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2025年10月11日土曜日

日本列島総不況が生んだ自公連立に別れを──国家再生の号砲を鳴せ

 まとめ

  • 自公連立解消は必然:公明の対中志向の強まり(10/6の中国大使面会報道)と、10/10の離脱通告が“理念乖離”を可視化。長年の共依存構造が終わった。
  • 不況は人災:1988–1990のコアコアCPIは年+1.01%/+2.50%/+2.65%で物価暴騰はなし。実態は資産(地価・株価)バブルだったのに、日銀が実体過熱と誤認して引き締め、信用収縮を招いた。
  • 誤った政策が連立依存を生んだ:金融・財政を同時に締め、景気を冷やし続けた結果、自民は単独で安定多数を得にくくなり、選挙互助としての自公連立に依存した。
  • 構造的ゆがみ(国交相の“指定席”):公明が長期にわたり国交相を占め、公共事業のゲートを握ったことで、中立性や配分の歪み、レギュラトリー・キャプチャーの懸念が恒常化。
  • 処方箋は経済成長:連立という延命装置に頼らず、金融緩和+積極財政と供給制約の緩和、減税の組み合わせで経済成長軌道へ。成果で支持を得れば、連立は不要になる。

公明党が自民党との連立解消を正式に宣言した。四半世紀続いた「自公体制」は終わった。

離脱通告の数日前、10月6日に斉藤鉄夫代表が国会内で呉江浩・駐日中国大使と面会したと日経報道の要旨を引く複数記事が伝え、10月10日の自公首脳会談で離脱が通告された[1]。時系列は、公明党の対中志向の強まりと、連立の理念的乖離を象徴する出来事である。これは単なる政局ではない。日本政治を縛ってきた“共依存”の終わりだ。

この連立は当初から「政権安定」を名目に組まれた。しかし、その安定は国民経済の活力を犠牲にし、誤った政策を温存する装置に変質した。なぜ連立が必要になり、なぜ終わらざるを得なかったのか。本稿で道筋を示す。

1️⃣日本列島総不況が生んだ「自立喪失の政治」
 
1990年代初頭の資産バブル崩壊は、自民党政治の地盤を直撃した。地価と株価が崩れ、都市の中間層や地方の建設業、農業団体など従来の支持層は傷んだ。結果、自民が単独で安定多数を取りにくい体質になった。これが後の連立依存の土壌である。

日本経済は1992年以降「失われた10年」に沈んだ。強調すべきは、これは循環的景気後退ではなく政策による人災だという点だ。

当時の実体物価は「狂乱物価」ではない。コアコアCPI(食料・エネルギー除く)の年平均上昇率は、1988年+1.01%、1989年+2.50%、1990年+2.65%で小幅にとどまっていた[2]。高騰していたのは土地と株価という資産価格で、物価本体の暴騰ではない。にもかかわらず、日銀は実体の過熱と誤認し、急速な金融引き締めに踏み込んだ。これが資産バブルの崩壊を誘発し、信用収縮と過剰債務の連鎖を拡大させた。CPIの定義・接続は総務省統計の公開資料で確認できる[3]。


崩壊後も金融は引き締め基調が続き、政府は不況期に増税と歳出抑制で需要を冷やした。金融と財政が同時にブレーキという失策で、倒産と雇用不安が全国に広がった。これが文字通りの「日本列島総不況」であり、自民の支持基盤を破壊し、選挙での連立依存を不可避にした。

しかも解決は難しくなかった。本来は大胆な金融緩和と積極財政を同時に回せばよかった。それを官僚は「財政規律」や「インフレ懸念」で押しとどめ、政治も連立で延命を選んで誤りを温存した。

2000年代には「構造改革」論が台頭し、デフレ下で需要をさらに冷やして停滞を長引かせた。正しいマクロ政策(緩和+積極財政)を阻害したという意味で、ここが決定的な失敗である。

2️⃣「自自公」から始まった政権延命の構造
 
現在の自公は1999年の「自自公連立」に始まる。小渕恵三内閣の下、自民・自由・公明の三党体制が組まれ、参院の数不足を補って法案通過を容易にした。狙いは理念一致ではなく数による安定である。

自自公連立政権に向けた3党首会談を前に握手する(左から)小沢一郎自由党党首、小渕恵三首相、神崎武法公明党代表=1999年10月、首相官邸

しかし自由党との関係は持たなかった。2000年に小沢一郎が連立を離脱。自由党の一部は連立維持のため「保守党」を結成して残留し、のちに「保守新党」(2002年)を経て自民に吸収された。こうして自民+公明の二党体制が定着し、20年以上続いた。

公明の母体・創価学会の動員力は強い。小選挙区で1~2%の差が当落を分ける現実の中で、自民は公明の票を前提に選挙を組み立てるようになった。ここで自公の本質は、「政策連携」より選挙互助となった。理念を削り、延命装置としての連立だけが残った。最初から間違った連立だったと言わざるを得ない。

この構造的依存が長期化する中で、国政の重要ポストにも歪みが出た。とりわけ国土交通相の「長期専有」は象徴的だ。第二次安倍政権以降、太田昭宏(2012–2015)→石井啓一(2015–2019)→赤羽一嘉(2019–2021)→斉藤鉄夫(2021–2024)と公明党が連続で国交相を務め、その前にも北側一雄(2004–2006)・冬柴鐵三(2006–2008)ら公明出身の大臣が続いた[4][5]。主要紙はこのポストを「公明の指定席」と表現してきた[6]。

ポスト固定化は継続性という利点と引き換えに、①調達・公共事業を所管する巨大省庁の“政治的囲い込み”、②交通・都市開発における政策中立性への疑念、③公共事業配分の政治的バランスの歪みという統治リスクを恒常化させた。いわゆる土建国家の議論から見ても、特定政党が公共事業のゲートを握り続ける配置は、規制俘虜(レギュラトリー・キャプチャー)や利権化の温床になりやすい[7][8][9]。結果として、本来のマクロ政策転換(金融緩和と積極財政)が、所管利害の論理に吸収・希釈される副作用が生じた。

3️⃣共依存の崩壊と再生への道
 
不況が長引くほど有権者は“安定”を求め、自民は公明という“安定装置”に依存した。経済不安定→連立依存の鎖は二十余年続いたが、2020年代半ばに綻び始めた。

公明はこの間に変質した。かつては中道・福祉重視を掲げたが、近年は対中融和の姿勢を強め、訪中団派遣や政党交流を重ねた。香港や新疆など人権案件では慎重に終始し、防衛・経済安保で自民の対中警戒路線と乖離が目立った。連立の理念的基盤は内側から侵食されたのである。

さらに、10月6日に斉藤代表が国会内で呉江浩・中国大使と面会したとの日経報道の要旨を引用するまとめ記事が出ており、4日後の10月10日に自公首脳会談で離脱通告が行われた[1]。

そして2025年10月10日、公明は連立離脱を正式表明した。主要外電・経済紙も相次いで速報し、国政の大きな転換点となった[10][11][12]。

公明党斉藤哲夫代表と会談する自民党高市早苗総裁(10日、国会内)

これから自民は「票の装置」に頼らず、価値観と政策で結ぶ連携に向かうべきだ。理想は、そもそも単独過半を取り切るだけの経済成果で支持を固めることにある。バブル崩壊後の日本は、景気低迷→支持率低下→連立依存という負の連鎖にあった。

裏返せば、成長軌道に戻せば連立は要らない。安定は選挙互助ではなく、賃金・雇用・投資が回る現実の繁栄から生まれる。

結論は明快だ。自公解消は「不況が生んだ共依存政治」の終わりであり、民主政治が自立を取り戻す通過儀礼である。政治の自立を支える最強の処方箋は経済成長だ。金融緩和と機動的・積極的財政、供給制約を外す規制改革、家計・投資減税を組み合わせ、当たり前のマクロ政策を回せば、票は政策成果に回帰する。延命装置としての連立はいらない。誇りある政治はそこから始まる。高市政権はその道を選択するだろう。ただ、高市政権が長期政権にならなければ、時間がかかるかもしれないが、他党がこれを目指すだろう。確かなのは、もしそうなれば、それは自民党でも公明党でも無いということだ。

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「統合政府」の視点から積極財政の正当性を明快に解説。 

株価回復を手掛かりに、インフレ目標・財政協調による成長路線の有効性を示す。

参考・出典(脚注番号対応)

[1]「10月6日・国会内での大使面会」報道ベース(※日経本文は有料)
https://search.yahoo.co.jp/realtime/search/matome/0e53a70f5c7c45e5b390b6f6dc74103b-1759861209

[2]FRED(OECD系列)“Consumer Price Index: OECD Groups: All Items Non-Food Non-Energy: Total for Japan(Annual)”
https://fred.stlouisfed.org/series/CPGRLE01JPA657N

[3]総務省統計局「消費者物価指数(CPI) 結果・時系列データ」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html

