2018年3月19日月曜日

「事実上の皇帝」習近平とプーチンに、トランプは対抗できるのか―【私の論評】19世紀の皇帝たちの無謀な試みを阻止せよ(゚д゚)!

「事実上の皇帝」習近平とプーチンに、トランプは対抗できるのか

ドクターZ

いくらでも任期が延ばせる国

二人の皇帝とトランプ米大統領
トランプ政権が誕生してから1年以上が経過したいま、米中露それぞれが首脳の強権体制を強める動きに出てきた。
中国共産党は国家主席の任期を無制限にすることを検討中。これが実現すれば「習近平皇帝」誕生といったところだが、対抗するかのように、ロシアのプーチン大統領も「世界全土を射程範囲に収める」という新型巡航ミサイルを発表し、通算4選についての意気込みまで明らかにしている。
中露がトランプ大統領の再選まで視野に入れて中央集権体制を整えているとすれば、今後三国の関係はどのような変化を遂げていくのだろうか。
まず、米中露の社会体制のおさらいをしておこう。
イギリスのエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが'17年に発表した世界167ヵ国・地域が対象の「民主主義指数」を見ると、アメリカは21位、ロシアは135位、中国は139位となっている。中国は共産党の実質的な一党独裁であり、憲法より共産党の決定のほうが優位になっている。そのため、国家主席の任期を無制限にするのは難しいことではない。
共和制の体をとるロシアも実際のところは独裁体制だが、大統領の任期の上限は2期12年と決められている。プーチン大統領は'12年から通算3期目だが、一度大統領を退いて再び当選するという裏技でこのルールを回避している。しかも、メドベージェフ氏が大統領を務めていた間もプーチン氏は大きな影響力を持っていたとされているから、実質的には10年以上覇権を握っていることになる。
アメリカの2期8年という大統領任期は比較的厳格に守られていて、歴代大統領のうちグロバー・クリーブランドだけが連続ではなく、一度退いてから再び同職を務めている。憲法をあっさり改正して任期を撤廃する中国、裏技でいくらでも任期を延ばせるロシアに比べれば、ずっと民主的なほうだ。
では、中露で元首の「皇帝化」が進むとなにが起こるのか。
まず、外交政策や安全保障において「強権国家化」が進むだろう。実際、中国の習近平主席は「海洋強国」を掲げており、ロシアの新型ミサイル開発も覇権主義を明確にするものだ。
中露の強権国家化が進むと、アメリカでもトランプ大統領の再選への後押しの動きは強くなる可能性がある。トランプ大統領の主張は、かつてレーガン大統領が冷戦中の'80年代に訴えた「強いアメリカ」の再来であり、強国化が進む二国を意識してのものだ。
それでは、米中露三大国の歩む道はどうなるかといえば、その他の諸国がどこに付くのかが問題になってくる。政治体制からすれば、欧州はアメリカ、アフリカは中国、ロシアはその隙間をついて協調関係を結ぶことになるだろう。
しかし、トランプ大統領は目下関税強化を進めていて、長期的には本来味方とするべき民主主義国の多くを敵に回すかもしれない。仮にトランプ大統領が再選しても、任期はあと6年。長く感じるかもしれないが、中露の指導者の任期は実質無限だ。徐々に20世紀以前のような帝国体制を整える二大国に対して、アメリカは民主主義のよさを訴えながら、互角に渡り合えるだろうか。
『週刊現代』2018年3月24日号より
【私の論評】19世紀の皇帝たちの無謀な試みを阻止せよ(゚д゚)!
中国とロシアという2つの帝国の登場により、世界に国際秩序の崩壊と地域戦争の勃発という2つの重大な危機が迫っていることについては、このブログでも以前掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序―【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!
ロバート・ケイガン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 ケーガン氏(ブログ管理人注:昨年)1月24日に「自由主義的世界秩序の衰退」と題する同論文を発表した。同氏はこの論文で、第2次大戦以降の70余年の間、米国主導で構築し運営してきた自由主義の世界秩序は、崩壊に向かう最大の危機を迎えたと指摘する。 
 危機の原因となっているのは、支那とロシアという反自由主義の二大国家の挑戦だ。1991年のソ連崩壊以後の米国の歴代政権が「唯一の超大国」の座に安住し、とくにオバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことがその状況を招いたという。 
支那、ロシアの軍事力行使の危険性が高まる 
 ケーガン氏の論文の要点をまとめると以下の通りである。 
・世界は第2次世界大戦の終結から現在まで、基本的には「自由主義的世界秩序」に支えられてきた。この秩序は民主主義、自由、人権、法の統治、自由経済などを基盤とし、米国の主導で構築され運営されてきた。 
・しかしこの世界秩序は、ソ連崩壊から25年経った今、支那とロシアという二大強国の挑戦により崩壊の危機を迎えるにいたった。 
・支那は南シナ海、東シナ海へと膨張し、東アジア全体に覇権を確立して、同地域の他の諸国を隷属化しようしている。ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっている。両国はその目的のために軍事力の行使を選択肢に入れている。 
・支那とロシアの軍事的な脅威や攻撃を防いできたのは、米国と同盟諸国が一体化した強大な軍事力による抑止だった。 
・だが、近年は米国の抑止力が弱くなってきた。とくにオバマ政権は対外的な力を行使しないと宣言し、国防費の大幅削減で米軍の規模や能力はすっかり縮小してしまった。 
・その結果、いまの世界は支那やロシアが軍事力を行使する危険性がかつてなく高まってきた。武力行使による膨張や現状破壊を止めるには、軍事的対応で抑止することを事前に宣言するしかない。
トランプ政権は米軍の再増強や「力による平和」策を宣言しながらも、世界における超大国としての指導的立場や、安全保障面での中心的役割を復活させることには難色をみせている。

しかし、ケーガン氏は、世界の危機への対策としては、米国が世界におけるリーダーシップを再び発揮することだといいます。


日本の保守層は、「戦後レジーム」からの脱却ということを主張してきました。私も、当然のことながらこれには賛成です。

ただし、私たちは現在中国、ロシアが「戦後レジーム」を崩壊させるほうに動いていることを理解すべきです。そうして、その崩壊の方法は、日米などとは全く関係なく、自分たちの都合の良い方向に曲げようとしています。

習近平支那皇帝とプーチン露西亜皇帝
そうして、彼らの望む新たな秩序は、民主化、政治と経済の分離、法治国家があまりなされていなかった、19世紀の体制です。そもそも、中国もロシアも軍隊などは近代化を推し進めながら、国の体制としては元々遅れているので、世界に新たな秩序を作り出すとすれば、19世紀の帝国のような体制を目指さざるを得ません。

シンガポールのような独裁政権の国家であれば、これに対してあまり違和感はないかもしれません。しかし、世界には民主的な体制に移行したり、移行しようと努力している国々も多いです。

ただし、現在中国にもロシアにも誤算があります。ロシアについては、現状ではGDPが韓国なみであり、日本の東京都と同じくらいの規模しかありません。

プーチンは資源国としての成長を目指しましたが、現在石油などの価格は低迷しています。そのため、いくら頑張ったとしても、世界規模の新秩序の樹立には取り組みたくてもできません。せいぜい、周辺諸国に対してこれをかろうじて実現できるくらいのことで終わってしまう可能性のほうが大きいです。

中国に関しては、過去においては、国内の大規模なインフラ整備によって経済成長をしてきましたが、国内ではもうすでに投資案件が一巡してしまったので、習近平は一帯一路なるブロジェクトを推進しています。これは、中国主導で世界各地にインフラ整備をして新たな交易路をつくりだそうというものです。

しかし、この構想は最初から頓挫することが運命づけられたようなブロジェクトです。これは、失敗に終わり、中国はしばらく中進国の地位から抜け出すことができない可能性が大きいです。そうなると、中国も世界に中国にとって都合の良い新秩序を樹立するのはかなり難しいかもれません。

さらに、ロシアは、中国とは仲良くならないでしょう。プーチンは、シベリアなどに侵食してくる中国を脅威だとみているからです。むしろ、ロシアは中国をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずです。

とはいいながら、ロシアはクリミア侵攻などで、米国などから制裁を受けている真っ最中でもあります。だから、おいそれと日米接近というわけにもいきません。

2014年3月4日、ベルベク空軍基地を占拠するロシア軍に対して
歌を歌いながら行進し、基地の返還を求めるウクライナ軍兵士

このようなことから、中露が「戦後レジューム」を壊して、新たな世界の秩序を樹立するためには、現実には様々な一筋縄ではいかない、状況にあります。私は、これは失敗する確率のほうが高いと思います。しかし、失敗するまでの過程で、中露両国が世界中で様々な軋轢を生み出す可能性は十分あります。

そうして、最悪のシナリオでは米・中・露三つ巴の戦争が起こる可能性さえあり得るということを銘記すべきでしょう。さらに、このことは日本を含めた世界中の国々に大きな影響を与えます。日本は、遅ればせながら今からでもそれに備える必要があります。

