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2014年10月27日月曜日

焦点:首相周辺で消費増税延期が優勢、景気腰折れ懸念―【私の論評】恥ずかしくはないかい!日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者諸君!安倍総理に愛想づかしをされ、本音で話すのは外国のメディアのみになってしまったことを(゚д゚)!

焦点:首相周辺で消費増税延期が優勢、景気腰折れ懸念


ロイター本社

[東京 26日 ロイター] - 安倍晋三首相が年内に判断する消費税率10%への引き上げをめぐり、首相周辺で1年半程度の増税延期が望ましいとの意見が優勢になっていることが明らかになった。8%に引き上げ後の消費回復が思わしくなく、さらに増税すれば、実質所得の目減りが一段と大きくなり、消費を起点に景気が腰折れて税収が増えない事態を警戒している。10月に公表された米為替報告書でも同様の指摘を受けていることも視野に入っているもようだ。

「3%引き上げてわずか1年半後に、さらに増税する国が世界のどこにあるのだろうか」──。首相周辺では、消費税率の連続引き上げに対する警戒感が、このところ急速に台頭している。

今年4月の増税後、デフレ脱却を狙った日銀の量的、質的金融緩和(QQE)の効果もあり、物価の上昇幅が前年比で3%台となり、賃金の上昇が追いつかず、実質賃金の目減りが続いている。

もし、来年10月に再増税すれば、目減りの割来が今よりも大きくなり、所得増が消費を増やし、税収も押し上げるという景気の好循環が失われ、アベノミクスへの評価が一気に低下しかねないと懸念しているもようだ。

首相周辺の1人は「税収が上がり、経済の循環で回していかないといけない。私は引き上げに慎重だ」と述べている。 消費再増税をめぐっては政府・与党内でも意見が分かれており、麻生太郎副総理兼財務・金融担当相や谷垣禎一自民党幹事長、同党税調幹部らは、増税を延期すれば、海外投資家から財政再建が遠のくとみられ、長期金利が急上昇しかねない、と懸念する。

一方、首相周辺では、増税を延期しても、1年半程度であれば、財政への信認は維持され、日銀のQQE効果もあって長期金利が上昇する可能性は低いとみている意見が多い。また、今月15日に公表された米財務省の為替報告書が微妙な波紋を政府部内に投げかけている。「財政再建ペースは慎重に策定することが重要」と指摘し、金融政策は「行き過ぎた財政再建を穴埋めできず、構造改革の代替にもならない」との表現が盛り込まれた。

消費税について具体的な言及はなかったため、財務省関係者の間では「来年10月の消費増税ではなく、その先の再増税などについて慎重に、との意味だと思われる」(幹部)との解釈も聞かれる。   だが、ルー米財務長官は10日、国際通貨基金(IMF)の諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)開催を前に声明を発表。日本経済について「今年と来年は弱い状態が続く」と指摘し、「財政再建のペースを慎重に調整し、成長を促す構造改革を実行する必要がある」と主張した。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】恥ずかしくはないかい!日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者諸君!安倍総理に愛想づかしをされ、本音で話すのは外国のメディアのみになってしまったことを(゚д゚)!

この記事に関しては、内容的には何ら新しいことも何もなく、増税判断に関するまともな識者であれば、誰もが思っている常識的なことです。

景気が悪いとき、ましてやデフレのときには、中央銀行は金融緩和をすべきであり、政府は積極財政をすべきであるのは常識中の常識であり、この常識を破って経済が上向いたなどのことは、古今東西に例がありません。

無論、金融緩和や、積極財政と一口に言っても様々な方法があり、それを巡って意見が対立するなどのことは、あり得ますが、まともな中央銀行や、政府なら、不況や、ましてデフレのときに、金融引き締めや、緊縮財政である増税をするようなことはありません。あったにしても、それを実行した国々では全部失敗しています。

実際そのような国々では、全部失敗しています。ここ数年では、不況であるにもかかわらず、財政再建を目指して消費税増税して、イギリス、スペイン、ボルトガル、イタリアなどのEU諸国が大失敗しました。

結局、消費税税収があがっても、消費が落ち込み、所得税、法人税などが、かなり減り、これらを合わせると税収は増税前よりもかえって減りました。

この例は、数年以内のことですが、経済学という学問が成立して以来、不況のときに増税したり、政府の支出を抑え、緊縮財政をしたり、中央銀行が、金融引締めをして成功したためしなどありません。その逆は、成功しています。

これは、日本でもそうであり、江戸時代の幕府による、経済対策は、ほとんどの場合何かというの節約ということで、結局ほとんど成功したためしはありませんでした。その中でも、成功した対策もあり、それは無論のこと、今でいうところの、幕府による、金融緩和でした。

その他にも、日本では、80年前デフレがその原因であることが、1990年代の研究で明らかにされた、世界恐慌(日本では、昭和恐慌と呼称された)を当時の大蔵大臣でもあった、高橋是清が、金融緩和、積極財政で世界で一番先に、デフレから脱却することに成功しました。

これについては、昨日のブログでも掲載したばかりです。これに関しては、昨日も掲載しましが、このブログでも、紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!

この記事では、この事例のほか、先にあげた幕府の金融緩和政策の成功事例である、「宝永の改鋳」も掲載しました。この部分のみ以下に掲載させていだきます。
江戸時代中期に徳川吉宗が行った緊縮財政(享保の改革)により日本経済はデフレーションに陥いりました。そこで町奉行の大岡忠相、荻生徂徠の提案を受け入れ政策転換し、元文元年(1736年)5月に元文の改鋳を行いました。改鋳は差益を得る目的ではなく、純粋に通貨供給量を増やすことが目的でした。現在でいえば、日銀による増刷に相当するものです。
徳川吉宗は緊縮財政により、日本をデフレに陥れた
元文の改鋳は現在では、幕府初のリフレーション政策と位置づけられ、日本経済に好影響をもたらした数少ない改鋳であると積極的に評価されています。元文の通貨は以後80年間安定し続けました。江戸の経済対策というと、なにかといえば儒教思想にもとづく倹約道徳にもとづく、吉宗が行ったような緊縮財政であり、いわゆるこの事例のような、金融緩和策は数少ない成功事例の一つです。
このような、成功事例は、日本にかぎらず、世界にごまんと存在します。しかし、その逆は全くありません。財務省は、昨年の増税が決まる前に、世界中で増税で成功した事例がないかと随分探したようですが、そのような事例は皆無でした。

このような明らな事実が古今東西に存在にするにも関わらず、日本の政治家、官僚、マスコミ、識者(というより似非識者?)の大部分そうして、挙句の果てに、財界のトップクラスや、労働者の雇用を守る立場である、日本の左翼なども全く以上のようなことを知らないか、知ろうとしないか、あるいは知っていても、全く無視している状況にあります。

そうして、消費税増税をすることが、正しい道ということを心の底から信じ込んでいる、大馬鹿者も多数存在します。自民党の谷垣氏あたりは、その典型です。

だから、昨年あたりも、安倍総理や一部の安倍総理の側近などは、増税に消極的だったのですが、何しろ周りのほとんどが増税推進派であったため、政権維持のためなどに、やむなく増税を決めました。

その結果4月からは、かなり消費が落ち込み、せっかくの金融緩和の腰がおられて、雇用や消費などの指標の数値が、金融緩和をする以前の状況に戻ってしまいました。

しかし、これでも、増税派は性懲りもなく、つい最近まで、天気のせいなどにしていました。しかし、天気の影響など微々たるものであることは最初からわかっていることですし、最近は天気が悪くなくても、消費は落ち込み、景気は低迷するばかりです。

それでも、政治家、官僚、学者、識者、マスコミなどの大多数は、未だ増税に突っ走ろうとしています。まるで、気が狂ったか、認知症患者のようであり、安倍総理からしてみれば、話が全く通じません。

彼らに話しても、真意は理解しません。あるいは、理解しても是が非でも、増税に突っ走ろうとするばかりです。

今年も、再増税一色で、突き進むのかと思っていたところ、最近いろいろと風向きが変わってきました。

まずは、アメリカの財務長官が、増税に懸念を表明したということがあります。これに関しては、このブログにも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
消費増税 米もダメ出し 財務長官が「失望」表明―【私の論評】日本のマスコミが伝えない真実!ルー米財務長官吠える!日本の増税DQNどもをそのまま放置するな(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただものとして、ルー財務長官は、増税に対してはっきりと懸念を表明しています。

これは、国内では全く理解を得られない、安倍総理からすれば、渡りに船です。ただし、無論のことルー財務長官は、日本の増税懸念に関して、アメリカの国益を守るという立場から、懸念を表明しているということを忘れるべきではありません。

アメリカとしては、今後かなり軍事費を削減しなければならないことが、はっきりしているわけで、同盟国である日本が、経済的に落ち込み、失われた20年を繰り返し、今後経済的に振るわない状況が続けば、安全保証上に、大きな問題が生じることを懸念しているということが考えれます。

アメリカは利上げなども視野に入ってきている現在、今後金融緩和政策をいつまでも継続することはできず、景気が停滞する可能性が大きいわけで、そうなると、世界の金融市場にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。

