2024年7月23日火曜日

バイデン大統領はなぜ選挙から撤退したのか 高齢と認知の違い―【私の論評】日米の雇用慣行の違いが明らかに:バイデン大統領評価から見る高齢者雇用の未来

バイデン大統領はなぜ選挙から撤退したのか 高齢と認知の違い

【まとめ】
  • 7月21日、バイデン大統領が大統領選からの撤退を表明した。
  • アメリカでは年齢差別が法で禁じられ、高齢な政治家も現存するため、年齢が要因ではない
  • バイデン大統領の認知の衰えが原因だろう。

 ジョー・バイデン米大統領が2024年の大統領選挙から撤退を表明しました。この決定は、バイデン氏の認知機能の低下に対する懸念が高まったことが主な要因です。

 特に、6月27日のドナルド・トランプ前大統領との討論会でのバイデン氏のパフォーマンスが、この懸念を増大させました。民主党支持のCNNの記者までもが、バイデン氏の討論ぶりに「パニック」を感じたと述べたことが象徴的でした。

 アメリカと日本のメディアの反応には違いがあります。日本のメディアは主に「高齢不安」に焦点を当てていますが、アメリカのメディアは「認知不安」を強調しています。これは、アメリカでは年齢差別が厳しく禁止されているためです。

 バイデン氏の認知機能に関する懸念は新しいものではなく、2020年の大統領選の時点でも存在していました。事実と異なる発言や記憶の混乱が度々見られたことが指摘されています。

 この撤退表明は、アメリカの政治史上でも珍しい出来事であり、民主党は後任候補の選出を急ぐことになります。バイデン氏自身は、カマラ・ハリス副大統領を後任候補として支持しています。

 以上は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】日米の雇用慣行の違いが明らかに:バイデン大統領評価から見る高齢者雇用の未来

まとめ
  • 米国では年齢差別禁止法により定年制が禁止され、能力で評価される一方、日本では定年制が一般的。
  • 米国メディアはバイデン大統領の認知能力を問題視し、日本メディアは年齢そのものを問題視。
  • 日本人は米国の年齢差別禁止の考え方を意識し、能力で評価することの重要性を理解する必要がある。
  • 両国には互いに学べる点があり、それぞれの強みを活かした雇用システムの構築が重要。
  • 高齢者の雇用促進は経済成長にプラスの影響を与え、持続可能な経済発展につながる。
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日米の雇用慣行には顕著な違いがあり、これらの違いが両国のメディアの反応の違いを生み出しています。日本のメディアが主に「高齢不安」に焦点を当てる一方、米国のメディアが「認知不安」を強調する背景には、それぞれの国の雇用制度や法律が大きく影響しています。

米国では、1967年に制定された「雇用における年齢差別禁止法(ADEA)」により、ほとんどの州で定年制が禁止されています。この法律は、年齢に関係なく個人の能力や業績に基づいて雇用を継続し、年齢を理由とした差別を厳しく禁止しています。

また、米国には日本のような新人の定期採用制度がなく、企業は必要に応じて随時採用を行います。これにより、90歳のチャック・グラスリー上院議員や82歳のバーニー・サンダース上院議員のように、高齢であっても能力があれば現役で活躍できる環境が整っています。

チャック・グラスリー上院議員

一方、日本では多くの企業で60歳や65歳での定年制が一般的です。「高年齢者雇用安定法」により65歳までの雇用確保措置が義務付けられていますが、これは定年制を廃止するものではありません。また、日本の雇用慣行には年功序列の考え方が根強く残っており、新卒一括採用システムの影響で、年齢が高くなると中途採用が難しくなる「年齢の壁」が存在します。

これらの違いが、バイデン大統領の事例への反応にも表れています。米国では彼の具体的な言動や能力が問題視されましたが、日本では81歳という年齢そのものが注目されました。米国の「定年なし」の環境と随時採用システムでは、年齢よりも個人の能力が重視されるため、このような反応の違いが生じるのです。

日本人は、米国では年齢による差別が違法であることを意識する必要があります。これが理解できていないと、バイデン氏の認知能力の低下ではなく、年齢ばかりが問題にされ、正しい評価ができなくなります。

結論として、日米の雇用慣行の違いは、高齢者の社会参加や能力活用に大きな影響を与えています。両国の制度にはそれぞれ長所と短所があり、互いに学び合える点が多くあります。

米国の年齢差別禁止の考え方は、日本においても参考にすべき重要な視点です。実際、米国労働統計局のデータによると、2020年時点で65歳以上の労働力参加率は18.6%であり、これは1985年の10.8%から大幅に上昇しています。この数字は、年齢に関係なく働ける環境が整備されていることを示しています。

一方、日本の長期的な人材育成や雇用の安定性は、米国でも注目されています。日本の失業率は長年にわたり米国よりも低く、2021年の平均失業率は日本が2.8%、米国が5.4%でした(OECD統計)。これは日本の雇用安定策の効果を示唆しています。

しかし、これらの慣行を相互に導入する際には、それぞれの国の文化や法的環境に適合するよう慎重に検討する必要があります。例えば、日本の年功序列制度を米国に導入しようとすれば、年齢差別禁止法に抵触する可能性があります。


最終的に、両国がお互いの良い点を学び合い、より良い雇用環境を作り出していくことが重要です。高齢化が進む両国において、年齢に関係なく個人の能力を活かせる社会を構築することは、今後ますます重要になってくるでしょう。

実際、世界経済フォーラムの2020年の報告書によると、高齢者の雇用促進は経済成長にプラスの影響を与えるとされています。日米両国が、それぞれの強みを活かしつつ、高齢者の能力を最大限に活用できる雇用システムを構築することは、両国の持続可能な経済発展にとって不可欠な課題となっています。

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米国民の皆さんへ 大統領選撤退、バイデン氏のX全文―【私の論評】バイデン大統領の撤退が引き起こす民主党内の変化と米社会への影響

米国民の皆さんへ 大統領選撤退、バイデン氏のX全文

バイデン大統領のXのプロフイールより引用


 バイデン米大統領が21日に「X」(旧ツイッター)に投稿した声明は以下の通り。

 米国民の皆さんへ

 この3年半の間に、私たちは国家として大きな進歩を遂げました。

 今日、米国は世界最強の経済大国です。私たちは、国家再建のために歴史的な投資を行ってきました。高齢者のための(処方箋が必要な)処方薬の価格の引き下げや、過去最多の人々に手ごろな医療を拡大することです。また有害物質にさらされた100万人の退役軍人に、極めて必要なケアも提供しました。30年ぶりの銃の安全に関する法律も成立させました。最高裁判事に初めて黒人の女性を任命しました。そして、世界の歴史において最も重要な気候変動に関する法律を成立させました。米国は今日ほど指導的な立場にいたことはありません。

 このどれもが、米国民の皆さんなしでは成し遂げられませんでした。ともに100年に一度の(新型コロナウイルスの)流行と、大恐慌以来最悪の経済危機も乗り越えました。民主主義を守り、維持してきました。そして、世界各国との同盟を再度活性化させ、強固にしました。

 大統領を務められたことは、私の人生において最大の名誉です。そして、私は再選を目指す意向ではありましたが、私が(大統領選から)撤退し、残りの任期を大統領としての職務に専念することが、党と国にとって最善の利益であると信じています。

 私の決断の詳細については、今週後半に国民にお話しします。

 今は、私の再選のために尽力してくださった全ての方々に深く感謝を申し上げます。カマラ・ハリス副大統領が、この仕事すべてにおいて素晴らしいパートナーでいてくれたことにも感謝します。そして、米国民の皆様が私に寄せてくださった信頼に心から感謝します。

 私たちが力を合わせれば、米国にできないことはないのです。私たちは、我々が「アメリカ合衆国」であることを忘れてはならないのです。

【私の論評】バイデン大統領の撤退が引き起こす民主党内の変化と米社会への影響

まとめ
  • ジョー・バイデン大統領の次期大統領選からの撤退表明により、民主党は新たな候補者選びを急務とし、党内の力学が大きく変化する可能性がある。
  • バイデン大統領はカマラ・ハリス副大統領を後継候補として支持しているが、党内では広範な議論が求められており、左派や進歩主義者が影響力を強める可能性が高まっている。
  • バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが率いる民主社会主義者たちは、メディケア・フォー・オールやグリーン・ニューディールなどの急進的な政策を前面に押し出す可能性がある。
  • エリザベス・ウォーレンなどの進歩主義者も影響力を増し、大企業への規制強化や富裕層への増税などの政策が民主党の主流となる可能性がある。
  • 左派勢力の台頭は、ポリティカル・コレクトネスやアイデンティティ政治の進化を促し、社会全体に大きな影響を与える可能性があり、これに対する反発も強まることでアメリカ社会の分断が深まる恐れがある。
ジョー・バイデン大統領の次期大統領選からの撤退表明は、民主党内に大きな波紋を広げています。この決定により、民主党は急遽新たな候補者を選ぶ必要に迫られており、党内の力学が大きく変化する可能性があります。

バイデン大統領はカマラ・ハリス副大統領を後継候補として支持していますが、党内では広範な議論を求める声も上がっています。この状況下で、民主党左派や進歩主義者たちが影響力を強める可能性が高まっています。

バーニー・サンダース上院議員

具体的には、バーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員らが率いる民主社会主義者たちが、この機会を捉えて自らの政策アジェンダを前面に押し出す可能性があります。彼らは「メディケア・フォー・オール」と呼ばれる国民皆保険制度や、「グリーン・ニューディール」と呼ばれる環境政策などの急進的な政策を主張しています。

