2023年5月27日土曜日

岸田首相、金正恩氏との首脳会談に意欲 北朝鮮拉致問題の集会で―【私の論評】岸田首相は、拉致問題に地道に取り組みながらも日本経済を成長軌道にのせる方向に転換すべき(゚д゚)!

岸田首相、金正恩氏との首脳会談に意欲 北朝鮮拉致問題の集会で

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 岸田文雄首相は27日、東京都内で北朝鮮による拉致問題の「国民大集会」に出席し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談実現に意欲を示しました。

 首相は「首脳会談を早期に実現するため、私(首相)直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と表明しました。

 集会には横田めぐみさんの母である早紀江さん(87)も登壇し、「被害者を必ず親の元に連れ戻してあげたい。それだけを今日まで祈ってきた」と早期解決を訴えました。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、是非元記事をご覧になってください。

【私の論評】岸田首相は、拉致問題に地道に取り組みながらも日本経済を成長軌道にのせる方向に転換すべき(゚д゚)!

拉致問題の解決には、以下の三つを実現する必要があります。 (1)全ての拉致被害者の安全を確保し、すぐに帰国させること。 (2)北朝鮮が、拉致被害の真相を明らかにすること。 (3)北朝鮮が、拉致を実行した者を日本に引き渡すこと。

これができて、初めて拉致の解決であるといえます。これを考えると、岸田首相は金正恩との首脳会談に前向きな姿勢を示していますが、現状ではなかなかうまくいかないと思われる理由がいくつもあります。

北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本および国際社会にとって依然として大きな懸念事項であるす。北朝鮮はこれまで何度か核実験を行い、日本に到達しうるものを含む数十発の弾道ミサイルを発射してきました。米国とその同盟国は、北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫るため、制裁を課していますが、その効果には疑問が残ります。

次に、北朝鮮の人権記録はひどいものです。国連は、北朝鮮が強制労働、拷問、恣意的な拘束を含む人道に対する罪を犯していると非難しています。北朝鮮はこれらの疑惑を否定しているが、疑惑を裏付ける証拠が数多く指摘されています。

さらに、北朝鮮は約束を破った歴史があります。2002年、北朝鮮の金正日総書記は日本人拉致被害者全員の返還を約束したが、返還されたのはわずか5人に過ぎませんでした。

2002年返還された5人の拉致被害者

北朝鮮はかなりの秘密主義の国です。北朝鮮の真意を知ることは難しく、金正恩が日本との真の関係改善には関心がない可能性もあります。

そうして米国は、岸田首相と金正恩の首脳会談に反対する可能性が高いです。米国は、北朝鮮が外交的関与に報いる前に、まず非核化のための具体的な措置を講じなければならないと考えています。

これらのことから、岸田首相と金正恩氏との首脳会談が、日本と北朝鮮を隔てる問題の解決に成功する可能性は低いです。しかし、日朝間のコミュニケーションを改善し、将来の交渉のための土台を作ることは可能かもしれません。

しかし、拉致問題はこれからも取り組んでいくべき課題であるのは間違いないです。ただ、最近外交でたて続けに成果をあげ、政権支持率をあげている岸田酒首相が拉致問題でも成果をあげ、政権の安定につなげようとしているとしたら、それはお門違いといえます。

そもそも、外交の成功は必ずしも政権の安定に結びつかないことは昨日の記事でも述べたばかりです。

過去に岸田首相の出身派閥の首相であった大平首相、宮沢首相はともにサミット後に選挙に踏み切りましたが、惨敗しています。

ともに首相のときにサミット前後で解散総選挙をし惨敗した大平氏(左)と宮沢氏(右)

1979年、日本が初めて開催国となった東京サミットは、6月28~29日の2日間。大平正芳首相(当時・以下同)はサミット後の9月7日、衆院解散に踏み切りました。 首相就任後初となる総選挙で、大平首相は一般消費税導入を掲げたものの、党内外から反発を受け、選挙中に導入を断念。10月7日に投票された結果は、自民党が過半数に届かない248議席で惨敗しました。

ちなみに、1973年に第四次中東戦争を機に第1次オイルショックが始まり(~1977年3月まで)、1978年にはイラン革命を機に第2次オイルショック(~1983年3月まで)が始まりました。 
1993年の東京サミットは、7月7~9日の3日間で予定されていましたが、宮沢喜一首相は、内閣不信任決議が可決されたことを受け、サミット直前の6月18日に解散。サミット直後の7月18日に投票された結果、自民党は223議席で過半数を割り込みました。非自民8党派による連立政権(細川護熙内閣)が発足し、自民党は初めて下野することとなったのです。ちなみに1993年にはいわゆるバブル崩壊の年にあたっています。

1993年非自民8党派による連立政権成立

外交で一定の成果を収めたからそれが、すぐに政権の安定に寄与するとは限らないのです。やはり、昨日も述べたように経済が伸びていることが政権の安定にとって重要なファクターであるといえます。

岸田首相も、政権を安定させたいなら、安倍首相のように拉致問題に地道に取り組みながらも、国内最大の問題でありつづけている日本経済を成長軌道にのせる方向に、方向転換すべきです。政権を維持するには、結局これが、近道なのです。どうして、多くの政治家がこれに気づかないのか不思議です。これは、素直に考えれば、誰もが理解できると思います。安倍元総理とほんの一部の政治家だけが、これを本当に理解しているようです。

積極財政派といわれる議員も、どれだけまともにマクロ経済を把握しているのか、私は甚だ疑問です。これを理解せずに、選挙や政権維持に不利になるから、増税などに反対しているというがほとんどの議員のじったいなのではないでしょうか。

それに、岸田政権の現在の外交成果は、安倍政権の成果の延長線上にあることを岸田首相は忘れべきではありません。安倍首相は、3年以上もの民主党政権の負の遺産とともに、政権を引き継ぎました。外交、安保、経済ともに負の遺産ととともに引き継いだのです。

これから比較すると、岸田首相は、安倍・菅両政権のプラスの遺産を継承したので、これまではあまり大きな障害もなく政権を運営することができました。両政権がマイナスと評価するのは、愚かなマスコミの印象操作にすぎません。

現実には、両政権で合計100兆円もの補正予算を組んでコロナ対策を実施し、日本固有の制度でもある、雇用調整助成金制度を用いたため、他国では失業率がかなり上昇したにも関わらず、日本ではコロナ禍中でさえ失業率は2%台で推移していました。

岸田政権はしかし、今後は両政府のプラスの遺産を使い果たす時期にはいります。雇用調整助成金の適用も終わり、これからは半年の雇用状況の実情が反映されるようになります。まともな経済政策を行わなければ、失業率が上がるようになります。外交での成果だけでは、これからは国民は納得しなくなるでしょう。

仮に金正恩との首脳会談が成立したとしても、具体的な成果をかなりあげなけば、かえって支持率は下がるてしょう。他で外交成果をさらに上げたとしても、もう政権安定には結びつかないでしょう。もうこれからは、外交の成果だけでは、あまり注目を浴びず岸田政権は国民から見放されるかもしれません。

外交に力を入れてばかりで、国内をなおざりにし、さらにしなくても良い増税などで財務省を大喜びさせる一方で、国内産業や国民をないがしろにすれば、政権が不安定化し、岸田政権どころか、自民党自体が下野することもあり得ることを念頭において岸田首相は、政権運営をすべきです。

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2023年5月26日金曜日

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 自民党と公明党の連立基盤が崩れつつあるようだ。

 自民党と公明党の連立政権に亀裂が生じている。衆院小選挙区「10増10減」に関する候補者調整で対立が起き、公明党が「東京の自民党候補の推薦拒否」を提案した。

 公明党は東京で約2万票の支持を持っており、これがなくなると現職の自民党候補6人が落選の危機に直面する。全国的に広がると60人の議席が危うくなる可能性もある。

 自民党の岸田文雄首相は連立を重視し、問題に対応する姿勢を示している。

 公明党側は自民党の要請に応じて千葉5区補選での候補者擁立を諦め、代わりに新設される東京28区に候補者を立てるよう求めたが、自民党からは譲れないとの回答があり、公明党が不満を抱いている。


 自民党執行部からは連立解消の意図や公明党の行動の意味が理解できないとの反発がある。

  全国に組織を持つ公明党は1選挙区あたり2万票程度の支持を受けており、これが失われると60人の議席が危険になる可能性がある。

 現時点では公明党は東京に限定して協力解消を通告しているが、全国的に連立解消となれば60人が落選の危機に直面する。

  政治評論家は、連立解消が東京だけでなく大阪にも波及する可能性があり、両党にとってマイナスとなると指摘している。また、公明党の姿勢が自民党にとっても受け入れがたい要素となっている可能性もあると述べている。

これは元記事の要約です。詳細を知りたい方是非元記事にあたって下さい。

【私の論評】経済は政権維持のための重要なファクター!国内経済を成長軌道にのせれば、自民単独でも政権維持できる(゚д゚)!