現状では、中国の停滞は明らかであり、EUも良い状態ではなく、そうなると、世界的に景気が良くない状況が蔓延するわけで、その中で、最近まで順調に回復していた日本までが、落ち込めは、世界経済そのものが全体的に落ち込む懸念もあります。

それに、日本の経済が停滞すれば、TPP交渉にもかなり影響がでてきます。仮にアメリカに有利な状況で、交渉が妥結したにしても、日本経済が再び、デフレスパイラルのどん底に陥れば、日本への輸出も伸びないことが懸念されます。それでは、せっかくのTPPも意義を失います。

こんな、懸念を払拭するためにも、ルー長官は、日本に再増税を懸念しているのです。日本の再増税は、アメリカの国益にはあわないことであると考えているです。

そうなると、アメリカのマスコミは、日本の朝日新聞などをはじめとする、マスコミとは正反対であり、少なくとも自社がアメリカの国益のになるとみなすことに立脚して、報道をしますから、再増税に対して懸念をするという立場からの報道になります。

だから、安倍総理は、最近は、フィナンシャル・タイムズやねロイターなどの外国のメディアに対して、インタビュー記事を掲載するように方向転換しています。

これについては、以前の述べたことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!
フィナンシャル・タイムズの電子版は19日、安倍総理が
イタリアを訪問中に行ったインタビュー記事を掲載した。

この記事の元記事は、イギリスのフィナンシャル・タイムズが安倍総理に対して、インタビューした内容をロイターが掲載したものです。

詳細に関しては、この記事をご覧いただくものとしして、イギリスに関しては、付加価値税(日本の消費税にあたる)増税にものの見事に失敗したという苦い経験があるため、イギリスの経済紙である、ファイナンシャル・タイムズは、安倍総理の考えを良く理解できると考えらます。

そうして、安倍総理は、先に述べたように、気が触れているか、認知症てあるかのような、日本のメディアに対して、安倍総理の考えを述べたにしても、結局増税推進の立場から記事を掲載することになるだけであると考えているのだと思います。

奴らは、そううち全国民から愛想を尽かされるかもしれない・・・・

フィナンシャル・タイムズに独占インタビューさせたのはこうした安倍総理の明確な意図によるものです。これは、消費増税について日本のマスコミは使わないというメッセージでもあります。

そうして、これは、一体何を意味するのでしょう。

そうです。安倍総理は、再増税一色に固まっている、日本のマスコミ、政治家、官僚、左翼、似非識者たちには、何を話しても無駄であると判断したのです。平たくいえば、彼らに愛想をつかしたのです。

愛想をつかされた、彼らにこういいたいです。「一国の総理大臣から、完璧に愛想をつかされて、恥ずかしくないのかい!そのうち、全国民からも愛想をつかされることになるよ」と・・・・・・・・・。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【追記】

ブログ冒頭の、ロイターの記事に関する、経済評論家上念氏のツイート。

【関連記事】

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2014年9月21日日曜日

財務相、G20で財政再建約束 消費税10%「年内に判断」―【私の論評】日経新聞を読んで、消化不良をおこした!やはり、日経新聞を読むと日本経済がわからなくなるというのは本当だった(゚д゚)!

財務相、G20で財政再建約束 消費税10%「年内に判断」

日経新聞より

主要20カ国・地域(G20)による財務相・中央銀行総裁会議は20日、初日の討議を終えた。麻生太郎財務相はG20各国に対し、消費税率10%への引き上げは「経済状況を総合的に考えて年内に判断する」と表明。財政再建に向けた取り組みを着実に進めると約束した。

麻生財務相が討議終了後、記者団に明らかにした。財務相は討議で、仮に消費税を10%に増税しても基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が解消されない厳しい財政状況を説明。「黒字化を達成するための新たな計画を準備する必要がある」と述べた。

今回のG20は欧州を中心に世界経済の下振れリスクへの対応が最大の焦点。初日の討議では世界経済の減速が強まっていることを背景に、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見が出た。

米連邦準備理事会(FRB)が来春にも政策金利を引き上げる可能性が高まっていることについては、新興国から急速な資金流出を警戒する意見が出た。


注)上の記事で太文字は、ブログ管理人が施したものです。


【私の論評】日経新聞を読んで、消化不良をおこした!やはり、日経新聞を読むと日本経済がわからなくなるというのは本当だった(゚д゚)!

上の記事をご覧になって皆さんは、どう思われたことでしょうか。何やら、私は非常に消化不良をおこしたような不愉快な気分がしました。

麻生財務大臣は、消費税増税をして、財政再建をするということを語っています。その一方で、G20においては、上の記事にもあるように、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見が出たとしています。

このあたりをきちんと説明しないから、何やら日経新聞の記事は消化不良をおこしたような印象を与えるのだと思います。

なぜ、欧州が低成長とデフレへの懸念が深刻化しているかといえば、この記事を読んでいるだけでも、推測できるように、財政出動をしなかったからです。

実際、EUで諸国では、景気が落ち込んでいにもかかわらず、財政出動をしなかった国が多くあります。また、欧州銀行も欧州全体で財政出動をするということもできていないということもあります。

実際、イギリス、イタリア、ポルトガル、スペインなどの国々では、不景気であるにも関わらず、財政出動をしないどころか、その逆の緊縮財政をやってしまいました。

何をやったかというと、国によって税の呼び名は違いますが(イギリスでは付加価値税)、結局消費税増税を実施してしまい、大失敗してしまったのです。

これは、特にイギリスに関して以前このブログでも掲載したことがありますので、そのURLとグラフを以下に掲載します。
【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!




イギリスでは、2010年に、財政再建を目指して、付加価値税(消費税)の大増税を実施しましたが、その結果、景気が落ち込み、特に若者の失業率が異常に高くなったため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀に相当)が大規模な金融緩和を行いました。

それでも、しばらく景気は良くならず、法人税・所得税の税収は低下、付加価値税も増税前の水準より低下しました。本当に大失敗です。

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、グラフを見ただけでも、イギリスの付加価値税の増税は大失敗だったことがはっきり認識できます。

以下に、最近の動向も含むイギリスの経済成長率の推移のグラフを掲載しておきます。

2
010年の付加価値税増税のときには、成長率が大幅に減少しています。12年にはプラスに転じたようですが、13年には再び低下、14年度はもとに戻りそうな気配もありますが、リーマン・ショック以前の水準には戻るかどうかはわかりません。

これは、イギリスの例ですが、他国も似たような状況で、現在では結局のところ景気が低迷したときに、財政再建を目的として、増税することは誤りであるという、ごく常識的な考えが優勢を占めるようになっています。

だからこそ、G20ても、上の記事ででわざわざ太線を施した、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見が出たのです。

こんな背景は全く説明しないので、本当に上の日経新聞の記事は、ただ読んでいると消化不良をおこしてしまいます。

上の記事を簡単にまとめてみると、日本の財務大臣は、デフレ下にある日本では、緊縮財政である増税をして、財政再建に向けた取り組みを着実に進めると語っているのにもかかわらず、欧州においては、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動(:減税、給付金、公共工事の実施など)を求める意見がだされたということです。

なにやら、日本の財務大臣の意見は、この意見とは異なっているようです。

このことを説明しないから、何やら消化不良というか、やはり日経新聞を読んでいると日本経済が見えなくなってしまうのだと思います。

以下にクイズをだせていただきます。

低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見があります。この意見が正しいものとして、以下の設問にお答え下さい。

日本では長年デフレに悩んでいます。この日本においては、政府は、財政出動と緊縮財政のどちらの政策をとるべきでしょうか?

もう、答えは、明らかです。高校生以下でも答えられるレベルだと思います。

上の記事を書いた、日経新聞の記者は、この質問には正しい答えられないのだと思います。

それは、この記者が馬鹿だからでしょうか?それとも、何か他の意図があるのでしょうか?

この質問に答えるのは意見難しいようにもみえますが、これも簡単です。何か他の意図があるからです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年5月17日土曜日

【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな―【私の論評】ハイウエスト・ビキニが流行る今年は景気は落ち込むかもしれない! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを忘れるな(゚д゚)!

【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな

景気が上向くと、ビキニなどの水着の面積が小さくなるとか?

