2023年6月3日土曜日

「フィンランド1.32、ノルウェー 1.41…」北欧の出生率激減 「高福祉」で「ジェンダー平等」なのになぜ? 日本が教科書にすべきはイスラエル?―【私の論評】岸田政権は、ハイリターンの子どもへの投資は継続しつつ、AIとロボット化で少子化の弊害を取り除くべき(゚д゚)!

 「フィンランド1.32、ノルウェー 1.41…」北欧の出生率激減 「高福祉」で「ジェンダー平等」なのになぜ? 日本が教科書にすべきはイスラエル?

 欧で進む少子化の現状について、南デンマーク大学教授に話。社会保障が充実している北欧でも、近年は出生率が大きく低下している。

 北欧は、福祉が手厚く子どもが育てやすいと言われている。北欧では2010年ごろから、急激な少子化が始まった。

 社会・経済的地位の低い人口集団で無子の人たちが増えている。ノルウェーとイタリアを比較した研究がある。出生意欲が下がり、2カ国を比較するとイタリアよりも経済状況が良いノルウェーの方が大きく低下。

 日本政府が進める男性の育休取得などのジェンダー平等は、出生率には影響がない。北欧では「U字型論」という考え方がある。一旦は出生率が下がるが、平等度合いが上がってくるに従い出生率も上がるというもの。

 しかし今の北欧にはその理論が当てはまらなくなり、期待できなくなっている。北欧の少子化問題を見てきた竹下隆一郎氏が、日本の「異次元の少子化対策」について語っている。

 子育て世帯への支援だけでは、根本的な解決は難しい。「経済状況をどんどん上げていくのは短期的には難しい」。

 イスラエルの合計特殊出生率は3.00と高く、子どもが多い。宗教的な理由や国の歴史的背景の中で、国を存続することに対する思いが強い。

 朝日新聞記者は「文句を言い合える社会だから」と分析していた。子どもや大人が自由に文句を言って対等に付き合える社会。何かに困ったら打ち明け、支えてくれる。子育てにはインフラや経済的支援が大事だが、それとは別に社会的な制度がある。

この記事は元記事の要約です。詳細は、是非元記事を御覧ください。

【私の論評】岸田政権は、ハイリターンの子どもへの投資は継続しつつ、AIとロボット化で少子化の弊害を取り除くべき(゚д゚)!

北欧を絶賛してきた人たちの話とは裏腹に、フィンランドの合計特殊出生率ですが、既に2018年には日本に逆転されてます。2019年はもっと落ち込み、急落して1.36になった日本よりさらに低い1.35です。これは、子育て支援をすれば出生率があがるという理屈は必ずしも当てはまらないことを示していると思います。多かれ少なかれ、少子化している国では、いずれの国でも何かしらの施策はしているとは思うのですが、それでも少子化は進んでいるようです。

イスラエルのタウブ社会政策研究センターの2017年の調査によると、イスラエルが3.00という高い合計特殊出生率である理由はいくつかあります。


まずは、上の記事にもあるように宗教的・文化的要因です。 イスラエルのユダヤ人の多くは、子どもを持つことは宗教的な義務だと考えています。さらに、イスラエル政府は子どものいる家庭に経済的な優遇措置を講じており、これも高い出生率の一因となっていると考えられます。

さらに、イスラエルは比較的若い国で、年齢の中央値は30歳です。これは、出産適齢期の人が多いことを意味します。また、イスラエル経済は好調で、子育てに必要な資源を家族に提供しています。

最後に、イスラエル人の中には、大家族を持つことがユダヤ民族の存続につながると考える人もいます。その背景には、同国が近隣諸国と対立してきた歴史があります。

ただし、イスラエルの出生率も低下しつつあることには注目する必要があります。2017年の出生率は3.00でしたが、2035年には2.4まで下がると予想されています。これは、少子化を選択するイスラエル人女性が増えていることなど、さまざまな要因によるものです。

フランスは少子化対策に成功したと日本ではもてはやされていましたが、近年では合計特殊出生率は下がりつつあります。


結局、政府が良かれと思って実施したことが、必ずしも功を奏しているとは限らないということです。少子化している多くの国で、その原因ははつきりとはわかっていません。

しかし、多くの国では、子どもに対する支援を実施しています。なぜでしょうか、それはハイリターンであることが知られているからです。

確かに、政府の子どもへの投資はハイリターンであるという主張を裏付ける資料をいくつか紹介します:

ユニセフによる「Achieving the greatest impact for children」によれば、幼児期への投資が、健康、教育、経済的な幸福の向上など、子どもたちにとって多くの良い結果をもたらすことを明らかにしています。

アメリカ進歩センターによる「幼児期への投資が子ども、家族、そして国の経済に与える強力な影響を検証する」では、幼児期への投資が、子どもたちの収入の増加、犯罪の減少、健康状態の改善につながることを明らかにしました。

全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)による「低所得の子供に対する政府プログラムからの高い利益」(High Returns from Government Programs for Low-Income Children)にれば、 この研究では、低所得の子どもたちに幼児教育と支援を提供する政府プログラムは、所得の増加や犯罪の減少など、大きな経済的利益につながることを示しました。

Center for High Impact Philanthropyによる「Early Childhood: High Return on Investment」: このツールキットは、幼児期への投資の利点と、その投資を最大限に活用する方法についての情報を提供しています。

これらは、政府の子どもへの投資がハイリターンであるという主張を支持する多くの情報源のほんの一例に過ぎません。政府が幼児期に投資することは、その社会の未来に投資することになります。質の高い幼児教育と支援を提供することで、政府はすべての子どもたちがその可能性を最大限に発揮する機会を確保することができるのです。

大学や、大学院などの高等教育に対する政府の支援策も、ハイリターンであることが知られています。

であれば、岸田政権は「異次元の少子化対策」というよりは、「ハイリターンの子どもへの投資」をするということで良いのではないかと思えてきます。

そもそも、少子化の原因がはっきりしないのですから、少子化対策というより、子育てを含む、様々な子どもに対する支援をすべきです。さらに、奨学金という名の下で、実際には教育ローンである今の奨学金制度を抜本的に帰るなどの、高等教育への支援もすべきです。

これらの投資はハイリターンであることが知られているのですから、これらを実施するのに増税する必要などまったくありません。国債を用いるべきです。

そうして、少子化の弊害の対策は、少子化の弊害への対策として、産業界でロボット化を推進し、AIを活用すべきだと考えます。

これは、経済学でいうところの"装置化"、過去にも"装置化"は社会に弊害をもたらすとも考えられた時期がありました。

たとえば、ラッダイト運動または機械うちこわし運動が、1811年から1817年頃、イギリス中・北部の織物工業地帯に起こりました。この機械破壊運動は、産業革命に伴う児童労働や低賃金などの労働問題や、粗悪品の量産への抗議のパフォーマンスとして、工場の機械を破壊したのです。

ラッダイト運動

このようなことがあったにしても、19世紀から12世紀における、多くの「装置化」は功を奏して、雇用が破壊されるどころか、新たな雇用を生み出し、経済は拡大し現在に至っています。

AIやロボティクスは、さまざまな産業において生産性を向上させる可能性を秘めています。繰り返し作業や肉体的に負担のかかる作業を人間よりも効率的に行うことができ、生産量の増加や経済的競争力の強化につながります。これは、少子化に伴う労働力人口の減少の悪影響を緩和することにつながるでしょう。

少子化の悪影響は、経済的な側面だけではありません。医療や年金など、高齢化によって影響を受ける可能性のある社会福祉制度の維持にも関わってきます。AIやロボットなどのテクノロジーを活用し、効率化やコスト削減を図ることで、これらの制度を支える資源をより適切に配分し、長期的な持続性を確保することができます。

AIおよびロボティクスの活用により、人類は過去に産業革命を経たような大きな変化を迎えることになるでしょう。そういう時代には、少子化そのものはさほど大きな問題ではないかもしれません。それよりも、AIやロボットには不得手な、人間の創造性をいかに高めていくのかが、大きな課題になっているかもしれません。そうして、これらに対する政府の投資もかなりハイリターンになるでしょう。

増税の必要性など全くありません。増税は、増税するべきとき、経済が加熱して超インフレになりそうなときに、これを防ぐという本来の目的のためにすべきでしょう。


こうした未来への新展開の最前線に、まずは岸田総理からどうぞ足を踏み入れて下さい。

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高橋洋一「日本の解き方」

岸田総理(左)と祥太朗秘書官(右)

 岸田文雄政権は広島G7サミットの成功によって追い風を受けていましたが、長男の公邸写真流出や公明党との選挙協力問題、少子化対策での負担増などで逆風が強まっています。

 これにより、衆院解散戦略に影響が出る可能性もあります。岸田内閣の支持率は世論調査によって異なりますが、一般的には下がっている傾向があります。

 サミット後の世論調査では、政党支持率も下がっており、サミット効果は失われたと考えられます。岸田政権はいくつかの問題に直面しており、これからの状況を見ながら国会対応を行うことになるでしょう。

 長男の公邸写真流出は大きな打撃となりましたが、政府は迅速に対応しました。

 選挙協力に関しては、公明党の支援が少なくなる可能性があり、これによって自民党議員にも影響が出るかもしれません。

 保守系支持者の中には、公明党との関係を見直すべきだという意見もあります。公明党との対立が解消されるまで、解散が難しくなるとの見方もあります。岸田首相と吉村洋文大阪府知事の面会は、政治的に公明党に対して牽制するタイミングとなりました。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、要約をご覧下さい。

【私の論評】自民は、強い経済を作り出し政権を安定させる方向に進むべき(゚д゚)!