自民が、現時点で解散・総選挙を行うことが得策でないようです。まずは、上の記事にもあるように、連立政権を組んでいる公明党との間がギクシャクしていることがあげられます。

それに、これはとは別に、元々解散・総選挙をいま時点で行わない方が良いと思われる事柄もあります。

自民党は現在、岸田首相のリーダーシップの下にあり、首相は最近、広島サミットで成功を収め、内閣支持率は上昇しています。解散・総選挙を実施すれば、現在のリーダーシップによる安定性と継続性が失われる可能性があります。それは、次期総理候補者と目されている人たちを見ればわかります。こうした面々をみると、後継者が育っていないのが良くわかります。

現状で、政府は、COVID-19パンデミックへの対応、防衛力の強化、広島サミットの成功など、さまざまな分野で前進を遂げています。こうした前向きな動きは、自民党が直ちに選挙を行うことなく活動を継続するための好環境を提供しているといえます。

高市氏は無派閥なので無理ともいわれている
COVID-19パンデミックへの対応に関しては、現状では収束しつつあるので、大した問題ではないようにも思われますが、菅政権時代から昨年あたりまでは、内閣支持率と連動しているともいわれていました。

政策の優先順位からいっても、現在の日本は、防衛費の確保、少子化問題への対応、人工知能の規制、中国との関係の決定など、重要な課題に直面しています。選挙を急ぐよりも、自民党がこれらの優先政策に取り組むことに集中する方が効果的だと考えられます。

自民党が選挙で一定の議席を失う可能性があることは事実ですが、自民党は依然として大きな支持を得ているのは事実です、連立政権を樹立する能力もあります。現在解散選挙を実施するのは、関連するリスクや潜在的な混乱を正当化できないかもしれない。特に、上の記事にもあるように、公明党の協力が得られないのであれば、リスクは増大するのは目に見えています。

解散総選挙をするには、慎重な計画と候補者が選挙戦を準備するための十分な時間が必要です。十分な準備期間を設けずに選挙を急ぐことは、最適な結果を得られず、有権者の関与が限定される可能性があるため、理想的とは言えないかもしれないです。

特に、公明党の動きが不透明であり、将来的に連立解消も懸念される現状では、解散総選挙はすべきではないでしょう。公明党の動きや、他の国民や維新の動きも見極めたうえで、選挙をすべきですが、それには時間がかかります。

これらの要素を考慮すると、自民党は安定を優先し、主要な課題への対応に焦点を当て、解散・総選挙を急ぐことなく次の選挙サイクルに備えることが賢明であると思われます。

自民はこれを奇貨として公明と手を切り、国内問題にも目を向けるべきです。特に防衛増税などは、保守岩盤支持層の怒りを買ったのは間違いないです。この増税をやめるなどのことを公約として選挙をすべきです。何か政策をするとなると、すぐに「財源≒増税」議論がなされる風潮には、背後に財務省がいるのは間違いないとみられます。この風潮を廃するべきです。

岸田政権は、増税を口にはするのですが、具体的な増税の時期については、はっきりさせないまま先送りにしています。 岸田首相は今日の参院予算委員会集中審議で、消費税の増税を考えているかとの質問に「今考えていない」と述べました。山本太郎委員(れ新)への答弁。

これは、現時点で増税する時期や、どの程度の増税をするかをはっきりされてしまえば、支持率が落ちると認識しているからでしょう。


保守岩盤層は、LGBT法案即時廃案、憲法改正などを表看板にしがちですが、これ自体は確かに、重要なことであり、これは両方とも成就すべきですが、これだけを前面に打ち出せば、第一次安倍政権の二の舞いになってしまいかねないです。

大多数の国民にとって、一番大事なのは経済です。そのことを理解したからこそ、安倍総理は、アベノミックスを打ち出して、雇用を大幅に改善しました。残念なことに、安倍第二次政権では、三党合意もあったため結局2回にわたり消費税増税が行われました。そのため、日本経済はデフレから完璧に脱却したとはいえず、未だ20兆円の需給ギャップが存在しています。

アベノミックスで十分できなかったことを、岸田政権はやり遂げるべきです。それと同時に、憲法改正、LGBT法案の廃案もすすめるべきです。

そうなれば、離れて行った保守層も戻って来るでしょうし、多くの国民も納得し、岸田政権を支持するでしょう。自公連立解消こそ自民が生まれ変わる大チャンスかもしれません。

改憲を目的に、日本維新の会や国民民主党が政権に加わっても何らおかしくないです。公明も本来の「護憲」政党に戻れば、もっと支持者が増えるのではないでしょうか。

キーウ電撃訪問やG7で海外からの評価の高い岸田総理ですが、それに加えて、国内でも経済を成長軌道にのせることができれば、おのずと支持率は高まり、自民単独でも政権を維持できるようになるでしょうし、岸田政権は安倍政権に並ぶ長期政権になるでしょう。自民はこれを目指すべきです。

選挙はそのための道具とすべきです。安倍総理は、増税延期を公約して選挙にのぞみ実際二度も延期をしました。岸田政権はここから、一歩先に出て、期間を区切って増税延期をするのではなく、失業率やGDPギャップなどの指標を目標として、失業率やGDPギャップが目標値を下回らない限り増税しないことを公約にするなどのことを実施すべきです。

自民・公明が連立政権を組む前の年である、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥りました。 こうした需要の低迷を背景に物価も弱含みとなり、物価の下落が企業経営の悪化や雇用の減少を招き、それがさらに景気を悪くする「デフレ・スパイラル」に陥る可能性さえ考えられ状態になり、実際その後日本はそうなりました。

日本経済が、このような状態になったのは、バブル期に確かに株価や地下はうなぎ登りでしたが、一般物価の上昇はさほどでもなかったのに、日銀官僚の誤謬によって、すべきでなかった金融引締に転じ、政府も緊縮財政に舵を切るなど、マクロ経済政策が間違ってしまったせいです。

経済の悪化は自民にも相当影を落とし、支持率が低迷し連立しないと過半数を取れないような状況になってしまったのです。

この時代に、日本がまともな財政・金融政策をとっていれば、経済が落ち込むこともなく、自民党の支持率もあまり落ちることかなく、連立など組まなかったかもしれません。それは、高度成長期に自民が連立を組む必要などないどころか、思いもしなかったことでもはっきりしていると思います。

実は、経済は政権維持のために重要なファクターなのです。それに気づいたからこそ、安倍首相は第二次政権においてはアベノミックスを打ち出し、長期政権を築くことができたのです。

岸田政権も、これを踏襲しさらに発展させれば、長期政権も夢ではなくなります。


電気料金、6月から14~42%値上げへ…平均家庭で月1000円超の負担増―【私の論評】電気料高騰は、誰にとっても身近な問題。岸田政権が真摯にむきあわなければ、これが政権のアキレス腱に(゚д゚)!

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2023年5月25日木曜日

カナダ次期潜水艦候補で「日本vs韓国」の直接対決 防衛産業守る大型案件、政府は防衛装備移転三原則見直し検討―【私の論評】今後カナダがどのようなASW(対潜水艦戦)システムを構築するかにより、どの潜水艦にするかが決まる(゚д゚)!

世良光弘「国防の危機」


韓国の水中発射式SLBM玄武改良型ミサイルを6本の発射管が備えられている3000トン級潜水艦「島山安昌浩」トサンアンチャンホ

 カナダ海軍は、次期潜水艦として、日本の「たいげい」型潜水艦と、韓国の「島山安昌浩」級潜水艦を候補に挙げています。たいげい型潜水艦は、世界唯一のリチウムイオン蓄電池を搭載した通常動力型潜水艦で、水中航行能力や探知性能、被探知防止性能などが極めて高いです。一方、島山安昌浩」級潜水艦は、ディーゼルエンジンとリチウムイオン蓄電池を組み合わせたハイブリッド型潜水艦で、航続距離や速力に優れています。

 カナダ海軍は、時間的な制約とニーズを考慮して、韓国の「島山安昌浩」級潜水艦の導入を検討しています。韓国の兵器産業は近年、欧州や中東に輸出攻勢をかけており、絶好調です。すでに韓国では、カナダの次期潜水艦について、「日本と直接対決だ」と盛り上がっているようです。

 日本の「たいげい」型潜水艦は、世界最高峰の性能を誇っていますが、輸出はこれまで禁止されていました。しかし、政府は昨年、防衛装備移転三原則の見直しを打ち出し、今後は潜水艦の輸出も可能になる可能性があります。

 カナダとの間での潜水艦輸出が実現すれば、メイド・イン・ジャパン装備品の輸出の一里塚となるでしょう。国防という観点からも、防衛産業の衰退を防ぐためにも、ライバル韓国に負けてほしくありません。

■世良光弘(せら・みつひろ)

この記事は、元記事を要約したものです。詳細は、元記事を御覧ください。

【私の論評】今後カナダがどのようなASW(対潜水艦戦)システムを構築するかにより、どの潜水艦にするかが決まる(゚д゚)!


