2015年1月11日日曜日

安倍首相 1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」支給中止へ―【私の論評】アベノミクスが、 増税で腰を折られた今こそ再配分的財政政策は民主党代表選の争点にしても良いくらいの重要なテーマであると心得よ!(◎_◎;)

安倍首相 1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」支給中止へ

8%増税の悪影響がまだ続いているのに、廃止された給付金もある

安倍晋三・首相は、消費税率10%への再増税を2年先送りしたことを「国民への施し」とでも思っているようだ。だからこそ、“増税を延期してやったんだからいいだろう”とばかりに平然と別の負担を国民に押し付けてくる。

まず中学生以下の子供を持つ子育て世帯(1350万世帯)には、支給するはずだった1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」の支給中止を決めた。低所得者世帯(2400万人)に対しては、最高1万5000円だった「臨時福祉給付金」を6000円に減らす。そして低所得の年金生活者(790万人)への月5000円の「年金生活者支援給付金」は支給の先送りを決めた。

いずれも「増税による国民の負担」を減らす目的でつくられた制度だ。いまも国民は物価上昇で財布の紐を固く締め、消費税8%の痛みに耐えている。それなのに、“10%にはしなかったから、こっちはおあずけ”と取り上げた。

安倍氏は昨年4月に消費税率を3%引き上げた時、「社会保障にしか使わない」と語ったが、国民からカネだけ取って社会保障を真っ先に切ったわけである。3つの給付金の中止と減額で国民は懐に入るはずだった9000億円を奪われた。

※週刊ポスト2015年1月16・23日号

【私の論評】アベノミクスが、 増税で腰を折られた今こそ再配分的財政政策は民主党代表選の争点にしても良いくらいの重要なテーマであると心得よ!(◎_◎;)

上の週刊誌の記事最初から安倍政権に対して、敵愾心むき出してとてもまともに読めるものではありません。しかしながら、この記事書いた本人も、それを掲載したデスクもあまり意識していないながら、真実の一端を示してもいます。

それは、何かといえばまず、第一に以前からこのブログに掲載しているように、8%増税の悪影響を当初黒田日銀総裁が軽く見積もったため、当初は緩和しないというスタンスだったので、日銀による追加金融緩和が遅きに失しているため、本年は金融緩和による実体経済の回復はあまり期待できないということがあります。

これについては、以前このブログでも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化―【私の論評】今年は金融緩和が効き目はまだない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!
第三次安倍内閣は成立したが・・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に
すでに、15年以上も日本はデフレが続いており、今のままでは、良かれと思って何かを実行すると、他の何かが駄目になるというモグラ叩き状態にあり、閉塞状況にあります。おそらく、安倍政権が経済を軽んじて、戦後体制から脱却とか、改憲などのことばかり打ち出せば、支持率はかなり低下するものと思います。

だからこそ、安倍総理は、今回の解散総選挙の大義を「増税見送り」「アベノミクスの継続」を掲げて、勝利することができたのです。

だから、安倍政権としては、まずは経済対策を優先することになると思います。そうして、8%増税によって、経済が悪化することが明々白々であったにもかかわらず、日銀の黒田総裁は、追加の金融緩和策をしなくても、日本経済は落ち込むことはないと主張しましたが、実際に8%増税をしたところ、その主張は脆くも打ち砕かれ、過去二年間にわたる、アベノミクスの成果は水の泡と消え、アベノミクス実施直前の状況に戻ってしまったわけです。

この状況を打破するため、黒田日銀総裁は、今年の10月31日に追加金融緩和に踏み切ったわけです。しかし、これは遅きに失しました。本来は、8%増税が決まった直後に実施すべきでした。なぜなら、先に述べたように、そうして高橋洋一氏も語っているように、金融緩和政策は、実体経済に効き目があらわれるまでには、少なくとも一年くらいはかかるからです。

そうすると、来年の経済を良くするためには、財政政策が大きな鍵をにぎるわけです。そうして、先ほど述べたように、名目では年率換算で14兆円の需要不足が生じている現在、少なくても10兆円以上の政府による経済対策が必須となるわけです。

今後安倍政権が、安定して、長期政権になるためには、少なとくも10兆円規模の財政出動が必要不可欠となります。そうして、公共工事の供給制約のある現在では、できるなら、消費税を5%に戻すか、それができないというのなら、8%増税を帳消しにする程の規模の所得税減税と、給付金政策を行うべきです。
安倍総理は、是が非でも日本をデフレから脱却させなければならない
これを実行するための、方法としては、私自身は国債で賄っても良いと思うのですが、赤字国債を嫌う人も多いので、財源としては、それこそ、高橋洋一氏も主張しておられるように、いわゆる「埋蔵金」を活用すれば良いのです。今の段階なら、円安で含み益が10兆円以上あると思われる外国為替資金特別会計(外為特会)の活用が良いです。もちろん、外為資金百数十兆円すべてが埋蔵金ではなく、あくまで含み益の部分です。 
こういう含み益のことも言わず、円安のネガティブな面ばかり強調する辛坊氏の経済論は、どことなく、胡散臭く信用なりません。 
いずれにせよ、安倍政権がまともな積極財政にとりくまず、過去の政府のように焼け石に水のような、桁違いに小規模な経済対策に終始するならば、支持率は激減し、安倍長期政権の夢は水泡に帰することは、火を見るよりも明らかです。 
それにしても、異次元の包括的金融緩和で口火を切ったアベノミクスを実行に移したのは、安倍総理です。この安倍総理が、現在の状況から、積極財政に踏み切る、それもサプライズを伴う積極財政を実行に移すのは間違いないと思います。
上記で掲載したように、今年は、株価や為替は、別にして増税の影響もあり実体経済はあまり良くはならないと思います。

安倍政権がこれからも、持率を高め、長期政権を目指すのであれば、金融政策による実体経済への効果があまり期待できない現在では、やはり財政政策により、国民の目にもはっきりと見えるような経済対策を打たなければなりません。

そうした場合、現状では、大規模な公共工事は、公共工事の提供制約がある現在 、公共工事そのものは、大規模な経済対策とはなりえません。

そうすると、ここ当面は、効果のある経済対策としては、減税、給付金の二つの柱になると思います。

私自身は、消費税減税をして消費税の税率を5%に戻するというのが一番効果があると思います。これと金融緩和を同時に行い、物価目標2%を確実に達成して間違いない状況になるまで実行すべきです。

そうして、日本経済がデフレから完璧に脱却してインフレが加速して、これ以上金融緩和や財政政策を続けていていてはハイパーインフレになることが懸念されたら、消費税率をあげれば良いのです。もし、一端税率をあげた、消費税を今更手を付けるわけにはいなかないというのであれば、所得税減税でも何でかまわないです。とにかく、何らかの減税政策によって、消費税増税の悪影響を取り除くのです。これに、給付金も加味すれば、さらに強力な財政政策を実行することができます。