祥太朗問題とは別に、自民党と公明党の間で「10増10減」を巡る対立が続いていることが岸田首相を悩ませているようです。


公明党は次回の衆院選で東京の選挙区が増えることに対し、東京28区に公明候補を立てるよう要求していたのですが、自民党は認めませんでした。公明党は28区の擁立を断念し、一方で自民党の東京都内の候補を推薦しない方針を伝えました。ただ、この対立の影響は限定的とされ、選挙では両党の間で水面下での協力が行われる可能性があります。

夏に総選挙が行われる可能性もあり、首相はサプライズが好きであり、自公の混乱や翔太郎氏の問題を解決し、解散に向けた動きを悟られないようにしながら、6月に解散し、7月に総選挙を行う可能性があるとされています。

一方、野党第一党の立憲民主党ではあきらめムードや党の分裂の危機感が漂っており、次の衆院選で150議席を確保しなければ代表が辞任する考えが明言されています。しかし、立憲民主党の支持率は低く、党内では衆院選後に代表の引責辞任が予定されています。

与野党ともに衆院選に向けて浮足立っており、国民の課題に対する取り組みが後退している状況が指摘されています。

昨日は、岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」の裏付けとなる具体的な財源確保策の結論を年末に先送りしたようです。昨年末の防衛増税論議に続く持ち越しで、国民の負担増に対する与党の根強い反発を考慮したとみられます。衆院解散・総選挙の時期に注目が集まる中、自民党内では選挙で争点になることを避けたのではとの見方も出ています。

首相は昨年末、防衛力の抜本的強化に要する財源に関し、税目と税率、増税時期を一体的に決定する方針でした。ところが、与党から反対論が相次ぎ、増税時期を曖昧にして一応の決着を図った経緯があります。

岸田首相は、増税すると自民党内からも、国民からも反発を受けると認識しているようです。であれば、増税などしばらく止めてしまえば良いのではと思ってしまいます。

自民党は過去60年の大半を政権を担ってきたため、自民党の政治家の多くは、経済の状態に関係なく選挙に勝てると考えており、自己満足に陥っているのかもしれません。

しかし、経済が弱いと、政権は弱体化することを多くの政治家が間近にみてきたはずです。

2001年から民主党の野田首相まで、日本の首相は極めて頻繁に交代しました。特に、小泉純一郎首相が退陣した2006年以来、ほぼ1年に1人のペースで首相が入れ替わってきました。

もともと自由民主党政権時代から、ほぼ2年で交代することが多かったのですが、当時は自民党政権は永久政権と考えられていたため、政権交代のないままで定期的に首相を交代させる必要があったからかもしれません。一種、「派閥間の暗黙の合意に基づくたらい回し」の面があったともいえます。

しかし、1990年代に入って自民党の盤石と思われた体制が崩れ始め、小泉首相を最後に、その後すべての政権が1年くらいで、自民も、民主も崩壊を繰り返す事になりました。

1990年代というと、1993年の東京サミットは、7月7~9日の3日間で予定されていましたが、宮沢喜一首相は、内閣不信任決議が可決されたことを受け、サミット直前の6月18日に解散。サミット直後の7月18日に投票された結果、自民党は223議席で過半数を割り込みました。

そうして、非自民8党派による連立政権(細川護熙内閣)が発足し、自民党は初めて下野することとなったのです。ちなみに1993年にはいわゆるバブル崩壊の年にあたっています。

自民・公明が連立政権を組む前の年である、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥りました。

 こうした需要の低迷を背景に物価も弱含みとなり、物価の下落が企業経営の悪化や雇用の減少を招き、それがさらに景気を悪くする「デフレ・スパイラル」に陥る可能性さえ考えられ状態になり、実際その後日本はそうなりました。

日本経済が、このような状態になったのは、バブル期に確かに株価や地下はうなぎ登りでしたが、一般物価の上昇はさほどでもなかったのに、日銀官僚の誤謬によって、すべきでなかった金融引締に転じ、政府も緊縮財政に舵を切るなど、マクロ経済政策が間違ってしまったせいです。

経済の悪化は自民にも相当影を落とし、支持率が低迷し連立しないと過半数を取れないような状況になってしまったのです。

選挙は水物と言われます。何が起きるかは分からないです。1998年の参院選は予想とは異なる展開になりました。

96年に村山富市氏の後を継いで首相に就いた橋本龍太郎首相は改革志向を鮮明にしました。行政改革、財政構造改革、金融制度改革、経済構造改革、社会保障制度改革、教育改革を「6大改革」としました。国民の人気がなかったわけではありません。

橋本龍太郎氏

参院選で自民党は事前に60議席前後を確保すると予測されていましたが、ふたを開けると44議席にとどまり大敗しました。金融不安に加え「恒久減税」をめぐる橋本首相の発言のぶれが有権者の離反を招いたとされ、橋本首相は退陣しました。

選挙直前に結党した民主党は27議席と躍進。自民の対抗勢力として地歩を固めていくことになりました。

橋本首相が選挙で勝てなかったのは、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥ったことが影を落としていたのは間違いないです。そうして、自民党が単独で過半数を取ることさえ難しくなったため、自公連立をすることになったのです。

結局何かの改革をしようが、憲法改正を声高に叫ぼうが、景気が悪ければ、政権の維持は難しいのです。なぜかこのことに、多くの政治家が気づいていないようです。

以前このブログに示したように、強い経済は政権の維持をするのにかなり重要なファクターであることは間違いないです。景気が良ければ、あるいは景気は循環しますから、景気が悪くなることがあっても、それがさほど悪くなく、すぐに回復するということであれば、多くの国民は安定を一番に考えますから、与党を支持するのです。

現実に、安倍首相は第一次安倍政権のときには、経済が回復せず、短期政権で終わっています。安倍氏は、第一次政権の失敗は、経済であると見抜いたのでしょう。第二次安倍政権ではアベノミックスを打ち出し、積極財政、金融緩和を行い、経済を上向きにさせることに成功しました。

積極財政は、結局二度にわたる消費税増税でうまくはいきませんでしたが、金融緩和は今にいたるまで継続され、第二次安倍政権では、雇用が劇的に改善しました。これもあって、安倍政権は憲政史上最長の政権になったのでしょう。

ちなみに、経済対策は雇用が良ければ、合格だといえます。他の指標が良くても、雇用がよくならなければ、合格とはいえません。安倍政権は経済対策では、合格点だったのです。

強い経済と安定した政権との間には相関関係があることを示す証拠は数多く存在します。

例えば、ピュー・リサーチ・センターの研究によると、"国内の物事の進め方に対する国民の満足度は、経済の状態と密接に関連している "という結果が得られています。また、この研究では、"経済がうまくいっているとき、人々は大統領の仕事を承認する可能性が高い "ということもわかっています。

ブルッキングス研究所による別の研究では、"経済成長と政治的安定の間には強い関係がある "とされています。この研究では、"経済成長率が高い国は、政治的な不安定さを経験する可能性が低い "とされています。

強い経済は、政府に必要な資金を提供し、インフラを維持することを可能にします。強い経済は、人々に雇用と機会を創出し、社会不安を軽減するのに役立ちます。

強い経済は、政府に正当性を与え、反対派が政府の権威に挑戦することをより困難にします。

岸田首相は、このことを理解すべきです。政権を維持し安定化させるためには、自公連携を強化したり、増税をなるべき先送りにしたり、効果が上がることが期待できそうもない「新しい資本主義」、「異次元の少子化対策」を提唱するような、姑息なことをしても無駄です。

王道は、安倍総理のように、経済を良くすることです。安倍総理は雇用を劇的に改善しましたが、岸田首相はこれは、継承し、安倍総理ができなかった、本格的な積極財政を実行すべきです。

先日も述べたように、現状では、大きなリターンが予想される、子どもへの投資や、防衛防衛費増を増税で賄うのではなく、大量の国債を発行しそれで、投資をすることです。これは、将来のリターンだけではなく、現状の20兆円近くの需給ギャップを埋めることになり、すぐに効果があらわれます。

これをしただけでも、政権はかなり安定するでしょう。

そうして、その後も果敢に、積極財政、金融緩和政策を継続し、日本経済を強くすべきです。その過程で、日本の経済対策の非効率さや利権を生み出している、ほとんどの対策を補助金で行うという方式から、欧米などで主流になっている減税策を多用する方式に転換すべきです。