内閣府が公表した4月の景気ウオッチャー調査について、景気判断の現状が大きく落ち込んだ一方、先行き判断の上昇は過去最大となったとの報道もあった。消費税増税後の景気の落ち込みは一時的と考えてよいのか、それとも今後も懸念すべき材料はあるのだろうか。

・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・

先行き判断は政権交代のあった2012年12月に51・0と50を超えたあと、13年12月の54・7まで、いい状態であった。しかし、1月49・0、2月40・0、3月34・7と急落した。3カ月間の下落幅20・0は、統計を取って以来最大の下げ幅だ。その反動で、4月の指数が跳ね上がったとみるべきだ。

増税後の景気の動向を占うのは、正直言えば現時点では難しい。消費税導入の1989年と5%に引き上げられた97年を見ても、それぞれ4月の増税後、6カ月程度は消費税増税の影響はあまり現れなかった。

しかし、6カ月をすぎるあたりから、両者の景気動向には差がつき始める。増税時の景気動向指数を100とすると、1年後になると、89年増税時には103・0、97年増税時には92・6と大きな差がついた。こうしたデータから、本当に見極めがつくのは、少なくとも6カ月超から1年後である。

景気ウオッチャー調査の先行き判断が6カ月後の景気動向指数の予測に有効であるとしても、現段階ではあと1、2カ月先にならないと判断するのは難しい。その無理を承知の上で、景気動向指数の動きを大胆に予想すると、今のところ、97年増税時に近いような感じだ。

「増税後の落ち込みは一時的」「想定内」という報道があるが、これは政府や日銀官僚からのリークだろう。彼らが事前にどのような想定をしていたのかわからないので、そうした見方が妥当かどうかも判断困難だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ハイウエスト・ビキニが流行る今年は景気は落ち込むかもしれない! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを忘れるな(゚д゚)!

さて、上の記事の冒頭には、ビキニのミズキの女性の写真をあげました。なにやら、世の中には、ビキニ等の水着の面積が小さくなると、景気が良くなるという説があるそうです。

なぜそうなるかといえば、一つは気分の問題です。好景気の時は消費心理が上向きになって、開放的な気分で大胆になると考えられます。

もう一つは、経済的な理由です。景気が良くなると財布の紐もゆるくなって、女性はボディケアにお金をかけるようになります。アンケートによるとビキニ姿に自信があるが13%ぐらいで、自信が無い人の理由が体が引き締まっていないということだそうです。しかし、懐具合がよくなるとボディケアにお金をかけられるので、パーフェクトなボディになってビキニに挑戦できるようになるということらしいです。
昨年の三愛の水着
ところで、昨年の水着の傾向は春ぐらいからかなり小さめのビキニが流行るといわれていて、実際小さめのビキニが売れていました。まさに景気がよくなっていたので、昨年の夏はビキニが売れるたという流れになっていたと思います。

景気がよくなると男性の懐具合も良くなってくるので、女性との遊びも派手になっていく傾向があるので、ビーチでナンパする時も露出度が高い女性の方が目立つので、ナンパされやすいという意味でも露出度の高い水着が流行るということも考えられます。

2014年、今夏の水着の二大キーワードは、「バンドゥビキニ」と「ハイウエストビキニ」。「バンドゥビキニ」とは、ブラがチューブトップタイプのビキニのこと。チューブトップ (tube top) は腋より下の部分を包む、袖なし・筒状のノースリーブの衣類のことです。落ちるのを防ぐため、ゴムひもなどで胸の上の位置できつく止めます。Twitterでキーワード検索をすると、女性から「かわいい」「欲しい」との声、多数上がっています。

バンドゥビキニ
一方の「ハイウエストビキニ」は、その名の通り、ハイウエストのショーツが特徴のビキニ。布面積が多めの50年代風デザインで、露出が少ない分、ビキニはちょっと…という女性でも抵抗なく着られそうです。こちらのほうはネット上ではあまり評判が良くはありません。

ハイウエストビキニ
景気ウォッチという側面からいうと、バンドゥ水着はあまり問題はないと思いますが、ハイウエストビキニは、明らかにボトムの面積が大きくなっているということから、問題ありです。これは、ハイウエストのジーンズ等のパンツからの流れのようですが、それにしても、ハイウエストのパンツが流行り、それが水着にまで進出してくるなどのことは今まではなかったことです。

これは、今年は景気が悪化するという前兆なのかもしれません。私としては、下の動画までいかなくても良いですから、やはりハイウェストではなく、面積が小さめのビキニが良いです。



景気が良くて、バブルになるとこんな水着が流行るのでしょうか、過去の事例では、さすがにマイクロビキニは流行りませんでしたが、バブル期やその直前にはハイレグ水着ははやっていました。


マイクロビキニまではいかなくても、せめて景気が良くなってハイレグ水着が流行る時代が来て欲しいものです。

さて、少し話が脱線してきたので、元に戻します。

上の高橋氏の記事は正しいです。実際、97年の増税後、98年になってから自殺者が2万人台から3万人台へと大幅に増えています。そのグラフを以下に掲載します。日本がデフレに突入したのは、5%増税をした1997年からなのですが、実体経済への最大の影響とみられる自殺者数が大幅に増えたのは、増税した次の年からです。


考えてみれば、判る話です。増税による影響が、すぐに出るなどのことはあり得ません。自殺者が増えたのは、デフレによる経済の悪化によるものが大きな原因とされています。これは、現在の日銀副総裁の岩田氏も認めていますし、他の多くの経済学者でも認めている人は大勢います。

たとえば、経済的なことが理由で自殺に至るにしても、最初は蓄えを崩すとか、人からお金を借りるとか、なんとかしていても、それでもどうにもならなくなり、進退窮まって最終的に自殺を選ぶということになるので、増税した直後に自殺者が増えるということにはならなかったのだと思います。

これは、自殺者数の推移について述べていますが、他でも同じことだと思います。たとえば、店をやっていても、増税後に客数が減ったとしても、多くの人が、最初は一時的に客が減っただけかもしれないと考えますが、半年、1年経つと、これは一時的ではなく、これからもずっとお客が減ると考え、本格的に仕入れを減らしたり、節約をはじめるという具合です。

財務省や、多くの白痴自民党議員は、こんなわかりきったことでも、増税後半年くらいであまり影響がないということにでもなれば、「8%増税で影響なし、次は10%増税も視野に入ってきた」などと言い始めるし、新聞などでも報道されると思います。

それとともに、財政赤字1000兆円を超えたので、増税しなければならないとか、次の10%増税に向けての前準備をすることと思います。これは、徹定期的に不味いです。

過去の2回の増税では、結局増税前よりも税収が減っています。今回の増税も結局そうなりそうです。

財政赤字を減らすというのなら、本来は増税などせず、金融緩和と積極財政をすることです。そうして、デフレを脱却して、さらに景気を良くすることです。こんな判りわかりきったことが、できない多数の与党自民党議員は、白痴といわれても仕方ないと思います。

白痴議員は、頭がなく財務省の官僚のいわれるがままです。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言があります。これを最初に語ったのは、ドイツの名宰相であるオットー・ビスマルクということになっています。

オットー・フォン・ビスマルク

しかし、彼が本当に語ったのは、
愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。 
Nur ein Idiot glaubt,aus den eigenen Erfahrungen zu lernen. Ich ziehe es vor,aus den Erfahrungen anderer zu lernen,um von vorneherein eigene Fehler zuvermeiden.
ということだそうです。

しかし、それより「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉のほうが人々によく知られていています。格言などは時間の経過によって、取捨選択された人々の智慧ですから、冒頭の言葉の方が、格言としてふさわしいと思いますし、実際そうなのだと思います。

今の大多数の自民党議員は、まさしく経験に学ぶことばかりしていて、歴史に学ぶということをしていないのだと思います。

今のタイミングで増税が駄目な理由は、古今東西の事例を見れば良くわかります。

たとえば、このブログでも掲載したように、世界で一番はやく金融恐慌によるデフレから脱却した高橋是清のリフレ政策などがその良い実例です。

高橋是清のデフレのときに、金融緩和と積極財政をするというのは、マクロ経済学では常識であり、デフレのときの施策としては、ごくまともな政策です。過去を良く振り返ってみれば、デフレや不況のときに増税して成功したためしはありません。

これは、日本の過去においてもそうですし、海外でも同じです。たとえば、イギリスでは、現在の日本とは順番が逆ですが、大幅増税してから、景気が落ち込み、大金融緩和をしたにもかかわらず、なかなか景気が上向かず、税収も上がらなかったという例もあります。

それよりも、なによりも、こんなに長期間デフレであるのは、今の日本だけです。他国ではそんな事例はありません。
【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!
 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、イギリスが2011年時点で、財政再建を目的として、付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅に引き上げた結果、景気が低迷し、雇用、その中でも若者の雇用が著しく悪化したため、これに対応するためイングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)が、大金融緩和を実施したものの、なかなか景気が回復しなかったことを掲載しました。

これらの事例をふりかえると、不況、ましてやデフレのときには、増税など全くの間違いであることが良く理解できます。

高橋是清の政策は、良くリフレ政策と呼ばれますが、実は私はこの呼び方は大嫌いです。デフレのときに、金融緩和や積極財政をするのはあたり前のど真ん中であり、普通の政策であり、これをわざわざリフレ政策などと呼ぶ必要はないと思います。

そんなことより、過去の日本の経済対策をみれば、増税によりデフレになったにもかかわらず、日銀は金融引締めを行い、ますますデフレを加速させ、昨年には日銀がインフレ政策に転じ、やれやれと思っていたら、その翌年には増税です。日本の過去の経済政策は、まさに゛「デフレ政策」というにふさわし政策ばかりでした。

