ウクライナ支援でバイデンが「奥の手」 ギリシャなどから三角スキームで武器送る
まとめ- 米国は、ウクライナへの武器支援を拡大するために、三角取引という新たな方法を模索している。
- 三角取引とは、米国がパートナー国に武器を供与し、そのパートナー国がウクライナに武器を譲渡するスキームである。
- 米国は、米議会共和党の抵抗により、直接的なウクライナ支援が困難になったため、三角取引という方法に切り替えた。
- 三角取引によって、米国はウクライナ軍への支援を拡大し、戦力強化を図ることができる。
- 三角取引によって、米国とパートナー国との連携が深まる可能性がある。
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米国、ウクライナ、第三国との三角取引 AI生成画像 |
米国の三角取引によるウクライナへの武器支援は、以下の点で注目に値します。米国の新たな
これまで、米国は、ウクライナへの軍事支援を、主に直接的な方法で実施してきた。しかし、米議会共和党の抵抗により、この方法が困難になったことで、米国は三角取引という新たな方法を模索するようになった。これは、米国の外交戦略の転換点となる可能性がある。
- ウクライナへの支援を拡大する上での新たな可能性を切り開く可能性がある
三角取引は、米国がウクライナへの支援を拡大する上での新たな可能性を切り開く可能性がある。米国は、三角取引を通じて、パートナー国から、米国が直接供与できないような武器や装備を入手することができる。
三角取引によってウクライナに供与される武器は、ウクライナ軍の戦力強化につながる可能性がある。米国は、ウクライナ軍が使い慣れている旧ソ連式の武器を供与することで、ウクライナ軍の戦力発揮を早めることができる。
以下に、三角取引によってウクライナに供与される可能性のある武器の例を挙げる。
- エクアドルから:9K33オサー地対空ミサイルシステム
9K33オサーは、射程10kmの短距離地対空ミサイルシステムである。ウクライナ軍は、既に同システムを保有しており、ロシア軍の航空機やドローンへの対処に使用している。
S-300は、射程150kmの中距離地対空ミサイルシステムである。ウクライナ軍は、同システムを保有していないため、ロシア軍の戦闘機や爆撃機への対処に大きな課題を抱えている。
米国は、パートナー国から、旧ソ連製の戦車、装甲車、火砲などの武器を入手することも検討している。これらの武器は、ウクライナ軍が既に保有している装備と互換性があるため、運用の容易化が期待される。
三角取引は、米国のウクライナ支援の新たな柱となる可能性を秘めている。今後、米国とパートナー国がどのような協力関係を築く
のか、注目される。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。
【私の論評】停戦にはロシアの疲弊が鍵、ウクライナの高度経済成長のシナリオを描け
まとめ
- 共和党員の多くはウクライナへの武器供与に反対しているが、反対理由は個人によって異なる。
- 主な反対理由は、コストへの懸念、対ロシア関係の悪化、ウクライナ政府への不信感など。
- トランプ氏が再選されれば早期の戦闘停止を目指す可能性がある。
- 戦略家ルトワック氏は、戦争は平和を生むと主張。ウクライナ戦争も双方の疲弊で終結すると予想するだろう。
- ウクライナは戦後、経済成長によりロシアのGDPを凌駕する可能性は否定しきれず、ウクライナへの支援はそうしたシナリオを描いた上で実行されるべき。
共和党がウクライナへの武器供与に反対する理由は複雑で、党員によって異なります。最も多く挙げられている理由には、紛争にかかるコストへの懸念、ロシアとの緊張をエスカレートさせる可能性、ウクライナ政府が腐敗しているという考えなどがあります。
ピュー・リサーチ・センターによる2023年の世論調査によると、共和党員の54%がウクライナへの武器供与に反対し、37%が支持しています。また、共和党員は民主党員よりも「米国はウクライナを助けすぎている」と回答する割合が高い(54%対21%)です。
共和党員の中には、米国は欧州の2国間の紛争に関与すべきではなく、ウクライナへの武器供与は紛争をエスカレートさせ、米国をより広い戦争に引きずり込む可能性があると主張する者もいます。
また、ウクライナに武器を提供することのコスト、特に米国が直面している経済的課題を考えると、そのコストに懸念を示す者もいます。また、ウクライナ政府は腐敗しており、武器供与は逆効果であるとして、ウクライナ政府への懸念を表明する者もいます。
重要なのは、これらは共和党がウクライナへの武器供与に反対する理由の一部にすぎないということです。この問題に関して共和党員全員を束ねる理由はひとつではないし、党員一人ひとりの反対理由も異なるでしょう。
ウクライナ戦争については、トランプ氏が大統領に再選された場合、戦闘停止と和平実現に向けて積極的に動くと予想されています。トランプ氏が昨年「私が大統領なら24時間以内に終わらせる」と発言したのは、言葉通り受け取れば、ウクライナへの支援を取りやめるという意味にも受け取れます。早期の戦闘停止を実現するには、ウクライナが領土の一部をロシアに明け渡すことにならざるをえないでしょう。
ただ、トランプ氏が大統領に再選された場合、どうなるかは未知数です。トランプ氏は実業家なので、流動的に現実的な関与の仕方をするでしょう。選挙キャンペーンと現実は異なるからです。
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トランプ氏 |
『戦争にチャンスを与えよ』の著者である、米国の戦略家ルトワック氏は、戦争は平和を生むというパラドキシカル・ロジック(平和は戦争を生むも提唱)を提唱しています。そのため、ウクライナ戦争も、最終的には戦争の疲弊によって終結すると予想していることでしょう。
具体的には、ウクライナ軍がロシア軍に抵抗を続け、ロシア軍の損害が拡大していくと、ロシア政府は戦争を継続する意欲を失っていくと考えられます。その結果、ロシア軍がウクライナから撤退し、戦争が終結するシナリオが考えられます。