戦後体制が崩れれば、そのときには我が国は、北朝鮮のICBMにも、中国の海洋進出にも、あらゆる安全保障に関する課題について日本は米国に全面的に頼ることはできないと考えて臨むべきです。

日本の背後には、いつでも、アメリカが存在していて、必ず助けるてくれるとは限らないと、覚悟するよりないのです。少なくとも、尖閣は自分で守らなければならないことなるでしょう。

自分の国のことを他国に憚らず自分で決め、自分で守るのは、トランプ大統領に言われることもなく、自明の理屈なのです。無論その時に、米国との対等同盟関係を築くことも選択肢の一つです。

しかし、アメリカに頼りきって、アメリカに守られながら生きる日本の時代、日本にとっての「戦後レジーム」は、間もなく終了するとみなすべきなのです。そもそも、これは当然のことです。どんなに強固な体制であっても同じ体制が永遠に続くことなどあり得ないのです。時代の変化にあわせて変わっていくのが自明の理です。


戦後レジームが終わりを迎え、新たなレジームができあがったとき、それを中露の思い通りのものにするわけにはいかないのです。日米、EU、その他多くの国々も、19世紀の遅れた体制に戻るわけにはいかないのです。これだけは、何としても防がなればならないのです。

それには、ケーガン氏が主張するように、米国は世界でのリーダーシップを取り戻し、日本もアジアでのリーダーシップをとりもどさなけばならないです。先程、中露が世界で「戦後レジーム」に変わって新たな秩序を樹立するのは非常に難しいということをあげました。この事実に加えて米国などの軍事力には到底かなわないことを悟らせれば、これから両国が世界で軋轢を起こすこともなくなるでしょう。

そのためには、日本は軍事的には普通の国に生まれ変わらなければなりません。そうして、昨年は実質上の日英同盟が復活しましたが、いずれ日米英豪印同盟なども構築して、中露に対抗していかなければならないのです。それ以外に世界の平和と安定を維持することはできません。

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2018年3月18日日曜日

中国で“爆買い”企業が続々凋落 バブル崩壊の兆し? 経済評論家・渡辺哲也―【私の論評】一帯一路も凋落することを予見させる出来事(゚д゚)!

中国で“爆買い”企業が続々凋落 バブル崩壊の兆し? 経済評論家・渡辺哲也

安邦保険集団(アンバン・グループ)

 中国の多くの複合企業体で異変が起きている。中国金融当局は2月23日、国内大手保険会社の安邦保険集団(アンバン・グループ)を公的管理下に置くと発表した。

 安邦は、2015年に米ニューヨークの名門ホテルとして知られるウォルドルフ・アストリアや米不動産投資信託(REIT)のストラテジック・ホテルズ・アンド・リゾーツを55億ドル(現在の為替レートで5775億円)で手中に収めるなど、積極的に海外資産の買収を繰り返してきた企業である。

 今回の公的管理の背景には、不良債権の増加と破綻リスクの拡大を恐れる金融当局の判断があったといわれている。

 ここ数年、中国企業による海外での大型買収が相次いでいたが、市場ではその買収価格に対して、「高すぎる」との評価が強く、結果的にこの高額買収案件が不良債権化し始めたわけである。安邦同様に積極的な買収を繰り返してきた復星集団(フォースン・グループ)、大連万達集団(ワンダ・グループ)、海航集団(HNAグループ)も流動性危機に陥っており、現在、それらの企業体も危機的な状況にあるとみられている。

2012年5月21日、大連万達集団は世界2位の映画館チェーン・AMCエンターテイメント
・ホールディングスの買収。世界最大の映画館チェーンとなった。

中国では、バブルで金余りが生じる一方、国内投資物件の高騰により投資先が不足し、海外企業や海外資産の買収がブームになっていた。そして、中国企業が競り合う形で海外の投資物件の価格を釣り上げてしまっていたわけである。

 しかし、高値で買えば、利回りが悪化するのは当然の話であり、多くの投資案件で調達金利に対して運用利回りが低いという逆ザヤが生じた。

 このような投資案件だが、たとえ運用利回りが逆ザヤであっても、それ以上に高い価格で買う投資家がいれば問題ないが、そうでなければ金利に押しつぶされる形で破綻する。そして、これが今、各所で起きているのである。

 中国の金融監督当局は昨年6~7月、外貨不足への対応と金融リスクの拡大懸念から、海外投資の規制を一気に強化し、投資拡大をしてきた企業に対しての締め付けを強化した。

 その結果、さらに高値で買う企業がなくなってしまい、高額投資案件の多くが不良債権として認識され始めたのである。これが企業財務に対する懸念を生み、金利の高騰により企業の資金調達を困難にしてしまったのである。

 現在、このような企業の多くは企業財務の健全化と手元資金の確保のため、買収した資産の売却を急いでいるが、買収価格以上の売却は困難とみられており、売却による損失がさらに企業を苦しめてゆくものと考えられる。

 これは、その資金の貸し手である大手銀行を巻き込む形で社会問題化してゆく可能性が高い。このような光景は、バブル崩壊後に見られる特徴的なものであり、1990年代後半から2000年ごろにかけて日本でも数多く起きた現象と同じだ。

 「新時代の中国の特色ある社会主義」を掲げ、再び社会主義色を強めるとする習近平体制は、資本主義の与えたこの大きな試練にどのように対応するのだろうか。

 渡辺哲也(わたなべ・てつや) 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。48歳。愛知県出身。

【私の論評】一帯一路も凋落することを予見させる出来事(゚д゚)!

中国政府は、先月安邦保険集団の呉小暉会長を起訴していました。同集団の違法性のある経営手法で、保険金の支払い能力が損なわれる可能性があるためだとしていました。安邦は近年、ニューヨーク市の最高級老舗ホテル、ウォルドルフ・アストリアを含む海外の企業や不動産を積極的に買収していました。同社の爆買いの背景には、共産党内の敵対勢力があると睨んだ習近平政権は「人民元流出規制」を名目に、同社を失墜させた模様です。

ニューヨーク市の最高級老舗ホテル、ウォルドルフ・アストリア

中国保険監督管理委員会2月23日の発表によると、同社顧客の資産保護のため、2019年2月22日までの一年間、政府が同社を管理するとしています。保監会主導で、中国人民銀行(中央銀行)や銀行、証券、為替の監督機関から成るチームが同社の管理に当たります。巨大企業体の安邦保険の総資産規模は32兆円以上と言われていました。

ブルームバーグ2月13日付の記事によれば、米不動産大手ブラックストーン・グループが現在、ウォルドルフ・アストリアを買い戻すことを検討しているといいます。

当局によると、政府作業部会は安邦保険の通常業務を継続するといいます。安邦保険の呉小暉会長について、「経済犯罪の疑いで起訴されている」と明記しましーた。

この政府発表は、安邦保険が2014年10月、ヒルトン・ワールドワイドから、外資による買収では当時、米国史上最高金額である19億5000万ドル(約2164億5000万円)で購入した米ニューヨークの老舗ホテル、ウォルドルフ・アストリアが、中国政府の手中に入ることを意味します。

ストラテジックホテル&リゾート、JWマリオット・エセックス・ハウス、ワシントンのフォーシーズンズホテルなども、中国政府の管理下に置かれることになります。

習近平政権の監督当局は数年前から、グローバル規模で不動産を積極的に買収する安邦保険の背後に注目していました。呉小暉会長は、元国家主席である故・鄧小平の孫娘と結婚しており、共産党内の江沢民派とも近い人物とされます。米政府系VOAは政治評論家の陳破空氏らの分析として、同社の株主は、こうした習近平政権と敵対する勢力が多く、呉氏が「金庫番」を担っていたとの見方を伝えました。



香港紙「蘋果日報」2017年4月22日付によると、中国当局は、2016年から米国保険会社や高級ホテルグループの買収計画を進めていた安邦保険に、ストップをかけました。保険監督管理委員会は、総資産に占める海外での投資額比率が高すぎるとして、同社の海外買収案を却下しました。

2017年6月、呉氏が中国当局に突然拘束されました。習近平政権は、金融機関の腐敗にメスを入れ、海外人民元の流出についても厳しく取り締まりを進めている最中でした。

安邦保険集団(アンバン・グループ)を中国政府の管理下に置かれたのは、以上のように中国国内の権力闘争の結果であることがわかります。そうして、この権力闘争は今のところ習近平派が勝利を収めています。

ブログ冒頭の渡辺氏の記事にもあるように中国では、バブルで金余りが生じる一方、国内投資物件の高騰により投資先が不足し、海外企業や海外資産の買収がブームになっていました。そして、中国企業が競り合う形で海外の投資物件の価格を釣り上げてしまっていました。