カナダが本当は何を欲しがっているいるかで、日本と韓国の潜水艦の受注競争の勝敗は決まるでしょう。単に潜水艦自体を欲しがっているなら、韓国に軍配があがることもありえますが、対潜水艦戦(ASW:Anti Submarine Warfare)能力を高めたいというのなら、日本に軍配があがるでしょう。

日本の潜水艦建造は戦前から行われており、この技術が戦後も継承され、独自の発展を遂げてきたと言われています。

日本の潜水艦技術開発は、いくつかの理由で世界から注目されています。まず、日本の潜水艦は世界でも有数の静粛性を誇り、探知が困難であること。第二に、日本の潜水艦は高度な武器とセンサーを搭載しており、戦闘において大きな優位性を持っています。第三に、日本の潜水艦は高い品質と信頼性に基づいて製造されています。

さらに、日本は対潜水艦戦能力では米国と並び世界トップレベルです。海上自衛隊は、冷戦時代に米国に匹敵する対潜水艦戦能力を獲得しました。

これらは、オホーツク海におけるソ連の潜水艦活動の監視があったからである。海上自衛隊は、日本とロシアの間に位置する戦略的に重要な海域であるオホーツク海におけるソ連の潜水艦の動きを注意深く監視することによって、ASW能力を開発することができました。

海上自衛隊は、ソ連潜水艦の動きを監視するために、以下のようなさまざまな方法を用いました。

水上艦艇 :駆逐艦、フリゲート艦、巡視船などの水上艦をオホーツク海に派遣しました。これらの艦船には、ソナー、レーダー、電子戦システムなど、さまざまなASWセンサーが装備されていました。

航空機 :海上自衛隊は、P-3オリオン型哨戒機やSH-60シーホークヘリコプターなど、多くの航空機もオホーツク海に派遣しました。これらの航空機には、ソナー、レーダー、磁気異常検知システムなど、さまざまなASWセンサーが搭載されています。

潜水艦 :海上自衛隊は、オホーツク海に多数の潜水艦を配備しました。これらの潜水艦は、ソナー、レーダー、電子戦システムなど、さまざまなASWセンサーを搭載しています。海上自衛隊のASW能力は、海上自衛隊と米国海軍の緊密な協力関係によって、さらに強化されました。オホーツク海で行われた米海軍との合同演習では、海上自衛隊は米海軍のASW作戦の経験を学ぶことができました。

オホーツク海におけるソ連潜水艦の活動を監視し、米海軍と緊密に連携した結果、海上自衛隊は米国に匹敵するASW能力を獲得しました。この能力は、冷戦時代、ソ連潜水艦の攻撃から日本を守るために必要不可欠なものでした。

ソ連太平洋艦隊キエフ級VSTOL空母ノヴォロシスク

ASWの能力は、一朝一夕にはいかず、実際にソ連の潜水艦の監視活動を長い間続けるなどのことをしなければ、身につくものではありません。

水上艦艇、航空機、潜水艦が別々に動くのではなく、統一された意思にもとづき、連動して動くことではじめて、強力なASW能力を発揮することができます。

日本はASW能力を高めるために、日本独自の開発も行ってきました。下にその事例をあげます。

そうりゅう型潜水艦 :これは、海上自衛隊の中で最も先進的な潜水艦です。魚雷、対潜ロケット、ソナーなど、さまざまなASW兵器やセンサーを搭載しています。

おおすみ型護衛艦: これは、海上自衛隊の最新の護衛艦です。魚雷、対潜ロケット、ソナーなど、さまざまなASW兵器とセンサーを搭載しています。

おおすみ型護衛艦

P-1哨戒機: P-1型哨戒機は、海上自衛隊の最新型哨戒機です。魚雷、対潜ロケット、ソナーなど、さまざまなASW兵器やセンサーを搭載しています。

SH-60Kヘリコプター :海上自衛隊の最新鋭対潜水艦ヘリコプター。魚雷、対潜ロケット、ソナーなど、さまざまなASW兵器やセンサーを搭載しています。

これらは、日本のASWシステムのほんの一例にすぎません。海上自衛隊は、潜水艦の攻撃から日本を守るために、ASW能力を常にアップグレードしています。

一方、大韓民国(韓国)軍は、重要な対潜水艦戦(ASW)能力を有していますが、米国や日本ほど高度ではありません。韓国海軍は12隻の潜水艦を保有しており、そのうちの2隻が就役し、1隻が進水しているのが、KSS-III 潜水艦(島山安昌浩級潜水艦 :トサンアンチャンホきゅうせんすいかん)で、韓国海軍の中で最も先進的な潜水艦です。

また、韓国海軍はASW作戦が可能な水上艦や航空機を多数保有しています。しかし、韓国海軍は、米国や日本ほどASW作戦の経験を持っているわけではありません。米国海軍は、72隻の潜水艦を保有しています。

また、米海軍は、ASW作戦が可能な多数の水上艦船と航空機を保有しています。米海軍のASW作戦の歴史は長く、世界有数のASW部隊と言われています。

海上自衛隊は22隻の潜水艦を保有しており、これは世界で2番目に高度な潜水艦隊であるといわれています。また、海上自衛隊は、ASW作戦が可能な多数の水上艦船と航空機を保有しています。海上自衛隊もASW作戦の歴史は長く、世界有数のASW部隊であると考えられています。

結論として、韓国軍は重要なASW能力を有していますが、米国や日本のASW能力ほど高度ではありません。韓国海軍は、米国や日本ほどASW作戦の経験を積んでいません。米国海軍と海上自衛隊は世界のトップクラスのASW能力を有しているといえます。

カナダ政府が、自国のASW能力にあわせて、それを担わせるために、新しい潜水艦を購入するというのなら、韓国の潜水艦もあり得るでしょう。

しかし、自国のASWの能力を高めることも意識しているなら、日本から潜水艦を購入すべきと思います。

いずれになるかは、カナダ政府の決断によるものです。日本としては、どちらに決まったにしても今後もASW能力を高め続け、潜水艦を売るだけではなく、ASW-CSI (対潜戦闘システム統合)パッケージとして売れるように努力すべきと思います。

インド海軍のP-8I対潜哨戒機

カナダは、次期の対潜哨戒機をボーイング、P-8A ポセイドンにしようとしているようですが、まだはっきりとは決まっていないようです。今後カナダがどのようなASWシステムを構築するのかにより、どの潜水艦にするかが決まるのは間違いないようです。

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2023年5月24日水曜日

米国のデフォルト、回避されると確信=IMF専務理事―【私の論評】米債務上限問題は、ほとんど影響なし。過去と同じくいずれ民主・共和党の手打ちがなされる(゚д゚)!

米国のデフォルト、回避されると確信=IMF専務理事

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事


国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は24日、米国が債務不履行(デフォルト)を回避することを確信していると述べた。

ブルームバーグが主催するカタール経済フォーラムで、米連邦債務上限の引き上げを巡る交渉は土壇場で合意するとの見方を示した。

債務上限問題ではバイデン政権と共和党の対立が続いているが、ゲオルギエワ氏は知恵が最終的に勝つことを望んでいると述べた。

世界の「ドル離れ」に関する質問に対し、ドルの外貨準備が急速に変化するとは予想していないとの見解を示した。

「ドルが基軸通貨である理由は米経済の強さと資本市場の厚みが理由だからだ」と説明し、まだドルを捨てるべきではないと語った。

【私の論評】米債務上限問題は、ほとんど影響なし。過去と同じくいずれ民主・共和党の手打ちがなされる(゚д゚)!