そうして日本経済がデフレから脱却して、インフレ気味になれば、課税対象である国民所得も増え、税収も増えます。そうなれば、給付金はやめ、さらに増税ということになれば、財政再建もより確かなものになります。

いまの政治家の悪いところは、デフレから脱却してインフレが加速しないうちに、増税するなどというバカなことをしようとするところです。景気が悪すぎれば、減税し、景気が良すぎれば、増税するというのが当たり前の行き方です。

金融政策も同じことです。いつまでも、緩和を継続したり、いつまでも引き締めを続けていては、とんでもないことになります。景気が悪化すれば、緩和し、景気が良すぎれば引き締めをするのというのが、正しいありかたです。

こうした正しい経済を実行することを前提として、今年は金融政策のほか財政政策を実行すべきであり、その観点からすると、上記のようにもともとあった、給付金をカットするのは良いやり方とはいえません。

それと、廃止された子育て世帯臨時特例給付金は、中学生以下の子供がいる世帯が対象ということで、これではお金持ちの世帯でも、貧困世帯でも同じく給付するということで、再配分的な政策ではありません。

再配分的給付にするなら、お金持ちの世帯には給付せず、貧困世帯に厚く配布するということになります。再配分的な給付をしなければ、お金持ちは一万円をもらっても、特にそれをすぐに使うことはありません。貧困世帯では、もらった一万円をすぐに使うかもしれませんが、これでは総合的にいえば、あまり効果は期待できません。

しかし、再配分的給付にすれば、貧乏な世帯が数万円をもらい、これをすぐに遣うことになりまから、財政政策としても、かなり効果があります。

それにしても、ここ20年くらいは、再配分政策にはあまり熱心ではありません。それどころか、現在の保守論壇も再分配政策に極めて冷淡、および消極的です。

痩せた犬には、多くの餌を、太った犬には、少なめの餌を。再配分政策は人間にとっても、重要だ。
経済政策を考える際に、再分配政策が極めて重要であることは、片岡剛士氏も常々指摘しています。

http://synodos.jp/newbook/3504

これまでにない大胆な金融緩和によって幸先よくスタートしたアベノミクスは、デフレ下における消費税増税という悪手を選択してしまったことにより、現在絶体絶命の危機下にあります。

このアベノミクスを再び軌道に乗せるためにも、政府はより積極的な再分配な減税および給付金対策に取り組む必要があります。もし、そうしないのならば、「アベノミクス」はゼロ年代前半の中途半端な金融緩和と脆弱な再分配政策という「小泉・竹中路線」となんら変わりのない経済政策となってしまう可能性すらあります。

しかし、もともとの自民党は、再配分政策に冷淡な政党ではありませんでした。それは、池田総理大臣のときまでさかのぼれば、良くわかることです。

池田隼人氏

池田は高度経済成長を成功させました。戦後政治家の中で唯一、日本をどのような国家にするかという意味での国家観を描き、病気で退陣するまでほとんどすべてに成功していました。最も成功した池田の理念は、「日本は特別な金持ちなど居なくても良い。皆が真面目に働けば、皆が豊かになれる社会を実現するのだ」でした。

これは一時期「総中流意識」などと揶揄されたましが、「ごく一部だけが特権階級、ほとんどすべてが下る流」などという今と比べていかがでしょうか。もはやなつかしいを通り越して夢物語のようにも見えます。しかし確かに存在したのです。

とはいいながら、池田の前任首相の鳩山一郎や岸信介は既に高度経済成長路線を走っていましたし、そもそも下村治のようなブレーンの発案がなければ出てこない発想ですが、それでも高度経済成長により、極端な金持ちは居ない代わりに極端な貧乏人は出さないという社会を築いた功績は、誰よりも池田勇人に帰すべきす。その後の自民党は池田の遺産を食いつぶしていたと断言できます。

そもそも自民党とはどのような政党だったのでしらょうか。過去においては、社会党ではなくて自民党でなくてはならない理由はなんだったのでしょうか。

これは浜田幸一という政治評論家が言っていたのですが、自民党の存在意義は「富の公正配分をすることにある」だそうです。これと同時に、「自由主義陣営の一員として日米安保条約を守り云々」となるののですが、池田の死後の佐藤内閣では、主権国家としてまともな国防政策をやめていますから、それは如何なものでしょうか。

つまり、自民党は経済が元気で、利権を配れる以上は政権政党でいられたのです。一方で失われた90年代は竹下支配の時代であす。配るアメがどんどん縮小していく時代である。島根県の人間なら誰でも知っている話だが、別に竹下に政治献金をしても利権にありつける訳ではありませんでした。ただ支持しないと絶対に排除されるだけでした。

このような状況は民主党に政権交代をされるまで続くことになりました。

政権交代された後に自民党はまた、政権の座に戻ることができたのですが、再配分政策に対して冷淡であるということには今でも変りありません。

かつて自民党は、再配分政策で大成功したという池田の時代をすっかり忘れてしまったようです。自民党はもう一度、池田のように「日本は特別な金持ちなど居なくても良い。皆が真面目に働けば、皆が豊かになれる社会を実現するのだ」という理念を実現することにより、中国はじめとする他国にもおよびもつかないほどの、経済発展を成し遂げたことを思い起こすべぎてす。

安倍総理はまさに、このような考えから、EUなどでは左翼的政策と目される金融政策に踏み切ったわけですが、そこからさらに一歩の財政政策に踏み切ることができないどころか、結局増税してしまいました。無論、安倍総理自身は、増税などしたくなかったでしょうが、党内の増税圧力に阻まれ、増税せざるをえませんでした。しかし、さすがに、10%増税ともなれば、破滅的になるので、これは見送ったということです。

そうして、今のような自民党に対しては、野党が池田の時代を思い出させるような施策を提案するとか、これを対抗軸にするようなことをすべきだと思います。

本来は、これを民主党のような野党が実施すべきですが、マクロ経済音痴の民主党にはこれができないようです。民主党も政権交代のときには、再配分政策に近いことも言っていたのですが、なにしろ、彼らの政策はただ、ばらまくというだけで、まともな金融政策や、財政政策を前提としたものではなく、そのため大失敗して、敗退しました。

今回の民主党の代表選においはも、本来はこのような論点を争点としてあげれば、良かったのだと思いますが、なにしろ代表選候補者の3人ともがほとんどマクロ経済を理解していないようなので、全く駄目なようです。

民主党代表選の候補者ら
本来ならば、上で示した論点で3人の候補者が一致し、その上で、再配分的財政政策を三者三様の意見をあげて、それを争点とすれば、民主党も見込みがあったと思います。

そうなれば、再度自民党の対抗馬として、実際に政権交代できるできないはどうなるかは、わかりませんが、野党としても立派につとめを果たせたかもしれません。

そうして、そのような野党が存在すれば、与党の自民・公明党ももっとまともに、現在もっとも経済対策として、効果のある再配分的財政政策に目を向けたかもしれません。

いまのままでは、民主党は、野党としてもまともな働きができないばかりか、自民党も存在基盤を失いまたまた、少し前のように総理の在任期間が極端に短くなる懸念もあります。

