2023年12月8日金曜日

米軍トップ、中国による台湾侵略に懐疑的見解を示す―【私の論評】中国の台湾統一戦略:武力侵攻だけではない

米軍トップ、中国による台湾侵略に懐疑的見解を示す

岡崎研究所
  • 米統合参謀本部議長のブラウン大将は、東京で講演し、中国が台湾を武力侵略する意図に確信はないと述べた。
  • ブラウン大将は、中国が台湾に軍を送り込む沿岸上陸の難しさを指摘し、米国とその同盟国は、台湾への「軍事的、外交的、経済的」圧力を強めようとする習近平の他の手段に注意を払う必要があると述べた。
  • この発言は、バイデン政権成立の時期に、台湾をめぐる戦いの可能性について安全保障当局者が発した警告とは対照的である。
  • 米中首脳会談がサンフランシスコでのAPEC首脳会談の機会に行われることを受けて、米国は対中評価で多少の中国への配慮を効かせたトーンをセットしているとの見方がある。
  • 日本は、安全保障の力量を早急に手当てする必要がある。


 2023年11月11日、米統合参謀本部議長のブラウン大将は、東京で講演し、中国が台湾を武力侵略する意図に確信はないと述べた。ブラウン大将は、中国が台湾に軍を送り込む沿岸上陸の難しさを指摘し、米国とその同盟国は、台湾への「軍事的、外交的、経済的」圧力を強めようとする習近平の他の手段に注意を払う必要があると述べた。

 この発言は、バイデン政権成立の時期に、台湾をめぐる戦いの可能性について安全保障当局者が発した警告とは対照的である。

背景

 米中首脳会談がサンフランシスコでのAPEC首脳会談の機会に行われることを受けて、米国は対中評価で多少の中国への配慮を効かせたトーンをセットしているとの見方がある。

 他方、中国の前国防相やロケット部隊幹部の失踪や自殺との関連で、その中のいずれかから機微情報が米国側に遺漏したのではないかとの推測から、中国軍の台湾侵攻が軍事的にし辛くなっているのかもしれないという見方もある。

今後の展望

 米中首脳会談後の両軍間の対話の成否、とりわけ中国軍の動向に注目が集まる。日本は、安全保障の力量を早急に手当てする必要がある。

考察

 ブラウン大将の発言は、中国の台湾侵略の意図について言及したものの、能力については触れていない。脅威は意図と能力について測られると言うが、意図は一夜にして変わる可能性はあるが、能力はそうは行かない。中国が台湾を併合する能力は急激に高まっているのであり、これについて米当局者の見方に相違はないであろう。

 また、米国の軍のトップの安全保障に対する姿勢は、安全保障は常に最悪、想定外を想定して準備しなければならないという原則に沿っていない。たとえ「差し迫っていない」としても、万が一の緊急事態に対処できるようにしておく、強い姿勢を見せておくのが抑止力につながる。2021年のアフガン、22年のウクライナと、米国の発言と行動の弱さから教訓を学ぶべきであろう。

【私の論評】中国の台湾統一戦略:武力侵攻だけではない

まとめ
  • 中国は、台湾を武力侵攻する意図は確信できない。
  • 中国は、軍事的抑止力、経済的統合、政治的圧力、文化的統合の4つの手段を組み合わせた多面的な戦略で台湾統一を目指す。
  • 中国は、台湾の沿岸侵攻は困難と認識しており、他の手段を優先する可能性もある。
  • 米国やその同盟国は、中国の多面的な戦略を認識し、それに対処する準備をすべきである。
米統合参謀本部議長のブラウン将軍

上の記事にあるように、米統合参謀本部議長のブラウン将軍は、東京で講演し、中国が台湾を武力侵略する意図に確信はないと述べましたが、この発言は、単に中国が台湾に武力侵攻しないということを意味するものではなく、中国の台湾統一戦略の理解と一致するものといえます。

習近平の側近である中国国防大学教授劉明福は、台湾統一のために「多方面からの」アプローチを提唱しています。このアプローチは、軍事的抑止力と経済的統合、政治的圧力、そして文化的・歴史的物語の共有促進を組み合わせたものです。

ブラウン将軍が強調する「軍事、外交、経済」の圧力は、この多面的な戦略を反映しているものです。これは、中国が軍事力だけに頼るのではなく、目標を達成するために複数の戦術の組み合わせを利用する可能性があることを示唆しています。

また、ブラウン将軍が指摘した人民解放軍による台湾の沿岸侵攻の難しさは、この解釈をさらに裏付けています。中国が直接攻撃を仕掛ける上で大きな困難に直面するのであれば、他の選択肢を模索するのは理にかなっています。

ブラウン将軍は、米国やその同盟国が、人民解放軍の軍事侵攻だけを想定して、他の要素を軽視すれば、それこそ大きな危機を招きかねないことを示唆しているとみられます。


劉明福国防大学教授

劉明福の台湾統一戦略

劉明福は、強いナショナリストとリアリストの視点を堅持しています。彼は中国を、世界の舞台で正当な地位を取り戻そうとしている台頭する大国と見なしています。彼の世界観は、国家の若返り、中国の例外主義、西側の価値観や意図に対する懐疑を強調しています。彼は、中国の利益を脅かすいかなる脅威をも抑止し、打ち負かすことのできる強力な軍隊を信じています。

劉明福の人民解放軍に対するビジョンは、3つの重要な柱を中心に据えています。

  • 近代化:人工知能、極超音速ミサイル、宇宙ベースの能力など、先進的な兵器や技術の開発を加速させることを提唱
  • 改革:効率性と統合作戦の有効性を向上させるため、PLAの組織再編と合理化を強調
  • 軍民融合:軍事と民間のリソースの統合を推進し、中国の技術力と産業力を軍事的な優位性のために活用する。

劉明峰は台湾との統一を中国指導部が直面する最も重要な課題と考えています。彼は以下のような多方面からのアプローチを提唱しています。

  • 軍事的抑止力:圧倒的な軍事的優位を築き、台湾の独立宣言を阻止する
  • 経済統合:経済的な結びつきと相互依存関係を深め、より緊密な協力を促す
  • 政治的圧力:国際外交や世論を利用し、台湾の現状の代償を引き上げる
  • 統一の物語:文化的・歴史的アイデンティティの共有を促進し、海峡両岸の中国人の一体感を醸成する

劉明福の戦略は、中国の戦略的方向性を形成する上で極めて重要な役割を果たしています。彼の世界観と人民解放軍に関するビジョンは、アジア太平洋地域と世界全体の未来に大きな影響を与えるでしょう。最近彼の著書が日本でも翻訳出版されています(写真下)。


しかし、状況は複雑かつ流動的であり、さまざまな要因が中国の最終的な行動に影響を及ぼしていることに注意することが重要です。劉明福の戦略は貴重な示唆を与えてくれますが、それは決定的な青写真ではなく、唯一可能なアプローチと見なすべきではないでしょう。動向を先取りし、効果的な対応を確保するためには、継続的な監視と分析が不可欠となるでしょう。

さらに、日本や米国を含む国際社会は、この進展する状況を踏まえ、自らの戦略と対応を慎重に検討しなければならないです。協力、協調的な努力、そして中国の意図に対する微妙な理解が、今後の課題と機会を乗り切る上で不可欠となるでしょう。

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2023年12月7日木曜日

「悪質ホスト対策法」は必要か 立憲民主の〝人畜無害〟案では「公金チューチュー」招く恐れ 既存の制度で対応できるはず―【私の論評】公金チューチュースキームの正体とは?利権の温床となる問題の構造

高橋洋一「日本の解き方」


 立憲民主党は、悪質ホストクラブによる女性客の被害を防ぐため、相談体制の整備や啓発推進を政府に求める法案を衆院に提出した。

 この法案は、被害の実態調査や、被害に遭った女性の社会復帰支援、関係機関との連携強化の必要性を明記したもので、禁止規定や罰則を設けない理念法としている。

 悪質ホストクラブをめぐっては、警察庁も捜査を強化する方針を打ち出しているが、問題視されている高額の「売り掛け」を解決する方法はあるのだろうか。

 現状としては、女性客のホストクラブに対する売り掛けを巡り、さまざまなトラブルがあるようだ。こうしたトラブルについては、基本的に現行法で対応できる。

 消費者契約法のデート商法に引っかかるものもあるし、払えないような売り掛けは公序良俗違反になるなどだ。もし客が売り掛けに本当に困っているのであれば、自己破産という手もある。