なぜこんなことになるかといえば、自民党をはじめとする日本の政治家のほとんどが、白痴なみであり、自分の経験したこと(財務省の官僚から聴いたことも含む)だけを拠り所として、過去の歴史から学ぼうとしないからです。

こんなことをいつまでも続けていれば、日本はいつまでもデフレから脱却できず、また自殺者も増えるだけです。デフレは、国民を塗炭の苦しみに追いやるばかりで、何も良いことはありません。無論、政府にとっても日本国にとっても良いことは何もありません。

自民党議員は、自分たちは政権与党の議員であることを認識して、過去の歴史に学び、デフレ政策をやめるべぎです。やめられないというのなら、議員を辞めるべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年1月6日月曜日

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 ―【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

高橋洋一・嘉悦大教授が占う2014年の日本経済 消費増税で成長鈍化は必至 
2014.01.06
高橋洋一氏
1年前の夕刊フジ新春特別号に書いた2013年の経済見通しに関する記事を読み返してみると、「安倍政権の誕生でデフレ脱却が加速」「夏場までに日経平均株価は1万2000~1万5000円」「為替は1ドル=100円程度」と予測していた。当時、アベノミクスの金融緩和について、財政破綻になるとか、金利が急騰するなどと間違っていた学者や評論家は多かったが、13年7~8月の株価は1万3600~1万4800円、為替は1ドル=96~101円だったので、筆者の予測はほぼ的中したといえるのではないか。

今年もそこまで期待されているとなかなか厳しいが、足元のトレンドと財政政策から定量的に判断するなら、14年度の経済成長率は13年度より鈍化するだろう。マイナス成長になる可能性も、かなり少ないものの排除できない。元凶はもちろん4月から消費税率が8%にアップすることだ。増税とセットで実施予定の経済対策やアベノミクスをもってしても、景気悪化は避けがたい。

実質経済成長率を見てみると、13年度は消費税増税前の駆け込み需要も加わり2・7%程度で着地しそうだが、増税が実施される14年度の成長率をどう見るか。政府は1・0%、日銀は1・5%、民間シンクタンク11社は0~1・6%とばらついているが平均は0・7%だ。

筆者はマイナス0・1%~プラス0・9%とみている。金融政策によって実質2%成長は確保されているが、増税前の駆け込み需要の反動減でマイナス0・7%、さらに増税の悪影響がフルに出るとマイナス1・3%程度とみる。

幅をもたせているのは、政府の出方がわからないからだ。今のままの5兆円程度の財政対策なら、0%程度で最悪はマイナスもありえるだろうが、追加財政対策や追加金融緩和があれば、景気の鈍化は和らげられる。

こうした経済状況では、株価は今年前半のような爆発的な上昇はあまり期待できない。夏場までは1万4000~1万8000円程度だろう。20年の東京五輪開催は面白いテーマだが、14年中に実現する話は少ない。

為替は、米FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和がどこまで続くか次第であるが、14年夏までに1ドル=100~110円程度ではないか。

消費税率10%への引き上げは15年10月に予定されているので、半年前の15年4月が決断のデッドラインだが、通常国会を考えると、14年末にも判断することがあり得る。14年の景気があまり芳しくないとみられることや、さらに15年9月に自民党総裁選があることを考えると10%への増税はスキップされる可能性もある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】高橋洋一氏の読みは正しい、なぜなら先行事例がかなりあるから!!ただし、経済が伸びないからといって、安部総理を個人攻撃すれば中国・韓国、マスコミの思う壺(゚д゚)!

私は、高橋氏が語っているように、政府がどうでるのかわからないので、まだ何ともいいようがないですが、今年の経済は、高橋氏の言うとおりの展開となると思います。要するに、思ったほど伸びません。

なぜなら、それは先行事例があまりに多すぎるからです。昨年は、世界中の国々で、景気が良くなくて、財政赤字を削減しようとして、増税し国々は軒並み、全部失敗しています。だから、まともな経済学者や、識者の間では、不況に陥り、財政赤字が目立ったにせよ、まずこのような場合は、経済成長を優先させるべきであり、財政赤字を削減するために増税などすべきではないという認識が高まっていました。

一番顕著な例はイギリスです。昨年は、一昨年とこのブログでは、イギリスの経済の悪化について掲載しており、そうして、イギリスの事例から日本でもデフレの最中に増税するは、全くの間違いであることを主張してきました。

まず、以下にそれらの記事のURLを掲載させていただきます。
【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!(一昨年7月18日の記事) 
五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?(一昨年8月2日の記事)
 
【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!(一昨年8月13日の記事)
 

さて、詳細はこれらの記事をご覧いただくものとして、これらの記事では、イギリスでは不況のため、財政赤字が目立つようになり、この財政赤字を減らすために、2011年に付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅増税しました。

そうしたところ、経済はさらに落ち込み、雇用も悪化しました。それも、特に若者雇用がかなり悪化しました。これに対処するべくイギリスの中央銀行(日本の日銀にあたる)である、イングランド銀行は、大規模な金融緩和策を実施しました。そうして、この金融緩和によって、イギリスはハイパーインフレになるなどといわれましたが、そのようなことにはなりませんでした。

しかし、それにしても、2012年の段階では、イギリスの景気は回復せず、財政赤字を削減するために、付加価値税を増税したにもかかわらず、税収は増えるどころかかえって減って、2012年の時点では、財政赤字の削減の目処もたちませんでした。

さすがに、昨年の2013年になってからは、景気がある程度回復しましたが、それにしても、問題は山積しています。このように、不景気のときに、財政赤字幅が増えたからといって、経済成長政策ではなく、増税をしてしまえば、失敗するという格好の事例になっていました。

こういう先行事例があるにもかかわらず、この先行事例が日本では、ほとんど顧みられず、財務省も、政治家も、マスコミもこぞって、財政赤字を減らすため、増税するのは当然のことという論理で、今年4月から増税を決めてしまいしまた。

そうして、このような事例は、イギリスだけにはとどまりませんでした。EUでは、イギリスの他にも、イタリア、スペイン、ポルトガルで、不景気で、財政赤字が目立ったということで、財政赤字を削減しようと、増税しました。ことごとく全部失敗しました。これに関しては、昨年のこのブログでも紹介させていただいたので、その記事のURLを以下に掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとてして、この記事では、イギリス、スペイン、イタリア、ポルトガルが、財政赤字を削減しようとして、増税してすべからく全部失敗していることを掲載しました。

そうして、あろうことか、このような失敗事例があるにも関わらず、内閣府が出した経済白書においては、この事実が隠蔽されてること、特に、増税後どうなったかをはっきり公表していないという異常事態について掲載しました。本当にとんでもないことです。

このような先行事例、事実をオブラートに包んわからないようにして、日本も増税しても、景気に影響がないかのような、内容を掲載していました。これは、事実を曲げるとんでもないものでした。本当に、昨年の経済白書は、バカか工作員の未来日記なのかと誹られても、言い訳できないような内容でした。

こうした事例については、財務省も、マスコミも、政治家もほとんど問題にするということはなく、結局増税に突っ走ってしまいました。

特に、イギリスの事例は、増税した後に、金融緩和といことで、日本とは少し違います。日本の場合は、昨年の4月より、異次元の包括的金融緩和をしました。そうして、今年の4月に増税します。丁度、順番がイギリスとは反対です。金融緩和をした、昨年は、上の記事高橋氏も言っていたように、経済はかなり回復しました。

しかし、今年4月から増税すれば、増税下の金融緩和ということになり、イギリスと同じような状況になります。これは、悪くなるとみるのが当たり前です。

どう考えてみても、増税はかなり景気に悪影響を及ばします。おそらく、政府が5兆円の経済対策しか行なわなければ、景気の伸びは今年よりも鈍化するのは、必定です。おそらく、高橋洋一氏の予想する通りになることでしょう。

上では、EUの例をあげましたが、実は先行事例として、素晴らしい例があります。それは、何かといえば、日本の事例です。これも、このブログでは、何回か紹介させていただきました。



簡単に述べると、約80年ほど前に、世界恐慌があったのはご存知だと思います。この、世界恐慌の原因は、深刻なデフレであったことが、1990年台の研究で今では明らかにされています。日本も、当時アメリカの金融恐慌に影響を受けて、深刻なデフレに陥っていました。日本では、この大恐慌を昭和恐慌と呼んでいました。

こうしたときに、日本は、何にをしたでしょうか?それは、当時の大蔵大臣である高橋是清による、今でいうところのリフレ政策でした。そうです。増税など一切していません。金融緩和をと財政支出政策を同時に行ったのです。そうして、金融緩和を行っても、ハイパーインフレになることもなく、国債が暴落したということもありませんでした。それどころか、日本は、いち早く昭和恐慌から脱出しました。当時、日本は、世界で一番早く、世界恐慌から脱出しました。世界で日本だけが、大東亜戦争の前に恐慌から脱出することができました。これは、日本が世界に誇るべきことだと思います。