このシナリオが実現するためには、ウクライナ軍がロシア軍の侵攻を食い止め、徐々に反撃を開始することが重要です。そのためには、西側諸国からの武器や資金の支援が不可欠となります。
武器の支援としては、対戦車ミサイルや対空ミサイルなどの防空兵器、そして砲兵や戦車などの攻撃兵器が重要です。資金の支援としては、ウクライナ軍の再編成や兵士の訓練に必要な費用が重要です。
また、ウクライナ国民の士気も重要です。ロシア軍に対する憎しみや怒りを原動力として、戦い続ける意志を持ち続ける必要があります。まさに、現状はこの通りとなっています。
一方、ルトワック氏は、戦争は双方の当事者が疲弊する前に中途半端に終わらせると、長期的な紛争状態や難民問題につながると指摘しています。そのため、ウクライナ戦争も、西側諸国が中途半端な介入を行うことで、戦争が長期化する可能性もあると考えられます。
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ルトワック氏 |
このシナリオが実現する可能性としては、西側諸国がウクライナに大量の武器や資金を供与することで、ウクライナ軍の戦闘能力を維持し、ロシア軍を圧倒しようとする可能性があります。しかし、この場合、ロシア軍も更なる兵力や装備を投入することで、戦争が泥沼化する可能性があります。
また、西側諸国がロシアへの制裁を強化することで、ロシア経済が崩壊し、ロシア政府が戦争を継続できなくなる可能性もあります。しかし、この場合、ロシアが核兵器を使用したり、ウクライナ国内でテロ活動を活発化させたりすることで、新たな危機につながる可能性があります。
このように、ウクライナ戦争の終結は、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘の行方と、西側諸国の介入の程度によって大きく左右されると考えられます。ルトワック氏は、戦争の現実を冷静に分析し、戦争の長期化や難民問題の発生を避けるために、戦争の当事国と国際社会が慎重な判断を下す必要があると主張しています。
ウクライナ、ロシア双方が疲弊していずれかで折り合いをつけなければならない時期はいずれ来るでしょう。
私は、ウクライナとロシアの和平交渉の中に、NATO軍のウクライナ駐留を認める条項を含めるべきと考えます。これは、ロシアによる再侵攻を抑止し、ウクライナの安全保障を強化するために有効な手段であると考えられます。
もちろん、NATO軍のウクライナ駐留は、ロシアと西側諸国の対立を激化させる可能性もあります。しかし、ロシアによる再侵略を許せば、国際社会の秩序が崩壊する可能性も高くなります。
そのため、ウクライナの安全保障を守るためには、ロシアとの対立を覚悟で、NATO軍のウクライナ駐留を認めさせるという選択肢も検討すべきだと思います。
具体的には、和平交渉の条項として、以下のようなものが考えられます。
- NATO軍のウクライナ駐留を認める。
- NATO軍のウクライナ駐留は、ウクライナの領土防衛を目的とし、攻撃的な行動をとらない。
- NATO軍のウクライナ駐留は、一定の期間(50年以上)を定めて行う。
この条項が合意されれば、NATO軍がウクライナに駐留し、ロシアによる再侵攻を抑止することができます。ウクライナが、ロシアに侵攻された領土をどのくらい回復するかは、その時の情勢に左右されるでしょう。また、NATO軍の駐留期間を一定に定めることで、ロシアと西側諸国の対立を長期化させないようにすることもできます。
もちろん、この条項が合意されるためには、ロシアの同意が不可欠です。しかし、西側諸国がロシアに圧力をかけることで、ロシアがこの条項を認めざるを得ない状況を作り出すことができるかもしれません。それには、ロシアのさらなる疲弊が鍵となるでしょう。
ロシアがウクライナにNATO軍を駐留させることを認めれば、ウクライナは新たなシナリオを描くことができます。それは、以前このブログでも述べたように、ウクライナの急激な経済成長です。
以前
このブログで試算した限りでは、開戦直前の年の状態をもとにして、ウクライの一人ありたのGDPが韓国なみになれば、それでウクライとロシア連邦のGDPは同程度になります。一人当たりGDPが台湾並になれば、ロシアを追い越すことになります。
そうして、ウクライナの潜在可能性(他の発展途上国にはない教育水準の高さや、宇宙・航空・IT産業含む多方面の産業基盤)をみれば、それは決して不可能とはいえないことがわかります。日本が敗戦のショックから立ち上がり、経済大国になったような道をウクライナは歩むべきです。
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高度経済成長した後の高層ビル群が立ち並ぶキエフの町並み AI生成画像 |
ウクライナはロシアのGDPを凌駕するシナリオを描きそれに向けて努力すべきです。これは、ウクライナがロシアに一部領土を占領されたままで、行われることになるかもしれませんが、日本も北方領土をロシアに占領されたままの状態で戦後の高度成長を実現しました。そうして、日本は今でも北方領土奪還をあきらめたわけではありません。
日本では、高度成長した後には、日本国内から当時のソ連の影響はほとんどなくなったといわれています。ウクライナもそれを目指すべきです。
そうして、それを実現できれば、ウクライナは自分の力で安全保障を実現することができます。さらに、EUやNATOに加われば、以上は決して夢物語ではありません。さらに、ウクライナと日本で、ロシア連邦を挟む形となり、世界の平和にも寄与することができます。
ウクライナへの支援や、ウクライナの復興は、こうしたシナリオのもとに実行されるべきと思います。ただ単に、費用とみるべきではなく、投資とみるべきです。近視眼的にみれば、失敗する可能性が高いです。
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