バイデン米大統領は、岸田首相に不信感を持っているのか |
林芳正外相と岸信夫防衛相が来年1月上旬に予定していた訪米を見送る方向で調整に入った。米国側の提案で、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を理由にしている。岸田文雄首相と、ジョー・バイデン米大統領による初の対面による日米首脳会談の1月開催も絶望的となった。岸田首相はやっと、北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を表明したが、遅すぎて米国の不信感を高めたとの指摘もある。
産経新聞は25日朝刊で、1月7日に開催予定だった日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が、米国側からオンライン形式に切り替えるよう提案があったと報じた。
菅義偉政権下の今年3月、東京で開催された日米2プラス2では、「自由で開かれたインド太平洋」の推進などで一致し、年内に改めて開催することで合意していた。
バイデン氏は今月6日、中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を受けて、北京冬季五輪に政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」を表明した。英国やオーストラリアなどがすぐ同調した一方、岸田政権は「適切な時期に」「国益に照らして…」などと決断を先延ばし、24日になって表明した。
首相周辺は「(米中間で)微妙なバランスをとった」と語っているが、人類の普遍的価値である「人権」と「損得」をてんびんにかけた、「米中二股外交」ではないのか。
同盟国が即賛同しないことで、「米国の求心力を弱め、事実上、中国共産党を助けた」という指摘もある。
日米2プラス2が対面で開催されなければ、外相らの微妙な事前調整も困難となり、岸田首相の通常国会開会前の「1月訪米」は相当厳しい。
ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、「日本が東アジアの当事者にもかかわらず、米国は『岸田首相は、ここまで中国に配慮するのか』と驚いているはずだ。2プラス2のオンライン開催は、米国の不快感を示すサインだ。『外交的ボイコット』の表明が、あまりにも遅れたことが影響している。これで1月の日米首脳会談は絶望的とみていい。岸田首相は10月に就任したが、通常国会閉会後の来年5月以降まで日米首脳会談が開催されない、極めて異例の事態に陥りそうだ」と語った。
パンデミック(世界的大流行)開始以降、同国では感染者52,134,735人、死者819,218人が報告されています。以下に最近の日時統計のグラフを掲載しておきます。
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林芳正外務大臣は11月21日、フジテレビの番組に出演し、18日の中国・王毅外相との電話協議のなかで、中国訪問を打診されていたことを明らかにしていました。応じるかどうかについては、「現時点では何も決まっていない」としていました。
公式訪問は、招いた側が招かれた側の同意か感触を得たうえで発表するのが、普通の外交儀礼です。招いた側が友好姿勢を示す一方、応じるかどうかの選択を相手に委ねるのが普通です。ところが、今回は招かれた側の日本の外務大臣が3日遅れで、一方的にテレビで公表しました。これだけでも、十分に異例でした。
このことがあった上で、さらに 岸田政権の北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を表明したが、遅すぎて米国の不興を買ってしまったおそれが十分にあります。
南アフリカ政府は24日、新型コロナウイルスの陽性者と接触しても無症状の場合は隔離や検査は不要との新方針を発表しました。コロナを巡る状況を勘案し、封じ込めから緩和策への移行が妥当としています。
南ア保健省は新たな方針の要因として、オミクロンなど感染力の高い変異株の出現、人口の60%がワクチン接種や感染したとの推計、無症状者が多いことや診断症例が少ないことなどを挙げました。南アでのオミクロン株騒ぎも収束しつつあります。
そうなると、5月あたりには米国でも収束している可能性があります。いまのところ、米国でコロナ禍により、感染者・死者数が増えているのは事実なので、岸田政権が米国の不興を買ったかどうかは、まだはっきりしない部分があります。
しかし上の記事でも指摘されているように、通常国会閉会後の来年5月以降、米国でコロナ感染が収束していても、日米首脳会談が開催されないということにでもなれば、極めて異例であり、米国の不興を買ったのは間違いないとみて良いでしょう。
そうして、岸田政権はまずは、経済政策、外交政策に関しては、安倍・菅政権の政策をしばらくは踏襲するべきです。安倍・菅政権の政策がすべて満点とはいいませんが、方向性としては良かったです。
安倍政権は結局二度も増税してしまったとか、菅政権においては、コロナ病床確保には失敗たなどの失敗はありました。しかし、安倍政権下では、雇用が劇的に改善ました。菅政権においては、結局医療崩壊に陥ることもなく、ワクチン接種を強力に推し進め、結果としてコロナ収束に導いたほか、経済対策においては先進国中もっとも失業力を低くしたという偉業を達成しました。
外交政策においては、安倍政権においては、全方位外交で、特に中国包囲ということで成功しました。菅政権においては、安倍外交を踏襲するということで、目立った失点はなかったと思います。
岸田氏が属していた宏池会はしばらく総理を務める人がいなかったため、政権を担当したことがありません。その間に世界は激変しました。
そのことを考えれば、経済、外交、安全保障などの重要な政策は、まずは安倍・菅政権の政策の結果ではなく、その方針をよく研究して踏襲して、様子をみるべきでした。岸田カラーはそれ以外のことで出すべきでした。
これは、バイデン政権を参考にすべきでした。バイデン政権は現在のところ、結局トランプ政権を政策を踏襲しているところが多いです。移民政策では中途半端で、多くの国民から不興を買っています。経済対策についても踏襲していますが、さらに大きな対策を打とうとして、民主党の議員からも不興を買っています。
しかし当初は親中的政策に走るのではないかとも危惧されていましたが、対中政策に関してはトランプの政策を継承しています。バイデン政権がもしこれを外して、親中的な政策をうちだしていたら、政権の支持率は地に落ちたでしょう。
トランプのほうがより積極的だったとは思いますが、バイデンも中国に対して現状変更は絶対に許さないという厳しい姿勢で臨んでいます。
岸田政権は、まずは経済・外交政策、安全保障政策でも、安倍・菅政権の方針を真摯に学びとり、その精神まで自分のものとして、それを踏襲した上で、両政権ができなかったことを成し遂げその後に独自のカラーをだすべきでした。
安倍元総理大臣と菅前総理大臣 |
特に、安倍政権がなぜあのような長期政権になり得たのか、真摯に学ぶべきです。また両政権がなし得なかったことを実施することは、何もないところから始めるよりは、始めやすいですし、なぜなし得なかったのかも学べます。
岸田総理は、完全に順番を間違えてしまいました。しかし、いまならまだ間に合います。新しい資本主義なる、意味不明のキャッチフレーズは捨て去り、高市政調会長が総裁選で主張していた経済対策を参考にするとか、安倍総理の外交政策を参考にするなどして、政策の大転換をはかるべきです。
そうでないと米国の不興を買い続け、国内からも、特に保守層から不興を買ってしまうことになると思います。
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