今の日本では、日本の英雄高橋是清のことは、顧みられていない

アメリカが金融恐慌から脱出できたのは、大東亜戦争がばじまてから、数年経てからのことでした。

日本にはさらに新しい、事例があります。それは、多くの方々がご存知のように、小泉政権の時に増税なしでほぼ財政再建したという事実があります。このときには、金融緩和のみによって、あとわずかで、日本はデフレから脱却できそうなところまでいきましたが、残念ながら、小泉政権の後の第一次安倍政権のときに、日銀が金融引き締めに転じて、せっかくの金融緩和の成果が雲散霧消して、日本はまたまた、デフレスパイラルの泥沼に落ちこんでしまいました。

このような先行事例があったにも関わらず、日本では、昨年デフレの最中の増税という愚かなことを決定していまったのです。まさに、愚かしいとしか言いようがありません。

しかし、ここで、さらに日本を悪くさせないために、敢えて一言付け加えさせていただきます。増税を決断したのは、無論最終的には、安部総理です。こんな、愚かしいことをする総理大臣なら切ってしまえなどということは、夢々思うべきではないということです。

安部総理は、自民党や、財務省などか、増税決まりというようなことを言っていたときも、はっきりとは意思表示せず、10月に入ってから慎重に発表を行いました。安部総理は、おそらく、上記の先行事例のことなど、良く理解されていると思います。他の、自民党の幹部などが知らなくて、安部総理だけはご存知だったと思います。

しかし、昨年の10月の時点で、増税見送りを決めてしまえば、世論の支持は高まるでしょうが、絶対に増税しなければならないなどと、財務省に吹き込まれて信じこんでしまっている、多数の自民党の議員を納得させ、支援を得て、安倍政権を長期政権化することが不可能になってしまいます。そうなれば、次の総裁選に立候補することすらできなくなってしまう可能性が大です。

だから、こそ、安部総理は、百害あって一利なしの増税に踏み切らざるをえなかったのです。これに関しては、本人も、苦渋の決断であったと述懐しています。本当にそうだったと思います。

今年、増税すれば、当然経済は悪化し、腰折れします。しかし、それは、承知の上で、安倍政権を長期政権化するために、妥協をしたのです。安倍長期政権が成就すれば、次の増税10%は阻止できる可能性が高まります。増税しても、なるべく経済が悪化しないようにしつつ、最終的にはアベノミクスで経済を良くしようと考えているのだと思います。

安部総理

麻生財務大臣は、年初そうそう、10%増税に言及していますが、日本経済が未だデフレから回復しきっていない状況で更に増税してしまえば、日本はとんでもないことになり、またまた、デフレスパイラルの泥沼に落ち込み、とんでもないことになります。財務省は、増税さえすれば、自らの省益を高めることができますから、全くおかまいなしです。日本がどうなっても、自分たちの省益さえ強まれば、それで良いのです。なぜ増税して、財務省の省益がたかまるかといえば、財務官僚の歳出権を拡大できるからです。こういう視点でとらえれば、増税は、歳出権拡大の実践であり、財政再建が遠のくのも当然のことです。

とにかく、消費税10%ということにでもなれば、日本は、失われた20年が、40年になるということになることでしょう。これから、先20年もさらに、デフレに悩まされ続けることになります。そうして、日本が弱体化すれば、マスコミは大喜びだし、最も喜ぶのは、中国です。日本がデフレに落ち込み、円高になれば、また中国は、日本の富を利用して、経済発展できる可能性が高まります。

そんな馬鹿なことにならないためにも、安部総理には頑張っていただかなけれはなりません。今年の課題は、10%増税絶対阻止です。そうして、できうれば、増税しても、財政出動5兆円に終わらせことなく、もつと多くして、経済の落ち込みを防ぐべきです。そのようにして、増税の悪影響を削減すべきです。

これらが、今年の大きな課題となると思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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消費税増税すれば「ショックはかつての比ではない」 浜田宏一氏が経団連で講演―【私の論評】三党合意したからなどとして、増税などすべきではない、すればすぐに株価も落ち、円高となり、若者雇用も悪化し大失敗はすぐ明らかになる(゚д゚)!

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2013年11月16日土曜日

重要なのはアベノミクスの第1の矢だ:JBpress (日本ビジネスプレス)―【私の論評】第三の矢などずっと後回しで良い!そんなことよりも、デフレ脱却が最優先課題であり、そのために一番重要なのは金融緩和である!似非ケインジアンにだまされるな(゚д゚)!

(2013年11月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

安倍晋三首相が日本の経済的活力を取り戻す計画を公表してから1年経った今、大規模な金融拡張という首相の第1の矢は、誰も想像できなかったような早さで飛んでいる。急激に円安が進み、株価は上昇した。インフレの炎がどれだけ続くかについて疑問はあるものの、消費者物価上昇率は1%に向かってじわじわ上昇している。

今年上半期には、日本経済は年率4%という見事なペースで成長した。誰も、何年もこんなことは見たことがない。

アベノミクスの推進者安倍首相

第3の矢は別問題だ(「機動的」な財政政策という第2の矢は、支出を拡大した後、縮小することになるため、ここでは除外する)。第3の矢である構造改革は、仮に放たれたとしても、身が入らない状態で放たれた。そして、本当に重要なのは第3の矢だ、というのが大方の意見だ。潜在成長力を高めるための改革や規制緩和がなければ、アベノミクスは次第に弱まり、経済は振り出しに戻ってしまう、というわけだ。

だが、大方の意見に反して、安倍首相の第3の矢は矢筒の中にある最も重要な武器ではない。その栄誉は第1の矢のものだ。誤解のないように言えば、日本が構造改革を通じて生産性を向上させる必要があることを疑う人は誰もいない。それが必要のない国などない。

15 年のデフレから脱却することこそがアベノミクスの神髄

しかし、アベノミクスについて本当に急進的なのは、日本を15年に及ぶデフレから解放するための大胆――無謀と言う人もいる――な賭けだ。

日本は初めて、中央銀行は特定のインフレ目標を達成できる――そして達成する――と話す総裁をいただいている。日銀は長年、中央銀行にはそうするだけの力がないと強く示唆し、日本の救いは構造改革にあると言ってきた。

言い換えれば、アベノミクスの斬新さは、金融政策を取り戻すところにあるのだ。

2%のインフレを達成することは万能薬ではない。債券利回りが制御不能なほど上昇し、債務の返済を難しくするようであれば、この目標達成は危険を伴う可能性もある。インフレがそれだけで、いかにして労働参加率を押し上げ、コーポレートガバナンス(企業統治)を改善し、女性を自由にし、日本をもっとオープンにするのかという、根本的な問題を解決するわけではない。

だが、デフレ退治は最低必要条件だ。デフレは20年近くにわたり、有害な影響を及ぼしてきた。過去の債務、特に公的債務は、債務を軽減する物価上昇という魔法がなかったために、ずっとシステムにまとわりついていた。

デフレは、アニマルスピリッツを籠に閉じ込め、銀行に融資を思いとどまらせる一方、企業と個人に借り入れや投資を思いとどまらせてきた。デフレ退治よりも構造改革を優先することは、たった今心臓発作で倒れた人に向かって、低脂肪の食事療法にすることが先決だと言うようなものだ。

重要だが、時間がかかる構造改革

この見方には反論がある。1つは、これが二者択一の問題ではないというものだ。第1の矢と第3の矢は、同時に配備できる。安倍首相は、政治的資本を持っている今のうちに、矢を放つべきだという。

外国人は、安倍首相が真剣であることを示す証拠として構造改革の兆候を見たがっている。これが、大衆薬をインターネット上で販売する計画が骨抜きにされたことに非常に大きな失望が広がった理由だ。

マウスをクリックして風邪薬を注文できることが経済を回復させることになると真面目に考える人は誰もいない。だが、投資家は象徴的なものを重視する。安倍首相が、リスクを嫌う医師や従来型の薬局と戦うことができなければ、もっと幅広い改革について、どんな望みが持てるだろうか?


実際には、安倍首相の構造改革はこれまでの政権の改革案を焼き直したものだ。首相自身は改革の重要性を強調しているが、これは部分的には、アベノミクスが本当は何なのかということから注意をそらせる狙いがある。つまり、紙幣を増刷し、円を切り下げることだ。

小泉純一郎元首相は10年前、経済活性化の名の下に「聖なる牛を虐殺した(聖域にメスを入れた)」が、今でも多くの牛がまだ楽しく反芻している。

48ページに及ぶロードマップと37項目にわたる産業再生などでいっぱいの全94ページの安倍首相の計画は、あらゆる政策手段を網羅している。ただ、悲しいかな、これは壮大なビジョンを示すものでもない。

・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・

アベノミクスにできる最善の貢献

日本社会を変えるための強力な後押しが出てくる可能性は小さい。社会的保守派の安倍首相は19世紀への郷愁の念が強すぎて、日本を猛然と21世紀へと推し進めることはないだろう。それを除くと、目の前にある根本的な課題は、デフレを退治し、日本をより持続可能な財政の軌道に乗せることだ。

それが日本の問題をすべて解決するわけではない。だが、絶対不可欠な第一歩になる。恐らくそれがアベノミクスにできる最善の貢献だろう。

【私の論評】第三の矢などずっと後回しで良い!そんなことよりも、デフレ脱却が最優先課題であり、そのために一番重要なのは金融緩和である!似非ケインジアンにだまされるな(゚д゚)!

