2013年3月25日月曜日

日本の「就活」を見事に描いたアニメーションが話題に! ネットの声「息苦しいほどに絶望的」「いかにも日本らしい…」―【私の論評】就活をめぐる二つの違和感、この違和感はいずれ解消されるだろうが、その時々で柔軟に変身を遂げる人にとっては怖いことは何もない!!

日本の「就活」を見事に描いたアニメーションが話題に! ネットの声「息苦しいほどに絶望的」「いかにも日本らしい…」

日本の「就活」を見事に描いたアニメーションが話題に! ネットの声「息苦しいほどに絶望的」「いかにも日本らしい…」

多くの学生を苦しませる「就職活動」、いわゆる「就活」。あるシーズンになると学生たちが一斉にスーツに身を通し、企業説明会へと足を運ぶこの就活は、日本独自の一種の文化であり、世界的に見ても他ではなかなか見られないスタイルである。

その日本らしさがいっぱい詰まった就活を見事に描き切った映像作品が、現在ネット上で注目を集めている。「就活狂想曲」というタイトルのその映像作品は、吉田まほさんという方を中心に制作されたものであり、全編アニメーションとなっている。

作品の主人公は、これまで普通に大学生活を送ってきた一人の女子学生。彼女は周りの友人たちが就職活動を始めていくのに影響され、自分も就活という名の荒波に飲み込まれていく。そしてその荒波のなかで、彼女はある変化を遂げるのだが、それが実に滑稽に、かつ虚しく描かれているのだ。

これには多くのネットユーザーが共感の声を上げており、YouTubeにアップされたその動画には次のようなコメントが続々と寄せられている。

・ネットユーザーの声
「息苦しいほどに絶望的」
「全て経験しているので、よくわかります」
「いかにも日本らしい…」
「怖いわ。あと何年かしたらこの世界に入らなきゃいけないのか」
「本当の自分隠して就職するのって辛い」
「正気の沙汰ではない」
「『内定』を得るための就活なんて意味ない。この女性のような就活をしている人が何人いることか….」
「よく制作してくれました。すっごくわかりやすい心境の変化。何のためにやってるのか凄く醜く映してれていて、自分の将来をその場しのぎでやってしまう危うさを伝えてくれていてとても感謝です」
みなさんは、今回の「就活狂想曲」からどんなメッセージを受け取っただろうか? 「就活」とは一体何のためにあるのかを考える上でも、ぜひとも一人でも多くの人に観てほしいアニメーション作品である。

参照元:YouTube/youmahotube
執筆:田代大一朗

【私の論評】就活をめぐる二つの違和感、この違和感はいずれ解消されるだろうが、その時々で柔軟に変身を遂げる人にとって怖いことは何もない!!


上の動画と記事、何やら私はかなり違和感を感じてしまいます。それも、二つの側面から違和感を感じてしまいます。こんなことを書くと、非判されそうな気もしますが、この違和感何ともしがたいので、本日は敢えて掲載します。

まず、一つ目は、個々人や、個々の会社がどうのこうのという前に、マクロ的に見て、なぜこのように若者が就活に苦労するのか、その責任は誰にあったのか、全くスルーしているということです。その責任が誰にあるのかといえば、無論、マクロ的に見れば、就活生でも、企業でもありません。ましてや、大学の責任でもありません。

それは、一言でいえば、日銀の責任です。こんなことをいうと、日本では常識外れのように思われまずか、これは世界の常識だと思います。

デフレであれば、就職難になるのは当たり前です。日銀の金融政策と、就活には大きな関係があります。



これは、このブログの以前の記事にも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!


 詳細は、上の記事そのものをご覧いただくものとして、 この記事の一部を以下にコピペさせていただきます。
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。

それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。

日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。

しかしながら、現在日本で行われているような、厚生労働省が行う、雇用対策は、帯に短くタスキに長しという対策がほとんどのようです。まさに、このブログの冒頭の記事に書かれてあるようなことが、実態であると考えられます。このようなことを防ぐため、アメリカなどでは、地域に密着したNPOが、地域の雇用のミスマッチを解消するために、求職者に住宅から、職業教育、職場斡旋を含む包括的なブログラムを提供するということが行われています。このような、NPOの中には、地方銀行や、建築会社までメンバーとして含まれていたりします。NPOとはいっても、日本とは全く意味合いや、規模が違います。おそらく、こちらのほうが、政府が直接手を下すよりもはるかに、効果があると思います。こういうことも、大方の日本人は知らないようです。NPOというと、奇特な人たちが、手弁当で奇特なことをするものという認識だと思います。

その先端的な試みの一つとして、たとえば、COUSERAがあります。これは、最近できた、オンラインでアメリカのいくつもの大学の授業を無料で受けられる、というブログラムです。私もさっそくいくつかの講義に登録したことは、以前のこのブログにも掲載したことがあります。従来、こうしたプログラムは、いくつかありましたが、このブログラムが他のものとは明らかに異なる点があります。それは、大学の講義が受けられるだけではなく、仕事を探すというブログラムも含まれているということです。
そういう私も実は自分が就職するときには、このようなことを知りませんでしたが、あの頃といえば、リクルートあたりに、登録しておくと、会社案内の資料がうちに送られてきて、まずは雑誌のような書籍が何冊も送られてきて、それをみるといろいろな会社が掲載されていて、その会社あてのハガキがあって、そのハガキを何枚か書くと、試験や面接の案内がきて、それで何社か受けてみて、受かればそれで良しとし、駄目であっても、大学の就職関係のところに相談にいけば、それなりに何とかなりました。だから、現在の学生のように就活で苦労などということはしたことがありません。


後でふりかえってみると、こんな感じて、学生も、大学院生もそれなりのところに全員受かっていて、何も心配することはありませんでした。それに、就職できないことの恐怖よりは、いわゆる社会人、企業人、組織人になることが恐怖の対象で、自分は組織人としてちゃんとやっていけるのだろうかというという事が不安でした。

そうして、今から振り返ってみると、その当時は今のようなデフレではありませんでした。その頃の日銀の動きなどみてみると、まともに働いており、金融緩和もまともにやっていました。政府のほうも、緊縮財政一辺倒ではなく、まともな財政政策をやっていました。これが、現在と当時の大きな違いです。 そもそも物価上昇率と、雇用との間には、明確に生の相関関係があり、それは、フリップス曲線として、経済学では良く知られている事実です。


