Lenovo Groupにおける全世界のパソコン出荷台数は前年同期比で14.6%増加と,業界平均とほぼ同等の伸びをみせた。ノート・パソコンの出荷台数は同33%伸び,売上高は同17%増の24億ドルで総売上高の57%を占めた。デスクトップ・パソコンは出荷台数は同3%の微増,売上高は同3%増の17億ドルで総売上高に占める割合は41%となった。
同社会長のYang Yuanqing氏は,「世界的に経済が軟化する中で,当社は世界市場の売上高,パソコン出荷台数,利益で成長し,7期連続の増益を果たした。今後は新興市場と消費者市場への取り組みを強め,より多くのリソースを投入する」と説明した。
地域別でみると,中国本土の売上高は前年同期比22%増の17億ドルと総売上高の41%を占めた。パソコン出荷台数で見ると同17%拡大した。四川大地震などの影響にもかかわらず,中国市場で27.9%の最大シェアを獲得した。
米大陸の売上高は11億ドルで,Lenovo Groupの総売上高に占める割合は26%。米国経済低迷の影響を受けたものの,パソコン出荷台数は市場平均並みに増加したという。
EMEA(欧州,中東,アフリカ)の売上高は9億400万ドルで総売上高の21%を占めた。パソコン出荷台数は26%増加した。
中国本土を除くアジア太平洋地域の売上高は4億9700万ドルで,総売上高の12%。パソコン出荷台数は11%拡大した。
華やかな五輪の裏でインドの下請けになる道をひたすら歩む中国?
さて、レノボの快進撃と、北京オリンピックの開催で、国威発揚も頂点に達した観のある中国。しかし、実際には未曾有の経済的危機に陥っています。湖錦濤主席の訪日の少し前に、温家宝首相がこのことについて名言していました。食料品などの著しい高騰。中国バブルも実質上崩壊しています。
最近の中国で顕著なのは、人件費の上昇です。特に沿海部では人件費の上昇が著しく、多くの外国企業が沿海部から撤退し、人件費の安い内陸部に移動しています。この傾向はますます強まっています。
簡単に言うと、(食料品の高騰→賃金を上げなければ労働者は生活できない→賃金が上昇)する。という図式で、中国の賃金は今後ますます上昇していくでしょう。この内容は以前の記事でも触れさせていただきました。いまのところは、沿海部の上昇だけですんでいますが、いずれ中国全土でそうなることでしょう。
さて、労働者の賃金が上昇すると、部品を外国から調達し、中国内で安い賃金で組み立てて、外国に輸出するという「世界の工場」という方式はだんだん成り立たなくなって行きます。現在繊維産業がすでにその傾向にあります。中国からは、繊維産業が撤退していますが、バングラディシュでは急成長しています。この分野は、すでに中国の独壇場ではなくなりつつあります。
さて、上の記事のレノボですが、実はレノボのやっていることも、パソコンの製造販売ということですから、一見ハイテクのように見えすが、やっていることは「世界の工場」方式と本質的に何も変わりません。部品は、CPUはアメリカのインテル製、記憶装置の大半は日本製、パソコンを動かすソフトはアメリカのマイクロソフト社製です。レノボのやっていることは、これらを、外国から中国にもってきて、それを組み立てて販売するということです。ただし、パソコン本体のデザインや使いやすさを追求するために調整するなどのことは若干の工夫がいります。この部分はある程度知識を使う必要があります。
だからこそ、今のところ、レノボの高成長が続いています。しかし、これは近いうちに、労働者の賃金が上昇すれば陰りがでてくるでしょう。最近日本国内では、ヤマダ電機などでも、100円パソコン、9800円パソコンが売りにだされています。これは、台湾のエイサーという会社が提供す格安パソコンと通信装置のセットで販売し、購買者がインターネットを特定のプロバイダーを通じて少なくとも2年間行うことを前提にして、この低価格販売を実現したものです。いわゆる、パソコンを携帯電話方式に販売するという新たなビジネスモデルです。
このように、パソコンが低価格になった時代には、現状のままでは、レノボはいずれ、売上げ高はともかく、利益を出すことは難しくなってくるでしょう。このような事態を見越したからこそ、IBMはパソコン事業から撤退したのです。いまや、パソコンは儲かる事業ではなくなっています。
ここにきて、インドに目を移すと、中国とは違い独自の道を歩んでいることがわかります。インドには、いま多くのIT技術者が台頭しています。このIT技術を進展させる上で、インドの言語は多大な貢献をしています。一般に良く言われることは、英語が公用語になっているということです。しかし、それ以上に素晴らしいことがあります。
それは、現代普通に使われるアラビア数字は、名称はアラビア数字だが実際に世界で最初に使われたのはインドだということです。本来はインド数字というべきだが、インドとアラビアは昔から通商があり、アラビア人の商人が使っている数字というようにヨーロッパ人が理解したのでアラビア数字ということになったそうです。
アラビア数字の特徴は、0という概念があることです、10進法を採用したこと、この2点が画期的なことでアラビア数字が世界に普及することになりました。
