2022年11月5日土曜日

北朝鮮が黄海へ短距離弾道ミサイル4発、米軍は戦略爆撃機を展開―【私の論評】北が黄海にミサイルを発射したのは、朝鮮半島浸透を狙う中国を牽制するため(゚д゚)!

北朝鮮が黄海へ短距離弾道ミサイル4発、米軍は戦略爆撃機を展開

4月15日、平壌の金日成広場で行われた市民パレードに登場した巨大な北朝鮮国旗

 韓国軍合同参謀本部は5日、北朝鮮が同日午前11時32分~同59分ごろ(日本時間同)、北西部の東林(トンリム)付近から朝鮮半島西側の黄海に向けて短距離弾道ミサイル4発を発射したと発表した。北朝鮮は米韓の軍事訓練に反発し、前例のない頻度で連日、弾道ミサイル発射や砲射撃といった軍事的挑発を繰り返している。

 韓国軍はまた、5日まで米軍と韓国周辺で実施中の合同航空訓練「ビジラント・ストーム」に米空軍の戦略爆撃機B1Bを2機投入したことも明らかにした。B1Bを朝鮮半島周辺に展開させるのは2017年12月以来、約5年ぶり。

 北朝鮮はこれまでも米戦略兵器の展開に強く反発してきており、今回の発射は戦略爆撃機の投入を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

【私の論評】北が黄海にミサイルを発射したのは、朝鮮半島浸透を狙う中国を牽制するため(゚д゚)!

黄海とは具体的にどこなのか、以下に地図を示します。


北朝鮮にとって、黄海の対岸は中国です。黄海に向けて、ミサイルを打つということは中国に向けてミサイルを打つということです。

韓国軍は、北朝鮮が2日午前、東部から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射し、このうち1発が分断後初めて国連軍が設定した海上の境界線を越えて落下したと発表しました。

北朝鮮は、この3発を含めさまざまな種類のミサイル合わせて10発以上を日本海と朝鮮半島西側の黄海に向けて発射しています。何発なのかはわかりませんが、北朝鮮はこの日も黄海に向けてミサイルを発射しているのです。

北朝鮮はロシアに向けてもミサイルを発射したことがあります。今回は、発射はしていないようです。

黄海に向けて、北朝鮮がミサイルを発射することの意味は何なのかということは以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮、SLBM発射兆候も確認“核実験へ向け軍事的挑発の段階高める”との見方も―【私の論評】これから発射されるかもしれない北朝鮮のSLBMのほうが、日本にとってはるかに現実的な脅威に(゚д゚)!

2014年金正恩第1書記が、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)のロメオ級潜水艦を視察

この記事は、10月4日のものです。この記事より一部を引用します。 

北朝鮮の核はSLBMも含めて、北京など中国も標的にしているということです。北朝鮮に核が存在することと、北朝鮮が朝鮮半島に存在するということ自体が、中国が朝鮮半島に浸透することを防いできたという面は否めません。金王朝は明らかに、朝鮮半島が中国に浸透されることを嫌がってきました。中国に近かった金正男氏の暗殺は如実にそれを示しています。

北朝鮮が存在しなければ、中国はずっと以前に、朝鮮半島を中国に併合し、中国の朝鮮省か、自治区にしたことでしょう。少なくとも半島全体に深く浸透していたことでしょう。朝鮮半島に中国傀儡政権が誕生していたかもしれません。

中国は常に北朝鮮の核を「暗黙の了解」で庇ってきました。しかし、庇ってきた背景には、北の核に対する脅威もあったものと考えられます。米国は北核放棄の条件付で韓国、日本、台湾の「核容認外交カード」を対中国外交カードとして交渉するのが望ましい選択肢ではないでしょうか。中国にとって一番怖いのは日本の核武装だからです。
米国は北核放棄の条件付で韓国、日本、台湾の「核容認外交カード」を対中国外交カードとして交渉するのは確かに理想的ではあります。北が核を放棄したとしても、韓国、日本、台湾が核武装すれば、それは中国を牽制し、中国が朝鮮半島に浸透することを牽制できます。

ただ、北朝鮮は簡単には核を放棄しないでしょう。北が民主化すれば、米国は北を守るでしょうが、そうでなければ、守らない可能性のほうが大きいです。だとすれば、金王朝を守ることを使命としている金正恩は、中国の浸透をおそれ、やはり核ミサイル開発を放棄しないでしょう。

国連安全保障理事会は4日、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射を受け、緊急の公開会合を開きました。中国とロシアを除く13カ国が非難や懸念を表明したましたが、中ロは北朝鮮擁護の姿勢を堅持。声明発出など安保理は一致した行動を取れませんでした。

ロシアは、現状ではウクライナで手がいっぱいです。中国も米国との対立や国内の経済の悪化などで、手がいっぱいという状況です。

そのため、北がミサイルの発射をすることを養護していますが、ロシアは軍事的にも経済的にも落ちていく一方ですが、中国はまだ余力があります。

北が核ミサイルを放棄するようなことでもあれば、すぐに北朝鮮への浸透を開始するでしょう。

米国は北は核ミサイルを放棄することはないとみているでしょう。それを承知の上で、空母や攻撃型原潜や死の白鳥とも呼ばれるB1Bを派遣して、北朝鮮を牽制しています。

米国としては、北朝鮮を牽制しているとみせて、中国に対する牽制もしているとみるべきでしょう。

それは、台湾有事もありますが、朝鮮半島への中国の浸透への牽制という意味もあるでしょう。

多くの人は、台湾有事を差し迫ったものと考えているかもしれませんが、私としては、朝鮮半島有事もそれと劣らずあり得る危機だと思います。

米国は、北が核ミサイルをすぐに放棄するようなことがあれば、それこそウクライナにロシアに侵攻したように、北朝鮮も中国に侵攻される可能性があると考えているでしょう。

そうなると、ロシアがウクライナに侵攻して苦戦しているようなことにはならず、中国はすぐにも北を打ち負かすことになるでしょう。そうなれば、朝鮮半島はすぐに中国の手に落ちることになります。

米国は、北に核ミサイルを放棄させるにしても、それによって中国に浸透されないようにするため、ある程度時間が必要だと考えているでしょう。

だとすれば、日本は北の脅威に対して自らも対処できる体制を整えるべきです。すぐに核武装とはいかないまでも、少なくとも長距離ミサイルを配備し、北の脅威に備えるべきです。そうして、それは中国に対する牽制にもなります。

日本は長距離ミサイルを開発する能力はあります。実際に、現行の中距離ミサイルを改良し長距離ミサイル(12式改ミサイル)を開発し実戦配備する計画があります。

10月19日、井野防衛副大臣 は三菱重工業㈱小牧北工場を視察し、12式地対艦誘導弾(12SSM)能力向上型をはじめとする誘導弾の開発・製造の状況を確認しました。

 スタンド・オフ防衛能力や総合ミサイル防空能力の構築・強化に向けて、開発・製造態勢の強化を進めていくことは重要です。


ただこの12式改ミサイルを実践配備するまでには、数年間を要します。そこで、そのブランクを埋めるために米国からトマホークミサイルを輸入しようと考えているようです。

これには、バイデン政権も大賛成のようです。なるべく早く実施すべきです。そうして、いずは自前で長距離ミサイルを配備するようにし、国内の防衛産業を育成していくべきです。

ただ、現在検討されている12式改ミサイルは、威力は十分でないという意見もあります。最初はそうであっても、とにかく開発して、その後さらに改良したり、別のものを開発して、北朝鮮とともに中国も牽制できるものにすべきです。

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2022年11月4日金曜日

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」―【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」

ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官

 ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官が4日までに、首都キーウ(キエフ)市内で産経新聞の単独インタビューに応じた。ニコレンコ氏は日本のウクライナ支援に「心から感謝する」と表明し、両国がともにロシアに不当に領土を占拠されているとして、北方領土問題の解決に向けて2国間の協力強化を呼び掛けた。露軍がウクライナの民間施設への攻撃を強めている現状については、「ウクライナ人に対するジェノサイド(集団殺害)」だと糾弾した。

 ニコレンコ氏は、日本が「技術、人道両面でウクライナを支援し、対露制裁にも積極的に取り組んでいる」と述べ、「心から感謝している」と表明した。

 またゼレンスキー大統領が10月7日に「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と表明したことに関して、「日本をめぐる状況は(ロシアに)領土を占領された現在のウクライナと酷似している」と指摘。北方領土問題も、「国際法が侵害された事例であり、解決が必要だ」と主張した。

 ウクライナは現在、2014年にロシアに併合された南部クリミア半島の奪還に向けた国際会合「クリミア・プラットフォーム」を主導しているが、同会議で得た知見を「北方領土問題の解決にも活用できるのではないか」と述べ、両国間の協力強化を呼び掛けた。 一方、日本政府がロシア極東の石油・天然ガス開発事業に出資を継続する意向を示していることに関しては、「ロシアビジネスに関する一般論」だと前置きしつつ、「ロシアは原油や天然ガスを国際市場で売った資金で、ウクライナ人を殺している。われわれは、ロシアと商売をすることは間違っていると考えている」と述べた。

 10月10日以降、露軍がキーウを含むウクライナ全土の電力インフラなどへの攻撃を激化させている現状については「人々が生き延びるために必要なすべを奪おうとしている」と断じ、「ウクライナ人に対するジェノサイドに行きつく行為だ」と非難した。

 プーチン露大統領については、「戦場でウクライナ軍に勝利できないから、軍事とは関係がない施設を攻撃(して戦果を主張)することで、国民の目から自国の損失を隠そうとしている」と批判。「モスクワ(ロシア政府)が他の旧ソ連諸国の国民に指示できるという病的な考え」をプーチン氏が持ち続けており、「そのために、われわれが巨大な損失を被っている」と語った。(キーウ 黒川信雄)