その他諸々の不合理や非効率を廃し、それを背景に外交では安倍路線を継承し、さらに発展させ、憲法改正を成し遂げるなどのことも実行すべきです。

経済が強いことは、他にも副産物があります。たとえば、日本が高度成長した後には、当時のソ連の影響力はほとんどなくなりました。これはソ連の工作員に扇動され、反政府行動をしたり、その他の活動をするよりも、普通にまともに働いて生活したほうが、より幸せになれると多くの人々が判断したからでしょう。

日本でも他国のように、20 〜30年もすれば、同じ職場で同じ職位で働いていても、賃金が倍増することが期待できれば、考え方が全く変わってくるでしょう。人生設計も夢のあるものに変わってくるはずです。そうなれば、少子化問題など何もしなくても、自動的に解決するかもしれません。

現在日本の経済が再び強くなれば、中国からの影響も受けにくくなります。インバウンドなど誰もあてにしなくなります。いまもそうなのですが、日本人の観光客のほうが、観光地で消費をしますが、それがかなり増えるでしょう。観光地を訪れる頻度も増えるでしょう。地価や株価が再びあがりはじめ、得体のしれない中国系企業などに土地を売るくらいなら、自分でもっていて値上がりすれば、自分で売ろうと考えるようなるでしょう。

本格的に強い経済を作り出せば、岸田政権は安定し、憲法改正はもとより、懸案になっているいくつもの案件を成就することもできるでしょう。

しかし、いくら目先で増税を先送りしても、いずれ増税ということになれば、岸田政権は確実に不安定化します。そんなことより、強い経済に目を向けるべきてす。そうして、それは、長あいだ財務省や日銀がマクロ経済政策を間違え続けてきた日本では十分可能です。

岸田首相は、「増税は経済が過熱するまでやめます。金融緩和も、経済が過熱するまで継続します。子どもや若者に対する投資や防衛費増や公共工事などでもリターンの大きい投資に関しては、国債を用いてどんどん投資します。日本を希望に満ちた明るい国につくりかえていきます」と公言し、それを実行していけば、その過程で、岸田政権に対する支持率はうなぎのぼりで上がっていくことでしょう。

もちろん選挙でも公明や維新や国民などと連立しなくても勝つことができるようになるでしょう。連立などしなくても、単独で過半数以上をとれるなら、しないほうが良いに決まっています。

自民党の中でも、積極財政派の方々もいらしゃいますが、その方々ももっと「強い経済が、政権を安定させる」ことを強調し、岸田政権が安定し、長期政権になるために自分たちは動いているということを首相に理解していただくようにすべきと思います。

一番恐れなければならないのは、岸田政権が終わった後、小石河政権が続き、その後さらに林、茂木政権等が成立しても、どの政権も1年前後で終わってしまい、政権が弱体化し、また多数の政党による連立政権ができあがるような事態です。

総理大臣がコロコ変わるだけで、外交で安倍元総理が築き上げてきた、アベノレガシーは崩れるでしょう。政権が弱体化し、憲法改正はできなくなります。

挙句の果てに、上記のポスト岸田の面々は、経済に疎いので、今後何十年も日本人の賃金はあがらないかもしれません。財政でも緊縮に緊縮を重ねて、とんでもないことになるかもしれません。有能な若者は、前途を悲観して、海外に移住するようになるかもしれません。そんな事態だけは避けていただきたいものです。そのためにも、強い経済を築くべきなのです。

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2023年6月1日木曜日

日本の対外純資産が過去最高 31年連続で世界一も現状は「成熟債権国」の段階、今後「債権取り崩し国」になる―【私の論評】経済指標は、単純に「赤字駄目」、「黒字良し」で判断すべきものではない(゚д゚)!


 財務省は、2021年末時点で日本の対外純資産が過去最高の411兆1841億円であり、これは31年連続で世界一の記録であることを発表した。ドイツが2位で315兆7207億円、香港が3位で242兆7482億円であった。一方、米国は世界最大の純債務国であり、対外純債務残高は2067兆3330億円であった。

 経済学的には、対外純資産の大きさが国の発展段階を示すものであり、経常収支黒字が望ましいという通念は誤りである。経常収支黒字は対外資産の増加源であるが、実際には経常収支と経済成長率の相関はほとんどなく、経常収支黒字が必ずしも好ましいわけではない。

 国際収支の発展段階説によれば、国の発展初期段階では経常収支は赤字となり、対外純資産はマイナスとなる。しかし、貿易収支が黒字化し経常収支が黒字になると対外純資産はプラスになり、さらに所得収支も黒字になると対外純資産は大きなプラスとなる。しかし、経済が成熟すると貿易収支が赤字化し、経常収支の黒字は縮小して対外純資産の増加も鈍化する。最終的には貿易収支と経常収支が赤字に転じ、対外純資産は縮小する。

【私の論評】経済指標は、単純に「赤字駄目」、「黒字良し」で判断すべきものではない(゚д゚)!

上の記事では、対外純資産としていますが、正確にいうと対外純金融資産です。日本の政府や企業、個人が外国に保有する金融資産から負債を差し引いたもの。金融資産は政府の外貨準備高、銀行の対外融資、企業の対外投資といった額を合計。負債としては海外勢の対日投資などがあります。土地、建物などの試算は含みません。金融資産のみです。

上の記事にもあるように、日本の直近の対外金融資産純額は、2021年末時点で411兆円でした。

この情報のソースは、財務省の国際投資ポジション(IIP)報告書です。IIP報告書は、日本の対外金融資産と負債の詳細な内訳を提供しています。

2021年の日本の対外金融資産純額の増加は、以下のような多くの要因によってもたらされました。
  • 2021年に15.5兆円に達した好調な経常収支の黒字。
  • 日本円の価値が下がり、日本の資産が海外投資家にとってより魅力的になったこと。
  • 海外からの直接投資が増加し、2021年には1.8兆円に達したこと。
日本は、国際収支発展段階説の4つの段階を経た国であるといえます。


20世紀初頭の日本庭園

 日本は20世紀初頭、新興債務国でした。第二次世界大戦後の経済再建のため、アメリカやヨーロッパから大量の資本財や技術を輸入しました。

 日本は20世紀後半に成熟した債務国になり、輸入よりも輸出の方が多くなり、主要な新興債権国になりました。

21世紀初頭、日本は主要な債権国になりました。黒字を他国に投資し、その国の発展のための資金を調達するようになりました。

日本は現在、成熟した債権国になりました。世界有数の経済大国であり、豊富な対外資産を持つに至っています。

さて、次の段位で高橋洋一氏は、日本はいずれ「債権取り崩し国」になると語っていますが、これを誤解する人もいるかもしれないので、念のため、言っておきますが、債権取り崩し国になったからといって、すぐに財政危機に陥るわけでもありません。実際巨大債務国の米国は破綻していないわけですから、日本と単純比較はできないものの、少なくとも債権を取り崩す事自体が、すぐに財政破綻につながるわけではないことはいえます。

日本が債権取り崩し国になること事態がすぐに財政破綻につながるものではない

さらに、この国際収支発展段階説の6段階はかならずしも順を追って発展していくわけではなく、実証分析においては逆進がしばしば観測されています。

実際、先進国で高齢化が進んだ成熟国であっても、北欧諸国やスイスでは経常収支は黒字であり、貯蓄を取り崩しているとは限らないです。

国際収支の発展段階説では貿易収支とサービス収支がつねに同じ方向に動くものと仮定しているが、実際には米国のようにサービス収支の一部である特許等使用料収支は非常に安定的な黒字を維持している国も存在します。

さらに、米・ドルは基軸通貨としての役割があり、国際経済環境の変化に伴って米国以外の国が外貨準備としてドルを保有する行動も存在することから、経済発展に伴う国際収支の変化だけでは説明がつかない状況も観測されています。

ただ、世界最大の純債務国であり、対外純債務残高は2067兆3330億円もある米国の財政が破綻していないのですから、対外純債務がないどころか、対外純債権が411兆円もあり、それを取り崩してもいない日本が、いますぐに財政破綻の危機にあるとはいえないと思います。

ただ、これを論拠に日本が財政破綻しないというのは、そもそも論点が異なるのだと思います。財政に関しては、高橋洋一氏が語っているように、政府の債務だけではなく債権も考慮に入れること、そうしてEUでは加入国の財政をみる場合の標準になっている、中央銀行と政府を統合した統合政府ベースでみて判断すべきであり、その点からみれば、日本が財政破綻するなどとは全く考えられません。

統合政府ベースでみることに反対する不可思議な人もいますが、そういう人はなぜ大企業が連結決算を義務付けられているのかも理解できないないのかもしれません。

財務省は、財政を語るときには、巨額の財政赤字のみを強調し、債権は無視して、一般会計再出と税収だけを比較してワニの口などと称して不安を煽っています。

財務省が強調する歳出と歳入の差(ワニの口)

