2019年3月16日土曜日

【日本の解き方】波紋呼ぶ…二階氏「小池支持」の点と線 知事選前倒し&増税延期で「衆参とのトリプル選」視野か―【私の論評】「リーマン級」は増税回避の常套句になった?

【日本の解き方】波紋呼ぶ…二階氏「小池支持」の点と線 知事選前倒し&増税延期で「衆参とのトリプル選」視野か

小池百合子都知事(右)と自民党の二階俊博幹事長

次の東京都知事選をめぐり、自民党の二階俊博幹事長が小池百合子氏支持を打ち出し、波紋を広げている。小池氏と自民党、東京五輪・パラリンピックの力学が都知事選にどう影響するのか。

 今後の日程を整理しておこう。2020年東京五輪は7月24日~8月9日まで17日間。同パラリンピックは8月25日~9月6日に開かれる。小池都知事の任期は20年7月30日まで。

 普通なら、都知事選は任期切れ前の1カ月以内の20年7月中に実施されるが、これは誰が考えてもちょっと無理な日程だ。五輪直前の追い込みの時に選挙となると、どんな不測の事態があるともかぎらない。

 そこで、特例法を作り、都知事選を前倒しするという話が出てきている。

 特例法は東日本大震災などの国家的重大事案に際し、特例を作ってでも選挙日程変更などの必要がある場合に検討、制定される。

 20年東京五輪が選挙日程を変更するほどの国家的重大事案かどうかは判断が分かれるかもしれない。今のところ、特例法制定の具体的な動きはないものの、政治判断によっては今後大いにありうる話だ。

 そこで、冒頭の二階氏の発言だ。1年以上先の選挙であれば、今の段階で支持を表明することはありえない。発言は、都知事選前倒しの特例法を前提としたものだろう。

 特例法をいつ出すかといえば、今国会だろう。秋の臨時国会はまだ先で、不確かな話になるからだ。今国会は、3月末までに今年度予算と予算関連法案を通すが、4月以降めぼしい法案もなく、国会審議はスカスカの状態だ。

 一方、経済状況は芳しくない。足元の国内景気については、景気動向指数が3カ月連続マイナスで、景気判断も下方修正された。海外でも中国や英国でリーマン・ショック級の激動が懸念される。改元後の5月以降、消費増税をぶっ飛ばして解散総選挙になっても不思議ではない。この場合、7月の参院選とのダブル選挙になるだろう。

 となると、解散総選挙のタイミングを都合よく取れるような、国会運営上のいい「タマ」が必要だ。都知事選挙前倒しの特例法は、その候補の一つとなるだろう。

 こうした政局絡みであれば、通常、与党は特例法だけを出し、小池氏支持を言わないものだが、そこは小池氏の老獪(ろうかい)さで、二階発言を引き出したのだろう。二階氏としても小池氏を都知事に封じ込めておくほうが得策と考えているのではないか。

 特例法による具体的な都知事選の日程を考えてみると、任期を1年残した今年7月となる可能性が高い。つまり、参院選と衆院選のダブルでなく、都知事を巻き込みトリプルになるかもしれない。そうであれば、候補者選定の都合から、小池氏支持になるのはやむを得ないだろう。

 二階氏の発言は、こうした政局絡みの背景で出てきたとみたほうがいい。だからこそ、波紋を呼んでいるのだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「リーマン級」は増税回避の常套句になった?

昨年安倍内閣の菅義偉官房長官がNHK番組で2019年10月に予定されている消費税増税について、「リーマンショックのようなことがない限り実施する」と述べてました。このフレーズは、消費税増税を延期するために過去にも用いられてきたものでした。

菅官房長官

2016年5月の伊勢志摩サミットで、安倍首相は当時の状況がリーマンショック前の状況に似ているとの主張を展開しました。

2015年半ばから2016年初頭にかけて、中国株価が下落して、主要国の株価が下落しました。しかし、2016年2月の上海G20会合で、世界経済の下方リスクが認定され、各国が政策総動員することで合意が成立しました。

中国が5兆円規模の減税を決定するなど、政策対応が示され、危機が回避されました。中国株価が急落したのは事実ですが、中国株価は急落の直前に暴騰しており、株価下落の影響を過大評価することはできませんでした。

2014年夏に2000ポイントだった上海総合指数は2015年6月に5178ポイントに暴騰しました。その、暴騰した株価が反落し、2016年1月に2683ポイントに達しました。暴騰後は急落ですが、暴騰前と比較すれば3割高の水準でした。

2016年初、世の中では「中国経済崩壊」の声が圧倒的多数を占めていましたが、中国経済は2016年初に底入れし、世界経済は緩やかな改善傾向をたどりました。日本の株価は、2016年に円高傾向が残存したため、低迷したが、2月と6月に安値を記録して、反発に転じていきました。

したがって、2016年5月の状況は、リーマンショック後に株価が安値を記録し、各国の政策対応を背景に、緩やかに事態が改善に向かい始めた局面と類似していました。

「リーマンショック前の状況と似て」はいませんでた。状況認識は間違っていたかもしれませんが、安倍内閣が2016年4月の消費税増税を先送りしたことは正しいです。とても増税を行うべき局面ではありませんでした。

安倍内閣は2014年度に消費税率を5%から8%に引き上げて窮地に追い込まれました。財務省と日本経済新聞が「消費税増税の影響軽微」という大キャンペーンを展開し、それに追随して他の大手新聞、テレビ、識者が同様の大キャンペーンを行いました。安倍内閣はこの言葉に抗えず消費税増税を実行しました。

しかし、実際に蓋を開けてみると消費税増税の影響は軽微ではありませんでした。甚大な影響が広がり、日本経済はまた落ち込み、デフレからの完全脱却は遠のきました。この教訓があり、安倍内閣は消費税増税に極めて慎重になりました。

「リーマンショックのようなことがない限り」という言葉は、消費税増税を延期または中止するための大義名分に過ぎないものです。大義名分であろうが、何であろうが、日本の実体経済をみれば、増税に慎重になるのは正しいです。

その意味では、「リーマンショックのようなことがない限り」というフレーズは、場合によつては増税を回避するというサインと受け取るべきでしょう。経済状況が増税を十分に許すどころか加熱してきつめのインフレになりそうなときには、最初から何も言わずに増税することでしょう。

安倍首相も昨年末のテレビ報道番組で「リーマン級なければ増税」と明言

2014年11月、2016年6月に、安倍首相は消費税増税を二度延期しましたが、いずれも国政選挙直前でした。安倍首相は選挙に勝つためにも、消費税増税延期が得策であると考えれば、消費税を延期するでしょう。選挙に負けてまえば、選挙後の政局運営は難しいし、さらに念願の憲法改正も叶わぬことになり、何よりも安倍政権がレイムダック化してしまう恐れがあります。

さらに、世界情勢をみてみるとブログ冒頭の記事にもあるように、2016年当時と比較すれば、足元の国内景気については、景気動向指数が3カ月連続マイナスで、景気判断も下方修正されましたし、中国経済は16年当時より明らかに悪化しいますし、ブレグジットありでリーマン・ショック級もしくはそれを超える激動が懸念されています。

2月8日に行われた衆院予算委員会で答弁する安倍総理

次の消費税増税の時期は2019年10月とされています。したがって、2019年度予算編成では、2019年10月の消費税増税実施を組み込むことになるでしょう。

しかし、そのことが直ちに、消費税増税実施を意味するわけではありません。2019年の通常国会が終了した段階で、安倍首相は三たび、消費税増税の延期を発表するでしょう。そうしなければ、2019年夏の参院選を乗り切ることはできないからです。投票日は7月21日(日)が有力です。

安倍内閣が消費税増税を再々々延期することを前提に選挙戦術を構築することが必要になります。そして、安倍内閣が消費税増税を再々々延期する場合には、ブログ冒頭の記事のように、衆参ダブル選プラス都知事選に突き進む可能性が高いです。

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2019年3月15日金曜日

かつての米国の敵・ベトナムは今や重要なパートナー―【私の論評】北朝鮮がベトナムのような発展を目指すには?

かつての米国の敵・ベトナムは今や重要なパートナー

岡崎研究所

 第2回米朝首脳会談が行われたべトナムのハノイでは、2月27日、もう1つの重要な首脳会談が開催された。それは、トランプ大統領とグエン・フー・チョン共産党書記長兼国家主席との米越首脳会談である。

ハノイで27日、会談に臨んだトランプ米大統領(左)と
グエン・フー・チョン書記長=背後はホー・チ・ミン初代国家主席の銅像

 同日、ホワイト・ハウス(米大統領府)は、ホーム・ぺ―ジの外交政策の欄に、「トランプ大統領はベトナムの米企業との提携拡大を歓迎する」と題して、以下のような内容のファクト・シートを掲載した。

・トランプ大統領は、「パートナーとして前進することで、我々は、米越両国の国民に、素晴らしい繁栄と成功をもたらすだろう。」と述べた。

・トランプ大統領は、ベトナムの航空会社が、米国企業から新たに航空機、エンジン及びサービスを購入することを嬉しく思う。

・米越両首脳は、ベトナムの航空会社と米企業との貿易取引の署名に立ち合った。

・これらの合意は、米越間の深化した経済連携の表れである。

・取引の総額は、210億ドルを超え、以下のものを含む。

ベトジェットは、米国製ボーイング737-MAX100機とGEが開発したLEAPエンジンを215個購入予定である。

バンブー・エアウェイズは、ボーイング787-9を10機購入する。

ベトナム航空は、5千万ドル以上の予約システムやその他サービスをサーブル・コーポレーションより購入することを決めた。

・これらの購入は、米国の83000人以上の雇用を支え、ベトナムその他の旅行者の安全と信頼性を高める。

・これらの取引は、今までトランプ大統領が両国のパートナーシップを強化するために手掛けてきたことの反映である。

・2017年5月、トランプ大統領とグエン・スアン・フック首相は、両国間の包括的パートナーシップを強化することで合意した。

・その中で、両者は、相互に利益のある経済関係を促進し発展させることを約束した。

・2017年11月、トランプ大統領の初めての歴史的訪越の際、ベトナム企業は、120億ドル相当の米国の物品・サービスを購入することに合意した。

・ベトナムは、また、米国農産物の輸出に対して貿易障壁をなくし、米国農家に市場を開放することを約束した。

・トランプ大統領は、米国のために自由で公平かつ相互的な貿易を強化し、米国民の為により良い取引の交渉を行うために毅然とした行動をとっている。

参考:White House ‘President Donald J. Trump Hails Vietnam’s Commitment to Expanding Commercial Partnerships with American Companies’ February 27, 2019

 結果はどうであれ、ベトナムで米朝首脳会談を開催したのには、それなりの意義があった。トランプ大統領も指摘したように、ベトナムは、北朝鮮にとって、モデルになる国である。米国とベトナム戦争という激しい戦いを繰り広げながらも、1995年には国交を正常化し、現在は、ASEAN(東南アジア諸国連合)の中でも経済成長している優等生である。トランプ大統領は、金正恩委員長に、非核化をきちんとすれば、ベトナムのように経済発展できると促した。

 上記のファクト・シートでは、貿易取引のことばかりが語られているが、米越首脳間では別の議題も取り上げられた。ポンペオ米国務長官は、自らのツイッターで、「トランプ大統領とチョン書記長は、北朝鮮の最終的、完全かつ検証された非核化、自由で開かれたインド太平洋及びより強固な米越の包括的連携に向けて、継続した前進の必要性を確認した。」と述べている。従って、安全保障を含む様々な議題がテーブルに上ったことになる。おそらく、南シナ海問題や中国についても触れたに違いない。

 かつての米国の敵、ベトナムは、今や重要な米国のパートナーとなっている。そういえば、2017年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議は、ベトナムの保養地ダノンで開催され、トランプ大統領は、インド太平洋地域の平和と安定について素晴らしい演説をした。

【私の論評】北朝鮮がベトナムのような発展を目指すには?