また、エリザベス・ウォーレン上院議員のような進歩主義者も、この混乱の中で影響力を増す可能性があります。ウォーレン氏は大企業への規制強化や富裕層への増税などを主張しており、こうした政策が民主党の主流となる可能性も否定できません。

エリザベス・ウォーレン上院議員

さらに、民主党内の左派グループである「正義のための民主党員(Justice Democrats)」や「サンライズ・ムーブメント」などの組織も、この機会を利用して党の方向性に影響を与えようとするでしょう。これらの組織は、気候変動対策や経済的不平等の解消などを重視しており、より急進的な政策を求めて活動しています。

一方で、共産党USA(CPUSA)のような極左組織も、この状況を利用して影響力を拡大しようとする可能性があります。彼らは直接的に大統領候補を擁立する可能性は低いものの、民主党左派との連携を通じて間接的に影響力を行使しようとするかもしれません。

共産党USA(CPUSA)のシンボルマーク

このような左派勢力の台頭は、民主党の政策立案や候補者選びに大きな影響を与える可能性があります。例えば、より急進的な経済政策や社会政策が党の公式な立場となる可能性があり、これは保守派や中道派の有権者にとっては懸念材料となるでしょう。

また、民主党内での左派の影響力増大は、共和党との対立をさらに深める可能性があります。これにより、アメリカ政治の二極化がさらに進み、国内の政治的分断が深まる恐れもあります。

結果として、バイデン大統領の撤退は単なる候補者の交代以上の意味を持つ可能性があります。民主党の方向性や、ひいてはアメリカ政治全体の在り方を大きく変える転換点となる可能性があるのです。この状況下で、民主党がどのように新たな候補者を選び、党の統一を図るかが、今後の大統領選挙の行方を左右する重要な要素となるでしょう。

バイデン大統領の撤退表明により、民主党内の左派勢力が影響力を強める可能性が高まり、それに伴いポリティカル・コレクトネスやアイデンティティ政治がさらに進化する可能性があります。この動きは、単なる言葉遣いの変更にとどまらず、社会全体に大きな影響を与える可能性があります。

例えば、歴史的評価の見直しが加速する可能性があります。南北戦争時の南部指導者だけでなく、ジョージ・ワシントンやトマス・ジェファーソンといった建国の父たちまでもが、奴隷所有者であったという理由で批判的な評価を受ける動きが強まるかもしれません。プリンストン大学のウッドロー・ウィルソン大学院の改名要求運動のような動きが、他の機関にも波及する可能性があります。

言語や表現の規制も強化される可能性があります。公共の場やメディアでの発言に対する監視が厳しくなり、差別的と見なされる表現がさらに制限されるかもしれません。これは、言論の自由に対する懸念を引き起こす可能性があります。

教育カリキュラムの変更も予想されます。学校や大学での歴史教育や社会問題に関する授業内容が、より多様性を重視したものに変更される可能性があります。これにより、従来の歴史観や社会観が大きく変わる可能性があります。

LGBTQの権利に関しても、さらなる進展が見られる可能性があります。性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律の強化や、トランスジェンダーの権利に関する新たな政策が導入される可能性があります。例えば、公共施設でのトランスジェンダーのトイレ使用権や、スポーツ競技におけるトランスジェンダー選手の参加基準などが、さらに議論の的となるかもしれません。

また、人種や民族に関する問題にも焦点が当てられる可能性があります。警察改革や刑事司法制度の見直し、アファーマティブ・アクションの強化など、構造的人種差別に対処するための政策が推進される可能性があります。

これらの変化は、社会の一部から歓迎される一方で、他の部分からは強い反発を招く可能性があります。特に保守派や中道派の間では、これらの動きが行き過ぎているという懸念が高まる可能性があります。実際、多くの共和党支持者や一部の民主党支持者も、アメリカがポリティカル・コレクトネスに捕らわれすぎていると感じています。

結果として、これらの変化はアメリカ社会の分断をさらに深める可能性があります。左派と右派、都市部と地方部、高学歴層と非高学歴層の間の溝が広がり、政治的対立がさらに激化する可能性があります。

このような状況下で、民主党がどのようにバランスを取り、幅広い支持を維持できるかが、次期大統領選挙の行方を左右する重要な要素となるでしょう。同時に、これらの変化がアメリカ社会全体にどのような影響を与えるかは、今後数年間にわたって注目されるテーマとなるでしょう。

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2024年7月21日日曜日

“ウクライナはロシア軍の損害に注力すべき” 英シンクタンク―【私の論評】活かすべき大東亜戦争の教訓:山本五十六の戦略と現代の軍事戦略への影響

“ウクライナはロシア軍の損害に注力すべき” 英シンクタンク

まとめ
  • イギリスのシンクタンクRUSIは、ウクライナ軍が占領地解放よりもロシア軍への最大限の損害に注力すべきだと提言。
  • RUSIは欧米側に対し、射程の長いミサイルシステムなどの供与が最も重要だと強調。
  • ロシア軍は東部ドネツク州など広範囲にわたる戦線で攻勢を強化。
  • ウクライナでは18〜60歳の男性に軍への個人情報登録が義務付けられ、約469万人が登録を完了。
  • 登録対象者の約半数が未登録との報道があり、一部の男性からは戦地に赴くことへの不安の声も。
ウクライナ軍

 イギリスのシンクタンク、イギリス王立防衛安全保障研究所(RUSI)は、ウクライナ軍の戦略について報告書を公表した。同報告書では、ウクライナ軍が現在力を入れるべきは、占領された領土の解放ではなく、ロシア軍に最大限の損害を与えることだと指摘している。この戦略により、ウクライナ軍は戦力を確保するための時間を稼ぐことができるとしている。

 また、RUSIは欧米側に対して、砲弾や射程の長いミサイルシステムの供与が最も重要であると強調した。これにより、ウクライナ軍が効果的にロシア軍に対抗できるとしている。

 一方、ウクライナでは兵力不足が問題となっており、18歳から60歳の男性に対して住所や家族などの個人情報を軍に登録することが義務づけられた。この登録の期限は今月16日で、ウクライナ国防省によると、専用のアプリや窓口で登録を済ませた人は約469万人に上る。しかし、一部のメディアは、登録対象となる男性は約1100万人であり、少なくとも600万人が未登録であると報じている。

 NHKがキーウ市内で対象年齢の男性にインタビューしたところ、登録は済ませたものの、戦地に赴くことへの不安の声が聞かれた。52歳の男性は「行きたくない人の気持ちはとてもよくわかる。強制的な方法で人を集めるのではなく、特典などを与えて関心を持ってもらうほうがいい」と話していた。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】活かすべき大東亜戦争の教訓:山本五十六の戦略と現代の軍事戦略への影響

まとめ
  • 敵軍に損害を与えることに注力する戦略は、古くから軍事常識として知られており、孫子の『孫子兵法』にも記されている。
  • この戦略は敵の戦力削減、戦略的優位性の確保、戦争の早期終結を可能にし、資源の効率的使用にもつながる。
  • 太平洋戦争で米軍は重要拠点のみを占領する戦略を採用し、効果的に戦局を進めた。
  • 日本海軍は過度な戦線拡張を行い、資源を消耗させる戦略的誤りを犯した。
  • 山本五十六の短期決戦追求戦略は日本の敗因となり、彼を「愚将」と評価する意見がある。この評価は後世への重要な教訓となる。
占領地の解放よりも敵軍に損害を与えることに注力すべきという考え方は、軍事戦略において古くから知られた常識です。

これは、敵の戦闘能力を削減し、戦争全体の進行を有利に進めるための基本的な戦略です。敵軍に最大限の損害を与えることで、敵の兵力や物資を消耗させ、長期的な戦争の持続能力を低下させる効果があります。

ウクライナ軍によるロシア占領地の奪還

また、戦場での戦略的優位性を確保し、重要な補給線や通信網を破壊することで、敵の指揮系統を混乱させ、効果的な反撃を困難にします。さらに、敵軍に大きな損害を与えることで、敵の戦意を喪失させ、早期に戦争を終結させることが可能になります。これは、戦争の長期化による自国の損害を最小限に抑えるためにも重要です。

占領地の維持には多大な資源と人員が必要である一方で、敵軍に損害を与えることに集中する戦略は、限られた資源を効率的に使用することができます。これにより、戦争の持続可能性が高まります。

歴史的にも、この戦略は多くの戦争で採用されてきました。例えば、第二次世界大戦における連合軍の戦略爆撃や、湾岸戦争におけるアメリカ軍の空爆作戦などが挙げられます。これらの戦略は、敵の戦力を削減し、戦争の進行を有利に進めるために行われました。

この戦争上の常識を最初に語ったのは、古代中国の軍事思想家孫子です。彼の著作『孫子兵法』の中で、「敵の軍隊を撃破することが最も重要である」と述べています。孫子は、戦争において敵の戦力を削減することが最も効果的な方法であると主張し、この考え方は現代の軍事戦略にも影響を与え続けています。

日米による大東亜戦争において、日米海軍の戦略は大きく異なりました。日本は戦域のすべての島を占領し、その後に占領軍を設置する方式を採用しました。この戦略は、占領地を確保し、そこに兵力を配置することで防衛線を強化しようとするものでした。

一方、米軍は重要拠点だけを占領する戦略を採用しました。この戦略の格好の例として、第二次世界大戦末期に米軍は台湾を占領せず、沖縄侵攻を優先した事実があります。米軍は戦略的に重要な拠点を選び、そこを確保することで効率的に戦力を集中させ、補給線を短く保ちました。これにより、不要な消耗を避けつつ、効果的に戦局を進めることができました。