 ホストクラブの原価率はあまり高くないので、売掛債権が回収できなくてもあまり大きな実害はないという事情も勘案し、客には自己破産を勧めるのがいいだろう。

 立憲民主党の案は、相談体制の整備や啓発推進など、一見すると人畜無害な法律に見えるが、そうした法律が成立すると、必ずそれを担当する役所組織が作られることになる。

 組織ができると官僚組織の常として予算を獲得し、結果としてNPOなどの外郭団体に事務委任する仕組みができることになる。いわゆる「公金チューチュー」のスキームの出来上がりとなる。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方、元記事をご覧になってください。

【私の論評】公金チューチュースキームの正体とは?利権の温床となる問題の構造

まとめ
  • 多額の売掛金で困っている客がいる場合、自己破産という既存の法律や制度を利用すれば、大きな社会問題になることなく解決できる。
  • にもかかわらず、一見人畜無害の法律をつくるのは、公金チューチュースキームを作ろうとする意図があると考えられる。
  • 公金チューチューとは、NPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等が補助金や助成金等の公金を巧妙に獲得している状態、またはそのような仕組みのこと。
  • このような状態が発生すると、不透明な金の流れが発生して利権の温床となる。
  • このような問題は、昔からあり、最近ではアクターが変わっただけで、基本は変わらない。
多額の売掛金で客が本当に困っているというのであれば、自己破産というのが当然の流れです。

ホストクラブの広告

自己破産は、借金を返済することができない場合に、裁判所に申し立てて借金を免除してもらう手続きです。自己破産には、デメリットがあるのは事実ですが、借金の性格からいって、これくらいのデメリットは甘受すべきでしょう。

このような既存の法律や制度を利用すれば、この問題は、大きな社会問題になることなく解決できます。

にもかかわらず、このような問題に関して、一見人畜無害の法律をつくるのは上の記事で髙橋洋一が指摘する通り「公金チューチュー」スキームを作ろうとの目論見があるものと考えられます。

この「公金チューチュー」スキームは、最近は暇空茜さんが指摘したことによるcolabo問題で話題となりました。しかし、これは日本では昔からあることです。ただ、最近ではスキームのアクターが変わっただけで、基本は変わりありません。

「公金チューチュー」とは、主にNPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等が補助金や助成金等の公金を巧妙に獲得していると思われる状態、またはそのような仕組みのことです。

このような状態が発生すると、不透明な金の流れが発生して利権の温床となります。しかし、このような問題は昔からありました。それは、鉄の三角形(鉄のトライアングル)と呼ばれてきました。
鉄の三角形

これは、政治家、官僚、財界が互いに利用し合い、助け合うという関係にあることを表現した言葉です。政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について影響力を行使し、財界から政治献金を集め、官僚への限定的指揮権を持ちます。

財界とは、企業経営者の集団ということですが、今日では大企業をおもな構成員とする日本経団連や、大企業の役員をおもな構成員とする経済同友会などの大企業の団体を中心に財界とよぶことが一般的です。 日本経団連は昨年、政策要求を打ち出す経団連と、労務対策をおこなう日経連が合体してできました。

ただ、ここでいう財界とは、無論日本経団連を含みますが、企業経営者の集団の意味です。その中には、様々企業経営者がいますが、有力企業が多いです。

ただ、農協や医師会など、企業以外の組織も、鉄のトライアングルを構築しています。

官僚は所轄業界をまとめ、その利益代表として動き、政治家・財界を許認可権限・公共事業・補助金振り分けで影響力を持ちます。財界等の業界団体や圧力団体が政治献金で族議員に代表されるような政治家を支援し、財界に影響力のある官僚を天下りで懐柔することで、政官財が一体の行動を取ることにより、国益・国民益より省益・企業益・私益が優先されることになります。

最近の新たな鉄のトライアングルにおいては、アクターがかなり変わってきており、政治家、官僚までは同じなのですが、財界の部分が、NPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等に変わってきています。要するに、従来の財界から比較すると、小規模であったり、非力であるといえます。

従来の鉄の三角形は、財界がスキームの主要アクターの一つであり、比較的大きな財界の利益を代表するという大義名分もありましたが、最近のスキームでは、より政治家、官僚の力が増したものに変わっているということがいえると思います。

また、最近のスキームは単体では小規模なので、あまりメリットがないためか、多数のスキーム実行主体がつくられるようになっています。それは、男女共同参画事業などをみればわかります。以下はある自治体のイベンのリストです。


これらの事業は、「男女共同参画社会基本法(平成十一年六月二十三日法律第七十八号)」に基づいて行われているものです。

このようなスキームを成り立たせるのが、補助金・助成金です。減税などは、減税対象者が直接メリットを受けることができます。補助金・助成金だと、対象者にメリットが及ぶ以前にNPOなどの中間組織に利益が及ぶことになります。

NPOは、財界のように政治家に対して献金したりパーティー券購入などは法律で禁じられていてできません。ただ、政治家には自らの政治信条などをNPOを通じて実現できるというメリットがありますし、有権者や支援者にいかにも仕事をしているように演出するという意味あいもあるでしょう。

特にNPOを運営している、あるいはこれから運営しようとする支援者に補助金であれ、なんであれ、お金が転がりこみ、それに政治家が尽力してくれたということになれば、大喜びするのは当然です。

官僚はNPOに天下りする例もありますし、NPOや財界にかかわらず、補助金・助成金の差配が拡大すればするほど、より大きな影響力を持つことができます。

この点が、直接巨額の利権となる従来のトライアングルとは若干異なりますが、それにしても基本は同じです。財界などが、NPO などに置き換わっただけです。

野党や自民党でも、一見人畜無害の法律を立案するのは、こうした背景があります。

このようなことから、政治家、官僚の中には、経済対策や支援事業で、減税よりは、補助金を好む人も多いようです。これが日本の政治を駄目にする一因になっています。

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2023年12月6日水曜日

KADOKAWA、差別扇動的との批判相次ぐ書籍を刊行中止 「トランスジェンダーの安全人権を脅かしかねない」との意見書も―【私の論評】女性の権利を擁護する勇気あるフェミニスト・ジャーナリストの戦い

KADOKAWA、差別扇動的との批判相次ぐ書籍を刊行中止 「トランスジェンダーの安全人権を脅かしかねない」との意見書も

まとめ
  • KADOKAWAが刊行予定だった書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』が、トランスフォビアへの批判を受け、刊行中止に。
  • 同書籍は、アメリカですでに問題視されていたもの。
  • KADOKAWAは「タイトルやキャッチコピーの内容により当事者を傷つけた」と謝罪。
  • 今後は、トランスジェンダーに関する知見を積み重ねていくとコメント。
刊行中止になった書籍

KADOKAWAは、トランスジェンダー差別を助長するとして批判を受けていた書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行中止を発表した。

同書籍は、アビゲイル・シュライアー氏による洋書「Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters」を日本語に翻訳したもの。SNS上などでは、同書籍はトランスフォビアであり、差別扇動的との批判が多数寄せられていた。

また、KADOKAWAに対して、出版社や書店に勤務する従業員30人以上による「トランスジェンダー差別助長につながる書籍刊行に関しての意見書」も提出されていた。

KADOKAWAは、こうした批判を受け、刊行中止を決定。学芸ノンフィクション編集部は、公式サイトで「タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません」と謝罪した。

今後については、「皆様よりいただいたご意見のひとつひとつを真摯に受け止め、編集部としてこのテーマについて知見を積み重ねてまいります」とコメントしている。

要約すると、KADOKAWAが刊行を予定していた書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』は、トランスジェンダー差別を助長するとして批判を受け、刊行中止となった。KADOKAWAは、批判を真摯に受け止め、今後はこうした問題についてより慎重に検討していくとしている。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】女性の権利を擁護する勇気ある真正フェミニスト・ジャーナリストの戦い