対外純資産や貿易黒字赤字などは必ずしも、それが経済にとって良いこと悪いこととはいえないのと同じく、債務を赤字とみて、これが大きいこと自体を問題にするのは明らかに間違いです。財政においては政府の債務だけをみて、債権をみないということになれば、正確な財政状況など把握できません。

上のグラフは、そもそも全く意味がありません。債権や債務を全く無視して、税収と、歳出だけを並べてみても、何の意味もありません。さらに、そこに国債の発行残高を併記しても、無意味です。

企業経営でも、債権、債務を無視して、支出と収入だけみて、そこに社債発行額を並べてみても、全く何も見えません。ただ、混乱するだけです。これで、企業運営をすることなどできません。財政も同じことです。このようなグラフで、何かを論じようとする財務官僚にはビジネスセンスはゼロと言わざるを得ません。といより、意図的なのかもしれません。

貿易収支の赤字・黒字、経常収支の赤字・黒字、対外純試算の赤字・黒字自体は、さほど意味はなく、その時々の状況で判断していくべきものです。政府の債務と債権は、まずはそのバランスを見ていくことが重要です。

これらについては、その数字の意味を認識した上で、判断すべきで、赤字であれば駄目、黒字であれば良いという単純な見方では何も見えてこなくなります。数字の意味を知った上で理解すべきです。さらに、何かの数字が赤字というと、マスコミなどはそこで頭の回転が止まってしまい、他の複数の数字を見ることせず、赤字という単体の数字だけで、論評しようとするのも大きな間違いです。

数字そのものは、嘘はつきませんが、他の数字とのかねあいや、時間軸も考慮にいれなければなりません。株価のような先行指標や、失業率のような遅行指標など時間軸を考慮に入れないければならない場合もあります。

以前テレビで典型的な駄目サラリーマンが「賃金の上昇はどの程度であれば、実感できますか」と問われて「数ヶ月で倍」とか「数ヶ月で数十パーセント」と答えていました。企業の業績立て直しでも、大企業であれば、数年はかかります。それが賃金に目に見えて反映されるのはさらにその数年後ということもあります。

こういう人は駄目サラリーマンに限らず、政治家や財界人、官僚などにも多いです。金融緩和をして賃金があがるにしても、倍になるのに20年〜30年かかり、年率ではほんの数%くらいであり、1〜2年では生活実感からすれば、誤差くらいにしか見えないことが理解できていないのだと思います。このようなことは、日本以外の過去30年間で賃金が倍になった他国の賃金上昇率などみても、わかることです。

こういう人たちは、数字の意味を理解しないで、ただ赤字とか、黒字という言葉に幻惑されるので、財務官僚の簡単なトリックに引っかかり、増税しないと大変なことになる、国債を大量に発行すると将来世代につけになる等と単純に思い込むのでしょう。そうして、円高になれば、「円高で大変だー」、円安なれば「円安で大変だー、悪い円安で大変だー」と大騒ぎするのでしょう。これは、中途半端な知ったかぶりに過ぎず、本当に困ったものだと思います。経済に疎い人が、「私は経済に疎いので」と正直に言う人のほうが、まだましです。

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2023年5月31日水曜日

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日本の先端半導体「輸出規制」、中国はどう見るのか、材料は対象に含まれず短期的な影響は軽微との見方も


 日本政府は、5月23日に先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の対象に追加した。追加された品目のほとんどは半導体の製造装置と部品であり、洗浄や薄膜形成、回路焼き付け、エッチング、検査などの工程に関連している。背景として、経済産業省は国際的な安全保障環境の厳しさや軍事転用の防止を目的として、最新の輸出管理動向などを総合的に勘案し、特定の貨物と技術を輸出管理の対象に追加したと説明している。

 中国商務省は、日本政府の決定を輸出管理の乱用として批判し、自由貿易や国際的な貿易ルールから逸脱していると述べた。

 専門家や投資業界関係者の意見によると、日本政府の規制強化は中国の半導体産業にどの程度の影響を及ぼすかは不明ですが、規制対象は回路線幅14nm以下の先端半導体の製造装置に限られており、材料などは含まれていないため、影響は小さい可能性がある。ただし、規制の運用次第で規制が成熟プロセスにまで拡大する可能性もあると指摘されている。

 また、中国の半導体メーカーは規制強化を見越して予備の装置や材料を大量に買い付けており、短期的には影響は大きくないとされているが、長期的には中国の半導体産業は国産の製造装置を開発し、輸入装置の代替能力が問われることになるかもしれない。

これは、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】最近の国内半導体製造業の旺盛な投資性向は、リターンが見込めるから。岸田首相もこれを見習え(゚д゚)!

日本の措置は昨年の米国の輸出規制より中国をさらに不安にさせるでしょう。細部条項を検討してみると日本が米国よりも一歩踏み込んで中国の半導体生産を防ぐ措置を出したとみられているからです。

米国が18ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)DRAM、14ナノメートル以下のシステム半導体など先端半導体の輸出だけ規制するのに対し、日本は45ナノメートル級汎用半導体製造に使われる露光装備などまで輸出規制に含むとみられるためです。もし汎用半導体製造にまで支障が出るならば中国企業は洗濯機などの家電製品から自動車に至るまで多様な製品生産に打撃を受けるほかありません。

半導体露光装置

また、こうした日本政府の動きがオランダと米国の今後の歩みに影響を与える可能性もありまう。オランダは7月に関連規制を出す予定です。

このため中国半導体産業協会は先月、「日本が制限する輸出装備の範囲がとても広範囲で、成熟した半導体技術供給網に影響を及ぼしかねない。日本が日中半導体産業間の協力的な関係を破壊しようとするならば中国政府が断固とした対応措置を取ってほしい」という内容の声明を出しました。

中国商務部も23日、「日本政府の措置は輸出管理措置の乱用であり自由貿易と国際経済・貿易規則に深刻に反するもので、これに対し断固として反対する」として即時是正を要求しました。これと関連し日経新聞は、中国が米国の半導体輸出規制に対して世界貿易機関(WTO)に提訴したように日本にも同様の行動を取る可能性があると予想しています。

一方、人工知能(AI)用先端半導体分野で世界1位の米エヌビディアのジェンスン・フアン(台湾系米国人)最高経営責任者(CEO)は24日に報道されたフィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「米国と中国間の半導体戦争が米国のテック産業に途轍もない被害を与える恐れがある」と話しました。

ファンCEOは「バイデン政権が中国の半導体産業牽制に向け実施した輸出統制でシリコンバレーの企業は後ろ手に縛られた状態。米国のテック業界で3分の1を占める中国市場を失えばわれわれは米国にこれ以上半導体工場を作る必要がない」と話しました。バイデン政権が自国内に半導体工場を作らせるためにCHIPS法を通じた大々的な支援を施行中ですが、対中輸出制裁でこの政策が無用の物になりかねないという警告です。

ただ、私はそのようなことにはならないと思います。AIの進歩が半導体の需要をさらに高めることが予想されるからです。

まずAIは、新しい製品やサービスの開発に活用されています。AIは、医療、金融、交通、製造など幅広い業界で、新しい製品やサービスの開発に利用されています。これらの新しい製品やサービスには、それを支える半導体が必要です。

例えば、自動運転車の開発にはAIが使われていますが、センサーからのデータを処理し、リアルタイムで意思決定を行うためには、多くのコンピューティングパワーが必要です。

さらに、既存の製品やサービスを改善するためにAIが活用されています。例えば、医療診断の精度向上、金融取引アルゴリズムの効率化、交通システムの安全性向上などに、AIが活用されています。こうした改善には、より強力な半導体が必要です。

さらに、AIはより広く普及しています。企業や消費者がAIを搭載した製品やサービスの利点を実感していることから、AIはより広まりつつあります。AIがより普及するにつれて、半導体の需要はさらに増加し続けることでしょう。

この主張の出典は、半導体産業協会(SIA)の報告書です。SIAは、世界の半導体業界を代表する業界団体です。「2022年の半導体産業」と題されたこの報告書は、2022年の世界の半導体市場が10.3%成長すると予測しています。同レポートは、この成長の要因として、AIを活用した製品やサービスの継続的な導入など、さまざまな要因を挙げています。

結論として、AIの進歩は半導体の需要をさらに促進すると予想されます。これは、AIが新しい製品やサービスの創出、既存の製品やサービスの改善、普及に活用されているためです。その結果、半導体の需要は今後も伸び続けると予想されます。

今後、AIの進歩はさらに半導体の需要を増していくことになるでしょう。たとえ米国のテック業界で3分の1を占める中国市場を失えば、米国にこれ以上半導体工場を作る必要がないという予想は間違いではないかと思います。

米国は世界の半導体産業における主要なプレーヤーです。米国には、インテル、クアルコム、Nvidiaなど、世界有数の半導体企業があります。これらの企業は、スマートフォン、コンピュータ、自動車など、さまざまな製品に使用される半導体を設計・製造しています。