[4]首相官邸:歴代大臣プロフィール(例)— 斉藤鉄夫/赤羽一嘉/石井啓一
斉藤:https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/meibo/daijin/saito_tetsuo.html
赤羽:https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/daijin/akaba_kazuyoshi.html
石井:https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/meibo_a/daijin/ishii_keiichi.html

[5]国会・公的機関記録(例)— 北側一雄/冬柴鐵三(差し替え版)

[6]毎日新聞「10年以上『指定席』 公明が国交相ポストにこだわるワケ」(2023/8/18)
https://mainichi.jp/articles/20230815/k00/00m/010/259000c
J-CAST「国交相はなぜ『公明党』が独占しているのか」(2020/9/19)
https://www.j-cast.com/2020/09/19394785.html?p=all

[7]East Asia Forum “From people to concrete: reviving Japan’s ‘construction state’ politics”(2013/2/26)
https://eastasiaforum.org/2013/02/26/from-people-to-concrete-reviving-japans-construction-state-politics/

[8]Gavan McCormack “The State of the Japanese State – Chapter 6: The Construction State”(書籍章案内)
https://www.cambridge.org/core/books/state-of-the-japanese-state/construction-state/A280C00E070DA119C87086A8BFF17060

[9]Jeffrey Broadbent “The institutional roots of the Japanese construction state”(ASIEN, 2002, PDF)
https://d-nb.info/1371264538/34

[10]AP “Japan’s Komeito Party withdraws from ruling coalition”(2025/10/10)
https://apnews.com/article/e9fe611e8868f6ce3ad8241dff7965ff

[11]Financial Times “Komeito quits Japan’s ruling coalition”(2025/10/10)
https://www.ft.com/content/d621cdce-051c-4e47-99a3-2ad408232cfa

[12]Wall Street Journal “Japan’s Komeito Party Withdraws From Ruling Coalition”(2025/10/10)
https://www.wsj.com/world/asia/japans-komeito-party-withdraws-from-ruling-coalition-0315bdd6


2022年12月28日水曜日

順序が逆…増税決定後に解散選挙 ネット上で批判噴出、自民党内からも「拙速だ」の声 岸田首相、具体的時期触れず―【私の論評】新年の冒頭「増税見送り」解散で、岸田政権は長期政権になるか(゚д゚)!

順序が逆…増税決定後に解散選挙 ネット上で批判噴出、自民党内からも「拙速だ」の声 岸田首相、具体的時期触れず


 岸田文雄首相は27日のBS―TBS番組「報道1930」で、防衛費増額に伴う「増税」を開始する前に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見通しを示した。増税は2024~27年の適切な時期に始まるとしたうえで、「スタートの時期はこれから決めるが、それまでには選挙がある」と述べた。増税を決定した後で「国民の信を問う」やり方に、ネット上などで批判が噴出している。

 《増税を決める前にやれよ! 参院選の時には、何も言ってなかったろ》《勝っても負けても増税するという意味らしい》《これほど増税増税言った政権は未だかつて無かった》

 産経ニュースが27日夜に伝えた「岸田首相、防衛増税前に『総選挙あると思う』」との記事には、ツイッターでこうした批判が寄せられていた。

 いわゆる「岸田増税」の対象は、法人、所得、たばこの3つの税。増税分は防衛費増額の財源の一部となる。27年度時点で1兆円強を見込む。

 日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、岸田首相は5月の日米首脳会談で「防衛力の抜本的強化」をジョー・バイデン大統領に約束した。

 ところが、7月の参院選で、財源や増税の是非が問われることはなかった。岸田首相は今月8日、与党税制調査会に「増税」の検討を指示し、1週間あまりでの結論を求めた。自民党内からも「拙速だ」などと批判が噴出していた。

【私の論評】新年の冒頭「増税見送り」解散で、岸田政権は長期政権になるか(゚д゚)!

増税を決めた後で、解散総選挙すれば、選挙で勝つことはできず、大敗して岸田総理は、その責任をとる形で辞任せざるをえなくなるでしょう。最長で、来年の広島サミットが終わったあたりで辞任ということなります。

これは、上の記事にもある通り、順番が逆です。一番良いのは、新年の国会の冒頭で、増税しない旨を公表して解散をし2月に総選挙をするというのがベストでしょう。

こうすれば、選挙が勝利し、岸田政権はさらに継続されることになるでしょう。それについては、高橋洋一氏が下の動画で述べています。


私自身は、岸田総理が、増税の決意を翻意しないという前提で、新年の国会前に、安倍派の閣僚が、「増税反対」の意思を表明しつつ、辞任する案を考えていました。これは無論、絶対に「増税」させないことを前提としています。

これは、かなりインパクトがあり、新年の国会が開催される前の、政府より防衛増税財源法案などが提出される前にこれを実行すれば、新年の国会は、財源法案の審議など吹き飛び、審議どころでなくなり、岸田総理は、増税を決める前に、解散総選挙に追い込まれることになります。

こうなると、選挙には大敗し、岸田総理は、その責任をとってやめることになります。そうして、総裁選が行われることになりますが、その有力候補は、茂木、河野、林ということになり、これでは残念ながら、岸田政権以下になりそうです。三人のうち誰が総理になっても、求心力は低下するでしょうし、支持率も上がることはないでしょう。

であれば、岸田総理が「増税」しないと宣言して、冒頭解散に踏み切れば、自民党にとっても、岸田総理にとっても最も良いやり方ではないかと思います。

冒頭解散とは、首相が召集した国会の初日(冒頭)に衆議院を解散する状況です。

1月に必ず開かれる通常国会や、それ以外の期間で召集された臨時国会では通常、冒頭で首相が施政方針演説(通常国会)や所信表明演説(臨時国会)を本会議で行います。

後に主に通常国会では重要閣僚(国務大臣)の演説があり、引き続き国会内の議員団体である会派(所属政党と必ずしも一致しない)代表による質問が行われ、舞台は委員会へと移ります。 

冒頭解散は首相の演説さえなされず、衆議院議長が召集および開会を宣言した後に解散詔書を読み上げるといった段取りになります。 

解散詔書とは閣議(首相と国務大臣の会議)で首相が解散への同意をはかり、全員が署名した閣議書を作成、皇居に運ばれて天皇陛下がサインと押印をしたもの。「詔書」とは「天皇の文書」です。慣例にしたがって紫色の袱紗(絹製の布)にくるまれて衆議院議長の下に運ばれ、議長が宣言したら解散です。厳密にいえばもう少し複雑ですが、省略します。

 では日本国憲法下で、これまでに回あった「冒頭解散」を振り返ってみます。

冒頭解散は、一番最近のものは、2017年安倍政権において行われました。同年9月28日に召集された臨時国会は、安倍晋三首相の所信表明演説や各党代表質問などを行うことなく冒頭で衆院解散となりました。これは、21年ぶりことでした。解散の理由は、当時森友問題という未だに何が問題なのかも理解できない疑惑なるものがあり、安倍政権の信を問うという意味合いでした。結局このときの解散選挙でも自民党は勝利しました。

未だに、野党は「もり・かけ・さくら」にこだわっている向きもありますが、現在に至るまで、明確に安倍総理の不正行為を証明できていません。

冒頭解散をしたため、「残業代ゼロ」カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法の施行を踏まえ提出したギャンブル依存症対策法案なども廃案になりました。

これ以前に行われたのは三回でした。それを振り返っておきます。

(1)1966年「黒い霧解散」

1966(昭和41)年4月ごろから東京地検特捜部のメスが入った大がかりな不正融資事件の捜査過程で、自民党所属の国会議員が逮捕されたあたりから露わになってきた「政治とカネ」問題に加えて、大臣が自身の選挙区に急行が停まるよう要請した「我田引鉄」や横領疑惑などの不祥事が連発しました。

1967年、1月29日の衆院選で、勝利した佐藤栄作首相

第1次佐藤栄作第3次改造内閣が成立した12月3日から始まった臨時国会(20日閉幕)は紛糾し、事態打開を図るため27日召集の通常国会(当時は12月召集でした)冒頭に解散しました。

(2)1986年「死んだふり解散」

第2次中曽根康弘第2次改造改造内閣(1985年12月成立)が打って出た「衆参ダブル選挙」です。1983(昭和58)年の総選挙で自民党が公認候補で過半数割れしたのを解散で挽回したい思惑が首相にあるというのは誰もが察知していました。通常国会中に首相は解散風を吹かせたかと思えば、「考えていない」と発言するなど観測気球を上げ続けます。


総選挙の争点の一つとみられていたのが、現在の消費税の源流にあたる大型間接税導入でした。首相は微妙な言い回しで、やる気があるようなないような発言を繰り返し、選挙中は導入しないと断言。「この顔が嘘をつく顔に見えますか」とまで言い放ちました。結果は自民の歴史的圧勝。ところが選挙後に間接税の一種である「売上税」を導入すると豹変して87年の通常国会に法案を提出します。 