【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

上の記事に出てくる、クリミアプラットフォーム(ウクライナ語: Кримська платформа, 英語: Crimea Platform, クリミア・タタール語: Qırım platforması)は、ウクライナとその大統領、ウォロディミル・ゼレンスキーの外交イニシアチブです。

クリミアプラットフォーの事務局開設

2021年8月23日の会議で始動され包括的なアプローチを強く求めている国際的枠組です。ロシアによって2014年に併合された南部クリミア半島の奪還を求める国際プラットフォームです。

 大統領は、ドンバスの平和とクリミアの脱占領は、重要な優先課題だと強調し、「残念ながら、ノルマンディ・フォーマットの議題にはクリミア問題はなかった。

しかし、クリミア問題は、これまでも今も今後も、私たちの議題であり続ける。クリミアが占領され、ウクライナ人やクリミア・タタール人が恒常的な迫害を受け続けている限り、世界はクリミアを忘れてはならない」と強調しました。

その上で大統領は、ブダペスト覚書の安全保証について話すだけでは領土は帰ってこないとし、「私たちは、(返還のための)新しい効果的手段を模索している。クリミア問題を国際議題に押し戻すためだ。私たちは、『クリミア・プラットフォーム』というフォーマットを作っている。同プラットフォームは、クリミア住民の人権と半島脱占領のための国際的努力を調整するものだ。私は、すでに欧州連合(EU)、英国、カナダ、トルコ、その他のパートナーとこのイニシアティブについて協議した。その内の多くが、積極的に参加する準備がある」と伝えましたた。

ちなみに、ノルマンディー・フォーマットは、ノルマンディーコンタクトグループとも呼ばれ、ドンバス戦争とより広範なロシアウクライナ戦争を解決するために集まった国々のグループです。グループを構成する4か国、ドイツ、ロシア、ウクライナ、フランスは、フランスのノルマンディーでのD-Day祝賀会の70周年の際に最初に非公式に会合を開催しています。設立は、2014年6月6日です。

ノルマンディ・フォーマット4国(独仏宇露)首脳会議。12月9日のパリ。

岸田総理大臣は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合へオンラインにより、出席しています。

8月23日、ウクライナ政府は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合をオンラインで開催し、ウクライナからヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(H.E. Mr. Volodymyr ZELENSKYY, President of Ukraine)及び関係閣僚、並びに関係国政府・国際機関の首脳等が出席しました。

同首脳会合に際し、岸田文雄内閣総理大臣が、概要以下のビデオ・メッセージを送る形で参加しました。

メッセージの内容の概要は以下です。
(1)ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。日本は、クリミアを含めたウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持し、一方的な現状変更の試みには断じて反対します。
(2)日本は、強力な対露制裁を講じるとともに、人道支援、財政支援、装備品等の提供、物資輸送支援等のウクライナ支援を実施してきました。今後も、先般のG7エルマウ・サミットにおいて発表した追加支援を含め、総額約11億ドルの支援を実施していきます。
(3)ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、国際社会が結束して対応することが重要です。今週末のTICAD8の機会を捉えたアフリカ諸国への働き掛けなど、これからも、我が国独自の取組を全力で進めていきます。
(4)日本は明年、G7の議長国を務めますが、ウクライナにおける一刻も早い平和の回復及び復興の実現に向け、国際社会と緊密に連携しつつ、また日本の経験を活かし、最大限の努力、積極的な貢献を続けていきます。
以下にビデオ・メッセージの動画を掲載します。


先日辞任したばかりの英国のトラス首相が外相のときの4月に、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきと発言していました。この発言は、プーチンにとってはかなりショッキングなものだったようです。

日本もロシアに対しては、英国なみの対応をすべきでしょう。特に日本はG7では唯一ロシアとの間に領土問題を抱えている国です。しかも、ロシアにより不当に占拠されているのです。

日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

これは、夢物語とか仮の話ということではなく、十分にありえることです。今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、ロシアは北方領土どころでなくなる可能性が高いです。

そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い、人口の約4割を占める)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。

2014年北方領土で集会を開くウクライナ出身者ら

日本が人道支援名目で北方領土に介入し経済支援すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、ロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

ウクライナの報道官が語るように、現在は日本にとっても北方領土を取り戻す絶好の機会といえます。クリミアプラットフォームのやり方は、日本にも大いに参考になるに違いありません。

そうして、これを日本がやり遂げれば、日本の世界での存在感は高まるのは、間違いありませんし、世界の多くの国が軍事的に現状変更をすれば、必ずそれに対する報いを受けなければならないときがくることを知ることになります。

北方領土に関しては、GDPが韓国なみの貧乏国ロシアは、ロシアとしては超破格の数千億の支援をしていました。数千億と聞くと、かなりの支援と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では普通の都道府県等に対する支援に相当する程度すぎないのですが、人口二万人の北方領土に対する支援は、将来も見越してのことだったと思われます。これらも無意味になるのです。

日本ならば、これをはるかに上回る支援ができます。生活環境が整備され、産業の振興も行われということになれば、北方領土のロシア人やウクライナ人はこれを歓迎するでしょう。

これは、中国のような国に現状変更をすることは、結局高い代償を払わなければならないことになることを思い知らせることになります。

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2022年11月3日木曜日

バイデンの国家安全保障戦略が示す米国と世界の課題―【私の論評】現状の日本の安保は、財源をどうするかに焦点が移ってきた(゚д゚)!


 10月12日付のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)で、同紙のデイヴィッド・サンガーが、バイデン政権が発表した国家安全保障戦略について、示された課題や目標に対して手段や施策が伴っていないとの批判がある旨論じている。


 バイデン大統領は、10月12日に発表した国家安全保障戦略において、今後数年間の米国の課題は、「自国の傷ついた民主主義の回復に注力しつつ」「中国に対抗し」「ロシアを抑制すること」であると宣言し、長期的には、「修正主義の外交政策で権威主義の統治を重ねようとする」と中国の動きをより懸念していることを明らかにした。

 同文書で、ロシアは、国際システムに対する差し迫った脅威ではあるが、中国は、国際秩序を再構築する意図と、その目的を推進するための増大する経済力、外交力、軍事力及び技術力を併せ持つ唯一の国であると記している。

 ただ、「米国は、ロシアやいかなる国にも、核兵器の使用やその威嚇により目的を達成することを許さない」とあるが、「許さない」の意味や、プーチンがウクライナで戦術核兵器を使った場合の米国や北大西洋条約機構(NATO)の対応ついての説明はない。

 サリバン補佐官は、第一に、国際秩序の将来を形成するための大国間の競争、そして、第二に、気候変動、感染症、テロ、エネルギー、インフレなどの国境を越えた課題への対処という二つの戦略的課題を強調した。しかし、既にそれらの難しさに直面している。

 バイデンは、夏に訪問し原油の増産に同意したサウジアラビアが、石油輸出国機構(OPEC)の減産する動きを主導したことで足をすくわれた。中国の気候問題への協力はほぼ停止状態になり、ロシアとの核兵器の制限に関する「戦略的安定」交渉も終わった。

 戦略文書の軍事計画の多くは、宇宙、サイバー、海上で中国に対抗するためのものである。サイバーセキュリティを強化し、米国は同盟国や民間部門と協力して、中国の対米投資を制限し、中国への主要技術の輸出を規制することを促している。

 ただ、この戦略にはスピード感が不足しているとの批判もある。中国の台湾併合を抑止するのに、軍の近代化が間に会わない等の声もある。

* * * * * *

 ロシアのウクライナ侵略で発表が延期されていたバイデン政権の国家安全保障戦略が 10月12日に公表された。内容的には、既に同政権が種々の機会に表明して来た国際情勢認識に基づく安全保障政策を取りまとめたもので、新しい要素がある訳ではないが、改めてバイデン政権の情勢認識や外交目標、特に安全保障上の優先順位を確認し、その問題点を把握する上で有益な資料と云える。

 米国の目標は、人権が保護され自由で開放的で繁栄し安全な国際秩序の実現であり、そのために⑴米国の力と影響力の源泉と手段への投資、⑵課題に対応するためのできるだけ強力な連合の形成、⑶軍事力の近代化と強化の3つの面で努力する。その努力には外交、開発協力、産業政策、経済政策、防衛面の要素を含む。

 ザンガーの論説は、特に注目すべき点として、ロシアは当面の国際秩序に対する脅威であり封じ込める必要はあるとしても、長期的には、台頭する中国との競争が最重要課題である点を明確にしたこと、内政と外交を一体としてとらえ、米国の力の源泉は民主主義であるとして当面の問題を「独裁国家対民主国家の闘争」と位置付けるバイデンの持論を再確認し国内においても民主主義のルールを守るべきことを強調したこと、中国と対抗する上で半導体等を始めとする先端産業への国内投資の促進を図ること等を挙げている。

スピード感ある具体策がカギ

 戦略文書で、突出しているのは、軍事面、技術面での中国への対応であり、宇宙、サイバー、及び海上戦力での対抗を強調すると共に、先端技術に関する貿易・投資面での中国への規制によって技術的優位を確保しようとする。これについては、現在のバイデン政権の予算や施策では、中国の勢力拡大のペースに追いつけないとの批判がなされている。

 この戦略文書は、課題を的確に指摘し理想的な目標を掲げているが、そのための対応や具体的な施策に説得力を欠くとの印象を与える。日本との関係では、今回の国家安全保障戦略で台湾海峡の一方的な現状変更を許さないことや、初めて尖閣諸島が日米安全保障条約の対象となることが明記されたことは良いが、前述の通り海軍力で既に米国は中国に劣勢であるとの見方がある。

 また、論説が指摘するように、米国内に計画された半導体生産の新工場が稼働しても、これは米国が必要とするごく一部を供給することに過ぎない。NATO、日米豪印による枠組み「QUAD(クアッド)、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」など民主主義国との協力関係は強化されているが、東南アジア諸国連合(ASEAN)は分裂気味であり、中南米における米国の影響力の低下は顕著である。

 重要なのは、バイデン政権がこの戦略を実行する具体策をスピード感をもって進めることであり、バイデン自身がこの戦略に従った行動をとることであろう。

【私の論評】現状の日本の安保は、財源をどうするかに焦点が移ってきた(゚д゚)!