ハノイでの米中首脳会談が決裂した後、北朝鮮は、再び核施設を稼働させており、また、サイバー攻撃や「瀬取り」で、不当な手段で核開発資金を稼いでいます。一方、首脳会談が行われたベトナムは、今や国際社会に開かれた国になって、経済発展を遂げています。

北ベトナムは、第二次大戦後、フランス、そして米国という大国と戦って勝利しました。そして、南ベトナムを降伏させて南北統一を果たし、1976年にベトナム社会主義共和国として新たなスタートを切りました。復興を目指すベトナムは、鄧小平が進めた中国の改革開放路線と同様な「ドイモイ」政策を、1986年に採用しました。

サイゴン

経済の飛躍的発展を目指し、日本など先進諸国に援助を仰ぎ、国際社会に開かれた国造りに励んでいるベトナムは、1995年には、ベトナム戦争で戦ったアメリカとも和解し、協力関係を深めています。北朝鮮は、朝鮮戦争でアメリカと戦っており、この点では北ベトナムと同じです。

北朝鮮の改革モデルとなるのは、中国であり、ベトナムです。中国は、改革開放政策で社会主義市場経済を進め、今やGDPで日本を抜いて世界第二位に躍り出て、アメリカの覇権を脅かすまでになっています。

北朝鮮がベトナムや中国と決定的に違うのは、金ファミリーによる「王朝」だという点です。ベトナムや中国は、独裁制であっても、それは共産党による独裁であって、特定の政治家ファミリーによる支配ではありません。「王朝」ではないし、世襲でもなく、集団指導体制です。

平壌では、金正恩に反抗すれば身内でも粛清に遭う恐怖政治が続いており、経済改革も基本的人権の擁護も進んでいません。金正恩の最大の目的は「金王朝」の維持であり、改革開放政策は王朝の崩壊につながる危険性を孕んでいます。

金日成、金正日の遺訓を受け継ぐ金正恩が、体制崩壊の危険を冒すことはないです。つまり改革開放の扉を開けることはまずないです。核兵器の保持に固執する理由は、米国からの攻撃の危険性から「金王朝」を守ることにあります。そうして、中国からの干渉を削ぐことです。

ベトナムと違って、そもそも朝鮮半島は統一しておらず、北朝鮮が計画経済から市場経済に移行すれば、それは韓国と同じ体制になり、韓国主導の統一国家になる可能性につながります。

それは、西が東を吸収したドイツ型統一である。それを金正恩が受け入れることはないでしょう。一方、北が南を吸収するベトナム型統一は容易には実現しないでしょう。

古代以来、東夷西戎南蛮北狄のうち、中国にとって最も警戒すべき国は朝鮮とベトナムでした。日本と違って陸続きですが、小国ながら強力で一筋縄ではいかない国だったからです。

ベトナムは、中越戦争を戦い、今でも南沙・西沙諸島領有件で中国と対立しています。北朝鮮は金正男、張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長を殺害するということで、中国に対決する姿勢を露わにしました。さらに、今回の米朝収納会談の後には北京を素通りして、習近平と会談することもなく平壌に帰りました。

ベトナムのように中国と戦争はしていませんが、核兵器を開発することで、中国の過度な干渉を退けています。一方韓国は、中国に従属しようとしていますが、中国と韓国の間には、核武装した北朝鮮があるため、結果として北朝鮮が中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

さて、このような北朝鮮がベトナムのようになる可能性はあるのでしょうか。現状のままでは無理です。しかし、現在北朝鮮の社会が変わりつつあります。

それは、北朝鮮にもある程度の民主化の可能性がでてきたということです。これについは、以前もこのブログで述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
決裂すべくして決裂した米朝首脳会談だが・・・―【私の論評】今回の正恩の大敗北は、トランプ大統領を見くびりすぎたこと(゚д゚)!
ベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談で、休憩中に散歩するトランプ大統領(右)と
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(左、2019年2月28日撮影)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
金正恩体制は、恐怖政治で国民の動向を統制し、社会主義の体裁を取り繕っています。しかし実のところ、同国の計画経済はすでに崩壊しており、なし崩し的な資本主義化が進行しています。貧富の差が拡大し、良い意味でも悪い意味でも「自由」の拡大が始まっています。 
それを後押ししてきたのは、実は金正恩氏自身でもあるのです。市場に対する統制を緩めたり強めたりを繰り返した父の故金正日総書記と異なり、金正恩氏は放任主義を続けてきました。この間、「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層の存在感はいっそう大きなものとなり、彼らなしでは北朝鮮の経済は成り立たなくなっているのです。
平壌市内のトンジュ向けのカフェで
北朝鮮で民主化が起きるなら、虐げられた民衆が暴政を倒す「革命」として実現する可能性が高いと多く人が信じてきたようです。政治犯収容所などにおける現在進行形の人権侵害を止めるには、それしか方法がないからです。 
しかし、北朝鮮の体制はそれほどやわではありません。民衆が本気で権力に歯向かう兆候を見せたら、当局はすぐさま残忍に弾圧してしまうだろうことを、歴史が証明しています。
その一方、北朝鮮の体制は「利権」の浸食にめっぽう弱いです。北朝鮮社会では、当局の各部門が持つ大小様々な権限が利権化しています。北朝鮮経済は、利権の集合体であると言っても過言ではないほどで、その仕組みは「ワイロ」という名の潤滑油で回っています。軍隊の中にすら、同じような仕組みが存在するほどです。
ただ、国際社会による経済制裁に頭を抑えられているため、その仕組みはなかなか大きく成長することができませんでした。しかし、ここで制裁が緩和されたらどうなるでしょうか。 
海外から流れ込む投資は、北朝鮮の経済の成長を促し、同国の人々が見たこともないような巨大な利権を生み出すでしょう。また、利権の数自体も爆発的に増え、利害関係の錯綜も複雑さを増します。もはや、ひとりの独裁者の権力の下に、すべての利害を従えることなど不可能になるのです。 
そして、無数の利害関係を最大公約数的に調整する多数決の仕組み、つまりは民主主義が必要になるわけです。 
いずれにしても、北朝鮮経済のなし崩し的な資本主義化の流れは止まらないです。あの国は遅かれ早かれ、上述したような道を辿ることになります。
このような道を辿る道筋には、まずは金王朝の崩壊があるでしょう。そうして、ベトナムや中国のような集団指導体制になることが考えられます。中国の指導体制は、現在習近平がかなり優性であり、習近平終生主席の座につきました。ただし、他の派閥が完璧に崩れたわけではないので、集団指導体制であることには変わりないと思います。

まさにそのとき、北朝鮮はベトナムのような国になることを目指すことができるのです。その後は、中国・ベトナムのようになかなか民主化に踏み切れない状態が続くかもしれません。

それにしても、集団指導体制が構築できれば、ベトナムのように経済発展でき、少なくと国家資本主義のような体制を構築することはできるでしょう。ただし、これはここ5年くらいの話ではなく、もっと後になる可能性が高いです。ただし、着実にその方向には向かっています。

このような道を辿る途中で、核問題も解決される可能性があります。ただし、中国が体制を変えるか(共産党1党独裁の廃止)、米国の対中国冷戦により、経済が弱体化し、他国に影響力を及ぼせなくなるかのいずれの状態にならなければ、核の完全廃棄は難しいでしょう。

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2019年3月14日木曜日

景気後退はなぜ起きた? リーマン・ショックや東日本大震災、増税と金融政策で説明可能だ―【私の論評】世界情勢と国内景気後退にもかかわらず、消費税増税にひた走る財務省とマスコミの思考回路(゚д゚)!

景気後退はなぜ起きた? リーマン・ショックや東日本大震災、増税と金融政策で説明可能だ

高橋洋一 日本の解き方

景気動向指数は3カ月連続の悪化となり、基調判断も下方修正された。中国経済減速の影響と解説されているが、国内要因はなかったのか。

 以前の本コラムで、内閣府の景気動向指数研究会(座長=吉川洋・立正大教授)が、2012年12月から続く景気拡大期間がいまなお続いていると判定していることについて、異論があると書いた。正直にいって、景気動向指数(一致指数)のデータを素直に見る限り、14年4月の消費増税の悪影響がその前後ではっきり出ており、そこに景気の「山」があり、16年6月あたりで「谷」がある。

 研究会座長は、消費増税しても景気への影響は軽微だという主旨の発言をしていた。それは結果として間違いだったが、その後の研究会の意見が左右されたようにも思われ、すっきりしない印象だとも書いている。

 景気動向指数(一致系列)は、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数(調査産業計)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業、前年同月比)、商業販売額(卸売業、前年同月比)、営業利益(全産業)、有効求人倍率(除学卒)を採用し、これらから機械的に算出している。景気動向指数研究会のような「解釈」は疑問であるが、景気の動きを素直に客観的にみるにはいい指標だ。

 1月はマイナス2・7ポイント、昨年12月はマイナス1・3ポイント、11月はマイナス1・8ポイントと3カ月連続のマイナスになったので、基調判断は下方修正された。

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 一方、月例経済報告といい、内閣府が資料を作るが、関係閣僚会議に提出された後了承という経過を経て公表される「政府の見解」がある。

 2月の月例経済報告では、基調判断は「景気は、緩やかに回復している」としており、景気動向指数のものと異なっている。月例経済報告は、さまざまな経済指数を分析するとともに指標の動きの背景にある経済環境や企業の景況感などを総合的に勘案した結果であり、機械的な算出ではないからだ。

 筆者は、機械的な算出の景気動向指数をより重視しているが、これまでの動きを見ると、マクロ経済政策(金融政策、財政政策)と外的要因(リーマン・ショックと東日本大震災)で転換点の「山」と「谷」はほぼ説明可能だ。

 中国経済という要因は確かにあるが、17年12月あたりが「山」で、それ以降下降している。これは、効果ラグを考慮すると16年9月のイールドカーブコントロール(長短金利操作)による金融引き締めの結果とも読める。それに最近の中国要因が加味されたとみるほうがいいだろう。これまでの、00年8月のゼロ金利解除、06年3月の量的緩和解除の後、半年~1年半くらいの後に景気の転換点を迎えているからだ。

 国内要因で景気が落ち目になったときの外的ショックは、下り坂で押されるのと同じで、大きく景気が落ち込む悪影響になるので要注意だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】世界情勢と国内景気後退にもかかわらず、消費税増税にひた走る財務省とマスコミの思考回路(゚д゚)!