0、ゼロの発見は人類史上、最大の発見といわれます。 0という抽象概念を置くことにより10進法が発展、数学や技術などの発展に大きく寄与しました。仏教用語で言うと「空」また、反対の言葉である「無限」という言葉もインド人が発見しました。仏教用語で言うと「無量」計り知れないという意味です。
こうした、インドの言葉ですから、いまいくつも言葉があって障害になっていることも事実ではありますが、多くの言語に抽象的な概念を表す言葉が多く含まれています。サンスクリット語などでは、「お使いに行く」というのを「使者性を帯びて赴く」という意味の言葉で表現しているそうです。このような言葉を子供から使いなれていたとしたら、抽象的な概念を表現すること、理解することには長けてくると思います。それが、インドのITや、新たな成長企業であるハタ産業グループのような会社の経営人の基礎となっているのだと思います。
IT産業では、実際には目には見えないソフトウェアを扱うため、かなりの概念操作ができなくてはやっていけません。企業の経営にしても、トップマネジメントの行うことは、ビジョンなど形成が重要であり、そのためには、かなりの概念操作能力が必要となります。インド人は、最初からこれらの概念操作が得意なのです。インドでは、この得意分野を活かすようにIT産業などにも力を入れています。
現在アメリカの主要IT企業である、Googleや、マイクロソフトなど、実際にソフトを開発しているのは、かなりの部分がインド人だといいます。現状では、インドのIT産業は歴史が短いので、現状ではアメリカの下請けが多いですが、いずれ、彼ら独自のアイディアで研究・開発など始めたら、素晴らしいことになると思います。
ここでまた、先のレノボの例に戻ります。レノボのパソコンに搭載されている、パソコンを動かすOSなどはかなりの部分が実際は、インド人が作っているという図式になります。さらに、レノボ製のパソコンでインターネットでアクセスして、グーグルのサービスを使うということになると、これもかなりの部分がインド人の製作によるものなのです。インドでは彼らの最大の強みである概念操作能力を用いて、台頭していこうという機運があます。それと比較すると、中国はどうなのでしょぅか?コピー商品、製品の多い中国では、未だ世界に通用する独自技術などほとんどありません。
このままの状態が続き、改善されないならば、インドは台頭し、中国は衰退していくことになると思います。無論インドにもカースト制の問題などいろいろな障害はあるのですが、オリジナルの知恵を持っているということは最大の強みです。中国の場合、歴史や文化の伝統などは、ありますが、インドに匹敵するようなオリジナルな強みはみえてきません。中国も紙や火薬を世界で始めて開発したとか、ヨーロッパの大航海時代に先駆けて鄭和という役人が、大艦隊を率いて大航海ををしたいう歴史はありまずが、それが現代に受け継がれるているとか、インドのように現在の産業や事業に活かしているなどという例はないです。
ある日世界地図を見ていて思ったのですが、実は、中国とインドは国境を接しています。飛行機など使えば、簡単に行き来できると思います。このままでいくと、中国はインドの下請けになるかもしれません。今インドがやっているようなことは、中国に任せ、インド側はもつと高度なオリジナリティー溢れる事業を進めていくかもしれません。
中国の進む道は?
インドも中国と同じように後進国であり、先のITなどはまだ例外で、両方とも産業のほとんどが労働集約的であることは変わりません。また、中国の産業構造はかなり製造業の比率が高く、インドのように未だ一次産業の比率がはるかに高いなどということはありません。この製造業の比率の高さこそが、中国を「世界の工場」という立場に押し上げたのだと思います。しかし、ここにきて足踏み状態です。
この足踏み状態を打開するためには、先進国などよりまずは、インドの長所を見習うべきです。インドは、先ほど述べたように、概念操作能力に長けているという長所のほかに、さすがに、旧宗主国であったイギリスの統治も長かったために、ある程度の民主化、それに少なくとも形式上は法治国家化はなされています。政治と経済の分離もなされています。
中国は、まずは、民主化、法治国家化、政治と経済の分離に関して、少なくともインドなみにすること。それも、早急にすることが喫緊の課題です。それに、インドが持つ最大の長所である概念操作に長けているという部分を現在の産業に適用しているというこの事実を認識して、それに匹敵する長所を探しだし、早急にその長所を伸ばす政策や企業運営を推進すべきです。歴史の長い中国ですから、それを見つけ出すことはそんなに難しいことではないはずです。また、こうした改革を実施するためには、資金的裏づけも必要不可欠です。レノボのような会社、いずれ駄目になることはわかっていますが、その前に、ここ2~3年は徹底的に稼げるだけ稼ぐように、これも、早急な対策が必要と考えます。
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
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