バイデン政権の「国家安全保障戦略」における中国政策について、一部メディアは代わり映えしないと評したましが、1年半前の「暫定国家安全保障戦略指針」に比べると表現がかなり強まっており、中国との「戦略的競争」のレベルが上がったことを反映しています。



バイデン米政権は27日、外交・安全保障政策の指針「国家安全保障戦略(NSS)」を具体化した戦略3文書を発表しました。3文書のうち「国家防衛戦略(NDS)」は、国際システムを作り替えようとする中国の試みを「米国の安全保障に対する最も深刻な挑戦」と位置づけ、同盟国と連携して対中抑止力を強化する方針を打ち出しました。

オースティン国防長官はNDSについて「鍵となるテーマは中国に対する抑止力強化だ」と同日の記者会見で強調した。NDSには、中国による台湾侵攻を念頭に「新たな作戦概念と戦闘能力を開発する」と明記されました。

NDSは中国について、人民解放軍や経済力を使って近隣地域を威圧し、「台湾海峡の安定を脅かしている」と指摘。「(中国は)通常戦力の拡大に加え、宇宙やサイバー、情報戦などの能力を急速に進歩させている」と警戒感を示しました。

中国が米空母などを寄せ付けないことを目指して進める「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略に対抗し、攻撃能力を確保することをNDSは掲げました。同盟国や友好国と連携し、戦闘領域や地域を越えて抑止力を強化する「統合抑止」の重視も鮮明にしました。

NDSは中国のほか、ロシアによる欧州地域での侵略にも備えるとしました。中露の侵略阻止に向け、米軍の探知に関する速度や精度を向上させます。北朝鮮対応については、NDSと同時に発表された文書「ミサイル防衛の見直し(MDR)」で、「次世代迎撃ミサイルの開発」を掲げました。

バイデン政権は上の記事にもあるように、12日にNSSを発表しました。NDSはその下部文書にあたります。今回、NDSにMDRと「核態勢の見直し(NPR)」を組み込む形で一体的に見直しました。

バイデン政権の国家安保戦略は、日本を含む同盟国に強い口調で防衛力の強化を促しました。「われわれは軍事力近代化と国内の民主主義強化に取り組む。同盟国もその種の能力に投資することや、抑止力を高めるのに必要な計画の立案に着手することなどによって、同じく行動するよう求める」と異例の強い呼び掛けを行いました。

同文書はまた「インド太平洋の同盟国には、欧州の同盟国と協力して望ましい(国際)秩序の形成および中国との競争に関わってほしい」とも書いています。

日本政府も今年末までに自前の「国家安全保障戦略」を含む戦略3文書を改定します。戦略3文書とは、「国家安全保障戦略(国家安保戦略)」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」を指します。


いずれも国家安全保障会議(NSC)・閣議決定文書です。3文書に基づく防衛力の抜本的強化へ向けて、米国の今回の戦略文書は大きな援軍になります。一方で、この戦略文書を見る限り、米国が日本の防衛力強化への期待を今後さらに強めることは確実であり、岸田文雄政権の本気度が試されることになります。

自民、公明両党は18日、政府の外交・安全保障の長期指針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を巡り、両党の幹部をメンバーとする協議会の初会合を開催しました。具体的な論点については別途設置した両党のワーキングチームが19日から議論します。与党内で意見の隔たりの大きな問題については、協議会がまとめる体制を取ります。

協議会は、自民は麻生太郎副総裁、公明は北側一雄副代表がそれぞれトップを務めます。自民から茂木敏充幹事長や萩生田光一政調会長氏ら、公明からは石井啓一幹事長、西田実仁参院会長、高木陽介政調会長らが参加しました。

会合後、自民の萩生田政調会長は、国家安保に関する議論は「政府全体に関わるので、ワーキングチームをサポートして必要があればわれわれ与党協議会でさらなる議論をする体制をつくった」と説明。ワーキングチームでの議論は、「財政の課題も出てくるし、サイバーや経済安保、防衛省で所管をしない他省庁にまたがる課題もしっかり議論を深めることを確認した」と述べました。

公明の高木政調会長は「さまざまな大きな課題については、その節目節目で協議会を開く」と話しました。

初会合では茂木・石井両幹事長が挨拶したが、麻生副総裁から発言はなかったといいます。

ワーキングチームには、自民の小野寺五典・安保調査会長、公明の佐藤茂樹・外交安保調査会長らが参加します。

3文書の改定では、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や、防衛費の増額、中国をめぐる認識などで自公に温度差があり、論点次第では自民内にも異論があり、今後の議論が焦点となっています。

防衛費の増額については、自民内では、国内総生産(GDP)比の2%以上も念頭に国債発行による財源確保を求める意見もある一方、自公ともに恒久財源の確保を重視する声があるそうですが、防衛増税ということにでもなれば、とんでもないことになります。

恒久財源確保とは、これは財務真理教用語で、「増税」を意味します。防衛費の増額を増税で賄うなど聴いたことがありません。戦時においても、戦費は主に国債で賄うのが普通です。


自民党の安倍晋三元首相は5月14日の安倍派(清和政策研究会)の会合で、防衛費確保のための国債を発行する必要性を訴えました。財政法では道路や橋など公共事業に使途を限定する形で、通常の国債とは別に建設国債の発行が認められていることを例に「防衛予算は次の世代に祖国を残していく予算だ。私たちが今求められているのは予算において国家意思を示していくことだ」と述べました。

また、安倍氏は「北大西洋条約機構(NATO)加盟国並みの国内総生産(GDP)比2%という目標をしっかりと示し、検討してもらいたい」とも語っていました。防衛費は令和3年度補正予算と4年度当初予算を合わせてもGDP比1・09%(約6兆円)にとどまっています。

安倍元首相のこの指摘は正しいです。安倍元総理の遺志を活かすためにも、防衛国債を発行すべきです。増税をするということは、現世代のすべての人々に対して現在と将来の防衛費の負担をさせることになります。国債を発行すれば、負担は国債を購入した現世代の人や機関の負担ということになります。

実際、国債を購入した人や機関は、そのお金があれば、他の事業に投資したり、他の目的で使えるはずですが、国債を持っていればそれはできません。

よく国債は、将来世代への付けということがいわれますが、それは全くの嘘です。これが可能になるのは、将来世代が過去に向けて、戦闘機、艦艇、大砲や弾丸などをタイムマシンで送ることができる場合のみに可能となります。

国債は同世代間による、富の移転に過ぎません。ただ、いえるのは国債であれば、購入してくれる人や機関がいる限り、富が余っている機関や人から、政府にお金が集まることになりますが、税金はそのようなことは関係なく広く浅く、日本国民全部や日本の法人全部からお金を集めることになるのです。

租税の徴収と国債の償還が一国内で完結している場合には、それは単に国内での所得移転にすぎないのです。

一方増税とはすべからく、課税対象の現世代全員が負担するものであることを忘れるべきではありません。財務省の国債は将来世代への負担という考えは、全くの間違いです。小難しい理論などわからなくても、このようなことは常識で判断できます。

財務省のように、とにかくなんでも「増税」などといって、現世代だけが負担していれば、国や国民がますます貧しくなり、将来世代に窮乏国家を引き継ぐことになるだけです。

現状の日本の安全保証の問題点は、安全保証そのものというよりは、その財源をどうするかということに焦点が移ってきたようです。防衛費を増税で賄うということにすれば、日本が防衛力を増せば増すほどに、増税で現世代の負担が増えていくことになります。そんな馬鹿な話はありえません。

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2022年11月2日水曜日

米原子力潜水艦が釜山到着 米戦略資産の韓半島展開相次ぐ―【私の論評】米戦略資産の朝鮮半島展開で恐怖におののく北朝鮮(゚д゚)!

米原子力潜水艦が釜山到着 米戦略資産の韓半島展開相次ぐ


アメリカ海兵隊の最新ステルス戦闘機「F-35B」が初めて韓国に着陸したのに続き、原子力潜水艦「キーウエスト」が釜山に到着しました。

アメリカ国防総省は、原子力潜水艦キーウエストが先月21日、インド太平洋地域への配置計画に従って釜山港に到着したと明らかにし、その様子を写した写真を公開しました。

キーウエストについてアメリカ国防総省は、世界で最も優れたステルス性能を有する潜水艦の一つであり、潜水艦に対する攻撃や、監視・偵察などの任務を遂行できると紹介しました。

1987年に就役したキーウエストは、潜航時の水中排水量が6900トンあまりで、射程距離が2500キロメートルに達する巡航ミサイル「トマホーク」などを搭載できます。

アメリカが、最新ステルス戦闘機に続いて、高度な隠密性が要となる潜水艦を公開したのは異例のことです。

アメリカの空中・海上戦略資産の相次ぐ韓半島展開が公開されたことで、韓米首脳が合意した「戦略資産の適時展開」を実現するとともに、核実験の可能性を示唆している北韓に強力な警告のメッセージを発信したものとみられます。

これに先立ち、アメリカ海兵隊の「F-35B」4機も、先月31日から5日間実施される韓米合同演習「ビジラント・ストーム」に参加するため、韓国の群山(グンサン)基地に初めて展開されました。

これを受け北韓は、分断後初めて南北の軍事境界線にあたるNLL=北方限界線の南側に短距離弾道ミサイルを発射し、強く反発しています。

【私の論評】米戦略資産の朝鮮半島展開で恐怖におののく北朝鮮(゚д゚)!