中曽根氏のあだ名は「風見鶏」。この解散にせよ間接税導入にせよ本領が存分に発揮されたといえましょう。

(3)1996年「小選挙区解散」

1993(平成5)年の総選挙で自民党が過半数割れ。長らく野党第一党の座に君臨した日本社会党(社会党)も大幅に議席を減らす中、この頃生まれた新党が躍進しました。新生党(創設は93年)、日本新党(同92年)、新党さきがけ(同93年)など。新生党を事実上率いていた小沢一郎衆院議員が、持ち前の豪腕で非自民勢力をまとめ上げ日本新党代表の細川護煕(もりひろ)衆院議員を担いだ非自民連立内閣成立を果たし、自民党を野へ追い落としました。この内閣の下で、衆議院の選挙区がこれまでの中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へ変更されます。

巻き返したい自民は94年、非自民勢力から離れた社会党と、あっと驚く連立構想へ動き出します。同じく新党さきがけも加え、社会党トップの村山富市衆院議員を首班とする「自社さ連立内閣」をつくり、政権を奪い返しました。自民と社会は1955年以来の宿敵。そこと組んだばかりか首相の座まで用意した執念の奪還劇だったのです。 

ただ村山政権は崩壊過程にあった社会党を基盤としていて弱体でした。解散も打たないまま退陣して橋本龍太郎自民党総裁が96年1月に跡を襲いました。 

この頃、非自民勢力も集合離散を繰り返しており、小沢氏が実質的に仕切る新進党(創設は94年)と、社民党(社会党から党名変更)やさきがけの多くを糾合した96年結党の民主党などに収れんされていきます。93年の敗北から名実ともに立ち直るべく、第1次橋本内閣が96年9月27日の通常国会冒頭で解散、小選挙区比例代表並立制下で初めての総選挙で勝負に出ました。自民は議席を伸ばし第2次橋本内閣が成立します。

開票速報を見守る橋本竜太郎首相(左)と野中広務幹事長代理(1996年10月20日、自民党本部で)

さて、今回冒頭解散を行えば、しかも「増税しない」解散を打てば、岸田政権にとっては起死回生のチャンスとなるのは間違いないです。

そうして、この選挙が終れば、もともと黄金の三年間といわれていたように、選挙はありません。岸田首相は、次の総裁選で勝てる見込みもでてきます。

増税にこだわり続けて、地獄をみるのか、増税などすっぱりやめて、長期政権を狙うのか、岸田総理の決断がそれを決定します。

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2022年12月26日月曜日

岸田首相の失策で、アベノミクスは潰えた…ついに「失われた20年」が再来する予感―【私の論評】増税危機はかなり切迫!財源確保法案が来年国会に出されることが決まれば、その時点で試合終了(゚д゚)!

岸田首相の失策で、アベノミクスは潰えた…ついに「失われた20年」が再来する予感
髙橋 洋一 

萩生田氏はまだ粘っているが…

 先週の本コラムで、防衛増税はほぼ決まりかけており、一縷の望みは、財源確保にかかわる法案の扱いだと述べた。その法案について、政府(岸田政権・財務省)は次期通常国会に提出予定としている。

現物はこちらからご覧になれます

 実施時期は確定しないが、この法案に増税措置が盛り込まれるはずだ。次期通常国会の提出が決まれば、防衛増税は確定する。

 ただし、萩生田政調会長はまだ頑張っている。12月25日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」に出演し、防衛増税について「明確な方向性が出た時には、国民に判断してもらう必要も当然ある」と述べ、衆院の解散総選挙で信を問うべきだとの姿勢を示した。

 5年後に1兆円超を増税でまかなう方針について、「必ずしも1兆円でなくてもいいわけだから、しっかり見れば、まだまだ使える金はあるのではないかと思うので、来年、深掘りしていく」と述べ、具体的には「歳出改革の努力、あるいは特別会計など」を挙げた。

 この防衛増税は、アベノミクスの方向を大きく転換させることになる。安倍・菅政権では、民主党政権で決めた消費増税以外は、極力増税を回避してきた。本コラムにも書いたが、新型コロナ対策の100兆円予算も、政府・日銀の連合軍(安倍首相の言葉)により、増税せずに行った。

 ここで、アベノミクス10年を振り返っておこう。

 アベノミクスの最大の成果は、雇用の確保だった。筆者は安倍元首相と話す機会が多かったが、マクロ経済政策について、最低ラインは雇用の確保、その上に所得が高ければいいといつも説明した。そのために、財政政策と金融政策を使って、GDPギャップを解消しインフレを加速しない失業率(NAIRU)を目指すというシンプルなものだ。そうしたマクロ経済を表する筆者の基準もシンプルで、雇用の確保が出来れば60点、その上に所得の向上があれば40点を追加して100点満点とするものだ。

 アベノミクスでいろいろなことを言う人がおり落第点という人も少なくないが、その評価基準について筆者にはさっぱり分からない。筆者は大学教授をしているが、学生の評価について、100満点でつける。その評価基準はどこの大学でも同じで予めシラバスで公開しているが、筆者の場合、授業点(出席点)が50点、定期試験が40点、レポート提出点が10点としている。この基準では、万が一定期試験が0点であっても、まじめに出席し正しいレポートを提出していれば、60点を取ることができ、及第(60点)となる。
 
 アベノミクスの方向性が大転換

 さて、アベノミクスを採点すると、安倍政権での雇用は歴代政権で最高である。雇用は失業率低下と就業者数で測れるが、安倍政権は400万人以上の就業者数増、1.3%の失業率低下だった。こうした点から見れば、雇用は60点満点だ。


 所得の観点ではどうか。所得は実質GDP成長率で計るが、同時にインフレ率(名目GDPと実質GDPの比であるGDPデフレータ)をみておく。安倍政権は、実質GDPは0.4%、インフレ率は0.7%であり、高度成長期の歴代政権と比べると見劣りがする。戦後GDP統計のある鳩山政権以降の31政権において、安倍政権の実質GDP成長率は25位、インフレ率は2%から乖離でみると7位。


 いずれにしても、戦後政権での安倍政権のGDPパフォーマンスはほぼ中位であるので、40点満点中20点である。

 したがって、安倍政権の評価をすれば、雇用60点、GDP20点で、計80点だ。

 なお、日本がデフレに陥った1995年以降の13政権の中では、安倍政権は実質GDP成長率で8番目、インフレ率では1位(安倍政権以外はすべてマイナス)だ。安倍政権は、デフレ経済にあって唯一デフレ脱却しかけた政権だった。

 これが、数字から見たアベノミクスの評価である。

 冒頭の防衛増税で、アベノミクスの方向性が違ってきた。防衛増税については、たかだか1兆円なので、防衛国債の範囲を拡大することか埋蔵金(外為特会や債務償還費を活用)でどう考えても回避できる。財務官僚がどうして増税したいとしか考えられない。

 これで、思い出すのが、東日本大震災後の「ホップ、ステップ、ジャンプ」論だ。復興増税をホップとして、ステップ、ジャンプで二段階の消費増税を行う財務省の構想だった。実は、それを2011年6月20日の本コラムで暴露した。実際にはそのとおりになった。

日銀が現した馬脚

 今回も、防衛増税はホップであり、ステップ、ジャンプで2段階消費増税を財務省は狙っている。そして、消費税率は15%になるだろう。そのためには、ともかく「増税」したのだ。

 他方、金融政策でもアベノミクスの真逆の政策が実施されようとしている。

 日銀は、20日容認する長期金利の上限と下限を0.25%から0.5%程度まで拡大した。会見で、黒田総裁は、事実上の利上げだとの指摘に対し、利上げではないと強調した。また、金融緩和は維持しているとし、景気にプラスとした。

 市場の反応は、長期金利が0.2%程度上昇し、為替は5円程度円高になり、株価は800円程度下落した。黒田総裁は利上げでないと言ったが、市場の反応は長期金利の急騰だった。黒田総裁は9月26日の会見で、長期金利の上限引き上げは利上げに当たるのかとの質問に「それはなると思う。明らかに金融緩和の効果を阻害するので考えていない」と明言していたので、そのとおりだった。

 その結果、急な円高になったが、黒田総裁は急な為替変動は好ましくないといっていたが、今回の円高は急な為替変動だ。

 日銀事務方の説明は、イールドカーブの歪みの是正だ。

 しかし、イールドカーブを是正して「金融緩和」するなら残存8~9年の国債を買えばいいだけだ。日銀はこのあまりに稚拙な説明資料により、実際は「利上げ」したかった馬脚が現れた。いくら黒田総裁が利上げでないといっても、変動住宅ローン金利は既に上がっており、借入者の金利支払いはもうすぐなのでそろそろ誰の目にも分かるだろう。

 また、10月24日付けの本コラムで書いたように、円安は日本経済全体のGDP押し上げ要因だったが、円高になったので、株価が急落したのは当然だ。

 円安で企業の経常利益は過去最高となっており、円高が景気悪化につながるだろう。生産拠点の国内回帰の動きにも冷や水を浴びせかねない。

 今後、住宅ローンの金利も上昇し、企業が融資を受ける条件も厳しくなるだろう。一方で、銀行など金融機関の経営には恩恵が大きい。今回の事実上の利上げは、雇用、GDPなどマクロ経済よりも金融機関を優遇した政策だといえる。

 いずれにしても、市場から見れば、黒田総裁は従来の発言を翻した。しかし、これだけの政策方向の転換について、黒田総裁だけの独断とも考えにくい。岸田首相の了解があったと考えるのが自然だ。

 いよいよアベノミクスから大きく舵が切られた。筆者の予感は、再びデフレ、失われた20年の再来だ。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】増税危機はかなり切迫!財源確保法案が来年国会に出されることが決まれば、その時点で試合終了(゚д゚)!