世界経済の先行き不安が広がりつつあります。中国経済の減速は続いており、米中新冷戦が拍車をかけかねないです。英国のEU(欧州連合)離脱の破壊的衝撃も懸念されます。

日本経済は景気拡大局面を続けてきましたが、国際情勢の懸念もあって足元は弱含みです。こうしたなか、政府は今年10月、消費税率10%への引き上げを断行できるのでしょうか。

永田町には「安倍晋三首相は最終的に増税を回避するのではないか?」と推察する向きも多いです。

総額で初めて100兆円を上回る2019年度予算案の審議が4日、参院予算委員会で始まりました。 当然、消費税も議論になりました。

茂木敏充経済再生相

茂木敏充経済再生相は、野党議員から消費税増税を考え直すように迫られて、「16年後半以後の日本経済は、プラス成長で推移するなか、 財政再建をしっかりやりながら、(人材に投資する)『人づくり革命』などをするためにも消費税率の引き上げは不可欠だ」と語りました。

今年10月の増税は法律で決められている。このため、閣僚は増税を「既定路線」とした答弁を続けています。

ただ、世耕弘成経産相は、増税対策について問われて、「国際経済状況が非常に不透明であることを鑑みながら…」と前置きして、「税率の引き上げ以上に消費を喚起したい」と答弁しました。

世耕弘成経産相

消費増税などやっている場合でないことはあまりにも明らかです。にもかかわらず、絶対に増税すべきという人たちがいます。そういう人たちの思考回路は一体どうなっているのでしょうか。特に財務省とマスコミの思考回路はどうなっているのでしょう。

彼らが、政治家やマスコミの増税論を主導する理由は、表向きには、いわゆるエコノミストらが正当化する増税の必要性です。ここでは、その必要性に関しては、マクロ経済的に見てあまりにもバカバカしいので、詳細は掲載しません。しかし、なぜそのような"必要性"を持ち出してまで、増税をしたいのでしょうか。

こうした疑問に対して、元財務官僚の経験を元に、財務省の批判をしている冒頭の記事を書かれている経済学者・高橋洋一氏は、著書でこう語っています。

「財務省では、せいぜい向こう三年間か普通は一年間という短期的な視野でしか経済を考えない。財務官僚の頭を支配しているのは、目先の財政収支の均衡なのである」「財政収支の均衡をはかるために最も確実で、手っ取り早いのは増税である。責任問題から見ても、増税のほうが心理的に楽である」(高橋洋一著『消費税「増税」はいらない!』)

高橋洋一氏
つまり、財務省は「増税が財政再建につながらない」ことを知りながら国民を偽っているというより、本気で「財政再建するなら増税がいい」と信じている部分があるのです。

「最も確実で、手っ取り早いのは増税」「増税のほうが心理的に楽」という指摘も、興味深いです。「税率を上げると、税収が下がる」という理論も、当事者にしてみれば怖い話なのかもしれません。

「想い人を追いすぎると、想い人が離れていく」ことが、当人には分からない……ようなものかもしれません。「想い人を追わないなんて、それこそ、離れていきそうな気がして不安……」。そんな気分なのでしょうか。

財務省が増税したい動機については、他にも「増税することで、一部業界への税率を軽減する権限が増える」という"悪代官"路線もあります。とにかく、財務省としては権限を増すことは省益につながると考えているようです。

次に、マスコミの多くが表立って増税に反対しない動機について触れてみます。

マスコミ、特に経済記者には、財務省に決して嫌われてはいけない理由があります。それは、「経済の特ダネは財務省が握っている」ということです。

経済情報という面で、財務省に勝てる存在は日本にいません。財務省は、全国の家計や企業のお金のやり取りを把握し、税金を徴収しています。

つまり、全国の経済活動に関わる膨大な情報が、霞ヶ関に集まってくるのです。一方、巨大マスコミである日経新聞がどんなに頑張っても、GDP(国内総生産)ひとつ計算できません。

特ダネを狙うことで出世競争をする新聞記者にとって、最強の情報源である財務官僚を、敵に回すわけにいかないのです。むしろ、心を開いてもらい、官僚の仕事に後押しになるような記事を書くくらい、"ずぶずぶ"の関係にならなければ、大事な情報は得られないのです。

これについては、元日経新聞のエリート記者であり今は産経新聞で増税の大批判をしている田村秀男氏は、自身が書いた記事について、財務官僚から「それでいいんでしょうかねえ、田村さん……」と何度も言われたり、幹部が財務省OBに「おタクの田村はひどいな」とささやかれたという話を告白しています(田村秀男著『日経新聞の真実』)。

田村秀男氏

ただし、財務省は客観的な経済統計データを発表する義務があります。そのデータを分析すれば、財務省が何を言おうと、あるいは何も教えてもらえなくても、日本の実体経済を理解することができますが、現在の大手新聞の経済記者の能力があまりにも低く、それがほとんどできないというのが実体です。

私の実感では、一部の例外を除いておそらくほとんどの大手経済記者の頭の中には、高校の「経済社会」で学ぶ経済知識すらないのではないかと思います。

信じがたいことですが、現在まともにデータと理論にもとづき分析できる大手新聞の経済記者は田村秀男氏を含めて数人しかいないでしょう。そのため、現在大手新聞の経済欄はほとんどが、財務省の発表もしくは増税派の識者の発言などを取材したものになっています。

また、役人が報道発表を「ハトの豆まき」と呼んでいたことがあったそうです。私も幼いころは、鳩の前に豆を並べて、歩かせたいルートを歩かせて遊んだこともありましたが、官僚は情報を与える対価として、メディアを思うように動かすこともできるわけです。

現在本当に消費税増税をしてしまえば、日本発の不況が世界を悩ますことにもなりかねません。このような消費税増税は絶対反対すべきです。

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2019年3月13日水曜日

麻生財務相“報復措置”明言で韓国は戦々恐々 韓国紙「局長会談の結果は楽観できないという見方も」―【私の論評】中国の衛星国になりそこね北の衛星国に成り下がった韓国への対処法はこれだ(゚д゚)!

麻生財務相“報復措置”明言で韓国は戦々恐々 韓国紙「局長会談の結果は楽観できないという見方も」

衆院財務金融委で答弁する麻生太郎氏 =12日、国会内

麻生太郎副総理兼財務相が、韓国への具体的な対抗措置について初めて明言した。韓国最高裁による、いわゆる「元徴用工」などへの異常判決を受け、韓国の原告側は差し押さえた日本企業の資産を売却する手続きを進めている。日本政府は、企業に実害が生じた場合、準備を終えている「報復カード」を果敢に切る構えのようだ。

 「関税(引き上げ)に限らず、送金の停止、ビザの発給停止とか、対抗措置にはいろんな方法がある」

 麻生氏は12日の衆院財務金融委員会で、こう言い切った。日本維新の会の丸山穂高氏が、韓国に対し、「具体的に対抗措置を前に進めるべきではないか?」と質問したことに答えた。

 日本政府としては、韓国への「痛み」を伴う対抗措置として100前後の選択肢をリストアップしているとされる。安倍晋三政権の重要閣僚が、その選択肢を具体的に語ったのは初めてだ。

 麻生氏は「日本政府として煽る立場ではないが、今はその(=制裁発動)前のところで交渉しており、きちんと対応をしなければと思う。これ以上、事が進んで(日本企業に)実害が出ると、別の段階になる。その段階ではいろいろと考えねばならない」と厳しい表情で語った。

 これまで、日韓間では「政治と経済は別」という意識が強かったが、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「反日」姿勢は常軌を逸している。国会議長までが「天皇陛下の謝罪要求」をする狂乱状態となっている。

 日本の「報復カード」は、停滞する韓国経済を直撃しかねない。韓国メディアは焦りを感じさせる記事を掲載している。

 中央日報(日本語版)は12日、「日本財界、差し押さえ資産売却なら韓国支社撤収の雰囲気」との記事で、「両国関係が劇的に改善する兆候も、現在のところ見えない」などと悲観的に伝えた。

 同紙は13日、前出の麻生氏の発言を引用しながら、14日に行われる日韓外交当局者間の会談について、「韓日両政府は(事態打開に向け)突破口を開く計画だが、麻生副総理の発言を考慮すると、会議の結果は楽観できないという見方もある」と報じた。

 【予想される日本政府による韓国への制裁案】

 (1)国際司法裁判所(ICJ)への提訴

 (2)韓国人の入国ビザの差し止めを含めた厳格化

 (3)韓国製品の関税上乗せ

 (4)送金停止

 (5)貿易保険の適用から韓国を外すなどの輸出規制

 (6)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への韓国の参加申請拒絶

 (7)日本国内の韓国企業の資産差し押さえ

 (8)日本からの部品・素材提供の停止(フッ化水素など)

 (9)長嶺安政駐韓日本大使の帰国

 (10)国交断絶

【私の論評】中国の衛星国になりそこね北の衛星国に成り下がった韓国への対処法はこれだ(゚д゚)!



