ウクライナへの「不干渉」訴える声
FOXニュースの看板キャスターで、保守派の論客として知られるタッカー・カールソン氏は、18日に放送された自身の番組の中でこう言った。
今回のウクライナ危機の原因を考えてみましょう。なぜロシアが腹を立て、衝突の危機が迫っているのでしょうか?その理由はこうです。米国政府は長年にわたってウクライナをNATO(北大西洋条約機構)に加盟させるよう推し進めてきました。もしメキシコが中国に軍事的に支配されたらと考えてみてください。我々は当然、それを疑いもない脅威と受け取るでしょう。ロシアもNATOによるウクライナの支配をそう見ているのですが、間違っているでしょうか。それに引き換え我々は、ウクライナをNATOに押し込んでもなんら得なことはないのです。(FOXニュース「タッカー・カールソン・トゥナイト」1月18日放送)
昨日はロシアとウクライナの戦いという暗い話題について話しました。ワシントンでは超党派のネオコンの同盟が、この衝突を発火させるべく仕掛けてきました。米国の外交問題の当事者たちは数億ドルもの兵器を世界でもっとも不安定なこの地に送り込み、爆発が起きるのを期待して待っているのです。 その期待が叶う日が近いようです。爆発は起きそうですし、それは米国をいとも簡単に紛争の中心に吸い込むことになるでしょう。私は昨夜そう言ったわけです。しかし正直言って、信じられないことです。我々は本当に戦略的に意味のない地域の腐敗した国のために戦わなければならないのでしょうか。我々の国で他にもいろいろな問題を抱えている時にです。正常な人間ならばそんなことをするわけがないでしょう。それなのになぜそうなるのでしょうか。(FOXニュース「タッカー・カールソン・トゥナイト」1月21日放送)
この(バイデン)行政府は、ウクライナ問題を「ワグ・ザ・ドッグ」に利用しようとしています。
彼ら(バイデン政権)は武装衝突を利用して米国の若者たち、あなたの息子や娘たちを戦地に送り込もうとしているのです。政権の国内的、対外的な信頼感を取り戻すために。
これは「ワグ・ザ・ドッグ」に他なりません。そしてウクライナで米国人が殺されるのです。ちょうど(アフガニスタンの)カブールで起きたのと同じように。私の言葉を信じなさい。
中国への強硬姿勢に対しての米国内での支持は大きいです。「中国に厳しく」という世論はますます強く、対中国政策で弱気な対応を見せれば、それはバイデン氏の民主党政権にとって国民の支持を失いかねない局面に直結することになります。秋には中間選挙があります。2021年11月の2つの州知事選挙、バージニア州ではバイデン大統領が応援に入ったにもかかわらず民主党候補が破れ、ニュージャージー州でも民主党の現職知事が大苦戦して辛くも逃げ切りました。中間選挙の結果、そして次期大統領選の結果によっては超大国の指導者がまた変わるかもしれません。
2022年の世界も“世界唯一の超大国”と言われる米国を中心に動くでしょう。2月の北京冬季五輪パラリンピックを見据えた外交戦術、さらにロシア軍が国境に展開して緊張が続くウクライナ情勢など外交の課題は山積です。その一方、苦戦している国内での支持率。バイデン政権2年目は、秋の中間選挙に向けて、国内外の多くの緊張と共に歩んでいくことになる。移民政策でも、アフガン撤退でも明らかに失敗したバイデン、今年の中間選挙のことを考えると、中露に対して弱い姿勢は見せられません。何らかの形で、失地を回復する必要があります。
米国のウクライナ情勢に対する対応のすべてがバイデンの失地回復のためということはないでしょうが、そういう要素があるのは間違いないです。
21日にジュネーブで行われた米露外相会談で、バイデン米政権は、外交による事態打開に道を残しました。ロシアの要求に対して「文書での回答」を約束したことで、プーチン露政権に言質を与えて交渉の幅をせばめるリスクも負ったといえます。ただ、どのような回答をするかによって、失地回復のための交渉なのか、そうでないのかも、ある程度判断できると思います。キエフのスタジアムで2019年4月19日、ウクライナ大統領選の決選投票を前に 討論するウクライナのポロシェンコ大統領(左)とゼレンスキー氏 |
一方ウクライナと中国の関係をみてみます。中国とウクライナは2013年末、友好協力条約を締結。両国は中国の100億ドル以上の投資計画で合意し、ウクライナ側も「一帯一路」を全面支援しました。