日銀は、20日容認する長期金利の上限と下限を0.25%から0.5%程度まで拡大したことについては、イールドカープコントロールの一環であると説明しており、これは利上げではないとしており、高橋洋一氏以外のいわゆるリフレ派の方々の中にも、そのように解釈している人もいます。

ただ、これは、確かに高橋洋一氏が主張するように、まったく実施する必要のない措置でした。日銀は、今まで通りの金融緩和を継続すべきでした。

高橋氏としては、半端ではない危機感を抱いているのだと思います。上の記事には、「今回も、防衛増税はホップであり、ステップ、ジャンプで2段階消費増税を財務省は狙っている。そして、消費税率は15%になるだろう。そのためには、ともかく「増税」したのだ」という指摘があります。

これについては、高橋氏がABCテレビに出演した際にも語っています。

嘉悦大の高橋洋一教授(67)、京都大学大学院の藤井聡教授(54)は24日、レギュラー出演するABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」の特番「わ~るいどカップ2022 ミカタオールスターズが語ーるSP」に出演。消費税15%の可能性について言及しました。下は、その番組で用いられたテロップです。


テロップ一番下の、高橋洋一氏の発言を御覧ください。防衛増税確保法案が出てしまうと、増税が確定しまい。その時点で、後から何を言おうと、どのような手段を講じても、試合終了になってしまうのです。

自民・公明両党は先日、防衛費増額の財源をまかなうため法人税、所得税、たばこ税の増税が盛り込まれた2023(令和5)年度の税制改正大綱を決定しましたが、元財務官僚の高橋氏は「今のところ、増税の話は自民党の文書でしか書いていない。本当にゲームセットになるのは法案が次の通常国会に出たら。財源確保法案っていうのを用意している」と今後の流れを解説しました。

来年の2023年1月27日からはじまる通常国会に防衛増税確保法案が出されることが決まれば、それでほぼ防衛増税が決まり、その後は消費税増税もいずれ15%は決まりになるだろうというのが高橋洋一氏の見立てです。

これを受け、藤井氏は「今回増税になると法人税と所得税が増税になる。これが本当に通ると、確実に消費税の増税を岸田政権は仕掛けてくる。15%になるとも言われている」と指摘。高橋氏も「東日本大震災を思ってください。復興増税があったでしょ?あれがホップ。その後にステップで消費増税。もう1回狙ってるんですよ」と話し、「多分、12%とかやって、そのあと15%」と防衛増税後の消費増税を予測しました。

番組MCの東野幸治やスタジオパネラーのほんこん、「ジャニーズWEST」中間淳太らが「15%?」と唖然とするなか、藤井氏は「その布石を止めるために、今の局面が極めて大事」と強調していました。


まさに、今の局面が大事なのです。「2023(令和5)年度の税制改正大綱」にもとづく、財源確保法が、次の通常国会にだされ、その法律が通ってしまえば、人税、所得税、たばこ税の増税が本決まりになり、そこから先は、どう頑張っても取り返しがつきません。

これは、三党合意により決まった、消費税増税法案を思い起こさせます。

三党合意(さんとうごうい)とは、2012年の民主党政権(野田内閣)下において、民主党、自由民主党、公明党の三党間において取り決められた、社会保障と税の一体改革に関する合意です。

2012年(平成24年)6月21日に三党の幹事長会談が行われ、三党合意を確約する「三党確認書」が、作成されました。この三党合意にもとづき消費税増税法案が国会で審議し、成立したのです。まさに、「2023(令和5)年度の税制改正大綱」は、この三党合意のような働きをして、今のままだと、防衛増税は決まってしまいそうなのです。

三党合意とその後の消費税増税法案が決まったということがあったため、後に安倍首相は、増税を2度も延期しましたが、結局総理大臣在任中に8%と10%の増税をせざるを得なかったのです。一旦決まった法律を覆すことは、本当に難しいことなのです。

だかこそ、高橋洋一氏はかなり危機感を感じており、日銀の実質上の利上げに関しても大反対しているのでしょう。

このブログでは、英国のジョンソン、トラス両首相の辞任という大政変を例にとり、日本でも増税反対に抗議して、閣僚が自ら辞めるということをすべきではないかということを主張しました。

ただ、このときは、ここまで増税危機が切迫しているとは思っていなかったので、安倍派閣僚が4人がひとりずつ辞任して、最後の最後にそれでも、岸田総理が翻意をしなかった場合、閣僚ではないものの、萩生田光一政調会長が辞任するという具合に進めれば良いと思っていました。

ただ、状況の切迫具合からみると、それでは甘いかもしれません。岸田文雄首相が26日、秋葉賢也復興相を事実上更迭する方針を固めました。これは年内に「閣内の火種」を消し、来年1月下旬に召集される通常国会の論戦に向けて仕切り直しを図るためとみられます。

これで、人事の岸田といわれる、岸田政権の閣僚の辞任は四人目となります。これとほぼ同時に、安倍派閣僚四人も防衛増税ならびに消費税増税に反対し、増税するなら、総選挙で国民の信を問うべきと主張して、辞任すべきではないかと思います。そうなると、秋葉氏とあわせて、5人が辞任というこになり、岸田政権への打撃は半端なものではなくなります。

それこそ、国会は、防衛費財源確保法案の審議どころでなくなります。これは、かなりのインパクトがあり、野党はこれに大反発して、国会はこの話題が中心となり、マスコミもこの話題でもちきりとなり、財源確保法案のことなど、忘れさられたような状況になるでしょう。当然審議は、後回しにされることになります。

岸田首相は、5人の閣僚がほぼ同時に辞任ということになれば、内閣改造だけでは国民も野党も納得せず、解散総選挙を迫られることになるでしょう。それでも、増税の看板を下げることがなければ、それに今更下げたとしても、大敗を喫するのは目に見えています。それでも、与党の座を譲ることにはならいないとみられますが、岸田首相は辞任せざるを得なくなるでしょう。

その後の総裁選びが焦点になります。ポスト岸田の有力候補は、茂木氏、河野氏、林氏とされ、茂木氏が有力とされていましたが、これも番狂わせが起こりそうです。ここで、掲載すると、長くなってしまいそうなので、また機会を改めて掲載しようと思います。

次の総裁はマクロ経済を理解する人になっていただきたいです。いずれにせよ、現在は切迫した状況にあるのは、間違いありません。皆さんも、大反対しましょう。

そうして、有力政治家に陳情しましょう。私自身も、最近甘利氏にツイッターで陳情しました。それで、行動や考え方はかわりはしなかったようですが、このようなことをかなり多くの人が実施すれば、ある程度の影響は与えられるものと思います。最近の政治家は、SNSをかなり気にしているようです。

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2022年12月9日金曜日

旧統一教会問題めぐる被害者救済法案の成立に向け注目、国民民主党の動向 「新・与党化」に公明党反発も―【私の論評】岸田クライシスで新たな政局が生まれる(゚д゚)!



国民民主党玉木代表

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けた被害者救済新法が閣議決定された。野党には「救済につながらない」との声もあるが、実効性や問題点について考えてみたい。

 現行の消費者契約法は、霊感などによる告知を用いた勧誘に対し取り消し権がある。今回の被害者救済法案では、消費者契約法の改正により、この取り消し権の対象拡大、期間延長がなされている。

 政府案では不退去、霊感などによる告知などにより困惑して寄付した場合を禁止行為とし、取り消しができる。期間は追認できるときから1年(寄付から5年)である。被害防止策として、禁止行為、借入・自宅売却などによる資金調達要求に対し勧告、命令ができ、刑事罰を科すことができる。

 一方、立憲民主党と日本維新の会の法案も、不当拘束、霊感などによる告知、マインドコントロールを手段の悪質性として取り消しができる。また、寄付は可処分所得の4分の1を目安としている。期間は追認できるときから5年(寄付から20年)である。手段の悪質性や可処分所得の4分の1を超える寄付に対し勧告、命令ができ、刑事罰を科すことができる。

 こうしてみると、政府案と立民・維新案はかなり似通っている。

 立民・維新は「政府案は全く不十分」というが、そこまでではないだろう。行政の方でしっかりと権限行使すればその差はかなり少なくなるはずだ。

 しかし、可処分所得の4分の1などの微妙な差があるのは事実だ。それは、政府案が公明党に配慮したからだろう。もし実質的な差がなくても、政治的には差があると主張されてしまうのは政府案の弱みだ。岸田文雄政権が、被害者救済法案を提出しても、支持率が回復する気配は乏しい。

 岸田政権は支持率低迷に苦慮しているので、政権運営のカンフル剤として、自民党が公明党との連立政権に国民民主党を加える案を検討しているとの一部報道が出ている。もし国民民主党が与党入りするのであれば、年明けにも内閣改造があるだろう。

 国民民主党は、2022年度当初予算や第2次補正予算に賛成しており、今回の被害者救済の政府法案についても評価している。このため、野党からも、国民民主党は既に与党化しているので、与党入りするほうがスッキリしているという声もある。連立を組んでいる公明党は、早速「わが党にメリットはない」と反発している。

 こうした動きもあるので、被害者救済法は政府案を一部修正し、自民、公明、国民民主の賛成で、成立する公算が大きい。政治的には、立民・維新の要求を全面的にのんで政治的な手柄を与えるわけにはいかないからだ。公明党を刺激しない程度の救済法になっているので、実効性はまったくないわけでもないといったところだろう。

 万が一、国民民主党を加えた「新・与党」になった場合、これまでかなりの部分でほごにされてきた中国非難決議が、良い方向に変わるかどうかが注目だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

【私の論評】岸田クライシスで新たな政局が生まれる(゚д゚)!