就活当時の私もこれについては、あまり知らなかったので、偉そうなことはいえませんが、およそ、就活生の人は、このようなことを知っておくべきと思います。これを知らないで、デフレのときに就活をして何社にも断られてしまえば、精神的にめげるのは当然のことです。多くの人は、自分非があると思い込んだり。何度挑戦しても、合格しなければ、自分は世の中に必要とされていないと思い込んでしまうのではないかと思います。

まずは、そんなことはない、大括りでは、自分のせいでもなく、企業のせいでもなく、経済が悪いことが就活が厳しい原因であることを理解できれば、精神衛生上非常に良いのではないかと思います。人間、何か不幸なことがあって、その不幸の原因がまったくわからないでいることほど、不安で不気味に感じることはないと思います。それに、これからアベノミクスで、物価上昇を目指していますが、これから雇用関係は改善されるのは間違いないと思います。


それから、もう一つの違和感ですが、これは、上の記事にも若干触れられています。上の記事では、「就活は、日本独自の一種の文化であり、世界的に見ても他ではなかなか見られないスタイルである」と掲載していますが、これは本当です。というより、新卒を大量採用するという雇用慣行があるのは日本だけです。他の国ではありません。

どこの国でも、採用は不定期です。必要になったら採用するというのが一般的です。ですから、日本以外の国では、大学や大学院を卒業したからといって、必ず就職できるとは限りません。卒業してからも、しばらく就職できないということは多いにありえることで、そんなときは、バイトをしていて、募集している企業があれば、それをめがけて就活をするということになります。そんなことから、日本の学生などは非常に恵まれていると思います。

それから、これは知っておいていただきたいのですが、日本では何やら、企業に入って長い間努めているといずれ管理職になるのは当たり前という風潮がありまずが、これも日本独特のものです。通常日本以外の国では、管理職になれる人は、4割くらいです。後の6割は、一生平社員です。これも厳しいといえば、厳しいです。しかし、この一見厳しそうに見えるということが、そうではないということもあります。平社員であっても、所定の業務をきちんと遂行できるなら、何年でも勤めていられるということもあります。特にヨーロッパではそうです。

しかし、アメリカなどでは、景気が悪くなったり、新たな技術が生まれて、その技術によって、いらなくなった従業員を解雇できるということもあります。これも、日本からみるとかなり厳しいですが、逆に日本のように再就職の機会がなかなかないということはなく、日本よりは、再就職の機会に恵まれています。また、定年のことをいうと、アメリカでは州によって、定年制度も違います。平均すると、70歳が定年です。だからといって、全員が70歳まで務めるというわけではありません。年金などもらって、早く定年する人も大勢います。要するに、年齢だけをもって、解雇できるのは、70歳を過ぎてからということです。

こうしてみると、日本は海外と比較すると、雇用環境が一見良いようにもみえますが、そうとばかりはいえないようです。先日の日曜日に、「新報道2001」という番組があり、雇用問題について政治家の皆さんと、ゲスト出演していた作家の渡辺淳一さんが話をしていました。

そうして、なかなか話が咬み合っていないところとか、マクロ的な見方が誰もできていないことに違和感を覚えました。それに、日本の雇用環境が特殊であることもあまり理解されていないような気がしました。この番組を見て、記憶に残っているうちに、上の記事をみたものですから、さらに違和感を感じてしまいました。

そうして、最終的に現在の就活生、それに就活予備軍になる方に言いたいことは、まずは、就活と日銀の金融政策には密接な関係があることを理解していただき、特にデフレのときには、就活はなかなかうまくいかないのは、あなたのせいではなく、経済のせいであることを理解していれば、精神的には楽であること。それから、日本のような特殊な雇用環境はいつまでも続くことはないことを銘記していただきたいと思います。ただし、雇用環境が変わったからといって悪いことばかりではないことを記憶にとどめていただきたいです。

それから、最後に、当たり前のことを認識していただきいです。私のアメリカ人の知り合いで、シリコンバレーのIT企業に長年勤務していた人がいましたが、 その方は、60歳になったときに、引退しました。そうして、優雅な年金生活に入りました。しかし、1年くらいしてからでしょうか、他の企業から請われて、再就職しました。その方とは、SNSで連絡をとりあっていましたが、65歳に近くなってから、来年引退するからそうしたら、日本に行くので案内してくれというメッセージを受け取りました。

ところが、12月になると、クリスマスカードが届き、そのカードを見ると、来年はまだやめられそうにないので、来年の日本訪問はできないという旨が書かれていました。その次の年になると、また、SNSで、来年は引退するから、日本に行くので、案内してくれというメッセージが届きましたが、またクリスマスカードが届き、それには、来年引退は無理なので、残念ながら日本には行けないという旨が記載されていました。そんなことがもう、3年も続いています。

この方は、経営者ではありません。今でも純然たるIT技術者です。SNSでやりとりをしていてわかったのですが、この方は、若い時からIT技術者をしていましたが、その時々で、変身して、高い能力を身に着けてきたようです。その時々で、新たな能力を身に付け、次々に変身しています。最初は、それこそ、コーディングから初めて、SEをやり、今では一つのゲームをつくるために、ありとあらゆる分野の人々の間をとりもつコーディネーターの役割りを担っています。その能力が高いので、会社のほうが、彼を離したくないようです。給料もかなり良いようです。

結局いいたいのは、この方のように、常に自分の能力を高める努力をして自ら変身していれば、周りから必要とされるようになり、就活でも、何でも、雇用関係で思い悩む必要はなくなるということです。余計なことに思い悩んで何もしないということではなく、意図して意識して、変わり続けていくべきなのです。このことを認識して、現在就活生の皆さんや、これからの就活予備軍の皆さんには頑張っていだたきたいと思います。

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2013年3月24日日曜日

海自飛行艇 印へ輸出 中国牽制、政府手続き着手―【私の論評】安全保障のダイヤモンドへの地固めは着実に進んでいる!!

海自飛行艇 印へ輸出 中国牽制、政府手続き着手:

US-2
政府が、海上自衛隊に配備している水陸両用の救難飛行艇「US-2」をインドに輸出するための手続きに着手したことが23日、分かった。インドは日本側に救難活動や海賊対策でUS-2を導入する方針を伝えてきており、製造元は現地事務所を設け、インド政府との交渉に入った。日本にとり輸出による生産増で1機当たりの製造コストを下げ、自衛隊の調達費を低減させるメリットがある。

この記事の続きはこちらから!!



【私の論評】安全保障のダイヤモンドへの地固めは着実に進んでいる!!