米国はこれまで一度も債務不履行に陥ったことはありません。何度か危機的状況に陥ったことはありますが、政府は常に債務上限を引き上げ、デフォルトを回避してきました。実際、米国は世界で最も長い間、債務返済を続けてきた国です。

米国で度々債務上限問題が発生する元となっているのは、1917年に制定された、「第2自由公債法」という法律です。 この法律で上限を決めてしまったので、いつもここに引っかかってしまうのです。

1917年にできたのですが、これまでに上限が何回引き上げられたのかということも多分、皆さんは知らないと思います。実は80回以上なのです。


米国が債務不履行に陥る可能性が低い理由はいくつかあります。

まず、米国政府の信用格付けが非常に高いです。これは、投資家が米国政府が債務を返済することを確信していることを意味します。

第二に、米国経済は非常に大きく、安定しています。これは、政府が資金を調達する必要がある場合、多くの資源を有していることを意味します。

第三に、米国政府は多くの政治的支持を得ています。つまり、議会が政府の債務不履行を許すことはまずないです。

仮に米国が債務不履行に陥った場合、さまざまな悪影響が予想されます。まず、政府の信用格付けに傷がつきます。そうなれば、将来、政府がお金を借りるときのコストが高くなります。

第二に、ドルの価値の下落につながります。これは、米国人が輸入品やサービスを購入する際に、より高価になります。

第三に、不況になることです。これは、人々が職を失い、企業が閉鎖されることを意味します。

全体として、米国の債務不履行は非常に深刻な問題です。しかし、それが起こる可能性は低いです。米国政府は、強い信用格付け、安定した経済、そして多くの政治的支持を得ています。これらの要因から、議会が政府の債務不履行を許す可能性は非常に低いです。

米国は過去に何度か債務問題を起こしています。直近では、2011年と2013年にも政府が債務上限に達し、これ以上お金を借りることができなくなりました。政府は債務上限を引き上げる法律を成立させることで、デフォルトを回避することができました。

2013年債務上限問題があったが1年を通じて上昇した。今回も株式市場へ影響は短期で終わるだろう

以下は、米国の債務問題の他の例とその解決方法です:

1979年、政府は債務上限に達し、それ以上お金を借りることができなくなりました。しかし、政府は債務上限を引き上げる法律を成立させ、デフォルトを回避することができました。

1995年、政府は債務上限に達し、それ以上お金を借りることができなくなりました。政府は、債務上限を引き上げる法律を可決し、支出を削減することでデフォルトを回避することができました。

2001年、政府は債務上限に達し、それ以上お金を借りることができなくなりました。政府は、債務上限を引き上げる法律を成立させ、増税することでデフォルトを回避することができました。

いずれの場合も、政府は債務上限を引き上げることでデフォルトを回避することができました。債務上限とは、連邦政府が借り入れできる金額の上限を法律で定めたものです。政府が債務上限に達すると、請求書を支払うためにそれ以上お金を借りることができなくなります。これは、政府が国民に必要なサービスを提供できなくなる、政府閉鎖につながる可能性があります。

2013年 書類にサインするオバマ大統領(当時)

債務上限は、1917年以来84回引き上げられました。直近の引き上げは2019年で、議会は債務上限を2.2兆ドル引き上げました。債務上限は2023年に再び到達すると予想されています。

上下院のねじれがあると必ず債務上限問題になりますが、これまで本気でデフォルトさせた人はいないです。おそらく今回も「政治的駆け引きのショー」で終わるでしょう。もし、デフォルトにしてしまったら、デフォルトにしたほうの重大な責任問題になるでしょうし、政権交代すれば、デフォルト問題で返り討ちにあうこともありえますから、デフォルトする前に手打ちとなるでしょう。

債務上限を改革する提案はいくつもあります。1つの提案は、債務上限を完全に撤廃することです。もう一つの提案は、債務上限を経済規模に連動させるというものです。これは、経済が成長するにつれて債務上限が自動的に増加することを意味します。

債務上限は論争の的となる問題です。政府の過剰支出を防ぐために債務上限を設けることが必要だと考える人もいます。また、債務上限は政府がお金を借りる能力を人為的に制限するものだと考える人もいます。

ただ、今回も、最終的には民主党、共和党とも歩み寄り、債務上限問題に折り合いをつけるのは間違いないでしょう。

米国は、債務上限問題があってもほとんど問題はありません。その点、現在のロシアや中国などとは大違いです。

日本でも、あまり気にする人はいません。これを大騒ぎする人は、何か魂胆があると見られるのではないかと思います。

たとえば、「それみろ、米国も債務上限問題で揺れている、日本だって政府の借金が増えて国民1人あたりに換算すると一人あたり一千万を超えている、だから増税しなきゃいけない(これ全部ウソ)」などと結局増税を煽る人もでてくるかもしれません。

2013年当時には、そのようにマスコミや識者も煽っている人もいました。ただ、今回はそのような煽りをする人はあまりいないようです。もう多くの人からその魂胆を見透かされるようになっているのだと思います。

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2023年5月23日火曜日

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中国でコロナ感染再拡大 6月末にピークか「1週間に6500万人」

中国コロナ再拡大

 中国で感染症研究の権威とされる鍾南山氏は22日、中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、昨年12月前後に続く「第2波」が今年6月末にピークに達して1週間に6500万人が感染するとの予測を明らかにした。感染再拡大は経済活動の再開や中国と海外の往来に影響する恐れがある。

 中国政府は昨年末の感染爆発を経て流行が沈静化したとして対策を徐々に緩和してきたが、最近になって北京など都市部を中心に再感染する人が増加している。

 中国メディアによると、鍾氏は広東省で開かれたフォーラムで予測を発表。第2波は4月中旬に始まり、5月末には1週間に4千万人が感染するとの見通しを示した。オミクロン株派生型XBBが主流だという。

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JR東日本 <日足> 「株探」多機能チャートより

上のニュースがあったため、日本でも若干影響がでてきました。JR東日本<9020>やANAホールディングス<9202>が逆行安。高島屋<8233>や三越伊勢丹ホールディングス<3099>などインバウンド関連株が安いです。中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、6月末にかけて週間で約6500万人が感染するとの試算が呼吸器疾患の専門家から示されたと、国内外のメディアが伝えたため、これが利益確定目的の売りを促す要因となったようです。

東証の業種別指数では陸運業が下落率トップとなっています。

ただ、こういう報道の裏には、中国でコロナ禍が完璧に終われば、また中国経済は元の軌道に戻り力強く成長を始めるのではという期待があるのではないかと思います。

しかし、その期待は間違いです。以前にもこのブログに掲載したことがありますが、中国は、数年前から国際金融のトリレンマにより独立した機金融政策ができない状況になっています。

国際金融のトリレンマとは、ある国は次の3つのうち2つしか持てないというものです。
  • 固定為替レート
  • 自由な資本移動
  • 独立した金融政策


中国は米ドルとの固定為替レートを選択しており、自由な資本移動も独立した金融政策もできないことになります。このことは、中国経済にさまざまな形で悪影響を及ぼす可能性があります。

まずは、インフレをコントロールする能力の低下です。中国がインフレを低く抑えたい場合、外資を呼び込むために金利を上げることはできません。さらに、量的緩和も難しいです。なぜなら、そうすると人民元の価値が高くなり、輸出品が割高になるためです。これはインフレ率の上昇につながります。

さらに、金融ショックに対する脆弱性が高まります。他国で金融危機が発生した場合、資本フローをコントロールできない中国は影響を受けやすくなります。投資家が中国の資産を売却するなどし、他の国に資金を移動させる可能性があるからです。これが中国の金融危機を招く可能性があります。

経済的ショックへの対応力の低下も懸念されます。中国経済が輸出の減少などのショックに見舞われた場合、金融政策で景気を刺激することはできません。外国からの投資を呼び込むために金利を上げると、人民元の価値が高くなり、輸出が割高になるため、金利を上げることができないからです。そのため、景気回復のスピードが遅くなる可能性があります。

独立した金融政策ができないことは、中国の経済政策にとって大きな制約となります。これは、長期的には中国経済に悪影響を及ぼすことになります。

国際金融のトリレンマに加え、中国経済に悪影響を及ぼす可能性のある他の要因もあります。それらは以下の通りです。

まずは、急速な高齢化です。中国の人口は急速に高齢化しています。このため、定年退職者を支える労働者が少なくなり、経済に負担がかかっています。

中国の債務水準は非常に高いです。これは経済成長率が急激に低下した場合、金融危機を引き起こす可能性があるため、経済にとってのリスクとなります。

輸出への過度の依存という問題もあります。中国経済は、輸出に大きく依存しています。そのため、世界経済の変化に対して脆弱な経済となっています。

これらは、中国経済に悪影響を及ぼす要因の一部に過ぎないです。国際金融のトリレンマは、中国が直面する課題のひとつに過ぎないですが、独立した金融政策ができないということは、今後中国経済に何が起こっても、それに対して満足な対策ができないことを意味しており、これは中国経済に甚大な悪影響を与え続けるのは間違いないです。

ただ、中国共産党(CCP)は、多くの理由から、固定為替レートや自由な資本移動を終わらせたくありません。

固定為替レートは、過去においては、中国共産党に経済に対する絶対的な支配力を与えてきました。人民元の価値を固定することで、中国共産党はインフレを抑制し、中国企業が商品を輸出しやすくすることができました。これは中国共産党にとって重要なことで、高い経済成長を維持できたからです。しかし、これはもう成り立たなくなりつつあります。実際、独立した金融政策ができないのですから、インフレ抑制もできません。