2019年3月11日、韓国は徴用工問題で、日本企業の資産差し押さえを進めており、これを売却し現金化した場合は、日本政府は韓国に対する経済制裁を開始する秒読みに入りました。

019年が明けてからも日韓関係は紛糾した事態が続いています。昨年末に勃発した「レーダー照射問題」は、韓国海軍がこれを否定したのみならず、新たに日本の哨戒機側の低空による「威嚇飛行」問題を提起した事により、新たな展開になっています。

安全保障を巡る問題への影響を恐れる日本側がこの問題に関わる韓国側への批判をトーンダウンして以降も、韓国側は日本海のみならず、東シナ海においても、日本側哨戒機の「威嚇飛行」が続けられているとして問題提起を続けています。

韓国側が新たに日韓関係に関わる問題を提起し、両国間の関係を悪化させているのは外交分野においても同様です。2月初頭には韓国側の三権の長の一人である文喜相国会議長が、米誌ブルームバーグのインタビューに対して、「戦犯の息子」である天皇が慰安婦問題において謝罪をすべき旨発言し、日本側の大きな反発を呼んだ事は記憶に新しいです。

続く2月15日にミュンヘンで行われた日韓外相会談では日本側の河野太郎外相が、いわゆる徴用工判決をめぐり、日韓請求権協定に基づく2国間協議に応じるよう韓国側に改めて督促したものの、康京和外相はこれに対して反応を示さなかった、と日本側メディアは報道しています。

この様な一連の韓国側の動きは、あたかも意図的に日本側を刺激する行動をとっている様な形に見え、日本政府は警戒を強めています。しかしながら、これらの韓国側の一連の行動には見落としてはならない共通点が存在します。

例えば「レーダー照射問題」における韓国側の突然の哨戒機側の「威嚇飛行」の提起は、本来、「威嚇飛行が行われたから、韓国側は対応措置をやむを得ず取ったのだ」とする弁明の一環であった筈です。

であるなら、その主張が事実に適っているかどうかとは全く別にして、ある種の論理的一貫性を見出せない事もなくはありません。しかしながら、韓国側がそもそもの火器管制レーダーの照射自身を否定した結果、「威嚇飛行」は、宙に浮き、全く別個の問題へと転化する事になりました。結果、韓国内では韓国側の「レーダー照射」ではなく、日本側の「威嚇飛行」こそが問題の核心だ、という議論になってしまっています。

矛盾した対応をしている間に、問題の核心が韓国側において入れ替わってしまったのは国会議長の発言においても同様です。当初、スポークスマンを通じて、「戦犯の息子」という発言自体を否定した国会議長は、ブルームバークがインタビューの該当部分の録音を公開した後には、そもそも日本側が謝罪をするのは当然であり、自分は何も間違ったことを言っていない、として一転開き直る形になっています。

ここでも問題はいつしか国会議長の発言の妥当性から、歴史認識問題に関わる日本の謝罪へと入れ替わっています。ミュンヘンの日韓外相会談に関わる問題は、並行して日本側の河野外相から行われた国会議長の天皇謝罪発言に対して、韓国側の康外相がこの抗議を「存在しなかった」として否定するに至り、問題はいつしかいわゆる徴用工問題への対処を巡るものから、国会議長の発言に対する河野外相の抗議があったかなかったかに関わるものに変わっています。

金正恩と文在寅

一見すると、これらの韓国側の動きは単に支離滅裂で混乱している様に見えます。人によっては日本側に非難されパニックに陥っているように考える人もいるかもしれないです。

しかし、共通している事が二つあります。第一は、これらに出て来る韓国側の行動が、元々は「自らの側の言動によってはじまった問題」を「日本側に由来する問題」にすり替えてしまっている事です。

つまり、韓国側による火器管制レーダーの照射問題は、いつしか日本側の「威嚇飛行」に関わる問題になり、国会議長が天皇に謝罪を求めた発言を巡る問題は、いつしか歴史認識問題における日本の謝罪の不足を非難するものになっている。康外相による河野外相の国会議長発言問題に関わる韓国側への抗議を否定する発言は、突き詰めれば「日本側が嘘を言っている」という主張に他ならないです。

二つ目の共通点は、この様な韓国側の一連の「弁明」が、問題を惹起した「加害者」である当事者を、日本側の非難等に晒される「被害者」へと置き換える形で展開されている事です。

つまり、韓国海軍は何も悪い事はしていないどころか、海上自衛隊により「威嚇飛行」を突き付けられる「被害者」なのであり、また国会議長は日本にあるべき謝罪を求めるという「正しい」言動を行ったにも拘わらず、日本政府から「理不尽」で「盗人猛々しい」抗議を突き付けられる「被害者」なのです。

康外相もまた、河野外相から如何なる要請も受けていないのだから、発言をする必要はなく、逆に存在もしなかった発言を恰もあったかのように日本側に不当に非難される「被害者」として位置づけられています。

最初から計算ずくだったかは疑問としても、彼らが何を目指し、どちらを向いてその仕事をしているかは明らかです。日本のことは眼中にないのです。

康外相と河野外相

その事が示す事は一つです。それは彼らが、彼等の言動に抗議する日本側に対して語りかけているのではなく、渦中に置かれた彼等の言動を見守る韓国国内の世論に対して語りかけているという事です。

つまり、彼らは何も日本側に非難されたからパニックになり、苦しい言い訳を連発しているのではない。そこには彼らなりの計算があり、そしてその計算は国内世論に向けられたものである。言い換えるなら、そこでは日本の反応は最初から重視されておらず、だからこそ彼等の言動は、抗議する日本側の怒りをなだめる方向へとは向かわないのです。

とはいいながらこれは、韓国国内の世論の支持を取り付ける事により、彼等が何かしらの政治的意図を成し遂げようとしている事を意味してはいません。日本側の威嚇飛行があろうとなかろうと、韓国海軍そのものの置かれた立場が変わる事はなく、天皇に関して国会議長がどんなに過激な発言をしてもそれにより政府や与党の支持率が上がる訳ではありません。

外交部長官が日本側外相の発言を否定する事により、韓国外交部の地位が上がる訳でもなければ、長官自身の政府内の発言権が増す訳ではありません。

悪いのは自らではなく、日本側であり、自分はその日本側に責められる被害者に過ぎないのです。この韓国側の共通する論理のポイントは、彼等が本来なら問題を惹起した事により問われるかも知れなかった自らの責任を逃れる先は、韓国国内なのです。

弁明が弁明である以上、重要なのは、それにより支持を得ることではなく、当初を問題を惹起した自らの言動の責任を回避することであり、軍や政治、さらには外交の現場にいる彼らにとってはそれで十分なのです。

その背後にあるのは、再び二つの事、そもそも韓国側が日本との関係改善の重要性を見失っている事と、状況を変えようとする政治的リーダーシップが決定的に欠如している事です。

事実、これらの問題に対して大統領である文在寅をはじめ、当事者以外の政府首脳は積極的な発言を行っておらず、真相解明の為にも動き出していません。文在寅政権は北朝鮮との関係改善を進めるのに精いっぱいであり、日本との関係に大きな意味を見出していないのです。

さらに、彼らは従来から、中国に従属しようという考えがあり、それは米国が本格的に対中国冷戦に踏み切った現在も変わりありません。

であるとすれば、現状の韓国の不可解な行動は、以下のようなことで説明がつくと思われます。北朝鮮との交渉の進展に沸き、自信を強めた韓国政府関係者は、いつしか日本の重要性を見失い、日本を刺激するような対応を連発する事となっているのです。

さらにいってしまえば、先日もこのブログで述べたように、もはや韓国は北朝鮮の衛星国のような位置づけになっているのです。ただし、韓国は、北朝鮮も中国に従属しようとしているのであり、その意味では自分たちと共通の価値観を持っていると勘違いしているようです。

北朝鮮は決して中国に従属しようとしてはいません。北朝鮮は中国から干渉されることを明らかに嫌っています。金正男や、張成沢の殺害は、如実にそれを物語っています。中国に従属しようるする韓国と違い、北朝鮮は中国からの完全独立を希求しています。

それすら見抜けない韓国は、北朝鮮の金正恩から都合の良いように利用されているだけです。そうして、まさに韓国は先日もこのブログに掲載したように、北朝鮮の衛星国のような立場になっています。
朝鮮労働党→北朝鮮(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  韓国政府→大韓民国(衛星国)

文在寅は、まさに北朝鮮の衛星国韓国のリーダーであり、自らは全く何の戦略もなく、北朝鮮の顔色をうかがいながら、日本のことなどおかいまいなし日本への対処を決めています。

中国の衛星国ではなく、北朝鮮の衛星国に成り下がった韓国に対して、中国もまともに相手にするはずもありません。韓国は、中国に従属して衛星国になろうとしたのですが、結果として現在北朝鮮の衛星国に成り下がったのです。

結果、新たな問題が次々と生まれ、関係者は自らの責任問題を逃れる為に、さらに日本を刺激するような言動を繰り返しているのです。そして、その言動は、日本や日韓関係に対してではなく、国内世論に対してのものであり、結果として、国内世論の支持を得た彼らは責任を問われる事なく、その場に留まり続けているのです。

そして大統領と大統領府もまた、その状況を何も疑問には思わないのです。こうして日韓関係はますます悪化していくことになるのです。
そもそも、衛星国は大国の意向によって行動を律するわけですから、衛星国の態度を変えようと思えば、大国に対して訴えかけ、その行動を変えさせるべきなのです。日本がいままで何度見韓国に直接働きかけもうまくいかなかったのはこのためです。

であれば、韓国の行動を変えさせようとするなら、北朝鮮、中国に働きかけるべきなのです。

幸か不幸か、第二次米朝首脳会談の失敗を経て、韓国はもう一度自らの足元を顧みなければならない状況に置かれています。北が現状を維持して、核実験やミサイル発射をしないで、徐々に弱っていくことになった今日の状況は、決して悪い状況ではありません。

最も悪い状況は、朝鮮半島が統一されて、半島全体が中国の配下に収まることです。そうなると、日本にとっては対馬が38度線となることになります。これだけは、避けるべきです。

北朝鮮が弱体しつつある現在、北が核廃棄を決めた後に、日本としては何ができるかを明確にした上で、米国とともに日本が、北を操ることができるようになれば、韓国も日本に配慮するようになります。

中国に対しては、米国の冷戦に協力しつつ、中国の弱体化を協力に推進すべきです。日中友好などと浮かれている場合ではありません。

中国の体制を変えるか、経済的に弱体化させてしまえば、確実に朝鮮半島問題は解決し、北朝鮮の核の問題も、韓国の問題も自ずと解決します。それができない場合は、日韓関係はいつまでたっても解決されません。

今のまま韓国に制裁を加えたにしても、ある程度の効き目はあるでしょうが、決定打にはならないでしょう。実行しても効き目がなければ、どんどん厳しいものにしていき、最終的には国交断絶をすべきです。国交断絶をしつつ、日本としては、中国が体制を変えるとか、経済的に弱体化し他国に影響を及ぼすことができなくなるくらいに疲弊する時期を待つのです。本命はやはり日本にとっても、中国なのです。

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2019年3月12日火曜日

迫りくる台湾をめぐる米中危機―【私の論評】日本を軽視する韓国に対して制裁が俎上に登っている現在、日本は台湾に対する支援を厚くすべき(゚д゚)!