そうはならないためにも、自民党は過去の反省をして、池田時代にはなぜあのようにうまくいったのか、十分研究して、その研究の成果を生かす政権運営をしていただきたいものです。再配分的再生政策は本年こそ、積極的に実施されるべきものであると私は確信しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

ちなみに、私はトマス・ピケティ氏の主張に賛成です。しかし、トマスピケティ氏が主張していたようなことは、すでに池田総理大臣の時代に日本において、それに近いようなことが実現されていたと思います。だからこそ、あの驚異的な高度成長が可能だったのだと思います。これについて、述べると長くなるので、いずれ機会をもうけてこのブログにも掲載しようと思います。

【追記】
子育て給付金、支給されることにはなりましたが、減額されてしまいました。これって、本当に意味があるんでしょうか。大して効果はないのに、事務手続きに時間がとられて、ほとんど何にもならないです。減額するなら、再配分的にすれば、もっと効果が期待でき、全体では減額になると思いますが。お金持ちの家庭で、たった3000円では意味がないので、申請手続きすらしないと思います。貧乏な家庭でも、これでは焼け石に水ですね。



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2015年1月10日土曜日

安倍政権に奪われた雇用政策 日銀法改正を主張する気概を 民主党代表選 ―【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!


民主党代表戦の告示を伝えるテレビ番組のキャプチャー画像

5日の仕事始めでちょっと変わった風景が見られた。労働組合の中央組織である連合の新年交歓会に、黒田東彦(はるひこ)日銀総裁と岩田規久男副総裁が招かれたのだ。

この伏線は、昨年の春闘後、岩田副総裁が連合幹部と意見交換していたことにある。本コラムの読者であれば、日銀の金融政策は、実は雇用政策であり、真の意味で雇用を創出しているのは日銀だということをご存じだろう。

この意味では、労働界と日銀はもっと頻繁に意見交換していても当然である。そうした当たり前のことが、これまでなかったところに、日本における金融政策の無理解がいかにひどかったのかがわかる。

この新年会には、黒田日銀総裁のほか、榊原定征経団連会長も招待されており、出席した人は「こういう風景は初めてだ」と異口同音に話していた。黒田総裁、榊原会長ともに、スピーチでは古賀伸明連合会長と歩調を合わせて賃上げの重要性を指摘していた。

日銀・経団連トップが連合新年会に初参加(2015/01/06)
こうした中で、影が薄かったのは、民主党の枝野幸男幹事長だった。それもそのはずで、枝野氏は金融引き締めこそが経済を成長させるという奇妙な論を持っている。

安倍晋三政権で金融緩和に転じてから、雇用が増加したのであるから、連合としては民主党の金融政策を冷ややかに見ているのではないか。

 そうした中で、民主党の代表選が7日告示され18日に実施される。岡田克也代表代行と細野豪志元幹事長、長妻昭元厚労相の3氏の経済政策や野党再編などはどうなるのだろうか。

3氏のうち誰が代表になっても、連合を引きつけるような金融政策を主張するとは思えないのは、かなり残念である。2年前の衆院選で自民党の安倍総裁がインフレ目標2%を打ち出したような大きな政策転換が欲しい。

古賀連合会長は、かつて雇用確保のための日銀法改正に大いに興味を持っていた。民主党の勉強会であったが、筆者は目の前でその意見を聞いたことがある。日銀法改正ぐらい誰か主張しないと、民主党らしい政策基盤はできない。

安倍政権が金融政策という左派政策を取り込んだのであるから、それを奪い返すくらいの気概が必要だ。特に、優勢と伝えられる岡田氏に挑む細野氏や、リベラルを旗印とする長妻氏には、大胆な政策主張が欲しい。

となると、政策というより政界再編のスタンスが3氏の差別化になってくる。政界再編について、岡田、長妻氏は消極的、細野氏は積極的といわれる。ところが、細野氏は政界再編を前面に出さない作戦といわれており、これも代表選の争点になりにくい。

このままでは、政権交代を期待できるような人が代表にならない公算が大きい。それこそ民主党の真の危機である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

この記事は要約です。詳細は、こちらから!!

【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!

上の記事では高橋洋一氏の語るように「日銀の金融政策は、実は雇用政策でもあり、真の意味で雇用を創出しているのは日銀である」というのは、真実であり、これは世界の常識です。

日本や、アメリカのような国であれば、インフレ率が数パーセント上がっただけで、他には何をしなくても、一夜にして数百万の雇用が生まれます。これは、統計的にもフィリップス曲線として古くから理解されている事実です。



このグラフを見ていても、良くわかります。日本がデフレに入ってから以降、物価上昇率はマイナスになっていて、失業率は高くなっています。日本がデフレに入る前の1995年よりも、前の時点では、消費者物価上昇率はプラスで、失業率も低いです。

そうして、これは、統計的に確かめられているだけではなく、日本以外のまともな先進国では、インフレ率と雇用との間には密接な関係があり、雇用確保のために緩やかなインフレ政策をとるというのが、金融政策の常道です。

無論、いつでもインフレ政策をとるというわけにはいきません、場合によってはこれ以上のインフレ政策を実行すれば、ハイパーインフレになるという場合もありますから、その場合はインフレ政策をとれないにしても、少なくともデフレ政策はとらないというのがまともな政策です。

雇用状況を悪くしないように、金融の舵取りをするのが、中央銀行の使命でもあります。それは、日本以外の国では、誰もが当然としていることです。日本だけが、世界の例外でした。

官僚にも、多くの政治家にも、マスコミにも、そうして多くの識者といわれる人々までが、そのような認識がありませんでした。だからこそ、過去の日本は、古今東西に例をみない、二十年にも及ぶデフレが許容されてきたのです。

このことについては、このブログでも何回か掲載させていただいたことがあります。その代表的なもののURLを以下に掲載させていただきます。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
この頃、若者の雇用の悪化について言われていたが、日銀
の金融政策と関連づけて語る人はほとんどいなかった。
この記事は、2012年9月に掲載したものです。当時は、無論のこと安部自民党政権でなく、野田民主党政権が与党だった時代です。以下に、この記事から、
雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。
就活の大変さの責任は日銀にあったということを多くの人が知らなかった
日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。
 この記事では、若者の雇用について語ったので、日銀と厚生労働省の二つの雇用対策がマッチして、若者雇用などのまともな雇用対策ができると掲載しましたが、もともと、雇用枠がない場合いくら厚生労働省が何を実施しようとも雇用問題は解決できません。これが、マクロ経済上の常識です。

これは、日本人だけが疎かった世界共通の社会常識でもあります。一般の人の理解が不十分であっても、本来政治家にとっては許されないことです。しかし、民主党の幹部それも、今回代表戦に出馬する人たちはこれを理解していないようです。