日本海軍は絶対国防圏を超えて戦線を拡張しましたが、これは大きな戦略的誤りでした。戦線の拡大は補給線の延長を招き、兵站の維持が困難になるだけでなく、各拠点の防衛力も薄くなります。結果として、日本は広範囲にわたる戦線を維持するために多大な資源を消耗し、戦局を不利に進める結果となりました。

このように、米軍の戦略は重要拠点に集中し、効率的に戦力を運用するものであり、日本の戦略は広範囲の占領地を維持するために過度に資源を消耗するものでした。

山本五十六の戦略については、その結果として日本が大きな損害を被ったことから、彼を「愚将」と呼ぶべきだとする意見が一部の保守派の中にあります。これは、彼の戦略が日本の資源を過度に消耗させ、多くの命を失わせたという観点からの批判です。特に、ハワイ攻略のような無意味な戦線拡張や、絶対国防圏を守ることに注力しなかったことが大きな問題とされています。

山本五十六

山本五十六は真珠湾攻撃をはじめとする数々の作戦を指揮し、日本海軍の象徴的な存在でした。しかし、彼の戦略は短期決戦を追求するものであり、これは日本の限られた資源と兵力を過度に消耗させる結果となりました。山本の戦略は、日本が持続可能な戦争を遂行するための現実的な防衛戦略ではなく、過度に攻撃的で拡張的でした。

一部の米国の学者は、もし日本が絶対国防圏の防衛に注力し、不必要な戦線拡大を避けていれば、戦況は大きく異なっていた可能性があると指摘しています。具体的には、台湾を占領せずに沖縄侵攻を優先した米国の戦略が示すように、重要な拠点に集中することで効率的に戦力を運用することが可能だったのです。

日本も同様に、重要拠点の防衛に集中し、無駄な戦線拡張を避けていれば、日本軍が米軍に完勝とまではいえなくても、より有利な条件で講和に持ち込むことはできたかもしれません。

山本の戦略は、結果的に日本の大敗北を招き、多くの命を失わせました。彼の決定が日本の戦争遂行能力を著しく低下させたことを考えれば、彼を「愚将」と呼ぶことは、抵抗のある人もいるかもしれませんが、後世に同じ過ちを繰り返させないための教訓として重要です。

特に、RUSIも指摘するように、現在のウクライナ戦争においても、無意味な戦線拡張や資源の無駄遣いは避けるべきであり、重要拠点に集中する戦略が求められます。

山本五十六の戦略は、日本の国力と地理的条件を考慮せず、過度に攻撃的であったという点で批判されるべきです。彼の過ちは、現代の軍事戦略においても重要な教訓となり得ます。

後世の世代が同じ過ちを繰り返さないためにも、山本を「愚将」として位置づけることには大きな意義があると言えます。

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2024年7月20日土曜日

欧州は10年続くウクライナ戦争を覚悟すべきとNATO事務総長―【私の論評】戦争長期化と平和構築の課題:ストルテンベルグ事務総長の発言と未来の展望

欧州は10年続くウクライナ戦争を覚悟すべきとNATO事務総長

まとめ
  • ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナでの戦争が10年間続く可能性があると述べた。
  • 同時に、長期的かつ強力な支援が戦争の早期終結につながるという逆説を強調した。
  • NATOは、ドイツにウクライナ支援の指揮部隊を設置し、支援の予測可能性と責任を明確にする計画を発表した。
  • ドイツがウクライナへの軍事支援を半減させる計画がある一方、アメリカの支援が減少する可能性も懸念されている。
  •  NATO加盟国の防衛費増額と、アメリカの選挙結果に関わらずNATOへの支持が継続することの重要性を強調。
ストルテンベルグ事務総長

 10月に退任する、ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナでの戦争が10年間続く可能性があると警告しましたが、同時に西側諸国による強力で持続的な支援が、むしろ戦争の早期終結につながるという「逆説」を強調しました。彼は、ロシアのプーチン大統領がNATOの撤退を待っているため、逆に長期的な支援の意思を示すことが重要だと指摘しました。

 この文脈で、NATOはドイツにウクライナ支援の指揮部隊を設置する計画を発表しました。ストルテンベルグ氏は、これにより支援の予測可能性が高まり、NATOの長期的なコミットメントを示すことになると説明している。

 一方で、ドイツが2025年のウクライナへの軍事支援を約8億ユーロから4億ユーロに半減させる計画が明らかになりました。これは、アメリカの支援が減少する可能性への懸念がある中での決定だ。特に、ドナルド・トランプ前大統領が再選された場合、アメリカの支援が大幅に削減または停止される可能性が指摘されている。トランプ氏の副大統領候補J.D.ヴァンス上院議員が、過去にウクライナ支援に批判的な立場を示していることも、この懸念を強めている。

 しかし、ストルテンベルグ事務総長は、アメリカの選挙結果に関わらず、NATOへの支持は継続すると自信を示している。彼は、アメリカ国内でNATOへの超党派的な支持があることを指摘し、強力なNATOがアメリカの国益にも合致すると主張している。

 また、ストルテンベルグ氏は、NATO加盟国の防衛費増額の重要性を強調しました。2024年までにGDP比2%の防衛費支出目標を達成する国が増えていることを評価しつつ、欧州諸国とカナダの防衛力強化の必要性も指摘している。

 最後に、ストルテンベルグ氏はNATOを「歴史上最も成功した同盟」と評し、加盟国間の立場の違いを乗り越えて団結する能力がその成功の鍵だと強調した。彼は、この団結がアメリカの選挙後も継続することへの期待を示している。

 これらの発言は、ウクライナ戦争の長期化への懸念と、同時に西側諸国の結束と持続的支援の重要性を浮き彫りにしている。NATO加盟国の防衛費増額や支援の継続が、今後の国際情勢に大きな影響を与える可能性がある。

 この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】戦争長期化と平和構築の課題:ストルテンベルグ事務総長の発言と未来の展望

まとめ
  • ストルテンベルグ事務総長の「10年戦争」の可能性に関する発言は、軍事専門家として妥当な見解である。
  • ウクライナの反攻作戦の成否はまだ結論づけられず、今後1〜2年で占領地を奪還できる可能性もある。
  • 戦争自体は最長10年程度かかる可能性があり、その後の平和構築と社会変革には50年程度の長期的な関与が必要かもしれない。
  • エドワード・ルトワック氏の理論に基づく長期的な軍事駐留と社会再構築の必要性は、持続可能な平和構築のために重要な視点である。
  • 戦争終結後、NATOがウクライナに軍を派遣し、ロシアの干渉排除や汚職対策など、法の遵守のために活動すべきである。これは長期的な平和構築の観点から重要である。
  • 昔から、実行可能な戦略は兵站能力に規定されており、このことを認識しなければ、戦争の現実的な側面を理解できない。
ストルテンベルク事務総長の、「ウクライナでの戦争が10年間続く可能性がある」と述べていますが、それは軍事専門家として当然の発言だと思います。最悪は、10年続く可能性もあります。

これについては、ウクライナ軍の反攻が始まってすぐのブログ記事にも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ウクライナ、反攻で「破滅的」損失 プーチン氏―【私の論評】今回の反転攻勢が成功すると、2~3年以内に占領された土地を奪還できるかも!戦争はまだ続く(゚д゚)!

ドローンを飛ばすウクライナ兵

今後の見通しとしては 、 今回の反転攻勢によりロシアの占領地の分断に成功すれば かなり有利になります 。

ただ 、分断すると 、今度は突破した部分が挟み撃ちに遭うので 、逆にウクライナ側は挟み撃ちから守りきる陣地をつくらなければなりません 。

これを秋冬の地面がぬかるむ時期にまでに できれば 、 分断されたロシア軍の弱い方を来年 ( 2024年 ) 攻めることになるでしょう 。 つまり 、 ドンバス地方かクリミアのどちらか弱い方を攻めて 、 再来年にもう片方残った方を攻める形になるでしょう 。

今回の反転攻勢が成功すると 、 2 ~ 3年以内には占領された土地を奪還できるかも知れないです 。 無論奪還しても戦争が終わるとは限りませんが 、 少なくとも見通しは立ちます 。

一方で反転攻勢に失敗し 、 投入された12旅団が磨り潰されるようなことになると、組織的な反転攻勢は今後 、 難しくなります 。 そうなると5年以上 、 下手をすると10年ぐらい膠着状態が続くかもしれません。いずれにせよ、現在の反転攻勢が成功したとしても、すぐに戦争が終わるとはみるべきではないです。

この記事でも述べたように、2〜3年以内には占領された土地を奪還できるかもしれないとしています。これは、現在でもあてはまる事実です。現時点で言い直せば1〜2年以内には占領された土地を奪還できるかもしれません。

この水準からすると、ウクライナ軍の反攻作戦は未だ成功とも失敗とも結論づけることはできません。現実の戦争は予期しないことが起こるのが常で、何かが起これば、さらにこれか5年〜10年はかかるかもしれないことは容易に類推することができます。

NATOのような組織が戦争に介入するならば、このくらいのことは覚悟しておくのが当然といえます。

そうして、戦争自体は最長10年くらいはかかるものとして、その後さらに軍隊を50年くらい駐留させて、ウクライナを完璧に作り変え、NATOの一員や、EUの一員とするくらいの覚悟を持たなければなりません。

エドワード・ルトワック氏は、国連などによる短期的な紛争仲裁や介入が表面的な解決にとどまり、根本的な問題解決に至らないと批判しています。彼の主張によれば、真の紛争解決には少なくとも50年にわたる軍隊の駐留が必要としています。これは社会の根本的な変革には世代を超えた時間が必要だという認識に基づいています。