韓米が大規模な連合空中訓練を始めた先月31日、米国の戦略資産である原子力潜水艦が釜山(プサン)に入港しました。米国防総省は1日、こうした事実を伝えながら異例にも入港場面の写真まで公開しました。最近になって北朝鮮が連合訓練期間にも弾道ミサイルを発射するなど各種挑発を継続していることに対する強い警告という解釈が出ています。

この日、米国防総省はロサンゼルス(LA)級攻撃型原子力潜水艦「キーウエスト」(SSN722)が前日午前、海軍釜山作戦基地に入港したと伝え、関連写真5枚を公開しました。写真には「キーウエスト」が基地に入る中、両側に並んだ海軍将兵が歓迎プラカードを持つ姿などがありました。

ロサンゼルス型攻撃原潜

ロサンゼルス級原子力潜水艦は、1976(昭和51)年から1996(平成8)年までの20年間で62隻就役しており、2020年4月現在も半数の約30隻が現役運用されています。世界で最も多く建造された原潜です。

韓国軍の関係者は「今回の原子力潜水艦の入港は連合訓練などを目的に入ってきたのではない」とし「原子力潜水艦のような米国の戦略資産移動については米側との協議なく我々が別に公開することはない」と述べました。

これに先立ち米第7艦隊所属の原子力空母「ロナルド・レーガン」(CVN76)など空母打撃群が、日本海公海上で韓米連合訓練と韓日米対潜水艦前訓練をするため9月23日に釜山に入港しました。

米原子力空母「レーガン」

当時の訓練には「キーウエスト」と同じLA級原子力潜水艦「アナポリス」(SSN760)も参加しました。軍情報筋は「アナポリスは訓練前に入港しなかったが、訓練を終えた後に釜山にしばらく留まった」と話しました。1カ月余りの間に米海軍の原子力潜水艦2隻が相次いで韓国に入ったということです。

原子力潜水艦は隠密に動く戦略資産であり、移動経路を露出しないのが一般的です。それでも米国防総省が公開したことをめぐり「強力な対北朝鮮警告」という分析が出ています。「アナポリス」と「キーウエスト」はトマホーク巡航ミサイルを発射できる12門の垂直発射管(VLS)を備えていますが、朝鮮半島周辺海域からは北朝鮮全域が射程圏に入ります。

特に「キーウエスト」の今回の入港について軍内外では「行事や連合訓練が予定されていない状況で国内に入ってきたのは特別な任務を帯びているはず」という見方が出ています。

峨山政策研究院のヤン・ウク副研究委員は「米国の攻撃型原子力潜水艦は有事の際トマホークミサイルで地上攻撃をするのはもちろん、敵陣に潜入して情報を収集し、特殊作戦などにも投入される」とし「グアムに前進配備された原子力潜水艦を韓半島(朝鮮半島)に送ってこれを公開したのは、米国が北を引き続き監視していることを強調するため」と話しました。

一方、在韓米第7空軍司令部は韓米連合空中訓練「ビジラントストーム」(Vigilant Storm)に参加するため、先月31日に在日米海兵隊のF-35Bステルス戦闘機4機が群山(クンサン)基地に入ったと明らかにしました。

F-35Bが国内基地に来たのは今回が初めてです。今回の訓練にはF-35Bをはじめとする米国の軍用機100機と空軍F-35Aステルス戦闘機など韓国軍軍用機140機など計240余機が動員されます。

F35B

これに対し北朝鮮は外務省の談話と対外宣伝メディアを通じて「北侵略戦争演習がいつよりも発狂的に行われている」と激しく非難しました。

韓米軍当局は今回の訓練期間中、北朝鮮が新しい挑発をする可能性があるとみて注視しています。米国が原子力潜水艦の入港を公開したのはこうした北朝鮮の挑発を事前抑止するためという分析もあります。

ウクライナ戦争後、北朝鮮は完全に孤立している状態です。戦力的には、ミサイル以外の通常兵器は、第2次世界大戦末期のものですし、防空施設は1960年代のものですから、米国と戦えば5日で完敗します。

それをわかっているので、米韓の演習に大反発するのです。米国のB35が北朝鮮の付近を飛ぶだけでもかなり脅威を感じているはずです。この戦闘機に搭載されているミサイルは、北朝鮮のどこにでも届くからです。空母打撃群による演習もにもかなり神経を尖らせていることでしょう。

これにさらに、潜水艦の行動は隠密にするという通例を破り、攻撃型原潜「キーウエスト」まで、はっきりと北朝鮮にわかるように、わざわざ写真まで公開しているのですから、北朝鮮としては、気が気でないというのが正直なところでしょう。

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2022年11月1日火曜日

この時期に消費増税論 財務省に影響「ザイム真理教」は経済カルトか 国民生活の立て直しが最優先も―【私の論評】7つの嘘で政府・国民・マスコミを欺き続けるカルト集団財務真理教団(゚д゚)!

この時期に消費増税論 財務省に影響「ザイム真理教」は経済カルトか 国民生活の立て直しが最優先も


 政府税制調査会で、消費税を将来的にアップすべし、という発言が委員の中で相次いだという報道があった。日本経済の先行きが不透明の中で、増税の方針だけは一歩も譲らないという政府税調の異様な執着がわかる発言だ。

 「ザイム真理教」という財務省の増税主義を表現する言葉があるが、まさに適切だ。日本経済の先行きが不透明な中で、増税よりも国民生活の立て直しが何よりも最優先するのは常識でもわかる。経済を低迷させる増税議論をする暇はない。税金の無駄なので、増税議論をしたい政府税調メンバーは、即刻退場願いたいところだ。

 多くの国民は、「将来世代に負担を負わせない」「国民1人当たりの借金は1000万円以上」という財務省の宣伝を真剣に取っているかもしれない。しかし、これらの財務省の主張はすべて疑わしい。

 政府の国債発行残高は、国と地方合わせると約1200兆円である。この数字だけみて「借金すごい!」と危機感を抱くのが、ザイム真理教に影響された人たちだろう。

 確かに、国際比較ではこの額は突出している。だが、この数字はほとんど意味をなさない。単に経済規模(国内総生産=GDP)が大きくなるに従い、それに応じて社会的に必要な支出を行った結果にしかすぎない。

 教育、医療、防衛、防災など必要な投資は、経済を長期的にまわす重要な支出だ。これを惜しむと国民経済の運営に支障が出るのは常識でもわかる。例えば、財務省とその影響を受けた政治家が、教育費を削った結果、若い世代は多額の借金(奨学金)の返済で苦しんでいる。また緊縮政策で不況になれば、就職活動もうまくいかない。まさに「将来世代」に緊縮政策は負担を負わせ続けている。

 最近の国際的な財政政策の議論では、単純な国債発行残高だけを重視する議論はまれだ。そもそも日本国債のほとんどを国民が「資産」として保有している。「政府の借金を減らすべきだ」として、国債発行残高を減らす目標に傾斜すれば、日本国民の資産を急減させることになりかねない。

 また、日本銀行などを含めて「政府」の範囲を考えるべきだ。広義の政府では、借金から資産を引いた純債務残高とGDPの比率はほとんど問題にならない水準だ。また国債の純利払いをみると、その経済規模との比率は、先進7カ国(G7)の中では米英などより格段に低い。

 そもそも現在の経済危機を積極的な財政政策で乗り切らなければ、未来はない。そんな単純な常識もザイム真理教は否定する。まさに経済カルトである。 (上武大学教授・田中秀臣)

【私の論評】7つの嘘で政府・国民・マスコミを欺き続けるカルト集団財務真理教団(゚д゚)!

以下に財務真理教が国民を欺くために、とんでもない嘘を突き通してきたのか、このブログには何度も掲載してきましたが、それを全部言い尽くし、さらにそれ以上に詳しく述べている記事を発見しました。網羅性と、理解のしやすさでこれを上回るような記事は、私が知る限りおいてはありません。

それは、下のタイトルの記事です。月刊建設に掲載されたものです。  このタイトルは記事にリンクされています。是非ご覧になってください。


なお、この記事の作者は、一般社団法人 全日本建設技術協会 会長 大石 久和氏です。

大石久和氏

財政破綻論は、財務真理教のウソで塗り固められて います。すべての メディアが財務真理教の嘘を垂れ流していますから、人々 もすっかり騙されています。

このブログを日頃から読まれている人は、その必要はないと思いますが、そうでない人は 一度リセットボタンを押して読んでいただきたいです。

財務真理教の 塗り固められた嘘は以下の7つに分類することができます。 

 ①「財政を家計にたとえると」の嘘
 ②「国の借金」の嘘
 ③「借金1000兆円」の嘘
 ④「国債は後世へのつけ回し」の嘘
 ⑤「消費増税しかない」の嘘
 ⑥「健全財政が正しい」の嘘
⑦「このままでは財政は破綻する」の嘘

 並べてみると、財務真理教団の財政に関す説明は嘘だらけです。これが 単に「ウソ物語」の話で終わるだけなら良いのですが、この認識の下に、教育 費や公共事業費などを削り、経済成長が阻止 され、結果として国民が貧困化してきている ことが問題です。


財政問題を解決できるのは経済成長だけです。 財政に問題があるとして歳出削減や増税を実施すれば、それは必ず国民の購買力を低下させ、 需要不足によってデフレを促進し、国民の貧 困化を必然的に引き起こしてしまいます。

財務真理教団が間抜けな政治家やマスコミに対して「個人にもわかりやすく説明する」のは「個人や家計の話にすり替えて騙す」ためなのです。

実は財務真理教団は会計学を知らない、素人の集まりです。そうして、増税・緊縮をしないと、出世できない異様なカルト集団です。

財務真理教団長

日本国の赤字は国民の黒字です。米国債だけでも168兆円所有しており、他の金融債などの含み益は500兆円を超えます。日本がギリシャの様に債務超過に陥る倒産確率(クレジット・デフォルト・スワップ)は1%で、世界でも稀な優秀な国。

そんな国の政府の一下部組織にすぎない、財務省が財政破綻を叫び回って歩いている姿は、完全に常軌を逸していとしかいいようがありません。

日本がどんどん貧しくなるのはひとえに財務真理教という「財政破綻カルト」のせいです。まだ気づいてない人は早く気づいて欲しいです。

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2022年10月31日月曜日

岸田「30兆円」経済対策で、またぞろ「大増税」誘導…財務省のペテンの手口―【私の論評】『骨太の方針』に見る、財務真理教団騙しの手口(゚д゚)!