迫りくる台湾をめぐる米中危機

岡崎研究所

台湾をめぐる米中の対立は、本欄でも何度も指摘してきた通り、高まる一方である。こうした事態に懸念を示す、最近の論説、社説の中から、米外交問題評議会のリチャード・ハースによる2月15日付け論説を中心にご紹介する。同論説の要旨は、以下の通り。


 米中外交は、米国は「中国は一つであり台湾は中国の一部であるという中国の立場」を認識する(acknowledge)とする、3つのコミュニケ(1972年、1978年、1982年)を基礎としている。1979年の台湾関係法には、米国の台湾へのコミットメントが明記されている。3つのコミュニケと台湾関係法が相まって、米国の「一つの中国政策」の基礎をなしている。

 この構造は、勝利の方程式となってきた。中国は世界第二の経済大国にまで発展し、台湾も経済発展と民主化を遂げた。米国は、地域の安定、中台双方との緊密な経済関係により利益を得ている。

 問題は、時間が尽きつつあるのではないかということだ。長年、米国の政策立案者は、台湾が独立その他、中国に受け入れられないことをしないか、懸念してきた。台湾の指導者は理解しているように見える。ただ、彼らは「一国二制度」による統一を拒否している。

 しかし、今や、安定は米中双方により危機にさらされている。中国経済の鈍化は習近平を脆弱な立場に置き得る。習が、国民の目を経済成長の鈍化から逸らすために外交政策、とりわけ台湾問題を使うことが懸念される。習は今年1月、台湾併合を目指す考えを繰り返し、そのために武力行使を排除しないと述べた。

 米国も、過去40年間機能し続けた外交的枠組みを守らないようになってきている。ジョン・ボルトン安全保障担当補佐官は、就任前、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、「一つの中国政策を見直す時だ」とする論説を寄稿している。トランプも、米大統領(あるいは同当選者)として、1979年以来初めて台湾の総統と直接話をした。

 最近、5人の共和党上院議員が、ナンシー・ペロシ下院議長に、蔡英文総統を米議会に招くよう求める書簡を送った。そんなことをすれば、米台間の非公式の関係と矛盾し、中国の強い反応を招く。

 政府内外の多くの米国人が中国に強いメッセージを送ることを望み、そうすることで失われるものはほとんどない、と信じている。

 この計算が正しいかどうか、全く明確ではない。中国の経済制裁、軍事力行使が行われるような危機が起これば、2300万の台湾人の自治、安全、経済的繁栄が危機に瀕する。中国にとり、台湾危機は米国および多くの近隣諸国との関係を破壊し、中国経済にダメージを与えるだろう。

 危機により、米国は台湾への支援を求められ、それは新冷戦あるいは中国との紛争に繋がり得る。といって、台湾の自助努力に全て任せるという判断は、米国の信用を損ね、日本の核武装、日米同盟の再考に繋がりかねない。

 関係者全てにとり、リスクが高くなっている。相手にとって受け入れられないような象徴的な一歩を避けるのが最善だ。現状維持には欠点があるが、一方的な行動、きちんとした解決策の伴わない状況打破の企てよりは、はるかにマシである。

出典:Richard N. Haass,‘The Looming Taiwan Crisis’(Project Syndicate, February 15, 2019)
https://www.project-syndicate.org/commentary/looming-taiwan-crisis-over-one-china-policy-by-richard-n--haass-2019-02

 上記論説でハースが言っていることは、3つのコミュニケと台湾関係法に基づく「一つの中国政策」が40年間機能してきたのだから、今後ともそれに従って各当事者が自制すべきである、ということである。

 フィナンシャル・タイムズ紙も、2月19日付け社説‘Taiwan tensions call for restraint from big powers’において、米国による台湾への武器売却、米海軍艦艇による台湾海峡の通過、台湾への武器売却の継続と当局者の交流を求める「アジア再保証イニシアティヴ法」など一連の米国の動きを「中国は刺激的だと見ている」とする一方、中国の台湾併合への熱意はこれまでになく高まっている、として各当事者に自制を呼びかけている。

 自制は重要だが、米国の「一つの中国政策」の枠組みが今後も有効であるのかは、検討を要する。中国が台湾を併合する意思は一貫しているが、今や、中国は軍事大国であり、台湾併合のために武力行使を排除しない、と明言している。米中双方が危機を作り出しているというが、やはり中国の責任が重いのではないか。米国が強い態度をとり中国を抑止することの方が「現状維持」に資すると思われる。米国の最近の対中強硬姿勢は止むを得ないと言うべきであろう。上記フィナンシャル・タイムズ社説が挙げているような、米国による台湾支援強化の措置は、ますます強化されると考えられる。ちょうど、2月下旬にも米海軍の艦艇が台湾海峡を通過したばかりである。

 蔡英文の米議会への招聘については、ワシントン・ポスト紙のジョン・ポンフレット元北京支局長が2月18日付の論説‘China’s Xi Jinping is growing impatient with Taiwan, adding to tensions with U.S.’で、中国を怒らせるとする専門家の見解と、それほどでもないとする専門家の見解を紹介している。

 米国の対応で、むしろ最も心配すべき点は、トランプ大統領が、台湾問題が米中の間でカードとなり得ると解釈され得るような発言をしてしまうことであろう。トランプは、そういう不用意な発言をする傾向があるので、注意を要する。

【私の論評】日本を軽視する韓国に対して制裁が俎上に登っている現在、日本は台湾に対する支援を厚くすべき(゚д゚)!

中国政府の指導者たちは建国以来約70年にわたり、台湾の統一を将来達成すべき課題として扱ってきました。ところが台湾政府は中国共産党の支配下に入ることにまったく関心を示していません。

2016年に独立志向の民進党から出馬した蔡が総統選挙で当選して以来、中国の台湾に対する敵対的な姿勢は強まっています。中国はこれまで、中台統一のための武力行使を放棄したことは一度もありません。

台湾周辺での中国の軍事演習により武力行使への懸念は高まっています。ところがロンドン大学東洋アフリカ学院中国研究所のスティーブ・ツァン所長は、アメリカの介入を避けるためにトランプ政権との交渉が行われない限り、人民解放軍が台湾に軍事攻撃を仕掛けることはないだろうと述べました。

ロンドン大学東洋アフリカ学院中国研究所のスティーブ・ツァン所長

「あと5年ぐらいは、(アメリカの反対を押し切ってまで)台湾に武力行使する力は中国にはないだろう。もしやれば、侵略の過程で前線と先進的な装備、軍隊の大半を失いかねない」

中国がいくら武力を用いて、台湾を統一するといきまいてみても、現実はこのとおりだと思います。

当面中国は軍事力以外の方法を用いて、台湾を統一する道に走ることになるでしょう。おそらく、それは香港を統一したときのような方式になるでしょう。

最近、中台統一を受け入れたら、あなた方は10の特権を享受できると、中国軍高官がラジオを通じて台湾の人々に呼びかけました。

台湾メディアによると、この放送は中国人民解放軍の台湾向けラジオ局「海峡の声」が流したものです。中国軍の王衛星少将は、1949年に国共内戦に敗れた国民党が台湾に逃れて政権を樹立して以来、台湾人民は「真実を知る権利を剥奪されてきた」と述べ、その理由を5つ挙げました。

王衛星少将

王によると、台湾の人々は「1国2制度」を正しく理解していない。その理由は「第1に台湾当局による長期にわたる反共教育、第2に台湾独立派の分離主義イデオロギーの悪影響、第3に再統一に対する警戒感、あらゆる再統一プランを積極的に回避もしくは拒絶する姿勢、第4に一部メディアの誤った報道、第5に1国2制度に関する情報提供が不十分で、人々がこの制度をきちんと理解していないこと」だという。

その上で王は、台湾の人々が台湾海峡の向こうの本土の後ろ盾を得れば、10の特権を享受できると述べました。

第1に、中国政府の指導下で自治政府を維持できる。王によれば、一案として台湾を中国の「特別行政区」に指定し、その行政府が「台湾の基本法(憲法)」に基づいて統治を行う方式も可能で、その場合中国共産党なり人民解放軍の幹部が台湾に常駐することはないといいます。

第2に、台湾の代表が本土の政治に参加することは歓迎される一方で、「1つの国」という概念に抵触しない限り、台湾は独自の法律を制定できる。立法のみならず、第3第4の特権として、行政と司法の独立も認められるそうです。

第5に、外交の権限は最終的には中央政府に帰するのですが、台湾当局は「台北」もしくは「中国の台湾特区」として、外国政府と独自に交渉を行えるとしていす。第6に、人民解放軍と共に国防の任に当たるという条件で、台湾は独自の軍隊を持てるとしています。

第7に、台湾の企業や住民は中央政府に対する納税義務を免除され、しかも要請があれば、中央政府は台湾に補助金を支給するとしています。第8に、台湾当局は独自通貨を発行でき、その通貨には人民元とは独立した為替レートが適用され、台湾は独自の外貨準備を保有できるそうです。第9に、台湾当局は独自の通商政策を実施し、外国と貿易協定を締結できる。

そして最後に、「平和的な再統一」が実現すれば、台湾当局は独自にパスポートを発行でき、私有財産制や宗教の自由など台湾の人々がいま享受している権利や制度は完全に守られると、王は保証しました。

王衛星少将のソフトな呼びかけがある一方で、中国人民解放軍軍事科学院の元副院長で、同軍中将の何雷(He Lei)氏は9日、中国が武力行使による台湾併合を余儀なくされた場合、台湾の独立支持派は「戦争犯罪人」と見なされると警告しました。

「1国2制度」は、かつての中国の指導者・鄧小平が提唱した方式で、1997年に旧ポルトガル領のマカオ、1999年に旧英領の香港がこの方式で中国に返還されました。この2つの特別行政区は建前上は一定の経済的・政治的な自治を認められているものの、最終的には中央政府の決定に従わなければならなりません。香港では中国による言論弾圧が強まっており、もはや「乗っ取られた」も同然です。

共産主義中国の「建国の父」毛沢東が1979年に「台湾同胞に告げる書」を発表してから40周年に当たる今年、習近平国家主席は年初に1国2制度の適用などの台湾政策を発表。中台統一の実現は「責務であり、必然である」と述べて、必要ならば軍事行動も辞さない姿勢を見せました。

現在、台湾と正式に国交を結んでいる国は十数カ国にすぎないです。毛が中台統一を呼びかけた1979年には米中国交正常化が実現、アメリカは台湾と断交しました。ところが米国による台湾への軍事的な支援など非公式な関係は続き、中国は緊張高まる台湾海峡で実弾演習を行うなど軍事演習を強化しています。

蔡英文総統は先月末、日本メディアの取材に応じ、安全保障問題などについて日本政府と対話したいとする意向を表明しました。これについて国立政治大国際関係研究センターの研究員、蔡増家氏は、蔡総統には台湾と米国が安全保障面において連携関係にあることを日本に伝え、台湾は日本とも米国と同様の連携関係を築けると示唆する意図があったと分析しています。