米国政府は、半導体サプライチェーンの安全性に懸念を抱いています。米国政府は、米国が半導体を中国などの外国に依存しすぎていることを懸念しています。この懸念は、中国が半導体へのアクセスを利用して米国企業から知的財産を盗んでいると非難されている事実によって高まっています。

バイデン政権は、CHIPS法の一環として、半導体産業への520億ドルの投資を提案しています。この投資は、米国内でより多くの半導体工場を建設し、半導体産業での雇用を創出するのに役立つことでしょう。

AIの進歩が半導体需要を喚起している具体例をいくつか紹介します。

たとえば、自動運転車です。センサーからのデータを処理し、リアルタイムで意思決定を行うには、多くのコンピューティング・パワーが必要です。このコンピューティングパワーを提供するのが半導体です。

バーチャルアシスタント Amazon AlexaやGoogle Assistantに代表される仮想アシスタントの普及はますます進んでいます。これらのバーチャルアシスタントは、自然言語を処理し、応答を生成するために強力な半導体を必要とします。

ロボティクスもまた、AIが大きな影響を及ぼしている分野です。製造業、医療、物流など、幅広い産業でロボットの活用が進んでいます。これらのロボットを動かすには、半導体が必要です。

AI技術の発展が進むにつれ、半導体の需要はさらに高まると予想されます。なぜなら、AIは新しい製品やサービスの創造、既存の製品やサービスの改善、そして普及に活用されるからです。そのため、米国のハイテク産業は、需要の拡大に対応するために、米国内に多くの半導体工場を建設する必要があります。中国が製造できないというなら、なおさら必要になります。

そうして、これは米国だけではなく、日本も同じことです。

日本における半導体工場設立の近況を紹介します。

2022年12月、株式会社ラピダスは北海道千歳市に半導体新工場を建設すると発表した。工場の建設費は1兆円(約86億ドル)で、2ナノメートル(nm)チップの製造に使用される予定です。工場は2025年に生産を開始する予定で、3,000人以上の雇用を創出する予定です。


千歳市が工場に選ばれた理由は、インフラが整っており、東北新幹線の高速鉄道路線に近いことです。また、同市には熟練した労働力があり、政府も協力的です。

千歳市での半導体工場の設立は、日本の半導体産業にとって大きな後押しとなる。この工場は、多くの産業に不可欠な半導体の安定供給を確保するのに役立ちます。また、この工場は雇用を創出し、日本経済を活性化させるでしょう。

サムスンは、日本に新しいチップ開発施設を建設する予定です。この施設は横浜市に建設され、1,000人以上の雇用を創出する予定です。サムスンはこのプロジェクトにいくら投資するかはまだ発表していません。

東京エレクトロンは、日本に新しいチップ装置工場を建設します。この工場は大分市に建設され、200人以上の雇用が創出される見込みです。東京エレクトロンは、このプロジェクトへの投資額をまだ発表していません。

ジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)は、日本で新しいチップ製造工場を建設しています。この工場は熊本市に建設され、1,700人以上の雇用が創出される予定です。JASMは、台湾のチップメーカーTSMCと日本のソニー、デンソーの合弁会社です。この工場は2024年に生産を開始する予定です。

TSMCの熊本新工場

これらは、日本における半導体工場設立の最近の動きのほんの一部です。日本政府は、国内生産を促進し、輸入への依存度を下げるために、半導体メーカーに補助金を支給しています。また、政府は、半導体産業への外国投資の誘致にも取り組んでいます。

世界の半導体市場は、今後数年間で大きく成長すると予想されます。この成長は、スマートフォン、コンピューター、自動車、産業機器など幅広い製品における半導体の需要の高まりによってもたらされています。日本は強力な製造基盤と熟練した労働力を有しているため、この成長の恩恵を受けるのに有利な立場にあります。

日本に新しい半導体工場が設立されることは、日本が半導体を安定的に供給できるようにすることにつながります。半導体は多くの産業にとって不可欠なものであるため、これは日本の経済的安全保障にとって重要です。また、新しい工場は雇用を創出し、日本経済を活性化させるでしょう。

日本の半導体企業は、中国が半導体製造ができなくなることを見込んでいることと、これから反動大重要はますます旺盛になることを見込んで、大型投資をどんどん実施しようとしています。

私は、最近の株価がバブル後の最高値が続いている、背景にはもちろんこうした事があるからだと思います。これに関しては、政府の動きは全く関係ないと思います。というより、政府の動きはマイナスに作用するだけだと思います。

先日もこのブログに述べたように、現状では、子どもへの投資、防衛費増は、明らかに日本ではリターンがかなり高く、であれば、財源は増税や保険料の値上げなどではなく、国債を発行して賄うべきなのですが、政府は何かというと「増税」ばかりしようと考えているようです。

半導体製造業の今回の工場新設には、無論銀行などからお金を借りるなどの手段を講じて行うのでしょう。多額の借金をしたとしても、十分リターンがあるし、意義のある事業であるからこそそのような挑戦をするのです。政府のように少子化対策や防衛費増額の、財源を税金で賄うということは、企業でいえば、大事業を内部資金だけで賄うようなものです。

確実にリターンが期待できる投資に、内部資金だけで行うのは全くばかけています。政府も半導体製造業と同じく、リターンが期待できる投資には、財源として国債をあてるべきです。

リターンが期待できる投資は、お金を借りて実行するというというのは、社会常識です。金融機関からお金が借りられるということは、企業の信用もありますが、投資が大きなリターンを生むと金融機関も理解するから、貸すのです。

岸田首相や、財務省や多くの政治家は、これを理解していないようです。彼らには、満足に企業経営もできないでしょう。満足に企業経営もできない人が、政府を運営するのは難しいです。ビジネスセンスのない人には、任せられないです。

岸田首相は、今回の半導体製造業の矢継ぎ早の投資の意味を良く考えて、そろそろ、財源に税金ばかりを用いるのは、間違いであることを理解していただきたいものです。

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2023年5月30日火曜日

インドは超大国になれるか? 加速する経済成長と差別の壁―【私の論評】いずれインドは人口だけでなく、経済・軍事で中国を追い越す日が来る(゚д゚)!

インドは超大国になれるか? 加速する経済成長と差別の壁

岡崎研究所

インド急成長する電力需要

 『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストであるザカリアが、インドの急速な経済成長を牽引する3つの革命と、貧困対策、女性の社会進出、宗教的寛容の重要性について述べています。

 挙げられている3つの革命とは、政府の「アーダー」政策、アンバニ氏の通信会社が主導する「Jio」革命、そして「インフラ」革命です。

 これらの革命は、インドの成長と変革の可能性を加速させた。しかし、著者は、これらの革命が、貧困の緩和、女性の社会進出、宗教的緊張という大きな課題の解決に貢献すべきであると強調しています。

 また、急速な人口増加やインフラの不備、官僚機構の複雑さなどさまざまな障害から、インドが超大国となる可能性に懐疑的であることを本文では認めています。

 それでも著者は、「ジオ」革命によるインターネットの普及や、中小企業の金融アクセスを容易にする「アーダー」システムの確立を挙げ、状況が急速に改善されていることを示唆しています。本文では、インドに根強く残る女性やイスラム教徒に対する差別も取り上げ、包摂性と寛容性の必要性を強調しています。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は元記事を御覧ください。

【私の論評】いずれインドは人口だけでなく、経済・軍事で中国を追い越す日が来る(゚д゚)!

上の記事にもあるとおり、インドに根強く残る女性やイスラム教徒に対する差別があります。しかも、その差別は想像を絶するくらいひどいものです。特に女性差別は酷いどころか、凄惨という形容詞が当てはまるほど酷いです。ただ、このような差別がありながらも、インドが超大国になる可能性は否定できません。

インドの女性差別は、日本で考えられているような女性差別などとは次元が異なるともいえる酷いものです。

たとえば、ニルバヤ事件(Nirbhaya case)は、2012年12月16日にインド・デリーで発生した致死的な集団強姦・暴行事件である。被告人は6人で、バスの中で23歳のジョティ・シンが殴打、集団強姦、拷問を受けました。彼女は重傷を負い、シンガポールで治療を受けましたが、亡くなりました。被告人のうち1人は自殺し、4人は死刑判決を受け処刑されました。

ニルヴァヤ事件の犯人の1人(左)と犠牲者のジョティ・シン(右)さん

この事件はインドで広範な抗議を引き起こし、「ニルバヤ法」と呼ばれる法律改正をもたらしました。また、性暴力に対する意識も高まりました。

インドでは持参金による女性の殺害が問題となっており、法律の厳格化とサポートの充実が必要です。意識の啓発や被害者支援によってこの犯罪を根絶することができます。

インドでは「花嫁焼き」「持参金死」と呼ばれる習慣があります。これは、夫やその家族が持参金を得るために妻を殺すDVの一種で、持参金は結婚時に花嫁の家族から花婿の家族へ贈られる代金です。2020年にはインドで8,233件の持参金による死亡事故が報告され、平均して1時間に1人の女性が被害に遭っています。