“わが党にメリットはない”と国民民主党の連立入りに反対する中国共産党の代弁者・公明党。媚中・公明党にメリットがないということは、日本国にとって大いにメリットがあるということです。

自民党は、公明党との連立を解消し、国民民主を迎え入れて、真の国民政党になるべきです。国民の次は維新を入れ、公明を連立離脱させ憲法改正の体制を整えてるべきです。ただ、維新に関しては、媚中議員も多いので、要注意です。維新のこれらの議員が力を増せば、公明党と変わりないということにもなりかねません。

公明党山口代表

ただ、公明党は党そのものが、中国を代弁するような党です。国民の生命・財産、そして領土を守る為の憲法改正等に中国の代弁者など、不要です。“救済新法”も骨抜きになってしまい、自民の一体誰が公明との連立を維持したいのかわかりません。

国民民主党は、上の記事にもある通り、2022年度当初予算や第2次補正予算に賛成しており、今回の被害者救済の政府法案についても評価しています。

拉致問題国際セミナー(参議院議員会館)においては、国民民主党は玉木雄一郎代表が挨拶し、岸田・バイデン間では安倍・トランプ間のような強さで拉致問題が取り上げられていない。具体的に戦略を立てて日米首脳会談に臨むべきと語りました。全くその通りです。その通

衆議院で採決された被害者救済法案。成立に向けて与党と協議をしていたのが国民民主党です。

玉木代表は、「あまり報道していただけませんでしたが、私たち国民民主党も1ヵ月以上にわたり与党と協議を行い、20項目近い提案を法案に取り入れてもらいました。その結果が今回の新法です。特に、家族への配慮義務を創設し、それに基づき家族が『当事者として』損害賠償できる枠組みは、国民民主党からの提案です」と、胸を張りました。

これこそが建設的な野党のあり方です。批判ばかりと言われる政党もやり方を見習うべきです。

自民党内でもいわゆる反岸田勢力の「岸田離れ」は収まらないですが、それが目立った「岸田降ろし」の動きにはつながっていません。それだけに、“辞任ドミノ”を抱えながらなんとか臨時国会を乗り切れた岸田首相にとって、「連立組み直しはさらなる政権弱体化につながる」との見方もあります。

岸田首相は「年内に問題閣僚などを更迭するミニ改造を断行できれば、政権は当分安泰との考え」ているとも言われています。臨時国会閉幕と2023年度予算案の策定作業が軌道に乗れば、「今回の国民与党化の風説は、師走の寒風に吹き流されて消える」との声もあるようですが、はたして本当でしょうか。

私は、今回の支持率低下は、「ミニ改造」をしたくらいでは、収まらないと思います。特に大反発しているのは自民党サイドで、防衛増税など容認できるわけがないということでまとまっています。

防衛3文書の議論と税制改正の議論が並行して進んでいたので、官邸が増税というところで結論付けてしまい、自民党税調に回されてしまえば、自民党税調の宮沢洋一会長は財務省のひも付きですから、そこで増税を決められてしまうのではないかという相当な危機感があったようです。

この防衛増税への反対の動きについては、なぜかほとんど報道されません。本日、自民党で行われた会合では、怒号が飛び交う展開となりました。その理由は、きのう岸田総理が表明した、「約1兆円強については国民の税制で、ご協力をお願いしなければならない」という発言です。

これに党内から批判が噴出したのです。

西田昌司政調会長代理は、「財源的には国債でいいんです。全く問題ないわけ」。柴山昌彦衆院議員「増税ありきで無理やり決めていこうというふうにしか思えない」。と発言しています。


「増税ありき」と批判されるのは理由があります。政府は防衛費を来年度から段階的に増加させ、2027年度には今より4兆円程度増やす考えです。

財源には歳出改革や剰余金の活用などを優先的にあて、それでも不足する1兆円強を増税で賄うとしています。

しかし、歳出改革の中身については鈴木俊一財務大臣は、「具体的な内容の検討を今行っている最中でありますので、年末に向けて、さらに詰めていきたい」というばかりです。

牧原秀樹衆院議員「きょう、わずか数ページの資料と言えないような資料が出てきて、それを増税でやるんだみたいな議論をするのは拙速である」と発言しました。

マクロ経済や防衛にも疎い、自民党議員の中には、岸田首相に賛成する議員もいることはいます。ただ、これらの議員は財務相の片棒を担いでいるだけで、判断能力にも欠け、実務レベルではほとんど評価されない議員です。

これらの議員が、権力闘争だけ強みを発揮するとは考えにくいです。無論二階氏のような例外もいますが、さりとて、今後の政局の大きな台風の目になるとは考えにくいです。

以前にも述べたように、現状は、岸田政権の暴走により、安倍元総理支持者を中心とする保守岩盤支持層が離れてしまっています。特に、防衛増税ほど、まともな保守の憤怒のマグマを煮えたぎらせたことはないでしょう。防衛増税をして経済が落ち込めば、安全保障にも悪影響がでてきます。これでは、いつ岸田首相に向かって怒りのマグマが大噴出するかわからない状況です。

そのような自民党にとって、喫緊の課題は以前もこのブログで主張したように、離れてしまった保守岩盤支持層の支持を急いで取り戻すことです。それには、岸田首相が退き新たな首相のもとで、出直すということも考えられます。

ただ、現在ポスト岸田で名前の挙がっているのは茂木、河野太郎、林では、これは全く無理です。最近では、さすがに、あまりにもグレートアフォーすぎる、小泉進次郎や石破の名前はあがらなくなりましたが、それにしても、この三人では、保守岩盤支持層は全く納得しないでしょう。いくら、派閥の力学でそうなったといわれたとしても、これでは岸田首相のほうがましです。

これらのうちの誰が、ポスト岸田になったとしても、保守岩盤支持層は、これを支持しないでしょう。岸田政権並か、それ以下に支持率が下がることさえ予想できます。


であれば、岸田政権は継続するものとして、国民民主との連立をするという選択肢は、かなり有望であるとみられます。国民民主の玉木代表は、財務省出身であり、連立が成立すれば、岸田首相にとって強力な財務省対策にもなるものと考えられます。何よりも、玉木氏が、安倍元総理のようにマクロ経済を理解しているとみられるところが頼もしいです。

そうして、まともな経済対策や、防衛費の嵩上げ、憲法改正論議等を行うようになれば、岩盤支持層も納得するでしょう。

そうして自民党は黄金の三年間を利用して、次の政権の形を模索すれば良いのです。その間に若手を育成して、総理になり得る人物を育て上げるべきでしょう。

 国民民主党は、是々非々で物事をすすめる方向性で、どんどん健全かつ現実的な党になりつつあります。ぜひ、このままブレないで今のスタンスを貫いてほしいです。それができれば、公明党を排除して与党入りすることも十分ありえると思います。

岸田クライシスで、新たな政局が生まれつつあるようです。安倍政権や菅政権が続いていれば、保守岩盤支持層は満足したかもしれません。しかし岸田政権が生まれたことにより、様々な日本の課題・問題点が浮かびあがり、それが新たな政局を生み出し、良い方向に向かう可能性もでてきました。

安倍元総理がご存命であれば、岸田政権に睨みを利かし、良い方向に導かれ、岸田政権はそれなりの支持率を維持できたかもしれません。安倍元総理が亡くなってしまった現状では、自民党は核を失い、どんどん悪い方向に向かってしまう可能性がでてきました。そこに、国民民主との連立の可能性もでてきたわけです。これは、今すぐということではなくても、日本の政治に新たな風を吹き込むことになるかもしれません。

党派、派閥を超えて、保守系議員の方々はこの流れを加速・強化していただきたいです。

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岸田首相が増税を提起 防衛費増額に「国民全体で負担することを視野に入れなくては」―【私の論評】真摯さに欠る有識者会議、財務省、岸田総理(゚д゚)!