しかし、高値で買えば、利回りが悪化するのは当然の話であり、多くの投資案件で調達金利に対して運用利回りが低いという逆ザヤが生じたのです。

これは、安邦保険集団(アンバン・グループ)以外の、復星集団(フォースン・グループ)、大連万達集団(ワンダ・グループ)、海航集団(HNAグループ)も似たような状況でしょう。

しかし、習近平も似たようなことを国家レベルで行っています。それは、いわずと知れた「一帯一路」です。これを実現するため、中国は世界各地で様々な大きな投資を繰り返しています。

この「一帯一路」は妄想に過ぎないことを、以前このブログでとりあげたことがあります。その記事のリンクを掲載します。
中国の「一帯一路」がピンチ?大型プロジェクト取り消す国が相次ぐ―米華字メディア―【私の論評】"一帯一路"は過去の経済発展モデル継続のための幻想に過ぎない(゚д゚)!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一帯一路が最初から無理筋のブロジェクトであることを示した部分を以下に引用します。

"
これ(ブログ管理人注:一帯一路のこと)は、あたかも海運を一種の“新発見”と捉えているかのようです。しかし、実際のところは、大航海時代以来、あらゆる沿海先進国が海運の発展を試みてきました。

“上海自由貿易区”によって今や世界最高のサービスを提供するシンガポール港から積替港の地位を奪う、その理由は、上海から日本・韓国への距離がシンガポールに近いからである等など、こうした考え方自体が噴飯ものです。

貨物を最終目的地に直接運ぶことができるのに、なぜ改めて積替を行う必要があるのでしょうか。欧州などを原産地とする貨物が、マラッカ海峡通った後に、なぜ遠回りして上海に行く必要があるのでしょうか。もしそのような必要があるなら、香港や珠海デルタがとうの昔にシンガポールを市場から駆逐していたはずです。

シンガポールと香港の持つ優位性で、自由貿易よりも更に重要なのは、法律制度と資本の保護です。欧米諸国が中国と貿易を行う際、シンガポールや香港で貨物の受け渡しをするのは、中国の制度を信用していないからです。

中国は依然として独裁政治で、態度が横暴な“大国”であり、この状況は変わりません。こうした中で、いわゆる“自由貿易区”を実施しても、中国の関税に穴が開くだけのことです。最終的には関税の全面的な取消しとなるか、植民地時代の租界になるだけであり、根本的に実施不可能です。

いわゆる“一帯”—“シルクロード経済帯”など、これはより荒唐無稽の極みにある妄想と言って良いです。大航海時代以来、古代のシルクロードはすでに完全に競争力を失っており、とうの昔に荒廃しているのです。


アフガニスタン、パキスタン、旧ソビエト連邦の中央アジア5か国等は、インフラや経済的収益をもたらす商機が欠乏しているのみならず、先天的要因である商業ルートの地理的制約が大きく、これをお金で解決することは根本的に不可能です。

タジキスタンと中国の間の唯一の国境検査所である“カラスウ検査所”を例にとると、この検査所はパミール高原に位置する。当地は海抜4368メートルで、基本的に人や動物が住まない所です。

当地にはウラン鉱の放射能や食料・水不足の問題があるほか、検査所の通過に6回の予約が必要となり、毎年冬には、5か月もの長きに亘って閉鎖されます。このようないわゆる“商業ルート”が、海運に対してどうやって競争力を確保できるというのでしょうか。

ロシアは、国を横断するシベリア鉄道を保有していますが、この鉄道の緩慢な貨物輸送に競争力はありません。また、ロシアは、制度が閉鎖的でインフラが不足しています。例えば、高速道路を見かけることは極めて稀です。

しかも、ロシアは中国を泥棒のように警戒し、中国がウラジオストック等の極東地域を“回収”することをおそれています。鉄道線路の軌道を統一しないほか、中国が制度や開発に口出しすることを容認しません。

極東パイプラインの問題を見ればすでに明らかなことですが、ロシアは日本を引き入れて中国と競争させたがっているだけで、しかも日本側に偏向しています。

中央アジア及び西アジアの国々の一部は、依然として全体主義国家であり、その開発の難度は北朝鮮にひけをとりません。

中国吉林省が長年をかけて勝ち取った豆満江の海上アクセスを例にとると、これは経済的に一攫千金の案件であったのですが、北朝鮮とロシアの反応は長期間消極的でした。わずか70キロの河道を開通させるのに、中国は10年以上の年月をかけたのです。

豆満江の流路
ちなみに、豆満江とは、中朝国境の白頭山(中国名:長白山)に源を発し、中華人民共和国(中国)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、ロシアの国境地帯を東へ流れ日本海に注ぐ、全長約500kmの国際河川のことです。

これは、いわゆる“一帯一路”がたとえ“実施不可能”ではないにしても、その本質は、中国が長年取り組んできた課題を再包装したものにすぎないことを物語っています。
"
以上のような妄想を実現するために、中国は世界各地で多大な投資を行っているわけです。これは、中国企業による海外企業や海外資産の買収よりもさらに危険な賭けです。

これが成功するとはとても思えません。この妄想に多大な投資をすれば、中国企業による海外投資のように、いずれ利回りが悪化するのは当然の話であり、多くの投資案件で調達金利に対して運用利回りが低いという逆ザヤが生じることになります。

そうして、中国は多大な資金を失い、一帯一路から結局撤退することになります。習近平は、その責任を取らなければなりません。

その責任をとるには、何よりも再び中国の経済を活性化すれば良いのですが、それを危うくするほど一帯一路の失敗はかなり甚大なものになると思います。国内の投資であれば、それがたとえ大失敗したとしても、投資した多大な資金は国内の雇用に寄与するし、それは巡り巡って中国政府が税金として回収することになります。しかし、海外の投資ではそういうことにはなりません。

習近平は、一帯一路なる妄想に賭けるべきではありませんでした。中国のGDPに占める個人消費の割合は、未だ30%台です。現状では、40%台に近づいているようではありますが、それにしても、日本をはじめとする多く先進国の60%台、米国の70%台よりはかなり低いです。恒常的に40%にすることができれば、それだけで中国はかなり経済発展できるはずです。

しかし、習近平はそうはしませんでした。結局海外投資に打って出ました。中国国内でのインフラ投資が一巡して、現状では大きな案件がないので、海外に活路を求めたのでしょうが、これが吉と出る可能性は低いです。

個人消費を伸ばす政策をとらなかったのは、そのためには、国内である程度構造改革をしすすめて、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をしなければならないからです。そうしなければ、国内での産業は活発にはなりません。そうなると、中国の共産党による一党独裁性をある程度は改めなければならなくなります。

しかし、それを習近平は忌避したものと考えられます。もし、これを実行することにすれば、たとえ権力闘争などの多少の荒療治は追認されたかもしれません。そうして、中国の改革者として、中国史に名前を残せたかもしれません。

しかし、習近平は破滅の道を選んでしまいました。今のままだと、10年以内に失脚することになるでしょう。

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2018年3月17日土曜日

【トランプ政権】米で「台湾旅行法」成立、政府高官らの相互訪問に道 中国の反発必至―【私の論評】アジアの脅威は北朝鮮だけではなく台湾を巡る米中の対立もあり(゚д゚)!


トランプ大統領

 米ホワイトハウスによるとトランプ大統領は16日、米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立した。

 同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。

 また、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれている。

 米国は1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を自主的に制限してきた。台湾旅行法の成立で、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が理屈の上では可能になる。

 法案は1月9日に下院を通過し、2月28日に上院で全会一致で可決された。今月16日がトランプ氏が法案に署名するかどうかを決める期限となっていた。

 米国務省は、台湾旅行法が米台関係の変化を意味するものではないと説明しているが、台湾を不可分の領土とみなす中国が米台の接近に危機感を抱き、「一つの中国」原則に反するとの理由で猛反発してくるのは確実だ。

【私の論評】アジアの脅威は北朝鮮だけではなく台湾を巡る米中の対立もあり(゚д゚)!