US-2は、海上自衛隊が運用する救難飛行艇。製作は新明和工業。US-1Aの後継機体です。US-1Aは優れた飛行艇であったが、いくつかの問題も抱えていました。特に海上自衛隊からは、離着水時の操縦性の改善・患者輸送環境の改善・洋上救難能力の維持向上などが要求されていました。これらの課題に対して、US-1Aの近代化に向けた研究は新明和工業社内で1991年(平成3年)から行われており、防衛庁(現 防衛省)の指名によるUS-1A改開発は1996年(平成8年)10月から新明和を主契約会社、川崎重工業、富士重工業及び日本飛行機(日飛)を協力会社として開始されました。

当時世界最大の飛空艇二式大艇

この飛行艇は世界で最も優れている点があります。それは何かといえば、嵐で波が高くても、離着陸がしやすいというものです。この性能にかけては、世界一です。さすが日本の飛行艇です。新明和ほどこの性能に優れた飛行艇をつくることは、他の国ではできないことです。

新明和工業株式会社(しんめいわこうぎょう、英: ShinMaywa Industries, Ltd.)は、兵庫県宝塚市に本社を置く日本の機械メーカーでした。戦前は川西財閥傘下の航空機製造会社でした。

紫電


戦時中に、世界最大の飛空艇二式大艇や局地戦闘機紫電、紫電改を開発製造したメーカーとして知られています。前身の川西航空機時代から優れた航空機のメーカーとして知られていましたが、戦後は民需転換に成功し、天突きダンプ、じん芥車、水中ポンプ、機械式駐車場、理美容機器と、航空機以外にもユニーク且つ多彩な製品を持つメーカーとして評価されています。ただし、自衛隊にUS-1飛行艇を納品しているので戦争当時のノウハウが生かされているといえます。

紫電改

さて、この新明和私は、高校生くらいの頃から知っていました。なぜ知っていたかといえば、私が通っていた床屋さんの椅子が新明和製だったからです。椅子だったから、鏡のほうだったか忘れましたが、確か「新明和」とはっきりメーカー名が記されていました。そこで、いつも髪を刈ってもらっていたので、「新明和」といえば、床屋の椅子というようなイメージを持っていました。

サイトでみつけた、新明和の床屋の椅子。私がお世話になったのはこれに近いものでした。


ところが、あるときに本屋さんに行くと、 US-1の開発物語が掲載された文庫本が売られており、立ち読みしたら、何とあの床屋さんの椅子のメーカーである「新明和」が開発したこと、それどころか、このメーカーがあの二式大艇や、紫電、紫電改を作ったメーカーであることを知り、びっくり仰天してその書籍を買い求めて、家で一気に読んでしまったことを覚えています。その書籍の内容は忘れてしまいましたが、とにかく開発者らの感動的な物語であったことは、はっきり覚えています。

ポーランドのセクシーなお姉さんが髪をカットする床屋さん。お客さんも満足げ?

その後、床屋に行ったときは、床屋のお姉さん(注:私の行っていたのは上の写真のような床屋ではなく、普通の床屋(笑!!))に、その話をしたことを覚えています。このお姉さんも、新明和が二式大艇や紫電改のメーカーであったことなど知らなかったようで驚いていたことを覚えています。ちなみに、この床屋さんにはこの美人お姉さんがいたのて、それ目当てに行っていたというのは事実です。なにやら、髭をそってもらったりいろいろしていると、お姉さんの胸などが体にあたったり、いろいろ作業をしていると、作業衣の隙間から下着などが見えたりして、頭の中は、上の写真のような妄想状態でした(笑)!!今では良い思いでです。今回の話題で久しぶりにこのことを思い出しました。

この新明和現在では、理容室の椅子は製造していません。椅子の分野からは、2008年に撤退しています。理容室の椅子のシェアとしては当時は以下のようなものだったと思います。
タカラベルモント…70%
新明和…20%
その他…10%
撤退の理由は結局高齢化でこれから伸びることはない事業であること、それに、2008年といえば、デフレ真っ最中であり、しかも、リーマンショックがあったということもあり、断念したのだと思います。それに、椅子を作っていたのは、新明和本体ではなく、新明和リビテック株式会社という子会社だったということです。

これも、ポーランドの床屋。いかがわしいサービスはしません。本当に床屋だけのサービスです。

それにしても、今では床屋の椅子は作っていないものの、今の新明和でも手がける製品は本当に幅が広いのでびっくりしてしまいます。 軍事産業からの転身がうまくいった格好の事例だと思います。

そうして、この事実は今の日本の軍事産業を象徴しているように思えます。 とにかく武器輸出三原則なるものがあります。

武器輸出三原則とは、共産圏と国連決議による武器禁輸措置をとられた国、及び紛争地域への武器輸出を禁止したものであり、他の地域への武器輸出は「慎む」とされているため、武器輸出そのものを禁止しているわけではありません。しかし、日本は原則として武器および武器製造技術、武器への転用可能な物品の輸出をしていません。

武器輸出三原則によって原則に当てはまる武器輸出が事実上禁止されているますが、このことを直接規定した日本の法律は存在しません。

この武器輸出三原則により、政府が武器もしくは、武器に転用可能なものは輸出できにくい状況にありましたが、野田政権のときに武器の輸出を原則として禁じる「武器輸出三原則」の緩和を正式に決め、官房長官談話として発表しました。それまでは、例外として輸出を認めるかどうか個別に判断していました。これを抜本的に見直し、新たに設ける基準に従い、平和・人道目的や、国際共同開発・生産への参加であれば輸出を容認することとしたのです。



この「US-2」の輸出もこうした輸出緩和の流れの中でのものだと思います。特に、US-2の場合は、海難救助用ですから、インドに販売するのは、何も問題がないのだと思います。でも、インドがどのように使うかはまた、別問題です。嵐であっても、このUS-2なら、武装集団を派遣する事が可能です。そうして、こうしたことを続けているうちに、いずれは、 US-2にミサイルや機関砲を装備したものも売れるようにすれば良いと思います。二式大艇の場合は、武装もしていました。飛行場がないところでも、飛ばして長距離爆撃機にできます。

そうして、インドに売るということには意味があると思います。それは、このブログの過去の記事にも、掲載したように、安倍総裁が提唱する安全保障のダイヤモンドの一角にはインドが含まれているからです。

安全保障のダイヤモンドに関するこのブログの過去の記事を以下に掲載します。

尖閣侵犯、野田内閣“弱腰”で中国エスカレート 曳光弾封印…―【私の論評】知れば知るほど、納得する安倍総理の凄さ!!安全保障のダイヤモンドを知れ!! 