持参金殺人の理由はさまざまで、夫や家族が持参金の額に納得しないケースや、妻が義理の両親の要求に応えられないケース、長時間労働や身体的・精神的な虐待を受けるケースもあります。

花嫁焼き討ちはインドの犯罪であり、1961年に制定された持参金禁止法で違法とされています。法律があるにもかかわらず、花嫁焼却はまだ問題とされています。

この問題にはいくつかの要因があります。一つは、女性への暴力が社会的・文化的に受け入れられていることです。また、法律に関する教育や意識の欠如も要因の一つです。

対策として、法律と持参金の危険性についての認識を高めることや、被害者に対するサポートを提供することが重要です。カウンセリングや法的支援、シェルターなどの支援が含まれます。

花嫁焼却は深刻な問題であり、止めるべき犯罪です。法律への意識を高め、危険にさらされている女性に支援を提供することで、命を救うことができます。

インドにおけるイスラム教徒への迫害や差別もあります。

2020年、インド政府は、パキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンからの非イスラム教徒の移民に市民権を与える「市民権修正法」を成立させました。この法律は、それらの国々で多数派であるイスラム教徒を差別していると批判されています。

2021年、インド政府は「全国市民名簿」を成立させました。この法律は、市民権を証明できない可能性が高いイスラム教徒を差別していると批判されています。

近年、インドではイスラム教徒に対する暴徒の襲撃が相次いでいます。2022年には、ヒンドゥー民族主義者の暴徒がウッタル・プラデーシュ州でイスラム教徒が経営するパン屋を襲い、1人が死亡、数人が負傷しました。

インドのムスリムは、宗教を理由に仕事や住居を拒否されることが多いです。2021年、ウッタル・プラデーシュ州の学校で、イスラム教徒の女性がヒジャブを着用していたことを理由に就職を拒否されました。

州政府の大学の教室でヒジャブ着用禁止に抗議するイスラム系女子学生

インドのイスラム教徒は、しばしば言葉の暴力や嫌がらせを受けます。2022年、デリーでイスラム教徒の男性が、ヒンドゥー教のスローガンを唱えることを拒否したために、ヒンドゥー教徒の集団から殴られました。

これらは、インドでムスリムが直面している迫害や差別のほんの一例にすぎません。インド政府はイスラム教徒への差別を否定していますが、証拠からするとそうではないことがわかります。

ただ、それでもインドが超大国になる可能性があります。それには、様々な理由がありますが、一般にあげられているものは、人口の多さ、成長する経済、軍事力 、地政学的位置などでしょう。これは、誰もが指摘することなので、ここでは敢えてあげません、他の文献などをあたってください。

私は、以前から民主化、政治と経済の分離、法の支配が経済発展のために不可欠な要素であることをこのブログで主張してきました。この主張を支持する証拠はたくさんあります。

例えば、世界銀行の調査によると、民主的な政府を持つ国は、民主的でない政府を持つ国よりも一人当たりのGDPが高い傾向にあることが判明しました。また、法の支配が強い国は、法の支配が弱い国よりも一人当たりのGDPが高くなる傾向があることもわかっています。

ハーバード・ビジネス・スクールによる別の研究では、民主的な政府を持つ国の企業は、非民主的な政府を持つ国の企業よりも投資やイノベーションを行う可能性が高いことがわかりました。また、この研究では、法の支配が強い国の企業は、法の支配が弱い国の企業よりも、投資やイノベーションを行う可能性が高いという結果も出ています。

これらの研究から、民主化、政治と経済の分離、法の支配は、いずれも経済発展のための重要な要素であることがわかります。

以下に、これらの要因が経済発展に寄与する具体例をあげます。

民主化: 民主的な政府は、財産権を保護し、契約を執行する可能性が高くなりまし、財産権を保護し、契約を執行する可能性が高く、投資と経済成長を促進する環境を作り出します。
政治と経済の分離: 政治と経済が分離していれば、政府高官が権力を行使して国民を犠牲にし、自分たちを豊かにする可能性が低くなります。その結果、より効率的な資源配分と経済成長を実現することができます。
法の支配 :法の支配とは、社会的地位や政治的コネクションに関係なく、誰もが法律に従うことを意味します。その結果、企業や個人にとって公平な競争環境が生まれ、投資の増加や経済成長につながります。

もちろん、民主化、政治と経済の分離、法の支配だけが経済発展に寄与する要素ではありません。教育、インフラ、資本へのアクセスなど、他の要素も重要です。しかし、経済成長を促す環境を整えるには、この3つの要素が不可欠です。

現在、米国についで超大国になる見込みのある国は、中国とインドということができます。この両国のうち、民主化、政治と経済の分離、法の支配が進んでいるのは、インドのほうです。上記であげたように女性差別などが根強く残っていることから、まだまだ不十分といいながら、インドのほうがはるかに進んでいます。

一方、中国のほうは、民主化はされておらず、共産党一党独裁体制であり、憲法はもちろん法律もすべて共産党の下に位置づけられています。経済に関しては、中国は、国家資本主義とも言っても過言ではなく、政治と経済が不可分に結びついています。先の述べたように、中国は法の支配からかけ離れた状況にあり、共産党が憲法より上の存在です。

このような国が超大国になる見込みはありません。実際、このブログで指摘したように、現在の中国では国際金融のトリレンマにより、独立した金融政策ができない状況になっています。

国際金融のトリレンマとは、不可能な三位一体とも呼ばれる国際経済学の理論で、ある国が経済政策上、一見望ましいと思われる3つの目標を同時に達成することはできないとするものです。その3つとは以下です。


固定為替レート: 固定為替レート:ある国の通貨の価値が、米ドルなどの他の通貨の価値に固定されていることです。
自由な資本移動: 自由な資本移動とは、人々や企業が国境を越えて自由に資金を移動させることができることです。
独立した金融政策: 独立した金融政策とは、為替レートの固定や資本流出を防ぐ必要性に制約されることなく、国の中央銀行が金利を設定する能力のことです。

トリレンマによれば、国は常にこのうち2つの目標しか達成することができません。例えば、中国のように固定為替レートと自由な資本移動がある国は、独立した金融政策をとることができません。中央銀行が金利を上げれば、投資家にとって資金を国外に移す魅力が増し、為替レートを圧迫しかねないからです。

まだ、中国は独立した金融政策はできませんが、変動相場制をとっているインドは、自由な資本移動と、独立した金融政策が実行できます。

インドは1993年3月に管理変動為替相場制に移行しました。それ以前は、ルピーは米ドルに固定されていました。変動相場制への移行は、1990年代前半にインドで実施された一連の経済改革の一環であった。この改革は、インド経済の競争力を高め、外国投資を呼び込むことを目的としていました。

変動相場制への移行は、インド経済にとって多くのメリットをもたらしました。インドルピーの換金性が高まり、企業の資金調達や他国との貿易が容易になりました。また、世界的な金利の変動や世界経済の減速など、外的なショックに対してインド経済がより強くなりました。

しかし、変動相場制への移行は、いくつかの課題も抱えていました。近年はルピーが不安定で、企業が将来の計画を立てるのが難しくなっています。また、RBIは市場介入を頻繁に行い、市場操作をしているとの批判もあります。

全体として、変動相場制への移行はインド経済にとってポジティブな展開でした。しかし、まだ対処すべき課題もあります。たた変動相場制に移行したことは、インドの英断でした。こうしていなければ、今頃経済は現状よりもさらに困難を極め、八方塞がりになっていたことでしょう。

中国の場合は、独立した金融政策は、実施できませんが、インドはできます。これは、大きな違いです。このことからいっても、インドは将来超大国になることは簡単ではないもののの、そうなる見込みはゼロではありません。しかし中国にはその見込はありません。

インドが超大国になれるにしても、そうなるまでには、まだまだ時間がかかるでしょうが、インドはそれに向けて努力することでしょう。それに向けて努力を続けることにより、インドの影響力はどんどん大きくなっていくことでしょう。一方中国は今後はますます衰えていきます。

いずれ、インドが中国を人口だけではなく、経済にも軍事的にも追い越す日が来るのは間違いないと思います。

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2023年5月29日月曜日

岸田首相の長男、翔太郎秘書官を更迭 公邸内の不適切行動に批判―【私の論評】外交成果が帳消しになった岸田首相は、そろそろ国内経済の強化に本腰をいれるべき(゚д゚)!