トランプ米大統領と蔡英文台湾総統

「台湾旅行法」により、米台首脳会談も可能になりました。私は、いずれ米対首脳会談が開催されることになると思います。これは、中国にとっては一大事です。

中国側は、同法には以前から反対していました。同法が「一つの中国」の原則に反するとして強く反発していました。中国外交部の華春瑩報道官は、3月1日の定例記者会見で、「台湾旅行法のいくつかの条項は、法的拘束力はないものの、“一つのの中国の原則”、米中間の3つのコミュニケに反する。中国は強い不満と抗議を表明する」などと述べていました。

人民日報系の環球時報は、3月1日付け社説で「経済的には台湾は中国に依存している。軍事的には、人民解放軍の強さが台湾海峡の軍事的・政治的情勢を根本的に変えた」、「台湾の独立勢力は、米国が用いることのできる対中カードである。中国は、同勢力に的を絞った対応をし得る。台湾にとり、米国の中国に対する敵意に巻き込まれるのは良い選択肢ではない」などと、台湾を恫喝していました。

米国側の台湾を支持する最近の重要な動きには、台湾旅行法以外にも、昨年12月にトランプ大統領が署名し成立した、2018会計年度の国防授権法(2018国防授権法)もあります。

会見する上院多数党院内総務のマコーネル議員

2018国防授権法には、米艦船の高雄など台湾の港への定期的な寄港、米太平洋軍による台湾艦船の入港や停泊の要請受け入れ、などの提言が盛り込まれています。なお、オバマ大統領の下で成立した2017国防授権法でも、米台間の高級将校、国防担当高官の交流プログラムが盛り込まれており、今回の台湾旅行法の内容は目新しいものではありません。

2018国防授権法に関しては、在米中国大使館公使が「米国の艦船が台湾の高雄港に入港する日が、中国が台湾を武力統一する日になろう」と、異例の威嚇的発言をしています。中国側が、米国による台湾への軍事的関与に対して極めて敏感になっていることを示しています。

「中華民族の偉大な復興」を掲げる習近平政権にとっては、中台の「統一」は、政権の存在理由にかかわる最重要事項であると言えます。今後とも、硬軟両様で働きかけを強めていくものと考えられます。

台湾旅行法は、今後の米中関係、中台関係にとっての一つの対立点になるのは間違いないようです。

最近の米中関係を振り返っみると、昨年12月にトランプ大統領が2018国防主権法に署名してから1週間もたたない12月18日、トランプ政権は「国家安全保障戦略」を公表し、ここで中国、ロシアを米国の影響力、価値や資産への競争相手とするとともに、米国が維持する国際秩序の変更を迫る「修正主義勢力」と位置づけました。

米国はこの内容を台湾に事前通告し、米国が台湾の自衛のための武器を供与する義務を負っていることを明記しました。台湾は、これを好意的に受け止めています。さらに、同月反中派ランドール・シュライバー氏を国防総省のアジア太平洋問題担当の次官補に任命し、この1月、連邦議会に正式に通告しました。そうして、今回の「台湾旅行法案」への署名です。

ランドール・シュライバー氏

たて続けに、台湾と米国の結びつきを強化する動きを見せています。これは、トランプ大統領が中国に対する対決姿勢を明らかにしたということです。

トランプ政権の台湾の地位見直しが進むとなると、当然ながら、今後注目されるのは中国の出方です。今後、中国の台湾に対する武力統一を含めた全面的な軍事攻撃はありえないでしょう。米国が介入することは必至だからです。そのため、軍事的介入ではなく台湾の親中派を利用して、台湾が自ら中国側に帰属すように強力仕向けることでしょう。

かといって、中国が傍観することもないでしょう。立場上、習近平に傍観は許されないでしょう。もし傍観すれば、国内の反習近平派が勢いづくことになります。そのため、部分的な衝突を含め相当な緊張が予想されます。

ただし、究極的な力と力の勝負では、まだ米国の優位は疑いないです。かといって、オバマ時代の米国とは異なり、トランプ大統領がオバマ大統領のように結局中国の面子を立てて、中国が矛を収めることになるとは限りません。

1996年の台湾海峡危機で米空母2隻に圧倒された屈辱をまだ忘れていない中国にとって、さらに屈辱感を増大させる結果になるでしょう。米国側から見れば、中国は習近平の独裁国家となったことですし、従来のように親中的な勢力は弱体化しています。

中国は米国に到達するICBMを持つ核武装もしています。さらに、南シナ海や、尖閣でも、他の地域でも、手を緩めることはありません。

北朝鮮問題に目を奪われている中で、東アジアでは次なる摩擦の火種が明日にも火を吹きそうです。

北朝鮮の脅威に関しては、南北会談を行っても、米朝を仲介する韓国が結局仲人口のような結果になり、そもそも米朝会談が実現しないとか、実現しても物別れに終わる可能性も大きいです。というより、私は、たとえ米朝会談が実現して一見良い結果が出たとしても、これは数年の期間では有名無実になるとみています。

そうなると最悪、北朝鮮と米国、中国と米国の争いが、同時にアジアに緊張をもたらすこともあり得ます。

日本としては、今からこの最悪の事態に備えるべきです。

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米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!

2018年3月16日金曜日

【日本の選択】正恩氏が狙う「在韓米軍の撤退」と「韓国の崩壊」 南北、米朝首脳会談は目的のための手段でしかない―【私の論評】最終的には北を複数の国々で50年以上統治して中立的かつ民主的な新体制を築くしかない(゚д゚)!

【日本の選択】正恩氏が狙う「在韓米軍の撤退」と「韓国の崩壊」 南北、米朝首脳会談は目的のための手段でしかない

金正恩 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が南北首脳会談、米朝首脳会談を行う希望を表明した。歓迎する向きもあるようだが、「これで北朝鮮問題が解決した」とするのは全くの間違いだ。今ほど冷静な判断が求められている瞬間はないだろう。

 憂慮すべきは、「親北左派」で知られる韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の今後の行動だ。文氏は、今回の首脳会談に前のめりになり、「不都合な真実」から目を背け、実体のない「友好」という観念に耽溺(たんでき=不健全な遊びにおぼれること)するであろうことは、火を見るより明らかだ。

文在寅

 北朝鮮が、韓国、そして、米国をも欺き、「核・ミサイル開発」の時間を稼ごうとしているという可能性を直視することが重要なのだが、文氏にそれを期待することはできない。

 今回の北朝鮮から韓国特使団に向けられたメッセージの中で重要なのは、次の箇所だ。

 「北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消されて、北朝鮮の体制の安全が保障されるならば、核を保有する理由はない」

 このメッセージの後半部分の「北朝鮮の体制の安全が保障されるならば」という部分に注目し、金一族による独裁体制が保障されれば、北朝鮮が核兵器を放棄するとみなすのは間違いだ。

 重要なのは、前半の「北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消されて」の部分だ。ここでの「軍事的な脅威」とは、具体的には在韓米軍の存在を意味している。すなわち、この個所は「在韓米軍が撤退すれば」と読み替えて解釈すべきなのだ。従って、在韓米軍を撤退せよとの要求が通らなければ、北朝鮮には核の保有が必要であると宣言していることになる。

 正恩氏の望みが「在韓米軍の撤退」であることは、亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の米国下院における証言からも明らかだ。

太永浩(テ・ヨンホ)氏

 太氏は証言で、核開発を完了させた後、米国と交渉することで在韓米軍を撤退させようとする、正恩氏の戦略を明らかにしている。正恩氏はベトナム戦争を参考にし、韓国を(消滅した)南ベトナムに見立て、在韓米軍を撤退させ、韓国の体制崩壊を狙っているというのだ。

 南北首脳会談、米朝首脳会談も、基本的には「在韓米軍の撤退」と「韓国の崩壊」が目的であり、両首脳会談自体は目的のための手段でしかないと見做すべきであろう。

 北朝鮮の口先の言葉ではなく、実際の行動に注視することが肝要である。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『人種差別から読み解く大東亜戦争』(彩図社)、『「リベラル」という病』(同)など。

岩田温氏

【私の論評】最終的には北を複数の国々で50年以上統治して中立的かつ民主的な新体制を築くしかない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で岩田氏が主張する"南北首脳会談、米朝首脳会談も、基本的には「在韓米軍の撤退」と「韓国の崩壊」が目的であり、両首脳会談自体は目的のための手段でしかない"という主張は妥当なものです。そうして、北朝鮮の最終目的は、北朝鮮主導で南北朝鮮を統一することです。最終的には、朝鮮半島全部を北が支配することです。

北の核と、南の経済力、技術力を融合して、半島に先進国並の経済力のある、軍事独裁政権を樹立することです。

このようなことは、まともな人なら、薄々気づいているのではないでしょうか。最近の情勢をみて、米国が北朝鮮を武力攻撃することなどないなどと判断するのは、全くの早計です。

ここ数カ月から、1〜2年くらいはもしかすると、ないかもしれませんが、その後北朝鮮が核を廃棄しないというなら、米国は必ず武力攻撃します。これに関しては、中国も、ロシアも反対はしません。なぜなら、彼らも朝鮮半島に核武装した経済力のある、軍事独裁政権が出来上がることを望まないからです。

そうして、日本としては、まず第一に米国が武力攻撃をした後、朝鮮半島はどうなるのか、それを想定して今から準備しておくべきです。

もし米軍の武力行使が行われ、瞬時に北朝鮮側の核ミサイル能力が完全に除去されたとして、その後の朝鮮半島はいったいどうなるでしょうか。

軍事的に大打撃を受けた北朝鮮の体制が存続しうることは考えにくいです。それでは、北の体制崩壊後、朝鮮半島は統一されるのでしょうか。それ以前に「北の脅威」がなくなったあとの在韓米軍や米韓同盟はどうなるのでしょうか。