ルトワック氏は、単なる停戦や表面的な和平合意ではなく、紛争地域の社会、政治、経済システムを根本から再構築する必要があると考えています。この長期的な関与を通じて、紛争の根本原因に取り組み、持続可能な平和を構築することが可能になると主張しています。

この考え方は、国際社会により大きな責任と長期的なコミットメントを求めるものです。しかし、主権の問題や介入の正当性、実行可能性など、多くの課題も存在します。

ルトワック氏の理論は、複雑で長期化した紛争地域における平和構築の難しさを浮き彫りにし、国際社会の紛争解決アプローチに再考を促す重要な視点を提供しています。従来の短期的なアプローチの限界を指摘し、より根本的で持続可能な解決策の必要性を強調する点で、国際関係や平和構築の分野に大きな影響を与えています。

この位の覚悟がなければ、ロシアの干渉を完璧に排除し、ウクライナの汚職体質を払拭することできないでしょう。

どのような形であれ、戦争が終結した暁には、NATOはウクライナに軍を恒常的に派遣すべきです。そうして、ロシア軍がウクライナに対して反撃すれば、それに対してすみやかに対応して排除すべきです。そうして、ロシアの軍事的・経済的干渉を完璧に排除します。さらにウクライナの汚職への対応など、法の遵守のために活動すべきです。

このくらいの覚悟がなければ、ウクライナの独立を守り、本格的な民主化をすすめることなどできません。1年くらいで、ウクライナ軍の反攻は失敗と簡単に結論づけるような人には、とてもできないことです。

米軍の軍用食料「MRE

こういう人には、昔から戦争には、現場に一人の兵士当たり3000キロカロリーの食料や水、多くの弾薬などの軍需物資を届けなければならず、それが戦争の形を規定してきた事実など思いも浮かばないのかもしれません。頭で戦略を考えたにしても、それを実行するには、兵站を考えなければなりません。兵站は戦略以上に重要であり、兵站能力が実行できうる戦略を規定してしまいます。兵站能力を超える戦略は絵に描いた餅にすぎません。

戦争には、最長10年、その後の体制つくりかえには、最低50年の年月が必要です。まともな軍人や、政治家などは、このくらいの時間がかかることを覚悟していることと思います。それくらいの覚悟を持たず、2〜3週間も戦えば、ウクライナを屈服させることができるとプーチンが考えていたとしたら、軍事のど素人と謗られても仕方ないでしょう。

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2024年7月19日金曜日

日本と台湾の海保が合同訓練、72年の断交後初…連携強化し不測の事態に備え―【私の論評】日台関係の変遷と政治家の二重国籍問題:蓮舫氏の事例から見る国家安全保障の課題

日本と台湾の海保が合同訓練、72年の断交後初…連携強化し不測の事態に備え

まとめ
  • 日本の海上保安庁と台湾の海巡署が2024年7月18日に初の合同訓練を実施し、1972年の日台断交後初めての海上訓練となった。
  • 訓練の目的は中国の海洋進出に対応し、東・南シナ海での不測の事態に備えることで、台湾有事への危機感から訓練の定例化も目指している。
  • 両機関は近年、交流を深めており、2017年には海難救助に関する覚書を交わすなど、協力関係を強化している。
  • 中国は尖閣諸島周辺や台湾周辺、西太平洋での海洋活動を強化しており、軍事演習や海洋調査を増加させている。
  • 日本は米国、フィリピン、韓国とも海上合同訓練を実施するなど、対中国を念頭に置いた海上保安機関の国際連携を強化している。
 日本の海上保安庁と台湾の海巡署(日本の海保に相当)が2024年7月18日、千葉県房総半島沖で初めての合同訓練を実施した。これは1972年の日台断交後、初めての海上訓練となる。この訓練の主な目的は、中国の強引な海洋進出に対応し、東シナ海や南シナ海での不測の事態に備えることだ。また、台湾有事への危機感が高まる中、訓練の定例化も目指している。

東京港に入港する「巡護9号」7月11日

 訓練には台湾海巡署の巡視船「巡護9号」と日本の海上保安庁のヘリコプター搭載型巡視船「さがみ」が参加した。両船は房総半島南端や伊豆大島近海で、海難救助を想定した訓練を行い、情報共有や捜索海域の割り当て・調整などを通じて相互運用性の向上を図った。

 この訓練に先立ち、「巡護9号」は太平洋中西部の公海上で違法漁業に対する国際的な共同パトロールに参加し、その後東京・お台場に寄港していた。また、海上保安庁は先月、幹部を台湾に派遣し、海巡署長と懇談するなど交流を深めている。

 一方、中国は尖閣諸島周辺での領海侵入を含む航行を常態化させており、今年5月には台湾周辺で実施された合同軍事演習に海警局も初めて参加した。さらに、中国は日本最南端の沖ノ鳥島周辺を含む西太平洋でも海洋調査や軍事演習を繰り返している。

 このような状況を踏まえ、日本は米国やフィリピン、韓国とも海上合同訓練を実施するなど、対中国を念頭に置いた海上保安機関の国際連携を強化しています。2023年6月には日米比がフィリピン北部近海で、2024年6月には日米韓が日本海・舞鶴沖で、それぞれ初めての海上合同訓練を実施した。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。【まとめ】は元記事の要点をまとめ箇条書きにしたものです。

【私の論評】日台関係の変遷と政治家の二重国籍問題:蓮舫氏の事例から見る国家安全保障の課題

まとめ
  • 1972年の日台断交と尖閣諸島問題は、日本と台湾の複雑な関係を示している。
  • 日本と台湾は安全保障面で利害が一致する部分があるが、独立した国家として国益が完全に一致することはない。
  • 蓮舫氏の二重国籍問題は、政治家の国籍に関する透明性と説明責任の重要性を浮き彫りにした。
  • 蓮舫氏の都知事選出馬時に二重国籍問題が争点にならなかったことは、この問題の重要性が軽視されている証左である。
  • 政治家、特に都知事のような重要な公職には、明確な国籍状況と日本への揺るぎない忠誠が不可欠であり、厳格な国籍条項を課すべきである。
日本と台湾が1972年に断交した主な理由は、日本が中華人民共和国(中国)と国交を正常化したことにあります。1972年9月29日、日本は中華人民共和国との間で日中共同声明を発表し、正式な外交関係を樹立しました。この声明において、日本は中華人民共和国を中国の唯一の合法政府として承認し、台湾との外交関係を断絶することを決定しました。

日中国交正常化時の周恩来中国首相(左)と田中角栄首相(右)

この決定は、国際情勢の変化に対応したものでした。1971年に国際連合(国連)が中華人民共和国を中国の正当な代表として認め、台湾(中華民国)に代わって安全保障理事会の常任理事国の座を与えたことが大きな転換点となりました。日本はこの国際的な流れに沿って、「一つの中国」政策を採用し、中華人民共和国との関係正常化を選択しました。その結果、台湾との公式な外交関係は断絶されることとなりました。

尖閣諸島に関しては、日本の固有の領土であり、領有権をめぐる問題は存在しません。1895年1月に日本政府が閣議決定により尖閣諸島を正式に日本の領土に編入しました。これは国際法上の「無主地先占」の原則に基づくものでした。当時、日本政府は尖閣諸島が無人島であり、他のいかなる国の支配下にもないことを確認した上で領有を決定しました。

第二次世界大戦後、1951年のサンフランシスコ平和条約で尖閣諸島は米国の施政下に置かれ、1972年の沖縄返還とともに日本に返還されました。この間、日本は一貫して尖閣諸島を実効支配してきました。

2013年4月10日には日台漁業協定が締結されました。この協定は、尖閣諸島周辺海域における日本と台湾の漁業秩序を定めたものですが、尖閣諸島の領有権には一切影響を与えるものではありません。この協定により、長年にわたって続いていた日台間の漁業権をめぐる問題が大幅に緩和されました。

協定締結後、日本と台湾の間で漁業権を巡る大規模な問題は報告されていません。むしろ、最近では両国の海上保安機関が協力関係を深めている様子が見られます。2024年7月18日には、日本の海上保安庁と台湾の海巡署が初めての合同訓練を実施しました。これは両機関の協力関係を深めるものですが、尖閣諸島の領有権とは無関係です。

南京事件に関する台湾の立場については、中国との関係で複雑な様相を呈しています。台湾の教科書でも南京事件について言及されており、1974年版の中学教科書では「南京大虐殺」という見出しで約200字を使って虐殺の状況を記述しています。また、台湾の教科書では早い段階から「12月、南京は陥落してしまい、日本軍は意のままに虐殺してしまい、死者が30万人になった」という記述が見られました。

最近の例では、台湾の馬英九前総統が2023年3月29日に中国の南京大虐殺記念館を訪問し、「われわれ中国人は大虐殺から教訓をくみ取り、外国からの侮辱に対して勇敢に抵抗しなければならない」と述べています。また、馬氏は「人類史上まれな、けだものの行為に大きな衝撃を受けた」とも発言しています。

しかし、これらの事例は台湾の一部の見解を示しているに過ぎず、台湾社会全体の見解を代表するものではありません。特に馬英九氏の発言については、台湾世論とのずれも指摘されています。

2023年3月29日に中国の南京大虐殺記念館を訪問し馬英九ぜん台湾総統

台湾の南京事件に関する見解は、中国と完全に一致しているわけではありません。台湾は南京事件の発生を認識し、その重大性を認めていますが、その解釈や強調の度合いは中国とは異なり、台湾社会内でも見解が分かれる可能性があります。台湾の教科書では南京事件について言及されていますが、その記述の詳細さや強調の度合いは中国のものとは異なります。

日本政府は、尖閣諸島が日本の固有の領土であるという立場を堅持し、国際社会に対して正確な情報発信を続けています。同時に、この問題が日本の主権に関わる問題であることから、冷静かつ平和的に、そして毅然とした態度で対応しています。