2014年のロシアによるクリミア併合以降、中国がロシアに代わってウクライナ最大の貿易相手国となり、特にウクライナ製兵器の輸出先は中国向けが圧倒的に多いです。
人民解放軍系企業が穀倉地帯のウクライナ東部で、200万ヘクタールの農地を50年間租借し、中国最大規模の海外農場を建設する計画を進めているとの報道もありました。
友好協力条約には、ウクライナが核の脅威に直面した場合、中国が相応の安全保障を提供するとの一節があります。ウクライナを脅かす国はロシアだけであり、ロシアのウクライナ攻撃では中国がウクライナを擁護するとも読めます。
1月初めには、習主席とゼレンスキー大統領が国交樹立30周年の祝電を送り合い、「戦略的パートナー関係の発展」を誓ったばかりでした。中国はロシアのクリミア併合を承認していません。
阻止の背景には、ロシアとの対立で米国の支援を得たいゼレンスキー政権の思惑があります。ウクライナの国家安全保障・国防会議が11日に開かれ、ダニロフ書記が「近い将来、モトール社はウクライナ国民と国家に戻されることが決まった」と説明していました。
1907年設立のモトール社はソ連の軍用ヘリコプターや輸送機のエンジンを製造し、ソ連崩壊後もロシアが大口顧客でした。しかし、2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合で両国関係が悪化。ロシアとの取引を停止した結果、経営難に陥っていました。
プーチン氏(左) とライシ氏(右) |
冒頭でプーチン大統領は、国際社会の課題に対してイランと緊密に協力していると強調したうえで「核合意をめぐりイランの立場を知ることは、非常に重要だ」と述べました。
これに対し、ライシ大統領は「両国関係は戦略的で永続的なものになるだろう。アメリカの一方的なやり方に、ロシアとともに対抗していく」と述べ、アメリカの制裁に対抗するため経済面などで両国の連携を強化する考えを強調しました。
イランの核合意をめぐる協議では、アメリカが解除する制裁の範囲などをめぐって意見の隔たりが大きく、妥結のめどは立っていません。
ライシ政権としては、伝統的に友好関係にあるロシアとの関係強化を図ることで、核合意の立て直しに向けた協議でアメリカに譲歩を迫るねらいもあるものとみられます。
ライシ師は20日にはロシア下院で演説、「北大西洋条約機構(NATO)がさまざまな口実を使って独立国家に侵入を図っている」と米欧を非難し、ウクライナ侵攻も辞さないとするプーチン氏を援護射撃しました。外国の首脳が下院で演説するのは極めて異例。プーチン氏がライシ大統領を歓迎し、厚遇した証と受け取られています。
イランは核協議が不首尾に終わった場合、不倶戴天の敵であるイスラエルが核施設などに軍事攻撃を仕掛けてくると警戒しており、SU35、S400ともイスラエルに対する強力な抑止力になると見られています。イスラエルはロシアと良好な関係を維持しており、今後、イランへの兵器売却を思いとどまるようロシア側に働きかけることになるでしょう。
新協定のモデルになったのはイランが昨年3月に中国と締結した戦略協定です。
中国がイランのエネルギー、通信、交通などの分野に総額4000億ドル(約44兆円)を投資するのと引き換えに、イラン原油を安価で安定調達するというのが骨子。制裁で苦しむイランにとっては国益にかなう協定です。イランはロシアからの兵器購入費約100億ドルの支払いについては、中国からの石油代金の未回収分でまかなうのではないかと観測されています。
イランとロシアによる関係強化により、世界の対立軸はこの2カ国に中国を加えた「反米枢軸」と「米国連合」という図式に収れんしつつあります。とりわけ、米国の制裁に対抗しようとするイランの動きが目立ちます。イランは昨年9月、ライシ師がタジキスタンで開催された「上海協力機構(SCO)」首脳会議に出席、機構への正式加盟が承認されたのですが、これもそうした動きの一環です。
SCOは中国とロシアが主導し、8カ国で構成。オブザーバーで参加してきたイランは9番目の加盟国となります。プーチン氏にとってもイランとの関係強化を世界に見せつけることはプラスです。
中露とイランは3カ国枢軸を誇示するようにこのほど、ペルシャ湾の外側のオマーン湾付近で海軍の合同演習を実施しました。
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