 



詳細は、上記の記事をご覧いただくものとして、安全保障のダイヤモンドについてのみ以下にコピペさせていただきます。

  (安倍首相は)「南シナ海には核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の原子力潜水艦の基地とするのに十分な深さがある」「間もなく中国海軍の新型空母が頻繁に見かけられるようになる」「中国の周辺諸国を恐れさせる事態」などと記したうえで、中国の海洋覇権を防ぐために、日本とオーストラリア、インド、米国ハワイが、インド洋から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイヤモンドを形成すべきだ、と主張しています。 
    この構想を進めるためか、岸田文雄外相は13日にオーストラリアに飛び、同国のカー外相と会談。米国を含めた安全保障分野の協力を加速させる方針で合意しました。 
    さらに、安倍首相は東南アジア歴訪の最後に訪れたインドネシアで18日、法の支配と自由で開かれた海洋の重視などを掲げた「日本外交の新たな5原則」を発表し、中国を強く牽制しました。 
    注目の論文では、セキュリティー・ダイヤモンドを強化するため、英国やマレーシア、シンガポール、ニュージーランド、タヒチのフランス太平洋海軍との連携についても触れています。英国は、もともと、マレーシア、シンガポール、ニュージランドのなどの宗主国でした。フランスも、この地域にかつて、植民地があり、タヒチの宗主国でもありました。 
    この構想には、周辺諸国は諸手をあげて賛成しています。もう時代は変わりました。このような構想を発表しても、周辺諸国は、日本の軍事力に脅威をいだくどころか、中国の脅威をかわす、希望の星です。
この安全保障のダイヤモンド一朝一夕 にしてできるものではありませんが、今回のインドへのUS-2の輸出はこのための良い下準備となるものと思います。

どんどんこの路線を進めて、中国の海洋進出の野望を挫くことは、周辺諸国の切なる要望だと思います。私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年3月23日土曜日

日銀・黒田新体制を待つ罠 異例の人事で不気味な兆候も…―【私の論評】日銀反リフレ派主流派の攻撃を阻止するには、縦深防御で臨め!!

日銀・黒田新体制を待つ罠 異例の人事で不気味な兆候も…
左より、岩田副総裁、黒田総裁、中曽副総裁

日銀は21日、黒田東彦(はるひこ)総裁(68)率いる新体制が本格始動する。黒田総裁は同日午後に日銀本店に初出勤、岩田規久男副総裁(70)とともに「2%のインフレ目標」早期達成へ、追加金融緩和の検討に着手する。だが、日銀内部の「抵抗勢力」が罠を張り巡らせているとの懸念もある。

黒田総裁と岩田副総裁は、従来の日銀に批判的で、国債購入の大幅な強化など金融政策を大胆に転換する構えだ。日銀プロパーにとって、これまでの政策ミスを突き付けられるだけに、歓迎ムードではないようだ。

ある元日銀マンは「正副総裁の講演原稿に日銀の意向に沿った文言を盛り込んで言質を取ったり、スケジュールを詰め込んで外部から情報を取れなくするなどしてコントロールしようとするだろう」と日銀プロパーによるレジスタンス活動に注意が必要とする。

すでに不気味な動きも出ている。日銀内で「将来の総裁候補」と目される雨宮正佳氏(57)が新体制発足直前、大阪支店長からわずか10カ月で理事に呼び戻される異例の人事があった。

「あれだけ批判された白川方明(まさあき)前総裁ですら、日銀内部では“最も金融緩和に積極的な人物”という評価」(前出の元日銀マン)だという。黒田、岩田両氏は“伏魔殿”に乗り込む覚悟が必要だろう。

【私の論評】日銀反リフレ派主流の攻撃を阻止するには、縦深防御で臨め!!

雨宮正佳氏

上の記事あまり長い記事ではないので、全文引用させていただきました。この中で気になるのは、異例の人事ということで、雨宮正佳氏が大阪支店長からわずか10ヶ月で理事に呼び戻されたという人事です。しかし、この人事はそんなに勘ぐらなくても良いと思います。

この人事は、おそらく日銀による維新の会対策ではなかろうかといわれていたからです。

この人事は昨年、5月11日付で発令されたものでした。この時に市場で関心をひいたのが、政策担当理事で「量的緩和政策」立案の中心人物だった雨宮正佳氏の大阪支店長への異動でした。

日銀は表向き、「雨宮氏に支店長経験がないため」と説明していましたが、この人事の正しい解釈は、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」対策だったと言われています。

さて、大阪維新の会は当時日ごとにその存在感を増していました。消費税増税や原発再稼働問題ではことごとく民主党政権の逆の政策を打ち出し、ついには倒閣まで口にしていました。次期総選挙で台風の目になることは確実でしたし、場合によっては政権を握る可能性すら秘めていました。

その場合、日銀としては気がかりだったのが当時の橋下氏の言動でした。日銀に関しても、「独立性が強すぎる」「(金融政策の)目標は(日銀ではなく)政府が決めるべきだ」と世界標準の正論を語り、インフレターゲット設定などを盛り込む日銀法改正にも前向きとされていたからです。そして、そんな橋下氏を説得して路線変更させられる力量の持ち主は、雨宮氏しかいないというのが実情だったのです。

ここで、日銀がどうやって政治家に取り入ってきたかのべておきます。まずは目をつけた政治家に金融関係のデータをこまめに届けることが第一歩です。そのうち、「ご説明に上がりたい」と接触し、定期的にアポが取れるようになったら、しめたものです。次の段階で、夜の会合に誘い出します。そうして日銀は、人目を気にせず夜の宴会ができる立派な施設を各地に持っています。

強みはなんと言っても経済情報です。民間金融機関の懐具合を知っているので、かなりの極秘情報も持っています。また、金融機関やそのシンクタンクに天下りも大勢おり、彼ら元日銀マンたちは古巣の情報などを元に経済情勢などを上手に語るので、政治家の講演会などにはうってつけのゲストになります。こうしたマンツーマンの人間関係で政治家に食い込むのです。

橋下市長

問題は、こうした日銀のお家芸が橋下氏に通用したかどうかです。橋下氏は議論を徹底的にオープンにしています。部内の会議でさえ公開していますし、記者会見はユーチューブで見られるようにしています。日銀の得意技であるマンツーマンの対人戦法は橋下流とは対極にあります。