2022年12月5日月曜日

防衛費増額の財源に、ついに「埋蔵金」活用か…財務省の「増税悪あがき」の行方―【私の論評】防衛費は当面国債で歳出カットで対応と新聞報道されれば、財務省勝利!逆転には岸田退陣でまともな政権が必要(゚д゚)!

防衛費増額の財源に、ついに「埋蔵金」活用か…財務省の「増税悪あがき」の行方



もともとは「防衛国債」が有力

 政府は防衛費増額について、2023年度の一時的な財源確保策として、新型コロナ対策で厚労省所管の独立行政法人に積み上がった剰余金や外国為替介入に備えて管理している特別会計の剰余金の転用案の活用が浮上したと報じられている。

 一方で安定財源として増税策も年末に向け議論し、赤字国債の一種である「つなぎ国債」で、増税実施までの財源不足を穴埋めすることを視野に入れると報じられている。

 この問題の経緯をまとめておこう。今年2月に、ロシアによるウクライナ侵攻があり、世界情勢が緊迫した。一方、中国の習近平体制は台湾統一を公言しており、場合によっては武力行使の可能性も排除していない。

 台湾有事となれば、日本有事になる。自民党内の保守勢力から日本の防衛力強化が主張され、7月の参院選で自民党は「5年以内でGDP比2%」を公約とした。ただし、そのときには財源論はなかった。安倍元首相が主張していた「防衛国債」が有力視されていたからだ。

 ところが安倍元首相が暗殺されると、財務省は官邸に有識者会議を作った。そこで財源問題が議論され、増税の方向性が出されている。

 そこで、来2023年度予算にも防衛費増額の方向性が出てくるので、冒頭のように岸田政権は11月29日、23年度予算への検討を始めた。

さすがに財務省も抵抗できなくなった

 予算作りの一般論として、新規予算があるときには、(1)他の歳出カット、(2)建設国債対象、(3)その他収入(埋蔵金)、(4)自然増収、(5)増税で対応する必要がある。

 検討される順番は、それぞれの番号通りだ。

 (1)は言うは易く行うは難し。カットされる省庁の反発が強いし財源として巨額なものは出にくい。

 (2)の建設国債対象経費にできれば、有力な選択肢だ。これは、安倍元首相が生前に主張していた「防衛国債」である。財政法第4条第1項ただし書きでは、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については国債発行を認めている。一般会計予算総則で海上保安庁の船舶建造費が公共事業費として認められているので、海上保安庁の巡視船は建設国債で作られている。

 同じように防衛省予算を一般会計予算総則で規定するというのも有力案だ。実は、かつて人工衛星も建設国債の対象経費だった。人工衛星は衛星を打ち上げるのはロケットだが、爆弾を乗せればミサイルだ。この前例を踏襲すれば、ミサイルを国債発行対象経費とするのも、できない話ではない。

 (3)その他収入増というのが、筆者がかねてから主張していた埋蔵金である。特に外為特会(外国為替資金特別会計)では円安による儲け「評価益」があるのでこれを使わない手はない。

 筆者のところに多くの与野党議員が問い合わせて来たので、これまでの小泉政権以来の経緯、その際財務省の問題となっていた法解釈などを忌憚なく話をさせてもらった。そして、本コラムでもそれらを公開してきた。

 いくら岸田首相に否定させたところで、さすがに財務省も抵抗できなくなったのだろう。とうとう検討せざるを得なくなった。

すべては岸田首相にかかっている

 ただし、狡猾な財務省はダメージコントロールも上手く、最小限度のダメージに止めるだろう。各紙の報道では、外為特会「剰余金」や外為特会「余剰金」などと書かれている。会計知識のあやふやなマスコミなので仕方ないが、どのような概念であり、筆者のいうところの「評価益」とは違う。

 今の為替水準だと、少なくともとも30兆円程度の「評価益」があるが、剰余金だと、財務省が会計操作を行った後であるので、評価益そのものが剰余金になるわけではない。いずれにしても、筆者から見れば少なくとも30兆円くらい捻出できるが、複数年でその半分くらいになれば御の字だろう。

 (4)自然増収は、もっとも真っ当な方法だ。来年度を見れば、円安でGDP増なので、法人税、所得税はかなり増収になる。その後も経済成長すれは、名目成長を4%程度にできれば、その自然増収で防衛費増をかなり賄える。もっとも、財務省は成長はあてにならないとこの議論には乗らないだろう。

 (2)と組み合わせれば、建設国債の償還年数は60年なので、今の防衛費増に対して、自然増収が0.1兆円程度あれば十分なので、(2)ができるのならば、増税を考える必要はない。

 (5)増税は、最後の手だが、財務省はこれが本命だ。いきなり増税とはせずに、「つなぎ国債」で当面泳いで、特別会計を設置するなどして増税に結びつけるのが、財務省の戦略だろう。東日本大震災のときに、復興費用を復興増税に持っていたときのやりかただ。

 いずれにしても、実質的に(2)建設国債対象、(3)その他収入(埋蔵金)がポイントで、当面これで決着が付けば、(5)増税とは政治的にはならない。かつて小泉政権の時、埋蔵金が多額にあったので、小泉首相は自分の在任期間中は増税しないと言わざるを得なかった。

 いま、サッカーワールドカップで国民は盛り上がっているが、それにたとえると、(2)は右サイドからの攻めであり、(3)は左サイドからの攻めだ。ただし、財務省からは強烈なディフェンスがあり、これら(2)と(3)をできるかぎり少額にして、(5)に持っていこうとしている。

 いずれにしても防衛費増額は2023年度予算で方向性を出す必要があり、年末の予算編成の重要事項だ。支持率が低下して政権運営がままならない岸田政権はどのような道筋を描けるか。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】防衛費は当面国債で歳出カットで対応と新聞報道されれば、財務省勝利!逆転には岸田退陣でまともな政権が必要(゚д゚)!

以前にもこのブログの記事で主張したように、防衛費に関して、岸田首相は、財務省や財務大臣の意向を聞きすぎているように思われます。財務省が防衛費の増額に反対するのは当たり前です。そのようなことはわかりきっているので、英国では戦争中の戦略会議などには、財務大臣は出席させないそうです。


現在日本は戦争中ではありませんが、それにしても今年は年末までに防衛三文書の書き換えを行う時期であり、岸田総理は、財務省などの防衛費に関する主張などは、話半分に聞いて留めるべきです。そうでないと、判断を誤ります。

財務相や現在の官邸サイドは、防衛費増を増税の方向に持っていこうとしているようです。

有識者会議などでも増税の話ばかりが出てきて、具体的には東日本大震災の復興増税のようなスキームでどうか、というような話も出ています。

ただ、この有識者会議は内閣官房の有識者会議です。内閣官房は、間違いなく財務省の仕切りです。財務省のひも付きの有識者会議であることは、政府・与党のなかではわかってしまっています。

特に大反発しているのは自民党サイドで、増税など容認できるわけがないということでまとまっています。防衛3文書の議論と税制改正の議論が並行して進んでいたので、官邸が増税というところで結論付けてしまい、自民党税調に回されてしまえば、自民党税調の宮沢洋一会長は財務省のひも付きですから、そこで増税を決められてしまうのではないかという相当な危機感があったようです。


税調は、反対しそうなところの議論を迂回し、増税に賛成するところばかりに諮り、「皆さんに諮りました」という形に増税を強力に推進していこうというのが見え見えでしたから、自民党が怒るのも当然です。

増税の議論は、政権や首相に相当なパワーがなければ党内の反対を押さえつけられませんし、世論の協力も得られません。ここに関して言えば、岸田政権が弱体化していて良かったかもしれません。

ただ、不思議なのは、このような重要なことが報道で出てこないのでしょうか。特に新聞では、自民党のなかでかなり激しい議論が行われていることがほとんど報道されません。8%税率で軽減税率の恩恵を受けているというのが原因かもしれませんが、こういう議論が封印されているのは異常です。

増税に関しては、与党からも反対の話が出ていますし、野党も国民民主党などはいろいろな形で提言しています。そういうことも大きくは扱われません。政局絡みで「国民民主党が連立に入るのか」などという話ばかりが伝えられています。

この狙いは、野党の分断にあるのかもしれません。国民民主党の玉木代表は密室政治を否定しており、国対政治の否定論者なのです。国対政治とは、日本の国会において与野党の国会対策委員長同士が本来の議論の場である国会の本会議や委員会(理事会を含む)をさしおいて、円滑な国会運営を図る為に裏面での話し合いを行って国会運営の実権を握る事をさす言葉です。

それにもかかわらず密室に集ってこれが行われています。国対においての話し合いです、議事録が残りませんん。それをいいことに与野党が馴れ合い、そこでいろいろなことを決めていくのです。

内閣支持率が下がり、求心力がなくなってくると、すぐに連立組み替えのような話が出てくるものです。自民党は非常にしたたかな政党で、連立を組んだ相手をどんどん吸収していき、それによって延命を図ることを得意技としてきた政党です。現状でも、そういうことも考えているのかもしれません。

