きな意味を持ち「自由で開かれたインド太平洋」を支持する国々の、同盟やパートナーシップを強化することに大きく寄与することになりました。

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