日銀の大阪支店は、御堂筋を挟んで大阪市役所の真正面に位置する。「地の利」は果たしてメリットになったでしょうか。おそらく、ならなかったものと思います。その証拠として、私は日々橋下市長のツイートも追跡してますが、日銀大阪支店長との会談のことなどついに一言もみられませんでした。

日銀伏魔殿

おそらく、日銀としては、過去の民主党の歴代の野田、菅、鳩山総理大臣それに自民党の谷垣総理大臣などに対して、上にように取り行って、もっともらしい情報をたれこみ、日銀のどうしようもない馬鹿げた金融政策を正しい政策のように思い込ませることに大成功したのだと思います。これらの馬鹿総理大臣は、日銀にも財務省にもたやすく懐柔されて、意のままの操り人形となっていたというのが実情です。財務省には、あたかも日本がすぐに財政破綻するように信じこまされ、日銀には、日銀は十分に金融緩和をやっているかのごとく幻惑され、信じこんでいたというのが実情だと思います。

勝栄二郎元財務次官

ただし、財務省においては、従来の勝栄二郎財務次官は、すでに財務省を放逐され、IT企業に天下りました。財務高級官僚にとって、銀行や財務省関連の外郭団体などへの天下りならば、順当な天下りですが、IT企業などへの天下りなどは、放逐、島流し以外のなにものでもありません。やはり、財務省主流派は、勝氏の増税路線などは問題外の挙動だったのだと思います。ちなみに、財務省引き際の勝氏は、真砂財務次官から、部屋を取り上げられたそうです。真砂氏は、まさに、神か悪魔かといわれるような凄まじい人間ではないかと思います。それに、勝氏は財務省出身者の元老たちからは、末席に座らせてもらえないというとてつもない、しっぺ返しをくらわされたということです。

財務省はこのような状況ですが、日銀は違います。あくまでも、金融引締めが主流派の考え方であり、白川元総裁は、主流派からみれば、手ぬるい引き締めしかしなかったという評価です。ですから、とにかく歴代の総理や、これから、勢力を強める政治家などには、とにかくとりいって、日銀主流派の考え方が正しいことを吹き込むというのが、 常道です。

しかし、橋下市長には全く通用しなかったのでしよう。だから、これ以上雨宮氏を大阪に置いておいても、意味がなくなったのだと思います。それに、橋下大阪維新の会は分裂傾向にありますし、そんなことよりも、日銀にとっては、安倍総理が徹底的な金融緩和を進めること、それを実現しそうな、黒田総裁、岩田総裁が日銀に入り、先日のブログでも掲載したように、日銀政策決定委員会9人のメンバーのうち、これで4人が強力なリフレ派になったというお家騒動にどう対処するかが、大問題であり、そちらのほうが、大阪のことよりもはるかに重要なので、今回の異例の人事で雨宮氏を本店に戻したものと考えられます。

日銀は日銀なりに徹底抗戦を挑むつもりです。この抗戦に対してどう対処するかが、これからの大きな課題となります。

先日のブログでは、日銀政策決定委員会のうち、4人がリフレ派、4人が反リフレ派、1人がどっちつかずの、日銀出身の中曽宏日銀理事だった副総裁ということで、おそらく金融緩和政策に転じることが可能になることを掲載しました。そのブログのURLを以下に掲載します。

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」―【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!


詳細は、このブログを読んでいただくものとして、私はこの記事を書いた時点においては、かなり楽観的な見方をしていました。

しかし、上の記事では、厳しい内容になっています。やはり、こういう厳しい見方をしておいたほうが良いと思います。考えてみれば、日銀政策決定委員会のうち、4人だけがリフレ派で、あとの政策決定委員会のメンバーは反リフレ派、それに日銀の大部分の人間が反リフレ派ということです。中曽副総裁が、日銀主流派に懐柔されるなどいうことは多いに考えられることです。それに、マスコミは反リフレ派です。自民党の中でも、本当のリフレ派は少数派です。他政党でも、リフレ派は少数派です。ふりかえってみれば、ほとんどが安倍総理や黒田総裁、岩田副総裁それに、政策委員会の二人と一部のリフレ派を含めても、周りは敵だらけです。

現在の政策委員会審議委員 

職名 氏名 就任年月日 任期満了日 前職等 任命した内閣 年齢
総裁 黒田東彦 2013年3月20日
(平成25年)
2013年4月8日
(平成25年)
財務官
アジア開発銀行総裁
第2次安倍内閣 68歳
副総裁 中曽宏 2013年3月20日
(平成25年)
2018年3月19日
(平成30年)
日本銀行理事 第2次安倍内閣 59歳
副総裁 岩田規久男 2013年3月20日
(平成25年)
2018年3月19日
(平成30年)
学習院大学経済学部教授 第2次安倍内閣 70歳

宮尾龍蔵 2010年3月26日
(平成22年)
2015年3月25日
(平成27年)
神戸大学経済経営研究所教授 鳩山由紀夫内閣 48歳

森本宜久 2010年7月1日
(平成22年)
2015年6月30日
(平成27年)
東京電力取締役副社長 菅内閣 68歳

白井さゆり 2011年4月1日
(平成23年)
2016年3月31日
(平成28年)
慶應義塾大学総合政策学部教授 菅内閣 (2改) 50歳

石田浩二 2011年6月30日
(平成23年)
2016年6月29日
(平成28年)
三井住友ファイナンス&リース
代表取締役社長
菅内閣 (2改) 65歳

佐藤健裕 2012年7月24日
(平成24年)
2017年7月23日
(平成29年)
モルガン・スタンレーMUFG証券
マネージングディレクター
野田内閣 (2改) 51歳

木内登英 2012年7月24日
(平成24年)
2017年7月23日
(平成29年)
野村証券金融経済研究所
経済調査部長
野田内閣 (2改) 49歳

上の名簿のうち、黒田総裁、岩田副総裁、佐藤、木内審議員のみが、リフレ派であとは、反リフレ派です。

こうした、状況を打破するには、攻撃するよりも防御が重要になると考えます。防御とはいっても、単純な防御ではなく、縦深防御が必要になってきます。縦深防御(じゅうしんぼうぎょ、英語: defence in depth, elastic defence)は、戦闘教義の1つです。縦深防御は、攻撃側の前進を防ぐのではなく、前進を遅らそうとすることを目的とします。それにより、時間を稼ぎつつ、攻撃側の前進による占領地域の増加と引き換えに敵の犠牲者を増加させる戦略です。日本語では、深層防御(しんそうぼうぎょ)と呼ばれることもあります。対義語に水際作戦があります。