岸田首相の長男、翔太郎秘書官を更迭 公邸内の不適切行動に批判


 政府は29日、首相公邸内で親族と記念写真を撮るなど不適切な行動が批判された岸田文雄首相の長男の翔太郎首相秘書官(政務担当)が6月1日付で辞職し、後任に山本高義元首相秘書官を充てる人事を発表した。事実上の首相による更迭となる。6月21日の今国会会期末が迫り、重要法案の審議が残っている中、政権運営へのダメージ回避を図ったとみられる。

 26日の参院予算委員会では、立憲民主党の田名部匡代氏が「公私混同がはなはだしい」と追及。首相は「公邸内には迎賓機能や執務機能を有する公的なスペースがあり、不適切な行動だった」と陳謝し、本人に厳重注意したと説明した。更迭は否定していた。

 ただ、与党からも「大変遺憾だ」(公明党の石井啓一幹事長)などと批判が出ており、更迭が不可避な情勢となった。

 首相は2月にも、LGBTなど性的少数者に対する差別発言をした当時の首相秘書官、荒井勝喜氏(経済産業省出身)を交代させた。今年、首相秘書官2人を更迭する異例の事態となった。

【私の論評】外交成果が帳消しになった岸田首相は、そろそろ国内経済の強化に本腰をいれるべき(゚д゚)!

長男秘書官がG7広島サミット支持率アップをぶち壊してしまったようです。日経新聞の調査では、岸田内閣の支持率47%になり、5ポイント低下しました。

このようなさなか、自民党は29日、政府が6月に決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」の骨子案を巡り議論した。萩生田光一政調会長は「少子化対策、外交安全保障など、あらゆる課題に応え得る骨太の方針にしていきたい」と述べました。

萩生田光一政調会長

骨子案では、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」に関し、労働市場改革による構造的な賃上げの実現、「人への投資」の強化、分厚い中間層の形成を明記した。ロシアによるウクライナ侵略を受けたサプライチェーン(供給網)の強靱化や少子化対策の抜本強化も盛り込みました。

出席者からは、歳出改革に関し、医療、介護などの社会保障費を削減しないよう求める意見が目立ちました。少子化対策の財源に関しては、「国債を充てると明記すべきだ。将来の負担の付け回しではなく投資なのだと書けば理解してもらえる」との意見もありました。これは、まともな意見だと思います。

一方、財政制度等審議会は、政府が目指す少子化対策の強化に必要な財源について、赤字国債で賄うことは認められないとの姿勢を明確にしました。



また、財源を検討する際には、税も選択肢から排除すべきではないとの意見が出されました。政府は、社会保障費の歳出改革などに加え、社会保険料に、新たな支援金として上乗せして集めることで、年間3兆円程度を確保したい考えです。

一方、自民党の茂木幹事長は社会保険料の引き上げや上乗せなどを考えている訳ではないと述べています。

国債発行も認めず、また増税も匂わす、国民にとって最悪の諮問機関です。まさに、財務省のいいなりの、ザイム真理教団の諮問機関といわれても仕方ない連中だと思います。

政府は少子化対策に充てる当面の財源を確保するため、国債の一種である「つなぎ国債」の発行を検討しています。政策を早期に実行するために、当初不足する財源を借金で穴埋めし、将来の社会保険料の上乗せなどで入ってくるお金で借金を返済するという流れです。

つなぎ国債は赤字国債の一種ですが、返済に充てる財源をあらかじめ決めて発行するという特徴があります。財政規律を維持する狙いで、将来の増税で入ってくるお金を財源に充てるケースが多いです。そうして、今の日本だとこれは、結局のところ増税になります。

少子化対策に限らず、子どもへの投資はリターンが大きいことが世界中で確認されています。以下直近では日本ではあまり良い例がないので、海外の事例をあげます。

政府による子どもへの投資対効果(ROI)は相当なもので、1ドルの投資に対して最大17ドルのリターンを示す研究もある。これは、幼児期の体験が、学力、健康、経済生産性など、子どもの将来の成長に大きな影響を与えるからです。

例えば、Center for American Progressの調査によると、低所得層の子どもたちのための幼児教育プログラムに1ドル投資するごとに、子どもの生涯を通じて7ドルの経済的利益を生み出すことがわかりました。この利益には、収入の増加、犯罪率の低下、社会サービスの必要性の低減などが含まれます。

また、全米経済研究所の調査によると、質の高い幼児教育プログラムに参加している子どもは、高校を卒業し、大学に進学する可能性が高いことがわかりました。また、投獄される可能性も低く、雇用される可能性も高いことが分かっています。

政府の子どもへの投資に対するROIは、特定のプログラムや対象となる人々によって異なります。しかし、幼児期への投資は、長期的に見れば賢明な投資であり、その成果が得られるという証拠は明らかです。

以下は、政府による子どもへの投資のROIに関する研究からの具体的な数字です。

Center for American Progressの調査によると、低所得層の子供向けの幼児教育プログラムに1ドル投資するごとに、子供の生涯を通じて7ドルの経済的利益を生むことがわかりました。

全米経済研究所の調査によると、質の高い就学前教育プログラムに参加した子どもは、高校を卒業し、大学に進学する確率が高いことがわかりました。また、投獄される可能性も低く、雇用される可能性も高いことが分かっています。

ブルッキングス研究所の研究によると、すべての子どもたちのための幼児教育プログラムに1ドル投資するごとに、子どもの一生を通じて4ドルの経済効果が生まれるとされています。

これらの研究は、政府による子どもへの投資が、長い目で見て報われる賢明な投資であることを示しています。幼児期に投資することで、子どもたちの潜在能力を最大限に引き出し、より強い経済に貢献することができるのです。

子どもへの投資効率が高いことを考えれば、少子化対策などでの子どもへの投資は、国債によって賄われるが順当であると考えられます。

子どもに投資をすれば、その分将来確実に日本は豊になるのです。そんなことは、少し考えてみればわかります。十分に教育が受けられない子どもたちが、政府の投資により、まともな教育を受けられるようになれば、この子どもたちは、将来有能な働き手となって、政府が投資した分よりもはるかに大きい富をもたらすことになるのです。

そんな計算もできないのが、財務省であり、財務省の走狗財政制度等審議会なのです。彼らが行っているのは目先の省益のために、子どもの機会を奪い、将来国を貧乏にすることです。このようなことを繰り返すのはもうやめるべきです。

子ども投資は経済にとって、プラスになることはご理解いただけたと思います。実は防衛費の支出でも似たようなことがいえるのです。

防衛費が経済にプラスの影響を与えることを示唆する証拠は数多くあります。例えば、米国の戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)の研究では、「国防費は、商品やサービスの需要を刺激し、雇用を創出し、研究開発を支援することで経済成長を促進することができる」とされています。また、この研究は、"防衛費は、経済が低迷しているときに収入源や雇用を提供することによって、経済を安定させることができる "と述べています。

この主張を裏付ける数字があります。

米国では、防衛費はGDPの約3.5%を占めています。この支出は、直接的・間接的に約240万人の雇用を支えています。

英国では、国防費はGDPの約2%を占めています。この支出は、直接・間接的に約70万人の雇用を支えています。

イスラエルでは、国防費はGDPの約5%を占めています。この支出は、直接・間接的に約120万人の雇用を支えています。

これらの数字は、国防費が経済に大きな影響を与えることを示しています。雇用の創出だけでなく、商品やサービスに対する需要の喚起、研究開発の支援、経済の安定化など、国防費は様々な効果を発揮します。

しかし、防衛費が経済に与える影響は、経済規模、防衛費の種類、全体的な経済情勢など、さまざまな要因によって異なることに注意する必要はあります。場合によっては、国防費が債務の増加やインフレにつながるなど、経済にマイナスの影響を与えることもあります。まさに、現在のロシアがその状況です。

全体として、国防費は経済にプラスの影響を与えますが、その影響は多くの要因によって異なります。ただ、現在の日本では、防衛費を倍増したとしても、プラスの面の方が大きいです。なぜなら、現在の日本経済は依然として、20兆円ほどの需給ギャップがあるので、有効需要を喚起する必要があります。そのため、国防投資をすれば、それができるからです。

防衛費増は日本経済にプラスになる

肝心なのは、子どもへの投資はハイリターンであること、防衛投資も、投資した分がすべて無駄になるわけではなく、雇用の創出だけでなく、商品やサービスに対する需要の喚起、研究開発の支援、経済の安定化に寄与する面があるということです。

そのようなことを忘れて、子どもへの投資や国防投資やその他の財源を税金だけで賄い続けたとしたら様々な悪影響が生じることが考えられます。
その一つは、政府が支出を賄うための資金を国債を発行して借りられない場合、増税を余儀なくされることです。その結果、人々が使うお金が減り、経済活動が低下する可能性があります。また、増税は、税負担が富裕層に偏るため、格差の拡大につながる可能性があります。ただし、消費税は、富裕層よりは、貧困層に負担が重くなります。
増税ができない場合、政府は支出を削減せざるを得なくなります。その結果、教育や医療などの行政サービスの質が低下する可能性があります。さらに、歳出削減は、政府が労働力を削減するため、雇用の喪失につながる可能性があります。
政府が増税や歳出削減を行えない場合、債務不履行を余儀なくされる可能性があります。これは、投資家が政府の債務返済能力を信用しなくなり、金融危機につながる可能性があります。金融危機は、企業が投資意欲を失い、消費者が支出に慎重になることで、景気後退につながる可能性があります。
これは、税金だけで政府支出を賄った場合に起こりうる結果の一部に過ぎません。実際の結果は、上述したように多くの要因に左右されます。最近の日本は、政府支出のほとんどを税金で賄おうとし続けてきたため、上記で述べた状況に近い状況になっています。