岸田「30兆円」経済対策で、またぞろ「大増税」誘導…財務省のペテンの手口
Γ規模は結果オーライだが

 10月28日夕刻に閣議決定された総合経済対策は、電気・都市ガス料金の負担軽減など物価高騰への対応が柱で、国費の一般会計歳出が29兆1000億円程度とされる。規模や内容、時期はそれぞれ妥当なものだろうか。

 経済対策は規模と内容で評価できるが、まず規模が十分でないと話にならない。というのは、まずGDPギャップを埋めないことには、半年程度経てば失業が発生してしまうからだ。雇用の確保は政府に課せられた最大の責務であり、GDPギャップを無視している一部の識者は、マクロ経済政策を語る資格がない。


 筆者もよく持ち出すGDPギャップについて、岸田総理が会見で言及していたのはまともだった。GDPギャップは、失業率を最低水準と思われる2%台半ば(いわゆるNAIRU:インフレを加速しない失業率)とするような有効需要で算出したものだ。

 筆者は真のGDPギャップは30兆円程度としている。ところが岸田首相は、内閣府の15兆円程度という数字を援用しており、下振れしてGDPギャップが拡大するおそれを考慮したと発言していた。その意味で筆者とはGDPギャップの見方が厳密には異なり、完全に同じ意見ではないが、30兆円程度の経済対策なので結果オーライだ。

 実際に経済生産を押し上げる効果のある「真水」はどの程度か。詳しくは補正予算書をみないとわからないが、内閣府の経済効果試算でGDPを4.6%押し上げるというのであれば、真水は25兆円程度以上になる。

 報道によれば、当初の財務省案はもっと少なかったが、自民党内の安倍派勢力(萩生田政調会長、世耕弘成参議院幹事長ら)が岸田首相にプレッシャーをかけて規模拡大に貢献したという。それが事実であれば「良い政治主導」だったといえる。

 野党の案は、規模において政府案より少ないもので、情けない。もう少しマクロ経済を勉強してもらいたい。このままでは、財務省の応援団になってしまい、失業を容認するなど国民生活に害悪の存在になってしまう。

 マスコミは、財務省からのレク通りに中身が重要だといい、その中身の積み上げの結果、この規模になったという記事を書いている。

Γ補助金系ばかりなのはどうなのか

一部にはGDPギャップを超えた規模を求める意見もある。しかし有効需要が総供給を超えると、雇用の確保はできるが、超過需要はインフレ率を必要以上に高くするという弊害が出る。筆者は、失業率をNAIRUに設定してGDPギャップを算出しているが、それを埋める以上の規模の経済対策は、インフレを加速するだけで無意味になる。

筆者は「埋蔵金」について50兆円程度と発言してきた。外為特会(外国為替資金特別会計)で30兆円、国債整理基金(債務償還費)などで20兆円がその内訳だ。しかし、GDPギャップを意識しているので、それをすべて経済対策に充てろとはいわない。

経済対策は30兆円で、残り20兆円は防衛基金にして後年度の財政支出とするなど、注意して発言している。財務省は筆者の発言で不適切な点があると、すぐに反応し誹謗中傷を裏で行うからだ。

いずれにしても、規模はまずまずだが、中身はどうか。有効需要の原理から言えば、中身は何であっても効果にそれほどの差があるわけでない。ならば何でも良いかと言えばそうでもない。中身の違いによって、執行率に差がでるかだ。当然のことながら、執行率が悪いと、補正予算を組んでも有効需要が高まらず、GDPギャップが残ったままになってしまう。

経済対策の中身は、物価対策12.2兆円、円安活用4.8兆円、新しい資本主義6.7兆円、安心・安全10.6兆円、予備費4.7兆円などだ。

Γ埋蔵金と「増収」という手がある

時期についていえば、本来であれば参院選前に打ち出しておくべきだった。折り悪く、政府税調で、「未来永劫10%では日本の財政もたない」などの声が委員から出たと報じられている。消費増税の議論をこの時期にすることは妥当なのか。

まず財政危機でもたないというのなら、そのデータを示すべきだ。かつて財務事務次官が「ワニの口」で財政危機を煽ったが、故安倍元総理は「財政の一部しか見ていないお粗末なもの」と喝破した。財務事務次官たる者が会計無知を曝け出したお笑いだった。

故安倍元総理は、民主党政権の「負の遺産」である二度の消費増税をやらざるを得なかった。不本意ながらそれをやった後、「後10年は増税不要」といったが、いなくなってからすぐに増税を言い出す輩は、増税に取り憑かれているのだろう。

小泉政権時も、やはり財務省は消費増税をやりたがった。しかし当時の中川秀直政調会長は、増税の前にやることがあるといった。(1)天下りに伴う行政の無駄カット、(2)埋蔵金の発掘、(3)成長などによる「増収」が、増税より先というわけだ。当時の小泉総理もその順番だと同調した。野党も、野田佳彦氏は(1)を「白アリ退治」と称し、増税前にやることがあると言っていた。

そこで、筆者らは、埋蔵金発掘などを行った。結果として60兆円ほどの財源を捻出できたので、結果として小泉政権では増税をほとんど行う必要がなくなった。

財務省の増税路線を抑えられるのは、政治である。政府は財務省に牛耳られるので、自民党や野党の役割が大きい。ところが、現在は自民党内とりわけ安倍氏を失った清和会は政調会長などキーパーソンを出しているものの、政策論争をしている余裕がないほどガタガタである。さらに、野党からもまともな意見があまり出ていない。財務省もそうした政治情勢を見切って、政府税調を使って増税をぶつけてきているのだ。

埋蔵金は、本コラムなど書いたように、外為特会などで50兆円ほど発掘可能だし、円安による成長で「増収」もある。

さらに、「増収」では、インボイス導入という手もある。インボイス導入については、市民グループや左派政党の反対があるが、消費税導入されている国ではどこでも導入されている普遍的な制度だ。

これまで日本ではインボイス制度がなかったため、消費勢非課税業者が消費税をとりつつ、それを納税しないで自分の利益としてきた。いわゆる「益税」問題だ。インボイスは各取引で消費税を明記するもので、「益税」をなくし税のゴマカシを防ぐものだ。

筆者は、消費税率の引き上げ(増税)は賛同しかねるが、消費税を公平に取ることで、「増収」になるのはいいと思う。インボイスにより、税の公平性が確保され、結果として増収になればなおいい。

政府税調は、財政の包括的分析を行い、その上で増税の前に(1)無駄カット、(2)埋蔵金、(3)増収を議論すべきではないか。より説得的に財政議論ができるはずだ。

執行率の差は、「補助金系」と「減税系」を比較すると、後者のほうがはるかにいい。その観点から見ると、減税系がほとんどないのは懸念材料だ。しかも、補助金系の小玉(小さな予算)ばかりで、減税系の大玉(大きな予算)がないので、執行残が予想され、結果としてGDPアップ効果がなくなるのではないか。予備費4.7兆円を設けること自体は悪くないが、執行残になるとGDP押し上げにならない点は指摘しておきたい。

なお、財源も不透明だ。つなぎ国債で増税となるとまずい。ここは埋蔵金の活用の出番であり、増税の出番はない。

【私の論評】『骨太の方針』に見る、財務真理教団騙しの手口(゚д゚)!