これを理解できないようであれば、日銀法改正の意味も理解できないのではないかと思います。日銀法は、改悪されて悪法になりました。

何が悪法なのかといえば、日銀の独立性に関する誤った認識が反映されていることです。本来、中央銀行の独立性とは、金融政策の目標を自由に設定できることではなく、政府が決めた金融政策の目標に従い、日銀は専門的な立場から、手段を他から影響されることなく自由に選ぶことができるということ、すなわち、手段の独立性を意味します。

しかし、今の日銀法では、目標も手段も日銀によって自由に選べるということが日銀の独立性だとされています。これは、全くの間違いです。

そもそも、国の金融政策の目標という国民生活に大きな影響を及ぼす大事な事柄は、選挙で選ばれた人々による政府によって決定されるべきものであって、政府の一下部機関に過ぎない中央銀行が決定すること自体が全くの間違いです。

こんなことが、今でも許されているからこそ、日銀の政策決定委員会のメンバーの人事があるたびに、多くの人が、やきもきするのです。もし、政策決定委員会のメンバーの構成が、まともな金融政策のできない人たちが多数派になれば、またぞろ、日本はデフレのスパイラルのどん底に沈み、中国や韓国が大喜びし、多くの国民が塗炭の苦しみ味わうことになるかもしれないからです。

しかし、金融政策が雇用に及ぼす、影響についてほとんど認識できない、現在の民主党の代表戦候補者では、これも理解不能と思います。

これだと、マクロ経済に関しては、馬鹿を通り越して、愚鈍レベルです。そうは言っても、与党自民党も、増税推進者の集まりでしたから、こんなことも理解できない人が多いのだと思います。

しかし、そんなことをいえば、世の中の多くの、それこそ大会社の経営者にもこれを理解しない人が多かったのですから、多くの国民も理解できなかったのも無理はありません。

そのため、日銀の金融政策が方向違いであるにもかかわらず、そのまま放置され、このようなことも理解できていないから、デフレなのに政府も緊縮財政を行うなどの馬鹿まねが続いて、結局20年もデフレが放置されてしまったわけです。

そのことに、反対の狼煙をあげて、実際に行動しはじめたのが安部総理です。民主党も、民主党全部とはいいませんが、少なくとも代表になる人くらいは、このことを理解して、野党の立場から、狼煙をあげてもらいたいものです。

日銀の政策決定委員会。日本では、日本国の金融政策がこの
会議で決定されるという馬鹿まねが今でもまかり通っている。

それにしても、今まではそうではありませんでしたが、これからは日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であることを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破綻するしかないと思います。

なにしろ、こんな重要なことを理解できないようでは、これだけではなく、他の重要なことがらに関してもそうであって、政治も政局も結局何も理解できないからです。政治家は本当に忙しい仕事のようですから、細かなことまでは理解できなくても良いとは思いますが、それでも、大事な経済・金融の根幹にかかわることですから、最低限このくらいのことは理解しておかなければ、政治家など全く務まらないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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ケインズは、不況のときの金融政策を否定などしていません。むしろ、積極的に行うべきと主張しています。これを理解し、今の日本を理解するためにもケインズの原点にあたるべきと思います。

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2015年1月9日金曜日

韓国のサイトHankookiが反日プロパガンダのためにホロコーストの写真を使用―【私の論評】この捏造は、あまりに幼稚すぎて噴飯レベルだが、ナチスのホロコーストの犠牲者を貶めるとんでもない行為であると認識せよ(゚д゚)!

韓国のサイトHankookiが反日プロパガンダのためにホロコーストの写真を使用

韓国のサイトHankookiが反日プロパガンダのためにホロコーストの写真を使っています。

La photo sur le site Coréen サイトで紹介されている写真

http://web.archive.org/web/20030213234955/http://www.hk.co.kr/event/jeonshin/w3/e_w3_1.htm
Victims of sexual slavery by the Japanese Imperial Forces
Victims of sexual slavery by the Japanese Imperial Forces
En fait, on peut retrouver cette photo, non zoomée et retouchée cette fois-ci, sur des sites sur l'Holocauste :

しかしこの写真を別のところで見つけることができます。こちらには、ズームも加工もされていません。ホロコーストのサイトです。

http://www.english.illinois.edu/maps/holocaust/photoessay.htm

Jewish women from the Mizocz Ghetto in the Ukraine, which held roughly 1,700 Jews. Some are holding infants as they are forced to wait in a line before their execution by Germans and Ukrainian collaborators.  [Photo credits: Main Commission for the Investigation of Nazi War Crimes]
Jewish women from the Mizocz Ghetto in the Ukraine, which held roughly 1,700 Jews. Some are holding infants as they are forced to wait in a line before their execution by Germans and Ukrainian collaborators. [Photo credits: Main Commission for the Investigation of Nazi War Crimes]

Je trouve que ce détournement de photographie de l'Holocauste à des fins de propagande Coréenne est écœurant, comment peut-on en arriver là ? Les gens qui ont fait cela n'ont vraiment aucune morale. Comment peut-on croire la véracité des arguments Coréens quand on voit ce genre de manipulation de la vérité ?


韓国のプロパガンダの目的でホロコーストの写真を転用するのは、わたしには吐き気を起こさせます。一体どうしたらこのようなことが出来るのでしょうか?これをした人たちは、本当に心無い人々です。このような真実を操作している様子を見て、どうして韓国の主張の真実性を信じることができるでしょう。
http://daisukinipponfrance.over-blog.com/2014/08/encore-des-retouches-photos.html

http://daisukinipponfrance.over-blog.com/2014/07/retouche-photo-coreenne.html

http://daisukinipponfrance.over-blog.com/2014/06/retouche-photo-sur-les-femmes-de-reconfort-encore.html

【私の論評】この捏造は、あまりに幼稚すぎて噴飯レベルだが、ナチスのホロコーストの犠牲者を貶めるとんでもない行為であると認識せよ(゚д゚)!