国立政治大国際関係研究センターの研究員、蔡増家氏

蔡増家氏は、蔡総統の発言には主に3つの意図があると分析。第1に、安倍晋三首相が太平洋からインド洋にわたる地域で安全保障や経済成長の協力を目指して掲げる「インド太平洋戦略」への参加に向けた意思表示だといいます。蔡増家氏は日本が台湾にとって重要な隣国であり、共に中国の脅威に晒されていることに言及した上で、安全保障面において台日間の情報共有は非常に重要となると説明しました。

第2は、日本と中国の関係が改善に向かっていることに関連しており、台湾と民主主義の価値観を共有する日本が、中国と接近する一方で台湾との関係を犠牲にしないよう訴える目的が蔡総統にあったとみられるといいます。

第3は、蔡増家氏によれば、インタビュー直前の先月25日に米軍艦による今年2度目の台湾海峡航行があったことに触れ、このタイミングでの日本への対話要請は、台湾と米国と日本が民主主義の価値観を共有していることを前提に、日本とも米国と同様の安全保障面における連携強化を進めたいという宣言とも取れると述べました。

台日間の安保対話が実現する可能性について、蔡増家氏は軍事面での協力や共同訓練の実施などについては現段階では困難だとし、情報共有に関する連携なら実現する可能性は比較的高いとの考えを示しました。

蔡総統のインタビューは、2日付の産経新聞朝刊に掲載されました。同紙によれば、蔡総統が日本と直接対話する意向を明らかにしたのは初めてで、強まる中国からの脅威を念頭にしています。蔡総統は同日、インタビューの要点をツイッターに日本語で投稿し、中国が唱える「一国二制度」を拒否する姿勢やサイバー攻撃に関する日本との対話を望む考えなどを発信しました。

このインタビューにおいて蔡総裁が、安全保障・サイバー分野での直接対話を日本政府に要請したことについて、国際政治学者で政策研究大学院大学長の田中明彦氏が7日、日本側は中国への配慮などで準備ができていないとの考えを示しました。

政策研究大学院大学長の田中明彦氏

同日東京都内であったフォーリン・プレスセンター(FPCJ)主催のシンポジウムに出席した際、中央社の記者から日台安保対話に関する質問を受けて答えました。

田中氏は、現時点での日台ハイレベル、当局間対話の開催は「不可能」としつつも、サイバーセキュリティーなどの分野では、実務者協議だけで効果を上げることができるとの見解を示しました。

蔡総統の安保対話要請を巡っては、日本の河野太郎外相が8日の記者会見で、日台関係は「非政府間の実務関係を維持していくというので一貫している。この立場に基づいて適切に対応してまいりたい」と述べました。

日本を軽視する韓国に対する制裁が俎上に登っている今日、日本としては台湾に対して安全保障に関する話あいを行うのは無論のこと、様々な方面で支援を厚くする方針でのぞむべきと思います。

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2019年3月11日月曜日

「国民を見捨てない」陛下の覚悟さえも貶めた裏切り者の日本人―【私の論評】天皇大権を蔑ろにする「元号の事前公表」黒幕 は誰か?

「国民を見捨てない」陛下の覚悟さえも貶めた裏切り者の日本人
倉山満

 今年元旦から、皇室史学者を名乗ることとした。わが国の皇室のあり方を自分なりに勉強して、陛下が何をなされてきたのか、そして何をなされようとしているのかを、考えるべきではないかと強く思ったからだ。

 現在の象徴天皇は、古来の伝統法に文明国の通義に合わせて出来上がった明治の立憲君主制が、敗戦による外国勢力の介入に耐えて出来上がっている。そもそも、わが国の伝統法とは何か。戦前は国体と呼んだ。わが国の国体の根源は、君臣の絆(きずな)である。そして、わが国において天皇が民を見捨てることはなかった。

 天災や飢饉が起きたときでさえ、歴代天皇は己の不徳を天に詫びるのが常だった。かの後醍醐天皇ですら、そうだった。古くは元寇に際し、時の治天の君である亀山上皇は「自分の身はどうなろうとも、国と民を守り給え」と皇室の御先祖である神々に祈られた。

 はっきり言えば、亀山上皇や後醍醐天皇はわが国史において暗君ではあるが、外国の君主に両帝のような態度を示した君主が何人いるか。わが国の暗君も、外国では聖主なのである。

 敗戦に際し、昭和天皇が自らの命を懸け、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサーを説得したのは近代史の出来事である。1990年、どこぞの国の君主は、自国が外国に占領されたとき、国民を見捨てて真っ先に亡命した。わが国の皇室の歴史は、外国とはまったく違うのである。

 戦前憲法学の泰斗であった、佐々木惣一京都帝国大教授の門下生に語り継がれている教えがある。佐々木先生は、憲法改正無限界説を唱え、「アカ」呼ばわりされた。当時の通説である憲法改正限界説が「いかなる憲法改正であっても、皇室を廃止することは許されない」と主張した。通説であり、政府の有権解釈だった。

 これに対し、佐々木先生は「いくら法律の条文や解釈で縛ろうとも、国民が皇室を廃止しようとした場合、止められるものではない。よって、法学者としては限界説を採ることはできない」と反論した。法律論として、不可能は要求できないとする、法実証主義の立場だ。

 ただし、これには続きがある。もし、国民が皇室を見捨てたときのことだ。佐々木先生は、「その時、日本は日本ではなくなる」とおっしゃられたと聞く。「である」論としての法律論と、「べき」論としての政治論は分けておられたのだ。

昭和天皇とマッカーサー元帥=昭和20年5月

 事態は佐々木先生が想像されたよりも早く訪れた。もちろん敗戦である。天皇は「象徴」とされた。ただ、マッカーサーにとって「象徴」とは決して軽い意味ではなかった。日本国憲法の草案はマッカーサーノートと呼ばれるが、そこには「Symbol=Head of state」と走り書きがなされている。象徴とは国家元首の言い換えなのだ。

だが、これを「ロボット」にしたのは裏切り者の日本人だ。東京大法学部教授の宮澤俊義と、当時の内閣法制局長官、吉國一郎だ。

 宮澤は教科書で「天皇はめくら判を捺すロボット」と断言した(『コンメンタール 全訂日本国憲法』74頁)。吉國は、「天皇の行動があらゆる行動を通じて国政に影響を及ぼすことがあってはならない」と言い切った(昭和50年11月20日参議院内閣委員会答弁)。

 しかし、これらの解釈は世界の立憲君主国の標準、すなわち文明国の通義からかけ離れている。

 世界の憲政の模範はイギリスだ。そのイギリスで「権威書」として憲政運用の解釈書として尊重されている、ウォルター・バジョットの『英国憲政論』は、立憲君主とは独裁者ではないと説く。同時に、単なる傀儡(かいらい、ロボット)でもないとも説く。

 バジョットは、『英国憲政論』(『世界の名著』124頁)で「イギリスのような立憲君主制の下では、君主は三つの権利―諮問に対し意見を述べる権利、奨励する権利、警告する権利―をもっている。そして君主がすぐれた感覚や英知をもっているならば、このほかに必要とするものはなにもない。このような君主は、他に何も持っていないので、この三つの権利を非常に効果的に行使できることを知っている」と述べ、以下延々と君主が国政に対し影響を及ぼす方法について述べている。

 君主が国政に影響力を行使してはならない、などとは言っておらず、逆なのだ。その証拠に日本国憲法第4条第1項を見よ。「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」とある。

 権限(権能)がないとは書いているが、影響力を行使してはならないとは、どこにも書いていない。マッカーサーですら象徴天皇とは国家元首だと理解していたが、日本人自らの手で天皇をロボットに叩き落したのだ。そして、戦後教育においては、皇室と国民の絆を断ち切らんとする教育が行われ続けた。

 さて、このような状況で陛下は平成の三十有余年を天皇としてのお務めを全うされた。国事はもちろん、祭祀にも熱心で、さらに国民との絆を保つ活動を、二度の大病を乗り越えて行ってこられた。

 平成23年3月11日の東日本大震災に際し、社会の指導者たるべき人間たちが、原発事故の放射能が怖くて逃げた。あまつさえ、「陛下も京都へ逃げた」とデマを流しながら。

 だが、事実は違った。3月16日、突如として「ビデオメッセージ」が流れてきた。横文字で何のことか分からないが、要するに玉音放送である。ただただ、国民を励まされるだけだった。激励権の行使である。ただし、国民に向けて語りかけられるという異例の形式だが、現行憲法下でも違憲ではない。

仮設住宅を訪れ、出迎えの人たちに手を振って応えられる
天皇、皇后両陛下=2012年5月、宮城県仙台市

 何も言い訳もしないし、ましてや自分を悪(あ)しざまに罵(のの)しった者どもに言い返しもしない。しかし、「決して国民を見捨てて逃げはしない」と明確に訴えられていた。

 幾多の風雪に耐えた平成の御世が終わりかけている、今思う。国体は健在なり。(文中一部敬称略)

【私の論評】天皇大権を蔑ろにする「元号の事前公表」黒幕 は誰か?