資本移動が自由であれば、外国からの投資を期待できます。外国からの投資は、中国経済にとって重要です。なぜなら、外国からの投資は、中国企業の成長に役立つ資本や技術を提供してくれるからです。中国共産党は、できるだけ多くの外国からの投資を呼び込みたいと考えており、自由な資本移動はそのための一つの方法です。

固定為替レートや自由な資本移動を終了させることは、現状の中国経済にとって破壊的なことです。どちらも長年にわたって実施されてきた政策であり、現在までの中国経済の形成に貢献してきました。これらを終了することは大きな変化であり、経済的な不安定さをもたらす可能性があります。

無論中国共産党は、固定為替レートと自由な資本移動のリスクを認識しています。しかし、そのリスクよりもメリットの方が大きいと考えているようです。中国共産党は、経済のコントロールを維持し、外資を誘致するために、こうしたリスクを取ることを厭わないようです。

上記の理由に加えて、中国共産党は政治的な理由で固定為替レートや自由な資本移動の廃止を望まないこともあります。中国共産党は中国の権力を強く握っており、これらの政策を終わらせることが経済の不安定や社会不安につながることを懸念している可能性があります。中国共産党は、経済的な柔軟性を放棄してでも、現状を維持した方が良いと考えているのかもしれません。

中国共産党が固定為替レートと自由な資本移動を維持し続けるという考えは、長期的に中国経済にとって有益かどうかは、時間が経ってみなければわからないところがありますが、それにしても今後も独立した金融政策ができないことは、長期にわたって、中国経済を蝕み続けることは間違いありません。

独立した金融政策は、国が効果的に経済を管理するために不可欠です。中央銀行が金利を設定し、マネタリーベースを設定し、その国の経済状況に最も適した方法で通貨供給量をコントロールすることができるからです。独立した金融政策がなければ、政府は市場の気まぐれに翻弄され、経済管理や望ましい目標の達成を困難にする可能性があります。

中国の場合、政府が独立した金融政策を行えないことが、すでに経済に悪影響を及ぼしています。例えば、政府は景気を冷やすために金利を上げることができず、インフレ率の上昇を招きました。また、マネタリーベースをコントロールすることができず、不動産や株式市場のバブルを引き起こしています。


これらの問題は、中国経済がより複雑化し、世界経済と統合されるにつれて、今後さらに深刻化する可能性が高いです。独立した金融政策がなければ、政府は経済を管理し、ショックに対応することができなくなります。その結果、経済の不安定性やボラティリティ(価格変動のおおきさ)が高まり、国の長期的な成長見通しに悪影響を及ぼす可能性があります。

したがって、中国にとって重要なのは、固定相場制から変動相場制に移行するとともに、金融政策の枠組みを改革し、中央銀行にさらなる独立性を与えることです。そうすれば、中央銀行はより効果的に経済を管理することができ、経済不安のリスクから国を守ることができるでしょう。

今後の中国経済の行方は、上記のような根本的な構造改革をしない限り、長期的には衰退していく方向にあるのは間違いないようです。コロナ禍がどうのという次元を超えて、これが中国経済の実体です。

こうした中国の現状を過去の日本になぞらえる人もいますが、それは違います。中国は、独立した金融政策を実行しようにも、できない状態にあるのてすが、従来の日本は、金融緩和政策など独立した金融緩和政策を実行できたのですが、日銀官僚等の誤謬でしなかっただけです。

しなかったのと、できないこととの間には雲泥の差があります。日本は今後正しい金融政策(当面金融緩和策)と、財政政策(積極財政)を実行すれば、経済の伸びしろは十分ありますが、現在の中国は変動相場制に移行するなどの思い切った構造改革をしない限り、伸びる可能性はありません。

安倍政権成立後の2013年4月から、黒田日銀総裁になってから、日銀は金融緩和に転じました。岸田政権になって今年4月からは、植田和男日銀総裁に変わりましたが、金融緩和は継続されています。植田総裁になれば、植田総裁は金融システムを重視する傾向があるので、金融緩和政策から金融引き締め策に転換するのではないかと、危惧されていましたが、そうはなりませんでした。

さすがに、現状では金融システムを最優先に考えたにしても、金融緩和策を続けた方が良いです。さすがに、金融引き締めすべきと考える人は、金融機関の中でも債権ムラの住人などごく一部でしょう。

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2023年5月22日月曜日

米パプアが防衛協力協定 中国念頭、南太平洋で巻き返しへ―【私の論評】米・パプアニューギニア、ソロモン諸島が中国と安全保障関係を強める動きに対抗(゚д゚)!

米パプアが防衛協力協定 中国念頭、南太平洋で巻き返しへ


 ブリンケン米国務長官は22日、南太平洋のパプアニューギニアを訪問し、同国との防衛協力協定に署名した。地元メディアなどによると、協定によって米軍がパプア国内の港や空港などを利用できるようになり、双方の訓練実施も容易となる。太平洋島嶼(とうしょ)国進出を狙う中国を牽制(けんせい)する思惑がある。

 ブリンケン氏は、パプアの首都ポートモレスビーでのマラぺ首相との会談で「未来を形成するために私たちが一緒に行っている仕事はこれ以上ないほど重要だ」と述べ、関係強化に意欲を示した。当初はバイデン大統領が先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)後にパプア訪問を予定していたが、債務上限問題を巡る対応のため中止し、ブリンケン氏が派遣された。

 両国は外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も開始する。米沿岸警備隊がパプアの排他的経済水域(EEZ)をパトロールする協定も締結するなど、幅広い分野で連携が強化された。

 中国は昨年、ソロモン諸島と軍の駐留を可能とする安全保障協定を結ぶなど、島嶼国での影響力拡大を狙っている。米国はソロモンに大使館を開設するなどして巻き返しを図っており、島嶼国最大の人口を抱えるパプアでさらなる浸透を図る考えだ。

 またインドのモディ首相も22日、ポートモレスビーで島嶼国首脳と会議を行い、支援強化を表明した。インドは今年、20カ国・地域(G20)の議長国を務める。

【私の論評】米・パプアニューギニア、ソロモン諸島が中国と安全保障関係を強める動きに対抗(゚д゚)!

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米国はパプアニューギニアと防衛協力協定を締結する方向でした。5月19~21日のG7への出席後、現職米大統領として初めてパプアニューギニアへ訪問し太平洋島しょ国への関与を明確に打ち出す予定でしたが、上の記事にもあるように、バイデン大統領は債務上限問題に対処するため、帰米し、かわりにブリンケン国務長官が訪問したものてす。この動きは隣国ソロモン諸島が中国と安全保障関係を強める動きに対抗するものです。


米国は、中国に対して日本(那覇)、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線に加え、日本(横須賀)グアム、パプアニューギニアを結ぶ第二列島線を意識しており、有事の際の後方支援、戦闘任務の拠点となりえます。

中国は、さまざまな取り組みや関与戦略を通じて、太平洋島嶼国との関係を積極的に構築しています。

外交的承認: 外交的承認:中国は、太平洋島嶼国での存在感と影響力を高めるために、太平洋島嶼国からの外交的承認を求めてきました。2019年にはソロモン諸島とキリバスなど、いくつかの国から承認を得ることに成功しています。

援助と開発プロジェクト: 中国は、太平洋島嶼国に対して実質的な援助と開発援助を提供しています。これらのプロジェクトには、港湾、道路、建物などのインフラ整備のほか、観光や農業などの分野への投資も含まれています。

経済的パートナーシップ: 中国は、貿易協定や投資機会を通じて、経済関係の強化を図っています。例えば、中国は2006年に中国太平洋島嶼国経済発展協力フォーラムを設立し、両国の経済協力を促進しています。

地域イニシアティブ: 中国は、太平洋諸島フォーラム(PIF)や南太平洋観光機関(SPTO)など、太平洋の地域イニシアティブに積極的に参加している。これらの組織と関わり、対話、協力、協調を促進しています。

戦略的重要性 : 太平洋の島々は、その地理的位置と天然資源から戦略的重要性を持っています。中国はこれらの国々と関わることで、重要な資源へのアクセスを確保し、海洋での影響力を拡大し、他の地域の大国の影響力に対抗することができます。

南太平洋を航行する中国の艦艇

南太平洋の島々は、日米豪印にとって戦略的に重要です。重要なシーレーンや空域を支配し、天然資源の供給源でもあります。もし中国がこれらの島々との関係を深めるならば、これらの国々に多くの懸念をもたらす可能性があります。以下にその懸念を列挙します。

中国がその経済力を利用して、これらの国々に貿易や安全保障上の問題で譲歩するよう圧力をかける可能性があります。

中国はその経済力を使って、これらの国々に貿易や安全保障上の問題で譲歩するよう圧力をかけることができます。中国はその軍事力を使ってこれらの国々を威嚇し、この地域の資源へのアクセスを阻止することができます。

中国は、この地域における自国の利益を促進するために影響力を行使する可能性があり、それは日米豪印の利益と対立する可能性があります。

全体として、中国と南太平洋の島々との関係の深化は、これらの国々に多くの懸念をもたらす可能性があります。これらの懸念を認識し、それを軽減するための措置を講じることが重要です。その一環が、今回の米パプア防衛協力協定です。

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2023年5月21日日曜日

「総理、逃げるのですか?」 首相、終了後も追加質問応じる―【私の論評】ウクライナの現実も反映し核廃絶に向けて動いた「広島ビジョン」は日本外交の大成果(゚д゚)!