ただ、確かに国民民主党は、予算案や補正予算案には賛成しましたが、これは是々非々の形の表れだと考えるべきではないでしょうか。ただし、国民民主は、補正予算や被害者救済法で賛成なのですでに「与党」ともいえなくないです。

代表の玉木氏も私から見るとなぜ民主党に入ったのか不思議なくらいでした。岸田政権としても、公明党だけより牽制ができることから、国民民主の与党入りは願ったり叶ったりではないかと思います。


財源についてもオープンな形で国会で議論が出てくれば、そしてそれが報道されればと思います。しかし、なかなかそうなりません。それこそ敵基地攻撃能力なども、必要最小限という文言でいいのかどうか、もっと検討すべきです。維新の青柳議員などは質問に立っていたのですけれども、あまり報じられませんでした。

元々日本維新の会や国民民主党などは、何でも与党に反対ということではなく、是々非々の政党です。立憲民主党などの、何でも反対しているわりには国対政治を用いて密室で物事を決めていくという不透明な政治よりも、オープンな場で議論していくことが必要です。

現在はっきりしているのは、防衛費は当面国債で歳出カットで対応という新聞報道がされれば、建設国債と埋蔵金を封じた財務省が増税含みのつなぎ赤字国債で前半1点リードとみて良いでしょう。これを逆転するには岸田首相退陣でまともな政権が必要となるでしょう。

当然、財務省に屈した、岸田総理に多数の自民党議員は激怒し、政局が大きく動くことになります。増税以外で決着すれば、自民党保守派の勝ちで、政局は動かない可能性が高いです。防衛増税は、それだけ、自民党の保守派の怒りを買ったのは間違いないです。

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2022年11月29日火曜日

岸田首相、防衛費「GDP比2%」に達する予算措置を講じるようを指示 「見せかけ」「増税」に警戒感―【私の論評】「つなぎ国債」は今後の岸田政権を占う最重要キーワード(゚д゚)!

岸田首相、防衛費「GDP比2%」に達する予算措置を講じるようを指示 「見せかけ」「増税」に警戒感

鈴木俊一財務相(左)、浜田靖一防衛相=28日、首相官邸

 岸田文雄首相は28日、防衛費増額をめぐり浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相を官邸に呼び、2027年度に防衛費と補完する他省庁の関連予算を合わせ、「GDP(国内総生産)比2%」に達する予算措置を講じるよう指示した。岸田首相は防衛力強化に向け、歳出、歳入両面での財源確保の措置を年末に一体的に決定するとも述べた。他省庁の予算を含むため、「見せかけの防衛費増額」との批判もありそうだ。

 岸田首相が防衛費の具体的な水準に言及するのは初めて。今後、増税も含めた調整が、政府・与党内で本格化することになる。

 関連予算は、研究開発や公共インフラ、サイバー、海上保安庁といった他省庁予算を念頭に置いている。防衛省だけの予算から、安全保障の強化に政府全体で対応する体制に変える構えだ。

 自民内には他省庁予算を含めた「見せかけ」「水増し」や、財務省主導の「増税」で財源を捻出する手法に警戒感があり、反発も出そうだ。

【私の論評】財務省の危険な罠「つなぎ国債」は、今後の岸田政権を占う最重要キーワード(゚д゚)!


防衛費の水増しに関しては、私も反対ですが、ただ算定方法を変えるのであれば、現在の防衛費算定方法も変えて、それを100%として、2%増やすという考え方もできると思います。

それは、当然のことです。経済指標で計算方法などを変えれば、過去に遡って、すべて現在の算定基準で算定しなおして、改定値を発表しなければ、統計資料が役に立たなくなります。

最も良いのは、上の表でいえば、従来の防衛費を2%増やし、海上保安庁、PKOの予算も2%増やすという方式にすれば、すべて丸く収まり反対する省庁もいないでしょう。反対するのは、財務省だけということになり、何よりも財務省を出し抜くことができます。それで、はやく決着をつけるべきと思います。

次に、財務省主導型の「増税」も無論反対です。防衛費増額の財源として、増税を含めた国民負担が必要だとした、政府の有識者会議の報告書に対し、29日開かれた自民党の安全保障関連の合同会議で、出席者からは「増税を念頭においた議論が出てくるのは唐突だ」とか「税収の上振れ分を活用できないかなどの議論が先だ」などと批判的な意見が相次ぎました。

これに関しては、従来から言っているように警戒が必要です。共同通信は以下のような報道をしています。
 政府は29日、防衛費増額の財源捻出に向けた調整を本格的に始めた。23年度の一時的な財源確保策として、新型コロナ対策で厚労省所管の独立行政法人に積み上がった剰余金の活用を検討。外国為替介入に備えて管理している特別会計の剰余金の転用案も浮上した。防衛関連予算を5年間で段階的に増やして27年度にGDP比2%とするための安定財源として、増税策も年末に向け議論する。赤字国債の一種である「つなぎ国債」で、増税実施までの財源不足を穴埋めすることを視野に入れる

  鈴木財務相は29日、加藤厚労相と会談し、国立病院機構など2独立行政法人に利益剰余金を国庫返納するよう求めた。
太字でない部分は、現状を報告するものでしょうが、太字の部分は完璧に財務省の広報でしょう。

特に、「つなぎ国債」は曲者です。つなぎ国債は、将来見込まれる特定の歳入を償還財源として発行される国債をいいます。

赤字国債の一種ですが、財務省は「将来世代にツケを先送りする一般的な赤字国債とは区別できる」との見解を示しており、償還期間も通常より短く設定されます。また、その呼称については、償還財源を確保するまで資金繰りを「つなぐ」という意味に由来します。

現在、つなぎ国債の発行については、増税の実施を法律レベルで担保することが前提となっています。

「将来見込まれる特定の歳入を償還財源とする」とは、わかりやすくいえば、増税を財源としてということです。

「つなぎ国債」は増税で償還をすることを前提として、発行するものです。「つなぎ国債」を発行することになれば、いずれすぐに増税するということを意味します。


岸田総理大臣は国会予算委員会で、消費税を当面、上げる考えはないと改めて強調しました。

立憲民主党・泉代表:「総理は昨年の総裁選の時ですね。消費税率を10年程度上げることは考えないというふうに名言されていますが、それは変わってないか」

岸田総理大臣:「消費税については申し上げたように変わっておりません。上げることは考えていない」

岸田総理:衆院・予算委員会 25日

また、先月26日に政府税制調査会で議論された自動車の走行距離に応じて課税する「走行距離課税」について、岸田総理は「政府として具体的な検討をしているということはない」と述べ、導入に否定的な考えを示しました。

走行距離課税については「電気自動車普及の妨げになる」などとして、日本自動車工業会が反対を表明しています。

消費税は当面あげないことを表明した岸田総理ですが、「つなぎ国債」を発行することになれば、何らかの増税を数年以内には必ず行うということです。

そうではなく長期国債を発行するとか、特別会計の剰余金を活用するということになれば、当面増税することはないでしょう。

それにしても、防衛費に関して、財務省や財務大臣の意向を聞きすぎているように思われます。財務省が防衛費の増額に反対するのは当たり前です。そのようなことはわかりきっているので、英国では戦争中の戦略会議などには、財務大臣は出席させないそうです。

現在日本は戦争中ではありませんが、それにしても今年は年末までに防衛三文書の書き換えを行う時期であり、岸田総理は、財務省などの防衛費に関する主張などは、話半分に聞いて留めるべきです。そうでないと、判断を誤ります。

まさに、「つなぎ国債」は重要なキーワードです。要注意であるとともに、岸田政権を評価するキーワードにもなります。

「つなぎ国債」以外にも、財務省の罠が他にもあちらこちらに巡らせてあるかもしれません。これについては、発見しだいこのブログで解説させていただくつもりです。

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2022年9月11日日曜日

宗教法人の「解散命令」は可能だ 実際に発動するか決めるには被害状況の実態考慮すべき 消費者契約法など対応できるか合わせて検討を―【私の論評】安倍路線を引き継ぐべきと考えている勢力が自民党内で台頭し、安倍元総理のように、岸田政権に睨みを利かすべき(゚д゚)!