天皇をロボットにしてしまった裏切りもの内閣法制局長官、吉國一郎のことが上の記事に掲載されていました。

内閣法制局が入る中央合同庁舎第4号館

では、内閣法制局とは、どんな官庁なのでしょう。これは、憲法を頂点とする日本国の法体系のすべてに責任を持ちます。当然、憲法解釈の全権を一手に握ります。

財務省主計局が予算をつけ、国民の代表である国会が承認した法律であっても、法制局が「憲法違反の疑義がある」と述べれば、執行できないのです。政治家も財務官僚も、法制局の意向に沿うように法律や予算を修正しなければならないのです。財務省の「他は並びの山」の例外が法制局なのです。

ついでに言いますと、安倍晋三が「一強」とよく言われています。いくら腰が引けているとはいえ、安倍総理は確かに財務省相手にはファイティングポーズだけはとっています。

ところが、最初から降参しているようです。これは揶揄ではありません。安倍自民党改憲案を見ると、そのなかで、一文字でも法制局の意向に沿わない文字はありません。

一文字と言うのは大げさでも何でもありません。法制局は、日本国のあらゆる法令の「てにをは」まで監視しているのです。その一文字の誤りで、霞が関の官僚のすべてが畏怖するのです。

財務省も例外ではありません。グーグルマップでも見ると、財務省と法制局の建物は、直通の廊下でつながっています。財務省は法制局に因縁をつけられないよう、日常的に行き来できるようにしているのです。

特に財務省の本流である主計局の官僚にとって、法制局を敵に回さないことは出世の条件です。法制局の承認を得ていることこそ、他の官庁に威張り散らす権力の源泉なのです。

安倍総理も財務省主計局の権力も、法制局の権威の下での話ということになります。これはローマ教皇の下の皇帝や国王のようなものです。その法制局の権威の源が東大憲法学です。

宮沢の「天皇ロボット説」は単なる学説と片付けても良かったはずなのですが、第四代法制局長官の吉国一郎が政府解釈にしました(昭和50年11月20日参議院内閣委員会答弁)。

これは国会図書館の検索システムで簡単に議事録を確認できるので、皆さんご自身で調べていただきたいです。要するに「天皇は社会に向かってモノを言ってはならない」としたのです。宮沢説を、法制局が─有権解釈─法律的に効力がある政府の解釈にしたのです。

こう考えると、消費増税をめぐる安倍首相と財務省の駆け引きすら「ザコの喧嘩」にすぎないのです。ところが、これが日本の権力構造の真の実態なのです。

このようなことがまともであるといえるのでしょうかか? 
天皇や皇室は本来ならば敗戦の時に全員ギロチンにかけたいが、それも叶わなかったので仕方がないから象徴として残るのは認めてやるが、盲判を捺すロボットでいろ。
これが吉国長官以来約45年間、今の安倍内閣に至るまでの政府見解なのです。一般の日本国民がそういうことを知らなかったのを責める気はないです。しかし、有識者、いやしくも保守を自任する言論人ならばどうでしようか。
4月1日の改元にも大きな問題があります。改元は本来、天皇の大権です。しかし、実態は時の権力者の思惑に左右され続けてきました。最も蔑ろにされてきた天皇大権であると評しても過言ではないです。

だから、改元に際して多少のさざ波が立とうとも、それだけで天皇の権威に瑕がつく訳ではありません。その程度で皇室はビクともしないのです。

しかし改元を利用して、意図的に天皇や皇室の権威を貶めようとする者がいたら、国民はその者の名を心に刻まなければならないです。

明治以降、改元の規定は皇室典範で定められていました。それが敗戦に伴い旧典範は廃止され、元号は成文法上の根拠を喪失、慣習法として存立してきました。

こうしたことから、元号廃止運動が学界や言論界を中心に盛り上がり、逆に元号法制化運動も自民党を中心に進められました。結果、元号法が定められ、成文法としての根拠を回復することとなりました。この法律はたった2条だけです。
第1条 元号は、政令で定める。 
第2条 元号は、皇位の継承があった場合に限り改める。
読めばわかるように、一世一元の制の成文化です。天皇の代替わりの時にしか改元できないのです。そして現行法では、新元号の発表は代替わりの後にしか行えないのです。

昭和から平成への改元も、そうでした。昭和最後の1年間、先帝陛下は重病に苦しまれ、いつ「その日」が来るかと日本中が心配しました。そして昭和64年1月7日に崩御。同日、今上陛下が践祚(せんそ。天皇の位を受け継ぐこと)され、同日に政府が発表、翌日から施行されました。

もちろん政府は事前に新元号を用意していたのですが、公表は新帝践祚(せんそ)の後でした。時の竹下登内閣は、人としての道理を知っていたからです。

一世一元の制の現代において、元号はそのまま天皇の贈り名となります。お亡くなりになられた後に贈られるから、贈り名です。天皇陛下は存命中、「今上天皇」としか呼ばれなません。

昭和天皇、大正天皇と名前で呼ばれるのは崩御の後です。世の中には日本人としての素養がない人がいて、公共の場で「平成天皇」を連呼する御仁がいますが、「勝手に殺すな!」と言う他ありません。

改元大権を持ち出すまでもなく、新しい元号は新帝の元号なのである。だから、新帝が位に就かれた後にしか、公表してはならないのです。

どうしても事前公表したいのなら、現行法を改正するなり、いっそ一世一元の制を廃止してからにすれば良いのです。時間などいくらでもありました。それをあえて選挙で選ばれた国会議員による立法ではなく、政府の官僚による解釈で行おうとしているのです。

その意図は明々白々です。一つ、真の立法権は国会議員ではなく官僚にあると知らしめること。一つ、天皇の元号ではなく、政府の元号であると見せつけること。要するに、法の解釈を握るものは、政治家よりも、そして天皇よりも偉いのだと、権威を見せつけようとしているのです。

では、解釈を握る政府の官僚とは誰なのでしょうか。天皇ロボット説の総本山、内閣法制局です。その長官は横畠裕介。この男、自分は天皇を超える「法王」とでも思っているのでしょうか。

だが、国民は皇室を蔑ろにするものを見逃しはしません。賢明な国民は、黒幕が誰かを知っています。「国民を見捨てない」陛下の覚悟さえも貶めた裏切り者の日本人は、内閣法制局長官 横畠裕介です。

内閣法制局長官 横畠裕介

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2019年3月10日日曜日

韓国「制裁」へ与野党共闘! 三菱重工の資産差し押さえ申請に…自民議員「韓国の急所を突け」 国民民主議員「これまでは大目に見ていたが…」―【私の論評】韓国だけを攻撃するより韓国に屈辱を与えながら、陰に隠れている北朝鮮も攻撃すべき(゚д゚)!

韓国「制裁」へ与野党共闘! 三菱重工の資産差し押さえ申請に…自民議員「韓国の急所を突け」 国民民主議員「これまでは大目に見ていたが…」

三菱重工に対しても資産の差し押さえを申請。
無法なやり口が続く韓国に、日本の我慢も限界だ

 日韓断絶が現実味を帯びてきた。韓国最高裁による、元朝鮮女子勤労挺身隊員をめぐる異常判決を受け、原告側の弁護団が7日、三菱重工業の資産差し押さえをソウル中央地裁に申請したのだ。1965年の日韓請求権・経済連携協力に反する暴挙といえる。日本政府は辛抱強く、韓国に政府間協議を求めてきたが無視され、国会議長による「天皇陛下の謝罪要求」という狂気の言動まで聞こえてきた。日本の与野党議員から「痛み」を伴う対抗措置を求める声が高まっている。「反日」の文在寅(ムン・ジェイン)政権には毅然(きぜん)と対応するしかない。

 「(日本企業の)資産の差し押さえ申請など、事態がこうして進んでいるのは、極めて深刻な状況だ」「わが国としては韓国の協定違反の状態を解決すべく、協定に基づく協議を要請している。韓国は当然、誠意を持って応じるべきだ」

 菅義偉官房長官は7日の記者会見でこう語り、無法国家への憤りをにじませた。

 いわゆる「元徴用工」や、元挺身隊員による訴訟の異常判決を受けた日本企業の資産差し押さえは、1月の新日鉄住金に続き2例目となる。

 原告側弁護団は今回、三菱重工が保有する商標権2件と特許権6件の差し押さえを申請した。認められれば、1週間程度で完了する。

 日韓の請求権問題は、前出の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」されているが、隣国では国際法を無視した判決が続いている。日本政府は協定に基づく「協議」を再三求めたが、文政権は責任ある対応をとらず、逆に「反日」姿勢を助長させている。

 このままでは、三菱重工には、対象の商標権や特許権について売買や譲渡、移転ができなくなる「実害」が生じる。

 永田町では、韓国への「制裁発動」を求める声が噴出している。

 自民党の中山泰秀元外務副大臣は「国家間の協定・約束を反故(ほご)にするなど、考えられない。厚かましくて、度が過ぎている。韓国は請求権問題だけではなく、駆逐艦による危険なレーダー照射や、国会議長による『天皇陛下への謝罪要求』など、非礼の限りを尽くしている。冷静に、かつ、韓国の急所を突く形で制裁すべきだ。国際社会に対しても、明確な証拠を示しながら時系列で整理し、英文で発信するなど、『情報戦』を徹底すべきだ」と語った。

 野党も黙ってはいない。

 国民民主党の渡辺周元防衛副大臣は「これまでは大目に見ていたが、企業に実害が出る事態となれば、外交ルートで抗議する『遺憾砲』では済まない。官邸も『お灸を据えるべきは今だ』と感じているはずだ。日本の名誉を貶める『歴史戦』でも負けるわけにはいかない」と言い切った。

 具体策は何か。渡辺氏は続けた。

 「国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、韓国を表舞台に引っ張り出すべきだ。韓国側の『ヒステリックなナショナリズム』に、われわれは史実に基づいた『冷静なナショナリズム』で対抗する。日本人は懐が深いが、さすがに言わせてもらう。統治時代、日本がどれほど朝鮮半島に尽くしたのか。韓国人にも世界にも知ってもらう、良い機会だ」

 このほか、永田町・霞が関では、「韓国人の入国ビザの厳格化」「日本企業の資産引き揚げ」などが制裁案として想定されている。

 「国会の爆弾男」こと日本維新の会の足立康史衆院議員は「経済制裁の前に、防衛面での韓国との準同盟関係を見直すべきだ。これまでは米国に『日韓はギスギスするな』と言われたが、米国自体が韓国との大規模合同軍事演習を中止するなど、状況は一変した。日本も従来のくびきから逃れ、自立して対韓関係を考え直すべきときだ」と語った。

 確かに、韓国駆逐艦によるレーダー照射は「ミサイル発射寸前」の軍事行動であり、「反日」という次元を超えて、「敵性国家」というべき暴挙といえる。

 足立氏は最後に「政府・自民党は正念場だ。韓国に言うべきことは言い、やるべき制裁を断行すべきだ。実行しなければ、政府・自民党は国民の信頼を失う。自民党は終わりだ」と警告した。

【私の論評】韓国だけを攻撃するより韓国に屈辱を与えながら、陰に隠れている北朝鮮も攻撃すべき(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のような制裁は無論するなとは言いませんが、その前になぜ韓国は日本に悪さをするのか、悪さをやめさせるにはどうしたの良いのでしょうか。 
日本企業の資産差し押さえは、すでに予期されたことですが、日本側としては不快感を示し続けるべきでしょう。
国際社会では、「悪いことを国よりも、悪いことをされて泣き寝入りした国の方が悪い」という不文律があります。それが国際法の根本原理でもあります。

さて、韓国を語るに、韓国の話しかしない人は本質を見ていないと結論づけて良いです。国際関係においては「何が語られているかよりも重要なのは、何が語られていないか」なのです。

このブログでは「結果として北朝鮮の核が、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいる」ということを掲載しましたが、これはよく考えれば誰でも理解できることです。しかし、米朝首脳会談の報道などでは、このことはには全く触れられていません。