まとめ
  • KADOKAWAは、公平で公開された議論と事実に基づいた議論のために立ち上がるべきだった。
  • トランス運動は、自分たちの主張と矛盾する反対意見や科学的証拠を抑圧しようとしているようだ。これは科学的探究と表現の自由にとって危険だ。
  • 『トランスジェンダー・ブーム』は、結果として若い女の子を誘惑し、危険なホルモン治療や手術を強要している。本書は、この憂慮すべき新しい傾向について、勇気を持って親たちに警告を発している。
  • KADOKAWAはノイジー・マイノリティー(やかましい少数派)とポリティカル・コレクトネスに屈したようだ。彼らは公平で公開された議論と事実に基づいた議論のために立ち上がるべきだった。
  • この本は、日本では出版中止になったが、米国ではその勇気が賞賛されている。今日の日本の現実は、開かれた議論にとっては悲しむべき日といえる。


アビゲイル・シュライアーは、勇気あるフェミニスト・ジャーナリストであり、女性の権利を擁護するために活動しています。彼女は科学と法律のバックグラウンドを持ち、主流ジャーナリズムにはない知的厳密さを備えています。

彼女の執筆活動の焦点は、女性に害をなす「目覚めた(woke:ウォーク)」左翼イデオロギーに直面しながら、女性の権利を擁護することです。彼女は、綿密に調査された著書であり、上の記事にも示されている『Irreversible Damage』で最もよく知られています。


この本の中で彼女は、ソーシャルメディアや仲間集団の影響を受けて、10代の少女たちが突然トランスジェンダーであると認識する最近の傾向を調査しています。

彼女たちの多くは思春期になるまで性別違和の兆候を示さなかったのですが、その後すぐにトランス男性であることを認められ、医学的な移行への道を歩むことになります。

アビゲイルは、これは10代にみられる不安につけ込み、少女たちが真剣に後悔するかもしれない人生を変える決断を強いる危険な兆候であると主張しています。アビゲイルは、活動家たちがいかに医療と教育を掌握し、何よりも「性の肯定」を推進しているかを暴露しています。アビゲイルは、この無責任なアプローチの犠牲になった、心配する両親や元トランスの若者たちの声を代弁しています。

彼女は、女性の権利、親の権限、イデオロギー的洗脳や医療過誤から子どもを守るために闘う勇敢な真実の語り部であり、急進的なトランス活動主義と「目覚めた(woke:ウォーク)」集団思考がいかに社会を脅かしているかについての重要な警告を発信しています。

ちなみに「Woke」は、黒人英語(AAVE)に由来する英語の形容詞で、「人種的偏見と差別に対する警告」を意味します。

「Wake」の過去形である「Woke」は、「目覚めた/悟った」を意味します。また、「Stay Woke」という言葉は、「(社会問題や不正義に対して)意識を高く持つ」という意味です。

彼女は、政治的正しさ(ポリティカル・コレくすネス)に立ち向かう勇気を持ち、事実を報道するジャーナリストの模範であり、文化戦争における知的ヒロインであり、感情や憤怒ではなく事実と証拠を用いる力強く公正な擁護者です。

私は彼女の原則的な姿勢と厳しい真実を暴こうとする献身を心から尊敬しており、彼女の使命とメッセージを全面的に支持しています。アビゲイル・シュライアーの仕事は、フェミニストを装った人々に攻撃されるのではなく、フェミニズムを前進させるものとして称賛されるべきものです。彼女こそ正真正銘のフェミニストです。

この書籍に対する怒りは、自分たちの考えを推し進めようとする活動家によって作り出されたものであり、実際に引き起こされた被害によるものではありません。米国には言論の自由があるので、この本は問題なく出版されました。

フェミニストやトランス活動家が出版社を批判し、青少年に影響を与える問題についての妥当な議論を検閲するのは悲しいことです。『トランスジェンダー・ブーム』は、若い女の子を誘惑し、危険なホルモン治療や手術を強要して傷つけています。本書は、この憂慮すべき新しい傾向について、勇気を持って親たちに警告を発しています。

KADOKAWAはノイジー・マイノリティー(やかましい少数派)とポリティカル・コレクトネスに屈したようです。彼らは公平で公開された議論と事実に基づいた議論のために立ち上がるべきでした。トランス運動は、自分たちの主張と矛盾する反対意見や科学的証拠を抑圧しようとしているようです。

以下にKADOKAWAの謝罪文を掲載します。


この謝罪文によれば、この書籍の内容そのものには触れておらず、書籍に瑕疵や誤りがあるとまでは言及していません。それが、せめてもの救いがもしれません。

これは科学的探究と表現の自由にとって危険です。私はアビゲイル・シュライアーと彼女の重要な活動を全面的に支持します。私はこれを左翼の検閲であり、言論の自由への攻撃であると考えます。

本書で示された事実は、トランスジェンダー・イデオロギーの害悪を暴露するものです。しかし、ノイジー・マイノリティーがどんなに大声で叫ぼうとも、真実を封じることはできません。KADOKAWAは勇気ではなく弱さを示し、悲しいかな過激な少数派からの圧力に屈しました。この本は、日本では出版中止になりましたが、米国ではその勇気が賞賛されています。2023年12月5日の日本の現実は、開かれた議論にとっては悲しむべき日といえます。

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2023年12月5日火曜日

前原誠司氏離党の余波、自民・国民の連携加速か…飛び出す「公明党不要論」 前原新党〝いずれ維新と合流〟の声―【私の論評】自公連立を運命づけた「日本列島総不況」が思い起こさせる政権の安定に必要不可欠なもの

 前原誠司氏離党の余波、自民・国民の連携加速か…飛び出す「公明党不要論」 前原新党〝いずれ維新と合流〟の声

まとめ
  • 国民民主党の分裂は、自民党と国民民主党の連携を加速させる可能性が高い。
  • 一方、公明党は国民民主党の連立入りを警戒し、自民党の非主流派と連携して揺さぶってくる可能性がある。
  • 自民党内では、民間労組との関係強化を進めており、国民民主党との接近はそうした動きの上でのものと考えられる。
  • こうした動きを踏まえて、自民党の一部からは「公明党不要論」まで出ている。



 国民民主党の前原代表代行らが離党し、新党「教育無償化を実現する会」を結成した。この新党は、日本維新の会の看板政策である「教育無償化」を掲げており、今後は維新の会に合流する可能性が高い。

 前原氏らの離党は、国民民主党と与党の連携を加速させる可能性がある。前原氏らは与党との協調路線に強く批判的だったため、彼らの離党で国民民主党内の与党協調派が台頭し、自民党との連携が進むと考えられる。

 これに対し、公明党は国民民主党の連立入りに警戒感を強めている。公明党は、憲法改正や安全保障政策などで自民党と協力関係にあるため、国民民主党が連立入りすれば、自民党との関係が悪化する可能性がある。

 自民党内では、公明党不要論も浮上している。自民党は、民間労組との関係強化を進めており、国民民主党との連携により、公明党の存在意義が薄れつつあるとの見方もある。

 今後、岸田政権は国民民主党とどのような形で連携していくのか、注目される。連立協議にまで突き進めば、党内政局に大きな波紋を呼ぶことになるだろう。

 この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】自公連立を運命づけた「日本列島総不況」が思い起こさせる政権の安定に必要不可欠なもの

まとめ
  • 自公連立は、日本列島総不況(全国的な不況)による自民党政権の不安定化を回避するため成立したといえる。
  • 自民党は、国民民主党と連立することで、政権運営の安定化を図ろうとしている。
  • 国民民主党の玉木代表は、マクロ経済に関するまともな認識を持っているため、連立することで、経済政策が改善する可能性がある。
  • しかし、現状では、自民党の多数派によって、国民民主党の影響力は限定的である。
  • 自民党も野党も、政権安定には経済安定化が必要不可欠であることを認識すべきである。

こうした動きは、自民党側からみれば次の選挙で勝ち、圧倒的に多数の議席を占め、政権運営を安定させるということが狙いでしょう。方法については、異論はあるでしょうが、多くの自民党議員はこのこと自体には反対しないでしょう。

しかし、現状のままで政権の運営を安定させるために、このような動きをするのは全く無駄になる可能性が高いです。それは、なぜ自民党が公明党と連立政権を組まなければならなくなったのかを振り返れば理解できます。これは、以前このブログにも述べたことです。

