震災から10年と被災地復興、インフラ整備はほぼ終了へ 次の震災対応へ国債発行を
高橋洋一 日本の解き方荒浜で海に向かって手を合わせる人たち=11日午前、仙台市若林区の荒浜地区 |
復興庁のホームページに、復興施策の工程表が出ている(2020年8月作成)。これは、東日本大震災からの復興の基本方針に基づき、被災8県を対象に公共インフラの復旧見通しを取りまとめたもので、毎年1回公表されている。
海岸対策▽河川対策(直轄管理区間)▽河川対策(県・市町村管理区間)▽水道施設▽下水道対策▽道路(復旧《直轄区間》、復興)▽道路(復旧《県・市町村管理区間》)▽鉄道▽港湾▽農地・農業用施設▽海外防災林の再生▽漁港▽漁場▽災害公営住宅▽民間住宅等用宅地の供給▽津波復興拠点整備事業▽学校施設等▽地盤沈下・液状化対策▽都市公園-の19事業について、現状と今後の予定が書かれている。
なお、公共インフラ復旧は当初26事業あったが、空港▽医療施設等▽養殖施設は13年度完了、定置網は15年度完了、造成宅地の滑動崩落防止▽土砂災害対策▽災害廃棄物の処理-は16年度に完了している。
19事業の事業完了予定年度については、復興期間の最終年度の20年度までとなっていた。それぞれについて、20年3月時点での成果進捗(しんちょく)の完了状況をみると、河川対策(直轄管理区間)▽水道施設▽道路(復旧《直轄区間》、復興)▽鉄道▽港湾▽農地・農業用施設▽海外防災林の再生▽漁港▽漁場▽災害公営住宅▽民間住宅等用宅地の供給▽学校施設等▽地盤沈下・液状化対策-の13事業で、目標を達成またはおおむね達成したとされている。
残りの海岸対策▽河川対策(県・市町村管理区間)▽下水道対策▽道路(復旧(県・市町村管理区間))▽津波復興拠点整備事業▽都市公園-の6事業では目標達成時期が20年度以降にずれ込んでいる。
ただし、災害公営住宅を除き、事業完了年度は20年度、つまり、21年3月までに終了する予定だ。これらを見る限り、政府が責任を持って行う復興関係事業は予定通りに進んでおり、大震災の発生から10年でインフラ復興はほぼ終了している。
今後予想される南海トラフ地震や首都直下型地震は、今の段階で予知は難しいが、近い将来くるのは間違いない。となると、重要になってくるのが事前の減災のためのインフラ整備だろう。事後にやるのがいいのか、事前にやって減災を目指すのがいいのかといえば、事前対応のほうが優れているのはいうまでもない。
インフラ整備の財源は長期国債であるが、今は歴史的な低水準である。この好機に際して、イエレン米財務長官は超長期国債を発行してコロナ対策を含めた財政出動をするつもりだ。日本も、コロナ対応とともに震災対応のための超長期国債を発行し、整備を進めるべきだ。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)
なにやら最近、地震が多いような気がするのだが、もしかして、これは大地震の前触れなのではないだろうかと、心配する方も多いと思います。新型コロナウイルス感染症拡大が心配される中、もし今大地震が起こったら…想像するだけでも恐ろしいですね。
実際に、2020年4月1日~6月30日に発生した最大震度4以上の地震回数は、前年同時期に比べて1.57倍と増えていました。
【対象期間】2020年4月1日~6月30日 発生回数:22回、2019年4月1日~6月30日 発生回数:14回
【データ元】気象庁震度データベースより作成
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.php
「今、日本列島の地盤で何が起こっているのか」については、様々な見解が各メディアより発信されています。その中でも長年に渡って懸念されているのが、「南海トラフ地震」です。しかし、「聞いたことはあるけれども、あまりイメージが沸かない」という方も多いかと思われます。
そこで、本記事では「南海トラフ地震」のメカニズムと発生見込み、そして対策について紹介します。そもそも「南海トラフ地震」とは何なのでしょうか。「南海トラフの場所は?」と尋ねられて、即答出来る方は中々いらっしゃらないと思われます。
南海トラフは、日本列島が位置する大陸のプレートの下に、海洋プレートのフィリピン海プレートが南側から年間数cm割合で沈み込んでいる場所を指します(図1参照)。
沈み込みを重ねることにより、2つのプレートの境界にはひずみが日々蓄積される仕組みとなっております。
図1 :南海トラフのイメージ図 |
一度跳ね上がった後もひずみは再び溜まり始めますので、「南海トラフ地震」は繰り返し発生します。地震発生のメカニズムについては、以下の記事(プレート境界地震)もご覧ください。
今さら聞けない、地震の基本情報【地震の起こる仕組み】
実際に「南海トラフ地震」は、100~150年間隔で繰り返し発生しております。そして直近では昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年)が南海トラフを起因として発生しており、次の発生が近づいてきているのでは、との声も多く聞かれます。
では、「南海トラフ地震」の発生確率はどの程度のものなのでしょうか?政府の地震調査委員会の研究によりますと、南海トラフでマグニチュード8~9の巨大地震が今後30年で起きる確率は、70~80%とされています。
平均発生間隔が88.2年というデータもあることから、いつ発生してもおかしくない状況と言えます。【引用】https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/k_nankai/
また国の地震調査委員会は、2020年1月24日に、南海トラフ沿いで今後30年以内にマグニチュード8~9級の大地震が発生した際、3メートル以上の津波が発生する確率も公表しています。その中で、71市区町村が「3メートル以上の津波に襲われる確率が26%以上」という結果が出ています。
3メートルと聞いてもピンとこないかもしれませんが、3メートル以上の津波は気象庁の大津波警報の発表基準にほぼ相当し、木造家屋が全壊、流失するほか、人が流されるなど深刻な被害が出るとされています。津波の恐ろしさについては、以下の記事(地震発生に伴う津波発生のメカニズム)をご覧ください。3mの普通の波は、それほどでもありませんが、3
小さい地震でも大津波は発生する!?津波発生のメカニズムに迫る
それでは、いつかは発生するだろう「南海トラフ地震」に備えて、私達はどのような対策を取ることが出来るのでしょうか。まず思いつく対策は、「家具の転倒防止」「避難経路の確認」「非常食の備蓄」といったものかと思われます。
もちろんそうした対策も大事なのですが、私達の想像を遙に越えた地震が発生した場合、財産(建物や家財など)のほとんどを失う危険性も捨てきれません。そんな時に役に立つのが「地震保険」です。
「地震保険」に加入していれば、被害状況に応じて保険金額を受け取ることが出来、金銭面での備えをすることが出来ます。実際に2011年の東日本大震災以降、地震保険へのニーズは高まっており、2018年度に火災保険に新規加入された方の内、65.2%の方が地震保険に加入しているとのデータもあります。(図2参照)。
図2:地震保険への加入率比較 損害保険料率算出機構 損害保険料率算出機構統計集より作成 |
しかし、地震によって家の建て直しが必要となっても、地震保険だけでは、最大で火災保険金額の50%しか補償されません。「これだけでは不安」という人は、「地震保険の上乗せ制度」で補完することをおすすめします。
地震保険の上乗せ制度は、民間保険会社が提供している地震損害に対する補償で地震保険では補償しきれない残りの50%の補償を提供する特約です。
津波防災地域づくりのイメージ |
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