しかし、このことを重要なことであり、これを理解しないと、本当の意味での朝鮮半島情勢など理解できません。
さて、韓国を語る時は、常に北朝鮮の意向を見なければならないです。なぜなら、北朝鮮は自分の手を汚さず、韓国に日本への嫌がらせをさせているからです。
そもそも、日本では良く報道されているように北朝鮮は韓国を併合したいのでしょうか。このブログでは、そうでいないと主張しています。ただし、あえて言うなら、ソ連が東欧諸国を衛星国にしたような形にはしたいはずです。そのイメージを以下に示します。

  ソ連共産党→ソ連(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  衛星国共産党→衛星国

つまり、ソ連も衛星国もソ連共産党の支配を受けていました。あるのは形式的な国境。あった方が何かと都合が良いと、当時のソ連は判断しました。

では、今の北朝鮮の構想はどうかといえば、以下にイメージを掲載します。

  朝鮮労働党→北朝鮮(直轄領)
  ↓
  ーーー形式的国境ーーー
  ↓
  韓国政府→大韓民国(衛星国)

これは、帝国主義時代の基本戦略であり、親分は自分では手を出さずに子分を使うのです。そういう時に子分の方を叩く返し技もありますが、今回の日韓関係の場合は、向こうの親分の北朝鮮が日韓両国を喧嘩させようとしているのだから、むざむざと乗って韓国だけを叩くのはやめるべきです。

韓国だけを相手に制裁をしたとしても、北朝鮮がぬか喜びするだけです。

2018年9月20日、韓国の文在寅大統領らと白頭山を訪れた金正恩氏

冷戦期、東ドイツやブルガリアの所業に西側諸国は手を焼きました。特にブルガリア共産党に至っては、ローマ教皇暗殺未遂事件の実行犯でもあります。

では、西側諸国は東独やブルガリアの悪口を拡散したでしょうか。無論、抗議すべきことは抗議しました。しょせんは使い走りの実行したことですので、西側諸国はソ連共産党を標的にしていました。
そうして、レーガンの再来を自任するトランプがアメリカ大統領なのですから、日本の実行すべきことは決まっています。
北朝鮮にものを言えるだけの軍事力を身につけることです。防衛費GDP2%などは、最低限実行すべきことと思いますが、無論本来はそれ以上にすべきです。それを実行したとしても、トランプ大統領は日本を非難するどころか、称賛するに違いありません。
韓国の悪口を言う暇があれば、「最低でも防衛費GDP2%」と拡散した方が、まだ有益です。
そうして、さら大事なことは、韓国にもある程度制裁すべきですが、本命は北朝鮮であることを認識することです。少なくとも、韓国だけを攻撃するより、韓国に屈辱を与えながら、陰に隠れている北朝鮮にも攻撃をする方がはるかに効果的でしょう。

韓国はこれからも問題を起こすでしょうから、そのたびに北朝鮮、お前が責任をとれと非難するとともに、北に対する制裁をさらに強化してくべきです。さらに、韓国が問題をおこすたびに少しずつでも様々な方面から軍事力を強化していくべきです。
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2019年3月9日土曜日

景気後退…消費増税「回避」待ったなし!? 専門家「4月に判断しないと間に合わない」―【私の論評】ロンドンオリンピック直前に消費税増税した英国の大失敗に学べ(゚д゚)!

景気後退…消費増税「回避」待ったなし!? 専門家「4月に判断しないと間に合わない」

このまま増税すると大変なことになる。安倍総理の決断は?

内閣府7日、1月の景気動向指数(速報値)を発表した。景気の現状を示す一致指数は前月比2・7ポイント低下の97・9で、3カ月連続の悪化となった。世界経済の先行き不安も広がるなか、永田町では、今年10月の消費税率10%への引き上げへの慎重論が目立ってきた。専門家も「楽観視してはいけない。4月に増税回避の判断をしないと間に合わない」と力説した。 

 政府の基調判断は「足踏みを示している」から、数カ月前に景気後退入りした可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正した。同様の表現は14年11月以来、4年2カ月ぶりという。

 やはり、中国経済の減速に伴う輸出不振の影響が大きいという。

 半導体大手のルネサスエレクトロニクスは今春以降、国内の主要6工場で2カ月間、生産を停止する。主な原因は車載半導体の中国向け需要の減少で、在庫調整の狙いがある。

 政府は、景気拡大期が1月で「戦後最長の6年2カ月に達した」との暫定的な見解を示してきたが、疑問符が付く結果となった。

 安倍晋三首相は10月の消費税増税について、「2008年のリーマン・ショックのようなことがない限り」との条件付きで実施する考えを示している。中国だけでなく、欧州経済の先行きにも不安があるなか、政府はどう判断するのか。

 「リフレ派の論客」として知られる上武大学の田中秀臣(ひでとみ)教授は「景気の現状を楽観視して、消費税を増税するシナリオは間違いだ。世界経済の不透明感が増しており、増税すれば日本経済の悪化が顕在化していくことになるだろう。引き上げ率が2%と前回より低く、さまざまな増税対策も取られているが、前回と比べて消費が盛り上がっていない。消費税増税の可能性は半々だろうが、自民党内にも慎重な判断を求める声がある。4月に決断をしなければ間に合わない。夏の参院選で(増税凍結の)信を問うことが手っ取り早いだろう」と語っている。

【私の論評】ロンドンオリンピック直前に消費税増税した英国の大失敗に学べ(゚д゚)!

金融緩和を実施している現在、増税をするということは、車の運転でいえば、アクセルを踏みながら(金融緩和しながら)、ブレーキを踏む(緊縮財政の一手法である増税)を実行するようなもので、非常に矛盾しています。

本来ならば、金融緩和と積極財政を実施し、景気が加熱しインフレ率が上昇した後に、金融引き締めをしたり、緊縮財政を実行して、景気を沈静化させるというのが王道です。

(金融緩和政策+積極財政)もしくは、(金融引き締め+緊縮財政)が、まともなマクロ経済政策であり、金融緩和しつつ緊縮財政であるとか、金融引き締めしつつ積極財政するなどは、邪道以外の何ものでもありません。

そうして、現在はデフレから完璧に脱却していないのですから、(金融緩和+積極財政)をすべきです。積極財政といえば、公共工事、減税、給付金などいくつか方法があります。

古いタイプの政治家は経済対策=公共工事と考える政治家もいるようですが、オリンピックにあわせて公共工事が増えている現状では、公共工事を増やしたとしても、公共工事の供給制約になるだけで、まともな経済対策にならないのは明らかです。

であれば、減税、給付金等の経済対策を実施すべきです。マクロ経済対策の観点からは、増税などとんでもないと言わざるを得ません。

ロンドンオリンピックのビーチバレーの試合

日本では、東京オリンピックの直前に10%の消費税増税を予定していますが、これと似たようなことは以前英国で実施されており見事に失敗しています。

英国でもオリンピック直前に、アクセルを吹かしながらブレーキを同時に踏み込こんだことがありましたが、当然ながら大失敗しました。

英国は2008年9月のリーマン・ショック後、中央銀行であるイングランド銀行が米国を上回る速度でお札を大量に刷り続け、量的緩和政策によって、ポンド安に成功。2010年秋までに景気が回復基調にありました。

ところが、個人の消費意欲を示す「消費者信頼度指数」は、2010年後半から急速に悪化し、皮肉にも五輪聖火リレーが始まるころから再び下落します。

ロンドン五輪の経済効果が出なかった理由は、キャメロン政権が「緊縮財政路線」を決め、「付加価値税率(日本の消費税にあたる)」を17.5%から20%へ引き上げたからです。

2010年5月に発足したキャメロン保守党・自由民主党連立政権は、さっそく付加価値税率17.5%を11年1月から20%に引き上げる緊縮財政政策を決定しました。他にも銀行税を導入するほか、株式などの売却利益税の引き上げ、子供手当など社会福祉関連の予算削減にも踏み切った。他方で法人税率を引き下げ、所得税控除額も12万円程度引き上げ、成長にも多少配慮しました。

こうして国内総生産(GDP)の10%まで膨らんだ財政赤字を15年度までに1.1%まで圧縮する計画でしたが、結果は無残でした。

これは以下のグラフをご覧いたたげれば、ご理解いただけると思います。付加価値税収は11年から激減し、2012年5月までの1年間でも前年同期比でマイナス8.4%減です。個人消費動向を示す消費者信頼指数は09年9月のリーマン・ショック時よりもっと冷え込んでいました。景気の悪化を受けて、所得税収、法人税収とも前年同期比マイナスに落ち込みました。だ政府債務残高のGDP比は11年末で85.7%(10年末79.6%)と増え続けました。


窮余の一策が、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策でした。BOEといえば、世界で初めて金(きん)の裏付けのない紙幣を発行し、フランスなどとの戦争費用を政府に提供した中央銀行であり、その大胆さは世界でもずぬけています。

BOEは11年秋から英国債を大量に買い上げ、ポンド札を金融市場に流し込んでいました。BOEはリーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)に呼応して量的緩和第1弾に踏み切ったのですが、インフレ率が上昇したのでいったんは中断していました。

インフレ率は5%前後まで上昇しましたが、そんなことにかまっていられず、12年5月にはリーマン前の3.7倍にまでマネタリーベース(MB)を増やしました。幸い、インフレ率は需要減退とともに同年5月には2.8%まで下がりました。国債の大量購入政策により、国債利回りも急速に下がっています。ポンドの対米ドル、ユーロ相場も高くならずに推移し、ユーロ危機に伴う輸出産業の競争力低下を防いでいます。

英国のインフレ率

英国のお札大量発行は増税に伴う経済災害を最小限に食い止める大実験なのですが、財政政策面ではブレーキをかけたまま、金融政策でアクセルを踏むわけで、効果ははかばかしくありませんでした。

量的緩和政策を渋る日銀が、今後仮に英国のように政策転換したとしても、脱デフレや景気てこ入れ効果は限られるかもしれません。

自動車など主要企業は国内生産に見切りをつけることになるでしょう。若者の雇用機会は失われ、慢性デフレで細った勤労者の家計はジリ貧になります。税収は減り、財政悪化に加速がかかることになります。

英国は量的緩和政策で景気が回復基調に入ったにもかかわらず、「付加価値税」の引き上げで消費が落ち込み、再び景気を停滞させてしまいました。

その後、リーマン・ショック時の3.7倍の量的緩和を行っても、英国経済が浮上しなかった教訓を日本も学ぶべきです。

このようなことを主張すると、英国の財政は日本よりも良い状況だったからなどという人もいるかもしれませんが、日本の財政は負債のみでなく、資産にも注目すれば、さほどではないどころか、英国よりもはるかに良い状況にあります。

それについては、昨年のIMFのレポートでも裏付けられています。このレポートの内容を掲載した記事を以下の【関連記事】の一番最初に掲載しておきます。

これを知れば、増税など絶対にすべきでないことは明らかです。

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