この縦深防御の考え方は、非軍事的な戦略の記述においても広く使われています。この場合、日本語では、階層的防御、多層防御、多重防御の名前で呼ばれます(英語での表記は同一である)。

この防御は、横一線に陣地を築いて防御するというのではなく、縦に深く陣地を構築して、侵入してきた敵を弱らせ、最終的に勝利を得るという方式です。これ は、第二次世界大戦の独ソ戦では、ソ連軍のゲオルギー・ジューコフ司令官がとった戦法で、この戦法により、優勢だったドイツ軍を敗退させました。

ゲオルギー・ジューコフ

とにかく、日銀側の攻勢に備えて、横一線の単純な防御をするにのではなく、深く深く防御をするのです。そのためには、たとえば、日銀主流派にとって、針のむしろを用意するにしても、このむしろを一重ではなく、二重、三重、四重、五重までつくって、徹底的にいたぶり、五重を突破したころには、へろへろにさせるのです。

日銀醜聞を流布するにしても、日銀官僚の身辺を徹底的に洗い、最初は週刊誌、次はテレビ、次は、新聞、次はネットとこれも、幾重にも防御をはりめぐらして、これも、全部を突破するまでにはへろへろになるまで徹底するのです。

次に、ネット上でも、最初は通常の文字によるものから、写真、その次は動画と幾重にも防御をはって徹底的に攻撃して、ここでも、ヘロヘロにするのです。

そうして、日銀法改正案についても、1次案では、比較的ゆるいもので、日銀側を安心させ、2次案では、それよりも厳しくして、案が出されるたびに厳しくし、10次案まで出すのです。最終的には、11次案をだして、そこには、本当に厳しい条項を盛り込みます。

そうなると、日銀側は、必死で旧来手法により、政治家などに接触などして、とにかくとりいって、日銀主流派の考え方が正しいことを吹き込み厳しい日銀法の成立を阻止しようとします。そのときがこちらのつけ目です。これら取り込み屋のうち数人が精神に異常をきたすまで追い込むくらいの勢いで責め立てるか、懐柔してこちらに取り込むかして、日銀主流派の攻勢を阻むべきです。

これからの裏の駆け引き、表には、出てこないでしょうが、これくらいの覚悟がないと、過去20年間とんでもない日銀の行状は直りません。それにしても、日本の戦後体制からの脱却への道はまだまだ遠いです。まず身内からこのようにして日本を防御しなければならないということが情けないといえば情けないです。しかし、現実は、現実です。

本格的にやるつもりなら、このくらい、あるいはもっと上をいくくらいの覚悟で取り組んでいただきたいものです。そうして、安倍総理には、その覚悟があると思います。そう思うのは私だけでしょうか?_

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2013年3月22日金曜日

今度は韓国の地方議員53人が対馬訪問へ、領有権も主張―【私の論評】いくら反日行動をしても、韓国は何も変わらない。良くするには、社会構造の変革を行わなければならない!!

今度は韓国の地方議員53人が対馬訪問へ、領有権も主張か


韓国慶尚南道の昌原市議会は19日、市議会議員42人が3月26日から27日にかけ、8年前に制定した「対馬の日」を記念して対馬を訪問すると発表した。同市議会は対馬の韓国領有を主張しており、訪問は新たな摩擦を生むのではないかと懸念されている。複数の韓国メディアが報じた。

対馬を訪問するのは、市議会議員55人のうち個人的な事情により欠席する議員を除いた42人と、議会事務局職員11人の計53人。釜山旅客ターミナルから船で訪問し、対馬の韓国展望所や歴史資料館、崔益鉉殉国碑などを見学する予定という。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

韓国メディアは、市議会議員らの対馬訪問は日韓両国の外交摩擦に発展する可能性もあることから、日本側が入国を認めない可能性もあると伝えた。(編集担当:新川悠)

【私の論評】いくら反日行動をしても、韓国は何も変わらない。良くするには、社会構造の変革を行わなければならない!!

どうしようもないです。ただでさえ、韓国は、領土問題や、慰安婦問題で、歴史の捏造をしてきたのですが、今度は、対馬の領有を主張するというのですから、常識外れ、歴史歪曲も甚だしいです。

先日も、産経ニュースでは、以下のようなニュースが掲載されたばかりです。

韓国の非礼 日本人の脳裏に深く刻まれる

詳細は、上のニュースをご覧いただくものとして、これでは、長崎県対馬市の観音寺から盗まれた高麗仏などの返還を日本政府が韓国政府に求めている問題で14日、もともとの所有を主張する韓国・浮石寺僧侶の訪問を観音寺住職が拒否したことについて、日本各地から、産経新聞の「読者サービス室」に韓国の非礼に関する非判の意見が多数寄せられたというものです。

こんなことがあったのに、さらに神経を逆なでするような、韓国地方議員の53人が、対馬訪問の報です。もう大方の日本人はこの韓国人の感覚に、驚き呆れて、もう相手にもしたくないというのが実情ではいないでしょうか?

韓国といえば、最近では以下のようなニュースもあります。

韓国で体の「過剰露出」処罰法案、ミニスカート標的と論議

この馬鹿馬鹿しい記事、詳細はこの記事をごらんいただくものとして、以下のようなミニスカートも駄目ということなのでしようか?
韓国女優キム・テヒ

しかし、これも矛盾しています。韓国の売春産業は、8.71兆ウォンでGDPの約5%占めています。まずは、これを何とかすべきです。「売春大国」の汚名を返上すべく、韓国では売春の摘発が強化されたが、なくなるどころか地下に潜り、さらには“輸出”までされて、ますます世界から白い目で見られています。

以下は、売春させろとデモをする売春婦たちの写真と、動画です。あまりにグロテスクで言葉を失います。

国家の裏の基幹産業であり、売春婦が公然とデモ行進する国韓国


韓国経済に関しては、先日このブログにも掲載したばかりです。

これが実力だぁ 中国・韓国 経済が大失速アベクロ相場でニッポン圧勝―【私の論評】白川によって中国と韓国の大富豪に大奉仕させらてきた日本人!!もう二度とあんなバカ真似はさせまじ!!