G7議長国会見

G7終了後記者会見する岸田首相 バックは原爆ドーム

 岸田文雄首相が21日の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)閉幕後の記者会見をいったん終えて立ち去ろうとした際、会見に出席した男性から「1問だけでよいので。総理、逃げるのですか」と追加の質問を投げかけられ、演壇に戻り、答える一幕があった。

 質問は、首相が昨年8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で発表した核軍縮に向けた行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」についてだった。

 首相は「核兵器国が現在どれだけの核兵器を持っているのか明らかにすることこそが、核兵器国と非核兵器国の信頼の基盤になる」と指摘した。その上で、「透明性を追求することもアクション・プランに明記した」などと説明した。

 会場ではこの質疑が終わってもなお、首相に対し「総理、逃げるのですか」「海外メディアからもお願いします」などと声が飛んだ。

【私の論評】ウクライナの現実も反映し核廃絶に向けて動いた「広島ビジョン」は日本外交の大成果(゚д゚)!

G7閉幕の首相記者会見で最初に指名されたのは、時事通信の記者でしたが、質問の一つが内閣不信任案への対応云々等、国内問題に偏重しすぎており愕然としました。このような質問は、せめて質疑の中盤以降にし欲しいと思います。 これは、内閣記者会の幹事社質問なのでしょうが、横にいる外国人記者たちに聞かれているのが気恥ずかしく感じました。

そうして、最後に「総理、逃げるのですか」と発言し、さら「海外メディアからもお願いします」との発言です。本当にこのやり取りにはうんざりしました。

安倍元総理や菅前総理らが総理だったときの記者会見などでも、事前に決められた時間を過ぎても質問を続けようとしたり、首相が回答後も「逃げないでください」などと投げかけたりする一部の取材方法に、有識者や新聞記者OBから批判が上がっていました

「国民の知る権利」に応えるための追及は必要ですが、手法を誤れば逆にメディアは国民の信を失いかねないです。

元朝日新聞記者で作家の長谷川煕氏は「首相をたたくのが正義と思い込み、政治活動をしている。首相を矮小(わいしょう)なものに見せかけることを目的としている」と批判的に語っていました。

元東京新聞論説副主幹でジャーナリストの長谷川幸洋氏も、会見終了時に質問を投げかける姿勢について「そういうタイミングで声をかけることで、国民に首相が逃げているような印象を与える狙いがあるような気さえする」と指摘しました。

私もそう思います。上の記事を書いた記者はどういうつもりでこのような記事を書いたのかはわかりませんが、首相を矮小化するなどのつもりで書いているなら、非常に問題です。

今回の「核軍縮のための広島ビジョン」に対しては、様々な批判もあります。その批判の中心は「広島ビジョン」が核兵器の即時廃絶求めず、核抑止を認めた上でのビジョンになっていることに批判が集中しているようです。以下にその例をあげます。

「広島ビジョンは機会を逸した。核兵器の即時廃絶を求めず、むしろ核抑止力を認めている。これは危険で無責任な立場である。」- 核軍縮の活動で2017年のノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の事務局長、ベアトリス・ファイン氏。

「"広島ビジョン "は、広島と長崎の犠牲者への裏切りです。核の脅威の緊急性を認めず、核兵器廃絶のために必要な措置を講じない」 - 広島市長の松井一實氏。

「広島ビジョンは、核軍縮に逆行するものである。核兵器の保有を正当化し、その廃絶をより困難にするものです。」- 核兵器廃絶に取り組む医師や医療関係者の世界的組織「国境なき医師団(PSR)」。

2023年5月に広島で開催されたG7首脳会議の最後に、「広島ビジョン」が発表されました。このビジョンは、核兵器のない世界を目指すものですが、核兵器廃絶の期限は定めていません。また、戦争を防ぐための核抑止力の役割も認めている。

広島ビジョン」に対する批判は、核軍縮活動家や広島・長崎の被爆者、医療関係者など、さまざまなところから寄せられている。核兵器の廃絶を求めるには不十分であり、核兵器の保有を正当化するものであるとしています。

ここで、「広島アクションプラン」と、「核軍縮のための広島ビジョン」について掲載します。


広島アクションプランは、2022年のNPT再検討会議で岸田文雄首相が発表した核軍縮のための5つの柱からなる計画である。この計画は、核兵器のない世界は可能であり、その目標に向かって努力することはすべての国の責任であるという信念に根ざしています。

広島アクションプランの5つの柱は以下の通りです。
  • NPTの重要性を再確認する。NPTは、世界の核軍縮・不拡散体制の礎である。すべての国がNPTを強化し、維持するために努力することが不可欠である。
  • 核軍縮に向けた具体的なステップを推進する。世界の核兵器の数を減らすために、取ることのできる具体的なステップが数多くある。これらのステップには、核分裂性物質カットオフ条約の交渉、包括的核実験禁止条約の発効、核兵器の能力や政策に関する透明性の向上が含まれる。
  • 核兵器に対する国際規範を強化する。核兵器の使用を防止するためには、核兵器に対する国際規範が不可欠である。核兵器の危険性に対する認識を高め、核軍縮に関する教育や研究を促進することにより、この規範を強化することが重要である。
  • 平和と対話の文化を築く 核兵器のない世界には、平和と対話の文化が必要である。紛争を平和的に解決し、理解と寛容を促進し、核軍縮のために活動する市民団体の活動を支援することによって、この文化を築くことが重要である。
  • 若者のエンパワーメント 青少年は世界の未来であり、核兵器のない世界を実現するために重要な役割を果たす。核兵器の危険性について教育し、核軍縮の活動に参加する機会を提供することで、青少年に力を与えることが重要である。
広島アクションプランは、核軍縮のための包括的かつ野心的な計画です。核兵器のない世界を実現するためのロードマップであり、この目標を実現するためにすべての国が協力して行動することを求めるものです。

先進7カ国(G7)の首脳は19日、「核軍縮のための広島ビジョン」を発表しました。これは、広島アクションブランの強化版ともいえる内容です。安全保障を損なわない現実的な方法で、核兵器のない世界という「究極の目標」を目指すというG7の姿勢を確認しました。

「核軍縮のための広島ビジョン」は、核兵器のない世界を目指すというG7首脳の意思表明である。このビジョンは、核兵器が世界の平和と安全に対する脅威であり、その存続は容認できないことを認識している。しかし、核兵器が抑止力として重要な役割を果たし、安全保障を損なわない形で軍縮を進めなければならないことも認めています。

ビジョンは、G7諸国が核軍縮を推進するために取るべき具体的なステップを数多く示している。これらのステップには以下が含まれます。
  • 核兵器用の核分裂性物質の生産を禁止する条約に関する交渉の即時開始を呼びかける。
  • 包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)の発効に向けた取り組み。
  • 核兵器の能力および政策に関する透明性を高める。
  • 原子力の平和利用を促進する。
G7首脳はまた、核兵器のない世界を実現するために、他の国々と協力することを約束しています。ビジョンでは、G7諸国は "核兵器のない世界を促進するために、核兵器を保有する国を含むすべての国と関わりを持ち続ける "と述べています。

核軍縮のための広島ビジョンは、核兵器廃絶に向けた世界的な取り組みにおいて、重要な一歩を踏み出すものです。このビジョンは、軍縮のための明確な道筋を示し、核兵器に対する見解の異なる国々が協力するための枠組みを提供するものです。このビジョンは、核兵器のない世界が可能であることを示す希望の兆しともいえます。

重要なのは、「広島ビジョン」が核兵器の即時廃絶を求めていないことです。その代わり、すべての国の安全保障上の懸念を考慮した「現実的」な軍縮アプローチを求めています。つまり、核抑止力は当分の間、国際安全保障の中で役割を果たし続けることになります。しかし、ビジョンでは、核兵器廃絶という明確な目標を掲げ、その達成に向けたロードマップを提示しています。

核による抑止は認めた上で、核軍縮を求めるというて現実的なアプローチをしたからこそ、G7で合意がなされ「ビジョン」として公表されたのです。

核抑止など考えずに、一方的にG7が核軍縮を進めた、中露北などが核開発を進めた場合、日本を含むG7の国々は、かえって大きな危険にさらされることになります。

旧ソ連邦が崩壊したときに、ウクライナには旧ソ連の核兵器が残されていました。そのため、1991年のソ連崩壊後、ウクライナは世界で3番目に大きな核兵器を保有することになりました。1994年、ウクライナはブダペスト覚書に署名し、米国、ロシア、英国の安全保障の保証と引き換えに、ウクライナの非核化を約束をしました。