大統領選でトランプ氏は在韓米軍の撤退に言及しましたが、仮にそれが行われたら日米同盟は根底から揺さぶられることになります。米国の一部で唱えられているような米中両国による共同分担作戦によって事が進められれば、戦後の朝鮮半島では中国の影響力が画期的に高まることは明らかです。

第二に、米朝対話などによって査察体制など細部の合意も含め「北の非核化」が進むとすれば、その後に北朝鮮の現体制は存続しうるのでしょうか。あれだけ派手に核危機を演出しておいて、揚げ句、核放棄を約束して体制が揺らがないとは考えにくいです。

さらに、北が米本土に届く核搭載の大陸間弾道ミサイル開発を放棄すれば、残りの核はいわゆる「凍結」で事態が収められるでしょうか。そうなると、日韓を含む東アジアでは北の核脅威は恒常化することから、米国の「核の傘」や対米同盟の信頼性は低下することになります。その場合も、この地域の地政学的現状は決定的に変化することになります。

要するに、どのような事態変化があったにしても、日本周辺の地域の秩序は、この数十年続いてきたものとは大きく変容したものになるということです。これだけはどう考えても避けられないです。

そしてここで大きく浮上してくるのが、「習近平の中国」です。

今回の米中首脳会談で、権力基盤を強化した習近平国家主席はトランプ大統領と朝鮮半島の将来像についてかつてなく突っ込んだ話し合いをすることになるでしょう。対北制裁の強化とともに、米中間で将来の朝鮮半島の運命が決められるかもしれません。

その一つとして、この数カ月、米マスコミが繰り返し報じている「キッシンジャー構想」があります。

それは、北の核廃棄に向けて中国のかつてない強力な取り組みを求めるために、米国が北の非核化(つまりは北の体制崩壊)の後に、在韓米軍の大半を撤退させることをあらかじめ中国に約束する、というものです。

キッシンジャー氏はトランプ大統領、とりわけイバンカ氏の夫で親中派とされるクシュナー上級顧問に対して影響力が大きく、またティラーソン国務長官にはすでにこの助言を行っていると噂されています。

キッシンジャー構想は成り立たない?

ただし、私としては、この構想は容易には成り立たないと思います。その根拠として、2つがあげられます。一つ目としては、まずはキッシンジャー氏はすでに過去の人物であり、かつてのように大きな影響力はないといことです。

二つ目には、習近平はすべてを掌握しているわけではないということです。

第1次習政権で試みた、「朝鮮半島を、南(韓国)から属国化していく戦略」も見事に失敗し、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)が配備されています。かつては「兄弟国」だった北朝鮮との関係も史上最悪で、「1000年の敵」呼ばわりされるまで悪化しました。

頼みの綱だったロシアとの関係も、中国政府が1月下旬、「(中国主導の広域経済圏構想)『一帯一路』構想に北極海航路を入れる」と発表したことで、プーチン大統領を激怒させてしまいました。

朝鮮半島情勢について、表向きは「米朝対話」を主張しながら、本音は大きく違う可能性が高い。「金王朝の崩壊」を狙っているはずの習氏が、それを察知する金王朝の核ミサイルや生物化学兵器の脅威にさらされているとすれば、トランプ政権が軍事オプションに踏み切ることを、内心で期待していてもおかしくはないです。

中国は長さ約1400キロという中朝国境に、数千人から数万人とされる人民解放軍を配備しました。ところが、いざ戦闘状態に突入すれば、朝鮮族の多い北部戦区(旧瀋陽軍区)の部隊が、どこに銃口を向けるか分からないです。習近平と、江沢民を比較すると後者のほうが、北部戦区や北朝鮮と親和的です。

そもそも、北部戦区の受け持つ地区は、旧満州(中国東北部)といわれるところに位置していて、この地はもともとは満州族のものでした。この地には数は減ったとはいえ、今でも満州族が1千万人以上も住んでいるのです。

朝鮮半島と接する中国東北部(赤とピンクの部分)

さらにこの地域は、今日急速な少子高齢化に見舞われ、人口流出が深刻化しています。経済的にもこの地域は北朝鮮という地理的な障壁があって経済が中国の他の地域から比較すると遅れていることから、不満が鬱積しています。

こうした人口の減少と高齢化は、当然のことながら中国がいま進めている養老保険(年金)の整備に大きなマイナスの効果を与えています。国家開発銀行の元副行長の劉国によれば東北部の年金の負担率(年金を支払う労働者と年金受給者の比率)は、1.55であり、これも全国平均の2.88にはるかに及んでいません。これらは「火薬庫」としての東北部の火種が将来的にもなかなか消えない可能性を示唆しています。

そうなると、米国が中途半端をして、北の核関連施設を完全破壊するのと、金王朝を潰すだけで手を引いてしまえば、北が無政府状態の混乱した状態になってしまう可能性が高いです。今の中東のように多数の勢力の衝突による不安定な地域になる可能性が高いです。

これを防ぐには米軍が少なくと50年以上の長期にわたり、この地域に軍隊を送り込み統治して、中ロ寄りでもない、日米寄りでもない、中立的な民主的な体制をつくりだすしかありません。

米国一国だけでは無理というのであれば、複数の国々で構成される国連軍を派遣して長期間統治して、北に新たな秩序を構築するしかありません。そうして、その中で韓国との関係をどうするのかも十分に考慮したうえで、新たな秩序を模索して、アジアから不安定要因を取り除くべきです。

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2018年3月15日木曜日

米、中国に貿易黒字1000億ドル削減要求=ホワイトハウス―【私の論評】米国の中国非難は理解できるが、同盟国まで非難するのは筋違い(゚д゚)!


トランプ大統領

米ホワイトハウスの報道官は14日、トランプ政権が中国に対し対米貿易黒字を1000億ドル削減するよう求めていることを明らかにした。

トランプ大統領が中国に米国との貿易不均衡を10億ドル是正するよう要請したとツイッターに先週投稿したことについて、報道官は「10億ドル」は「1000億ドル」の誤りだったと述べた。

ただ同報道官は、貿易黒字削減に向け米政府が中国に求める具体的な方法については言及せず、中国に対し大豆や航空機などの米製品の輸入を増やすことを求めるのか、国営企業への政府助成の削減や鉄鋼とアルミニウムの生産能力削減などを求めるのかについては明らかにしなかった。

中国は米企業が中国市場へのアクセスを得るためには中国の合弁相手への技術移転が事実上必要となる投資政策を導入しているが、これに対し米国では不満の声が上がっている。米政府が中国に求める貿易黒字の削減がこうした問題への対処となるかは現時点では不明。

中国との貿易を巡っては、トランプ政権が中国からの輸入品のうち最大600億ドルに相当する製品に関税を課すことを計画していることが前日、関係筋の話で明らかになっている。

中国国営紙の環球時報は、15日付の論説記事で「貿易赤字を削減したいなら外国に変化を求めるのではなく、米国人をより勤勉にし、国際市場の需要に沿った改革を実行する必要がある」とし、貿易戦争がいったん始まれば、妥協は選択肢にないと主張した。

【私の論評】トランプ大統領の中国非難は理解できるが、同盟国まで非難するのは筋違い(゚д゚)!

トランプ大統領が、中国に対して対米貿易黒字を1000億ドル削減するよう求めていることについては、私もある程度妥当であると考えます。

1000億ドル自体が、妥当なものかどうかは、正直なところわかりませんが、中国による米国への輸出に関しては、自由貿易という観点からは、非常に不公正なところがあり、それが結果として米国の労働者の雇用を奪うなどのことに結びついている側面があるのは確かであると考えられるからです。

習近平とトランプ

ただし、対米貿易黒字だからといってそれ自体を問題にするような考えかたは、間違いです。そうして、これは経済学上の常識です。

統一通貨を用いている、ユーロ圏では日本のように一国の独断では、通貨や国債発行はできません。さらに、同じユーロ圏同士の国々では、為替レートも関係ないので各国間の貿易の格差は拡大します。そのため、ユーロ圏内では特に「輸出額=輸入額」ということが必要になります。

しかし、米国、日本、中国のような国民経済では、自国の意思で自国通貨を擦り増しや、国債発行が自由にできるので、そのような必要性はありません。本来、貿易黒字がどうの赤字がどうのと騒ぐ必要性など全くないです。

実際、経済が成長していると、輸入が増えて、貿易赤字は増える傾向にあります。この場合、貿易赤字が単純に悪いとはいえません。貿易赤字に関しては、あくまで中身を検討した上で良い悪いを判断すべきなのです。

トランプ政権の過去の1年では、経済成長をしつつ貿易赤字が減らなかったということですから、これはほとんど問題などありません。だから、貿易赤字など問題にすること自体が間違いです。

ただし、中国と米国を比較した場合、米国は中国と比較すれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がはるかに進んでいます。これらが、進んでいない中国では、労働者を不当に悪い条件や、低賃金で働かせたり、政府の都合で経済に直接介入したり、法律を変えたり、新たな規制をもうけたりすることを無制限にすることができます。