上は、あるブログの記事です。このブログは、「日本人の思いをフランスへ発信、フランス人の日本に対する考えを日本へ発信するブログ」というもので、フランス語ができる個人の方が運営されているようです。

それにしても、韓国のサイトそれも複数のサイトによる、写真による捏造は、酷いものです。この写真、特に拡大してみたりすれば、犠牲者の女性は明らかにアジア系ではないことが、すぐに誰にでもわかります。

やはり、元々慰安婦問題など存在しないのに、官も民も存在すると言い続け、歴史を捏造し続けてきた国だけのことはあります。

それにしても、韓国は信じがたいことが起こる国です。現状では、あの「ナッツ姫」のことが彼の国では問題になっているようですが、まさに「さもありなん」という心持ちがします。



韓国ではナッツ姫問題が話題になっているようだが・・・・

それにしても、「ナッツ姫」に関しては、韓国国内の問題であるので、どのような騒ぎになっても、それはそれで国内で騒いでいれば良いだけで、他国に迷惑をかけたり、他国の人を貶めることにはなりません。

しかし、上のようなことは断じて許すことのできない、とんでもない問題です。そもそも、自分たちの歴史捏造を正当化するために、ユダヤ人のホロコーストの写真を勝手に利用するなんて、あんまりといえば、あんまりです。

しかし韓国のサイトがこのようなバカ真似をするには、するだけの背景があります。これについては、チャンネル桜において、元イスラエル大使が、日本はホロコーストなどしていない。ホロコーストは、あくまでナチスドイツが起こしたものであるとの見解を発表していました。

チャンネル桜のこの動画自体は、現在ではYouTubeを探してみても見当たらないので、その内容を他の人が動画にしたものを以下に掲載します。


私は、この元の動画を見ていますが、確かに元駐日イスラエル大使であるエディ・コーエン氏は、このようなことを語っていました。以下に、その内容の概要を掲載しておきます。

韓国政府などが従軍慰安婦問題をナチスドイツのホロコーストと重ねて、アメリカを始め世界中でプロパガンダを展開していることについて前駐日イスラエル大使のエディ・コーエン氏がチャンネル桜のインタビューに答えて日本を全面的に支持してくれています。

前駐日イスラエル大使は、日本はホロコーストは起こしていない。ホロコーストとは、ナチスドイツがユダヤ人に対して行ったものを指すのであり、それ以外にはない。日本人は全力を尽くして韓国の嘘と戦わなければ、日本がアジアでホロコーストを起こした国だと歴史を捏造されてしまうだろうと指摘していました。

日本は、ナチス・ドイツなどとは根本的に異なった。そもそも、日本は侵略戦争はしていない。

韓国政府自らが、このような日本がホロコーストを実施したなどというとんでもない歴史捏造をするわけですから、韓国の複数のサイトがこのように、捏造のためにナチスによるホロコーストを利用するのは、当然の流れです。

この捏造は、あまりに幼稚すぎて噴飯レベルですが、ナチスのホロコーストの犠牲者を貶めるとんでもない行為であると認識すべきです。

そもそも、日本はナチス・ドイツなどとは根本的に異なり、アジアの他の民族を殲滅しようなどという考えはまったくありませんでした。それどころか、その頃ほとんどが、西欧諸国の植民地になっていたアジアの国々の独立という大義によって、西欧諸国と戦ったのであり、アジアの他国との戦争をしたわけではありません。

しかし、このままでは、日本もナチス・ドイツ並みのホロコーストを実施したことにされ、日本とイスラエルの両方共貶めることになります。

国際社会においては、いずれかの国が、他国に対して非難をした場合、その他国が当該国に対して、反論をして、それが水掛け論になった場合には、最初に言い出した国が負けであるという暗黙の領解があります。

日本も、韓国のこのような言いがかりに対しては、反論して、水掛け論にもっていくべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年1月8日木曜日

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め―【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め

2015年は第2次世界大戦後70年にあたる。この間、日本経済はどう成長してきたのだろうか。

まず、データで確認しておく。戦後の混乱期を経て、1960年代から10%の高度成長に入った。70年代と80年代も5%成長を維持してきた。その成長路線に急ブレーキがかかったのが、バブル崩壊以降の90年代からだ。90年代、そして2000年代以降は1%程度の低成長に甘んじている。

高度成長期の日本

1990年を境として、日本経済はまったく異なっている。この成長率の段差をどのように説明できるだろうか。

90年以前の日本の高度成長について、かつては「優秀な官僚が民間を適切に誘導・指導したためだ」という俗説がはびこっていた。しかし、実際には官僚が市場経済を理解していなかったという事実から、こうした俗説は間違いとされている。

「民間の技術力の賜(たまもの)だった」という見方もあるが、90年から急に技術力がなくなったというのも、にわかには信じがたい。

民間の技術力も一つの要因ではあっただろうが、それを生かすような環境があったことが重要だ。筆者の仮説は、為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になったというものだ。

71年8月、米国が金とドルの交換停止を発表した「ニクソン・ショック」以前は1ドル=360円。それ以降も80年代後半まで、管理された「変動相場制」だった。通貨供給量や金利差を重視するマネタリー・アプローチ理論から計算される理論為替レートより、実際はかなり円安だった。

 海外競争においては価格が重要な要素であるのは否定できず、さらに、技術が90年代以降急速に劣化したというのも考えにくいことから、この仮説は、日本の高度経済成長をうまく説明していると思う。また、その後の経済停滞とも整合的だ。
バブル期のファッション
本コラムで書いてきたが、80年代後半のバブルつぶしに金融引き締めを行ったのが間違いだった。当時、株式と土地の取引規制に抜け穴があり、そこでバブルが発生し、銀行融資がそれを助長したのだ。

いま設定されている「インフレ目標2%」の水準からみても正当化できないにもかかわらず、金融引き締めを行い、バブルをつぶそうとしたのは、日銀の失敗である。それはバブルだけでなく、日本経済全体をつぶしてしまった。そして、90年以降も日銀は間違いを認めず、金融引き締めを続けてしまった。これは、デフレ経済を招くと同時に、過度な円高の原因ともなった。

90年以降、日本だけが過度な金融引き締めを20年以上も続けたのは、世界各国のマネー伸び率などのデータで日本だけが伸び率を激減させていることからも明らかだ。

90年以前は高成長国、90年以降は低成長国。これほど成長率に格差があるのは、日本以外ではみられない珍しい現象だ。円安で高成長、金融引き締めで低成長という筆者の仮説は、これをうまく説明できる。そこから導かれるのは、適切な金融政策で日本は再び成長できるということだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

上の記事概ね書かれてある内容について、賛成なのですが、これを読むと誤解する人もいるかもしれないので、少し補っておきたいと思います。

高橋洋一氏が上の記事述べている、仮説「為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になった」というのは正しいですが、これだけだと誤解を招きそうです。

日本の輸出は約70兆円で、GDPが約500兆円なのでGDPに占める輸出の割合は約14%です。割合から言えば、それほど大きくないかもしれません。しかも、この指標は過去十数年で倍になったもので、十数年前は8%に過ぎませんでした。

高度成長のときも、この水準以下でした。高橋氏は、無論このことは十分理解していて、あまりにあたり前になりすぎているので、特にはこの事実に触れなかったのだと思います。

しかし、この事実を知らずにただ上の記事を読み流すと、高度成長のときに日本は輸出大国であり、GDPの数十パーセンもの部分、50%も輸出が占めていて、それが国の富になって高度経済成長したなどとの誤解してしまう人もでてしまいそうです。

高度成長期の映画のポスター

確かに、そういう部分は否定できませんが、何やらこうした側面ばかりが強調され過ぎているような気がします。

現実には、高度成長期ですら、輸出がGDPに占める割合は、8%以下でした。現状は14%程度ですが、それでもこれは他国に比較すると少ないです。中国やドイツなどこの割合は40%を超えます。アメリカは数%に過ぎません。