自民・公明が連立政権を組む前の年である、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥りました。 こうした需要の低迷を背景に物価も弱含みとなり、物価の下落が企業経営の悪化や雇用の減少を招き、それがさらに景気を悪くする「デフレ・スパイラル」に陥る可能性さえ考えられ状態になり、実際その後日本はそうなりました。

「日本列島総不況」は1998年の流行語大賞を獲得した これを模したTシャツが販売された

日本経済が、このような状態になったのは、バブル期に確かに株価や地価はうなぎ登りでしたが、一般物価の上昇はさほどでもなかったのに、日銀官僚の誤謬によって、本来実施すべきでなかった金融引締に転じ、政府も緊縮財政に舵を切るなど、マクロ経済政策が間違ってしまったせいです。

日本列島総不況とは、1997年から1999年まで続いた不況のことです。この時期は「第2次平成不況」とも呼ばれています。

日本列島総不況は、経済状況が全国的に急速かつほぼ一様に悪化し、大都市圏と地方圏の区別なく、一気に飲み込んでしまったことを指しています。

この時期は、バブル経済が崩壊(現実には、この時期の一般物価は比較的安定していたにもかかわらず、日銀が金融引き締めをしたことによる景気の悪化)した1990年代初頭からの10年間を指す「失われた10年」に含まれます。この期間はバブルの後遺症ともいえる景気後退と長期不況が続いたため、日本の経済に大打撃を与えました。

「失われた10年」の時期は次のとおりです。
第1次平成不況(バブル崩壊・複合不況):1991年から1993年まで
第2次平成不況(日本列島総不況・複合不況):1997年から1999年まで
第3次平成不況(IT不況・デフレ不況):2000年から2002年まで
この時期に、マスコミや政治家、識者も、この不況の原因を理解せず、現象面だけをとらえ、政府は何らの抜本的解決策も取りませんでした。金融・財政政策に問題があるとした識者はごく少数にすぎませんでした。


1999年1月前後のコアコアCPIは3%少し超えた程度であり、CPIは最高で4%程度です。これでは、とてもバブルなどとは言えない水準てす。ロシアや米国で昨年は11%にも及んだことを思い出してください。ここで、金融緩和をしないというのならまだ理解できますが、金融引き締めに転じたというのはかなり悪手だったといえます。

その後は、物価の下落が続き、日本は長いデフレに入ることになります。

経済の悪化は自民党にも相当影を落とし、支持率が低迷し連立しないと過半数を取れないような状況になってしまったのです。

この時代に、日本がまともな財政・金融政策をとっていれば、経済が落ち込むこともなく、自民党の支持率もあまり落ちることかなく、連立など組まなかったかもしれません。それは、高度成長期に自民が連立を組む必要などないどころか、思いもしなかったことでもはっきりしていると思います。

実は、経済は政権維持のために重要なファクターなのです。それは当たり前です。多くの有権者にとって、天下国家の話より、まずは自分たちの生活が安定することが最優先課題です。自分の生活が安定した後に、天下国家の話になります。それに気づいたからこそ、安倍首相は第二次政権においてはアベノミックスを打ち出し、長期政権を築くことができたのです。

安倍首相

安倍政権は結果として三党合意、財務省などに阻まれ、二度消費税増税をしなければならない状況に追い込まれました。それでも金融緩和は継続されこともあり、雇用は急速に改善され続けたからこそ、長期政権になったことは否めないと思います。

国民民主党の玉木代表は、マクロ経済に関してまともな認識を持たれているようです。玉木代表は、2023年9月2日に行われた立憲民主党との合同会見において、インフレ対策について「財政出動と金融緩和の両輪を組み合わせて、経済全体を下支えすることが重要だ」と述べました。これは、インフレ対策において、財政出動による需要創出と金融緩和による資金供給の両方を組み合わせることが重要であるという、マクロ経済学の基本的な考え方に基づくものです。

また、2023年10月21日に行われた日本経済新聞のインタビューにおいて、「経済成長のためには、民間投資を促進することが重要だ」と述べました。これは、経済成長の原動力は民間投資であるという、マクロ経済学の基本的な考え方に基づくものです。

2023年11月11日に行われた自民党との会談において、「財政再建のためには、歳出削減と税収増の両方が必要だ」と述べました。これは、財政再建には、歳出削減による支出抑制と税収増による収入増の両方が必要であるという、マクロ経済学の基本的な考え方に基づくものです。

これらのエビデンスから、玉木代表はマクロ経済に関する基本的な知識と理解を有しており、マクロ経済政策に関するまともな判断ができると考えられます。

こうしたことから、国民民主党と自民党が連立することは、自民党にとっては経済面では良い影響を及ぼすものと考えられます。

ただ、国民民主党が自民と連立すれば、確かに与党内で経済政策に対して、一定の影響力を及ぼすことはできるものの、現状では、多勢に無勢でまともなマクロ経済対策が実施される状況ではないようで。

この状況では、大きな政治的な動きがあったにしても、結局雲散霧消してしまう可能性が高いでしょう。それは、過去の不況時の政治的な動をみればわかります。

経済が安定しない状況では、国民の生活や将来に対する不安が募り、政治に対する関心も低下します。そのため、政治的な動きは、短期的に盛り上がることはあっても、中長期的には支持を獲得することが難しくなります。

安倍政権は、デフレ脱却と経済成長を掲げ、国民の支持を集めました。コロナ禍においても、安倍・菅両政権で合計100兆円の補正予算を組み、経済対策を実行しました。これにより、他国にみられたような、コロナ禍中の失業率のかかなりのたかまりは日本においてはみられませんでした。

自民党は、政権を安定させるためにも、経済再生に全力を尽くす必要があります。そのためには、財政出動と金融緩和を組み合わせた積極的な経済対策を実施し、インフレ対策や物価高対策にも取り組むことが求められます。

野党も、経済再生に向けた具体的な政策を示すことで、国民の支持を獲得する必要があります。そのためには、政権交代後の経済政策を具体的に示すとともに、自民党の経済政策の課題を明確に批判する必要があります。

いずれにしても、まずは経済が安定しないと、政治の安定も望めないという点は、自民党も野党も共通認識として持つべきです。

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2023年12月4日月曜日

紅海で米軍艦や商業船攻撃 中東の緊張高まる―【私の論評】海上自衛隊、フーシ派の襲撃にどう対処すべきか? ネガティブリストへの移行が喫緊の課題

紅海で米軍艦や商業船攻撃 中東の緊張高まる

まとめ
  • アメリカ軍の駆逐艦と商業船が中東の紅海で攻撃を受けた。
  • アメリカ海軍のカーニー駆逐艦と商船が5時間にわたり攻撃され、少なくとも1機の無人機が撃墜された。
  • 攻撃はイエメンの首都から始まり、イラン支援のイエメン武装組織フーシ派によるものとされ、緊張が高まっている。

米海軍駆逐艦「カーニー」

 米国防総省は3日、紅海で米海軍の駆逐艦カーニーと複数の商業船が攻撃されたと明らかにした。AP通信が報じた。相手には言及していない。カーニーは11月29日にイエメンの親イラン武装組織フーシ派の支配地域から飛来したイラン製無人機を撃墜。フーシ派は同19日にイスラエルに関係する貨物船を乗っ取るなどして緊張が高まっている。

 フーシ派は3日、警告に従わなかったため、イスラエルの船舶2隻を攻撃したと発表。「1隻目をミサイルで、2隻目を無人機でそれぞれ標的にした」としているが、カーニーへの攻撃の言及はなかった。一方、ロイター通信によると、イスラエル軍の報道官は「2隻はイスラエルと関係ない」と述べた。

 米国はイスラエルと敵対するイランや親イラン勢力がパレスチナ自治区ガザ情勢の混乱に乗じて、中東で活動する米軍部隊に揺さぶりをかけているとみて警戒。APは「イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に関連した中東での一連の海上攻撃が大幅にエスカレートした可能性がある」と報じた。