日本と台湾は、中国の拡張主義的行動に対する懸念を共有し、安全保障面で利害が一致する部分があります。「台湾有事は日本有事」という表現は、この認識を端的に示しています。しかし、台湾は日本の一部ではなく、独立した政治体制を持つ外国です。

両国の国益が完全に一致することはありません。それぞれが独自の国家利益を持ち、それに基づいて外交政策を展開しています。この文脈において、二重国籍問題は極めて重大な問題です。

日本の国籍法は原則として重国籍を認めていません。これは、一人の人間が複数の国に対して忠誠を誓うことは困難であり、国家の利益に反する可能性があるという考えに基づいています。

特に政治家や高級官僚の二重国籍は、国家の機密や利益に直接関わる深刻な問題を引き起こす可能性があります。蓮舫氏の事例は、政治家の国籍に関する透明性と説明責任の重要性を浮き彫りにしました。

国民の代表者として国政に携わる者には、明確な国籍状況と、一つの国家への揺るぎない忠誠が求められます。二重国籍は、この原則に反するものであり、国家の安全保障と民主主義の根幹に関わる重大な問題として、厳格に対処されるべきです。

そのことが、ほとんど問題にされることもなく、蓮舫氏は都知事選に出馬し、都知事選においては二重国籍問題はまるで蓋でもされたように、誰も問題にせず、争点ともなりませんでした。

しかし、都知事が二重国籍である場合、特に重大な問題が生じる可能性があります。まず、東京都の重要な機密情報管理に関するリスクが高まります。都知事は都の機密情報にアクセスできる立場にあり、意図せずとも他国の利益のために情報が漏洩する危険性があります。


また、都政の公平性に疑念が生じる可能性があります。東京都は多くの外国企業や在日外国人が存在する日本の政治・経済の中心地であり、二重国籍の都知事が特定の国や民族に有利な政策を推進するのではないかという懸念が生まれかねません。

さらに、国際的な交渉力の低下や、緊急時の対応への不安も考えられます。これらの問題は都民の信頼低下につながり、都政全体の安定性に影響を与える可能性があります。そのため、都知事という重要な公職には、明確な国籍状況と日本への揺るぎない忠誠が不可欠です。

政治家に厳しい国籍条項を課すことは、国家の安全保障と民主主義の健全性を維持する上で極めて重要です。政治家は国家の機密情報にアクセスする立場にあり、二重国籍者の場合、意図せずとも他国に情報が漏洩するリスクが高まります。

2017年のオーストラリアでの中国系議員のスパイ疑惑事件は、この危険性を如実に示しています。また、政治家は国益を最優先に考えて行動する必要がありますが、二重国籍は潜在的な利益相反を生む可能性があります。

これは日本の国籍法が原則として重国籍を認めていない理由の一つです。さらに、政治家の国籍が不明確であると、有権者の信頼を損なう可能性があります。

2016年の蓮舫氏の二重国籍問題は、この点に関する国民の関心の高さを示しました。外交交渉においても、相手国が交渉相手の二重国籍を知った場合、不信感を抱く可能性があり、国益を損なう結果につながりかねません。これらの理由から、政治家に厳しい国籍条項を課すことは、国家の安全と民主主義の健全性を守るために必要不可欠であると言えます。

国民の代表者として重要な決定を下す立場にある政治家には、明確な国籍状況と揺るぎない忠誠心が求められるのです。

今からでも遅くはありません。現役政治家、そうしてこれからの議員に対して、政府は厳しい国籍条項を課する体制を整えるべきです。二重国籍疑惑のある国会議員が、都知事選に出馬し、都知事選における他の対立候補も選挙運動中にこの問題に関して誰もこれを争点にしようとせず、口をつぐんでいた様は異常であり、異様です。マスコミもこれについて何も報道しませんでした。この状況は、狂っていると良い状況です。

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2024年7月18日木曜日

5千億円のウクライナ支援へ 日本が年内実施で最終調整―【私の論評】G7ウクライナ支援最新情報:日本の33億ドル拠出と凍結ロシア資産活用の画期的プログラム

5千億円のウクライナ支援へ 日本が年内実施で最終調整

まとめ
  • 日本は、G7が合意したロシアの凍結資産を活用するウクライナ支援の一環として、33億ドル(約5200億円)を拠出する方向で最終調整に入った。
  • 総額500億ドル規模の支援のうち、日本の拠出額は約6.6%に相当し、米国とEUがそれぞれ200億ドルを拠出し、残りの100億ドルを日本、英国、カナダの3カ国で分担する。
  • G7は、ウクライナへの支援金を融資の形とし、ロシアの凍結資産から生じる運用益を返済に充てることを決めた。

 先進7カ国(G7)で合意したロシアの凍結資産を活用するウクライナ支援で、日本が33億ドル(約5200億円)を拠出する方向で最終調整に入ったことが16日、分かった。総額500億ドル規模の支援の6%強に当たる。年内の支援実施に向けて詰めの制度設計を急ぐ。外交筋が明らかにした。

 今月下旬にブラジル・リオデジャネイロで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせてG7で協議し、大筋合意する見通しだ。ロシアの凍結資産を使った異例の枠組みが実現に向けて前進する。

 ロシアの凍結資産活用に向けて主導的な役割を担ってきた米国と欧州連合(EU)が500億ドルのうち200億ドルずつ拠出する。残る100億ドルを日本と英国、カナダの3カ国で分担する。

 G7はロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援金を融資の形とし、ロシアの凍結資産から生じる運用益を返済に充てることを決めた。

【私の論評】G7ウクライナ支援最新情報:日本の33億ドル拠出と凍結ロシア資産活用の画期的プログラム

まとめ
  • G7諸国が総額500億ドルのウクライナ支援融資プログラムを計画し、日本は33億ドル(約5200億円)を拠出予定。
  • 支援プログラムはロシアの凍結資産の運用益を返済に充て、ウクライナの軍事、財政支援、復興に使用。
  • 日本の支援は、ウクライナの防衛力強化、財政安定化、復興支援が目的で、国際秩序維持と平和促進を目指す。
  • 日本の支援金額は、G7主要国としての役割に見合った貢献であり、国際的責任と財政状況のバランスがとれている。
  • 最終合意は今月下旬のG20会議で行われる見込みで、国際社会の新たな経済的対応として注目されている。

ウクライナ支援のために、G7諸国が総額500億ドルの融資プログラムを計画しています。この中で、日本は33億ドル(約5200億円)を拠出する方向で最終調整に入っています。これは全体の約6.6%に相当します。残りの金額は、米国とEUがそれぞれ200億ドルずつ、そして英国とカナダが日本と共に残りの100億ドルを分担します。

この支援プログラムの特徴は、ロシアの凍結資産を間接的に活用する点です。融資の返済には、EUが凍結したロシア中央銀行の資産から生じる運用益が使われる予定で、ウクライナ自体には返済義務がありません。支援金は、ウクライナの軍事、財政支援、そして復興に充てられます。

現在、この計画は最終調整の段階にあり、今月下旬に開催されるG20会議で最終合意される見込みです。このような仕組みは、ロシアの侵攻に対する国際社会の新たな経済的対応として注目されています。

日本政府がウクライナに支援金を提供する主な理由は、ウクライナの軍事、財政、そして復興を支援するためです。具体的には、ロシアの侵攻に対するウクライナの防衛力強化、ウクライナ政府の財政安定化による国家機能の維持、そして戦争で被害を受けた地域の復興プロジェクトを支援することが目的です。

この支援は、G7諸国が合意したロシアの凍結資産を活用するウクライナ支援の枠組みの一環として行われています。日本は国際社会の一員として、ウクライナの主権と領土保全を支持し、ロシアの侵略に対する国際的な対応に参加しています。この支援は日本の外交政策の一部であり、国際秩序の維持と平和の促進を目指すものです。

このように、日本の支援は単なる資金提供にとどまらず、国際社会における日本の役割と責任を果たすための重要な取り組みとなっています。

日本の33億ドル(約5200億円)という支援金額は、総額500億ドルの支援プログラムの中で妥当なものと考えられます。全体の約6.6%を占めるこの額は、G7の主要国としての日本の役割に見合った貢献です。

米国とEUがそれぞれ200億ドルを拠出する中、日本は英国、カナダと共に残りの100億ドルを分担しており、日本の経済規模や国際的立場を考慮すると適切です。

5月の岸田首相の発言は、ウクライナ支援の米国の肩代わりを印象付けたが・・・

この支援金額は、G7の一員としての国際的責任を果たしつつ、日本の財政状況とも整合性がとれています。したがって、日本は国際社会の中で適切な役割を果たしていると評価できます。

ウクライナへの支援に関して、日本が米国に肩代わりを迫られるという当初の憶測は現実とはならなかったようです。日本の33億ドルという拠出額は、G7の主要国としての役割に見合った適切な貢献といえます。

米国やEUがウクライナの将来的な経済成長に関心を持っているのは事実かもしれません、実際かなり成長すると見込んでいるのかもしれませんし、このような大復興、しかもウクライナのように教育水準が高く、産業基盤もある程度整った国の大復興は今世紀中には他にはみられない規模になるかもしれません。発展途上国等の支援とは水準や性質を全く異にしているといえるでしょう。

しかし、今回日本の支援が妥当なものとなったのは、ウクライナ復興の果実から日本を排除するため等が主目的ではなく、国際協調の一環として捉えるべきでしょう。日本は資金提供だけでなく、復興支援や技術協力など独自の強みを活かした支援を行っており、これは他国に取って代わられるものではありません。