10月28日夕刻に閣議決定された総合経済対策ですが、来年1月に招集される通常国会に提出され、衆参両院(予算委員会・本会議)での審議を経て3月末までに議決されることになります。


因みに、予算案を可決しただけでは予算を執行することはできません。

予算案の議決は金額を決めただけの話で、可決された予算を政府が執行するためには、およそ200件ちかい関連法案も同時に審議のうえ議決されなければなりません。

当たり前ですが、政府は法律に基づいて予算を執行します。

私たち日本国民の国家予算は、毎年このような過程を経て成立しています。

さて、概算要求基準は各府省庁が翌年度の予算要求を財務省に出す際の「上限ルール」ですが、実は2014年以降は歳出全体の上限は設定されていません。

そのかわり、2015年に閣議決定された『骨太の方針』によって「社会保障関係費以外の歳出の増加は3年間で1000億円以内にする」ことが明記されており、その後、毎年の『骨太の方針』でこれが継続的に踏襲されています。

即ち、3年間で1000億円ということは、社会保障費以外の歳出、例えば防衛費や教育費は年間333億円までしか増額できないという枠が嵌められているわけです。

実は財務省が緊縮財政を正当化する法的根拠はここ(骨太の方針2015)にあったのです。

しかも驚いたことに、『骨太の方針2015』の本文中にはこの記述はありません。

注釈として「安倍政権のこれまでの3年間の取り組みでは一般会計の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続させていくこととする」の一言を添え、本文中に「社会保障関係費の増額を3年間で1.5兆円までに抑える」と記載されていることから、差し引きして「社会保障費以外の歳出の増額は3年間で0.1兆円(1000億円)とする」ことが盛り込まれているのです。

仄聞するところによると、当時の安倍総理でさえ、この注釈のことを知らなかったとされています。

2022年「骨太の方針」を巡る財政政策検討本部の議論で、このキャップのことが分かりました。

2022年「骨太の方針」概要 クリックすると拡大します

安倍元総理は次のようなことを話していました。

社会保障費の5,000億以外について議論した記憶が全然ない。もちろん、私は当時、総理大臣であった私の責任ではある。だか全く気付かなかった。当時の官邸官僚や、いろんな人に聞いているんですが、「そんなこと議論していないよね」ということでした。脚注に書いてあることを盾にとって、あまりにも不誠実ではないか。

おそらく、文書とりまとの職員が、財務省から要求されて文章を入れたのでしょう。

財務省は脚注のところの説明をしませんでしたし、審議する人たちも脚注でから重要でないと判断し読まなかったのでしょう。

当時の安倍総理がが知らなかったというより、おそらくは財務省が総理に知られないようにこっそりと注釈で盛り込んだ、と言ったほうが正確だと考えられます。

総理を辞任された後にこのことを知った安倍氏は、我が国の財政運営を積極財政に転じさせるために財務省と闘っていく決意を顕にしていたそうです。


ところが、その矢先に凶弾に倒れてしまいました。

収支均衡至上主義の財務省と真正面から闘うことのできる有力な政治家を、私たちは失ってしまったのです。

確かに、積極財政派にとっては、大きな戦力を失ってしまいましたが、少しでも多くの政治家が、昨日もこのブロクで述べたように萩生田光一政調会長のように財務省と闘う政治家になっていただきたいものです。

国民から見放され、財務真理教団にはカモにされる。岸田総理とて、そんなふうになるために総裁選に出たのではないでしょう。 

ここが勝負の時です。未来永劫「財務省の操り人形」と言われて石を投げられるか、それとも、国難に際して「大型補正予算」で民を救った大宰相となるか。今、岸田総理はその瀬戸際に立たされています。

 ただ、最も実施しやすいはずの「減税」は実施しないことで、閣議決定してしまいました。それでも、今後財源などを巡って攻防があるはずです。これに対して、財務省に押しまくられ、木偶の坊のようになり、増税ラッシュなどで国民をいたぶるような真似だけはやめていただきたいものです。

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2022年10月30日日曜日

経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」―【私の論評】萩生田氏のように闘う政治家を一人でも多く増やせ(゚д゚)!

経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」

「禁じ手には禁じ手で返した」。
自民党の政策責任者・萩生田光一政調会長は、総合経済対策を巡る財務省との攻防をこう表現した。与党四役の一人を怒らせた、財務省の“禁じ手”とは一体何だったのか。
29兆1000億円の巨額予算を巡る“仁義なき戦い”の舞台裏を追った。

自民党政調全体会議(10月26日午後)

■会議中に入った岸田総理からの電話
10月26日午後、東京・平河町の自民党本部9階の会議室。物価高や円安などに対応するための総合経済対策をテーマにした会議を取り仕切っていた、萩生田政調会長の携帯電話に着信が入る。電話の主は岸田総理だった。

「これで了承しているのか」

岸田総理が電話で確認したものは、総合経済対策の総額だった。その直前、総理官邸を訪れた鈴木財務大臣から「25兆円」との報告を受けていたが、昨年並みの「30兆円規模」を求めてきた萩生田氏らが納得する数字だとは到底思えなかったのだ。 

「今、議論しているところで、了承はしていません」
「そうか、ごめんな」

萩生田氏の返事に、岸田総理は思わず謝った。自民党内での会議が佳境を迎えているタイミングであることを把握していなかったからだ。

決定に進んでいた総合経済対策がこの電話で一気に振り出しに戻った。
「規模は大事」と言い続けていた総理も「これでは足りない」との認識を示したという。

■「責任取るのはあなたたちじゃない」静かな怒りに青ざめる財務官僚
与党の国会議員たちが総合経済対策の検討を重ねている最中に、総理にその全体像の報告を行う財務省の姿は、与党の議論をまるで無視するかのように映る。萩生田氏にとっては、まさに掟破りの“禁じ手”そのものだった。

岸田総理との電話を終え、会議室に戻った萩生田氏は憮然とした表情でマイクを握った。居並ぶ国会議員や官僚らを前に、岸田総理との電話のやり取りを明かしたのだ。

「党で経済対策の中身について議論をしている最中に財務省はマナー違反だ」

抑制的ではあるが、明らかな怒りが込められた言葉に会場は騒然となったという。

安倍政権を官房副長官として支えた経験のある萩生田氏にとって、総理と一対一で行った会話の内容を公表することもまた“禁じ手”であった。あえて、その“禁じ手”を使ったのは、経済対策を巡る財務省との戦いに決して負けないとの決意の表れだった。

「政策の責任をとるのはあなたたちじゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」

参加者によると、会議に出席していた財務官僚はそう指摘されるとみるみる顔色が青ざめていったという。

自民党政務調査会のメンバーからも「財政民主主義を破壊する行為だ」「財務省はおかしいぞ」などと批判の声が上がっていった。

■「もう一度、規模を見直せ」岸田総理が飛ばした指示
「景気の下振れリスクも考慮して、もう一度、規模を見直せ」

自民党内で財務省の動きへの反発が高まったことを受けて、岸田総理は財務省の示した予算額「25兆円」の見直しを指示した。

財政の規律を重視し、そもそもは「15兆円規模」の経済対策を目指していた財務省にとって、大きな後退を意味した。萩生田氏の“禁じ手”返しを受けて、財務省幹部が急きょ、政調会長室に駆けつけ、その日の内に、一気に約4兆円が積み増され、「29兆円規模」に予算額が拡大された。目標とする「30兆円」には及ばなかったが、萩生田氏らによる短時間の巻き返しが際立つ結果となった。

■「積極財政」VS「財政規律」
10月28日に閣議決定された総合経済対策の規模は29兆1000億円。萩生田氏は記者団を前に「物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策として、タイトルにふさわしい内容と規模のものになった」と胸を張った。同時に財務省との攻防を振り返り、「中身が決まって初めて規模が決まるので、規模が先に決まったら、そこに中身を押し込まなきゃならないことになる。政府・与党でお互いに反省して、しっかり連携できる体制を作っていきたい」と牽制するのも忘れなかった。

一方で、多額の補正予算の編成を繰り返すことによる財政悪化を懸念する声は財務省以外からも上がっている。

「財政的なことをしっかり考えて予算編成をしておかないと。外国を見ても教訓になるような国もありますから、そういうことにならないということが大事」

自民党四役の一人、森山裕選挙対策委員長は、大型減税など、財源の見えないバラマキ政策がポンドの通貨としての信用を失わせ、トラス前首相の交代の要因となったイギリスを念頭に警鐘を鳴らす。

また、鈴木財務大臣は閣議決定後、今後の連携をこのように強調した。

「与党の議論を無視をして財務省の考えを押し通すとか、そういうことは毛頭考えていない」
「50兆規模が必要という方もいれば30兆が発射台という方もいた」

だが、財務省内には依然として不満が渦巻いている。

これから議論が本格化する来年度予算編成では巨額の増額が予定される防衛費をはじめ、自民党と財務省の財源を巡る綱引きが激化することが確実視される。

次なる、“仁義なき戦い”はどんな結末を迎えるのか。そして、国民に何をもたらすのか。その動きを注視していきたい。

(TBSテレビ報道局政治部・与党担当 守川雄一郎)

【私の論評】萩生田氏のように闘う政治家を一人でも多く増やせ(゚д゚)!

上の記事だけだと理解しずらいところがあります。そもそも、萩生田氏がなぜ30兆円にこだわったのかというところが何も説明されていません。

なぜ30兆円なのかとぃう理由には、日本経済には現在デフレギャップが30兆円以上もあるとの見積もりがあるからです。それを埋めるためには、30兆円以上の経済対策が必要だからです。

上の記事で気になるところがあります。

萩生田政調会長の以下の発言です。

「中身が決まって初めて規模が決まるので、規模が先に決まったら、そこに中身を押し込まなきゃならないことになる。政府・与党でお互いに反省して、しっかり連携できる体制を作っていきたい」

デフレギャップを埋めるためには、まずはそれを埋めるための規模が必要であり、その規模が決まってから、政治家がその時々で重要な政策や、すぐにも効果が上がりそうな経済対策を考えるというのが筋です。これこそ、政治家の腕の見せ所ともいえます。そもそも、デフレギャップを埋めるだけの予算がなければ、まともな経済対策などできません。

極端なことをいえば、現金をヘリコプターで上空からばらまいても良いからとにかく、素早くデフレギャップを埋める対策をすべきなのです。それを知らない小鳥脳のマスコミは、「バラマキ」などと批判しています。「バラマキ」結構。とにかくスピードが必要なのです。

ヘリコプター・マネーは欧米では常識

ヘリコプター・マネーについては、今年ノーベル経済学賞を受賞した元FRB議長のバーナンキ氏は、「日銀はケチャプでもなんでもも買えば良い」としてこれを提唱していました。反対される方がたは、是非ともそれを論文にまとめて発表してください。ノーベル委員会がそれを認めれば、日本初のノーベル経済学賞ということになります。