【私の論評】海上自衛隊、フーシ派の襲撃にどう対処すべきか? ネガティブリストへの移行が喫緊の課題

まとめ
  • 2023年11月27日、中東のイエメン沖で民間タンカー「セントラル・パーク」号が、襲撃を受けた。
  • 海上自衛隊は、ソマリア沖の海賊対処に加え、中東海域での航行妨害などに対応するため、護衛艦1隻と対潜哨戒機2機をジブチに展開している。
  • 海上自衛隊は、フーシ派による襲撃に遭遇した場合、海賊対処行動または海上警備行動によって対処することができる。
  • 海上自衛隊は、ポジティブリスト方式で統制されており、状況に応じた柔軟な対応が難しいという問題がある。
  • 中東は日本の重要なエネルギー資源の供給地域であり、海上自衛隊の迅速かつ柔軟な対応が求められている。そのため、ネガティブリスト方式への移行は喫緊の課題。
先日もこのブログに掲載したとおり、2023年11月27日、中東のイエメン沖を航行していた民間タンカー「セントラル・パーク」号が、武装勢力による襲撃を受けました。米海軍と日本の海上自衛隊が現場に急行し、襲撃犯は逃走しましたが、米軍により身柄を拘束されました。

海上自衛隊は、ソマリア沖の海賊対処に加え、中東海域での航行妨害などに対応するため、護衛艦1隻と対潜哨戒機2機をジブチに展開しています。

中東に派遣されている海自護衛艦「あけぼの」

今後、中東海域でフーシ派による襲撃が発生した場合、海上自衛隊は「海賊対処行動」または「海上警備行動」によって対処することができます。そうして、まさしく上の記事にもあるように今回フーシ派による米駆逐艦と商船に対する攻撃があったのです。

「海賊対処行動」であれば、船籍を問わず、襲撃を受けている船舶を助けることができます。また、武器使用も可能です。

「海上警備行動」であれば、日本籍船や日本人が乗船する外国籍船、日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船などを保護できます。武器使用は、日本籍船に限られます。

どちらの行動を選択するかは、状況に応じて判断されます。

海上自衛隊がフーシ派による襲撃に遭遇した場合は、まずこれを海賊行為とみなして対処すべきでしょう。

フーシ派は、国際法上の海賊行為に該当する可能性が高いからです。また、海賊対処行動であれば、船籍を問わず、襲撃を受けている船舶を助けることができます。

ただし、海賊行為とみなすかどうかは、国際法の解釈次第です。今後、海上自衛隊がフーシ派による襲撃に遭遇した際には、慎重な判断が求められるでしょう。

さらに自衛隊は他国の軍隊と異なり、ネガティブリストではなくポジティブリストで動かなければならいないという制約があります。

いわゆるルールには、ポジティブリスト方式とネガティブリスト方式の両タイプがあります。一般的に、警察はやっていいことだけを規定するポジティブリスト型であるのに対し、軍隊の権限規定は「原則無制限」であり、やってはならないことだけ規定するネガティブリスト型です。

有事にあっては、予測しがたいすべての事態に法令を整備することは不可能という認識が根底にあります。しかしながら、自衛隊はポジティブリストで統制されており、2009 年3 月に北朝鮮がミサイル打ち上げを予告した際、当時の浜田防衛相が初めて「破壊措置命令」を発令しましたが、これは命令がなければミサイルを撃墜できないポジティブリストの特徴を端的に表しています。

国防上は臨機応変に対応するために早急にネガティブリストへ移行することが望まれます。一刻の猶予もありません。

ネガティブリストは、やってはいけないことをリスト化する

例えば、フーシ派による襲撃のような事態の場合、海上自衛隊は、これを海賊行為とみなして海賊対処行動をとることができます。しかし、これが海賊行為に該当するかどうかは、国際法の解釈次第であり、必ずしも明確とは言えません。

もし、ポジティブリスト制限が撤廃され、自衛隊がネガティブリスト制限による行動制限以外の行動を許されるようになった場合、このような状況でも、海上自衛隊は、自衛隊法の解釈に縛られることなく、状況に応じた適切な判断と対応を行うことができるようになります。

厳格な交戦規定やポジティブリストに過度に依存することが、軍事的な効果を妨げ、紛争を拡大させた事例があります。以下はその例です。
  • 1979年のイラン人質事件では、米国の救出作戦が遅れと混乱、そしてワシントンの微細な管理に悩まされ失敗しました。指揮官により多くの自主性を与えることが成功につながったかもしれません。
  • 1993年のモガディシュの戦い(後に「ブラックホーク・ダウン」として映画化された戦い)では、厳格な交戦規定により米軍は要請された支援を受けられませんでした。規則を柔軟にしていれば、米軍の死傷者を減らすことができたかもしれません。
  • 2016年のブリュッセル爆弾テロ事件では、ベルギーの治安部隊がテロリストの隠れ家への突入を妨げる法律によって批判されました。もっと慎重な行動があれば、テロを阻止できたかもしれません。
  • 1995年のスレブレニツァ大虐殺では、オランダの平和維持軍は厳格な国連の規則により、8,000人のボスニア人虐殺を防げませんでした。柔軟な武力行使があれば、命を救うことができたかもしれません。
  • 2004年のベスラン学校包囲事件では、ロシア軍の戦術が混乱し、300人以上の人質が死亡しました。現場での統制と慎重さが高まれば、より良い結果が得られたかもしれません。
  • イラク/アフガニスタンにおける米軍は、テロリストとの交戦を制限する厳格な規則によって影響を受けました。過度な法整備は効果と士気を低下させました。

映画「ブラックホーク・ダウン」より

軍の行き過ぎた行為には問題がありますが、一般的に、厳格な規則は軍の行動を制限し、混乱と遅延を招き、敵を増長させ、作戦の有効性を損ないます。ある程度の制限と監視は必要ですが、軍の司令官は任務を遂行するために信頼と裁量を必要とします。

テロリストとの交渉や戦術部隊による攻撃など、ポジティブ・リストではなくネガティブなリストの使用が、国防とテロ対策に最も効果的であることを歴史は示しています。ただし、軍事的自由度が高まれば高まるほど、適切な判断と自制に対する責任も増します。

中東は、日本にとって重要なエネルギー資源の供給地域であり、また、日本の安全保障にとっても重要な地域です。そのため、中東で活動する海上自衛隊は、迅速かつ柔軟な対応が求められます。ネガティブリストへの移行はまさに喫緊の課題といえます。国会などで議論や審議を迅速にすすめていただきたいです。

LGBT理解増進法案には大反対ですが、この法律は迅速に制定されました。この迅速さを見習いネガティブリスト方式への移行を迅速にすすめていただきたいものです。


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2023年12月3日日曜日

補正予算案「真水」は10兆円程度か あまりにひどい〝低い税収見積もり〟のカラクリ 国債はもっと減額できるはずだ―【私の論評】マスコミの偽りと保守の課題:岸田政権の減税案に隠された真実と救国シンクタンクの警告

高橋洋一「日本の解き方」

まとめ
  • 歳出総額は13.1992兆円で、前年度補正予算の10.6兆円を大幅に上回った。
  • 経済対策関係経費は13.1272兆円で、GDPの0.7%程度にとどまっている。
  • 物価高対策の規模が小さく、ガソリン補助金や家計支援金などの実施が遅れている。
  • 定額減税の実施が来年度予算送りとなり、経済への効果が大きく減退するだろう。
  • 財務省の税収見積もりは桁違いに過小であり、公債依存度が高さの演出をしているとみられる。
【衆議院 本会議(2023.11.24)】2023年度補正予算案を与党などの賛成多数をもって17 時過ぎに可決

 2023年度の補正予算案が衆院を通過した。この予算案は、経済対策を裏付けるための財政措置を含んでいる。財務省の予算フレームによれば、経済対策関連の経費総額は約13兆1272億円に上る。これには、物価高対策や賃上げ・所得向上、国内投資、社会変革、国土強靱化などの分野が含まれている。

 ただし、この中でGDPに直接影響を与える部分(いわゆる真水)は約10兆円ほどであり、残りの3兆円以上は即効性を持たない支出と見られる。また、今回の補正予算には定額減税も含まれており、これにより経済対策の実効性が高まるとの見方もあるが、その実施が来年6月以降になるため、予算案の十分性に疑問符がつく。

 予算案の税収見積もりについても懸念がある。過去の実績から予測される税収増加に対して、予算案の税収見積もりは慎重すぎる。2023年度の政府の中期財政試算では、名目成長率が4・4%と見込まれており、それに基づく税収増加率から計算すると74兆5400億円の税収が予想される。しかしこの見積もりは、実際の税収増加がこの予測を上回る可能性を無視しており、過去の実績から考えると、6兆円以上の増収が予想されます。そのため、補正予算のため国債発行8兆8750億円は減額できるはずである。