さらには、知的財産権の保護なども全く不十分です。そうなると、中国と米国の間では、そもそも自由貿易など成り立ちません。



米国が抜けたため、日本が主導するTPP11は、参加予定国が新協定に署名し、19年に発効することとなりました。このTPPには、最初から中国は参加していません。無論、中国もそれを希望していませんでしたし、TPP参加予定国も特に中国の参加を希望もしていませんでした。

なぜかといえば、中国がTPP参加国として、自由貿易をするためには、抜本的な構造改革をして、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめなければならないことになり、現在の中国の体制では困難だからです。

韓国も、TPPには参加していなかったものの、TPP11には参加の意向があったようではありますが、結局参加しないまま、TPP11は19年に発効の運びとなりました。

これは、韓国は最初は米国とのFTAを進めていたということもありますが、やはり、韓国も平昌五輪の女子カーリング日本チームが休憩のときに食べていた苺に象徴されるように、知的財産権の権利の保護に対して意識が希薄なところがあったり、中国ほどではないにしても、やはり民主化、政治と経済の分離、法治国家化が遅れているところがあり、TPPの目指す自由貿易にはなじまないところがあるからです。

韓国の苺は元々は日本の苺の種苗を盗んだものだった

以上のようなことから、トランプ大統領が中国の貿易黒字に対して、非難して、米国が被ってきた損失を補填するように迫るということはある程度理解できます。

しかし、トランプ大統領は驚いたことに、14日、中西部ミズーリ州で開かれた地元選挙の資金調達会合で、日韓を含む同盟国が何十年にもわたって米国の雇用を奪ってきたと非難し「同盟国は自国のことを気にして、米国のことはどうでもいいと思っている」とこき下ろしました。

韓国との貿易が米国に有利にならなければ、在韓米軍に何が起きるか「様子を見よう」と述べ、撤収もあり得るとの考えを示唆しました。また、日本の自動車市場は閉鎖的だと主張しました。同紙は、トランプ氏によるこれまでで最も保護主義的な発言の一つだと報じました。

トランプ氏は、カナダのトルドー首相に対し、両国の貿易収支に関して事実に反し「米国は赤字を被っている」と伝えたと自慢げに語った。米通商代表部(USTR)は米国の対カナダ貿易は黒字だとしています。

以上で述べたように、そもそも貿易赤字を会社の決算の赤字のように捉えるのは全くの間違いですし、TPPのような自由貿易協定に入ることができない程、国内の整備が遅れている中国が非難されることはわかります。

しかし、カナダや他の同盟国にまで、非難の矛先を向けるのは筋違いです。韓国も遅れたところは、ありますが、それでも中国よりは、はるかに整備されています。

単純に貿易赤字だからといって、それを非難して、挙句の果てに関税でもかけるようなれば、今度は米国国民が、本来自由貿易の結果得られるメリットを得られないようなことになり、不利益を被ることになります。

トランプ大統領は同盟国を貿易赤字で非難することは、やめるべきです。米国が同盟国に対して関税障壁を設けたりすれば、同盟国側も黙ってはいないでしょう。米国に対して報復関税をかけることにもなりかねません。そうなれば、世界の自由貿易が阻害されることになります。

さて、中国についてですが、1980年代の日米貿易摩擦と違って、米中は同盟国ではなく敵対国であり、相容れない政治体制でもあるので、日米構造協議のような解決は無理でしょう。

どのみち中国経済は無理がたたっているので、今後緩やかに下落していくでしょう。また習近平が 国家主席の任期を撤廃して長期政権が可能になりましたが、これこそ『中国の終わり』の始まりです。

中国がいつまでも、構造改革をしないというのなら、米国は中国に対して貿易障壁を設けるようなことにでもなるかもしれません。そうなれば、他国も同様のことをすることでしょう。そうなると、中国はますます経済が低迷することになります。

習近平の独裁は、以前もこのブログでも述べたように、10年ももたないと思います。これから20年位かけて中国は衰退し分裂していくことになるでしょう。

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2018年3月14日水曜日

【日本の選択】日本の民主主義はここまで堕落してしまったのかと呆然… 野党に日本のかじ取りを任せることも不可能―【私の論評】稚拙な全能感で腐敗・堕落した財務省は解体するしかない(゚д゚)!

【日本の選択】日本の民主主義はここまで堕落してしまったのかと呆然… 野党に日本のかじ取りを任せることも不可能

「最強官庁」は腐敗・堕落した

 青天の霹靂(へきれき)というべき事態だ。朝日新聞の報道が契機となって、森友学園に関する公文書が財務省の指示によって書き換えられていたことが分かった。私は当初、このような事態は考えられないと思っていたので、誤解に基づく報道ではないかと想像していた。

 官僚が公的文書を偽造するなどということは、民主主義の根幹に関わる問題であり、日本の民主主義がそこまで腐敗しているとは想像できなかった。

 実際に書き換える前後の文書を眺めると、財務省による姑息(こそく)で悪質な文書改竄(かいざん)であることは明らかだ。安倍晋三首相をはじめとする政治家の名前、そして、「安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した」との記述も削除されている。わが国の民主主義は、ここまで堕落してしまったのかと、呆然(ぼうぜん)としてしまった。

 政治を成り立たせるのは、為政者と国民の信頼関係だ。

 『論語』に「信なくば立たず」との言葉があることは有名だが、これは信用が大切だといった程度の言葉ではない。孔子の悲壮な覚悟が伝わってくる言葉だ。

 弟子の子貢(しこう)が孔子に「政治の本質」を問うた。その際、孔子は「兵」(安全保障)、そして、「食」(経済)と同時に、民衆からの「信」を挙げた。子貢が、その中で1つを捨てるとしたら、と問うと、孔子は「兵」を捨てるべきと答えた。さらに進んで、もう1つ捨ててしまうとしたら何かを問うと、孔子は「食」を捨て去るべきと答える。

 孔子が安全保障、経済を軽んじていたわけではない。それらが重要であることは熟知していた。憲法9条が存在するから日本は平和だなどという、空疎な平和主義者であったわけではない。「兵」よりも「食」よりも「信」が肝要と説いたのは、政治の本質が国民からの「信」にあることを訴えたかったからであろう。

 今回の財務省の姑息な文書の書き換えによって、政治に対する国民からの信が失われてしまった。しかも、絶望すべきなのは、このような事態に至ってもなお、野党に政権を担えるとは到底思えないことだ。通常、これほど国民からの信用を失う事態に至れば、野党への期待が高まるはずだ。

 だが、いまだに「平和安全法制を違憲だ」と叫び続ける立憲民主党、「自衛隊は違憲だ」と獅子吼する(=雄弁に語ること)日本共産党、何をしたいのかが、さっぱりわからない希望の党。これらの政党に日本のかじ取りを任せることは不可能だ。

 日本に重要なのは、自民党に代わり得る「健全で現実的なリベラル政党」だ。現実的な安全保障政策を取り、国民が信用できるリベラル政党が何よりも必要だ。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『人種差別から読み解く大東亜戦争』(彩図社)、『「リベラル」という病』(同)など。

【私の論評】稚拙な全能感で腐敗・堕落した財務省は解体するしかない(゚д゚)!

私自身は、このブログで随分前から何度か指摘してきたように財務省の腐敗・堕落については別に驚きもしません。ただし、今回の書き換え事件に関しては、あまりにもやり方が幼稚であり、その稚拙さ加減に驚いてしまいました。

いずれ書き換え露見することがあまりにも目に見えたようなやり方で、なぜこのような書き換えをしてしまったのか、本当に理解に苦しみます。そうして、このような書き換えが、起きてしまった背景を分析すべきだと思います。

現在のマスコミ報道や、政治家の発言等を参照しても、具体的な書き換えの事実や、様々な憶測だけであって、なぜこのような事件が起きてしまったのか、その根本原因に迫るものはありません。ただし、これから徐々に明らかにされていくと思います。

このブログでは、根本原因について迫ってみたいと思います。

現在、与野党の政治家や、マスコミ、学者などが様々なことを語っていますが、私は今回の事件は彼らにも責任があると思っています。いや、むしろ間接的かもしれませんが彼らが、財務省を暴走させてしまったとさえ考えています。

財務省が社会福祉と税の一体改革、消費税増税、復興税等の必要性を主張する際に出鱈目理論を用いたにもかわらず、政治家、マスコミ、財界、主流のエコノミストまで敢えてこれに異論を唱えてこなかったため、財務省に全能感を抱かせたことが今回の事件の背景にあると思います。要するになめられのです。

財務省は省益を追求するために、出鱈目理論で機会さえあれば、増税しようとしてきたのは明々白々です。にもかかわらず、これに対して真っ向からその間違いを指摘してきたのは、ごく一部の人々のみです。

財務省がどんなに奇妙奇天烈、世界水準からすれば明らかに間違いであることを語っても、これに唯々諾々と従い、異を唱えてこなかったどころか、増税すべきと気炎をあげてきたのが、日本の政治家であり、マスコミであり、多くの学者たちや、エコノミストたちです。