円安だと、外国の製品は割高になります。たとえば、車にしても、同じような性能の車であれば、外車より国産車のほうが低価格ということになります。そうして、多くの人々は、日本車を購入するようになります。

それは、車におよばず、すべての製品でそのようなことがいえます。高度成長期には、こうして内需がかなり拡大して、日本経済の成長を牽引したのです。

ゴーゴー 昭和47年、バンド演奏をバックにゴーゴーを踊る水着姿の女子学生

では、輸出は日本経済に貢献しなかったのかといえば、そんなことはありません。実は、内需にも貢献しています。

これも、車を例にとって述べます。車産業のピラミットを想像して下さい。トヨタ、日産、ホンダは輸出企業でピラミットの上層部を占めます。その下には無数の下請け企業が連なっているのです。いわゆる輸出関連企業群がありGDPに寄与しているのです。そして、そこに働く労働者数も相当な数でしょうから所得、消費まで入れると具体的数字はわかりませんが、GDPの3割合以上はあると思います。

円安ということで、そもそも内需が伸び、輸出によって、直接利益を得ている企業は少ないですが、それでも、企業に対して原材料や、部品を提供する会社が多数あり、これも内需を拡大することに寄与したのです。

円安により、日本国内では、外国製品よりも日本製品を購入するということにより、内需拡大がすすみ、輸出によっても、それに対して原材料や部品を供給する会社により、日本国内の内需拡大ということで、好循環をつくりだし、それがあの高度経済成長の原動力となったのです。

しかし、過去20年程度は、円高なので、海外に製品が売れない、売れないから、輸出産業に対して原材料や、部品を提供してきた企業も疲弊したし、国内でもデフレで物が売れないという状況で、さら内需がしぼむということで、これが悪循環をつくりだし、日本はデフレ・スパイラルのどん底に沈んでしまったということです。

円安というと、昔は、外国製品が割高となり、国内製品を売りやすくするためという政策であるというのが、あたり前でしたが、現在ではそうではないようです。

だから、そういう認識のない人にとっては、円安を脅威と受け取ることが多いようです。要するに、海外から原材料を輸入しているから、原材料が高騰して大変だと、円安のデメリットばかりを強調します。

高度成長期のポスター

しかし、円安には国内においては、相対的に国産品を低価格にし、海外製品が高くなり、多くの人は国産品を求めるようになり、国内産業を育成し、内需を拡大するという大きなメリットがあるということがすっかり忘れ去られています。

いずれにしても、極端な円安、極端な円高、あるいは為替相場の急激な変動は、良いことではありません。しかし、過去においては、あまりにも長い間の円高・デフレで疲弊してきたわけですから、かつてのように、円安・インフレ傾向になることは何も悪いことではないどころか、それによって日本経済はまた必ず伸びるということです。

円高・デフレを念頭におき、この状況をスタンダートと考え、日本経済はもう伸びないなどと考えるのは間違いです。円安・インフレ傾向になりきっていない状況で、デフレ・円高スタンダードでものごとを考えていては、これからの変化を見誤ります。

上の記事も、これを前提として読めば、正しく認識できると思いますが、こうした基本的な認識が欠ととんでもない誤解をすることになりかねないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年1月7日水曜日

【日本の解き方】インフレ目標2%に黄信号 黒田日銀は審議委員人事でピンチも ―【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!


消費増税による景気の落ち込みを予測できなかった黒田東彦日銀総裁

日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁体制になって4月で2年となる。

黒田総裁は「2%のインフレ目標」を掲げているが、これは達成できそうにない。その理由は、消費増税による景気の落ち込みを予測できなかったからだ。

消費増税前の2014年3月まで、物価は順調に上がっていた。消費者物価指数(生鮮食品除く総合)の対前年同月比でみると、13年3月は0・5%減、6月が0・4%増、9月が0・7%増、12月が1・3%増、そして14年3月は1・3%増だった。

同年4月に消費増税されて形式的には4月が3・2%増と3%を超え、5月には3・4%増となったが、その後は低下し、11月は2・7%まで下がった。

消費増税による物価の押し上げは2%程度なので、それを差し引くと、ピークだった5月の1・4%増はほぼ2%目標の圏内であり、消費増税がなければ、おそらく今頃、2%程度まで上昇していただろう。しかし、黒田総裁は消費増税の影響を見通せなかった。消費増税の押し上げ分を除くと、11月は0・7%増にとどまっている。

現在の経済状況は、GDPギャップ(需要と供給の差)が15兆円程度と、13年1~3月期の状況と似ている。当時は10兆円規模の補正予算と4月からの金融緩和でGDPギャップを急速に縮小させた結果、1年後にはインフレ目標2%の直前までいった。ところが、今回は、補正予算は3・5兆円しかない。昨年10月末に追加緩和があったものの、短期的にGDPギャップを縮めるほどの力強さはない。原油価格の下落は中期的には日本経済に朗報であるが、短期的には物価を押し下げる。この点も考慮すれば、15年中のインフレ目標達成は黄信号だ。

達成したい場合、15年度予算を大型にしなければいけない。本コラムで再三主張しているように、外為特会の含み益10兆円以上を使って、15年度予算の特別枠を設定するのがいい。そこで地方創生などへの重点支出を行うわけだ。さもなければ、15年前半に追加緩和が必要だ。いずれか、または両方がないと、15年中のインフレ目標2%はかなり危ういだろう。

15年の日銀では、人事が注目される。追加緩和に賛成した宮尾龍蔵審議委員は3月に、反対した森本宜久委員は6月に交代する。先の追加緩和決定の際には賛成5対反対4と薄氷を踏む思いだったが、3月に宮尾委員が交代する場合、黒田緩和に反対する人が次期委員になると、追加緩和の可能性がなくなり、黒田日銀はピンチになる。

今の物価動向からみて、15年度のインフレ率見通し1・7%も4月の展望リポートで下方修正に追い込まれる可能性もある。宮尾委員は再任される可能性もあるが、3月の政策決定会合が一つの山場になるだろう。

いずれにしても、3月、6月の審議委員人事で追加緩和賛成派を増やせるかどうかが日銀運営のカギを握る。審議委員の指名では、衆参両院で与党が多数を握っているので、人選の事務を担う財務省がポイントになってくる。財務省のお眼鏡にかない、追加緩和に賛成の人は誰だろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!