むしろ、各国が自国の能力と役割に応じて協調的に支援を行っていると考えるべきで、ウクライナの復興と安定は国際社会全体の利益であり、日本もその一翼を担っているのです。

岸田首相とゼレンスキー大統領

今回の支援方式は、いくつかの重要な影響を世界に与えると考えられます。

まず、ロシアの凍結資産を活用するという異例の枠組みが、国際社会における新たな経済的対応のモデルとなる可能性があります。この方式は、侵略国に対する経済的制裁の一環として、凍結資産を被害国支援に転用するという前例を作ります。これにより、国際法や国際関係における新たなルールや慣行が形成されるかもしれません。

次に、G7諸国の結束と協力が強化される点も重要です。米国やEUが主導する形で、日本、英国、カナダが共同で資金を拠出することで、G7全体の連帯感が高まり、国際的な問題に対する協調行動の重要性が再確認されます。これにより、他の国際的な課題に対する協力も促進される可能性があります。

さらに、ウクライナに対する支援が強化されることで、同国の復興と安定が促進され、地域の平和と安全保障に寄与します。ウクライナの防衛力強化、財政安定化、そして復興支援が進むことで、ロシアの侵略に対する抵抗力が高まり、他の国々に対する抑止力ともなります。

最後に、今回の支援方式は、国際社会における日本の役割と責任を強調するものです。日本はG7の一員として、国際秩序の維持と平和の促進に貢献する姿勢を示しており、これが他の国々に対する模範となることが期待されます。

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2024年7月17日水曜日

トランプ前米大統領の暗殺未遂、警備はなぜ防げなかったのか―【私の論評】トランプ暗殺未遂と安倍元首相暗殺:民主主義を揺るがす警備の失態と外国勢力関与の疑惑

トランプ前米大統領の暗殺未遂、警備はなぜ防げなかったのか

まとめ
  • トランプ前大統領が支援者集会で銃撃され、警備体制の不備が問題視されている。
  • シークレットサービスと地元警察の役割分担が明確だったにもかかわらず、銃撃犯の接近を防げなかった。
  • 情報伝達の遅れや屋上警備の脆弱性など、警備計画の破綻が指摘されている。
  • FBIが捜査を指揮し、議会でも調査が行われている。
  • シークレットサービス長官は再発防止に向けて関係機関と連携し、議会の調査に協力する姿勢を示している。
銃撃犯がいた建物の近くを歩く米連邦捜査局(FBI)捜査官

 2024年7月13日、ペンシルヴェニア州で発生したドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件は、米国の政治界と法執行機関に大きな衝撃を与えました。トランプ前大統領が支援者集会で演説中、20歳の容疑者が近隣の建物屋上から約130メートル離れた場所にいたトランプ氏に向けて発砲し、トランプ氏は右耳を負傷しました。この事件では1人が死亡し、2人が重傷を負うという深刻な被害が出ました。

 事件の背景には、警備体制の不備が指摘されています。シークレットサービスは集会会場内の警備を担当し、地元警察が周辺エリアの警備を担当するという分担体制が取られていましたが、結果的に容疑者が妨害を受けずにトランプ氏に接近できてしまいました。専門家は、この事態の原因として、情報伝達の遅れや屋上警備の脆弱性を挙げています。

 事件を受けて、FBIが捜査を指揮し、議会でも調査が開始されました。シークレットサービス長官は再発防止に向けて関係機関と連携し、議会の調査にも全面的に協力する姿勢を示しています。また、国土安全保障長官も「このような事案は二度と起こってはならない」と述べ、警備体制の見直しの必要性を強調しています。

 この事件は、要人警護における課題と改善点を浮き彫りにしました。特に、複数の機関が関わる大規模イベントでの連携や情報共有の重要性、潜在的な脅威の事前把握と対策の必要性が再認識されています。今後、この事件を教訓として、警備体制の抜本的な見直しが行われる可能性が高く、米国の政治家や要人の安全確保に向けた新たな取り組みが期待されています。

 同時に、この事件は米国の政治的分断や暴力の問題にも光を当てることとなり、社会的な議論を呼び起こしています。政治的対立が激化する中で、どのように民主主義的なプロセスを守り、安全な政治活動を保障するかという課題に、米国社会は直面しています。

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【私の論評】トランプ暗殺未遂と安倍元首相暗殺:民主主義を揺るがす警備の失態と外国勢力関与の疑惑

まとめ
  • トランプ前大統領銃撃未遂事件と安倍元首相暗殺事件は、両国の警備体制の重大な欠陥を露呈させ、民主主義社会における要人警護の課題を浮き彫りにした。
  • トランプ氏の事件では、イランの関与の可能性が指摘され、事前に警戒情報があったにもかかわらず適切な対応がなされなかった疑いがある。
  • 安倍氏の事件では、奈良県警の驚くべき無能ぶりが明らかとなり、日本の要人警護システム全体の見直しが必要とされている。
  • 両事件とも、外国勢力の関与の可能性が完全には否定できず、より深い調査と分析が求められている。
  • これらの事件を受けて、両国とも警備体制の強化と民主主義の擁護のバランスを取る必要性に直面しており、徹底的な事件の検証と再発防止策の策定が急務となっている。


トランプ前大統領銃撃未遂事件と安倍元首相暗殺事件は、両国の政治と社会に深刻な影響を与えた重大事件として、多くの共通点と課題を浮き彫りにしました。両事件とも屋外の演説会場で発生し、警備体制の脆弱性が露呈しました。

トランプ氏の事件では、特に警備の不備が顕著でした。フル装備のライフル銃を持った男が、トランプ氏から至近の屋根に容易に侵入できたこと、さらに男の存在を目視できたはずのスタッフがステージ付近のスタッフに知らせなかったことなどが、米国内で強い批判を招いています。

この事態を受けて、イーロン・マスク氏は、「極度の無能か、あるいは意図的か。いずれにせよ、シークレットサービスの責任者は辞任すべきだ」と厳しく批判しました。

さらに、この事件にはより深刻な背景があった可能性が浮上しています。CNNの報道によると、米当局はイランがトランプ前大統領の暗殺を企てているとの情報を事前に入手していたとされます。これを受けて、シークレットサービスは数週間前からトランプ氏の警護を強化していたとのことです。しかし、今回の銃撃犯とイランの計画との直接的な関連性を示す証拠は現時点では見つかっていません。


一方、安倍元首相暗殺事件は、奈良県警の警備体制の深刻な欠陥を露呈させました。手製の銃を持った容疑者が至近距離まで接近できたことは、奈良県警の警備計画と実行における重大な失態を如実に表しています。警察幹部の「屋外の演説会場の警護は難しく、危険度が増す」という発言は言い訳にすぎず、元首相という要人の警護において、このような基本的な警備の不備は到底許容できるものではありません。

さらに、安倍氏暗殺事件の背後にも外国勢力の関与の可能性は完全には否定できません。公式な捜査では単独犯による犯行とされていますが、国際情勢の複雑化や地政学的な緊張の高まりを考慮すると、外国勢力の間接的な影響や関与の可能性について、より慎重な調査と分析が必要かもしれません。


これらの事件を通じて、両国とも社会の結束と民主主義の強化が急務であることが再認識されています。日米の偉大なリーダーを狙い、民主主義を脅かす卑劣な犯罪の全容が、両国で完全に暴かれることが強く望まれています。特に「安倍氏暗殺の闇」については、徹底的な解明が必要とされています。

今後、両国とも警備体制の強化が進められると予想されますが、同時に民主主義社会における政治家の安全確保と言論の自由のバランスをどう取るかという根本的な課題に直面しています。これらの事件の徹底的な検証と再発防止策の策定が求められており、今後の政治活動や公共の場での安全確保のあり方に大きな影響を与えることが予想されます。特に日本では、警察組織、特に要人警護に関わる部門の能力と準備態勢の根本的な見直しが不可欠です。

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2024年7月16日火曜日

「改造車内で若い兵士の腎臓と眼球摘出」 元中国医師が「臓器狩り」証言、台湾で会見―【私の論評】中国の臓器移植問題:非人道的行為の実態と国際的懸念の高まり

「改造車内で若い兵士の腎臓と眼球摘出」 元中国医師が「臓器狩り」証言、台湾で会見

まとめ
  • 台湾の立法委員と民間団体が、中国での違法な臓器移植の横行を指摘し、各国に規制法の制定を呼びかけた。
  • 元中国軍医の鄭治氏が、1994年に目撃した18歳未満の兵士からの臓器摘出の実態を証言した。
  • 中国当局による「臓器狩り」の対象には、法輪功信者やウイグル人、チベット人が含まれているとの指摘がある。
  • カナダの報告書によると、中国当局は年間6万〜10万件の臓器移植を実施していると推計されている。
  • 台湾の政治家らは、中国の臓器収奪を規制するための法整備を進める意向を示している。
中国軍の病院に勤務していた際の生体臓器摘出について証言する鄭治氏(中央)=15日

 台湾の政治家と民間団体が中国における非合法な臓器摘出と移植の横行を指摘し、各国に規制法の制定を呼びかける記者会見を開きました。この会見で、元中国軍医の鄭治氏が1994年に目撃した衝撃的な臓器摘出の実態を証言しました。鄭氏は、18歳未満の兵士から臓器を摘出し軍高官に移植する「秘密軍事任務」に参加させられ、改造車両内で麻酔なしに若い兵士から腎臓と眼球を摘出する手術を目撃したと語りました。

 中国当局による「臓器狩り」の対象には、法輪功信者やウイグル人、チベット人が含まれているとの指摘があり、カナダの報告書によると中国当局は年間6万〜10万件の臓器移植を実施していると推計されています。国連人権理事会が中国に独立機関による調査を求めましたが、中国側は否定し拒否しました。