上の記事、ほぼ正解なのですが、なにやらヌタヌタした書き方で、あまりはっきりしません。要するに、まともなマクロ経済学的な立場からいえば、デフレなどの不況のときは、まずは何といっても金融緩和政策が最重要だということです。煎じ詰めれは、上の記事はこれだけの内容です。

当たり前のど真ん中です。何も新しいことはありません。現状の日本は、デフレなのですから、成長戦略、構造改革などよりも、まずは大々的金融緩和を行わなければならないです。その次に財政政策を実施すれば、成長戦略や構造改革などすぐにしなくても、デフレは回復します。というより、政府主導、すなわち官僚主導でへんてこりんな、構造改革など大々的に実施しても、何も良いことはなく、かえってデフレ脱却の足をひっぱるだけです。まずは、金融緩和をしてデフレから脱却すべきです。

上の記事、日本の来年の4月からの増税についての内容が全くないのが、バランスを欠いていると思います。イギリスは、2011年に財政赤字を縮小することを目的として付加価値税の大々的な増税を行いました。その結果、景気がさらに落ち込み、若者の雇用が極端に悪化して、暴動などが発生しました。この若者雇用を改善すべく、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)は、大々的な金融緩和を行いましたが、それでも景気は回復せず、結局現状では税収が減り、財政赤字の縮小も目処がたたない状態です。

結局、イギリスの付加価値税増税は、大失敗でした。日本でも来年の4月からの増税が決まりました。イギリスは、増税の後金融緩和をしました。日本は、金融緩和の後デフレから脱却していないうちの増税ということになり順番は違いますが、いずれも、増税しながらの金融緩和ということでは共通点があります。であれば、上のフィナンシャル・タイムズでは日本の、増税+金融緩和というやり方は、全くの間違いであることを掲載すべきでした。実際、増税は、金融緩和の効果を削ぎ、デフレ脱却の時期を遅らせるだけのことになります。無論、税収も減ることになり、デフレを長引かせ、その結果として雇用状況も悪化、ブラック企業が増え、良いことは一つもありません。

それにしても、日本ではまだ十分にやりもしないうちから、金融政策や財政政策だけでは今の日本は、経済成長できず同時もしくは、早期に構造改革や成長戦略を実施しなければならないと信じ込んでいる超ド馬鹿な識者といわれる人々、政治家や官僚が大勢いるといことが驚きです。デフレの現在、成長戦略をやったり、構造改革をやっても、砂上の楼閣です。まずやるべきは、確実に一刻も早くデフレからの脱却です。成長戦略や、構造改革などその後じっくりやっても良いものです。あるいは、やらなくても済んでしまうことも十分考えられます。

これは、手術がすぐに必要な慢性病患者に対して、塩分の低い食事、栄養失調にならないように、肉をある程度以上食べるようすすめているようなものです。ちなみに、従来はコレステロール過多などの弊害のため、肉の食べすぎは、控えるようにいわれていましたが、最近は、特に高齢者でさっぱりした野菜中心で肉をほとんど食べない食事が健康に良いとの錯誤から、栄養失調になり病気や老化を促していることから、肉を食べるようにさせるキャンペーンが行われています。確かにこのような配慮は重要なのですが、手術が必要なまでに悪化した患者に、もっと肉を食べろといっても全く意味はなく、まずは、手術をすべきでしょう。その後に、健康維持のための方法を生活指導して、病気の再発を防いだり、予防行為をすべきです。

は? 超ド馬鹿の政治家代表?そもそも、似非ケインジアンでもない?

このにような愚かな主張をする人々は、日本があまりにも長い間デフレスパイラルの泥沼に落ち込んでいるため、デフレが通常の状態だと思い込み、特に金融政策などまだ十分に効果をあげないうちから、あるいは金融緩和だけでは不十分として、成長戦略や構造改革が必須であると信じ込んでしまうのだと思います。この考えは全くの間違いです。デフレは経済の癌です。しかもインフレよりも始末が悪いです。インフレの場合は、とんでもないインフレで年率100%とか、とんでもないハイパーインフレになり、すぐに生活に大きな支障がでるため、誰もが度を超したインフレは大問題だといことがわかります。

しかし、デフレは最大でも年率2%くらいのものにしかならず、ハイパー・デフレなどありません。2%くらいだと、1年くらいでは誰もその弊害に気づきませんが、3年、5年、10年となるとじわじわと雇用や消費に悪影響を及ぼします。そもそも、デフレは異常な経済であり、通常の経済循環の景気が良い、悪いという状況を逸脱したものです。これは、何をさておいても、デフレから脱却して、すくなくとも景気が悪いという状況にもどするのが王道中の王道です。特に変動相場制の国では、金融緩和が効き目が強いということもすでに、わかっていることです。

しかも、その悪くなり方が少しずつのためであるため、まるで多くの人々が茹で蛙のようになり、悪化していること気づきません。現在の日本はまさに、その状況にあります。GDPデフレーターはここ20年右肩下がりに下がりっぱなしです。そうして、この状況を脱却するには、一番重要なのは、金融緩和です。アベノミクスの、三つの矢のうち、もっとも効果があるのは、金融緩和であり、その次は、財政政策であり、一番効果が薄いのは、成長戦略です。

デフレはゆでガエルを醸成する?

現在の日本では、デフレを脱却するだけで、かなりの経済成長が期待できます。

上の記事では、この当たり前の事実をもってわわって、グタグタと書いていますが、これは、マクロ経済学上の常識であり、当たり前のど真ん中です。

これに関して、経済評論家の上念司氏司会による、経済史家の田中秀臣氏と、塚本ひかりさんの対談があります。以下に掲載しますので、是非ごらんになってください。



この動画の補足が、上念氏のFBに掲載されていましたので、下に引用しました。これもあわせて、是非ご覧になってください。
似非ケインジアンに告ぐ(補足説明) 
「似非ケインジアン」の定義は「ケインズは金融政策を否定し、財政政策の効果しか認めていない」と思い込んでいる人です。これは検定教科書の記述を丸暗記する事の弊害でもあり、次元を越えた日教組との闘いでもあります。財政派の一部(バカな人)も該当しますがもっと広い概念です。 
「似非ケインジアン」には①意識的なものと②無意識的なものがあります。
①はケインズの権威を利用して自説を強化するための意図的な剽窃、プロパガンダ。
②は単なる無学、無知が原因です。 
ケインズの著作やイギリス政府への提言を読めば、彼がどれほど金融政策に関心があったかはわかるでしょう。金本位制復帰に関する議論などは、まさに「デフレは貨幣現象である」という認識に立っています。これは「似非ケインジアン」には不都合な真実でしょうが、事実なんで受け入れなきゃだめ。 
変動相場制においては、「金融緩和>>>>>>>財政政策」であるという事実を認めるかどうかです。敢えて言わせてもらえば、財政政策だけ、というのは完全に間違いですが、金融政策だけなら半分ぐらい正解になっちゃいます。 
金融緩和+財政政策+その他の政策で、デフレ脱却に向けて百点満点だと仮定すると、その内訳は金融緩和で80点、財政政策で10点、その他で10点ぐらいのイメージです。(あくまでイメージです) 
財政政策の効果は否定しませんが、限定的であると言うだけの話です。
似非ケインジアンには、いろいろなタイプがいますが、私が思うに一番悪質なのは、金融緩和政策を全く否定し、財政政策しか効果がなく、しかもその財政政策を成長戦略および構造改革を結びつけ、成長戦略、構造改革を大々的に行うことが最も効果があるとする人たちだと思います。 全く見当違い、方向違いです。

不景気には、何をさておき、金融緩和です。これに関しては、イギリスを含むEUについてクルーグマン博士は、以下のような記事を書いています。
クルーグマン「欧州に必要なのは穏やかなインフレだ」


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、金融緩和に関わる部分を掲載します。
欧州のインフレ問題:それは,低すぎるってこと 
実のところ,穏やかなインフレは現代経済にとっていいことだ.理由は2つある――1つは需要にかかわり,もう1つは供給にかかわる. 
需要の方について言うと,インフレは金利のゼロ下限問題を弱めてくれる:名目金利はマイナスになりようがないけれど,穏やかなインフレが予想に定着しているかぎり,実質金利の方はマイナスまで下がりうる. 
供給の方について言うと,インフレは名目賃金の下方硬直性の問題を軽減してくれる:人々は賃金切り下げを要求したり受け入れたりするのにすごく抵抗する.これは,大勢の労働者の相対的な賃金が下がる「必要がある」ときに深刻な制約になる. 
どちらの問題も,アメリカで大いに生じている.でも,欧州ではいっそう事態はひどい.あちらでは,財政政策がきわめて縮小的になっっている――ユーロ圏周辺地域の国々でえげつない緊縮策が,そして中核的な国々で予防的な緊縮策がとられたおかげだ.これにより,頼りになるのが金融政策しかなくなってしまった――それに,周辺国は大幅な内的な通貨切り下げも必要となっている. 
このことを踏まえると,欧州のインフレに関する最新の数字 は,とにかく悲惨だ:昨年のコアインフレ率はたった 0.8 パーセントでしかない. 
ところが,欧州の当局では,欧州中央銀行が金融市場をなだめて一部の国ではわずかな経済成長が見られるので,危機は終わったと考えている始末だ.
インフレ率を高める政策といえば、無論金融緩和策です。このような記事を読むと、いわゆる茹で蛙状況は、日本だけではなく、欧米にもみられる現象であることが良くりかいできます。