確かに、日銀の黒田東彦総裁は、8%増税しても影響なしという発言をしており、増税の悪影響を予測することはできず、昨年の10月末日、かなり経済が落ち込むことがはっきりした後に、ようやっと追加金融緩和を発表しました。全く遅きに失しました。あれは、大失敗でした。本来は、8%増税の前か、少なとも直後に追加金融感を実施すべきでした。

日銀政策決定委員会会合

それにしても、日本国の金融政策の方針を決めるのが、日銀の政策決定委員会であり、その人事権は、衆参両院ということになっていますが、政治化のほとんどが、金融音痴であり、高橋洋一氏が上の記事の最後のほうに掲載しているように、結局人選の事務を担っている財務省の考えが、かなり大きな影響力を持っているというのが現実です。

このようなシステムはもう破綻したことが、はっきりしています。日銀の政策決定委員会は、結局のところ過去20年間もデフレ政策を実行し、日本はデフレ・スパイラルの底に沈んだからです。

このような間違いや、欠陥をマスコミは糾弾することもなく、政治家も是正することもできず、政策決定委員会のメンバーも誰も責任をとらず、無論、日銀の総裁や幹部も誰も責任をとにらず、結果として、失われた20年です。

もう、このような欠陥システムは、是正されてしかるべきです。日銀などもともと、政府の一下部機関にすぎないのですから、日銀の政策決定委員会のメンバーの人事は政府が行うようにすべきです。また、結果として、金融政策が失敗すれば、政策決定委員会の更迭も政府が実行すべきです。

日本国の金融政策の方針は、人銀行政策委員会が決定している

そもそも、日銀の政策決定委員会が日本国の金融政策の方針を決めるのが問題であって、これは政府が定めるべきです。政府が定める、金融政策の方針に従い、日銀の政策決定委員会が、専門家的立場から、その具体的実施方法を選択するという具合にすべきです。

実際、世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。

特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument independence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。

しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。

しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。

日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。

もう、まともな金融政策を実行したい人々の立場からすれば、現状のように、日銀の政策決定委員会の人事を巡って薄氷を踏みような思いをしなければならない現状のシステムは、変更するのかだ当然です。

現行の政策決定委員会は、1997年の日銀法改悪によって、現在の方式になったものです。

旧法下
図
新制度
図
新制度になった次の年から日本は、本科的にデフレに突入して、そこからずっとデフレで、昨年あたりからようやっとデフレではなくなったというのが日本の現状です。

これは、どう考えも、現行システムがまともだとは思えません。

それにしても、今のマスコミや、民主党等の野党など、日銀の独立性は神聖不可侵のようなものにとらえて、政治家などが批判することも、それを侵しているかのように、考え、その事自体を糾弾するというようなバカ真似を繰り返すのはもうやめにすべきです。

マスコミなど、総理大臣などしょっちゅう批判するし、そもそもわけのわからない愚鈍的な理由で糾弾するのに、日銀は糾弾しないし、糾弾する事自体が日銀の独立性に違反するかのような報道はやめるべきです。

日本の司法も、国会も、政府のどのような立場の人であれ責任があるのはあたり前であり、バカなことをしたり、失敗すれば、批判されるのは当然のことです。

まして、過去20年間も不適当な金融政策を実施して、日本のデフレスパイラルの泥沼に追い込んだ、日銀総裁をはじめとする幹部や、政策決定委員会のメンバーなど、過去においては、徹底的に糾弾されるべきであったし、今でも過去にさかのぼって、糾弾されるべきです。それをしない、マスコミは単なるバカの集まりであると糾弾されても仕方ない思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年1月6日火曜日

外食、低価格メニュー消滅か…客離れ深刻なマックとワタミ、店員離れ深刻なすき家―【私の論評】飲食業界の最近の変化からも理解できる! デフレ脳を捨ててインフレ脳に切り替えよ! できなければ負けるだけと心得よ(゚д゚)!

外食、低価格メニュー消滅か…客離れ深刻なマックとワタミ、店員離れ深刻なすき家


 昨年の外食業界の大きな特徴は、「デフレの勝ち組」といわれた牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)、日本マクドナルドHD、居酒屋チェーン「和民」などを展開するワタミが「負け組」に転落したことだ。3社はデフレの時代に低価格を武器に他社を圧倒した。


「デフレ御三家」は揃って赤字経営に陥った。ゼンショーHDは2015年3月期の連結業績予想を大幅に下方修正した。売上高は157億円減の5092億円、営業損益は98億円減の17億円の赤字に転落。13億円の赤字と見込んでいた最終赤字は6倍近い75億円の赤字に拡大する。すき家は10月からワンオペと呼ばれる深夜の1人勤務をやめ、対応できない店は深夜営業を休止した。一連の対応で売り上げ減と費用増のダブルパンチに見舞われ、赤字に陥った。


 日本マクドナルドHDの14年12月期連結決算予想は、売上高が2210億円で前期比15%減。営業損益は94億円の赤字、最終損益は170億円の赤字に転落する見込みだ。14年7月に発生した食材仕入れ先である中国食品会社の賞味期限切れ鶏肉使用問題でイメージが悪化し、売り上げ金額にして200億円から250億円の影響が出た。

 ワタミの15年3月期連結決算予想は、売上高が前期比5%減の1540億円、営業利益は55%減の13億円と減収減益。最終損益は30億円の赤字に転落する見通しだ。国内店舗の9割を占める居酒屋「和民」「わたみん家」の実質的な単価引き上げが客離れを招いた。

●すき家の既存店売り上げは前年同月比増「デフレ御三家」の失速は一様ではない。消費者の反応は既存店売り上げに映し出されるが、昨年4月の消費増税後の既存店売り上げは、すき家とマクドナルド、和民で明暗を分けた。マクドナルドは前述の期限切れ鶏肉問題によるイメージダウンが大きく、既存店売り上げは7月が17.4%減、8月は25.1%減と急激な落ち込みを記録。その後も2ケタの減少に歯止めがかからない。

 ワタミの外食部門の既存店売り上げは6月と7月は2ケタの落ち込みとなったが、4月以降マイナス成長が続く。

 一方、すき家の既存店売り上げは消費増税直後の4月こそマイナスだったが、その後は前年同月を上回っており、深刻な客離れは起きていないもよう。問題なのはアルバイト店員の店舗離れのほうだ。深夜のワンオペが嫌われてアルバイトを採用できず、閉鎖に追い込まれる店舗が続出した。その結果、全店売り上げはマイナスになった。

【既存店売上高の前年同月比】(単位%、▲はマイナス)

※以下、店名:2014年4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月
すき家:▲1.4、8.1、4.3、7.0、5.8、6.6、3.3、1.4
マクドナルド:▲3.4、▲2.4、▲8.0、▲17.4、▲25.1、▲16.6、▲17.3、▲12.3
和民:▲3.6、▲4.1、▲12.8、▲10.1、▲7.3、▲6.3、▲3.2、▲5.3

●日本マクドナルドHDの株価は堅調
 では、投資家の評価はどうか。過去10年間の株価の高値と14年の安値を比較して下落率を算出してみると、下落率が最も大きかったのはワタミ。高値2575円(08年12月8日)から安値1140円(14年12月9日)へ、下落率は55.7%と半値以下になった。