 

詳細は、上の記事をごらんいただくものとして、日本は日銀の長きにわたる、金融引締めによる円高・デフレ政策を継続し、韓国経済に多大な貢献をしてきました。異常なウォン安に加え、政府によるサムソンなどの有力企業の優遇策などにより、国内は酷いインフレに見舞われています。

 

 もう日銀は、黒田体制になったので、従来のような馬鹿な円高・デフレ政策は行わず、まともな金融政策に切り替わります。

 

日本では韓国経済は、アジア通貨危機から立ち直り躍進しているかの報道をしますが、そんなことはありません。アジア金融危機の解決策として、韓国では、大手銀行のほとんどにアメリカ資本を注入しました。その結果どのようなことが起こってるかといえば、韓国人が一生懸命に働いて銀行にお金を入れると、そのお金が配当金としてアメリカの金融機関にわたるという、まるで、アメリカ経済植民地のような状況になっているのが、韓国です。働けど働けど、良くなるのは、一部の優良企業と、アメリカです。庶民は、酷いインフレで苦しんでいます、酷い格差で苦しんでいます。

 

そのせいでしようか。韓国では、若者を中心に年平均8万人もの人々が、アメリカやヨーロッパに脱出するという異常事態が続いています。戦争でもあれば、別ですが、平時にこれだけの人々が逃げ出すという国を私は知りません。韓国では、有名校に入って優良企業に入らないと、よほどの奇跡がない限り、落ちこぼれです。這い上がれる機会はありません。これも、多くの若者にとって、将来を絶望させる大きな要因になっています。

 

韓国では、夫婦別姓が当たり前ですが、これも、何もフェミニズムとか、そういうことでなされているものではなく、異様な女性蔑視社会であり、夫の籍に妻の籍を入れさせないというとんでもない理由で、なされているものです。

 

 ちなみに、こうして、韓国を逃げ出す人のことを脱南者と呼びます。これは、あの北朝鮮から抜け出す人々、脱北者が年平均2万人といわれていますから、実に脱南者は、脱北者の4倍ということになります。以下に、韓国が若者などにとって、魅力のない絶望的な国であるかご理解いただけるものと思います。

毎年繰り返される異様な熱気につつまれる韓国の大学入試

だからこそ、韓国政府は、反日で国民の目をそらそうと、歴史の歪曲なども含めて、組織的に反日運動をします。結局南京問題などで、官製反日運動をする中国と似たようなものです。しかし、韓国政府も良く考えていただきたいものです。いくら、反日運動を活発化させたにしても、反日デモなどに参加していれば、韓国民もその時は憂さ晴らしなどできるでしょうが、何回をそれをやったからといって、実際には何も変わらないわけです。10回、20回とやり続けても、何も韓国が変わらないということになれば、韓国人だって、いずれ何かがおかしいと気づいて、その怒りの矛先は、政府に向かうと思います。いや、すでにもう向かっています。だからますます、反日は効き目がなくなっています。踊らされるのは、韓国民でも愚かな人々だけだと思います。

 

上の記事では、中国に関しては、これから社会構造の変革をして、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をして、中間層を増やすことによって、経済発展をすることが可能になるのに、現代中国共産党政府はそのような意図は全くないので、10年以内に中国は分裂することであろうことを掲載しました。

 

韓国は、中国ほと社会構造は遅れてはいませんが、遅れていることには変わりありません。このようなことを直すには、反日などで、国民の目を逸らしても単なる一時しのぎにすぎません根本的には、やはり、反日などやめて、社会構造の変革を行い、まともな社会にして、格差を減らし、若者に希望が持てる国づくりをしていくことが最も良い方法です。それをせず、中国と同じようなことをしていれば、いずれ、まだ交戦状態にある北朝鮮に飲み込まれていしまうようなこともありうることだと思います。そうなってからは手遅れです。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんはどう思われますか? 

 

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竹島問題 韓国の主張覆す古地図見つかる―竹島も南京も北方領土も日本の主張だけが正しい!

 

韓国:北朝鮮から砲弾数十発 対応射撃80発 負傷者も―【私の論評】世代交代のための軍事行動か!!これだけですめば良いのだか?

 

李大統領を竹島に上陸させたのは朴槿恵?!−【私の論評】アメリカ金融機関経済植民地韓国の教訓を活かせ!! 

 

「K-POPが日本市場で縮小の兆し」 韓国メディアの報道が話題に―【私の論評】それだけではないでしょう、大規模デモも確実に効果があったとみるべき!!

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2013年3月21日木曜日

【正論】習新政権が軍を御しきれぬ理由 防衛大学校教授・村井友秀―【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【4】

【正論】習新政権が軍を御しきれぬ理由 防衛大学校教授・村井友秀:


防衛大学校教授・村井友秀

「近年、中国軍は近隣諸国を威嚇する行動をとっているが、この行動は共産党から独立しているように見える」(2012年2月10日付米紙ニューヨーク・タイムズ)との懸念は当たっているのであろうか。この1月、東シナ海公海上で中国海軍フリゲート艦が海上自衛隊護衛艦に射撃管制用レーダーを照射した事件は、中国艦艦長が「軍は断固として主権を守らねばならない」(習近平国家主席)といった指導部宣言を、自分なりに解釈し実行したものだという見方が中国国内では多い。

≪レーダー照射が示す軍高政低≫

当初、照射の事実を知らないと答えた中国外務省報道官の発言は何を意味するのか。中国軍と外務省の関係について検討する。

国家には、民族の集合体としての「国民国家」と政府に代表される統治機関としての「国家機関」がある。国民国家において、国家は統治機関としての政府を超えた至高の存在である。だが、共産主義国家では国家は統治機関を意味し、統治機関としての国家、つまり政府は共産党の決定を実行する機関に過ぎない。共産主義国家では党は国家より上位にある。

党と軍が一体となって革命戦争に勝利した中国では、軍は党と不可分の組織であり、党の下にある政府より上に位置する。軍の決定を下位組織の政府が、ましてその一部局に過ぎない外務省が知らされていなかったとしても不思議ではない。軍の行動を外交部が知らなくとも、それは政府が機能していないのではなく、中国の統治機構ではあり得ることである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今回のレーダー照射事案について、ある中国軍関係者は、照射したのは日本の艦船に対してだけだとし、米国やロシアはもちろん、ベトナムや韓国の艦船に対しても同様の行動に出れば反撃されかねないからだとも述べている。

このように日本を軽く見ての軍事、外交、世論の三方向からの対日圧力は、習新政権下で強まりこそすれ弱まりはしない。だから、日本が軍事、外交面で抵抗力 を強めることは当然である。その場合には、中国の圧力は民主主義の弱点である分裂した世論に集中することになろう。軍事、外交は政府の責任だが、世論工作 に抵抗するには、民間の役割も大きい。(むらい ともひで)

この記事の詳細はこちらから!