NHKも財務省におもねり、国の財政状況の厳しさを訴えているが、これに全く根拠はない

消費税の社会保障目的税化(財源化)に関しては、まず、事実として、目的税化といっても程度問題であるということがいえます。消費税の社会保障支出へのひも付きは、ゴムでできていると考えれば良いです。ただし、財務省は目的税化を強調していました。

また、財務省による、増税に協力しないと社会保障を削る、また軽減税率には「財源」が必要だ、軽減税率なら社会保障を切る-といった恫喝(どうかつ)もしばしば行われました。これでだまされる識者も多数存在しました。

消費税の社会保障目的税化は政策論からみれば、明らかな間違いです。しかし、1990年代までは大蔵省の主張でもあり、99年の「自自公(自民、自由、公明)」連立時に、財務省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いたのです。

ただ、2000年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述があります。実際、諸外国では諸費税を目的税になどしていません。

社会保障の観点から見ると、その財源は社会保険方式なので保険料が基本です。税方式は少なく、しかも社会保険料方式から税方式に移行した国などありません。
また、復興税なるものは日本が東日本大震災を契機に導入した以外には、古今東西に例を見ません。なぜ復興を税によって賄うことをしないかといえば、被災の直後に復興税を徴収すれば、被災を受けた世代にのみ復興のための負担が集中することになるからです。

通常は、大災害などがあった場合に、その復興をするためには、償還まで数十年以上である建設国債などを用いるのが、世界の常識です。なぜなら、数十年かけて償還ということになれば、復興の負担が将来の世代も背負うことになり、被災直後の世代のみが多大な負担を背負うことはなくなるからです。復興を税で賄うという考え方は、最低最悪の考え方であり、

これに対して、財務省は、建設国債は将来の世代につけを回すことになるなどという、奇妙奇天烈な論理で、結局復興税を導入してしまいました。しかし、これは、とにかく増税しよう、そうして復興税の次は消費税増税を目指すという意思の現れでした。

しかし、先に述べたように、これらに多くの政治家、マスコミ、識者は反対するどころか、賛同しました。以下に、復興税に賛成した日本の経済学者らのリストを掲載します。

以下http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htmより引用。


 共同提言者・賛同者(2011年6月15日10:00現在)(敬称略)

伊藤 隆敏 (東京大学)
伊藤 元重 (東京大学)
浦田 秀次郎 (早稲田大学)
大竹 文雄 (大阪大学) 
齊藤 誠 (一橋大学)
塩路 悦朗 (一橋大学) コメント
土居 丈朗 (慶応義塾大学)
樋口 美雄 (慶応義塾大学)
深尾 光洋 (慶応義塾大学)
八代 尚宏 (国際基督教大学)
吉川 洋 (東京大学)

(★印のついた方は「第3提言の賛成は留保」)
青木 浩介 (東京大学)
青木 玲子 (一橋大学)★ コメント
赤林 英夫 (慶應義塾大学)
安藤 光代 (慶應義塾大学)
井伊 雅子 (一橋大学)
飯塚 敏晃 (東京大学)
池尾 和人 (慶應義塾大学)
生藤 昌子 (大阪大学) コメント
石川 城太 (一橋大学)
市村 英彦 (東京大学)★ コメント
伊藤 恵子 (専修大学)
岩井 克人 (国際基督教大学)
祝迫 得夫 (一橋大学)
岩壷 健太郎 (神戸大学)
宇南山 卓 (神戸大学)
大来 洋一 (政策研究大学院大学) コメント
大野 泉 (政策研究大学院大学) コメント
大橋 和彦 (一橋大学) コメント
大橋 弘 (東京大学) コメント
岡崎 哲二 (東京大学) コメント
小川 英治 (一橋大学)
小川 一夫 (大阪大学)
小川 直宏 (日本大学)
翁 邦雄 (京都大学)★ コメント
翁 百合 (日本総合研究所)
奥平 寛子 (岡山大学)
奥野 正寛 (流通経済大学)
小塩 隆士 (一橋大学)
小幡 績 (慶應義塾大学)
嘉治 佐保子 (慶應義塾大学) コメント
勝 悦子 (明治大学) コメント
金本 良嗣 (政策研究大学院大学)
川口 大司 (一橋大学) コメント
川﨑 健太郎 (東洋大学) コメント
川西 諭 (上智大学) コメント
北村 行伸 (一橋大学)
木村 福成 (慶應義塾大学)
清田 耕造 (横浜国立大学)
清滝 信宏 (プリンストン大学)
國枝 繁樹 (一橋大学)
久原 正治 (九州大学)
グレーヴァ 香子 (慶應義塾大学) コメント
黒崎 卓 (一橋大学)
黒田 祥子 (早稲田大学)
玄田 有史 (東京大学)
鯉渕 賢 (中央大学)
小林 慶一郎 (一橋大学) コメント
小峰 隆夫 (法政大学)
近藤 春生 (西南学院大学)
西條 辰義 (大阪大学) コメント
櫻川 幸恵 (跡見学園女子大学)
櫻川 昌哉 (慶應義塾大学) コメント
佐々木 百合 (明治学院大学) コメント
佐藤 清隆 (横浜国立大学)
佐藤 泰裕 (大阪大学)
澤田 康幸 (東京大学)
清水 順子 (専修大学) コメント
新海 尚子 (名古屋大学) コメント
鈴村 興太郎 (早稲田大学 / ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ) コメント
清家 篤 (慶應義塾大学)
瀬古 美喜 (慶應義塾大学)
高木 信二 (大阪大学)
高山 憲之 (一橋大学)
武田 史子 (東京大学)
田近 栄治 (一橋大学) コメント
田渕 隆俊 (東京大学)
田村 晶子 (法政大学)
田谷 禎三 (立教大学)
中条 潮 (慶應義塾大学) コメント
筒井 義郎 (大阪大学)
常木 淳 (大阪大学)
釣 雅雄 (岡山大学)
中田 大悟 (経済産業研究所)
中村 洋 (慶應義塾大学) コメント
長倉 大輔 (慶應義塾大学)
畠田 敬 神戸大学
林 文夫 (一橋大学)
原田 喜美枝 (中央大学)
深川 由起子 (早稲田大学) コメント
福田 慎一 (東京大学)★
藤井 眞理子 (東京大学)
藤田 昌久 (経済産業研究所)
星 岳雄 (UCSD)
細田 衛士 (慶應義塾大学)
細野 薫 (学習院大学) コメント
堀 宣昭 (九州大学)
本多 佑三 (関西大学) コメント
本間 正義 (東京大学)
前原 康宏 (一橋大学)
松井 彰彦 (東京大学)★
三浦 功 (九州大学)
三重野 文晴 (神戸大学)
三野 和雄 (京都大学)
森棟 公夫 (椙山女学園)★ コメント
柳川 範之 (東京大学)
藪 友良 (慶應義塾大学)
山上 秀文 (近畿大学) コメント
家森 信善 (名古屋大学)
吉野 直行 (慶應義塾大学)
若杉 隆平 (京都大学)
和田 賢治 (慶應義塾大学)
渡辺 智之 (一橋大学)

以 上

これは、日本の大学の主流派の経済学者といわれる人々です。震災について、やはり復興増税に賛成した経済学者だけは、心情的にも学問的にも許せないです。まさに曲学阿世の徒とは、こういった諸氏を指すために存在する言葉だと思います。

それにしても、このようなことが続けば、財務省が慢心して、自分たちは頭が良く、自分たち以外は頭が悪く、何を言っても自分の思い通りになると勘違いするようになるのも無理はありません。

「われら富士山、他は並びの山」――。東大法学部卒のエリートが集う霞が関で、財務省は大蔵省時代から他省庁を見下ろしながら「最強官庁」を自任してきました。


ただし、たかだか東大法学部を卒業して、国家公務員上級試験に受かり財務省に入ったからといつてエリートといえるのでしょうか。確かに、モノを短期間に暗記したりする能力に勝ているからといってエリートといえるのでしょうか。本来のエリートとは、「本人の命よりその責任が重い人間」のことをそういうのであって、日本のエリートの定義は明らかに間違っています。

彼らからすれば、日本の将来は政治家でも、国民でもなく、頭の良い自分たちがつくるのであり、何をやっても自分たちが正しいというような、中二病的な全能感に浸るようになったのも無理はないと思います。私は、この全能感が、財務省を腐敗・堕落させたのだと思います。

どんなことをやっても、自分たちは他者や他の組織を、結局自由に操れるという全能感が、彼らを公文書書き換えなどという稚拙な犯罪に走らせたのです。


ここ最近、財務省の高級官僚に限らず、「価値のあるボク」「価値のあるアタシ」といった肥大した自己イメージを、いつまでたっても抱えている男女がそこらじゅうに溢れているようです。つまり、全能感を捨てきれない大人達が増えているわけですが、彼らが全能感を維持するメカニズムについては、あまり取り沙汰されていないようです。