このようなことは、もうやめるべきでしょう。そうして、最近このブログにのべてきたように、政権維持のためには、経済の安定が必要不可欠です。そのため安倍首相はアベノミックスを打ち出し、結果として二回の消費税増税をせざるを得ない上記に追い込まれたものの、金融緩和は今でも継続され、雇用は劇的に改善しました。そのためもあって、安倍政権は安定し、長期政権になったのです。

岸田首相は、G7などの成果が、帳消しなった現在、国内経済を強くして安定させる方向に舵をきるべきです。

強い経済と安定した政権との間には相関関係があることを示す証拠は数多く存在します。

例えば、ピュー・リサーチ・センターの研究によると、"国内の物事の進め方に対する国民の満足度は、経済の状態と密接に関連している "という結果が得られています。また、この研究では、"経済がうまくいっているとき、人々は大統領の仕事を承認する可能性が高い "ということもわかっています。

ブルッキングス研究所による別の研究では、"経済成長と政治的安定の間には強い関係がある "とされています。この研究では、"経済成長率が高い国は、政治的な不安定さを経験する可能性が低い "とされています。

これらの研究は、強い経済が政治力を維持するのに役立つことを示唆しています。しかし、強力な軍隊やよく機能する政治システムなど、政治的安定に貢献する他の要因もあることに注意する必要があります。ただ、30年間も賃金があがらず、需給ギャップが20兆円も存在している現在の日本おいては、強い経済が政権を維持することにつながることは、疑問を挟む余地はありません。

強い経済は、政府に必要な資金を提供し、インフラを維持することを可能にします。強い経済は、人々に雇用と機会を創出し、社会不安を軽減するのに役立ちます。

強い経済は、政府に正当性を与え、反対派が政府の権威に挑戦することをより困難にします。

もちろん、強い経済が政治の安定を必ず保証するものではありません。しかし、経済が弱ければ、政府が権力を維持することがより困難になることは明らかです。

岸田首相は、そろそろ国内経済の強化に本腰をいれるべきです。その方法は、簡単です。財務官僚のいうこと、白川日銀元総裁のような古いタイプの日銀官僚のいうことの反対のことをすれば良いのです。岸田首相は、「聞く力」を大いに発揮し、財務官僚、古いタイプの日銀官僚の言うことをじっくりに聴き、その反対を実行すべきです。

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2023年5月28日日曜日

半導体などサプライチェーンの強化で実質妥結 IPEF閣僚級会合―【私の論評】日本は米国と新興国との橋渡しをし、双方の信頼を勝ち得て、いずれ米国がTPPに復帰するように促すべき(゚д゚)!

半導体などサプライチェーンの強化で実質妥結 IPEF閣僚級会合


 日本やアメリカなどが参加するIPEF(インド太平洋経済枠組み)の閣僚級会合がアメリカで行われ、半導体などのサプライチェーン分野で実質的な合意が達成されました。

 IPEFは14か国が参加し、中国の拡大する影響力に対抗するために昨年から4つの分野で交渉を行っています。日本からは西村経済産業大臣と山田外務副大臣が出席し、共同声明が採択されました。

 合意内容としては、感染症や紛争などで重要物資の供給が途絶えた場合に参加国間で相互支援するなど、サプライチェーンの強化に関する協定が実質的に達成されたことや、水素の導入に向けた技術協力や供給網の構築に関する新たな枠組みが設けられることが合意されました。

 アメリカの商務長官は、国際的な協定の成立が初めてであり、ビジネス環境の改善につながると述べ、成果を強調しました。残りの3つの分野である貿易やクリーン経済についても、早期の妥結を目指して交渉が続けられることが各国で合意されました。

西村経済産業相

 西村経済産業大臣は記者会見で、世界初の多国間のサプライチェーン協定の重要性を強調し、危機時にお互いに協力する枠組みを作ることができると述べました。また、残りの分野の交渉についても日本が主導し、各国がメリットを感じられるように努力する意向を表明しました。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】日本は米国と新興国との橋渡しをし、双方の信頼を勝ち得て、いずれ米国がTPPに復帰するように促すべき(゚д゚)!

IPEFは日本やアメリカ、インドなど14か国が参加する枠組みで、影響力を拡大させる中国を念頭に去年から4つの分野で交渉を行っています。4つの分野とは以下です。

IPEFが交渉しているのは、以下の4つの分野です:

サプライチェーン: IPEFは、半導体や医薬品などの重要な商品やサービスのサプライチェーンを強化することを目的としています。これにより、中国への依存度を下げ、サプライチェーンの混乱に対する耐性を高めることができます。

クリーンエネルギー: IPEFは、クリーンエネルギー技術の開発と普及を促進することを目的としています。これにより、温室効果ガスの排出を削減し、気候変動に対処することができます。

インフラストラクチャー: IPEFは、インド太平洋地域のインフラストラクチャー・プロジェクトに投資することを目的としています。これにより、経済成長を促進し、雇用を創出することができます。

税と貿易:IPEFは、インド太平洋地域における公正で開かれた貿易と投資を促進することを目的としています。これにより、企業や労働者にとってより公平な競争の場を作ることができる。
IPEFはまだ初期段階ですが、経済的・戦略的に大きなイニシアティブとなる可能性を秘めています。インド太平洋地域で影響力を強める中国に対抗し、よりオープンで包括的な経済秩序を促進するのに役立つ可能性があります。


米国が2017年に環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱後、アジア太平洋地域で低下した自身の存在感を回復する意味合いもあります。

今回の、多国間協定は、危機発生時に協力するための枠組みを提供することで、サプライチェーンの寸断リスクを軽減することができます。例えば、自然災害によって重要な製品の供給が滞った場合、協定によって他国が必要な製品を提供できるようにすることができます。

さらに、多国間協定は、地域のサプライチェーンを多様化することで、サプライチェーンをより弾力的なものにすることができます。例えば、ある国が重要な製品を中国に大きく依存している場合、協定は他の国が必要な製品を提供できるようにするのに役立ちます。

さらに、 このような多国間協定は、地域の重要製品の中国への依存度を下げるのに役立ちます。中国はその市場力を利用して他国に経済的圧力をかけているため、これは重要です。経済的威圧を強める中国を念頭に、公正な経済秩序の構築に向けたルールづくりで成果を打ち出せるかが焦点となります。

全体として、サプライチェーンに関する多国間協定は、インド太平洋地域に大きな影響を与えることができます。この協定は、サプライチェーンの途絶のリスクを減らし、この地域をショックに対してより強くし、この地域の中国への依存を軽減するのに役立つでしょう。経済的威圧を強める中国を念頭に、公正な経済秩序の構築に向けたルールづくりで成果を打ち出せるかが焦点となります。

労働者の権利保護などに取り組む「貿易」など、残る3つの分野ではアメリカと新興国との間で意見の隔たりがあります。

IPEFの残りの交渉分野は以下の3つです。

貿易:関税、非関税障壁、知的財産権などの問題が含まれます。米国は労働者の権利や環境を保護する条項を盛り込むことを求めていますが、一部の新興国は、これらの条項によって米国への輸出が困難になることを懸念しています。

クリーンエネルギー: クリーンエネルギー技術の開発と普及、温室効果ガス排出量の削減などの問題が含まれます。米国はクリーンエネルギー技術の開発を促進する条項を盛り込もうとしていますが、一部の新興国は、この条項によって世界市場で米国と競争することが難しくなることを懸念しています。

インフラストラクチャー: インフラプロジェクトへの投資や、インフラに関する国際基準の策定などの問題が含まれます。米国はインフラへの投資を促進する条項を盛り込もうとしていますが、新興国の中には、この条項によって自国のインフラプロジェクトの資金調達が困難になることを懸念する国もあります。

米国は伝統的にこれらの地域と関わりの深い日本に仲介役を期待しています。今後は新興国側にとってのビジネス上の実利を出していけるかがポイントになるでしょう。

日本は、米国と新興国の仲介役として、この困難な交渉に貢献することができます。日本は、米国やインド太平洋地域の新興国と緊密な経済関係を築いており、この2つの国の間の相違を埋めるのにふさわしい立場にあります。

また、日本はインド太平洋地域の国々が自国のサプライチェーン、クリーンエネルギー技術、インフラを開発できるよう資金援助を行うことでも貢献できます。このような貢献で得られた、知見・ノウハウ等をTPP協定にフィードバックすることもできます。

日本はこのような貢献をして、米国と新興国との橋渡しをし、米国と新興国双方の信頼を勝ち得て、いずれ米国をTPPに復帰するように促すべきです。


インド太平洋戦略の生みの親でもある、天国の安倍晋三氏も、そうなるように見守っておられるでしょう。西村大臣にはその期待に是非応えていただきたいものです。

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