 ゼンショーHDは高値2005円(05年12月29日) から安値906円(14年8月7日)へ、下落率は54.8%。既存店売り上げは前年を上回っているにもかかわらず、株価は上がらない。創業者の小川賢太郎会長兼社長が究極の効率経営として編み出したワンオペを柱に据えたビジネスモデルが、壁にぶち当たったと判断されたことも要因のひとつである。

 一方、日本マクドナルドHDは高値2965円(14年6月10日)から安値2501円(14年2月6日)へと、下落率は15.6%にとどまった。既存店売り上げの記録的な落ち込みが、株価にはそれほど影響を与えていない。むしろ、原田泳幸会長兼社長時代より株価は上がっている。原田氏が通信教育のベネッセコーポーレーション社長に転身してから、株価は10年来の高値を更新した。

●牛丼の低価格戦争終焉
 デフレの象徴といわれた牛丼業界の低価格競争は、急激な円安で材料費が高騰したことと人件費のアップで終焉を迎えた。

 牛丼業界は、つい最近まで200円台の低価格競争を繰り広げてきたが、急激な円安による食材価格の高騰と人手不足による人件費の上昇で、戦略転換を迫られた。牛丼は低価格の看板を下ろした。そして牛丼のみならず、200円台で食べられる外食メニューはことごとく姿を消すことになる。

この記事は、要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】飲食業界の最近の変化からも理解できる! デフレ脳を捨ててインフレ脳に切り替えよ! できなければ負けるだけと心得よ(゚д゚)!

脱デフレは外食から確実に始まっています。デフレの最中は、外食産業がかなり悪影響を受け、過去の最高の売上のときからみると、業界全体の売上がかなり減っていました。

しかし、日本がデフレを脱した途端に、外食産業のデフレ御三家が揃って業績を落としました。上の記事は、経済政策の変更が人々の「気持ち=期待」に与える影響がいかに大きいかということを表す記事だと思います。

そうして、上の記事は、外食産業も過去の20年の延長線上では、これからは業績を落とすことに鳴るとの警鐘でもあると受け止めるべきです。

過去のデフレのときは、デフレ圧力によって、とにかく質を落とさないようにして、いかに価格を下げるかということが、知恵のつかいどころでした。だから、徹底した合理化などが行なわれましたが、それが原因となつて、画一的になったとか、食の本当の楽しみ、喜びはなおざりにされてきました。

しかし、これからは違います。食の本当の楽しみ、喜びを打ち出さなければなりません。無論、牛丼やハンバーガーなどのFFでは、これを強く打ち出すことはできませんが、それでも出来る範囲で少しでも打ち出さないとこれからは勝つことはできません。

現在日本は、すでにデフレ状況から脱却し、近いうちに緩やかなインフレになります。そうなると、今までのデフレ圧力とは異なる、インフレ圧力という経済的圧力がかかかることになります。

これは、飲食でも、毎年わずかでも価格をあげることを前提にものごとを考えていかなければならくなるということです。

飲食業でこういう女性がサービスするのも付加価値をつける一つの方法か

ただし、今までと全く同じで価格だけあげるというのであれば、顧客はなかなか納得しないでしょう。それに、競争相手が、価格をあげるだけではなく、何らかの差別化をはかって、それが顧客に認められた場合、こちら側がただ価格を上げただけでは、競争相手に負けてしまいます。

こちらは、こちらで、なんとか別の付加価値をつけて、勝負しなければなりません。これからは、こういうことを実施しなければ、競争に負けてしまうということです。

これを実施するためには、いわゆる知識労働者の生産性を向上させなければなりません。これができなければ、インフレ圧力に負けてしまいます。このようなことでは、知識労働者の疎外という社会的な病を生み出すことになりす。

私達は今のところ、知識労働者の生産性や自己実現度など、正確に測定することはできません。しかし、どのようにすれば生産性を高め、自己実現させられるかを知り、それを実行できるようになっていなければなりません。そうでなけば、これからの競争に負けます。

外食といえば、最近私はあるトンカツチェーンに行きました。これは、特に行きたいから行ったのではなく、本当はある「ステーキ・ハンバーグ・チェーン」に行こうとしたのですが、オープンしたてで、あまりにも混んでいたので、そちらに行ったものです。


そこで、メニューをみると、「熟成肉」のトンカツがあったので、それを注文してみました。価格的にはあまり他の商品と変わりありませんでしたが、食べてみてもどこが熟成肉なのかさっぱりわかりませんでした。これなら、他のメニューでも食べたほうが、良かったという印象でした。

ところで、この「ステーキ・ハンバーグ・チェーン」と「トンカツ・チェーン」の価格帯は大体同じくらいでした。

一月ほどたって、「ステーキ・ハンバーグ・チェーン」も以前よりはあまり混まなくなりましたので、平日に二度ほど行ってみました。すると、ここでは、「熟成肉」とうたっているメニューはありませんでしたが、一回目は、サーロイン・ステーキ、ニ回目はハンバーグを注文しました。



これらのどれも、ものすごく美味しいとは思いませんでしたが、それでも不味くはなく、ある程度美味しいといった印象でした。

しかし、先のトンカツ・チェーンと比較すると、こちらの「ステーキ・ハンバーガー・チェーン」はまた利用してみたいという印象でした。「熟成肉」などとうたっていても、全く変わりがない商品を出すよりは、最初からある程度美味しいものを販売したほうが顧客にとっては良いのだと思います。

おそらく、ここにも外食のヒントがあると思います。「熟成肉」とうたうなら、多少価格を高めに設定しても、顧客に「熟成肉」の旨味がはっきとわかる商品を提供しなければ、かえって逆効果になるということです。

「熟成肉」を販売しなくても、ある程度美味しくすれば、顧客はそちらに惹かれるということです。

最近は、熟成肉ブームのようですが、熟成肉とうたうのであれば、顧客にはっきりとそれがわかる程度のものを提供するべきです。それを実行するために、コストがかかるといのなら、それは価格に転化すれば良いのです。一番悪いのは「熟成肉」といいながら、違いがわからないような商品を他の商品と同じ程度の価格で販売することです。

フーターズ渋谷店 ここの不付加価値はウェイートレス?

これは、「熟成肉」の旨味という付加価値についてですが、これからは、インフレ圧力にさらされて、毎年か、数年ごとに必ず値上げしていかないと商売は、苦しくなります。そんなときに、「成熟肉」の付加価値を提供するというのも、一つのやりかたです。

いずれにせよ、飲食業もこれから、こうしたインフレ圧力に耐えていかなければ、うまくはいきません。これは、何も飲食業界に限ったことではありません。外食産業が一番先に影響を受け、顕著になったというだけです。

昨年末から、今年の念頭でも、このブログに掲載しましたが、結局これからは、デフレ脳では失敗し、インフレ脳でなけば、成功できないということです。環境変化があれば、それに対応しなけば、いけないということです。

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