しかし従来ならあり得なかった、財務官僚などの全能感を維持したい・いつまでも子どもの王様のままでいたい人にありがちな、二つの処世術を確認してみます。

自分の優秀さや自分のバリューを確認しやすい場所で、それを反復的に確かめる、という方法です。財務官僚なら、東大卒業、国家公務員上級合格、財務省入省ということで、まずは全能感に満たされます。さらに、そこから出世階段をなるべく速くかけあがることで、さらに全能感に満たされます。次官にでもなれば、それこそ神様にでもなったような全能感に満たされるのでしょう。

これは、財務官僚の例ですが、一般の人なら異性をひっかけて自分の価値を確認する人もいれば、ネットゲームやtwitterで優秀さや有能さを確かめたがるタイプの人もいるようです。この際どこでもいいから、とにかく自分が優秀でいられそうなフィールドをみつけ、自分が価値があるという証拠を確認し続けられる限り、全能感を維持できます。その点で、財務官僚は自他共に認める全能感かもしれません。
 
ポイントとなるのは、「全能感が傷つく可能性の高いところには手を出さない」ということです。
 
自分の値打ちを確かめ損ねてしまったら「全能ではない自分自身」「たいして価値のないかもしれない自分自身」に気付いてしまうかもしれませんから、そういう事態は避けなければなりません。実際、安定確実に優越性が示せるフィールド、反復的に自己評価を確認しやすいフィールドが、無意識のうちに選ばれるようです。
 
ただし、強すぎる全能感とある種の才能とが結合した結果、ほとんど全分野で「全能な自分自身」を確認できる(というよりは確認せずにはいられない)人も稀にいて、このような人がスーパーマン、スーパーガールのような外観を呈することは、ありえます。

スーパーガール

自分が手を出す分野のすべてで「全能な自分自身」を確認するというのは、大変な才能と努力を必要とする処世術ですが、年が若くて生命力に溢れているうちは、そのような処世術が成立することもあるかもしれません。

歳をとってどうなるかは知りませんが。財務官僚の場合は、退官してさらに、天下り先に行き、信じがたいほどの高給に恵まれ、老後のハッピーライフを送ることができれば、さらに全能感を維持できるのかもしれません。

さらに、「何もしない」「何も本気でやらない」人ほど、全能感は温存される、ということもあります。
 
本気で勉強しない、本気で恋愛しない、何にも真面目に打ち込まない……こういう処世術は今日珍しくありませんが、現実世界で本当に全能・有能になるには向いていません。しかし気分としての全能感を保持するには向いています。
 
なぜなら、全能感は「挑戦して、自分がオールマイティではないという事実に直面する」「それほどには価値のあるボクではないという事実を突きつけられる」まではいつまでも維持されやすいからです。
 
たいていの人は、思春期のトライアンドエラーや人間関係のなかで、自分が思うほどオールマイティではないという事実に直面し、その直面によってゆきすぎた全能感がなだらかになっていくものなのでしょう。

しかし、自分が傷つくかもしれない状況や自分にあまり価値が無いとわかってしまいそうな挑戦を避け続ける人の場合は、いつまでたっても全能感は失われません。「挑戦すれば価値のあるボクがへし折られるかもしれない」……じゃあ挑戦さえしなければ、いつまでも価値のあるボクが維持できる、というわけです。
 
もし、自分の全能感が失われそうな試験・競争に直面した時にも、全能感を維持するのはそう難しくありません。「俺は本気じゃない」とか「ネタですから」と言い訳しながらの挑戦なら、全力を出してないから失敗した(=全力で挑戦していれば成功していたに違いない)と自己弁解できますから、全能感は保たれます。
 
こんなことばかりしていれば、受かる試験も受からないし競争に勝つ確率も下がってしまいそうですが、全能感を手放したくない人達は、トライアルをクリアする確率を1%でも高めるよりも、自分自身の全能感がひび割れるリスクを1%でも低くすることのほうに夢中になりがちです。

そしてこの処世術に慣れすぎてしまった人は、いざ本気で挑戦しようと思った時には、もはや本気で挑戦できません。いったん“逃げ癖”“言い訳癖”が身についてしまうと、もう、そうせずにはいられなくなるのです。

心の持ちようには無限に近い逃げ道がありますから、第三者が逃げ道をカットすることも難しく、ズルズルといつまでも、真剣なトライアルを回避し続けることになります。そして全能感の維持と引替えに、いつまでたっても技能や経験に恵まれることもなく、生ぬるい日常を過ごし続けます。

どちらのタイプも、全能感を維持するために歪な処世術を発達させているという点ではそう違いませんし、全能感を砕かれる不安を遠ざけるために必死になっているという点でも似たもの同士です。

ただし、受験勉強ばかりで過ごした人は、成績は良くなるものの、目立った失敗はしないすむことになります。思春期のトライアンドエラーや人間関係などで、全能感が破壊されることもなく、維持されるのかもしれません。
  
どんなに有能な人でも、老いて能力が衰えれば、全能感を確認しきれなくなくなる日がやってきます。また、なにもせずに全能感の挫折を回避しつづけてきた人も、いつかは「実は何もできないまま歳だけとった自分」に直面する日がやってくるでしょう。

そのとき、「等身大の自分自身」と「全能な自分自身のイメージ」のギャップにひどく苦しめられる運命が待っています。全能感を失った打撃が背景となって、ついにメンタルヘルスをこじらせて精神科/心療内科を受診する人もけっして珍しくありません。
 
全能感に必死にしがみつくような処世術は、全能感が保たれているうちは威勢良く自惚れていられるかもしれません。しかし、いつか全能感が失われた際にはとても脆く、ギャップや葛藤に悩まされる可能性が高そうです。

とことん全能感にしがみついてきた人は、10代の頃の全能感を40〜50代になっても維持し続けているかもしれず、それが破綻したときの心理的打撃を小さくおさめるのは容易ではないでしょう。
 
そんな生き方をするよりは、適度な失敗や挫折を経験したりして、過度に全能感にしがみつかない人生のほうが、平坦ではあっても危なげないと、私は思います。もちろん、その場その場では辛い経験や充たされない経験もあるでしょう。けれども「常に充たされて当然」「辛い経験は避けるのが当然」という処世術をカチコチに築き上げるより、よほど柔軟な生き方が出来そうですし、挫折や失敗にへし折られるリスクも小さくなりそうです。

そもそも、個々の人間には強みと弱みがあります。だからこそ、組織があるのです。組織の中では、個々の人間は、強みを発揮して、弱みは他の人にやってもらうなどして、中和します。それが組織の役割です。20歳をすぎれば、ほとんどの人は強みを伸ばすことはできても、弱みを是正することなどなかなかできません。


それに、現代ではすべての事柄が、専門化してしまい、何でもできる人というのはいません。現代では、何でもできる人とは「何も出来ない人」ということです。そもそも、この社会では本来全能感など成り立ち得ないのです。

そうして、まともな企業であれば、それを前提に個々人が強みを極限まで伸ばし、そのことにより成果をあげ、出生の階段を登ることになります。

全能感に浸っている人はこのことが理解できないのかもしれません。全能感を維持できるような組織は、そもそもこの根本を理解しておらず、いずれ腐敗・堕落するのです。民間企業であれば、腐敗・堕落すれば、いずれ潰れるしかありませんが、財務省のような組織、そのようなこともなく温存されてしまうのです。

官僚に関しては、「大過なしに過ごす」という言葉に象徴されるように、財務省なら、省益のことだけ考えて、強み、弱みなど関係なく、省益に沿った考え方、行動をとり国民経済など二の次で出世の階段をあがり、あわよくば財務次官になるか、なれなくても、高い地位まで上り詰めて、天下り先に行きほとんど仕事らしい仕事もしないで高給をとるということで、幼稚な全能感が維持しやすいのかもしれません。

それにさらに、自分たちの考えなど、本来であれば、間違いを指摘すべき経済学者などもこれを指摘せず、ほとんどの政治家やマスコミもそれを否定することなく、財務省のいいなりで、財務官僚の全能感を助長してきたのです。

佐川氏も、このような全能感に浸り、公文書の書き換えなどという稚拙な犯罪に手を染めてしまったのでしょう。彼からすれば、書き換えをしようが、何をしようが、全能の自分は無敵であり、何でも自分の思い通りになると考え、あの国会での胡散臭い答弁を何の疑問もなくしてしまったのでしょう。

そうして、佐川氏は自らの全能感は、否定せざるをえなくなり、辞職したのでしょうが、財務省には全能感に浸ったおろかな官僚がまだ大勢いるはずです。この全能感という財務省のDNAは破壊しなければ、同じようなことがまた何度でも起こることでしょう。

やはり、財務省は完全解体して、そのDNAを引き継がれることがないようにしなければならないです。

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