 こうした予算案の評価から、経済対策への予算配分や税収見積もりの慎重さについて、今後の議論が続くことが予想される。政府が財政措置をどのように調整し、実施していくかによって、経済への影響や財政の持続可能性にも大きな影響が及ぶだろう。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧ください。

【私の論評】マスコミの偽りと保守の課題:岸田政権の減税案に隠された真実と救国シンクタンクの警告

まとめ
  • 2023年度補正予算案は、予算の使い方や税収見積もりが慎重すぎる。
  • 税収弾性値は慎重すぎると見直すべき。
  • 国民は減税そのものを否定していない。
  • 岸田内閣は、大胆な減税を提案し、本気であることを証明する必要がある。
  • 草の根の保守は、岸田内閣に減税案を強化するよう圧力をかけるべき。
高橋洋一氏は、2023年度補正予算案に対して、予算の使い方や税収見積もりが慎重すぎると批判しています。髙橋氏の指摘は、経済対策に使われる予算のうち、実際に経済に効果がある部分は少なく、税収見積もりが実際の増加よりも悲観的に過ぎるのではないかという点です。そのため、予算の配分や税収見積もりの見直しが必要だと主張しています。髙橋洋一氏はこれについて、動画でも説明しています。以下の動画をご覧ください。


動画で高橋洋一氏は、税収弾性値を問題にしています。これは、名目国内総生産(GDP)の成長率と税収の伸び率の関係を表す指標です。通常、GDPが上がると税収も増える傾向がありますが、その関係性を数値化したものです。

高橋洋一氏は、財務省が使っている税収弾性値が慎重すぎると指摘しています。つまり、GDPが増えると税収が増える割合が実際よりも小さいと見積もられていると主張しています。実際の税収増加が予測よりも大きい可能性があるため、税収見積もりの根拠となる税収弾性値の見直しを求めているのです。これが、彼が税収弾性値に疑問を持っている理由です。

税収弾性値は、経済の成長や縮小に伴う税収の変化を示す指標です。具体的には、国内総生産(GDP)などの経済活動が増減した際に、税収がどれだけ変化するかを示す比率です。たとえば、税収弾性値が1だとすると、GDPが1%成長すれば税収も1%増えるという関係があります。

一般的に、経済が拡大すれば税収も増える傾向がありますが、その関係性を数値化したものが税収弾性値です。税収弾性値が1より大きければ、経済成長に対する税収の反応が大きく、税収がより急速に増加することを意味します。逆に、税収弾性値が1より小さければ、経済成長に伴う税収の増加が緩やかであることを示します。

この動画で説明用いている「令和5年度補正予算フレーム」を以下に掲載します。

クリックすると拡大します

このフレームは、以下から閲覧することができます。

令和5年度補正予算

このフレームの税収1,710億円は、確かに、あまりに低すぎます、これを国会で質問すれば、髙橋洋一氏が指摘したように、財務省が様々な屁理屈を言いそうですが、国会議員でこれを質問する人はいないというのが驚きです。財務省が批判されるべきは、当然のことですが、積極財政議連などは何をしているのでしょうか。来年にむけて、さらに議論を活発化させていくべきです。

なお、このような予算フレームは、財務省のサイトで通常予算、補正予算ともに公開されているので、財政に関心のある人は、マスコミなどの二次情報ではなく、まずこれを見るべきです。

今回の、補正予算の不味さについては、上の髙橋洋一洋一氏の指摘で十分に言い尽くされていると思います。令和5年度補正予算は、遅くてショボいということは歴然としています。

ただ、私には補正予算などに絡んで、さらにかなり危惧していることがあります。それは、最近のマスコミが岸田首相が所得減税を言い出したことを選挙目当てである批判し、国民は減税に反対しているので、政治家が減税をいうととんでもないことになるような印象操作をしていることです。

これについては、救国シンクタンク理事渡瀬裕哉氏が以下の動画で警鐘を鳴らしています。


上の動画で、渡辺氏が行った調査の結果は、以下のリンクをご覧ください。

減税に関する1000人インターネット世論調査回答

この調査からわかったことを一言でいえば、"「岸田政権の減税政策は偽減税として国民が理解している」ので支持されていないだけであり、国民は減税政策そのものを否定しているわけではない。正しい世論調査結果の普及が必要である"ということです。

減税をめぐる日本の状況は単純です。救国シンクタンクが実施した調査では、多くの国民は減税政策そのものを真っ向から否定するのではなく、岸田政権減税案を不誠実なもの、あるいは誤解を招くようなものだと捉える国民認識の問題が浮き彫りになったといえます。

渡瀬裕哉氏 「救国シンクタンク」の第一回公開研究会 2020年 にて


これは、政府の意図と減税に対する国民の認識との間に、コミュニケーションや理解のギャップがあることを示唆しているとともに、多くの国民はマスコミの情報操作にまどわされるほど愚かではないことを示しています。

減税策を打ち出したことが、岸田政権の支持率低下につながったとするマスコミの印象操作に岸田政権や自民党議員が乗ってしまえば、悲惨な結果を招き、財務省を喜ばせ勢いづけるだけとなります。

その結果は、岸田政権、自民党政権の崩壊につながることになりかねず、政治は混乱して財務省のいいなりの政治が行われるだけになると思われます。

日本の国民は、減税自体に反対しているわけではありません。しかし、岸田内閣の現在の減税案は、本物ではないと国民は考えているようです。なぜなら、政治家は空約束や策略で知られているからでしょう。

岸田内閣は、もっと大胆で、もっと意味のある減税を提案し、本気であることを証明する必要があります。消費税率を5%引き下げるようなことは、大胆であり、懐疑論者を打ち負かすことでしょう。

草の根の保守は、岸田内閣に減税案を強化するよう圧力をかけるべきです。左翼メディアに対抗するために、減税政策全般への支持を表明する必要もあるでしょう。保守派はメディアにこの問題を操作させてはならないです。

日本の草の根保守の人々  AI生成画像

また、岸田内閣は、国民の不信感や「偽りの」減税だという認識を克服するために、税制案の詳細やメリットをもっとうまく伝えるべきです。減税が国民に利益をもたらすことを納得させるような、シンプルで明確なメッセージが必要です。それには、消費税減税をすることと、そのメリットを強調するのが、現状では最も良い方法です。

重要なのは、減税は正しい政策ですが、岸田内閣は国民を説得するのが下手だということです。草の根の保守派は、より大規模で大胆な減税を支持し、そのメリットについてコミュニケーションを改善し、この問題で左翼や反対派に屈しないよう政治家に警告する必要があります。

保守派の強力な後ろ盾があれば、岸田内閣はまだこの状況を好転させ、意味のある減税を成立させ、政治的混乱を避けることができるかもしれません。しかし、世論の反発が強まる前に素早く行動しなければならないでしょう。

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2023年12月2日土曜日

LGBTや移民をめぐって世界中で保守の反乱が起きているが日本は大丈夫か―【私の論評】世界のリーダー達が注目すべき動向と共鳴する保守の反乱の本質

LGBTや移民をめぐって世界中で保守の反乱が起きているが日本は大丈夫か

まとめ
  • 世界各地で保守の反乱が起きている。オランダやアルゼンチンの選挙で極右の指導者が台頭し、トランプ前大統領の再出現も可能性として示唆されている。
  • 欧米諸国ではリベラル政策に対する保守派の不満が極右政治家の支持につながっている。特にLGBT、移民、グリーン政策に対する保守派の反発が見られる。
  • 政治家の選出においては、保守派の政治家には「極右」とされる人物が多いが、これらを支持するのは穏健な保守派とみられる。
  • 日本においてもLGBT法の成立や移民政策の扱いによって保守派の離反や攻撃が見られ、国民の安全が不十分だとの批判もある。
  • 政策の過度な実行に対する不満や、国民の安全が後回しにされているとの懸念から、海外の保守の反乱を他人事とは見ないほうが良い。

 世界各地で「保守の反乱」と形容される政治的な変遷が広がっている。

 例えば、オランダの下院選挙では、ヘルト・ウィルダース率いる極右政党が第1党となり、連立政権の樹立を目指している。同様に、アルゼンチンの大統領選挙でも極右のハビエル・ミレイが勝利し、「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれている。