とにかく、デフレからの脱却ということになれば、日本はもとよりいずれの国でも、まずは何をさておいても、金融緩和ということです。無論、積極財政政策もやるべきです。両方とも実行することが、最も効果があるってことです。そうして、増税は積極財政ではなく、緊縮財政であり、本来はやってはいけないということです。これに反することを言う人は、間違いってことです。本当の経済の原則というのは、それを実施対策レベルに移すということは難しいとは思いますが、その原則は単純です。

様々な、小さな現象にわずらわされることなく、現実を直視すれば誰にでも理解できるシンプルなものです。こういうシンプルな原則を、上のフィナンシャル・タイムズの記事のような語り口調でヌタヌタと説明するのは、幸いなことに上の記事自体はおおむね正しいのですが、たいていは間違いと捉えて良いです。当該国の、インフレ率など問題にせず、当該国の景気の悪さは、もっぱら海外の影響によるものと主張するのは典型的な間違いです。今の日本、いくら海外の経済がどんなに好転したとてしも、日本国内のデフレの基となっている事柄が、解消されない限り、永遠に解消されません。この当たり前のど真ん中を理解しなければ、似非ケインジアンにも簡単にだまされることになってしまいます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月8日金曜日

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 消費税増税でもデフレから脱出できると、政府・日銀、御用学者やメディア主流派は言い続ける。財務官僚は「消費税増税すれば国債相場も株価も安定する」と安倍晋三首相を説き伏せた。

 日銀も黒田東彦(はるひこ)総裁が、増税した場合の景気悪化には「金融政策で対応できる」と約束した。日経新聞は連日のように紙面で景気の好転や上場企業の収益回復を喧伝している。増税を推進、または支持してきた自身の判断を正しいと信じたいという心理が明らかに作用し、不都合な事実には目を背ける傾向がある。

 彼らが最も見たくないのは市場反応である。

 増税決定後、国内外の市場アナリストから聞こえてくるのは、脱デフレの見通し難である。財務省に近い有力エコノミストが10月初旬、米欧の市場関係者の多くから、「増税という緊縮財政によるデフレ懸念」を指摘されて、衝撃を受けていたことは、本欄でも指摘した。

 増税はただちに国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費を冷やすが、政府が検討する経済対策ではそのマイナス分を補えそうにない、という至極真っ当な見方である。

 日経新聞のように増税原理主義ではなく、マーケットの声を比較的忠実に拾い上げる米国系通信社のブルームバーグは5日付で、日本国内のエコノミスト34人からの聞き取り調査をもとに「安倍政権の成長戦略に市場が失望感-日銀の物価目標実現の足かせにも」と報じた。

 その論点は、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略が極めて不十分、特に規制緩和が小出しに終わっているという批判だ。これでは、日銀が「異次元金融緩和」政策を続けても、脱デフレは困難、というわけである。

 もとより、薬のネット販売や農地の大企業への開放など個別の規制緩和がただちに経済成長に結びつくはずはない。むしろ当面は中小の薬局が経営難に陥りかねないし、大企業が参入しても収益性の高い分野をつまみ食いするだけに終わる可能性がある。

 「規制緩和=成長戦略」という発想は、その恩恵にあずかる特定業種の企業の株価が上がるという、トレーダーが自己利益誘導のために行う「ポジション・トーク」と呼ばれるエゴイズムであって、経済全体の需給関係をよくすることで実現できる脱デフレとはおよそ無縁である。マーケットは一種のいいがかりをつけて、株価を動かすわけであり、この場合は、明らかに日本株売りの口実にしているのである。

 考えてもみよ。「15年デフレ」はすっかり慢性化し、市場はそれを前提に売り買いする。グラフにある通り、日本のデフレは1930年代の米国大恐慌時代よりもはるかに長い。当時、米国は第二次大戦という戦争景気で最終的にデフレから脱したのだが、今の日本にはそんな外部環境もない。デフレ増税を避け、財政と金融政策の両面で、脱デフレ策を地道に積み上げていくしか、方法はない。 (産経新聞特別記者・田村秀男)


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アメリカに端を発した世界大恐慌

上の田村氏の記事では、大恐慌時のアメリカと現在の日本のデフレを比較しています。少し残念なのは、ここにさらに大恐慌時(日本国内では昭和恐慌と呼称)の日本との比較もしてほしかったです。大恐慌の原因は発生当初は無論のこと、発生してからしばらくも良くわからず、様々な憶測がなされました。ユダヤ人の陰謀とか、奇妙奇天烈説もありました。しかし、1990年代に恐慌当時の世界各地のデータをもとに分析した結果結論が出ました。そうしてその結論はデフレというものでした。アメリカに端を発した世界規模のデフレというのが世界恐慌の真相です。それ以外の珍説はすべて間違いでした。

日本は当時高橋是清がリフレ政策(金融緩和と積極財政)をしたため、世界で一番早く、もちろん当時のアメリカよりも早くデフレから脱却しました。これに関しては、以前このブログでも掲載したことがあるので、以下にそのURLを掲載します。
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詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、日本がいかに昭和恐慌から素早く抜け出したのかその概略を掲載しています。詳細は、書籍などを読んでいただくのが一番ですが、とりあえずはこの記事を読んでいただければ、概要はわかります。以下にこの記事より、当時のGDPの推移を下にコピペさせていただきます。

昭和恐慌前後の日本の経済成長率 (%)
1927       3.4   
1928     6.5   
1929     0.5   
1930     1.1   
1931     0.4  
1932     4.4   
1933    11.4  
1934     8.7
この数字を見ると、落ちても0.4%とか、0.5%のレベルであり今の水準からすれば、落ちていないとか、伸びているときは二桁成長で、あり得ないような数字が並んでいます。しかし、この当時の世界全体の経済規模は、現在から比較すればかなり小さいし、特に日本などは現在のような経済大国でもなく、いわゆる発展途上国ではなかったものの、経済規模はまだまだ小さく、まさに発展途上でした。

日本の昭和恐慌

だから、数字がわずかにプラスであっても、インフラを大々的に拡張したり、軍備を拡張していた時代にあっては、国民生活の実態はデフレであったということです。これは、現在の中国がまだまだ、発展途上であり、GDPが6%をきると雇用が悪化するというのと同じような理屈によるものです。

これを前提に上の数字を眺めると、高橋是清のリフレ政策により、日本は少なくとも1933年あたりには、すっかりデフレ(昭和恐慌)から抜け出ていたことがわかります。そうして、成長しすぎたため、これに対して金融引き締めや、緊緊縮財政などをして、1934には成長率を抑え、インフレ懸念を払拭しています。

同時期のアメリカはどうだったかといえば、上のデフレータでみれば、33年にはどん底、34年でも上向きに転じたという程度であり、まだまだデフレの真っ只中でした。

日本は、戦争に突入する前からデフレが終息していましたが、アメリカは戦争が始まってからしばらくしてからようやっとデフレから脱却しました。戦時経済に突入して、経済優先から軍事優先で、戦争遂行のため国債を乱発し、経済を無視してでも大量の武器を製造して世界中に送り届けなければなりませんでした。これは、戦前のアメリカが結局デフレ政策をとっていたのとは全く正反対の政策でした。

第二次世界大戦中のアメリカのピンナップ・ポスター

しかし、その結果は、リフレ政策と同じ効果を生み出し、戦争中にデフレから脱却することができました。もし、戦争がなければ、世界のデフレは各国政府のデフレ政策によりまだまだ、デフレが続いていたことでしょう。その中で、日本だけが、デフレ政策をやめ、リフレ政策に転じて成功していましたから、たとえ戦争がなくても、いずれ世界は日本の事例を参照して、リフレ政策を実施して恐慌から脱出したかもしれません。

しかし、これは、世界大戦が発生したため、歴史の裏に埋もれて認識されないままに終わりました。戦争は、アメリカに期せずして、恐慌からの脱却を促しましたが、仮に戦争をしなくても、当時の日本と同じようにリフレ政策を行えば、日本と同じように大恐慌から脱出できたことでしょう。

しかし、実際には戦争がなければ、アメリカはなかなか恐慌から脱出できなかったことでしょう。なぜなら、当時のアメリカにとっては、リフレ政策など考えも及ばない危険な政策だったからです。当時のアメリカでは、一国の経済、しかも基軸通貨への地位を高めつつあったドルを運用するするような国の経済をあたかも家計のように考え、景気が悪くなれば、なるべくお金が外に出て行かないように、緊縮財政をするとか、金融引き締めをするというのが常識でした。ケインズの理論も発表されていなかった当時としては、無理もないことだったかもしれません。