日本の解き方

高橋洋一 

河野太郎消費者相

 河野太郎消費者相がテレビ番組で、霊感商法の被害対策をめぐる消費者庁の有識者検討会について「解散命令まで消費者庁が関わったり、解散命令まで踏み込めと文部科学省に働きかけたりすることになるかもしれない」と話した。

 宗教法人法は、宗教団体が礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務および事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的(1条)として1951年に制定された。

 同法は、宗教法人制度が信教の自由と政教分離の原則に密接にかかわるものであり国による関与が最小限にとどめられるべきなので、所轄庁の権限が民法の法人の主務官庁に比べて限られている。なお、宗教法人に対しては、法人税、地方税などについて優遇措置がある。

 宗教法人に対する解散命令の事例は、旧オウム真理教に対するものだ。東京地検と東京都は、95年6月30日それぞれ東京地方裁判所に対し、オウムに対する宗教法人の解散命令を申し立てた。申し立ての理由は、教団によるサリン事件が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」(同法81条1項1号)および「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」(同法2条)だ。

 東京地裁は、95年10月30日、申し立てを理由があるものと認め、教団を解散する旨の決定を下した。同年12月19日、これに対する教団の東京高等裁判所への抗告が棄却され、続く最高裁判所への特別抗告も棄却された(96年1月30日)。これまで休眠状態の宗教法人に対して解散を命じた事例はあるが、法令違反・目的逸脱行為を理由に解散を命じたのは初めだった。

 オウム事件を契機として、宗教法人法が改正され、95年12月15日に公布された。改正の主な点は、①2以上の都道府県で宗教活動を行う宗教法人の所轄庁を文部大臣とする②信者その他の利害関係人は、宗教法人の備え付け書類、帳簿について閲覧を求めることができる③宗教法人は収支計算書等作成、備え付け義務のある書類のうち一定のものを定期的に所轄庁に提出しなければならない④収益事業の停止命令、認証の取り消し、解散命令の請求のために所轄庁に報告を求め質問をする権限を付与したことなどである。

 以上のとおり、解散命令は法的に可能だ。実際に発動するかどうかは、被害状況の実態との関係で決めたらいい。その際、宗教法人法の他の条項、消費者契約法その他の法律や新たな立法で対応できるかどうかも合わせて検討するのは当然である。

 オウムの例はあってもハードルは相当高く、抜けない宝刀の面もある。違法行為が一定程度なされている場合には対処できるよう基準を明確化すべきだ。解散命令の前段階で改善指事や活動停止命令を出し、その後、解散命令といった制度もいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

【私の論評】安倍路線を引き継ぐべきと考えている勢力が自民党内で台頭し、安倍元総理のように、岸田政権に睨みを利かすべき(゚д゚)!

高橋洋一氏が、宗教法人の「解散命令」は可能という発言を現在なぜするのでしょうか。

高橋洋一氏は、以下のようなツイートをしていました。

《魔女狩り。旧統一教会の行為は違法行為であれば法律で対処するのは当然だが、関係を絶つというのは魔女狩り。ワイドショーのいうことを聞く必要なし》

内閣改造について、高橋洋一氏は「こんな馬鹿馬鹿しい内閣改造があるか?岸田氏が断行した「脱安倍」昭和人事で防衛も経済も危ない」という酷評していましたが、安倍元首相の影響力をそぐという点で岸前防衛相を外すのが主眼の改造だったといえます。実際、統一教会に関係している人は新内閣に選ばないといっていました。


岸田総理および岸田総理に近い人達は、財務省にも近く、反財務省の政策を主張する安倍元主張は煙たい存在だったのでしょう。そこで、内閣改造では反安倍・脱安倍人事を仕掛けたかったのではないでしょうか。

ところが、実際に蓋を開けてみると、「関係」というあいまいなところで線を引こうとしたことに無理があり、新閣僚にも統一教会との「関係」がある人が出てしまったのです。

このあたりから、マスコミの統一教会バッシングが制御不能となって、岸田政権にも「ブーメラン」となって返ってくるようになってしまったのです。

しかも、旧統一教会「接点」議員に関して、「接点」だけ取り上げても意味はないものの、安倍派は人数で最多ですが、派閥別割合では3番目という調査結果もでています。

 森山派42・9% 、麻生派41・2%、 安倍派38・1%、 二階派37・2%、 岸田派34・9%、 茂木派25・9%、 無派閥17・9% であり、旧統一教会、自民派閥横断的に接点があり、安倍派が特に突出していないことが明らかになっています。

こうなると、安倍派が特に旧統一教会の接点が多いということはなく、そもそも安倍派排除の根拠が薄弱になってしまいました。

そうして、統一教会と自民党の関係を絶つと発言した、岸田政権には大きな逆風が吹くという結果になってしまいました。


しかも、「統一教会バッシングと国葬反対論が、なぜつながってしまう傾向が見られるようにもなりました。

安倍元首相の暗殺で、テレビが安倍元首相と統一教会の繋がりを繰り返し報じた後で、テレビで統一教会をケシカランものだと報じると、安倍元首相の国葬に反対する流れが出てきたのです。

そうして、安倍元首相は統一教会を嫌っていたとの意見に対して、国葬反対派から猛烈な反論が出てくるようになりました。安倍元首相は統一教会と関係が深いからビデオメッセージを送ったのだと。しかし、現実にはトランプ大統領が送ったから、トランプ大統領と同調しただけであることが知られています。

実際、統一教会にとって不都合な法改正(2013年消費者裁判手続特例法や2018年改正消費者契約法)が安倍政権によって行われています。そうして、霊感商法被害が近年少なっています。

そうなると、安倍元首相と統一教会の繋がり否定した途端に国葬反対派がしゃかりきになって反論する理由が解せないです。おそらく、統一教会バッシングを梃子にして国葬反対までもっていきたい勢力があるのでしょう。


国葬反対派は、国葬には三権の了承必要という論法で批判していますが、それが当てはまるのは法律根拠が曖昧だった吉田元首相の時の話で、その後、1999年立法解決し内閣府設置法となったのです。法律制定は立法府の了承になるし、行政府の権限の範囲内です。そのときに国葬は内閣府設置法の儀式と整理されました。それを今になって難癖を垂れるのは嫌がらせ以外の何ものでもありません。

現在、様々な地域の地裁で、安倍元首相の国葬、国費支出差し止め求めた申し立てが却下されています。これは、他の地裁でも同じ判断をすることでしょう。 

現状では、岸田首相が魔女狩りをするということを言ってしまったことにより、自民党自体が逆風を受ける結果となっています。この発言さえなければ、日テレのがワイドショーで統一教会批判をやりつつも、文書回答では相手の思想信条を問わないとしたこともあり、事態の収拾の目処もたったと思いますが、岸田首相の発言でとんでもないことになってしまいました。

こういうことが災いして、沖縄知事選で、玉城デニー氏が当選しました。岸田首相の魔女狩り発言に関しては、高橋洋一氏は株式会社読売新聞グループ本社代表取締役主筆渡邉恒雄氏の影響があったのではないかと推論をしていますが、私自身は渡邉恒雄氏もあり得るとは思いますが、岸田首相のまわりには財務省に近い人も大勢いますから、渡邉恒雄氏もそうですが、複数の人が岸田首相に影響力を行使した可能性があるとみています。

だからこそ、岸田氏が魔女狩り発言をしても、自民党内から表立ってこれを批判する人がいなかったのだと思います。

しかし、これは、安倍派排除だけではすまなくなり、自民党そのものが大きく毀損される可能性がでてきました。魔女狩りによって不利益を受けた、統一教会関係者、政治家、その他の人が政府を相手どって訴訟などすれば、勝ち目はありません。

高橋洋一氏は、現状を打破しなければ、岸田政権だけではなく、自民党そのものが大きく毀損される懸念もも生じてきたため、宗教法人の「解散命令」は可能という発言をしたものと考えられます。

そうして、上の記事で以下のように述べています。
実際に発動するかどうかは、被害状況の実態との関係で決めたらいい。その際、宗教法人法の他の条項、消費者契約法その他の法律や新たな立法で対応できるかどうかも合わせて検討するのは当然である。
オウムの例はあってもハードルは相当高く、抜けない宝刀の面もある。違法行為が一定程度なされている場合には対処できるよう基準を明確化すべきだ。解散命令の前段階で改善指事や活動停止命令を出し、その後、解散命令といった制度もいい。
こうしたことによって、現在の旧統一教会問題の不毛な論議を終わらせ、一日もはやくまともな政権運営、国会運営ができるようにすべきであると考えているのでしょう。

そうすれば、自民党自体はあまり毀損されることはなく、岸田首相や岸田派の勢力は相対的に弱まり、また、安倍派や安倍路線を踏襲しようとする勢力が相対的に台頭し、まともな政権運営、まともな国会運営ができる可能性が高まると考えているのでしょう。

これは、私もそう思います。とにかく、今のままでは、自民党への逆風が強まるばかりです。岸田首相は、魔女狩り発言中に中国のミサイルが日本のEEZ 内に着弾してもすぐに国家安全保証会議(NSC)を開催しないなど、危機管理能力がないことがはっきりしました。

ミサイル着弾のときには、岸田首相は内閣改造で頭がいっぱいだったのでしょう。本当に情けないです。このあたりの状況は、現状の政局がおちついて、統一教会などの問題が、党内でほとんど派閥争い等に関係なくなったときに、明らかにされるのではないかと思います。

ただ、この問題はしばらく自民党に影響を与え続けるでしょうから、明らかにされるのは10年後以降になるかもしれません。それまでは、当て推量をしてもあまり意味がないと思います。

安倍派であるないは別にして、とにかく今しばらく、安倍路線を引き継ぐべきと考えている勢力が自民党内で再び台頭し、安倍元総理のように、岸田政権に睨みを利かし、自民党を毀損しかねない岸田政権を短期政権で終わらせて欲しいものです。

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