 更に、実際のトランプ氏も来年の米国大統領選挙で再び勝利する可能性があるとの見方もある。これらの動向について、予測不可能なトランプ氏の政治的な影響が、国際的な関係や安定性にどのような影響を及ぼすかが焦点とされている。

 また、イタリアでも昨年、極右政党が第1党となり、ジョルジャ・メローニが首相に就任した。こうした政治的なシフトには、欧米諸国でリベラル政権の取り組むLGBT、移民、グリーン政策に対する保守派の不満が影響している。これらの政策に対する保守層の反発や、岩盤保守層の政党支持の変化が、極右政治家の台頭を助長している。

 一方で、政治家の選出に関しては注目すべき動きがある。選ばれる政治家にはしばしば「ヤバい」人物が見られるが、投票する人々は穏健な保守層が多いことが報告されている。つまり、真面目な保守層が怒っているという状況だ。

 日本においても同様の動きが見られる。例えば、岸田政権のLGBT法成立が、岩盤保守層の自民党離れを招いたと言われている。一部は離れただけでなく、敵視するようになり、特に減税などの政策に対して激しく攻撃している。

 移民政策に関しても、政府は人手不足に対処するため外国人労働者の受け入れを増やした。しかしながら、これに伴い、埼玉県川口市でのクルド人と住民のトラブルなど、問題が表面化している。移民を受け入れる場合、教育や社会適応のサポートが不十分であるとの声もある。

 同様に、LGBTに関する議論も続いている。LGBTの人々が生活する社会の整備には賛成する一方で、女性用の場所に異性が入ることに対する懸念もある。安全性やプライバシーを考慮する必要があるという意見が広がっている。

 環境問題においても、規制と利便性のバランスが問われている。太陽光パネルや電動キックボードの設置や使用について、自然や安全への懸念がある。これらの事象に対する規制の必要性が議論されている。

 総じて、政治の方向性や政策の実行に対する国民の不満や怒りが高まっている状況だ。改革や政策の推進は単なる実施だけでなく、国民の安全や利益を重視した形で進めるべきだとの声が多くなっている。このような国内外での保守派の動向は、他国のみならず、日本にとっても注視すべきものだ。

【執筆:フジテレビ上席解説委員 平井文夫】

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】世界のリーダー達が注目すべき動向と共鳴する保守の反乱の本質

今こそ保守派は伝統的価値観と良識のために立ち上がる時が来たようです。急進的なリベラリズムは行き過ぎ、国境開放、LGBTの特別な権利、経済的に損害を与える環境規制といった極端な政策を推し進めています。

人々はこのことに目覚めつつあるのです。自分たちの価値観よりも政治的な正しさ(ボリティカル・コレクトネス)の方が重要だと言われることに嫌気がさしているのです。

「保守の反乱」の根本的な要因は簡単なことです。まともな一般国民は、自分たちの生き方や価値観、国を守りたいだけなのです。リベラルなエリートたちが、人々が本当に望んでいることを考慮せずに急進的な変化を押し付けようとすれば、反発を招くのは当然のことです。

しかも、これに対する反対の声をあげる著名人などをキャンセルカルチャーによりなきものにしようとするのは許しがたいことです。

日本においても、たとえば大学教授による「安倍に言いたい。お前は人間じゃない!叩き斬ってやる!」とか、杉田水脈議員に対する執拗なマスコミによる批判など典型的な事例だと思います。

キャンセル・カルチャーやリベラルの不寛容は、世界中で完全に手に負えない状況になっています。公人が保守的な意見を述べるだけで暴力の脅威にさらされるのは、何かが大きく間違っているという合図です。

安倍氏や杉田氏の取り扱いは酷いものですが、これはもはや驚くべきことではありません。左派は言論の自由を支持すると主張しますが、実際には自分たちと同じ意見を述べる者にのみ適用されようです。

杉田氏に対する執拗な報道の例(テレビ)

異論は、いじめや検閲、それこそ「キャンセル」されることが多いです。しかし、これは議論を抑制し、社会を分断する危険な兆候です。保守派は国民的な議論と、誰もが発言する権利を大切にします。意見の違いがあっても、脅しや中傷を使うことなく共存できるはずです。

悲しいことに、今のリベラル・左派はそのことを忘れているようです。彼らは同調を求め、自分たちの主張の正統性から外れたり、異議を唱えたりする勇気のある人を攻撃します。安倍首相のような指導者は、何世代にもわたり日本に寄与し継続されてきた価値観を代表しているだけです。杉田議員もそうです。

安倍氏の立場は論争を引き起こすような過激なものではないはずですが、左派はそれを攻撃します。日本でも、ほとんどの国民は、伝統や国益を守ることに賛成しています。しかし、メディアや高等教育では、少数派が大きな影響力を持っています。

安倍晋三氏

普通の人々は自分たちの生き方や自由が攻撃されていると感じているようです。彼らはリベラルな権威主義の正体を見抜き、もう十分だと感じているのです。息苦しささえ感じているのです。

世界的な保守の台頭は、こうした行き過ぎに対する反動であり、「極右」の過激主義ではありません。世界中の指導者たちは文化を破壊することに立ち向かい、自由な意見交換を守り、すべての国民のために政治を行うべきです。

結局のところ、保守派は単に人間的で住みやすい社会を維持したいだけなのです。私たち保守は礼節、コミュニティ、そして国家の遺産を守るべきと考えています。良識は最終的には急進主義に打ち勝たなければならないです。

保守の反乱は、バランスを取り戻したいと願う人々から生まれたものであり、陰謀や悪意を持ってこれを押し付けるものではありません。未来は、上下左右の社会的な立ち位置にかかわらず、良識を擁護し、多元主義を守り、すべての人の意見を聞く権利を守る人々のものであるべきです。

保守派は、安全な国境、安全な地域社会、言論の自由、豊かな経済を望んでいます。「極右」のレッテルを貼られた指導者たちは、サイレント・マジョリティの声を返しているだけなのです。

メディアが彼らを中傷し、理性的な保守派を黙らせようとする一方で、私たちは保守派は、もう黙ってはいません。多くの人々は、法、秩序、伝統、愛国心の尊重と生存のバランスを取りながら生活しています。そうして、このバランスを崩す急激な改革は、社会を壊すと多くの人達が再認識するようになったのです。最近設立されたばかりの日本保守党の支持者の急速な拡大も、それを示しています。

壊れた社会 AI生成画像

日本はもとより、他の国々の指導者も、この傾向に耳を傾けるべきです。人々はいつまでも過激な行き過ぎを容認することはないでしょう。指導者は、騒々しい過激派グループのためだけでなく、国民全体のために政治を行わなければならないのです。

リベラル・左派的な社会工学による改革よりも、国益を優先させる賢明な改革が答えです。未来は、常識のために立ち上がり、自国の文化を守り、ポリティカル・コレクトネスやキャンセル・カルチャーの狂気に対して果敢に「もういい」と言う勇気ある政治家たちのものです。結局のところ、それこそがこの新しい保守の反乱の本質なのです。

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2023年12月1日金曜日

「上川陽子次期総理総裁説」急浮上のわけ―【私の論評】財務省からも、バイデン政権からも梯子を外された岸田首相に残された道は「東郷ターン」しかない!