大東亜戦争時にフイリピンで日本軍に投降した米軍

アメリカも日本も同じような誤謬を何度となく、繰り返しています。30年ほど前には、アメリカは典型的な誤謬を繰り返しました。貿易収支や、経常収支を家計の赤字と同じように考え、赤字がなくなればアメリカ経済にとって良いことであるという誤った考えで、日本の経常収支が黒であることを短絡的に捉えて、日本をバッシングしました。このバッシングにお茶を濁し続けて何ら具体的な対応をしなかった日本政府により結局日本は円高となり、それが今日の日本のデフレを招いた原因の一つともなってしまいました。

その後も米国は、誤りを犯し続け、最近では債務上限引き上げ問題です。これは、以前にもこのブログで掲載したように、アメリカの政治家の多くが、基軸通貨の発行国であるアメリカの財政をあたかも家計のように考え、借金さえしなけばアメリカにとって良いことであるという誤謬をおかしたために生じたものです。

とてつもない円高に見舞われた日本

日本もアメリカの度重なる誤謬を批判することなどできません。日本は、昭和恐慌を世界でいち早く回避できたという実績を省みることもなく、過去20年間ずっとデフレでした。このデフレを回避するには、高橋是清が実施したリフレ政策をすべきなのに、ずっと金融引き締め、緊縮財政を繰り返してきました。しかしこの誤謬も解消される動きがでてきて、今年の4月から日銀による異次元の包括緩和策が実施されるようになりました。このような誤謬が解消されると喜んでいたら、何と、来年の4月から増税が決まってしまい、また誤謬が繰り返されています。

増税しないで、金融緩和を続け、さらに積極財政を行えば、日本は短くて2年、長くても4年もすればデフレから脱却できたかもしれません。ところが、増税を実施してしまったため、上の記事で田村氏が指摘しているように、この先なかなかその目処はたたなくなってしまいました。



これが間違いであるということは、過去の日本における高橋是清のリフレ政策の成功をみてもわかることですし、過去二回の増税では、税収が減って増税前の水準には戻らなかったことを考えても明らかです。また、イギリスでは、日本と順番が違いますが、大規模な付加価値税(日本の増税)をした直後に、大規模な金融緩和をしても未だ景気が回復せず、税収が増えないことをみても明らかです。しかし、多くの官僚や政治家、多くの識者といわれる人々まで、これを認めず、デフレの原因はやれアジア通貨危機が原因だとか、リーマンショックがどうのこうのとして、結局デフレ政策の大失敗の事実を認めようとしません。

だからこそ、来年4月から増税するなどという暴挙がまかり通ってしまいました。これも、結局は、一国の経済を家計と同次元で考えるという誤謬のなせる業です。

国の経済は、家計とは異なる(゚д゚)!

この誤謬どうしたら解消できるでしょうか。上で戦争前のアメリカ、戦中のアメリカを比較すると、戦時体制という特殊な状態に入ったからこそ、アメリカは戦争国債を乱発して、結果として金融緩和を実施し、兵器の大量製造、大量送り込みを実施して、結果として積極財政を行いました。それまでの経済対策とは全く正反対を実施して、デフレから脱却できました。

であれば、日本も当時のアメリカの戦時体制のような体制になって、戦争遂行のために国債を乱発し結果として金融緩和をし、最新鋭のハイテク兵器を開発したり、配備したり、兵員を増やすことにより、積極財政を行えば、デフレから脱却できるかもしれません。

習近平は日本のデフレに終止符を打てるかもしれない(゚д゚)!

であれば、習近平は日本のデフレ脱却に大きな役割を果たすことができるかもしれません。ご存知のように中国は、尖閣周辺で、艦艇や航空機で、領海ぎりぎりのところを航行したり飛行したり、ときには超えてまで示威行動を繰り返しています。こんな程度に収めるのではなく、尖閣などすぐに手中に収めて、その後沖縄本島への上陸を目指すべきです。本当に上陸するか、本気で上陸するそぶりを見せるため、本格的な準備をするだけでも良いです。

そうなれば、日本は安全保障のため、嫌でも中国と対峙しなければなりません。中国と戦争状態に入れば、日本も第二次世界大戦直前のアメリカのように、戦時体制、戦時経済に突入し、戦争国債を大量に発行し、結果としてさらに大規模な金融緩和を行い、自衛隊の隊員の増加、ハイテク兵器を開発、配備するなどして、結果として大規模な財政出動を行います。

こうして、沖縄の危機をやりすごして、尖閣列島を奪還する頃までには、戦時経済のもの経済は好転して、デフレから脱却することは間違いありません。また、このようなことにならないために、さらに軍備を強化することとなり、さらに良い状況になります。今から比較すれば、現在の日本の経済規模よりもはるかに小さかったアメリカですら、当時そうすることによってデフレを克服しているのですから、今の日本でも同じように克服できるからです。

人民解放軍は自衛隊にとって脅威ではない。あっという間に打ち負かせる(゚д゚)!

これは、十分にあり得るシナリオです。実際にそうなっても、中国人民解放軍は自衛隊の敵ではありません。中国国内まで、追撃戦をするということにでもなれば消耗戦に持ち込まれるかもしれまん。そこまではしないで、あくまで、尖閣から中国を追い払い、さらに、二度と上陸させないということを目標にするのです。であれば、赤子の手をひねるように、日本はこれをやり遂げるでしょう。

一つの核弾頭の複数の核弾道弾を同時に撃墜した実績を持つ、「あたご」型イージス艦

そうなると、核の脅威は当然でてきますが、日本のイージス艦は、アメリカ国内の演習で、複数の核弾頭を同時に迎撃し撃破するという離れ業を一度ではなく、複数回にわたって成功させています。これで、中国の核の脅威もかなり払拭されます。核で攻撃されたら、それでお仕舞などという過去の常識は、非常識になるかもしれません。それに、日本も核武装をしなければ、拉致問題など永遠に解決できません。そうして、今この時、中国の核ミサイルが日本に照準をあせて配置されていることを忘れるべきではありません。本格的に中国と対峙するということなれば、核武装は避けて通ることはできません。

しかし、これを実行するには、日銀による金融緩和、政府による積極財政が不可欠です。戦時体制ということで、無理にでも行わなければなりません。これで、日本は、デフレから決別することができます。これが、現在の日本では、最も早いデフレ解消の道かもしれません。

無論、私は本当は、そうなってほしいわけでも、そうしてほしいと言っているわけでもありません。私は、鳩山氏、河野氏などのように、外患誘致罪に問われるようなことはしたくはありません。しかし、日本が誤謬から立ち直って、デフレを解消するためには、これに近い覚醒のための大ショックが必要だとということを主張しているだけです。そうはいいながら、習近平が尖閣や、沖縄を巡っての冒険を行えば、日本の経済だけではなく、安全保障に対する国民の理解が推進され、これを実現するために、憲法論議も長足の進歩をすることになります。



まさに、一石二鳥と呼べる大変革になるかもしれません。しかし、中国はなかなかそのような冒険はできないでしょう。彼我の軍事力、特にハイテク兵器に関する差異は、途方もなく大きく、まともに闘えば人民解放軍に勝ち目はありません。唯一の勝ち目は、日本の自衛隊を中国本土の奥にまで誘いこみ、持久戦に持ち込むことです。しかし、大東亜戦争で懲りた日本は、そのような挑発にはのらないでしょう。しかしながら、中国の脅威は日本を太平の眠りから覚醒させるためには、確かに役立つかもしれません。

かといって、これを利用してあまりにやりすぎれば、新自由主義者のショック・ドクトリンと何もかわりがなくなってしまいます。本当は、日本の政治家の大部分が自発的に真実に目覚めてほしいです。いつまでも、現実逃避のお花畑に住んでいてもらっては困ります。本当に、これに関しては、忸怩たる思いがいします。すぐにも、現実と対峙していただきたいです。お花畑から出るにしても、ショック・ドクトリンはいただけません。

ショック・ドクトリンについてご存知ない方は、ナオミ・クラインの書籍をご覧になるか、以下の動画をご覧ください。

http://www.youtube.com/playlist?list=PL869A8DB2AA247A98

ナオミ・クライン

これに匹敵するような覚醒のための大ショックについての具体案は、上記の戦争以外にはまだあまり考えていません。しかし、いずれ近いうちに必要なのはいうまでもありません。このままでは、失われた20年が40年になってしまいます。馬鹿な官僚や、政治家を納得させ、正しい道に導くため、今までにない、覚醒のための大ショックが必要不可欠です。これは、直近で考えておかなければならない重要な問題です。私も考えて見ますが、皆さんの中で、思いつかれたかたがいらっしゃったら、是非ともコメントという形で残していっていただけたら幸いです。そのコメントが妥当なものなら、大拡散させていただきます。いずれにせよ、今の日本、覚醒のための大ショックがなければ、「戦後体制からの脱却」は遠のくばかりです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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