ウクライナの核兵器廃棄のために取られた主要なステップは以下のようなものでした。
  • ウクライナ領内にあるすべての核兵器の目録の作成。
  • 核兵器を解体するためにロシアに輸送する。
  • 核兵器の解体
  • 核廃棄物の安全な処理。
ロシアは近隣諸国への侵略の歴史が長く、他国からの介入に対する抑止力として核兵器を使用してきまし。ウクライナの場合も、ウクライナに核兵器による報復能力があれば、ロシアは侵攻しにくくなったかもしれないです。

平和記念公園に立つ、ゼレンスキー大統領と岸田首相

もちろん、ウクライナの政治状況、ロシアにおけるナショナリズムの台頭、NATOの拡張による脅威の認識など、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切った要因は他にもあるでしょう。しかし、ウクライナの核軍縮がロシアの侵攻の決断に一役買ったことは明らかです。

ロシアのウクライナへの侵攻は悲劇であり、核兵器の危険性を再認識させるものです。世界は核軍縮の実現に努め、ウクライナが再び侵略されることのないようにしなければならないです。

核抑止については、朝鮮半島の現状をみても理解できます。北朝鮮が核兵器を保有していなければ、中国は朝鮮半島浸透し、今頃中国の属国になっていた可能性もあります。北朝鮮に核兵器がなければ、中国は北朝鮮に圧力をかけて要求を呑ませることができ、より強い立場にあったはずです。

しかし、違った展開になった可能性もあります。米国と韓国はこの地域に強力な軍事的プレゼンスを有しており、中国が北朝鮮を武力で支配しようとした場合、介入する可能性があったでしょう。

結局のところ、北朝鮮が核兵器を持たなければどうなっていたかを断言することはできなです。しかし、核兵器が現在の朝鮮半島情勢を形成する上で大きな役割を果たしたことは間違いないです。無論これは何が良いとか、何が悪いなどの価値判断を示しているわけではありません。あくまで現状分析をしているだけです。

朝鮮半島の現状、ウクライナの運命を知れば、核による抑止を認めた上で、核軍縮を求めるというのはより現実的なアプローチであることが理解できると思います。

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【速報】ウクライナ・ゼレンスキー大統領がG7広島サミット会場に到着―【私の論評】ゼレンスキー氏G7広島サミット参加は、ウクライナの情報戦の一環(゚д゚)!

【速報】ウクライナ・ゼレンスキー大統領がG7広島サミット会場に到着

【午後3時50分】 広島に到着したウクライナの ゼレンスキー 大統領がツイッターに投稿しました。「平和がより近づく」と記しました。

 20日午後、広島市で開催中のG7広島サミットに出席するため、ウクライナのゼレンスキー大統領が元宇品地区にあるサミットのメイン会場に入りました。

 ゼレンスキー大統領は午後3時半ごろ、専用機で広島空港に到着。

 午後3時45分すぎ、専用機のタラップを降りると専用車両に乗り換え、高速道路を経由して午後4時40分ごろ、サミット主会場のグランドプリンスホテル広島に到着しました。

 外務省によると、ゼレンスキー大統領は、あす21日にG7広島サミットに参加し、G7首脳との間でウクライナに関するセッションを開催する予定です。ほかの招待国首脳も交えたセッションにもゲストとして参加する予定で、岸田総理との首脳会談も行われる予定だということです。

 広島滞在中、アメリカのバイデン大統領とも首脳会談を行い、原爆資料館にも訪れる方向で最終調整が進められているということです。

【私の論評】ゼレンスキー氏G7広島サミットは参加、ウクライナの情報戦の一環(゚д゚)!

ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに参加するため訪日したことで、プーチンはますます世界から孤立することになるでしょう。その理由は次のとおりです。
  • ゼレンスキー大統領は、ウクライナへの侵攻でロシアを非難し続ける主要国の指導者の1人です。彼はG7首脳に、ロシアにさらなる制裁を課し、ウクライナにさらなる軍事支援を提供するよう求めることになります。
  • G7は、世界経済の約4割を占める7か国のグループです。ゼレンスキー大統領がG7首脳と会談することは、ロシアに対して大きな影響力を持つことになります。
  • G7は、ロシアに対する圧力を高める決意を示しています。彼らはロシアに対する制裁を強化し、ウクライナにさらなる軍事支援を提供することを約束しました。
  • G7は、ロシアに対して世界的な孤立を作り出すことに成功しています。ロシアはすでに多くの国から孤立しており、G7の行動は、ロシアをさらに孤立させるでしょう。
これらすべての理由から、ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに参加することは、プーチンにとって大きな打撃となるでしょう。それは、彼がますます世界から孤立し、彼の行動に対する責任を問われることになることを意味します。

G7広島サミットの拡大会合に出席したインドのモディ首相は本日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談しました。首相官邸のツイッターは、両首脳が握手を交わす写真を投稿しました(写真下)。会談内容は明らかにしていません。


消息筋によれば、ゼレンスキー大統領は地雷の除去や移動式病院などにおける支援の必要性についてモディ首相に説明したということです。

一方インドメディアによりますと、モディ首相が「ウクライナ問題は全世界に影響を与える大きな問題だ」と指摘したほか、「ウクライナの市民が感じている痛みを理解している」と語ったということです。

ロシアのウクライナ侵略開始後、G7各国がロシアへの制裁を強める中、インドはロシア産原油の輸入量を増やすなど対露融和姿勢を維持しています。ゼレンスキー氏は対露制裁への協力を求めた可能性もあります。

全体として、G7におけるモディ首相とゼレンスキー大統領の会談は、その影響は、ロシアにとって複雑なものになる可能性があります。

今回のサミットにはインドやブラジルなど対ロシアで中立の立場を維持している新興・途上国「グローバルサウス」を代表する首脳が参加していて、ゼレンスキー大統領はこうした国々にも直接ウクライナへの支援を訴える方針です。

ゼレンスキー氏は同日午後3時半ごろフランス政府機で広島県に到着。広島市でイタリアのメローニ氏や英国のスナク氏らとも首脳会談を行いました。

ゼレンスキー氏は広島訪問前日の19日には、サウジアラビア西部ジッダでアラブ連盟の首脳会議に出席。一部の指導者が「戦争を見て見ぬふりをしている」と中東各国に支持を求めていました。

サウジ・アラビアを訪れたゼレンスキー

ウクライナのゼレンスキー大統領が最近盛んに行っている海外訪問は、一種の情報戦と見ることができます。各国を訪問し、世界のリーダーたちと会談することで、ゼレンスキーはウクライナの苦境を常に注目させ、ロシアに戦争終結の圧力をかけることができます。

また、ゼレンスキー氏の訪問は、ウクライナへの支持を高めるための手段にもなっています。講演や会合で、国際社会に対し、ウクライナへの軍事・財政支援の強化を訴えてきました。また、ウクライナの欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟を強く訴えています。

ゼレンスキー氏の努力は、多くの国から好意的に受け止められています。米国、欧州連合(EU)、NATOはいずれも、ウクライナへのさらなる支援を約束しました。また、多くの国がロシアに制裁を課し、戦争終結の圧力をかけようとしています。

ゼレンスキーの情報戦がどの程度有効かはまだ分からないですが、彼があらゆる手段を駆使して戦争に勝とうとしていることは明らかです。今回の海外訪問は、その戦略の一環に過ぎません。

ゼレンスキーが最終目標である戦争に勝つことができるかどうかはまだわからないですが、彼の情報戦キャンペーンが影響を及ぼしていることは確かです。

一方、プーチンはどうかといえば、ゼレンスキー氏のような有効な情報戦は展開できていないようです。

ロシア内務省は、ロシアのウクライナ侵略を巡ってプーチン露大統領らに戦争犯罪の疑いで逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカリム・カーン主任検察官を指名手配した。プーチン政権はICCに激しく反発しており、報復の一環てあり、無論プーチンの情報戦の一環でしょう。

内務省はカーン氏を指名手配対象者のデータベースに掲載しました。独立系ニュースサイト「メディアゾーナ」は19日、プーチン氏に対する逮捕状の発出に関わったとされる日本の赤根智子氏らICCの裁判官3人の氏名をデータベースで確認できなかったと報じました。

露連邦捜査委員会は3月、カーン氏とICC裁判官3人に対する捜査を始めると発表していました。ロシアでは4月末、ICCの逮捕状執行に協力した場合、刑事罰を科す法律が発効しています。