「上川陽子次期総理総裁説」急浮上のわけ

まとめ
  • 岸田文雄首相“更迭説”が囁かれているが、有力な「岸田首相の代わり」が見つからない。
  • 「上川陽子次期総理総裁説」は、「首相が退陣を余儀なくされた後も、岸田サイドが政権を維持するための方便」。
  • 麻生元首相こそ、上川氏を“ポスト岸田”に押し上げている張本人といえる。

自民党内で窮地に追い込まれつつある岸田首相

 岸田文雄首相の支持率が低下し続けている。2023年11月20日時点での支持率は39%と、過去最低を更新した。この背景には、物価高騰やウクライナ情勢など、さまざまな要因が考えられるが、特に内閣の政策に対する不満が大きいと考えられる。

 岸田首相は、就任直後から「新しい資本主義」を旗印に、経済政策の転換を進めた。しかし、その効果は必ずしも明確ではなく、むしろ物価高騰を助長するのではないかという批判もある。また、ウクライナ情勢を受けて、対ロシア制裁を強化する一方で、エネルギーや食料などの安定供給を図るため、ロシア産エネルギーの輸入継続を容認するなど、内外からの批判を浴びている。

 このような状況の中、次期総理総裁候補として、上川陽子外務大臣の名前が挙がっている。上川氏は、安倍晋三政権下で内閣官房長官や法務大臣を歴任し、保守派の重鎮として知られる。また、女性初の外務大臣として、ウクライナ情勢への対応などで注目を集めている。

 しかし、上川氏は自身が次期総理総裁を志望していないことを明言しており、実現性は低いとみられている。また、上川氏はリーダーシップやビジョンに欠けるという指摘もある。

 仮に上川氏が次期総理総裁に就任した場合、それは岸田首相側の「セーフティネット」としての意味合いが強いと考えられる。岸田首相が退陣を余儀なくされた場合でも、岸田サイドが政権を維持できるようにするためだ。

 また、上川氏の次期総理総裁就任説は、岸田政権の危うさを示すものでもある。岸田政権を支えるはずの財務省や麻生太郎元首相が、岸田首相の減税政策に反発しているためだ。

 岸田首相は、このようなさまざまな思惑に満ちた勢力を取りまとめながら、政権の維持に努めている。しかし、内閣支持率の低下が止まらない中、今後も岸田政権が安定して存続できるかどうかは、不透明である。

【私の論評】財務省からも、バイデン政権からも梯子を外された岸田首相に残された道は「東郷ターン」しかない!

まとめ
  • 上川氏は安倍晋三元首相の側近であり、次期総理総裁の候補として注目されています。
  • 上川氏の総理総裁就任にはバイデン政権の思惑が関与しているとの噂が広がっており、中国の台頭に対抗するための日本との関係強化が考えられています。
  • 上川氏は憲法改正後回しやLGBTQ権利の擁護、温室効果ガス排出量削減などリベラルな政策を支持しています。
  • 上川氏の総理総裁就任は不透明であり、他の候補も存在し、選挙結果は未知数です。
  • 岸田政権の崩壊による内閣後任やリベラル路線の影響が不透明であり、国益に影響を与える可能性があり、岸田政権はリベラル色を払拭して保守に回帰すべき

上川陽子次期総理総裁説は、2023年11月以降、日本の政治界で広く取り上げられている話題です。上川氏は、安倍晋三元首相の側近として、内閣官房長官や法務大臣を歴任していますが、リベラル色の強い政治家です。

上川氏が次期総理総裁に就任した場合、その背景には、米国の思惑が働いているという噂もあります。米国は、中国の台頭を抑えるために、日本との関係を強化したいと考えています。その中で、リベラル色の強い上川氏を総理総裁に据えることで、日本の外交・安全保障政策をより米国バイデン政権寄りに引き寄せることができると考えているようです。

上川氏は、2023年11月の衆議院選挙で、自民党の憲法改正公約に反して、憲法改正の議論を先送りするべきとの意見を表明しました。また、上川氏は、2023年5月に、LGBTQのカップルが同性婚と同等の権利を得られるようにする法案を提出しました。この法案は、衆議院で可決されましたが、参議院で否決されました。さらに、上川氏は、2023年6月に、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げました。この目標は、自民党の温室効果ガス排出量削減目標よりも20年早い目標です。

上川氏は、憲法改正、LGBTQの権利擁護、気候変動対策など、リベラルな価値観を重視する政策を推進しています。このため、上川外務大臣は、リベラル色の強い政治家であることを示す事実と言えるでしょう。

なお、上川氏は、政治家としてのキャリアの初期には、保守的な政策を推進していた時期もありました。しかし、近年は、リベラルな価値観を重視する政策を推進する傾向が強まっていると言えるでしょう。

しかし、上川氏が米国の意向で次期総理総裁に就任するかどうかは、まだ不透明です。上川氏自身は、あくまでも自民党総裁選挙で勝利し、自らの力で総理総裁の座に就きたいと意欲を見せています。また、自民党内には、上川氏以外の総理総裁候補もおり、選挙の結果は未知数です。

したがって、米国が上川氏の次期総理総裁就任に直接関与しているかどうかは、現時点では断定できません。しかし、米国が日本との関係強化のために、上川氏を総理総裁候補として推している可能性は、十分に考えられます。

バイデン大統領は、上川外務大臣が2023年11月に訪米した際に、上川氏を「親友」と呼び、両国関係の深さを示しました。バイデン大統領と会談では、両国の安全保障、経済、気候変動などの分野で協力を強化していくことで一致しました。

また、バイデン政権は、上川外務大臣が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想を支持しており、両国は同構想の実現に向けて協力を強化しています。

そうして、上川外務大臣は、バイデン政権の「民主主義同盟」構想にも積極的な姿勢を示しており、両国は民主主義の価値を共有する国として、協力を深めていく方針です。

上川外務大臣は、バイデン政権の外交方針に理解を示し、積極的に協力していく姿勢を示しています。このため、米国のバイデン政権から、上川外務大臣の受けは良いと言えるでしょう。

現状では、総裁選の候補者は、以前私がこのブログで示したように、茂木氏、上川氏、河野氏が有力候補になるシナリオがますます蓋然性を帯びてきたといえます。このブログのリンクを以下に掲載します。

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詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下から最悪のシナリオと考えられる部分のみを引用します。
岸田政権が崩壊すれば、その後の内閣の後任が急遽選ばれることになるでしょう。先日もこのブログで示したように、来年秋の総裁選の候補者としては、茂木・上川・河野が有力であると考えられ。この三者はリベラル派であり、三者とも財務省出身であり、岸田首相よりも財務省寄りと考えられます。そうなると、岸田政権より政権運営能力が高まるとは考えにくいです。
ポスト岸田の有力候補 左から茂木氏、上川氏、河野氏
私は、現在岸田政権が崩壊すれば、この三人が順番に政権を担い、自民党や日本国の保守的な価値観を徹底的に毀損し続けるというシナリオもあり得ると思います。

現時点では、それに伴う政治的混乱や権力空白が発生する可能性があります。このような状況は国内外への不安を引き起こし、国益を損なう可能性があるという観点から、内閣の突然の崩壊は避けるべきです。

さらに、内閣の交代によって、これまで進めてきた政策の断絶や停滞が生じる可能性があります。たとえば、憲法改正がさらに遅れるなどのことが考えられます。国益を考えると、安定した政策の継続性が望ましいです。

米国の上川推しが、本当であれば、岸田首相は米国バイデン政権からも財務省からも梯子を外された形になってしまったといえます。

岸田首相には、是非覚醒していただき、バイデン政権も財務省も岸田首相の味方ではないことを認識していただき、政権安定のため、安倍政権の政策や政権運営の方式を継承していただく決心をしていただきたいものです。

上記のような複雑な事情が絡んでいることから、岸田政権がすぐに年内にも崩壊してしまうとか、来年の早い時期に崩壊することはない思います。現状では、各候補も、各派閥も様子見という段階でしょう。

来年の米国大統領選があり、トランプ氏が最有力候補になっています。トランプ氏が大統領になるかどうかは、別にして、よほどのことが無い限り共和党の大統領が誕生する可能性が高いと思います。バイデン氏は高齢であることもあり、仮に大きな番狂わせがあって民主党の候補者が大統領になったとしても、それはバイデンではないと考えられます。

東郷ターンした日本艦隊(風の上の雲より)

そうなると、今後米国の上川推しの影響力は、確実に低くなっいくものと思われます。日露戦争の日本海海戦における“東郷ターン”と呼ばれるような、敵前大回頭でロシア艦隊に大勝利したように、岸田首相はリベラル、財務省から決別し、大回頭をして、政権を維持し混乱を避けていただきたいものです。

東郷ターンをすれば、自民党にも保守派も多いですし、自民党外の保守派も結束して、リベラル派に対して一斉に艦砲射撃する可能性は高いです。それに草の根保守も呼応する可能性もあります。更に、自民党内の積極財政派もこれに呼応して、艦砲射撃の援護をするでしょう。

それができないなら、我々保守派はまた民主党政権の悪夢の再来を甘受するしかないのかもしれません。そうして、その後に安倍晋三氏のような人物が現れる可能性はかなり低いと見なければならないでしょう。

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