 これらの深刻な問題に対し、台湾の政治家らは中国の臓器収奪を規制するための法整備を進める意向を示しています。この記事は、中国における非合法な臓器摘出の実態と、それに対する国際社会の懸念や対応を明らかにしています。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中国の臓器移植問題:非人道的行為の実態と国際的懸念の高まり

まとめ
  • 麻酔なしの臓器摘出は非人道的で、医療倫理に反する重大な人権侵害行為である。
  • 中国では「脳死誘発器」の存在が報告され、臓器移植のためのドナーを人為的に作り出している可能性がある。
  • 中国の臓器移植急増の背景には、強制的な臓器摘出や死刑囚からの臓器摘出、大規模な営利事業化などの要因がある。
  • 中国の臓器移植システムには不透明性があり、国際社会からの批判と疑惑が高まっている。
  • この問題は医療倫理と人権の観点から国際的な懸念事項となっており、継続的な調査と監視が必要である。
腎臓の移植手術を行う医師ら。移植を待つ患者は毎年約30万人に上る=2019年2月、中国湖南省衡陽市

麻酔なしに腎臓や眼球を摘出することは、医学的に正当化できない非人道的で残虐な行為です。通常の医療行為では、患者の苦痛軽減と手術の安全性向上のために必ず麻酔が使用されます。

しかし、この事例では麻酔を使用しないことに特別な意図があったと考えられます。残虐性を強調し、極限状況下での軍事的訓練の一環として行われた可能性や、非倫理的な人体実験であった可能性、さらには被害者や周囲の人々に恐怖を植え付け支配を強化する手段であった可能性などが考えられます。

これらの行為は医療倫理に反し、基本的人権を著しく侵害する重大な犯罪行為です。このような非人道的な行為は、たとえ戦時中の極端な状況下であっても決して正当化されるものではありません。

こうした証言は、戦争犯罪や人道に対する罪の実態を明らかにし、将来同様の事態が起こらないようにするための重要な記録となります。同時に、医療倫理や人権の重要性を再認識させ、平和の尊さを訴える強力なメッセージとなるのです。

ただ、この臓器を取られた若い兵士は、すでに脳死状態にあった可能性もあります。2022年4月、アメリカの非営利団体「世界臓器狩り調査委員会(WOIPFG)」が、中国の病院で使用されている「脳死誘発器」の存在を報告しました。この機器は、生きている人間を人為的に脳死状態にし、臓器摘出を可能にするものだとされています。

この報告によると、中国の複数の病院で、この機器が使用されているとのことです。機器の使用目的は、臓器移植のためのドナーを「作り出す」ことにあると考えられています。この情報は、中国の臓器移植システムにおける倫理的問題をさらに深刻化させるものです。強制的な臓器摘出や、同意のない臓器提供の疑惑に加え、このような機器の存在は、人権侵害の可能性をさらに高めています。

しかし、中国政府はこれらの疑惑を否定し続けており、独立した調査も拒否しています。国際社会からは、中国の臓器移植システムの透明性向上と、これらの深刻な疑惑に対する適切な対応が強く求められています。この問題は、医療倫理と人権の観点から極めて重大であり、継続的な調査と国際的な監視が必要です。

人を人為的に脳死状態にするという機器の模型

中国の臓器移植が急増した背景には、複数の深刻な要因が絡み合っています。まず、中国政府が危険視する集団、特に法輪功学習者やウイグル人、チベット人などからの強制的な臓器摘出が行われているとの指摘があります。また、中国は世界最大の死刑執行国であり、死刑囚からの臓器摘出が長年行われてきました。2015年に停止を宣言しましたが、実際の遵守状況は不明瞭です。

さらに、中国では臓器移植が「1兆円ビジネス」と呼ばれるほどの大規模な営利事業となっており、海外からの富裕な患者を引き付けています。特に注目すべきは、中国での心臓移植の待機期間が平均1〜2ヶ月と極端に短いことです。これは通常の臓器提供システムでは説明がつかず、不自然な臓器供給源の存在を示唆しています。


また、中国は米国以上の移植大国でありながら、国際学術誌に移植関係の論文が掲載されないのは、ドナー情報を明らかにできないためと考えられています。2013年には中国共産党が国家臓器流通システムを構築し、臓器移植の管理を強化しました。

これらの要因が複雑に絡み合い、中国の臓器移植数が急増する一方で、国際社会からの批判と疑惑も高まっています。中国政府は強制的な臓器摘出の疑惑を否定していますが、独立した調査を拒否しており、実態の解明が強く求められています。この問題は、医療倫理と人権の観点から国際的な懸念事項となっており、透明性の確保と適切な対応が急務となっています。

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2024年7月15日月曜日

都知事選予測が的中 石丸氏の浮動票は驚くようなことではない 前例に東国原氏 高橋洋一―【私の論評】高橋洋一氏の驚異的な選挙予測と石丸伸二氏の政治家適性:為替アナリストの経歴が政治にもたらす影響

都知事選予測が的中 石丸氏の浮動票は驚くようなことではない 前例に東国原氏 高橋洋一

日本の解き方

まとめ
  • 小池百合子氏が3選を果たし、SNSで知名度を上げた石丸伸二氏が2位、蓮舫氏が3位となった。高橋洋一氏は、小池氏の浮動票が石丸氏に流れたと分析し、選挙結果をほぼ正確に予測した。
  • 高橋氏の予測方法は、投票率の推計と候補者ごとの票の性質(基礎票・浮動票)分析に基づいていた。
  • SNSを活用した若者層への浸透戦略は効果的だが、それだけでは都知事選勝利には不十分。
  • 若者層の支持が自民党から離れている中、石丸氏はその層をうまく取り込んだが、選挙後の対応で支持を失う可能性がある。

 小池百合子氏は3選を果たし、62のすべての自治体で他の候補を上回る票を獲得した。NHKの出口調査によると、小池氏の都政運営に対する評価は肯定的で、67%が「大いに評価する」または「ある程度評価する」と回答している。小池氏は自民党、公明党、都民ファーストの会の支持層を固めつつ、無党派層の30%以上からも支持を得た。特に40代以上の年齢層で強い支持を集めた。

 石丸伸二氏は2位となり、特に世田谷区、渋谷区、中央区などで27%以上の得票率を記録した。朝日新聞の出口調査によると、石丸氏は無党派層から36%の支持を得て、候補者中最多だった。また、維新支持層の41%、国民民主支持層の約4割からも支持を集めた。

 蓮舫氏は3位に終わったが、128万3262票(得票率18.81%)を獲得し、前回2020年の都知事選と比較して得票数で1.52倍、得票率で5.05ポイント増加した。蓮舫氏は武蔵野市、国立市、多摩市などで20%を超える得票率を記録した。

 選挙戦では、小池氏の2期8年の都政運営の評価が主な争点の一つとなった。石丸氏は「既存の政党に属さない人間が東京の知事になれば世界が一変する」と訴え、若者層を中心に支持を集めた。蓮舫氏は市民と野党の共同候補として戦い、共産党を含む多くの支援を得たことを「財産」と評価している。

 この選挙結果を受けて、立憲民主党と連合の幹部が会談し、蓮舫氏が3位に終わったことについて敗因分析を行うことになった。今回の都知事選は、既存政党や今後の国政選挙にも影響を与える可能性があり、特にSNSを活用した選挙戦略や無党派層の動向が注目されている。

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【私の論評】高橋洋一氏の驚異的な選挙予測と石丸伸二氏の政治家適性:為替アナリストの経歴が政治にもたらす影響

まとめ
  • 高橋洋一氏の東京都知事選予測は、投票率の正確な推計と候補者ごとの票の性質分析に基づき、驚くべき正確さを示した。
  • 石丸伸二氏は三菱UFJ銀行の為替アナリストとしての経歴を持つが、為替アナリストの短期的予測業務は博打的性質を持つと高橋氏は指摘している。
  • 政治家が博打的な思考や行動をとることは、国民の利益を損なう危険性があり、政治家としての信頼性や責任に反する。
  • 石丸氏の発言や行動には、為替アナリスト時代の博打的な考えが影響している可能性があり、政治家としてふさわしくない面がある。
  • 政治家には長期的視野、公正さ、信頼性、法令遵守の精神が求められ、博打的要素はこれらを損なう可能性が高いため、石丸氏の政治家としての適性に疑問が残る。
高橋洋一氏

高橋洋一氏の東京都知事選の結果予測は驚くべき正確さを示しました。その予測方法の核心は、まず投票率を正確に推計することにありました。高橋氏は期日前投票が有権者の約20%であることを踏まえつつ、投票日当日の天候などの要因も考慮して、全体の投票率を61%と予測しました。実際の投票率が60.62%だったことを考えると、この予測はかなり的確だったと言えます。

次に、高橋氏は候補者ごとに票の性質を分析しました。小池氏については基礎票と浮動票の両方を持つと考え、石丸氏は主に浮動票を、蓮舫氏は基礎票を中心に獲得すると予測しました。この分類に基づいてモデルを構築し、計算を行ったのです。

公選法の規定を考慮し、高橋氏は直接的な予測公表を避ける工夫をしました。投票前にX(旧Twitter)で「珍しい4つの素数」として11、13、17、29を投稿したのですが、これらの数字は実際には予想得票数(単位:10万人)を示していました。この暗号的な手法は、法的問題を回避しつつ予測を公表する巧妙な方法でした。

結果として、高橋氏の予測は実際の投票結果と非常に近いものとなりました。小池氏については予測290万票に対し実際291万票、石丸氏は予測170万票に対し実際165万票、蓮舫氏は予測130万票に対し実際128万票、その他は予測100万票に対し実際102万票となり、いずれも誤差は小さいものでした。