ただし、ロシア内務省がカリム・カーンを指名手配したことは、ウクライナで行われた戦争犯罪に関するICCの捜査に大きな影響を与えるとは考えにくいです。ICCは独立した国際裁判所であり、どこかの国の気まぐれに左右されることはありません。ロシアが何をしようと、ICCは調査を継続するでしょう。

それにカリム・カーン氏がロシア内務省に指名手配をされたとしても、他国に対してそれを強制するだけの権限はありません。一方、ICCの指名手配は、他国に強制力があります。

国際刑事裁判所(ICC)ローマ規程の締約国は、国際刑事裁判所ローマ規程(ローマ規程)を批准し、またはその他の方法により同規程に加盟した国家のことです。

  締約国   未批准の署名国   後に脱退した締約国   後に署名を撤回した署名国   非加盟国

ローマ規程は、締約国の国民によって、あるいは締約国の領域内で犯された、集団殺害犯罪や人道に対する犯罪、戦争犯罪を含む一定の国際犯罪について管轄権を有する国際裁判所である国際刑事裁判所(ICC)を設立するための条約です。

締約国は、同裁判所から要請された際には、訴追された者の逮捕および引渡しや、証拠や証人を利用できるようにするといった協力を行うことが、法的に義務づけられています。

よって、プーチンがローマ規程締約国に訪問した場合、当該国はプーチンを逮捕する義務を負いますが、ロシア内務省はそのようなことはできません。

ロシア内務省がカリム・カーンを指名手配しても、ロシアを訪問しない限り、逮捕されることはありません。親ロシア国であったとしても、ロシア内務省が指名手配した人物を逮捕してロシアにおくらなければならない等という義務も法的根拠もありません。

これでは、情報戦としても、ほとんど効き目はないでしょう。クリミア侵攻では、功を奏したロシアの情報戦は、最近ではめぼしい成果をあげていないようです。



一方、ゼレンスキーが最近頻繁に海外を訪れていることは、先にもあげたように非常に効果的です。

ゼレンスキー氏の努力は、多くの国から好意的に受け止められています。米国、欧州連合(EU)、NATOはいずれも、ウクライナへのさらなる支援を約束しました。さらに、多くの国がロシアに制裁を科し、戦争終結の圧力をかけようとしています。

G7は、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7か国で構成されています。これらはすべてNATOのメンバーであり、ロシアとウクライナの戦争に反対しています。ゼレンスキー大統領がG7サミットに出席することは、日本がNATOとより緊密な関係を築き、ロシアに対する姿勢を強めていることを示すものです。これは、ロシアにとって日本が事実上の敵国であることを意味します。

ゼレンスキー氏の今回のG7広島サミットへの参加は、最近のゼレンスキー氏の矢継ぎ早の海外訪問の総仕上げともいえるべきものであり、間近で行われるであろう、ウクライナによる大反攻を少しでも有利に導こうとの、熱意のあらわれであるとみられます。

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2023年5月19日金曜日

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「フランス政府の専用機で日本に」 ゼレンスキー大統領がG7広島サミット出席のため ロイター通信が報じる

ゼレンスキー大統領

ロイター通信は関係者の話として、ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席するため、サウジアラビアのジッダからフランス政府の専用機で日本に向かう予定だと報じました。

ゼレンスキー氏は現在、19日に開かれるアラブ連盟の首脳会議に出席するため、サウジアラビアに向かっているということです。

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日本は、ゼレンスキー大統領がG7広島サミット出席のため、来日するというニュースでわいていますが、私自身は、これにはさほど驚きはしませんでした。

なぜなら、岸田文雄首相は今年3月、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー氏と会談した際、広島サミットへの出席を要請し、ゼレンスキー氏はオンライン参加の意向を示していたとされています。(産経新聞)

岸田首相は、広島サミットへの出席を要請していたわけですから、元々来日する可能性はあったといえます。

ゼレンスキー氏は14日、前日のイタリア訪問に続いて、ロシアの侵略開始後初めてベルリンを訪れた。会談したショルツ首相との共同記者会見で、ドイツが13日に発表した過去最大規模となる4000億円相当の追加軍事支援などに謝意を示した。

反転攻勢に関し、「成功への準備がほぼ整った」と述べつつも、兵器が不足しているとの認識もにじませた。ショルツ氏は「必要な限り支援を続ける」と応じた。

14日にはフランスに移動し、マクロン大統領と会談した。共同宣言でマクロン氏は、数週間以内に「軽戦車」と呼ばれる「AMX―10RC」を含む装甲車数十台を提供し、兵器供与を継続する方針を示した。

この会談のときに、ゼレンスキー大統領とマクロン大統領は、ゼレンスキー大統領が、訪日してG7に参加するなら、フランスの航空機を手配する旨を約束したかもしれません。

その目的は何といっても、いわゆるマクロン大統領の「台湾発言」による失地回復だと考えられます。

マクロン仏大統領は、4月上旬に中国を国賓として訪問した後、フランスへの帰国の飛行機の中で一部メディアとのインタビューに応じ問題発言をしていた

訪仏後の15日には、ロンドン郊外で英国のスナク首相と会談しました。スナク氏は、ウクライナが求める米国製F16戦闘機の供与実現に向けた協力を約束し、ウクライナ空軍パイロットへの飛行訓練を今年夏に開始すると伝えました。

伊独仏英は北大西洋条約機構(NATO)の主要国で、先進7か国(G7)のメンバーでもある。ゼレンスキー氏の訪問は、広島でのG7首脳会議を前に各国と認識を共有する狙いもありそうです。

そうして、さらにゼレンスキー大統領は、先進7か国首脳会議(G7サミット)に出席するため、来日することが伝えらました。ゼレンスキー氏の来日は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、初めてのアジア訪問となります。

ゼレンスキー氏の来日が決まった経緯については、まだ詳細は明らかにされていません。しかし、G7首脳がロシアによるウクライナ侵攻への対応を協議する中で、ゼレンスキー氏の出席が重要と判断されたと考えられます。

ゼレンスキー氏は、これまでもオンラインでG7首脳会議に出席し、ロシアによるウクライナ侵攻への支援を求めてきました。今回の来日では、G7首脳に直接会って、ウクライナへのさらなる支援を訴えるものとみられます。

昨年10月G7のオンライン会議に参加したゼレンスキー大統領

また、ゼレンスキー氏は、被爆地である広島を訪問することも伝えられています。広島は、1945年にアメリカが原子爆弾を投下した都市であり、核兵器の恐ろしさを世界に訴える場所です。ゼレンスキー氏の広島訪問は、核兵器のない世界への思いを示すものとみられます。さらに、ロシアが核を使うことを牽制する意図もあるとみられます。

ゼレンスキー大統領は、核兵器の惨禍を目の当たりにした広島で演説を行うことで、ウクライナの人々がロシアの侵略に苦しんでいることを世界に訴える機会を得ることができます。また、G7首脳にウクライナへのさらなる支援を求めることもできます。

G7首脳会議は、ロシアのウクライナ侵攻後、ロシアに対する制裁やウクライナへの支援について協議する予定です。ゼレンスキー大統領の演説は、G7首脳にウクライナへの関与を継続するよう促す重要な機会となるでしょう。

また、ゼレンスキー大統領のG7首脳会議への出席は、ウクライナに対する国際社会の連帯を示すことも意味します。G7首脳はゼレンスキー大統領の演説を聞いて、ウクライナを支援し続けることを約束するでしょう。

ゼレンスキー大統領のG7首脳会議への出席は、ウクライナにとってもG7首脳にとっても重要な機会となります。ゼレンスキー大統領は世界にウクライナの人々の声を届けることができ、G7首脳はウクライナへの支援を継続することを約束することができます。

ゼレンスキー大統領の日本訪問は初めてではありません。19年10月にも来日。天皇陛下の即位礼正殿の儀に参列し、当時首相の安倍晋三氏とも会談しました。

安倍総理(当時)とゼレンスキー大統領

安倍晋三元首相の訃報を受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は昨年7月8日、「残忍な暗殺事件だ。この憎むべき暴力行為にはいかなる口実もつけられない」とし、遺族と日本国民に心からの哀悼をささげるとツイッターを通じて表明しました。

プーチンは以前このブログにも示したように、国際司法裁判所から指名手配を受けており、日本は、プーチンが来日した場合、逮捕して引き渡す義務を負っています。プーチンは日本にはもうこれません。ゼレンスキー氏はこれも意識したかもしれません。

国際的な行動には制限があるプーチン氏を尻目に、ゼレンスキー国際的な檜舞台であるG7で歴史に残るような大演説し、長引く戦争により忘れ去られがちになりつつあったウクライナの存在感を世界に再びアピールすることができます。考えてみれば、抜け目のないゼレンスキー氏がこの機会を逃すはずがありません。

岸田政権によっても、今回G7はゼレンスキー大統領の参加ということで、さらに注目を浴びるものになるでしょう。



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