以上のようなことから、私は萩生田政調会長が、本当にこのような発言をしたか否かについては、はなはだ疑問です。経済に疎い小鳥脳と揶揄される大手新聞の経済記者が萩生田政調会長の発言を聞き違えているのではないかと思ってしまいます。

ただ、日本の政治家は一般にマクロ政策にかなり疎いので、萩牛田氏もそのようなところがあるのかもしれません。その点、マクロ経済政策を理解していた安倍元総理大臣とは違うところなのかもしれません。ただ、やはり私には萩生田氏がこのような発言をしたとはとても噛んがられません。


ただし、「政策の責任をとるのはあなたたちじゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」という発言は、正しいです。というか、これが本来の姿です。

財務省の官僚は、政府の人事によって選ばれるのであり、政治家のように国民から付託を受けているわけではありません。

財務に関する目標は、政府が決め、財務省はその目標を実現するために専門家的立場から、様々な方法の中から選んで実行するというのが本来のあり方です。日銀の独立性も同じことです。金融政策の目標は政府が決めるものであり、日銀の官僚はその目標に従い、専門家的な立場からその実現のために自由に方法を選ぶことができるというのが、世界標準の中央銀行の独立性というものです。

小鳥脳のマスコミが言うように、日銀が政府の金融政策目標まで決めてしまうというのが、中央銀行の独立性というわけではありません。

しかし、それを無視して、財務省が補正予算の額を決めたり、日銀官僚が金融政策の目標を決定することなど本来あってはならないことです。

財務省の官僚がどうしても日本政府の財務目標などを自ら決めたいというのであれば、官僚をやめて選挙に出馬し、政治家になり、さらに政府内で財務に関与できるような地位に上りつめるのが正しいありかたであり、官僚のままそれを実行しようとするのは明らかな間違いです。

官僚としできるのは、政治家に対して助言や、意思決定のための情報を提供するまではできますが、それを超えてしまえば、完璧な越権行為です。

これは、民間会社であれば、取締役でもない社員の財務部長が、会社の財務目標を定めようとするようなものであり、あり得ない行為です。度が過ぎれば、明らかな越権行為であり、商法や、会社法違反になってしまいます。

財政悪化を懸念する声は、おそらく財務省からの説得によるものと考えられます。そもそも、現在の日本では、財政破綻する可能性などありません。円安により、為替特会の含み益は37兆円にもなっており、これを財源にすることも十分に考えられます。

これに対して適当ではないと岸田総理大臣や、鈴木大臣は言いますが、ではなぜ日本以外の国々、特に先進国には、そもそも為替特会がなぜ存在しないのか、合理的に説明をしていただきたいものです。必要ないから、ないのであり、必要ないものを取り崩して、財源とすることに、何ら問題はないはです。

日本だけに特有の特殊事情があったとして、それを論文にまとめれば、これまたノーベル経済学賞は確実です。岸田首相や鈴木財務大臣は、確固たる自信があるというのなら、是非朝鮮スべきです。

上の記事では、以下のよう主張をする人もいます。
自民党四役の一人、森山裕選挙対策委員長は、大型減税など、財源の見えないバラマキ政策がポンドの通貨としての信用を失わせ、トラス前首相の交代の要因となったイギリスを念頭に警鐘を鳴らす。
しかし、日英ではマクロ経済の状況は全く異なるので、この主張も間違いです。それは、以前このブログで掲載した、表を見ていただければ、一目瞭然です。以下にその表を再掲します。

デフレギャップが存在するのに、日本では減税はすべきではないとの主張は、日本経済における特殊な事情があるというなら、これも論文にまとめれば、これまたノーベル経済学賞は確実です。

上の表の説明の詳細は、当該記事をご覧になってください。ここでは、詳細は説明しません。

以前もこのブログで述べたように、財務省で出世するにはできるだけ、多くの緊縮・増税をするかが決め手になります。これこそ、「財務真理教」です。

彼らは国益よりも省益、自分の出世と天下りが大事なのです。財務省入省後に厳しい洗脳が始まります。円安で政府が儲かった分を防衛費に廻すなどのことはせずに、防衛増税をしてその結果日本が再び失われた30年に見舞わて、国民が苦しもうが、全く頓着しないのですから、異様なカルト集団といわざるをえないです。

日本では、統一教会が問題視されていますが、一番問題なのはカルトの財務真理教です。このようなカルトになぜ、大勢の政治家が恭順するのか、理解できません。

萩生田政調会長による今回の「禁じ手」の背景が、政治家や国民の多くが知ることとなり、異様なカルト集団「財務神理教」がまともな本来そうであるべき官庁組織に戻れば良いと思います。

ただ、現在自民党の中にも安倍元総理には及ばないものの、マクロ経済を理解する議員も増えてきています。

日銀が金融政策を間違え、財務省が財政政策を間違え続け、それを政治家や国民が許容しつづけたために、日本は「失われた30年」といわれるように、平成年間のほとんどの期間経済が発展しませんでしたし、賃金も上がりませんでした。

令和年間はそうならないように、今回の萩生田政調会長の発言の背景を拡散すべきですし、選挙においては、マクロ経済音痴の政治家には投票せず、マクロ経済音痴の政治家しか当該選挙区にいない場合は、マクロ経済に理解を深めるように陳情すべきです。

そうして、萩生田氏のように財務真理教団と闘う政治家を一人でも多く増やすべきです。

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2022年10月29日土曜日

焦点:新たな中国軍最高機関、「対台湾」で結束とスピード発揮か―【私の論評】中国が台湾を破壊するのは簡単だが、侵攻するのはかなり難しい(゚д゚)!

焦点:新たな中国軍最高機関、「対台湾」で結束とスピード発揮か

中国の人民革命軍博物館のモニターに映し出された習氏

中国共産党トップの総書記に再任された習近平氏の下で陣容を新たにした軍の最高指導機関のメンバーは、いずれも習氏への忠誠心が選ばれた第一の理由かもしれない。そうした関係性は、台湾侵攻を計画する場合に軍事上の重要な目的の1つをかなえるのに役立つ。一糸乱れぬ結束力と、強い決断力の確保だ。

実際に台湾に侵攻する場合、最終的な決定を下すのは共産党最高指導部の政治局常務委員会だが、戦闘計画の策定と実行は軍最高指導機関の中央軍事委員会に委ねられる、とアジアや西側の中国駐在武官は説明する。

23日に中央軍事委員会に新たな3人のメンバーが選出されたのに先立ち、習氏は共産党大会の政治報告で、台湾に対する「武力行使の放棄は決して約束しない」と発言した。

4人の安全保障専門家と4人の駐在武官は、ロシアがウクライナで「泥沼」に陥っている状況を挙げ、中国が台湾侵攻を計画する場合、台湾軍や国際社会の支援の機先を制するという意味からも、侵攻の準備と実行を迅速化することがいかに大事か証明されたと述べた。

シンガポールを拠点とする戦略アドバイザーのアレクサンダー・ニール氏は「習氏が台湾侵攻の引き金を引こうとするなら、中央軍事委員会からの反対意見を聞いている余裕はない。優位に立ちたければ素早く、電撃的に行動しなければならず、ためらう余地はない。これが台湾について中国側が常に考えていることだ。ウクライナの事態で、補給態勢の構築が遅れて身動きできなくなるのを避ける必要性が確かめられた」と指摘する。

【私の論評】中国が台湾を破壊するのは簡単だが、侵攻するのはかなり難しい(゚д゚)!

何やら、多くの人は中国による台湾侵攻がすぐにもありそうだと考えているようです。極端なと人だと、今年中とから来年早々にもありそうだと考えている人もいるようです。

中国の軍備増強に欧米諸国は警戒を強めているが(2019年の建国70周年式典)

これは、本当でしょうか。戦争をするには準備が必要 です。中国が本格的台湾侵攻を行う場合にも数カ月の準備が必要です。台湾が気に入らないことをしたり、言ったからといって、すぐに明日から攻撃をするというわけにはいきません。

実際、元CIAアナリストのジョン・カルバーは10月3日、中国が将来、台湾を侵攻するとしても、それは「戦略的なサプライズ」にはなりえない、と指摘しました。台湾侵攻を開始するとなれば、それに先立って全国的な動員が行われるため、数カ月から1年前にそれとわかる可能性が高いと、彼は語りました。

ただ、これは従来から軍事上の常識です。まともな軍事アナリストであれば、誰もがこのように考えています。

攻撃計画を立て十分な準備をした上で成功の見込みを得てから攻撃は行われます。現時点で中国が準備を始めた兆候はないです。年内、来年初の侵攻はあり得ないです。

準備に数ヶ月から、1年もかかるのですから、中国による台湾侵攻とは、言葉で言うのはやさしいですが、それを実行するのはただごとではないということです。

中国が台湾を破壊するだけというのなら、さほど困難ではないかもしれません。核ミサイルを打ち込めば、良いだけです。ただ、中国が台湾に侵攻ということになると、そうはいきません。侵攻するためにある程度の破壊はするでしょうが、その破壊の後に人民解放軍を上陸させ、台湾を占拠しなければなりません。

このブログで指摘してきたように、中国軍には多くの兵隊をのせて台湾に運ぶ船舶の数が足りません。一度に数万人しか送れません。台湾を制圧するには、少なくとも十万人以上の人民解放軍を上陸させなければ、なりません。

ところが、台湾海峡というのは狭い所で130キロ、広い所は200キロを超える海岸線の長い海峡です。潮の流れは速いし海底は浅く潜水艦の運用は難しいです。加えて冬場には強風が吹き濃い霧も発生するので、航空機の運用も困難です。