高橋氏の予測方法の特徴は、投票率の正確な推計、候補者ごとの票の性質(基礎票か浮動票か)の綿密な分析、そして過去の選挙データや現在の政治状況の詳細な検討にあると考えられます。特に小池氏と蓮舫氏の得票数予測が非常に正確であり、全体としても高い精度を示しています。この予測手法は、選挙分析や世論調査の分野で注目に値する成果であり、今後の選挙予測にも大きな影響を与える可能性があります。

石丸伸二氏は三菱UFJ銀行で為替アナリストとして働いていました。彼は2014年に初代ニューヨーク駐在員として赴任し、アメリカ大陸の主要9か国25都市で活動していました。その後、広島県安芸高田市長に選出され、政治家としても活躍しました。

石丸伸二氏

ただ、私自身は石丸氏の過去の経歴からみても政治家にはふさわしくないと思います。

長期的な為替レートは「世界に流通している円全体の価額 ÷ 世界に流通しているドル全体の価額」(円/ドル)という式で決まるとされています。しかし、中・短期的には様々な要因が絡み合うため、為替レートの予測は非常に困難です。

高橋氏は為替レートの短期的な予測を「競馬と同じ」と表現しており、予測の不確実性を強調しています。この見解に従えば、為替アナリストが行う短期的な為替予測は、実質的に博打と同様の性質を持つと言えます。アナリストは様々なデータや情報を分析しますが、予測不可能な要素が多いため、その予測は確実性に欠けます。

結果として、為替アナリストの短期的な予測は、情報に基づいた推測にすぎず、博打打ちの行為と本質的に変わらない可能性があります。したがって、高橋氏の見解に基づけば、為替アナリストの短期的な予測業務は、高度な分析を行っているように見えても、実質的には博打と同様の不確実性を持つ活動だと解釈できます。

ただし、長期的なトレンド分析や経済指標の解説など、より確実性の高い情報提供については、依然として意義があると考えられます。

しかし、中短期的な為替の予測をなりわいとする為替アナリストは、博打打ちといってもよく、政治家が博打的な思考や行動をとれば、国民の財産や生活に直結する政策決定において、不確実性の高い選択をしてしまう危険性があります。石丸氏にもこうした為替アナリスト時代の習慣や感覚が身についている可能性は高いです。

安芸高田市や選挙中や選挙後の石丸氏の発言は、とうてい常人の考えも及ばないところがあます。それは、博打打ち的な考えに石丸氏が支配されている可能性を示していると思います。


また、博打的な考え方をすることにより、政治家個人の金銭的な問題や倫理的な問題を引き起こす可能性もあります。これらは政治家としての信頼性を大きく損なう要因となります。さらに、政治家には長期的な視野で国や地域の発展を考える責任があります。

博打的な思考は短期的な利益を追求しがちで、この責任と相反します。また、政治家は法律を作る立場にあるため、博打的な考え方をすることは、法治国家の理念にも反します。したがって、博打打ちの性質や行動は、政治家に求められる公正さ、信頼性、長期的視野、法令遵守の精神と相容れません。政治家には冷静な判断力と高い倫理観が求められ、博打的な要素はそれらを損なう可能性が高いため、ふさわしくないと言えます。

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2024年7月14日日曜日

トランプ氏集会で発砲音 負傷か、拳突き上げ会場去る―【私の論評】トランプ前大統領銃撃事件2024:最新情報と歴史的考察 - 暗殺の真の影響とは

トランプ氏集会で発砲音 負傷か、拳突き上げ会場去る


 11月の米大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領(78)が東部ペンシルベニア州バトラーで開催した支持者集会で13日、トランプ氏の演説中に複数の発砲音があり、現場からの映像によると同氏は壇上に伏せる格好で倒れ込んだ。

 トランプ氏はその後、警備にあたるシークレットサービス(大統領警護隊)に支えられて車両に乗り、会場を後にした。同氏は立ち上がる際に拳を突き上げる仕草をみせた。

 米メディアは、トランプ氏がけがを負ったと伝えた。現場では聴衆から大きな悲鳴が上がった。

【私の論評】トランプ前大統領銃撃事件2024:最新情報と歴史的考察 - 暗殺の真の影響とは

まとめ
  • トランプ前大統領の選挙集会で銃撃事件が発生し、トランプ氏は右耳付近を負傷した。
  • 容疑者は死亡したとされるが、詳細な情報は限られている。
  • 事件により会場は騒然となり、トランプ氏は警護下で退避した。
  • トランプ氏は声明を発表し、被害者への哀悼の意を表すとともに、事件の詳細を説明した。
  • 歴史的に見て、暗殺は意図した政治的目的を達成することはほとんどなく、むしろ逆効果をもたらすことが多い。

まずは、集会で亡くなった方のご家族の皆様に深い哀悼の意を表すとともに、重傷を負われた方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

2024年7月13日、アメリカ東部ペンシルベニア州で行われていたドナルド・トランプ前大統領の選挙集会で銃撃事件が発生しました。以下に現時点での情報をまとめます:

## 事件の概要

- トランプ氏が演説を行っているさなかに、複数の発砲音が聞こえました[1][5]。
- 銃声は断続的に10発ほど聞こえたとされています[1]。
- トランプ氏は演台の下にしばらく伏せたような格好になりました[1]。

## トランプ氏の状況

- トランプ氏は警備にあたるシークレットサービスに支えられながら会場から退避しました[1][4]。
- 退避する際、トランプ氏は拳を上げるしぐさをしましたが、右耳のあたりから血が流れているのが確認されました[1]。
- CNNテレビはトランプ氏がけがをしていると伝えています[1]。
- トランプ陣営は「無事」との声明を出しています[4]。


## 犠牲者情報

- AP通信は、地元の司法当局者の話として、「銃を発砲した疑いがある人物は死亡した」と伝えています[1]。
- 米紙ワシントン・ポストは、容疑者が死亡したと報じています[2]。
- CNNは、銃撃犯と観客1名が死亡したと報じています[3][6]。

## 現場の状況

- 集まった人たちはその場で身を屈めていました[1]。
- 現場では叫び声が響き渡り、会場は騒然としていました[1]。
-トランプ氏は事件に関する声明を発表しています(以下)[7]

以下日本語に翻訳したものを掲載します。
ドナルド・J・トランプ
@realドナルド・トランプ
ペンシルベニア州バトラーで起きたばかりの銃撃事件に対する
迅速な対応に対し、米国秘密情報局と法執行機関の
皆様に感謝したいと思います。最も重要なことは、集会
で亡くなった方のご家族と、重傷を負われた方のご家族
にお悔やみを申し上げたいということ
です。このような行為が我が国で起こり得るとは信じ
られない。銃撃犯については現時点では何も分かっ
ておらず、現在死亡している。右耳の上部を銃弾で
貫かれました。ヒューヒューという音と銃声が聞こえ、
弾丸が皮膚を突き破るのをすぐに感じたので、何かが
おかしいとすぐにわかりました。大量の出血があった
ので、何が起こっているのかその時わかりました。
ゴッド・ブレス・アメリカ!
## 背景情報

- アメリカでは過去にも政治家を標的としたテロや暗殺が繰り返されてきました[4]。
- 1963年のケネディ大統領暗殺、1968年のロバート・ケネディ上院議員暗殺、1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件などが挙げられます[4]。

この事件は現在進行形で情報が更新される可能性が高いため、今後も続報に注目する必要があります。

引用:
[1] https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240714/k10014511201000.html
[2] https://mainichi.jp/articles/20240714/k00/00m/030/023000c
[3] https://www.cnn.com/politics/live-news/election-biden-trump-07-13-24/index.html
[4] https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1405Y0U4A710C2000000/
[5] https://jp.reuters.com/world/us/MPV37ZXXXBIYPJVUIOB2L4ZCWY-2024-07-13/
[6] https://www.nytimes.com/live/2024/07/13/us/biden-trump-election

容疑者に関する情報は現時点で限られています。ニューヨークポスト紙の報道によると、容疑者は中国人とされ、トランプ氏の演説中に演壇から離れた場所から発砲したとされています。複数の銃声が聞こえたという証言があります。

容疑者の状況については、死亡したという報道と、制圧されたという情報があり、詳細は不明です。シークレットサービスのスナイパーによって射殺されたという報道もあります。容疑者の身元や動機に関する詳細情報はまだ公表されておらず、この事件は暗殺未遂として捜査が進められているようです。今後の捜査の進展により、さらなる情報が明らかになる可能性があります。

暗殺は特定の意図を持って実行されますが、歴史的に見ると、暗殺が成功しようがしまいが、その目的を達成することはほとんどありません。むしろ、意図した結果とは逆の効果をもたらすことが多いのです。

例えば、1914年のフランツ・フェルディナント暗殺事件は第一次世界大戦の引き金となり、1963年のケネディ大統領暗殺は彼の理想をさらに強化しました。1968年のキング牧師暗殺も公民権運動を止めることはできませんでした。

日本の事例では、1932年の五・一五事件での犬養毅首相暗殺が軍部の影響力を強め、日本を戦争への道へと導きました。

2022年7月の安倍晋三元首相暗殺事件については、その影響は複雑で多面的です。事件の影響は現在も進行中であり、慎重に観察し評価する必要がありますが、首謀者の意図は成就されることはないでしょう。

このように、暗殺は短期的には衝撃を与えますが、長期的には意図した政治的変化をもたらすことはほとんどなく、むしろ予期せぬ結果をもたらすことが歴史的に示されています。今回のトランプ氏暗殺未遂事件も例外とはならないでしょう。

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