【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【4

映画「ラスト・エンペラー」のブルーディスクのパッケージ


上の記事でも述べていたように、人民解放軍は、人民の軍隊ではなく、中国共産党の私兵にすぎません。厳密な意味では、人民解放軍一般先進国にみられる軍隊ではありません。一般先進国の軍隊は、政府の配下にあるもので、選挙で国民に選ばれた政府の配下にある国民の軍隊です。その第一の任務は、安全保障です。そもそも、出自が全く異なるのです。

さらに、上の記事では、以下のように習主席の軍に対する影響力を分析しています。
中国で現在、中国軍を指揮しているのは主席ではなく中央軍事委員会である。中央軍事委で軍事問題を議論する際、軍事専門家の意見に軍事の素人が異論をはさ むのは困難であろう。中央軍事委は、文官の習主席と10人の軍人で構成されており、軍人の影響力は絶大である。対照的に、党政治局の会議で軍事問題が議論 されることはほとんどないとされている。
中国の新しい習近平主席は、まだまだ、共産党を掌握しきれていません。 それは、このブログでも以前に掲載しましたが、これに関して中国共産党の人事分析に関しては、以下の記事がかなり秀逸だと思います。


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に昨年11月に新しくなった中国共産党の組織図と、上の記事の結論部分のみを掲載させいただきます。
 こうした状況の中で、「もし改革を本気でやらなければ……」という危機感が党内で共有されていることは、胡錦濤が政治報告で「思想解放」を何度も強調したことでも明らかだ。ただ、だからといって、それが共産党の伝統的価値観を否定するほどまでに強いかといえばそうではない。というのも、胡錦濤は十八大において危機感を強調する一方で、党の役割を肯定的に認めていたからだ。それが「3つの自信」(道路自信、理論自信、制度自信)である。要約すれば、党は正しく、「このままで良い」と言っているに等しい。

 ここからは危機は認めつつも何もしない党の体質がうかがえるのだが、それこそが今回の人事の神髄ではないだろうか。この二律背反する現象は、日本社会でも見られる「危機感を持つ若者」と「気が付きながら何もしない老人」という世代間ギャップにも通じている。

薄煕来の存在が浮き彫りにした、民衆の経済格差への不満を背景とする「左傾」(毛沢東時代への回帰)という変化を排除し、また返す刀で汪洋という急進改革も退けた中国共産党が習近平新体制人事で最終的に選んだのは、伝統的価値観の維持というバランスだった、という落ちなのだろうか。
 このように、習近平主席は、軍を掌握できないばかりか、中国共産党もまともに掌握出来ない状況にあります。そんな中で、中国共産党は伝統的価値の維持というとんでもない道を選んでいます。要するに何もしない、何もできないことの意図の表明です。

日銀が金融引締めによって、中国経済に多大な寄与をしてきましたが、これも、白川総裁から黒田総裁に変わって、もう期待することはできなくなりました。過去20年間、中国は日本銀行の多大な寄与により、社会変革をしなくても、従来の構造のままで何とかやってくることができました。経済がある程度伸びいていたので、軍事力も強化できたし、人民が内紛を起こしそうなれば、力で制圧することができました。

それに、人民が内乱を起こしそうになれば、習近平が昨年実施したように、尖閣問題を煽り、反日デモを煽り、国民の目を日本に向ければ、なんとかなってきました。しかし、それにも限界があります。 反日デモを繰り返しても、結局は何も変わりません。10回も、20回も反日デモに参加したしても、その時は憂さ晴らしにはなるかもしれませんが、それだけで、何も変わりません。

3人とも華僑の出身のAngel Girlのパフォーマンス
今後日本銀行の多大な寄与を期待できないということになれば、中国の残されている道は、二つのみです。一つは、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をして、中間層の拡大に務めることです。そうすることにより、実体経済はまともになり、 経済成長をすることも可能になり、中国の躍進の道が開かれます。

もう一つの道は、もう上にも述べたように、中国共産党が選んでしまった道である、「何もしない、何も出来ない」路線です。この道を選べばどういうことになるか。今後もこれを変えなければ、結論は、これからどこまでも、格差が拡大し、人民の憤怒のマグマは頂点に達して、建国以来毎年平均2万件もあるという暴動などの生易しいものではなく、本格的な内乱になります。そうして、中国は5つから6つくらいの国に分裂することになるでしよう。このままでは、10年以内にそうなります。

現在みられる、中国による日本の領海・領空侵犯や、尖閣問題などは、歴代の日本政府の対応が甘かったため、たまたま、こうした中国の内情を反映した出来事であり、中国の分裂、習近平がラストエンペラーとなることの予兆だとみるべきです。駒を回した方はご存知だと思いますが、回した直後は、安定していますが、止まる直前には、大きく振れます。現代中国共産党はまさにその状況にあります。

独楽回し
日本としては、こういう背景を理解して、上の記事のように、軍事、外交においては政府が毅然とした態度で臨むこと、そうして、民間である私たちもそうすべきです。そもそも、現在の中国の海軍力では、日本の海上自衛隊には対抗できません。もし、軍事衝突が起こった場合、想像できることは、中国艦艇・潜水艦や航空機の全敗です。

日本の対潜哨戒機P1

このブログに掲載したように、日本の対潜哨戒能力は世界一です。この日本が、本気を出して中国海軍と対峙すれば、現状の中国が日本に戦いを挑むのは、あまりに無謀です。自分たちも気付かぬうちに、瞬時に撃破され海の藻屑と消えることでしょう。というより、中国人民解放軍にとっては、自殺行為です。かといって、核兵器を使おうにも、日本はアメリカの核の傘の下にあります。核攻撃すれば、報復を覚悟しなければなりません。

習近平

となれば、通常兵器や、超限戦のみで挑まなければならず、そうなると、軍事的敗北は、必至であり、そうなれば、人民の憤怒のマグマはさらに高まることになるだけです。ただし、最期の最期で、滅亡するときに敗れかぶれになる可能性は、あります。それには、十分を気をつけなければならないと思います。日本としては、自滅を待つか、自滅を誘引するような措置をとるべきと思います。そう思うのは、私だけでしようか?皆さんは、どう思われますか?

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