そもそも台湾側の海岸で大部隊の上陸に適した海岸は数カ所しかなく、もちろんそこは台湾軍が守備を固めているでしょう。だから台湾海峡は、上陸侵攻を行う側にとってきわめて厳しい地形・気象であるということができます。

にもかかわらず、一度に数万人しか送れないということになるとどうなるかといえば、その数万の兵隊は台湾軍により撃破させられることになります。たとえ中国が数十万の人民解放軍を台湾に送ることができたにしても、船舶の数に限りがあるので一度に数万人を送り、それを何回も繰り返すという方式で送ったとすれば、一回ずつ数万の人民解放軍が、台湾軍に個別撃破されることになります。

台湾海峡というのは狭い所で130キロ、広い所は200キロを超える海岸線の長い海峡。潮の流れは速いし海底は浅いので潜水艦の運用はなかなか難しい。加えて冬場には強風が吹き濃い霧も発生するので、航空機の運用も困難。だいいち台湾の中央には急峻な山岳地帯であり、台湾側の海岸で大部隊の上陸に適した海岸は西側の数カ所しかなく、もちろんそこには台湾軍が守備を固めています。だから台湾海峡は、上陸侵攻を行う側にとってきわめて厳しい地形・気象であるということができます。

台湾軍はウクライナと比べ、はるかに戦闘能力が高いです。最新兵器を備えていて、中国の空母をたたけるような精度が高く、破壊力も強い対艦ミサイルもあります。空対空ミサイルもあります。防空能力はウクライナなど比較にならないほど強力です。サイバー作戦に関しても、かなり力をつけてきています。

有事になった場合、むしろ台湾側から爆撃機が中国本土に向けて飛び立ったり、内陸の奥深くまでミサイルを飛ばすことも考えられる。台湾には、F16VというF16を基本として、改修を加えた強力な戦闘機があります。中国奥地まで射程に収める長距離ミサイルもあります。

台湾軍の長距離ミサイル「雲峰」

「絶対安全」と思い込んでいた北京の市民が、台湾のミサイル攻撃に驚愕するシーンなどもあり得ます。

一人あたりのGDPが中国を遥かに上回る台湾は米国の最新兵器をいろいろ購入しているだけでなく、米国と武器を共同生産しようという計画もあるくらいです。ロイター通信は19日、米国バイデン政権が台湾と武器を共同開発する計画を報じています。ミサイル技術の提供などが焦点にされているとされています。

さらに、台湾には2018年まで徴兵制度があったので、軍の訓練を受けた人間は166万人も存在するといわれています。正規軍10万人に166万人もプラスとなると、陸上兵力は中国軍とあまり変わらない。ウクライナ軍とは次元の異なる防衛能力です。

これに、日米が加勢するとなると、特に対潜哨戒能力が低い中国海軍は、開戦の初戦で、ほとんどの艦艇を失うことになります。

さらに、これは意外と知られていないのですが、中国大陸の重要企業は、ほとんど台湾系か台湾人が要職に就いているとされています。人によっては、中国の大企業の約7〜8割が台湾人が深く関与しており、経営面でも技術面でも中国企業は台湾なしには事業の継続が難しいです。

そのような中国が台湾を戦争を始めるということになれば、多くの台湾人は中国から出ることになるでしょう。

台湾軍女性兵士

このようなことを考えると、中国が台湾に侵攻するのはかなり難しいといえます。ロシアがウクライナに侵攻するよりはるかに難しいでしょう。

私自身は、いまやGDPが韓国を若干下回る程度のロシアがウクライナに侵略するのはかなり難しいと考えていました。だから、ロシアがウクライナに侵攻するにしても、もっと小規模ものと考えていましたから、本当にかなり大規模に侵攻したときは驚きました。

ただ、予想通りロシアはかなり苦戦しています。私は、中国が台湾に侵攻した場合、ロシアがウクライナで受けた打撃よりもはるかに大きな打撃を中国は受けると思います。

だから、中国が台湾に侵攻することは、あり得ないとは思います。

ただし、習近平がおかしくなってプーチンと同じような過ちをする可能性は否定できないです。さらに、中国が台湾に侵攻しないまでも、中国が台湾をミサイルや核兵器で破壊するということは十分あり得ることと思います。

ウクライナでもロシアは、ウクライナの多くの都市を破壊しました。しかし、破壊しつくされた都市をウクライナに奪還されつつあります。これからも、侵攻と破壊とは異なることが理解できると思います。侵攻は、かなり難しいことなのです。

台湾の独立が維持できたにしても、国民の生命や財産が危険にさらされるというのであれば、それを予防できるような体制を整えるべきです。その意味でも、台湾はさらに軍事力を強化すべきです。特に、中国が台湾を破壊すれば、中国も破壊されるという反撃能力を強化すべきです。

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2022年10月28日金曜日

防衛費増額「国民全体で負担を」 安定財源、増税が軸―財政審―【私の論評】財務真理教問題こそ、日本国内の最重要課題(゚д゚)!

防衛費増額「国民全体で負担を」 安定財源、増税が軸―財政審

財務神理教教団本部
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は28日の分科会で2023年度の予算編成で最大の焦点となっている防衛力の強化を巡り議論した。委員からは、財源は「国民全体で広く負担するのが基本」として増税を軸に検討する必要があるとの意見が相次いだ。

防衛力、2段階で強化 32年までに先進ミサイル整備―防衛省

 同日は、慶応大の神保謙教授と河野克俊前統合幕僚長から防衛力整備の在り方について意見を聴取した。神保氏は「安全保障環境の変化に応じて優先順位などを不断に再構築する必要がある」と指摘。河野氏からは長期戦に耐える「継戦能力」に重点を置く必要があるとの説明があったという。

財政政策審議会

 委員には継戦能力を確保するためにも借金に依存しない安定財源が必要との意見が多く、防衛費増額の財源確保には増税論議が避けられないとの見方が示された。一方、国民の理解を得るには「民間との連携など最も効率的な(防衛力整備の)形を説明する必要がある」との指摘もあった。
【私の論評】財務真理教問題こそ、日本国内の最重要課題(゚д゚)!

官邸有識者会議といい、財政制度等審議会といい政府内で財務真理教は、やりたい放題です。防衛は、長期便益がありますから、増税ではなく防衛国債で賄うべきです。そうしなけば、財政一般でも、まずは増設の前に①天下り無駄カット、②外為特会などの埋蔵金の活用、③経済を伸ばすことによる増収があります。

官邸有識者会議

いきなり最初から増税というのは、いかにも財務真理教らしいです。ただの馬鹿といって良いです。
もう随分前から、消費税や社会保険料の引き下げや支払い免除や猶予、すなわち減税こそが最善の策なのは、もはや自明のことです。これに、反対する人は、すでに財務真理教の洗脳によって頭がいかれた人と言って良いでしょう。
ところが、岸田政権はまるでその選択肢が見えていないかのように、頑なに俎上に載せようとしません。なぜなら、それは財務神理教が、決して許さないからです。
国の予算を一手に握り、総理大臣よりも強大な権力を握る日本の怪物、それが日本の最強教団・財務真理教です。東大阿呆学部の愚鈍なバカどもが集い、「増税で庶民から徹底的にカネを巻き上げる」という本能だけに従って、マクロ経済の基礎ですら理解できないその悪い頭脳を増税のためには、ずる賢くフル回転させるのです。
彼らの「鉄の教義」は財政の健全化です。つまり「緊縮財政と増税こそが絶対正義」という信仰です。異を唱える者は、どんなに優秀でも出世のレールから外され、排除されます。
財務真理教には主計局次教団長、総括審議教団官、理財教団局長、主計教団局長、そしてトップの教団長が、霞が関で一番強固なレールがあります。最も優秀な信者をそこに乗せて洗脳する一方、それ以外の人間は諦めさせ、脱落させるシステムが完成しているのです。
まさに財務真理教は、幾多の政治家を使い潰し、税率を上げることに血道をあげ、さらにそれを心底から正義と信じてやまない。その異常性は教団の凄まじいカルト性を物語っています。カルトの中のカルトが財務神理教なのです。
なぜなら、旧統一教会や、あのオウム神理教ですら、影響を及ぼせるのは、信者のみですが、財務真理教は信者は無論のこと、全国民に対して影響力を及ぼすことができます。この記事を読んでいる人はもとより、あなたの家族、会社での同僚、上司・部下などすべての人が影響を被るのです。
日本の税収は、'89年には35%を法人税が占め、消費税は6%にすぎませんでした。ところが'20年には法人税が18%に半減、一方で消費税が35%を占めるまでに激増しています。なおこの間、企業の現預金は倍増しました。

大企業の負担は軽くせよ。庶民からは搾り取れるだけ搾り取れ。現在のいびつな社会は、そんな財務真理教の倒錯した狂信が生み出したものなのです。
財務真理教教団長
政権と霞が関を支配し、「増税」という信念に邁進する財務省。その「怪物」と戦い続け、2回も増税を延期し、結果として三党合意を崩せず、意にそぐわない消費税増税を2度も行い、挙句の果てに凶弾に倒れたのが安倍晋三元総理だったのです。
旧統一教会がカルトとしてやり玉にあげられてますが、旧統一教会の信者は数万人程度です。一方、財務真理教は1億2000万人の国民に悪影響を与えるのです。どちらの問題のほうが重要かといえば、あまりにも明らかです。
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沈むハリウッド、日米コンテンツ産業逆転の理由 ―【私の論評】ポリティカル・コレクトネスに蝕まれたハリウッド映画の衰退と日本のコンテンツ産業の躍進

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